JP6897952B2 - 濃縮された生着能をもつ未分化生殖細胞を用いた生殖細胞系列への分化誘導方法 - Google Patents

濃縮された生着能をもつ未分化生殖細胞を用いた生殖細胞系列への分化誘導方法 Download PDF

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Description

本発明は、宿主魚類を用い、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖方法において、移植した生殖細胞の宿主生殖腺への生着能を向上させるために、従来法のように遺伝子マーカーを付与した遺伝子導入魚による未分化生殖細胞濃縮法を用いることなく、生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮し、該分離生殖細胞の移植による生殖細胞系列への分化誘導により、移植効率を増大する実用化に適応した分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を提供することに関する。
近年の世界的な規模での健康意識の高まりを背景に、日本食、中でも、良質の脂質とタンパク質を含む魚類の消費は世界的に上昇している。その結果、特に需要の高いクロマグロをはじめとする大型高級魚は、生存数の減少が著しく、種類によっては絶滅が危惧される状況にまで至っている。クロマグロ等の大型高級魚資源を保護する手段の一つとして、人為的な管理の下で生産した人工種苗(稚魚)を天然海域に放流する、いわゆる栽培漁業が有効であるとされている。しかし、大型魚の放流用の人工種苗の生産に必要な卵や精子を入手するのは、技術的及びコスト的に大きな問題があった。すなわち、特定の疾患による全滅の弊害や、それらの人工種苗が成長した後に互いに交配を行った場合の弊害を避けるために、人工種苗の個体は遺伝的な多様性を保持している必要性があることを考慮すると、多数の親魚から卵や精子を採取することが望まれるが、クロマグロのように親魚が数百kgにまで達する魚種や、チョウザメのように卵や精子の成熟に長い年月を要する魚種では、多数の親魚を人為的な管理の下で育成して卵や精子を採取することは技術的及びコスト的に極めて困難であった。
魚類の人工種苗の生産に対応できる技術として、本発明者らは、宿主(レシピエント)魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞である分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植によって、宿主魚類個体に移植することにより、生殖細胞を、生殖細胞系列へ分化誘導することができること、即ち、魚類のような脊椎動物由来の分離生殖細胞を、宿主脊椎動物の孵化前後の魚類個体へ移植することにより、該生殖細胞を生殖細胞系列へ分化誘導することが可能であることを見い出し、異系統又は異種の宿主魚類による分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導に成功した(特許第4300287号公報)。この技術は、クロマグロ等の大型魚類の卵や精子を、宿主魚類の代理親魚養殖技術によって調製することを可能とするものであり、大型魚等の人工種苗(稚魚)の生産に適用して、人為的な管理の下での人工種苗(稚魚)の生産を可能とするものである。
上記のような魚類の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法、すなわち代理親魚技術を実施するに際しては、まず、宿主魚類に移植する生殖細胞を調製することが必要となる。該宿主魚類に移植する生殖細胞の調製には、生殖細胞を供給する魚類の精巣又は卵巣をトリプシン等のタンパク質分解酵素処理により解離(分散処理)することによって行われるが、該生殖細胞の調製においては、酵素処理により解離した細胞から、精巣に含まれる体細胞や分化生殖細胞を除去する等の処理を行って、生殖細胞を分離、濃縮することが必要となる。上記特許第4300287号公報の方法では、導入する生殖細胞を緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein:GFP)や、EGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)で可視化し、蛍光を発している生殖細胞と蛍光を発していない他の体細胞とを、セルソーターにより、分離することにより、精製する方法が採られている。しかしながら、該生殖細胞自体、GFP遺伝子導入によって可視化された細胞であるため、該生殖細胞によって分化誘導される種苗(稚魚)は、遺伝子導入種苗となり、食用魚や放流種苗の実用化生産技術としては適さないという問題がある。
また、代理親魚技術を実施するに際して、分離生殖細胞の移植に際しては、上記のように、宿主生殖巣に取り込まれた魚類の分離生殖細胞の生着或いは増殖・成熟を確認することが必要となり、そのための宿主由来の生殖細胞と、移植された魚類の分離生殖細胞とを区別し、検出することが必要となる。従来、そのための方法として、遺伝子マーカーとして、魚類生殖細胞に特異的に発現するVasa遺伝子の発現を検出する方法が開示されている。例えば、特開2008−263967号公報、WO2010/035465には、マグロ、マサバ、ゴマサバ、スマ、及びニベのVasa遺伝子配列を決定し、マグロVasa遺伝子にのみ内在する制限酵素配列を特定し、PCRと制限酵素処理を組み合わせて、マグロ生殖細胞を特異的に検出する方法が開示されている。また、該開示のものでは、クロマグロに特異的な、アミノ酸配列を抗原として用いることにより、クロマグロに由来する始原生殖細胞、精原細胞、卵原細胞又は卵母細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製することも開示されている。
一方、WO2009/118778(特許第5408802公報)には、魚類の生殖腺や精巣から始原生殖細胞等の未分化な生殖細胞のみを分離し、移植に用いるために、上記特許第4300287号公報の方法のように、始原生殖細胞特異的に発現するVasa遺伝子の調節領域にGFP遺伝子を連結した組み替え遺伝子を導入し、未分化な生殖細胞のマーカーとして用いる方法に代えて、ニジマスの精原細胞に特異的に発現する細胞表面抗原を同定し、この抗原に対する抗体を作製する方法が開示されている。すなわち、ニジマスの精原細胞等の未成熟な生殖細胞で特異的に発現し、かつ、in situ等でマーカーとして使用し得るクローンを得、該クローンからcDNAを特定し、完全膜貫通型糖タンパク質をコードするCD205遺伝子を取得する方法が開示されている。該方法では、ニジマス由来のCD205遺伝子をニジマス以外の魚類(ゼブラフィッシュ、クロマグロ、ソウダカツオ、マサバ、ブリ、ヒラメ、マダイ、マハタ、ニベ)のCD205遺伝子と比較し、各種の魚類で保存されている領域からペプチド抗原を作製し、該ペプチド抗原に対する抗体を作製し、該抗体を用いて、性分化直後のニジマスの未熟な精巣について免疫染色を行って、未熟な生殖細胞に特異的に結合する抗体を取得する方法が開示されている。
