JP6899115B2 - 水性塗料組成物及びその製造方法 - Google Patents

水性塗料組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性塗料組成物及びその製造方法に関する。
自動車のヘッドランプなどの照明装置は、光源の前方にガラスやプラスチックなどで形成される透明部材が配置され、光源が発する光が当該部材を介して外部に照射されるように構成されている。このような照明装置では、例えば、透明部材の内側に曇りが発生すると、照射光の強度が低下するとともに、照射光の美観が損なわれることがある。そこで、こうした透明部材の内側には、曇りを防止するためのコーティング剤が塗布されていることがある。
このようなコーティング剤として、例えば、特許文献1では、有機溶剤による溶液重合を用いることなく、水垂れ跡の目立たない防曇膜を形成するための技術的手段として、(メタ)アクリルアミド化合物(a−1)と、(メタ)アクリルアミド化合物(a−2)と、(メタ)アクリレート化合物(b)と、アルキル(メタ)アクリレート化合物(c)と、重合開始剤(e)と、乳化剤(f)と、水(g)と、を含む乳化重合用単量体組成物と、その乳化重合用単量体組成物とを乳化重合させて得られる防曇剤組成物が開示されている。
また、特許文献2では、(メタ)アクリル系共重合体と、多官能ブロックイソシアネート化合物と、界面活性剤(アニオン系界面活性剤とベタイン系界面活性剤)と、からなる防曇剤組成物が開示されている。
特開2016−79261号公報 特開2016−169287号公報
しかしながら、特許文献1に記載の防曇剤組成物は、有機溶剤による溶液重合を行うことが無いとしながらも、組成物に含まれる共重合体は、防曇性の発揮に寄与すると思われる(メタ)アクリルアミド系化合物の配合量が少なく、最大でも24質量部にとどまる。このため、防曇剤組成物により形成される塗膜の防曇性能は十分なものではない。
また、特許文献2に記載の防曇剤組成物では、特許文献1と同じく共重合体が含まれている。その共重合体には(メタ)アクリルアミド系化合物が使用され、その配合量も最大で50質量部と、特許文献1の共重合体よりも多い。このため、この防曇剤組成物によれば、高い防曇性能を持つ塗膜が得られる可能性がある。しかし、この共重合体は特許文献1記載の共重合体とは異なり、有機溶剤による溶液重合により得られるものである。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、高い防曇性能を発揮する塗膜を形成することを可能とし、かつ、環境負荷の極めて少ない水性塗料組成物と、該塗料組成物により形成される塗膜、ならびに、該塗膜を備えた物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、水酸基含有モノマーに由来する構成単位、アミド基含有モノマーに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系共重合体と、水分散型イソシアネート化合物と、両性界面活性剤とを組み合わせることにより、得られる塗膜が高い防曇性能を発揮し、かつ、塗料組成物を水性化することが可能であることを見出した。より詳細には、アニオン系反応性乳化剤及びノニオン系反応性乳化剤の存在下で(メタ)アクリル系共重合体を乳化重合をすることで、当該共重合体中のアミド基含有モノマーに由来する構成単位を、25質量%以上65質量%以下という非常に高い割合で配合させることを可能とし、得られた(メタ)アクリル系共重合体に水分散型のイソシアネート化合物を組み合わせることで、防曇性能を持つ塗膜の形成が可能な水性塗料組成物とすることができる。この水性塗料組成物に、さらに両性界面活性剤が加わることで、より高い防曇性能を発揮する塗膜を形成することを可能とした。本発明はこのような知見に基づいて発案されたものである。
したがって、本発明によれば、
(A)水酸基含有モノマーに由来する構成単位、アミド基含有モノマーに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系共重合体、
(B)水分散型イソシアネート化合物、および、
(C)両性界面活性剤、を含み、
前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記アミド基含有モノマーに由来する構成単位の割合が25質量%以上65質量%以下であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体は、アニオン系反応性乳化剤、及び、ノニオン系反応性乳化剤により乳化されている、水性塗料組成物が提供される。
本発明によれば、高い防曇性能を持つ塗膜の形成を可能とする水性塗料組成物が提供される。
本発明の作用メカニズムは定かではないが、以下のように推定される。
本発明の水性塗料組成物から形成される塗膜は、水蒸気が当てられた際、(メタ)アクリル系共重合体中に存在するアミド基によって水蒸気(水分)が吸収されるため、塗膜表面への水滴の付着を防ぐことが出来ると考えられる。しかし、(メタ)アクリル系共重合体が吸収しきれないほどの水蒸気が当てられた場合、水蒸気は塗膜表面に水滴として付着し、水滴が光の乱反射を起こして塗膜表面が曇る可能性がある。
ところが、本発明の水性塗料組成物は両性界面活性剤を配合しており、この両性界面活性剤は、前記(メタ)アクリル系共重合体との熱力学的なエネルギーバランスによって塗膜表面近傍に局在化していると考えられる。そうすると、前記(メタ)アクリル系共重合体によって吸収されずに塗膜表面に付着した水滴は、塗膜に付着後、直ちに水滴(球状)から水膜(平面状)へと変化する。このため、光の乱反射が防止され、曇りによる視認性の悪化を防止することができると推定される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<水性塗料組成物>
本発明は、(A)水酸基含有モノマーに由来する構成単位、アミド基含有モノマーに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系共重合体、(B)水分散型イソシアネート化合物、および、(C)両性界面活性剤、を含み、前記(A)(メタ)アクリル系共重合体は、前記アミド基含有モノマーに由来する構成単位の割合が25質量%以上65質量%以下であり、前記(メタ)アクリル系共重合体は、アニオン系反応性乳化剤、及び、ノニオン系反応性乳化剤により乳化されている、水性塗料組成物に関するものである。
以下、本発明の水性塗料組成物に含まれる各成分について説明する。なお、本明細書において、「〜」は特に断りがなければ以上から以下を表す。また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。また、本発明の水性塗料組成物のことを、単に「本塗料組成物」と呼ぶこともある。
<(A)(メタ)アクリル系共重合体>
本発明の水性塗料組成物は(メタ)アクリル系共重合体を含む。(メタ)アクリル系共重合体は、(a−1)(メタ)アクリルアミド基を有するモノマー、(a−2)水酸基含有エチレン性不飽和モノマー、および、(a−3)その他のエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー組成物を乳化重合して得ることができる。尚、モノマー組成物の成分として以下に例示される(a−1)〜(a−3)の化合物は、それぞれ1種のみを用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
[(a−1)(メタ)アクリルアミド基を有するモノマー]
