以下、図1乃至図13を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図1および図2を参照して、本実施の形態における蓋付容器10全体について説明する。
(蓋付容器)
図1は、蓋付容器10を構成する部材の分解図であり、図2は、蓋付容器10を構成する容器20であって、蓋50が接合されていない状態の容器20を示す斜視図である。蓋付容器10は、開口部28が形成された容器20と、容器20の開口部28を覆うよう容器20に接合された蓋50と、を備えている。なお本明細書において、「接合」とは、溶着および接着の両方を含む概念である。「溶着」とは、容器20または蓋50の少なくともいずれかを少なくとも部分的に溶融させることによって、蓋50を容器20に取り付けることを意味している。また「接着」とは、接着剤などの、容器20および蓋50とは別個の構成要素を用いて、蓋50を容器20に取り付けることを意味している。
また本明細書において、「蓋付容器」とは、特に断らない限り、容器20に蓋50を接合した後、まだ一度も蓋50が取り外されていない状態を意味している。また以下の説明において、蓋50が取り外された後の容器20のことを、開封容器21と称することもある。
(容器)
次に容器20について説明する。図1および図2に示すように、容器20は、底面22と、底面22の外縁22eに沿って一周にわたって広がるよう底面22から立設された側面24と、側面24の上部に連設されたフランジ部26と、を有している。上述の蓋50は、容器20のフランジ部26に接合される。図1および図2においては、フランジ部26が側面24の上縁に連設され、外側に向かって水平方向に延びる例が示されている。なお本明細書において、「側面」、「上部」、「上縁」や後述する「上面」、「下面」、「水平方向」などの用語は、容器20の底面22が下方に位置するように蓋付容器10や容器20が載置されている状態を基準として蓋付容器10、容器20、蓋50やそれらの構成要素の位置や方向を表すものである。
図1および図2においては、開口部28が水平方向において四角形状の輪郭を有するよう容器20の底面22および側面24が構成される例が示されている。なお、本実施形態においては、四角形の角部が面取りされて、角部が外側に向かって凸の円弧状となっているものも四角形に含むものである。しかしながら、所望の内容物を容器20に収容することができる限りにおいて、容器20の形状が特に限られることはない。例えば開口部28を画成するフランジ部26の輪郭は、水平方向において矩形状や多角形状の輪郭を有していてもよい。また底面22の輪郭とフランジ部26および蓋50の輪郭とは、相似形であってもよく、相似していなくてもよい。
図2に示す例において、フランジ部26の後述する内側部分30の外縁は、4つの辺(第1の辺26a,第2の辺26b,第3の辺26c及び第4の辺26d)を含む矩形状の輪郭を有する。第1の辺26aと第3の辺26cとが対向しており、第2の辺26bと第4の辺26dとが対向している。図2に示す例において、第1の辺26a及び第3の辺26cは、互いに平行な長辺である。また、第2の辺26b及び第4の辺26dは、第1の辺26a及び第3の辺26cよりも短く、且つ互いに平行な短辺である。
図2において、符号26e,26f,26g,26hは、2つの辺が接続される箇所(以下、隅部と称する)を表している。第1の隅部26eが、第1の辺26aと第2の辺26bとの間に位置し、第2の隅部26fが、第2の辺26bと第3の辺26cとの間に位置し、第3の隅部26gが、第3の辺26cと第4の辺26dとの間に位置し、第4の隅部26hが、第4の辺26dと第1の辺26aとの間に位置する。
容器20に収容される内容物は特には限られないが、内容物の例としては例えばナッツなどのおつまみ、ドライフルーツ、惣菜、お菓子等を挙げることができる。ところで後述するように、本実施の形態による蓋付容器10は、初期密封性に優れることを1つの特徴としている。また後述するように、本実施の形態による蓋付容器10は、蓋50が取り外された後の開封容器21に、蓋50を再び被せることにより、蓋50を利用して開封容器21の開口部28を覆うことができること、すなわち再封性に優れることをさらなる特徴としている。なお「初期密封性」とは、蓋付容器10における、すなわち容器20に蓋50を接合した後にまだ一度も蓋50が取り外されていない状態における、容器20のフランジ部26と蓋50との間の密着性を意味している。
〔フランジ部〕
以下、図1乃至図9を参照して、容器20のフランジ部26について詳細に説明する。図3は、蓋付容器10の後述する突部36を含む部分の断面図、図4は、蓋50を溶着する前の容器20の突部36を含む部分の拡大断面図、図5は、蓋付容器10の後述する連結部分40の結合部41を含む部分の断面図、図6は、蓋50を溶着する前の容器20の連結部分40の結合部41を含む部分の拡大断面図である。
また図7は、容器20を示す平面図であり、図8は、蓋付容器10を示す平面図である。なお、図8については、煩雑になることを避けるため、フランジ部26の内側部分30と外側部分35以外を省略した図になっている。図9は、蓋付容器10の連結部分40のヒンジ部42を含む部分の拡大断面図である。
図1乃至図9に示すように、フランジ部26は、一周にわたって連続的に側面24に連設された内側部分30と、内側部分30の外側に位置する外側部分35と、内側部分30と外側部分35との間に設けられ、内側部分30と外側部分35とを連結する連結部分40と、を含んでいる。なお本明細書において、「外側」とは、水平方向において容器20の開口部28から遠い側を意味している。また「内側」とは、水平方向において容器20の開口部28から近い側を意味している。
