JP6906272B2 - 断熱材固定具、及び床断熱構造 - Google Patents
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Description
そして、本発明では、板状の断熱材を下方から支持する支持部が載置部と案内部とを有しているため、案内部における横架材の下面との間が突設先端側ほど拡開して配置される。これにより板状の断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際、横架材の下面に沿って移動させることで断熱材の端縁を案内部の上方の位置まで容易に挿入することが可能となり、さらに案内部によって断熱材を載置部まで容易に案内させることができる。したがって、断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
しかも支持部が弾性変形可能であれば、厚みが異なる板状の断熱材であっても支持部に安定して支持することが可能である。
そして、本発明では、支持部が取付部に対して下方に弾性変形可能に形成されていて、板状の断熱材の厚み以下の距離で横架材の下面と対向配置する場合に、断熱材を支持部に支持させることで、支持部の弾性により板状の断熱材を横架材の下面に押し付けることができる。これにより断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際には、断熱材を横架材の下面に密着させる作業を行う必要がなく、板状の断熱材を安定して支持することができる。したがって、板状の断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
そして、本発明では、支持部が尖形の差込片を有しているため、板状の断熱材を横架材の下面に配置して支持部に支持させる際において、断熱材を横架材の下面に沿って移動させるだけで、差込片を板状の断熱材の端部に差し込んで断熱材の端部を容易に支持部に支持することができる。したがって、断熱材を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
以下、本発明の第一実施形態による断熱材固定具、及び床断熱構造について図1乃至図4を用いて説明する。
本実施形態では、図1に示すような根太を有さない床、いわゆる根太レス工法(剛床工法)で施工された床構造に本実施形態の断熱材固定具を用いて断熱材を固定する例について説明する。
まず、図1に示される根太レス型の床構造は、基礎1と、基礎1上に土台2及び大引3を有して設けられた床組5と、基礎1と土台2との間に配設された通気パッキン4と、を有して構成されている。
この構造は、図1に示すように、第1断熱材10と、第2断熱材20と、本実施形態の断熱材固定具である第1固定ピン30aと、を含んで構成されている。
第2断熱材20の厚さは、第2断熱材20の下面20bの位置が通気パッキン4より上側に位置するように決められており、第2断熱材20が通気パッキン4の通気性を損なうことがない。この第2断熱材20の厚さは、大引3の熱橋を防止できる範囲で決められるのがよい。第2断熱材20は、第1断熱材10に第2断熱材20の厚さ分だけ断熱層が付加されるので、床の断熱効果がより高められる。
なお、上記説明における第2断熱材20の厚さは土台2と大引3が特定の大きさの場合についてのものであり、土台2と大引3の大きさに対応して変更することができるが、第2断熱材20の厚さとしては、熱橋を防止する観点から15mm以上であることが好ましく、収まりや施工性の観点から60mm以下であることが好ましい。
そこで、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材は、JIS K 7221−2で規定される曲げ強度が15N/cm2以上であることが好ましい。これにより、第1断熱材10の垂れ下がりに対して変形せず、基礎1の立ち上がり付近においては通気パッキン4による通気性を阻害せず、湿気によるカビの発生や断熱性の低下を抑えることができる。また、その他の床下においても大引3の下に設置された第2断熱材20どうしの間に隙間が生じないため断熱性を損なうことが無い。
これにより、吸湿した断熱材20にカビが発生したり、熱伝導率が上昇したりすることを防ぐことができる。
また、第2断熱材20は通気パッキン4で換気される外気と接触するため、透湿抵抗の高いものが好ましい。そのため、JIS A 1324:1995(カップ法)で規定される透湿抵抗が0.0027m2・s・Pa/ng以上が好ましく、0.0100m2・s・Pa/ng以上がより好ましく、0.0200m2・s・Pa/ng以上がさらに好ましく、0.0300以上が最も好ましい。一方、透湿抵抗が高すぎると室内の湿気が高い場合に床下へと透湿することができず、床内が結露する恐れがある。そのため、0.0800m2・s・Pa/ng以下が好ましく、0.0600m2・s・Pa/ng以下がより好ましく、0.0450m2・s・Pa/ng以下が最も好ましい。
