JP6904535B2 - 成形体の製造方法および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体の製造方法および成形体に関する。
近年、軽量化または成形加工の容易性の確保を目的として、金属材料を樹脂材料で代替する動きが増加している。このような樹脂材料としては、フェノール樹脂などが用いられることが多い。
例えば、特許文献1には、「フェノール樹脂繊維(A)と、マトリックス樹脂(B)と、を有するフェノール樹脂組成物であって、前記マトリックス樹脂(B)は、フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物」(請求項1)を「成形して得られる成形体」(請求項7)が開示されている。
特許文献1に開示された成形体は、マトリックス樹脂にフェノール樹脂繊維を添加することによって、高い曲げ弾性率などの特性を獲得している。
特開2014−80491号公報
近年、環境保全意識の高まりから、脱石油材料として、生物資源(バイオマス)から作られたバイオプラスチックに注目が集まっている。
本発明者は、バイオマスとしてシルク(蚕の幼虫が産出するタンパク質)に着目し、シルク粉末から、フェノール樹脂繊維などの添加材料を添加することなく、成形体を製造した。しかしながら、得られた成形体は、曲げ弾性率が不十分である場合があった。
そこで、本発明は、フェノール樹脂繊維などの添加材料を用いることなく、高い曲げ弾性率を有するバイオマス由来の成形体を製造できる、成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ホーネットシルクを用いることによって、高い曲げ弾性率を有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]ホーネットシルクを含む材料を、成形型中で加圧および加温することによって、成形体を得る、成形体の製造方法。
[2]上記ホーネットシルクを含む材料が、スズメバチの巣から採取した繭から、上記巣を構成する木屑を含む夾雑物を除去して得られる材料である、上記[1]に記載の成形体の製造方法。
[3]上記ホーネットシルクを含む材料の状態が、粉末である、上記[1]または[2]に記載の成形体の製造方法。
[4]上記ホーネットシルクを含む材料の粒径が、400μm以下である、上記[3]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[5]上記ホーネットシルクを含む材料の粒径が、150μm未満である、上記[3]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[6]上記ホーネットシルクを含む材料の粒径の上限値と下限値との差が、70μm以下である、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[7]上記加温する際の温度が、100℃以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の成形体の製造方法。
[8]ホーネットシルクを含む材料を成形してなる成形体であって、曲げ弾性率が5.0GPa以上である、成形体。
本発明によれば、フェノール樹脂繊維などの添加材料を用いることなく、高い曲げ弾性率を有するバイオマス由来の成形体を製造できる、成形体の製造方法を提供できる。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)は、ホーネットシルクを含む材料を、成形型中で加圧および加温することによって、成形体を得る、成形体の製造方法である。
ホーネットシルクは、従来のシルクと同様にバイオマスであるが、後述するように、従来のシルクとは異なる超二次構造を形成している。このため、本発明の製造方法によって得られる成形体は、フェノール樹脂繊維などを添加しなくても、従来のシルクを用いて得られる成形体よりも、曲げ弾性率等の特性に優れるものと推測される。
<ホーネットシルク>
スズメバチは、木屑や枯植物などを唾液と練り合わせて巣を作る。スズメバチの巣は、通常、ボール状の外皮に覆われた複数段の巣盤を有する。各々の巣盤には、スズメバチの幼虫が育つ六角形の巣房が隙間なく並んで形成されている。スズメバチの幼虫は、蛹になる前に、巣房の内側から吐糸して、ホーネットシルクからなるキャップ状の繭を作り、巣房の入口を塞ぐ。
すなわち、ホーネットシルクとは、スズメバチの幼虫が産出するタンパク質である。
なお、スズメバチの巣から採取した繭には、通常、巣(巣盤)を構成する木屑やスズメバチの幼虫が体表から分泌したワックスなどの夾雑物が付着していることから、夾雑物を除去してから使用することが好ましい。
また、本発明において、ホーネットシルクは、スズメバチの巣から採取した繭を構成するものに限られず、遺伝子組み換え技術を用いて得られたもの、例えば、大腸菌にホーネットシルクをコードした遺伝子を導入して作らせたタンパク質も、本発明におけるホーネットシルクに含まれるものとする。
