JP6901719B2 - 検査方法及び肝内胆管がん用検査試薬 - Google Patents

検査方法及び肝内胆管がん用検査試薬 Download PDF

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Description

本発明は、検査方法及び肝内胆管がん用検査試薬に関する。
肝内胆管がん(Intrahepatic Cholangiocarcinoma:ICC)は原発性肝がんの約10%を占め、原発性肝がんとしては肝細胞がん(Hematocellular Carcinoma:HCC)に次いで2番目に多い。肝内胆管がんは、欧米と比較して、日本を含む東アジアで多い症例であることが特徴である。肝内胆管がんは、肝細胞がんと異なりリンパ節転移を起こしやすいこと、有効性が確立された化学療法がないこと等から、その生命予後は極めて不良である。さらに、肝内胆管がんの診断バイオマーカーとしては、その診断能としての感度(陽性者を正しく陽性として捕捉する率)及び特異度(陰性者を正しく陰性と判断する率)が共に良好なものがなく、早期発見が困難なことも予後が悪い原因となっている。
例えば、体外診断用医薬品として薬事承認され、既存の代表的な肝内胆管がんのマーカーであるCA19−9の診断能は、感度65%及び特異度64%であり、感度及び特異度とも充分ではなかった(特許文献1参照)。
また、特許文献1には、レクチンWFA結合性糖タンパク質を肝内胆管がんのがんマーカーとし、被検試料における該がんマーカーをインビトロで検出することによって肝内胆管がんを検出する肝内胆管がんの検出方法が提案されている。特許文献1に記載の方法では、被検試料における該がんマーカーの存在の検出を、標識化したレクチンWFAを用いた被検細胞のWFA染色によりインビトロで行うことを特徴とする。
一方で、ナルディライジンは生体内の多くの組織で発現していることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、ナルディライジンの免疫測定法としては、ナルディライジンが急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、クローン病、潰瘍性大腸炎及び急性心筋梗塞からなる群から選ばれる少なくとも1種の疾患に対する指標であるナルディライジンの免疫測定法が知られている(特許文献2参照)が、肝内胆管がんの指標になることは全く知られてなかった。
特開2015−7654号公報 特開2011−17554号公報
Genomics.,47(2):238−245,1998
特許文献1に記載の方法では、肝内胆管がんの診断能は、感度90%及び特異度60%であり、特異度の面で充分ではなく(特許文献1参照)、より高感度で特異度の高い検査方法が求められていた。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、高感度で特異度の高い肝内胆管がんに対する検査方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、肝内胆管がんの特異的なバイオマーカーとしてナルディライジンを指標にできることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、肝内胆管がんに対する指標としてナルディライジンを用いる検査方法であって、検体中の上記ナルディライジンを定量する定量工程を含むことを特徴とする。
なお、ナルディライジンは、N−arginine dibasic convertase(NRD convertase)とも呼ばれる酵素である。
本発明の検査方法において、定量するナルディライジンは、好ましくはヒトナルディライジンである。
ナルディライジンは、肝内胆管がんの特異的なバイオマーカーであり、従来の肝内胆管がんのバイオマーカーよりも感度及び特異度が高い。そのため、検体内のナルディライジンを定量することにより、肝内胆管がんの罹患の指標とすることができる。
また、本発明の検査方法による結果を指標として肝内胆管がんに罹患しているか否かを判断することにより、従来の検査方法では見逃されていた肝内胆管がんを発見することができる。すなわち、偽陰性と判断される症例を減らすことができる。
図1は、健常者、肝細胞がん患者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度を示すプロット図である。 図2は、健常者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度に関するROC曲線である。 図3は、肝細胞がん患者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度に関するROC曲線である。 図4は、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者との全生存期間を比較した生存曲線である。 図5は、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者との無病生存期間を比較した生存曲線である。 図6は、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CA19−9濃度との相関図である。 図7は、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CEA濃度との相関図である。
本発明の検査方法は、肝内胆管がんに対する指標としてナルディライジンを用いる検査方法であって、検体中の上記ナルディライジンを定量する定量工程を含むことを特徴とする。
ナルディライジンは、肝内胆管がんの特異的なバイオマーカーであり、CA19−9(Carbohydrate Antigen 19−9)やCEA(癌胎児性抗原)のような従来の肝内胆管がんのバイオマーカーよりも感度及び特異度が高い。そのため、検体内のナルディライジンを定量することにより、肝内胆管がんの罹患の指標とすることができる。
