以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
<1.画像形成装置の説明>
<1−1.画像形成装置の全体的な構成及び動作>
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、像担持体としての感光体1を有する。感光体1は、図中矢印R1方向(時計回り)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光体1の表面は、帯電手段としての帯電装置3によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に帯電処理される。つまり、帯電装置3は、感光体1の表面に帯電電位(非露光部電位)を形成する。帯電処理された感光体1の表面は、画像情報に応じて露光手段としての露光装置10によって走査露光され、感光体1上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置10が照射する光の波長は675nmであり、露光装置10による感光体1の表面の露光量は、0.1〜0.5μJ/cm2の範囲で可変である。露光装置10は、現像条件に応じて露光量を調整して、感光体1の表面に所定の露光部電位を形成することが可能である。
感光体1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置6によって現像剤としてのトナーを用いて現像(可視化)され、感光体1上にトナー像が形成される。本実施例では、帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光体1上の露光部に、感光体1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像装置6は、二成分磁気ブラシ方式の現像装置である。現像装置6は、現像剤担持体としての中空円筒状の現像スリーブ6aを有する。現像スリーブ6aは、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。現像スリーブ6aの内部(中空部)には、磁界発生手段としてのマグネットローラ6bが配置されている。現像スリーブ6aは、マグネットローラ6bの発生する磁力によりトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを含む二成分現像剤を担持する。そして、現像スリーブ6aは、回転駆動されることで感光体1との対向部(現像位置)Gへと現像剤を搬送する。また、現像動作時に、現像スリーブ6aには、現像電源(高圧電源回路)S5(図4)から、所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。
なお、画像形成装置100は、感光体1の表面電位を検知する電位検知手段としての電位センサー5を有する。この電位センサー5は、感光体1の回転方向における、露光装置10による感光体1上の露光位置Sと、現像装置6による現像位置Gと、の間の検知位置(センサー位置)Dにおいて感光体1の表面電位を検知できるように配置されている。電位センサー5を用いた制御については後述する。
感光体1と対向するように、記録材担持体としての転写ベルト8が配置されている。転写ベルト8は、複数の張架ローラ(支持ローラ)に巻き掛けられて張架されており、該複数の張架ローラのうちの駆動ローラ9により駆動力が伝達されて、図中矢印R2方向に感光体1と同等の周速度で回転(周回移動)する。転写ベルト8の内周面側において、感光体1と対向する位置には、転写手段としてのローラ型の転写部材である転写ローラ7が配置されている。転写ローラ7は、転写ベルト8を介して感光体1に向けて押圧され、感光体1と転写ベルト8とが接触する転写部Nを形成する。上述のように感光体1上に形成されたトナー像は、転写部Nにおいて、転写ベルト8に担持されて搬送される紙などの記録材Pに転写される。転写工程時に、転写ローラ7には、転写電源(高圧電源回路)S6(図4)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置50へと搬送され、該定着装置50によって加熱及び加圧されることによってトナー像が表面に定着(溶融固着)された後に、画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
一方、転写工程後の感光体1上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置20によって感光体1上から除去されて回収される。また、クリーニング装置20によってクリーニングされた後の感光体1の表面は、除電手段としての光除電器40によって光(除電光)が照射されて、残留電荷の少なくとも一部が除去される。本実施例では、光除電器40は、光源としてLEDチップアレイを有する。また、本実施例では、光除電器40が照射する光の波長は635nmであり、光除電器40による感光体1の表面の露光量は、1.0〜7.0μJ/cm2の範囲で可変である。本実施例では、この光除電器40による露光量の初期値は、4.0μJ/cm2に設定されている。
画像形成装置100の各部の動作は、画像形成装置100の装置本体に設けられた制御手段としてのCPU200(図4)によって統括的に制御される。
<1−2.感光体>
本実施例では、感光体1は、アルミニウムなどで形成された導電性基体1aと、その外周に形成された光導電層(感光層)1bと、を有する、円筒状の電子写真感光体(感光ドラム)である。感光体1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。本実施例では、感光体1の帯電極性は負極性である。また、本実施例では、感光体1は、外径84mmのアモルファスシリコン感光体であり、感光層の厚みは40μm、感光層の比誘電率は10である。
なお、感光体は、本実施例のものに限定されるものではなく、例えば、OPC(有機感光体)であってもよく、また帯電極性が本実施例とは異なるものであってもよい。
<1−3.帯電装置>
図2、図3は、本実施例における帯電装置3の模式的な断面図である。本実施例では、帯電装置3は、感光体1の上方に配置されている。
帯電装置3は、複数のコロナ帯電器として、感光体1の表面の移動方向において上流側に配置された上流帯電器(第1の帯電器)31と、該方向において下流側に配置された下流帯電器(第2の帯電器)32と、を有する。上流電器31、下流帯電器32は、感光体1の表面の移動方向に沿って隣接して配置されている。上流帯電器31、下流帯電器32は、それぞれスコロトロン帯電器であり、それぞれに印加される帯電電圧(帯電バイアス、帯電高圧)が独立に制御されるようになっている。以下、上流帯電器31、下流帯電器32に関する要素を、それぞれ語頭に「上流」、「下流」を付して区別することがある。
上流帯電器31、下流帯電器32は、それぞれ放電電極であるワイヤー電極(放電ワイヤー、放電線)31a、32aと、制御電極であるグリッド電極31b、32bと、遮蔽部材(筐体)であるシールド電極31c、32cと、を有する。また、上流帯電器31と下流帯電器32との間には、電気絶縁性の材料で形成された絶縁部材である絶縁板33が配置されている。これにより、上流シールド電極31cと下流シールド電極32cとに異なる電圧が印加された際に、上流シールド電極31cと下流シールド電極32cとの間でリークが生じるのが防止される。この絶縁板33は、上流シールド電極31cと下流シールド電極32cとの隣接方向(略感光体1の表面の移動方向)の厚さが約2mmの板状部材で構成されている。