図3乃至図5に示すように、本実施の形態による蓋付容器10は、容器20から蓋50を取り外すとき、外側部分35のうち後述する連結部分40のヒンジ部42によって連結されてない部分が、蓋50とともに容器20(開封容器21)から取り外されるよう、構成されている。蓋付容器10の状態において、蓋50は、外側部分35の上面35aに少なくとも部分的に接合されている。
図7及び図8に示すように、連結部分40は、結合部41及び一対のヒンジ部42を含む。結合部41は、蓋付容器10を開封する上で破断されている必要がある部分である。ヒンジ部42は、蓋付容器10を開封した後も内側部分30と外側部分35とを連結し続ける部分である。一対のヒンジ部42は、後述するように、蓋50とともに容器20のフランジ部26の内側部分30から分離された外側部分35を、内側部分30に対して回転させる回転軸Aを画定する。
図7に示すように、連結部分40の結合部41は、一周にわたって内側部分30に沿って断続的に複数の箇所に、例えば4箇所に設けられている。なお、結合部41は、一周にわたって内側部分30に沿って連続的に設けられていてもよい。また外側部分35も、一周にわたって内側部分30に連結部分40を介して連続的に延びている。そして図8に示すように蓋50の下面50bは、内側部分30の上面30aに、一周にわたって連続的に接合されている。このように容器20のフランジ部26および蓋50を構成することにより、容器20の開口部28を隙間無く密封することができる。すなわち、初期密封性を発現させることができる。
図8においては、蓋50の下面50bと内側部分30の上面30aとが接合された部分である第1接合部分が符号30Aで示され、蓋50の下面50bと外側部分35の上面35aとが接合された部分である第2接合部分が符号35Aで示されている。本実施形態においては、第1接合部分30Aが内側部分30の内縁および外縁に至らないように形成され、第2接合部分35Aが外側部分35の内縁および外縁に至らないように形成された例が示されているが、これに限らず、第1接合部分30Aは内側部分30の内縁または/および外縁に至るように形成されていてもよいし、第2接合部分35Aは外側部分35の内縁または/および外縁に至るように形成されていてもよい。
蓋50とフランジ部26との間の接合は、外側部分35が蓋50に少なくとも部分的に接合された状態を維持しながら、蓋50を容器20から取り外すことができるよう、構成される必要がある。一方、第2接合部分35Aの接合力が、容器20のその他の部分と蓋50との間の接合力、例えば第1接合部分30Aの接合力よりも小さい場合、容器20から蓋50を取り外すために容器20のフランジ部26の摘み部26xに力を加えるとき、蓋50が内側部分30の上面30aから剥がれるよりも前に蓋50が外側部分35の上面35aから剥がれてしまうことが考えられる。この点を考慮し、好ましくは、第2接合部分35Aの接合力が、第1接合部分30Aの接合力よりも大きくなるよう、蓋付容器10が構成されている。これによって、容器20から蓋50を取り外す際に蓋50が外側部分35の上面35aから剥がれてしまうことを抑制することができる。
第1接合部分30Aおよび第2接合部分35Aの接合力は、テンシロン引張試験機(例えば、株式会社オリエンテック製、RTC−1310A)を用いて測定することができる。
以下、接合力を測定する手順の一例について説明する。
まず、蓋50とフランジ部26とが接合されたサンプルを,15mm幅にカットする。
次に、蓋50の一部分をフランジ部26から剥離させ、テンシロンの一方のつかみ治具で蓋50の一部分を挟み、他方のつかみ治具でフランジ部26を挟む。その後、引張速度300mm/minで、蓋50の一部分とフランジ部26とがなす角が180°になるように引っ張る。そして、蓋50のその他の部分がフランジ部26の各部分から剥離される際に計測される荷重の最大値を、蓋50とフランジ部26の各部分との間の接合力とする。
なお、蓋50とフランジ部26とが接合していない部分が予めサンプルに含まれる場合は、荷重を測定する前に蓋50とフランジ部26とを部分的に剥離させる作業を省略してもよい。
上記の測定方法を用いて接合力を算出したときに、第2接合部分35Aの接合力は、20Nより大きいことが好ましく、30Nより大きいことがさらに好ましく、第1接合部分30Aの接合力は、20N以下となることが好ましく、15N以下となることがより好ましい。
第2接合部分35Aの接合力を、第1接合部分30Aの接合力よりも大きくするための具体的な構成や方法が特に限られることはない。例えば、第2接合部分35Aの面積や幅を、第1接合部分30Aの面積や幅よりも大きくすることが考えられる。また、加熱に起因する溶着によって蓋50をフランジ部26に接合する場合、蓋50を外側部分35の上面35aに溶着させる際の温度を、蓋50を内側部分30の上面30aに溶着させる際の温度よりも高くしてもよい。
なお、外側部分35が蓋50に少なくとも部分的に接合された状態を維持しながら、蓋50を容器20から取り外すことができる限りにおいて、外側部分35の形状や、蓋50の下面50bと外側部分35の上面35aとの間における接合の具体的な状態が特に限られることはない。例えば、図8においては、外側部分35が一周にわたって内側部分30に沿って連続的に延び、蓋50の下面50bは、外側部分35の上面35aに、一周にわたって連続的に接合されている例を示したが、これに限られることはない。図示はしないが、容器20から蓋50を取り外す際に外側部分35が蓋50に少なくとも部分的に接合された状態を維持することができる限りにおいて、外側部分35が、一周にわたって内側部分30に沿って断続的に延びていてもよい。この場合、蓋50の下面50bは、内側部分30の上面30aに一周にわたって連続的に接合されており、かつ、外側部分35の上面35aに少なくとも部分的に接合されている。この場合であっても、蓋50の下面50bと内側部分30の上面30aとの間の接合によって、容器20の開口部28を隙間無く密封することができる。すなわち、初期密封性を発現させることができる。また、蓋50の下面50bと外側部分35の上面35aとの間の接合によって、容器20から蓋50を取り外す際に外側部分35が蓋50に少なくとも部分的に接合された状態を維持することができる。
