JP6906272B2 - 断熱材固定具、及び床断熱構造 - Google Patents

断熱材固定具、及び床断熱構造 Download PDF

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Description

本発明は、断熱材固定具、及び床断熱構造に関する。
従来、住宅などの建築物を施工する際、床下にグラスウールなどの断熱材が床下に固定されている。特許文献1には、1つの支持具で大引間に配設される第1断熱材と、大引の真下と大引間の中間部とに配設される2の断熱材とを支持する断熱材の支持具が提案されている。
特許文献1に示される断熱材の支持具は、大引の側面に隣接する垂直部の下端に、略水平面を有する水平部が接続されていた。水平部の上面と大引との間の高さ方向の厚みが断熱材の高さ方向の厚み以上に設けられ、水平部の上面と大引との間に断熱材が配置されて固定されていた。
特開2014−77332号公報
しかしながら、従来の断熱材の支持具では、大引の真下に平板状の水平部が設けられており、この水平部と大引の下面との間の間隔に断熱材の端部を差込んで断熱材の端部を固定していた。そのため、作業者は大引の下方に隠れた位置となる狭い部分に断熱材を差し込んだり、その位置で固定したりしなければならず、断熱材を配置及び固定する作業に著しく手間を要し、断熱材を床下に効率よく施工することができなかった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工できる断熱材固定具、及び床断熱構造を提供することを目的としている。
本発明に係る断熱材固定具は、上記目的を達成するために、床組の横架材に取り付けられる取付部と、前記取付部から前記横架材の下面の下方に向けて突設され、自己保形性を有して床下に配設される板状の断熱材を下方から支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記板状の断熱材を載置する載置部と、前記載置部から先端側へ下り勾配に設けられた案内部と、を有し、前記板状の断熱材を前記横架材の下面に沿って前記支持部の方向に移動させることで、前記板状の断熱材の端縁が前記案内部に沿ってスライドすることにより前記支持部が前記取付部に対して下方に弾性変形可能に形成していることを特徴としている。
本発明に係る床断熱構造は、上述した断熱材固定具を使用した床断熱構造であって、基礎に載置されている土台と該土台に隣接して設けられている大引との間、及び隣り合う大引同士の間にそれぞれ配設された第1断熱材と、上面が前記第1断熱材の下面に当接して配設されているとともに、前記大引の下面に当接して配設された第2断熱材と、を備え、前記土台及び前記大引にそれぞれ固定された前記断熱材固定具によって前記第2断熱材が支持されていることを特徴としている。
本発明では、板状の断熱材を支持する支持部が、横架材に取り付けられる取付部から横架材の下面の下方に向けて突設されているので、断熱材を横架材の下面に配置することができて横架材の下面における断熱性を確保することができる。
そして、本発明では、板状の断熱材を下方から支持する支持部が載置部と案内部とを有しているため、案内部における横架材の下面との間が突設先端側ほど拡開して配置される。これにより板状の断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際、横架材の下面に沿って移動させることで断熱材の端縁を案内部の上方の位置まで容易に挿入することが可能となり、さらに案内部によって断熱材を載置部まで容易に案内させることができる。したがって、断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
また、本発明に係る断熱材固定具は、前記支持部は、前記取付部に対して下方に弾性変形可能に形成され、上下方向に対向配置される前記横架材との離間が前記横架材の下方に配置される前記断熱材の厚みより小さい寸法に設定されていてもよい。
本発明に係る断熱材固定具では、支持部が取付部に対して下方に弾性変形可能に形成されていて、板状の断熱材の厚み以下の距離で横架材の下面と対向配置する場合に、断熱材を支持部に支持させることで支持部の弾性により断熱材を横架材の下面に押し付けることができる。そのため、断熱材を横架材の下面に密着させる作業を行うことなく、断熱材を安定して支持することができる。
しかも支持部が弾性変形可能であれば、厚みが異なる板状の断熱材であっても支持部に安定して支持することが可能である。
また、本発明に係る断熱材固定具は、上記目的を達成するために、床組の横架材に取り付けられる取付部と、前記取付部から前記横架材の下面の下方に向けて突設され、自己保形性を有して床下に配設される板状の断熱材を下方から支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記取付部に対して下方に弾性変形可能に形成され、上下方向に対向配置される前記横架材との離間が前記横架材の下方に配置される前記断熱材の厚みより小さい寸法に設定されていることを特徴としている。
本発明に係る断熱材固定具では、板状の断熱材を下方から支持する支持部が、横架材に取り付けられる取付部から横架材の下面の下方に向けて突設されているので、断熱材を横架材の下面に配置することができて横架材の下面における断熱性を確保することができる。
