立体自動倉庫は、少なくとも、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚と、この格納棚の物品等の出し入れ可能な格納面に隣接した物品等の移動手段とから構成されている。一般的には、格納棚が物品等の出し入れ可能な格納面で所定の空間を隔てて対峙されており、その空間に物品等の移動手段が配設された格納設備が構成単位となっている立体自動倉庫や、物品等の出し入れ可能な格納面の反対面で隣接する1組の格納棚が所定の区間を隔てて対峙されており、その空間に物品等の移動手段が配設された格納設備が構成単位となっている立体自動倉庫等がある。
そして、上記物品等の移動手段の違いによって様々な立体自動倉庫がある。例えば、スタッカクレーン等を物品等の移動手段とし、格納棚の水平長手方向(X軸方向)及び垂直方向(Y軸方向)に物品等の自在な往復移動を可能にした立体自動倉庫(例えば、特許文献1や2)や、Y軸方向の各段に設けられた走行台車と格納棚間の所定の空間に設けられた昇降機とを物品等の移動手段とし、走行車が格納棚のX軸方向への物品等の自在な往復移動を、昇降機がY軸方向の物品等の自在な往復移動をそれぞれ担う立体自動倉庫(例えば、特許文献3、4、及び、非特許文献1)等がある。
前者に相当する立体自動倉庫の一例として、スタッカクレーン型立体自動倉庫Iの概要を図1に示す。XY軸方向に碁盤目状に区画されてなる物品等Pを格納するLn列の格納棚とこの格納棚の物品等Pnを出し入れ可能な格納面の反対面で隣接するLn’列の格納棚とを備えた格納設備が、所定の空間8を隔ててLn+1列の格納棚と対峙しており、その空間8にスタッカクレーン1が配設されている。このスタッカクレーン1は、クレーンマスト2、クレーン台車3、下部走行レール4、上部走行レール5、スタッカクレーン物品等載置台6から構成され、この載置台6には、載置台6とLn’列及びLn+1列の格納棚との物品等Pの受渡しを行う、例えば、伸縮アーム7が備えられている。従って、スタッカクレーン型立体自動倉庫Iは、スタッカクレーンによる格納棚のXY軸方向の物品等Pの自在な往復移動と、伸縮アーム7による空間8を隔てて対峙する格納棚間の横断方向(Z軸方向)の物品等Pの往復移動とが可能である。そして、物品等Pの格納設備への搬出入は搬出入装置9で行われる。
一方、後者に相当する立体自動倉庫の一例として、物品等の出し入れ可能な格納面で対峙する格納棚の空間にX軸方向に往復移動する走行台車とその空間にY軸方向に往復移動する昇降機(リフター)とを備えた立体自動倉庫IIの概要を図2に示す(非特許文献1)。XY軸方向に碁盤目状に区画されてなる物品等を格納するLn-1列の格納棚とこの格納棚の物品等を出し入れ可能な格納面で対峙するLn列の格納棚とが、所定の空間8を隔てて対峙しており、その空間8に、格納棚のX軸方向の物品等の往復移動が可能となる走行台車10及びそのレール14が各段に設けられている。この走行台車10には、走行台車10とLn−1列及びLn列の格納棚との物品等の受渡しを行う、例えば、伸縮アーム(図示されていない)が備えられている。それと共に、Y軸方向に物品等の往復移動が可能となる物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−1が空間8に配設されている。更に、X軸方向とY軸方向との物品等の自在な往復移動を媒介するため、走行台車10と物品等載置搬送台12との物品等の受け渡しを行う仮置き搬送台13が各段の格納棚に設けられている。通常、これらの設備を有する立体自動倉庫が一つの単位となり、Ln+1列及びLn+2列の格納棚を含む格納設備のように、複数配列されている。従って、走行台車10、物品等載置搬送台12を有する昇降機11−1、及び、物品等載置台12を備えた立体自動倉庫IIでは、これらの移動手段によるXY軸方向の物品等の自在な往復移動と、伸縮アーム7による空間8を隔てて対峙する格納棚間のZ軸方向の物品等Pの往復移動とが可能である。そして、物品等の格納棚への搬出入は、搬入装置9−1及び搬出装置9−2によって行われる。
図2に示した対峙する格納棚間の空間でXY軸方向に往復移動する走行台車を備えた立体自動倉庫IIにおいても、図1に示したスタッカクレーン型の立体自動倉庫Iと同様に、例えば、図3及び図4に示すように、格納棚Ln列の物品等を出し入れ可能な格納面の反対面で隣接する格納棚Ln’列が設けられ、この隣接する格納棚を1組とする格納設備が複数配列される場合もある。この場合、図3の平面図から明らかなように、各格納設備の間に、すなわち、格納棚Ln’列とLn+1列、格納棚Ln+1’列とLn+2列の間に、物品等Pの出し入れができる、例えば、伸縮アーム(図示されていない)が備えられている走行台車10、そのレール14、及び、物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−1が、各格納設備の間(空間8)に設置され、XY軸方向の物品等の往復移動、空間8を隔てて対峙する格納棚間におけるZ軸方向の物品等の往復移動が自在に可能である。
ところで、近年、インターネットの発達により、多品種の製品を大量かつ迅速に配送するという社会的要請が高まり、それに応える物流合理化、すなわち、物流革命が急速に進展している。このような事情に対応するため、大量かつ多品種の物品等を格納可能で、高い入出庫能力を有し、設備コストを抑えた立体自動倉庫が求められている。
そのため、従来の立体自動倉庫において、物流革命に応えるため、種々の対策が検討されている。まず、大量かつ多品種の物品等を格納するために、立体自動倉庫の構成単位をZ軸方向に増設する、すなわち、並列に配置する方法が考えられるが、スタッカクレーン、走行台車、昇降機、搬出入装置等が単純に倍増していくため、設備コストが莫大なものとなってしまうという問題がある。そして、入出庫能力の向上は望めない。また、格納棚の段数を増設する方法も考えられるが、建屋や昇降機の高さに起因する設備コストの増加や、昇降行程の長さ等に起因する入出庫能力の低下の問題が生じる。