帯電装置3の感光体1の表面の移動方向の幅は44mmであり、帯電装置3の放電領域(感光体1を帯電させる放電を発生させることが可能な領域)の感光体1の表面の移動方向と略直交する方向の長さは340mmである。また、上流帯電器31、下流帯電器32の放電領域の感光体1の表面の移動方向の幅は、それぞれ20mmで同じである。
上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aは、それぞれ酸化処理されたタングステンワイヤーで構成されたワイヤー電極である。このワイヤー電極の材料としては、線径(直径)60μmの、一般的に電子写真方式の画像形成装置で用いられるものを用いた。上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aは、それぞれ軸線方向が感光体1の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。
上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bは、それぞれエッヂング処理によりメッシュ状に開口部が形成された、一方向に長い略矩形の略平板形状のグリッド電極である。このグリッド電極の材料としては、SUS(ステンレススチール)にニッケルメッキなどの腐食防止層が形成された、一般的に電子写真方式の画像形成装置で用いられるものを用いた。上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bは、それぞれ長手方向が感光体1の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。また、図3に示すように、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bは、それぞれの平面方向が感光体1の曲率に沿うように配置角度(傾斜角)を変えて配置されている。上流、下流グリッド電極31b、32bの配置角度は、それぞれ上流、下流ワイヤー電極31a、32aと感光体1の回転中心とを結んだ直線に対して略直角である。また、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bのそれぞれと、感光体1との最近接距離(ギャップ)gは、1.3±0.2mmの範囲に設定されている。また、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bの開口率は、それぞれ90%、80%に設定されている。なお、開口率の値は、本実施例の値に限定されるものではなく、例えば、感光体1の種類、感光体1の回転速度、帯電条件などに応じて適宜変更することができる。
上流シールド電極31c、下流シールド電極32cは、それぞれ導電性材料で形成された略箱状部材であり、感光体1と対向する位置に開口部が設けられており、この開口部に位置して上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bが配置されている。
<1−4.帯電電圧>
図2に示すように、上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aは、それぞれ直流電源(高圧電源回路)である上流ワイヤー電源S1、下流ワイヤー電源S2に接続されている。これにより、上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aに印加する電圧を独立に制御できるようになっている。また、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bは、それぞれ直流電源(高圧電源回路)である上流グリッド電源S3、下流グリッド電源S4に接続されている。これにより、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bに印加する電圧を独立に制御できるようになっている。以下、上流ワイヤー電源S1、下流ワイヤー電源S2、上流グリッド電源S3、下流グリッド電源S4を、「帯電電源」と総称することがある。上流グリッド電源S3、下流グリッド電源S4は、上流帯電器31、下流帯電器32のグリッド電極31b、32bのそれぞれに、独立して制御可能な電圧をそれぞれ印加する電圧印加手段の一例である。
また、上流シールド電極31c、下流シールド電極32cは、それぞれ上流グリッド電源S3、下流グリッド電源S4に接続され、それぞれ上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bと同電位とされる。
なお、上流、下流シールド電極31c、32cは、それぞれ上流、下流グリッド電極31b、32bと同電位とされることに限定されるものではなく、それぞれ画像形成装置100の装置本体のアース電極に接続して電気的に接地するなどしてもよい。上流帯電器31、下流帯電器32のワイヤー電極31a、32a、グリッド電極31b、32bのそれぞれに印加する電圧を独立して制御できる構成であればよい。
図4は、画像形成装置100の要部の概略制御態様を示すブロック図である。CPU200には、枚数カウンター300、タイマー400、環境センサー500、表面電位測定部700、高圧出力制御部800、記憶部600などが接続されている。枚数カウンター300は、記録材Pに画像を形成するごとに画像形成枚数(印刷枚数)を計数(カウント)する。タイマー400は、時間を計測する。環境センサー500は、画像形成装置100の装置本体の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方を測定する。表面電位測定部700は、CPU200の制御のもとで、電位センサー5の動作を制御する制御回路である。高圧出力制御部800は、CPU200の制御のもとで、帯電電源S1〜S4、現像電源S5、転写電源S6の動作を制御する制御回路である。記憶部600は、プログラムや各種検知手段の検知結果などを記憶する記憶手段たるメモリであり、例えば帯電電圧の制御データや感光体1の表面電位の測定結果を記憶する。CPU200は、環境センサー500の測定結果や、記憶部600に記憶された情報などに基づいて処理を行い、高圧出力制御部800に命令し、帯電電源S1〜S4を制御する。
上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aに印加される直流電圧(以下、「ワイヤー電圧」)は、上流ワイヤー電極31a、下流ワイヤー電極32aに流れる電流(以下、「ワイヤー電流」)の値が目標電流値で略一定になるように定電流制御される。本実施例では、ワイヤー電流(一次電流)の目標電流値は、−2000〜0(μA)の範囲で変更可能である。また、上流グリッド電極31b、下流グリッド電極32bに印加される直流電圧(以下、「グリッド電圧」)は、該グリッド電圧の値が目標電圧値で略一定となるように定電圧制御される。本実施例では、グリッド電圧の目標電圧値は、−1300〜0(V)の範囲で変更可能である。
なお、図4には、便宜上、実施例2で用いる電流計A1、電流検知部900も併せて示されているが、本実施例ではこれは無くてよい。
<2.帯電電位の制御>
本実施例では、帯電装置3は、上流帯電器31と下流帯電器32とに印加する帯電電圧をそれぞれ独立に制御して形成した帯電電位を重畳させて合成表面電位を形成することで、感光体1の帯電処理を行う。以下、帯電装置3による帯電処理について更に説明する。
なお、電位、電圧、電流などを示す符号について、上流帯電器31に関する符号には「U」、下流帯電器32に関する符号には「L」を付して区別することがある。また、電位を示す符号について、感光体1の回転方向におけるセンサー位置Dに関するものには「sens」、現像位置Gに関するものには「dev」を付して区別することがある。
