本発明の(メタ)アクリル系エラストマーは、前記したように、式(I):
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水酸基またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を有していてもよい炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を示す)
で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を重合させてなり、粘度平均分子量100万〜1200万を有することを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。また、アルキル基は、脂環構造を有するアルキル基を含む概念のものである。
式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーにおいて、R1は、水素原子またはメチル基である。R1のなかでは、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、水素原子が好ましい。
式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーにおいて、R2は、水酸基またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基または水酸基を有していてもよい炭素数2〜12のアルコキシアルキル基である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらのハロゲン原子のなかでは、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、フッ素原子が好ましい。アルキル基に含まれるハロゲン原子の数は、当該アルキル基の炭素数などによって異なるので一概には決定することができないことから、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜調整することが好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシn−プロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシn−ブチル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ハロゲン原子を有する炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロn−プロピル基、トリフルオロイソプロピル基、トリフルオロn−ブチル基、トリフルオロイソブチル基、トリフルオロtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
炭素数2〜12のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシブチル基などの炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコキシアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
水酸基を有する炭素数2〜12のアルコキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシメトキシブチル基などの炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコキシアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
R2のなかでは、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、水酸基またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基および水酸基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシアルキル基が好ましく、水酸基またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1または2のアルキル基および水酸基を有していてもよい炭素数1または2のアルコキシアルキル基がより好ましく、エチル基およびメトキシ基がさらに好ましい。
式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーのなかでは、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、メチルペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノナノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの式(I)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2が炭素数1〜10のアルキル基である(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの式(I)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2が水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基である(メタ)アクリル系モノマー、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレートなどの式(I)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2がハロゲン原子を有する炭素数1〜10のアルキル基である(メタ)アクリル系モノマー、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどの式(I)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2が炭素数2〜12のアルコキシアルキル基である(メタ)アクリル系モノマー、およびジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの式(I)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2が水酸基を有する炭素数2〜12のアルコキシアルキル基である(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、エチル(メタ)アクリレートおよびメトキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、エチルアクリレートおよびメトキシエチルアクリレートがさらに好ましい。これらの(メタ)アクリル系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
モノマー成分は、式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーのみで構成させることができるが、必要により、式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーを含有させることができる。
式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマー以外のカルボン酸アルキルエステル系モノマー、アミド基含有モノマー、アリール基含有モノマー、スチレン系モノマー、窒素原子含有モノマー、脂肪酸ビニルエステル系モノマー、ベタインモノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマー以外のカルボン酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が11〜20のアルキルアクリレート、イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のイタコン酸アルキルエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アリール基含有モノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリートなどのアリール基の炭素数が6〜12であるアリール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