また、生殖細胞に特異的に結合する抗体の取得に関連して、精原細胞、卵原細胞に特異的に発現している抗原タンパク質についても報告されている。すなわち、#4017抗原タンパク質をコードする遺伝子が、精原細胞、卵原細胞に特異的に発現していることが報告されており、該遺伝子の塩基配列を特定したことが報告されている(「平成20年度日本水産学会春季大会講演要旨集」、Vol.2008, p.195, 2008)。該報告では、抗原タンパク質から作製した抗体を用いて、代理親魚技術において、従来法のように、遺伝子導入魚を用いずに生殖細胞を単離することが示唆されている。
上記のように、従来の代理親魚技術においては、宿主魚類に導入する生殖細胞の調製の際に、全精巣細胞の中から生殖細胞のみを分離、濃縮するために、生殖細胞特異的に発現するVasa遺伝子の調節領域にGFP遺伝子を連結した組換遺伝子を導入したVasa-GFP遺伝子導入魚から、フローサイトメーター(FCM)等により、生殖細胞の分離、濃縮を行う方法が採られていたが、該方法は、遺伝子導入魚を用いる方法であるため、代理親魚技術の実用化技術、すなわち、該技術を食用魚や放流種苗に適用するには、望ましくないという問題があり、また、該フローサイトメーター(FCM)を用いた方法は、FCM自体が高額なうえ、その操作が煩雑であることもあって、実用化技術としては採用しにくいという問題があった。
一方、前記GFP遺伝子を利用する方法以外に、CD205遺伝子の各種の魚類で保存されている領域からペプチド抗原を作製して、該ペプチド抗原に対する抗体を作製し、該抗体を用いる方法も開示されており、該抗体を用いて、性分化直後の未熟な精巣について免疫染色を行って、未分化な生殖細胞に特異的に結合する抗体を取得する方法も開示されており、該方法は、遺伝子導入魚を用いる方法とは相違するので、実用化技術として遺伝子導入魚を用いた場合の問題を回避することはできるが、調製された抗体は、宿主生殖巣への生着能を有する精原細胞を特異的、効果的に検出し、分離、濃縮できるものではないため、代理親魚技術の実用化のために用いられる抗体として、十分満足のいくものには至っていない。
他方で、代理親魚技術に関連して、宿主に導入した細胞の生着を促進する方法も開示されている。すなわち、特開2011−200169号公報には、魚類の分離生殖細胞を、宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞を、魚類の精巣をトリプシン処理により解離した後、解離した細胞を培養容器中において、生殖細胞が培養容器にゆるく接着するまでの短期間培養し、該培養した生殖細胞を分離・採取することによって調製し、該分離・採取した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植することにより、生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上した分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法が開示されている。該方法は、解離した細胞を培養容器中の短期間培養によって、接着能を調整し、宿主魚類生殖腺への生着能を向上したものであるが、宿主魚類への生殖細胞の導入に際して、宿主生殖巣への生着能を有する生殖細胞を分離、濃縮し、宿主生殖巣への生着を向上するという技術とは、相違する手法を採るものである。
代理親魚技術においては、当初、特許第4300287号公報の技術のように、宿主個体に移植し、これを生殖細胞系列へ分化誘導する際に用いるべき細胞(すなわち、宿主個体に移植後、卵子又は精子に分化し、次世代個体に改変可能な細胞)として、将来生殖細胞に分化することが決定付けられている稚魚期の生殖細胞、すなわち始原生殖細胞であることがつきとめられ、魚類の、孵化前後の胚から分離した始原生殖細胞を用い、宿主の孵化前後の魚類個体への移植を、孵化前後の発生段階にある宿主の腹腔内腸管膜への移植により行われていた。しかし、該方法では、移植に用いる分離生殖細胞の確保に限度があり、代理親魚技術の実用化に向けて、障害となっていた。これに対して、性分化後の精巣或いは卵巣からも、移植における生着の可能な精原細胞や、卵原細胞のような未分化生殖細胞を得ることが可能であることが報告され(“Proceedings of the National Academy of
Sciences of the U. S. A. ”:PNAS, 103(8), 2725-2729, 2006. ;“Development”, 137(8), 1227-1230, 2010.)、代理親魚技術における移植用未分化生殖細胞の多量確保の可能性が示唆された。しかしながら、精巣や、卵巣から分離される生殖細胞には、体細胞や、分化生殖細胞が混在し、該細胞から移植生着能を有する未分化生殖細胞を有効に分離し、濃縮することが、代理親魚技術における実用化に向けての移植効率の確保に重要な課題となっている。
以上のとおり、代理親魚技術を食用魚や放流種苗に適用して、需要を満たす稚魚の生産を実用化するためには、宿主魚類に移植した生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上し、必要な卵や精子の提供を可能とすることが必用となる。そのための手段として、宿主魚類へ移植する生殖細胞について、宿主生殖巣への生着能を有する精原細胞を効果的に検出し、分離、濃縮することにより、宿主生殖巣への生着を向上することが重要となる。上記のとおり、従来より、生殖細胞表面抗原に対する抗体を作製して、該抗体による生殖細胞の検出、分離、濃縮を行う法が開示されているが、取得された抗体は、生着能を有する精原細胞を効果的に検出し、分離、濃縮できる抗体としては、まだ十分なものではない。したがって、宿主生殖巣への生着能を有する精原細胞を効果的に検出し、分離、濃縮できる抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類へ導入した生殖細胞の宿主生殖巣への生着を向上させ、十分な種苗(稚魚)の生産を可能とすることが代理親魚技術の実用化に向けての課題となっている。
特開2008−263967号公報。 特開2011−200169号公報。 WO2009/118778。 WO2010/035465。 特許第4300287号公報。 特許第5408802公報。
「平成20年度日本水産学会春季大会講演要旨集」、Vol.2008, p.195, 2008. "Proceedings of the National Academy of Sciences of the U. S. A.":PNAS, 103(8), 2725-2729, 2006. "Development", 137(8), 1227-1230, 2010.