<2−1.上流帯電器による帯電電位>
まず、上流帯電器31により感光体1の表面に形成する帯電電位である第1の帯電電位(以下、「上流帯電電位」ともいう。)Vd(U)について説明する。
上流帯電電位Vd(U)は、次のようにして制御される。上流ワイヤー電源S1により上流ワイヤー電極31aに上流ワイヤー電圧が印加され、所定の上流ワイヤー電流Ip(U)が供給された状態で、上流グリッド電源S3により上流グリッド電極31bに印加される上流グリッド電圧Vg(U)が制御される。
図5は、感光体1の周速度が700mm/sの場合の、上流グリッド電圧Vg(U)と、センサー位置D及び現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)sens、Vd(U)devと、の関係を示している。図5に示すように、上流グリッド電圧Vg(U)に応じて、上流帯電電位Vd(U)は変わる。例えば、上流ワイヤー電流Ip(U)が−1600μAの場合、上流グリッド電圧Vg(U)を−750Vとすると、センサー位置Dでの上流帯電電位Vd(U)sensは−480V、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devは−450Vとなる。本実施例では、上流グリッド電圧Vg(U)は、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devが目標電位になるように、感光体1の暗減衰量を考慮したうえでセンサー位置Dでの上流帯電電位Vd(U)sensが制御される。本実施例では、上流グリッド電圧Vg(U)は、上流帯電器31の単独で感光体1の帯電処理を行った際に、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devが目標電位に対して±10Vになるように制御される。
なお、上流帯電電位Vd(U)の目標電位は、感光体1の種類や、画像形成装置100の構成などに応じて、任意に設定することができる。
<2−2.下流帯電器による帯電電位>
次に、下流帯電器32により感光体1の表面に形成する帯電電位である第2の帯電電位(以下、「下流帯電電位」ともいう。)Vd(L)について説明する。
下流帯電電位Vd(L)は、次のようにして制御される。下流ワイヤー電源S2により下流ワイヤー電極32aに下流ワイヤー電圧が印加され、所定の下流ワイヤー電流Ip(L)が供給された状態で、下流グリッド電源S4により下流グリッド電極32bに印加される下流グリッド電圧Vg(L)が制御される。これにより、下流帯電器32は、上流帯電電位Vd(U)に下流帯電電位Vd(L)を重畳させた合成表面電位Vd(U+L)を感光体1の表面に形成する。
図6は、上流帯電電位Vd(U)に下流帯電電位Vd(L)を重畳させた場合の、下流グリッド電圧Vg(L)と、センサー位置D及び現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)と、の関係を示す。例えば、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devが−460Vの場合、下流ワイヤー電流Ip(L)が−1600μA、下流グリッド電圧Vg(L)が−600Vとすると、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)devは−500Vとなる。
図6に示すように、下流グリッド電圧Vg(L)が−550Vよりも絶対値が小さい範囲(0V〜−550V)では、合成表面電位Vd(U+L)は−460Vで略一定である。一方、下流グリッド電圧Vg(L)を−550Vよりも絶対値が大きくなる方向に変化させると(例えば−550V〜−1000V)、合成表面電位Vd(U+L)は増加していく。これは、下流グリッド電圧Vg(L)を−550Vよりも絶対値が大きい範囲にすると、上流帯電電位Vd(U)に下流帯電電位Vd(L)が重畳されて合成表面電位Vd(U+L)が形成されることを示している。つまり、図6中の符号Aは、上流帯電電位Vd(U)に対して下流帯電器32の位置(放電領域)で帯電処理が開始される下流グリッド電圧Vg(L)を示している。
<2−3.上流帯電電位と下流帯電電位との関係>
次に、上流帯電電位Vd(U)と下流帯電電位Vd(L)との関係について説明する。
図7は、感光体1の表面のある位置を上流帯電器31及び下流帯電器32により帯電処理した際の、上流帯電器31の位置(放電領域)に到達してから現像位置Gに到達するまでの表面電位の変化を示したモデル図である。図7中の破線は、上流帯電器31の単独で帯電処理した場合の表面電位を示す。また、図7中の実線は、上流帯電器31及び下流帯電器32により帯電処理した場合における、上流帯電電位Vd(U)に下流帯電電位Vd(L)を重畳させた合成表面電位Vd(U+L)を示す。
図7中の破線で示すように、上流帯電器31の単独で帯電処理した場合、上流帯電電位Vd(U)は、上流帯電器31を通過した直後から減衰を開始して、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devになる。また、図7中の実線で示すように、下流帯電器32によって形成された合成表面電位Vd(U+L)は、下流帯電器32を通過した直後から減衰を開始して、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)devになる。
上流帯電電位Vd(U)が感光体1の回転によって下流帯電器32の直下(放電領域の上流側端部との対向位置)に到達した際の電位を「重畳部電位Vd(U)o」とする。このとき、下流グリッド電圧Vg(L)の絶対値の方が重畳部電位Vd(U)oの絶対値よりも大きい場合に、下流帯電器32による帯電処理が行われ、合成表面電位Vd(U+L)が形成される。つまり、図6を参照して説明した下流帯電器32による帯電処理が開始される下流グリッド電圧Vg(L)(図6中の符号A)を「重畳開始電圧Vg(L)A」とすると、重畳開始電圧Vg(L)Aは、重畳部電位Vd(U)oと同等である。
したがって、次のことが言える。下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化しない領域の下流グリッド電圧Vg(L)と表面電位との関係(近似直線)を求める。また、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化する領域の下流グリッド電圧Vg(L)と表面電位との関係(近似直線)を求める。すると、図6に示すように、これらの関係(近似直線)の交点における下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧(放電開始電圧)Vg(L)Aと見なすことができる。
なお、図7に示すように、重畳開始電圧Vg(L)Aと、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devとの電位差を、上流帯電電位が下流帯電器32の直下に到達してから現像位置Gに到達するまでの間の暗減衰量と見なすことができる。
ここで、前述のように、第1の帯電器が形成した帯電電位に、第2の帯電器が形成した帯電電位を重畳させて合成表面電位を形成する構成では、各帯電器で形成する帯電電位の関係が、最終的に形成される感光体の帯電電位を均一にするために重要である。特に、第1の帯電器が形成する帯電電位が、第2の帯電器のグリッド電極に印加される電圧値を超えると、第2の帯電器による感光体の帯電電位の制御が困難となり、「帯電ムラ」が増加する。そのため、画像形成装置内で第2の帯電器の直下に到達した際の上流帯電器が形成した電位を検知して、第2の帯電器に印加する電圧を制御することが望まれる。
