<光反射用硬化性樹脂組成物>
本発明の光反射用硬化性樹脂組成物(単に「本発明の硬化性樹脂組成物」と称する場合がある)は、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、及び無機充填剤(D)を含有し、さらに、硬化剤(E)及び硬化促進剤(F)、又は、硬化触媒(G)を含有し、白色顔料(C)及び無機充填剤(D)の最大粒子径が200μm以下であり、25℃において液状である硬化性樹脂組成物である。言い換えると、本発明の光反射用硬化性樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)、硬化剤(E)、及び硬化促進剤(F)を必須成分として含み、白色顔料(C)及び無機充填剤(D)の最大粒子径が200μm以下であり、25℃において液状である硬化性樹脂組成物、又は、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)、及び硬化触媒(G)を必須成分として含み、白色顔料(C)及び無機充填剤(D)の最大粒子径が200μm以下であり、25℃において液状である硬化性樹脂組成物である。本発明の硬化性樹脂組成物は、上記必須成分以外にも、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化させて硬化物へと転化可能な熱硬化性組成物(熱硬化性エポキシ樹脂組成物)として使用できる。
なお、本明細書において「光反射用硬化性樹脂組成物」とは、光反射性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物をいう。具体的には、例えば、波長450nmの光に対する反射率が50%以上(特に、80%以上)である硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、25℃において液体である。本発明の硬化性樹脂組成物は、25℃において液体であることにより、コンプレッション成型に適する傾向があり、コンプレッション成型によって形成された硬化物(リフレクター)は、光反射性に優れ、且つ、耐熱性及び耐光性に優れる傾向がある。なお、本明細書において「25℃において液状」とは、常圧において25℃で測定した粘度が1000000mPa・s以下(好ましくは、800000mPa・s以下)であることをいう。なお、上記粘度は、例えば、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定することができる。
25℃において液体である本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、用いる成分(例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、硬化剤(E)、硬化促進剤(F)、硬化触媒(G)等)として、25℃で液体の成分を用いることにより得やすくなる。なお、上記成分として25℃で固体の成分を用いてもよいが、その含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物が25℃において液状となるように調整される。また、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)等の25℃で固体である成分の含有量を、本発明の効果を損なわない範囲内で調整することによっても得やすくなる。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分である脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)(A)は、分子内(一分子中)に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基(オキシラニル基)とを少なくとも有する化合物である。本発明の硬化性樹脂組成物においては、公知乃至慣用の脂環式エポキシ化合物を使用することができる。脂環式エポキシ化合物(A)としては、より具体的には、例えば、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環式エポキシ基)を有する化合物、(ii)脂環に直接単結合で結合しているエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
上述の(i)脂環式エポキシ基を有する化合物としては、分子内に脂環式エポキシ基を1つ以上有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されない。上記脂環式エポキシ基としては、硬化性樹脂組成物の硬化性及び硬化物(リフレクター)の耐熱性及び耐光性(特に、耐紫外線性)の観点で、シクロヘキセンオキシド基が好ましい。特に、硬化物(リフレクター)の耐熱性及び耐光性(特に、耐紫外線性)の観点で、分子内に2つ以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは下記式(I)で表される化合物である。
式(I)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。なお、式(I)におけるシクロヘキサン環(シクロヘキセンオキシド基)を構成する炭素原子の1以上には、アルキル基等の置換基が結合していてもよい。
式(I)中のXが単結合である化合物としては、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキサン等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(エポキシ化アルケニレン基)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記Xにおける連結基としては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(I)で表される化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル等が挙げられる。なお、下記式(I−5)、(I−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(I−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I−9)、(I−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
上述の(ii)脂環に直接単結合で結合しているエポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物(エポキシ樹脂)等が挙げられる。
上記式(II)中、R1はp価の有機基を示す。pは、1〜20の整数を示す。p価の有機基としては、例えば、後述のp個のヒドロキシ基を有する有機化合物の構造式からp個のヒドロキシ基を除いて形成された構造を有するp価の有機基等が挙げられる。
式(II)中、qは、1〜50の整数を示す。なお、pが2以上の整数の場合、複数のqは同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(II)におけるqの和(総和)は、3〜100の整数である。
式(II)中、R
2は、式中に示されるシクロヘキサン環上の置換基であり、下記式(IIa)〜(IIc)で表される基のいずれかを示す。上記シクロヘキサン環上のR
2の結合位置は特に限定されないが、通常、酸素原子と結合するシクロヘキサン環の2つの炭素原子の位置を1位、2位とした場合、4位又は5位の炭素原子である。また、式(II)で表される化合物が複数のシクロヘキサン環を有する場合、それぞれのシクロヘキサン環におけるR
2の結合位置は同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(II)におけるR
2の少なくとも1つは、式(IIa)で表される基(エポキシ基)である。なお、式(II)で表される化合物が2以上のR
2を有する場合、複数のR
2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(IIc)中、R3は、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を示す。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。上記アルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル−カルボニル基等が挙げられる。上記アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基(ベンゾイル基)、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基等の炭素数6〜20のアリール−カルボニル基等が挙げられる。
上述のアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数0〜20(より好ましくは炭素数0〜10)の置換基等が挙げられる。上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(好ましくはC2-6アルケニルオキシ基、より好ましくはC2-4アルケニルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のアシルオキシ基(好ましくはC1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基、より好ましくはC1-4アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(好ましくはC2-6アルケニルチオ基、より好ましくはC2-4アルケニルチオ基);カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(好ましくはモノ又はジ−C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくはC1-11アシルアミノ基);エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。また、上述のアリールカルボニル基が有していてもよい置換基としては、さらに、上記置換若しくは無置換のアルキル基、上記置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基も挙げられる。
式(II)で表される化合物におけるR2の全量(100モル%)に対する、式(IIa)で表される基(エポキシ基)の割合は、特に限定されないが、40モル%以上(例えば、40〜100モル%)が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。上記割合が40モル%以上であると、硬化物の耐熱性や耐光性、機械特性等がより向上する傾向がある。なお、上記割合は、例えば、1H−NMRスペクトル測定や、オキシラン酸素濃度測定等により算出することができる。
式(II)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、分子内にp個のヒドロキシ基を有する有機化合物[R1(OH)p]を開始剤として(即ち、当該化合物のヒドロキシ基(活性水素)を出発点として)、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(3−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン)を開環重合(カチオン重合)させ、その後、酸化剤によりエポキシ化することによって製造される。
上記分子内にp個のヒドロキシ基を有する有機化合物[R1(OH)p]としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の多価アルコール;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、デンプン、アクリルポリオール樹脂、スチレン−アリルアルコール共重合樹脂、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートポリオール類、ヒドロキシ基を有するポリブタジエン、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマー等のヒドロキシ基を有するオリゴマー又はポリマー等が挙げられる。
上記1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンは、公知乃至慣用の方法により製造でき、特に限定されないが、例えば、ブタジエンの二量化反応によって得られる4−ビニルシクロヘキセンを、過酢酸等の酸化剤を使用して部分エポキシ化することによって得られる。また、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンとしては、市販品を使用することもできる。