(a−1)(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーとしては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、より具体的には、アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、水酸基含有(メタ)アクリルアミド、カルボニル基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−プロピルヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピルヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−プロピルヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カルボニル基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
以上で列挙したもののほか、N−アリル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド等も挙げられる。
これらの列挙したモノマーのうち、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーとしては、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含むことが好ましく、その中でも、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド又はN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドを含むことがより好ましい。N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを用いることで、本塗料組成物から形成される塗膜に吸湿性が付与され、後述する両性界面活性剤が持つ効果と相まって、本塗料組成物から形成される塗膜の防曇性能を、より一層向上させることができる。
(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体を構成する全モノマー100質量%に対して、25〜65質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることが特に好ましい。前記モノマーの含有量が25質量%未満であると、塗膜にしたときに防曇性能が十分に発揮できず、一方で、65質量%を越えると(メタ)アクリル系共重合体の乳化重合がうまく進まないためである。
[(a−2)水酸基含有エチレン性不飽和モノマー]
(a−2)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては特に制限はないが、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーは、該モノマーが有する水酸基が後述する水分散型イソシアネート化合物が持つイソシアネート基と架橋反応を生じ、塗膜形成に寄与するものである。また、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーは、得られる(メタ)アクリル系共重合体の貯蔵安定性、機械的安定性、凍結に対する安定性などの諸性能を向上させることができる。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体や末端水酸基のポリオキシアルキレン鎖含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体として、市販されているものとしては、株式会社ダイセル製の、プラクセルFA1(2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルにε−カプロラクトン1モルが開環付加した単量体)、プラクセルFM1D(1モルのε−カプロラクトンを開環付加させた2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、プラクセルFM2D(2モルのε−カプロラクトンを開環付加させた2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、プラクセルFM3(3モルのε−カプロラクトンを開環付加させた2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、プラクセルFM4(4モルのε−カプロラクトンを開環付加させた2−ヒドロキシエチルメタクリレート)などが挙げられる。
これらの列挙したモノマーのうち、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、後述する水分散型イソシアネート化合物との反応性という観点から、1級の水酸基を持つものが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体からなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体を構成する全モノマー100質量%に対して、3〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。特に好ましくは、10〜25質量%である。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの含有量が3質量%以上であると、後述する水分散型イソシアネート化合物との反応により、形成した塗膜の耐水性が向上する傾向があり、50質量%以下であると、(メタ)アクリル系共重合体の重合安定性が向上する傾向がある。
[(a−3)その他のエチレン性不飽和モノマー]
(a−3)その他のエチレン性不飽和モノマーは(メタ)アクリル系共重合体の合成の進行を容易にしたり、合成される(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)の調整など、本塗料組成物の各種特性の調整のために使用する。(a−3)成分としては、特に制限はないが、具体的には、アルキル基含有エチレン性不飽和モノマー、脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和モノマー、フッ素含有エチレン性不飽和モノマー、酸化硬化性基含有エチレン性不飽和モノマー、アリル基含有エチレン性不飽和モノマー、ビニル芳香族モノマーを挙げることができる。
アルキル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
フッ素含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ノナフルオロブチル(メタ)アクリレート、ウンデカフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
酸化硬化性基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
アリル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ビニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。
また、さらに他のビニル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン等を挙げることができる。
これらの列挙したモノマーのうち、その他のエチレン性不飽和モノマーには、アルキル基含有エチレン性不飽和モノマーを含むことが好ましい。アルキル基含有エチレン性不飽和モノマーであれば、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を調整することが容易となる。アルキル基含有エチレン性不飽和モノマーのなかでも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含むことが特に好ましい。
