次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。初めに、車両又は乗物としての自動二輪車1の概要について図1から図3を参照して説明する。図1は、自動二輪車1の側面図である。図2は、自動二輪車1のステアリングハンドル20の近傍を示す平面図である。図3は、自動二輪車1と車外情報端末7のブロック図である。以下の説明では、自動二輪車1が前進する方向を向いて左側及び右側を単に左側及び右側と称する。
図1に示す自動二輪車1は、車体11と、前タイヤ13と、後タイヤ14と、を備える。
前タイヤ13及び後タイヤ14は、車体11に回転可能に支持されている。具体的には、車体11は、メインフレーム15と、フロントフォーク16と、スイングアーム17と、を備える。フロントフォーク16は、ヘッドパイプを介してフロントフォーク16に接続されている。前タイヤ13は、このフロントフォーク16を介して支持されている。また、スイングアーム17は、ピボットフレームを介してメインフレーム15に接続されている。後タイヤ14は、このスイングアーム17を介して支持されている。
また、車体11の前端には、前方に光を照射するヘッドランプ18が配置されている。ヘッドランプ18は、ロービームとハイビームを切替可能に構成されている。ヘッドランプ18の後方には、メータ装置19が配置されている。
図2及び図3に示すように、メータ装置19は、メータ表示部41と、メータ入力部42と、メータ記憶部43と、メータ処理部44と、を備える。メータ表示部41は、ドットマトリクス形式の電子表示装置である。メータ表示部41は、自動二輪車1に関する情報(車速、エンジン回転速度、及び車外装置制御に関する情報等)を表示する。メータ入力部42は、運転者が操作して表示切替指示等の所定の内容を入力するための部品である。運転者は、メータ入力部42を用いて、例えば、自動二輪車1(特にメータ装置19)の設定の変更を指示することができる。メータ記憶部43は、処理における一次記憶装置であるRAM、及び、各種のプログラム、累積情報、メータ装置19の設定等を記憶する。メータ処理部44は、CPU等の演算処理装置(コンピュータ)であり、メータ装置19に関する処理を行う。
メータ装置19の後方には、ステアリングハンドル20が配置されている。ステアリングハンドル20は、運転者が操舵を行うための部材であり、ステアリングハンドル20を回転させることで前タイヤ13の向きを変更して旋回を行うことができる。
図2に示すように、ステアリングハンドル20の右側部分には、アクセル操作を行うためのスロットルグリップ31と、ブレーキ操作を行うためのブレーキレバー32と、が設けられている。
また、ステアリングハンドル20の左側部分(スロットルグリップ31と反対側)には、ハンドルグリップ35と、クラッチ操作を行うためのクラッチレバー36と、方向指示器を動作させる方向指示スイッチ37と、ヘッドランプ18のハイビームとロービームを切り替えるヘッドランプ高低切替スイッチ38と、車外装置に所定の指示を送信するための車外制御スイッチ39と、が設けられている。
車外装置とは、車両とは独立して構成される装置である。車外装置は、車両に設けられる駆動源(電力源)とは別の駆動源を有する。本実施形態では、運転者の要求する対応処理を実行する車外装置と、車外装置を実行する車外制御装置が一体的に構成されている。同様に、乗物外装置とは、乗物とは独立して構成される装置である。また、本実施形態では、車外装置は、車外情報端末7であって、通信機60と無線接続される。
車外情報端末7は、通話機能、インターネット接続機能等を有する。車外情報端末7は、車外装置制御のための専用品ではなく、他の目的のための機能を有する汎用品が用いられる。車外情報端末7は、公衆回線等を介して取得した車外装置制御のためのプログラムが実行されることで、車外装置制御を行う。なお、汎用品を用いることで、車外装置を制御するための専用品を設ける構成と比較して、本発明の実施に掛かるコストを下げることができる。また、車外制御装置がエンジン制御装置等とは別の構成であるため、既存の車両に本発明を容易に適用できる。
