JP6908548B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents
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Description
また、本発明の第2の態様に係る内燃機関制御装置は、点火コイルと点火プラグを備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、前記内燃機関の運転条件、又は前記点火プラグの点火に関連する物理量に基づいて、前記内燃機関の燃焼室に供給される混合気の着火に必要なエネルギー量を算出するエネルギー算出部と、前記エネルギー算出部での算出結果に従い、前記点火プラグに供給する電流の波形に関する電流波形データを生成する電流波形生成部と、前記電流波形データに従って前記点火プラグに供給する電力を制御する電力制御部とを備える。前記電流波形生成部は、初期電流と、前記初期電流よりも大きい維持電流と、前記初期電流と前記維持電流との間での前記電流の単位時間当たりの変化の度合を示す電流変化率とを設定する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料噴射制御装置を備えた内燃機関の基本構成を示している。
図1に示すように、第1の実施の形態の制御対象としての内燃機関100は、燃料噴射制御装置としてのECU200と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ300とにより制御される。
内燃機関100は、気筒(シリンダ)内にピストン101、吸気バルブ102、排気バルブ103を備えている。内燃機関100は、一例としては、複数、例えば4個の気筒を有した内燃機関とすることができるが、図1は、複数の気筒のうちの1つの気筒のみを代表的に図示している。
ピストン101は、図示しないクランクシャフトが接続されている。クランクシャフトはメインシャフトとサブシャフトにより構成され、サブシャフトはコネクティングロッドを介してピストン101に連結されている。ここで、メインシャフトとサブシャフトの距離、或いはコネクティングロッドの長さは可変とする可変圧縮比機構を備えても良い。この可変圧縮比機構を備えることにより、ピストンのストローク量を変更することが可能となり、これによって燃焼室内圧力を可変とすることができる。
吸気管110には、吸気を冷却するインタークーラ112、アクセル開度に応じて吸気量を調節するスロットルバルブ113、吸気の流れを調節するためのサージタンク114、及び吸気流路の一部狭めて吸気流に乱れ(タンブル)を生じさせるタンブル制御バルブ(TCV)115が設けられている。
また、排気管111は、排気通路121に連通されており、この排気通路121には、三元触媒123と、空燃比センサ124と、タービン125bとが設けられている。三元触媒123は、排気ガスを浄化するためのものであり、空燃比センサ124は、排気ガスの空燃比を検出するセンサである。また、タービン125bは、排気ガスのエネルギーを利用してコンプレッサ125aを駆動するための駆動力を発生させる。
燃焼後の排気ガスは、排気バルブ103、排気管111、タービン125bを経て三元触媒123に送られ、三元触媒123内でNOx、CO、HC成分が浄化された後、排気通路121を経て三元触媒129で再度浄化されて外部に排出される。
ECU200は、入力回路201、CPU202、RAM203、ROM204、入出力ポート205、目標供給エネルギー設定部206、電流波形生成部207、各種駆動回路208〜213、及び電力制御部214から大略構成されている。
図3は、電流波形生成部207のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。電流波形生成部207は、一例として、維持電流設定部2071、初期電流設定部2072、加熱継続期間計算部2073、電流変化率設定部2074、及び補正部2075を備えている。これにより、電流波形生成部207は、図3の右下に示すように、初期電流iini、電流変化率Rcc、及び維持電流itarを有する電流波形を生成するための電流波形データを生成する。初期電流iiniは、電流パルス波形の立ち上がりにおける電流である。また、維持電流itarは、当該電流パルス波形の少なくとも後段において維持され、電流上昇の目標値となる電流であり、初期電流iiniよりも大きい電流である。また、電流変化率Rccは、初期電流iiniから維持電流itarへと電流値が増大する場合における電流の単位時間当たりの変化の度合(傾き)を表している。初期電流iini、維持電流itar、電流変化率Rccが順次決定されることにより電流波形データが生成される。