更に、図2や図3及び図4に示した走行台車と昇降機を移動手段とする立体自動倉庫については、立体自動倉庫の構成単位を並列に並べるのではなく、図5に示したように、XY軸方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚の各段の一端に仮置き搬送台を備えた格納設備が、その格納棚の格納面の反対面で隣接した一組の格納設備を形成して所定の空間を隔てて対峙する一組の格納単位と走行台車とを、昇降機が並ぶ横断軸(Z軸)に対して対称に増設する、すなわち、直列に配置するタンデム方式も提案されている(特許文献5)。この方法は、昇降機の台数を増加させることがないため、設備コストを低減することができる。その上、昇降機11−1に備えられた一台の物品等載置搬送台12に、走行台車10と物品等載置搬送台12との物品等の受け渡しを行う仮置き搬送台13が二台備えられることになり、物品等載置搬送台12と仮置き搬送台13との物品等の往復移動が倍増し、入出庫能力の向上も図ることができる。
しかしながら、格納棚L及び走行台車10に対する昇降機11−1の台数が半減するため、入出庫能力、特に、Y軸方向の物品等の往復移動が低下するという問題を避けることが困難であり、上記物品等載置搬送台12と仮置き搬送台13との物品等の往復移動の倍増は、仮置き搬送台13の物品等による占有率を高めることも意味し、入出庫能力を低下させる要因ともなる。このように、設備コストを抑え、入出庫能力を低下させることなく、大量かつ多品種の物品等を格納可能な立体自動倉庫は見出されていない。
一方、図1及び図2等の従来の立体自動倉庫では、各格納設備の間(空間8)に設置され、XY軸方向の物品等の往復移動、空間8を隔てて対峙する格納棚間におけるZ軸方向の物品等の往復移動が自在に可能であるが、格納面の反対面で隣接する格納棚間の物品等の移動は困難である。従って、倉庫内での仕分けができないので、予め設定された順序通りに出庫させる順出しを行うためには、時間調整や仕分けするためのコンベアを配備しなければならず、出庫部付近を中心とした大きなスペースが必要であるという問題がある。更に、従来の入出庫作業が自動化された立体自動倉庫の出庫部における物品の処理、例えば、物品の品種別、送付先方面別、顧客別などの分類、保管庫内の物品の再配置、整理・整頓、処分等の仕分け作業を効率的に行うことまで考慮された立体自動倉庫は認められない。特に、上記立体自動倉庫の課題が解決された場合、格納面の反対面で隣接する格納棚間の物品等の移動による立体自動倉庫内での物品の仕分けが可能となり、予め設定された順序通りに出庫させる順出し機能が向上するため、時間調整や仕分けするためのコンベアが不要となると共に、出庫処理能力を大幅に向上させる必要が出てくる。
本発明の課題は、上述したようなインターネット社会における多品種の製品を大量かつ迅速に配送するという近年の物流に対する要請である物流合理化、すなわち、物流革命に応えるため、大量かつ多品種の物品等を格納可能で、高い入出庫能力を有し、設備コストを抑えた立体自動倉庫を提供することである。更に、格納面の反対面で隣接する格納棚間の物品等の自在な移動ができ、倉庫内における物品等の整理・整頓や仕分け等が容易に行えると共に、出庫作業における物品等の効率的な処理が行える立体自動倉庫を提供することである。
本発明者らは、昇降機が並ぶ横断軸(Z軸)を対称軸として、立体自動倉庫の構成単位である、格納棚、物品等載置搬送台を備えた昇降機、移動手段、移動手段の移動空間、仮置き搬送台等を直列に配置した、すなわち、タンデム方式の立体自動倉庫(図5)において、物品等載置搬送台、仮置き搬送台、昇降機、移動手段の処理能力を精査し、物品等載置搬送台及び仮置き搬送台への方向変換機構の付与、昇降機の増設、移動手段の処理速度の向上により、大量かつ多品種の物品等を格納可能で、高い入出庫能力を有し、設備コストを抑えた立体自動倉庫を構築できる上、倉庫内における物品等の整理・整頓や仕分け等が容易に行えると共に、出庫作業における物品等の効率的な処理が行える立体自動倉庫を創出できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の立体自動倉庫の第一の態様は、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚の各段の一端に方向変換機構を有する仮置き搬送台を備えた格納設備が所定の空間で対峙して形成される一組の格納単位と、その空間に設けられた垂直方向に往復移動が可能な方向変換機構を有する物品等載置搬送台を備えた昇降機と、その一組の格納単位の各段の空間に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な移動手段とを備え、昇降機の両側に、物品等載置搬送台と仮置き搬送台とが隣接するように一組の格納単位が配置されると共に、移動手段も隣接するように配置される立体自動倉庫の構成単位を少なくとも一つ備えていることを特徴とする立体自動倉庫である。
従来のタンデム方式の立体自動倉庫においては、隣接する仮置き搬送台間及び隣接する物品等載置搬送台間の物品等の移動ができなかったが、これらに方向変換機構を備えることによって可能となり、格納棚及び移動手段に対する昇降機の台数が半減することによって生じる仮置き搬送台の物品等の占有率の上昇を効果的に抑制することができるため、入出庫能力を向上させることができる。
本発明の立体自動倉庫の第二の態様は、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚の各段の一端に仮置き搬送台を備えた格納設備が所定の空間で対峙して形成される一組の格納単位の仮置き搬送台と、一組の格納単位の各段の空間に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な移動手段とが、空間に設けられた垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台を備えた昇降機に隣接するように形成される立体自動倉庫の基本構成単位が格納棚で連接されて立体自動倉庫の構成単位を成し、それを少なくとも一つ備えていることを特徴とする立体自動倉庫である。
