JP6909708B2 - コンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法、及び、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法 - Google Patents

コンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法、及び、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法 Download PDF

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本発明は、コンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法、及び、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法に関する。
フレッシュコンクリートをポンプ圧送し、配管を介して打設場所へ送り出して打設することにより、鉄筋コンクリート構造物や無筋コンクリート構造物、鋼コンクリート合成構造物等が施工される。施工現場の制約等により、配管長が長くなったり、配管がベント管や上向き垂直管等を含むような場合には、配管閉塞が大きな問題となり得る。コンクリートのポンプ圧送に関して、配管閉塞が起き難い配合の一要素として、単位セメント量が300kg/m以上の配合のコンクリートを用いることが経験則の観点から推奨されており、この場合には300m以内の圧送距離が確保できると言われている。また、コンクリートのポンプ施工指針(非特許文献1)においては、粗骨材の最大寸法40mm、スランプ12cm、空気量4%で、配管径が150mmの場合に、単位セメント量が300kg/m以上であれば、圧送距離100mを満足することが記載されており、これも経験則に依拠するものである。このように、コンクリートのポンプ圧送性においては、コンクリートの配合が重要であることが分かっている。なお、上記するコンクリートのポンプ施工指針では、コンクリートのポンプ圧送性に関して、コンクリートの配合の他に、コンクリートをポンプ圧送(加圧)した後の経過時間とブリーディング量を加圧ブリーディング試験から特定し、圧送性の評価を行う方法も記載されている。
しかしながら、これら過去の経験則やポンプ施工指針においては、ポンプ圧送できる圧送距離を可及的に長くするための最適なコンクリートの配合、別の言い方をすれば、ポンプ圧送性に最適な配合を具体的に示していない。さらには、これら過去の経験則やポンプ施工指針は、配管閉塞せずにポンプ圧送できる圧送距離を具体的に示していない。
そのため、実際の現場施工においては、必要に応じて、現場施工に先行して実際に所定延長の配管を組み、設定されている配合のコンクリートをポンプ圧送して配管閉塞の有無を確認する、実配管試験を行っている。しかしながら、この実配管試験において仮に配管閉塞がないことが確認できたとしても、実配管試験での配管長さや配管線形等が、現場施工における配管長さや配管線形等を忠実に模擬していないと、実際の現場施工において配管閉塞がないとは言い切れない。例えば、都市部における工事においては、コンクリートポンプ車を多数箇所に置き、多方向から配管を延ばしてコンクリートのポンプ圧送を行えるスペースが無い場合が往々にしてある。このような場合、実際のコンクリート打設においては、例えば一台のコンクリートポンプ車から配管を延ばし、必要に応じてベント管や上向き垂直管、フレキシブルホース等を介在させながら打設場所まで配管を延ばしてコンクリート打設を行う必要がある。このような施工に際して予め実配管試験を行う場合に、実際の配管長さや配管の線形等を忠実に模擬して試験を行うことは、試験を行うスペースの問題やコストの問題、時間や手間の問題等から、不可能と言ってよい。
そこで、配合選定の段階で、試験室内において、閉塞までの圧送距離を特定することのできる、コンクリートポンプ圧送性評価方法が提案されている。具体的には、パイプ内にコンクリートを流し込む流入工程と、パイプの両端にそれぞれ設置された圧送手段を交互に用いて、コンクリートをパイプ内の第一地点と第二地点との間で往復移動させる圧送工程と、を備えた評価方法である。圧送工程では、圧送手段によるポンプ圧送回数を計測しながら、パイプ内でコンクリートの流動性が一定値以下となる閉塞状態になるまで圧送を続け、閉塞状態になったときにポンプ圧送回数から圧送可能距離を算出する。圧送工程では、パイプ内の圧力を計測し、パイプ内の圧力が所定の圧力を超えた際に閉塞状態になったと判定する(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−102059号公報
コンクリートのポンプ施工指針(2012年版) 土木学会
特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法を適用して、配管閉塞までのポンプ圧送回数と、圧送手段である油圧シリンダーのストローク量を乗じることにより、圧送可能距離を室内にて特定することができる。すなわち、この評価方法では、閉塞までのポンプ圧送回数を圧送距離を特定するための指標としている。そこで、本発明者等は、細骨材率、単位セメント量、スランプといった、配合設計にとって代表的な配合要素を取り上げ、例えば、最適な細骨材率を特定したい場合には、他の二種の配合要素をそれぞれ一定の値に固定し、細骨材率のみを種々変化させながら、各細骨材率のコンクリートにて特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法を実施した。そして、各細骨材率のコンクリートにおいて、配管閉塞までのポンプ圧送回数を求め、ポンプ圧送回数と細骨材率の相関の有無を検証した。そして、細骨材率のみならず、単位セメント量やスランプについても同様の検証を行い、ポンプ圧送回数と単位セメント量の相関の有無、ポンプ圧送回数とスランプの相関の有無についても検証を行った。その結果、いずれの配合要素とも、ポンプ圧送回数との間に高い精度の相関性が見出せないことが判明している。
一方、特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法を用いて、配管閉塞までのポンプ圧送回数を特定し、特定されたポンプ圧送回数に対して、圧送手段である油圧シリンダーのストローク量を乗じることにより、理論上は、圧送可能距離を特定することができる。しかしながら、実際の施工現場では、施工計画書に基づいて、必要な圧送圧が設定される。たとえば、一定の打設時間内に所定量のコンクリートを打設する場合に、コンクリートポンプ車の配置計画が決定され、コンクリートポンプ車から打設場所までの配管配設計画が決定される。従って、この打設時間とコンクリート打設量から時間当たりの打設量が決定され、ポンプ車による必要な圧送圧が割出される。特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法では、この必要な圧送圧が加味されていない。さらに、ポンプ車にてコンクリートを配管内に送出すに当たり、一回当たりの送出しに要する時間も上記施工計画書から決定される。一回当たりのコンクリートの送出し時間が短い場合、より具体的には、短い時間で高圧力にてコンクリートを配管内に送出す場合に、配管閉塞が生じ易いことが本発明者等によって特定されている。特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法では、このコンクリートを送出す時間も加味されていない。したがって、配管閉塞までのポンプ圧送距離をより精度よく特定するに当たり、特許文献1に記載のポンプ圧送評価方法には改善の余地がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、実際の施工現場におけるコンクリート打設計画が反映された、配管閉塞せずにポンプ圧送できる圧送距離を精度よく特定することのできる、コンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法を提供することを目的としている。また、ポンプ圧送性に最適なコンクリートの配合を選定することのできる、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるコンクリートのポンプ圧送距離特定システムの一態様は、配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートのポンプ圧送距離を特定する、コンクリートのポンプ圧送距離特定システムであって、
