JP6898136B2 - 建具 - Google Patents

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Description

本発明は、建具に関する。
従来より、障子の閉鎖と障子閉鎖時のロックをハンドル等を操作することで連動して行えるものがあった。このような窓は、図29(a)に示すように、ハンドル等を操作して障子90を閉めると、それに連動してロック部材91が下枠に沿ってスライドし、障子90が閉まり切るのと略同時にロック部材91が障子のロック受け92と係合し、障子をロックする。しかし、障子を閉める際に障子に負圧(室内から室外に向けての圧力)がかかっていると、図29(b)に示すように、障子90が開き気味になるため、ロック部材91がロック受け92と係合せず、空掛けとなるおそれがあった。
本発明は以上に述べた実情に鑑み、障子閉鎖時のロックの空掛けを防止できる建具の提供を目的とする。
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、枠と、枠に開閉自在に支持した障子とを備え、枠は、障子の開閉に連動してスライドする引寄せ部材を有し、引寄せ部材は、障子のロック受けと係脱するロック部材を有し、障子が閉まり切る前に引き寄せ部材が室外向きに回転してロック部材がロック受けに係合し、ロック部材がロック受けに係合すると引寄せ部材が室内向きに回転して障子を室内側に引き寄せることを特徴とする。
請求項1記載の発明による建具は、枠に障子の開閉に連動してスライドする引寄せ部材を有し、引寄せ部材は、障子のロック受けと係脱するロック部材を有し、障子が閉まり切る前に引き寄せ部材が室外向きに回転してロック部材がロック受けに係合し、ロック部材がロック受けに係合すると引寄せ部材が室内向きに回転して障子を室内側に引き寄せるので、障子が開いた状態のときに引き寄せ部材を枠から室外側に飛び出さないように配置することが可能で引き寄せ部材が邪魔にならない上、障子閉鎖時に障子に負圧がかかっていてもロックの空掛けを防止できる。
本発明の建具の一実施形態を示す室内側正面図である。 図1のA−A断面図であって、障子が開いた状態(自然換気状態)を示す。 図2の上部を拡大して示す縦断面図である。 図1のB−B断面図であって、障子が閉鎖した状態を示す。 図1のA−A断面図であって、障子が全開した状態(強制換気状態)を示す。 (a)はストッパー装置の側面図、(b)はストッパー装置の室内側正面図である。 障子が閉鎖した状態から自然換気状態までのストッパー装置の動作を示す説明図である。 障子が閉鎖した状態から強制換気状態までのストッパー装置の動作を示す説明図である。 強制換気状態から障子が閉鎖するまでのストッパー装置の動作を示す説明図である。 図1のC−C断面図であって、障子が開いた状態(自然換気状態)を示す。 開閉操作手段の動作を示す説明図である。 ロック装置を示す平面図である。 ロック装置を示す縦断面図である。 ロック装置を示す斜視図である。 ロック装置の動作を示す説明図である。 (a)は衝撃吸収装置の第1実施形態を示す平面図、(b)は同側面図である。 第1実施形態の衝撃吸収装置の斜視図である。 (a)は障子が閉鎖した状態における第1実施形態の衝撃吸収装置の平面図であり、(b)は同側面図である。 第1実施形態の衝撃吸収装置の動作を示す説明図である。 衝撃吸収装置の第2実施形態を示す側面図である。 第2実施形態の衝撃吸収装置の動作を示す説明図である。 (a)は衝撃吸収装置の第3実施形態を示す正面図、(b)は同側面図である。 第3実施形態の衝撃吸収装置を縦枠に取付けた場合の動作を示す説明図である。 (a)は第3実施形態の衝撃吸収装置を障子の下框に取付けた場合の平面図であり、(b)は同側面図である。 第3実施形態の衝撃吸収装置を障子の下框に取付けた場合の動作を示す説明図である。 第3実施形態の衝撃吸収装置を障子の下框に取付けた場合の動作を示す説明図である。 本発明に係る建具の他の実施形態を示す正面図である。 同建具の側面図である。 (a)は図26のD−D断面図であり、(b)は同じ位置での断面図であって、戸をストッパー装置により停止させた状態を示す。 (a)は従来の建具の障子のロック装置を示す平面図と側面図であって、正常にロックが掛かった状態、(b)は同じく従来の建具の障子のロック装置を示す平面図と側面図であって、ロックが空掛かりとなった状態を示す。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜19は、本発明に係る建具の一実施形態を示している。本建具は、図1に示すように、上枠19と下枠20と左右の縦枠3,3を枠組みし、左右の縦枠3,3の中間部に無目21を架設し、上枠19と無目21の中間部に方立4を架設して枠1が構成され、無目21と下枠20間の開口部にはガラスパネル22を嵌め込んで嵌め殺し窓が構成してあり、上枠19と無目21間の開口部には、障子(戸)2,2が室外側に開く自然換気窓が連窓状に設けてある。左右の縦枠3,3の下部には、各障子2の開閉操作を行うハンドル23が設けてある。
障子2は、上框24と下框25と左右の縦框26,26とを四周框組みし、その内側にガラスパネル27を嵌め込んで構成してある。縦框26の上端部には、図3,4に示すように、スライド軸5が側方に突出して設けてあり、スライド軸5の先端部にはローラー28が取付けてあり、該ローラー28は縦枠3と方立4の内周側面に長手方向に沿って設けたガイドレール29に案内してある。これにより障子2は、上端部が上下方向にスライド自在に、且つ回転自在に、縦枠3及び方立4と連結されている。
図2に示すように、縦枠3及び方立4の内周側面の上枠19と無目21の略中央の位置には、障子支持アーム30の一端部が回転自在に連結されており、障子支持アーム30の他端部は、障子2の縦框26の外周側面の上下方向中央位置よりも上側で回転自在に連結されている。
このように障子2は、スライド軸5と障子支持アーム30とで枠1に支持され、スライド軸5が下方にスライドし且つ障子支持アーム30が室外側に回動することで室外側に開く。本建具は、障子2が開くにつれて障子2の重心が若干下方に移動するようになっており、そのため無風状態では重力により障子2が開こうとし、また、僅かな自然風や室内外の気圧差により障子2がスムーズに開閉するようになっている。
左右の縦枠3,3の内周側面には、図1に示すように、ハンドル23の操作に連動して上下にスライドする縦スライドバー31が設けてあり、縦スライドバー31の上端部には障子2の開閉を制御する開閉操作手段32が設けてある。開閉操作手段32は、図10に示すように、障子支持アーム30の縦枠3側の回転軸75の近傍に位置し、縦スライドバー31と共に上下動する操作部材33と、障子支持アーム30の外周面に突設した開閉操作ピン34とから構成されている。
操作部材33は、上方に位置する上方リブ35と、下方に位置する下方リブ36と、上方リブ35と下方リブ36とを連結する連結部37を有している。上方リブ35は、室内側から室外側に向かって上向きに傾斜した傾斜部35aと、傾斜部35aの上端より鉛直にのびる鉛直部35bを有している。下方リブ36は、室外側から室内側に向かって下向きに傾斜した傾斜部36aと、傾斜部36aの下端より下方にのびる鉛直部36bを有している。
障子2が閉鎖した状態では、操作部材33は最も上昇した位置にあって、図11(a)に示すように、下方リブ36の鉛直部36bに開閉操作ピン34が当接することで、障子支持アーム30の室外側への回動が規制され、障子2が閉鎖状態にロックされている。
ハンドル23を障子開き側に操作すると、図11(c)に示すように、操作部材33が下降して開閉操作ピン34が下方リブ36の鉛直部36bより離脱し、開閉操作ピン34が上方リブ35の傾斜部35aと下方リブ36の傾斜部36aの間の範囲で障子支持アーム30が自由に動ける状態となり、このとき障子2は自然風や室内外の気圧差により開閉する状態(自然換気状態)となる。
図11(c)に示す自然換気状態からハンドル23を障子閉じ側に操作すると、図11(b)に示すように、操作部材33が上昇し、開閉操作ピン34が下方リブ36の傾斜部36aに押されることで障子支持アーム30が室内側に回動し、それに伴って障子2が閉じる。