そして、本発明では、支持部が取付部に対して下方に弾性変形可能に形成されていて、板状の断熱材の厚み以下の距離で横架材の下面と対向配置する場合に、断熱材を支持部に支持させることで、支持部の弾性により板状の断熱材を横架材の下面に押し付けることができる。これにより断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際には、断熱材を横架材の下面に密着させる作業を行う必要がなく、板状の断熱材を安定して支持することができる。したがって、板状の断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
また、本発明に係る断熱材固定具は、上記目的を達成するために、床組の横架材に取り付けられる取付部と、前記取付部から前記横架材の下面の下方に向けて突設され、自己保形性を有して床下に配設される板状の断熱材を下方から支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記断熱材の端部に側面から差し込んで固定可能な尖形の差込片を有していることを特徴としている。
本発明では、板状の断熱材を支持する支持部が、横架材に取り付けられる取付部から横架材の下面の下方に向けて突設されているので、断熱材を横架材の下面に配置することができて横架材の下面における断熱性を確保することができる。
そして、本発明では、支持部が尖形の差込片を有しているため、板状の断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際において、断熱材を横架材の下面に沿って移動させるだけで、差込片を板状の断熱材の端部に差し込んで断熱材の端部を容易に支持部に支持することができる。したがって、断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
また、本発明に係る断熱材固定具は、前記差込片は、前記横架材の下面に沿う平板形状に形成されていてもよい。
この場合には、差込片が床組の横架材の下面に沿う平板形状を有していれば、差込片を板状の断熱材の側面に差し込んで固定した状態で、差込片の広い面積で板状の断熱材の端部を安定して支持することができる。
本発明に係る断熱材固定具、及び床断熱構造によれば、自己保形性を有する板状の断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工できる。
本発明の第一実施形態による第1固定ピンを用いた固定構造を示す縦断面図である。 図1に示す第1固定ピンの斜視図である。 図1に示す第1固定ピンの縦断面図である。 (a)〜(c)は、第1固定ピンを用いて板状の断熱材を固定する手順を示す図である。 第1固定ピンの配置例を示す図であって、第1断熱材を上方から見た平面図である。 第1固定ピンの他の配置例を示す図であって、第1断熱材を上方から見た平面図である。 第1変形例による第2固定ピンを示す縦断面図である。 第2変形例による第3固定ピンを示す縦断面図である。 第3変形例による第4固定ピンを示す縦断面図である。 第4変形例による第5固定ピンを示す縦断面図である。 第二実施形態による第6固定ピンを用いた固定構造を示す部分縦断面図である。 図11に示す第6固定ピンの斜視図である。 第三実施形態における第7固定ピンを示す縦断面図であって、(a)は折り曲げ前の状態の図、(b)は第1下片を折り取った状態の図、(c)は第2下片を折り取った状態の図である。 図13に示す第7固定ピンを使用した配置例を示す図であって、(a)は第2断熱材を上方から見た平面図、(b)は(a)に示すA−A線断面図である。 図13に示す第7固定ピンを使用した他の配置例を示す図であって、(a)は第2断熱材を上方から見た平面図、(b)は(a)に示すA−A線断面図である。 第四実施形態における第8固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すC−C線矢視図である。 第四実施形態における第9固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すD−D線矢視図である。 第四実施形態における第10固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すE−E線矢視図である。 第四実施形態における第11固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すF−F線矢視図である。 第四実施形態における第12固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すG−G線矢視図である。 第四実施形態における第13固定ピンを示す図であって、(a)はその斜視図、(b)は(a)に示すH−H線矢視図である。
以下、本発明の一実施の形態による断熱材固定具、及び床断熱構造について、図面に基づいて説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態による断熱材固定具、及び床断熱構造について図1乃至図4を用いて説明する。
本実施形態では、図1に示すような根太を有さない床、いわゆる根太レス工法(剛床工法)で施工された床構造に本実施形態の断熱材固定具を用いて断熱材を固定する例について説明する。
まず、図1に示される根太レス型の床構造は、基礎1と、基礎1上に土台2及び大引3を有して設けられた床組5と、基礎1と土台2との間に配設された通気パッキン4と、を有して構成されている。
基礎1は、一般的な住宅などの建築物に採用される鉄筋コンクリート製からなり、図示しない地面から上方へ突出した立ち上がりに形成されている。そして、その立ち上がりの上面1aは、土台2の下面2bの幅より少し大きく形成されている。基礎1の構造としては立ち上がり部と図示しない底板とを有するベタ基礎、立ち上がり部と図示しないフーチングとを有する布基礎のどちらでもよく、本実施の形態による床断熱構造が適用される床部分においては基礎1の内外表面には断熱材は設けられていない。