また、本発明の検査方法による結果を指標として肝内胆管がんに罹患しているか否かを判断することにより、従来の検査方法では見逃されていた肝内胆管がんを発見することができる。すなわち、偽陰性と判断される症例を減らすことができる。本発明の検査方法は、例えば、肝内胆管がんの判定又は診断するための検査方法として有用である。
さらに、肝内胆管がん切除手術後の再発の指標とすることができる。
本発明の検査方法において、検体は、体液、細胞及び組織からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、体液であることがより好ましい。
また、体液としては、血液、尿、髄液、唾液、リンパ液、胸水、腹水及び胆汁からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、採取の容易さの観点から血液であることがさらに好ましい。
また、検査の精度の観点から、血液としては、血清又は血漿であることが特に好ましい。
本発明の検査方法における定量工程において、定量方法は、特に限定されないが、免疫学的測定による定量であることが好ましい。
免疫学的測定によりナルディライジンを測定することにより、感度よく、正確に、素早く、かつ、簡便にナルディライジンを定量することができる。
本発明の検査方法において、上記免疫学的測定による定量には、ナルディライジンに対するモノクローナル抗体及び/又はポリクローナル抗体(以下、これら抗体を区別する必要がない場合、これら抗体をまとめて単に「抗ナルディライジン抗体」とも記載する)を用いることができる。
また、ナルディライジンに対する特異性が良好な観点からモノクローナル抗体を用いることが好ましい。
本発明の検査方法において、ナルディライジンに対するモノクローナル抗体は、従来公知の方法で作製したものを使用することができ、例えば細胞融合技術や遺伝子組換え技術等を利用した公知の方法[Eur.J immunol,6,511(1976)]によって産生されたもの等が使用できる。
ナルディライジンに対するモノクローナル抗体の具体例としては、特開2011−17554号公報に記載の抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.23、抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.231、抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.246、抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.256、抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.304、抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.307及び抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.314が挙げられる。これらのうち好ましくは、測定感度の観点から、ナルディライジンモノクローナル抗体No.231及び抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.304である。
本発明の検査方法において、免疫学的測定の方法の例としては、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)、発光免疫測定法(CLIA)及び免疫クロマト法等が挙げられる。これらの内、測定感度の観点からより好ましいのは、蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)及び発光免疫測定法(CLIA)であり、さらに好ましいのは酵素免疫測定法(EIA)である。酵素免疫測定法(EIA)の中でも、酵素の基質に化学発光物質を用いた化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)が特に好ましい。
本発明の検査方法において、酵素免疫測定法(EIA)により検体中のナルディライジンを定量する場合、外部から導入するナルディライジン及び/若しくはそのアナログ、抗ナルディライジン抗体、又は、二次抗体に化学発色・発光のための標識を付すことになる。
標識は、特に限定されないが、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ(POD)、マイクロペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ルシフェラーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼであることが好ましい。
また、検出感度等の観点から、化学発色・発光のために用いる標識としてはアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ又はグルコースオキシダーゼを使用することがより好ましく、ペルオキシダーゼを使用することがさらに好ましい。
本発明の検査方法において、ナルディライジンを免疫学的測定により定量する場合には、抗ナルディライジン抗体や、ナルディライジン及び/又はそのアナログ等を固相担体に担持し、その固相担体を使用してナルディライジンを定量することになる。
本発明の検査方法で使用する固相担体としては、特に限定されないが、ガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、磁性シリカ粒子等の磁性粒子、マイクロプレート、ラテックス等が挙げられる。これらのうち、検出感度等の観点から、ガラスビーズ及び/又は磁性シリカ粒子を使用することが好ましい。
本発明の検査方法において、免疫学的測定は、例えば、酵素免疫測定法(1987年5月15日発行、第3版、株式会社医学書院)等に記載の測定が使用でき、非競合的免疫学的測定であってもよく、競合的免疫学的測定であってもよい。これらのうち、検出感度等の観点から、非競合的免疫学的測定が好ましい。
本明細書において、非競合的免疫学的測定とは、外部からナルディライジン及び/又はそのアナログを加えず、競合させずに検体中のナルディライジンと、抗ナルディライジン抗体とを結合させる工程を含む測定を意味する。
