以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態において、第1反転部161が特許請求の範囲に記載の「天地反転部」に対応する。第1反転部381が特許請求の範囲に記載の「天地反転部」に対応する。また、第2反転部170が特許請求の範囲に記載の「左右反転部」に対応する。第2反転部390が特許請求の範囲に記載の「左右反転部」に対応する。さらに、第1カセット181が特許請求の範囲に記載の「退避部」に対応する。さらに、操作表示部15が特許請求の範囲に記載の「報知部」に対応する。さらに、入金識別部360および出金識別部370によって特許請求の範囲に記載の「識別部」が構成される。
また、第1実施形態において、天表紙幣および地裏紙幣が、特許請求の範囲の請求の「第1の向きの紙幣」に対応し、地表紙幣および天裏紙幣が、特許請求の範囲の「第2の向きの紙幣」に対応する。
さらに、第2実施形態において、天表紙幣および天裏紙幣が、特許請求の範囲の「第1の向きの紙幣」に対応し、地表紙幣および地裏紙幣が、特許請求の範囲の「第2の向きの紙幣」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
<第1実施形態>
本発明の紙幣処理装置の一実施形態である貨幣入出金機1について説明する。貨幣入出金機1は、銀行等の窓口カウンタの内側に設置され、貨幣の入出金業務を行うテラーにより使用される。
<貨幣入出金機の構成>
図1は、本実施形態に係る、貨幣入出金機1の構成を示す概略図である。図2(a)は、本実施形態に係る、搬送部140を流れる紙幣の状態を示す図であり、図2(b)は、本実施形態に係る、第1反転部161による紙幣の表裏反転について説明するための図であり、図2(c)は、本実施形態に係る、第2反転部170による紙幣の表裏反転について説明するための図である。
貨幣入出金機1は、外郭を構成する筐体10内に、紙幣入出金ユニット11と硬貨入出金ユニット12とを備える。紙幣入出金ユニット11は、筐体10内の下側に設けられ、紙幣の入金処理、出金処理等を行う。硬貨入出金ユニット12は、筐体10内の上側に設けられ、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。
紙幣入出金ユニット11は、入金部110と、出金部120と、リジェクト部130と、搬送部140と、識別部150と、表裏揃え部160(第1反転部161、非反転部162)と、第2反転部170と、2つのカセット180と、カセット180用の2つの一時保留部190と、3つのスタッカ200と、スタッカ200用の3つ一時保留部210と、を備える。
入金部110、出金部120およびリジェクト部130は、筐体10内の上部の正面近傍に設けられる。筐体10の正面には、シャッターで開閉される入金口(図示せず)および出金口(図示せず)が設けられる。入金部110は入金口に繋がり、入金口を通じて入金部110にバラ紙幣が投入される。出金部120およびリジェクト部130は出金口に繋がり、出金口を通じて出金部120およびリジェクト部130からバラ紙幣が取り出される。
入金部110は、入金繰出機構111を備える。入金繰出機構111は、入金部110に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部140へ繰り出す。出金部120は、主に、スタッカ200から繰り出された紙幣を受け取る。リジェクト部130は、主に、識別部150により属性(真偽、金種、天地表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
搬送部140は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、メイン搬送路141と、第1入金搬送路142と、出金搬送路143と、リジェクト搬送路144と、2つのカセット搬送路145と、3つのスタッカ搬送路146と、第2入金搬送路147とを含む。メイン搬送路141は、筐体10内を前後方向に延びるように逆L字のループ状に形成され、図1において、時計回り方向(実線矢印)と反時計回り方向(破線矢印)に紙幣を搬送することが可能である。
第1入金搬送路142は、入金部110とメイン搬送路141との間に設けられる。出金搬送路143は、出金部120とメイン搬送路141との間に設けられる。リジェクト搬送路144は、リジェクト部130とメイン搬送路141との間に設けられる。カセット搬送路145は、カセット180および一時保留部190とメイン搬送路141との間に設けられる。スタッカ搬送路146は、スタッカ200および一時保留部210とメイン搬送路141との間に設けられる。第2入金搬送路147は、メイン搬送路141から分岐し、第2反転部170を経由した後に再びメイン搬送路141に合流する。
長方形である紙幣は、その短手方向(天地方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部140に搬送される場合と、その長手方向(左右方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部140に搬送される場合とがある。本実施形態では、紙幣の短手方向(天地方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部140に搬送されるので、紙幣は、図2(a)に示す4通りの状態で搬送部140を流れ得る。搬送部140は、水平方向に設けられたり、垂直方向に設けられたり、U字状に折り返されたりするが、紙幣の方向を定義するために、搬送路を水平方向に直進するように展開した状態を想定する。そして、入金時に展開した搬送部140を流れる紙幣を上方からみたときに、紙幣に描かれた肖像の頭が向く天方向が搬送方向を向く表向きの紙幣を「天表紙幣」と定義し、天方向が搬送方向を向く裏向きの紙幣を「天裏紙幣」と定義し、天方向と反対の地方向が搬送方向を向く表向きの紙幣を「地表紙幣」と定義し、地方向が搬送方向を向く裏向きの紙幣を「地裏紙幣」と定義する。
識別部150は、メイン搬送路141の上側のループの後部に設けられる。識別部150は、搬送部140を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。識別される属性には、紙幣の真偽および金種、紙幣の表裏の他、紙幣の天地の向きが含まれる。また、識別部150は、紙幣の枚数を計数する機能を有する。
表裏揃え部160は、識別部150の前方、即ち、識別部150よりも入金時の紙幣の流れの上流側に配置され、搬送部140を流れる紙幣の表裏を揃える。表裏揃え部160は、メイン搬送路141の一部を構成する第1反転部161および非反転部162を含む。第1反転部161は、スイッチバック方式により紙幣を表裏反転させる反転機構を含む。第1反転部161を通過した紙幣は、図2(b)に示すように、紙幣の短手方向、即ち天地方向に沿って表裏反転し、表裏と天地が入れ替わる。たとえば、表向きの紙幣が非反転部162を流され、裏向きの紙幣が第1反転部161を流されると、表裏揃え部160を通過した後の紙幣は全て表向きに揃えられる。
第2反転部170は、筐体10内の後部であってメイン搬送路141の下方に、その長手方向が上下方向となるように設けられる。第2反転部170は、識別部150よりも入金時の紙幣の流れの下流側に位置する。第2反転部170を、このような配置とすることにより、第1反転部161と長手方向が前後方向となる第2反転部170とを識別部150の前方に並べて配置する場合に比べて、貨幣入出金機1のサイズを前後方向にコンパクトにすることができる。
第2反転部170は、上下方向に延びる、スパイラル状に形成された反転搬送路171を含む。反転搬送路171を通過した紙幣は、図2(c)に示すように、紙幣の長手方向、即ち左右方向に沿って表裏反転し、表裏と左右が入れ替わる。
2つのカセット180と3つのスタッカ200は、筐体10内において、搬送部140の下方に、前後に並ぶように設けられる。2つのカセット180が3つのスタッカ200の前方に設けられる。最後尾のスタッカ200の後方に第2反転部170が位置する。
カセット180は、筐体10から着脱可能であり、筐体10の前面下部に設けられたドア(図示せず)を開放することにより、筐体10の内部に出し入れすることができる。カセット180は、主に、スタッカ200から回収された紙幣やスタッカ200へ補充される紙幣を収納するために利用される。また、カセット180は、後述する紙幣の計数整理処理やスタッカ200内の紙幣の自動精査を行う自動精査処理の際、紙幣を一時的に収納するために利用される。カセット180内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、カセット180内に昇降ステージ180aが設けられる。なお、前側のカセット180が第1カセット181となり、後側のカセット180が第2カセット182となる。なお、一方のカセット180を、2千円券、旧券、損券等の収納に利用することもできる。