上記第二の態様の立体自動倉庫は、一組の格納単位と移動手段が直列に配列された従来の立体自動倉庫の構成単位において半減した格納棚及び移動手段に対する昇降機の台数が倍増するため、垂直方向の物品等の往復移動が低下するという問題や、仮置き搬送台の物品等による占有率が高くなるという問題を解消することができる。更に、隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台及び隣接する少なくとも一組の仮置き搬送台に方向変換機構を付与することが、入出庫能力を高める上でより好ましい。
本発明の第三の態様は、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚の各段の一端に仮置き搬送台を備えた格納設備が所定の空間で対峙して形成される一組の格納単位と、その空間外に設けられた垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台を備えた昇降機と、一組の格納単位の各段の空間に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な移動手段とを備えた立体自動倉庫の構成単位を少なくとも一つ備えていることを特徴とする立体自動倉庫である。更に、入出庫能力を高めるため、隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台及び隣接する少なくとも一組の仮置き搬送台に方向変換機構を付与することがより好ましく、空間外に、昇降機を少なくとも2台以上備えることがより更に好ましい。
このような立体自動倉庫の構成では、移動手段が、昇降機によって遮断されることなく、水平長手方向の格納棚の格納面の全領域に亘って走行でき、水平長手方向の物品等の往復移動が拡がるため、格納設備に設ける昇降機の位置、大きさ、形状等によっては、物品等載置搬送台と移動手段との物品等の往復移動が可能になる、すなわち、物品等載置搬送台が仮置き搬送台の役割を果たすので、仮置き搬送台を低減することができる。
このように、水平長手方向の物品等の往復移動が拡がることによって、従来のタンデム方式の立体自動倉庫において課題となった水平長手方向の物品等の往復移動能力の低下、及び、物品等による仮置き搬送台の占有率の上昇という問題を解消することができ、入出庫能力が高まる。逆に、同じ入出庫能力であれば、仮置き搬送台を低減できる。また、移動手段を増加させるだけで、入出庫能力を高めることが可能となり、設備コストの低減も図ることができる。ただし、移動手段の衝突を回避する制御システムを設ける必要がある。
本発明の第四の態様は、上記第二の態様と第三の態様を組み合わせたことを特徴とする立体自動倉庫であり、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚の各段の一端に仮置き搬送台を備えた格納設備が所定の空間で対峙して形成される一組の格納単位の仮置き搬送台と、その一組の格納単位の各段の空間に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な移動手段とが、一組の格納単位に形成された空間に設けられた垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台を備えた昇降機に隣接して形成される立体自動倉庫の基本構成単位が格納棚で連接された立体自動倉庫の構成単位において、垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台を有する昇降機が空間外に備えられたことを特徴とする立体自動倉庫である。
この第四の態様の立体自動倉庫は、昇降台の台数が倍増した第二の態様と、一組の格納単位に形成された空間外に昇降機を設けることによって移動手段の領域が拡大した第三の態様の効果が相乗的に発現するものである。
更に、第四の態様の立体自動倉庫においても、入出庫能力を高める上で、隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台及び仮置き搬送台が方向変換機構を有することが好ましい。
以上の態様において適用される方向変換機構付き搬送手段とは、物品等の分岐及び合流する機能を発現できる各種機構を備えた装置であり、コンベヤに昇降式及び/又は回転式のローラやベルト等の方向変換させる機能部品を備えた装置、コンベヤ自体が回転する機能部品を備えた装置、コンベヤの側面に物品等の方向変換させる機能部品を備えた装置等、搬送装置で分岐及び合流搬送が可能な一般的な装置を全て使用することが可能である。特に、直角に分岐可能な搬送装置が好ましい。コンベヤに昇降式ローラやベルトの方向変換機構部品を備えているものがより更に好ましい。
そして、以上の立体自動倉庫の格納容量は、使用用途や目的や応じ、それぞれの立体自動倉庫の構成単位を横断軸方向に複数並列に配置することによって、適正に設定することができる。
本発明の第五の態様は、上記立体自動倉庫において、昇降機と、物品等載置搬送台と、仮置き搬送台とを含む入出庫部の入庫部及び/または出庫部の近くに集品容器提示部が設けられていることを特徴とする立体自動倉庫である。そして、この入出庫部は、物品等の移動の自由度という観点から、搬出入装置が含まれることが好ましい。この搬出入装置は、図1及び図2に示した一般的な搬出入を行うコンベア等の移載装置であるが、物品等の自在な移動を行うため、正逆搬送機構、分岐搬送機構、合流搬送機構、および、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するコンベアで構成されているものが好ましい。
集品容器提示部は、作業者またはロボットなど(以下、「作業者」という。)が実質的に移動することなく、格納棚から入出庫部に供給されてきた物品等を処理できる手段であって、段ボール箱やオリコン等の集品容器や袋やハンガー等の箱状でない容器を順次供給及び搬出するコンベアゾーンであれば特に限定されるものではないが、集品容器提示部は、種々の集品容器の供給部及び搬出部に接続されていることが好ましい。