そこで、本実施例では、画像形成装置100内で測定した、図6に示すような下流グリッド電圧Vg(L)と表面電位との関係に基づいて、重畳開始電圧Vg(L)Aを検知する。そして、重畳開始電圧Vg(L)Aを重畳部電位Vd(U)oと見なして、重畳開始電圧Vg(L)Aの検知結果に基づいて、下流グリッド電圧Vg(L)の設定を調整(変更)する。
本実施例では、下流グリッド電圧Vg(L)は、重畳開始電圧Vg(L)Aよりも絶対値が大きい範囲に設定する。これにより、上流帯電電位Vd(U)が下流帯電器32の直下で下流グリッド電圧Vg(L)を超えることを防止して、下流帯電器32により合成表面電位を制御して所望の帯電電位を得ることを可能とする。また、下流グリッド電圧Vg(L)は、好ましくは、重畳開始電圧Vg(L)Aとの間の電位差が所定の範囲内となるように設定する。これにより、帯電ムラが低減された略均一な帯電電位をより確実に形成することが可能となる。
<2−4.下流帯電器に印加する帯電電圧と電位ムラとの関係>
次に、下流帯電器32に印加する帯電電圧と、合成表面電位Vd(U+L)の電位ムラとの関係について更に説明する。
図8は、下流グリッド電圧Vg(L)と、感光体1の周方向における電位ムラ(周ムラ)との関係を示すグラフ図である。同図は、上流帯電電位Vd(U)が目標電位で略均一に制御されている状態で、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合の、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)の周ムラ(電位の最大値と最小値との間の電位差)を示す。なお、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)dev、上流帯電電位Vd(U)devの目標電位はそれぞれ−500V、−450Vであり、上流ワイヤー電流Ip(U)、下流ワイヤー電流Ip(L)はそれぞれ−1600μAである。この場合、重畳開始電圧Vg(L)Aは−550Vとなる。
図8に示すように、下流帯電器32による帯電処理が行われない、下流グリッド電圧Vg(L)が−550Vよりも絶対値が小さい範囲(0V〜−550V)では、10V程度の周ムラが発生する。これは、前述のように、下流帯電器32の直下での上流帯電電位Vd(U)が下流グリッド電圧Vg(L)の値を超えて、下流帯電器32による感光体1の帯電電位の制御が困難になったためと考えられる。
これに対し、下流グリッド電圧Vg(L)が−550V〜−800Vの範囲では、周ムラは5V程度に低減する。
一方、下流グリッド電圧Vg(L)が−800V(|重畳開始電圧Vg(L))A|+|−250V|)よりも絶対値が大きい範囲(−800V〜−1200V)では、周ムラが再び増加する。これは、下流帯電器32による帯電量を大きくしすぎると、下流グリッド電圧Vg(L)に対する感光体1の帯電電位の収束性が低下するためであると考えられる。
このように、下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳部電位Vd(U)oと見なせる重畳開始電圧Vg(L)Aよりも絶対値が大きい範囲に設定することで、合成表面電位Vd(U+L)の電位ムラを低減する効果が得られる。ただし、下流帯電器32による感光体1の帯電電位の収束作用を十分に得るためには、下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳部電位Vd(U)oと見なせる重畳開始電圧Vg(L)Aよりも絶対値が50V以上大きい範囲に設定することが好ましい。一方、下流グリッド電圧Vg(L)を大きくし過ぎると、下流帯電器32による感光体1の帯電電位の収束性が低下することがある。そのため、下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳部電位Vd(U)oと見なせる重畳開始電圧Vg(L)Aよりも絶対値が250V以下まで大きい範囲に設定することが好ましい。
つまり、下流グリッド電圧Vg(L)は、次式、
|Vg(L)A|<|Vg(L)|
を満たすように設定する。
また、下流グリッド電圧Vg(L)は、下流グリッド電圧Vg(L)と重畳開始電圧Vg(L)Aとの間の電位差(|Vg(L)|−|Vg(L)A|)が所定の範囲内となるように設定することが好ましい。より詳細には、下流グリッド電圧Vg(L)は、下記式(1)、
50(V)≦|Vg(L)|−|Vg(L)A|≦250(V) ・・・(1)
を満たすように設定することが好ましい。
このように、本実施例では、下流グリッド電圧Vg(L)の絶対値を、重畳部電位Vd(U)oと見なせる重畳開始電圧Vg(L)Aの絶対値に対して50V〜250V大きい範囲に設定する。これにより、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)devの電位ムラを低減して、目標電位である−500Vに略均一に制御することができる。
<3.調整動作>
次に、上流帯電器31、下流帯電器32に印加する帯電電圧の設定を調整するための調整動作について説明する。
図9は、上流帯電器31に印加する電圧の設定を調整する手順のフローチャート図である。また、図10は、下流帯電器31に印加する電圧の調整開始値(及び設定範囲)を決定する手順のフローチャート図である。図11は、下流帯電器31に印加する電圧の設定を調整する手順のフローチャート図である。図9〜図11の手順によって、帯電電圧の設定を調整する調整動作が構成される。また、図9及び図11の手順によって、感光体1の電位制御動作が構成される。図9〜図11のそれぞれの手順は、CPU200によって制御される。
なお、図9〜図11の手順は、記録材Pに転写して出力する画像を形成している画像形成時(画像形成期間)以外の非画像形成時(非画像形成期間)に行われる。非画像形成時としては、画像形成前の準備動作時である前多回転工程時や前回転工程時、連続画像形成中の画像と画像との間に対応する紙間工程時、画像形成後の整理(準備)動作時である後回転工程時などが挙げられる。また、図9〜図11の手順によって構成される調整動作、図9及び図11の手順によって構成される感光体1の電位制御動作は、典型的には、CPU200によって自動的に実行される。ただし、CPU200が画像形成装置100の装置本体に設けられた操作部(図示せず)などからの操作者の指示に応じて実行させることができるようにしてもよい。
<3−1.上流帯電器に印加する帯電電圧の設定の調整手順>
まず、図9を参照して、上流帯電器31に印加する電圧の設定を調整する手順について説明する。
CPU200は、上流帯電器31に印加する電圧の設定を調整するタイミングが到来すると、上流帯電器31による感光体1の帯電動作を開始させる(S101)。CPU200は、センサー位置Dでの上流帯電電位Vd(U)sensの初期の目標値(本実施例では−480V)を記憶部600から読み込み(S102)、光除電器40の点灯、感光体1の駆動を順次開始させる(S103)。CPU200は、感光体1が定常回転に到達した後、上流グリッド電源S3により上流グリッド電極31bに初期値として−600Vの上流グリッド電圧Vg(U)を印加させる(S104)。その後、CPU200は、上流ワイヤー電源S1により上流ワイヤー電極31aに上流ワイヤー電流Ip(U)(=−1600μA)を供給させて、感光体1を帯電させる(S105)。次に、CPU200は、電位センサー5により感光体1の表面電位を測定し、測定結果を記憶部600に記憶させる(S106)。その後、CPU200は、センサー位置Dでの上流帯電電位Vd(U)sensが目標値−480Vよりも小さい(絶対値が大きい)か否かを判断する(S107)。S107の処理で「No」(Vd(U)sens≧−480V)の場合、CPU200は、上流グリッド電圧Vg(U)を−200V、すなわち、絶対値を大きくする方向に変更して(S108)、S106、S107の処理を繰り返す。そして、S107の処理で「Yes」(Vd(U)sens<−480V)の場合、CPU200は、上流グリッド電圧Vg(U)の設定を調整(変更)する(S109)。