窒素原子含有モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
脂肪酸ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベタインモノマーとしては、例えば、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどのスルホベタインモノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホベタインモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、モノマー成分における式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーの含有率は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、モノマー成分における式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーの含有率は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを用いることによる効果を十分に発現させる観点から、モノマー成分における式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーの含有率は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下であり、モノマー成分における式(I)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーの含有率は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
なお、モノマー成分には、本発明の目的を阻害しない範囲内で架橋性モノマーが適量で含まれていてもよい。
架橋性モノマーとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドなどのアルキレン基の炭素数が1〜4のアルキレンビス(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上、好ましくは2個有する(メタ)アクリルアミド化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上、好ましくは2個または3個有する(メタ)アクリレート化合物;ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの炭素−炭素二重結合を2個以上、好ましくは2個または3個有するアミン化合物;ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼンなどの炭素−炭素二重結合を2個以上、好ましくは2個または3個有する芳香族化合物などの多官能モノマーが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系エラストマーは、例えば、モノマー成分を重合させることによって得ることができる。
モノマー成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、塊状重合法および溶液重合法が好ましく、さらに粘度平均分子量100万〜1200万を有する(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、塊状重合法がより好ましい。本発明の(メタ)アクリル系エラストマーは、従来のアクリルゴムのように原料のモノマー成分を懸濁重合法によって重合させるのではなく、塊状重合法によって重合させた場合には、伸長性に優れ、低電圧を印加したときに大きい変位量を示す粘度平均分子量が100万〜1200万である(メタ)アクリル系エラストマーを容易に調製することができる。
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際には、溶媒が用いられる。溶媒のなかでは、非水系有機溶媒が好ましい。非水系有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系有機溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩化物系有機溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、当該溶媒の種類によって異なるので一概には限定することができないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、100〜1000質量部程度であることが好ましい。
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤のなかでは、(メタ)アクリル系エラストマーに熱履歴を残さないようにする観点から、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジtert−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム〕などの光ラジカル重合開始剤、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ジtert−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどの光カチオン開環重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、当該重合開始剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、0.01〜20質量部程度であることが好ましい。
モノマー成分を重合させる際には、得られる(メタ)アクリル系エラストマーの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロールなどのチオール基を有する化合物;次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。連鎖移動剤の量は、当該連鎖移動剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、0.01〜10質量部程度であることが好ましい。
モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
モノマー成分を重合させる際の温度は、特に限定がなく、通常、5〜100℃程度の温度であることが好ましい。モノマー成分を重合させるのに要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意であるが、通常、1〜20時間程度である。
重合反応は、残存しているモノマー成分の量が20質量%以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存しているモノマー成分の量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、本発明の(メタ)アクリル系エラストマーを得ることができる。
本発明の(メタ)アクリル系エラストマーは、粘度平均分子量100万〜1200万を有することを特徴とする。本発明の(メタ)アクリル系エラストマーは、粘度平均分子量100万〜1200万を有することから、伸長性に優れ、低電圧を印加したときに大きい変位量を示すという優れた効果を奏する。
(メタ)アクリル系エラストマーの粘度平均分子量は、伸長性に優れ、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、100万以上、好ましくは150万以上、より好ましくは200万以上である。また、成形性および加工性の観点から、1200万以下、好ましくは1000万以下、より好ましくは800万以下、さらに好ましくは600万以下、さらに一層好ましくは400万以下である。