ここで、入出庫部と集品容器提示部との位置関係を示す「近く」とは、作業者が実質的に移動することなく、入出庫部に供給されてきた物品等を取り出し、その取り出した物品等を集品容器に投入或は処理しうることが可能であることを意味する。
本発明の第六の態様は、上記立体自動倉庫において、入出庫部の入庫部及び/または出庫部に物品等提示部を設け、物品等提示部の近くに集品容器提示部が設けられていることを特徴とする立体自動倉庫である。更に、物品等提示部に延長搬送手段が接続されていることが好ましい。
本発明に係る物品等提示部は、出庫のための物品等が供給される移載装置であって、入出庫部の一部を形成し、物品の処理、例えば、物品を品種別、送付先方面別、顧客別などに分ける仕分け、倉庫内の物品の再配置、整理、処分などを行うために、物品等が格納棚から供給される。この物品等提示部を設けることによって、立体自動倉庫の物品等の出庫作業における物品の仕分け作業、並びに、倉庫内の物品の仕分け作業の自由度を高めることができる。そのため、この移載装置は、正逆搬送機構、分岐搬送機構、合流搬送機構、および、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有するコンベアで構成されているものが好ましい。
この場合も、集品容器提示部は、種々の集品容器の供給部及び搬出部に接続されていることが好ましい。また、物品等提示部と集品容器提示部との位置関係を示す「近く」とは、作業者が実質的に移動することなく、入出庫部に供給されてきた物品等を取り出し、その取り出した物品等を集品容器に投入或は処理しうることが可能であることを意味する。
更に、このような物品等提示部は、コンベア等の延長搬送手段を介して設置されることができる。この延長搬送手段によって、物品等提示部は、倉庫の省スペース化や適正なレイアウト及び動線の構築等の種々の目的に応じて設置できる。例えば、作業者による物品の処理を格納棚の近辺で行う必要はなく、格納棚から離れたところで行う方が好ましい場合には、すなわち、集品容器提示部を格納棚から離れたところに設置する方が好ましい場合には、物品等提示部にコンベア等の搬送手段を連接させて延長させることができる。また、同様に、作業者による物品の処理を、格納棚と同一階で行う必要はなく、その階下あるいは階上で行うことが好ましい場合には、すなわち、集品容器提示部を格納棚の階下あるいは階上に設置する方が好ましい場合には、物品等提示部及び集品容器提示部を階下又は階上に設置することができる。この場合には、リフトを用いた上下搬送を利用することが好ましい。
一方、このような立体自動倉庫における物流は、従来の一般的な方法、すなわち、膨大な入荷、出荷、及び、在庫データを保有する中央情報システムに基づいた様々な制御システムによって制御され、コンベヤ、昇降機、移動手段、周辺装置等の一連の動作が連動して行われる。
本発明により、昇降機が並ぶ横断軸を対称軸として、立体自動倉庫の構成単位である格納棚、昇降機、移動手段、移動手段の移動空間、仮置き搬送台等を直列に配置したタンデム方式の立体自動倉庫において、物品等載置搬送台間及び仮置き搬送台間の物品等の移動、昇降機の増設、移動手段の領域の拡大により、大量かつ多品種の物品等を格納可能で、高い入出庫能力を有し、設備コストを抑えた立体自動倉庫を構築できる。
また、物品等載置搬送台間及び仮置き搬送台間の物品等の移動ができる立体自動倉庫は、倉庫内での物品の仕分けが可能となり、予め設定された順序通りに出庫させる順出し機能が向上する。従って、従来必要とした時間調整や仕分けするためのコンベアが不要となり、省スペース化を図れると共に、出庫処理能力を大幅に向上させることができる。
更に、本発明の、入出庫部と集品容器提示部、物品等提示部と集品容器提示部、或は、物品等提示部と延長搬送手段と集品容器提示部から構成される出庫搬送方式を備えた上記立体自動倉庫によれば、格納設備全領域から物品等を任意の入出庫部に搬出入することができるので、格納設備全領域から物品等提示部に搬送されてきた所望の物品等を、作業者(又はロボット等)が実質的に移動することなく、その近くに備えた集品容器提示部を用いて効率的に処理することができる。しかも、このような物品等提示部及び集品容器提示部を配置する場所を自由に設定できるので、倉庫の省スペース化や適正なレイアウト及び動線の構築を図ることが可能となる。
以上、本発明の立体自動倉庫によれば、大量かつ多品種の物品等を格納可能で、高い入出庫能力を有し、設備コストを抑えた立体自動倉庫を構築できる上、倉庫内における物品等の整理・整頓や仕分け等が容易に行え、出庫作業における物品等の効率的な処理が可能となる。
以下、本発明を、図面に示した一実施形態を用いてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
本発明は、物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−1が並ぶ横断軸を対称軸として、立体自動倉庫の構成単位である、格納棚L(Ln、Ln’、Ln+1’、Ln+2)、物品等載置搬送台を備えた昇降機11−1、走行台車10、走行レール14、走行空間8、仮置き搬送台13等を直列に配置した図5に示すようなタンデム方式の立体自動倉庫において、物品等載置搬送台12、仮置き搬送台13、昇降機11−1、走行台車10の処理能力を向上させることによって、格納容量の減少及び設備コストの高騰を来たすことなく、このような立体自動倉庫の問題点である入出庫能力の低下を解決する手段を提供するものである。