その他のエチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリル系共重合体を構成する全モノマー100質量%に対して、25〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。こうした範囲であれば、(メタ)アクリル系共重合体の合成の進行を容易にしたり、(メタ)アクリル系共重合体のTg調整を容易に行うことができる。
(メタ)アクリル系共重合体は、上記(a−1)〜(a−3)を含むモノマー組成物を乳化重合(乳化共重合)することによって製造することができる。
乳化重合の方法としては、特に制限されず、例えば、温度計、攪拌棒、還流冷却器、滴下ロート等を備えた反応容器内に、前記モノマー組成物と反応性乳化剤と水性液体とを仕込み、反応容器内を昇温させた後、適宜、重合開始剤を添加し、重合反応を進行させる方法(一括仕込み方式)、反応容器内に反応性乳化剤と水性液体を仕込み、反応容器内を昇温させた後、モノマー組成物を滴下し、適宜、重合開始剤を添加し、重合反応を進行させる方法(モノマー滴下法)、あらかじめモノマー組成物を反応性乳化剤と水性液体とで乳化させてプレエマルションを得た後、得られたプレエマルションを反応容器内に滴下し、適宜、重合開始剤を添加し、重合反応を進行させる方法(乳化モノマー滴下法)等が挙げられる。これらの中でも、乳化重合の方法としては、工業的生産性の観点から、乳化モノマー滴下法が好ましい。
乳化重合の際の反応温度としては、例えば、30℃〜100℃の範囲であることが好ましく、特に好ましくは50℃〜90℃である。また、重合時間としては、例えば、0.5時間〜10時間の範囲であることが好ましい。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、通常、(メタ)アクリル系共重合体の乳化重合で使用される公知の重合開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物などが挙げられる。
前記列挙した重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本発明においては、重合開始剤としてはアゾ系化合物を使用することが好ましい。なお、本発明では(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーを使用するため、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物は、重合中にゲル化等の不具合が発生する可能性がある。このため、本発明においては、前記無機過酸化物の使用は好ましくないが、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
使用する重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応のモノマー成分の残存量を低減させるという観点から、モノマー組成物100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましい。より好ましくは1質量部以上3質量部以下であり、特に好ましくは1.5質量部以上2.5質量部以下である。
重合開始剤の添加方法としては、特に限定されるものではないが、その全量を最初から反応容器中に投入しておく方法(一括仕込み)、重合開始剤の一部を反応容器中に投入し、残分を分割添加あるいは滴下する方法(分割仕込み)、重合開始剤の全量を分割添加あるいは滴下する方法(連続滴下)などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、モノマー成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
また、(メタ)アクリル系共重合体の乳化重合の際、メルカプタン系化合物、必要に応じて低級アルコールまたはα−メチルスチレンダイマーなどの分子量調節のための助剤(連鎖移動剤)を用いてもよい。これらの助剤(連鎖移動剤)を用いることは、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進して基材への密着性を向上させるという観点から、好ましい場合が多い。
[反応性乳化剤]
本発明における反応性乳化剤とは、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する乳化剤のことである。こうした反応性乳化剤は、乳化機能を有するだけでなく、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合、及び、親水性基を持つ重合性単量体でもある。通常の乳化剤が生成粒子表面に吸着するだけであるのに対し、反応性乳化剤は、(メタ)アクリル系共重合体の重合過程において、全てではないが、共重合体の一成分として(メタ)アクリル系共重合体に組み込まれることがあるため、塗膜形成後、例えば水蒸気などの外的な要因によって乳化剤が重合体から遊離しない、あるいは、遊離しにくいといった特徴を有する。従って、このような反応性乳化剤を使用した本塗料組成物から形成される塗膜は、その安定性が向上する傾向がある。
本発明においては、(メタ)アクリル系共重合体の安定性や、本発明の塗料組成物から形成される塗膜の耐水性という観点から、反応性乳化剤としては、アニオン系反応性乳化剤とノニオン系反応性乳化剤の両方を併用する。
《アニオン系反応性乳化剤》
アニオン系反応性乳化剤の使用量は、乳化重合の安定性という観点から、(メタ)アクリル系共重合体の合成に用いるモノマー組成物100質量部に対して、2〜10質量部であることが好ましく、2.5〜8質量部であることがより好ましく、3〜6質量部であることが特に好ましい。アニオン系反応性乳化剤の使用量が2質量部未満であると、安定して乳化重合が進まなくなるおそれがあり、10質量部を越えると、得られる塗膜の物性に影響を及ぼすおそれがある。
アニオン系反応性乳化剤としては、例えばアルキルエーテル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製のアデカリアソープSR−10、SR−10N、SR−20N、花王株式会社製のラテムルPD−104など)、スルフォコハク酸エステル型(市販品としては、例えば、花王株式会社製のラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社の製エレミノールJS−2など)、アルキルフェニルエーテル型もしくはアルキルフェニルエステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製のアデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など)、(メタ)アクリレート硫酸エステル型(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製のアントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製のエレミノールRS−30など)、リン酸エステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のH−3330PL、株式会社ADEKA製のアデカリアソープPP−70など)などが挙げられる。本発明で使用するアニオン系反応性乳化剤としては、アルキルエーテル型のアニオン系反応性乳化剤が好ましい。
《ノニオン系反応性乳化剤》
ノニオン系反応性乳化剤の使用量は、乳化重合の安定性という観点から、(メタ)アクリル系共重合体の合成に用いるモノマー組成物100質量部に対して、0.5〜8質量部であることが好ましく、0.75〜6質量部であることがより好ましく、1〜4質量部であることが特に好ましい。ノニオン系反応性乳化剤の使用量が0.5質量部未満であると、安定して乳化重合が進まなくなるおそれがあり、8質量部を越えると、塗料組成物にしたあとの塗装適性が低下したり、得られる塗膜の物性に影響を及ぼすおそれがある。