本発明の課題は、宿主魚類を用い、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖方法において、移植した生殖細胞の宿主生殖腺への生着能を向上させるために、従来法のように遺伝子マーカーを付与した遺伝子導入魚による未分化生殖細胞濃縮法を用いることなく、生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮し、該分離生殖細胞の移植による生殖細胞系列への分化誘導により、移植効率を増大した、実用化に適応した分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、宿主魚類を用い、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖において、移植に用いる分離生殖細胞の数の確保が可能な、魚類の精巣或いは卵巣からの分離生殖細胞を取得する方法について、移植した生殖細胞の宿主生殖腺への生着能を向上させる実用化技術の開発のために、魚類の精巣や、卵巣の細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮する方法について鋭意検討する中で、vasa-GFP遺伝子導入によって単離した未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体を作製し、該抗体について、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入未分化生殖細胞を特異的に標識する能力を有する抗体を検出、取得することに成功し、該抗体を用いて、魚類の精巣や、卵巣から分離した生殖細胞について、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮することができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、予め、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮し、該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植することにより、生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させたことを特徴とする分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法からなる。
魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖技術の実用化のためには、移植に用いる分離生殖細胞の数の確保のため、魚類の精巣や、卵巣の細胞を用いることが有効となる。しかしながら、該細胞には、体細胞の他に、分化した生殖細胞が存在し、該細胞を用いて、宿主魚類への移植を効果的に行うには、該細胞から、宿主魚類生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を検出、分離、濃縮することが必要となる。すなわち、未分化精巣においては、未分化の生殖細胞であるA型精原細胞の他に体細胞が存在し、該未分化の生殖細胞であるA型精原細胞は、成熟を開始した精巣、成熟精巣において、B型精原細胞、精母細胞、精細胞、精子へと分化する。これらの精巣における細胞において、宿主魚類生殖腺への生着能を有する生殖細胞は、未分化の生殖細胞であるA型精原細胞のみである。したがって、精巣から分離した生殖細胞を宿主魚類に移植して高効率で生着させるためには、該体細胞や、分化生殖細胞であるB型精原細胞、精母細胞、精細胞、精子を除去することで、宿主魚類生殖腺への生着能を有する未分化の生殖細胞であるA型精原細胞を分離、濃縮することが必要となる。
また、卵巣においては、未分化生殖細胞である卵原細胞は、卵母細胞、卵へと分化するが、宿主魚類生殖腺への生着能を有する生殖細胞は、未分化生殖細胞である卵原細胞のみである。したがって、卵巣から分離した生殖細胞を宿主魚類に移植して高効率で生着させるためには、該体細胞や、分化生殖細胞である卵母細胞を除去することで、未分化生殖細胞である卵原細胞を分離、濃縮することが必要となる。したがって、代理親魚養殖技術の実用化のために、精巣や卵巣から分離した分離生殖細胞を用いて、該生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着を向上するためには、精巣や卵巣から分離した細胞から、上記未分化生殖細胞を検出し、分離、濃縮することが重要な課題となる。
本発明においては、精巣や卵巣から分離した細胞から、未分化生殖細胞を検出し、分離、濃縮することを可能とするために、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得について鋭意検討する中で、vasa-GFP遺伝子導入によって単離した未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体を作製し、該抗体について、未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を検出し、取得することに成功した。該抗体を用いることにより、精巣や卵巣から分離した細胞から、未分化生殖細胞を検出し、分離、濃縮することが可能となった。すなわち、本発明は、魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、精巣や、卵巣から解離した細胞について、宿主魚類生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識し得る抗体を用いて、該細胞から生着能を有する未分化生殖細胞を検出し、分離、濃縮することを可能とし、該方法によって、生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させることに成功した。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、宿主魚類への移植に用いられる、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞は、未分化精巣から分離されたA型精原細胞、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣から分離されたA型精原細胞、或いは、卵巣から分離された卵原細胞である。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、魚類の精巣又は卵巣から分離される、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得は、(1)vasa-GFP遺伝子導入魚より単離した、単離直後の生きた未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫源とする抗体産生ハイブリドーマを作製し、(2)該ハイブリドーマが産生する抗体について、該抗体が生殖細胞を認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の精巣細胞を用いて、該抗体のvasa-GFP陽性の生殖細胞への標識能を、該GFPを指標に検出し、(3)該生殖細胞を認識する抗体が、未分化生殖細胞を特異的に認識するものであることを検出するために、未分化生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の未分化精巣或いは卵巣を用いて、該未分化生殖細胞への抗体による標識能を検出することにより行われる。
本発明の単離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、魚類の精巣又は卵巣から分離される、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体は、未分化精巣におけるA型精原細胞、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣におけるA型精原細胞、或いは、卵巣における卵原細胞からなる未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体からなる。
本発明は、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体において、分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体を検出し、取得するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子を導入した魚類の精巣細胞を用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞が特異的に標識されている抗体を検出、取得することからなる、分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を包含する。
また、本発明は、未分化精巣、或いは分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体が、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01936)又はハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01937)が産生するモノクローナル抗体であることからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を包含する。
更に、本発明は、取得した宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体において、卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体を検出し、取得するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子を導入した魚類の卵巣細胞中に含まれるわずかなGFP陽性の生殖細胞を特異的に標識する抗体を検出、取得することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を包含する。