本明細書において、競合的免疫学的測定とは、外部からナルディライジン及び/又はそのアナログを加え、検体中のナルディライジンと、外部から導入したナルディライジン及び/又はそのアナログとを競合させて抗ナルディライジン抗体に結合させる工程を含む測定を意味する。
以下に本発明の検査方法に係る非競合的免疫学的測定により検体中の検体中のナルディライジンを定量する検査方法の一例である第1非競合的免疫学的測定を説明する。
(1)検査資材の準備工程
本工程では検査に使用する資材である、抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体、免疫反応用緩衝液、及び、標識抗ナルディライジン抗体を準備する。
抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体の作製について説明する。
固相担体に抗ナルディライジン抗体を担持させる方法は、特に限定されず、従来の方法を採用することができる。
固相担体としては、特に限定されないが、ガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、磁性シリカ粒子等の磁性粒子、マイクロプレート、ラテックス等が挙げられる。これらのうち、検出感度等の観点から、ガラスビーズ及び/又は磁性シリカ粒子を使用することが好ましい。
次に、免疫反応用緩衝液について説明する。
免疫反応用緩衝液としては、pH5.0〜10.0に緩衝作用を有する緩衝液であることが好ましく、pH6.0〜9.0に緩衝作用を有する緩衝液であることがより好ましい。
このような免疫反応用緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液及びホウ酸緩衝液等が挙げられる。
次に、標識抗ナルディライジン抗体の作製について説明する。
抗ナルディライジン抗体に付す標識は、放射性同位元素の標識であってもよく、化学発色・発光する標識であってもよい。これらの中では、安全性の観点から化学発色・発光する標識であることが好ましい。
これらの標識は、従来の方法により抗ナルディライジン抗体に付すことができる。
(2)検量線作成工程
(2−1)ナルディライジン標準液作製ステップ
上記免疫反応用緩衝液にナルディライジンを加え、複数の異なる濃度のナルディライジン標準液を作製する。
(2−2)固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成ステップ
まず、各ナルディライジン標準液中のナルディライジンと、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体を反応させる。この際、反応系の緩衝液として、上記免疫反応用緩衝液を用いる。
この反応により、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体を形成させることができる。
その後、未反応のナルディライジンを反応系から除去する。
(2−3)固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体形成ステップ
次に、反応系に標識抗ナルディライジン抗体を加え、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体と、標識抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体を形成させることができる。
その後、未反応の標識抗ナルディライジン抗体を反応系から除去する。
(2−4)標識カウントステップ
次に、反応系に残った固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(2−5)検量線作成ステップ
各ナルディライジン標準液の濃度、及び、得られた標識のカウント数に基づき、ナルディライジン濃度と標識のカウント数との関係を示す検量線を作成する。
(3)固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成工程
反応系の緩衝液として上記免疫反応用緩衝液を用い、検体中のナルディライジンと、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体を形成させることができる。
その後、未反応のナルディライジンを反応系から除去する。
(4)固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体形成工程
次に、反応系に標識抗ナルディライジン抗体を加え、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体と、標識抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体を形成させることができる。
その後、未反応の標識抗ナルディライジン抗体を反応系から除去する。
(5)標識カウント工程
次に、反応系に残った固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−標識抗ナルディライジン抗体複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(6)定量工程
次に、得られたカウント数及び作成した検量線に基づき検体中のナルディライジンの濃度を算出する。
以上の工程を経て、検体中のナルディライジンを定量することができる。
なお、本発明の検査方法において、非競合的免疫学的測定では、標識抗ナルディライジン抗体を用いずに、標識二次抗体を使用して測定を行ってもよい。
以下に、本発明の検査方法に係る非競合的免疫学的測定により検体中の検体中のナルディライジンを定量する検査方法の一例である第2非競合的免疫学的測定を説明する。
(1)検査資材の準備工程
本工程では検査に使用する資材である、抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体、免疫反応用緩衝液、二次抗体が結合できない第1抗ナルディライジン抗体、二次抗体が結合できる第2抗ナルディライジ抗体、及び、標識二次抗体を準備する。