また、上記酸化剤としては、過酸化水素や有機過酸等の公知乃至慣用の酸化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、有機過酸としては、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等が挙げられる。中でも、過酢酸は工業的に安価に入手可能であり、かつ安定度も高いため、好ましい。
なお、上述の開環重合及びエポキシ化は、より具体的には、例えば、特開昭60−161973号公報等に記載の周知慣用の方法に従って実施することができる。
式(II)で表される化合物の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に限定されないが、300〜100000が好ましく、より好ましくは1000〜10000である。重量平均分子量が300以上であると、硬化物の機械強度や耐熱性、耐光性がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量が100000以下であると、粘度が高くなり過ぎず成型時の流動性を低く維持しやすい傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される。
式(II)で表される化合物のエポキシ基の当量(エポキシ当量)は、特に限定されないが、50〜1000が好ましく、より好ましくは100〜500である。エポキシ当量が50以上であると、硬化物が脆くなりにくい傾向がある。一方、エポキシ当量が1000以下であると、硬化物の機械強度が向上する傾向がある。なお、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準じて測定される。
本発明の硬化性樹脂組成物において脂環式エポキシ化合物(A)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、脂環式エポキシ化合物(A)は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、調合時、及び注型時などの作業性の点から、常温(25℃)で液状を呈するものが好ましい。また、常温(25℃)で固体である脂環式エポキシ化合物(A)であっても、配合した後に液状を呈するものであれば、含有していてもよい。
中でも、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物(リフレクター)の光反射性、耐熱性、及び耐光性がより向上する観点から、(i)脂環式エポキシ基を有する化合物を少なくとも含むことが好ましく、さらに(ii)脂環に直接単結合で結合しているエポキシ基を有する化合物を含むことがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。脂環式エポキシ化合物(A)の含有量を1.5重量%以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の耐熱性(特に、耐黄変性)及び耐光性(特に、耐紫外線性)がより向上する傾向がある。一方、脂環式エポキシ化合物(A)の含有量を60重量%以下とすることにより、硬化物(リフレクター)の線膨張係数が低減され、光半導体素子搭載用基板におけるリードフレームの反り等の不具合の発生が抑制される傾向がある。
なお、本明細書において、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる各成分(例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)、硬化剤(E)、硬化促進剤(F)、硬化触媒(G)等)の含有量は、それぞれ、合計が100重量%以下となるように、記載の範囲内から適宜選択することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(100重量%)に対する脂環式エポキシ化合物(A)の割合は、特に限定されないが、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記割合を50重量%以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の耐熱性及び耐光性がより向上する傾向がある。
[ゴム粒子(B)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分であるゴム粒子(B)は、ゴム弾性を有する粒子である。本発明の硬化性樹脂組成物は、ゴム粒子(B)を脂環式エポキシ化合物(A)、白色顔料(C)、及び無機充填剤(D)と組み合わせて用いることにより、コンプレッション成型により形成される硬化物の光反射性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性に優れる傾向がある。ゴム粒子(B)としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシ基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)等のゴム粒子が挙げられる。ゴム粒子(B)としては、分散性が良好であり靭性向上(耐クラック性向上)の効果を得られやすい観点から、ゴム弾性を有するコア部分と、該コア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とからなる多層構造(コアシェル構造)を有するゴム粒子(以下、「コアシェル型ゴム粒子」と称する場合がある)が好ましい。ゴム粒子(B)は、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上する観点から、特に、(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分とするポリマー(重合体)で構成され、表面に脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基(ヒドロキシ基及びカルボキシ基のいずれか一方又は両方)を有するゴム粒子が好ましい。即ち、ゴム粒子(B)は、(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分とするポリマー(アクリル系ポリマー)で構成された、コアシェル型ゴム粒子であることが特に好ましい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物においてゴム粒子(B)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
ゴム粒子(B)がコアシェル型ゴム粒子である場合、上記ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分として含むポリマーであることが好ましい。上記ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、その他、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;エチレン、プロピレン、イソブテン等のα−オレフィン等をモノマー成分として含んでいてもよい。
中でも、上記ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、芳香族ビニル、ニトリル、及び共役ジエンからなる群より選択された一種又は二種以上を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、上記コア部分を構成するポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸エステル/共役ジエン等の二元共重合体;(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/共役ジエン等の三元共重合体等が挙げられる。なお、上記コア部分を構成するポリマーには、ポリジメチルシロキサンやポリフェニルメチルシロキサン等のシリコーンやポリウレタン等が含まれていてもよい。
上記コア部分を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレート等の分子内に2個以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
上記コア部分は、中でも、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニルの二元共重合体(特に、アクリル酸ブチル/スチレン)より構成されたコア部分であることが、コアシェル型ゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
上記コア部分を構成するポリマーのガラス転移温度は、特に限定されないが、−100〜10℃が好ましく、より好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−60〜−20℃である。上記ポリマーのガラス転移温度を上記範囲内とすることにより硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。なお、上記コア部分を構成するポリマーのガラス転移温度は、下記Foxの式により算出される計算値を意味する(Bull.Am.Phys.Soc.,1(3)123(1956)参照)。下記Foxの式中、Tgはコア部分を構成するポリマーのガラス転移温度(単位:K)を示し、Wiはコア部分を構成するポリマーを構成する単量体全量に対する単量体iの重量分率を示す。また、Tgiは単量体iの単独重合体のガラス転移温度(単位:K)を示す。下記Foxの式は、コアを構成するポリマーが単量体1、単量体2、・・・・、及び単量体nの共重合体である場合の式を示す。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・+Wn/Tgn
上記単独重合体のガラス転移温度は、各種文献に記載の値を採用することができ、例えば、「POLYMER HANDBOOK 第3版」(John Wiley & Sons,Inc.発行)に記載の値を採用できる。なお、文献に記載のないものについては、単量体を常法により重合して得られる単独重合体の、DSC法により測定されるガラス転移温度の値を採用することができる。
上記コア部分は、通常用いられる方法で製造することができ、例えば、上記モノマーを乳化重合法により重合する方法等により製造することができる。乳化重合法においては、上記モノマーの全量を一括して仕込んで重合してもよいし、上記モノマーの一部を重合した後、残りを連続的に又は断続的に添加して重合してもよいし、さらに、シード粒子を使用する重合方法を使用してもよい。
なお、ゴム粒子(B)として、コアシェル構造を有しないゴム粒子を用いる場合には、例えば、上記コア部分のみからなるゴム粒子等を使用することができる。
コアシェル型ゴム粒子のシェル層を構成するポリマーは、上記コア部分を構成するポリマーとは異種のポリマー(異なるモノマー組成を有するポリマー)であることが好ましい。また、上述のように、上記シェル層は、脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有することが好ましい。これにより、特に、脂環式エポキシ化合物(A)との界面で接着性を向上させることができ、該シェル層を有するコアシェル型ゴム粒子を含む硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物に対して、優れた耐クラック性を発揮させることができる。また、硬化物のガラス転移温度の低下を防止することもできる。
上記シェル層を構成するポリマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分として含むポリマーであることが好ましい。例えば、上記コア部分における(メタ)アクリル酸エステルとしてアクリル酸ブチルを用いた場合、シェル層を構成するポリマーのモノマー成分としては、例えば、アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等)を使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル以外に含んでいてもよいモノマー成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル等が挙げられる。コアシェル型ゴム粒子においては、シェル層を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、上記モノマーを単独で、又は二種以上を組み合わせて含むことが好ましく、特に、少なくとも芳香族ビニルを含むことが、コアシェル型ゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