上述のように、連結部分40の結合部41は、容器20から蓋50を取り外す際に破断される部分である。ところで、結合部41の強度が大きすぎると、結合部41を破断させるためにフランジ部26に加えられる力が過剰に大きくなり、この結果、容器20のうち結合部41以外の部分が破断したり変形したりしてしまうことが考えられる。従って結合部41は、適度な力で破断し得るよう構成されている。例えば図6に示すように、内側部分30、外側部分35および結合部41は、結合部41の厚みT3が内側部分30の厚みT1および外側部分35の厚みT2よりも小さくなるよう、構成されている。
なお図3においては、蓋付容器10の内側部分30および外側部分35のそれぞれにおいて、上面30a,35aと下面30b,35bとが互いに平行であり、このため厚みT1,T2,T3が位置に依らず一定である例が示されている。しかしながら、これに限られることはなく、厚みT1,T2,T3が位置に応じて変化することも考えられる。例えば、上面30a,35aと下面30b,35bとが非平行である場合が考えられる。また後述するように、外側部分35が突部36、補強部37や壁部38を有したりすることにより、厚みT1,T2,T3が位置に応じて変化することも考えられる。このような場合、「連結部分40の結合部41の厚みT3が内側部分30の厚みT1および外側部分35の厚みT2よりも小さい」とは、「厚みT3の平均値が、厚みT1の平均値および厚みT2の平均値よりも小さい」ことを意味していてもよい。または、「厚みT3の最大値が、厚みT1の最大値および厚みT2の最大値よりも小さい」ことを意味していてもよい。ここで、連結部分40の結合部41の厚みT3は、結合部41の水平方向に沿った厚みをいい、内側部分30および外側部分35の厚みは、各々内側部分30および外側部分35の上下方向に沿った厚みをいう。
結合部41は、厚みT3が小さくなるほど破断され易くなる。従って、蓋付容器10の開封のし易さを考えると、結合部41の厚みT3が小さいことが好ましい。一方、結合部41の厚みT3が小さくなり過ぎると、蓋50が接合される前の状態の容器20において、または、蓋50を容器20に接合する工程の際に、容器20に加えられる衝撃などに起因して結合部41が破断してしまうことが考えられる。これらの点を考慮し、好ましくは、結合部41の厚みT3は、0.2mm以上且つ0.8mm以下に設定される。また好ましくは、内側部分30の厚みT1および外側部分35の厚みT2は、結合部41の厚みT3が内側部分30の厚みT1および外側部分35の厚みT2の50%以下になるよう、設定される。内側部分30の厚みT1および外側部分35の厚みT2は、例えば0.5mm以上且つ2.0mm以下に設定される。
図4及び図6に示すように、外側部分35の厚みT2は、内側部分30の厚みT1よりも大きくなっていてもよい。例えば、外側部分35の厚みT2は、内側部分30の厚みT1の1.5倍以上であり、より好ましくは2倍以上である。
また、開封のしやすさと意図しない破断を抑制する観点から、結合部41は、フランジ部26の内側部分30の外周の0.1%以上5.0%以下の領域に設けることが好ましく、0.3%以上3.0%以下の領域に設けることがより好ましい。なお、図7に示すように、本実施形態において、結合部41は、内側部分30の外周の0.5%の領域に設けられている。
また内側部分の幅W1は、容器20と蓋50との密封性を高めるため、4mm以上の範囲に設定されている。また外側部分35の幅W2は、容器20から蓋50を取り外す際に蓋50が外側部分35から分離されないように、かつ、蓋50を容器20に接合させる工程の際に蓋50を外側部分35の上面35a上に容易に位置決めできるように、設定されることが好ましい。例えば外側部分35の幅W2を3mm以上に設定することが好ましい。このことにより、フランジ部26の外側部分35に蓋50を接合するときの製造適性を高めることができ、さらに、容器20から蓋50を取り外す際に外側部分35を摘まみやすくすることができる。また、例えば第1接合部分30Aの幅W3は1mm以上2mm以下に設定されている。また第2接合部分35Aの幅W4を2mm以上、好ましくは3mm以上に設定することが好ましい。また、第2接合部分35Aの幅W4は、第1接合部分30Aの幅W3の1倍以上とすることが好ましく、1.5倍以上とすることがより好ましい。このことにより、初期密封性を担保しやすくすることができ、容器20から蓋50を取り外す際に蓋50が外側部分35から分離されにくくすることができる。
次に、蓋付容器10に関して、上下方向における内側部分30、外側部分35および連結部分40の結合部41の位置について説明する。本実施の形態において、内側部分30の上面30aおよび外側部分35の上面35aのうち少なくとも蓋50の下面50bに接する部分は、同一平面上に位置している。図3および図5においては、フランジ部26に蓋50を溶着させた場合、内側部分30の上面30aの全域および外側部分35の上面35aの全域が、同一の水平面上に位置する例が示されている。このため、蓋50の下面50bを内側部分30の上面30aおよび外側部分35の上面35aにより均一に接合することができる。すなわち、蓋50を容器20のフランジ部26に安定に接合させることができる。このことにより、容器20のフランジ部26と蓋50との間の接合力が、位置や個体に応じてばらつくことを抑制することができ、初期密封性に優れた蓋付容器10とすることができる。
