JP6896504B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられるトナーに関する。
近年電子写真装置では、プリンターの高速化と省エネルギー化が追求されている。これらを達成すべく、より低温かつ短時間で定着できるだけの低温定着性を持つトナーが提案されている。また、カートリッジの小型化と長寿命化に対する要求も依然として大きい。これらを達成するためには、カートリッジ内のトナーを高密度充填することが有効である。しかし、高密度充填すると現像性の低下が見られるため、流動性を改善することで良好な現像性を持つトナーが提案されている。
良好な現像性を得られる流動性の改良として、例えば特許文献1では、大粒径のシリカをトナー粒子の表面に有するトナーが提案されている。このような手法は、大粒径のシリカがトナー間のスペーサーとして働くため、トナーの流動性を上げ、高密度充填された状態でも良好な現像性を示す。
特開2002−318467号公報 特開2012−013776号公報 特開2015−007765号公報 特開2004−212740号公報 特開2015−045859号公報
しかし、特許文献1のような大粒径のシリカは、トナー粒子に定着時の熱がかかることを妨げてしまい、トレードオフとして低温定着性を阻害するという課題がある。
また、特許文献2では、樹脂微粒子の表面がシリカで被覆されているコアシェル型複合微粒子をトナー粒子の表面に有するトナーが提案されている。このような手法は、無機物のシリカ粒子を用いた場合に比べると低温定着性の阻害は小さいが、トレードオフの解消には至っておらず、高速機で求められる低温定着性を満たすには十分でない。
低温定着性の改良として、例えば特許文献3では、結晶性ポリエステルをトナー粒子に添加し、シャープメルト性能を高めることが提案されている。しかし、トナー粒子を軟らかくした場合、トナーが転がりにくくなってしまうため、高密度充填に必要な流動性を確保することができない。また、低温定着性能を母体の粘度のみに頼るため、熱を受けた時のトナーの変形が大きくなることで、紙面の凹凸に応じた定着ムラが生じやすくなり、画質の低下を招くという弊害も生じてしまう。
また、特許文献4では、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルを有するトナーが提案されている。該トナーでは、定着時にはトナー表層の結晶性ポリエステルが溶融することで、トナーの低温定着性を高めている。しかし、トナーの表面に結晶性ポリエステルが存在することで、トナーの凝集により高密度充填に必要な流動性には十分とはならない。また、トナーの表面に結晶性ポリエステルが存在することで帯電性が十分にはならず、ゴーストのような画像弊害を生じてしまう。
さらに、特許文献5では、融点が60℃以上150℃以下である樹脂微粒子に、無機微粒子が埋め込まれた複合微粒子をトナー粒子の表面に有するトナーが提案されている。こ
の手法により、トナーの表面近傍の溶融による低温定着性を向上させ、且つ一定の流動性や帯電性を得る事ができると考えられる。しかし、今後更にカートリッジが長寿命化して高密度になる充填環境においては、流動性や帯電性は不十分であり、改良の必要性がある。また、無機微粒子を埋め込む事によって生じる無機微粒子の凸部が、長期使用により、現像スリーブや感光体ドラムといったカートリッジ内のトナーと接する部品を傷つけてしまう可能性があり、カートリッジ全体の耐久性といった観点でも課題が残る。
以上のように従来の手法を用いた場合、トナーの高密度充填に必要な流動性と高速化に必要な低温定着性は、トレードオフの関係にあり、これらの両立を達成することは非常にハードルが高い。この課題をクリアするために、トナーの表面近傍の溶融は未だ改善の余地があると考えられ、これを改善することで流動性と低温定着性の両立を達成することができると考えられる。
本発明の目的は上記課題を解決できるトナーを提供する事にある。
具体的には、高密度充填時にも良好な現像性を示し、かつ良好な低温定着性を示すトナーを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該外添剤は、外添剤A及び流動性向上剤を含有し、
該外添剤Aが、有機物及び該有機物表面の有機ケイ素重合体の被覆層を有する複合粒子
であり、
(1)該トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が−1.35×10以下であり、
(2)粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速100mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該体層から取り出し、再度該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