土台2は、床組5の横架材であり、木製の角材からなる。基礎1の上面1a側に互いに所定の間隔を保って植設された図示しないボルトを介して基礎1上に固定されるように構成されている。なお、土台2は木製の角材に限るものではなく、中空の鋼製であってもよい。
大引3は、床組5の横架材であり、通常、土台2より断面形状の小さい木製の角材からなり、相対する土台2間に互いに所定の間隔を保って、例えば90cmの間隔を保って配置されている。図1の例では、大引3は1本しか示されていないが、実際には、土台2に対向して設けられている図示しない土台との間に複数本の大引が設けられる。なお、大引3は木製の角材に限るものではなく、中空の鋼製であってもよい。
大引3は、周知の大引と同様に、長手方向の両端部が図示しない土台にそれぞれ固定されるとともに、大引3の長手方向の下面3bの複数の箇所が地面に設けられている束石に載置されている床束で保持されるように構成されている。
土台2及び大引3の関係において、土台2の上面2a及び大引3の上面3aを結ぶ面は、同一水平面と一致するように構成されている。したがって、これら土台2及び大引3の上面間に図示しない床板が載置固定されたときにその床板を同一水平面に保つことができる。
床組5は、これらの土台2及び大引3が縦横に所定の間隔で配置されて接合されて形成されている。土台2と大引3との間及び大引3同士の間には、土台2及び大引3の一方又は双方により四方が囲まれた内側空間6が設けられている。本実施形態では、後述するように、床組5の内側空間6に第1断熱材10が充填され、床組5の大引3の下に第2断熱材20が配置されている。
なお、通気パッキン4は、周知の通気パッキンと同様に、合成樹脂製や金属製の厚さが2〜3cm程度の扁平の板材からなり、基礎1の上面1aと土台2の下面2bと間に設けられている。すなわち、この通気パッキン4は、基礎1及び土台2との間に設けられているので、この土台2は一種の猫土台を形成している。
次に、このような根太レス型の床構造に本実施形態の断熱材固定具を用いた断熱材の固定構造について説明する。
この構造は、図1に示すように、第1断熱材10と、第2断熱材20と、本実施形態の断熱材固定具である第1固定ピン30aと、を含んで構成されている。
第1断熱材10は、一般の住宅などの建築物の床や壁の断熱材として多用されているグラスウールやロックウール等の繊維系断熱材で構成されている。すなわち、この第1断熱材10は、繊維が絡み合って形成され、その内部に多くの空気層を含み、柔軟性を有し、かつ比較的軽量で、いわゆる綿状を呈している。したがって、大引3の間等の内側空間6へ充填することで容易に設置できる。
第1断熱材10は、土台2と大引3との間で、かつ大引3の高さ方向の寸法に対応する厚さで配設されている。第1断熱材10は、大引3とこの大引3と隣り合う図示しない大引(土台2と反対側に位置する大引)間にも大引3の高さ方向の寸法に対応する厚さで配設される。土台2と対向する土台(図示せず)と大引(図示せず)との間にも、土台2及び大引3間に配設される第1断熱材10と同様の第1断熱材が配設される。
第2断熱材20は、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡プラスチック系断熱材で構成されており、この第2断熱材20は、断熱性に優れるとともに、軽量で、かつ自己保形性を有する板状を呈している。自己保形性を有するとは、周縁側を支持した状態で、中間部が板状の形態を保てる程度の剛性を有していればよい。第2断熱材20は上面20aに第1断熱材10が載置されても形状が変形することなく載置することができる。
第2断熱材20は床組5の大引3の下に配置されている。上面20aが第1断熱材10の下面10b全体に当接するとともに、大引3の下面3b全体に当接するように配設される。
第2断熱材20の厚さは、第2断熱材20の下面20bの位置が通気パッキン4より上側に位置するように決められており、第2断熱材20が通気パッキン4の通気性を損なうことがない。この第2断熱材20の厚さは、大引3の熱橋を防止できる範囲で決められるのがよい。第2断熱材20は、第1断熱材10に第2断熱材20の厚さ分だけ断熱層が付加されるので、床の断熱効果がより高められる。
なお、上記説明における第2断熱材20の厚さは土台2と大引3が特定の大きさの場合についてのものであり、土台2と大引3の大きさに対応して変更することができるが、第2断熱材20の厚さとしては、熱橋を防止する観点から15mm以上であることが好ましく、収まりや施工性の観点から60mm以下であることが好ましい。
ここで、第1断熱材10を構成する繊維系断熱材は、大引3間へ充填しやすいものの、自己保形性が低く、長期間経過すると自重により垂れさがり、第2断熱材20へ荷重がかかる。
そこで、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材は、JIS K 7221−2で規定される曲げ強度が15N/cm以上であることが好ましい。これにより、第1断熱材10の垂れ下がりに対して変形せず、基礎1の立ち上がり付近においては通気パッキン4による通気性を阻害せず、湿気によるカビの発生や断熱性の低下を抑えることができる。また、その他の床下においても大引3の下に設置された第2断熱材20どうしの間に隙間が生じないため断熱性を損なうことが無い。
また、第2断熱材20は通気パッキン4で換気される外気と接触するため、外気に含まれる湿気を吸収しにくいものが好ましい。そのため、JIS A 9521で規定される吸水量が5g/100cm以下であることが好ましく、3g/100cm以下がより好ましく、2g/100cm以下が最も好ましい。