まず、第1抗ナルディライジン抗体を固相担体に担持する。固相担体の種類は、上記第1非競合的免疫学的測定で説明した固相担体と同じものを使用することができる。
また、二次抗体に標識を付し、標識二次抗体を作製する。
二次抗体に付す標識は、放射性同位元素の標識であってもよく、化学発色・発光する標識であってもよい。これらの中では、安全性の観点から化学発色・発光する標識であることが好ましい。
これらの標識は、従来の方法により二次抗体に付すことができる。
免疫反応用緩衝液としては、上記第1非競合的免疫学的測定で説明した免疫反応用緩衝液と同じものを使用することができる。
(2)検量線作成工程
(2−1)ナルディライジン標準液作製ステップ
上記免疫反応用緩衝液にナルディライジンを加え、複数の異なる濃度のナルディライジン標準液を作製する。
(2−2)第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成ステップ
各ナルディライジン標準液中のナルディライジンと、固相担体に担持された第1抗ナルディライジン抗体を反応させる。この際、反応系の緩衝液として、上記免疫反応用緩衝液を用いる。
この反応により、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体を形成させることができる。
その後、未反応のナルディライジンを反応系から除去する。
(2−3)第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体形成ステップ
次に、反応系に第2抗ナルディライジン抗体を加え、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体と、第2抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体を形成させることができる。
次に、未反応の第2抗ナルディライジン抗体を反応系から除去する。
(2−4)標識二次抗体結合ステップ
次に、反応系に標識二次抗体を加え、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体と、標識二次抗体とを反応させる。
これにより、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体−標識二次抗体複合体を形成させることができる。
次に、未反応の標識二次抗体を反応系から除去する。
(2−5)標識カウントステップ
次に、反応系に残った第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体−標識二次抗体複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(2−6)検量線作成ステップ
各ナルディライジン標準液の濃度、及び、得られた標識のカウント数に基づき、ナルディライジン濃度と標識のカウント数との関係を示す検量線を作成する。
(3)第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成工程
反応系の緩衝液として上記免疫反応用緩衝液を用い、検体中のナルディライジンと、固相担体に担持された第1抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体を形成させることができる。
その後、未反応のナルディライジンを反応系から除去する。
(4)第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体形成工程
次に、反応系に第2抗ナルディライジン抗体を加え、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体と、第2抗ナルディライジン抗体を反応させる。
この反応により第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体を形成させることができる。
その後、未反応の第2抗ナルディライジン抗体を反応系から除去する。
(5)標識二次抗体結合工程
次に、反応系に標識二次抗体を加え、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体複合体と、標識二次抗体とを反応させる。
これにより、第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体−標識二次抗体複合体を形成させることができる。
その後、未反応の標識二次抗体を反応系から除去する。
(6)標識カウント工程
次に、反応系に残った第1抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン−第2抗ナルディライジン抗体−標識二次抗体複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(7)定量工程
次に、得られたカウント数及び作成した検量線に基づき検体中のナルディライジンの濃度を算出する。
以上の工程を経て、検体中のナルディライジンを定量することができる。
以下に本発明の検査方法に係る競合的免疫学的測定により検体中のナルディライジンを定量する検査方法の一例を説明する。
なお、以下の競合的免疫学的測定の説明では、便宜上、標識が付されていないナルディライジンを「非標識ナルディライジン」と記載し、標識が付されたナルディライジンを「標識ナルディライジン」と記載する。
(1)検査資材の準備工程
本工程では検査に使用する資材である、抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体、免疫反応用緩衝液、及び、標識ナルディライジンを準備する。
抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体、及び、免疫反応用緩衝液は、上記第1非競合的免疫学的測定の説明において示したものを使用することができる。
標識ナルディライジンについて説明する。
標識ナルディライジンは、非標識ナルディライジンに標識を付すことにより作製することができる。
標識は、放射性同位元素の標識であってもよく、化学発色・発光する標識であってもよい。これらの中では、安全性の観点から化学発色・発光する標識であることが好ましい。