つまり、CPU200は、S106〜S108の処理による測定結果に基づいて、上流グリッド電圧Vg(U)と上流帯電電位Vd(U)との関係(図5)を求める。CPU200は、その関係に基づいて、センサー位置Dでの上流帯電電位Vd(U)sensが目標値−480Vになる上流グリッド電圧Vg(U)を計算により求める。そして、CPU200は、上流グリッド電圧Vg(U)の設定を算出した値に調整(変更)する。ここで、S106〜S108の処理では、上流帯電電位Vd(U)の目標値を挟む範囲の上流グリッド電圧Vg(U)と上流帯電電位Vd(U)との関係(図5)に関する情報を取得できるようにすることが好ましい。具体的には、上流帯電電位Vd(U)の目標値よりも絶対値が小さい少なくとも1点、及び該目標値よりも絶対値が大きい少なくとも1点の表面電位に対する上流グリッド電圧Vg(U)を印加できるようにする。そのために、S104における上流グリッド電圧Vg(U)の初期値の絶対値は十分に小さくする。
その後、CPU200は、電位センサー5により感光体1の表面電位を測定し、測定結果を記憶部600に記憶させた後(S110)、下流帯電器32による感光体1の帯電動作に移行する(S111)。
なお、本実施例では、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devの目標値は、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)の目標値よりも絶対値が50V小さい値に設定されている。これは、前述のように、下流帯電器32による感光体1の帯電電位の収束作用を十分に得るために、下流帯電器32により絶対値で少なくとも50V程度の帯電処理を行うことが好ましいからである。本実施例では、現像位置Gでの合成表面電位Vd(U+L)devの目標値は−500Vであるため、現像位置Gでの上流帯電電位Vd(U)devの目標値は−450Vに設定されている。また、センサー位置Dから現像位置Gまでの感光体1の帯電電位の暗減衰量を考慮して、電位センサー位置Dで上流帯電電位Vd(U)sensの目標値は−480Vに設定されている。
<3−2.下流帯電器に印加する帯電電圧の調整開始値の決定>
次に、図10を参照して、下流帯電器32に印加する電圧の設定を調整するための調整開始値(及び設定範囲)を決定する手順について説明する。
CPU200は、図9の手順により調整された設定で上流帯電器31による感光体1の帯電動作を継続した状態で、下流帯電器32による感光体1の帯電動作を開始させる(S210)。CPU200は、下流グリッド電源S4により下流グリッド電極32bに、初期値として下流帯電器32による帯電処理が行われない範囲の電圧である−400Vの下流グリッド電圧Vg(L)を印加させる(S211)。その後、CPU200は、下流ワイヤー電源S2により下流ワイヤー電極32aに下流ワイヤー電流Ip(L)(=−1600μA)を供給させて、感光体1を帯電させる(S212)。次に、CPU200は、電位センサー5により感光体1の表面電位を測定し、測定結果を記憶部600に記憶させる(S213)。その後、CPU200は、センサー位置Dでの合成表面電位Vd(U+L)sensが−600Vよりも小さい(絶対値が大きい)か否かを判断する(S214)。なお、ここで測定される表面電位は、下流帯電器32による帯電処理が行われていない場合は上流帯電電位Vd(U)のままであるが、ここでは便宜的に「合成表面電位」であるものとして表記する。S214の処理で「No」(Vd(U+L)sens≧−600V)の場合、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)を−50V、すなわち、絶対値を大きくする方向に変更して(S215)、S213、S214の処理を繰り返す。そして、S214の処理で「Yes」(Vd(U+L)sens<−600V)の場合、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)の設定の調整時の調整開始値とする重畳開始電圧Vg(L)Aを求めて、記憶部600に記憶させる(S216、S217)。
つまり、CPU200は、S213〜S215での測定結果に基づいて、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化しない(上流帯電電位Vd(U)で一定である)領域の下流グリッド電圧Vg(L)と表面電位との関係(図6)を求める。ここでは、この関係を「未重畳領域の関係」ともいう。また、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化(絶対値が増加)する領域の下流グリッド電圧Vg(L)と表面電位との関係(図6)を求める。ここでは、この関係を「重畳領域の関係」ともいう。そして、CPU200は、未重畳領域の関係と重畳領域の関係との交点における下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧Vg(L)Aとして計算により求める。
なお、S213〜S215の処理では、本実施例のように未重畳領域の関係及び重畳領域の関係に関する情報を取得できるようにすることが好ましい。具体的には、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化しない領域の少なくとも1点、及び表面電位が変化する領域の少なくとも2点の下流グリッド電圧Vg(L)に対する感光体1の表面電位を検知できるようにする。そのために、S211における下流グリッド電圧Vg(L)の初期値の絶対値は十分に小さくする。また、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が変化しない領域では、表面電位は上流帯電電位Vd(U)で略一定である。したがって、重畳領域の関係(傾き)を求め、この重畳領域の関係における上記一定の表面電位(上流帯電電位Vd(U))のときの下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧Vg(L)Aとして求めることもできる。また、要求される調整精度などに応じて、未重畳領域の関係を求める代わりに、図9のS110で記憶部600に記憶させた上流帯電電位Vd(U)の値を利用してもよい。
ここで、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に表面電位が「変化しない」とは、表面電位が完全に一定である場合に限定されるものではない。下流帯電器32による放電で感光体1の帯電処理が行われる場合の下流グリッド電圧Vg(L)の変化に対する表面電位の変化の割合よりも十分に小さく、該帯電処理が行われていないことを示す範囲での変化は許容される。つまり、該帯電処理の有無にかかわらず生じる測定誤差程度の変化の他、ある割合での変化であっても該帯電処理が行われる場合の変化の割合と十分に峻別できる変化も許容される。許容される変化の程度は、画像形成装置100の構成、感光体1の特性などに応じて、実験などにより予め求めることができる。