図6は、図5に示す立体自動倉庫の平面図を簡略化したもので、以後、本発明の実施形態を説明するために用いる。図6に示す従来のタンデム方式の立体自動倉庫は、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚Ln’の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備と同様に区画されてなる格納棚Ln+1の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備とが所定の空間8を隔てて対峙する一組の格納単位と、その一組の格納単位に形成された空間8に設けられた垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−1と、一組の格納単位の各段の空間8に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な走行台車10と、走行レール14とを備え、昇降機11−1の両側に物品等載置搬送台12と仮置き搬送台13とが対称的に隣接するように一組の格納単位が配置されると共に、昇降機11−1の両側に走行台車10が対称的に隣接するよう配置されている。このような立体自動倉庫の構成単位は、通常、横断軸に沿って並列に複数配列される場合もあるが、格納容量の観点から、図6に示すように、格納棚Ln’の格納面の反対面で格納棚Lnが隣接するように複数配列されることが多い。なお、物品等の搬出入は、図1や図2に示されたコンベア等の一般的な装置や方法で行われ、少なくとも、昇降機11−1、昇降機11−1に備えられた物品等載置搬送台、及び、仮置き搬送台13が、物品等を格納棚に出し入れする受渡しとなる入出庫部SRとして機能する。
このような図6に示す立体自動倉庫において、請求項1に包摂される本発明の一実施形態を図7に示す。図6における横断軸方向に隣接する一組の物品等載置搬送台12及び仮置き搬送台13を、それぞれ、図7では、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15及び直角分岐機構付き仮置き搬送台16に改良した。直角分岐機構を付与することによって、物品等載置搬送台15間及び仮置き搬送台16間の横断軸方向の物品等の移動が可能となり、図6に示す立体自動倉庫における仮置き搬送台の物品等の高い占有率を解消することが可能となるだけでなく、格納面の反対面で隣接する格納棚、例えば、Ln Ln’間の物品等の自在な往復移動も可能となり、立体自動倉庫の入出庫能力が向上する。このような直角分岐機構を備えた一組の物品等載置搬送台及び一組の仮置き搬送台は、立体自動倉庫の入出庫能力を考慮して、導入台数を決定すればよく、図7に示すように、全ての物品等載置搬送台及び仮置き搬送台に直角分岐機構を備える必要はない。しかも、昇降式ローラや昇降式コンベヤ等のような直角分岐機構に代表される方向変換機構を付与するだけであるため、取り外しが可能であり、導入数を自在に制御でき、設備コストを高騰させることはない。
図6に示す立体自動倉庫において、請求項2に包摂される本発明の一実施形態を図9に示す。この立体自動倉庫は、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚Ln’の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた一組の格納設備と同様に区画されてなる格納棚Ln+1の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備とが所定の空間8を隔てて対峙して形成される一組の格納単位、及び、その一組の格納単位の各段の空間8に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な走行台車10が、それぞれ、一組の格納単位に形成された空間8に設けられた垂直方向に往復移動が可能な昇降機11−1に備えられた物品等載置搬送台12、及び、昇降機11−1に隣接するように配置して立体自動倉庫の基本構成単位が形成され、その基本構成単位が、格納棚同士で連接され、立体自動倉庫の構成単位が形成されることを特徴としている。特に、走行台車10が、格納棚Ln’ 及び格納棚Ln+1の格納棚の格納面全面に亘って移動可能なように走行レール14が敷設されていることに本発明の意義がある。
これに対し、図8に示すように、水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚Ln’の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた一組の格納設備と同様に区画されてなる格納棚Ln+1の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備とが所定の空間8を隔てて対峙して形成される一組の格納単位、及び、その一組の格納単位の各段の空間8に設けられた水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な走行台車10が、それぞれ、一組の格納単位に形成された空間8に設けられた垂直方向に往復移動が可能な昇降機11−1に備えられた物品等載置搬送台12、及び、昇降機11−1に隣接するように配置した立体自動倉庫の基本構成単位は、昇降機11−1が隣接するように配置することも出来る。しかし、この場合、図3に示したように、格納棚Ln列の物品等を出し入れ可能な格納面の反対面で隣接する格納棚Ln’列が設けられ、この隣接する格納棚Ln及びLn’を1組とする格納設備が、昇降機11−1と共に複数並列に配置される従来の立体自動倉庫と何ら変わりがなく、直列に配置する意義が認められない。
つまり、図9に示す本発明の一実施形態では、走行台車10が、格納棚Ln’とLnの格納面間に形成される空間8を、図8のように昇降機11−1で遮断されることなく走行できるため、物品等を往復移動させる処理能力が向上する。また、この立体自動倉庫は、図6に示す従来のタンデム方式の立体自動倉庫と比較して、格納棚及び走行台車10に対する昇降機11−1の数が倍増しており、入出庫能力は飛躍的に向上している。従って、本発明のタンデム方式の立体自動倉庫は、図6に示す従来のタンデム方式の立体自動倉庫よりも昇降機11−1が多く、設備コストを押し上げることになるが、入出庫能力が圧倒的に上回るため、両者のバランスが取れた立体自動倉庫を提供することができる。