なお「内側部分30の上面30aと外側部分35の上面35aとが同一平面上に位置する」とは、内側部分30の上面30aのうち連結部分40側の端部の、上下方向における位置と、外側部分35の上面35aのうち連結部分40側の端部の上下方向における位置との差が、0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であることを意味している。
好ましくは、内側部分30の上面30aのうち蓋50の下面50bに接する部分と、外側部分35の上面35aのうち蓋50の下面50bに接する部分とが成す角度が、±30度以下になっている。
容器20を構成する材料や、容器20の製造方法は、外側部分35の上面35aが少なくとも部分的に蓋50の下面50bに接合され得るよう選択される。例えば、樹脂を用いた射出成形によって、底面22、側面24およびフランジ部26を一体的に形成してもよい。容器20を構成する樹脂としては、例えばポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
次に、蓋付容器10の再封性を高めるためのフランジ部26の構成について説明する。図3に示すように、フランジ部26の外側部分35の下面35bは内側部分30の下面30bより下方にあり、また外側部分35に、内側部分30の外側の端部30eよりも内側に突出する突部36が設けられていてもよい。これにより、内側部分30に外側部分35を堅固に固定することができ、開封容器21の再封性を優れたものにすることができる。このような突部36は、例えば図7に示すように、外側部分35のうち摘み部26xが位置する部分に設けられている。摘み部26xは、外側部分35のうち摘み部26xとは異なる部分に設けられていてもよい。また、複数の摘み部26xが外側部分35に設けられていてもよい。
好ましくは、摘み部26xは、外側部分35の隅部ではなく辺に設けられている。これにより、蓋付容器10の蓋50を容器20から取り外す作業が突部36によって阻害されることを抑制することができる。
突部36は、内側部分30の外側の端部30eから0.1mm以上1.0mm以下の範囲で内側部分30側に突出していることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下の範囲で内側部分30側に突出していることがさらに好ましい。図4には、突部36の内側部分の外側の端部30eから先端までの長さが符号L1で示されている。突部36の内側部分の外側の端部30eから先端までの長さL1が0.1mm以下である場合、再封性を十分に発現させることが難しくなり、1.0mm以上である場合、外側部分35が接合された状態の蓋50を容器20から取り外すことが難しくなる。
突部36は、例えば、外側部分35の下面35bよりも上方に設けることができ、内側部分30の下面30bと外側部分35の下面35bとの間の領域に設けることができる。突部36が内側部分30の下面30bと近接または当接することにより、開封容器21の再封性を向上することができる。例えば、図3には、フランジ部26の内側部分30の下面30bと突部36とが近接し、フランジ部26の内側部分30の下面30bと突部36との間に隙間D1が設けられた蓋付容器10が図示されているが、これに限らず、フランジ部26の内側部分30の下面36bと突部36が当接している蓋付容器10であってもよい。これについては、外側部分35が接合された状態の蓋50によって覆われた開封容器21であっても、同様のことが言える。また、隙間D1は0.5mm以下とすることが好ましい。隙間D1が0.5mm以下であれば、開封容器21の再封性を向上することができる。
また、突部36は、フランジ部26の内側部分30の外周の25%以上の領域に当接することができるように設けることが好ましく、50%以上の領域に当接することができるように設けることがより好ましい。このことにより、開封容器21の再封性を向上することができる。また、突部36は、フランジ部26の内側部分30の外周の5%以下の領域に当接することができるように設けることが好ましく、3%以下の領域に当接することができるように設けることがより好ましい。このことにより、外側部分35が接合された状態の蓋50を容器20から取り外しやすくすることができる。
次に、連結部分40の上述のヒンジ部42について、図7乃至図9を参照して詳細に説明する。
図7及び図8に示す例において、一対のヒンジ部42はそれぞれ、内側部分30の隅部に位置する。具体的には、一方のヒンジ部42は、第1の辺26aと第2の辺26bとの間の第1の隅部26eに位置し、他方のヒンジ部42は、第2の辺26bと第3の辺26cとの間の第2の隅部26fに位置する。また、一対のヒンジ部42は、回転軸Aが第2の辺26bに平行に延びるよう、設けられている。回転軸Aは、図7及び図8に示すように、一方のヒンジ部42のうち最も開口部28の中心点C寄りに位置する部分と、他方のヒンジ部42のうち最も開口部28の中心点C寄りに位置する部分とを通る直線である。
図7及び図8に示すように、フランジ部26の内側部分30の一部は、回転軸Aよりも外側に突出している。図7及び図8に示す例においては、内側部分30のうち第2の辺26bを含む部分が、回転軸Aよりも外側に位置している。内側部分30のうち回転軸Aよりも外側に突出している部分(以下、係止部31とも称する)の外縁は、蓋50及び外側部分35が回転軸Aを中心として回転するときに、蓋50の下面50bに当接して蓋50の下面50bを押圧する。この結果、内側部分30の係止部31の外縁と蓋50の下面50bとの間に摩擦力が生じる。この摩擦力を利用することにより、使用者は、蓋50及び外側部分35が回転軸Aを中心として所定の角度にわたって回転した状態で、蓋50及び外側部分35を内側部分30に対して固定することができる。このため、開封容器21の開口部28が開放された状態を維持することができる。