カセット180用の一時保留部190は、対応するカセット180の上方に配置される。一時保留部190は、カセット180に収納される紙幣を一時的に保留する。一時保留部190の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、カセット180内の紙幣を、一時保留部190を通じてカセット搬送路145に繰り出すことができる。
スタッカ200は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、3つのスタッカ200のそれぞれに対し、一万円、千円および5千円の金種が割り当てられ得る。スタッカ200内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、スタッカ200内に昇降ステージ200aが設けられる。
スタッカ200用の一時保留部210は、対応するスタッカ200の上方に配置される。一時保留部210は、スタッカ200に収納される紙幣を一時的に保留する。一時保留部210の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、スタッカ200内の紙幣を、一時保留部210を通じてスタッカ搬送路146に繰り出すことができる。
図3は、本実施形態に係る、貨幣入出金機1の主たる構成を示すブロック図である。
貨幣入出金機1は、上述した紙幣入出金ユニット11および硬貨入出金ユニット12の他、制御部13、記憶部14および操作表示部15を備えている。
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部14に記憶された動作プログラムに従って、紙幣入出金ユニット11の各構成部(入金繰出機構111、搬送部140、識別部150、第1反転部161、第2反転部170、カセット180、一時保留部190、スタッカ200、一時保留部210等)および硬貨入出金ユニット12の各構成部を制御する。記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部13の動作プログラムを記憶し、また、制御部13の制御処理の際にワーク領域として利用される。
操作表示部15は、ディスプレイとタッチセンサとからなるタッチパネルで構成される。操作表示部15は、ディスプレイに各種の画像(画面)を表示するとともに、ディスプレイに対するユーザのタッチ操作をタッチセンサにより検出する。操作表示部15は、たとえば、筐体10の上面の前端部に設けられる。
<入金処理および出金処理>
次に、貨幣入出金機1により行われる入金処理および出金処理について、図4ないし図8を参照して説明する。本実施形態の貨幣入出金機1は、入金処理および出金処理が行われる結果、出金された複数の紙幣の表裏および天地が揃えられる。なお、本実施形態では、出金された紙幣が天表紙幣に揃えられる。
図4は、本実施形態に係る、入金処理の制御動作を示すフローチャートである。図5(a)は、本実施形態に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図であり、図5(b)は、本実施形態に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での天表紙幣および地裏紙幣の流れを示す図である。図6(a)は、本実施形態に係る、出金処理の制御動作を示すフローチャートであり、図6(b)は、本実施形態に係る、戻し処理の制御動作を示すフローチャートである。図7(a)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での地裏紙幣の流れを示す図であり、図7(b)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での天表紙幣の流れを示す図であり、図7(c)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図であり、図7(d)は、本実施形態に係る、戻し処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図である。図8は、本実施形態に係る入金処理および出金処理が行われたときの紙幣の状態の遷移を示す図である。
テラーにより、入金する紙幣が入金部110に投入された後、入金処理のための操作が行われると、入金処理が開始される。
図4を参照して、制御部13は、入金部110から一枚ずつ紙幣(バラ紙幣)を繰り出させて搬送部140に搬送させ(S101)、搬送部140を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を識別部150により識別する(S102)。次に、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、紙幣が地表紙幣または天裏紙幣であるか否かを判定する(S103)。紙幣が地表紙幣または天裏紙幣である場合(S103:YES)、制御部13は、その紙幣を第2反転部170に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S104)、スタッカ200の一時保留部210に収納する(S105)。一方、紙幣が地表紙幣または天裏紙幣でない、即ち天表紙幣または地裏紙幣である場合(S103:NO)、制御部13は、その紙幣を第2反転部170に通さずにスタッカ200の一時保留部210に収納する(S105)。
制御部13は、入金部110から紙幣が全て繰り出されるまで、S101からS105の処理を繰り返す。紙幣が全て繰り出されると(S106:YES)、制御部13は、承認操作を待つ(S107)。承認操作がなされると(S107:YES)、制御部13は、一時保留部210から紙幣を排出させてスタッカ200に収納する(S108)。こうして、入金処理が終了する。
このような入金処理が行われることにより、入金部110に入金された紙幣のうち、地表紙幣および天裏紙幣は、図5(a)のように、第2反転部170を経由してスタッカ200に収納され、天表紙幣および地裏紙幣は、図5(b)のように、第2反転部170を経由することなくスタッカ200に収納される。図8に示すように、地表紙幣は、第2反転部170により地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣は、第2反転部170により天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。また、天表紙幣および地裏紙幣は、その状態のままスタッカ200に収納される。こうして、入金後、スタッカ200内には、天表紙幣および地裏紙幣のみが収納された状態となる。
テラーにより、出金処理のための操作が行われると、出金処理が開始される。
図6を参照して、制御部13は、スタッカ200から一枚ずつ紙幣を繰り出させて搬送部140に搬送させ(S201)、搬送部140を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を識別部150により識別する(S202)。次に、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、紙幣が地裏紙幣であるか否か、および、紙幣が天表紙幣であるか否かを判定する(S203、S204)。紙幣が地裏紙幣である場合(S203:YES)、制御部13は、その紙幣を第1反転部161に通して、その紙幣の表裏および天地を入れ替えた後に(S205)、出金部120に投出する(S206)。
上述の通り、入金処理によってスタッカ200内には天表紙幣または地裏紙幣のみが収納される。よって、通常の場合、出金される紙幣は、地裏紙幣でなければ天表紙幣となる。しかしながら、たとえば、出金時に搬送部140でジャム等のエラーが発生し、テラーの手により搬送部140に残った紙幣がスタッカ200に戻されるなど、スタッカ200内の紙幣が外部から触れられるような状況となった場合、スタッカ200内に地表紙幣または天裏紙幣が混ざり込んでしまうことが生じ得る。こうした場合に、出金処理の際、地表紙幣または天裏紙幣が搬送部140を流れ得る。
紙幣が天表紙幣である場合(S204:YES)、制御部13は、その紙幣を第1反転部161に通さず、非反転部162に通して出金部120に投出する(S206)。一方、上述の要因により、地表紙幣または天裏紙幣が搬送部140を流れた場合、S204で紙幣が天表紙幣でないと判定され得る。このような判定がなされた場合(S204:NO)、制御部13は、その紙幣、即ち地表紙幣または天裏紙幣を、出金部120に投出せずに、非反転部162を経由させて第1カセット181に収納する(S207)。
