以下、図面を参照して、本発明に係るパレタイザハンドの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態のパレタイザハンド1の概略構成を示す模式図であり、(a)が平面図であり、(b)が(a)のA−A断面図である。本実施形態のパレタイザハンド1は、例えばロボットパレタイザに搭載され、2つの物品Wを同時に保持可能とされている。本実施形態のパレタイザハンド1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、ベース部材2と、リニアガイド3と、2つ(複数)の把持ユニット4と、駆動部5と、従動プーリ6(固定プーリ)と、把持用ベルト7(綱部材)と、連動部8と、ストッパ9とを備えている。なお、本実施形態のパレタイザハンド1は、ロボット本体によって任意の姿勢とすることが可能なものである。ただし、以下の説明においては、説明の便宜上、図1に示すように、把持ユニット4の有する後述の第1把持部20と第2把持部30が移動される方向を左右方向、ベース部材2の表面に沿いかつ当該左右方向に直交する方向を前後方向、左右方向及び前後方向に直交する方向を上下方向とする。
ベース部材2は、リニアガイド3、把持ユニット4、把持用ベルト7、駆動部5、従動プーリ6、連動部8、及び、ストッパ9を直接的あるいは間接的に支持する強度部材である。このベース部材2は、本実施形態において複数の開口部2aを有する矩形状の板状とされている。開口部2aは、平面視において、把持ユニット4の第1把持部20と第2把持部30の移動範囲に重なるように設けられている。本実施形態のパレタイザハンド1では、第1把持部20が2つ、第2把持部30が2つ設けられている。このため、ベース部材2は、合計で4つの開口部2aを有している。このようなベース部材2は不図示の取付部によってロボットパレタイザのロボット本体に対して固定される。
リニアガイド3は、把持ユニット4の第1把持部20と第2把持部30との上記前後方向における側方に配置されており、第1把持部20及び第2把持部30の各々に対して、前後方向から挟むように2つずつ配置されている。各々のリニアガイド3は、長手方向が左右方向に沿うように配置されており、第1把持部20あるいは第2把持部30を左右方向に移動可能にベース部材2に対して接続している。
把持ユニット4は、第1把持部20と第2把持部30とを有している。本実施形態においては、このような把持ユニット4は、図1(a)に示すように、前後方向に配列されて2つ設けられている。第1把持部20は、第2把持部30の左側に配置されており、左右方向に移動可能にリニアガイド3によって支持されている。第1把持部20は、基部21と、当接プレート22と、軸支部23と、移動プーリ24と、接続ブロック25とを備えている。
基部21は、当接プレート22、軸支部23及び移動プーリ24を直接的あるいは間接的に支持する強度部材であり、接続ブロック25を介してリニアガイド3に接続されている。当接プレート22は、表裏面を左右方向に向けて基部21に固定された板状の部材である。この当接プレート22の高さ寸法は、保持する可能性がある物品Wの最大高さ寸法以上に設定されている。このような当接プレート22は、本実施形態においては、下端部に物品Wを下方から支持する爪部が設けられていない。なお、当接プレート22に換えて、櫛形の当接部を設置するようにしても良い。
軸支部23は、上端に接続される移動プーリ24を上下方向に沿った軸芯を中心として回動可能に支持する柱状部材であり、基部21の上端部に固定されている。本実施形態においては、第1把持部20に2つの移動プーリ24が設けられるため、軸支部23も基部21に対して2つ設けられている。これらの軸支部23は、前後方向と平行に配列されている。
移動プーリ24は、各々の軸支部23の上端に回転可能に取り付けられている。これらの移動プーリ24は、軸支部23と同様に、前後方向と平行に配列されており、第1把持部20の移動に伴って、左右方向に移動される。このような移動プーリ24は、図1(b)に示すようにベース部材2の上方に配置されており、把持用ベルト7が掛け回されている。2つの移動プーリ24のうち、後側に配置される移動プーリ24には、図1(a)に示すように、把持用ベルト7が後述の第1端部7a側から見て左側から前側に向かうように掛け回されている。また、前側に配置される移動プーリ24には、把持用ベルト7が第1端部7a側から見て後側から左側に向かうように掛け回されている。
このような第1把持部20は、ベース部材2に形成された開口部2aを通過して、側方から見てベース部材2を上下方向に貫通するように配置されている。第1把持部20の移動プーリ24はベース部材2の上方に配置され、第1把持部20の当接プレート22はベース部材2の下方に配置されている。