その後、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲(可変範囲)を決定して記憶部600に記憶させる(S218)。この下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲は、S217で算出した重畳開始電圧Vg(L)Aに対し前述の式(1)の関係を満たすように設定される。そして、CPU200は、帯電電圧の印加、感光体1の駆動を停止させて(S219)、下流帯電器32に印加する電圧の設定を調整するための調整開始値(及び設定範囲)を決定する手順を終了する(S220)。
このように、図10の手順によって、重畳開始電圧Vg(L)A、更には下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲が決定される。
なお、上述のように、S211において下流グリッド電圧Vg(L)の初期値を−400Vとしたのは、下流帯電器32による帯電処理が開始しない範囲の下流グリッド電圧Vg(L)を印加するためである。この初期値として印加する電圧は、画像形成装置100の構成、感光体1の暗減衰特性などに応じて、下流帯電器32による帯電処理が開始しない範囲に任意に設定することができる。また、複数の下流グリッド電圧Vg(L)の初期値を用いて表面電位の測定を行えるようにしてもよい。
また、図10の手順による下流グリッド電圧Vg(L)の設定を調整するための調整開始値(及び設定範囲)の決定は、感光体1の電位制御動作を行う際に毎回実行する必要はない。少なくとも、上流帯電器31、下流帯電器32、又は感光体1の少なくとも1つが交換された場合には、その後最初に画像を形成する前に実行することが望ましい。あるいは、上流帯電器31、下流帯電器32、又は感光体1の少なくとも1つの使用量と相関する情報として、例えば枚数カウンター300によるカウント値(画像形成枚数)が所定の閾値を超えるごとに実行するようにしてもよい。この使用量と相関する情報としては、上流帯電器31又は下流帯電器32の少なくとも一方による帯電処理時間、感光体1の回転時間(又は回転回数)などを利用することもできる。また、環境センサー500によって検知される環境の情報が予め設定された範囲を超えて変化した場合に実行するようにしてもよい。
<3−3.感光体の電位制御動作>
次に、図9及び図11の手順によって構成される感光体1の電位制御動作について説明する。
CPU200は、感光体1の電位制御動作を実行するタイミングが到来すると、まず、図9の手順によって上流グリッド電圧Vg(U)の設定を調整する。この上流グリッド電圧Vg(U)の設定を調整する手順は、図9を参照して説明したとおりであるので、再度の説明は省略する。
次に、図11を参照して、CPU200は、図9の手順により調整された設定で上流帯電器31による感光体1の帯電動作を継続した状態で、下流帯電器32による感光体1の帯電動作を開始させる(S310)。CPU200は、下流グリッド電源S4により下流グリッド電極32bに、図10の手順により調整開始値として決定した重畳開始電圧Vg(L)Aを印加させる(S311)。その後、CPU200は、下流ワイヤー電源S2により下流ワイヤー電極32aに下流ワイヤー電流Ip(L)(=−1600μA)を供給させて、感光体1を帯電させる(S312)。次に、CPU200は、電位センサー5により感光体1の表面電位を測定し、測定結果を記憶部600に記憶させる(S313)。その後、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)が−600Vよりも小さい(絶対値が大きい)か否かを判断する(S314)。S314の処理で「No」(Vg(L)≧−600V)の場合、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)を−50V、すなわち、絶対値を大きくする方向に変更して(S315)、S313、S314の処理を繰り返す。そして、S314の処理で「Yes」(Vg(L)<−600V)の場合、CPU200は、センサー位置Dでの合成表面電位VD(U+L)sensの目標値が得られる下流グリッド電圧Vg(L)を計算する(S316)。
つまり、CPU200は、S313〜S315の処理による測定結果に基づいて、下流グリッド電圧Vg(L)と合成表面電位Vd(U+L)との関係を求める(図6)。CPU200は、その関係に基づいて、センサー位置Dでの合成表面電位Vd(U+L)sensの目標値が得られる下流グリッド電圧Vg(L)を計算により求める。ここで、S313〜S315の処理では、合成表面電位Vd(U+L)の目標値を挟む範囲の下流グリッド電圧Vg(L)と合成表面電位Vd(U+L)との関係に関する情報を取得できるようにすることが好ましい。具体的には、合成表面電位Vd(U)の目標値よりも絶対値が小さい少なくとも1点、及び該目標値よりも絶対値が大きい少なくとも1点の表面電位に対する下流グリッド電圧Vg(L)を印加できるようにする。このとき、合成表面電位Vd(U+L)の目標値よりも絶対値が小さい少なくとも1点の表面電位に対する下流グリッド電圧Vg(L)には、本実施例のように重畳開始電圧Vg(L)Aが含まれることが好ましい。また、下流グリッド電圧Vg(L)は、図10の手順で決定した設定範囲内において変化させることが好ましく、該設定範囲の上限まで変化させてもよい。
なお、該設定範囲内で変化させた場合に合成表面電位Vd(U+L)の目標値が得られる下流グリッド電圧Vg(L)が求められない場合は、次のようにすることができる。つまり、画像形成装置100の装置本体に設けられた操作部(図示せず)などにおいてその旨を報知するための表示(警告)を行ったり、図9の手順から再度調整動作をやり直したりすることができる。また、調整動作をやり直す際に、下流帯電電位Vd(U)の目標値を、例えば絶対値を大きくする方向などに変更してもよい。
その後、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)の設定を算出した値に調整(変更)する(S317)。そして、CPU200は、帯電電圧の印加、感光体1の駆動を停止させて(S318)、感光体1の電位制御動作を終了する(S219)。
図9〜図11の手順による調整動作を行うことによって、上流帯電電位Vd(U)が下流帯電器32の直下で下流グリッド電圧Vg(L)の値を超えることを防止して、より確実に下流帯電器32による帯電処理が行われる帯電条件に制御することができる。また、下流帯電器32により下流グリッド電圧Vg(L)に十分に収束した感光体1の表面電位の形成が可能であり、帯電ムラが低減された略均一な表面電位の形成が可能な帯電条件に制御することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
<1.本実施例の概要>
実施例1では、上流帯電電位Vd(U)を決定した後、下流帯電器31による帯電処理が開始される下流グリッド電圧Vg(L)である重畳開始電圧Vg(L)Aを、電位センサー5を用いて検知した。これに対し、本実施例では、下流グリッド電極32b(及び下流シールド電極32c)に流れる電流を検知する電流計を用いて重畳開始電圧Vg(L)Aを検知する。これにより、電位センサー5を用いた場合よりも、重畳開始電圧Vg(L)Aを精度よく検知することができるようなる。
<2.帯電装置の構成>
図12は、本実施例における帯電装置3の模式的な断面図である。本実施例では、下流グリッド電極32bと下流グリッド電源S4との間に、電流検知手段としての電流計A1が接続されている。この電流計A1は、下流シールド電極32cと下流グリッド電源S4との間にも接続されている。これにより、下流帯電器32が帯電動作を行っている時に下流グリッド電極32b及び下流シールド電極32cに流れる電流を電流計A1で検知することができる。
