以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、本発明の冷蔵庫の一例として、上方部分に冷蔵貯蔵空間を有し、下方部分に冷凍貯蔵空間を有する冷蔵庫を例に挙げて説明する。但し、本発明の冷蔵庫の各貯蔵空間の配置は、これに限定はされない。
<冷蔵庫の全体構成>
まず、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を示す正面図である。図2は、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を示す側面断面図である。
図1および図2に示すように、冷蔵庫1は、上段に冷蔵室(貯蔵室)11、下段に第1冷凍室12、中段左側に製氷室13、中段右側に第2冷凍室14を備えている。冷蔵室11には、左右の何れかの端部から開閉する方式の扉11aが設けられている。なお、冷蔵室11に設けられている扉は、観音開き式の扉であってもよい。製氷室13には、引き出し式の扉(図示せず)が設けられている。第2冷凍室14にも、引き出し式の扉14aが設けられている。第1冷凍室12にも、引き出し式の扉12aが設けられている。
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面に対向する面を背面とする。また、本明細書中において、「前面側」または「背面側」と規定するときは、任意の位置を基準として前面又は背面が設けられている側、あるいは、任意の位置から前面又は背面へ向かう方向のことを意味する。また、前面から背面、あるいは、背面から前面に向かう方向を前後方向という。
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている(図2参照)。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。図2に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱(断熱箱体の内壁)52と、断熱層53とを備えている。
外箱51は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱51は、冷蔵庫1の外形も部分的に形成している。内箱52は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱52は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、第1冷凍室12など)の内壁を形成している。断熱層53は、例えば、真空断熱材53a(図2では、図示せず)と発泡断熱材とで構成される。真空断熱材53aは、薄いシート状または板状の断熱材である。発泡断熱材は、例えば、発泡ポリウレタンなどで形成することができる。本実施形態では、真空断熱材53aは、断熱箱体50の外箱51に接触するように配置されている(図3(a)参照)。
そして、冷蔵室11内には、上から順に、複数の移動式棚21,22,23と、仕切棚24,25とが配置されている。移動式棚21,22,23は、冷蔵室11内の内壁に設けられた突起部(図示せず)上に載置されている。
仕切棚24,25は、冷蔵室11の内壁に固定されており、通常の使用時には取り外しできないようになっている。仕切棚24は、冷蔵室11の背面側の内箱52に固定されている。また、仕切棚25も、仕切棚24と同様に冷蔵室11の内壁に取り付けられている。
図2に示すように、仕切棚24と仕切棚25との間には、チルドケース15aが配置されている。チルドケース15aと仕切棚24とで、チルド室15が形成される。仕切棚24は、チルド室15の上面を構成する。
また、図2に示すように、冷蔵室11の底部分に相当する仕切棚25の下方には、上から順に、果物ケース16aと、野菜ケース17aとが配置されている。そして、果物ケース16a、野菜ケース17a、及び仕切棚25で、野菜室17が形成される。仕切棚25は、野菜室17の上面を構成する。また、野菜室17の上方には、果物ケース16aからなる果物入れ16が設けられている。
以上のように、チルド室15の上面に仕切棚24が設けられていることで、チルド室15を、冷蔵室11からは遮蔽された貯蔵空間とすることができる。これにより、チルド室15内の温度を冷蔵室11の温度とは異なる温度に調整することができる。
また、野菜室17の上面に仕切棚25が設けられていることで、果物入れ16を含む野菜室17を、冷蔵室11からは遮蔽された貯蔵空間とすることができる。これにより、野菜室17に直接冷風が当たり、野菜室内の貯蔵物が乾燥することを抑えることができる。
また、図示はしていないが、本実施形態に係る冷蔵庫1には、冷蔵室11内に給水タンクが配置されている。給水タンク内には水が収容され、下段に位置する製氷室13において製氷が行われる際に使用される。給水タンク内の水は、製氷室13の上方に配置された製氷機19へ供給される。
冷蔵室11の背面側には、冷気の通路であるシャワーダクト30が設けられている。図2に示すように、シャワーダクト30は、ダクト形成部材(冷気通路部材)31と断熱箱体50を構成する内箱52とで構成され、冷気の通路となっている。言い換えれば、ダクト形成部材31と内箱52との間に形成された空間が、シャワーダクト30となっている。後述するように、ダクト形成部材31は、ビス33などの固定部材によって内箱52に対して固定されている。
ダクト形成部材31は、硬質性の材料で形成されている。ダクト形成部材31が硬質性の材料で形成されていることで、ダクト形成部材31が変形しにくくなり、冷気の通路となるシャワーダクト30の内径をより確実に確保することができる。硬質性の材料としては、例えば、硬質プラスチック、金属などが挙げられる。硬質プラスチックとしては、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、AS樹脂などが挙げられる。
また、ダクト形成部材31の前面側には、発泡スチロール等で形成された断熱部材34が設けられている。断熱部材34が設けられていることで、シャワーダクト30と冷蔵室11との境界において、冷蔵室11の表面に結露が発生することを抑えることができる。