第2把持部30は、基部31(固定部)と、スライド機構32と、当接プレート33と、軸支部34と、移動プーリ35とを備えている。基部31は、軸支部34及び移動プーリ35を直接的あるいは間接的に支持する強度部材であり、スライド機構32を介して当接プレート33に接続されている。この基部31は、連動部8の後述する連動部用ベルト8bの一端と接続されている。つまり、基部31は、連動部8に対して固定されている。
スライド機構32は、当接プレート33を基部31に対して左右方向にスライド可能に接続する機構であり、台部32aと、スライド部32bと、ストッパ32cと、接続ブロック32dとを備えている。台部32aは、当接プレート33を吊下げ支持すると共に、スライド部32bを介して基部31に接続されている。この台部32aは、スライド部32bを介して基部31と接続されることによって、基部31に対して左右方向に移動可能とされている。また、台部32aは、接続ブロック32dを介してリニアガイド3と接続されており、基部31、当接プレート33、軸支部34及び移動プーリ35を直接的あるいは間接的に支持している。なお、スライド機構32の台部32aは、接続ブロック32dを介してリニアガイド3によって、サーボモータ5aから伝達される動力よりも弱い力にて、ベース部材2に対して左右方向に移動可能に保持されている。これによって、スライド部32bによって基部31と当接プレート33とが相対移動可能とされ、さらに第2把持部30の基部31が移動を開始した場合に、当接プレート33が移動しないようにすることができる。
スライド部32bは、台部32aと基部31とを接続し、台部32aを基部31に対して左右方向に移動可能に支持している。ストッパ32cは、台部32aの左右方向の両端部に形成されており、台部32aから上方に向けて突出している。これらのストッパ32cは、基部31と当接することによって台部32aの移動を規制する。例えば、左側のストッパ32cは、左側から基部31に当接することによって、それ以上に台部32a(すなわち当接プレート33)が基部31に対して右側に移動することを規制する。また、右側のストッパ32cは、右側から基部31に当接することによって、それ以上に台部32a(すなわち当接プレート33)が基部31に対して左側に移動することを規制する。つまり、本実施形態においては、スライド機構32によって、当接プレート33が左側のストッパ32cから右側のストッパ32cとの間の範囲(一定の範囲)で基部31に対して左右方向に移動可能に接続されている。
当接プレート33は、表裏面を左右方向に向けてスライド機構32の台部32aに固定された板状の部材である。この当接プレート33の高さ寸法は、保持する可能性がある物品Wの最大高さ寸法以上に設定されている。このような当接プレート33は、本実施形態においては、下端部に物品Wを下方から支持する爪部が設けられていない。なお、当接プレート33に換えて、櫛形の当接部を設置するようにしても良い。
軸支部34は、上端に接続される移動プーリ35を上下方向に沿った軸芯を中心として回動可能に支持する柱状部材であり、基部31の上端部に固定されている。本実施形態においては、第2把持部30に2つの移動プーリ35が設けられるため、軸支部34も基部31に対して2つ設けられている。これらの軸支部34は、前後方向と平行に配列されている。
移動プーリ35は、各々の軸支部34の上端に回転可能に取り付けられている。これらの移動プーリ35は、軸支部34と同様に、前後方向と平行に配列されており、第2把持部30の移動に伴って、左右方向に移動される。このような移動プーリ35は、図1(b)に示すようにベース部材2の上方に配置されており、把持用ベルト7が掛け回されている。2つの移動プーリ35のうち、前側に配置される移動プーリ35には、図1(a)に示すように、把持用ベルト7が後述の第1端部7a側から見て左側から後側に向かうように掛け回されている。また、後側に配置される移動プーリ35には、把持用ベルト7が第1端部7a側から見て前側から左側に向かうように掛け回されている。
このような第2把持部30は、ベース部材2に形成された開口部2aを通過して、側方から見てベース部材2を上下方向に貫通するように配置されている。第2把持部30の移動プーリ35はベース部材2の上方に配置され、第2把持部30の当接プレート33はベース部材2の下方に配置されている。
本実施形態のパレタイザハンド1は、このような第1把持部20及び第2把持部30(一対の把持部)を有する把持ユニット4が前後方向に配列されて2つ設けられており、2つの物品Wを同時に保持することが可能となっている。
