以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、室外機と室内機が2本の冷媒配管で接続された空気調和機を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施例における空気調和機1は、屋外に設置される室外機2と、室内に設置され室外機2に液管4およびガス管5で接続された室内機3を備えている。詳細には、液管4は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が室内機3の液管接続部33に接続されている。また、ガス管5は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が室内機3のガス管接続部34に接続されている。以上により、空気調和機1の冷媒回路10が形成されている。
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外ファン24と、液管4の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管5の一端が接続された閉鎖弁26と、膨張弁27を備えている。そして、室外ファン24を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを形成している。
圧縮機21は、図示しないインバータにより回転数が制御されることで、運転容量を変えることができる容量可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaに吐出管61で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、四方弁22のポートcに吸入管66で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、上述したように圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管66で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbと冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は閉鎖弁25と室外機液管63で接続されている。室外熱交換器23は、後述する四方弁22の切り替えによって、冷房運転時は凝縮器として機能し、暖房運転時は蒸発器として機能する。
膨張弁27は、例えば電子膨張弁である。膨張弁27は、その開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量を調節する。
室外ファン24は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン24は、図示しないファンモータによって回転することで室外機2の図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を室外機2の図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力(本発明の高圧側の圧力に相当)を検出する高圧検出手段である吐出圧力センサ71と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73が設けられている。吸入管66には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力(本発明の低圧側の圧力に相当)を検出する低圧検出手段である吸入圧力センサ72と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ74とが設けられている。
室外熱交換器23の図示しない冷媒パスの略中間部には、室外熱交換器23の温度(以降、室外熱交温度と記載する)を検出する室外熱交温度検出手段である熱交温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ76が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240を備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン24の制御状態等を記憶している。また、図示は省略するが、記憶部220には後述する室内機3から受信する要求能力に応じて圧縮機21の回転数を定めた回転数テーブルが予め記憶されている。通信部230は、室内機3との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果をセンサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機3から送信される制御信号を通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン24の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り替え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室外膨張弁27の開度調整を行う。
<室内機の構成>
次に、図1(A)を用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、室内ファン32と、液管4の他端が接続された液管接続部33と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部34を備えている。そして、室内ファン32を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを形成している。