これらの標識は、従来の方法により非標識ナルディライジンに付すことができる。
(2)検量線作成工程
(2−1)非標識ナルディライジン標準液作製ステップ
上記免疫反応用緩衝液に非標識ナルディライジンを加え、複数の異なる濃度の非標識ナルディライジン標準液を作製する。
(2−2)非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液調製ステップ
まず、各非標識ナルディライジン標準液に、一定量の標識ナルディライジンを加えて混合し非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液を調製する。
(2−3)抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成ステップ
次に、非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液中の非標識ナルディライジン及び標識ナルディライジンと、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体を反応させる。この際、非標識ナルディライジンと、標識ナルディライジンとは競合して抗ナルディライジン抗体に結合することになる。
この反応により、抗ナルディライジン抗体−非標識ナルディライジン複合体及び抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体を形成することができる。
この反応において、非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液中の非標識ナルディライジンの量が多ければ、抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体の量が少なくなる。
また、非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液中の非標識ナルディライジンの量が少なければ、抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体の量が多くなる。
その後、未反応の非標識ナルディライジン及び標識ナルディライジンを除去する。
(2−4)標識カウントステップ
次に、反応系に残った抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(2−5)検量線作成ステップ
各非標識ナルディライジン標準液の濃度、及び、得られた標識のカウント数に基づき、非標識ナルディライジン濃度と標識のカウント数との関係を示す検量線を作成する。
(3)非標識ナルディライジン−標識ナルディライジン混合液調製工程
次に、免疫反応用緩衝液に、検体及び一定量の標識ナルディライジンを加えて混合し検体−標識ナルディライジン混合液を調製する。
なお、検体中のナルディライジンには標識が付されていないので、以下の説明で「非標識ナルディライジン」と記載する。
(4)抗ナルディライジン抗体−ナルディライジン複合体形成工程
次に、検体−標識ナルディライジン混合液中の非標識ナルディライジン及び標識ナルディライジンと、固相担体に担持された抗ナルディライジン抗体を反応させる。この際、非標識ナルディライジンと、標識ナルディライジンとは競合して抗ナルディライジン抗体に結合することになる。
この反応により、抗ナルディライジン抗体−非標識ナルディライジン複合体及び抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体を形成することができる。
その後、未反応の非標識ナルディライジン及び標識ナルディライジンを除去する。
(5)標識カウント工程
次に、反応系に残った抗ナルディライジン抗体−標識ナルディライジン複合体の標識をカウントする。
標識のカウントは、標識の種類に応じ、従来の方法によりカウントすることができる。
(6)定量工程
次に、得られたカウント数及び作成した検量線に基づき検体中のナルディライジン(非標識ナルディライジン)の濃度を算出する。
以上の工程を経て、検体中のナルディライジンを定量することができる。
本発明の肝内胆管がん用検査試薬は、抗ナルディライジン抗体を含む検査試薬である。
本発明の肝内胆管がん用検査試薬は、上記の検査方法に使用することができる。
本発明の肝内胆管がん用検査試薬に含まれる抗ナルディライジン抗体は、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。また、非標識抗ナルディライジン抗体であっても標識抗ナルディライジン抗体であってもよい。
さらに、本発明の肝内胆管がん用検査試薬は、抗ナルディライジン抗体以外に、抗ナルディライジン抗体を担持させた固相担体、免疫反応用緩衝液、標識ナルディライジン及び/又はそのアナログ、標識二次抗体等を含んでいてもよい。
本発明の検査方法には、上記ナルディライジンの定量値を、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値と比較し、上記検体中のナルディライジンの定量値の大小を評価する評価工程をさらに含んでいてもよい。
上記工程における評価とは、例えば、ナルディライジンの定量値が、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値よりも大きい場合には、その検体の採取元の個体が肝内胆管がんに罹患している可能性が高いと評価し、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値よりも小さい場合には、その検体の採取元の個体が肝内胆管がんに罹患している可能性が低いと評価することである。
肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値は、例えば、肝内胆管がんに罹患しているか否かを評価するカットオフ値であってもよい。
この場合、検体中のナルディライジンの定量値が、上記カットオフ値よりも高い場合には、検体の採取元の個体は、肝内胆管がんに罹患している可能性が高いと評価し、上記カットオフ値よりも低い場合には、検体の採取元の個体は、肝内胆管がんに罹患している可能性が低いと評価することができる。