本発明において、(メタ)アクリル系エラストマーの粘度平均分子量は、(メタ)アクリル系エラストマーの濃度が1g/L、2g/Lおよび5g/Lである各アセトン溶液または各メチルエチルケトン溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:0C〕を用いて25℃で測定し、得られた粘度(L/g)を縦軸に、濃度(g/L)を横軸にプロットし、プロットした3点から線形近似曲線を作成し、当該線形近似曲線のY軸切片の極限粘度[η](L/g)を求め、式(II):
[η]=K×αM (II)
〔式中、[η]は極限粘度(L/g)、Kおよびαはエラストマーの種類、溶媒の種類および温度によって定まる定数、Mは粘度平均分子量を示す〕
で表わされるMark−Howink−桜田の式に基づいて求められる粘度平均分子量を意味する。
また、前記モノマー成分に架橋性モノマーが含まれている場合には、得られる(メタ)アクリル系エラストマーは、有機溶媒によって膨潤するが、当該有機溶媒に溶解しない。この場合、前記モノマー成分として架橋性モノマーを含有しないモノマー成分を用い、当該モノマー成分を重合させることによって得られた(メタ)アクリル系エラストマーを用いて前記と同様にして求めた粘度平均分子量を前記(メタ)アクリル系エラストマーの粘度平均分子量とする。
本発明の(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルムを製造する場合には、例えば、モノマー成分を基板上に流延し、形成されたモノマー成分の被膜に紫外線を照射するなどによってモノマー成分を重合させることにより、(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルムを得ることができる。
前記(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルムの厚さは、特に限定されないが、伸長性に優れ、低印加電圧で変位量が大きい(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から、10μm〜2mm程度であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルムは、用途によっては、そのままの状態で用いることができるが、強靭性を付与する観点から、一軸延伸または二軸延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。前記フィルムの延伸倍率は、強靭性を付与する観点から、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上であり、当該フィルムの厚さにもよるが、延伸時の破断を防止する観点から、好ましくは8倍以下、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下である。なお、フィルムを延伸させる際には、必要により、加熱してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、前記(メタ)アクリル系エラストマーを含有することを特徴とする。本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、前記(メタ)アクリル系エラストマーを含有することから、印加電圧が低くても大きな変位量を示すという優れた効果を奏する。
本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、その粘度を調製するために、他のポリマーが適量で含有していてもよい。
他のポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他のポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、必要により、中和させてもよい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、オクチルアミン、トリブチルアミン、アニリンなどの有機塩基性化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの中和剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、着色剤、紫外線防止剤、老化防止剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、印加電圧が低くても大きな変位量を示すことから、例えば、アクチュエータ、産業用ロボットなどに使用されるセンサ、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサ、人工筋肉、小型ポンプ、医療用器具などに使用することが期待される。これらのなかでも、本発明の(メタ)アクリル系誘電体材料は、印加電圧が低くても大きな変位量を示すことから、アクチュエータに好適に使用することができる。
本発明のアクチュエータは、前記(メタ)アクリル系誘電体材料が用いられている点に1つの特徴を有する。本発明のアクチュエータは、前記(メタ)アクリル系誘電体材料が用いられていることから、低電圧を印加するだけで大きい変位量を示すという優れた効果を発現する。
以下に本発明のアクチュエータを図面に基づいて説明するが、本発明は、かかる図面に示される実施形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明のアクチュエータの一実施態様を示す概略平面図である。また、図2は、図1に示されるアクチュエータのA−A部における概略断面図である。
図1および図2に示されるように、アクチュエータ1は、(メタ)アクリル系誘電体材料からなるフィルム2と一対の電極3a,3bとから形成されている。フィルム2と電極3a,3bとは、例えば、導電性ペースト(図示せず)などで接着させることができる。導電性ペーストとしては、例えば、カーボン、銀などの導電性フィラーを含有する導電性ペーストなどが挙げられる。
フィルム2は、一軸延伸または二軸延伸、好ましくは二軸延伸されていることが好ましい。フィルム2の延伸倍率は、特に限定されないが、前記フィルムの延伸倍率は、強靭性を付与する観点から、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上であり、当該フィルムの厚さにもよるが、延伸時の破断を防止する観点から、好ましくは8倍以下、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下である。
フィルム2の厚さは、印加電圧が低くてもアクチュエータ1が大きな変位量を呈するようにする観点から、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜80μm、さらに好ましくは1〜50μm、さらに一層好ましくは1〜30μmである。
電極3a,3bは、図2に示されるように、フィルム2の両面にそれぞれ対向するよう配置されている。電極3a,3bは、電極材料で形成されている。電極材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)、ガリウム酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロムなどの金属や金属酸化物、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボンなどの炭素材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの電極材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
電極3a,3bの形状、大きさおよび厚さは、特に限定されず、アクチュエータ1の用途に応じて任意に決定することができる。電極3a,3bの形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。電極3a,3bの大きさの一例として、直径が1〜20mmである円形のものなどを挙げることができる。電極3a,3bの厚さは、特に限定されないが、通常、50〜500μm程度である。