また、本発明は、未分化精巣におけるA型精原細胞、或いは卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体が、抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)又はハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01939)が産生するモノクローナル抗体であることからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を包含する。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法における、該宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得において、単離直後の生きた生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫源とする抗体産生ハイブリドーマの作製は、単離直後の生きた生殖細胞をマウスに免疫し、単離直後の生きた精原細胞を抗原とし、単離直後の生きた精原細胞をマウスに免疫し、回収したリンパ節由来の細胞と、ミエローマ細胞とを融合させたハイブリドーマを作製することによって行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法における、該宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得において、ハイブリドーマが産生する抗体について、該抗体が生殖細胞を認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の生殖細胞を用いて、該抗体のvasa-GFP陽性生殖細胞への標識能の検出を、GFPを指標に、単離した生殖細胞のハイブリドーマが産生する抗体による標識能を化学発色法による検出によって行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法における、該宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得において、ハイブリドーマが産生する抗体について、生殖細胞を認識する抗体が、未分化生殖細胞を認識するものであることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の未分化精巣或いは卵巣を用いて、該未分化生殖細胞の抗体による標識を、蛍光免疫染色により検出することによって行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法における、該宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得において、ハイブリドーマが産生する抗体について、該未分化生殖細胞を認識する抗体が、分化生殖細胞を含む成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体であることを検出するために、蛍光免疫染色及びフローサイトメーターにより、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子を導入した魚類の精巣生殖細胞を用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞が特異的に標識されている抗体による特異的標識能を検出することによって行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法における、該宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得において、ハイブリドーマが産生する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体が、卵巣において未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体であることの検出を、蛍光免疫染色により、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子を導入した魚類の卵巣細胞中に含まれるわずかなGFP陽性の生殖細胞を特異的に標識する抗体を検出することよって行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法においては、未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の分離、濃縮を、未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を用いた磁気細胞単離法により、生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮して行うことができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法は、魚類由来の分離生殖細胞が、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞である分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法に適用することができる。該分化誘導方法において、魚類由来の分離生殖細胞が、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞である場合としては、宿主魚類が、サケ科魚類、ニベ、及びサバ科から選択され、異種の魚類がマグロである場合を挙げることができる。
本発明は、本発明の方法により作製され、未分化精巣、或いは分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体である、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01936)又はハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01937)が産生するモノクローナル抗体の発明を包含する。抗体産生ハイブリドーマNo.80は、未分化精巣、或いは分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマであり、該抗体産生ハイブリドーマNo.80は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、2014年9月11日に受託された日本国内受託(NITE AP−01936)が、2015年3月5日に、ブダペスト条約に基づく国際寄託へ受託番号NITE BP−01936として移管され、受託された。また、抗体産生ハイブリドーマNo.95は、同じく、未分化精巣、或いは分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマであり、該抗体産生ハイブリドーマNo.95は、同、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、2014年9月11日に受託された日本国内受託(NITE AP−01937)が、2015年3月5日に、ブダペスト条約に基づく国際寄託へ受託番号NITE BP−01937として移管され、受託された。
また、本発明は、本発明の方法により作製され、未分化精巣におけるA型精原細胞、或いは卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を優先的に認識する抗体である、抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)又はハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01939)が産生するモノクローナル抗体の発明を包含する。抗体産生ハイブリドーマNo.172は、未分化精巣におけるA型精原細胞、或いは卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を優先的に認識する抗体を産生するハイブリドーマであり、該抗体産生ハイブリドーマNo.172は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、2014年9月11日に受託された日本国内受託(NITE AP−01938)が、2015年3月5日に、ブダペスト条約に基づく国際寄託へ受託番号NITE BP−01938として移管され、受託された。また、抗体産生ハイブリドーマNo.189は、同じく、未分化精巣におけるA型精原細胞、或いは卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を優先的に認識する抗体を産生するハイブリドーマであり、該抗体産生ハイブリドーマNo.189は、同、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、2014年9月11日に受託された日本国内受託(NITE AP−01939)が、2015年3月5日に、ブダペスト条約に基づく国際寄託へ受託番号NITE BP−01939として移管され、受託された。
更に、本発明は、魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、用いる分離生殖細胞を、予め、宿主生殖腺への生着能を有する精原細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮することからなる、生着能を向上させた分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法に用いる分離生殖細胞の分離、濃縮方法の発明を包含する。
本発明は、宿主魚類を用い、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖方法において、移植に用いる分離生殖細胞の数の確保のために、魚類の精巣や、卵巣から分離した生殖細胞を用い、該分離生殖細胞において、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮することによって、移植した生殖細胞の宿主生殖腺への生着能を向上させ、移植効率を増大する方法を提供する。本発明の代理親魚養殖方法は、従来法のように遺伝子マーカーを付与した遺伝子導入魚による精原細胞濃縮法を用いることなく、生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮し、移植効率を増大することが可能であるため、本発明は、実用化に適応した分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を提供する。