前記試験装置と、第一演算装置とを備え、
前記第一演算装置は、
前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、双方の前記圧送手段にてコンクリートを圧送している総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を算定する、ポンプ圧送回数算定部と、
前記閉塞までのポンプ圧送回数に前記圧送手段による一回の送出し量を乗じることにより、前記配管内でコンクリートが閉塞する距離を算定し、該コンクリートが閉塞する距離をポンプ圧送距離に特定する、ポンプ圧送距離特定部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧と、圧送試験における総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を精度よく特定することができる。そのため、特定された閉塞までのポンプ圧送回数に対して、圧送手段による一回の送出し量を乗じることにより、配設閉塞するまでの距離、すなわち、ポンプ圧送距離を高い精度で特定することができる。なお、「圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量」は、言い換えると、圧送反力の圧送試験時間に亘る時刻歴波形の時間積分値からなる積算受圧量である。
また、本発明によるコンクリートのポンプ圧送距離特定システムの他の態様は、前記固有の施工現場における配管の配置計画において、該配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合は、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除して、前記ポンプ圧送距離特定部にて特定されているポンプ圧送距離を補正する、ポンプ圧送距離補正部をさらに有することを特徴とする。
本態様によれば、上向き垂直管やテーパ管、ベント管、フレキシブルホースといった、直管に比べて管内圧力損失の高い配管を適用している箇所の管長を、管内圧力損失に基づいたそれぞれの配管に固有の水平換算係数で除して補正することにより、実際の施工現場における配管の態様に応じた、より精度の高いポンプ圧送距離を特定することができる。ここで、「配管に固有の水平換算係数」とは、例えばコンクリートのポンプ施工指針に準拠することができ、ここに記載される水平換算係数として、呼び寸法125Aの1m当たりの上向き垂直管の水平換算係数は「4」、90度の1m当たりのベント管の水平換算係数は「6」となる。なお、水平換算係数を使用して上向き垂直管等の管長を補正することにより、補正後のポンプ圧送距離は補正前に比べて短くなる。一方で、ポンプの圧送能力の観点で水平換算係数を用いる場合は、逆に上向き垂直管等の管長に固有の水平換算係数を乗じて管長を補正することにより、補正後のポンプ圧送距離は補正前に比べて長くなる。
また、本発明によるコンクリートのポンプ圧送距離特定システムの他の態様は、前記試験装置が、少なくとも一つのベント管を有していることを特徴とする。
本態様によれば、試験装置が少なくとも一つのベント管を有していることにより、配管内におけるコンクリートの閉塞、より詳細には、骨材同士が噛み合い、噛み合った骨材が配管の内壁にロックされて配管が閉塞されることを精度よく模擬することができる。
また、本発明によるコンクリートの最適配合選定システムの一態様は、配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートの最適な配合を選定する、コンクリートの最適配合選定システムであって、
前記試験装置と、第二演算装置とを備え、
前記第二演算装置は、
配合要素である、細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を一定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素として変化させながら前記試験装置を用いた試験を実行し、該配合選定対象要素の値ごとに、前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を特定する、積算受圧量特定部と、
前記積算受圧量の最も大きな前記配合選定対象要素を最適配合として配合選定する、最適配合選定部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、配合選定対象要素の値を種々変化させながら試験装置を用いた圧送試験を実行し、配合選定対象要素の値ごとに、圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積とからなる積算受圧量を特定し、積算受圧量の最も大きな配合選定対象要素を最適配合として配合選定することにより、最適な配合選定を行うことができる。すなわち、既述するコンクリートのポンプ圧送距離特定システムと同様に、積算受圧量を指標とすることが特徴である。
また、本発明によるコンクリートのポンプ圧送距離特定方法の一態様は、配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートのポンプ圧送距離を特定する、コンクリートのポンプ圧送距離特定方法であって、
前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、双方の前記圧送手段にてコンクリートを圧送している総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を算定する、ポンプ圧送回数算定工程と、
前記閉塞までのポンプ圧送回数に前記圧送手段による一回の送出し量を乗じて、前記配管内でコンクリートが閉塞する距離を算定し、該コンクリートが閉塞する距離をポンプ圧送距離に特定する、ポンプ圧送距離特定工程と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と圧送試験時間の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧と、圧送試験における総圧送時間とで除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を精度よく特定することができる。そのため、特定された閉塞までのポンプ圧送回数に対して、圧送手段による一回の送出し量を乗じることにより、配設閉塞するまでの距離、すなわち、ポンプ圧送距離を高い精度で特定することができる。例えば、圧送手段が油圧シリンダーの場合は、一回の送出し量は、コンクリートを送出す際のピストンロッドのストローク量となる。
また、本発明によるコンクリートのポンプ圧送距離特定方法の他の態様は、前記固有の施工現場における配管の配置計画において、該配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合は、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除して、前記ポンプ圧送距離特定工程にて特定されているポンプ圧送距離を補正する、ポンプ圧送距離補正工程をさらに有することを特徴とする。
本態様によれば、上向き垂直管やテーパ管、ベント管、フレキシブルホースといった、直管に比べて管内圧力損失の高い配管を適用している箇所の管長を、管内圧力損失に基づいたそれぞれの配管に固有の水平換算係数で除して補正することにより、実際の施工現場における配管の態様に応じた、より精度の高いポンプ圧送距離を特定することができる。
また、本発明によるコンクリートの最適配合選定方法の一態様は、配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートの最適な配合を選定する、コンクリートの最適配合選定方法であって、