更に入出庫能力を向上させることができる、請求項3に包摂される本発明の一実施形態を図10に示す。図9に示すタンデム方式の立体自動倉庫の両端に、入出庫部SRを構成する昇降機11−1、昇降機11−1に備えられた物品等載置搬送台12、仮置き搬送台13を配置した立体自動倉庫において、図7同様、横断軸方向に隣接する一組の物品等載置搬送台12及び仮置き搬送台13を、それぞれ、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15及び直角分岐機構付き仮置き搬送台16にするものであり、横断軸方向の物品等の自在な往復移動によって、入出庫能力が向上する。
次いで、請求項4に包摂される本発明の一実施形態を図11に示す。水平長手及び垂直方向に碁盤目状に区画されてなる格納棚Ln’の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた一組の格納設備と同様に区画されてなる格納棚Ln+1の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備とが所定の空間8を隔てて対峙して形成される一組の格納単位があって、その一組の格納単位の空間外に設けられた垂直方向に往復移動が可能な物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−2が仮置き搬送台13と物品等載置搬送台12とが隣接するように配置され、一組の格納単位の各段に形成された空間8には、水平長手方向の往復移動と物品等の出し入れとが可能な走行台車10が、格納棚の格納面、仮置き搬送台13、物品等載置搬送台12の全領域を走行可能なように走行レール14が敷設されている。そして、上記一組の格納単位と、その空間外に設けられた物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−2、走行台車10、走行レール14からなる立体自動倉庫の構成単位は、格納棚Ln’の格納面の反対面で格納棚Lnが隣接するように複数配列されることが好ましい。
更に詳しくは、請求項4に包摂される本発明の一実施形態を図12(平面の模式図)及び図13(断面の模式図)を用いて説明する。図12から分かるように、立体自動倉庫の水平長手(X)方向全領域に走行レール14が敷設され、走行台車10がX方向に自由自在に走行できるように、格納棚Ln’ とLn+1とが対峙する空間外、並びに、仮置き搬送台13及び物品等載置搬送台12が対峙する空間外に物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−2が設置されている。しかも、図13から分かるように、昇降機11−2に備えられた物品等載置搬送台12は、垂直(Y)方向にも自由自在に昇降できるように設置される。従って、Y方向の物品等の移動に支障なく、X方向全領域の物品等の移動を効率的に行うことができるため、従来のタンデム方式の立体自動倉庫と同数の昇降機及び走行台車にも関わらず、入出庫能力を高めることが可能となる。
また、格納棚Ln’とLn+1とが対峙する空間、並びに、仮置き搬送台13及び物品等載置搬送台12が対峙する空間外に設置される昇降機は、図12、図13、及び、図14に示すように、格納棚Ln’とLnが格納面の反対面で隣接する境界領域の延長線上に設置される昇降機11−2だけでなく、格納棚Ln’とLn+1とが対峙する空間、並びに、仮置き搬送台13及び物品等載置搬送台12が対峙する空間と隣接する領域に設置される昇降機11−3、更に、格納棚Ln’とLn+1とが対峙する空間、並びに、仮置き搬送台13及び物品等載置搬送台12が対峙する空間と隣接する領域に分割して設置される昇降機11−4であってもよく、これらに限定されるものではない。
特に、図15に示すように、昇降機11−2、11−3、11−4が設置されることによって、走行台車の物品等の処理能力が向上される上、特に、分割された昇降機11−4の場合には、物品等載置搬送台12においても走行台車10との物品の移動を行えるため、仮置き搬送台の占有率が低下するので、仮置き搬送台の数を少なくすることができ、設備コストを低減できる。
更に、図には示していないが、請求項5に包摂される本発明の一実施形態は、図16に示す、隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台12及び隣接する少なくとも一組の仮置き搬送台13に直角分岐機構を付与するものである。格納棚の横断方向の物品等の自在な往復移動が可能となり、入出庫能力を高める上でより好ましい。
また、図17には、請求項6に包摂される本発明の一実施形態を示す。物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−2を、格納棚Ln’の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた一組の格納設備と格納棚Ln+1の各段の一端に仮置き搬送台13を備えた格納設備とが所定の空間8を隔てて対峙して形成される一組の格納単位と、その一組の格納単位の空間外に設けられた物品等載置搬送台12を備えた昇降機11−2と、その一組の格納単位の各段に形成された空間8を移動する走行台車10とからなる立体自動倉庫の構成単位あたりに、2台以上設置した立体自動倉庫である。入出庫能力を向上させる上で、より更に好ましい。このことによっても、物品等の処理能力が高まるため、図17に示したように、仮置き搬送台13の数を低減することができ、入出庫能力に比して設備コストを下げられる。
図18及び図20は、請求項7に包摂される本発明の一実施形態を示す。図18は、図9に示した本発明の一実施形態と、図11に示した本発明の一実施形態を組み合わせたものであり、図20は、図9に示した本発明の一実施形態と、図16に示した本発明の一実施形態を組み合わせたものである。両者の相乗効果により、極めて入出庫能力の高い立体自動倉庫となるため、図19及び図21に示すように、仮置き搬送台13の台数を低減でき、入出庫能力に比して設備コストを下げることが可能である。