図8において、符号W5は、内側部分30のうち回転軸Aよりも外側に突出している部分の、回転軸Aに直交する方向における寸法を表す。寸法W5は、例えば3mm以上であり、より好ましくは5mm以上である。寸法W5を3mm以上にすることにより、内側部分30の係止部31の外縁と蓋50の下面50bとの間に十分な摩擦力を生じさせ、蓋50及び外側部分35を内側部分30に対して固定することができる。また、寸法W5は、例えば10mm以下であり、より好ましくは7mm以下である。寸法W5を10mm以下にすることにより、内側部分30の係止部31の外縁と蓋50の下面50bとの間に生じる摩擦力が過剰に大きくなることを抑制することができる。これにより、蓋50が外側部分35から剥がれたり、蓋50及び外側部分35の回転が困難になってしまったりすることを抑制することができる。
好ましくは、図8に示すように、第1接合部分30Aは、内側部分30の係止部31には設けられない。言い換えると、内側部分30の係止部31の上面は、蓋50の下面50bに接合されていない。以下、このような接合を採用する理由について説明する。
内側部分30の上面の全体が蓋50に接合されていると仮定する。この場合、蓋付容器10の状態において、フランジ部26の上述の摘み部26xに上向きの力を加えると、蓋50のうち回転軸Aに対して摘み部26x側に位置する部分には、内側部分30の上面30aから離れる向きの力が加わる。一方、蓋50のうち回転軸Aに対して摘み部26xとは反対側に位置する部分には、内側部分30の上面30aに向かう力が加わる。このため、上述の摘み部26xに上向きの力を加えることによっては、蓋50のうち回転軸Aに対して摘み部26xとは反対側に位置する部分を内側部分30の上面30aから剥離させることができない。この場合、例えば、摘み部26xとは反対側に位置するフランジ部26の辺や隅部において、蓋50のうち回転軸Aに対して摘み部26xとは反対側に位置する部分を内側部分30の上面30aから剥離させる作業を行う必要がある。
これに対して、本実施の形態においては、内側部分30の係止部31の上面が蓋50の下面50bに接合されていない。このため、摘み部26xに上向きの力を加えることによって、蓋50を内側部分30の上面30aから剥離させることができる。このことにより、蓋付容器10を開封する作業を容易にすることができる。
図7において、符号S1は、ヒンジ部42のうち内側部分30の外縁に沿った方向における寸法を表し、符号S2は、ヒンジ部42のうち内側部分30の外縁に沿った方向に直交する方向における寸法を表す。寸法S1は、例えば1mm以上であり、より好ましくは3mm以上である。また、寸法S2は、例えば1mm以上であり、より好ましくは2mm以上である。寸法S1を1mm以上とし、寸法S2を1mm以上とすることにより、外側部分35が回転軸Aを中心に内側部分30に対して回転するとき等にヒンジ部42が破断することを抑制することができる。また、寸法S2は、例えば5mm以下であり、より好ましくは4mm以下である。寸法S2を5mm以下にすることにより、内側部分30の係止部31の外縁を蓋50の下面50bに適切に当接させることができる。
図9は、蓋付容器10のうちヒンジ部42を含む部分の断面図である。好ましくは、ヒンジ部42の一対の端部のうち内側の端部(以下、内端とも称する)42aは、内側部分30のうち下面30b寄りの位置に接続される。また、好ましくは、ヒンジ部42の一対の端部のうち外側の端部(以下、外端とも称する)42bは、外側部分35のうち上面35a寄りの位置に接続される。例えば、図9に示すように、ヒンジ部42の内端42aは、内側部分30の下面30bに接続され、ヒンジ部42の外端42bは、外側部分35の内縁のうち上面35a寄りの位置に接続される。なお、「下面寄りの位置に接続される」とは、接続箇所から下面までの距離が、接続箇所から上面までの距離よりも短いことを意味する。同様に、「上面寄りの位置に接続される」とは、接続箇所から上面までの距離が、接続箇所から下面までの距離よりも短いことを意味する。
ヒンジ部42の厚みT4は、例えば0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上である。また、ヒンジ部42の厚みT4は、例えば1mm以下であり、より好ましくは0.8mm以下である。
次に、蓋50が接合される前の容器20の好ましい一形態例について説明する。上述のとおり、図3および図5は蓋付容器10の断面図であり、図4および図6は蓋50が接合されていない状態の容器20の断面図である。
図4および図6に示すように、蓋50が接合されていない状態の容器20において、好ましくは、フランジ部26の外側部分35の下面35bは、内側部分30の下面30bより下方に位置している。より好ましくは、蓋50が接合されていない状態の容器20において、フランジ部26の外側部分35の上面35aは、内側部分30の下面30bより下方に位置している。
容器20に蓋50を溶着する場合、図4および図6に示すように、容器20のフランジ部26の下面をリテーナ70により保持し、容器20のフランジ部26上に蓋50を載置する。ここで、リテーナ70は、フランジ部26と蓋50とを溶着したときに、フランジ部26の内側部分30の上面30aと外側部分35の上面35aとを同一平面上に位置させることができるように、リテーナ70の内側部分30と当接する部分が、リテーナ70の外側部分35と当接する部分よりも突出するように形成されている。次にリテーナ70により容器20のフランジ部26の下面を保持した状態でフランジ部26の内側部分30および外側部分35に対して第1の熱板75および第2の熱板76を各々降下させる。