さらに、上記シェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてのヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を形成するために、ヒドロキシ基含有モノマー(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等)や、カルボキシ基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和酸;マレイン酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物等)を含有することが好ましい。
上記シェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、上記モノマーから選択された一種又は二種以上を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、上記シェル層は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/α,β−不飽和酸等の三元共重合体等から構成されたシェル層であることが好ましい。
また、上記シェル層を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、コア部分と同様に、上記モノマーの他にジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレート等の分子内に2個以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
上記シェル層を構成するポリマーのガラス転移温度は、特に限定されないが、20〜200℃が好ましく、より好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは60〜160℃である。上記ポリマーのガラス転移温度を20℃以上とすることにより、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上する傾向がある。一方、上記ポリマーのガラス転移温度を200℃以下とすることにより、ゴム粒子(B)の分散性及び硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。なお、上記シェル層を構成するポリマーのガラス転移温度は、上記Foxの式により算出される計算値を意味し、例えば、上述のコアを構成するポリマーのガラス転移温度と同様にして測定できる。
コアシェル型ゴム粒子は、上記コア部分をシェル層により被覆することで得られる。上記コア部分をシェル層で被覆する方法としては、例えば、上記方法により得られたゴム弾性を有するコア部分の表面に、シェル層を構成するポリマーを塗布することにより被覆する方法;上記方法により得られたゴム弾性を有するコア部分を幹成分とし、シェル層を構成する各成分を枝成分としてグラフト重合する方法等が挙げられる。
ゴム粒子(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜500nmが好ましく、より好ましくは20〜400nmである。また、ゴム粒子(B)の最大粒子径は、特に限定されないが、50〜1000nmが好ましく、より好ましくは100〜800nmである。平均粒子径を500nm以下(又は、最大粒子径を1000nm以下)とすることにより、硬化物におけるゴム粒子(B)の分散性が向上し、耐クラック性が向上する傾向がある。一方、平均粒子径を10nm以上(又は、最大粒子径を50nm以上)とすることにより、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。
ゴム粒子(B)の屈折率は、特に限定されないが、1.40〜1.60が好ましく、より好ましくは1.42〜1.58である。また、ゴム粒子(B)の屈折率と、該ゴム粒子(B)を含む硬化性樹脂組成物(本発明の硬化性樹脂組成物)を硬化させて得られる硬化物の屈折率との差は±0.03以内であることが好ましい。屈折率の差を±0.03以内とすることにより、硬化物の優れた透明性が確保され、光半導体装置の光度が高く保持される傾向がある。
ゴム粒子(B)の屈折率は、例えば、ゴム粒子(B)1gを型に注型して210℃、4MPaで圧縮成形し、厚さ1mmの平板を得、得られた平板から、縦20mm×横6mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率は、例えば、下記硬化物の項に記載の加熱硬化方法により得られた硬化物から、縦20mm×横6mm×厚さ1mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるゴム粒子(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。ゴム粒子の含有量を0.05重量%以上とすることにより、硬化物の光反射性、耐熱性、及び耐光性がより優れる傾向がある。また、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。一方、ゴム粒子の含有量を20重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるゴム粒子(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。ゴム粒子の含有量を0.5重量部以上とすることにより、硬化物の光反射性、耐熱性、及び耐光性がより優れる傾向がある。また、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。一方、ゴム粒子の含有量を30重量部以下とすることにより、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上する傾向がある。
[白色顔料(C)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分である白色顔料(C)は、主に、硬化物(リフレクター)に対して高い光反射性を付与し、また、その線膨張率を低減させる働きを有する。白色顔料(C)としては、公知乃至慣用の白色顔料を使用することができ、特に限定されないが、例えば、ガラス、クレー、雲母、タルク、カオリナイト(カオリン)、ハロイサイト、ゼオライト、酸性白土、活性白土、ベーマイト、擬ベーマイト、無機酸化物、金属塩[例えば、アルカリ土類金属塩等]等の無機白色顔料;スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アミド系樹脂等の樹脂顔料等の有機白色顔料(プラスチックピグメント等);中空構造(バルーン構造)を有する中空粒子等が挙げられる。
白色顔料(C)としては、リフレクターの反射率を高くするため屈折率が高い白色顔料を使用することが好ましく、例えば、屈折率が1.5以上の白色顔料が好ましい。但し、中空粒子構造を有する白色顔料は内部(コア)に低屈折率の気体を含み表面反射率が非常に大きいので、シェル部分は屈折率が1.5より低い材料で構成されていてもよい。なお、白色顔料(C)として例示するもののうち、無機充填剤(D)にも該当するものについては、屈折率が1.5以上のものは白色顔料(C)とし、屈折率が1.5より小さいものは無機充填剤(D)とする。
上記無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン[例えば、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン等]、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等が挙げられる。また、上記アルカリ土類金属塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属塩以外の金属塩としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記中空粒子としては、特に限定されないが、例えば、無機ガラス[例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、石英等]、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、珪酸カルシウム等の金属塩等の無機物により構成された無機中空粒子(シラスバルーン等の天然物も含む);スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン−共役ジエン系樹脂、アクリル−共役ジエン系樹脂、オレフィン系樹脂等のポリマー(これらポリマーの架橋体も含む)等の有機物により構成された有機中空粒子;無機物と有機物のハイブリッド材料により構成された無機−有機中空粒子等が挙げられる。なお、上記中空粒子は、単一の材料より構成されたものであってもよいし、二種以上の材料より構成されたものであってもよい。また、上記中空粒子の中空部(中空粒子の内部の空間)は、真空状態であってもよいし、媒質で満たされていてもよいが、特に、反射率向上の観点では、屈折率が低い媒質(例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等)で満たされた中空粒子が好ましい。
なお、白色顔料(C)は、公知乃至慣用の表面処理[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等]が施されたものであってもよい。このような表面処理を施すことにより、硬化性樹脂組成物における他の成分との相溶性や分散性を向上させることができる場合がある。
中でも、白色顔料(C)としては、入手性、耐熱性、耐光性の観点、及び硬化物(リフレクター)の高反射率及び添加量に対する光反射性の上昇率の観点で、無機酸化物、無機中空粒子が好ましく、より好ましくは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、無機中空粒子、さらに好ましくは酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウムである。特に、白色顔料(C)としては、より高い屈折率を有する点で、酸化チタンが好ましい。
白色顔料(C)の形状は、特に限定されず、例えば、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、分散性の観点で、球状の酸化チタンが好ましく、特に真球状の酸化チタン(例えば、アスペクト比が1.2以下の球状の酸化チタン)が好ましい。
白色顔料(C)の中心粒径は、特に限定されないが、硬化物(リフレクター)の光反射性向上の観点で、0.1〜50μmが好ましい。特に、白色顔料(C)として酸化チタンを使用する場合、該酸化チタンの中心粒径は、特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1〜30μm、さらに好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.1〜10μm、最も好ましくは0.1〜5μmである。一方、白色顔料(C)として中空粒子(特に、無機中空粒子)を用いる場合、該中空粒子の中心粒径は、特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1〜30μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径)を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物において白色顔料(C)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、白色顔料(C)は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「SR−1」、「R−42」、「R−45M」、「R−650」、「R−32」、「R−5N」、「GTR−100」、「R−62N」、「R−7E」、「R−44」、「R−3L」、「R−11P」、「R−21」、「R−25」、「TCR−52」、「R−310」、「D−918」、「FTR−700」(以上、堺化学工業(株)製)、商品名「タイペークCR−50」、「CR−50−2」、「CR−60」、「CR−60−2」、「CR−63」、「CR−80」、「CR−90」、「CR−90−2」、「CR−93」、「CR−95」、「CR−97」(以上、石原産業(株)製)、商品名「JR−301」、「JR−403」、「JR−405」、「JR−600A」、「JR−605」、「JR−600E」、「JR−603」、「JR−805」、「JR−806」、「JR−701」、「JRNC」、「JR−800」、「JR」(以上、テイカ(株)製)、商品名「TR−600」、「TR−700」、「TR−750」、「TR−840」、「TR−900」(以上、富士チタン工業(株)製)、商品名「KR−310」、「KR−380」、「KR−380N」、「ST−410WB」、「ST−455」、「ST−455WB」、「ST−457SA」、「ST−457EC」、「ST−485SA15」、「ST−486SA」、「ST−495M」(以上、チタン工業(株)製)等のルチル型酸化チタン;商品名「A−110」、「TCA−123E」、「A−190」、「A−197」、「SA−1」、「SA−1L」、「SSPシリーズ」、「CSBシリーズ」(以上、堺化学工業(株)製)、商品名「JA−1」、「JA−C」、「JA−3」(以上、テイカ(株)製)、商品名「KA−10」、「KA−15」、「KA−20」、「STT−65C−S」、「STT−30EHJ」(以上、チタン工業(株)製)、商品名「DCF−T−17007」、「DCF−T−17008」、「DCF−T−17050」(以上、レジノカラー工業(株)製)等のアナターゼ型酸化チタン等の市販品を使用することもできる。