そして、断熱部材34のさらに前面側には、冷却板(板状部材)32が配置されている。冷却板32は、熱伝導率の高い金属板で形成することができる。冷却板32は、正面形状が矩形の薄い板状の部材であり、冷蔵室11に露出している。すなわち、冷却板32は、冷蔵室11の背面の一部を形成している。これにより、冷蔵室11内の貯蔵物を輻射冷却することができる。なお、冷却板32は、熱伝導率が低い部材であってもよい。また、
冷却板32は、化粧板であってもよい。冷却板32が化粧板であることにより、冷蔵室11内の美感を向上させることができる。
このように、本実施形態に係る冷蔵庫1においては、ダクト形成部材31と冷却板32との間に断熱部材34が配置されている。これにより、冷却室40からの冷気が通過する通路と冷蔵室11との温度差によって、冷蔵室11の内壁に結露が発生することを抑えることができる。
冷却板32は、ダクト形成部材31との間に形成される空間内に断熱部材34を挟み込んだ状態で、係合爪などの係止部材によって、ダクト形成部材31又は内箱52に脱着可能に取り付けられている。そのため、冷却板32及び断熱部材34が汚れた場合には、容易に取り外して洗浄することができる。なお、ダクト形成部材31は、ビスなどの固定部材によって内箱52に固定されている。そのため、冷却板32及び断熱部材34の脱着を行う際に、ダクト形成部材31は、冷蔵庫1の本体から容易に取り外せない構成とすることができる。
さらに、本実施形態の冷蔵庫1は、断熱部材34が冷気通路を構成するのではなく、ダクト形成部材31によって冷気通路が構成されている。ダクト形成部材31は、断熱部材34よりも硬い材料で形成されており、変形しにくい。そのため、断熱部材34を何度も脱着などすることで断熱部材34が変形した場合にも、ダクト形成部材31によって形成された冷気通路の形状を維持することができる。
また、本実施の形態においては、冷蔵室11の上端部分にシャワーダクト30内の冷気を冷蔵室11へ送出するための送出口30aが設けられている。具体的には、図2に示すように、シャワーダクト30の上方部分では、ダクト形成部材31は冷蔵室11の方へ傾斜している。そして、ダクト形成部材31は、その頂点において冷却板32の頂点と接触している。ダクト形成部材31と冷却板32との間に配置された断熱部材34は、ダクト形成部材31の形状に合わせて、上方へ向かって徐々にその厚みが薄くなっている。
また、冷蔵室11の上壁とダクト形成部材31の上端部とは、一定の間隔を有して互いに離間している。これにより、冷蔵室11の最上部に、冷気の送出口30aが形成される。
このように、本実施形態に係る冷蔵庫1では、断熱部材34は、ダクト形成部材31によって、冷気の通路から隔離された構成となっている。さらに、本実施形態に係る冷蔵庫1では、断熱部材34は、冷却板32によって冷蔵室11から隔離された構成となっている。これにより、断熱部材34を臭いや汚れが付着しやすい発泡スチロールで形成した場合にも、断熱部材34に冷気が直に接触することを避けることができる。
第1冷凍室12及び第2冷凍室14の背面側には、冷却室40が配置される。冷却室40内には、冷凍サイクルを構成する蒸発器41や、蒸発器41を除霜するためのガラス管ヒータ65や、蒸発器41からの冷気を第2冷凍室14などに送るための冷却ファン43が配置される。冷却室40の上方は、シャワーダクト30と連通している。
冷却室40とシャワーダクト30との間には、ダンパ45が設けられている。ダンパ45を開閉することで、冷蔵室11に向かう冷気の流れをON/OFFすることができる。また、シャワーダクト30内には、ダンパ45の上方に冷却ファン44が設けられている。冷却ファン44が作動することで、送出口30aを介して冷蔵室11内に冷気を送り込むことができる。
また、冷却室40には、上下方向に複数の吹き出し口47aが形成されている。吹き出し口47aからは、冷却室40からの冷気が第1冷凍室12、製氷室13、及び第2冷凍室14へ向けて吹き出す。
続いて、冷蔵庫1に備えられている冷凍サイクルについて説明する。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管を介して、圧縮機42、凝縮器、膨張器、及び、蒸発器(冷却器)41が接続されて構成されている。膨張器は、キャピラリーチューブ(毛細管)や膨張弁などで構成されている。圧縮機42は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室60内に配置されている。
また、冷蔵庫1の内部には、制御部(図示せず)が設けられている。この制御部が、冷凍サイクルの運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機42を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、圧縮機42→凝縮器→膨張器→蒸発器41→圧縮機42という経路で冷媒が循環する。
このように冷凍サイクル内を冷媒が循環する間に、低温の冷媒が流入する蒸発器41では、蒸発器41周辺の空気との間で熱交換が行われる。この熱交換により、冷却室40内では冷気が生成される。
次に、冷気の流路について説明する。図1及び2では、上述した冷凍サイクルによっ
て発生する冷気の流れを矢印で示す。
蒸発器41によって冷やされた冷気は、冷却ファン43によって、各吹き出し口47aから第1冷凍室12・製氷室13・第2冷凍室14に送られる。各冷凍貯蔵空間を通った冷気は、第1冷凍室12の下方から冷却室40内へ戻る。
また、ダンパ45が解放されているときは、冷気は、冷却ファン44によって、シャワーダクト30内を上昇しながら、送出口30aから冷蔵室11内へ送り込まれる。冷蔵室11内に送られた冷気は、上方から下方へと降下しながら、冷蔵室内の食料および飲料などを冷やして、戻り口48から戻りダクト49を通って蒸発器41へと帰ってくる。
<冷蔵室の背面構造について>
続いて、冷蔵室11の背面のより詳細な構造について、図3(a)を参照しながら説明する。図3(a)は、本実施形態の冷蔵庫1の冷蔵室11部分の背面構成を示す横断面図である。図3(a)は、図2に示す冷蔵庫のX−X線部分の断面に相当する。
図3(a)に示すように、冷蔵室11の背面及び側面は、断熱箱体50で覆われている。断熱箱体50は、主に、外箱51と、内箱52と、断熱層53とで構成されている。断熱箱体50の内箱52が、冷蔵室11の側壁を形成している。