また、熱橋を防止する観点から第2断熱材20のJIS A 9521で規定される熱抵抗は0.35m2・K/W以上が好ましく、0.60m2・K/W以上がより好ましく、1.0m2・K/W以上が最も好ましい。一方、収まりや施工性の観点から3.5m2・K/W以下が好ましく、2.0m2・K/W以下がより好ましい。
熱伝導率は0.020W/m・K以下が好ましく、0.019W/m・K以下がより好ましく、0.018W/m・K以下が最も好ましい。
また、熱抵抗は0.75m2・K/W以上3.33m2・K/W以下が好ましく、1.0m2・K/W以上2.5m2・K/W以下がより好ましい。
また、透湿抵抗は0.0014m2・s・Pa/ng以上0.057m2・s・Pa/ng以下が好ましく、0.0019m2・s・Pa/ng以上0.045m2・s・Pa/ng以下がより好ましい。
また、密度は15kg/m3以上40kg/m3以下が好ましく、20kg/m3以上35kg/m3以下がより好ましく、27kg/m3以上32kg/m3以下が最も好ましい。
また、圧縮強さは10N/cm2以上であることが好ましく、13N/cm2以上がより好ましく、16N/cm2以上が最も好ましい。
また、曲げ強度は15N/cm2以上であることが好ましく、45N/cm2以上がより好ましく、55N/cm2以上が最も好ましい。
また、吸水量は5.0g/100cm2以下が好ましく、3.0g/100cm2以下がより好ましく、2.0g/100cm2以下が最も好ましい。
圧縮強度は密度に比例するため、第1断熱材10を構成する発泡プラスチック系断熱材と、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材が同じ種類である場合、第2断熱材20を構成する発泡プラスチック系断熱材の密度が第1断熱材10を構成する発泡プラスチック系断熱材の密度より高い方が好ましい。
断熱材を幅方向200mm、長さ方向200mmにカットした断熱材の質量を初期質量m0とする。この断熱材を104℃のオーブンに投入して48時間後の質量をm1とし、下式(1)で平衡含水率(単位:質量%)を求める。
平衡含水率=(m0−m1)/m0×100 ・・・(1)
この第1固定ピン30aは金属、樹脂などの硬質材料からなる。第1固定ピン30aが樹脂製であれば腐食を防止できるとともに熱橋となることを防止し易い。第2断熱材20としてフェノールフォームを用いる場合、樹脂製の第1固定ピン30aを用いるのがよい。また、金属製の第1固定ピン30aを使用する場合には、錆を防止するために、第2断熱材20のpHを3〜6とすることが好ましい。
取付部35は、屈曲した帯板状の垂直片31及び上片32を有している。厚さは土台2又は大引3上に床板(図示せず)を支障なく張設できる範囲で決められている。幅は支持部36と同等に形成されている。
上片32の略中心位置には、上片32を土台2の上面2a又は大引3の上面3aに食い込ませて固定するための爪34が一体的に形成されている。
第1下片33aは、垂直片31の下端部から大引3の下面3bの下方に向けて突設されており、上片32と同方向に折り曲げて形成されている。第2下片33bは、垂直片31の下端部から内側空間6側に向けて突設されており、上片32と逆方向に折り曲げて形成されている。
本実施形態では、第1下片33a及び第2下片33bと垂直片31とが下方に突出した連結位置で連結されている。載置部37はこの連結位置より上方に設けられており、上向きに凸形状に形成されている。この凸形状の頂部が第2断熱材20に当接する載置部位となる。この頂部の上面は第2断熱材20の厚み以下の距離で大引3の下面3bと対向配置されているのがよい。
そのため図3に示すように、第1下片33aの先端38aでは、大引3の下面3bとの間の間隔が第2断熱材20の厚みよりも常時広く拡開されており、第2断熱材20の端縁20cが案内部38の上方の位置まで容易に挿入することが可能な構成となっている。
第1固定ピン30aの土台2及び大引3への取り付け間隔は、下片33が第2断熱材20の下面20bを十分に載置できる範囲で決められている。
図4(a)に示すように、第2断熱材20の端縁が第1下片33aの案内部38に当接して案内される。
この状態では、第2断熱材20の端縁は載置部37と大引3との間で挟持され、第1下片33aからの弾性力により大引3の下面3bに押し付けられる。