車外制御スイッチ39は、ステアリングハンドル20に設けられている。具体的には、ステアリングハンドル20のグリップ付近に配置されている。グリップ付近とは、ステアリングハンドル20のグリップ(スロットルグリップ31又はハンドルグリップ35)を握った状態で運転者の指で操作可能な範囲にあることをいう。なお、本実施形態では、車外制御スイッチ39は、運転者の親指で操作されることが想定されている。また、車外制御スイッチ39は、左右方向においてスロットルグリップ31の反対側(アクセル操作又はブレーキ操作を行う側の反対側)に設けられている。別の表現をすれば、車外制御スイッチ39は、方向指示スイッチ37又はヘッドランプ高低切替スイッチ38の近傍に設けられている。この構成により、自動二輪車1の走行中(特にアクセル操作中、ブレーキ操作中)においても、運転者が車外制御スイッチ39を操作し易い。また、図3に示すように、車外制御スイッチ39は、メータ装置19を介して、通信機60と電気的に接続されている。
通信機60は、搭乗者(運転者又は同乗者)が所持する車外情報端末7との間で無線通信を行うことができる。具体的には、通信機60は、車外制御スイッチ39の操作、例えば押圧操作に応じて、車外情報端末7へ無線で所定の信号を送信する。また、通信機60は、車外情報端末7から所定の情報を受信する(詳細は後述)。自動二輪車1と搭乗者は比較的近い距離にいるため、自動二輪車1と車外情報端末7の通信には、例えば通信距離が10m以下、10m程度、100m以下の通信規格を用いることができる。通信規格の例としては、Bluetooth(登録商標)を挙げることができる。なお、車外制御スイッチ39は、車外情報端末7へ無線で所定の信号を送信するためだけに用いられ、別の処理には用いられないことが好ましい。このように、通信機60と車外情報端末7が無線接続されることで、有線接続の場合に必要なコネクタ等が不要となるため、車体設計の自由度が向上したり、適用可能な車種を増加させ易い。
本実施形態の通信機60は、自動二輪車1に設けられている。通信機60は、車載バッテリーに接続されて電力が供給される。また、エンジン制御装置等の制御装置と一体的に構成されていても良い。
ステアリングハンドル20の後方には、燃料タンク21が配置されている。燃料タンク21は、前タイヤ13の後方に配置されたエンジン22に供給する燃料を蓄える。エンジン22は、自動二輪車1の後タイヤ14を駆動する、自動二輪車1の駆動源である。
燃料タンク21の後方には、運転者が着座するためのフロントシート(運転者シート)23が配置されている。運転者は、フロントシート23に着座し、フロントシート23の下方に配置された左右一対のフロントステップ(運転者ステップ)24に足を載せる。なお、フロントステップ24の近傍には、変速操作を行うためのシフトペダルと、ブレーキ操作を行うためのブレーキペダルと、が設けられている。
次に、図3を参照して、車外装置としての車外情報端末7の構成について説明する。図3は、自動二輪車1と車外情報端末7のブロック図である。
車外情報端末7は、自動二輪車1の搭乗者(運転者又は同乗者)が所有する情報端末である。なお、車外情報端末7は、搭乗者が所持していても良いし、自動二輪車1に設けられた端末収容部に収容されていても良い。車外情報端末7が自動二輪車1に収容されている場合であっても、車外情報端末7は自動二輪車1とは独立した装置である。即ち、車外情報端末7は、自動二輪車1を構成している部品ではないため、車外に設けられているとする。車外情報端末7は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はノートパソコン等である。車外情報端末7は、本実施形態では、位置検出部71と、カメラ72と、端末表示部73と、端末入力部74と、端末記憶部75と、端末通信部76と、端末処理部77と、を備える。
位置検出部71は、GPS受信機(GNSS受信機)等であり、現在位置を検出する。カメラ72は、静止画及び動画を撮影可能である。端末表示部73は、ドットマトリクス形式の電子表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)であり、プログラムに応じて様々な情報を表示可能である。端末入力部74は、搭乗者が所定の内容を入力可能なタッチパネルである。なお、端末入力部74は、物理的に押圧して所定の内容を入力するハードウェアキーであっても良い。端末記憶部75は、情報を記憶可能な不揮発性の記憶装置であり、具体的には、フラッシュメモリ(フラッシュディスク及びメモリーカード等)又はハードディスク等である。端末通信部76は、通信機60との近距離無線通信を用いた無線通信、公衆電話回線を用いた音声通話、インターネット接続を行うことができる。また、端末通信部76は、予め定められた電波を直接又はインターネットを介して送信することで、駐車場等に設けられるゲート81を開けることもできる。端末処理部77は、CPU等の演算処理装置であり、所定のプログラム(例えば車外装置制御を行うプログラム)を読み出して実行することで様々な処理を行う。