このことにより、フランジ部26の外側部分35が上昇し、外側部分35の上面35aを内側部分30の上面30aと同一平面上に位置させることができる。この場合、内側部分30および外側部分35と蓋50とが、リテーナ70と第1の熱板75および第2の熱板との間で加熱されて溶着される。なお、上述の例では、第1の熱板75と第2の熱板76をそれぞれ用いる例を説明したが、一つの熱板を用いて加熱するようにしてもよい。
この間、内側部分30と外側部分35との間に設けられた連結部分40の結合部41は、内側部分30と外側部分35との間で屈曲して残る。あるいはこの溶着作業の間、結合部41が内側部分30または外側部分35から破断することも考えられる。一方、連結部分40のヒンジ部42は、この溶着作業の間に破断しないように構成されている。
このように内側部分30および外側部分35と蓋50とを、リテーナ70と第1の熱板および第2の熱板76との間で加熱溶着することにより、容器20と蓋50とからなる蓋付容器10が得られる。
(蓋)
次に、容器20に接合される蓋50について説明する。蓋50を構成する材料は、蓋50の下面50bが内側部分30の上面30aおよび外側部分35の上面35aに接合され得るよう、選択される。また、蓋50の材料及び厚みは、蓋50の下面50bが内側部分30の係止部31の外縁から押圧されたときに蓋50が弾性変形できるよう、選択される。例えば蓋50は、基材層と、蓋50の下面50bを構成するシーラント層と、を含んでいる。蓋50の厚みは、例えば20μm以上且つ100μm以下になっている。
基材層を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂や、ポリプロピレン等を用いることができる。またシーラント層を構成する材料としては、ポリプロピレンや、ポリプロピレンおよびポリエチレンの混合樹脂等を用いることができる。なお、基材層およびシーラント層がいずれもポリプロピレンを含む場合、基材層においては二軸延伸ポリプロピレンが用いられ、シーラント層においては無延伸ポリプロピレンが用いられる。
なお上述の「ポリプロピレンおよびポリエチレンの混合樹脂」は、イージーピールシーラントとも称される、比較的小さな接合力を有する材料である。従って、蓋50のシーラント層がポリプロピレンおよびポリエチレンの混合樹脂を含む場合、蓋50の下面50bを容器20のフランジ部26の外側部分35の上面35aおよび内側部分30の上面30aに確実に接合することができる。また、蓋50のシーラント層がポリプロピレンおよびポリエチレンの混合樹脂を含む場合、上述の引張試験機を用いた方法などによって算出される蓋50とフランジ部26との間の接合力が、20N以下となることが好ましく、15N以下となることがより好ましい。
一方、蓋50のシーラント層がポリプロピレン単体によって構成される場合、その接合力は、ポリプロピレンおよびポリエチレンの混合樹脂が用いられる場合に比べて大きくなる。
(容器の製造方法)
次に容器20の製造方法について図10(a)(b)(c)乃至図12(a)(b)により述べる。以下、射出成形法により容器20を製造する例について説明する。
まずフランジ部26の上面側の第1の型81と、フランジ部26の下面側の第2の型82とを対向させ(図10(a)参照)、次に第1の型81と第2の型82を閉じるとともに、所定のキャビティ空間を形成する(図10(b)参照)。次に第1の型81のゲート81aからキャビティ空間に対して溶融状態の樹脂83を射出注入し、第1の型81と第2の型82との間で固化させることにより容器20を成形する(図10(c)参照)。樹脂83は、例えば、熱可塑性樹脂とすることができる。
次に第2の型82上に容器20を保持した状態で第2の型82から第1の型を引上げて離間させる(図11(a)参照)。
この状態を図12に示す拡大図に示す。図12に示すように、第2の型82から第1の型81を離間させることにより、フランジ部26を上方や側方に向かって変形することができる領域が確保される。
すなわち、外側部分35には、内側部分30側へ突出する突部36が設けられ、この突部36は第2の型82内に入り込んでいるが、第2の型82上でフランジ部26を上方や側方に向かって変形することができる領域が確保されることにより、第2の型82からフランジ部26に突部36を有する容器20を離型することができる。
次に図11(b)に示すように、第2の型82に設けられた第1ピン82aにより容器20の底面22を突き出し、第2ピン82bによりフランジ部26を突き出す。
この場合、予め第2の型82から第1の型81が離間しているため、第2ピン82bによりフランジ部26を突き出した際、フランジ部26は上方や側方に向かって変形することができるため、第2の型82から容器20を離型することができる。
次に図11(c)に示すように、容器20の底面22が吸着機構85により吸着され、この吸着機構85により容器20を第1の型81および第2の型82から外方へ排出することができる。
なお、本実施形態では、第1の型81と第2の型82が垂直方向に配置される例が示されているが、これに限らず、第1の型81と第2の型82が水平方向に配置されていてもよい。
(蓋付容器の製造方法)
次に、蓋付容器10の製造方法の一例について説明する。
まず上述したように射出成形法によって、一体的に形成された底面22、側面24およびフランジ部26を有する容器20を形成する。この場合、容器20は蓋50を溶着する前の構造をもつ(図4および図6参照)。また、容器20のフランジ部26に対応した輪郭を有する蓋50を準備する。次に、上述のように容器20のフランジ部26をリテーナ70により保持し、内側部分30の上面30a上に蓋50を載置する。リテーナ70により容器20のフランジ部26を保持した状態で内側部分30および外側部分35に対して第1の熱板75および第2の熱板76を各々降下させる。このとき、蓋50のうち容器20のフランジ部26の内側部分30および外側部分35に対応する部分が上面50a側から加熱され、蓋50のシーラント層を溶融させる。これによって、蓋50を容器20のフランジ部26の内側部分30の上面30aおよび外側部分35の上面35aに溶着させることができる。このとき、フランジ部26を溶融させてもよい。