駆動部5は、サーボモータ5aと、駆動プーリ5bとを備えている。サーボモータ5aは、不図示の制御部の指示に基づいて回転動力を生成する。このようなサーボモータ5aは、第1把持部20と第2把持部30とを近づける方向に移動させる場合には平面視において右回りの回転動力を生成し、第1把持部20と第2把持部30とを遠ざける方向に移動させる場合には平面視において左回りの回転動力を生成する。このようなサーボモータ5aは、ベース部材2に支持されており、第1把持部20や第2把持部30と干渉しない位置に配置されている。
駆動プーリ5bは、サーボモータ5aの出力軸に固定されており、サーボモータ5aで生成された回転動力によって回転駆動される。このような駆動プーリ5bは、第1把持部20の移動プーリ24及び第2把持部30の移動プーリ35と同じ高さに配置されている。駆動プーリ5bには、図1(a)に示すように、把持用ベルト7が後述の第1端部7a側から見て、右側から再び右側に向かうようにU字状に折り返された状態で掛け回されている。
このような駆動部5は、第1端部7a側から後述の第2端部7b側に向けて、あるいは、第2端部7b側から第1端部7a側に向けて把持用ベルト7の途中部位を送り出すことにより、把持用ベルト7に接続された第1把持部20あるいは第2把持部30にサーボモータ5aの動力を作用させる。後に詳細に説明するが、例えば、駆動部5は、駆動プーリ5bを左回りに回転させることによって、把持用ベルト7を第1端部7a側から第2端部7b側に送り出し、第1把持部20にサーボモータ5aで生成した動力を作用させる。
また、例えば、駆動部5は、駆動プーリ5bを右回りに回転させることによって、把持用ベルト7を第2端部7b側から第1端部7a側に送り出し、第2把持部30にサーボモータ5aで生成した動力を作用させる。
従動プーリ6は、ベース部材2の上面に回転可能に設けられており、把持用ベルト7が掛け回されている。左側の従動プーリ6は、前後方向において前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20と後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20との間に配置されている。また、左側の従動プーリ6は、左右方向において前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20及び後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20の左側に配置されている。右側の従動プーリ6は、前後方向において前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30と後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30との間に配置されている。また、右側の従動プーリ6は、左右方向において前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30及び後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30の左側に配置されている。これらの従動プーリ6には、図1(a)に示すように、把持用ベルト7が後述の第1端部7a側から見て、右側から再び右側に向かうようにU字状に折り返された状態で掛け回されている。
把持用ベルト7は、平らな帯状の綱状部材であり、図1(a)に示すように、一端(第1端部7a)と他端(第2端部7b)とがベース部材2の上面に固定され、ベース部材2の上方にて引き回されている。把持用ベルト7の第1端部7aは、平面視において、ベース部材2の左後の角部近傍に固定されている。また、把持用ベルト7の第2端部7bは、左右方向中央部の後側の部位に固定されている。
このような把持用ベルト7は、2つの把持ユニット4の移動プーリ24及び移動プーリ35と、駆動部5の駆動プーリ5bと、従動プーリ6とに掛け回された状態で引き回されている。より詳細には、把持用ベルト7は、第1端部7a側から順に、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24、左側の従動プーリ6、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24、駆動部5の駆動プーリ5b、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35、右側の従動プーリ6、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35に掛け回されている。
