JP4859420B2 - コンクリート施工性能評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート施工計画における性能の評価方法に係り、更に詳しくは、コンクリート施工の諸条件に応じた最適なコンクリート配合を選定するための、ポンプ圧送可能性および初期欠陥発生可能性を評価するコンクリート施工性能評価方法に関する。
近年、コンクリート構造物は、耐震基準の見直し等に伴い、一層の高性能化が求められている。その結果、密な配筋や狭隘箇所へのコンクリート打設、長距離のポンプ圧送など難易度の高い施工を要求させる事例が増加している。
従来、コンクリートの施工計画を立てる際には、コンクリートの配合や配筋量等の施工条件が、標準示方書を元に、経験や知識を動員して決定される(非特許文献1参照)。
土木学会コンクリート委員会編、「2002年制定 コンクリート標準示方書[施工編]」、社団法人土木学会、2002年3月
上記のような従来の施工条件決定方法によるコンクリート仕様では、単位水量の少ない硬練りのコンクリートほど耐久性が高いという従来からの考え方に基づき、スランプを8〜12cmとするのが一般的である。
しかしながら、上述したような難易度の高いコンクリート施工が要求される場合には、硬練りのコンクリートを構造物全体に渡って密実に打設することは難しく、ジャンカやコールジョイント等の初期欠陥が発生を助長したり、ポンプ圧送において閉塞を起こす可能性が増すという問題が発生する。
また、これとは逆に、ポンプ圧送における閉塞を回避するために加水して単位水量を増加させ軟練りのコンクリートを使用した場合には、コンクリート自体の耐久性が低下したり、材料分離抵抗性の低下によってジャンカなどの初期欠陥が生じる可能性が増すという問題がある。
このような問題は、対象構造物に応じたコンクリートの施工性能を適切に評価する方法が確立していないことによる。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的は、コンクリート施工の諸条件に応じた最適なコンクリート配合を選定するためのコンクリート施工性能評価方法を提供することである。
前述した目的を達成するための本発明は、コンクリートのポンプ圧送における閉塞確率によりコンクリート施工性能を評価するコンクリート施工性能評価方法であって、実験により求められるコンクリートの配合因子の粘性への影響を示す補正量により、単位セメント量を補正した補正セメント量と、スランプの値を変数とし、実験により前もって求められる、コンクリートのポンプ圧送が可能な領域と不可能な領域を示す圧送可能性性能関数と、使用しようとするコンクリートの前記補正セメント量から、前記圧送可能性性能関数により、ポンプ圧送が不可能なスランプ領域を求める工程と、前記使用しようとするコンクリートが有するランプの、正規分布であるばらつき分布のなかで、ポンプ圧送が不可能なスランプ領域に属する確率を前記閉塞確率として算定する工程と、を具備することを特徴とするコンクリート施工性能評価方法である。
ここで、補正セメント量は、セメントの質、ペーストの濃さ、細骨材の微粒分量を変数としてスランプのタンピング試験を実施し測定したスランプの広がりに基づき決定される、各変数がコンクリートの粘性に与える影響を示す補正量で、単位セメント量に補正を加えた量である。また、スランプのばらつき分布は正規分布である。
まず、コンクリートの粘性(すなわち材料分離抵抗性)を表す補正セメント量と、コンクリートの変形性を表すスランプの値を変数として、圧送可能性性能関数が実験等により前もって設定される。この圧送可能性性能関数により、使用するコンクリートがポンプ圧送において閉塞を起こす確率をスランプのばらつきを考慮することにより求めることができる。スランプの値は環境等の各種の要因によりばらつくが、そのばらつき分布は正規分布と仮定することが可能である。
以上のようにして求まった閉塞確率を評価方法として、閉塞確率が高い場合には、閉塞確率が減少するようにコンクリート配合を変更すればよい。