配合要素である、細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を一定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素として変化させながら前記試験装置を用いた試験を実行し、該配合選定対象要素の値ごとに、前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を特定する積算受圧量特定工程と、
前記積算受圧量の最も大きな前記配合選定対象要素を最適配合として配合選定する、最適配合選定工程と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、配合選定対象要素の値を種々変化させながら試験装置を用いた圧送試験を実行し、配合選定対象要素の値ごとに、圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積とからなる積算受圧量を特定し、積算受圧量の最も大きな配合選定対象要素を最適配合として配合選定することにより、最適な配合選定を行うことができる。
本発明のコンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法によれば、実際の施工現場におけるコンクリート打設計画が反映された、配管閉塞せずにポンプ圧送できる圧送距離を精度よく特定することができる。また、本発明の、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法によれば、ポンプ圧送性に最適なコンクリートの配合を選定することができる。
第1の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システムの全体構成の一例を示す図である。 試験装置の動作態様を説明する図である。 圧送手段コントローラと第一演算装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 第一演算装置の機能構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係るポンプ圧送距離特定方法の一例を示すフローチャートである。 配管における、ポンプ側の必要圧送圧と筒先側の圧力を説明する説明図である。 第2の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システムを構成する第一演算装置の機能構成の一例を示す図である。 第2の実施形態に係るポンプ圧送距離特定方法の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る最適配合選定システムの全体構成の一例を示す図である。 第二演算装置の機能構成の一例を示す図である。 実施形態に係る最適配合選定方法の一例を示すフローチャートである。 (a)は、油圧シリンダーのピストンロッドのストローク量と圧送回数の関係に関する検証結果を示す図であり、(b)は、圧送圧と圧送回数の関係に関する検証結果を示す図である。 (a)は、細骨材率と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図であり、(b)は、単位セメント量と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図であり、(c)は、スランプと配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図である。 各ロードセルにおける、圧送試験開始から試験終了までのロードセル圧の時刻歴波形を示す図である。 (a)は、細骨材率と積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図であり、(b)は、単位セメント量と積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図であり、(c)は、スランプと積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図である。
以下、コンクリートのポンプ圧送距離特定システムとポンプ圧送距離特定方法、及び、コンクリートの最適配合選定システムと最適配合選定方法に関する各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[第1の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定システム]
<1.ポンプ圧送距離特定システムの全体構成>
まず、第1の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、ポンプ圧送距離特定システム100は、試験装置10と、第一演算装置50とを備える。なお、図1において、第一演算装置50Aは、第2の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システムを形成する第一演算装置を示しており、後で詳説する。
試験装置10は、U字状に延出する配管40と、配管40の両端に配設されて配管40内に充填されたコンクリートCを往復移動させる2つの圧送手段11A,11Bと、圧送手段11A,11Bの作動を制御する圧送手段コントローラ30と、を備える。U字状の配管40は、2つの直管41A,41Bと、それぞれの直管41A,41Bの一端同士を繋ぐ2つのベント管42A,42Bと、から形成される。なお、図示を省略するが、例えば、一方の直管41Aには、コンクリートCを充填する充填孔が形成されている。また、U字状の配管40は、複数の脚部にて支持された形態であってもよい。
それぞれの圧送手段11は、油圧シリンダー11A,11Bと、油圧シリンダー11A,11Bの一端から進退自在に装着されたピストンロッド12A,12Bと、ピストンロッド12A,12Bの一端に装着されたロードセル20A,20Bと、ロードセル20A,20Bに接続部材15A,15Bを介して接続された圧送ロッド13A,13Bと、から形成される。各直管41A,41Bは、支持体17に固定されており、各油圧シリンダー11A,11Bと対応する支持体17を複数の連結パイプ16が連結している。圧送ロッド13A,13Bの先端には、配管40内に充填されたコンクリートを直接圧送する圧送板14A,14Bが装着されている。なお、図示例の圧送手段11は油圧シリンダーであるが、圧送手段11として、油圧シリンダー以外にも、空気圧シリンダーや、モータとモータの駆動軸回転に応じて進退自在なボールねじなどであってもよい。ただし、試験装置10によるコンクリートの往復移動は、実際のポンプ車によるコンクリートの圧送態様を可及的に再現するのがよいとの観点から、図示例の油圧シリンダー11が好ましい。
圧送手段コントローラ30と各油圧シリンダー11A,11Bとは配線で繋がれており、圧送手段コントローラ30から各油圧シリンダー11A,11Bに各種の指令信号が送信されるようになっている。具体的には、まず、油圧シリンダー11には最大圧送圧が設定されており、圧送手段コントローラ30内にこの最大圧送圧が入力されていて、油圧シリンダー11がこの最大圧送圧を超える圧送圧でコンクリートを圧送しないような制御が実行される。例えば、経験則より、5MPaを超える圧送圧にてコンクリートを圧送しなければならない状態の時には、既に配管内での配管閉塞が生じていると判断できる場合は、この5MPaを最大圧送圧に設定できる。図示する試験装置10では、各油圧シリンダー11における圧送圧を例えば3MPa程度に設定してコンクリートの圧送を行うが、実際には、コンクリート内の骨材の噛み合いや転動等の態様により、コンクリートが受ける圧送圧は変化し、圧送板14がコンクリートから受ける圧送反力も同様に変化する。試験装置10では、この圧送反力を各ロードセル20A,20Bで随時センシングし、センシングデータを配線を介して圧送手段コントローラ30に送信する。圧送手段コントローラ30では、受信した圧送反力が、例えば配管閉塞であると評価される5MPaを超えた際に、配管閉塞が生じているとして圧送試験を終了する。