すなわち、本発明におけるホーネットシルクは、スズメバチの幼虫が産出するタンパク質そのものだけでなく、スズメバチの幼虫が産出するタンパク質と同じアミノ酸組成を有するタンパク質をも含む概念である。
具体的には、ホーネットシルクのアミノ酸組成は、アラニンおよびセリンの合計が50モル%以上と多く、かつ、グリシンが10モル%以下と少ないことを特徴としている。
このようなホーネットシルクのアミノ酸組成は、蚕の幼虫が産出したタンパク質である絹フィブロインのアミノ酸組成と異なる。例えば、家蚕の場合は、アラニンおよびセリンの合計が約45モル%にとどまり、グリシンも約42モル%と多い。また、野蚕の場合は、アラニンおよびセリンの合計は約49モル%と比較的多いものの、グリシンも約31モル%と多い。
通常のシルク(絹フィブロイン)が平面構造であるβシート構造を形成しているのに対して、ホーネットシルクは、超二次構造であるコイルドコイル構造(αヘリックスの分子鎖どうしが、左巻きコイルを作りながら絡み合ってできた螺旋状の会合体)を形成している。このような構造の違いによって、得られる成形体の特性も異なるものと推測される。
<ホーネットシルクを含む材料>
(ホーネットシルクを含む材料の概要)
本発明に用いる、ホーネットシルクを含む材料(以下、便宜的に「含HS材料」ともいう)としては、ホーネットシルクを含んでいれば、特に限定されないが、含HS材料におけるホーネットシルク以外の成分も、生物資源(バイオマス)であることが好ましい。
含HS材料としては、例えば、スズメバチの繭から夾雑物を除去せずに残した材料;スズメバチの繭から夾雑物を除去して得られる材料;等が挙げられる。
このような含HS材料の状態は、特に限定されないが、実質的に、粉末である。以下では、粉末状の含HS材料を例に説明する。ただし、成形体を得る過程において、粉末状の含HS材料を液体に溶解または分散して使用することは排除されない。
(含HS材料の第1の態様)
含HS材料としては、例えば、巣から採取した繭を、裁断した後、粉砕して得られる粉末が挙げられる。粉砕には、例えば、ボールミルまたはジェットミル等が使用される。得られる粉末には、ホーネットシルクだけでなく、夾雑物も含まれる。
なお、裁断後、粉砕前に、必要に応じて、夾雑物を手選別で除いてもよい。
また、粉砕して得られた粉末から、更に、夾雑物を分離除去してもよい。このとき、例えば、静電気を利用して対象物を帯電させて、帯電量の違いを利用した選別および分離が可能な静電選別法などを用いることができる。
(含HS材料の第2の態様)
ホーネットシルクは、ハロゲン化有機溶媒および中性塩水溶液に効率良く溶解する。
その一方で、スズメバチの巣から採取した繭に付着している夾雑物(木屑、ワックスなど)は、上記ハロゲン化有機溶媒および中性塩水溶液に不溶である。
そこで、スズメバチの巣から採取した繭を、ハロゲン化有機溶媒または中性塩水溶液に浸漬し、必要に応じて攪拌し、ホーネットシルクのみを溶解させ、その後、フィルタに通したり遠心分離機にかけたりすることによって、不溶成分である夾雑物を分離できる。
ハロゲン化有機溶媒としては、例えば、ジクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ヘキサフロロイソプロパノール、ヘキサフロロアセトン等が挙げられる。また、中性塩水溶液としては、例えば、臭化リチウム、塩化カルシウム、銅エチレンジアミン、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、硝酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。
なお、ハロゲン化有機溶媒の中にはタンパク質を分解するおそれがある溶媒も存在するから、その場合は、4℃以下にまで冷やして分解を防ぐことが好ましい。4℃以下では分解がほとんど生じなくなる。更にマイナス温度にすると溶解速度が低下する。
ハロゲン化有機溶媒に溶解したホーネットシルクは、タンパク質の溶解性を低下させる沈殿剤を加えることによって不溶化させて回収できる。沈殿剤としては、例えば、メタノール、エーテル、エタノール等が挙げられる。
中性塩水溶液に溶解したホーネットシルクについては、透析膜を使った透析によって中性塩成分を除去できる。具体的には、例えば、臭化リチウム(LiBr)水溶液の場合は、セルロース製の透析チューブを使って臭化リチウムを除去できる。
なお、透析チューブ内では、透析の過程で、大部分のホーネットシルクが沈殿(固化)するが、一部は溶解する場合がある。その場合、透析後における透析チューブの内容物を、フィルタを通してろ過、または、遠心分離することによって、固化したホーネットシルクと溶解したホーネットシルクとを回収できる。