これにより、吸湿した断熱材20にカビが発生したり、熱伝導率が上昇したりすることを防ぐことができる。
また、第2断熱材20は通気パッキン4で換気される外気と接触するため、透湿抵抗の高いものが好ましい。そのため、JIS A 1324:1995(カップ法)で規定される透湿抵抗が0.0027m・s・Pa/ng以上が好ましく、0.0100m・s・Pa/ng以上がより好ましく、0.0200m・s・Pa/ng以上がさらに好ましく、0.0300以上が最も好ましい。一方、透湿抵抗が高すぎると室内の湿気が高い場合に床下へと透湿することができず、床内が結露する恐れがある。そのため、0.0800m・s・Pa/ng以下が好ましく、0.0600m・s・Pa/ng以下がより好ましく、0.0450m・s・Pa/ng以下が最も好ましい。
また、熱橋を防止する観点から第2断熱材20のJIS A 9521で規定される熱抵抗は0.35m・K/W以上が好ましく、0.60m・K/W以上がより好ましく、1.0m・K/W以上が最も好ましい。一方、収まりや施工性の観点から3.5m・K/W以下が好ましく、2.0m・K/W以下がより好ましい。
また、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材をフェノールフォームとする場合、曲げ強度や圧縮強度をより向上させるためにフェノールフォームの両面にガラス繊維不織布、ガラス繊維混抄紙、クラフト紙、ナイロン不織布、ポリエステル不織布やポリプロピレン不織布等の面材を積層したものとすることが好ましい。
熱伝導率は0.020W/m・K以下が好ましく、0.019W/m・K以下がより好ましく、0.018W/m・K以下が最も好ましい。
また、熱抵抗は0.75m・K/W以上3.33m・K/W以下が好ましく、1.0m・K/W以上2.5m・K/W以下がより好ましい。
また、透湿抵抗は0.0014m・s・Pa/ng以上0.057m・s・Pa/ng以下が好ましく、0.0019m・s・Pa/ng以上0.045m・s・Pa/ng以下がより好ましい。
また、密度は15kg/m以上40kg/m以下が好ましく、20kg/m以上35kg/m以下がより好ましく、27kg/m以上32kg/m以下が最も好ましい。
また、圧縮強さは10N/cm以上であることが好ましく、13N/cm以上がより好ましく、16N/cm以上が最も好ましい。
また、曲げ強度は15N/cm以上であることが好ましく、45N/cm以上がより好ましく、55N/cm以上が最も好ましい。
また、吸水量は5.0g/100cm以下が好ましく、3.0g/100cm以下がより好ましく、2.0g/100cm以下が最も好ましい。
第1断熱材10は、第2断熱材20と同じ発泡プラスチック系断熱材で構成されていてもよい。発泡プラスチック系断熱材は圧縮強度が低いほうが、大引3の間への設置が行いやすい。一方、第1断熱材10は大引3の間に嵌め込む際の力や設置後の踏み抜け防止などのため圧縮強度がある程度求められる。そのため、JIS K 7220で規定される圧縮強度が5N/cm以上25N/cm以下であることが好ましく、10N/cm以上20N/cm以下であることがより好ましい。
圧縮強度は密度に比例するため、第1断熱材10を構成する発泡プラスチック系断熱材と、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材が同じ種類である場合、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材の密度が第1断熱材10を構成する発泡プラスチック系断熱材の密度より高い方が好ましい。
さらに、第1断熱材10および第2断熱材20は木製の大引3と接する場合、断熱材が水分を多く含んでいると木製の大引3が腐食する可能性があるため、第1断熱材10および第2断熱材20は予め水分量を低くするために乾燥されていることが好ましく、施工現場において雨等の水分が付着していないものを用いることが好ましい。また、第1断熱材10および第2断熱材20の含水量は木製の大引よりも低いことが好ましい。木製の大引の含水量は木材水分計で測定することができる。また、第1断熱材10および第2断熱材20の含水量は以下の方法により測定できる。
断熱材を幅方向200mm、長さ方向200mmにカットした断熱材の質量を初期質量m0とする。この断熱材を104℃のオーブンに投入して48時間後の質量をm1とし、下式(1)で平衡含水率(単位:質量%)を求める。
平衡含水率=(m0−m1)/m0×100 ・・・(1)
次に、断熱材固定具である第1固定ピン30aは、図1乃至図3に示すように、床組5の土台2及び大引3に第2断熱材20を固定するための部材である。
この第1固定ピン30aは金属、樹脂などの硬質材料からなる。第1固定ピン30aが樹脂製であれば腐食を防止できるとともに熱橋となることを防止し易い。第2断熱材20としてフェノールフォームを用いる場合、樹脂製の第1固定ピン30aを用いるのがよい。また、金属製の第1固定ピン30aを使用する場合には、錆を防止するために、第2断熱材20のpHを3〜6とすることが好ましい。
第1固定ピン30aは、大引3に取り付けられる取付部35と、第2断熱材20を下方から支持する支持部36と、を備えている。
取付部35は、屈曲した帯板状の垂直片31及び上片32を有している。厚さは土台2又は大引3上に床板(図示せず)を支障なく張設できる範囲で決められている。幅は支持部36と同等に形成されている。
垂直片31の長さは、第1断熱材10の厚さ又は大引3の高さ寸法と第2断熱材20の厚さとの合計に応じて設定されており、下端が大引3の下面3bよりも下方に突出して支持部36を適切な位置に配置できる長さに形成されている。図1の例では、第1断熱材10の厚さは大引3に等しく、また第2断熱材20の厚さは、土台2と大引3との高さ寸法の差分とされている。