また、冷蔵室11の背面の中央部分には、シャワーダクト30が設けられている。図3(a)に示すように、シャワーダクト30は、ダクト形成部材31と内箱52とによって形成されている。本実施の形態では、ダクト形成部材31は、板状の部材を湾曲させて形成されている。そして、ダクト形成部材31の左右両端部が、複数のビス33で内箱52の表面に固定されている。ダクト形成部材31がビス33で固定されていることで、ダクト形成部材31は、内箱52から容易に取り外せないようになっている。
これにより、内箱52とダクト形成部材31との間に、空間が形成される。この空間は、下方において冷却室40と連通している。また、この空間は、上方において送出口30aと連通している。これにより、冷却室40からの冷気を冷蔵室11へ送出するためのシ
ャワーダクト(冷気通路)30が形成される。
また、ダクト形成部材31と冷蔵室11との間には、冷蔵室11側から順に、冷却板32及び断熱部材34が設けられている。冷却板32は、板状の部材で形成されており、ダクト形成部材31の形状に沿うような湾曲面を有している。つまり、冷却板32は、ダクト形成部材31の外側表面と一定の間隔を有した状態で、ダクト形成部材31を覆っている。これにより、ダクト形成部材31と冷却板32との間に、空間が形成される。そして、断熱部材34は、この空間内に配置されている。
なお、本実施形態に係る冷蔵庫1においては、冷蔵室11の背面に相当する内箱52の内壁は、平坦な形状となっている。そして、内箱52の平坦な表面から突出するように、ダクト形成部材31、断熱部材34、及び冷却板32などが配置されている。そのため、冷蔵室11内に配置される各移動式棚21,22,23及び各仕切棚24,25には、冷却板32の形状に合わせて、背面側の端部に凹み(例えば、図3(a)に示す凹み21a)が形成されている。
なお、図2に示すように、シャワーダクト30の上方部分では、ダクト形成部材31は冷蔵室11の方へ傾斜している。そして、ダクト形成部材31は、その頂点において冷却板32の頂点と接触している。ダクト形成部材31と冷却板32との間に配置された断熱部材34は、ダクト形成部材31の形状に合わせて、上方へ向かって徐々にその厚みが薄くなっている。
また、冷蔵室11の上壁とダクト形成部材31の頂点とは、一定の間隔を有して互いに離間している。これにより、冷蔵室11の最上部に、冷気の送出口30aが形成される。図2に示すように、冷気の送出口30aは、内箱52とダクト形成部材31とで形成される。
また、図4には、断熱部材34の正面側の構成を示す。図4に示すように、断熱部材34の表面には、複数のLED(照明)61が取り付けられていてもよい。LED61は、複数個(例えば、3個)単位で一つの基板上に配置され、LED基板62を構成している。LED基板62は、例えば、断熱部材34の表面に形成された窪み内に配置されている
このように断熱部材34にLEDなどの照明を取り付けた場合には、断熱部材34の前面に配置される冷却板32は、光透過性を有する材料で形成することが好ましい。これにより、照明が発する光によって冷蔵室11内を明るく照らすことができる。また、冷却板32の代わりに光拡散板を配置することで、冷蔵室11内をより明るくすることができる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫1において、断熱部材34及びその前面に配置された冷却板32は、取り外し可能な構造となっていてもよい。これにより、冷却板32の表面が汚れた場合などに、取り外して洗浄することができる。また、断熱部材34に臭いなどが付着したり、断熱部材34が変形したりした場合などには、断熱部材34を交換することができる。
<効果>
以上のように本実施形態に係る冷蔵庫1では、冷気通路を断熱部材34とは別の部材(すなわち、ダクト形成部材31)で形成している。そして、ダクト形成部材31は、断熱箱体50の内壁(すなわち、内箱52)に固定されている。これにより、断熱部材34が冷気通路の形状に影響を及ぼすことなく、筒状の冷気通路を形成できる。
本実施形態では、シャワーダクト30を形成しているダクト形成部材31は、例えば、ABS樹脂、PP樹脂などの硬質性の素材で作られている。そのため、発泡スチロールなどの軟らかい素材(断熱部材)でシャワーダクトを形成している従来の冷蔵庫と比較して、より確実に冷気の通路形状を確保することができる。
また、本実施形態では、化学物質の影響で変質し易い発泡スチロールが、シャワーダクト30の表面に露出しないような構成となっている。そのため、冷蔵庫内に貯蔵されている食品や薬品などから放出される化学物質の影響を受けて、シャワーダクト30の表面が変質することを抑えることができ、冷気通路の形状が変形することを避けることができる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫1では、発泡スチロールで形成された断熱部材34は、ダクト形成部材31と冷却板32とで形成された空間内に配置されている。つまり、断熱部材34の表面全体が、ダクト形成部材31又は冷却板32で覆われており、ダクト及び冷蔵室に露出していない。これにより、シャワーダクト30を通過する冷気は、断熱部材34と直接接触することなく、送出口30aから冷蔵室11へ送出される。
断熱部材34として汎用されている発泡スチロール等の断熱材料は、臭いが付着しやすいという性質を有している。そのため、断熱部材がシャワーダクトの表面に露出していると、冷蔵室内に収容された食品等から発せられた臭気が、吹き出し口などを介してシャワーダクト内にも流れ、断熱部材に臭いが付着してしまう。断熱部材に付着した臭いは、シャワーダクトから冷蔵室へ送出される冷気にも移る可能性がある。このようにして臭いが付着した冷気は、冷蔵室へも流入するため、冷蔵室内全体に臭いがついてしまう可能性がある。
これに対して、本実施の形態に係る冷蔵庫1では、上記の構成により、シャワーダクト30を通過する冷気を、断熱部材34と接触させることなく、送出口30aから冷蔵室11へ送出させることができる。したがって、シャワーダクト及び冷蔵室に臭いが付着することを抑えることができる。
<冷蔵室の背面構造の変形例について>
図3(b)には、本実施の形態に係る冷蔵庫1の冷蔵室11の背面構造の変形例を示す。図3(b)は、変形例に係る冷蔵庫を、図3(a)と同じ位置で切断した場合の断面構成を示す。