一方、図11(c)に示す自然換気状態からハンドル23を障子開き側に操作すると、図11(d)に示すように、操作部材33が下降し、開閉操作ピン34が上方リブ35の傾斜部35aに押されることで障子支持アーム30が室外側に回動し、それに伴って障子2が開く。
その後、ハンドル23をさらに障子開き側に操作し、操作部材33が最も低い位置まで下降すると、図11(e)に示すように、開閉操作ピン34が上方リブ35の鉛直部35bに当接することで障子支持アーム30が約45°傾いた状態でロックされ、障子2が約45°開いた全開状態に維持される(強制換気状態)。
障子2のスライド軸5を案内するガイドレール29は、図3に示すように、方立4の長手方向と平行な鉛直部29aと、鉛直部29aの上端と連続し室内側に向けて傾斜した傾斜部29bを有している。障子2が閉鎖する際、スライド軸5が傾斜部29bに沿って上昇することで障子2の上部が室内側に引き寄せられ、上枠19のタイト材38に圧接する。鉛直部29aの下端部には、下限ストッパー39が設けてあり、障子2が全開したとき(強制換気状態)にスライド軸5が下限ストッパー39に当接する。
図3に示すように、方立4の内周側面のガイドレール29の室内側位置には、自然換気状態において障子2を一定の位置で停止するためのストッパー装置6が設けてある。ストッパー装置6は、図6に示すように、方立4の内周側面に取付けられるベース40と、ベース40上に立設した支軸41に回転自在に軸支したストッパー7と、ベース40上に取付けた回転式ダンパーを8有している。
ストッパー7は、室外側に向けて突出しスライド軸5の軌跡上に位置する突部42と、支軸41の下側に支軸41と同心円状に設けたギヤ部43を有している。支軸41の根元側には、ストッパー7を時計方向に回転する向きで付勢するバネ44が保持してあり、バネ44の一端部44aはベース40上に立設したバネ掛け軸45に係止し、バネ44の他端部44bはストッパー7に係止している。ベース40上には、前記バネ44がストッパー7を時計方向に回転させる力を止めるストッパー軸46が設けてあり、これによりストッパー7は、スライド軸5と接触していない状態では、図6に示す定位置に保持されている。支軸41の先端側には、ストッパー7を反時計方向に回転する向きで付勢するバネ47が設けてある。この支軸先端側のバネ47は、支軸根元側のバネ44よりも弱いものとなっている。
回転式ダンパー8は、市販のものであって、回転軸48に取付けたピニオンギヤ49がストッパー7のギヤ部43と噛み合い、ストッパー7が支軸41回りに回転するとそれに連動して回転軸48が回転し、抵抗が生ずるものである。抵抗の強さは、回転軸48の回転速度が速くなるにつれて大きくなる。また回転式ダンパー8は、回転軸48が時計回りに回転するときに抵抗が強く、回転軸48が反時計回りに回転するときは抵抗が弱いものとなっている。
図7は、障子2が閉鎖した状態から自然換気状態までのストッパー装置6の動作を示している。図7(a)は、障子2が閉鎖した状態を示しており、このときスライド軸5はガイドレール29上部の傾斜部29bに位置しており、ストッパー7から離れている。
ハンドル23を障子開き側に操作すると、先に説明したように操作部材33による障子支持アーム30のロックが解除されると共に、ハンドル操作に連動して無目21上をスライドする障子押出し部材71(図24,25参照)が障子2の下部を室外側に押すことで障子2が開き、それに伴ってスライド軸5が下降し、図7(b)に示すように、スライド軸5がストッパー7の突部42に接触する。ストッパー7は、スライド軸5に押されて反時計回りに回転し、すると支軸根元側のバネ44によりストッパー7を時計回りに押し返す力が働くと共に、回転式ダンパー8によりストッパー7の回転を抑える抵抗が働く。
図7(c)に示すように、障子2に負圧を受けるなどして障子2がさらに開いてスライド軸5が下降すると、スライド軸5に押されることでストッパー7が反時計回りに回転し、支軸根元側のバネ44がストッパー7を時計回りに押し返し、同時に回転式ダンパー8によりストッパー7の回転を抑える抵抗が働く。
