JP6906223B2 - 導電性樹脂組成物、導電性接着剤、および半導体装置 - Google Patents

導電性樹脂組成物、導電性接着剤、および半導体装置 Download PDF

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本発明は、導電性樹脂組成物、この導電性樹脂組成物を含む導電性接着剤、およびこれらの硬化物を含む半導体装置に関する。
現在、半導体装置の内部には、樹脂と金属とが、導電性接着剤で接続されているものがある。例えば、フレキシブル樹脂基板などの樹脂基板と、電磁波シールドのための金属ケースとが、導電性接着剤で接続されている。
従来、樹脂基板と、電磁波シールドのための金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が、十分でない場合があり、プル強度の向上が求められていた。
一般に、導電性接着剤に使用される導電性組成物は、導電性を向上させるために、導電性フィラーを増加させ、樹脂含有量を減少させたいものの、樹脂含有量を減少させると、接着強度が低下する、というトレ−ドオフがある。
より低い電気抵抗を提供するために、アルキル基が平均約4〜14個の炭素原子を有する非三級アルコールのアクリル酸エステル、及び極性コモノマーを含む照射感応化無溶剤アクリル系感圧性接着剤前駆体の反応生成物と、0よりも大きく約5g/立方センチメートル未満の密度を有する導電性フレークと、を含む、導電性接着剤が、報告されている(特許文献1)。
しかしながら、上述の導電性接着剤は、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が十分でない、という問題がある。
特表2009−544815号公報
本発明は、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度を高くすることを課題とする。本発明の目的は、硬化後に、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が強い導電性樹脂組成物を提供することである。
本発明は、以下の構成を有することによって上記問題を解決した導電性樹脂組成物、導電性接着剤、および半導体装置に関する。
〔1〕(A)25℃の水100gに対する溶解度が、50g以上である(メタ)アクリレートモノマー、
(B)リン酸変性された(メタ)アクリレートモノマー(ただし、(A)を除く)、
(C)25℃の水100gに対する溶解度が10g未満である、(メタ)アクリレートモノマー以外の1分子中に不飽和二重結合を2つ以上有する化合物、および
(D)導電性フィラー
を含有することを特徴とする、導電性樹脂組成物。
〔2〕(B)成分が、一般式(1):
Figure 0006906223
(式中、Rは水素またはメチル基を、Rは、分岐していてもよい炭素数2〜6のアルキレン鎖、または化学式(2):
Figure 0006906223
であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜3である)で表される、上記〔1〕記載の導電性樹脂組成物。
〔3〕硬化後のガラス転移温度が、60℃未満である、上記〔1〕または〔2〕記載の導電性樹脂組成物。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の導電性樹脂組成物を含む、電子部品用の導電性接着剤。
〔5〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の導電性樹脂組成物の硬化物を含む、半導体装置。
本発明〔1〕によれば、硬化後に、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が強い導電性樹脂組成物を提供することができる。
本発明〔4〕によれば、硬化後に、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が強い導電性接着剤を提供することができる。本発明〔5〕によれば、樹脂基板と、金属ケースとの接着強度、中でも、金属ケースと接着剤間の接着強度、特に、プル強度が強いことにより、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、(A)25℃の水100gに対する溶解度が、50g以上である(メタ)アクリレートモノマー、
(B)リン酸変性された(メタ)アクリレートモノマー(ただし、(A)を除く)、
(C)25℃の水100gに対する溶解度が10g未満である、(メタ)アクリレートモノマー以外の1分子中に不飽和二重結合を2つ以上有する化合物、および
(D)導電性フィラー
を含有することを特徴とする。本発明者らは、基材(金属)表面は、疎水性で親水基が点在しており、その点在している親水基へ、まず、(B)成分が、付着し、その(B)成分に連れられて、(A)成分も基材(金属)表面へ移動することにより、基材(金属)表面に点在する親水基と、(A)の水酸基(ヒドロキシ基)等の極性基とが水素結合で結びつき、基材(金属)−導電性樹脂組成物硬化物間のプル強度が向上する、と考えている。ここで、プル強度とは、基材や樹脂基板等の被着体同士を、導電性樹脂組成物(接着剤)で挟んだ後に硬化させた複合体を、その接着面に対して鉛直方向に引っぱり荷重を加え、複合体が破断するまでに加えた最大荷重のことである。
(A)成分である25℃の水100gに対する溶解度が、50g以上である(メタ)アクリレートモノマーは、導電性樹脂組成物に、密着性を付与する。この(メタ)アクリレートモノマーは、分子中のアクリロイル基がひとつであるモノアクリレートモノマーであると、好ましい。25℃の水100gに対する溶解度が、50g以上である(メタ)アクリレートモノマーとしては、一般式(3):
Figure 0006906223
(式中、R、およびRは、独立して、水素、NH−R(Rは、炭素数1〜3のヒドロキシ基である)、もしくはO−R(Rは、炭素数1〜3のヒドロキシ基である)で表されるもの、または、アクリロイルモルホリン(ACMO):