更に、図22及び図23には、請求項8に包摂される本発明の一実施形態を示す。隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台12及び隣接する少なくとも一組の仮置き搬送台16に直角分岐機構を付与するものである。図22は、立体自動倉庫の構成単位の空間外に設置する昇降機11−2が、格納棚Ln’ とLnが格納面の反対面で隣接する境界領域の延長線上にある場合で、隣接する少なくとも一組の仮置き搬送台だけに直角分岐機構を付与するものである。図23は、立体自動倉庫の構成単位の空間外に設置する昇降機11−2が、格納棚Ln’ とLn+1とが対峙する空間、並びに、仮置き搬送台13及び物品等載置搬送台12が対峙する空間と隣接する領域にある場合で、隣接する少なくとも一組の物品等載置搬送台にも直角分岐機構を付与するものである。この結果、格納棚の横断方向の物品等の自在な往復移動が可能となり、入出庫能力を飛躍的に高めることができる。従って、図示していないが、仮置き搬送台の数を低減でき、入出庫能力に比して設備コストを下げることが可能である。
次いで、図24以降では、出庫作業における物品等の効率的な仕分け作業が可能となる立体自動倉庫、すなわち、本発明に係る立体自動倉庫における入出庫部、入出庫部に付与する物品等提示部及び延長搬送手段、並びに、物品等提示部の近くに設けられる集品容器提示部について具体的に説明する。図10に示すタンデム方式の立体自動倉庫の両端に入出庫部SRを構成する昇降機11−1、昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15、直角分岐機構付き仮置き搬送台16を配置した本発明の立体自動倉庫を代表例として取り上げ、これに、格納設備から搬送されてきた物品等の処理を効率的に行う出庫搬送方式を付与した場合について説明するが、上記いずれの実施例においても同様に付与することができる。また、この立体自動倉庫において、格納棚の横断方向への物品等の移動を可能とする直角分岐機構付き物品等載置搬送台15と直角分岐機構付き仮置き搬送台16とは、必ずしも必要ではないが、少なくとも一方が直角分岐機構を有していることが好ましい。
図24は、請求項9に包摂される本発明の一実施形態が示されている。図24の立体自動倉庫では、搬出入装置から入出庫される物品等や格納設備から搬送されてきた物品等の処理を効率的に行うための、昇降機11−1、昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15、及び、直角分岐機構付き仮置き搬送台16から構成される入出庫部SRに、物品等の移動の高い自由度という観点から、搬出入装置9が配備されている例である。そのため、搬出入装置9は、物品等の自在な搬送が可能となるように、正逆搬送機構、分岐搬送機構、合流搬送機構、及び、停止機構を有するコンベアで構成されている。そして、この搬出入装置9の近くに接するように、すなわち、作業者19が、搬出入装置9に供給されてきた物品等を実質的に移動することなく処理することができると共に、この物品等を集品容器20に処理できる位置に、コンベアで構成される集品容器提示部21が設置される。更に、この集品容器提示部21には、集品容器20の搬入に適した位置に集品容器供給部22が連接され、処理された集品容器20の搬出に適した位置に集品容器搬出部23が連接されている。そして、集品容器供給部22は、ローラコンベアと分岐機構等を備えており、集品容器搬出部23は、ローラコンベアと合流機構等を備えている。ただし、このような集品容器供給部22および集品容器搬出部23の装置や方式に限定されるものではない。このように、本発明の一実施形態の出庫搬送方式は、立体自動倉庫の入出庫部とその近くに備えられる集品容器提示部とから構成され、格納設備から搬送されてきた物品等の処理を効率的に行うことができる。
また、搬出入装置9の破線で示した領域17’は、作業者19が集品作業を行うための物品が提示される、いわゆる、後述する物品等提示部17の役割を果たしている。
次いで、図24に示す本発明の出庫搬送方式が付与された立体自動倉庫の動作を説明する。ここで、このような立体自動倉庫は、走行台車10を用いて、配設空間8を介して対面する同一階の格納棚間、例えば、Ln−1’とLnとの間、Ln’とLn+1との間、Ln+1’とLn+2との間は、物品等を自在に移動できる。更に、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15及び直角分岐機構付き仮置き搬送台16によって、保管されている物品等は、背面で隣接する格納棚間、例えば、LnとLn’との間、Ln+1とLn+1’との間だけでなく、同一階の全ての格納棚間を自在に移動できる。更に、昇降機11−1及び昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15を使用することによって、格納棚全領域にある物品等を自在に移動することができる。
まず、物品等の搬出入は、従来と変わらず、搬出入装置9によって行われ、昇降機11−1及び昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15、走行台車10、直角分岐機構付き仮置き搬送台16によって入庫される。そこで、例えば、ある仕向け先への特定の物品を集品する場合、格納棚全領域にあるその特定の物品を、昇降機11−1、昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15、直角分岐機構付き仮置き搬送台16、及び、走行台車10を用いて、例えば、格納棚Pnに集約させておく。ここに集約された特定の物品は、走行台車10によって取出され、直角分岐機構付き仮置き搬送台16、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15を経由して、搬出入装置9の領域17’に移動される。その近くに設置された集品容器提示部21において、集品容器供給部22から供給される集品容器20に、搬出入装置9の領域17’に移動された特定の物品を指示された範囲の数量で集品容器20に収容した後、集品容器搬出部23に送り出される。そして、集品容器提示部21に、集品容器供給部22より次の空の集品容器20が供給される。一方、例えば、特定の物品の一部だけが搬出される場合には、再度格納棚Pnに整理して保管されるように、搬出入装置9の領域17’から、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15、直角分岐機構付き仮置き搬送台16、走行台車10を経由して戻される。また、例えば、特定の物品の取り扱い頻度等の関係で、同一階の格納棚Pn−1やPn+2に移動することもできるし、同一階にはない格納棚に移動することもできる。この場合、物品等は、昇降機11−1及び昇降機11−1に備えられた直角分岐機構付き物品等載置搬送台15によって異なる階に移動させられる。