室内熱交換器31は、冷媒と後述する室内ファン32の回転により室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部33に室内機液管67で接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部34に室内機ガス管68で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部33やガス管接続部34では、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内ファン32は樹脂材で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン31は、図示しないファンモータによって回転することで、室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を室内機3の図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
以上説明した構成の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内機液管67には、室内熱交換器31に流入あるいは室内熱交換器31から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ77が設けられている。室内機ガス管68には、室内熱交換器31から流出あるいは室内熱交換器31に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ78が設けられている。そして、室内機3の図示しない吸込口付近には、室内機3の内部に流入する室内空気の温度、すなわち室温を検出する室温センサ79が備えられている。
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和機1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。以下の説明では、まず、室内機3が暖房運転を行う場合について説明し、次に、冷房運転を行う場合について説明する。
<暖房運転>
室内機3が暖房運転を行う場合、CPU210は、図1(A)に示すように四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するよう、切り替える。これにより、冷媒回路10において実線矢印で示す方向に冷媒が循環し、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器31が凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管64を流れ、閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れる冷媒は、ガス管接続部34を介して室内機3に流入する。
室内機3に流入した冷媒は、室内機ガス管68を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
室内熱交換器31から流出した冷媒は室内機液管67を流れ、液管接続部33を介して液管4に流入する。液管4を流れ閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63を流れて室内機3で要求される暖房能力に応じた開度とされた膨張弁27を通過する際に減圧される。
膨張弁27を通過して室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管62に流出した冷媒は、四方弁22、吸入管66を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<冷房運転>
室内機3が冷房運転あるいは除霜運転を行う場合、CPU210は、図1(A)に示すように四方弁22を破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう、切り替える。これにより、冷媒回路10において破線矢印で示す方向に冷媒が循環し、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに室内熱交換器31が蒸発器として機能する冷房サイクルとなる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管62を流れて室外熱交換器23に流入する。冷房運転の場合、室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。
室外熱交換器23から流出した冷媒は室外機液管63を流れ、室内機3で要求される冷房能力に応じた開度とされた膨張弁27および閉鎖弁25を介して液管4に流出する。液管4を流れ、液管接続部33を介して室内機3に流入した冷媒は、室内機液管67を流れて室内熱交換器31に流入する。
室内熱交換器31に流入した冷媒は、室内ファン32の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、室内熱交換器31が蒸発器として機能し、冷房運転の場合は、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の冷房が行われる。