ハロゲン化有機溶媒および中性塩水溶液のいずれを用いた場合も、回収したホーネットシルクを乾燥(例えば、凍結乾燥)し、粉砕することによって、粉末化される。粉砕には、例えば、ボールミルまたはジェットミル等が使用される。
(含HS材料の粒径)
第1の態様であっても第2の態様であっても(それ以外の態様であっても)、粉末状の含HS材料は、成形体の材料として使用される前に、適宜、分級されてもよい。分級は、例えば、電磁式篩振盪機を用いた篩分けによって行なわれる。
分級されて使用される粉末の粒径は、例えば、「106μm以上150μm未満」のように幅を持った粒径である。
得られる成形体において、曲げ破壊応力、曲げ破壊ひずみ、および、じん性などの特性が優れるという理由からは、上記粒径(の上限値)は、小さい方が好ましい。具体的には、上記粒径(の上限値)は、400μm以下が好ましく、150μm未満がより好ましく、75μm未満が更に好ましい。なお、本発明における曲げ破壊応力、曲げ破壊ひずみ、および、じん性の測定方法(評価方法)は、後述する。
上記粒径が小さい含HS材料を用いて得られる成形体は、上記粒径が大きい場合と比較して、相対的に、成形体を構成する含HS材料どうしの相互作用が強くなり、もしくは、高くなり、また、クラックが入りにくくなるため、上記特性が得られると推測される。
一方、上記粒径の下限は特に限定されないが、例えば、5μm以上である。
また、得られる成形体の曲げ弾性率がより優れるという理由からは、上記粒径の上限値と下限値との差は、120μmが好ましく、70μm以下がより好ましい。
例えば、分級されて使用される粉末の粒径が「106μm以上150μm未満」である場合、この粒径の「上限値と下限値との差」は、44μm未満となる。
成形体を構成する含HS材料の粒径の「上限値と下限値との差」が小さいことにより、成形体において、含HS材料が均質に分散するため、上記効果が得られると推測される。
<成形体の製造>
本発明の製造方法は、上述した含HS材料を、成形型中で加圧および加温することによって、成形体を製造する。
使用する成形型は、例えば、黒鉛製または鋼製の成形型であり、所望する成形体の形状等に応じて適宜選択される。また、本発明においては、圧延ロールも、成形型に含まれるものとする。
加温する際の温度は、100℃以上が好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、200℃以下である。
このような本発明の製造方法としては、例えば、粉末状の含HS材料を、熱圧成形する方法が挙げられる。熱圧成形には、ホットプレスまたはパルス通電焼結装置を用いることが好ましい。なお、ホットプレスおよびパルス通電焼結装置としては、従来公知の装置を適宜使用できる。
(ホットプレスを用いた熱圧成形)
ホットプレスを用いて熱圧成形する場合には、例えば、粉末状の含HS材料または粉末状の含HS材料に若干の水を添加することによって調製した混合物を、成形型に充填し、ホットプレスを用いて、大気中で、熱圧成形することによって、成形体を得る。なお、粉末状の含HS材料をそのまま用いる場合も、この粉末状の含HS材料中には多少の水分が含まれていると考えられる。
加圧する際の圧力は、例えば、10〜30MPaである。また、到達温度は、100℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、200℃以下である。加熱時間にもよるが、極端に高くなると、表面などの炭素化が顕著になるからである。
その他の条件として、加熱時間は例えば150〜600秒間であり、プレス時間は例えば150〜600秒間である。
(パルス通電焼結装置を用いた熱圧成形)
パルス通電焼結装置を用いて熱圧成形する場合には、例えば、まず、粉末状の含HS材料に、蒸留水等の水を添加して均一に混合することによって、混合物を調製する。このとき、混合物における水の添加量は、混合物100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
次に、調製した混合物を、成形型に充填し、パルス通電焼結装置を用いて、減圧雰囲気下で、熱圧成形することによって、成形体を得る。
減圧雰囲気としては、例えば、6Pa以下、好ましくは4Pa以下の雰囲気である。
加圧する際の圧力は、例えば、20MPa以上であり、20〜40MPaが好ましい。
また、到達温度は、例えば、40〜200℃であり、110〜150℃が好ましく、120〜140℃がより好ましい。
その他の条件として、昇温速度は例えば5〜50℃/分であり、到達温度での保持時間は例えば0〜500秒間であり、降温速度は例えば5〜50℃/分である。
なお、熱圧成形の態様によらず、得られた成形体は、適宜、乾燥されることが好ましい。乾燥条件は、特に限定されないが、成形体の含水率が1%以下となる条件が好ましく、具体的には、例えば、真空中で、80〜120℃で、5〜20日間放置する。
<成形体>