目標供給エネルギー設定部206は、前述のように、内燃機関100に与えられた運転条件、及び点火プラグ105の点火に関連する物理量に従い、点火プラグ105に供給すべきエネルギーの量としての目標供給エネルギーEtarを設定する機能を有する。ここでは、点火プラグ105の点火に関連する物理量として、点火プラグ105を通過する混合気の圧力に関する圧力情報、混合気の温度情報、混合気の組成情報、及び混合気の流速情報が入力される。これ以外の物理量が含まれていても良いし、その組み合わせは任意である。
図4の一番上のグラフは、点火プラグ105に流れる電流パルスの波形(1)〜(3)を示している。(1)は第1の比較例の電流パルス波形であり、電流変化率Rccが非常に大きい波形である。(3)は第2の比較例の電流パルス波形であり、電流変化率Rccが小さく、緩やかに維持電流itarに到達する波形である。(2)が、第1の実施の形態で採用される電流パルス波形の一例である。
図4の2番目のグラフに示すように、点火プラグ105の放電路の伸びは、(2)の波形が最も大きくなり得ることが判る。放電路の伸びが大きくなることにより、例えば燃焼室内の圧力が高い場合などにおいても、着火性能を維持することができる。(3)の波形では、初回の放電での放電路の伸びに電流の増加が追い付かず、小さい放電路の伸びの後再放電が発生してしまう。その結果、放電路の伸びは(1)、(2)の波形の半分程度となってしまい、好ましくない。
目標供給エネルギー設定部206における目標供給エネルギーEtarの設定の方法(動作)の一例を説明する。
目標供給エネルギーEtarは、混合気への自着火及び火炎核成長を実現するのに必要なエネルギーを定めた以下の理論式により定義することができる。
次に、維持設定部2071での維持電流itarの設定の方法(動作)の一例を説明する。
一例として、点火プラグ105の電極間電圧をVg、電極間距離をd、電極間の混合気の流速をu、内燃機関100の気筒の圧力をp、co、α、βを定数とした場合、目標供給エネルギーEtarと維持電流itarは、次の式[数2]に示す関係を有する。目標供給エネルギーEtarが決まると、この数式に従って維持電流itarを定めることができる。
また、目標供給エネルギー設定部206には、内燃機関の運転条件としてタンブル制御バルブ115の開度を入力することできる。この場合、維持電流設定部2071は、タンブル制御バルブ115の開度が大きいほど、維持電流itarを小さい値に設定することができる。更に、維持電流定部2071は、流速uspが小さいほど、維持電流itarを小さい値に設定することができる。
続いて、初期電流設定部2072での初期電流iiniの設定の方法を、図8〜図10を参照して説明する。図8は、点火プラグ105の周囲の混合気の流速が所定の値の場合における、初期電流iiniと、点火プラグ105の放電路の伸び量との関係を示している。
また、上述の[数3]からも明らかなように、初期電流設定部2072は、点火プラグ105の周囲の流速が小さいほど、初期電流iiniを小さい値に設定することができる。
次に、加熱継続期間計算部2073での加熱継続期間ΔtRの計算の方法を、図11を参照して説明する。前述の通り、加熱継続期間計算部2073は、内燃機関100に与えられた運転条件、点火プラグ105の点火に関連する物理量に加え、維持電流設定部2071で設定された維持電流itarもファクターとして加熱継続期間ΔtRを計算する。具体的には、図11に示すように、維持電流itarから特定される放電路の伸び量L、エンジン回転数やタンブル制御バルブ115の開度から特定される点火プラグ105の周囲の流速usp、及び温度や圧力の情報から特定される放電路追従性Cに基づいて、加熱継続期間ΔtRは、次の式により特定される。
電流変化率設定部2074での電流変化率Rccの設定の方法(動作)を、図12を参照して説明する。
電流変化率Rccは、図12に示すように、加熱継続期間計算部2073で求められた加熱継続期間ΔtRと、維持電流itar、及び初期電流iiniとに基づいて、以下の式に基づいて決定することができる。
以上のようにして、目標供給エネルギーEtar、維持電流itar、初期電流iini、加熱継続期間ΔtR、電流変化率Rccが得られたら、補正部2075において、得られた値の補正が行われる。
まず、ステップS11では、設定された各種数値により達成可能なエネルギーである達成可能エネルギーEoが計算される。一例として、達成可能エネルギーEoは、Eo=Vg×itar×ΔtRにより計算し得る。