このようにして容器20と蓋50とを有する蓋付容器10が得られる。この場合、内側部分30が蓋50と溶着されるため、容器20の開口部28を隙間無く密封することができる。すなわち、初期密封性を発現させることができる。さらに、内側部分30の上面30aと、外側部分35の上面35aは少なくとも部分的に同一平面上に位置している。このため、初期密封性に優れた蓋付容器10とすることができる。
(蓋付容器の開封方法)
次に、蓋付容器10を開封する方法の一例について説明する。
はじめに図1において符号Faで示すように、容器20のフランジ部26の摘み部26xの一部に、上向きの力を加える。これにより、摘み部26xの周囲において、内側部分30の上面30aから蓋50の下面50bを剥離させ、また、連結部分40の結合部41を破断させる。続いて、図13に示すように、蓋50及び外側部分35が回転軸Aを中心に回転するよう、摘み部26xに力を加え続ける。これにより、内側部分30の上面30aからの蓋50の下面50bの剥離を進行させる。また、残っている結合部41を破断させる。
蓋50及び外側部分35の回転が進行するにつれて、内側部分30の係止部31の外縁が蓋50を押す押圧力が大きくなり、係止部31の外縁と蓋50の下面50bとの間に生じる摩擦力も大きくなる。摩擦力が、蓋50及び外側部分35がその自重によって図13に示す方向Faとは反対に変位しようとする力よりも大きくなると、使用者が蓋50及び外側部分35に力を加えていない場合であっても、蓋50及び外側部分35が内側部分30に対して静止するようになる。このため、開封容器21の開口部28が開放された状態を維持することができる。
(本実施の形態の効果)
本実施の形態による容器20は、内側部分30と外側部分35とを連結している一対のヒンジ部42を含む。このため、蓋50を容器20から取り外した後、蓋50及び蓋50に接合されている外側部分35を、開封容器21の内側部分30に対して、回転軸Aを中心に回転させることができる。このため、使用者は、開封容器21に対する蓋50の位置合わせを行うことなく、開封容器21の開口部28を容易に蓋50で覆うことができる。また、容器20の内側部分30は、回転軸Aよりも外側に突出している係止部31を含む。係止部31の外縁は、蓋50及び外側部分35が回転軸Aを中心として回転するときに、蓋50の下面50bに当接して蓋50の下面50bを押圧することができる。このため、内側部分30の係止部31の外縁と蓋50の下面50bとの間に摩擦力が生じる。この摩擦力を利用することにより、使用者は、蓋50及び外側部分35が回転軸Aを中心として所定の角度にわたって回転した状態で、蓋50及び外側部分35を内側部分30に対して固定することができる。このため、開封容器21の開口部28が開放された状態を維持することができる。
また、本実施の形態による容器20の外側部分35には、内側部分30側へ突出する突部36が設けられている。このため、連結部分40の結合部41が破断された後の開封容器21の状態において、内側部分30に対して外側部分35を堅固に固定することができる。これにより、開封容器21の再封性を優れたものにすることができる。
また本実施の形態においては、外側部分35が接合された状態の蓋50が容器20から取り外されるので、蓋50が単体で容器20から取り外される場合に比べて、蓋50が変形してしまうこと、例えば蓋50が湾曲したりカールしたりしてしまうことを抑制することができる。従って、蓋50を用いて開封容器21を再封する際に、蓋50の平坦性をより安定に維持することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(外側部分の変形例)
次に、本発明の変形例について述べる。図14に示すように、外側部分35は、外側部分35の上面35aよりも上方に位置するとともに蓋50よりも外側に位置する壁部38を有していてもよい。このような壁部38を設けて蓋付容器10の蓋50を外側から囲うことにより、故意や過失によって蓋付容器10の蓋50が容器20のフランジ部26の外側部分35から剥がされてしまうことを抑制することができる。また、壁部38を設けることによって外側部分35の剛性を高めることができる。これによって、容器20から取り外された後の蓋50が湾曲したりカールしたりしてしまうことをさらに抑制することができる。また、蓋付容器10を開封するために連結部分40の結合部41を破断させる際、外側部分35のうち壁部38が設けられている部分を指などで摘まみ易くすることができる。このため、蓋付容器10の開封性を向上させることができる。
(外側部分の変形例)
図15に示すように、外側部分35に下方に向かって延びる補強部37を設けてもよい。補強部37を設けることによって外側部分35の剛性を高めることができる。これによって、容器20から取り外された後の蓋50が湾曲したりカールしたりしてしまうことをさらに抑制することができる。本変形例においては、補強部37が外側部分35の内側の端部35eに沿って延びる例が示されている。この場合、蓋50を開封容器21に被せる際に補強部37の内側部分30側の端部が内側部分30の外側の端部30eに当接することによって、傾斜面35cが、蓋50を下方へ導くガイドとして機能することができる。このため、再封作業をし易くすることができる。なお、補強部37にガイドとしての機能を効果的に発現させるためには、補強部37の長さLを2mm以上とすることが好ましい。また補強部37の内側の端部37eに、外側へ向かうにつれて下方へ傾斜する傾斜面35cを設けてもよい。このことにより、さらに再封作業をしやすくすることができる。