ノニオン系反応性乳化剤としては、例えばアルキルエーテル型(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製のアデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製のラテムルPD−420、PD−430、PD−450など)、アルキルフェニルエーテル型もしくはアルキルフェニルエステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製のアデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など)、(メタ)アクリレート硫酸エステル型(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製のRMA−564、RMA−568、RMA−1114など)などがあげられる。本発明で使用するノニオン系反応性乳化剤としては、先に説明したアニオン系反応性乳化剤の場合と同様に、アルキルエーテル型のノニオン系反応性乳化剤が好ましい。
アニオン系反応性乳化剤とノニオン系反応性乳化剤の使用総量は、(メタ)アクリル系共重合体の合成に用いるモノマー組成物100質量部に対して、3〜10質量部であることが好ましく、4〜8質量部であることがより好ましい。反応性乳化剤の使用総量が3質量部以上であれば、得られる(メタ)アクリル系共重合を安定して重合できる傾向があり、10質量部以下であれば、塗料組成物にしたあとの塗装適性を良好にしたり、得られる塗膜の耐水性の低下を防ぐことができる。なお、本発明においては、反応性乳化剤はモノマー組成物の総量には算入していない。
また、使用するアニオン系反応性乳化剤とノニオン系反応性乳化剤の比率としては、(アニオン系反応性乳化剤)/(ノニオン系反応性乳化剤)(質量比)=1〜10であることが好ましい。特に好ましくは、2〜4である。
以上のようにして、本発明の(メタ)アクリル系共重合体が合成される。(メタ)アクリル系共重合体の水酸基価は、20〜100mgKOH/gであることが好ましく、30〜90mgKOH/gであることが特に好ましい。水酸基価が20mgKOH/g以上であると、後述する水分散型イソシアネート化合物と反応が進みやすくなる傾向があり、100mgKOH/g以下であると、耐水性が向上する傾向がある。なお、本明細書における水酸基価とは、(メタ)アクリル系共重合体の原料であるモノマー組成物中の水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの配合量から計算により求められる値である。本明細書では、全て固形分当たりの水酸基価とする。
また、(メタ)アクリル系共重合体のTgは、20〜100℃であることが好ましく、さらに好ましくは40〜90℃である。Tgがこのような範囲であれば、塗膜形成後にタック感(べたつき感)の少ない塗膜を形成しやすくなる。なお、本発明においては、(メタ)アクリル系共重合体のTgは、モノマー組成物で使用している各モノマーの配合量から、次の式(I)に基づいて計算により求められたTgを意味する。
(メタ)アクリル系共重合体の原料として用いられるモノマー組成物に含まれている各モノマーの単独重合体のTg(絶対温度:K)とモノマーの質量分率から、以下の式(I)により求める。なお、特殊モノマー、多官能モノマーなどのように、単独重合体のTgが不明のモノマーについては、単独重合体のTgが判明しているモノマーのみを用いてTgを求める。
式(I):1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・+Wn/Tgn
〔式中、Tgは、求めようとしている(メタ)アクリル系共重合体のTg(K)、W1、W2、W3・・・・Wnは、それぞれ各モノマーの質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・・Tgnは、それぞれ各モノマーの質量分率に対応するモノマーからなる単独重合体のTg(K)を示す〕
(メタ)アクリル系共重合体は、前述したアニオン系反応性乳化剤とノニオン系反応性乳化剤により乳化された状態(以下、乳化物という)で、本塗料組成物中に存在していると考えられる。乳化物の平均粒子径としては、50nm〜300nmであることが好ましく、さらに好ましくは70nm〜200nmである。平均粒子径が50nm以上であれば、塗膜外観が良好となる傾向があり、平均粒子径が300nm以下であれば塗膜の耐水性が向上する傾向がある。本発明においては、乳化された(メタ)アクリル系共重合体の平均粒子径は次の測定方法により算出される値である。
測定対象物をイオン交換水にて希釈し、株式会社マルバルーン製「Zetasizer」を用い、25℃にて動的光散乱法にて、粒径測定を行う。得られた結果について、光強度分布よりキュムラント解析(ISO13321)を行い、得られたZ−Averageの値を平均粒子径とする。
<(B)水分散型イソシアネート化合物>
本発明の水性塗料組成物は水分散型イソシアネート化合物を含む。通常、イソシアネート基(NCO基)は水と経時的に反応し得るため、水中での安定性が低い。しかし水分散型イソシアネート化合物は、水中でのイソシアネート基の安定性が良好であり、かつ水性溶媒中への分散性に優れるため、本発明の塗料組成物において、好適に使用することができる。
水分散型イソシアネート化合物はイソシアネート化合物に親水性化合物を導入することにより得られるもので、例えば、イソシアネート化合物に乳化剤を加えたもの(以下、水分散性イソシアネート化合物という)、イソシアネート化合物に親水性基を含む化合物や水溶性樹脂を付加反応(変性)させたもの(以下、自己乳化型イソシアネート化合物という)、並びに、これらのイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックしたものなどが挙げられる。
前記親水性基としては、カルボキシル基およびスルホン酸基等のアニオン性基、第三級アミノ基等のカチオン性基およびポリオキシアルキレン基等のノニオン性基が挙げられる。
水分散型イソシアネート化合物の基本骨格となるイソシアネート化合物としては、具体的には、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物や、これらのイソシアネート化合物のビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型などが挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(若しくは1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などが挙げられる。
これらのイソシアネート化合物のうち、本発明においては、脂肪族イソシアネート化合物が好ましい。脂肪族イソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型であることが特に好ましい。
また、本発明では、水分散型イソシアネート化合物の中でも、自己乳化型イソシアネート化合物(イソシアネート基がブロック化されたものを含む)が好ましい。自己乳化型イソシアネート化合物の中でも、得られる塗膜の耐水性を考慮すると、イソシアネート化合物に親水性基含有化合物を付加反応(変性)させたものが特に好ましい。また、前記親水性基としてはノニオン性基であることが特に好ましい。ノニオン性基の具体的なものとしては、親水性が高いポリオキシエチレン基を含むことが特に好ましい。