この第2断熱材20の配設施工にあたっては、土台2及び大引3間の大きさ、大引3の下面3bの大きさ、及び隣り合う大引3同士の間の大きさ等に応じて予め適宜分割してから行うことができる。
図5及び図6に示すように、第1固定ピン30aは、第1断熱材10に対して少なくとも4つが使用される。なお、図5及び図6に示す配置例では、第1断熱材10の四方に接する大引3毎に、その大引3の片側に2箇所(符号Eで示す二点鎖線で囲まれた部分)ずつ第1固定ピン30aを設ける位置が設定されている。図5は、対向する2本の大引3のそれぞれに2つずつで合計4つの第1固定ピン30aが設けられた配置構成となっている。図6は、第1断熱材10を囲う4本の大引3のそれぞれに1つずつの第1固定ピン30aが設けられた配置構成となっている。
なお、本実施形態の第1固定ピン30aは、支持部36(下片33a、33b)が垂直片31の両側に張り出しているので、大引3の片側3cだけに第1固定ピン30aを設置するだけで良く、第1固定ピン30aの個数と設置の手間を低減することができる利点がある。
したがって、自己保形性を有する板状の第2断熱材20を容易に床下に配設できて効率よく施工できる。
しかも、支持部36が弾性変形可能であれば、厚みが異なる第2断熱材20であっても支持部36に安定して支持することが可能である。
図7に示される第1変形例では、第2固定ピン30b(断熱材固定具)における支持部36の第1下片33aと大引3の下面3bとの間の寸法L1が、第2断熱材20の厚みL2とほぼ同じ寸法に設定されている。また、第2固定ピン30bが弾性変形しない剛体として形成されている。その他は上記実施形態と同様である。
このような第1変形例の第2固定ピン30bであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、容易に第1下片33aの載置部37上に第2断熱材20を容易に配置できる。したがって、板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
図8に示される第2変形例では、第3固定ピン30c(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第3固定ピン30cの支持部36の凸形状が垂直片31との連結部位から上向きに突となる円弧状に形成されている。
このような第2変形例の第3固定ピン30cであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、容易に第1下片33aの円弧状の案内部38により、円弧状の載置部37に第2断熱材20を容易に配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
図9に示される第3変形例では、第4固定ピン30d(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第4固定ピン30dの支持部36では、垂直片31から大引3の下面3bに沿って延びる載置部37と、載置部37から先端に向けて下り勾配で設けられた案内部38と、を有している。この例では平坦な載置部37の上面と大引3の下面3bとの間の間隔が第2断熱材20と同じに設けられている。
このような第3変形例の第4固定ピン30dであっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば第2断熱材20を大引3の下面3bに概略沿って移動させることで、第1下片33aの案内部38により案内されて平坦な載置部37に第2断熱材20を容易に配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
図10に示される第4変形例では、第5固定ピン30e(断熱材固定具)における支持部36の形状が異なる他は、上記実施形態と同様である。第5固定ピン30eの支持部36では、第1下片33a及び第2下片33bが垂直片31から先端側に上り勾配で形成されているものの、第1下片33a及び第2下片33bが何れも下方へ弾性変形可能で突設先端側を大きく拡開できる。
このような第4変形例の第5固定ピン30dであっても、第5固定ピン30eの第1下片33a及び第2下片33bを弾性変形させて突設先端側を大きく拡開させれば、容易に第2断熱材20を配置できる。そのため板状の第2断熱材20を容易に床下に配設して効率よく施工することができる。
次に、本発明の第二実施形態による断熱材固定具について、図11及び図12を用いて説明する。