なお、上記カットオフ値は、例えば、健常者の検体中のナルディライジンの定量値と、肝内胆管がん患者の検体中のナルディライジンの定量値とからROC曲線(Receiver Operating Characteristic Curve)を作成することにより設定することができる。
上記カットオフ値としては、例えば、血清中のナルディライジン濃度において820.0〜870.0pg/mLの範囲内のいずれかの値を採用することができ、845.5pg/mLとすることが望ましい。
また、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値は、肝内胆管がんに罹患しているか、肝細胞がんに罹患しているかを評価するカットオフ値であってもよい。
このようなカットオフ値は、例えば、肝細胞がん患者の検体中のナルディライジンの定量値と、肝内胆管がん患者の検体中のナルディライジンの定量値とからROC曲線を作成することにより設定することができる。
上記カットオフ値としては、例えば、血清中のナルディライジン濃度において1290.0〜1340.0pg/mLの範囲内のいずれかの値を採用することができ、1308.02pg/mLとすることが望ましい。
また、本発明の検査方法は、上記検体中のナルディライジンの定量値が、上記所定の数値よりも大きい場合、肝臓の多発性腫瘍に対する検査を行う工程をさらに含んでいてもよい。
例えば、肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジンの定量値が、1627.0pg/mLよりも大きい場合、その血清の採取元の患者は、肝臓の多発性腫瘍を有している可能性が高い。
そのため、この血清の採取元の患者に対し、肝臓の多発性腫瘍に対する検査を行うことで、多発性腫瘍の有無を確認することができる。
また、本発明の検査方法は、上記検体中のナルディライジンの定量値の大小の評価に基づき、上記検体の採取元の個体の予後を予測する予後予測工程をさらに含んでいてもよい。
例えば、肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジンの定量値が、1627.0pg/mLよりも大きい場合、その血清の採取元の患者は、定量値が上記数値未満の肝内胆管がん患者よりも無病生存期間、及び、全生存期間が短い。
そのため、肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジンを定量することにより、その患者の予後を予測することができる。
以下、実施例により、本発明の検査方法をさらに説明するが、本発明の検査方法はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<検査試薬の調製>
1.抗体ビーズ(抗ナルディライジン抗体が担持された固相担体)の作製
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有アセトン溶液20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶にガラスビーズ1000個を加え、25℃で1時間反応させ、反応液をアスピレーターで吸引除去した。
次いで脱イオン水20mLを加えて蓋をし、ポリエチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、液をアスピレーターで吸引除去してガラスビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回行った。
次いで、この洗浄後のガラスビーズ1000個を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水20mLを加えて蓋をし、ポリエチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、液をアスピレーターで吸引除去してガラスビーズを洗浄した。この洗浄操作を3回行った。
さらにこの洗浄後のガラスビーズ1000個を抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.231(特開2011−17554号公報に記載の方法で作製した)を20μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)20mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。
反応後、抗ナルディライジンモノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去し、ガラスビーズを0.1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.2)20mLに8時間浸漬し、この液を除去した後、ビーズを20重量%ショ糖含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.2)20mLに浸漬した。2時間浸漬後、液を除去してビーズを濾紙上で風乾してビーズ表面をショ糖でコーティングし、抗体ビーズを得た。
2.免疫反応用緩衝液の作製
0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)100mLに、牛血清アルブミン(BSA)1g、塩化ナトリウム0.85g及び界面活性剤としてのTween80 0.5gを添加し、免疫反応用緩衝液を作製した。
3.標識抗ナルディライジン抗体の作製
抗ナルディライジンモノクローナル抗体No.304(特開2011−17554号公報に記載の方法で作製した)及び西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼを用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法でペルオキシダーゼ標識抗ナルディライジン抗体を作製し、作製したペルオキシダーゼ標識抗ナルディライジン抗体を上記免疫反応用緩衝液で抗体濃度として5μg/mLとなるように希釈し、標識抗ナルディライジン抗体液を作製した。