以上、補正部2075における補正の動作についての一例を説明した。上記の例では、維持電流itar及び電流変化率Rccについて補正を行う場合を説明したが、これに代えて、初期電流iini、維持電流itar及び電流変化率Rccについて補正を行う構成を採用することも可能である。電流変化率Rccについてのみ補正を行うことも可能である。
図14は、エンジン回転速度が増加するのに従って、加熱継続期間ΔtRが徐々に減っていく様子を示している。図15は負荷が徐々に増加するのに従って、初期電流iiniが徐々に増大する様子を示している。図16は、空燃比が増加するに従って、維持電流itarが増大していく様子を示している。
以上説明したように、第1の実施の形態の内燃機関制御装置によれば、目標供給エネルギー算出部206において、所定のファクターに基づいて、内燃機関の燃焼室において着火に必要なエネルギー量が算出され、電流波形生成部207において、このエネルギー量に従って点火プラグに供給する電流の波形に関するデータが生成される。そして、この電流波形データに従って電力制御部213において電力の制御がなされる。これによれば、点火プラグに供給する電流の波形が最適化され、混合気への着火を良好に行って着火性能及び燃費性能を向上させることができる。
次に、第2の実施の形態に係る内燃機関制御装置を、図17を参照して説明する。この第2の実施の形態の基本構成は、第1の実施の形態と同様であるので(図1〜図3)、重複する説明は省略する。ただし、この第2の実施の形態では、目標供給エネルギー設定部206における目標供給エネルギーEtarの設定の方法が第1の実施の形態とは異なっている。
次に、第3の実施の形態に係る内燃機関制御装置を、図18を参照して説明する。この第3の実施の形態の基本構成は、第1の実施の形態と同様であるので(図1〜図3)、重複する説明は省略する。ただし、この第3の実施の形態では、維持電流設定部2071における維持電流itarの設定の方法が第1の実施の形態とは異なっている。
この第3の実施の形態では、維持電流Itarを求めるために、標準維持電流マップを備えている。標準維持電流マップは、標準電流itarを求める基準となる、標準維持電流ibaseを求めるためのマップデータである。標準維持電流マップは、例えば異なる空燃比又はEGR率毎に、異なるマップとされており、個々のマップは、エンジン回転数と図示平均有効圧(IMEP)との組み合わせ毎に規定される標準維持電流ibaseの値の集合である。1組のエンジン回転数の値と図示平均有効圧の値とが決まると、1つの標準維持電流iaseの値が決定される。その後、標準電流itarは、例えばこの標準維持電流ibaseの値に、所定の変数を乗算した値として算出することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
Claims (21)
- 点火コイルと点火プラグを備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
前記内燃機関の運転条件、又は前記点火プラグの点火に関連する物理量に基づいて、前記内燃機関の燃焼室に供給される混合気の着火に必要なエネルギー量を算出する目標供給エネルギー算出部と、
前記エネルギー量に従い、前記点火プラグに供給する電流の波形に関する電流波形データを生成する電流波形生成部と、
前記電流波形データに従って前記点火プラグに供給する電力を制御する電力制御部と、
前記電流波形生成部で設定した電流波形データにより必要なエネルギーを得られるか否かに従い、前記電流波形データを補正する補正部と
を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。 - 前記電流波形生成部は、前記電流が維持電流に達する場合までの前記電流の単位時間当たりの変化の度合を示す電流変化率を設定する電流変化率設定部を更に備える、請求項1に記載の内燃機関制御装置。
- 前記電流波形生成部は、前記電流の初期値である初期電流を設定する初期電流設定部を更に備えた、請求項1又は2に記載の内燃機関制御装置。
- 前記電流波形生成部は、前記電流の目標値である維持電流を設定する維持電流設定部を更に備えた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関制御装置。
- 前記電流波形生成部は、前記電流による加熱が継続される加熱継続期間を計算する加熱継続期間計算部を更に備える、請求項4に記載の内燃機関制御装置。