また、把持用ベルト7は、第1端部7aから、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24から、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24までは、前後方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、後側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24から、左側の従動プーリ6までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、従動プーリ6から、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち後側の移動プーリ24から、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24までは、前後方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、前側に配置された把持ユニット4の第1把持部20が備える2つの移動プーリ24のうち前側の移動プーリ24から、駆動部5の駆動プーリ5bまでは、左右方向と平行に配設されている。
また、把持用ベルト7は、駆動部5の駆動プーリ5bから、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35から、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35までは、前後方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、前側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35から、右側の従動プーリ6までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、右側の従動プーリ6から、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35までは、左右方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち前側の移動プーリ35から、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35までは、前後方向と平行に配設されている。また、把持用ベルト7は、後側に配置された把持ユニット4の第2把持部30が備える2つの移動プーリ35のうち後側の移動プーリ35から、第2端部7bまでは、左右方向と平行に配設されている。
このような把持用ベルト7は、駆動プーリ5b、従動プーリ6、移動プーリ24及び移動プーリ35に掛け回された部位を除いて、途中部位が前後方向あるいは左右方向と平行となるように引き回されている。つまり、駆動プーリ5b、従動プーリ6、移動プーリ24及び移動プーリ35は、把持用ベルト7は、駆動プーリ5b、従動プーリ6、移動プーリ24及び移動プーリ35に掛け回された部位を除いた途中部位が前後方向あるいは左右方向と平行となるように配置及び形状設定されている。
連動部8は、2つの把持ユニット4の各々に対して設けられている。各々の連動部8は、連動部用プーリ8aと、連動部用ベルト8b(連動部用綱部材)とを備えている。連動部用プーリ8aは、ベース部材2の下面側に回転可能に設けられている。連動部用プーリ8aには、図1(a)に示すように、連動部用ベルト8bが第1把持部20側の端部から見て、左側から再び左側に向かうようにU字状に折り返された状態で掛け回されている。連動部用ベルト8bは、一端が第1把持部20の基部21に固定されており、他端が第2把持部30の基部31に固定されている。これらの連動部用ベルト8bは、図1(b)に示すように、ベース部材2の下方に配置されており、ベース部材2の上方に配置された把持用ベルト7と干渉しない。
このような連動部8は、第1把持部20に駆動部5から動力が作用し、第1把持部20が左側に向けて移動される場合に、第2把持部30を右側に向けて引っ張る。また、第2把持部30に駆動部から動力が作用し、第2把持部30が左側に向けて移動される場合に、第1把持部20を右側に向けて引っ張る。つまり、連動部8は、同一の把持ユニット4に含まれる一対の把持部同士(第1把持部20と第2把持部30)を接続し、一方の把持部に作用する動力を他方の把持部に対して反対方向に作用させる。
ストッパ9は、第1把持部20の移動範囲に対応して形成されたベース部材2の開口部2aに合わせて設けられている。図1(a)及び図1(b)に示すように、1つの開口部2aに対して2つのストッパ9が左右方向に離間して配置されている。各々のストッパ9は、平面視において、開口部2aの端部よりも開口部2aの中央部側に先端部が位置するように配置されている。これらのストッパ9は、第1把持部20が開口部2aの端部に接触する前に、第1把持部20に当接することによって第1把持部20の左右方向の移動を規制する。なお、ストッパ9によって第1把持部20の移動が規制されると、この第1把持部20と対になっている第2把持部30の移動も規制される。このようなストッパ9は、ベース部材2に固定されて、第1把持部20及び第2把持部30の移動範囲を規定している。