図3(b)に示す冷蔵庫においては、ダクト形成部材の構成が、第1の実施形態のダクト形成部材31とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態の構成と同じである。
図3(b)に示す変形例では、第1の部材31aと第2の部材31bとでダクト形成部材が構成されている。第1の部材31aは、第1の実施形態のダクト形成部材31と略同様の形状を有している。また、第2の部材31bは、板状の形状を有している。図3(b)に示すように、板状の第2の部材31bは、内箱52の内壁と接触している。そして、第2の部材31b上に、第1の部材31aが配置されている。第1の部材31aと第2の部材31bとは、ともに複数のビス33で内箱52の表面に固定されている。
第1の部材31a及び第2の部材31bは、第1の実施形態のダクト形成部材31と同様に、硬質性の材料で形成されている。また、冷却板32及び断熱部材34は、第1の実施形態と同様の構成を採用することができる。
以上のように、本変形例では、第1の部材31aと第2の部材31bとで、冷気通路が形成されている。この構成によれば、断熱部材34が冷気通路の形状に影響を及ぼすことなく、筒状の冷気通路を形成できる。また、シャワーダクト30を通過する冷気を、断熱部材34と接触させることなく、吹き出し口から冷蔵室11へ送出させることができる。
さらに、第1の部材31aと第2の部材31bとで、冷気通路が形成されているため、内箱52の表面の形状に関係なく冷気通路30を形成できる。したがって、断熱層53の形成時に内箱52の表面が多少変形したとしても、冷気通路30の筒状形状には影響を与えないようにすることができる。なお、第1の部材31aと第2の部材31bとは別部材ではなく、筒状に形成された部材であっても良い。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、冷蔵室11の背面に形成されたシャワーダクトの構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
図5には、第2の実施形態に係る冷蔵庫100の背面部分の断面構成を示す。また、図6には、図5に示す冷蔵庫100の上部背面側の断面構成を示す。
図5に示すように、冷蔵室11の背面及び側面は、断熱箱体50で覆われている。断熱箱体50は、主に、外箱51と、内箱152と、断熱層53とで構成されている。断熱箱体50の内箱152が、冷蔵室11の側壁を形成している。また、本実施形態に係る冷蔵庫100においては、冷蔵室11の背面に位置する内箱152の左右方向の中央部分に、凹部152aが形成されている。さらに、本実施形態に係る冷蔵庫100においては、凹部152aの左右方向の中央部分に、凹部152aの表面からさらに凹んだ第2の凹部152bが形成されている。
そして、凹部152aの表面には、硬質プラスチックなどで形成されたダクト形成部材(冷気通路部材)131が配置されている。本実施形態では、ダクト形成部材131は、板状の形態を有している。そして、ダクト形成部材131は、複数のビス133で凹部152aの表面に固定されている。これにより、第2の凹部152bとダクト形成部材131との間に、空間が形成される。この空間は、下方において冷却室40と連通しており、シャワーダクト30を構成している。
また、ダクト形成部材131の前面には、発泡スチロールなどで形成された断熱部材134が配置されている。図5に示すように、断熱部材134は、凹部152a内に嵌まり込むようにして配置されている。このように、本実施形態の冷蔵庫100においては、内箱152に形成された凹部152a内に、断熱部材134が収まるように、凹部152aの大きさが設計されている。
また、冷蔵室11の背面には、板状部材132が配置されている。これによって、断熱部材134は板状部材132に覆われ、冷蔵室11に露出しないような構成となっている。板状部材132は、第1の実施形態における冷却板32と同じ素材で形成されていてもよい。またあるいは、板状部材132は、第1の実施形態における冷却板32と同じ素材で形成されていてもよい。
また、第1の実施形態と同様に、断熱部材34にLEDなどの照明を取り付けてもよい。この場合には、板状部材132を、光透過性を有する素材で形成することが好ましい。
図5に示すように、冷蔵庫100において、冷蔵室11の背面の凹部152aは、板状部材132で覆われている。これにより、冷蔵室11の背面全体は、略平坦な形状となっている。そのため、移動式棚121や仕切棚(図示せず)などの背面側に位置する端部を直線状に成形することができ、各棚の形状を単純化することができる。なお、板状部材132は、冷蔵室11の背面全体に設けられていてもよい。
また、本実施の形態においては、冷蔵室11の上端部分にシャワーダクト30内の冷気を冷蔵室11へ送出するための送出口131aが設けられている。この点について、図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、シャワーダクト30の上方部分では、ダクト形成部材131は冷蔵室11の方へ傾斜している。そして、ダクト形成部材131は、その頂点において板状部材132の頂点と接触している。ダクト形成部材131と板状部材132との間に配置された断熱部材134は、ダクト形成部材131の形状に合わせて、上方へ向かって徐々にその厚みが薄くなっている。
また、冷蔵室11の上壁11bとダクト形成部材131の上端部とは、一定の間隔を有して互いに離間している。これにより、冷蔵室11の最上部に、冷気の送出口131aが形成される。
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫100では、発泡スチロールで形成された断熱部材134は、ダクト形成部材131と板状部材132とで形成された空間内に配置されている。つまり、断熱部材134の表面全体が、ダクト形成部材131又は板状部材132で覆われており、シャワーダクト及び冷蔵室に露出していない。また、本実施形態に係る冷蔵庫100では、シャワーダクト30は、ダクト形成部材131と内箱152とで形成されているとともに、冷気の送出口131aもダクト形成部材131と内箱152とで形成されている。