室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内機ガス管68を流れ、ガス管接続部34を介してガス管5に流出する。ガス管5を流れる冷媒は、閉鎖弁26を介して室外機2に流入し、室外機ガス管64、四方弁22、吸入管66の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
以上説明した暖房運転や冷房運転を停止した後に圧縮機21を再起動する際、圧縮機21の冷媒吐出側の冷媒の圧力と冷媒吸入側の冷媒の圧力との圧力差をできる限り早く小さくすることが、本発明の目的であり、以下にその具体的な方法について説明する。
<圧縮機停止後の室外ファン制御>
次に、主に図2および図3を用いて、本実施形態の空気調和機1における、圧縮機21の停止後の室外ファン24の制御について具体的に説明する。
空気調和機1が冷房運転あるいは暖房運転を行っているときに、使用者による図示しないリモコン操作によって運転停止の指示がなされた場合、あるいは、室内機5がサーモオフ状態となった場合は、圧縮機21が停止される。尚、サーモオフ状態とは、冷房運転時に室内機5の室温センサ79で検出した室内温度が、使用者が設定した設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上低くなった状態、あるいは、暖房運転時に室内機5の室温センサ79で検出した室内温度が使用者が設定した設定温度より所定温度(例えば、1℃)以上高くなった状態である。
圧縮機21を停止した直後は、冷媒回路10の高圧側の圧力(具体的には、圧縮機21の冷媒吐出側から膨張弁27までの間に存在する冷媒の圧力。単位:MPa。以降、高圧Phと記載する)と、冷媒回路10の低圧側の圧力(具体的には、膨張弁27から圧縮機21の冷媒吸入側までの間に存在する冷媒の圧力。単位:MPa。以降、低圧Plと記載する)との圧力差(単位:MPa。以降、圧力差ΔPと記載する)が大きい。
圧縮機21を停止した後に再起動するときに上記圧力差ΔPが大きいと、圧縮機21に加わる圧力差ΔPに起因する負荷が大きく、圧縮機21を再起動できない恐れがある。従って、圧縮機21を再起動するためには、圧力差ΔPが圧縮機21の再起動に支障ない値(例えば、0.3Ma。以降、閾圧力差Pthと記載する)以下に低下するまで待つ必要がある。
本実施形態では、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下に低下する(以降、「均圧する」と記載する場合がある)のにかかる時間を短縮するために、圧縮機21の停止時に、図2に示すファン回転数テーブル300に基づいて、室外ファン24の駆動制御を行う。
図2に示すファン回転数テーブル300は、空気調和機1の運転モードと、圧縮機21の停止時の外気温度(単位:℃。以降、外気温度Toと記載する)から圧縮機21の停止時の室外熱交換器23の温度(単位:℃。以降、室外熱交温度Thと記載する)を減じた温度差(単位:℃。以降、温度差ΔTと記載する)に応じて、室外ファン24の回転数(単位:rpm。以降、室外ファン回転数Cfと記載する)を定めている。
具体的には、まず、運転モードが「冷房」(冷房運転を意味する)の場合に、温度差ΔTが1℃以上であるときの室外ファン回転数Cfが0rpm(つまり、停止)、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときの室外ファン回転数Cfが400rpm、温度差ΔTが−1℃未満であるときの室外ファン回転数Cfが800rpm、とされている。尚、上記温度差ΔTのうちの−1℃が本発明の第1閾温度であり、1℃が本発明の第2閾温度である。また、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときの室外ファン回転数Cf:400rpmを冷房時基準回転数とする。
空気調和機1が冷房運転を行っているときは、前述したように室外熱交換器23が凝縮器として機能している。従って、室外熱交換器23における凝縮圧力、つまりは冷媒回路10の高圧側の圧力を速やかに低下させることができれば、圧力差ΔPを速やかに閾圧力差Pth以下に低下させることができる。
以上記載した内容を考慮し、ファン回転数テーブル300の運転モード;「冷房」では、温度差ΔTが−1℃未満であるとき、つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが低いときは、冷房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmより高い室外ファン回転数Cf:800rpmで室外ファン24を駆動する。これにより、外気温度Toの外気が多量に室外熱交換器23を通過するので、冷媒回路10の高圧側の圧力が速やかに低下して圧力差ΔPが速やかに閾圧力差Pth以下に低下する。
これに対し、温度差ΔTが1℃以上であるとき、つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが高いときは、室外ファン回転数Cf:0rpmとする、つまりは室外ファン24を停止する。室外熱交温度Thより外気温度Toが高い場合に室外ファン24を駆動すると、室外熱交換器23を通過する室外熱交温度Thより高い外気温度Toの外気によって室外熱交換器23の冷媒が冷えにくくなるので、室外ファン24を停止している場合と比べて冷媒回路10の高圧側の圧力が低下するのに時間がかかる。つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが高いときに室外ファン24を駆動すると、室外ファン24を停止している場合よりも圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下に低下するまで長い時間がかかる。従って、温度差ΔTが1℃以上であるときは、室外ファン24を停止させて、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下に低下するまでの時間が長くならないようにする。