制御部13は、出金操作で指定された枚数、即ち、出金枚数の紙幣が出金部120に投出されるまで、S201からS207の処理を繰り返す。出金枚数の紙幣が出金部120に投出されると(S208:YES)、制御部13は、出金処理を終了させる。
このような出金処理が行われることにより、スタッカ200から出金された紙幣のうち、地裏紙幣は、図7(a)のように、第1反転部161を経由して出金部120に投出され、天表紙幣は、図7(b)のように、非反転部162を経由して出金部120に投出される。また、地表紙幣または天裏紙幣が存在した場合、これら紙幣は、図7(c)のように、非反転部162を経由して第1カセット181に収納される。図8に示すように、地裏紙幣は、第1反転部161により天表紙幣に変換されて出金部120に投出され、天表紙幣は、その状態のまま出金部120に投出される。こうして、出金後、出金部120には、天表紙幣のみが投出された状態となる。即ち、紙幣は、表裏および天地が揃えられた状態で出金部120に投出される。
出金処理において、第1カセット181に地表紙幣または天裏紙幣が収納された場合、出金処理が終了した後、自動的に、あるいは、テラーの操作に基づいて、第1カセット181の紙幣をスタッカ200に戻すための戻し処理が行われる。
図6(b)を参照して、制御部13は、第1カセット181から一枚ずつ紙幣を繰り出させ(S301)、繰り出された紙幣を第2反転部170に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S302)、スタッカ200に収納する(S303)。制御部13は、第1カセット181から紙幣が全て繰り出されるまで、S301からS303の処理を繰り返す。紙幣が全て繰り出されると(S304:YES)、制御部13は、戻し処理を終了させる。
このような戻し処理が行われることにより、第1カセット181から繰り出された地表紙幣および天裏紙幣は、図7(d)のように、第2反転部170を経由してスタッカ200に収納される。これにより、地表紙幣は地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣は天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。
なお、上記の例では、地表紙幣および天裏紙幣を収納するために第1カセット181が用いられた。しかしながら、これら紙幣の収納に第2カセット182が用いられてもよいし、双方のカセット181、182が用いられてよい。あるいは、地表紙幣および天裏紙幣の収納に、第1カセット181および第2カセット182の少なくとも何れかに対応する一時保留部190が用いられてもよい。
<自動精査処理>
次に、貨幣入出金機1により行われる自動精査処理について、図9および図10を参照して説明する。自動精査処理は、スタッカ200に実際に収納されている紙幣の枚数が、記憶部14に記録された、そのスタッカ200の紙幣の枚数に一致するか否かを自動で検査する処理である。この自動精査処理は、スタッカ200毎に行うことができる。本実施形態の貨幣入出金機1では、エラーの発生等が原因となって、スタッカ200内に、左右の向きが揃った紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)でない紙幣が(地表紙幣および天裏紙幣)が混在している場合に、この自動精査処理を行うことで、それら紙幣を、左右の向きが揃った紙幣に変換してスタッカ200に戻すことができる。
図9は、本実施形態に係る、自動精査処理の制御動作を示すフローチャートである。図10(a)は、本実施形態に係る、自動精査処理における第1カセット181に移される天表紙幣および地裏紙幣の貨幣入出金機1内での流れを示す図であり、図10(b)は、本実施形態に係る、自動精査処理における第2カセット182に移される地表紙幣および天裏紙幣の貨幣入出金機1内での流れを示す図である。図10(c)は、本実施形態に係る、自動精査処理におけるスタッカ200に戻される天表紙幣および地裏紙幣の貨幣入出金機1内での流れを示す図であり、図10(d)は、本実施形態に係る、自動精査処理におけるスタッカ200に戻される地表紙幣および天裏紙幣の貨幣入出金機1内での流れを示す図である。
テラー等により、自動精査処理のための操作が行われると、自動精査処理が開始される。
図9を参照して、制御部13は、スタッカ200から一枚ずつ紙幣を繰り出させて搬送部140に搬送させ(S301)、識別部150によって、搬送部140を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を識別するとともに、紙幣の枚数を計測する(S302)。次に、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、紙幣が天表紙幣または地裏紙幣であるか否かを判定する(S303)。制御部13は、紙幣が天表紙幣または地裏紙幣である場合には第1カセット181に収納し(S303:YES→S304)、紙幣が天表紙幣または地裏紙幣でない、即ち地表紙幣または天裏紙幣である場合には第2カセット182に収納する(S303:NO→S305)。
スタッカ200から全ての紙幣が繰り出されると(S306:YES)、次に、制御部13は、今回計数した紙幣の枚数が記憶部14に記録された、そのスタッカ200の紙幣の枚数と一致しているか否かを判定する(S307)。制御部13は、両者の枚数が一致していれば(S307:YES)、一致している旨を操作表示部15での通知画面等により通知し(S308)、両者の枚数が一致していなければ(S307:NO)、不一致である旨を通知画面等により通知する(S309)。
次に、制御部13は、第1カセット181に収納された天表紙幣または地裏紙幣を、一枚ずつ繰り出させて搬送部140に搬送させ(S310)、スタッカ200に戻す(S311)。第1カセット181から全ての紙幣が繰り出されると(S312:YES)、制御部13は、第2カセット182に収納された地表紙幣または天裏紙幣を、一枚ずつ繰り出させて搬送部140に搬送させる(S313)。そして、制御部13は、地表紙幣または天裏紙幣を第2反転部170に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S314)、スタッカ200に戻す(S315)。第2カセット182から全ての紙幣が繰り出されると(S316:YES)、制御部13は、自動精査処理を終了させる。
自動精査処理では、紙幣の枚数を計測するため、スタッカ200の全ての紙幣が、一旦カセット180に収納される。その際、識別部150の識別結果に基づいて、天表紙幣および地裏紙幣は、図10(a)のように、第1カセット181に収納される。スタッカ200内の紙幣は、通常、天表紙幣および地裏紙幣のみであるが、上述のように、スタッカ200に地表紙幣および天裏紙幣が混在する場合がある。この場合、スタッカ200から繰り出された地表紙幣および天裏紙幣は、図10(b)のように、第2カセット182に収納される。その後、第1カセット181に収納された天表紙幣および地裏紙幣は、図10(c)のように、第2反転部170を経由することなく元のスタッカ200に戻される。一方、地表紙幣および天裏紙幣は、図10(d)のように、第2反転部170を経由して天表紙幣および地裏紙幣に変換された後に元のスタッカ200に戻される。こうして、自動精査処理が完了した際には、スタッカ200内には、天表紙幣および地裏紙幣のみ、即ち左右のみが揃った紙幣のみが収納された状態となる。
一つのスタッカ200についての自動精査処理が終わると、順次、他のスタッカ200についての自動精査処理が行われる。そして、全てのスタッカ200において自動精査処理が完了すると、全てのスタッカ200の紙幣が、左右のみが揃った状態となる。
なお、上記の例では、スタッカ200から繰り出された紙幣の向きを識別部150で識別し、識別結果に基づいて、天表紙幣および地裏紙幣を第1カセット181に収納し、地表紙幣および天裏紙幣を第2カセット182に収納した。しかしながら、スタッカ200から繰り出された全ての紙幣を第1カセット181(または第2カセット182)に収納してもよい。この場合、第1カセット181(または第2カセット182)からスタッカ200へ紙幣を戻す際に、紙幣の向きを識別部150で識別し、識別結果に基づいて、天表紙幣および地裏紙幣をそのままスタッカ200に戻し、地表紙幣および天裏紙幣を、第2反転部170を経由させて天表紙幣および地裏紙幣に変換した後にスタッカ200に戻す。