水分散型イソシアネート化合物は、自ら製造してもよいし、市販品をそのまま用いてもよい。市販されている水分散型イソシアネート化合物としては、バーノックDNW−5500,DNW−6000(DIC株式会社)、Basonat HW1000,HW180PC,LR9056,LR9080(BASF)、タケネートWD−720,WD−725,WD−730,WB−700,WB−820,WB−920(三井化学株式会社)、デュラネートWB40−100,WB40−80D,WT20−100,WT30−100,WE50−100、WL70−100(旭化成ケミカルズ株式会社)、バイヒジュール3100,304,305,XP2451/1、XP2487/1、XP2547、XP2655、XP2700,DN,DA−L,401−70、アクアネート100、アクアネート105、アクアネート110、アクアネート120、アクアネート130、アクアネート200、アクアネート210(東ソー株式会社)、エラストロンBN−04、エラストロンBN−11、エラストロンBN−27、エラストロンBN−69、エラストロンBN−77(第一工業製薬株式会社)、Easaqua M−501、M−502、XL−600(Vencorex chemicals社)等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本塗料組成物における水分散型イソシアネート化合物の含有量としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部〜80質量部含むことが好ましい。より好ましくは、10質量部〜50質量部であり、特に好ましくは15質量部〜40質量部である。水分散型イソシアネート化合物の量が5質量部以上であると、耐水性が向上する傾向があり、80質量部以下であると、本塗料組成物の可使時間を十分に確保することができる傾向がある。
また、水分散型イソシアネート化合物におけるイソシアネート基含有基数を「NCO」とし、(メタ)アクリル系共重合体の水酸基の含量基数を「OH」とすると、イソシアネート基含有基数NCOを、(メタ)アクリル系共重合体の水酸基含有基数OHで割ることにより得られるNCO/OH比(以下、当量比ということもある)は0.3〜2.5の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、0.5〜2.3の範囲内であり、特に好ましくは0.5〜2.0の範囲内である。NCO/OH比が0.3以上であると、塗膜の耐水性が向上する傾向があり、一方、NCO/OH比が2.5以下であると、本塗料組成物の可使時間を十分に確保することができる傾向がある。
<(C)両性界面活性剤>
本塗料組成物は両性界面活性剤を含む。両性界面活性剤は、塗膜に付着した水滴を水膜へと変化させ、これにより防曇性能を発揮させるという効果を有する。
本発明で使用できる両性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には、アルキルベタイン型両性界面活性剤(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等)、イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)、アミドベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、スルホベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)、アミノ酸型両性界面活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニン等)、アミンオキサイド型両性界面活性剤(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等)等の両性界面活性剤を使用することができる。両性界面活性剤は、1種のみでも2種以上を併用してもよい。
これらの両性界面活性剤の中では、塗膜の親水化性能を向上させる観点から、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、および、スルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、スルホベタイン型両性界面活性剤であることが特に好ましい。
本塗料組成物における両性界面活性剤の含有量としては、(メタ)アクリル系共重合体と水分散型イソシアネート化合物の総量100重量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5質量部〜8質量部の範囲である。両性界面活性剤の量が0.1質量部以上であると、塗膜の防曇性能を発揮しやすくなる傾向があり、両性界面活性剤の量が10質量部以下であると、塗膜の水垂れ跡が目立ちにくくなる傾向がある。
<(D)糖化合物>
本塗料組成物は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分に加えて、(D)糖化合物を含むことができる。この糖化合物は、水との親和性が高く、前述した両性界面活性剤よりも優先して水分を吸着すると考えられる。そうすると、後述する耐蒸気性試験後の水たれ跡評価の際に、両性界面活性剤に起因して発生すると考えられる塗膜の白化を防止する役割を担うことが推測される。糖化合物としては、具体的には、単糖、オリゴ糖、多糖並びにその誘導体等が挙げられ、これらの化合物を単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。
単糖は、C2n(式中、nは3〜10の整数である)で表される化合物で、例えば、グリセロースおよびジヒドロキシアセトン等の三炭糖、エリトロースおよびエリトルロース等の四炭糖、キシロース、リボース、アラビノース、リキソース、リブロース、およびキシルロース等の五炭糖、グルコース、マンノース、ガラクトース、タロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、およびプシコース等の六炭糖などが挙げられる。
オリゴ糖は、2個〜10個の単糖がグリコシド結合により脱水縮合した化合物のことをいう。具体的には、例えば、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、トレハロースおよびマルトース(麦芽糖)等の二糖化合物、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、ゲンチアノース、ケストース等の三糖化合物、スタキオース等の四糖化合物、ベルバスコース(verbascose)等の五糖化合物、マルトヘキサオース等の六糖化合物、ブドウ糖が環状に結合したシクロデキストリンなどが挙げられる。
多糖は、オリゴ糖と同様に、単糖がグリコシド結合により脱水縮合した化合物で、10個を超える多数の単糖が結合した糖のこという。なお、グリコシド結合部位は単糖(主にグルコース)の1,4位、および1,6位間であり、すなわち1つの単糖から、1,4,6位の3方向に結合が延びることができる。末端以外全ての単糖が2方向の結合で構成されている多糖を直鎖状多糖化合物、一部の単糖が3方向の結合により分岐されている多糖を分枝状多糖化合物と呼ぶ。
直鎖状多糖化合物としては、アミロース、ペクチン、キトサン、キチン、ヘパリン、アルギン酸、デキストラン、デフィコール、カラギナン、グルコサミノグリカン、プルランを用いることができる。分枝状多糖化合物としては、アミロペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、デキストラン等が挙げられる。
本発明においては、単糖、オリゴ糖、および多糖化合物のうち、オリゴ糖又は多糖が好ましい。オリゴ糖の中では二糖化合物が好ましく、二糖化合物の中でもトレハロースが特に好ましい。一方、多糖としては、直鎖状多糖化合物が好ましく、直鎖状多糖化合物の中でもプルランが特に好ましい。
単糖、オリゴ糖又は多糖の誘導体としては、具体的には、デオキシ糖、アミノ糖、イオウ糖、分岐糖、ウロン酸、ポリアルコール、糖エステル、および糖エーテル等が挙げられる。これらのうち、本発明においては、糖エステルが好ましく、糖エステルの中でも、ショ糖脂肪酸エステルが特に好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、その脂肪酸が直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12から22のものを好ましく用いることができる。具体的には、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が例示され、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの列挙したショ糖脂肪酸エステルのうち、ショ糖ステアリン酸エステル、および、ショ糖ラウリン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、ショ糖ラウリン酸エステルが特に好ましい。