電極3aの直径方向の外周面には端子4aが配設されており、電極3bの直径方向の外周面には端子4bが配設されている。端子部4a,4bは、それぞれ導線5a,5bを介して電源6と接続されている。
電源6により、電極3a,3bに電圧を印加したとき、電極3a,3b間に静電引力が生じ、フィルム2が圧縮されることから、フィルム2の厚さが小さくなり、フィルム2は、幅方向に延伸される。このとき、電極3a,3bは、フィルム2とともに幅方向に延伸される。
電極3aにマーカー7を装着させておくことにより、電極3a,3bに電圧を印加したときのアクチュエータ1の変位量を変位計8で測定することができる。
本発明のアクチュエータは、前記したように、(メタ)アクリル系誘電体材料が用いられているので、低い印加電圧であっても大きい変位量を呈する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
エチルアクリレート99.76g、ジエチレングリコールジメタクリレート0.24gおよび重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.061gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を得た。
前記で得られたモノマー成分を透明ガラス製の成形型(縦:100mm、横:100mm、深さ:0.5mm)内に注入した後、当該モノマー成分に照射線量が15W/m2となるように紫外線を照射し、モノマー成分を塊状重合させることにより、(メタ)アクリル系エラストマーを得た。
なお、前記モノマー成分には架橋性モノマーであるジエチレングリコールジメタクリレートが含まれていることから、前記で得られた(メタ)アクリル系エラストマーは、有機溶媒によって膨潤するが、当該有機溶媒に溶解しなかった。そこで、前記モノマー成分として、エチルアクリレート99.76gおよび重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.061gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を調製し、前記と同様にして当該モノマー成分を重合させることにより、(メタ)アクリル系エラストマーを調製した。
前記で得られた(メタ)アクリル系エラストマーの濃度が1g/L、2g/Lおよび5g/Lである各メチルエチルケトン溶液を用いたときの粘度平均分子量〔式(II)において、Kは2.68×10-6であり、αは0.80である〕を求めたところ、当該粘度平均分子量は162万であった。
前記で得られた(メタ)アクリル系エラストマーを成形型から取り出すことにより、縦の長さが約100mm、横の長さが約100mm、厚さが約0.5mmである(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルム〔(メタ)アクリル系誘電体材料〕を作製した。
前記で得られたフィルムのヤング率を引張試験機〔オリエンテック(株)製、品番:Tensilon RTG−1310〕を用いて測定したところ、当該ヤング率は0.33MPaであった。このことから、前記で得られたフィルムは、強硬度を有することが確認された。さらに、前記で得られたフィルムの比誘電率をJIS C2103に記載の方法に準拠して測定したところ、当該比誘電率は5.0であった。
前記で得られたフィルムを縦方向および横方向にそれぞれ延伸倍率4倍にて二軸延伸させ、延伸した状態で当該フィルムを型枠に固定した。
次に、前記フィルムの両面の中央部に導電性ペースト(カーボングリース)を塗布することにより、電極(直径:9mm、厚さ:100μm)を形成させてアクチュエータを得た。
前記で得られたアクチュエータの電極に電圧を印加し、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量およびその変化率を以下の方法に基づいて調べた。その結果、印加電圧が2.5kVのときの前記アクチュエータの変位量は、0.670mmであった。また、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量の変化率の測定結果を図3に示す。
〔変位量およびその変化率〕
アクチュエータの一方の電極に変位量測定用マーカーを取り付け、電極間に電圧アンプ〔松定プレシジョン(株)製、品番:HEOPS−10B2〕で直流電圧を印加したときのマーカーの変位量(mm)を変位計〔(株)キーエンス製、品番:LK−GD500〕で測定した後、式:
[変位量の変化率(%)]
=[(変位量(mm)÷電圧の印加前の電極の半径(mm))]×100
に基づいて変位量の変化率を求めた。
実施例2
実施例1において、エチルアクリレート99.76gおよびジエチレングリコールジメタクリレート0.24gの代わりに、メトキシエチルアクリレート100gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル系エラストマーを調製し、縦の長さが約100mm、横の長さが約100mm、厚さが約0.5mmである(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルム〔(メタ)アクリル系誘電体材料〕を作製した。
前記で得られた(メタ)アクリル系エラストマーの濃度が1g/L、2g/Lおよび5g/Lである各アセトン溶液を用いたときの粘度平均分子量〔式(II)において、Kは5.10×10-5であり、αは0.59である〕を求めたところ、当該粘度平均分子量は228.7万であった。
また、前記で得られたフィルムを用いて、前記で得られたフィルムのヤング率を実施例1と同様にして測定したところ、当該ヤング率は0.12MPaであった。このことから、前記で得られたフィルムは、柔軟性に優れていることが確認された。さらに、前記で得られたフィルムの比誘電率を実施例1と同様にして測定したところ、当該比誘電率は8.2であった。
次に、前記で得られたフィルムを用いて、実施例1と同様にしてアクチュエータを作製し、アクチュエータの電極に電圧を印加し、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量およびその変化率を実施例1と同様にして調べた。その結果、印加電圧が1kVのときの前記アクチュエータの変位量は、0.618mmであった。また、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量の変化率の測定結果を図3に示す。
比較例1
実施例1において、(メタ)アクリル系エラストマーからなるフィルムの代わりに、従来、アクチュエータに使用されているアクリルフォーム構造用接合テープ〔スリーエムジャパン(株)製、品番:VHB4910、素材の厚さ:1mm〕を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアクチュエータを作製し、アクチュエータの電極に電圧を印加し、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量およびその変化率を実施例1と同様にして調べた。その結果、印加電圧が1kVのときの前記アクチュエータの変位量は、0.014mmであり、印加電圧が2.5kVのときの前記アクチュエータの変位量は、0.112mmであった。また、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量の変化率の測定結果を図3に示す。
なお、前記アクリルフォーム構造用接合テープのヤング率を実施例1と同様にして測定したところ、当該ヤング率は0.13MPaであった。このことから、当該テープは、実施例2で得られたフィルムと同様の柔軟性であることが確認された。さらに、前記アクリルフォーム構造用接合テープの比誘電率を実施例1と同様にして測定したところ、当該比誘電率は3.7であった。
実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1で得られたアクチュエータは、当該アクチュエータに使用したフィルムが強硬度であるにも関わらず、変位量が顕著に大きいのみならず、図3に示されるように印加電圧が低くても変位量の変化率が高いことがわかる。
また、実施例2と比較例1とを対比すると、実施例2で得られたアクチュエータは、変位量が顕著に大きいのみならず、図3に示されるように印加電圧が低くても変位量の変化率が顕著に高いことがわかる。