中でも、白色顔料(C)としては、特に硬化物(リフレクター)の光反射性及び耐黄変性向上の観点で、商品名「R−62N」、「CR−60」、「DCF−T−17007」、「DCF−T−17008」、「DCF−T−17050」、「FTR−700」が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物における白色顔料(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。白色顔料(C)の含有量を0.1重量%以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の光反射性がより向上する傾向がある。また、耐熱性(特に、耐黄変性)及び耐光性(特に、耐紫外線性)がより向上する傾向がある。一方、白色顔料(C)の含有量を50重量%以下とすることにより、硬化物(リフレクター)の成型性が向上し、量産により適する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物における白色顔料(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、3〜400重量部が好ましく、より好ましくは10〜350重量部、さらに好ましくは30〜300重量部である。白色顔料(C)の含有量が3重量部以上であることにより、硬化物(リフレクター)の光反射性がより向上する傾向がある。また、耐熱性(特に、耐黄変性)及び耐光性(特に、耐紫外線性)がより向上する傾向がある。一方、白色顔料(C)の含有量が400重量部以下であることにより、硬化物(リフレクター)の成型性が向上し、量産により適する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物が酸化チタンを含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる白色顔料(C)と無機充填剤(D)の総量(100重量%)に対する酸化チタンの割合は、特に限定されないが、硬化物(リフレクター)の耐黄変性と光反射性のバランスの観点で、5〜70重量%が好ましく、より好ましくは10〜60重量%である。酸化チタンの割合を5重量%以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の光反射性がより向上する傾向がある。また、耐熱性(特に、耐黄変性)及び耐光性(特に、耐紫外線性)がより向上する傾向がある。一方、酸化チタンの割合を70重量%以下とすることにより、硬化物(リフレクター)の成型性が向上し、量産により適する傾向がある。
[無機充填剤(D)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、白色顔料(C)とは別に、無機充填剤(D)を必須成分として含む。本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分である無機充填剤(D)は、主に、硬化性樹脂組成物をコンプレッション成型により形成する場合において、形成された硬化物に優れた耐熱性及び耐光性(特に、優れた耐熱性)を付与する。また、硬化物(リフレクター)の線膨張率を低減させる働きを有する。また、無機充填剤(D)の種類によっては、硬化物(リフレクター)に対して優れた光反射性を付与できる場合もある。
無機充填剤(D)としては、公知乃至慣用の無機充填剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、フォステライト、ステアタイト、スピネル、クレー、カオリン、ドロマイト、ヒドロキシアパタイト、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、珪藻土、タルク等の粉体、又はこれらの成型体(例えば、球形化したビーズ等)等が挙げられる。また、無機充填剤(D)としては、上述の無機充填剤に公知乃至慣用の表面処理が施されたもの等も挙げられる。中でも、無機充填剤(D)としては、硬化物(リフレクター)の耐熱性(特に、耐黄変性)、耐光性、及び流動性の観点で、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が好ましく、より好ましくはシリカ(シリカフィラー)である。
シリカとしては、特に限定されず、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、高純度合成シリカ等の公知乃至慣用のシリカを使用できる。なお、シリカとしては、公知乃至慣用の表面処理[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等]が施されたものを使用することもできる。
シリカの形状は、特に限定されないが、例えば、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、分散性の観点で、球状のシリカが好ましく、特に真球状のシリカ(例えば、アスペクト比が1.2以下の球状のシリカ)が好ましい。
シリカの中心粒径は、特に限定されないが、硬化物(リフレクター)の光反射性向上の観点で、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1〜30μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での粒径(メディアン径)を意味する。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物において無機充填剤(D)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、無機充填剤(D)は、公知乃至慣用の製造方法により製造することもできるし、例えば、商品名「FB−910」、「FB−940」、「FB−950」、「FB−105」、「FB−105FD」、「FB−5D」、「FB−8S」、「FB−7SDC」、「FB−5SDC」、「FB−3SDC」、「FB−9FDC」、「FB−7FDC」、「FB−5FDC」、「FB−970FD」、「FB−975FD」、「FB−950FD」、「FB−40RFD」等のFBシリーズ、商品名「DAW−03DC」、「DAW−0525」、「DAW−1025」等のDAWシリーズ、商品名「SGP」(以上、デンカ(株)製)、商品名「HF−05」((株)トクヤマ製)、商品名「10μmSE−CC5」((株)アドマテックス製)、商品名「MSR−2212」、「MSR−25」(以上、(株)龍森製)、商品名「HS−105」、「HS−106」、「HS−107」(以上、マイクロン社製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物における無機充填剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは13〜75重量%、さらに好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。無機充填剤(D)の含有量を10重量%以上とすることにより、硬化性樹脂組成物をコンプレッション成型により形成する場合において、形成された硬化物の耐熱性及び耐光性(特に、優れた耐熱性)がより向上する傾向がある。また、硬化物(リフレクター)の線膨張係数が低くなって、該リフレクターを用いた光半導体素子搭載用基板におけるリードフレームの反り等の不具合が生じにくくくなる傾向がある。一方、無機充填剤(D)の含有量を90重量%以下とすることにより硬化性樹脂組成物が良好な流動性を有するため、成型(特に、トランスファー成型)時の未充填等の問題が抑制される傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物における無機充填剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、10〜1500重量部が好ましく、より好ましくは50〜1200重量部、さらに好ましくは100〜1000重量部である。無機充填剤(D)の含有量を10重量部以上とすることにより、硬化性樹脂組成物をコンプレッション成型により形成する場合において、形成された硬化物の耐熱性及び耐光性(特に、優れた耐熱性)がより向上する傾向がある。また、硬化物(リフレクター)の線膨張係数が低くなって、該リフレクターを用いた光半導体素子搭載用基板におけるリードフレームの反り等の不具合が生じにくくくなる傾向がある。一方、無機充填剤(D)の含有量を1500重量部以下とすることにより、硬化性樹脂組成物が良好な流動性を有するため、成型(特に、トランスファー成型)時の未充填等の問題が抑制される傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物における白色顔料(C)及び無機充填剤(D)の最大粒子径は、200μm以下であり、好ましくは185μm以下、より好ましくは175μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。上記最大粒子径が200μm以下であると、最大粒子径が200μmを超える白色顔料又は無機充填剤を用いる場合よりも、硬化性樹脂組成物をコンプレッション成型により形成された形成された硬化物の耐熱性、耐光性、及び耐クラック性(特に、優れた耐熱性)がさらに優れる傾向がある。また、最大粒子径が小さい白色顔料(C)及び無機充填剤(E)を用いることにより、これらの含有量を増やすことが可能となり、硬化物の光反射性、耐熱性、及び耐光性がよりいっそう向上する傾向がある。上記最大粒子径の下限は、例えば0.01μm以上である。なお、上記最大粒子径は、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる白色顔料(C)及び無機充填剤(D)のトータルの最大粒子径である。上記最大粒子径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における最大の粒径を意味する。
[硬化剤(E)]
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤(E)は、脂環式エポキシ化合物(A)等のエポキシ基を有する化合物と反応することにより、硬化性樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(E)としては、公知乃至慣用のエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
硬化剤(E)としての酸無水物類(酸無水物系硬化剤)としては、公知乃至慣用の酸無水物系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、均一な硬化性樹脂組成物を効率的に調製することができる観点、脂環式エポキシ化合物(A)と混合して25℃で液状の混合物(硬化剤組成物)としやすい観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤(E)としての取り扱い性が向上する傾向がある。酸無水物系硬化剤としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
硬化剤(E)としてのアミン類(アミン系硬化剤)としては、公知乃至慣用のアミン系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−3,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン、ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。