各ロードセル20A,20Bは、圧送手段コントローラ30に加えて、第一演算装置50にも配線を介して接続されている。圧送試験中の各ロードセル20A,20Bによるセンシングデータは、第一演算装置50にも随時送信される。さらに、圧送手段コントローラ30にて配管閉塞と評価され、圧送試験を終了する際の終了情報データは第一演算装置50に送信され、第一演算装置50では、圧送試験の開始から終了までの圧送回数の算定を実行する。なお、図示例は、2つの油圧シリンダー11A,11Bが固有のロードセル20A,20Bを有している形態であるが、いずれか一方の油圧シリンダー11のみがロードセル20を有する形態であってもよい。後述するように、各ロードセル20A,20Bで計測される圧送反力の圧送試験時間内における時刻歴波形から、それぞれ積算受圧量を算定するが、適用する積算受圧量は、そのうちの一方の積算受圧量となる。例えば、算定された積算受圧量のうち、大きな方の積算受圧量を指標として使用することができる。したがって、一方の油圧シリンダー11のみがロードセル20を有している形態では、このロードセル20にて計測された圧送反力の時刻歴波形に基づいて、積算受圧量を算定することになる。
<2.試験装置とその動作態様、及び、配管がベント管を有する意義について>
次に、図2を用いて、試験装置10の動作態様を説明する。図2(a)は、一方の油圧シリンダー11Bを作動し、対応する圧送ロッド13BをコンクリートC側に押し込んでコンクリートを圧送している状況を示している。また、図2(b)は、他方の油圧シリンダー11Aを作動し、対応する圧送ロッド13AをコンクリートC側に押し込んでコンクリートを圧送している状況を示している。
配管40内において、コンクリートCは、図2(a)の位置S1と、図2(b)の位置S2の間で往復移動される。図2(a)、(b)で示すように、各圧送ロッド13B,13Aにより、予め設定されている圧送圧PにてコンクリートCを圧送すると、既述するように、コンクリートC内の骨材の噛み合いや転動等の態様により、各圧送ロッド13B,13Aは圧送圧Pとは異なる圧送反力Fを受ける。そして、この圧送反力Fは、時々刻々変化するのが一般的である。例えば、図2(a)で示すように、圧送ロッド13BでコンクリートCを圧送する際には、他方の圧送ロッド13Aと油圧シリンダー11Aはフリーとなっており、図2(b)の状態から図2(a)の状態までコンクリートCが配管40内を移動する。次に、油圧シリンダー11Aを作動し、他方の油圧シリンダー11Bをフリーな状態とすることにより、図2(a)の状態から図2(b)の状態までコンクリートCが配管40内を移動する。このような配管40内におけるコンクリートCの往復移動を、図1に示す圧送手段コントローラ30にて配管閉塞であると評価されるまで実行する。
次に、配管40がベント管42A,42Bを有する意義について考察する。図示例において、U字状の配管40は、延長tの2つのベント管42A,42Bを有している。仮に、ベント管42A,42Bがなく、例えば一方の直管41Aと、直管41Aの両端に圧送手段11が装備された試験装置を用いて試験を行う場合を考察する。直管41A内でコンクリートCが往復移動し、コンクリートC内の骨材同士が噛み合い、直管41Aに対してロックした状態になろうとしても、直管41Aの内壁に沿うようなセメントペーストの流れにより、骨材が直管41A内を転動することより、骨材は直管41Aの内壁に対してロックし難い。そのため、ロードセルは閾値を超え難く、圧送手段による圧送回数も多数回を記録し、結果、閉塞した状態を特定できない可能性が十分にある。
一方、図示例のように、配管40がベント管42A,42Bを有する場合、これらベント管42A,42B内では、骨材が往復移動している過程でベント管42A,42Bの内壁との間で骨材が噛み合い、ロックした状態になり易い。実際の施工現場における配管は、ベント管をはじめとして複数の曲がり部を有しており、直管に比べて曲がり部においてコンクリートの閉塞が生じ易い。なお、配管が複数の曲がり部を有している場合でも、いずれか一箇所の曲がり部にて配管閉塞が発生すれば、そのまま全体配管の閉塞に繋がる。曲がり部にて配管閉塞が生じ易いこと、この曲がり部を実際の配管は複数箇所有していることより、実際の配管にて配管閉塞が生じている場合は、いずれかの曲がり部にて配管閉塞が生じている可能性が極めて高いと言える。これらのことを勘案すると、ベント管42A,42Bを備えた配管40は実際の配管を模擬することになり、実際の配管閉塞を模擬することになる。一方、単に直管のみを備えた試験装置では、実際の配管閉塞を忠実に模擬できないと考えられる。これらのことより、図示例のように、配管40がベント管42A,42Bを有していることにより、実際の施工現場における配管態様を模擬することになる。
そして、後で詳説するが、ベント管42A,42Bの延長tは、油圧シリンダー11A,11Bにおける圧送ロッド13A,13Bのストローク量よりも長くなるように設定されているのが望ましい。圧送ロッド13A,13Bのストローク量が延長tよりも短い場合、例えばベント管42A内に存在するコンクリートCは、このベント管42A内のみで往復移動することになり、例えば直管41Aとベント管42Aに跨って移動しない。このように、コンクリートCがベント管42内でのみ往復移動することは、直管41A内でのみ往復移動することと実質的に変わりない。そのため、例えば直管41Aからベント管42Aに亘ってコンクリートCが移動する過程で、コンクリートCがベント管42A内で閉塞するといった実際の配管閉塞態様を模擬し難くなる。
なお、図示例のように、2つのベント管42A,42Bを有するまでもなく、少なくとも1つのベント管を備えた配管であってもよい。例えば、ベント管42Aの両端に直管41A,41Bが装着されたL字状の形態の配管が挙げられる。ただし、このようにL字状の形態の配管では、試験装置の占めるスペースが図示例の試験装置よりも広くなることより、図示例のU字状の配管40を有する試験装置10が好ましい。
<3.圧送手段コントローラ及び第一演算装置のハードウェア構成>
次に、圧送手段コントローラ及び第一演算装置のハードウェア構成について説明する。図3(a)は、圧送手段コントローラ30のハードウェア構成の一例を示す図であり、図3(b)は、第一演算装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。図3(a)、(b)に示すように、圧送手段コントローラ30と第一演算装置50は、CPU(Central Processing Unit)301,501、RAM(Random Access Memory)302,502、ROM(Read Only Memory)303、503、NVRAM(Non-Volatile RAM)304,504、HDD(Hard Disc Drive)305,505、表示装置306,506、入力I/F308,507を共通に有しており、これらがバス309,508を介して相互に接続されている。なお、圧送手段コントローラ30は、固有の構成として、他に出力I/F307を有している。
ROM303,503には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM302、502は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU301,501は、RAM302、502にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。NVRAM304,504には、各種の設定情報等が記憶される。HDD305,505には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。例えば、ROM303には、入力された圧送圧にて、一方の圧送ロッド13を伸長する信号を油圧シリンダー11に送信するプログラムや、その際に他方の圧送ロッド13はフリー状態となる信号を油圧シリンダー11に送信するプログラム等が含まれる。また、ロードセル20から送信される圧送反力に関するセンシングデータが、既に入力されている油圧シリンダー11の最大圧送圧を超えた際に、圧送試験を終了する信号を油圧シリンダー11と第一演算装置50に送信するプログラム等が含まれる。一方、第一演算装置50のROM503には、ロードセル20から受信する圧送反力の時刻歴データを蓄積するプログラムや、後述する積算受圧量を算定するプログラム、閉塞までのポンプ圧送回数を算定するプログラム等が含まれる。