また、上記の例では、スタッカ200から繰り出された紙幣は第1反転部161を経由することなく、天表紙幣および地裏紙幣は第1カセット181に収納され、地表紙幣および天裏紙幣は第2カセット182に収納された。しかしながら、地裏紙幣を、第1反転部161を経由させて天表紙幣に変換し第1カセット181に収納し、地表紙幣を、第1反転部161を経由させて天裏紙幣に変換し第2カセット182に収納することとしてもよい。これにより、全てのスタッカ200について自動精査が完了した際には、スタッカ200の紙幣は表裏および天地が揃った状態となる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
表裏および天地が揃った紙幣を出金部120に投出させることができるので、これら紙幣の見栄えが良い上に取扱いやすい。
入金処理において、紙幣を、第2反転部170を経由または迂回させ、出金処理において、紙幣を、第1反転部161を経由または迂回させるようにしているので、表裏および天地を揃えるために要する時間を入金処理と出金処理とに分散させることができ、スタッカ200(一時保留部210)への紙幣の入金に要する時間が増加するのを抑制できる。
エラーの発生等が原因で、スタッカ200内に、通常収納されるべき正しい向きの紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)とは向きの異なる誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)が混在していても、これら誤った向きの紙幣を出金部120へ投出させないので、表裏および天地の揃った紙幣のみを出金部120に投出させることができる。
戻し処理によって、誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)を、正しい向きの紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)に変換してスタッカ200に戻すことができ、スタッカ200内を適正な収納状態に戻すことが可能となる。
スタッカ200内に誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)が混在していても、自動精査処理の際に、誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)を正しい向きの紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)に変換してスタッカ200に戻すことができる。
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
<第1実施形態の変更例1>
第1実施形態の貨幣入出金機1では、スタッカ200から誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)が多量に繰り出されるような事態が生じた場合に、出金処理が大きく遅延することが懸念される。紙幣の向きは出金後にテラー等が揃えることもできるため、出金処理の大きな遅延が予想される場合には、向きが不揃いであっても、紙幣を出金部120へ投出させることが望まれる。
そこで、本変更例の貨幣入出金機1では、誤った向きの紙幣の出金が多いと予想される場合に、誤った向きの紙幣を退避させることなく、できる限り向きが揃うように変換して出金部120に投出するような構成が採られる。
図11は、変更例1に係る、出金処理の制御動作を示すフローチャートである。図12(a)および(b)は、変更例1に係る、スタッカ200からの地表紙幣または天表紙幣の排出が設定枚数以上連続した場合に出金部120に投出される紙幣の状態の一例を示す図である。なお、本変更例の出金処理は、図6に示す第1実施形態の出金処理にS211ないしS213の処理が付加されたものである。
図11を参照して、スタッカ200から繰り出され搬送部140を流れる紙幣が、地裏紙幣でなく天表紙幣でもない場合、即ち地表紙幣または天裏紙幣である場合(S203:NO、S204:NO)、制御部13は、地表紙幣または天裏紙幣の排出が設定枚数以上連続したか否かを判定する(S211)。設定枚数は、所定の設定画面での設定操作により、テラー等が予め設定できる。
地表紙幣または天裏紙幣の排出が設定枚数以上連続していない場合(S211:NO)、制御部13は、地表紙幣または天裏紙幣を第1カセット181に収納する(S207)。一方、地表紙幣または天裏紙幣の排出が設定枚数以上連続した場合(S211:NO)、制御部13は、紙幣が天裏紙幣であれば(S212:YES)、第1反転部161を経由させて天地と表裏を入れ替え(S213)、地表紙幣に変換して出金部120に投出し(S206)、紙幣が地表紙幣であれば(S212:NO)、非反転部162を経由させてそのまま出金部120に投出する(S206)。こうして、地表紙幣または天裏紙幣の排出が設定枚数以上連続して以降は、図12(a)のように、出金部120に天表紙幣だけでなく地表紙幣が投出される。即ち、このときの出金部120の紙幣は、表裏のみが揃った状態となる。
制御部13は、出金部120に天表紙幣だけでなく地表紙幣が投出された場合、所期の向きでない紙幣を投出した旨を操作表示部15での通知画面等により報知する。なお、制御部13は、所期の向きでない紙幣を投出した旨をスピーカ―からの音声により報知してもよい。これにより、貨幣入出金機1が、故障等ではなく故意に表裏および天地の揃っていない紙幣を出金したことをテラー等が認識できる。
なお、上記の例では、天裏紙幣が第1反転部161を経由する構成としたが、地表紙幣が第1反転部161を経由する構成としてもよい。この場合、図12(b)のように、出金部120の紙幣は、天地のみが揃った状態となる。また、スタッカ200から排出された誤った向きの紙幣(地表紙幣または天裏紙幣)の枚数を、枚数ログとして記憶部14に記憶し、必要に応じて操作表示部15に表示するようにしてもよい。
本変更例の構成によれば、出金処理が大きく遅延する事態となることを防止できる。また、出金された紙幣の向きを、できる限り揃えることができる。
<第2実施形態>
本発明の紙幣処理装置の一実施形態である紙幣処理機2について説明する。
<紙幣処理機の構成>
図13は、本実施形態に係る、紙幣処理機2の外観を示す斜視図である。
紙幣処理機2は、バラ紙幣処理ユニット21と束紙幣処理ユニット22とが左右方向に連結されることにより構成される。バラ紙幣処理ユニット21は、バラ紙幣を入金する入金処理、バラ紙幣を出金する出金処理等を行う。束紙幣処理ユニット22は、束紙幣を出金する出金処理等を行う。また、束紙幣処理ユニット22は、バラ紙幣処理ユニット21と共同して、バラ紙幣から束紙幣を生成する結束整理処理を行う。紙幣処理機2は、バラ硬貨および包装硬貨の入出金処理を行う硬貨処理機(図示せず)と組み合わされることが多く、この場合、出納システムが構成される。出納システムは、紙幣処理機2および硬貨処理機の他、これらの操作を集中して行うための操作端末を備え得る。
バラ紙幣処理ユニット21には、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣出金口21aとバラ紙幣を入金するためのバラ紙幣入金口21bが設けられる。また、束紙幣処理ユニット22には、束紙幣を入金または出金するための束紙幣入出金口22aと束紙幣を投出するための束紙幣投出口22bが設けられる。
図14は、本実施形態に係る、バラ紙幣処理ユニット21の構成を示す概略図である。
バラ紙幣処理ユニット21は、入金部310と、入金リジェクト部320と、出金部330と、出金リジェクト部340と、搬送部350と、入金識別部360と、出金識別部370と、表裏揃え部380(第1反転部381、非反転部382)と、第2反転部390と、5つのスタッカ400と、5つの一時保留部410と、2つの整理一時保留部420と、搬送機構430と、を備える。
入金部310は、バラ紙幣入金口21bに繋がり、バラ紙幣入金口21bを通じて入金部310にバラ紙幣が投入される。入金部310は、入金繰出機構311を備える。入金繰出機構311は、入金部310に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部350へ繰り出す。入金リジェクト部320は、主に、入金識別部360により属性(真偽、金種、天地表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。入金リジェクト部320は、バラ紙幣入金口21bに繋がり、バラ紙幣入金口21bを通じて入金リジェクト部320からバラ紙幣が取り出される。
出金部330は、主に、スタッカ400から繰り出された紙幣を受け取る。出金部330は、バラ紙幣出金口21aに繋がり、バラ紙幣出金口21aを通じて出金部330からバラ紙幣が取り出される。出金リジェクト部340は、主に、出金識別部370により属性(真偽、金種、天地表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