硬化剤(E)としてのフェノール類(フェノール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のフェノール系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、パラキシリレン・メタキシリレン変性フェノール樹脂等のアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールプロパン等が挙げられる。
硬化剤(E)としてのポリアミド樹脂としては、例えば、分子内に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のいずれか一方又は両方を有するポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(E)としてのイミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のイミダゾール系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
硬化剤(E)としてのポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)としては、例えば、液状のポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(E)としてのポリカルボン酸類としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、カルボキシ基含有ポリエステル等が挙げられる。
中でも、硬化剤(E)としては、硬化物の耐熱性、耐光性、透明性の観点で、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)が好ましい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物において硬化剤(E)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、硬化剤は公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「リカシッドMH−700」、「リカシッドMH−700F」、「リカシッドMH−700G」、「リカシッドTH」、「リカシッドHH」、「リカシッドHNA−100」(以上、新日本理化(株)製);商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製);商品名「H−TMAn−S」、「H−TMAn」(以上、三菱ガス化学(株)製);商品名「YH1120」(三菱化学(株)製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化剤(E)を含有する場合、硬化剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは3〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。硬化剤(E)の含有量を1重量%以上とすることにより、硬化がより十分となり、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。一方、硬化剤(E)の含有量を40重量%以下とすることにより、着色がより抑制され色相に優れた硬化物(リフレクター)が得られやすい傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化剤(E)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、40〜200重量部が好ましく、より好ましくは50〜150重量部である。より具体的には、硬化剤(E)として酸無水物類を使用する場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。硬化剤(E)の含有量を40重量部以上とすることにより、硬化がより十分となり、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。一方、硬化剤(E)の含有量を200重量部以下とすることにより、着色がより抑制され色相に優れた硬化物(リフレクター)が得られやすい傾向がある。
[硬化促進剤(F)]
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(F)は、エポキシ基を有する化合物が硬化剤(E)と反応する際に、その反応速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(F)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の第3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛やオクチル酸スズ等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において硬化促進剤(F)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化促進剤(F)は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(F)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜1重量%である。硬化促進剤(F)の含有量を0.0001重量%以上とすることにより、より効率的に硬化反応を進行させることができる傾向がある。一方、硬化促進剤(F)の含有量を5重量%以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の保存性がより向上したり、着色がより抑制され色相に優れた硬化物(リフレクター)が得られやすい傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(F)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化促進剤(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、0.05〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜12重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部、特に好ましくは0.25〜8重量部である。硬化促進剤(F)の含有量を0.05重量部以上とすることにより、より効率的に硬化反応を進行させることができる傾向がある。一方、硬化促進剤(F)の含有量を15重量部以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の保存性がより向上したり、着色がより抑制され色相に優れた硬化物(リフレクター)が得られやすい傾向がある。
[硬化触媒(G)]
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化触媒(G)は、脂環式エポキシ化合物(A)等のカチオン重合性化合物の硬化反応(重合反応)を開始及び/又は促進させることにより、硬化性樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化触媒(G)としては、特に限定されないが、例えば、光照射や加熱処理等を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させるカチオン重合開始剤(光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤等)や、ルイス酸・アミン錯体、ブレンステッド酸塩類、イミダゾール類等が挙げられる。
硬化触媒(G)としての光カチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩等が挙げられ、より具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、p−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩(特に、トリアリールスルホニウム塩);ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4−(4−メチルフェニル−2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート等のピリジニウム塩等が挙げられる。また、光カチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア264」(BASF社製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)等の市販品を好ましく使用することもできる。
硬化触媒(G)としての熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等が挙げられ、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上(株)ADEKA製);商品名「FC−509」(スリーエム製);商品名「UVE1014」(G.E.製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製);商品名「CG−24−61」(BASF社製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、熱カチオン重合開始剤としては、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物等も挙げられる。
硬化触媒(G)としてのルイス酸・アミン錯体としては、公知乃至慣用のルイス酸・アミン錯体系硬化触媒を使用することができ、特に限定されないが、例えば、BF3・n−ヘキシルアミン、BF3・モノエチルアミン、BF3・ベンジルアミン、BF3・ジエチルアミン、BF3・ピペリジン、BF3・トリエチルアミン、BF3・アニリン、BF4・n−ヘキシルアミン、BF4・モノエチルアミン、BF4・ベンジルアミン、BF4・ジエチルアミン、BF4・ピペリジン、BF4・トリエチルアミン、BF4・アニリン、PF5・エチルアミン、PF5・イソプロピルアミン、PF5・ブチルアミン、PF5・ラウリルアミン、PF5・ベンジルアミン、AsF5・ラウリルアミン等が挙げられる。
硬化触媒(G)としてのブレンステッド酸塩類としては、公知乃至慣用のブレンステッド酸塩類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂肪族スルホニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
硬化触媒(G)としてのイミダゾール類としては、公知乃至慣用のイミダゾール類を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において硬化触媒(G)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、上述のように、硬化触媒(G)としては市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化触媒(G)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化触媒(G)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜1重量%である。硬化触媒(G)を上記範囲内で使用することにより、耐熱性、耐光性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が硬化触媒(G)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における硬化触媒(G)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン重合性化合物の全量100重量部に対して、0.0001〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.05〜8重量部である。硬化触媒(G)を上記範囲内で使用することにより、耐熱性、耐光性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、脂環式エポキシ化合物(A)以外のエポキシ化合物(「その他のエポキシ化合物」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記その他のエポキシ化合物としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)、複素環式エポキシ化合物(複素環式エポキシ樹脂)、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体等が挙げられる。上記その他のエポキシ化合物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記複素環式エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を1個以上有するイソシアヌル酸誘導体等が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物が上記イソシアヌル酸誘導体を含む場合、硬化物の電極に対する密着性、耐熱性、耐吸湿リフロー性が向上する傾向がある。