また、前述の課題を解決するための本発明は、コンクリートの打設時における初期欠陥発生確率を算定することによりコンクリート施工性能を評価するコンクリート施工性能評価方法であって、実験により求められるコンクリートの配合因子の粘性への影響を示す補正量により、単位セメント量を補正した補正セメント量と、コンクリート打設時のスランプ値である筒先スランプ値を変数とし、鋼材の配置状況を考慮して設定した、実験により前もって求められる、コンクリートの充填不良が発生する領域と発生しない領域とを示す打設可能性性能関数と、使用しようとするコンクリートの前記補正セメント量から、打設可能性性能関数により、充填不良が発生するスランプ領域を求める工程と、前記使用しようとするコンクリートが有するランプの、正規分布であるばらつき分布のなかで、充填不良が発生するスランプ領域に属する確率を初期欠陥発生確率として算定する工程と、を具備することを特徴とするコンクリート施工性能評価方法である。
筒先のスランプ値は、コンクリートの製造時のスランプ値、コンクリートの運搬時間、圧送条件、環境条件から算定されることが望ましい。
補正セメント量とスランプの値を変数として、打設可能性性能関数が実験等により前もって設定される。この打設可能性性能関数により、使用するコンクリートが打設時に充填不良等の初期欠陥を起こす確率を、正規分布をとるスランプのばらつきを考慮することにより求めることができる。
以上のようにして求まった初期欠陥発生確率を評価方法として、初期欠陥発生確率が高い場合には、初期欠陥発生確率が減少するようにコンクリート配合等を変更すればよい。
本発明のコンクリート施工性能評価方法により、コンクリート施工計画において、コンクリート運搬、圧送時における閉塞や、打設時の初期欠陥が発生する確率を評価値として求めることが可能になり、これらの評価値により、閉塞や初期欠陥のないコンクリート施工を実現するための施工計画を行うことが可能になる。
以下、図面に基づいて本発明の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる閉塞確率算定のための圧送可能性性能関数を示す図、図2〜図4は、補正セメント量の算定方法を決定するために行う実験例を説明する図、図5は、初期欠陥発生確率算定のための打設可能性性能関数を示す図、図6は、打設可能性性能関数を求めるための実験説明図、図7は、コンクリート施工性能評価処理の流れを示すフローチャートである。
図1は、圧送可能性性能関数を示す図である。
縦軸が補正セメント量(kg/m)、横軸がスランプ値(cm)の2次元領域に、圧送可能性性能関数11が設定され、この性能関数11により、2次元領域が圧送可能領域13と圧送不能領域15に分離されている。この圧送可能性性能関数11は、例えば、単位粗骨材量、粗骨材の最大寸法、圧送管の配管径、圧送管の配管距離等の要因を考慮して実験等により規定される。
ここで、補正セメント量は、コンクリートの粘性(すなわち材料分離抵抗性)を示す指標であり、単位セメント量を、粘性に影響を与える要因を考慮して補正した値である。詳細については後述する。また、スランプは、コンクリートの変形性を示す指標であり、規定の高さのスランプコーンにコンクリートを詰めた後にスランプコーンを引き揚げ、沈下した高さ(スランプ)で表す。
上記の圧送可能性性能関数11を使用して閉塞確率を求める処理の流れを説明する。
まず、使用するコンクリートの補正セメント量における圧送可能性性能関数11の値を同図より参照する。
例えば、補正セメント量が280kg/mの場合、圧送可能性性能関数11が圧送可能領域13と圧送不能領域15を分ける点のスランプ値は7.5cmである。この場合、同図より、スランプの値が7.5cm以下の領域が圧送不能領域15、7.5cm以上の領域が圧送可能領域13である。すなわち、スランプが10cmであれば圧送が可能であり、5cmでは圧送が不可能ということになる。
次に、閉塞確率を求める。
スランプは環境等の要因によりばらつくが、このばらつきは図1に示すように正規分布を取ると考えてよい(ばらつき21)。製造時のスランプ値の場合、目標値に対してスランプのばらつきの許容範囲が例えば±2.5cmというように定められており、この許容範囲のなかでスランプが正規分布をとる。