本塗料組成物における糖化合物の含有量としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系共重合体と水分散型イソシアネート化合物の総量100質量部に対して0.1質量部〜10質量部含むことが好ましく、特に好ましくは2質量部〜6質量部の範囲である。糖化合物の含有量が、0.1質量部以上であれば、水たれ跡評価後の塗膜の白化を低減させる傾向があり、10質量部以下であると、塗膜の透明性が向上する傾向がある。
[その他の成分]
本塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)、(B)、(C)、および、(D)成分以外に、公知の塗料用添加剤を含むことができる。公知の塗料用添加剤としては、例えば、成分(A)以外の共重合体、溶媒、各種の顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、光安定剤(HALS)紫外線吸収剤(UVA)、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、粘性制御剤等などが挙げられる。
[製造方法]
本塗料組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、上記の各構成成分を公知の方法により混合することで製造することができる。例えば、上記の各成分を全て一括で混合し、公知の高速分散機等で撹拌することにより製造することができる。本塗料組成物を製造するに当たっては、前記のように全ての成分を混合し、いわゆる1液型の塗料組成物としても良いし、(メタ)アクリル系共重合体を含む成分と、水分散型イソシアネート化合物を含む成分とをそれぞれ別に製造し、使用する直前にその両方の成分を混ぜ合わせて使用するような、いわゆる2液型の塗料組成物としても良い。この場合、両性界面活性剤や糖化合物は(メタ)アクリル系共重合体を含む成分側と水分散型イソシアネート化合物を含む成分側のどちらに配合するかについては特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系共重合体を含む成分側に配合しておくことがより好ましい。
[塗膜]
本発明の塗膜は、本塗料組成物の硬化物からなるものである。塗膜の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、基材上に、公知の方法により本塗料組成物を塗布し、硬化させることで形成することができる。
本塗料組成物を塗装する基材としては、特に制限はないが、例えば、プラスチック等の有機素材、ガラス、セラミックス及び金属等の無機素材が挙げられる。上記プラスチックとしては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアルキレン及びこれらの混合物が挙げられる。
本塗料組成物を塗布する方法としては、特に制限はないが、例えば、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、エアスプレーコート、エアレススプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等の方法を用いることができる。これらの中でも、エアスプレーコート、エアレススプレーコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、ワイヤーバーコート、フローコートは、より厚みが一定な塗膜が得られるため好ましい。特に好ましくはエアスプレーコート、エアレススプレーコート、である。
本塗料組成物を硬化させる際の雰囲気温度は、特に限定されるものではないが、被塗物である基材の耐熱温度以下の雰囲気温度下であることが好ましい。雰囲気温度として好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜80℃である。
本塗料組成物を硬化させて形成される塗膜の厚みは、特に制限はなく、使用用途により適宜選択すればよいが、1〜100μmであることが好ましく、十分な防曇性能を発揮するために、5〜80μmが好ましい。特に好ましくは、10μm〜50μmである。
[塗装物品]
本発明の塗膜を備える塗装物品としては特に制限はないが、例えば、洗面所鏡、浴室鏡、ゴーグル、保護メガネ、メガネ又はカメラのレンズ、建物の窓、建物の外装材、自動車の窓、自動車ランプ類のレンズ又はカバー、自動車のヘッドランプ、サイドミラー又はルームミラー、カーブミラー、道路反射鏡、農業用ハウスの被覆材料、及び冷凍庫のショーケース等が挙げられ、有機素材、無機素材を問わず使用できる。これら対象となる物品に対して、本塗料組成物を直接塗装することもできるし、あらかじめ、別の基材に塗装してフィルム又はシートにしたものを対象となる物品に貼り付けて使用してもよい。
以下、具体的に実施例を挙げて本発明の説明をするが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<(メタ)アクリル系共重合体を含む組成物の製造>
(合成例1)
まず、ジメチルアクリルアミド(DMAA)40質量部、ジエチルアクリルアミド(DEAA)20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5質量部、およびブチルメタクリレート(BMA)35質量部を混合し、モノマー組成物を作製した。
次に、2、2’−アゾ[2―(2−イミダゾリン―2イル)プロパン](和光純薬工業株式会社製、VA−061)2質量部、アデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製のアニオン系反応性乳化剤)4質量部、アデカリアソープER−10(株式会社ADEKA製のノニオン系反応性乳化剤)1質量部、及び、水120質量部を混合し、乳化剤溶液を作製した。
前記乳化剤水溶液に、前記モノマー組成物を添加混合し、ホモミキサーで撹拌して、モノマー組成物の乳化物を作製した(以下、モノマー乳化液という)。
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えたフラスコに、水100質量部を仕込み80℃に昇温した。次に、モノマー乳化液を2時間かけて滴下し、さらに2時間80℃のまま撹拌して乳化重合を行って(メタ)アクリル系共重合体を合成した。その後、室温まで冷却し、さらに水を添加して濃度を調製し、反応性乳化剤により乳化された(メタ)アクリル系共重合体を25質量%含む乳化組成物(A−1)を得た。
得られた乳化組成物(A−1)に含まれる(メタ)アクリル系共重合体のTgは68℃、水酸基価は22mgKOH/gであった。またその乳化物の平均粒子径は130nmであった。
(合成例2〜20)
表1〜表4記載の配合に従い、合成例1と同様にして、各乳化組成物を製造した。
[重合安定性]
各乳化組成物の製造中に、乳化重合の安定性について目視で観察を行い、以下の評価基準で評価を行った。
◎・・・問題無く重合が可能で、均質な組成物が出来ている。
○・・・重合は進むものの、重合中にフラスコ内壁に析出物が付着した。
△・・・重合は進むものの、重合中に多量の析出物が発生した。
×・・・重合が進まず、(メタ)アクリル系共重合体の乳化物が出来ない。
Figure 0006899115
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表中で使用している原料については以下の通り。
(モノマー)
・DMAA:ジメチルアクリルアミド
・DEAA:ジエチルアクリルアミド