[離型剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、離型剤を含んでいてもよい。離型剤を含むことにより、トランスファー成型等の金型を使用した成型法による連続成型が容易となり、高い生産性で硬化物(リフレクター)を製造することが可能となる。離型剤としては、公知乃至慣用の離型剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、フッ素系離型剤(フッ素原子含有化合物;例えば、フッ素オイル、ポリテトラフルオロエチレン等)、シリコーン系離型剤(シリコーン化合物;例えば、シリコーンオイル、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、ポリオキシアルキレン単位を有するポリオルガノシロキサン等)、ワックス系離型剤(ワックス類;例えば、カルナウバワックス等の植物ロウ、羊毛ワックス等の動物ロウ、パラフィンワックス等のパラフィン類、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等)、高級脂肪酸又はその塩(例えば、金属塩等)、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、鉱油等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物において離型剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、離型剤は、公知乃至慣用の方法によって製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が離型剤を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における離型剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、1〜12重量部が好ましく、より好ましくは2〜10重量部である。離型剤の含有量を1重量部以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の離型性がより向上し、リフレクターの生産性がより向上する傾向がある。一方、離型剤の含有量を12重量部以下とすることにより、光半導体素子搭載用基板におけるリフレクターのリードフレームに対する良好な密着性を確保できる傾向がある。
[酸化防止剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤を含むことにより、いっそう耐熱性(特に、耐黄変性)に優れた硬化物(リフレクター)を製造することが可能となる。酸化防止剤としては、公知乃至慣用の酸化防止剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤(フェノール系化合物)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系化合物)、リン系酸化防止剤(リン系化合物)、イオウ系酸化防止剤(イオウ系化合物)等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ドデカンチオール、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において酸化防止剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、酸化防止剤は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「Irganox1010」(BASF製、フェノール系酸化防止剤)、商品名「AO−60」、「AO−80」((株)ADEKA製、フェノール系酸化防止剤)、商品名「Irgafos168」(BASF製、リン系酸化防止剤)、商品名「アデカスタブHP−10」、「アデカスタブPEP−36」((株)ADEKA製、リン系酸化防止剤)、商品名「HCA」(三光(株)製、リン系酸化防止剤)等の市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。酸化防止剤の含有量を0.1重量部以上とすることにより、硬化物(リフレクター)の酸化が効率的に防止され、耐熱性、耐黄変性がより向上する傾向がある。一方、酸化防止剤の含有量を5重量部以下とすることにより、着色が抑制され、色相がより良好なリフレクターが得られやすい傾向がある。
[添加剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を含有していてもよい。上記添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のヒドロキシ基を有する化合物(特に、脂肪族多価アルコール)を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤、イオン吸着体、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、白色顔料(C)以外の顔料等の慣用の添加剤を使用することができる。これら添加剤の含有量は特に限定されず、適宜選択可能である。
上記蛍光増白剤としては、公知乃至慣用の蛍光増白剤を使用することができる。本発明の硬化性樹脂組成物が蛍光増白剤を含む場合、コンプレッション成型により形成される硬化物の光反射性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性により優れる傾向がある。上記蛍光増白剤としては、例えば、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、トリアジン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、キサントン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チオフェン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)、硬化剤(E)、及び硬化促進剤(F)を含有する場合、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、硬化剤(E)、及び硬化促進剤(F)からなる混合物の25℃における粘度は、特に限定されないが、5000mPa・s以下であることが好ましい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレングリコール等の上記脂肪族多価アルコールを含んでいてもよく、この場合、上記混合物は、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、硬化剤(E)、硬化促進剤(F)、及び脂肪族多価アルコールからなる混合物である。一方、本発明の硬化性樹脂組成物が、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、白色顔料(C)、無機充填剤(D)、及び硬化触媒(G)を含有する場合、脂環式エポキシ化合物(A)、ゴム粒子(B)、及び硬化触媒(G)からなる混合物の25℃における粘度は、特に限定されないが、5000mPa・s以下であることが好ましい。なお、本明細書において、上記の二種の混合物の25℃における粘度を、総称して、「樹脂粘度」と称する場合がある。
上記樹脂粘度は、常圧において25℃で測定した粘度である。上記樹脂粘度は、5000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは4000mPa・s以下、さらに好ましくは3500mPa・s以下、特に好ましくは3000mPa・s以下である。上記樹脂粘度が5000mPa・s以下であると、樹脂粘度が5000mPa・sを超える場合よりも、硬化性樹脂組成物をコンプレッション成型により形成された形成された硬化物の耐熱性、耐光性、及び耐クラック性(特に、優れた耐熱性)がさらに優れる傾向がある。また、上記樹脂粘度が比較的低いことにより、白色顔料(C)や無機充填剤(D)等の他の成分の含有量を増やすことが可能となり、硬化物の光反射性、耐熱性、及び耐光性がよりいっそう向上する傾向がある。上記樹脂粘度の下限は、例えば100mPa・s以上である。なお、上記樹脂粘度は、例えば、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定することができる。
上記樹脂粘度は、例えば、用いる成分(例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、硬化剤(E)、硬化促進剤(F)、硬化触媒(G)等)として、25℃で液体の成分を用いることにより得やすくなる。なお、上記成分として25℃で固体の成分を用いてもよいが、その含有量は、上記樹脂粘度が5000mPa・s以下となるように調整されることが好ましい。また、ゴム粒子(B)の含有量を、本発明の効果を損なわない範囲内で調整することによっても得やすくなる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱して該硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)及び硬化剤(E)の一部を反応させることによって得られる、Bステージ化させた硬化性樹脂組成物(Bステージ状態の硬化性樹脂組成物)であってもよい。
上述のように、本発明の硬化性樹脂組成物は硬化後の光反射性、耐熱性、及び耐光性に優れるため、特に、トランスファー成型用樹脂組成物やコンプレッション成型用樹脂組成物として好ましく使用できる。中でも、本発明の硬化性樹脂組成物は、コンプレッション成型によって形成された硬化物(リフレクター)の光反射性、耐熱性、及び耐光性に特に優れるため、コンプレッション成型用の樹脂組成物であることが特に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。上記撹拌・混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌・混合手段を使用できる。また、撹拌・混合後、真空下にて脱泡してもよい。
特に限定されないが、ゴム粒子(B)は、あらかじめ脂環式エポキシ化合物(A)中に分散させた組成物(当該組成物を「ゴム粒子分散エポキシ化合物」と称する場合がある)の状態で配合することが好ましい。即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物と、白色顔料(C)と、無機充填剤(D)と、硬化剤(E)及び硬化促進剤(F)、又は、硬化触媒(G)と、必要に応じてその他の成分とを混合することにより調製することが好ましい。このような調製方法により、特に、硬化性樹脂組成物におけるゴム粒子(B)の分散性を向上させることができる。ただし、ゴム粒子(B)の配合方法は、上記方法に限定されず、それ単独で配合する方法であってもよい。
(ゴム粒子分散エポキシ化合物)
上記ゴム粒子分散エポキシ化合物は、ゴム粒子(B)を脂環式エポキシ化合物(A)に分散させることによって得られる。なお、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物における脂環式エポキシ化合物(A)は、硬化性樹脂組成物を構成する脂環式エポキシ化合物(A)の全量であってもよいし、一部の量であってもよい。同様に、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物におけるゴム粒子(B)は、硬化性樹脂組成物を構成するゴム粒子(B)の全量であってもよいし、一部の量であってもよい。
上記ゴム粒子分散エポキシ化合物の粘度は、例えば、反応性希釈剤を併用することにより調整することができる(即ち、ゴム粒子分散エポキシ化合物は、さらに反応性希釈剤を含んでいてもよい)。上記反応性希釈剤としては、例えば、常温(25℃)における粘度が200mPa・s以下の脂肪族ポリグリシジルエーテルを好ましく使用できる。粘度(25℃)が200mPa・s以下の脂肪族ポリグリシジルエーテルとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記反応性希釈剤の使用量は、適宜調整することができ、特に限定されないが、上記ゴム粒子分散エポキシ化合物全量100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、より好ましくは25重量部以下(例えば、5〜25重量部)である。使用量が30重量部以下であると、強靭性(耐クラック性向上)等の所望の性能を得やすくなる傾向がある。