(内側部分と外側部分の位置関係の変形例)
上述の実施の形態においては、蓋50が接合されていない状態の容器20において、フランジ部26の外側部分35の上面35aが内側部分30の下面30bより下方に位置している例を示した。しかしながら、蓋50が接合されていない状態の容器20の、上下方向における、内側部分30と外側部分35の位置関係が特に限られることはない。例えば、図16に示すように、蓋50が接合されていない状態の容器20において、フランジ部26の外側部分35の上面35aと内側部分30の上面30aとが同一平面上に位置していてもよい。
(外側部分の変形例)
上述の実施の形態においては、外側部分35が、内側部分30側へ突出する突部36を含む例を示したが、これに限られることはない。例えば図17に示すように、外側部分35は、内側部分30側へ突出する突部を含んでいなくてもよい。
(ヒンジ部の変形例)
上述の実施の形態においては、一対のヒンジ部42が、内側部分30の1つの辺が、具体的には第2の辺26bが回転軸Aよりも外側に位置するように、内側部分30と外側部分35とを連結する例を示した。本変形例においては、一対のヒンジ部42が、内側部分30の1つの隅部が回転軸Aよりも少なくとも部分的に外側に位置するように、内側部分30と外側部分35とを連結する例について説明する。
図18は、本変形例に係る容器20を示す平面図である。図18に示す例において、内側部分30の外縁は、等しい長さの4つの辺(第1の辺26a,第2の辺26b,第3の辺26c及び第4の辺26d)を含む正方形状の輪郭を有する。
図18に示すように、一対のヒンジ部42は、内側部分30の第2の隅部26fの一部が回転軸Aよりも外側に位置するように、内側部分30と外側部分35とを連結している。具体的には、一対のヒンジ部42はいずれも、第2の隅部26fに位置している。また、一方のヒンジ部42と他方のヒンジ部42との間には、所定の間隔が設けられている。この場合、内側部分30のうち、一対のヒンジ部42を通る回転軸Aよりも外側に突出している部分が、蓋50の下面50bに当接して蓋50の下面50bを押圧する係止部31として機能する。
図19は、図18に示す容器20に蓋50を接合することによって得られる蓋付容器10を示す平面図である。本変形例においては、一対のヒンジ部42が設けられている第2の隅部26fに対向する第4の隅部26hの側で外側部分35の一部に上向きの力を加えることによって、蓋50を内側部分30の上面30aから剥離させる。好ましくは、外側部分35のうち第4の隅部26hに対応する部分に、外側に突出する摘み部26xを設ける。
上述の実施の形態の場合と同様に、本変形例においても、好ましくは、図19に示すように、内側部分30の係止部31は蓋50に接合されていない。このため、摘み部26xに上向きの力を加えることによって、蓋50を内側部分30の上面30aから剥離させることができる。このことにより、蓋付容器10を開封する作業を容易にすることができる。
一対のヒンジ部42が1つの隅部に、例えば第2の隅部26fに位置する場合、図18及び図19に示すように、第2の隅部26fにおけるフランジ部26の内縁を、他の隅部に比べて中心点C側へ配置してもよい。これにより、回転軸Aよりも内側に位置する内側部分30の面積を拡大することができる。このため、回転軸Aよりも外側において内側部分30を蓋50に接合しない場合であっても、第2の隅部26fにおいて内側部分30を蓋50に接合するための領域を回転軸Aよりも内側に適切に確保することができる。
本変形例において、蓋付容器10を開封する際、蓋50の剥離は、図19において矢印P1で示すように、第4の隅部26hから中心点Cに向かう方向へ進行する。方向P1における単位長さにわたって蓋50の剥離を進行させるために必要になる力は、第1接合部分30Aのうち方向P1に直交する方向P2に沿って延びる直線と交わる部分の長さ(以下、剥離長さとも称する)に比例する。
本変形例によれば、係止部31を内側部分30の隅部に設けることにより、摘み部26xをフランジ部26の隅部に設けるができる。このため、フランジ部26の辺に摘み部26xを設ける場合に比べて、蓋付容器10を開封する作業の開始時における剥離長さを小さくすることができ、従って、開封する作業の開始時に必要な力を小さくすることができる。このことにより、蓋付容器10の開封性を向上させることができる。
(容器の形状の変形例)
上述の実施の形態においては、容器20のフランジ部26が矩形状の輪郭を有する例を示した。本変形例においては、容器20のフランジ部26が円形の輪郭を有する例について説明する。
図20は、本変形例に係る容器20を示す平面図である。図20に示す例において、開口部28を画成する内側部分30の内縁、及び、内側部分30の外縁はいずれも、円形状又は楕円形状の輪郭を有する。また、内側部分30の外縁は、その中心C1が、開口部28の中心Cに対して一対のヒンジ部42側へ偏心するよう構成されている。本変形例においても、内側部分30のうち、一対のヒンジ部42を通る回転軸Aよりも外側に突出している部分が、蓋50の下面50bに当接して蓋50の下面50bを押圧する係止部31として機能する。
図21は、図20に示す容器20に蓋50を接合することによって得られる蓋付容器10を示す平面図である。上述の実施の形態の場合と同様に、本変形例においても、好ましくは、図21に示すように、内側部分30の係止部31は蓋50に接合されていない。このため、摘み部26xに上向きの力を加えることによって、蓋50を内側部分30の上面30aから剥離させることができる。このことにより、蓋付容器10を開封する作業を容易にすることができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。