その後、スライド軸5の下向きの力が支軸根元側のバネ44の反力よりも小さくなると、図7(d)に示すように、支軸根元側のバネ44の反力により、ストッパー7は図7(b)の位置まで戻る。
このように本建具は、スライド軸5がストッパー7に当接することで、無風状態のときに障子2を一定の位置で停止することができ、また、自然風や室内外の気圧差により、スライド軸5が図7(a)に示す障子閉鎖時の位置から、図7(d)に示すストッパー7に当接する位置までの範囲で上下動するのに伴って自然に開閉し、換気がなされる(自然換気状態)。ストッパー7がスライド軸5に押されて定位置から回転したときに、ストッパーを押し返すバネ44と、ストッパー7の回転に対して抵抗を与える回転式ダンパー8を備えているので、障子2を定位置に停止する際の衝撃を吸収し、障子2のばたつきを抑えられる。
図8は、障子2が閉鎖した状態から強制換気状態までのストッパー装置6の動作を示している。図8(a)に示すように、障子2が閉鎖した状態ではスライド軸5はストッパー7から上方に離間しており、ストッパー7は定位置に停止している。
ハンドル23を障子開き側に操作して障子2が開くと、図8(b)に示すように、スライド軸5が下降してストッパー7に当接し、ストッパー7はスライド軸5に押されて反時計回りに回転する。このとき、支軸根元側のバネ44によりストッパー7を時計回りに押し返す力が働き、且つ回転式ダンパー8によりストッパー7の回転に対して抵抗が働く。
その後、ハンドル23をさらに障子開き側に操作すると、図8(c)に示すように、ストッパー7はスライド軸5に押されてさらに反時計方向に回転し、ギヤ部43のピニオンギヤ49との噛み合いが外れる。これにより回転式ダンパー8の抵抗がなくなり、ハンドル23の操作力が小さくなる。
その後、ハンドル23をさらに障子開き側に操作すると、図8(d)に示すように、スライド軸5がストッパー7を超えて下方にスライドし、ガイドレール29下端部の下限ストッパー39に当接して停止する。これにより障子2が約45°開いた状態で保持される。ストッパー7は、スライド軸5がストッパー7の突部42を超えて下にスライドした後、支軸根元側のバネ44の反力により時計回りに回転し、図8(a)の障子閉鎖時の状態に復帰する。このとき、回転式ダンパー8の回転方向は逆向き(反時計方向)になるので抵抗は小さい。
このように本建具は、スライド軸5のストッパー7を回転式とし、スライド軸5がストッパー7を超えて下方に移動することで、強制換気状態にできる。強制換気状態にする際には、ギヤ部43とピニオンギヤ49の噛み合いが外れることで回転式ダンパー8の抵抗が働かないため、操作力を小さくできる。
図9は、強制換気状態から障子が閉鎖した状態までのストッパー装置6の動作を示している。図9(a)に示すように、強制換気状態ではスライド軸5はストッパー7から下方に離間しており、ストッパー7は定位置に停止している。
ハンドル23を障子閉じ側に操作すると、図9(b)に示すように、障子2が閉まるのに伴ってスライド軸5が上昇し、スライド軸5がストッパー7の突部42に下から接触する。
その後、ハンドル23をさらに障子閉じ側に操作すると、図9(c)に示すように、スライド軸5に押されてストッパー7が時計回りに回転する。このとき、支軸先端側の弱いバネ47の反力のみが生じ、支軸根元側のバネ44の反力は生じない。また、ギヤ部43がピニオンギヤ49から外れるため、回転式ダンパー8の抵抗も生じない。
その後、ハンドル23をさらに障子閉じ側に操作すると、図9(d)に示すように、スライド軸5がストッパー7の突部42を乗り越えて上方にスライドし、ストッパー7は支軸先端側のバネ47の反力により、元の位置に復帰する。
以上に述べたように本建具は、障子2のスライド軸5が方立4のストッパー7に当たることで障子2を定位置で停止することができ、連窓の複数の障子2,2が同じ定位置で停止することで、統一感があり見た目が良い。また、スライド軸5に押されてストッパー7が定位置から動いたときにダンパー8が働くので、障子2を定位置に停止する際の衝撃を吸収できる。