圧送手段コントローラ30における入力I/F308を介して、油圧シリンダー11の最大圧送圧が入力される。また、入力I/F308を介して、ロードセル20から送信される圧送反力が随時入力される。一方、出力I/F307を介して、一方の油圧シリンダー11には所定の圧送圧にて作動する圧送信号が送信され、他方の油圧シリンダー11には圧送せずにフリー状態を維持するフリー状態信号が送信される。また、出力I/F307を介して、圧送反力が最大圧送圧を超え、圧送試験を終了する際に、試験終了情報が第一演算装置50の入力I/F507に送信される。
圧送手段コントローラ30における表示装置306では、入力された所定の圧送圧や、ロードセル20から送信される圧送反力が随時表示され、例えば、圧送反力が最大圧送圧を超えた際には、この情報を管理者に報知するための点灯表示やブザー告知などが実行される。一方、第一演算装置50における表示装置506では、ロードセル20から受信する圧送反力の時刻歴波形が表示される。また、油圧シリンダー11によって所定の圧送圧がコンクリートに付与された際に、油圧シリンダー11がコンクリートから受ける圧送反力と圧送試験時間の積からなる積算受圧量を表示する。さらに、第一演算装置50にて算定された、閉塞までのポンプ圧送回数等を表示する。
<4.第一演算装置の機能構成>
次に、第一演算装置の機能構成について説明する。図4は、第一演算装置の機能構成の一例を示す図である。図4に示すように、第一演算装置50は、ポンプ圧送回数算定部510、ポンプ圧送距離特定部520、及びデータ格納部170を備える。
ポンプ圧送回数算定部510は、まず、圧送手段11によって所定の圧送圧がコンクリートCに付与された際に、圧送手段11がコンクリートCから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を算定する。圧送反力は、コンクリートCを圧送する側の圧送手段11が圧送の際にコンクリートCから受ける反力であり、圧送の度に圧送反力は変化する。試験装置10は、2つの圧送手段11を有しているが、コンクリートCを圧送している一方の圧送手段11が圧送反力を受け、コンクリートCを圧送しておらず、フリーな状態の他方の圧送手段11は圧送反力を受けない。2つの圧送手段11は交互にコンクリートCを圧送することから、圧送試験時間に亘り、それぞれの圧送手段11が固有の圧送反力の時刻歴波形を有する。それぞれの圧送手段11で圧送反力が異なる理由は、配管40内でコンクリートC内の骨材の状態や態様が場所ごとに異なっていることから、コンクリートCの往復移動の態様も配管40の場所ごとに異なり、このことが、2つの圧送手段11が受ける圧送反力の時刻歴波形の相違に影響する。また、「圧送試験時間」は、圧送試験の開始から終了までの時間である。試験装置に対して圧送反力に関する所定の閾値を設けておき、圧送反力がこの閾値に到達した段階で配管閉塞と評価し、圧送試験が終了する。
2つの油圧シリンダー11A,11Bは、それぞれに固有のロードセル20A,20Bを有しており、各ロードセル20A,20Bにおけるセンシングデータに基づいて、それぞれの圧送反力の時刻歴波形が作成され、それぞれに固有の積算受圧量が算定される。後述する、ポンプ圧送距離特定部520では、いずれか一方の積算受圧量を用いてポンプ圧送距離を特定する。従って、例えば、算定された積算受圧量のうち、値の大きな方の積算受圧量が選定されてデータ格納部530に格納される。なお、値の異なる積算受圧量のいずれを採用するかは、設計者の判断による。
次に、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、双方の前記圧送手段にてコンクリートを圧送している総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を算定する。
ポンプ圧送距離特定部520は、データ格納部530に格納されている配管閉塞までのポンプ圧送回数を読み出し、このポンプ圧送回数に対して、圧送手段である油圧シリンダー11の一回の送出し量(ピストンロッド12のストローク量)を乗じることにより、配管40内でコンクリートCが閉塞する距離を算定する。そして、算定されたコンクリートCが閉塞するまでの距離を、ポンプ圧送距離に特定する。
[第1の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定方法]
次に、第1の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定方法について説明する。図5は、第1の実施形態に係るポンプ圧送距離特定方法の一例を示すフローチャートである。
ステップS1000において、試験装置10を作動し、2つの油圧シリンダー11のピストンロッド12を交互に伸長させながら、配管40内のコンクリートCを交互に圧送して配管40内で往復移動させる。
この圧送試験の過程で、各油圧シリンダー11の有するロードセル20にて、圧送時にロードセル20が受ける圧送反力データを随時取得し、圧送反力データを圧送手段コントローラ30と第一演算装置50の双方に送信する(ステップS1002)。第一演算装置50では、2つのロードセル20から送信される圧送反力の時刻歴波形が作成される。
ステップS1004において、配管閉塞の評価を実行する。例えば、経験則より、5MPaを超える圧送圧にてコンクリートを圧送しなければならない状態の時には、既に配管内での配管閉塞が生じていると判断できる場合は、この5MPaを最大圧送圧に設定し、圧送手段コントローラ30に最大圧送圧を入力しておく。圧送試験の過程で、圧送手段コントローラ30が受信するロードセル20からの圧送反力データが、格納されている最大圧送圧以上となった段階で、圧送手段コントローラ30は配管閉塞であると評価する。圧送手段コントローラ30は、配管閉塞であるとする情報データを第一演算装置50に送信する。第一演算装置50では、配管閉塞情報を受信した際に、圧送反力の時刻歴波形の作成を終了する。
ステップS1006において、第一演算装置50では、2つの圧送反力の時刻歴波形に基づいて、それぞれの圧送反力と圧送試験時間との積からなる積算受圧量、すなわち、時刻歴波形を時間積分してなる積算受圧量を算定する。ここでは、2種類の積算受圧量が算定されるが、例えば、値の大きな方の積算受圧量を採用する。
ステップS1008において、固有の施工現場における、配管閉塞までのポンプ圧送回数の算定を実行する。具体的には、閉塞までのポンプ圧送回数の算定は、ステップS1006にて算定されている積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、圧送試験において2つの油圧シリンダー11にてコンクリートを圧送している総圧送時間にて除すことにより行われる。
「固有の施工現場における必要圧送圧」とは、実際の施工現場において、施工計画に基づいて算定された圧送圧のことである。施工計画では、一定の打設時間が設定され、この打設時間内に所定量のコンクリート打設が計画される。さらに、施工現場に固有の、コンクリートポンプ車の配置計画が設定され、コンクリートポンプ車から打設場所までの配管配設計画が設定される。この打設時間とコンクリート打設量から時間当たりの打設量が決定され、ポンプ車による必要な圧送圧が割出される。これが、固有の施工現場における必要圧送圧である。また、「圧送試験における総圧送時間」とは、各圧送手段によって直接コンクリートを圧送している時間の総計を意味する。例えば、圧送手段である油圧シリンダー11は、ピストンロッド12を伸長してコンクリートCを圧送することから、試験装置10を構成する2つの油圧シリンダー11が交互にピストンロッド12を伸長させる際には、この2つの油圧シリンダー11のピストンロッド12の伸長に要する時間の総計が総圧送時間となる。なお、伸長したピストンロッド12が元に戻るまでの時間は極めて短時間であり、総圧送時間に加味する必要はない。閉塞までのポンプ圧送回数は、以下の式(1)により算定される。
Figure 0006909708
式(1)により、閉塞までのポンプ圧送回数が算定される。