本発明の実施例において、モノクローナル抗体の作製を図解した模式図を示す図である。 ハイブリドーマのコロニーが形成されたwell(576well)の培養上清を用いて、本発明の実施例において行った、Cell ELISA(一次スクリーニング)によるスクリーニングの結果を示す図である。シグナルが得られたwell(シグナル値が0.100以上)をマークしている。 本発明の実施例1の二次スクリーニング(細胞免疫染色: 蛍光顕微鏡観察)の結果を示す図である。一次スクリーニングで陽性シグナルが得られた198個について、精原細胞を蛍光標識することができるか否か明らかにするために、蛍光顕微鏡を用いてGFP陽性の未分化精原細胞が抗体で標識されているか否かを観察した結果を示す写真である。 本発明の実施例1の三次スクリーニング(細胞免疫染色: フローサイトメーター解析)の結果を示す図である。二次スクリーニングで陽性シグナルが得られた60個について、精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否か明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った結果について、vasa-GFP陽性の精原細胞で優先的にシグナルが得られた11個についてのフローサイトメーター解析の結果を示す図である。横軸がGFP強度、縦軸が抗体の蛍光強度を示している。また、現在得られているCD205遺伝子(特許第5408802号)に対する抗体を用いて同様の解析の結果も示している。 本発明の実施例1の四次スクリーニング(細胞免疫染色: フローサイトメーター解析)の結果を示す図である。三次スクリーニングで選択された11個について、分化生殖細胞(精母細胞、精細胞、精子)を含む精巣においても、精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否か明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った結果である。横軸がGFP強度、縦軸が抗体の蛍光強度を示している。vasa-GFP強陽性の精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個についてのフローサイトメーター解析の結果を示す図である。 本発明の実施例1の四次スクリーニングでGFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個の抗体について、ニジマス精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否かを明らかにするために、vasa-GFPニジマス精巣細胞を分散したのち、上記の2個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、セルソーターを用いて抗体で標識された細胞を分取した。上段には分取前の全細胞を、二段目には、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01936)が産生する抗体を用いて分取した細胞を、三段目には、ハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01937)が産生する抗体を用いて分取した細胞を示す。左列に明視野像を、中央列にvasa-GFP蛍光像を、右列に抗体のシグナルを示す。上記の二種類の抗体を用いて抗体陽性細胞を分取することで、未分化精原細胞の特徴である、vasa-GFP強陽性かつ大型の細胞が濃縮されたことを示す写真である。 実施例1の四次スクリーニングで選択された、2種類の抗体を用いて単離した細胞を移植した実験の結果を示す図である。上段に移植細胞が生着した宿主生殖腺の写真を示す。下段に、移植した細胞が生着した宿主個体の割合と、各宿主に生着した細胞数を示す。 四次スクリーニングで選択された、2種類の抗体の有用性をゼブラフィッシュにおいて検討した結果の図である。横軸がGFP強度、縦軸が抗体の蛍光強度を示している。ゼブラフィッシュにおいても、vasa-GFP強陽性の精原細胞で優先的にシグナルが得られたことを示すフローサイトメーター解析の結果の図である。 本発明の実施例1の四次スクリーニングでGFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個の抗体について、ゼブラフィッシュ精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否かを明らかにするために、vasa-GFPゼブラフィッシュ精巣細胞を分散したのち、上記の2個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、セルソータを用いて抗体で標識された細胞を分取した。上段には分取前の全細胞を、二段目には、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01936)が産生する抗体を用いて分取した細胞を、三段目には、ハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01937)が産生する抗体を用いて分取した細胞を示す。左列にvasa-GFP蛍光像を、中央列に抗体のシグナルを、右列に明視野像を示す。上記の二種類の抗体を用いて抗体陽性細胞を分取することで、未分化精原細胞の特徴である、vasa-GFP強陽性かつ大型の細胞が濃縮されたことを示す写真である。 本発明の実施例1のクロマグロ細胞を用いた解析の結果を示す図である。三次スクリーニングで陽性シグナルが得られた11個について、クロマグロの精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否かを明らかにするために、蛍光顕微鏡を用いてスクリーニングを行った結果、クロマグロ精原細胞の形態的特徴を有する細胞を優先的に標識することができた3個のうち、ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938ブ:ダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)より産生された抗体を用いて染色を行った結果の写真である。標識された細胞を、矢印で示している。 三次スクリーニングで選択された11個について、卵巣においても、生殖細胞を特異的に蛍光標識することができるか否か明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った結果である。横軸がGFP強度、縦軸が抗体の蛍光強度を示している。vasa-GFP陽性の生殖細胞で優先的にシグナルが得られた4個についてのフローサイトメーター解析の結果を示す図である。 卵巣において、vasa-GFP陽性の生殖細胞で優先的にシグナルが得られた4個のうち、抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)が産生する抗体を用いて、ニジマス(上段)に加え、ヤマメ(二段目)、ヒメマス(三段目)の未分化精巣組織および卵巣組織に対して、組織免疫染色を行った図を示す。生殖細胞のマーカーであるVasaに対する抗体で標識された生殖細胞が、本スクリーニングで得られた抗体で標識されていることを示す図である。 卵巣において、vasa-GFP陽性の生殖細胞で優先的にシグナルが得られた4個のうち、抗体産生ハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01939)が産生する抗体を用いて、ニジマス(上段)に加え、ヤマメ(二段目)、ヒメマス(三段目)の未分化精巣組織および卵巣組織に対して、組織免疫染色を行った図を示す。生殖細胞のマーカーであるVasaに対する抗体で標識された生殖細胞が、本スクリーニングで得られた抗体で標識されていることを示す図である。
本発明は、魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、予め、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮し、該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植することにより、生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させたことを特徴とする分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法からなる。
本発明において、魚類の精巣又は卵巣から分離される、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原に対する抗体であって、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得は、(1)vasa-GFP遺伝子導入によって単離した、単離直後の生きた未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫源とする抗体産生ハイブリドーマを作製し、(2)該ハイブリドーマが産生する抗体について、該抗体が生殖細胞を認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚を用いて、該抗体のvasa-GFP陽性生殖細胞への標識能を、該GFPを指標に検出し、(3)該生殖細胞を認識する抗体が、未分化生殖細胞を認識するものであることを検出するために、未分化生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の未分化精巣或いは卵巣を用いて、該未分化生殖細胞への抗体による標識能を検出することによって、行うことができる。
本発明において、抗体産生ハイブリドーマの作製には、抗原として、vasa-GFP遺伝子導入によって単離した、単離直後の生きた未分化生殖細胞を用いることができる。ハイブリドーマの作製は、公知の方法を用いることができる。例えば、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚類から、GFPを指標にフローサイトメーターにより未分化生殖細胞を単離し、該未分化生殖細胞をマウスに免疫し、該マウスから、リンパ節を採取し、該採取したリンパ節由来細胞とミエローマ細胞を融合させることにより、調製することができる。