次に、このように構成された本実施形態のパレタイザハンド1による物品Wの移載動作について図2〜図7を参照して説明する。なお、図1と同様に、図2〜図7において、(a)が平面図であり、(b)が図1(a)のA−A断面に相当する断面図である。ただし、図2〜図7の(b)においては、視認を容易とするために、2つの把持ユニット4のうち、前側の把持ユニット4とこの把持ユニット4で把持する物品Wのみを図示している。また、本実施形態のパレタイザハンド1による物品Wの移載動作は、不図示の制御装置の制御の下に行われる。
まず、図2に示すように、サーボモータ5aによって駆動プーリ5bが平面視で右回りに回転される。駆動プーリ5bの右回りの回転によって把持用ベルト7が第2端部7b側から第1端部7a側に送り出される。これによって、把持用ベルト7の第2端部7b側が駆動プーリ5bに巻き取られ、第2把持部30の基部31が左側に移動される。第2把持部30の基部31が左側に向けて移動されると、連動部8を介して第2把持部30の基部31に接続された第1把持部20の基部21が右側に向けて移動される。このとき、第1把持部20の当接プレート22は基部21の移動に伴って右側に移動される。一方で、第2把持部30の当接プレート33はスライド機構32を介して基部31と接続されているため、図3に示すように、基部31が左側のストッパ32cに当接するまで移動されない。
さらに継続して、サーボモータ5aによって駆動プーリ5bを平面視で右回りに回転させると、第1把持部20の当接プレート22が継続して右側に向けて移動される。また、第2把持部30の基部31が左側のストッパ32cを右側から左側に向けて押圧することによって、台部32a及び当接プレート33が左方向に移動される。このようなサーボモータ5aによる駆動プーリ5bの右回りの回転を続けると、第1把持部20の当接プレート22と第2把持部30の当接プレート33とによって、図4に示すように、物品Wが左右方向から挟持される。ここで、各々の第1把持部20及び第2把持部30は、1つずつが動滑車と捉えることができる。このため、サーボモータ5aによって把持用ベルト7に対して張力Tを付加すると、第2把持部30の当接プレート33にはサーボモータ5aが把持用ベルト7に付加する張力Tの倍の張力2Tが付加される。また、第1把持部20と第2把持部30とが連動部8によって接続されているため、第1把持部20の当接プレート22にも、サーボモータ5aが把持用ベルト7に付加する張力Tの倍の張力2Tが付加される。したがって、物品Wは、両側から張力2Tの力によって把持されることになる。
また、前側の把持ユニット4で把持する物品Wと、後側の把持ユニット4で把持する物品Wの左右方向の幅が異なる場合であっても、本実施形態のパレタイザハンド1によれば、両方の物品Wを同様に、両側から張力2Tの力によって把持することができる。例えば、図4(a)等に示すように、前側の把持ユニット4で把持する物品Wの左右方向の幅が、後側の把持ユニット4で把持する物品Wの左右方向の幅よりも小さい場合には、まず、後側の把持ユニット4によって、物品Wが上述のように両側から張力2Tの力によって把持されることになる。このとき、前側の把持ユニット4では、物品Wを把持していないが、さらに継続して、サーボモータ5aによって駆動プーリ5bを平面視で右回りに回転させると、手前側の把持ユニット4の第1把持部20及び第2把持部30のみが移動される。そして、手前側の把持ユニット4の第1把持部20及び第2把持部30によって物品Wが左右方向から張力2Tの力によって把持されることになる。
なお、把持ユニット4が把持する物品Wが存在しない場合には、サーボモータ5aによって駆動プーリ5bを平面視で右回りに回転させることにより、右側に向けて移動される第1把持部20の当接プレート22が、開口部2aの右側に配置されたストッパ9に当接する。第1把持部20の当接プレート22がストッパ9に当接すると、連動部8で接続された第2把持部30を移動させることができなくなり、第1把持部20及び第2把持部30が停止する。つまり、把持対象の物品Wが存在しない場合には、第1把持部20及び第2把持部30はストッパ9によって移動が停止される。
このようにして本実施形態のパレタイザハンド1によって物品Wが保持されると、不図示のロボット本体によってパレタイザハンド1が移動されることによって、物品Wが移載先まで搬送される。このとき、ロボット本体は、移載先に予め載置された物品W側に第2把持部30の当接プレート33が配置されるようにパレタイザハンド1を移動する。