このスランプの分布21のなかで、圧送不能領域15にふくまれる確率を閉塞確率19とする。すなわち、同図の場合、8±2.5cmのスランプの正規分布のなかで、スランプ値が7.5cm以下(図中の斜線部分)になる確率が閉塞確率19となり、閉塞確率19は約48%である。
閉塞確率19は、コンクリートの製造からポンプ圧送までのコンクリートの運搬性能評価の指標となる。閉塞確率19が高い場合には、ポンプ圧送時にコンクリートが閉塞する確率が高いと評価されるので、コンクリートの材料や配分等を変えるようにすればよい。
ここで、図1の横軸のスランプの値は、製造時のスランプ値よりも施工現場到着時のスランプ値を使用することが望ましい。
以上の方法により、コンクリートの運搬性能の評価が可能になる。
次に、コンクリートを打設する際の性能評価の方法について説明する。
図2は、打設可能性性能関数を示す図である。縦軸が補正セメント量(kg/m)、横軸が筒先のスランプ値(cm)の2次元領域に、打設可能性性能関数31が設定され、この性能関数31により、2次元領域が打設可能領域33と打設不能領域35に分離されている。
ここで、筒先のスランプ値は、施工場所にポンプ圧送により運搬され、流し込まれる時のコンクリートのスランプ値である。
コンクリート施工時には、鋼材を所定の間隔に配した配筋間にコンクリートを流し込むが、このとき、コンクリートの粘性や変形性、内部鋼材の配置状況などにより、コンクリートが密実に打設できる場合と、できない場合やジャンカやコールジョイント等の初期欠陥が発生する場合が起こる。よって、打設可能性性能関数31は、粘性の指標となる補正セメント量と、変形性の指標となる筒先のスランプ値を変数とし、打設する対象物内部の鋼材の配置状況を考慮して設定される。ここでは、一例として、配筋の鋼材間隔ごと(例えば、50mmから250mmまでの50mmごと)に設定した。このほか、単位体積当りの鋼材量、鋼材の段数等を考慮して、打設可能性性能関数31を設定してもよい。この打設可能性性能関数31は、後述する実験等により設定する。
次に、打設可能性性能関数31を使用して初期欠陥発生確率39を求める処理の流れを説明する。
まず、使用するコンクリートの補正セメント量における打設可能性性能関数31の値を同図より参照する。
例えば、補正セメント量が260kg/mの場合、配筋の鋼材間隔が250mmならば、打設可能性性能関数31が打設可能領域33と打設不能領域35を分ける点の筒先スランプ値は8.0cmである。この場合、同図より、筒先スランプの値が8.0cm以下の領域が打設不能領域35、8.0cm以上の領域が打設可能領域33である。例えば、筒先スランプが10cmであれば打設が可能であり、5cmでは打設が不可能ということになる。
一方、鋼材間隔が200mmならば、補正セメント量が260kg/mの場合、打設可能性性能関数31が打設可能領域33と打設不能領域35を分ける点の筒先スランプ値は約10cmである。また、鋼材間隔が50mmの場合に打設を可能にするためには、補正セメント量は約320kg/m以上、筒先スランプ値は14cm以上必要であることが分かる。
次に、初期欠陥発生確率を求める。
筒先スランプのばらつきも、前述のスランプと同様に図2に示すように正規分布を取ると考えてよい(筒先スランプのばらつき分布37)。筒先のスランプ値が例えば8.4cmである場合(筒先スランプ値例43)、ばらつきの範囲、例えば、±3.5cmのなかで正規分布をとる。
このスランプの分布37のなかで、打設不能領域35にふくまれる確率を初期欠陥発生確率39とする。すなわち、同図の場合、8.4±3.5cmの筒先スランプの正規分布のなかで、筒先スランプ値が8.0cm以下(図中の斜線部分)になる確率が初期欠陥発生確率39となる。
図3は、鋼材間隔別の打設可能性性能関数31を決定するための実験例の説明図である。この実験により、配筋条件がコンクリートの施工性能に及ぼす影響を把握し、これを基礎データとして鋼材の間隔ごとの性能関数が規定される。
同図(a)は、同実験の試験方法を示す図である。