本発明において、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体の取得は、上記のとおり、vasa-GFP遺伝子導入によって単離した未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫源とする抗体産生ハイブリドーマが産生する抗体(モノクロナール抗体)について、(i)該抗体が生殖細胞を認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚を用いて、該抗体のvasa-GFP陽性の生殖細胞への標識能を、該GFPを指標に検出することによって、(ii)該抗体が、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を認識するものであることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の未成熟精巣を用いて、該未分化精原細胞への抗体による標識能を検出することによって、(iii)該抗体が、分化生殖細胞を含む精巣において、未分化精原細胞を特異的に認識するものであることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の分化生殖細胞を含む精巣を用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞を特異的に標識する抗体を検出することによって、及び、(iv)該抗体が、卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子を導入した魚類の卵巣細胞中に含まれるわずかなGFP陽性の生殖細胞を特異的に標識する抗体を、蛍光免疫染色により検出することによって、行うことができる。
該GFPを指標にしたGFP陽性生殖細胞の検出には、化学発色法、蛍光免疫染色、フローサイトメーター等、公知の検出手段を用いることができる。
本発明において、精巣又は卵巣から分離された、分離生殖細胞において、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマは、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託され、抗体産生ハイブリドーマ(受託番号)として、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01936)又はハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01937)又はハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)又はハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01939)として受託されている。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法においては、魚類生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する精原細胞を分離、濃縮することにより、行うことができる。該精原細胞の分離、濃縮には、該未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を用いた磁気細胞単離法を用いることにより行うことができる。
本発明の魚類由来の分離生殖細胞を、宿主魚類個体に移植することからなる分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法においては、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮し、該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植することにより、効果的に実施することができる。該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植する方法自体は、特許第4300287号公報に開示された方法により、実施することができる。
本発明の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法は、魚類由来の分離生殖細胞が、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞である分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法に適用することができ、例えば、魚類由来の分離生殖細胞が、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞である場合とは、宿主魚類が、サケ科魚類、ニベ、及びサバ科から選択され、異種の魚類がマグロである場合を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[未分化精巣において、未分化生殖細胞を濃縮できる抗体の取得]
(生着能を有する精原細胞認識抗体のスクリーニング)
<モノクローナル抗体の作製>
精原細胞特異的な細胞表面抗原に対する抗体を作製するために、単離直後の生きた精原細胞を抗原として用いてモノクローナル抗体の作製を行った。具体的には、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入ニジマスからGFPを指標にフローサイトメーターで単離した精原細胞をマウスに免疫した。免疫は、4尾のマウス(Balb/c系統)に5回ずつおこなった。また、一回の免疫に用いた細胞数は、1尾あたり5×10細胞で、免疫前にアジュバントとPBSのエマルジョンの免疫を行った。
最後の免疫から1週間後、マウスの足から肥大したリンパ節を取り出し、リンパ節細胞を回収した。回収したリンパ節由来細胞とミエローマ細胞(P3U1)をポリエチレングリコール(PEG)を用いて、融合させた。細胞を洗浄後、15% FBS-HAT培地にサスペンドし、96wellプレート6枚に播種した。モノクローナル抗体の作製の模式図を図1に示す。
<一次スクリーニング(cell ELISA)>
融合細胞(ハイブリドーマ)を播種した96wellプレート6枚において、すべてのwell(576well)でコロニーの形成が認められた。そこで、これらのハイブリドーマが精原細胞を認識する抗体を産生しているか否かを明らかにするために、Cell ELISAによりスクリーニングを行った。生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入ニジマスからGFPを指標にフローサイトメーターで単離した精原細胞をプレートに播種した。このプレートを用いて、ハイブリドーマが産生する抗体が、精原細胞を標識するか否かを化学発色法で解析した。Cell ELISAで得られたシグナル値を、図2に示す。
<二次スクリーニング(細胞免疫染色: 蛍光顕微鏡観察)>
一次スクリーニングで陽性シグナルが得られた198個(図2)について、精原細胞を蛍光標識することができるか否か明らかにするために、蛍光顕微鏡を用いてスクリーニングを行った。生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入ニジマスの未成熟精巣(体細胞と未分化精原細胞のみからなる)をトリプシンで分散したのち、上記の198個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、蛍光顕微鏡下で観察し、GFP陽性の未分化精原細胞が抗体で標識されているか否かを解析した。二次スクリーニングにおける蛍光顕微鏡下で観察した結果を、図3に示す。
<三次スクリーニング(細胞免疫染色: フローサイトメーター解析)>
二次スクリーニングで陽性シグナルが得られた60個(図3)について、精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否か明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った。生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入ニジマスの未成熟精巣(体細胞と未分化精原細胞のみからなる精巣)をトリプシンで分散したのち、上記の60個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、フローサイトメーターを用いて、GFP陽性の未分化精原細胞が特異的に抗体で標識されているか否かを解析した。また、先願の特許(特許第5408802号)に対する有用性を示すため、現在得られているCD205遺伝子に対する抗体を用いて同様の解析も行った。三次スクリーニングでGFP陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた11個及びCD205遺伝子に対する抗体を用いて行ったフローサイトメーター解析の結果を、図4に示す。
[成熟精巣において、生着能を有する未分化生殖細胞を濃縮できる抗体の取得]
<四次スクリーニング(細胞免疫染色: フローサイトメーター解析)>
三次スクリーニングで得られた11個(図4)について、分化生殖細胞(精母細胞、精細胞、精子)を含む精巣においても精原細胞を特異的に蛍光標識することが出来るか否か明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った。vasa-GFP蛍光は精巣において分化が進むにつれ弱くなることが知られている(Yano et al., 2008)。そこで、vasa-GFP遺伝子導入ニジマスの分化精巣(体細胞と未分化精原細胞、分化生殖細胞からなる精巣)をトリプシンで分散したのち、上記の11個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、フローサイトメーターを用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞が特異的に抗体で標識されているか否かを解析した。四次スクリーニングでGFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個の結果を、図5に示す。