これにより、シャワーダクト30を通過する冷気を、断熱部材134と直接接触させることなく、送出口131aから冷蔵室11へ送出させることができる。したがって、シャワーダクト及び冷蔵室に臭いが付着することを抑えることができる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫100では、ダクト形成部材131は、ビス133などを用いて内箱に固定されている。これにより、ダクト形成部材131は、容易に取り外せないようになっている。
一方、断熱部材134および板状部材132は、係合爪などを用いてダクト形成部材231又は内箱252に係止されてもよい。これにより、断熱部材134および板状部材132を冷蔵庫100の本体から容易に脱着することができる。この構成によれば、断熱部材134または板状部材132が汚れた場合などに、容易に清掃することができる。
また、本実施形態によれば、ダクト形成部材231によってシャワーダクト(冷却通路)の形状を維持できる。そのため、断熱部材を頻繁に脱着するなどして断熱部材が変形した場合に、冷気通路の形状が影響を受ける可能性が少ない。したがって、冷蔵庫の性能を長期にわたって維持することができる。
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、冷蔵室11の背面に形成されたシャワーダクトの構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第
3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
<冷蔵庫の全体構成>
まず、本実施の形態にかかる冷蔵庫200の全体構成について説明する。図7は、本実施の形態にかかる冷蔵庫200の全体構成を示す正面図である。図8は、本実施の形態にかかる冷蔵庫200の全体構成を示す側面断面図である。
図7および図8に示すように、冷蔵庫200は、上段に冷蔵室(貯蔵室)11、下段に第1冷凍室12、中段左側に製氷室13、中段右側に第2冷凍室14を備えている。冷蔵室11には、左右の何れかの端部から開閉する方式の扉11aが設けられている。
冷蔵庫200には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている(図8参照)。断熱箱体50は、冷蔵庫200の外周を覆うように設けられている。図2に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱(断熱箱体の内壁)252と、断熱層53とを備えている。
外箱51は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱51は、冷蔵庫200の外形も部分的に形成している。内箱252は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱252は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、第1冷凍室12など)の内壁を形成している。断熱層53は、例えば、真空断熱材53a(図9(a)参照)と発泡断熱材とで構成される。真空断熱材53aは、薄いシート状または板状の断熱材である。発泡断熱材は、例えば、発泡ポリウレタンなどで形成することができる。
そして、冷蔵室11内には、上から順に、複数の移動式棚221,222,223と、仕切棚224,225とが配置されている。移動式棚221,222,223は、冷蔵室11内の内壁に設けられた突起部(図示せず)上に載置されている。
仕切棚224,225は、冷蔵室11の内壁に固定されており、通常の使用時には取り外しできないようになっている。仕切棚224は、冷蔵室11の背面側の内箱252に固定されている。また、仕切棚225も、仕切棚224と同様に冷蔵室11の内壁に取り付けられている。
冷蔵室11の背面側には、冷気の通路であるシャワーダクト30が設けられている。図8に示すように、シャワーダクト30は、ダクト形成部材(冷気通路部材)231と断熱箱体50を構成する内箱252とで構成され、冷気の通路となっている。言い換えれば、ダクト形成部材231と内箱252との間に形成された空間が、シャワーダクト30となっている。後述するように、ダクト形成部材231には、左右両側の側面に冷気の吹き出し口231aが複数個形成されている。吹き出し口231aからは、冷却室40において生成された冷気が冷蔵室11内に吹き出す。
ダクト形成部材231は、第1の実施の形態と同様の材料で形成することができる。なお、図示はしていないが、ダクト形成部材231は、ビスなどの固定部材によって内箱252に固定されている。そのため、冷却板232及び断熱部材234の脱着を行う際に、ダクト形成部材231は、冷蔵庫200の本体から容易に取り外せない構成とすることができる。
また、ダクト形成部材231の前面側には、発泡スチロール等で形成された断熱部材234が設けられている。断熱部材234が設けられていることで、シャワーダクト30と冷蔵室11との境界において、冷蔵室11の表面に結露が発生することを抑えることができる。
そして、断熱部材234のさらに前面側には、冷却板(板状部材)232が配置されている。冷却板232は、熱伝導率の高い金属板で形成される。冷却板232は、正面形状が矩形の薄い板状の部材であり、冷蔵室11に露出している。すなわち、冷却板232は、冷蔵室11の背面の一部を形成している。これにより、冷蔵室11内の貯蔵物を輻射冷却することができる。
冷却板232は、ダクト形成部材231との間に形成される空間内に断熱部材234を挟み込んだ状態で、係合爪などの係止部材によって、ダクト形成部材231又は内箱252に脱着可能に取り付けられている。そのため、冷却板232及び断熱部材234が汚れた場合には、容易に取り外して洗浄することができる。
また、冷蔵室11の背面には、冷却板232の周囲を取り囲むように、表面に装飾が施された化粧板233が配置されている。冷蔵室11の背面が、化粧板233によって覆われていることにより、冷蔵室11内の美感を向上させることができる。また、明るい色調の化粧板233を用いることで、冷蔵室内を明るくして、ユーザが庫内の状況を確認しやすくすることができる。
なお、本発明の冷蔵庫においては、断熱部材234を覆う板状部材として、冷却板232の代わりに、化粧板233と同じ模様、色調を有する化粧板が設けられていてもよい。これにより、冷蔵室11内の美感をさらに向上させることができる。冷却板の代わりに化粧板を用いる場合には、熱伝導率の比較的高い素材で化粧板を形成することが望ましい。