搬送部350は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、メイン搬送路351と、入金搬送路352と、入金リジェクト搬送路353と、5つのスタッカ搬送路354と、第1出金搬送路355と、迂回搬送路356と、第2出金搬送路357と、出金リジェクト搬送路358と、2つの分岐搬送路359とを含む。メイン搬送路351は、バラ紙幣処理ユニット21の内部において、前後方向に延びるようにループ状に形成され、図14において、反時計回り方向に紙幣を搬送することが可能である。
入金搬送路352は、入金部310とメイン搬送路351との間に設けられる。入金リジェクト搬送路353は、入金リジェクト部320とメイン搬送路351との間に設けられる。スタッカ搬送路354は、スタッカ400および一時保留部410とメイン搬送路351との間に設けられる。第1出金搬送路355は、スタッカ400の出口とメイン搬送路351との間に設けられる。迂回搬送路356は、第2反転部390の入口よりも前側の位置において第1出金搬送路355から分岐し、メイン搬送路351に繋がる。第2出金搬送路357は、メイン搬送路351と出金部330との間に設けられる。出金リジェクト搬送路358は、第2出金搬送路357から分岐し、出金リジェクト部340に繋がる。分岐搬送路359は、第2出金搬送路357から分岐し、整理一時保留部420に繋がる。
長方形である紙幣は、その短手方向(天地方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部350に搬送される。本実施形態では、紙幣を入金部310からスタッカ400へ収納する入金時の搬送部350による搬送方向も、スタッカ400から出金部330へ投出する出金時の搬送部350による搬送方向も同じ方向である。
入金識別部360は、入金搬送路352に設けられる。入金識別部360は、入金搬送路352を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。出金識別部370は、第1出金搬送路355において、迂回搬送路356への入口よりも上流側に設けられる。出金識別部370は、第1出金搬送路355を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。入金識別部360および出金識別部370により識別される属性には、紙幣の真偽および金種、紙幣の表裏の他、紙幣の天地の向きが含まれる。また、入金識別部360および出金識別部370は、紙幣の枚数を計測する機能を有する。
表裏揃え部380は、メイン搬送路351における、入金搬送路352の合流地点よりも下流側に配置され、メイン搬送路351を流れる紙幣の表裏を揃える。表裏揃え部380は、メイン搬送路351の一部を構成する第1反転部381および非反転部382を含む。第1反転部381は、スイッチバック方式により紙幣を表裏反転させる逆V字状の反転搬送路を含む。第1反転部381を通過した紙幣は、第1実施形態の第1反転部161の場合と同様に、紙幣の短手方向、即ち天地方向に沿って表裏反転し、表裏と天地が入れ替わる(図2(b)参照)。
第2反転部390は、第1出金搬送路355において、出金識別部370よりも下流側に設けられる。第2反転部390は、第1実施形態の第2反転部170と同様な構成であり、スパイラル状に形成された反転搬送路391を含む。第2反転部390を通過した紙幣は、第1実施形態の第2反転部170の場合と同様に、紙幣の長手方向、即ち左右方向に沿って表裏反転し、表裏と左右が入れ替わる(図2(c)参照)。
スタッカ400は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、5つのスタッカ400のそれぞれに対し、一万円、千円、5千円等の金種が割り当てられ得る。スタッカ400内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。スタッカ400には、その天面に紙幣の入口が形成され、その底面に紙幣の出口が形成される。スタッカ400には、その底面側に繰出機構(図示せず)が設けられ、スタッカ400内の紙幣を第1出金搬送路355に繰り出すことができる。一時保留部410は、対応するスタッカ400の上方に配置される。一時保留部410は、スタッカ400に収納される紙幣を一時的に保留する。
整理一時保留部420は、搬送部350により搬送された紙幣を、帯封により結束される結束単位となる所定の枚数(以下、「結束枚数」という)、たとえば、100枚となるまで集積する。搬送機構430は、一対のアーム431を備え、結束単位にまとまったバラ紙幣を、一対のアーム431で挟んで整理一時保留部420内から取り出し、隣接する束紙幣処理ユニット22の後述する帯封機構まで搬送する。なお、搬送機構430は、バラ紙幣処理ユニット21と束紙幣処理ユニット22との双方に属し、これら処理ユニット21、22の後部に配置される。
図15は、本実施形態に係る、束紙幣処理ユニット22の構成を示す概略図である。
束紙幣処理ユニット22は、帯封機構510と、第1搬送機構520と、昇降機構530と、第2搬送機構540と、5つのスタッカ550と、を備える。
帯封機構510は、搬送機構430の前方に設けられ、搬送機構430によって搬送されてきたバラ紙幣の束を帯封で結束し、束紙幣(帯封紙幣)を生成する。
第1搬送機構520は、帯封機構510の前方に設けられる、前後方向に延びる上下一対のベルトユニット521を有する。ベルトユニット521は、前後に離れて配置された一対のローラー522と、一対のローラー522に架け渡されたベルト523とを含む。第1搬送機構520は、2つのベルトユニット521の間に束紙幣を挟むようにして、前方の昇降機構530へ束紙幣を搬送する。
昇降機構530は、束紙幣処理ユニット22の前面に沿うように上下に延びる昇降スペース531と、昇降スペース531内を昇降するリフト532とを含む。昇降スペース531は、その上部において束紙幣入出金口22aに繋がり、その下部において束紙幣投出口22bに繋がる。リフト532は、束紙幣投出口22bの位置を待機位置とし、この待機位置と第1搬送機構520および束紙幣入出金口22aがある上限位置との間を昇降する。
リフト532は、水平方向に平坦なベース532aと、ベース532a上に積層された載置板532bとを備える。載置板532bは、ベース532aに平行な平行位置と、後側が高くなるようにベース532aに対して傾く傾斜位置との間で回動可能である。束紙幣を載せたリフト532が待機位置にあるときに載置板532bが傾斜位置に回動すると、束紙幣が載置板532bから滑り落ちて束紙幣投出口22bから投出される。また、リフト532は、第1搬送機構520から束紙幣を受け取り、受け取った束紙幣を第2搬送機構540まで搬送する。さらに、リフト532は、第2搬送機構540から束紙幣を受け取り、受け取った束紙幣を束紙幣入出金口22aや束紙幣投出口22bの位置まで搬送する。
第2搬送機構540は、前後に離れて配置された一対のローラー541と、一対のローラー541に架け渡されたベルト542と、ベルト542の下方に配置された前後に延びる束搬送路543とを含む。ベルト542は、図15における時計回りと反時計回りの双方に周回することができる。ベルト542には、複数の突起544が等間隔で形成される。ベルト542の周回に伴って突起544が束搬送路543の上方を前後に移動することにより、突起544に押されて束搬送路543上を束紙幣が移動する。
ベルト542の前端部は、昇降スペース531内に張り出す。第2搬送機構540には、前側のローラー541から少し後方に離れた位置に支点ローラー545が設けられており、ベルト542は、前側のローラー541と支点ローラー545との間の回動部542aが、支点ローラー545を支点として、昇降スペース531内に進出する進出位置と昇降スペース531内から退避する退避位置との間で回動する。リフト532が第1搬送機構520側から降下するときには、回動部542aが退避位置に退避するため、リフト532の降下が回動部542aに邪魔されない。一方、リフト532が束搬送路543の高さ位置まで降下して停止すると、回動部542aが進出位置に進出する。これにより、リフト532に載せられた束紙幣を束搬送路543へ移動させたり、束搬送路543を搬送された束紙幣をリフト532に載せたりすることが可能となる。
スタッカ550は、帯封機構510により生成された束紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、5つのスタッカ550のそれぞれに対し、一万円、千円、5千円等の金種が割り当てられ得る。スタッカ550内には、束紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された束紙幣を昇降するため、スタッカ550内に昇降ステージ550aが設けられる。