次に、車外装置制御について説明する。車外装置制御とは、自動二輪車1の車外制御スイッチ39が操作された場合に、自動二輪車1とは独立した装置である車外装置(車外情報端末7)に所定の処理(対応処理)を行わせる制御である。車外情報端末7は、対応処理の候補として、複数の処理を有する。対応処理の候補としては、例えば(1)電話の発呼及び着呼、(2)メッセージ送信、(3)現在情報の記憶、(4)静止画の撮影、(5)現在位置の天気情報の表示、(6)ゲート操作、(7)データ記録がある。「電話の発呼及び着呼」は、予め定めた電話番号に端末通信部76が電話を掛ける処理であったり着信時に着呼する処理である。「メッセージ送信は」、予め定めた送信先に端末通信部76がメッセージ(電子メール、SMS、又は、所定のアプリケーションを用いて実現されるメッセージ)を送信する処理である。「現在情報の記憶」とは、位置検出部71が検出した現在位置の他、自動二輪車1の姿勢、走行速度、振動等を端末記憶部75に記憶する処理である。なお、車外情報端末7が現在位置を自動二輪車1へ送信してメータ記憶部43に記憶する処理であっても良い。また、自動二輪車1が備える位置検出器(GNSS受信機)を用いて現在位置を検出しても良い。「静止画の撮影」は、車外情報端末7のカメラ72、図略の車載カメラ、自動二輪車1に別途設けられる外部カメラ82等を用いて静止画を撮影する処理である。「現在位置の天気情報の表示」は、現在位置の検出結果及び現在時刻に基づいて、車外情報端末7が予め記憶している天気情報、又は、車外情報端末7が新たにインターネット等を介して取得した天気情報を自動二輪車1へ送信する処理である。自動二輪車1へ送信された天気情報は、メータ表示部41等に表示される。「ゲート操作」は、駐車場のゲート81、シャッター等へ予め設定した電波を直接又はインターネットを介して車外情報端末7が送信することで当該ゲート81等を開く処理である。「データ記録」は、車両走行データの記録の開始及び停止を車外情報端末7へ指示する。なお、ここで説明した対応処理の候補は一例である。
上記の対応処理の候補のうち、少なくとも(3)現在情報の記憶、(4)静止画の撮影は、「自動二輪車1の走行に応じて得られる結果が変化する処理」に該当する。つまり、自動二輪車1の走行に応じて現在位置は変化する。また、自動二輪車1の走行に応じて自動二輪車1で取得される静止画の内容も変化する。このような処理では、運転者が意図してから短時間で対応処理が実行されることが好ましい。本実施形態では車外制御スイッチ39の操作と対応処理が予め対応付けられているため、走行中に運転者が対応処理を選択する必要がなく、短時間で対応処理を実行できる。なお、(5)現在位置の天気情報の表示も走行に応じて得られる結果が変化する可能性もある。
上記の対応処理の候補のうち、少なくとも(1)電話の発呼及び着呼、(2)メッセージ送信、(5)現在位置の天気情報の表示(天気情報を新たに取得する場合)は、「公衆無線回線を介した通信を用いた処理」に該当する。このような処理を行うことにより、自動二輪車1側に公衆無線回線を利用するための通信機能を設けることなく(即ち自動二輪車1のコストを低減しつつ)、公衆無線回線を利用した処理を車両側から指示することができる。
また、上記の対応処理の候補のうち、少なくとも(4)静止画の撮影、のうち外部カメラ82を用いた処理は、「公衆無線回線以外の通信を用いた処理」に該当する。このような処理を行うことにより、公衆無線回線に接続されていない装置に対しても、指示を行うことができる。
上記の対応処理の候補のうち、少なくとも(4)静止画の撮影は、「車外情報端末7が外部と通信することなく、車外情報端末7で実行される処理」に該当する。このような処理を行うことにより、車外情報端末7が有する通信以外の機能について自動二輪車1側から制御することができる。なお、(3)現在情報の記憶もこの処理に該当する可能性がある。
上記の対応処理の候補のうち、少なくとも(5)現在位置の天気情報の表示は、「車外情報端末7が記憶している情報、又は、車外情報端末7が取得した情報を自動二輪車1へ送信する処理」に該当する。このような処理を行うことにより、車外情報端末7が記憶又は取得した情報を自動二輪車1側で活用することができる。
上述のように、対応処理には、本発明のプログラムを記憶する前に実行可能であった処理を、自動二輪車1の走行中に動作させるものも含まれる。また、対応処理には、自動二輪車1とは独立して有している処理を、自動二輪車1の走行中に動作させるものも含まれる。