<抗体陽性細胞の分取>
四次スクリーニングでGFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個の抗体について、ニジマスの精原細胞を分取できるか否かを明らかにするために、セルソーターを用いて抗体で標識された細胞を単離後、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。ニジマス精巣細胞を分散したのち、上記の2個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、セルソーターを用いて抗体で標識された細胞を単離し、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、図6に示すように、未分化精原細胞の特徴であるvasa-GFP強陽性かつ大型の細胞が濃縮されたことが明らかになった。
<移植実験>
四次スクリーニングでvasa-GFP強陽性の細胞を優先的に標識することができた2種類の抗体を用いることで、生着能を有した未分化生殖細胞を濃縮することができるか否か明らかにするために移植実験を行った。移植法は、Okutsu et al., 2006 に示した方法に従い、1個体あたり約1000細胞ずつ移植を行った。また、対象区として、濃縮前の細胞を用いた。精原細胞が生着した個体の割合、及び生着率を、図7に示す。
<他魚種における解析>
本スクリーニングで得られた抗体が、他の魚種においても未分化生殖細胞を特異的に標識することが出来るか否かを明らかにするために、ゼブラフィッシュ及び有用海産魚であるクロマグロを用いてスクリーニングを行った。
<ゼブラフィッシュにおける解析>
ゼブラフィッシュは、生殖細胞特異的にGFPを発するvasa-GFP遺伝子導入系統が確立されており、その発現がニジマス同様、分化が進むにつれ弱くなることが知られている。そこで、vasa-GFP遺伝子導入ゼブラフィッシュの精巣をトリプシンで分散したのち、実施例1の四次スクリーニングでニジマスにおいてvasa-GFP強陽性の細胞を優先的に標識することができた2個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、フローサイトメーターを用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞が特異的に抗体で標識されているか否かを解析した。その結果、ゼブラフィッシュにおいても、GFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた結果を、図8に示す。
実施例1の四次スクリーニングでGFP強陽性の未分化精原細胞で優先的にシグナルが得られた2個の抗体について、ゼブラフィッシュの精原細胞を分取できるか否かを明らかにするために、セルソータを用いて抗体で標識された細胞を単離後、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。ゼブラフィッシュの精巣細胞を分散したのち、上記の2個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行ったのち、セルソーターを用いて抗体で標識された細胞を単離し、蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、図9に示すように、未分化精原細胞の特徴であるvasa-GFP強陽性かつ大型の細胞が濃縮されたことが明らかになった。
<クロマグロにおける解析>
実施例1の三次スクリーニングで陽性シグナルが得られた11個について、クロマグロの精原細胞を特異的に蛍光標識することができるか否かを明らかにするために、蛍光顕微鏡を用いてスクリーニングを行った。クロマグロ精巣細胞を分散したのち、上記の11個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、蛍光顕微鏡下で観察し、精原細胞の形態的特徴を有する細胞が抗体で標識されているか否かを解析した。その結果、162、172および189の3個の抗体が精原細胞を優先的に標識することが明らかになった。
マグロ精巣を分散し、蛍光免疫染色を行ったのち、精原細胞を優先的に標識しているか否かを4段階(0〜3)で評価した。各段階の基準を表1に示す。
Figure 0006897952
表1の段階に従って、マグロ精巣細胞に対する、各抗体の特異性を評価した結果を表2に示す。用いた精巣は、未熟な精巣、排精精巣、および、成熟を開始した直後のやや未熟な精巣の3種類である。162、172、189の3個の抗体が、実験に用いたすべての精巣において精原細胞を優先的に染色することが示された。
Figure 0006897952
上記、3個の抗体のうち、ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:国際寄託番号BP−01936)より産生された抗体を用いて染色を行った結果を図10(クロマグロ精原細胞の特異的標識)に示す。写真に示されるように、明視野観察においてクロマグロ精原細胞の形態的特徴を有する細胞を、該抗体は特異的に蛍光標識することが観察された。
[卵巣において、生殖細胞を濃縮できる抗体の取得]
<卵巣におけるスクリーニング>
三次スクリーニングで陽性シグナルが得られた11個について、卵巣においても生殖細胞を特異的に標識することができるか否かを明らかにするために、フローサイトメーターを用いてスクリーニングを行った。生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入ニジマスの卵巣をトリプシンで分散したのち、上記の11個の抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。その後、フローサイトメーターを用いて、分散卵巣細胞中に含まれる、わずかなGFP陽性の生殖細胞を特異的に標識できるか否かを解析した。その結果、GFP陽性の生殖細胞で優先的にシグナルが得られた4個のフローサイトメーター解析の結果を、図11に示す。
<他のサケ科魚類の卵巣における解析>
卵巣細胞において、vasa-GFP陽性の生殖細胞を優先的に標識することが示された、4種類の抗体のうち、抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01938)が産生する抗体を用いて、ヤマメおよびヒメマスの卵巣に対して、組織免疫染色を行った結果を図12に示す。写真に示されるように、生殖細胞のマーカーであるVasa陽性の細胞が、該抗体で蛍光標識されていることが観察された。
卵巣細胞において、vasa-GFP陽性の生殖細胞を優先的に標識することが示された、4種類の抗体のうち、抗体産生ハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:ブダペスト条約に基く国際寄託番号BP−01939)が産生する抗体を用いて、ヤマメおよびヒメマスの卵巣に対して、組織免疫染色を行った結果を図13に示す。写真に示されるように、生殖細胞のマーカーであるVasa陽性の細胞が、該抗体で蛍光標識されていることが観察された。
本発明は、宿主魚類を用い、宿主魚類とは異系統又は異種の魚類の分離生殖細胞を宿主魚類に移植して生殖細胞系列への分化誘導を行う代理親魚養殖方法において、移植に用いる分離生殖細胞の数の確保のために、魚類の精巣や、卵巣から分離した生殖細胞を用い、該分離生殖細胞において、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体を取得し、該抗体を用いて、生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮することによって、移植した生殖細胞の宿主生殖腺への生着能を向上させ、移植効率を増大する方法を提供する。本発明の代理親魚養殖方法は、従来法のように遺伝子マーカーを付与した遺伝子導入魚による精原細胞濃縮法を用いることなく、生着能を有する未分化生殖細胞を効果的に分離、濃縮し、移植効率を増大することが可能であるため、本発明は、実用化に適応した分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法を提供する。

Claims (19)

  1. 魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することを含む分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、
    予め、vasa-GFP遺伝子導入魚よりGFPを指標に単離した生きた未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫原とする抗体産生ハイブリドーマを作製することによって、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原を特異的に認識する抗体を取得する工程1
    該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類の未分化精巣、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣、又は、卵巣由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮する工程2
    該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植する工程3を含み
    生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させたことを特徴とする
    分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  2. 前記工程2で分離、濃縮する前記宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞が、未分化精巣から分離された未分化精原細胞であるA型精原細胞、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣から分離されたA型精原細胞、或いは、卵巣から分離された卵原細胞であることを特徴とする請求項1に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  3. 前記工程1が、