上片32は、垂直片31の上端部から直角に折り曲げて形成されている。上片32の垂直片31からの突出長さは、垂直片31を土台2の上面2a又は大引3の上面3aに十分に係止できるように決められている。
上片32の略中心位置には、上片32を土台2の上面2a又は大引3の上面3aに食い込ませて固定するための爪34が一体的に形成されている。
支持部36は、取付部35の垂直片31から水平方向に両側に向けて突設された下片33を有している。下片33は、略水平方向に広がる幅を有して片持ち状に形成された第1下片33aと第2下片33bとを有している。下片33の幅は、第2断熱材20の下面20bを十分に載置できる範囲で決められている。
第1下片33aは、垂直片31の下端部から大引3の下面3bの下方に向けて突設されており、上片32と同方向に折り曲げて形成されている。第2下片33bは、垂直片31の下端部から内側空間6側に向けて突設されており、上片32と逆方向に折り曲げて形成されている。
第1下片33a及び第2下片33bは屈曲形状に形成されており、それぞれ板状の第2断熱材20を載置するための載置部37と、載置部37から先端側へ向けて下り勾配に設けられた案内部38と、を有している。
本実施形態では、第1下片33a及び第2下片33bと垂直片31とが下方に突出した連結位置で連結されている。載置部37はこの連結位置より上方に設けられており、上向きに凸形状に形成されている。この凸形状の頂部が第2断熱材20に当接する載置部位となる。この頂部の上面は第2断熱材20の厚み以下の距離で大引3の下面3bと対向配置されているのがよい。
案内部38は、下り勾配とされることで、支持部36の第1下片33aの上面と大引3の下面3bとの間の距離が先端部側ほど離間している。
そのため図3に示すように、第1下片33aの先端38aでは、大引3の下面3bとの間の間隔が第2断熱材20の厚みよりも常時広く拡開されており、第2断熱材20の端縁20cが案内部38の上方の位置まで容易に挿入することが可能な構成となっている。
また、本実施形態では、支持部36が取付部35に対して下方に弾性変形可能に形成されており、載置部37が第2断熱材20の厚みL2より小さい距離で大引3の下面3bと対向している。すなわち、支持部36の載置部37は、上下方向に対向配置される大引3との離間L1が大引3の下方に配置される第2断熱材20の厚みL2より小さい寸法に設定されている。第2断熱材20を載置する際、載置部37の上面と大引3の下面3bとの間の距離を第2断熱材20の厚み以上に拡開可能となっている。
一方、土台2に第2断熱材20を固定するための第1固定ピン30aは、図1に示すように、支持部36に第2下片33bのみが設けられている。その他は大引3に第2断熱材20を固定するための第1固定ピン30aと同様である。
次に、このような第1固定ピン30aを用いて根太レス型の床構造に断熱材を固定して断熱材の固定構造を施工する手順について説明する。
図1に示すように、先ず、第1固定ピン30aが土台2及び大引3にそれぞれ取り付けられる。土台2に対する第1固定ピン30aの取り付けでは、第1固定ピン30aの第2下片33bを内側空間6側に配置して、上片32を土台2の上面2aに固定する。また大引3に対する第1固定ピン30aの取り付けでは、第1下片33aを大引3側に配置するとともに、第2下片33bを内側空間6側に配置して、上片32を大引3の上面3aに固定する。
第1固定ピン30aの土台2及び大引3への取り付け間隔は、下片33が第2断熱材20の下面20bを十分に載置できる範囲で決められている。
土台2及び大引3に第1固定ピン30aがそれぞれ取り付けられた後、図3に示すように、第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿うように配置し、端縁側から大引3の下面3bに沿って移動させる。
図4(a)に示すように、第2断熱材20の端縁が第1下片33aの案内部38に当接して案内される。
図4(b)に示すように、第2断熱材20の端縁が案内部38に沿ってスライドして、載置部37の頂部の上面まで案内される。このとき第1下片33aが弾性変形により下降することで、載置部37の上面と大引3の下面3bとの間が拡開され、第2断熱材20の端縁が載置部37の上面と大引3の下面3bとの間に配置される。
この状態では、第2断熱材20の端縁は載置部37と大引3との間で挟持され、第1下片33aからの弾性力により大引3の下面3bに押し付けられる。
そして、図4(c)に示すように、第2断熱材20の端縁を第1下片33aの最奥部まで移動させることで、第2断熱材20を所定位置に配設する。
この第2断熱材20の配設施工にあたっては、土台2及び大引3間の大きさ、大引3の下面3bの大きさ、及び隣り合う大引3同士の間の大きさ等に応じて予め適宜分割してから行うことができる。
図1に示すように、第2断熱材20の設置後には、土台2及び大引3間の内側空間6に第1断熱材10を充填する。内側空間6の下には第2断熱材20が配設されているので、第1断熱材10は第2断熱材20の上面20aに配設されて第2断熱材20に支持される。
第1断熱材10の配設後は、土台2の上面2a及び大引3の上面3aに張設される周知の床構造と同様に、それぞれの上面2a、3aに透湿気密フィルムを張設し、床材を張設することで、施工を終了する。
ここで、床の断熱構造として、第1固定ピン30aの配置例について説明する。