物品Wが移載先まで搬送されると、図5に示すように、サーボモータ5aによって駆動プーリ5bが平面視で左回りに回転される。駆動プーリ5bの左回りの回転によって把持用ベルト7が第1端部7a側から第2端部7b側に送り出される。これによって、把持用ベルト7の第1端部7a側が駆動プーリ5bに巻き取られ、第1把持部20が左側に移動される。第1把持部20が左側に向けて移動されると、連動部8を介して第1把持部20に接続された第2把持部30の基部31が右側に向けて移動される。これによって、把持ユニット4から物品Wが解放される。このとき、第2把持部30の当接プレート33は基部21の移動に伴って左側に移動される。一方で、第2把持部30の当接プレート33はスライド機構32を介して基部31と接続されているため、図6に示すように、基部31が右側のストッパ32cに当接するまで移動されない。このため、把持ユニット4から物品Wを解放する場合に、第2把持部30の当接プレート33が移動されないため、先に移載先に載置された物品Wが把持ユニット4の動きによって移動することがない。
その後、ロボット本体によって本実施形態のパレタイザハンド1が物品Wに対して遠方に移動される。物品Wの遠方に移動された本実施形態のパレタイザハンド1においては、さらにサーボモータ5aによって駆動プーリ5bが平面視で左回りに回転され、図7に示すように、第1把持部20の当接プレート22及び第2把持部30の当接プレート33が互いに離間する方向に移動される。そして、例えば図8に示すように、第1把持部20の基部21が左側のストッパ9に当接されるまで、第1把持部20を移動させる。
以上のような本実施形態のパレタイザハンド1によれば、物品Wを把持可能な一対の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)を有する把持ユニット4が複数備えられ、複数の把持ユニット4の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)に対して掛け回された把持用ベルト7が一方の端部(第1端部7aあるいは第2端部7b)側から他方の端部(第1端部7aあるいは第2端部7b)側に駆動部5によって送り出される。このため、単一の駆動部5の動力が複数の把持ユニット4に対して伝達される。このため、把持ユニット4ごとに駆動部を設置することなく、複数の把持ユニット4の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)を移動させることができる。
さらに、本実施形態のパレタイザハンド1によれば、同一の把持ユニット4に含まれる一対の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)同士が、一方の把持部(第1把持部20あるいは第2把持部30)に作用する動力を他方の把持部(第1把持部20あるいは第2把持部30)に対して反対方向に作用させる連動部8によって接続されている。このため、各々の把持ユニット4では、駆動部5から把持用ベルト7を介して動力が伝達される限り、一対の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)にて物品Wを把持するまで把持部(第1把持部20及び第2把持部30)が移動される。したがって、異なる把持ユニット4において形状の異なる物品Wを保持しようとする場合に、各々の把持ユニット4にて物品Wを把持するまで把持部(第1把持部20及び第2把持部30)が移動される。よって、本実施形態のパレタイザハンド1によれば、形状の異なる物品Wを同時に保持することができる。
また、本実施形態のパレタイザハンド1においては、ベース部材2に固定されると共に把持用ベルト7が掛け回される複数の従動プーリ6を備え、従動プーリ6と第1把持部20との間、従動プーリ6と第2把持部30との間、把持用ベルト7の第1端部7aと第1把持部20との間、及び、把持用ベルト7の第2端部7bと第2把持部30との間にて、把持用ベルト7が把持部(第1把持部20及び第2把持部30)の移動方向と平行に引き回されている。このため、第1把持部20及び第2把持部30が移動した場合であっても、把持用ベルト7の途中部位の角度が変化せず、把持用ベルト7が弛むことを防止することができる。