また、この電流計A1は、図4に示すように、電流計A1の動作を制御する制御回路である電流検知部900を介してCPU200に接続されている。CPU200は、所定のタイミングで、電流計A1により検知した電流値(以下、「電流値A1」ともいう。)を読み取り、記憶部600に記憶させることができる。
<3.重畳開始電圧の検知>
図13を参照して、電流計A1を用いて重畳開始電圧Vg(L)を検知する方法について説明する。図13は、上流帯電電位Vd(U)(センサー位置で−480V)を形成した状態で、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に電流計A1によって測定される電流値を示すグラフ図である。
図13に示すように、下流グリッド電圧Vg(L)が−400Vの場合、下流帯電器32による帯電処理が行われないため、下流ワイヤー電極32aに供給された下流ワイヤー電流と同じ電流−1600μAが電流計A1で測定される。そして、下流グリッド電圧Vg(L)を−600V、−800Vに変化させた場合は、下流帯電器32による帯電処理が行われるため、電流計A1により測定される電流の絶対値が低下する。
本実施例では、CPU200は、図13に示すような下流グリッド電圧Vg(L)と電流計A1で測定した電流値との関係に基づいて、重畳開始電圧Vg(L)Aを計算により求める。つまり、電流計A1が測定した電流値が略一定となる(変化しない)領域の下流グリッド電圧Vg(L)と電流値との関係(「未重畳領域の関係」)を求める。また、下流グリッド電圧Vg(L)に対して電流計A1が測定した電流値が変化する領域の下流グリッド電圧Vg(L)と電流値との関係(「重畳領域の関係」)を求める。そして、未重畳領域の関係と重畳領域の関係との交点における下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧Vg(L)Aとする。
ここで、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に電流値が「変化しない」とは、電流値が完全に一定である場合に限定されるものではない。下流帯電器32による放電で感光体1の帯電処理が行われる場合の下流グリッド電圧Vg(L)の変化に対する電流値の変化の割合よりも十分に小さく、該帯電処理が行われていないことを示す範囲での変化は許容される。つまり、該帯電処理の有無にかかわらず生じる測定誤差程度の変化の他、ある割合での変化であっても該帯電処理が行われる場合の変化の割合と十分に峻別できる変化も許容される。許容される変化の程度は、画像形成装置100の構成、感光体1の特性などに応じて、実験などにより予め求めることができる。
<4.下流帯電器の電圧設定の調整開始値の決定>
次に、図14のフローチャート図を参照して、本実施例における下流帯電器32に印加する電圧の設定を調整するための調整開始値(及び設定範囲)を決定する手順について説明する。なお、本実施例では、図9、図11の手順については実施例1と同じである。
CPU200は、図9の手順により調整された設定で上流帯電器31による感光体1の帯電動作を継続した状態で、下流帯電器32による感光体1の帯電動作を開始させる(S410)。CPU200は、下流グリッド電源S4により下流グリッド電極32bに、初期値として下流帯電器32による帯電処理が行われない範囲の電圧である−400Vの下流グリッド電圧Vg(L)を印加させる(S411)。その後、CPU200は、下流ワイヤー電源S2により下流ワイヤー電極32aに下流ワイヤー電流Ip(L)(=−1600μA)を供給させて、感光体1を帯電させる(S412)。次に、CPU200は、電流計A1に流れる電流値を測定し、測定結果を記憶部600に記憶させる(S413)。その後、CPU200は、電流計A1により測定された電流値が−1500μAよりも大きい(絶対値が小さい)か否かを判断する(S414)。S414の処理で「No」(電流値A1≦−1500μA)の場合、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)を−50V、すなわち、絶対値を大きくする方向に変更して(S415)、S413、S414の処理を繰り返す。そして、S414の処理で「Yes」(電流値A1>−1500μA)の場合、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)の設定を調整する際の調整開始値とする重畳開始電圧Vg(L)Aを求めて、記憶部600に記憶させる(S416、S417)。
つまり、CPU200は、S413〜S415の処理による測定結果に基づいて、上述のように、未重畳領域の関係と、重畳領域の関係と、を求める(図13)。そして、CPU200は、上述のように、未重畳領域の関係と、重畳領域の関係と、の交点における下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧Vg(L)Aとして計算により求める。
なお、S413〜S415の処理では、未重畳領域の関係及び重畳領域の関係に関する情報を取得できるようにすることが好ましい。具体的には、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に電流値が変化しない領域の少なくとも1点、及び電流値が変化する領域の少なくとも2点の下流グリッド電圧Vg(L)に対する電流値を検知できるようにする。そのために、S411における下流グリッド電圧Vg(L)の初期値の絶対値は十分に小さくする。また、下流グリッド電圧Vg(L)を変化させた場合に電流値が変化しない領域では、電流値は下流ワイヤー電流Ip(L)で略一定である。したがって、重畳領域の関係(傾き)を求め、この重畳領域の関係における上記一定の電流値(下流ワイヤー電流Ip(L))のときの下流グリッド電圧Vg(L)を、重畳開始電圧Vg(L)Aとして求めることもできる。また、要求される調整精度などに応じて、未重畳領域の関係を求める代わりに、下流ワイヤー電流Ip(L)の値を利用してもよい。
その後、CPU200は、下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲(可変範囲)を決定して記憶部600に記憶させる(S418)。実施例1と同様に、この下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲は、S417で算出した重畳開始電圧Vg(L)Aに対し前述の式(1)の関係を満たすように設定される。そして、CPU200は、帯電電圧の印加、感光体1の駆動を停止させて(S419)、下流帯電器32に印加する電圧の設定を調整するための調整開始値(及び設定範囲)を決定する手順を終了する(S420)。
このように、図14の手順によって、重畳開始電圧Vg(L)A、更には下流グリッド電圧Vg(L)の設定範囲が決定される。
なお、上述のように、S411において下流グリッド電圧Vg(L)の初期値を−400Vとしたのは、下流帯電器32による帯電処理が開始しない範囲の下流グリッド電圧Vg(L)を印加するためである。この初期値として印加する電圧は、画像形成装置100の構成や、感光体1の暗減衰特性などに応じて、下流帯電器32による帯電処理が開始しない範囲に任意に設定することができる。また、複数の下流グリッド電圧Vg(L)の初期値を用いて電流値の測定を行えるようにしてもよい。
本実施例によれば、電流計A1を用いて重畳開始電圧Vg(L)Aを検知することにより、重畳開始電圧Vg(L)Aの検知精度を向上させることができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、実施例1で説明した原理に基づき、2つの帯電器で感光体を所定の電位に帯電する装置において、より効率的に感光体の表面電位のムラが低減するような帯電器の各条件を設定することを可能とする。