上記ゴム粒子分散エポキシ化合物の製造方法は、特に限定されず、周知慣用の方法を使用することができる。例えば、ゴム粒子(B)を脱水乾燥して粉体とした後に、脂環式エポキシ化合物(A)に混合し、分散させる方法や、ゴム粒子(B)のエマルジョンと脂環式エポキシ化合物(A)とを直接混合し、続いて脱水する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、100〜100000mPa・sが好ましく、より好ましくは200〜80000mPa・s、さらに好ましくは300〜80000mPa・sである。25℃における粘度を100mPa・s以上とすることにより、注型時の作業性が向上したり、硬化物の耐熱性及び耐光性がより向上する傾向がある。
<硬化物>
本発明の硬化性樹脂組成物を加熱によって硬化させることにより、光反射性に優れ、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性に優れた硬化物を得ることができる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物、即ち本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物を「本発明の硬化物」と称する場合がある。硬化の際の加熱温度(硬化温度)は、特に限定されないが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、60〜1800秒が好ましく、より好ましくは90〜900秒である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は熱分解による黄変が発生するので好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化処理は一段階(例えば、コンプレッション成型のみ)で行ってもよいし、例えば、多段階(例えば、コンプレッション成型後にポストキュアー(二次硬化)としてオーブン等でさらに加熱する等)で行ってもよい。ポストキュアーを行う場合、この際の加熱温度は、50〜200℃が好ましく、より好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは硬化温度と同程度の温度である。また、ポストキュアーを行う時間は、0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜8時間である。
本発明の硬化物は、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐光性に優れる。このため、上記硬化物は劣化しにくく、経時で反射率が低下しにくい。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、LEDパッケージ用途(LEDパッケージの構成材、例えば、光半導体装置におけるリフレクター材、ハウジング材等)、電子部品の接着用途、液晶ディスプレイ用途(例えば、反射板など)、白色基板用インク、シーラー等として好ましく使用することができる。中でも、LEDパッケージ用の硬化性樹脂組成物(特に、光半導体装置におけるリフレクター用の硬化性樹脂組成物(即ち、リフレクター形成用の硬化性樹脂組成物))として特に好ましく使用することができる。
本発明の硬化物の反射率(初期反射率)は、特に限定されないが、例えば、波長450nmの光の反射率が、90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは93%以上である。特に、450〜800nmの光の反射率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは93%以上である。
本発明の硬化物の、120℃で250時間加熱した後の波長450nmの光の反射率(「加熱エージング後の反射率」と称する場合がある)の、初期反射率に対する保持率([加熱エージング後の反射率]/[初期反射率]×100)は、特に限定されないが、75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。特に、450〜800nmの光の場合の保持率が75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。本発明の硬化性樹脂組成物によれば、コンプレッション成型により形成された硬化物は、上記のように上記保持率を85%以上とすることが可能である。
本発明の硬化物の、強度10mW/cm2の紫外線を250時間照射した後の波長450nmの光に対する反射率(「紫外線エージング後の反射率」と称する場合がある)の、初期反射率に対する保持率([紫外線エージング後の反射率]/[初期反射率]×100)は、特に限定されないが、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。特に、450〜800nmの光の場合の保持率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、上記反射率は、例えば、本発明の硬化物(厚み:3mm)を試験片とし、分光光度計(商品名「分光光度計 UV−2450」、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が光半導体装置におけるリフレクター用の硬化性樹脂組成物である場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、光半導体装置における光半導体素子の基板(光半導体素子搭載用基板)が有するリフレクター(光反射部材)を形成する用途に用いられる成型材料(金型等で成型するのに使用する材料)である。従って、本発明の硬化性樹脂組成物を成型する(かつ硬化させる)ことによって、高い光反射性を有し、耐熱性及び耐光性に優れ、さらに耐クラック性に優れたリフレクターを有する高品質な(例えば、高耐久性の)光半導体素子搭載用基板を製造することができる。なお、リフレクターとは、光半導体装置において光半導体素子から発せられた光を反射させて、光の指向性及び輝度を高め、光の取り出し効率を向上させるための部材である。本発明の硬化物により形成されたリフレクターを少なくとも有する、光半導体素子搭載用に用いられる基板を、「本発明の光半導体素子搭載用基板」と称する場合がある。
<光半導体素子搭載用基板>
本発明の光半導体素子搭載用基板は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物(本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物)により形成されたリフレクター(白色リフレクター)を少なくとも有する基板である。図1は、本発明の光半導体素子搭載用基板の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。図1における100は白色リフレクター、101は金属配線(リードフレーム)、102は光半導体素子の搭載領域、103はパッケージ基板を示す。なお、パッケージ基板103には、金属配線101、さらに白色リフレクター100が取り付けられており、その中央(光半導体素子の搭載領域102)に光半導体素子107が置かれてダイボンディングされ、光半導体素子107とパッケージ基板103上の金属配線101の間はワイヤボンディングで接続される。パッケージ基板103の材質としては、樹脂、セラミックなどが使用されるが、白色リフレクターと同じものであってもよい。本発明の光半導体素子搭載用基板における上側の白色リフレクター100は、光半導体素子の搭載領域102の周囲を環状に取り囲み、上方に向かってその環の径が拡大するように傾斜した凹状の形状を有している。本発明の光半導体素子搭載用基板は、上記凹状の形状の内側の表面が少なくとも本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていればよい。また、図1に示すように、金属配線101に囲まれた部分(102の下部)は、パッケージ基板103の場合もあるし、白色リフレクター100の場合もある(即ち、図1における「100/103」は、白色リフレクター100であってもよいし、パッケージ基板103であってもよいことを意味する)。但し、本発明の光半導体素子搭載用基板は、図1に示す態様には限定されない。
本発明の光半導体素子搭載用基板における白色リフレクターを形成する方法としては、公知乃至慣用の成型方法(例えば、コンプレッション成型等)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、トランスファー成型、コンプレッション成型、インジェクション成型、LIM成型(インジェクション成型)、ディスペンスによるダム成型等の各種成型方法に付す方法等が挙げられる。リフレクターを形成する際の硬化の条件としては、例えば、上述の硬化物を形成する際の条件等から適宜選択することができる。本発明においては、中でも、急激な硬化反応による発泡を防ぎ、硬化による応力ひずみを緩和して靭性(耐クラック性)を向上させることができる点で、多段階に分けて加熱処理を施し、段階的に硬化させることが好ましい。
本発明の光半導体素子搭載用基板を光半導体装置における基板として使用し、該基板に対して光半導体素子を搭載することによって、本発明の光半導体装置が得られる。
<光半導体装置>
本発明の光半導体装置は、光源としての光半導体素子と、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリフレクター(反射材)とを少なくとも備える光半導体装置である。より具体的には、本発明の光半導体装置は、本発明の光半導体素子搭載用基板と、該基板に搭載された光半導体素子とを少なくとも有する光半導体装置である。本発明の光半導体装置は、リフレクターとして本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されたリフレクターを有するため、経時で光の輝度が低下しにくく、信頼性が高い。図2は、本発明の光半導体装置の一例を示す概略図(断面図)である。図2における100は白色リフレクター、101は金属配線(リードフレーム)、103はパッケージ基板、104はボンディングワイヤ、105は封止材、106はダイボンディング、107は光半導体素子(LED素子)を示す。図2に示す光半導体装置においては、光半導体素子107から発せられた光が白色リフレクター100の表面(反射面)で反射するため、高い効率で光半導体素子107からの光が取り出される。なお、図2に示すように、本発明の光半導体装置における光半導体素子は、通常、透明な封止材(図2における105)によって封止されている。
図3、4は、本発明の光半導体装置の他の一例を示す図である。図3、4における108は、ヒートシンク(ケースヒートシンク)を示し、このようなヒートシンク108を有することにより、光半導体装置における放熱効率が向上する。図3は、ヒートシンクの放熱経路が光半導体素子の直下に位置する例であり、図4は、ヒートシンクの放熱経路が光半導体装置の横方向に位置する例である[(a)は上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図を示す]。図4における光半導体装置の側面に突出したヒートシンク108は、放熱フィンと称される場合がある。また、図4における109は、カソードマークを示す。但し、本発明の光半導体装置は、図2〜4に示される態様に限定されない。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1及び表2における硬化性樹脂組成物の各成分の配合量の単位は、重量部である。また、表1及び表2における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを意味する。
製造例1
(ゴム粒子の製造)
還流冷却器付きの1L重合容器に、イオン交換水500g、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.68gを仕込み、窒素気流下に撹拌しながら、80℃に昇温した。ここに、ゴム粒子のコア部分を形成するために必要とする量の約5重量%分に該当するアクリル酸ブチル9.5g、スチレン2.57g、及びジビニルベンゼン0.39gからなる単量体混合物を一括添加し、20分間撹拌して乳化させた後、ペルオキソ二硫酸カリウム9.5mgを添加し、1時間撹拌して最初のシード重合を行った。続いて、ペルオキソ二硫酸カリウム180.5mgを添加し、5分間撹拌した。ここに、コア部分を形成するために必要とする量の残り(約95重量%分)のアクリル酸ブチル180.5g、スチレン48.89g、及びジビニルベンゼン7.33gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.95gを溶解させてなる単量体混合物を2時間かけて連続的に添加し、2度目のシード重合を行い、その後、1時間熟成してコア部分を得た。