ここで、式(1)の分子が2倍されている理由を、図6を用いて説明する。図6は、配管における、ポンプ側の必要圧送圧と筒先側の圧力を説明する説明図である。実際の配管では、ポンプ車側の配管に必要圧送圧Prが作用し、一方で、配管の筒先側の圧力は0である。従って、配管の延長に亘り、コンクリートに作用する圧送圧は図示するように三角形状に模擬することができ、コンクリート全体として見れば、Pr/2の圧送圧が作用することになる。上式(1)では、本来的には、Prに1/2の係数が乗じられることになるが、これを展開することにより、分子が2倍される上式(1)となる。以上、ステップS1000乃至ステップS1008が、ポンプ圧送距離特定方法におけるポンプ圧送回数算定工程である。
ステップS1010において、固有の施工現場におけるポンプ圧送距離の特定を実行する。具体的には、ステップS1008にて算定された、配管閉塞までのポンプ圧送回数に対して、油圧シリンダー11による一回の送出し量(ストローク量)を乗じることにより、配管40内でコンクリートが閉塞するまでの距離を算定する。この配管閉塞までの距離を、ポンプ圧送距離に特定する。ポンプ圧送距離は、以下の式(2)により算定される。
Figure 0006909708
式(2)により、固有の施工現場におけるポンプ圧送距離が算定される。このステップS1008が、ポンプ圧送距離特定工程である。
図示するポンプ圧送距離特定方法によれば、ベント管42A,42Bを備えた試験装置10を使用してコンクリートCを往復移動させ、圧送反力の時刻歴波形を時間積分してなる積算受圧量に基づいて算定された配管閉塞までのポンプ圧送回数からポンプ圧送距離を特定することにより、高い精度で、施工現場に応じたポンプ圧送距離を特定することが可能になる。
[第2の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定システム]
次に、第2の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定システムについて説明する。第2の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システム100Aは、第1の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システム100とほぼ同様の構成を有しているが、第一演算装置50Aが更に他の機能構成を有している点で相違している。なお、第一演算装置50、50Aのハードウェア構成は同様である。
<第一演算装置の機能構成>
図7を用いて、第2の実施形態に係るポンプ圧送距離特定システムを構成する第一演算装置の機能構成の一例を説明する。ポンプ圧送距離特定システム100Aを形成する第一演算装置50Aは、第一演算装置50を形成する各機能構成に対して、さらにポンプ圧送距離補正部540を有している。ポンプ圧送距離補正部540では、固有の施工現場における配管の配置計画において、配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合において、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除すことにより、ポンプ圧送距離特定部520にて特定されているポンプ圧送距離を補正する。この水平換算距離は、上向き垂直管やテーパ管、ベント管、フレキシブルホースといった、直管に比べて管内圧力損失の高い配管を適用している箇所の管長を、管内圧力損失に基づいたそれぞれの配管に固有の水平換算係数で除して補正するものである。ポンプ圧送距離補正部540にて作成された補正後のポンプ圧送距離は、データ格納部530に格納される。
[第2の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定方法]
次に、第2の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定方法について説明する。ステップS1000乃至ステップS1010までは、第1の実施形態に係るコンクリートのポンプ圧送距離特定方法と同様である。ステップS1012において、固有の施工現場におけるポンプ圧送距離の補正を実行する。このポンプ圧送距離の補正は、固有の施工現場における配管の配置計画において、配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合において、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除すことにより、ポンプ圧送距離特定工程にて特定されているポンプ圧送距離を補正する。ステップS1012が、ポンプ圧送距離補正工程となる。
ここで、コンクリートのポンプ施工指針(2012年版)の表2.1「水平換算係数(普通コンクリート)」に則り、各種の配管の水平換算係数を以下の表1のように規定する。
Figure 0006909708
このように、管内圧力損失に基づいてポンプ圧送距離を補正することにより、実際の施工現場における配管の態様に応じた、より精度の高いポンプ圧送距離を特定することができる。
[実施形態に係るコンクリートの最適配合選定システム]
<最適配合選定システムの全体構成>
次に、実施形態に係るコンクリートの最適配合選定システムについて説明する。図9は、実施形態に係る最適配合選定システムの全体構成の一例を示す図である。図9に示すように、最適配合選定システム200は、試験装置10と、第二演算装置60とを備える。試験装置10については、ポンプ圧送距離特定システム100において説明済みのため、構成の説明は省略する。
各ロードセル20A,20Bは、圧送手段コントローラ30に加えて、第二演算装置60にも配線を介して接続されている。圧送試験中の各ロードセル20A,20Bによるセンシングデータは、第二演算装置60にも随時送信される。さらに、圧送手段コントローラ30にて配管閉塞と評価され、圧送試験を終了する際の終了情報データは第二演算装置60に送信され、第二演算装置60では、圧送試験の開始から終了までの間の積算受圧量を算定する。
<第二演算装置の機能構成>
次に、第二演算装置の機能構成について説明する。図10は、第二演算装置の機能構成の一例を示す図である。なお、第一演算装置50、50Aと第二演算装置60のハードウェア構成は同様であることから、第二演算装置60のハードウェア構成の説明は省略する。図10に示すように、第二演算装置60は、積算受圧量特定部610、最適配合選定部620、及びデータ格納部630を備える。
積算受圧量特定部610は、任意の配合要素のコンクリートに対し、試験装置10を用いて圧送試験を実施して、積算受圧量を特定する。任意の配合要素のコンクリートとは、細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を所定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素とするコンクリートである。複数種の配合選定対象要素の配合のコンクリートごとに圧送試験が実行され、積算受圧量特定部610において積算受圧量が特定される。積算受圧量の特定方法は既述の通りである。例えば、単位セメント量とスランプをそれぞれ所定値に固定し、細骨材率を配合選定対象要素して種々変化させ、各細骨材率の配合のコンクリートの積算受圧量を特定する。これを、単位セメント量を配合選定対象要素とする場合と、スランプを配合選定対象要素とする場合でも同様に実行する。配合選定対象要素ごとに、特定された積算受圧量に関する相関グラフを作成し、データ格納部630に格納する。
最適配合選定部620は、データ格納部630から積算受圧量に関する相関グラフを読み出し、積算受圧量の最も大きな配合選定対象要素を最適配合として配合選定する。例えば、細骨材率が配合選定対象要素である場合、横軸を細骨材率とし、縦軸を各細骨材率における積算受圧量とする細骨材率−積算受圧量の相関グラフを用いて、最適配合選定部620において、積算受圧量を最大とする細骨材率を特定し、特定された細骨材率を最適配合として決定する。なお、必ずしも積算受圧量を最大とする細骨材率でなくても、積算受圧量が最大値に近い細骨材率を最適配合として決定してもよい。単位セメント量とスランプに関しても同様の操作が実行され、各配合選定対象要素における最適配合を決定する。決定された最適配合データは、データ格納部630に格納される。