図15は、本実施例における調整動作の手順のフローチャート図である。なお、図15の手順は、CPU200によって制御される。また、この手順は、画像形成時(画像形成期間)以外の非画像形成時(非画像形成期間)に行われる。前述のように、非画像形成時としては、前回転工程時、紙間工程時、後回転工程時などが挙げられる。また、図15の手順は、典型的には、CPU200によって自動的に実行される。ただし、CPU200が画像形成装置100の装置本体に設けられた操作部(図示せず)などからの操作者の指示に応じて実行させることができるようにしてもよい。
CPU200は、調整動作を実行するタイミングが到来すると(S501)、センサー位置Dでの帯電電位Vd(U+L)sensの目標値Vd(U+L)sens.tgt(本実施例では−480V)を記憶部600から読み込む(S502)。次に、CPU200は、感光体1の駆動を開始させる(S503)。そして、CPU200は、感光体1が定常回転に到達した後に、感光体1を帯電させる(S504)。つまり、CPU200は、初期値として、上流グリッド電源S3により上流グリッド電極31bに−780Vの上流グリッド電圧Vg(U)、下流グリッド電源S4により下流グリッド電極32bに−580Vの下流グリッド電圧Vg(L)を印加させる。続いて、CPU200は、上流ワイヤー電源S1により上流ワイヤー電極31aに上流ワイヤー電流Ip(U)(=−1600μA)、下流ワイヤー電源S2により下流ワイヤー電極32aに下流ワイヤー電流Ip(L)(=−1600μA)を供給させる。
次に、CPU200は、電位センサー5により感光体1の表面電位を測定し、測定結果に基づいて下記Vd.aveとΔVd’とを計算して、記憶部600に記憶させる(S505)。つまり、S505において、CPU200は、感光体1が1周する間に複数点で表面電位が測定されるように、測定のタイミングを設定する。そして、CPU200は、複数点の測定結果の平均値Vd.aveと、複数点の測定結果における最大値(Vdmax)と最小値(Vdmin)との差分である周ムラΔVd’(=Vdmax−Vdmin)と、をそれぞれ計算して、記憶部600に記憶させる。
次に、CPU200は、平均値Vd.aveと目標値Vd(U+L)sens.tgtとの差分ΔV(=Vd.ave−Vd(U+L)sens.tgt)を計算する(S506)。
次に、CPU200は、ΔVの絶対値が1V以下であるか否かを判断する(S507)。S507の処理で「No」(|ΔV|>1V)の場合、CPU200は、現在の下流グリッド電圧Vg(L)を、ΔVに予め定めた所定の係数α(本実施例では1.6)を乗算した値と現在のVg(L)とを加算した値に変更する(S508)。その後、CPU200は、S505、S506、S507の処理を繰り返す。つまり、感光体1の合成表面電位Vd(U+L)の平均値が目標の電位の範囲内に収束するようにフィードバック制御を行う。そして、S507の処理で「Yes」(|ΔV|≦1V)の場合、CPU200は処理をS509に進める。
CPU200は、S506で算出した周ムラΔVd’の絶対値が5V以下であるか否かを判断する(S509)。S509の処理で「No」(|ΔVd’|>5V)の場合、CPU200は、現在の上流グリッド電圧Vg(U)を、ΔVd’に予め定めた所定の係数β(本実施例では25)を乗算した値と現在のVg(U)とを加算した値に変更する(S510)。その後、CPU200は、S505、S506、S507、S508、S509の処理を繰り返す。つまり、感光体1の合成表面電位Vd(U+L)の周方向のムラが所定の範囲内に収束するようにフィードバック制御を行う。そして、S509の処理で「Yes」(|ΔVd’|≦5V)の場合、CPU200は帯電電圧の印加、感光体1の駆動を停止させて(S511)、処理を終了する(S512)。
このように、画像形成装置100は、上流グリッド電極31bに上流グリッド電圧(第1の電圧)Vg(U)を印加する上流グリッド電源(第1の電圧印加手段)S3を有する。また、画像形成装置100は、下流グリッド電極32bに下流グリッド電圧(第2の電圧)Vg(L)を印加する下流グリッド電源(第2の電圧印加手段)S4を有する。また、画像形成装置100は、合成表面電位Vd(U+L)を検知する電位センサー(電位検知手段)5を有する。そして、本実施例では、画像形成装置100は、画像形成期間以外の期間において、次のような第1の調整動作と、第2の調整動作と、を含む調整動作(S501〜S512)を実行する実行部としてのCPU200を有する。第1の調整動作では、上流帯電器31及び下流帯電器32で感光体1を帯電しながら下流グリッド電圧Vg(L)を調整して合成表面電位Vd(U+L)を目標の電位の範囲に制御する(S505〜S508)。第2の調整動作では、上流帯電器31及び下流帯電器32で感光体1を帯電しながら上流グリッド電圧Vg(U)を調整して合成表面電位Vd(U+L)の感光体1の周方向のムラを所定の範囲に制御する(S509〜S510)。
つまり、本実施例では、第1の調整動作において、下流グリッド電圧Vg(L)を調整して合成表面電位Vd(U+L)の平均値を目標の範囲内に収束させる。また、第2の調整動作において、上流グリッド電圧Vg(U)を調整して合成表面電位Vd(U+L)の周ムラを所定の範囲内に収束させる。これにより、結果的に、調整後の上流グリッド電圧Vg(U)で形成される上流帯電電位Vd(U)は、調整後の下流グリッド電圧Vg(L)を超えることが抑制される。そして、本実施例では、制御の簡易化により、より効率的に、感光体の表面電位のムラが低減された所望の合成表面電位Vd(U+L)を得ることができる。
以上のように、本実施例によれば、2つの帯電器で感光体を所定の電位に帯電する装置において、感光体の表面電位のムラが低減するような帯電器の各条件を設定できる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、実施例1、2に関して、第1の帯電器による第1の帯電電位の目標値は、上述の実施例の値に限定されるものでない。例えば、感光体の帯電特性である暗減衰や、帯電器の放電特性に応じて適宜変更することができる。第1の帯電電位が第2の帯電器の直下に到達した際の電位と同電位になる第2の帯電器のグリッド電圧を検知できればよい。
また、例えば、実施例1、2に関して、画像形成装置は、2個の帯電器を有していたが、より多くの帯電器を有していてもよい。この場合、先に感光体の帯電処理を行う帯電器から、既に形成された帯電電位に重畳させて帯電電位を形成する帯電器へと順次に、実施例1、2と同様にしてグリッド電圧の設定を調整していけばよい。すなわち、感光体の表面の移動方向において最上流の帯電器から最下流の帯電器まで順次に、グリッド電圧の設定を調整していけばよい。このとき、まず最上流の帯電器とその下流側に隣接する帯電器とをそれぞれ第1、第2の帯電器として、第1の帯電器、第2の帯電器の順にグリッド電圧の設定を調整する。次に、調整済みの2個の帯電器を第1の帯電器、その下流側に隣接する帯電器を第2の帯電器と考えて、実施例1、2と同様にして該第2の帯電器のグリッド電圧の設定を調整する。更に下流側に帯電器がある場合にも同様に、調整済みの3個の帯電器を第1の帯電器、その下流側に隣接する帯電器を第2の帯電器と考えればよい。このような制御により、最上流の帯電器を除く帯電器の帯電処理に関して、それぞれ重畳開始電圧(上述の実施例のVg(L)Aに対応)を決定し、更にグリッド電圧の設定範囲(可変範囲)を設定することができる。この場合、複数の設定範囲(可変範囲)は、それぞれ異なっていても同一であってもよい。