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・プラクセルFA2D:株式会社ダイセル製、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(カプロラクトン2モル付加物、分子量344、水酸基価163mgKOH/g)
・MMA:メチルメタクリレート
・BMA:ブチルメタクリレート
・Sty:スチレン
(開始剤)
・VA−061:2、2’−アゾ[2―(2−イミダゾリン―2イル)プロパン]
(乳化剤)
・SR−10:株式会社ADEKA製のアニオン系反応性乳化剤、アデカリアソープSR−10、エーテルサルフォート型アンモニウム塩、有効成分100%
・ER−10:株式会社ADEKA製のノニオン系反応性乳化剤、アデカリアソープER−10、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル〔オキシアルキレン基の種類:オキシエチレン基(EO)、平均付加モル数:10〕、有効成分100%
・NF−08:第一工業製薬株式会社製のアニオン系非反応性乳化剤、ハイテノールNF−08、ポリオキシレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、有効成分≧95%
・XL−160:第一工業製薬株式会社製のノニオン系非反応性乳化剤、ノイゲンXL−160、ポリオキシレン分岐デシルエーテル、有効成分100%
表1乃至表4から明らかなように、重合性の不飽和結合を持たない非反応性乳化剤を使用したものは、アニオン系、ノニオン系に関わらず、(メタ)アクリル系共重合体を合成することができなかった。また、反応性乳化剤を使用する場合であっても、アニオン系反応性乳化剤もしくはノニオン系反応性乳化剤をそれぞれ単独で使用する限りにおいては(メタ)アクリル系共重合体を合成することができず、アニオン系反応性乳化剤及びノニオン系反応性乳化剤を併用することで(メタ)アクリル系共重合体を合成できることがわかる。また、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーの量が多い場合(合成例16及び17)も(メタ)アクリル系共重合体を合成することができなかった。なお、以降の実施例及び比較例では、重合安定性の評価が「○」「◎」であった組成物についてのみ使用可能と判断して使用した。
<実施例1>
[水性塗料組成物の製造]
合成例1で作製した乳化組成物(A−1)400質量部((メタ)アクリル系共重合体を100質量部含む)に、水分散型イソシアネート化合物(Vencorex chemicals社製、Easaqua M−502、NCO%18.5)9質量部を混合した。さらに、アモーゲンS−H(第一工業製薬株式会社製のラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液、不揮発分30%)7.34質量部を混合し、水性塗料組成物を得た。
なお、使用したアモーゲンS−Hの7.34質量部のうち、不揮発分は2.2質量部である。さらに、(メタ)アクリル系共重合体と水分散型イソシアネート化合物を足し合わせたものを100質量部とした場合の相対部数としては、2質量部(不揮発分)となる。そこで、表中では「2質量部」と記載している(実施例2以降についても同様)。また、実施例2以降で使用している糖化合物についても同様に、(メタ)アクリル系共重合体と水分散型イソシアネート化合物を足し合わせたものを100質量部とした場合の相対部数で記載している。
<実施例2〜実施例19、比較例1〜14>
表5〜9記載の配合に従い、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例19および比較例1〜14の各塗料組成物を得た。
[試験板の作成]
各塗料組成物を、ポリカーボネート板(株式会社エンジニアテストサービス製、サイズ70mm×70mm×2mm)にスプレーで塗装した。得られた塗装物を120℃で60分間加熱して塗料組成物を硬化させ、厚み25μmの塗膜を備えたポリカーボネート板(以下、試験板という)を得た。
<評価>
得られた各試験板について、以下の通り各種の評価を行った。なお、評価結果については、表5〜表9で示す。
[密着性]
JIS K5600−5−6(1999)「塗膜の機械的性質―付着性(クロスカット法)」に基づいた試験を行い、ポリカーボネート基材に対する塗膜の密着性について、以下の評価基準に基づいて評価した。
5・・・カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にもハガレがない
4・・・カットの交差点における塗膜の小さなハガレがあり、剥離部分の面積が5%未満
3・・・剥離部分の面積が5%以上15%未満
2・・・剥離部分の面積が15%以上35%未満
1・・・剥離部分の面積が35%以上
[耐水性]
水を浸み込ませた脱脂綿を試験板に載せ、100gの荷重をかけた状態で往復20回ラビングを行った。ラビング後の塗膜の状態を確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎・・・表面に変化なし
○・・・表面が白化するがすぐに戻る
△・・・塗膜の一部がはがれる
×・・・塗膜が溶解する
[呼気防曇性]
室温25℃、湿度40%の条件下で、試験板に呼気を吹きかけた。呼気を吹きかけた直後の塗膜の状態について目視観察を行い、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎・・・曇りが全く認められない
○・・・5秒以上の呼気吹きかけて曇りが生じる
△・・・曇りが認められるが、呼気の吹きかけ終了後、すぐに曇りが解消する
×・・・曇りが認められ、曇りが解消されるのに10秒以上かかる
[耐蒸気性]
60℃に保った温水浴の水面から5cm上方に、塗膜面が下向きになるように試験板を設置し、温水浴からの蒸気を当てた。蒸気を当ててから90秒後の塗膜の状態について目視で観察を行い、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎・・・曇りが全く認めらない
○・・・曇りはないが、形成された水膜が歪んで見える
△・・・水膜の形成が十分ではなく、若干曇っている
×・・・水膜が形成されず、塗膜面全体白く曇る
[水たれ跡]
耐蒸気性の試験後の試験板を垂直に立てた状態で室温で30分乾燥させた。乾燥後の塗膜上の水たれ跡の状態について目視で観察を行い、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎・・・水たれ跡は確認できない
○・・・光の当て方によって、うっすらと水たれ跡が見える
△・・・水たれ跡がはっきりと見え、若干の塗膜白化が生じる。
×・・・水たれ跡がはっきりと確認でき、塗膜の白化が著しい
[持続性]
60℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、塗膜面が下向きになるように試験板を設置した。温水浴からの水蒸気を塗膜に10秒間当て、その後、5分間常温で乾燥させるというサイクルを1工程とし、当該工程を10回繰り返した。その後、再び水蒸気を10秒間当てた後の塗膜の状態を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎・・・曇りが全く認めらない
○・・・蒸気を当てた直後に一瞬の曇りが認められるが、すぐに水膜が形成されて曇りが解消される
△・・・蒸気を当てた直後に曇りが認められるが、数分後に水膜が形成されて曇りが解消される
×・・・水膜が形成されずに曇る
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表中で使用している原料については以下の通り。
(水分散型イソシアネート化合物)
・Easaqua M−502:Vencorex chemicals社製、水分散型イソシアネート化合物、NCO%18.3
・タケネートWD−725:三井化学株式会社製、水分散型イソシアネート、NCO%15.8
(界面活性剤)
[両性界面活性剤]