このような特定の物品の移動は、集積されたデータに基づいて、各種コンベヤ、搬送機構、表示器、集品容器などを連動、統括する一般的な立体自動倉庫の(図示しない)制御部によって実行される。
なお、ここで、入出庫部SRにおける物品の搬送順は、立体自動倉庫の制御部によって、同一仕向け先のものとなるように整列されてもよいが、もちろん、同一仕向け先かどうかに限らず配送順が指定されている場合には、そのような順番に物品を並べ直して搬送することが自在にできる。
また、搬出入装置9、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23は、コンベア等が好ましいが、例えば、モノレール、リフトなど、コンベア以外の搬送手段であってもよい。
更に、集品容器20としては、段ボール箱やオリコンなどの容器が好ましいが、それに限定せず、袋やハンガーなどの箱状でない容器や、容器のないコンベアのゾーンなどであってもよい。
このようにして、作業者(又はロボット等)19は、その位置を実質的に移動する必要がなく、目の前に搬送されてくる物品を集品容器20へと移載すればよく、上記出庫搬送方式による効率的な集品ができる。
図25は、請求項10に包摂される本発明の一実施形態を示している。図24と同様に、図10に示すタンデム方式の立体自動倉庫を代表例として取り上げて説明するが、上記いずれの実施例においても同様に付与することができる。また、直角分岐機構も、物品等載置搬送台15と仮置き搬送台16の両方に必ずしも必要ではないが、少なくとも一方が直角分岐機構を有していることが好ましい。
図25の立体自動倉庫では、入出庫部SRに、格納設備から搬送されてきた物品等の処理を効率的に行うために、直角分岐機構付き物品等載置搬送台15と連接するように、コンベアで構成される物品等を供給する物品等提示部17を設けている。この物品等提示部17のコンベアは、代表例として正逆搬送機構、直角分岐機構、及び、停止機構を備えている。そして、この物品等提示部17の近くに接するように、すなわち、作業員19が、物品等提示部17に供給されてきた物品等を実質的に移動することなく処理することができると共に、この物品等を集品容器20に処理できる位置に、コンベアで構成される集品容器提示部21が設置される。集品容器供給部22及び集品容器搬出部23については、図24と同様に設置される。なお、図25の立体自動倉庫の物品等の搬出入装置9は、図示されていないが、図1及び図2に示したような従来の一般的な方式で設置されることができる。
この物品等提示部17は、図24における搬出入装置9の破線の領域17’と同様の役割を果たすものである。しかし、図25に示す物品等提示部17を設けることによって、立体自動倉庫の物品の入出庫、出庫作業における物品の処理、例えば、物品の品種別、送付先方面別、顧客別などの分類、更には、保管庫内の物品の再配置、整理・整頓、処分等の仕分け作業の自由度を高めることができる。
また、図26は、請求項11に包摂される本発明の一実施形態を、図25と同様に示している。物品等提示部17、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23の配設する場所及び作業者19が出庫搬送を実施する場所の自由度を高めるために、立体自動倉庫の入出庫部SRに、更に、延長搬送手段、例えば、延長コンベア18を設けたことを特徴とするものである。
この延長コンベア18によって、本発明に係る出庫搬送方式が、立体自動倉庫敷地内において、格納棚と出庫搬送方式とが、同一の建屋であっては、建屋内で自由な配置が可能であるが、同一建屋内にある必要もない。図27は、格納棚から遠く離れたところに設置された物品等提示部17、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23が配置されている一実施形態を示している。
延長コンベア18によって、物品等提示部17、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23を自在に配置でき、物品提示部17とそれが隣接した集品容器提示部21との間で、作業者19が移動することなく、効率的に物品を処理することができる。
また、このような物品提示部17と集品容器提示部21とから構成される出庫搬送方式は、格納棚と同一階にある必要はなく、この出庫搬送方式が格納棚の階下にある一実施形態として、図26における物品等提示部17、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23が格納棚Ln’の階下にある場合の切断線A付近における断面の概念図を図28に示す。格納棚の階下にある延長コンベア18への物品等の移動には、昇降機11−1を用いることが好ましいが、これに限定されるものではなく、リフター等も適用できる。これは、出庫搬送方式を格納棚の階下に配設した例であるが、任意の階の格納棚や格納棚の階上に配設することも可能である。
更に、立体自動倉庫の省スペース化を図るために、格納棚の直下に出庫搬送方式を配設した、本発明の一実施形態の上記切断線Aと同様のラインにおける断面の概念図を図29に示す。このように、物品等提示部17、延長コンベア18、集品容器提示部21、集品容器供給部22、集品容器搬出部23を格納棚Ln’の直下に配設することによって、立体自動倉庫のスペースが大幅に削減可能となる。