束搬送路543には、各スタッカ550の上方にシャッター546により開閉される出入口543aが設けられる。束搬送路543からスタッカ550への束紙幣の収納する際やスタッカ550から束搬送路543へ束紙幣を送り出す際にシャッター546が開放され、出入口543aが開く。出入口543aを通じてスタッカ550に束紙幣が出し入れされる。
図16は、本実施形態に係る、紙幣処理機2の主たる構成を示すブロック図である。
紙幣処理機2は、上述したバラ紙幣処理ユニット21および束紙幣処理ユニット22の他、制御部23および記憶部24を備えている。
制御部23は、CPU等の演算回路を備え、記憶部24に記憶された動作プログラムに従って、バラ紙幣処理ユニット21の各構成部(入金繰出機構311、搬送部350、入金識別部360、出金識別部370、第1反転部381、第2反転部390、スタッカ400、一時保留部410、搬送機構430等)および束紙幣処理ユニット22の各構成部(帯封機構510、第1搬送機構520、昇降機構530、第2搬送機構540、スタッカ550等)を制御する。記憶部24は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部23の動作プログラムを記憶し、また、制御部23の制御処理の際にワーク領域として利用される。
<入金処理および出金処理>
次に、紙幣処理機2により行われる入金処理および出金処理について、図17ないし図22を参照して説明する。本実施形態の紙幣処理機2では、入金処理および出金処理が行われる結果、出金された複数の紙幣の表裏および天地が揃えられる。なお、本実施形態では、出金された紙幣が天表紙幣に揃えられる。
図17は、本実施形態に係る、入金処理の制御動作を示すフローチャートである。図18(a)は、本実施形態に係る、入金処理における紙幣処理機2内での地表紙幣および地裏紙幣の流れを示す図であり、図18(b)は、本実施形態に係る、入金処理における紙幣処理機2内での天表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図である。図19は、本実施形態に係る、出金処理の制御動作を示すフローチャートである。図20(a)は、本実施形態に係る、出金処理における紙幣処理機2内での天裏紙幣の流れを示す図であり、図20(b)は、本実施形態に係る、出金処理における紙幣処理機2内での天表紙幣の流れを示す図である。図21は、本実施形態に係る、出金処理における紙幣処理機2内での地表紙幣および地裏紙幣の流れを示す図である。図22は、本実施形態に係る、入金処理および出金処理が行われたときの紙幣の状態の遷移を示す図である。
テラーにより、入金する紙幣が入金部310に投入された後、入金処理のための操作が行われると、入金処理が開始される。
図17を参照して、制御部23は、入金部310から一枚ずつ紙幣(バラ紙幣)を繰り出させて搬送部350に搬送させ(S401)、搬送部350を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を入金識別部360により識別する(S402)。次に、制御部23は、入金識別部360での識別結果に基づいて、紙幣が地表紙幣または地裏紙幣であるか否かを判定する(S403)。紙幣が地表紙幣または地裏紙幣である場合(S403:YES)、制御部23は、その紙幣を第1反転部381に通して、その紙幣の表裏および天地を入れ替えた後に(S404)、一時保留部410に収納する(S405)。一方、紙幣が地表紙幣または地裏紙幣でない、即ち天表紙幣または天裏紙幣である場合(S403:NO)、制御部23は、その紙幣を非反転部382に通して一時保留部410に収納する(S405)。
制御部23は、入金部310から紙幣が全て繰り出されるまで、S401からS405の処理を繰り返す。紙幣が全て繰り出されると(S406:YES)、制御部23は、承認操作を待つ(S407)。承認操作がなされると(S407:YES)、制御部23は、一時保留部410から紙幣を排出させてスタッカ400に収納する(S408)。こうして、入金処理が終了する。
このような入金処理が行われることにより、入金部310に入金された紙幣のうち、地表紙幣および地裏紙幣は、図18(a)のように、第1反転部381を経由してスタッカ400に収納され、天表紙幣および天裏紙幣は、図18(b)のように、第1反転部381を経由せず非反転部382を経由してスタッカ400に収納される。図22に示すように、地表紙幣は、第1反転部381により天裏紙幣に変換されてスタッカ400に収納され、地裏紙幣は、第1反転部381により天表紙幣に変換されてスタッカ400に収納される。また、天表紙幣および天裏紙幣は、その状態のままスタッカ400に収納される。こうして、入金後、スタッカ400内には、天表紙幣および天裏紙幣のみが収納された状態となる。
テラーにより、出金処理のための操作が行われると、出金処理が開始される。
図19を参照して、制御部23は、スタッカ400から一枚ずつ紙幣を繰り出させて搬送部350に搬送させ(S501)、搬送部350を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を出金識別部370により識別する(S502)。次に、制御部23は、出金識別部370での識別結果に基づいて、紙幣が天裏紙幣であるか否か、および、紙幣が天表紙幣であるか否かを判定する(S503、S504)。紙幣が天裏紙幣である場合(S503:YES)、制御部23は、その紙幣を第2反転部390に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S505)、出金部330に投出する(S506)。一方、紙幣が天裏紙幣でない場合(S503:NO)、通常は天表紙幣であるので(S504:YES)、制御部23は、その紙幣を第2反転部390に通さずに出金部330に投出する(S506)。
第1実施形態で説明した通り、スタッカ200内に地表紙幣または地裏紙幣が混ざり込んでしまうこともあり、こうした場合に、出金処理において、地表紙幣または地裏紙幣が搬送部350を流れ得る。紙幣が地表紙幣または地裏紙幣である場合(S504:NO)、制御部23は、その紙幣を、出金部330に投出せずに第1反転部381を経由させ、その紙幣の表裏および天地を入れ替えた後に(S507)、スタッカ400に戻す(S508)。
制御部23は、出金枚数の紙幣が出金部330に投出されるまで、S501からS508の処理を繰り返す。出金枚数の紙幣が出金部330に投出されると(S509:YES)、制御部23は、出金処理を終了させる。
このような出金処理が行われることにより、スタッカ400から出金された紙幣のうち、天裏紙幣は、図20(a)のように、第2反転部390を経由して出金部330に投出され、天表紙幣は、図20(b)のように、第2反転部390を経由せずに出金部330に投出される。図22に示すように、天裏紙幣は、第2反転部390により天表紙幣に変換されて出金部330に投出され、天表紙幣は、その状態のまま出金部330に投出される。こうして、出金後、出金部330には、天表紙幣のみが投出された状態となる。即ち、紙幣は、表裏および天地が揃えられた状態で出金部330に投出される。また、地表紙幣または地裏紙幣が存在した場合、これら紙幣は、図21のように、第1反転部381を経由し、天裏紙幣および天表紙幣に変換された後にスタッカ400に戻される。
<自動精査処理>
次に、紙幣処理機2により行われる自動精査処理について、図23および図24を参照して説明する。
図23は、本実施形態に係る、自動精査処理の制御動作を示すフローチャートである。図24(a)は、本実施形態に係る、自動精査処理における天表紙幣および天裏紙幣の紙幣処理機2内での流れを示す図であり、図24(b)は、本実施形態に係る、自動精査処理における地表紙幣および地裏紙幣の紙幣処理機2内での流れを示す図である。
テラー等により、自動精査処理のための操作が行われると、自動精査処理が開始される。
図23を参照して、制御部23は、スタッカ400から一枚ずつ紙幣を繰り出させて搬送部350に搬送させる(S601)。制御部23は、紙幣の繰出し先立って、スタッカ400に収納された一番上の紙幣の上にセパレータ401を出現させる(図24(a)、(b)参照)。このセパレータ401によって、元々スタッカ400に収納されていた紙幣と自動精査処理が開始された後にスタッカ400に戻ってきた紙幣との間に区切りが付けられる。セパレータ401は、スタッカ400から紙幣が繰り出され、その下側の紙幣が減っていくと、それに応じて下方へ移動する。よって、セパレータ401より下側の紙幣がなくなると、スタッカ400から全ての紙幣が繰り出されたことになる。