ストッパー7は、スライド軸5と当接し得る定位置に向けて付勢してあるので、ストッパー7が定位置から動いてダンパー8が働いた後、ストッパー7を定位置に戻すことができる。
ストッパー7は回転可能に設けてあり、ダンパー8はストッパー7と噛み合う回転式ダンパー8としたので、ストッパー装置6をコンパクトにでき、建具のサイズによらず取付可能である。
さらに本建具は、スライド軸5がストッパー7を超えて移動可能なため、障子2を定位置より大きく開けることも可能である。
本建具は、障子2のスライド軸5が縦枠(方立4)のストッパー7に当接することで、自然換気状態における障子2の最大開き角度を定位置に設定できるので、窓を左右に並べて配置したときに左右の障子2,2が同じ位置で停止するため、統一感があり見た目が良い。また、スライド軸5がストッパー7を超えて移動することで、強制換気状態にできる。
さらに本建具は、スライド軸5がストッパー7に当接しているときにストッパー7の動きを抑えるダンパー8を備えているので、障子2を停止する際の衝撃を吸収し、障子2のばたつきを抑えられる。また、ストッパー7がスライド軸5に押されて所定の角度以上回転すると、回転式ダンパー8の抵抗がなくなるので、強制換気状態にする際の操作力を小さくできる。
本建具は、ハンドル23を障子閉じ側に操作して障子2を閉鎖した際、閉鎖動作と連動して障子2のロックを行うロック装置9を備えている。図12,13に示すように、無目21の上面には横スライドバー51が無目21の長手方向にスライド自在に設けてあり、横スライドバー51は、図1に示すように、縦枠3に沿ってスライドする縦スライドバー31とコーナードライブ52により連結してある。したがって、ハンドル23を操作して縦スライドバー31が上下にスライドすると、横スライドバー51がそれに連動して左右にスライドする。
ロック装置9は、図12〜14に示すように、横スライドバー51に垂直な支軸53で回動可能に軸着した引寄せ部材10と、引寄せ部材10の前記支軸53と反対側の室外側に設けたロックピン11と、障子2の下框25に設けてあり、ロックピン11と係脱するロック受け12を有している。引寄せ部材10には、左右方向に沿って長孔54が設けてあり、長孔54には左右方向の一方側に偏った位置に室内側に向けて突出した谷部55を有している。無目21には姿勢規制ピン56が固定して設けられ、該姿勢規制ピン56は引寄せ部材10の長孔54に挿入されている。引寄せ部材10は、バネ57により時計方向に回転する向きで付勢されている。引寄せ部材10の先端部室外側には、引寄せ部材10が障子2と衝突するのを防ぐためにゴムローラー58が取付けてある。
図15(a)に示すように、障子2が開いた状態(自然換気状態又は強制換気状態)のときには、引寄せ部材10は左側にスライドした位置にあって、無目21に固定した姿勢規制ピン56が長孔54の谷部55より右側の無目21の長手方向と平行な室内側縁54aに係止し、引寄せ部材10は無目21の長手方向と平行な向きに保持されている。
ハンドル23を障子閉じ側に操作すると、障子2が閉まるにつれて引寄せ部材10が右側にスライドし、図15(b)に示すように、ロックピン11が障子2のロック受け12と接触するよりも前に、無目21に固定した姿勢規制ピン56が引寄せ部材10の長孔54の谷部55に入り込むことで、引寄せ部材10が支軸53を支点に室外側に回転する。これによりロックピン11が室外側に移動し、障子2のロック受け12を迎えに行くような形になる
その後、図15(c)に示すように、無目21に固定した姿勢規制ピン56が引寄せ部材10の長孔54の谷部55内を移動する間に、引寄せ部材10のロックピン11が障子2のロック受け12と接触する。
その後、引寄せ部材10が右方向に引っ張られながら、無目21に固定した姿勢規制ピン56が引寄せ部材10の長孔54の谷部55の傾斜部55aに乗り上げることで、引寄せ部材10が支軸53を支点に室内向きに回転し、このとき既にロックピン11がロック受け12と係合しているため、障子2が室内側に引き寄せられる。