このように、本実施形態に係る冷蔵庫200においては、ダクト形成部材231と冷却板232との間に断熱部材234が配置されている。これにより、冷却室40からの冷気が通過する通路と冷蔵室11との温度差によって、冷蔵室11の内壁に結露が発生することを抑えることができる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫200では、断熱部材234は、ダクト形成部材231によって、冷気の通路から隔離された構成となっている。さらに、本実施形態に係る冷蔵庫200では、断熱部材234は、冷却板232によって冷蔵室11から隔離された構成となっている。これにより、断熱部材234を臭いや汚れが付着しやすい発泡スチロールで形成した場合にも、断熱部材234に冷気が直に接触することを避けることができる。
第1冷凍室12及び第2冷凍室14の背面側には、冷却室40が配置される。冷却室40内の構成は、第1の実施形態と同様の構成を適用できる。
<冷蔵室の背面構造について>
続いて、冷蔵室11の背面のより詳細な構造について、図9(a)を参照しながら説明する。図9(a)は、本実施形態の冷蔵庫200の冷蔵室11部分の背面構成を示す横断面図である。図9(a)は、図8に示す冷蔵庫のX−X線部分の断面に相当する。
図9(a)に示すように、冷蔵室11の背面及び側面は、断熱箱体50で覆われている。断熱箱体50は、主に、外箱51と、内箱252と、断熱層53とで構成されている。断熱箱体50の内箱252が、冷蔵室11の側壁を形成している。また、本実施形態に係る冷蔵庫200においては、冷蔵室11の背面に位置する内箱252の左右方向の中央部分に、凹部252aが形成されている。
そして、凹部252a内に、ダクト形成部材231及び断熱部材234が配置されている。図9(a)に示すように、本実施の形態に係る冷蔵庫1では、内箱52に形成された
凹部252a内に、ダクト形成部材231及び断熱部材234が収まるように、凹部252aの大きさが設計されている。
冷却板232は、断熱部材234を覆うようにして、凹部252aに対応する位置に配置されている。冷却板232は、冷蔵室11の背面の内壁の一部を構成している。また、化粧板233は、冷却板232の両脇に配置されており、冷蔵室11の背面の内壁の一部を構成している。図9(a)に示すように、冷却板232の表面と化粧板233の表面とは、略面一となっている。これにより、冷蔵室11の背面を平坦な形状にすることができる。
そのため、移動式棚221,222,223及び仕切棚224,225の背面部分を直線状に成形することができ、各棚の形状を単純化することができる。これは、移動式棚221,222,223及び仕切棚224,225を、複雑な形状に加工することが難しい素材(例えば、ガラスなど)で形成するときの利点となる。
また、凹部252a内に、ダクト形成部材231及び断熱部材234を収容し、冷蔵室11の背面を平坦な形状にすることで、冷蔵室11の内容積の増加にもつながる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫200では、ダクト形成部材231と内箱252とで形成された空間が、冷気が通過するシャワーダクト30となっている。ダクト形成部材231は、湾曲した板状の本体部231bと、本体部231bから突出するように形成された2つの空間保持部231cとを有している。湾曲している本体部231bの凹面側には、断熱部材234が凹面形状に沿うように嵌まり込んでいる。
また、本体部231bの凸面側から突出した2つの空間保持部231cは、その先端が内箱252の背面に接触している。これにより、内箱252の背面の一部、2つの空間保持部231c、及び本体部231bの凸面の一部で囲まれた空間が形成される。この空間が、シャワーダクト30を形成している。
そして、断熱部材234と冷蔵室11との間には、冷却板232が配置されている。つまり、冷却板232は、ダクト形成部材231及び断熱部材234を覆うように、凹部252aの最表面に配置されている。また、内箱252の背面の凹部252a以外の部分には、化粧板233が配置されている。
なお、冷却板232と化粧板233との間には、隙間が設けられている。また、図9(a)には示されていないが、空間保持部231cには、複数の吹き出し口231aが形成されている。この構成により、吹き出し口231aから送出された冷気は、ダクト形成部材231と内箱252との間を通って、冷却板232と化粧板233と隙間から冷蔵室11へと流れる。
このように、ダクト形成部材231の空間保持部231cに溝や開口を設けることで、容易に複数の吹き出し口231aを形成することができる。前述のように、ダクト形成部材31は、板状の部材を加工して形成されている。板状の部材に溝や開口を設けることは容易であり、金型のなどの大掛かりな装置がなくとも、容易に複数の吹き出し口231aを形成することができる。したがって、冷蔵室11の移動式棚221,222,223や仕切棚224,225を異なる製品に展開した場合であっても、それぞれの製品に適切な複数の吹き出し口231aを配置することが容易に可能となる。
なお、図8に示すように、シャワーダクト30の上方部分では、第1の実施形態と同様に、ダクト形成部材231は冷蔵室11の方へ傾斜している。
また、第1の実施形態と同様に、冷蔵室11の上壁とダクト形成部材131の頂点とは、一定の間隔を有して互いに離間している。これにより、冷蔵室11の最上部に、冷気の送出口230aが形成される。図8に示すように、冷気の送出口230aは、内箱252とダクト形成部材231とで形成される。
また、本実施形態に係る冷蔵庫200において、断熱部材234及びその前面に配置された冷却板232は、取り外し可能な構造となっていてもよい。これにより、冷却板232の表面が汚れた場合などに、取り外して洗浄することができる。また、断熱部材234に臭いなどが付着したり、断熱部材234が変形したりした場合などには、断熱部材234を交換することができる。
<冷蔵室の背面構造の変形例について>
図9(b)には、本実施の形態に係る冷蔵庫1の冷蔵室11の背面構造の変形例を示す。図9(b)は、変形例に係る冷蔵庫を、図9(a)と同じ位置で切断した場合の断面構成を示す。
図9(b)に示す冷蔵庫においては、ダクト形成部材231’の形状が、第3の実施形態のダクト形成部材231とは異なっている。それ以外の構成については、第3の実施形態の構成と同じである。