[実施形態に係るコンクリートの最適配合選定方法]
次に、実施形態に係るコンクリートの最適配合選定方法について説明する。図11は、実施形態に係る最適配合選定方法の一例を示すフローチャートである。
ステップS2000において、配合選定対象要素の選定を行う。細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を一定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素とする。ここでは、細骨材率を配合選定対象要素として説明する。単位セメント量とスランプをそれぞれ所定値に設定した状態で、細骨材率を、例えば、30%、40%、45%、50%等、複数種設定し、各細骨材率の配合を有するコンクリートを用意する。
ステップS2002において、例えば細骨材率が30%のコンクリートを試験装置10に充填し、試験装置10を作動させて配管40内で往復移動させる圧送試験を行う。ステップS2004では、圧送反力データを随時取得し、圧送手段コントローラ30と第二演算装置60の双方に圧送反力データを送信する。第二演算装置60では、受信データに基づいて、圧送反力の時刻歴波形が作成される。
ステップS2006において、圧送反力データが、既に設定されている圧送反力に関する閾値以上となった段階で、圧送手段コントローラ30にて配管閉塞であると評価され、圧送試験が終了するとともに、試験終了データが第二演算装置60に送信される。
ステップS2008において、圧送試験の終了時点までの圧送反力の時刻歴波形を用いて、この時刻歴波形を時間積分することにより、積算受圧量を特定する。
ステップS2000に戻り、細骨材率が40%のコンクリートに対して、ステップS2008までの工程を同様に実行し、細骨材率45%、50%のコンクリートに対してもステップS2008までの工程を同様に実行し、細骨材率が30%、40%、45%、50%の場合の各積算受圧量を特定する。これが、積算受圧量特定工程である。
ステップS2009において、細骨材率−積算受圧量に関する座標系内に細骨材率が30%、40%、45%、50%の場合の各積算受圧量をプロットし、各プロットを通る相関グラフを作成する。作成された相関グラフを用いて、最大の積算受圧量を与える細骨材率を特定し、細骨材率に関する最適配合が特定される。これが、最適配合選定工程である。
以上の最適配合選定方法を、単位セメント量とスランプに関しても同様に実行し、単位セメント量に関する最適配合、及びスランプに関する最適配合を特定する。
図示する最適配合選定方法によれば、ベント管42A,42Bを備えた試験装置10を使用してコンクリートCを往復移動させ、圧送反力の時刻歴波形を時間積分してなる積算受圧量に基づいて算定された配管閉塞までの積算受圧量に基づいて最適配合を特定することにより、高い精度で、コンクリートの最適配合を特定することが可能になる。
[試験装置の妥当性に関する検証とその結果]
本発明者等は、図1及び図9に示す試験装置10のうち、2つの圧送手段11と配管40とから構成される試験装置の妥当性について検証した。試験装置10の妥当性の検証については、まず、ベント管の管長と、油圧シリンダーのストローク量の関係について検証した。また、油圧シリンダーによる圧送圧について検証した。まず、ベント管の管長と、油圧シリンダーのストローク量の関係についての検証に関しては、ベント管の管長を300mmに設定した上で、油圧シリンダーのストローク量を種々変化させ、各ストローク量の際の配管閉塞までの圧送回数を測定した。この試験結果を図12(a)に示す。また、油圧シリンダーの圧送圧を種々変化させ、各圧送圧の際の配管閉塞までの圧送回数を測定した。この試験結果を図12(b)に示す。
図12(a)より、ベント管の管長が300mmである試験装置を使用する場合、油圧シリンダーのストローク量がベント管の管長に相当する300mm以上の場合には、配管閉塞までの圧送回数がほぼ100回程度に収束することが分かる。これに対して、ストローク量が300mmを下回る場合には、圧送回数が急激に増加し、ストローク量が150mmでは圧送回数が2000回となっている。これは、ベント管の管長よりも油圧シリンダーのストローク量が小さい範囲では、ベント管の内部にあるコンクリートがベント管内で移動するだけで配管閉塞に至らないことを意味している。すなわち、実際の配管のように、直管からベント管に亘ってコンクリートが移動する過程において、ベント管内でコンクリートが配管閉塞を起こすことを模擬していないことを意味する。従って、油圧シリンダーのストローク量は、ベント管の管長以上に設定するのがよいことが実証されている。
一方、図12(b)より、油圧シリンダーの圧送圧が1.5MPa以下の範囲において、配管閉塞までの圧送回数が急激に増加することが分かる。また、同図より、圧送圧が3MPa程度を変曲点として圧送回数が100回程度に収束していることより、最適な油圧シリンダーの圧送圧は、3乃至4MPa程度であると特定することができる。なお、これらの実験結果は、これまで述べてきた積算受圧量を指標とするものでなく、圧送回数を指標とするものであるが、圧送回数を指標とする本実験においても、試験装置の妥当性に関しては精度のよい結果が得られていることが分かる。
[コンクリートの各種配合と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証とその結果]
本発明者等は、コンクリートの各種配合と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証を行った。図1及び図9に示す試験装置10のうち、2つの油圧シリンダー11と配管40とから構成される試験装置を使用した。本試験において、ベント管の管長は300mm、油圧シリンダーのストローク量は350mm、圧送圧は3.0MPaとし、上記する試験装置の妥当性に関する検証結果を踏襲した試験条件を採用している。本試験では、配合要素のうち、細骨材率、単位セメント量及びスランプの3種に関し、配管閉塞までの圧送回数を指標として各配合の最適配合を検証した。以下、表2は、細骨材率の変化形態と各細骨材率の際の他の条件を記載している。また、単位セメント量の変化形態と各単位セメント量の際の他の条件を記載している。さらに、スランプの変化形態と各スランプの際の他の条件を記載している。また、図13(a)、図13(b)及び図13(c)は順に、細骨材率と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図、単位セメント量と配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図、スランプと配管閉塞までの圧送回数の関係に関する検証結果を示す図である。
Figure 0006909708
表中、W/Cは単位セメント量、S/aは細骨材率、SLはスランプを示している。
図13(a)、図13(b)及び図13(c)において、曲線は、試験結果を示す各プロットに基づく近似曲線である。
図13(a)より、細骨材率と配管閉塞までの圧送回数の関係に関しては、ある程度の相関性が見て取れるものの、各プロット間には誤差があることが分かる。また、図13(b)より、単位セメント量と配管閉塞までの圧送回数の関係に関しても、ある程度の相関性が見て取れるものの、ここでも、各プロット間には誤差があることが分かる。一方、図13(c)より、スランプと配管閉塞までの圧送回数の関係に関しては、一見、高い相関性が見て取れるようにも思われるが、スランプ8cmとスランプ15cmにおける配管閉塞までの回数が同程度の結果となっており、信ぴょう性に疑問が残る。
このように、コンクリートの各種配合と配管閉塞までの圧送回数の関係性に関しては、ある程度の相関性が確認できるものの、高い相関性を検出できないことが分かった。
[コンクリートの各種配合と配管閉塞までの積算受圧量の関係に関する検証]