その後、図15(e)に示すように、無目21に固定した姿勢規制ピン56が引寄せ部材10の谷部55より左側の無目長手方向と平行な室内側縁54bに乗り上げることで、引寄せ部材10が無目21の長手方向と平行な向きに戻り、障子2が閉鎖しロックされた状態となる。
以上に述べたように本建具は、枠1(無目21)に障子2の開閉に連動してスライドする引寄せ部材10を有し、引寄せ部材10は、障子2のロック受け12と係脱するロック部材(ロックピン)11を有し、障子2が閉まり切る前の状態でロック部材11がロック受け12に係合し、ロック部材11がロック受け12に係合すると引寄せ部材10が室内向きに回転して障子2を室内側に引き寄せるので、障子閉鎖時に障子2に負圧がかかっていてもロックの空掛けを防止できる。
引き寄せ部材10は、障子2が開いた状態で枠1(無目21)の長手方向と平行な姿勢になっており、障子2が閉まる時にいったん室外向きに回転してから室内向きに回転するので、障子2が開いているときに引寄せ部材10が枠1の見込寸法内に納まり、引寄せ部材10が邪魔にならない。
さらに本建具は、図1,2に示すように、自然換気状態で障子2が強風にあおられて勢いよく閉まったときに、その衝撃を吸収するための衝撃吸収装置13を備えている。図16〜19は、衝撃吸収装置13の第1実施形態を示している。この衝撃吸収装置13は、枠1(方立4)の内周側面に取付けたものであって、方立4にネジで固定したベース59と、ベース59に軸支した衝撃吸収アーム14と、ベース59に取付けた回転式ダンパー17を有している。
衝撃吸収アーム14は、ベース59に立設した回転軸60に軸支した第1のアーム14aと、第1のアーム14aよりも上方位置の別の回転軸61により軸支した第2のアーム14bの2つのアームで構成されており、第2のアーム14bは、図17に示すように、室外側に向けて回転するようにバネ62で付勢してあり、第2のアーム62の先端部に設けたピン63が第1のアーム14aに設けた長孔64に係止しており、障子2が開いた状態では前記ピン63が前記長孔64の回転軸60側の端部に係止し、衝撃吸収アーム14は約45°傾いて枠1から室外側に飛び出した姿勢に保持される。第1のアーム14aの先端部には、障子当接部となるゴムローラー18が設けてある。ゴムローラー18は、衝撃吸収アーム14が障子2に押されて室内側に回動するときの作用点となるものであり、図18(a)に示すように、障子2の縦框26の室外側に外周側に突出して設けられたフィン66に当接するものである。第1のアーム14aの回転軸60に対してゴムローラー18(作用点)の反対側には、ギヤ15が第1のアーム14aに固定して設けてあり、障子閉鎖時に第1のアーム14aが室内側に向けて回転すると、ギヤ15も回転軸60を中心として回転する。
回転式ダンパー17は、第1のアーム14aの回転軸60の下方に配置されており、回転軸68に取付けたピニオンギヤ16が衝撃吸収アーム14のギヤ15と噛み合い、衝撃吸収アーム14が回転するとそれに連動して回転軸68が回転し、抵抗が生ずるものである。抵抗の強さは、回転軸68の回転速度が速くなるにつれて大きくなる。衝撃吸収アーム14のギヤ15と回転式ダンパー17のピニオンギヤ16のピッチ円直径の比は6:1になっており、したがって衝撃吸収アーム14の回転に対して回転式ダンパー17の回転が6倍に増速される。
自然換気状態において障子2が正圧を受けて閉まると、図19に示すように、ゴムローラー18が障子2に押されて衝撃吸収アーム14が室内側に向けて回転する。このとき、バネ62により衝撃吸収アーム14を室外側に押し返す反力が作用すると共に、回転式ダンパー17が衝撃吸収アーム14の動きに連動して回転することで、衝撃吸収アーム14の回転を抑える抵抗が生ずる。これにより障子2が閉まる際の衝撃が吸収され、騒音の発生、障子2や枠1の破損を防止できる。
回転式ダンパー17による抵抗の強さは、衝撃吸収アーム14の動くスピードに応じて強くなるため、風速5m以下では衝撃吸収アーム14の動くスピードがゆっくりなので、回転式ダンパー17の抵抗は弱く、専らバネ62により衝撃を吸収する。風速5m以上になると、衝撃吸収アーム14の動きが速くなるので、主に回転式ダンパー17で衝撃を吸収する。