また、車外情報端末7の有する機能を組み合わせて、新たな機能(アプリケーション)の実行開始の指示を、車外制御スイッチ39を介して実行させるようにしても良い。例えば、車外情報端末7の有する既存のセンサを用いて、(3)現在情報の記憶、即ち、現在位置の他、姿勢、走行速度、振動情報等を検出して記憶しても良い。
次に、車外情報端末7及び通信機60の事前設定について説明する。初めに、車外情報端末7に車外装置制御用のプログラムをダウンロードしてインストールしておく。次に、車外情報端末7と通信機60とを連携させる処理(ペアリング処理、相互認証処理)を行う。このように連携させる処理を行うことで、他の自動二輪車が送信した指示信号を受信して対応処理が行われることを防ぐことができる。
なお、他の自動二輪車が送信した指示信号を受信して対応処理が行われることを防ぐために、自動二輪車1の固有の情報(製造番号、車種、製造年度等)又は暗号化キーを付与しても良い。例えば、指示信号の送信時において、自動二輪車1の識別情報を同時に送信しても良い。つまり、車外情報端末7に予め自動二輪車1の識別情報を登録しておき、登録された識別情報とともに指示信号が送信された場合に限り、車外情報端末7は対応処理を行う。なお、自動二輪車1と車外情報端末7の間でのみ通信が実行されるように事前に登録を行うタイプの通信規格を用いる場合は、自動二輪車1の識別情報を送信することなく、誤作動を防止できる。
次に、車外制御スイッチ39が操作された場合に車外情報端末7が行う対応処理を選択する設定(事前設定)について図4及び図5を参照して説明する。図4は、対応関係情報の事前設定を示すシーケンス図である。図5は、対応関係情報の事前設定が完了した際にメータ表示部41に表示される内容を示す図である。
車外情報端末7の所有者が端末入力部74を用いて所定の操作を行うことで、端末処理部77は、車外情報端末7が実行可能な対応処理の一覧を端末表示部73に表示する(シーケンス番号1)。車外情報端末7の所有者は、端末表示部73に表示された対応処理の一覧から、車外制御スイッチ39が操作されることで生成される指示信号と対応付ける対応処理を選択する。本実施形態では、通信機60が指示信号として送信可能な指示信号は1種類であるため、車外情報端末7の所有者は対応処理を1つ選択する。以下の説明では、車外制御スイッチ39を操作することで生成される指示信号、指示信号に応じて行う対応処理と、の対応関係を「対応関係情報」と称する。端末処理部77は、自動二輪車1の搭乗者の選択に基づいて、対応関係情報を端末記憶部75に記憶する(シーケンス番号2、設定ステップ)。これにより、対応処理の事前設定が完了する。なお、対応関係情報の事前設定を再び行うことで、運転者の好み及び状況に応じた対応処理に変更することができる。
次に、端末通信部76は、この対応関係情報を通信機60を介してメータ装置19へ送信する(シーケンス番号3)。メータ装置19は、通信機60を介して受信した対応関係情報に基づいて、対応関係情報の事前設定が完了したことと、対応関係情報(車外制御スイッチ39に対応付けられた対応処理)と、をメータ表示部41に表示する(シーケンス番号4、対応表示ステップ)。なお、この対応関係の設定は車外情報端末7が行うが、対応関係の表示についても車外情報端末7で行い、メータ装置19での表示を省略しても良い。また、事前設定は適宜のタイミングで行うことができ、事前設定が一度完了した後においても、事前設定をもう一度行うことで、対応関係情報を変更できる。
図5には、メータ表示部41が対応関係情報を表示する様子が示されている。メータ表示部41は、メッセージ表示部41aと、アイコン表示部41bと、を含んでいる。メッセージ表示部41aには、対応関係情報の事前設定が完了したことと、具体的な対応関係と、が記載されている。また、アイコン表示部41bには、車外情報端末7が実行可能な対応処理がアイコンで示されており、車外制御スイッチ39の操作に(指示信号に)対応付けられているアイコンは点灯しており、それ以外のアイコンはグレーアウトしている。このように、対応関係情報は、文字を用いて表示しも良いし、アイコン等の図を用いて表示しても良い。また、例えばアイコン表示部41bを常時(対応関係情報の事前設定が終わった後、例えば走行中)に表示することで、運転者は、現在はどの対応処理が対応付けられているかを確認し易くなる。