制御部23は、出金識別部370によって、搬送部350を流れる紙幣の属性(金種、表裏、天地の向き等)を識別するとともに、紙幣の枚数を計測する(S602)。次に、制御部23は、出金識別部370での識別結果に基づいて、紙幣が天表紙幣または天裏紙幣であるか否かを判定する(S603)。紙幣が天表紙幣または天裏紙幣である場合(S603:YES)、制御部23は、その紙幣を非反転部382に通してスタッカ400に戻す(S604)。一方、紙幣が天表紙幣または天裏紙幣でない、即ち地表紙幣または地裏紙幣である場合(S603:NO)、制御部23は、その紙幣を第1反転部381に通して、その紙幣の表裏および天地を入れ替えた後に(S605)、スタッカ400に戻す(S315)。
スタッカ400から全ての紙幣が繰り出されると(S606:YES)、即ち、全ての紙幣が繰り出された後、これら紙幣が元のスタッカ400に戻ってくると、制御部23は、今回計数した紙幣の枚数が記憶部24に記録された、そのスタッカ400の紙幣の枚数と一致しているか否かを判定する(S607)。制御部23は、両者の枚数が一致していれば(S607:YES)、一致している旨を操作表示部15での通知画面等により通知し(S608)、両者の枚数が一致していなければ(S607:NO)、不一致である旨を通知画面等により通知する(S609)。こうして、自動精査処理が終了する。
自動精査処理では、紙幣の枚数を計測するため、スタッカ400の全ての紙幣が、一旦排出され、搬送部350の出金識別部370を通されて元のスタッカ400に戻される。この際、出金識別部370の識別結果に基づいて、天表紙幣および天裏紙幣は、図24(a)のように、第1反転部381を経由することなく元のスタッカ400に戻される。スタッカ400内の紙幣は、通常、天表紙幣および天裏紙幣のみであるが、上述のように、スタッカ400に地表紙幣および地裏紙幣が混在する場合がある。この場合、スタッカ400から繰り出された地表紙幣および地裏紙幣は、図24(b)のように、第1反転部381を経由して天表紙幣および天裏紙幣に変換された後に元のスタッカ400に戻される。こうして、自動精査処理が完了した際には、スタッカ400内には、天表紙幣および天裏紙幣のみ、即ち天地のみが揃った紙幣のみが収納された状態となる。
一つのスタッカ400についての自動精査処理が終わると、順次、他のスタッカ400についての自動精査処理が行われる。そして、全てのスタッカ400において自動精査処理が完了すると、全てのスタッカ400の紙幣が、天地のみが揃った状態となる。
また、上記の例では、スタッカ400から排出された紙幣は第2反転部390を経由することなく表裏揃え部380を経由して、元のスタッカ400に戻される。しかしながら、天裏紙幣を、第2反転部390を経由させたうえで表裏揃え部380の非反転部382を経由させ、地表紙幣を、第2反転部390を経由させたうえで表裏揃え部380の第1反転部381を経由させることとしてもよい。これにより、全てのスタッカ400について自動精査が完了した際には、スタッカ400の紙幣は表裏および天地が揃った状態となる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
表裏および天地が揃った紙幣を出金部330に投出させることができるので、これら紙幣の見栄えが良い上に取扱いやすい。
入金処理において、紙幣を、第1反転部381を経由または迂回させ、出金処理において、紙幣を、第2反転部390を経由または迂回させるようにしているので、表裏および天地を揃えるために要する時間を入金処理と出金処理とに分散させることができ、スタッカ400(一時保留部410)への紙幣の入金に要する時間が増加するのを抑制できる。
エラーの発生等が原因で、スタッカ400内に、通常収納されるべき正しい向きの紙幣(天表紙幣および天裏紙幣)とは向きの異なる誤った向きの紙幣(地表紙幣および地裏紙幣)が混在していても、これら誤った向きの紙幣を出金部330へ投出させないので、表裏および天地の揃った紙幣のみを出金部330に投出させることができる。
スタッカ400から繰り出された誤った向きの紙幣(地表紙幣および地裏紙幣)を、正しい向きの紙幣(天表紙幣および天裏紙幣)に変換してスタッカ400に戻すことができ、スタッカ400内を適正な収納状態に戻すことが可能となる。
スタッカ400内に誤った向きの紙幣(地表紙幣および地裏紙幣)が混在していても、自動精査処理の際に、誤った向きの紙幣(地表紙幣および地裏紙幣)を正しい向きの紙幣(天表紙幣および天裏紙幣)に変換してスタッカ400に戻すことができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
<第1実施形態の変更例3>
図25は、変更例2に係る、貨幣入出金機1Aの構成を示す概略図である。図26(a)は、変更例2に係る、入金処理における貨幣入出金機1A内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図であり、図26(b)は、変更例2に係る、入金処理における貨幣入出金機1A内での天表紙幣および地裏紙幣の流れを示す図である。図27(a)は、変更例2に係る、出金処理における貨幣入出金機1A内での地裏紙幣の流れを示す図であり、図27(b)は、変更例2に係る、出金処理における貨幣入出金機1A内での天表紙幣の流れを示す図であり、図27(c)は、変更例2に係る、出金処理における貨幣入出金機1A内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図であり、図27(d)は、変更例2に係る、戻し処理における貨幣入出金機1A内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図である。
上記第1実施形態の貨幣入出金機1では、搬送部140を構成するメイン搬送路141に表裏揃え部160が設けられた。これに対し、本変更例の貨幣入出金機1Aでは、搬送部140を構成する出金搬送路143に紙幣揃え部220が設けられる。紙幣揃え部220は、特許請求の範囲に記載の「第2の紙幣揃え部」に対応する。
図25に示すように、出金搬送路143、即ち搬送部140は、出金部120の手前で上部出金搬送路221と下部出金搬送路222とに分岐される。上部出金搬送路221は、紙幣を一旦上方に搬送し、その紙幣を出金部120に上方から投出させる。下部出金搬送路222は、紙幣を一旦下方に搬送し、その紙幣を出金部120に下方から投出させる。上部出金搬送路221および下部出金搬送路222により、紙幣は、紙面が前後方向を向くように上下方向に立った状態で出金部120に投出され、その状態で出金部120内に保持される。
上部出金搬送路221と下部出金搬送路222とにより、紙幣揃え部220が構成される。即ち、表面が上向きで搬送されてきた紙幣は、上部出金搬送路221を搬送された結果、表面が前向きとなるように出金部120に投出され、裏面が上向きで搬送されてきた紙幣は、下部出金搬送路222を搬送された結果、同じく、表面が前向きとなるように出金部120に投出される。また、地方向が出金部120への進行方向を向くように搬送されてきた紙幣は、上部出金搬送路221を搬送された結果、天方向が上側となるように出金部120に投出され、天方向が出金部120への進行方向を向くように搬送されてきた紙幣は、下部出金搬送路222を搬送された結果、同じく、天方向が上側となるように出金部120に投出される。
なお、本変更例の構成では、リジェクト紙幣は図示しない出金部リジェクト部に投出される。
本変更例の貨幣入出金機1Aにおいても、入金処理および出金処理が行われる。入金処理では、制御部13が、上記第1実施形態と同様、識別部150での識別結果に基づいて、入金部110に入金された紙幣のうち、地表紙幣および天裏紙幣を、図26(a)のように、第2反転部170を経由させてスタッカ200に収納させ、天表紙幣および地裏紙幣を、図26(b)のように、第2反転部170を経由させることなくスタッカ200に収納させる。こうして、入金後、スタッカ200内には、天表紙幣および地裏紙幣のみが収納された状態となる。
次に、出金処理では、制御部13が、識別部150での識別結果に基づいて、スタッカ200から出金された紙幣のうち、地裏紙幣を、図27(a)のように、下部出金搬送路222を経由させて出金部120に投出させ、天表紙幣を、図27(b)のように、上部出金搬送路221を経由させて出金部120に投出させる。こうして、出金部120には、表裏および天地が揃えられた紙幣が投出される。