そして、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるとき、つまり、室外熱交温度Thと外気温度Toがほぼ同じ温度であるときは、冷房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmで室外ファン24を駆動する。
ファン回転数テーブル300における温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるとき、すなわち、室外熱交温度Thと外気温度Toがほぼ同じ温度であるときは、温度差ΔTが1℃以上であるとき、すなわち、外気温度Toが室外熱交温度Thより高い温度である場合と比べて、室外熱交換器23が冷えにくくなるということはない反面、温度差ΔTが−1℃未満であるとき、すなわち、外気温度Toが室外熱交温度Thより低い温度である場合と比べると、外気温度Toの外気によって室外熱交換器23が冷やされるのに時間がかかる。従って、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときは、室外ファン24を駆動して室外熱交換器23に外気を流すものの、その回転数Cfを温度差ΔTが−1℃未満であるときの室外ファン回転数Cf:800rpmより低い冷房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmとしている。
以上説明したように、ファン回転数テーブル300における冷房運転時の室外ファン回転数Cfは、温度差ΔTが負の温度から正の温度に向かって大きくなるのにつれて低い回転数に定められており、温度差ΔTが1℃以上つまり第2閾温度以上となれば室外ファン回転数Cfを0rpmとしている。これは、以下の理由による。
温度差ΔTが小さくなるにつれて、つまり、外気温度Toが室外熱交温度Thより低くなるにつれて、室外ファン回転数Cfを高くすることで、室外熱交温度Thより低い外気温度Toの外気を多量に室外熱交換器23に通過させて、圧力差ΔPを短時間で閾圧力差Pth以下にすることができる。
一方、温度差ΔTが大きくなるにつれて、つまり、外気温度Toが室外熱交温度Thより高くなるにつれて、室外ファン回転数Cfを低くすることで、室外熱交温度Thより高い外気温度Toの外気を必要以上に室外熱交換器23を通過させないようにして圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となる時間が長くならないようにしつつ、室外ファン回転数Cfを低くすることで室外ファン24の消費電力を低減できる。
そして、温度差ΔTが第2閾温度(本実施形態では1℃)以上となれば室外ファン回転数Cfを0rpmとすることで、室外熱交温度Thより高い外気温度Toの外気によって室外熱交換器23が暖められることで、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となる時間が、温度差ΔTが第2閾温度未満である場合よりもさらに長くなることを防ぎつつ、室外ファン24を停止させることで温度差ΔTが第2閾温度未満である場合よりもさらに消費電力を低減できる。
次に、運転モードが「暖房」(暖房運転を意味する)の場合に、温度差ΔTが1℃以上であるときの室外ファン回転数Cfが800rpm、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときの室外ファン回転数Cfが400rpm、温度差ΔTが−1℃未満であるときの室外ファン回転数Cfが0rpm(つまり、停止)、とされている。尚、上記温度差ΔTのうちの1℃が本発明の第3閾温度であり、−1℃が本発明の第4閾温度である。また、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときの室外ファン回転数Cf:400rpmを暖房時基準回転数とする。
空気調和機1が暖房運転を行っているときは、前述したように室外熱交換器23が蒸発器として機能している。従って、室外熱交換器23における蒸発圧力つまりは冷媒回路10の低圧側の圧力を速やかに上昇させることができれば、圧力差ΔPを速やかに閾圧力差Pth以下に低下させることができる。
以上記載した内容を考慮し、ファン回転数テーブル300の運転モード;「暖房」では、温度差ΔTが1℃以上であるとき、つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが高いときは、暖房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmより高い室外ファン回転数Cf:800rpmで室外ファン24を駆動する。これにより、外気温度Toの外気が多量に室外熱交換器23を通過するので、冷媒回路10の低圧側の圧力が速やかに上昇して圧力差ΔPが速やかに閾圧力差Pth以下に低下する。