図5及び図6に示すように、第1固定ピン30aは、第1断熱材10に対して少なくとも4つが使用される。なお、図5及び図6に示す配置例では、第1断熱材10の四方に接する大引3毎に、その大引3の片側に2箇所(符号Eで示す二点鎖線で囲まれた部分)ずつ第1固定ピン30aを設ける位置が設定されている。図5は、対向する2本の大引3のそれぞれに2つずつで合計4つの第1固定ピン30aが設けられた配置構成となっている。図6は、第1断熱材10を囲う4本の大引3のそれぞれに1つずつの第1固定ピン30aが設けられた配置構成となっている。
なお、本実施形態の第1固定ピン30aは、支持部36(下片33a、33b)が垂直片31の両側に張り出しているので、大引3の片側3cだけに第1固定ピン30aを設置するだけで良く、第1固定ピン30aの個数と設置の手間を低減することができる利点がある。
以上のような第1固定ピン30aによれば、第2断熱材20を支持する支持部36が、大引3に取り付けられる取付部35から大引3の下面3bの下方に向けて突設されているので、第2断熱材20を大引3の下面3bに配置することができ、大引3の下面3bにおける断熱性を確保することができる。
そして、本実施形態では、支持部36が、第2断熱材20を載置する載置部37と、載置部37から先端側へ下り勾配に設けられた案内部38と、を有している。そのため、案内部38における大引3の下面3bとの間が突設先端側ほど拡開して配置される。これにより第2断熱材20を大引3の下面3bに配置して支持部36に支持させる際、大引3の下面3bに沿ってスライドさせることで第2断熱材20の端縁を案内部38の上方の位置まで容易に挿入することが可能となり、さらに案内部38によって第2断熱材20を載置部37まで容易に案内させることができる。
したがって、自己保形性を有する板状の第2断熱材20を容易に床下に配設できて効率よく施工できる。
また、本実施形態の第1固定ピン30aによれば、支持部36が取付部35に対して下方に弾性変形可能に形成されていて、第2断熱材20の厚み以下の距離で大引3の下面3bと対向配置されている。そのため、第2断熱材20を支持部36に支持させることで、支持部36の弾性により第2断熱材20を大引3の下面3bに押し付けることができる。これにより第2断熱材20を大引3の下面3bに密着させる作業を行う必要がなく、第2断熱材20を安定して支持することができる。
しかも、支持部36が弾性変形可能であれば、厚みが異なる第2断熱材20であっても支持部36に安定して支持することが可能である。
次に、図7乃至図10に基づいて変形例について説明する。なお、上述した実施形態の構成要素と同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、これらについては、説明が重複するので詳しい説明は省略する。
(第1変形例)
図7に示される第1変形例では、第2固定ピン30b(断熱材固定具)における支持部36の第1下片33aと大引3の下面3bとの間の寸法L1が、第2断熱材20の厚みL2とほぼ同じ寸法に設定されている。また、第2固定ピン30bが弾性変形しない剛体として形成されている。その他は上記実施形態と同様である。
このような第1変形例の第2固定ピン30bであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、容易に第1下片33aの載置部37上に第2断熱材20を容易に配置できる。したがって、板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
(第2変形例)
図8に示される第2変形例では、第3固定ピン30c(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第3固定ピン30cの支持部36の凸形状が垂直片31との連結部位から上向きに突となる円弧状に形成されている。
このような第2変形例の第3固定ピン30cであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、容易に第1下片33aの円弧状の案内部38により、円弧状の載置部37に第2断熱材20を容易に配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
(第3変形例)
図9に示される第3変形例では、第4固定ピン30d(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第4固定ピン30dの支持部36では、垂直片31から大引3の下面3bに沿って延びる載置部37と、載置部37から先端に向けて下り勾配で設けられた案内部38と、を有している。この例では平坦な載置部37の上面と大引3の下面3bとの間の間隔が第2断熱材20と同じに設けられている。
このような第3変形例の第4固定ピン30dであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、第1下片33aの案内部38により案内されて平坦な載置部37に第2断熱材20を容易に配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
(第4変形例)
図10に示される第4変形例では、第5固定ピン30e(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第5固定ピン30eの支持部36では、第1下片33a及び第2下片33bが垂直片31から先端側に上り勾配で形成されているものの、第1下片33a及び第2下片33bが何れも下方へ弾性変形可能で突設先端側を大きく拡開できる。
このような第4変形例の第5固定ピン30dであっても、第5固定ピン30eの第1下片33a及び第2下片33bを弾性変形させて突設先端側を大きく拡開させれば、容易に第2断熱材20を配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態による断熱材固定具について、図11及び図12を用いて説明する。