図9(b)に示すように、ダクト形成部材231’は、主として、筒状部231’bと、2つの突出板状部231’cとで構成されている。筒状部231’bは、断面が長方形状の筒型の形状を有している。そして、筒型の内部が、冷却室からの冷気が通るシャワーダクト30となっている。図示はしていないが、筒状部231’bの短手方向の側面に複数の吹き出し口が形成されている。シャワーダクト30を通る冷気は、吹き出し口から冷蔵室11へ送出される。
また、突出板状部231’cは、ダクト形成部材231’の長手方向の一側面に沿って突出している。これにより、一方の突出板状部231’cからダクト形成部材231’の一側面を経て、他方の突出板状部231’cにわたって一枚の板状部材が形成されている。この一枚の板状部材は、第3の実施形態に係るダクト形成部材231の本体部231bと略同等の形状を有している。
そして、発泡スチロールで形成された断熱部材234は、ダクト形成部材231’と冷却板232とで形成された空間内に配置されている。つまり、断熱部材234の表面全体が、ダクト形成部材231’又は冷却板232で覆われており、ダクト及び冷蔵室に露出していない。これにより、シャワーダクト30を通過する冷気を、断熱部材234と接触させることなく、吹き出し口から冷蔵室11へ送出させることができる。
この変形例によれば、内箱252の表面の形状に関係なく冷気通路30を形成できる。したがって、断熱層53の形成時に内箱252の表面が多少変形したとしても、冷気通路30の筒状形状には影響を与えないようにできる。また、筒状部231’bの短手方向の側面に複数の吹き出し口が形成されている。すなわち、ダクト形成部材231’だけで冷気通路30および吹き出し口の形状が定められている。したがって、内箱252や断熱部材234などの変形の影響を受けることなく、冷気通路や吹き出し口の形状を維持できる。
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、冷蔵室11の
背面に形成されたシャワーダクトの構成が第3の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第3の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第4の実施形態では、第3の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第3の実施形態では、ダクト形成部材に冷気を送出する吹き出し口が設けられていた。しかし、本発明は、これに限定されない。そこで、第4の実施形態として、内箱の表面に溝(凹部)を形成することによって吹き出し口を形成する構成について説明する。
図10は、第4の実施形態に係る冷蔵庫300の全体構成を示す正面図である。冷蔵庫300において、各貯蔵室の配置は、第1の実施形態に係る冷蔵庫1と同じである。冷蔵庫300には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体が設けられている。断熱箱体は、主として、外箱51と、内箱352と、これらの間に設けられた断熱層とを備えている。
内箱352は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、第1冷凍室12など)の内壁を形成している。また、図示はしていないが、冷蔵室11の背面側には、冷気の通路であるシャワーダクトが設けられている。シャワーダクトは、硬質プラスチックなどで形成されたダクト形成部材(冷気通路部材)と断熱箱体を構成する内箱352とで、その内径が形成されている。
より具体的には、内箱352は、シャワーダクトの一部を構成する凹部352aが形成されている。そして、この凹部352aを覆うように、板状のダクト形成部材が配置されている。ダクト形成部材と内箱352の凹部352aとの間に形成された空間が、筒状のシャワーダクトとなっている。
また、図10に示すように、内箱352に形成された凹部352aは、その左右両端部に複数の突出した凹部を有している。これら複数の突出した凹部は、凹部352aを覆うように板状のダクト形成部材を配置した場合にダクト形成部材に覆われない箇所を含むことで、シャワーダクトと冷蔵室11との連通部となり、冷気の吹き出し口331aを構成する。このように、内箱352側に吹き出し口331aを構成するための突出した凹部を設けることで、ダクト形成部材の加工を削減することができる。
また、ダクト形成部材の前面側には、発泡スチロール等で形成された断熱部材(図示せず)が設けられている。そして、断熱部材のさらに前面側には、冷却板(板状部材)332が配置されている。冷却板332は、熱伝導率の高い金属板で形成される。冷却板32は、正面形状が矩形の薄い板状の部材であり、冷蔵室11に露出している。すなわち、冷却板332は、冷蔵室11の背面の一部を形成している。
他の実施形態と同様に、冷却板332は、ダクト形成部材との間に形成される空間内に断熱部材を挟み込んだ状態で、係合爪などの係止部材によって、ダクト形成部材又は内箱に脱着可能に取り付けられている。そのため、冷却板332及び断熱部材が汚れた場合には、容易に取り外して洗浄することができる。なお、ダクト形成部材は、ビスなどの固定部材によって内箱352に固定されている。そのため、冷却板332及び断熱部材の脱着を行う際に、ダクト形成部材は、冷蔵庫300の本体から容易に取り外せない構成とすることができる。
また、冷蔵室11の背面には、冷却板332の周囲を取り囲むように、表面に装飾が施された化粧板333が配置されている。冷蔵室11の背面が、化粧板333によって覆われていることにより、冷蔵室11内の美感を向上させることができる。
<第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、冷蔵室11の背面に形成されたシャワーダクトの構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第5の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態では、ダクト形成部材の上方部分に冷気を送出する送出口が設けられていた。しかし、本発明は、この構成に限定されない。そこで、第5の実施形態として、ダクト形成部材の正面部分に冷気の吹き出し口が設けられている構成について説明する。