4.化学発光用の基質液の作製
ルミノールナトリウム[シグマアルドリッチジャパン(株)製]0.28g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール[三新化学工業(株)製]0.06gを、グッド緩衝液(0.1MのEPPES、pH8.5)100mLに溶解し、基質液を作製した。
5.過酸化水素液の調製
35重量%過酸化水素水[和光純薬工業(株)製]を脱イオン水で1800倍に希釈し、過酸化水素液とした。
6.測定用試薬の調製
測定用カートリッジ[(株)ベルテックス製]に作製した抗体ビーズ1個、免疫反応用緩衝液140μL、標識抗ナルディライジン抗体液220μL、基質液180μL及び過酸化水素液120μLを入れ、アルミシールで密閉し測定用試薬とした。測定まで2〜10℃で冷蔵保存した。
<ナルディライジン標準液及び検体>
抗原(ヒト全長ナルディライジン組換えタンパク質)を希釈液(1%BSA含有PBS)にて0〜80,000pg/mL(濃度ポイントは、0、400、1,600、4,000、8,000、20,000、40,000及び80,000pg/mL)の濃度に調整しナルディライジン標準液を作製した。
健常者(ボランティア、112名)、がんの切除手術を受けた肝細胞がん患者(226名)、及び、がんの切除手術を受けた肝内胆管がん患者(79名)から血清を検体として採取した。
<測定操作>
自動化学発光酵素免疫分析装置SphereLight Wako[アロカ(株)製]を用いて測定を実施した。本装置は検体の分注から測定値の出力まで自動的に行った。測定の概要は次の通りである。
測定用試薬及び試料(ナルディライジン標準液、血清)を所定の位置にセットした。
次に、測定用試薬のアルミシールを開封し、抗体ビーズが1個入った反応槽に免疫反応用緩衝液60μL及び検体80μLを加え、37℃で14分間免疫反応させた。
次に、1回当たり約300μLの洗浄液(リン酸緩衝液)で5回洗浄してB/F分離(Bond/Free分離)を行った後、標識抗ナルディライジン抗体液140μLを加え、37℃で14分間免疫反応させた。
次に、1回当たり約300μLの洗浄液(リン酸緩衝液)で5回洗浄してB/F分離を行った後、基質液100μL及び過酸化水素液40μLを加え、37℃で1分間反応させた後、発光量をカウントした。ナルディライジン標準液の発光量で検量線を作成し、検体の発光量から血清中のナルディライジン濃度を算出した。
(血清中ナルディライジン濃度の比較)
得られた血清中ナルディライジン濃度の測定結果に基づき、健常者、肝細胞がん患者及び肝内胆管がん患者の比較を行った。
図1は、健常者、肝細胞がん患者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度を示すプロット図である。
健常者の血清中ナルディライジン濃度の中央値は、539.8pg/mLであった。
肝細胞がん患者の血清中ナルディライジン濃度の中央値は、934.1pg/mLであった。
肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度の中央値は、1627.1pg/mLであった。
健常者の血清中ナルディライジン濃度と、肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度とを比較すると、肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度の方が有意に高かった(p<0.001)。
また、肝細胞がん患者の血清中ナルディライジン濃度と、肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度とを比較すると、肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度の方が有意に高かった(p<0.001)。
なお、本明細書の実施例において、有意差の検定方法には、Mann−Whitney U検定を用いた。
(血清中ナルディライジン濃度のROC解析)
得られた血清中ナルディライジン濃度の測定結果に基づき、健常者vs肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度に関するROC解析、及び、肝細胞がん患者vs肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度に関するROC解析を行った。
それぞれのROC曲線を図2及び図3に示す。
図2は、健常者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度に関するROC曲線である。
図3は、肝細胞がん患者及び肝内胆管がん患者の血清中のナルディライジン濃度に関するROC曲線である。
図2に示すROC曲線におけるAUC(Area Under the Curve)が、0.94(p<0.001)であり、excellent predictabilityと判定された。
図3に示すROC曲線におけるAUCは、AUCが0.76(p<0.001)であり、moderate predictabilityと判断された。なお、p値はロジスティック回帰分析のp値である。
これらの結果から、ナルディライジンは、肝内胆管がんの特異的なバイオマーカーであり、高感度で特異度の高い肝内胆管がんに対する指標となることが示された。
また、上記健常者vs肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度に関するROC解析に基づき、健常者であるか、肝内胆管がんに罹患しているかのカットオフ値を、845.5pg/mLに設定すると、感度が86.1%となり、特異度が97.3%となる(真陽性率:95.8%、真陰性率:90.8%)。
また、上記肝細胞がん患者vs肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度に関するROC解析に基づき、肝細胞がんに罹患しているか、肝内胆管がんに罹患しているかのカットオフ値を、1308.2pg/mLに設定すると、感度が69.6%となり、特異度が75.5%となる(真陽性率:50.5%、真陰性率:87.4%)。