例えば、アクリル板51で作成した60×60×60cmの型枠に、鋼材53を図に示すように配置する。型枠の一角には、コンクリート投入口を設け、その部分に棒状バイブレータ55を設置する。
同図(b)は、試験条件の例を説明する図である。例えば、配筋の条件として、鋼材量(2水準)、鋼材段数(3水準)、鋼材配置方向(縦方向支配および横方向支配)、間隔(6水準)について、それぞれの条件の組合せの配筋を型枠内に配置する。また、流し込むコンクリートは、2種類のスランプ値のものを使用する。
上記の試験条件で、棒状バイブレータ55で振動を加えながらコンクリートを型枠内に打設し、充填が完了するまでの振動締固め時間を測定する。打込みは、100Lずつ2層とする。
そして、硬化後、かぶり部からコアを採取し、強度および骨材の分布状況を確認し、各条件での打設可能性を評価する。
本実施の形態のコンクリート施工性能評価方法においては、コンクリートの性能は例えば、変形性と粘性(材料分離抵抗性)で表現されるという考え方に基づき、変形性にはスランプ値を、粘性には補正セメント量を用いる。
補正セメント量は、単に配合上の単位セメント量を示すのではなく、細骨材微粒分や水セメント比などの、コンクリートの総合的な粘性を判定するために不可欠な配合因子の影響を考慮したものである。
すなわち、セメントの質(セメントの種類、混和材使用の有無)、セメントの量(単位セメント量)、ペーストの質(ペーストの濃さを示す水セメント比または水粉体比)、細骨材の質(粒度分布)と細骨材の量(単位細骨材量)から求まる細骨材中の微粒分量の各要素がコンクリートの粘性に与える影響を定量的に評価し、この値を元に補正セメント量を算出する。
補正セメント量の算出方法は、例えば、図4〜図6に示す室内実験により定量的に評価し、普通ポルトランドセメント等価量(各要素の影響が普通ポルトランドセメントの何kgの増減に等しいか)を把握し、この値により単位セメント量を補正する。
図4〜図6は、粘性に影響を与える各要素について、普通ポルトランドセメント等価量を得るための実験を説明する図である。各要素を変化させて、モルタルおよびコンクリートのスランプのタンピング試験を行う。
図4は、試験条件の説明であり、同図(a)は、モルタルを試験対象とする場合の試験条件、同図(b)は、コンクリートを試験対象とする場合の試験条件である。
同図(a)に示すように、例えば、モルタルの場合は、水セメント比(5通り)、単位セメント量(4通り)、細骨材微粒分(3通り)、細骨材量(4通り)、セメントの種類(2通り)を変化させて各組合せについてタンピング試験を実施する。一方、コンクリートの場合には、同図(b)、例えば、水セメント比(3通り)、単位セメント量(3通り)、細骨材粒度(3水準)、細骨材率(s/a:3通り)、セメントの種類(2通り)を変化させる。
以上のような組合せについてタンピング試験を行うが、イニシャルスランプの影響を考慮する。図5はモルタルについての試験方法、図6はコンクリートについての試験方法である。
図5に示すように、モルタルの場合は、フローテーブル61上に上記の試験条件の各組合せの配合によるモルタル63をスランプコーンにより設置し、フローテーブル61を打撃することにより、各組合せのイニシャルスランプを一定にする。その後、所定回数加振し、その後のモルタル63の広がりを測定し、評価する。
一方、図6は、コンクリートの場合の2種類のタンピング試験方法である。同図(a)に示すように、平板73上に上記の試験条件の組合せの配合によるコンクリート71をスランプコーンにより設置し、スランプが20cmになるまで突き棒75で平板73を加振することによりイニシャルスランプを一定にする。その後、事前に決めた回数(例えば5回)、平板73に突き棒75を落下させ、その後のコンクリート71の広がりを測定し、評価する。
同図(b)の場合は、平板73上に特性の10cmの高さのスランプコーンを用いてコンクリート71を設置し、これによりイニシャルスランプを一定にする。その後、平板73に突き棒75を事前に決めた回数(例えば5回)落下させ、その後のコンクリート71の広がりを測定し、評価する。