・アモーゲンS−H:第一工業製薬株式会社製、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(不揮発分30%)
・アモーゲンCBC:第一工業製薬株式会社製、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン水溶液(不揮発分30%)
・ソフタゾリンLSB:川研ファインケミカル株式会社製、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン水溶液(不揮発分29%)
[アニオン系界面活性剤]
・ネオぺレックス G−65:花王株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(不揮発分65%)
・ハイテノール LA−10:第一工業製薬株式会社製、ポリオキシレンラウリルエーテルスルホン酸アンモニウム(不揮発分100%)
[カチオン系界面活性剤]
・カチオーゲンTML:第一工業製薬株式会社製、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(不揮発分30%)
・カチオーゲンTMP:第一工業製薬株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(不揮発分30%)
[ノニオン系界面活性剤]
・ノイゲンTDX−80:第一工業製薬株式会社製、ポリオキシレントリデシルエーテル(不揮発分100%)
・ノイゲンEA−017:第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(不揮発分100%)
(糖化合物)
・ショ糖ステアリン酸エステル:三菱化学フーズ株式会社製、S−1670(HLB約16)
・ショ糖ラウリン酸エステル:三菱化学フーズ株式会社製、L−1695(HLB約16)
・トレハロース:株式会社林原製、トレハ(登録商標)
・プルラン:株式会社林原製、プルラン
(実施例1〜19)
表5〜9に示すように、本発明の通りの実施例1〜19の塗料組成物では、全ての評価項目で△以上の良好な結果が得られている。なかでも、実施例8〜10の結果より、両性界面活性剤としては、スルホベタイン型両性界面活性剤(ソフタゾリンLSB)が特に好ましいことがわかる。
実施例15〜実施例19の結果より、両性界面活性剤に加えて、さらに糖化合物を添加すると、水たれ跡が改善されることがわかる。また、糖化合物の中では、ショ糖ラウリン酸エステル、もしくは、プルランが特に好ましいことがわかる。
(比較例1〜3)
アミド基含有モノマーに由来する構成単位を持たない(メタ)アクリル系共重合体を使用した比較例1では、耐水性以外では良好な結果が得られていない。さらに、アミド基含有モノマーに由来する構成単位を20質量%含む(メタ)アクリル系共重合体を使用した比較例2では、防曇性能が不十分な結果となった。一方で、水酸基含有モノマーに由来する構成単位を有さない(メタ)アクリル系共重合体を使用した比較例3では、(メタ)アクリル系共重合体と水分散型イソシアネート化合物とが架橋せず、耐水性や水垂れ跡の評価で良好な結果が得られていなかった。すなわち、(メタ)アクリル系共重合体は、アミド基含有モノマーに由来する構成単位、および、水酸基含有モノマーに由来する構成単位の両方を含むことが必要であることがわかる。
(比較例4〜10)
両性界面活性剤を含まない比較例4では、耐蒸気性に乏しい結果となった。また、比較例5〜10で示すように、界面活性剤を含む場合であっても、含まれる界面活性剤がアニオン系、カチオン系、及びノニオン系のいずれかである限りにおいては、耐蒸気性、水垂れ跡、及び、持続性に乏しい結果となった。すなわち、実施例で示すように、界面活性剤としては両性界面活性剤が好ましいことが分かる。
(比較例11〜14)
比較例11〜14で示すように、界面活性剤を含まない一方で、糖化合物を含む場合は、水垂れ跡は向上するものの、耐蒸気性及び持続性に乏しいことがわかる。すなわち、これらの比較例と実施例との対比より、糖化合物は両性界面活性剤の代替となるものではなく、両性界面活性剤と併用されることで、塗膜の防曇性能を向上させることがわかる。

Claims (14)

  1. 水性塗料組成物であって、
    (A)水酸基含有モノマーに由来する構成単位、アミド基含有モノマーに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル系共重合体、
    (B)水分散型イソシアネート化合物、および、
    (C)両性界面活性剤、を含み、
    前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記アミド基含有モノマーに由来する構成単位の割合が25質量%以上65質量%以下であり、
    アニオン系反応性乳化剤、及び、ノニオン系反応性乳化剤により乳化されている、
    水性塗料組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系共重合体は、
    水酸基価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の(メタ)アクリル系共重合体である、
    請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体が有する水酸基と、前記水分散型イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.1以上2.0以下である、
    請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. 前記両性界面活性剤の含有量は、
    前記(メタ)アクリル系共重合体と前記水分散型イソシアネート化合物の総量100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  5. 前記両性界面活性剤が、
    ベタイン型両性界面活性剤である、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  6. 前記ベタイン型両性界面活性剤が、
    アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、および、スルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上である、
    請求項5に記載の水性塗料組成物。
  7. (D)糖化合物をさらに含む、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  8. 前記糖化合物の含有量は、
    前記(メタ)アクリル系共重合体と前記水分散型イソシアネート化合物の総量100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である、
    請求項7に記載の水性塗料組成物。
  9. 前記糖化合物が、
    二糖化合物、直鎖状多糖化合物、および、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、
    請求項7または8に記載の水性塗料組成物。
  10. 前記二糖化合物が、
    トレハロースである、
    請求項9に記載の水性塗料組成物。
  11. 前記直鎖状多糖化合物が、
    プルランである、
    請求項9に記載の水性塗料組成物。
  12. 前記ショ糖脂肪酸エステルが、
    ショ糖ステアリン酸エステル、および、ショ糖ラウリン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、
    請求項9に記載の水性塗料組成物。
  13. 請求項1乃至12記載の水性塗料組成物から形成される塗膜。
  14. 請求項13記載の塗膜を備える製品。。
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