次に、車外制御スイッチ39が操作された場合の車外装置制御について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、車外制御スイッチ39が操作されたときの処理の流れを示すシーケンス図である。図7は、対応処理が完了した際にメータ表示部41に表示される内容を示す図である。
運転者が車外制御スイッチ39を操作したことは、図略のスイッチ検出部により検出される(シーケンス番号11)。車外制御スイッチ39が操作されたことが検出されると、指示信号が生成される(シーケンス番号12)。通信機60は、生成された指示信号を無線で車外情報端末7へ送信する(シーケンス番号13)。
端末処理部77は、端末通信部76を介して指示信号を受信すると、端末記憶部75が記憶する対応関係情報に基づいて、受信した指示信号に対応付けられた対応処理を選択する(シーケンス番号14、選択ステップ)。その後、端末処理部77は、選択した対応処理を実行する(シーケンス番号15、実行ステップ)。
端末通信部76は、対応処理の実行が完了した後に、対応処理の完了を示す対応処理完了情報を通信機60を介してメータ装置19へ送信する(シーケンス番号16)。メータ装置19は、対応処理完了情報を受信すると、その旨をメータ表示部41に表示する(シーケンス番号17、結果表示ステップ)。
図7には、メータ表示部41が対応処理の実行が完了した旨を表示する様子が示されている。具体的には、メッセージ表示部41aには、対応処理の実行が完了した旨と、対応処理の具体的な内容(図7では静止画の撮影)と、が表示されている。また、アイコン表示部41bでは、対応処理が完了したアイコンは点滅する。このように、アイコン表示部41bでは、車外制御スイッチ39の操作と対応付けられていない対応処理のアイコンは常にグレーアウトしており、指示信号と新たに対応付けられた対応処理のアイコンは図5に示すように点灯し、対応処理が実行されたアイコンは点滅する。このように、3つの状態に応じてアイコンの表示が異なる。なお、グレーアウト、点灯、点滅の組合せは変更可能である。例えば、アイコンの表示色を異ならせることでアイコンの表示を異ならせても良い。なお、対応処理の実行が完了したことは、車外情報端末7に表示しても良いし、点灯の有無で通知を行うインジケータを用いて表示しても良い。
以上により、自動二輪車1の運転者が自らの好み等に応じた対応関係情報を設定することで、運転者の希望に応じた対応処理を簡単な操作で実行させ易くなる。
また、第1実施形態では、自動二輪車1から送信される指示信号が同じであっても、事前に動作すべき内容が設定されているので、車外情報端末7側の処理により、異なる対応処理を行わせることができる。従って、自動二輪車1の構造を単純化できる。また、指示信号を無線送信可能であれば様々な自動二輪車1を用いて、車外装置制御を行うことができる。
また、第1実施形態では、対応関係情報を搭乗者に入力させるための入力部は端末入力部74であり、端末入力部74によって入力された対応関係情報を記憶する記憶部は端末記憶部75であり、端末記憶部75に記憶される対応関係情報に基づいて決定される対応処理を車外情報端末7に実行させるための処理を行う処理部は端末処理部77である。従って、車外情報端末7が車外制御装置に相当する。また、第1実施形態では、設定ステップ及び実行ステップは端末処理部77で実行されているため、本発明の車外装置制御プログラムも車外情報端末7に記憶されている。
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態に係る、対応関係情報の事前設定を示すシーケンス図である。図9は、第2実施形態に係る、車外制御スイッチ39が操作されたときの処理の流れを示すシーケンス図である。
第1実施形態では、対応関係情報を車外情報端末7側で管理している。従って、第1実施形態では、車外情報端末7を操作して対応関係情報を事前設定する。また、指示信号を受信したときに、どの対応処理を行うかの選択も車外情報端末7で行う。
これに対し、第2実施形態では、対応関係情報の管理を自動二輪車1で行う。従って、対応関係情報を事前設定する処理も自動二輪車1で行われる。また、車外制御スイッチ39が操作された場合にどの対応処理を行うかの判断も自動二輪車1で行われる。