以上のような実験を行うことにより、加振後のモルタル63およびコンクリート71の広がりを測定し、その結果から、粘性に影響を与える上記の要素ごとに、セメント量を補正するための補正量を決定する。
以上のようにして求めた各要素の補正量により、コンクリート施工に使用しようとするコンクリートの単位セメント量を補正し、補正済みの補正セメント量を使用して図1の圧送可能性性能関数11および図2の打設可能性性能関数31を参照する。
図7は、図1に示した圧送可能性性能関数11および図2に示した打設可能性関数31を使用した、コンクリート施工性能評価処理の流れの一例を示すフローチャートである。
このコンクリート施工性能評価処理は、CPU、RAM、ROM等からなる制御部と、ハードディスク装置からなる記憶部、キーボード、マウス等の入力部、ディスプレイ、プリンタ等の出力部、通信部、CD−ROM等のメディア入出力部等を有するコンピュータ・システムを用いて実行されるプログラムである。このプログラムや、圧送可能性性能関数11および打設可能性関数31等のデータは、記憶部あるいはCD−ROM等に格納されており、制御部により実行される。この処理は、例えば、コンクリートの施工業者担当者がコンピュータ・システムを使用して対話型に進められる。
まず、条件設定を行う(ステップ100)。条件設定は、対象となる構造物についての条件(ステップ110)と、コンクリートの発注仕様(ステップ120)、コンクリートの使用材料の条件(ステップ130)からなる。
対象となる構造物の条件では(ステップ110)、まず、構造物の重要度の高さ(ステップ111)を入力する。これは、構造物が果たすべき機能を考慮した品質ランクである。例えば水理構造物の場合は、一般構造物よりも品質ランクを高くする必要があり、コンクリート施工性能を評価するための許容ポンプ閉塞確率Ppbaや許容初期欠陥発生確率Pidaの設定(ステップ113)に用いる。
また、構造物の条件として、構造物の形状や内部鋼材の配置状況、打込み位置、バイブレータ挿入可能範囲等の打設に関わる構造条件と、コンクリートの製造工場から現場までの運搬時間、ポンプ圧送距離等の施工条件を入力する(ステップ112)。
コンクリートの発注仕様(ステップ120)では、強度や耐久性、スランプ等の条件を入力する。これにより、許容最大水セメント比W/Cや許容最大単位水量W等が算出される。さらに、使用材料の条件としては、セメントの質や量、ペーストの質、細骨材の質や量等の条件を入力する(ステップ130)。
以上の処理により各種の条件の入力が完了する。
コンクリートの発注仕様(ステップ120)と構造条件、施工条件の設定(ステップ112)から、コンクリートの当初のスランプ値SLが設定される(ステップ121)。また、このスランプの初期設定値SLとステップ130で設定した使用材料の条件から、使用しようとするコンクリートの水セメント比W/Cと単位水量Wを算出し、その値が許容最大値よりも小さいか否かを判定する(ステップ140、141)。許容範囲内であれば(ステップ141のOK)適正配合と判定される。また、許容範囲外であれば(ステップ141のNG)不適配合と判定され、ステップ130、ステップ140、ステップ141の処理を繰り返し、使用材料の条件の再検討を行う。
適正配合と判定されれば、使用コンクリートの配合情報である、セメントの種類や単位セメント量、水セメント比W/C、細骨材の粒度分布、単位細骨材料等が定まる。
次に、以上のようにして決定したコンクリートの配合情報と、ステップ112で条件入力した施工条件からコンクリート施工における運搬性能の評価が実施される(ステップ200)。ステップ112で入力された施工条件は、例えば、製造時のスランプ値やそのばらつき、コンクリートの運搬時間、ポンプ圧送条件である、圧送距離(配管長)や配管径、テーパー管本数、ベント管本数、フレキシブルホースの本数、環境温度等である(ステップ210)。
運搬性能評価(ステップ220)では、まず、ステップ141で適正配合と判定されたコンクリートの配合情報を元に補正セメント量が算出される。また、施工条件の製造時のスランプ値とそのばらつき、コンクリートの運搬時間、環境温度等から現着時のスランプ値とそのばらつきが予測される。