Figure 0006906223
が、挙げられ、硬化後の導電性樹脂組成物のプル強度の観点から、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA):
Figure 0006906223
ヒドロキシエチルアクリレート(HEA):
Figure 0006906223
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):
Figure 0006906223
またはアクリロイルモルホリンが、好ましい。これらのモノマーは、硬化後に基材(金属)表面に点在する親水基と、水素結合で結びつくことができる。(A)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
(B)成分は、界面活性作用を有し、(A)成分を基材(金属)表面へ移動させ、(A)成分と基材(金属)間の密着性を向上させる、と考えられる。(B)成分は、一般式(1):
Figure 0006906223
(式中、Rは水素またはメチル基を、Rは、分岐していてもよい炭素数2〜6のアルキレン鎖、または化学式(2):
Figure 0006906223
であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜3である)で表されるものであると好ましく、一般式(3):
Figure 0006906223
(式中、pは、1〜3、好ましくは1または2であり、混合物としては、pは1.5が好ましい)。
または一般式(4):
Figure 0006906223
(式中、qは、1〜3、好ましくは1または2であり、混合物としては、qは1.5が好ましい)で表されるものであると、より好ましい。(B)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、(A)成分および(B)成分と反応する。(C)成分としては、ビスマレイミド、ジアクリレート、トリアクリレート等が、挙げられる。ビスマレイミドとしては、室温で液状であり、他の材料との混合が容易であるという理由から、一般式()で表されるビスマレイミドが、好ましい。
Figure 0006906223
(式中、rは、1〜10の整数である)。なお、ビスマレイミドは、一般的に粘度が高いので、粘度を下げるために、ビスマレイミドと相溶性が高い低粘度の不飽和二重結合(例えば、フェノキシアクリレート)をもつ樹脂を添加してもよい。(C)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
(D)成分である導電性フィラーは、導電性樹脂組成物に導電性を付与する。(D)成分としては、銀粉、銅粉等が、挙げられ、有機過酸化物を含有させる場合には、酸化還元反応による有機過酸化物の分解を抑制する観点から、銀粉が好ましい。銀粉である場合の形状は、特に限定されないが、平均粒径は、導電性と配合物の流動性の観点から、0.1〜20μmが、好ましい。ここで、平均粒径は、レーザー回折法で測定する。
(A)成分は、金属ケースへの密着力の向上の観点から、導電性樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であると、好ましい。
(B)成分は、電気伝導性の観点から、導電性樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜0.50質量部であると、好ましい。
(C)成分は、重合反応性の観点から、導電性樹脂組成物100質量部に対して、5〜28質量部であると、好ましい。
(D)成分は、電気伝導性の観点から、導電性樹脂組成物100質量部に対して、70〜90質量部であると、好ましい。
導電性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、更に必要に応じ、作業性向上のための揺変剤、カップリング剤、有機化酸化物、カーボンブラックなどの顔料、イオントラップ剤、染料、消泡剤、破泡剤、酸化防止剤、その他の添加剤等、更に反応性希釈剤、有機溶剤等を配合することができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、例えば、(A)成分〜(D)成分およびその他の添加剤等を同時にまたは別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶融、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等の装置としては、特に限定されるものではないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明の導電性接着剤の硬化は、80〜165℃で、1〜150分間行うことが好ましい。
硬化後のガラス転移温度は、60℃未満であると、応力の集中が避けられるため、好ましい。
〔導電性接着剤〕
本発明の導電性接着剤は、上述の導電性樹脂組成物を含む。この導電性接着剤は、電子部品用の導電性接着剤として、樹脂基板と、電磁波シールドのための金属ケースとの接着等の用途に、非常に適している。
〔半導体装置〕
本発明の半導体装置は、上述の導電性樹脂組成物の硬化物を含む。半導体装置としては、カメラモジュールに使用されるイメージセンサーが、挙げられる。
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、重量部、重量%を示す。
(A)成分のヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)には、KJケミカルズ製ヒドロキシエチルアクリルアミド(品名:HEAA)を、
ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)には、大阪有機化学製ヒドロキシエチルアクリレート(品名:HEA)を、
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)には、三菱ガス化学製ヒドロキシエチルメタクリレート(品名:2−HEMA)を、