本発明者等は、コンクリートの各種配合と配管閉塞までの積算受圧量の関係に関する検証を行った。本試験は、上記するように、コンクリートの各種配合と配管閉塞までの圧送回数の間に高い相関性が見出せなかったことを受け、配管閉塞までの積算受圧量を指標とするものである。図1及び図9に示す試験装置10のうち、2つの油圧シリンダー11と配管40とから構成される試験装置を使用し、2つのロードセル20にて、それぞれの油圧シリンダー11の受ける圧送反力を随時計測し、この計測結果に基づいて、積算受圧量を算定した。本試験においても、ベント管の管長は300mm、油圧シリンダーのストローク量は350mm、圧送圧は3.0MPaとし、配合要素のうち、細骨材率、単位セメント量及びスランプの3種に関し、配管閉塞までの積算受圧量を指標として各配合の最適配合を検証した。図14(a)、図14(b)は、各ロードセルにおける、圧送試験開始から試験終了までのロードセル圧の時刻歴波形を示す図である。本試験では、いずれか一方の時刻歴波形に基づいて積算受圧量を算定している。各種配合の変化形態と各種配合の際の他の条件については、表2に基づいている。図15(a)、図15(b)及び図15(c)は順に、細骨材率と積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図、単位セメント量と積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図、スランプと積算受圧量の関係に関する検証結果を示す図である。
図15(a)より、細骨材率と積算受圧量の関係に関しては、高い相関性が見て取れることが分かる。また、図15(b)より、単位セメント量と積算受圧量の関係に関しても、高い相関性が見て取れることが分かる。さらに、図15(c)より、スランプと積算受圧量の関係に関しても、高い相関性が見て取れることが分かり、グラフの傾向に信ぴょう性がある。
このように、コンクリートの各種配合と配管閉塞までの積算受圧量の関係性に関しては、高い相関性が確認できた。従って、例えば、単位セメント量とスランプがいずれも所定値に設定されている場合には、これらを条件として、上記試験装置を用いて圧送試験を実行し、細骨材率と積算受圧量の関係に関する相関性を調べ、積算受圧量が最大となる、もしくは最大値に近似した積算受圧量を与える細骨材率を特定し、最適配合とする方法が適用できる。そして、このことは、単位セメント量やスランプの最適配合の決定に関しても同様である。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10 :試験装置
11,11A,11B :圧送手段(油圧シリンダー)
12,12A,12B :ピストンロッド
13,13A,13B :圧送ロッド
14,14A,14B :圧送板
20,20A,20B :ロードセル
30 :圧送手段コントローラ
40 :配管
41A、41B :直管
42A,42B :ベント管
50,50A :第一演算装置
60 :第二演算装置
100、100A :ポンプ圧送距離特定システム
200 :最適配合選定システム
510 :ポンプ圧送回数算定部
520 :ポンプ圧送距離特定部
540 :ポンプ圧送距離補正部
610 :積算受圧量特定部
620 :最適配合選定部

Claims (7)

  1. 配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートのポンプ圧送距離を特定する、コンクリートのポンプ圧送距離特定システムであって、
    前記試験装置と、第一演算装置とを備え、
    前記第一演算装置は、
    前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、双方の前記圧送手段にてコンクリートを圧送している総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を算定する、ポンプ圧送回数算定部と、
    前記閉塞までのポンプ圧送回数に前記圧送手段による一回の送出し量を乗じることにより、前記配管内でコンクリートが閉塞する距離を算定し、該コンクリートが閉塞する距離をポンプ圧送距離に特定する、ポンプ圧送距離特定部と、を有することを特徴とする、コンクリートのポンプ圧送距離特定システム。
  2. 前記固有の施工現場における配管の配置計画において、該配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合は、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除して、前記ポンプ圧送距離特定部にて特定されているポンプ圧送距離を補正する、ポンプ圧送距離補正部をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートのポンプ圧送距離特定システム。
  3. 前記試験装置が、少なくとも一つのベント管を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリートのポンプ圧送距離特定システム。
  4. 配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートの最適な配合を選定する、コンクリートの最適配合選定システムであって、
    前記試験装置と、第二演算装置とを備え、
    前記第二演算装置は、
    配合要素である、細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を一定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素として変化させながら前記試験装置を用いた試験を実行し、該配合選定対象要素の値ごとに、前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を特定する、積算受圧量特定部と、
    前記積算受圧量の最も大きな前記配合選定対象要素を最適配合として配合選定する、最適配合選定部と、を有することを特徴とする、コンクリートの最適配合選定システム。
  5. 配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートのポンプ圧送距離を特定する、コンクリートのポンプ圧送距離特定方法であって、
    前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を、固有の施工現場における必要圧送圧、及び、双方の前記圧送手段にてコンクリートを圧送している総圧送時間で除すことにより、閉塞までのポンプ圧送回数を算定する、ポンプ圧送回数算定工程と、
    前記閉塞までのポンプ圧送回数に前記圧送手段による一回の送出し量を乗じて、前記配管内でコンクリートが閉塞する距離を算定し、該コンクリートが閉塞する距離をポンプ圧送距離に特定する、ポンプ圧送距離特定工程と、を備えることを特徴とする、コンクリートのポンプ圧送距離特定方法。
  6. 前記固有の施工現場における配管の配置計画において、該配管が、上向き垂直管と、テーパ管と、ベント管と、フレキシブルホースのいずれか一種もしくは複数種を有する場合は、各管長をそれぞれに固有の水平換算係数で除して、前記ポンプ圧送距離特定工程にて特定されているポンプ圧送距離を補正する、ポンプ圧送距離補正工程をさらに有することを特徴とする、請求項5に記載のコンクリートのポンプ圧送距離特定方法。
  7. 配管と、該配管の両端部にあってコンクリートを圧送する圧送手段と、を有する試験装置を用いて、該配管内にコンクリートを充填し、双方の前記圧送手段を交互に作動させ、該配管がコンクリートで閉塞していると評価されるまでコンクリートを該配管内で往復移動させて、コンクリートの最適な配合を選定する、コンクリートの最適配合選定方法であって、
    配合要素である、細骨材率、単位セメント量、及びスランプのうち、いずれか二種の配合要素を一定値に固定した状態で、残りの一種の配合要素を配合選定対象要素として変化させながら前記試験装置を用いた試験を実行し、該配合選定対象要素の値ごとに、前記圧送手段によって圧送圧がコンクリートに付与された際に該圧送手段がコンクリートから受ける圧送反力と、圧送試験時間と、の積からなる積算受圧量を特定する積算受圧量特定工程と、
    前記積算受圧量の最も大きな前記配合選定対象要素を最適配合として配合選定する、最適配合選定工程と、を備えることを特徴とする、コンクリートの最適配合選定方法。
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