なお、スタッカ200内に地表紙幣または天裏紙幣が存在した場合には、制御部13が、スタッカ200内から繰り出されたそれら紙幣を、図27(c)のように、第1カセット181に収納させる。このように第1カセット181内に紙幣が収納された場合は、出金処理後に戻し処理が行われる。戻し処理では、制御部13が、第1カセット181から繰り出された地表紙幣および天裏紙幣を、図27(d)のように、第2反転部170を経由させてスタッカ200に収納させる。これにより、地表紙幣が、地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣が、天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。
また、本変更例の貨幣入出金機1Aにおいて、上記第1実施形態と同様な計数整理を行うことができる。この場合、入金部110から整理枚数だけ紙幣が繰り出された後に第1カセット181および第2カセット182の紙幣を出金部120に投出させる際、制御部13が、第1カセット181から繰り出された天表紙幣を、上部出金搬送路221を経由させて出金部120に投出させ、第2カセット182から繰り出された地裏紙幣を、下部出金搬送路222を経由させて出金部120に投出させる。これにより、出金部120には、表裏および天地が揃えられた整理枚数の紙幣が投出される。
<その他の変更例>
上記第1実施形態では、貨幣入出金機1において、識別部150を挟んで、搬送方向(図1の実線矢印)の上流側に表裏揃え部160が設けられ、下流側に第2反転部170が設けられた。しかしながら、これと反対に、貨幣入出金機1において、搬送方向の上流側に第2反転部170が設けられ、下流側に表裏揃え部160が設けられてもよい。この場合は、図17および図19に示す第2実施形態と同様な入金処理および出金処理が行われる。
同様に、上記第2実施形態では、紙幣処理機2において、入金搬送路352に表裏揃え部380が設けられ、第1出金搬送路355に第2反転部390が設けられた。しかしながら、これと反対に、入金搬送路352に第2反転部390が設けられ、第1出金搬送路355に表裏揃え部380が設けられてもよい。この場合は、図4および図6(a)に示す第1実施形態と同様な入金処理および出金処理が行われる。
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、出金された紙幣が、4つのパターンの状態のうち、天表紙幣となるように表裏および天地が揃えられた。しかしながら、出金された全ての紙幣が、天裏紙幣、地表紙幣または地裏紙幣となるように表裏および天地が揃えられてもよい。
さらに、第1実施形態および第2実施形態では、搬送部140(350)に第1反転部161(381)と第2反転部170(390)の双方が設けられた。しかしながら、これに限らず、搬送部140(350)に第1反転部161(381)および第2反転部170(390)のうち何れか一方の反転部が設けられてもよい。この場合、入金処理において、制御部13(23)は、スタッカ200(400)に紙幣を収納する際、紙幣を、設けられた反転部を経由または迂回させることにより、紙幣の表裏を揃える。そして、たとえば、入金処理の際に紙幣が表に揃えられた場合、制御部13(23)は、スタッカ200(400)から繰り出された紙幣が表であれば、そのまま出金部120(330)に投出し、繰り出された紙幣が裏であれば、出金部120(330)に投出させない。そして、制御部13(23)は、裏の紙幣を、設けられた反転部を経由させて表の紙幣に変換しスタッカ200(400)に戻す。
さらに、第1実施形態では、貨幣入出金機1において、識別部150を挟んで、搬送方向(図1の実線矢印)の上流側に表裏揃え部160が設けられ、下流側に第2反転部170が設けられた。しかしながら、これに限らず識別部150の下流側に表裏揃え部160および第2反転部170が設けられてもよい。この場合、入金処理において、制御部13は、スタッカ200に紙幣を収納する際、紙幣を、設けられた反転部を経由または迂回させることにより、紙幣の表裏および天地を揃える。そして、スタッカ200から繰り出された紙幣が天表であれば、そのまま出金部120に投出し、繰り出された紙幣が天表以外であれば、出金部120に投出させない。そして、制御部13は、天表以外の紙幣を、設けられた反転部を経由させて天表の紙幣に変換しスタッカ200に戻す。
さらに、上記第1実施形態の貨幣入出金機1と同様に、上記第2実施形態の紙幣処理機2に、上記第1変更例の構成が適用されてもよい。
さらに、図6(a)に示す上記第1実施形態の出金処理を行うか、図11に示す上記変更例1の出金処理を行うかを、選択操作によって選択できる構成とされてもよい。
さらに、上記第1実施形態の貨幣入出金機1では、カセット180毎およびスタッカ200毎に一時保留部190、210が設けられた。しかしながら、貨幣入出金機1は、カセット180毎およびスタッカ200毎に一時保留部190、210が設けられる構成ではく、一つの一括一時保留部が設けられる構成とされてもよい。同様に、上記第2実施形態の紙幣処理機2において、バラ紙幣処理ユニット21に、スタッカ400毎に一時保留部410が設けられず、一括一時保留部が設けられてもよい。
さらに、第1実施形態において、第2反転部170は、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の左右の向き(天地の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、図28に示すように、地表紙幣が第2反転部170により天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣が第2反転部170により地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。また、第2実施形態において、第1反転部381は、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の天地の向き(左右の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、図29に示すように、地表紙幣が第1反転部381により天表紙幣に変換されてスタッカ400に収納され、地裏紙幣が第1反転部381により天裏紙幣に変換されてスタッカ400に収納される。
さらに、第1実施形態において、第1反転部161は、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の天地の向き(左右の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、図30に示すように、天裏紙幣が第2反転部170により天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、地裏紙幣が第2反転部170により地表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。さらに、スタッカ200から繰り出された地表紙幣が第1反転部161により天表紙幣に変換されて出金部120に投出される。この変更例の天表紙幣および地表紙幣が、特許請求の範囲の「第1の向きの紙幣」に対応し、天裏紙幣および地裏紙幣が、特許請求の範囲の「第2の向きの紙幣」に対応する。また、第1反転部161が特許請求の範囲の請求項8の「天地反転部」に対応し、第2反転部170が、特許請求の範囲の請求項8の「表裏反転部」に対応する。
さらに、第2実施形態において、第2反転部390は、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の左右の向き(天地の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、図31に示すように、天裏紙幣が第1反転部381により地表紙幣に変換されてスタッカ400に収納され、地裏紙幣が第1反転部381により天表紙幣に変換されてスタッカ400に収納される。さらに、スタッカ400から繰り出された地表紙幣が第2反転部390により天表紙幣に変換されて出金部330に投出される。この変更例において、天表紙幣および地表紙幣が、特許請求の範囲の「第1の向きの紙幣」に対応し、天裏紙幣および地裏紙幣が、特許請求の範囲の「第2の向きの紙幣」に対応する。また、第1反転部380が特許請求の範囲の請求項8の「表裏反転部」に対応し、第2反転部390が、特許請求の範囲の請求項8の「天地反転部」に対応する。
さらに、第1実施形態では、自動精査処理においてスタッカ200内の紙幣の数量と記憶部14内の紙幣の数量とが一致するか否かが検査された。しかしながら、自動精査処理においてスタッカ200内の金額と記憶部14内の金額とが一致するか否かが検査されてもよい。また、第2実施形態においても同様に、自動精査処理においてスタッカ400内の金額と記憶部24内の金額とが一致するか否かが検査されてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。