アクリロイルモルホリン(ACMO)には、KJケミカルズ製アクリロイルモルホリン(品名:ACMO)を、使用した。
なお、(A)成分は、全て、全て水100gに対する溶解度が、50g以上である。
(A’)成分のイソボルニル(メタ)アクリレート:
Figure 0006906223
には、大阪有機化学製イソボルニルアクリレート(品名:IBXA)を、
イソアミル(メタ)アクリレート:
Figure 0006906223
には、東京化成工業製イソアミルアクリレート(品名:Isoamyl Acrylate (stabilized with HQ))を、使用した。
なお、(A’)成分は、全て、全て水100gに対する溶解度が、1g未満である。
(B)成分のリン酸変性Acryl(アクリレート)その1は、日本化薬製(品名:KAYAMER PM−2)を、
(B)成分のリン酸変性Acryl(アクリレート)その2は、日本化薬製(品名:(KAYAMER PM−21))を、
(C)成分のビスマレイミドには、Designer Molecules Inc.製(品名:(BMI−1500))を、
メタクリレートには、共栄社化学製(品名:(ライトエステルBP−2EM))を、使用した。
なお、(C)成分は、水100gに対する溶解度が、1g未満である。
(D)成分のAgフィラーには、DOWAエレクトロニクス製(品名;銀粉AG−4−8F)、平均粒径:2μm)を、
その他成分のフェノキシ(メタ)アクリレート:
Figure 0006906223
には、共栄社化学製フェノキシエチルアクリレート(品名:ライトアクリレートPO−A)を、
有機化酸化物には、日油製(品名;パーロイルTCP)を、
シランカップリング剤には、信越化学工業製(品名;KBM−403)を、
使用した。
〔実施例1〜9、比較例1〜6〕
表1、2に示す配合を、3本ロールミルを用いて混合し、導電性樹脂組成物を調整した。
〔プル強度の測定〕
宇部興産製のポリイミド基板(品名;ユーピレックスS、厚さ:125μm)上に、0.9mmの導電性樹脂組成物を塗布した。その導電性樹脂組成物の上に、10mm□の正方形の純ニッケル板を載せた。その後、純ニッケル板の上から、300gfの力を加えたのちに、90℃で60分間、加熱硬化することにより、試験体を得た。この試験体を、接着面が水平になるように、精密荷重測定器(アイコーエンジニアリング製、型番:1605HTP)に固定したのちに、室温で鉛直方向に1mm/secの速度で、引っぱり荷重を加えた。試験体が破断するまでに加えた最大荷重を、プル強度とした。
〔ガラス転移温度の測定〕
作製した導電性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、動的粘弾性測定(DMA)を用いて、測定した。表面に耐熱離型シートを施した40mm×60mmのステンレス板に、加熱硬化後の膜厚が150±100μmとなるように導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、90℃で60分間加熱硬化させた。室温でこの塗膜をステンレス板から剥がした後、カッターで所定寸法(5mm×40mm)に切り取った。なお、切り口はサンドペーパーで滑らかに仕上げた。この塗膜を、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DMS6100を用いて、測定を行った(昇温速度:3℃/min、測定範囲:−40〜220℃)。tanδのピーク温度を読み取り、Tgとした。表1、2に、結果を示す。
Figure 0006906223
Figure 0006906223
表1、2からわかるように、実施例1〜9は、プル強度が、2kgf以上と高く、Tgが適性範囲内であった。これに対して、(B)成分を含有していない比較例1、(A)成分の代わりにフェノキシアクリレートを使用した比較例2、(A)成分の代わりに(A’)成分を使用した比較例3〜5、(C)成分を使用しなかった比較例6は、いずれもプル強度が低かった。
上記のように、本発明の導電性樹脂組成物は、プル強度が高いので、導電性接着剤に非常に適している。

Claims (6)

  1. (A)25℃の水100gに対する溶解度が、50g以上である(メタ)アクリレートモノマー、
    (B)リン酸変性された(メタ)アクリレートモノマー(ただし、(A)を除く)、
    (C)25℃の水100gに対する溶解度が10g未満である、(メタ)アクリレートモノマー以外の1分子中に不飽和二重結合を2つ以上有する化合物;ジ(メタ)アクリレート;またはトリ(メタ)アクリレート、および
    (D)導電性フィラー
    を含有することを特徴とする、導電性樹脂組成物。
  2. 導電性樹脂組成物100質量部に対して、
    (A)成分が0.1〜1.0質量部であり、
    (B)成分が、0.05〜0.50質量部であり、
    (C)成分が、5〜28質量部であり、
    (D)成分が、70〜90質量部である、請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. (B)成分が、一般式(1):
    Figure 0006906223
    (式中、Rは水素またはメチル基を、Rは、分岐していてもよい炭素数2〜6のアルキレン鎖、または化学式(2):
    Figure 0006906223
    であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜3である)で表される、請求項1または2記載の導電性樹脂組成物。
  4. 硬化後のガラス転移温度が、60℃未満である、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物を含む、電子部品用の導電性接着剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物の硬化物を含む、半導体装置。
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