以下、第2実施形態において対応関係情報を事前設定するときの処理の流れについて説明する。自動二輪車1の運転者がメータ入力部42を用いて所定の操作を行うことで、メータ処理部44は、自動二輪車1が指示可能な対応処理の一覧をメータ表示部41に表示する(シーケンス番号21)。自動二輪車1の運転者は、メータ表示部41に表示された対応処理の一覧から、希望する対応処理を1つ選択する。メータ処理部44は、運転者の選択に基づいて、対応関係情報をメータ記憶部43に記憶する(シーケンス番号22、設定ステップ)。これにより、対応処理の事前設定(新規設定又は設定変更)が完了する。
次に、メータ処理部44は、メータ記憶部43に記憶した対応関係情報をメータ表示部41に表示する(シーケンス番号23、対応表示ステップ)。なお、第1実施形態と同様に、対応関係情報の事前設定が完了した旨も同時に表示しても良い。このように、第2実施形態では、自動二輪車1と車外情報端末7が通信することなく対応関係情報を自動二輪車1側の表示部(メータ表示部41)に表示することができる。
次に、第2実施形態において車外制御スイッチ39が操作されたときの処理の流れについて説明する。運転者が車外制御スイッチ39を操作したことは、図略のスイッチ検出部により検出される(シーケンス番号31)。車外制御スイッチ39が操作されたことが検出されると、メータ装置19の内部において、指示信号が生成される(シーケンス番号32)。メータ装置19のメータ処理部44は、生成した指示信号と、メータ記憶部43が記憶する対応関係情報と、に基づいて、生成した指示信号に対応付けられた対応処理を選択する(シーケンス番号33、選択ステップ)。次に、メータ処理部44は、選択した対応処理を車外情報端末7に実行させるための実行信号を生成する(シーケンス番号34)。このように、第2実施形態では、対応処理に応じて異なる実行信号を生成する。メータ処理部44は、実行信号を車外情報端末7へ送信して対応処理を実行させる(シーケンス番号35、実行ステップ)。端末処理部77は、受信した実行信号により対応処理を実行する(シーケンス番号36)。
なお、シーケンス番号37及び38の処理は、第1実施形態のシーケンス番号16及び17と同じであるため、説明を省略する。
このように、第2実施形態では、自動二輪車1から送信する実行信号を異ならせることで、車外情報端末7に異なる対応処理を行わせる。従って、車外情報端末7側のプログラムを単純化できる。また、実行信号に応じて対応処理を行う構成であれば、様々な車外情報端末7に対して、車外装置制御を行うことができる。
また、第2実施形態では、対応関係情報を搭乗者に入力させるための入力部はメータ入力部42であり、メータ入力部42によって入力された対応関係情報を記憶する記憶部はメータ記憶部43であり、メータ記憶部43に記憶される対応関係情報に基づいて決定される対応処理を車外情報端末7に実行させるための処理を行う処理部はメータ処理部44である。従って、メータ装置19が車外制御装置に相当する。なお、上記の入力部、記憶部、及び処理部は、メータ装置19以外(例えばエンジン制御装置)に設けられていても良い。また、車外制御装置は、車外装置制御を行うための専用品であっても良い。また、第2実施形態では、設定ステップ及び実行ステップはメータ処理部44で実行されているため、本発明の車外装置制御プログラムもメータ装置19に記憶されている。
以上に説明したように、上記の車外装置制御方法は、設定ステップと、実行ステップと、を含む。設定ステップでは、自動二輪車1を操舵するためのステアリングハンドル20に設けられる操作子(車外制御スイッチ39)が操作された場合に生成される指示信号と、当該指示信号に対応して車外情報端末7が行う対応処理と、の対応関係を示す対応関係情報を変更可能に設定する。実行ステップでは、設定ステップで設定した対応関係情報に基づいて決定される対応処理を車外情報端末7に実行させる。
これにより、自動二輪車1の運転者が自らの好み又は車外情報端末7の使用方法等に応じた対応関係情報を設定することで、選択する操作が不要となるので、運転者の希望に応じた対応処理を簡単な操作で実行させ易くなったり、走行中に実行できる処理の拡張性を高めることができる。また、運転者が不要と考える処理を選択肢から除くことができ、運転者の望む処理を行い易い。そのため、自動二輪車1の走行に必須ではない処理での指示に好適に適用可能である。また、車外制御スイッチ39がステアリングハンドル20に設けられるので、運転中においても、対応処理の指示を簡単に行うことができる。従って、走行中に変化する情報に関する処理を対応処理として行わせることができる。また、ヘルメット及びグローブの装着を解除することなく、対応処理の指示を簡単かつ短時間で行うことができる。
また、上記実施形態の車外装置制御方法では、車外制御スイッチ39は、車外情報端末7に対応処理を行わせるための指示信号を生成するための専用の操作子である。