ハンドル23を操作して障子2を閉じる際には、衝撃吸収アーム14がゆっくり動くため、回転式ダンパー17の抵抗は弱くなる。障子2が閉鎖すると、図18に示すように、衝撃吸収アーム14を含めて衝撃吸収装置13の全体が枠1の見込み内に納まる。
以上に述べたように本建具は、障子2が閉まる際の衝撃を吸収する衝撃吸収装置13を備えているので、障子2が風を受けて閉まる際の衝撃を吸収し、窓の破損や衝撃音を防止できる。衝撃吸収装置13は、障子2の閉鎖に伴って回動する衝撃吸収アーム14と、衝撃吸収アーム14の回転軸60に対して作用点(ゴムローラー18)の反対側においてギヤ15,16を介して衝撃吸収アーム14の動きに連動して回転する回転式ダンパー17とで構成したので、構造が簡単で、安価にできる。
衝撃吸収装置13は、障子2が開いた状態で衝撃吸収アーム14先端の障子当接部(ゴムローラー18)が枠1の室外側に飛び出しており、障子当接部の室内外方向のストロークが大きいため、障子2の動きを制御できる範囲が大きく、衝撃吸収性能が高い。しかも、障子2が閉鎖した状態では衝撃吸収装置13の全体が枠1の見込み内に納まり、衝撃吸収装置13が枠1の室内側に突出しないことで、衝撃吸収装置13が邪魔にならず、また、窓の内観意匠を向上できる。
回転式ダンパー17は、ギヤ15,16を介して衝撃吸収アーム14の動きに連動して回転するようにしたので、衝撃吸収アーム14の回転に対して回転式ダンパー17の回転を速く・大きくでき、それにより小型のダンパーで効率よく衝撃を吸収することができる。
図20は、衝撃吸収装置13の第2実施形態を示している。本実施形態も枠1に取付けられるものであって、障子当接部となるゴムローラー18がギヤ15が取付けられた第1のアーム14aではなく、バネ62で付勢された第2のアーム14bの先端部に取付けてある。第1のアーム14aには第2のアーム14bに取付けたピン63が係合する長孔64が設けてあり、該長孔64は両端部に第1のアーム14aの長手方向に対して傾斜した傾斜部64a,64bを有し、中間部に第1のアーム14aの長手方向と平行な平行部64cを有する波形の形状となっている。
この衝撃吸収装置13は、第2のアーム14bが障子2に押されて回転し、ギヤ15が取付けられた第1のアーム14aは長孔64に係合したピン63に引っ張られて回転する。障子2に当接する初期段階においては、図21(a)に示すように、ピン63が長孔64の傾斜部64aに位置するため、第2のアーム14bの回転量に対して第1のアーム14aの回転量が小さくなり、したがって回転式ダンパー17の抵抗が小さい。ある程度室内側に回転すると、図21(b),(c)に示すように、ピン63が長孔64の平行部64cに位置するため、第1のアーム14aの回転量が第2のアーム14bの回転量とほぼ同じになり、したがって回転式ダンパー17の抵抗が強くなる。障子2が閉まり切る直前になると、図21(d)に示すように、ピン63が長孔64の傾斜部64bに位置するため、第2のアーム14bの回転量に対して第1のアーム14aの回転量が小さくなり、したがって回転式ダンパー17の抵抗が小さい。
このように本実施形態の衝撃吸収装置13は、障子当接部(ゴムローラー18)が障子2に当接してから障子2が閉鎖するまでの衝撃吸収アーム14の動きの中で、初めと終わりに抵抗を弱く、中間で抵抗を強くすることができ、これによりハンドル23を操作して障子2を閉じる際に、違和感なくスムーズに操作できる。
図22は、衝撃吸収装置13の第3実施形態を示している。この衝撃吸収装置13は、衝撃吸収アーム14が単一のアームで構成され、その先端部に作用点となるゴムローラー18が設けてあり、衝撃吸収アーム14の回転軸60に対してゴムローラー18と反対側にギヤ15が設けてあり、ギヤ15が回転式ダンパー17の回転軸68に取付けたピニオンギヤ16と噛み合っている。衝撃吸収アーム14は、バネ62によりゴムローラー18が室外側に突出する向きで付勢されており、ベース59に固定したピン70を衝撃吸収アーム14に設けた長孔64に係合することで、衝撃吸収アーム14の可動範囲を規制している。本衝撃吸収装置13は、障子2が開いた状態のときも全体が枠1の見込み内に納まっている。