次いで、ペルオキソ二硫酸カリウム60mgを添加して5分間撹拌し、ここに、メタクリル酸メチル60g、アクリル酸1.5g、及びアリルメタクリレート0.3gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.3gを溶解させてなる単量体混合物を30分かけて連続的に添加し、シード重合を行った。その後、1時間熟成し、コア部分を被覆するシェル層を形成した。
次いで、室温(25℃)まで冷却し、目開き120μmのプラスチック製網で濾過することにより、コアシェル構造を有するゴム粒子を含むラテックスを得た。得られたラテックスをマイナス30℃で凍結し、吸引濾過器で脱水洗浄した後、60℃で一昼夜送風乾燥してゴム粒子を得た。得られたゴム粒子の平均粒子径は108nm、最大粒子径は289nmであった。
なお、ゴム粒子の平均粒子径、最大粒子径は、動的光散乱法を測定原理とした「NanotracTM」形式のナノトラック粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装(株)製)を使用して試料を測定し、得られた粒度分布曲線において、累積カーブが50%となる時点の粒子径である累積平均径を平均粒子径、粒度分布測定結果の頻度(%)が0.00%を超えた時点の最大の粒子径を最大粒子径とした。なお、上記試料としては、下記製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物1重量部をテトラヒドロフラン20重量部に分散させたものを用いた。
製造例2
(ゴム粒子分散エポキシ化合物の製造)
製造例1で得られたゴム粒子5重量部を、窒素気流下、60℃に加温した状態でディゾルバーを使用して、商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製)100重量部に分散させ(1000rpm、60分間)、真空脱泡して、ゴム粒子分散エポキシ化合物(25℃での粘度:1036mPa・s)を得た。
なお、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物(5重量部のゴム粒子を100重量部のセロキサイド2021Pに分散させたもの)の25℃での粘度は、デジタル粘度計(商品名「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を使用して測定した。
製造例3
表1及び表2に示す配合処方(単位:重量部)で、商品名「リカシッドMH−700」(新日本理化(株)製)、商品名「U−CAT 18X」(サンアプロ(株)製)、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)を、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎 AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤組成物(「K剤」と称する場合がある)を得た。
実施例1
まず、表1に示す配合処方(単位:重量部)に従って、製造例2で得たゴム粒子分散エポキシ化合物、酸化チタン(商品名「DCF−T−17050」、レジノカラー工業(株)製)、及びシリカ(商品名「FB−970FD」、デンカ(株)製)を、ディゾルバーを使用して均一に混合し、ロールミルによって所定条件下(ロールピッチ:0.2mm、回転数:25ヘルツ、3パス)で溶融混練して混練物を得た。
次に、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように上記で得た混練物と、製造例3で得た硬化剤組成物とを自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し(2000rpm、5分間)、脱泡して、硬化性樹脂組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)を得た。
上記硬化性樹脂組成物をポリエステルからなる離型フィルムで挟み込み、150℃のコンプレッション成型用の金型内に置き、3.0MPaの圧力で600秒間加熱及び加圧して硬化させ、その後、ポストキュアー(150℃で5時間)を行うことによって、硬化物を得た。
実施例2〜7、比較例1〜4、7〜11
硬化性樹脂組成物の組成を表1又は表2に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物及び硬化物を調製した。なお、一部の実施例及び比較例においては、硬化性樹脂組成物の構成成分として、製造例2で得たゴム粒子分散エポキシ化合物に代えて又は合わせて、表1又は表2に示す脂環式エポキシ化合物を使用した。
実施例8
表1に示す配合処方(単位:重量部)に従って、製造例2で得たゴム粒子分散エポキシ化合物、酸化チタン(商品名「DCF−T−17050」、レジノカラー工業(株)製)、及びシリカ(商品名「FB−970FD」、デンカ(株)製)を、ディゾルバーを使用して均一に混合し、ロールミルによって所定条件下(ロールピッチ:0.2mm、回転数:25ヘルツ、3パス)で溶融混練して、混練物を得た。
次に、表1に示す配合処方(単位:重量部)となるように、上記で得た混練物と、硬化触媒(商品名「サンエイド SI−100L」、三新化学工業(株)製)とを自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し(2000rpm、5分間)、脱泡して、硬化性樹脂組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)を得た。
上記硬化性樹脂組成物をポリエステルからなる離型フィルムで挟み込み、150℃のコンプレッション成型用の金型内に置き、3.0MPaの圧力で600秒間加熱及び加圧して硬化させ、その後、ポストキュアー(150℃で5時間)を行うことによって、硬化物を得た。
実施例9、比較例5、6、12、13
硬化性樹脂組成物の組成を表1又は表2に示す組成に変更したこと以外は実施例8と同様にして、硬化性樹脂組成物及び硬化物を調製した。なお、一部の実施例及び比較例においては、硬化性樹脂組成物の構成成分として、製造例2で得たゴム粒子分散エポキシ化合物に代えて又は合わせて、表1又は表2に示す脂環式エポキシ化合物を使用した。
なお、実施例1〜9、比較例1、3、4、及び7〜11で得られた硬化性樹脂組成物は、25℃において液状であった。一方、比較例2、5、6、12、及び13で得られた硬化性樹脂組成物は、25℃において固体であった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた硬化物について、下記の評価を実施した。
[初期反射率]
実施例及び比較例で得られた硬化物を切削加工して、長さ30mm×幅30mm×厚み3mmの試験片を作製した。次いで、分光光度計(商品名「分光光度計 UV−2450」、(株)島津製作所製)を用いて、波長450nmの光に対する各試験片の反射率(「初期反射率」とする)を測定した。結果を表1及び表2に示す。
なお、初期反射率が93%以上であれば、光反射用材料として特に優れていると言える。
[加熱エージング前後の反射率保持率]
初期反射率の評価を行った試験片(硬化物;長さ30mm×幅30mm×3mm厚)を用いて、当該試験片を120℃の乾燥機に入れて250時間放置する試験(耐熱試験)を行った後、波長450nmの光の反射率を初期反射率と同様に測定した。そして、下記式により、反射率保持率(加熱エージング前後)を算出した。結果を表1及び表2に示す。
[反射率保持率(加熱エージング前後)]=([加熱エージング後の反射率]/[初期反射率])×100
この反射率保持率が高いほど、硬化物が耐熱性に優れることが示唆される。なお、120℃、250時間加熱後の反射率保持率が85%以上であれば、光反射用材料として耐熱性に特に優れていると言える。
[紫外線エージング前後の反射率保持率]
初期反射率の評価を行った試験片(硬化物;長さ30mm×幅30mm×3mm厚)を用いて、当該試験片に対し、強度10mW/cm2の紫外線を250時間照射する試験(耐光試験)を行った後、波長450nmの光の反射率を初期反射率と同様に測定した。そして、下記式により、反射率保持率(紫外線エージング前後)を算出した。結果を表1及び表2に示す。
[反射率保持率(紫外線エージング前後)]=([紫外線エージング後の反射率]/[初期反射率])×100
この反射率保持率が高いほど、硬化物が耐光性に優れることが示唆される。なお、強度10mW/cm2、250時間照射後の反射率保持率が90%以上であれば、光反射用材料として耐光性に特に優れていると言える。
[切削加工時のクラック有無評価(強靭性評価)]
実施例及び比較例で得られた硬化物を切削加工して、幅5mm×長さ5mm×厚さ3mmの試験片を作製した。上記硬化物の切削加工には、マイクロ・カッティング・マシン(商品名「BS−300CL」、メイワフォーシス(株)製)を使用し、切削加工の際に硬化物にクラックが生じたか否かを、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−900」、(株)キーエンス製)を用いて観察し、確認した。表1及び表2には、1サンプルにつき10個の試験片を作製し、そのうちクラックの発生が確認された試験片の個数[個/10個]を評価結果として示す。
[リフロー時のクラック有無評価(強靭性評価)]
上記切削加工により得られた試験片(幅5mm×長さ5mm×厚さ3mm)に対し、リフロー炉(商品名「UNI−5016F」、日本アントム(株)製)を用いて、260℃を最高温度として5秒間、全リフロー時間を90秒としてリフロー処理を施した。その後、当該リフロー処理により試験片にクラックが生じたか否かを、デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX−900」、(株)キーエンス製)を用いて観察し、確認した。表1及び表2には、1サンプルにつき10個の試験片のリフロー処理を行い、そのうちクラックの発生が確認された試験片の個数[個/10個]を評価結果として示す。
[総合判定]
各試験の結果、下記(1)〜(5)をいずれも満たすものを○(良好)と判定した。一方、下記(1)〜(5)のいずれかを満たさない場合には×(不良)と判定した。
(1)初期反射率:光反射率が93%以上
(2)加熱エージング前後の反射率保持率:反射率保持率が85%以上
(3)紫外線エージング前後の反射率保持率:反射率保持率が90%以上
(4)切削加工時のクラック有無評価:クラックが発生した個数が0個
(5)リフロー時のクラック有無評価:クラックが発生した個数が0個
結果を表1及び表2の「総合判定」の欄に示す。
なお、表1及び表2に示す成分について、以下に説明する。
(エポキシ化合物)
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシ基の当量131、(株)ダイセル製
EHPE3150:商品名「EHPE3150」(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物)、(株)ダイセル製
(硬化剤組成物)
MH−700:商品名「リカシッドMH−700」(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸)、新日本理化(株)製
18X:商品名「U−CAT 18X」(硬化促進剤)、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
(硬化触媒)
サンエイドSI−100L:商品名「サンエイドSI−100L」(硬化触媒)、三新化学工業(株)製
(白色顔料)
DCF−T−17050:商品名「DCF−T−17050」(酸化チタン、平均粒子径0.3μm、最大粒子径1μm以下)、レジノカラー工業(株)製
(無機充填剤)
FB−970FD:商品名「FB−970FD」(シリカ、表面処理なし、平均粒子径16.7μm、最大粒子径70μm)、デンカ(株)製
FB−8S:商品名「FB−8S」(シリカ、表面処理なし、平均粒子径6.7μm、最大粒子径32μm)、デンカ(株)製
10μmSE−CC5:商品名「10μmSE−CC5」(シリカ、エポキシシラン表面処理、平均粒子径10μm、最大粒子径25μm)、(株)アドマテックス製
DAW−1025:商品名「DAW−1025」(アルミナ、平均粒子径7.9μm、最大粒子径32μm)、デンカ(株)製
HF−05:商品名「HF−05」(窒化アルミニウム、平均粒子径5μm、最大粒子径5μm)、(株)トクヤマ製