これにより、車外情報端末7へ指示信号を送信するための車外制御スイッチ39を他の操作子と兼用する場合に比べて、車外情報端末7に対応処理を行わせる操作を簡単に行うことができる。従って、例えば走行中においても、運転者の意思に応じて速やかに車外情報端末7に対応処理を行わせることができる。
また、上記実施形態の車外装置制御方法では、車外情報端末7が有する複数の機能から、指示信号に対応した対応処理を選択する選択ステップを含む。
これにより、車外情報端末7が複数の処理を機能を有するため、運転者の好みに応じた機能を車外情報端末7に実行させ易くなる。
また、上記実施形態の車外装置制御方法では、設定ステップで設定された対応関係情報に応じて、自動二輪車1に設けられるメータ表示部41に対応関係情報を表示する対応表示ステップを含む。
これにより、運転者は、対応関係情報の表示を確認することで、現在どのような機能が設定されているかが把握し易くなる。
また、上記実施形態の車外装置制御方法では、対応処理の実行結果を自動二輪車1に設けられるメータ表示部41に表示する結果表示ステップを含む。
これにより、対応処理の結果を表示することで、運転者は、対応処理が実行されたことを確認できる。このとき、対応関係にある対応処理を、対応関係にない対応処理よりも目立つように表示する(例えば対応関係にない対応処理を小さく表示したり、表示しなかったりする)ことで、表示画面の視認性を向上させることができる。
また、上記実施形態の車外装置制御方法では、対応処理には、自動二輪車1の走行に応じて、得られる結果が変化する処理が含まれている。
このように自動二輪車1の走行に応じて(即ち、位置又は時刻に応じて)得られる結果が変化する場合、運転者が意図してから早期に対応処理が行われることが望ましい。この点、本発明では予め対応関係情報を設定しておくことで、運転者が意図してから実際に対応処理が行われるまでの時間を短くすることができる。従って、運転者の意図に応じた結果が得られ易い。
また、第1実施形態の車外装置制御方法では、車外制御スイッチ39が操作されることで、指示信号が無線で車外情報端末7へ送信される。実行ステップでは、自動二輪車1から指示信号を受信した車外情報端末7が、設定ステップで設定された対応処理を実行する。
これにより、自動二輪車1側で対応処理に応じた信号を生成する場合と比較して、自動二輪車1が行う処理を単純化し易いため、車外情報端末7側の汎用性を高めることができる。
また、第2実施形態の車外装置制御方法では、車外制御スイッチ39が操作されることで、指示信号が自動二輪車1内で生成される。実行ステップは、生成した指示信号に応じて、自動二輪車1が、設定ステップで設定された対応処理を実行させるための実行信号に変換し、当該実行信号を車外情報端末7へ無線送信する。
これにより、車外情報端末7側で対応処理に応じた信号を生成する場合と比較して、車外情報端末7が行う処理を単純化し易いため、車外情報端末7側の汎用性を高めることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、車外制御スイッチ39が1つであるが、車外制御スイッチが複数設けられていても良い。この場合、操作される車外制御スイッチに応じて異なる指示信号が生成される。そして、それぞれの指示信号に対して異なる対応処理が関係付けられる。この構成により、車外制御スイッチ39を用いて複数の機能を実現できる。複数のスイッチにおいて、スイッチの操作の組合せに応じて異なる指示信号が生成されても良い。また、車外制御スイッチを複数設ける構成に代えて、選択キーと、実行キーと、を備え、事前に対応付けられた複数の対応処理から1つの対応処理を選択キーを操作して選択し、実行キーを操作して選択を確定する構成であっても良い。この場合でも、運転者の選択した処理のみを実行できるので、予め用意してある全ての処理から選択する場合に比べて切替処理を簡単にすることができる。なお、車外制御スイッチ39が1つの場合であっても、操作方法(長押し、2度押し)等に応じて、複数の指示信号を生成することもできる。また、車外制御スイッチ39を1回押すと車外装置制御を開始し、もう一回押すと車外装置制御を終了する構成であっても良い(例えば後述の動画の撮影の開始と終了)。また、車外制御スイッチ39を押している間だけ車外制御を行う(例えば動画の撮影を行う)構成であっても良い。