そして、前もって実験等により定められコンピュータ・システムの記憶部等に格納されている圧送可能性性能関数11を参照し、現着時のスランプのばらつき分布のなかで圧送不能領域15に含まれる確率を閉塞確率Ppbとして算出する。また、ここで、現着時のスランプ値と圧送距離等から配管最終部から施工現場に施工現場へコンクリートを打込む際のスランプ値である筒先スランプ値の予測値SLを算出する。
求まった閉塞確率Ppbをステップ113で求めた許容ポンプ閉塞確率Ppbaと比較し、閉塞確率Ppbが許容ポンプ閉塞確率Ppbaよりも小さい場合(ステップ230のOK)、圧送中にコンクリートが閉塞する可能性が低く適正であると判断して、次の打設性能可能性の処理(ステップ300)を実行する。
一方、閉塞確率Ppbが許容ポンプ閉塞確率Ppbaよりも大きいか等しい場合(ステップ230のNG)は、圧送中にコンクリートが閉塞する可能性が高く不適であると判断し、条件設定の修正を行う(ステップ150)。
以上の処理において、閉塞確率Ppbと許容ポンプPpba閉塞確率を比較する前に、圧送可能性性能関数11の参照により求まった閉塞確率Ppbを配管径や圧送距離、温度等の情報により補正するようにしてもよい。このようにすることにより、ポンプ圧送の条件下での圧送性能をさらに的確に評価可能になる。
閉塞確率Ppbが許容ポンプ閉塞確率Ppbaよりも小さい場合(ステップ230のOK)には、打設性能可能性の処理(ステップ300)を実行する。
これには、コンクリートの配合情報と、ステップ112で条件入力した構造条件である構造物の形状や配筋状況(鋼材の間隔等)、コンクリートを流し込む打設位置の条件、バイブレータ挿入可能範囲の情報が使用される(ステップ310)。
また、ステップ220で求めた筒先スランプの予測値SLが入力される。そして、前述の図3の実験等により決定され、コンピュータ・システムの記憶部等に格納されている打設可能性性能関数31を参照し、筒先のスランプ予測分布のなかで、打設不能領域35に含まれる確率を初期欠陥発生確率Pidとして算出する(ステップ320)。そして、この初期欠陥発生確率Pidと、ステップ113で決定された許容初期欠陥発生確率Pidaを大小比較し、初期欠陥発生確率Pidが許容初期欠陥発生確率Pidaよりも大きいか等しい場合(ステップ330のNG)には、初期欠陥が発生する可能性が高いと判断し、条件設定の修正処理に戻る(ステップ150)。
一方、初期欠陥発生確率Pidが許容初期欠陥発生確率Pidaよりも小さい場合(ステップ330のOK)、初期欠陥が発生する可能性が低く、打設を適切に実施可能と判断する。
そして、最後に求まった初期欠陥確率Pidや構造物の重要度等を元に初期欠陥リスクの評価を行う(ステップ400)。すなわち、初期欠陥初期欠陥の発生頻度(ステップ410)や、初期欠陥発生に伴う補修費用などの短期的損失(ステップ420)や、初期欠陥に起因するコンクリート構造物の耐久性低下を維持管理・補修するための費用などの長期的影響(LCC:ライフサイクルコスト、ステップ430)を求める。
これらの初期欠陥リスク評価を元に、このコンクリート施工が妥当か否かを判定し(ステップ440)、妥当ならば(ステップ440のOK)、発注者、企業者に情報を開示し、協議したうえで(ステップ450)、実際に施工を行う(ステップ460)。一方、妥当でない場合(ステップ440のNO)には、ステップ130の使用材料条件の再検討、ステップ110の対象構造物の条件の再検討に戻って処理を行う。
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であり、それらも、本発明の技術範囲に含まれる。例えば、図1および図2に示した圧送可能性性能関数11および打設可能性性能関数31はこれに限るものではない。例えば、本実施の形態で示した圧送可能性性能関数11および打設可能性性能関数31を、コンクリートの構成材料(セメント、混和材、粗骨材、細骨材)やコンクリートの配合状況(W/C、s/a等)、コンクリートのフレッシュ性状(変形性、充填性、間隙通過性)等の要因ごとに規定してもよい。