第二実施形態は、支持部36の形状及び構造が第一実施形態と異なる。具体的に第二実施形態による第6固定ピン30f(断熱材固定具)では、支持部36の第1下片33c及び第2下片33dが、それぞれ尖形をなす差込片39を備えている。具体的には、第1下片33c及び第2下片33d全体が大引3の下面3bに沿う平板形状を有しており、垂直片31から先端側に向けて先細りとなる尖形をなしている。
また、差込片39の上面が第2断熱材20の厚みより小さい距離で大引3の下面3bと対向配置されている。その他は第一実施形態と同様である。
このような第6固定ピン30fを用いて断熱材の固定構造を施工するには、第一実施形態と同様にして第6固定ピン30fを土台2及び大引3に取り付ける。そして、第2断熱材20を大引3の下面3bに沿うように配置し、端縁側から大引3の下面3bに沿って移動させる。これにより、図11に示すように、差込片39が第2断熱材20の端部に側面から差し込まれ、第2断熱材20の端縁が垂直片31に当接する。つまり、差込片39に第2断熱材20の端部が固定されて第2断熱材20が所定位置に配設されることで、断熱材の固定構造が構築される。
以上のような第6固定ピン30fによれば、第2断熱材20を支持する支持部36が、大引3に取り付けられる取付部35から大引3の下面3bの下方に向けて突設されているので、第2断熱材20を大引3の下面3bに配置することができて大引3の下面3bにおける断熱性を確保することができる。
そして、支持部36が尖形の差込片39を有しているため、第2断熱材20を大引3の下面3bに配置して支持部36に支持させる際において、第2断熱材20を大引3の下面3bに沿って移動させるだけで、差込片39を第2断熱材20の端部に差し込んで第2断熱材20の端部を容易に支持部36に支持することができる。
したがって、板状の第2断熱材20を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
第6固定ピン30fでは、第2断熱材20を配設後には、支持部36が第2断熱材20に差し込まれることで外部に露出する部分を少なくできる。そのため第6固定ピン30fが熱橋となることを防止でき、断熱性をより向上できる。
また、本実施形態の第6固定ピン30fでは、差込片39が床組5の大引3の下面3bに沿う平板形状を有しているので、差込片39を第2断熱材20の側面に差し込んで固定した状態では、差込片39の広い面積で第2断熱材20の端部を安定して支持することができる。
さらに、第6固定ピン30fでは、差込片39が第2断熱材20の厚みより小さい距離で大引3の下面3bと対向配置可能に設けられているので、第2断熱材20を大引3の下面3bと密着させて断熱性を向上させ易い。また、第2断熱材20がどのような厚みであっても、共通の第6固定ピン30fを用いて固定することができ、作業効率をより向上することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態による断熱材固定具について、図面を用いて説明する。
図13(a)に示す第7固定ピン30g(断熱材固定具)は、支持部36(一対の下片33a、33b)と取付部35の垂直片31とが分離可能に形成されている。つまり、図13(a)に示す二点鎖線の切取線Lの位置において、図13(b)、(c)に示すように下片33a、33bを垂直片31に対して例えば折り曲げることで、その下片33a、33bを折り取ることができる。図13(b)は、紙面右側の第1下片33aを折り取って、第2下片33bのみを残した状態(符号30gA)である。図13(c)は、紙面左側の第2下片33bを折り取って、第1下片33aのみを残した状態(符号30gB)である。
ここで、床の断熱構造として、第7固定ピン30gを使用した配置例について説明する。図14(a)、(b)は、土台2に第2下片33bを残した固定ピン30gAを用い、この土台2に対向する大引3に対して下片を折った二種類の固定ピン30gA,30gBを交互に配置した構成となっている。図15(a)、(b)は、全て第1下片33aのみを残した固定ピン30aBを配置した例であって、対向する2本の大引3のそれぞれに2つずつで合計4つの固定ピン30aBが設けられた配置構成となっている。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態による断熱材固定具について、図面を用いて説明する。ここでは、第1断熱材10及び第2断熱材20の重みにより固定ピンの支持部が垂れ下がらないように剛性を高めた構成の例について、図16〜図21を用いて説明する。
図16(a)、(b)に示す第8固定ピン30h(断熱材固定具)は、支持部36の下片33a、33bを幅方向の中心部33Cを挟んだ両側を下向きに折り曲げた構成となっている。図17(a)、(b)に示す第10の固定ピン30i(断熱材固定具)は、支持部36の下片33a、33bを幅方向の中心部33Cを挟んだ両側を上向きに折り曲げた構成となっている。なお、第8固定ピン30h、及び第9固定ピン30iは、それぞれ垂直片31の下端31aが支持部36の折り曲げ形状に合わせて屈曲した形状をなし、支持部36に接合されている。
この場合には、支持部36の下片33a、33bが断熱材の重みで垂れ下がる(折れ曲がる)折れ線方向に対して直交する方向に折り曲げた形状とすることで剛性を高めることができ、上述した断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができる。