これに対し、温度差ΔTが−1℃未満であるとき、つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが低いときは、室外ファン回転数Cf:0rpmとする、つまりは室外ファン24を停止する。室外熱交温度Thより外気温度Toが低い場合に室外ファン24を駆動すると、室外熱交換器23を通過する低い外気温度Toの外気によって室外熱交換器23に滞在する冷媒が温まりにくくなるので、室外ファン24を停止している場合と比べて冷媒回路10の低圧側の圧力が上昇するのに時間がかかる。つまり、室外熱交温度Thより外気温度Toが低いときに室外ファン24を駆動すると、室外ファン24を停止している場合よりも圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下に低下するまで長い時間がかかる。従って、温度差ΔTが−1℃未満であるときは、室外ファン24を停止させて、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下に低下するまでの時間が長くならないようにする。
そして、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるとき、つまり、室外熱交温度Thと外気温度Toがほぼ同じ温度であるときは、暖房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmで室外ファン24を駆動する。
ファン回転数テーブル300における温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるとき、すなわち、室外熱交温度Thと外気温度Toがほぼ同じ温度であるときは、上述した温度差ΔTが−1℃未満であるとき、すなわち、外気温度Toが室外熱交温度Thより低い温度である場合と比べて、室外熱交換器23が暖まりにくくなるということはない反面、温度差ΔTが1℃以上であるとき、すなわち、外気温度Toが室外熱交温度Thより高い温度である場合と比べると、外気温度Toの外気によって室外熱交換器23が暖められるのに時間がかかる。従って、温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であるときは、室外ファン24を駆動して室外熱交換器23に外気を流すものの、その回転数Cfを温度差ΔTが1℃以上であるときの室外ファン回転数Cf:800rpmより低い暖房時基準回転数である室外ファン回転数Cf:400rpmとしている。
以上説明したように、ファン回転数テーブル300における暖房運転時の室外ファン回転数Cfは、温度差ΔTが正の温度から負の温度に向かって小さくなるのにつれて低い回転数に定められており、温度差ΔTが−1℃未満つまり第4閾温度未満となれば室外ファン回転数Cfを0rpmとしている。これは、以下の理由による。
温度差ΔTが大きくなるにつれて、つまり、外気温度Toが室外熱交温度Thより高くなるにつれて、室外ファン回転数Cfを高くすることで、室外熱交温度Thより高い外気温度Toの外気を多量に室外熱交換器23に通過させて、圧力差ΔPを短時間で閾圧力差Pth以下にすることができる。
一方、温度差ΔTが小さくなるにつれて、つまり、外気温度Toが室外熱交温度Thより低くなるにつれて、室外ファン回転数Cfを低くすることで、室外熱交温度Thより低い外気温度Toの外気を必要以上に室外熱交換器23を通過させないようにして圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となる時間が長くならないようにしつつ、室外ファン回転数Cfを低くすることで室外ファン24の消費電力を低減できる。
そして、温度差ΔTが第4閾温度(本実施形態では−1℃)未満となれば室外ファン回転数Cfを0rpmとすることで、室外熱交温度Thより低い外気温度Toの外気によって室外熱交換器23が冷やされることで、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となる時間が、温度差ΔTが第4閾温度以上である場合よりもさらに長くなることを防ぎつつ、室外ファン24を停止させることで温度差ΔTが第4閾温度以上である場合よりもさらに消費電力を低減できる。
尚、ファン回転数テーブル300は、上述した温度差ΔTと圧力差ΔPとの関連性を考慮し、予め試験などを行って温度差ΔTに応じた室外ファン回転数Cfを求めて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものである。
<圧縮機停止後の室外ファンの制御に関わる処理>
次に、図3を用いて、圧縮機21を停止させるときの室外ファン23の制御について説明する。図3は、空気調和機1が使用者の運転停止指示やサーモオフによって冷房運転あるいは暖房運転を停止する際に、室外機制御手段200のCPU210が行う処理の流れを示すフローチャートである。図3において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップの番号を表している。尚、図3は、本発明に関わる処理を中心に説明するものであり、これ以外の処理、例えば、空調運転時の使用者の要求に応じた圧縮機21の運転制御等といった、空気調和装置1の一般的な制御に関わる処理については説明を省略する。
空気調和機1が冷房運転あるいは暖房運転を行っているときに、使用者による運転停止指示やサーモオフによって運転を停止する場合は、CPU210は、これまでに行っていた運転モードを判定する(ST1)。具体的には、CPU210は、使用者による運転停止指示やサーモオフによって運転を停止するまでの間に行っていた運転が冷房運転であるか暖房運転であるかを判定する。
次に、CPU210は、外気温度センサ76で検出した外気温度Toと、熱交温度センサ75で検出した室外熱交温度Thをセンサ入力部240を介して取り込み、外気温度Toから室外熱交温度Thを減じて温度差ΔTを算出する(ST2)。