第二実施形態は、支持部36の形状及び構造が第一実施形態と異なる。具体的に第二実施形態による第6固定ピン30f(断熱材固定具)では、支持部36の第1下片33c及び第2下片33dが、それぞれ尖形をなす差込片39を備えている。具体的には、第1下片33c及び第2下片33d全体が大引3の下面3bに沿う平板形状を有しており、垂直片31から先端側に向けて先細りとなる尖形をなしている。
また、差込片39の上面が第2断熱材20の厚みより小さい距離で大引3の下面3bと対向配置されている。その他は第一実施形態と同様である。
したがって、板状の第2断熱材20を容易に床下に配設できて効率よく施工することができる。
次に、本発明の第三実施形態による断熱材固定具について、図面を用いて説明する。
図13(a)に示す第7固定ピン30g(断熱材固定具)は、支持部36(一対の下片33a、33b)と取付部35の垂直片31とが分離可能に形成されている。つまり、図13(a)に示す二点鎖線の切取線Lの位置において、図13(b)、(c)に示すように下片33a、33bを垂直片31に対して例えば折り曲げることで、その下片33a、33bを折り取ることができる。図13(b)は、紙面右側の第1下片33aを折り取って、第2下片33bのみを残した状態(符号30gA)である。図13(c)は、紙面左側の第2下片33bを折り取って、第1下片33aのみを残した状態(符号30gB)である。
次に、本発明の第四実施形態による断熱材固定具について、図面を用いて説明する。ここでは、第1断熱材10及び第2断熱材20の重みにより固定ピンの支持部が垂れ下がらないように剛性を高めた構成の例について、図16〜図21を用いて説明する。
この場合には、支持部36の下片33a、33bが断熱材の重みで垂れ下がる(折れ曲がる)折れ線方向に対して直交する方向に折り曲げた形状とすることで剛性を高めることができ、上述した断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができる。
これら第10固定ピン30j、第11固定ピン30k、及び第12固定ピン30lでは、支持部36の剛性を高めることができ、断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができるとともに、支持部36の両端に形成される平坦部36aや折曲げ部36b上に断熱材が載置され易くなる。
第14の固定ピン30mでは、下片33が垂下リブ33Dによって補強され剛性が高められた構成となるので、上述した断熱材の重みによる垂れ下がりを抑制することができる。
例えば上記各実施形態では、床組の横架材として土台2と大引3とを例示したが、横架材は特に限定されない。横架材が床梁、根太、まぐさ等であってもよく、2階以上の床組の梁、桁、胴差などであってもよい。
1a 上面
2 土台(横架材)
2a 上面
2b 下面
3 大引(横架材)
3a 上面
3b 下面
4 通気パッキン
5 床組
6 内側空間
10 第1断熱材
20 第2断熱材(板状の断熱材)
30a〜30m 固定ピン(断熱材固定具)
31 垂直片
32 上片
33 下片
33a,33c 第1下片
33b,33d 第2下片
34 爪
35 取付部
36 支持部
37 載置部
38 案内部
39 差込片
Claims (3)
- 床組の横架材に取り付けられる取付部と、
前記取付部から前記横架材の下面の下方に向けて突設され、自己保形性を有して床下に配設される板状の断熱材を下方から支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、
前記板状の断熱材を載置する載置部と、
前記載置部から先端側へ下り勾配に設けられた案内部と、を有し、
前記板状の断熱材を前記横架材の下面に沿って前記支持部の方向に移動させることで、前記板状の断熱材の端縁が前記案内部に沿ってスライドすることにより前記支持部が前記取付部に対して下方に弾性変形可能に形成されていることを特徴とする断熱材固定具。 - 前記支持部は、上下方向に対向配置される前記横架材との離間が前記横架材の下方に配置される前記断熱材の厚みより小さい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱材固定具。
- 請求項1または2に記載の断熱材固定具を使用した床断熱構造であって、 基礎に載置されている土台と該土台に隣接して設けられている大引との間、及び隣り合う大引同士の間にそれぞれ配設された第1断熱材と、
上面が前記第1断熱材の下面に当接して配設されているとともに、前記大引の下面に当接して配設された第2断熱材と、を備え、
前記土台及び前記大引にそれぞれ固定された前記断熱材固定具によって前記第2断熱材が支持されていることを特徴とする床断熱構造。
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