図11には、第5の実施形態に係る冷蔵庫400の全体構成を示す。冷蔵庫400において、各貯蔵室の配置は、第1の実施形態に係る冷蔵庫1と同じである。冷蔵庫400には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体が設けられている。断熱箱体は、主として、外箱51と、内箱452と、これらの間に設けられた断熱層とを備えている。内箱452は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、第1冷凍室12など)の内壁を形成している。
図12には、冷蔵庫400の背面部分の断面構成を示す。この図は、図11に示す冷蔵庫400のY−Y線部分の断面図に相当する。図12に示すように、冷蔵室11の背面側には、冷気の通路であるシャワーダクト430が設けられている。シャワーダクト430は、硬質プラスチックなどで形成されたダクト形成部材(冷気通路部材)431と断熱箱体を構成する内箱452とで、その内径が形成されている。
また、ダクト形成部材431の外側には、発泡スチロールなどで形成された断熱部材434が、ダクト形成部材431を覆うように配置されている。断熱部材434は、ダクト形成部材431の外形に合わせて成形されている。また、図11に示すように、ダクト形成部材431の正面には、複数の冷気の吹き出し口431aが設けられている。図12に示すように、吹き出し口431aは、断熱部材434を貫通するように前方に突出して形成されている。
断熱部材434の外側には、硬質プラスチックなどで形成された外被材432が、断熱部材434を覆うように配置されている。外被材432には、ダクト形成部材431の吹き出し口431aと対応する位置に、穴が形成されている。外被材432は、例えば、第1の実施形態で説明した冷却板32と同じ素材で形成することができる。
他の実施形態と同様に、外被材432は、ダクト形成部材431との間に形成される空間内に断熱部材434を挟み込んだ状態で、係合爪などの係止部材によって、ダクト形成部材431又は内箱452に脱着可能に取り付けられている。そのため、外被材432及び断熱部材434が汚れた場合には、容易に取り外して洗浄することができる。なお、ダクト形成部材431は、ビスなどの固定部材によって内箱452に固定されている。そのため、外被材432及び断熱部材434の脱着を行う際に、ダクト形成部材431は、冷蔵庫400の本体から容易に取り外せない構成とすることができる。
また、発泡スチロールで形成された断熱部材434は、ダクト形成部材431と外被材432とで形成された空間内に配置されている。つまり、断熱部材434の表面全体が、ダクト形成部材431又は外被材432で覆われており、シャワーダクト及び冷蔵室に露出していない。また、本実施形態に係る冷蔵庫400では、シャワーダクト430は、ダクト形成部材431と内箱452とで形成されている。さらに、冷気の吹き出し口431
aは、ダクト形成部材431の一部として形成されている。
これにより、シャワーダクト430を通過する冷気を、断熱部材434と接触させることなく、吹き出し口431aから冷蔵室11へ送出させることができる。したがって、シャワーダクト及び冷蔵室に臭いが付着することを抑えることができる。
なお、本実施形態に係る冷蔵庫400においては、冷蔵室11の背面に相当する内箱452の内壁は、平坦な形状となっている。そして、内箱452の平坦な表面から突出するように、ダクト形成部材431及び外被材432などが配置されている。そのため、冷蔵室11内に配置される各移動式棚421,422,423及び各仕切棚424,425には、外被材432の形状に合わせて、背面側の端部に凹み(例えば、図12に示す凹み421a)が形成されている。
<第6の実施形態>
続いて、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、ダクト形成部材の構成が第5の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第5の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第6の実施形態では、第5の実施形態とは異なる点のみを説明する。
図13には、第6の実施形態に係る冷蔵庫に備えられたダクト形成部材531を示す。ダクト形成部材531は、断熱箱体を構成する内箱の内壁に取り付けられる。第5の実施形態と同様に、本実施形態に係る冷蔵庫に備えられたシャワーダクト530は、硬質プラスチックなどで形成されたダクト形成部材(冷気通路部材)531と内箱とで、その内径が形成される。
また、ダクト形成部材531の外側には、発泡スチロールなどで形成された断熱部材が、ダクト形成部材531を覆うように配置される。断熱部材は、ダクト形成部材531の外形に合わせて成形される。また、図13に示すように、ダクト形成部材531の側面には、複数の冷気の吹き出し口531aが設けられている。吹き出し口531aは、断熱部材を貫通するように形成されている。
断熱部材の外側には、硬質プラスチックなどで形成された外被材が、断熱部材を覆うように配置される。外被材には、ダクト形成部材531の吹き出し口531aと対応する位置に、穴が形成される。
他の実施形態と同様に、外被材は、ダクト形成部材531との間に形成される空間内に断熱部材を挟み込んだ状態で、係合爪などの係止部材によって、ダクト形成部材531又は内箱に脱着可能に取り付けられている。そのため、外被材及び断熱部材が汚れた場合には、容易に取り外して洗浄することができる。なお、ダクト形成部材531は、ビスなどの固定部材によって冷蔵庫の本体に固定されている。そのため、外被材及び断熱部材の脱着を行う際に、ダクト形成部材531は、冷蔵庫の本体から容易に取り外せない構成とすることができる。
以上の構成によれば、シャワーダクト530を通過する冷気を、断熱部材と接触させることなく、吹き出し口531aから冷蔵室11へ送出させることができる。したがって、シャワーダクト及び冷蔵室に臭いが付着することを抑えることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される
。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。