また、本実施形態のパレタイザハンド1においては、同一の把持ユニット4に含まれる一対の把持部(第1把持部20及び第2把持部30)の一方である第2把持部30が、連動部8に固定された基部31と、物品Wに直接当接される当接プレート33と、当接プレート33を基部31に対して第2把持部30の移動方向に一定の範囲でスライド可能に接続するスライド機構32とを備えている。このため、把持ユニット4が物品Wを解放する場合に、第2把持部30の当接プレート33の移動開始タイミングを第1把持部20の当接プレート22の開始タイミングに対して遅らせることができる。このため、第2把持部30の当接プレート33を移載先に既に載置された物品に隣接させた状態で把持ユニット4が物品Wを解放することによって、既に載置された物品を移動させることなく、把持ユニット4で保持した物品Wを解放することができる。
また、本実施形態のパレタイザハンド1においては、ベース部材2に固定され、第1把持部20の移動範囲を規定するストッパ9を備えている。このため、把持対象の物品Wが存在しない場合であっても、第1把持部20及び第2把持部30を移動させることができる。また、ストッパ9に第1把持部20を当接させることによって、第1把持部20と第2把持部30との位置決めを確実に行うことが可能となる。
また、本実施形態のパレタイザハンド1においては、連動部8が、ベース部材2に固定された連動部用プーリ8aと、一方の端部が第1把持部20に固定され、他方の端部が第2把持部30に固定され、途中部位が連動部用プーリ8aに掛け回された連動部用ベルト8bとを備えている。例えば、連動部として、ラックアンドピニオン機構等を用いることもできるが、ラックアンドピニオン機構の場合には、ラックとピニオンとの噛合部位に対して潤滑油を供給する必要がある。物品Wが潤滑油の僅かな付着も許容されないものである場合には、ラックアンドピニオン機構を連動部として用いることはできない。これに対して、本実施形態のパレタイザハンド1によれば、連動部用プーリ8aの軸部に潤滑油を封入しておくことで、外部から潤滑油を供給する必要がない。このため、本実施形態のパレタイザハンド1は、様々な使用環境で物品Wの移載を行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、綱状部材として、把持用ベルト7を用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。ワイヤやロープ等の紐状の部材、あるいは、チェーンを綱状部材として用いることも可能である。
また、上記実施形態においては、従動プーリ6と第1把持部20との間、従動プーリ6と第2把持部30との間、把持用ベルト7の第1端部7aと第1把持部20との間、及び、把持用ベルト7の第2端部7bと第2把持部30との間にて、把持用ベルト7が把持部(第1把持部20及び第2把持部30)の移動方向と平行に引き回された構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。従動プーリ6と第1把持部20との間、従動プーリ6と第2把持部30との間、把持用ベルト7の第1端部7aと第1把持部20との間、及び、把持用ベルト7の第2端部7bと第2把持部30との間にて、把持用ベルト7が把持部(第1把持部20及び第2把持部30)の移動方向と交差するように引き回された構成を採用することも可能である。この場合、把持部(第1把持部20及び第2把持部30)の移動に伴って把持用ベルト7が弛むため、把持用ベルト7の弛みを取り除く、巻取機構や移動プーリを設置することが好ましい。
また、上記実施形態においては、第2把持部30がスライド機構32を有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、物品Wの移載先において、第2把持部30の当接プレート33を先に移載された物品Wと干渉することなく移動させるスペースが確保できる場合には、スライド機構32を設置しない構成を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、2つの把持ユニット4を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の把持ユニット4を備える構成を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、第1把持部20の当接プレート22及び第2把持部30の当接プレート33が、先端に爪部を有していない構成について説明した。このような構成を採用することによって、爪部が物品Wに引っ掛ることによる物品Wの破損を防止することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、第1把持部20の当接プレート22及び第2把持部30の当接プレート33が、先端に爪部を有する構成を採用することも可能である。
また、上記実施形態のパレタイザハンド1は、例えば物品Wをパレット上に移載するパレタイザ処理の他、パレット上の物品Wをコンベア装置等に移載するディパレタイザ処理にも当然に用いることができる。