上記実施形態では、車外制御スイッチ39は、スロットルグリップ31の反対側に設けられているが、スロットルグリップ31側に設けられていても良い。また、運転者が操作する他の操作箇所(ブレーキペダル又はシフトペダル)の近傍に設けられていても良い。更には、操作箇所の近傍以外(例えばメータ装置19の近傍等)に設けられていても良い。
上記実施形態では、車外制御スイッチ39は、車外装置制御のためだけに用いられるスイッチであるが、他の処理に用いられるスイッチを車外制御スイッチとして用いることもできる。例えば、所定のタイミング(例えば走行中)又は所定の設定を行った後において、メータ入力部42の1つのスイッチを車外制御スイッチとして機能させることができる。
上記実施形態では、車外装置として、搭乗者が所有する情報端末を例に挙げて説明したが、情報端末以外を車外装置として制御することもできる。この場合、少なくとも通信部、処理部、記憶部を有していれば良い。従って、電話機能、インターネット接続機能、撮影機能、表示機能等を有していなくても良い。例えば、駐車場等に設けられるゲートを車外装置としても良い。この場合、車外制御スイッチ39を操作して通信機60から送信される指示信号又は実行信号に基づいてゲートを開けることになる(車外情報端末7を介さない)。また、車外装置としては、ゲートのように、対応処理が複数ではなく1つであっても良い。この場合は、選択ステップが不要となる場合がある。
上記で説明した対応処理は一例であり、他の処理を対応処理としても良い。例えば、(1)車外情報端末7又は車載カメラを用いた動画の撮影の開始及び停止、(2)事前に登録した相手へ現在位置、相対距離、相対方位の少なくとも何れかを送信、(3)自動二輪車1側又は車外情報端末7側の方位センサから得られる方角をメータ表示部41に表示、(4)車外情報端末7のナビゲーション機能を用いている場合において、目的地までの距離の表示、又は、事前に設定した店舗又はガソリンスタンド等の方向等の表示、(5)事前に登録した相手に対する相対位置の表示、(6)所定の距離範囲における特定の車種の位置の表示、(7)渋滞情報の表示、(8)ラップタイムの計測、(9)SOSメッセージの送信、(10)周囲の設備又は車両等から取得した情報の表示、具体的には信号が青信号に変わるまでの時間を取得してメータ表示部41等に表示させることや、交差点に進入する自車両の存在を示す情報を他車両や周囲の設備に送信すること、緊急車両が近づく方向及び距離等を表示すること等がある。
メータ表示部41において、部分的に車外情報端末7からの情報を表示する外部表示領域が設けられていても良い。また、車外制御スイッチ39を操作すると、車外情報端末で生成された外部情報を表示するための外部表示領域が新たに表示されても良い。例えば、車外制御スイッチ39を1回押すと外部表示領域が表示され、車外制御スイッチ39をもう1回押すと外部表示領域が非表示となる。外部表示領域が非表示となると、他の表示が大きくなることで、他の表示情報の視認性の低下を防止できる。特に、メータ表示部41の表示領域の大きさが小さい場合に好適である。また、例えば車外制御スイッチ39を操作することで、走行中に運転者が一時的に望む情報を表示しても良い。例えば、一時的に望む情報として、車体の向く方向、天気予報、目的地への予測到着時間、目的地までの予測所要時間、渋滞情報、日没情報、予め登録した中継地点(ガソリンスタンド、コンビニエンスストア等)の情報等である。このような情報を表示するためのプログラムを車外情報端末7にダウンロードすることで、車外制御スイッチ39の操作時のメータ処理部44の表示をカスタマイズすることができ、運転者の要求する表示態様を図り易くすることができる。なお、外部表示領域は、車外制御スイッチ39の操作の有無に関係なく常に同じ領域に表示されていても良い。
上記実施形態では、マルチパーパスタイプの自動二輪車1を説明したが、他のタイプ(例えばネイキッドタイプ、スポーツタイプ)の自動二輪車にも本発明を適用できる。
本発明は、自動二輪車に限られず、鞍乗型車両又は自動車(四輪車)等の他の車両、車両以外の乗物にも適用することができる。特に鞍乗型車両では、ステアリングハンドルを両手で握って操作することが想定されていることが多い。従って、ステアリングハンドルの近傍に車外制御スイッチを設けて車外制御スイッチを操作し易くしたという効果は、鞍乗型車両において特に有効に発揮できる。なお、鞍乗型乗物としては、主としてオフロードを走行するための全地形対応車(ATV、All Terrain Vehicle)、水上オートバイ(PWC、Personal Water Craft)等を挙げることができる。