また、これらの要因を補正セメント量の算定において加味するようにしてもよい。さらに、本実施の形態で示した圧送可能性性能関数11あるいは打設可能性性能関数31を使用して求めた閉塞確率19あるいは初期欠陥発生確率39に対して、上記の要因を考慮した重み付け係数を掛け合わせて、これにより閉塞確率および初期欠陥発生確率を判断するようにしてもよい。
本発明の実施の形態にかかる圧送可能性性能関数を示す図 本発明の実施の形態にかかる打設可能性性能関数を示す図 打説可能性性能関数31を決定するための実験例を説明する図 補正セメント量算出のための実験を説明する図 補正セメント量算出のための実験を説明する図 補正セメント量算出のための実験を説明する図 コンクリート施工性能評価処理の流れを示すフローチャート
符号の説明
11………圧送可能性性能関数
17………スランプのばらつき分布
19………閉塞確率
31………鋼材間隔別の打設可能性性能関数
37………筒先スランプのばらつき分布
39………初期欠陥発生確率

Claims (5)

  1. コンクリートのポンプ圧送における閉塞確率によりコンクリート施工性能を評価するコンクリート施工性能評価方法であって、
    実験により求められるコンクリートの配合因子の粘性への影響を示す補正量により、単位セメント量を補正した補正セメント量と、スランプの値を変数とし、実験により前もって求められる、コンクリートのポンプ圧送が可能な領域と不可能な領域を示す圧送可能性性能関数と、
    使用しようとするコンクリートの前記補正セメント量から、前記圧送可能性性能関数により、ポンプ圧送が不可能なスランプ領域を求める工程と、
    前記使用しようとするコンクリートが有するランプの、正規分布であるばらつき分布のなかで、前記ポンプ圧送が不可能なスランプ領域に属する確率を前記閉塞確率として算定する工程と、
    を具備することを特徴とするコンクリート施工性能評価方法。
  2. コンクリートの打設時における初期欠陥発生確率を算定することによりコンクリート施工性能を評価するコンクリート施工性能評価方法であって、
    実験により求められるコンクリートの配合因子の粘性への影響を示す補正量により、単位セメント量を補正した補正セメント量と、コンクリート打設時のスランプ値である筒先スランプ値を変数とし、鋼材の配置状況を考慮して設定した、実験により前もって求められる、コンクリートの充填不良が発生する領域と発生しない領域とを示す打設可能性性能関数と、
    使用しようとするコンクリートの前記補正セメント量から、前記打設可能性性能関数により、充填不良が発生するスランプ領域を求める工程と、
    前記使用しようとするコンクリートが有するランプの、正規分布であるばらつき分布のなかで、前記充填不良が発生するスランプ領域に属する確率を初期欠陥発生確率として算定する工程と、
    を具備することを特徴とするコンクリート施工性能評価方法。
  3. 前記補正セメント量は、セメントの質、ペーストの濃さ、細骨材中の微粒分量を変数としてスランプのタンピング試験を実施し測定したスランプの広がりに基づき決定される、各変数がコンクリートの粘性に与える影響を示す補正量に基づき、単位セメント量を増減した量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンクリート施工性能評価方法。
  4. 前記スランプのばらつき分布は正規分布であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンクリート施工性能評価方法。
  5. 前記打設可能性性能関数は、所定の配筋条件で鋼材が配置された型枠内にコンクリートを打設する実験を行い、硬化後採取したコアにより評価される打設可能性に基づき決定されることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート施工性能評価方法。
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