(血清中ナルディライジン濃度の高低に基づく肝内胆管がん患者の患者背景及び予後の比較)
上記の通り、肝内胆管がん患者の血清中ナルディライジン濃度の中央値は、1627.1pg/mLであった。この値をカットオフ値とし、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者(NRDc High)と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者(NRDc Low)とに分けて患者背景、全生存期間及び無病生存期間を比較した。
表1は、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者との患者背景を比較した表である。
図4は、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者との全生存期間を比較した生存曲線である。
図5は、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者と、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者との無病生存期間を比較した生存曲線である。
Figure 0006901719
表1に示すように、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者は、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者と比較して、肝内多発症例を有意に高く含んでいた。
また、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者の全生存期間の中央値は25.8ヶ月であり、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者の全生存期間の中央値は85.6ヶ月であった(図4参照)。
また、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者の無病生存期間の中央値は9.4ヶ月であり、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者の無病生存期間の中央値は25.6ヶ月であった(図5参照)。
以上の結果より、ナルディライジン高値の肝内胆管がん患者は、ナルディライジン低値の肝内胆管がん患者と比較して、全生存期間及び無病生存期間が共に有意に短く、予後不良であった。
(ナルディライジンと、既存の肝内胆管がんバイオマーカーとの比較)
肝内胆管がん患者から採取した血清を用い、既存の肝内胆管がんバイオマーカーであるCA19−9及びCEAの血清中濃度を電気化学発光法(ECLIA法)により測定し、ナルディライジンの血清中濃度と比較した。結果を図6及び7に示す。
図6は、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CA19−9濃度との相関図である。
図7は、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CEA濃度との相関図である。
図6に示すように、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CA19−9濃度との相関は、相関係数σが0.238であり弱い相関が認められた(p=0.040)。
図7に示すように、肝内胆管がん患者の血清中における、ナルディライジン濃度と、CEA濃度との相関は、相関係数σが、0.223であり、弱い相関が認められたものの有意ではなかった(p=0.050)。
本発明は臨床検査、特に肝内胆管がんの疾患を検査する臨床検査に有用である。

Claims (8)

  1. 肝内胆管がんに対する指標としてナルディライジンを用いる検査方法であって、
    血清中の前記ナルディライジンを定量する定量工程と、
    前記ナルディライジンの定量値を、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値と比較し、前記血清中のナルディライジンの定量値の大小を評価する評価工程とを含み、
    前記所定の数値は、820.0〜870.0pg/mLの範囲のいずれかの値であることを特徴とする検査方法。
  2. 肝内胆管がんに対する指標としてナルディライジンを用いる検査方法であって、
    血清中の前記ナルディライジンを定量する定量工程と、
    前記ナルディライジンの定量値を、肝内胆管がんに対する指標となる所定の数値と比較し、前記血清中のナルディライジンの定量値の大小を評価する評価工程とを含み、
    前記所定の数値は、1290.0〜1340.0pg/mLの範囲のいずれかの値であることを特徴とする検査方法。
  3. 前記定量は、免疫学的測定による定量である請求項1又は2に記載の検査方法。
  4. 前記免疫学的測定による定量には、ナルディライジンに対するモノクローナル抗体を用いる請求項に記載の検査方法。
  5. 前記免疫学的測定による定量は、酵素免疫測定法による定量である請求項又はに記載の検査方法。
  6. 前記評価工程において、前記血清中のナルディライジンの定量値が、前記所定の数値よりも大きい場合、肝臓の多発性腫瘍に対する検査を行う工程をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の検査方法。
  7. 前記血清中のナルディライジンの定量値の大小の評価、前記血清の採取元の個体の予後を予測するために用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の検査方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の検査方法に用いられる肝内胆管がん用検査試薬であって、
    抗ナルディライジン抗体を含むことを特徴とする肝内胆管がん用検査試薬。
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