本衝撃吸収装置13は、図23に示すように、方立4の内周側面のガイドレール29の下部付近に取付けられ、障子2が閉まる際にゴムローラー18が障子支持アーム30に当接して押されることで衝撃吸収アーム14が室内側に回転し、バネ62の反力と回転式ダンパー17の抵抗により、障子2が閉まる際の衝撃を吸収できる。
第3実施形態の衝撃吸収装置13は、図24に示すように、障子2の下框25に取付けることもできる。図中の符号71は、横スライドバー51と共に左右にスライドし、障子2を開く際に障子2の下部を室外側に押出すための障子押出し部材である。
図25−1(a)に示すように、障子2が閉鎖した状態では、障子押出し部材71は衝撃吸収アーム14のゴムローラー(枠当接部)18の横に逃げた位置にある。
ハンドル23を障子開き側に操作すると、図25−1(b)に示すように、障子押出し部材71が衝撃吸収装置13側にスライドし、ゴムローラー18が障子押出し部材71の傾斜面71aによって押されることで、障子2が開く。
自然換気状態のときは、図25−1(c)に示すように、衝撃吸収アーム14のゴムローラー18が障子押出し部材71の室外側に対向する位置にあり、障子2が自然風や室内外の気圧差によって閉じると、図25−2(d)に示すように、ゴムローラー18が枠1の障子押出し部材71に当接することで衝撃吸収アーム14が回転し、バネ62の反力と回転式ダンパー17の抵抗により、障子2が閉まる際の衝撃が吸収される。
ハンドル23を操作して障子2を閉鎖する際には、図25−2(e)に示すように、障子2が閉まるにつれて障子押出し部材71が側方にスライドするため、衝撃吸収装置13が障子2の閉鎖を妨げず、ハンドル23の操作力が重くならない。
図26〜28は、本発明に係る建具の他の実施形態を示している。本建具は、ハンガー式の間仕切りに適用したものであり、天井等に固定されるレール72と、レール72に吊り戸車73とスライド軸5により吊り下げられ、レール72に沿ってスライド可能とした戸74と、レール72に隣接して取付けたストッパー装置6とを備える。ストッパー装置6は、先に説明した図6等に示すものと同じものである。
本建具は、図28(a)に示すように、戸74を右方向にスライドして開けると、ストッパー7がスライド軸5に押されて反時計方向に回転し、スライド軸5がストッパー7を超えて右方向にスライドできる。
戸74を左方向にスライドして閉める際には、図28(b)に示すように、スライド軸5がストッパー7に当接することで、戸74が定位置で停止する。これにより、戸74と壁等の間に指を挟んだりするのを防止できる。戸を74ストッパー7で停止する際、ストッパー7を定位置に付勢するバネ44の反力と、回転式ダンパー8の抵抗が働くので、戸74を定位置に停止する際の衝撃を吸収できる。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。枠や障子の構成、障子の開き方は、任意である。引寄せ部材やロック部材、ロック受けの形状、引寄せ部材を回転させるための機構等は、適宜変更することができる。本発明は、自然換気窓以外の窓にも適用できる。
1 枠
2 障子(戸)
3 縦枠
4 方立(縦枠)
5 スライド軸
6 ストッパー装置
7 ストッパー
8 回転式ダンパー(ダンパー)
9 ロック装置
10 引寄せ部材
11 ロックピン(ロック部材)
12 ロック受け
13 衝撃吸収装置
14 衝撃吸収アーム
15 ギヤ
16 ピニオンギヤ(ギヤ)
17 回転式ダンパー
18 ゴムローラー(作用点)
72 レール(枠)
74 戸

Claims (1)

  1. 枠と、枠に開閉自在に支持した障子とを備え、枠は、障子の開閉に連動してスライドする引寄せ部材を有し、引寄せ部材は、障子のロック受けと係脱するロック部材を有し、障子が閉まり切る前に引き寄せ部材が室外向きに回転してロック部材がロック受けに係合し、ロック部材がロック受けに係合すると引寄せ部材が室内向きに回転して障子を室内側に引き寄せることを特徴とする建具。
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