- 前記電力制御部は、前記点火プラグの放電路の伸び量が最大となる前に、前記目標供給エネルギー算出部により算出したエネルギー量を前記点火プラグに流すように電流を制御する、請求項1に記載の内燃機関制御装置。
- 前記物理量は前記内燃機関の気筒の圧力であり、
前記電流変化率設定部は、前記気筒の圧力が大きいほど、前記電流変化率を大きい値に設定する、請求項2に記載の内燃機関制御装置。 - 前記物理量は前記内燃機関の気筒の温度であり、
前記電流変化率設定部は、前記気筒の温度が高いほど、前記電流変化率を大きい値に設定する、請求項2に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はエンジン回転数であり、
前記電流変化率設定部は、前記エンジン回転数が大きいほど、前記電流変化率を大きい値に設定する、請求項2に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はタンブル制御バルブの開度であり、
前記電流変化率設定部は、前記タンブル制御バルブの開度が大きいほど、前記電流変化率を小さい値に設定する、請求項2に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件は点火プラグ周囲の流速であり、
前記電流変化率設定部は、前記流速が大きいほど、前記電流変化率を小さい値に設定する、請求項2に記載の内燃機関制御装置。 - 前記物理量は気筒の圧力であり、
前記初期電流設定部は、前記気筒の圧力が小さいほど、前記初期電流を小さい値に設定する、請求項3に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はエンジン回転数であり、
前記初期電流設定部は、前記エンジン回転数が小さいほど、前記初期電流を小さい値に設定する、請求項3に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はタンブル制御バルブの開度であり、
前記初期電流設定部は、前記タンブル制御バルブの開度が大きいほど、前記初期電流を小さい値に設定する、請求項3に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件は点火プラグ周囲の流速であり、
前記初期電流設定部は、前記点火プラグ周囲の流速が小さいほど、前記初期電流を小さい値に設定する、請求項3に記載の内燃機関制御装置。 - 前記物理量は前記内燃機関の気筒の圧力であり、
前記維持電流設定部は、前記気筒の圧力が小さいほど、前記維持電流を小さい値に設定する、請求項4に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はエンジン回転数であり、
前記維持電流設定部は、前記エンジン回転数が小さいほど、前記維持電流を小さい値に設定する、請求項4に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件はタンブル制御バルブの開度であり、
前記維持電流設定部は、前記タンブル制御バルブの開度が大きいほど、前記維持電流を小さい値に設定する、請求項4に記載の内燃機関制御装置。 - 前記内燃機関の運転条件は点火プラグ周囲の流速であり、
前記維持電流設定部は、前記点火プラグ周囲の流速が小さいほど、前記維持電流を小さい値に設定する、請求項4に記載の内燃機関制御装置。 - 点火コイルと点火プラグを備えた内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
前記内燃機関の運転条件、又は前記点火プラグの点火に関連する物理量に基づいて、前記内燃機関の燃焼室に供給される混合気の着火に必要なエネルギー量を算出するエネルギー算出部と、
前記エネルギー算出部での算出結果に従い、前記点火プラグに供給する電流の波形に関する電流波形データを生成する電流波形生成部と、
前記電流波形データに従って前記点火プラグに供給する電力を制御する電力制御部と
前記電流波形生成部で設定した電流波形データにより必要なエネルギーを得られるか否かに従い、前記電流波形データを補正する補正部と
を備え、
前記電流波形生成部は、初期電流と、前記初期電流よりも大きい維持電流と、前記初期電流と前記維持電流との間での前記電流の単位時間当たりの変化の度合を示す電流変化率とを設定する
ことを特徴とする内燃機関制御装置。 - 前記電力制御部は、前記点火プラグの放電路の伸び量が最大となる前に、前記エネルギー算出部により算出したエネルギー量を前記点火プラグに流すように電流を制御する、請求項20に記載の内燃機関制御装置。
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