また、図18(a)、(b)に示す第10固定ピン30j(断熱材固定具)は、上述した第8固定ピン30hにおいて支持部36と垂直片31とが接合される部分のみで、支持部36の下片33a、33bを幅方向の中心部33Cを挟んだ両側を下向きに折り曲げた構成となっている。そして、支持部36の両端部は、平坦部36aが形成されている。図19(a)、(b)に示す第11固定ピン30k(断熱材固定具)は、上述した第9固定ピン30iにおいて支持部36と垂直片31とが接合される部分のみで、支持部36の下片33a、33bを幅方向の中心部33Cを挟んだ両側を上向きに折り曲げた構成となっている。そして、支持部36の両端は、平坦部36aが形成されている。
また、図20(a)、(b)に示す第12固定ピン30l(断熱材固定具)は、上述した第11固定ピン30kにおいて、支持部36の両端が下向きに折れ曲がった平らな面を有する折曲げ部36bが形成されている。なお、この場合、第10固定ピン30jに折曲げ部36bを適用することも可能である。
これら第10固定ピン30j、第11固定ピン30k、及び第12固定ピン30lでは、支持部36の剛性を高めることができ、断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができるとともに、支持部36の両端に形成される平坦部36aや折曲げ部36b上に断熱材が載置され易くなる。
さらに、上述した第8〜第12の固定ピン30h、30i、30j、30k、30lでは、支持部36における下片33の中心部33Cを挟んだ両側を折り曲げた部分の肉厚を大きくすることにより剛性を高めるようにしてもよい。例えば図16(a)、(b)に示すような上に突となるように支持部36の肉厚を膨出させることができる。
また、図21(a)、(b)に示す第13固定ピン30m(断熱材固定具)は、下片33(33a、33b)の下面の幅方向の中心に沿って延在する垂下リブ33Dが設けられ、T字状断面の支持部36を有する構成となっている。
第14の固定ピン30mでは、下片33が垂下リブ33Dによって補強され剛性が高められた構成となるので、上述した断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができる。
以上、本発明に係る断熱材固定具、及び床断熱構造の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
例えば上記各実施形態では、床組の横架材として土台2と大引3とを例示したが、横架材は特に限定されない。横架材が床梁、根太、まぐさ等であってもよく、2階以上の床組の梁、桁、胴差などであってもよい。
また、上記各実施形態では、支持部36の第1下片33a,33cと第2下片33b,33dとを左右対称に垂直片31から突設した例について説明したが、何ら限定されるものではなく、左右非対称に形成することが可能であり、第1下片33a,33cと第2下片33b,33dとを異なる形状や異なる性状で構成することが可能である。
また、例えば、土台および大引上に、大引と直交する方向に根太を設けた根太工法で施工された床の断熱構造に適用してもよく、この場合も上記した実施の形態同様に、土台と大引の間および大引間に第1断熱材10を配設し、第2断熱材20を固定手段を用いて大引の下面全体に当接されるように配設することができる。
また、大引3の間に第1断熱材10を設置せず、大引3の下に第2断熱材20のみを設置してもよく、この場合、大引3の間の空間を床断熱配管や給排水配管等の配管スペースとして用いたり、電気配線や空調用ダクト等のスペースとして用いることができる。
1 基礎
1a 上面
2 土台(横架材)
2a 上面
2b 下面
3 大引(横架材)
3a 上面
3b 下面
4 通気パッキン
5 床組
6 内側空間
10 第1断熱材
20 第2断熱材(板状の断熱材)
30a〜30m 固定ピン(断熱材固定具)
31 垂直片
32 上片
33 下片
33a,33c 第1下片
33b,33d 第2下片
34 爪
35 取付部
36 支持部
37 載置部
38 案内部
39 差込片

Claims (3)

  1. 床組の横架材に取り付けられる取付部と、
    前記取付部から前記横架材の下面の下方に向けて突設され、自己保形性を有して床下に配設される板状の断熱材を下方から支持する支持部と、を備え、
    前記支持部は、
    前記板状の断熱材を載置する載置部と、
    前記載置部から先端側へ下り勾配に設けられた案内部と、を有し
    前記板状の断熱材を前記横架材の下面に沿って前記支持部の方向に移動させることで、前記板状の断熱材の端縁が前記案内部に沿ってスライドすることにより前記支持部が前記取付部に対して下方に弾性変形可能に形成されていることを特徴とする断熱材固定具。
  2. 前記支持部は、上下方向に対向配置される前記横架材との離間が前記横架材の下方に配置される前記断熱材の厚みより小さい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱材固定具。
  3. 請求項1または2に記載の断熱材固定具を使用した床断熱構造であって、 基礎に載置されている土台と該土台に隣接して設けられている大引との間、及び隣り合う大引同士の間にそれぞれ配設された第1断熱材と、
    上面が前記第1断熱材の下面に当接して配設されているとともに、前記大引の下面に当接して配設された第2断熱材と、を備え、
    前記土台及び前記大引にそれぞれ固定された前記断熱材固定具によって前記第2断熱材が支持されていることを特徴とする床断熱構造。
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