    予め、vasa-GFP遺伝子導入魚よりGFPを指標に単離した、単離直後の生きた未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫原とする抗体産生ハイブリドーマを作製する工程(1)、
    ハイブリドーマが産生する抗体が未分化生殖細胞を認識する抗体であることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚から該GFPを指標に単離した未分化生殖細胞を用いて、該ハイブリドーマが産生する抗体の未分化生殖細胞への標識能を検する工程(2)、
    該未分化生殖細胞を認識する抗体が、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を認識するものであることを検出するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の未分化精巣或いは卵巣を用いて、該未分化生殖細胞を認識する抗体の宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞への標識能を検出する工程(3)
    を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  4. 前記工程1で取得する該抗体が、未分化精巣におけるA型精原細胞、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣におけるA型精原細胞、或いは、卵巣における卵原細胞からなる未分化生殖細胞を特異的に認識する抗体であることを特徴とする請求項3に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  5. 前記工程1が、前記工程(3)の後に、分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識する抗体を検出し、取得するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の精巣生殖細胞を用いて、GFP強陽性の未分化精原細胞特異的に標識る抗体を検出、取得する工程(4)を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  6. 前記工程1が、前記工程(3)の後に、卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体を検出し、取得するために、生殖細胞特異的にGFPを発現するvasa-GFP遺伝子導入魚の卵巣細胞中に含まれるわずかなGFP陽性の生殖細胞を特異的に標識する抗体を検出、取得する工程(4)を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  7. 前記工程1の前記工程(1)が、単離直後の生きた精原細胞をマウスに免疫し、回収したリンパ節由来の細胞と、ミエローマ細胞とを融合させて抗体産生ハイブリドーマ作製する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  8. 前記工程1の前記工程(2)が、該標識能を化学発色法によって検出することを特徴とする請求項3に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  9. 前記工程1の前記工程(3)が、標識を、蛍光免疫染色により検出することを特徴とする請求項3に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  10. 前記工程1の前記工程(4)が、体を、蛍光免疫染色及びフローサイトメーターにより検出、取得することを特徴とする請求項に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  11. 前記工程1の前記工程(4)が抗体を、蛍光免疫染色により検出、取得ることを特徴とする請求項に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  12. 前記工程2が、該抗体を用いて、磁気細胞単離法により、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類の未分化精巣、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣、又は、卵巣由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞分離、濃縮することを特徴とする請求項1に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  13. 前記魚類由来の分離生殖細胞が、前記宿主魚類とは異系統又は異種の魚類由来の生殖細胞であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  14. 前記宿主魚類が、サケ科魚類、ニベ、及びサバ科から選択され、前記異種の魚類がマグロであることを特徴とする請求項13に記載の分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  15. 魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することを含む分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、
    抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:BP−01936)又はハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:BP−01937)から、未分化精巣、或いは分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞であるA型精原細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を取得する工程1、
    該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類の未分化精巣、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣、又は、卵巣由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮する工程2、
    該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植する工程3を含み、
    生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させたことを特徴とする
    分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  16. 魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することを含む分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法において、
    抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:BP−01938)又はハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:BP−01939)から、卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を取得する工程1、
    該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類の未分化精巣、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣、又は、卵巣由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮する工程2、
    該分離、濃縮した分離生殖細胞を孵化前後の宿主魚類の腹腔内へ移植する工程3を含み、
    生殖細胞の宿主魚類生殖腺への生着能を向上させたことを特徴とする
    分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法。
  17. 分化生殖細胞を含む、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣において、未分化生殖細胞である未分化A型精原細胞を特異的に認識する抗体である、抗体産生ハイブリドーマNo.80(NITE AP−01936:BP−01936)又はハイブリドーマNo.95(NITE AP−01937:BP−01937)が産生するモノクローナル抗体。
  18. 卵巣において、未分化生殖細胞である卵原細胞を特異的に認識する抗体である、抗体産生ハイブリドーマNo.172(NITE AP−01938:BP−01938)又はハイブリドーマNo.189(NITE AP−01939:BP−01939)が産生するモノクローナル抗体。
  19. 魚類の精巣又は卵巣から分離された、魚類由来の分離生殖細胞を、孵化前後の宿主魚類の腹腔内への移植により宿主魚類個体に移植することを含む分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法に用いる分離生殖細胞の分離・濃縮方法であって
    予め、vasa-GFP遺伝子導入魚よりGFPを指標に単離した生きた未分化生殖細胞を抗原とし、該抗原を免疫原とする抗体産生ハイブリドーマを作製することによって、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞の細胞表面抗原を特異的に認識する抗体を取得する工程1
    該抗体を用いて、宿主魚類の腹腔内への移植に用いる魚類の未分化精巣、成熟を開始した精巣或いは成熟精巣、又は、卵巣由来の分離生殖細胞から、宿主生殖腺への生着能を有する未分化生殖細胞を分離、濃縮する工程2を含むことを特徴とする、
    生着能を向上させた分離生殖細胞の生殖細胞系列への分化誘導方法に用いる分離生殖細胞の分離、濃縮方法。
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