次に、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、ホーネットシルクを含む材料を成形してなる成形体であって、曲げ弾性率が5.0GPa以上である、成形体である。本発明の成形体の曲げ弾性率は、5.5GPa以上が好ましく、6.0GPa以上がより好ましい。なお、本発明における曲げ弾性率の測定方法は、後述する。
このような本発明の成形体は、実質的に、上述した本発明の製造方法によって得られる成形体である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例1]
<成形体の作製:実施例1>
まず、スズメバチの巣から採取した繭を、約10mmの長さに裁断し、目視で確認できる範囲で、夾雑物を手選別で除いた。
その後、遊星型ボールミル(アルミナ製容器:500mL、アルミナ製ボール:φ15mm、φ20mm、全量3.2kg)を用いて、300rpmの回転数で、1分間回転、5分間の停止を10回繰り返して、粉砕を行ない、粉末化した。
粉砕の後、得られた粉末について、電磁式篩振盪機を用いた篩分けを行ない、分級した。実施例1では、細粒(粒径:75μm未満)を用いた。
その後、グリーンテクノ社製の小型高電圧電源を用いて、静電選別を行ない、粉末から夾雑物を取り除いた。なお、静電選別は、通常、回転するドラムの中で、比重差と静電気による引力との両方を用いて選別を行なうが、ここでは、比重差を用いずに、静電気だけを利用して選別を行なった。このようにして、ホーネットシルクを含む材料である粉末(以下、便宜的に、「ホーネットシルク粉末」ともいう)を得た。
次に、得られたホーネットシルク粉末を、鋼製の成形型に充填し、大気中で、ホットプレス(東洋精機製作所、mini TEST PRESS 10)を用いて、圧力:30MPa、温度:170℃、加熱時間:300秒間、プレス時間:300秒間という条件で熱圧成形して、成形体を作製した。
<成形体の作製:実施例2〜3>
スズメバチの巣から採取した繭からホーネットシルク粉末を得る過程を、実施例1と異ならせた。
具体的には、まず、臭化リチウム(LiBr)を蒸留水に溶解して、中性塩水溶液である9mol/LのLiBr水溶液を調製した。調製したLiBr水溶液に、スズメバチの巣から採取した繭200mgを入れて、40℃で1時間程度、夾雑物以外の溶け残りが無くなるまで撹拌した。撹拌後のLiBr水溶液を、遠心分離して、不溶成分である夾雑物を分離させて取り除いた。
次に、夾雑物を取り除いたLiBr水溶液を、セルロース製の透析チューブ(和光純薬工業、シームレスセルロースチューブ、小サイズ18)に入れ、蒸留水中で室温にて4日間の透析を行ない、LiBrを除去した。
透析後、透析チューブの内容物を、ガラスフィルタ(G−4)を通してろ過し、固形分を回収し、回収した固形分を、2日間の凍結乾燥を行ない、その後、実施例1と同じ条件で粉砕することによって、ホーネットシルク粉末を得た。
次に、得られたホーネットシルク粉末について、電磁式篩振盪機を用いた篩分けを行ない、分級した。実施例2では細粒(粒径:75μm未満)を用い、実施例3では粗粒(106μm以上250μm未満)を用いた。
このようにして得られたホーネットシルク粉末について、実施例1と同様にして熱圧成形を行ない、成形体を作製した。
<成形体の作製:比較例1>
市販品のシルク粉末(KBセーレン社製、IMタイプ、平均粒径7μm)を用いて、実施例1と同様にして熱圧成形を行ない、成形体を作製した。
<成形体の評価>
実施例1〜3および比較例1の成形体について、以下に説明する評価を行なった。評価結果を下記表1に示す。
なお、評価を行なう前に、成形体を、真空中、100℃で、10日間放置して乾燥した。乾燥後の成形体の含水率は、いずれも1%以下であった。
(曲げ弾性率)
実施例1〜3および比較例1の成形体について、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−1kNSTD)を用いて、JIS K 7171(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
(ビッカース硬さ)
実施例1〜3および比較例1の成形体について、微小硬度計(島津製作所社製、HMV−G20)を用いて、JIS Z 2244(ビッカース硬さ試験−試験方法)に準拠して、ビッカース硬さを測定した。
Figure 0006904535
上記表1に示す結果から明らかなように、ホーネットシルク粉末を用いて作製された実施例1〜3の成形体は、従来のシルク粉末を用いて作製された比較例1の成形体と比較して、曲げ弾性率がより高い値を示した。
また、実施例1〜3の成形体は、比較例1の成形体と比較して、ビッカース硬さもより高い値を示した。
なお、実施例1と実施例2とを対比すると、静電選別によって夾雑物を除去した実施例1の成形体よりも、LiBr水溶液への溶解後に遠心分離を行なって夾雑物を除去した実施例2の成形体の方が、より高い曲げ弾性率を示した。これは、ホーネットシルク粉末を得る際に、実施例1よりも実施例2の方が、より精度良く夾雑物を除去できたためと考えられる。