次に、CPU210は、記憶部220に記憶しているファン回転数テーブル300を参照し、ST1で算出した温度差ΔTに応じた室外ファン回転数Cfを抽出する。具体的には、CPU210は、まずST1で算出した温度差ΔTが1℃以上であるか否かを判断する(ST3)。
算出した温度差ΔTが1℃以上であれば(ST3−Yes)、CPU210は、ST1で判定した運転モードが冷房運転であれば室外ファン回転数Cf=0rpmをファン回転数テーブル300から抽出して、あるいは、ST1で判定した運転モードが暖房運転であれば室外ファン回転数Cf=800rpmをファン回転数テーブル300から抽出して(ST11)、ST6に処理を進める。
算出した温度差ΔTが1℃以上でなければ(ST3−No)、CPU210は、算出した温度差ΔTが−1℃未満であるか否かを判断する(ST4)。
算出した温度差ΔTが−1℃未満であれば(ST4−Yes)、CPU210は、ST1で判定した運転モードが冷房運転であれば室外ファン回転数Cf=800rpmをファン回転数テーブル300から抽出して、あるいは、ST1で判定した運転モードが暖房運転であれば室外ファン回転数Cf=0rpmをファン回転数テーブル300から抽出して(ST12)、ST6に処理を進める。
算出した温度差ΔTが−1℃未満でなければ(ST4−Yes)、つまり、算出した温度差ΔTが−1℃以上1℃未満であれば、CPU210は、冷房運転/暖房運転で同じ回転数である室外ファン回転数Cf=400rpmをファン回転数テーブル300から抽出して、ST6に処理を進める。
ST5、ST11、ST12のいずれかの処理を終えたCPU210は、ST4、ST10、ST11のいずれかで抽出した室外ファン回転数Cfで室外ファン24を駆動(室外ファン回転数Cf=400rpmあるいは800rpmの場合)する、あるいは、室外ファン24を停止(室外ファン回転数Cf=0rpmの場合)する(ST6)。
ST6の処理を終えたCPU210は、圧縮機21を停止する(ST7)。
次に、CPU210は、吐出圧力センサ71で検出した高圧Phと、吸入圧力センサ72で検出した低圧Plをセンサ入力部240を介して取り込み、高圧Phと低圧Plの圧力差ΔPを算出する(ST8)。
次に、CPU210は、ST8で算出した圧力差ΔPが閾圧力差Pth未満であるか否かを判断する(ST9)。算出した圧力差ΔPが閾圧力差Pth未満であれば(ST9−Yes)、CPU210は、ST6で室外ファン24を室外ファン回転数Cfで駆動させた場合は停止し、ST6で室外ファン24を停止させた場合はその状態を維持して(ST10)、処理を終了する。
一方、算出した圧力差ΔPが閾圧力差Pth未満でなければ(ST9−No)、CPU210は、ST8に処理を戻す。この場合、CPU210が高圧Phと低圧Plを定期的(例えば30秒ごと)に取り込み、ST9で圧力差ΔPが閾圧力差Pth未満となるまで、ST8〜ST9の処理を繰り返す。
尚、ST9において圧力差ΔPが閾圧力差Pth未満となれば、すなわち、ST9の処理が「Yes」となって圧縮機21が再起動できる状態となる。このようにST9の処理後に圧縮機21が再起動できる状態であるか否かを判断するために、ST6において室外ファン24を停止とした場合でも、ST8〜ST9の処理が必要となる。
以上説明したように、本実施形態の空気調和機1では、空気調和機1が圧縮機21を停止した後に、運転していた際の運転モードと外気温度Toと室外熱交温度Thの温度差ΔTに基づいて室外ファン回転数Cfを決定し、決定した室外ファン回転数Cfで室外ファン24が駆動あるいは停止するように、室外ファン24を制御する。これにより、運転停止後の冷媒回路10の均圧にかかる時間を短縮でき、圧縮機21の停止後に早期に圧縮機21が再起動できる。
尚、以上説明した実施形態では、空気調和機1の運転停止時に室外ファン24を室外ファン回転数Cfで駆動させた場合に、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となるまで室外ファン24を駆動させる場合について説明した。これに代えて、空気調和機1の運転停止時に室外ファン24を圧縮機21の運転停止時点から所定時間駆動させてもよい。この場合の所定時間は、予め試験などを行って決定すればよく、圧力差ΔPが閾圧力差Pth以下となるのに必要な時間とすればよい。
また、以上説明した実施形態では、図3のST7で圧縮機21を停止する前に、図3のST1〜ST6の処理を行って室外ファン24を室外ファン回転数Cfで駆動あるいは停止させているが、先にST7の処理を行って圧縮機21を停止した後に、ST1〜ST6の処理を行ってもよい。
また、以上説明した実施形態では、図2のファン回転数テーブル300において、冷房時基準回転数と暖房時基準回転数を同じ400rpmとしているが、冷房時基準回転数と暖房時基準回転数は異なる回転数であってもよい。
また、運転モード:冷房、において、温度差ΔTが−1℃未満/−1℃以上1℃未満/1℃以上、の3つの範囲に分けて室外ファン回転数Cfを定めているが、温度差ΔTの範囲を増やしてもよい。例えば、温度差ΔTが1℃以上3℃未満のときの室外ファン回転数Cfを200rpm、温度差ΔTが3℃以上のときの室外ファン回転数Cfを0rpm(停止)としてもよい。
さらには、運転モード:暖房、において、温度差ΔTが−1℃未満/−1℃以上1℃未満/1℃以上、の3つの範囲に分けて室外ファン回転数Cfを定めているが、温度差ΔTの範囲を増やしてもよい。例えば、温度差ΔTが−3℃以上−1℃未満のときの室外ファン回転数Cfを200rpm、温度差ΔTが−3℃未満のときの室外ファン回転数Cfを0rpm(停止)としてもよい。