[試験例2]
<成形体の作製>
まず、上述した試験例1の実施例2〜3と同様にして(すなわち、夾雑物の除去を「溶解・遠心分離」にして)、ホーネットシルク粉末を得た。
次に、得られたホーネットシルク粉末について、電磁式篩振盪機を用いた篩分けを行ない、下記表2に示すように分級した。
具体的には、粒径が「32μm以上53μm未満」、「53μm以上75μm未満」、「75μm以上106μm未満」、「106μm以上150μm未満」、「150μm以上212μm未満」、「212μm以上250μm未満」および「250μm以上355μm未満」であるホーネットシルク粉末を得た。
その後、各粒径のホーネットシルク粉末について、上述した試験例1の実施例1と同様にして熱圧成形を行ない、成形体を作製した。
各粒径ごとに、2個または4個の成形体を作製した。具体的には、粒径が「212μm以上250μm未満」であるホーネットシルク粉末を用いた場合のみ、4個の成形体を作製し、それ以外の粒径の場合は、2個の成形体を作製した。
<成形体の評価>
作製した成形体について、以下に説明する評価を行なった。評価結果を下記表2に示す。下記表2に示す結果は、2個または4個の成形体についての評価結果の平均値である。
なお、評価を行なう前に、成形体を、真空中、100℃で、10日間放置して乾燥した。乾燥後の成形体の含水率は、いずれも1%以下であった。
各成形体について、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−1kNSTD)を用いて、JIS K 7171(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して、応力−ひずみ曲線から、曲げ破壊応力、曲げ破壊ひずみ、および、曲げ弾性率を求めた。
また、応力−ひずみ曲線の下側の面積を、成形体の破壊に要するエネルギー(「吸収エネルギー」と呼ぶ)として求めた。吸収エネルギーは、成形体のじん性(toughness)の尺度となる。
Figure 0006904535
上記表2に示すように、成形体の「曲げ弾性率」は、いずれも良好であったが、使用したホーネットシルク粉末の粒径による大きな変化は見られなかった。
これに対して、成形体の「曲げ破壊応力」、「曲げ破壊ひずみ」および「吸収エネルギー」は、使用したホーネットシルク粉末の粒径が小さいほど、値が大きく、良好になる傾向が見られた。とりわけ、ホーネットシルク粉末の粒径が150nm未満である場合は、同粒径が150nm以上である場合よりも、更に良好であった。
なお、上記表2に示されている、粒径が「106μm以上150μm未満」、「150μm以上212μm未満」および「212μm以上250μm未満」である成形体は、粒径の上限値と下限値との差が70μm以下である。
これらの成形体の曲げ弾性率を、上述した試験例1の実施例3の成形体(粒径が「106μm以上250μm未満」であって、粒径の上限値と下限値との差が70μm超である成形体)の曲げ弾性率と比べると、前者の方が、より高い値であった。

Claims (7)

  1. ホーネットシルクを含む材料を、成形型中で加圧および加温することによって、成形体を得る、成形体の製造方法であって、
    前記ホーネットシルクを含む材料の状態が、粉末であり、前記ホーネットシルクを含む材料の粒径が、400μm以下である、成形体の製造方法
  2. 前記ホーネットシルクを含む材料の粒径が、150μm未満である、請求項に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記ホーネットシルクを含む材料の粒径の上限値と下限値との差が、70μm以下である、請求項1または2に記載の成形体の製造方法。
  4. ホーネットシルクを含む材料を、成形型中で加圧および加温することによって、成形体を得る、成形体の製造方法であって、
    前記ホーネットシルクを含む材料の状態が、粉末であり、前記ホーネットシルクを含む材料の粒径の上限値と下限値との差が、70μm以下である、成形体の製造方法
  5. 前記ホーネットシルクを含む材料が、スズメバチの巣から採取した繭から、前記巣を構成する木屑を含む夾雑物を除去して得られる材料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  6. 前記加温する際の温度が、100℃以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  7. ホーネットシルク粉末を熱圧成形してなる成形体であって、
    曲げ弾性率が5.0GPa以上である、成形体。
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