TE2<TE1
300≦TE1≦1200
50≦TE2≦450
の関係を満たすことを特徴とするトナーである
また、本発明の他の態様は、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該外添剤は、外添剤A及び微粉末シリカを含有し、
該外添剤Aが、有機物及び該有機物表面の有機ケイ素重合体の被覆層を有する複合粒子であり、
(1)該トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が−1.35×10 以下であり、
(2)粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速100mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該粉体層から取り出し、再度該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
TE2<TE1
300≦TE1≦1200
50≦TE2≦450
の関係を満たすことを特徴とするトナーである。
本発明によれば、高密度充填時にも良好な現像性を示し、かつ良好な低温定着性を有するトナーを得ることができる。
粉体動的粘弾性測定における温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線 温度T[℃]−変化量dE’/dT[Pa/℃]曲線、及び動的粘弾性測定における温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率G’[Pa]曲線
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
先にも述べたとおり、高密度充填されたトナーであっても良好な現像性を得るのに必要な流動性の確保と低温定着性のトレードオフを解消する事は技術的にハードルが高い。トナーの流動性を確保しようとした場合、トナーの表面に無機粒子のスペーサーを添加することが効果的である。しかし、このようなスペーサー粒子の多量添加は、定着時のトナー
粒子母体の溶融を阻害し、低温定着性能に悪影響を与える。
そこで、高密度充填されたトナーであっても良好な現像性を得るのに必要な流動性の確保ができて、かつトナー表面近傍の溶融性能を高めるスペーサー粒子が重要であると考える。
特に、電子写真画像形成のプロセス速度の速い電子写真装置において、トナーの表面近傍の溶融性能は非常に重要である。プロセス速度の速い電子写真装置では、当然定着工程においても高速化が必要となる。つまり、未定着トナーが載った紙が、熱定着時に定着ローラーから熱を受けることができる時間がより短くなる。この短い加熱時間内で、いかに十分にトナーを溶融させて、トナー同士、及びトナーと紙とを結合させることができるかが、低温定着性の改善には重要であると考えた。
そこで本発明者らは、トナー粒子の表面に低温で溶融する材料を外添等によって存在させれば、短い加熱時間であっても、トナーの表面を溶融させ、低温定着性の改善を図ることができるものと考察した。トナーが定着ローラーで加熱される際に、トナー表面近傍が溶融すれば、紙面とトナー間・トナーとトナー間は接着され、紙面上にトナーを定着させる事が可能である。
ただし、良好な表層溶融性能を獲得する事は容易ではない。当然、結晶性ポリエステルや低融点ワックスといった低温でシャープに溶融する物質を表面に有すれば、トナー表面近傍の溶融を促進する事は可能である。しかし、このような物質は帯電性・流動性に乏しいので、トナー表面近傍に存在する場合、トナーの現像性や搬送性におけるデメリットが非常に大きい。
以上のように解決すべき課題がある中で、鋭意検討の結果、本発明者らは前記構成により良好なトナーの流動性と低温定着性を両立できる事を見出した。つまり、本願発明により、高密度充填カートリッジにおける優れた流動性と低温定着性を有するトナーを得ることができる。
さらに、トナーの流動性向上と表面近傍溶融の両方を同時に達成でき、紙全体のトナーの定着ムラが飛躍的に小さくなり、画質が良好になる。これは、トナーの流動性が向上した事で現像の均一性が向上し、定着時にはトナー表面近傍のみが溶融する事で、定着ローラーから熱を受けた際のトナー粒子母体の変形が小さくなったため、画像全体でトナーの溶融状態が一様になったことが要因と考えられる。
具体的には、本発明者らは、
結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
(1)該トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、‘該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が−1.35×10以下であり、
(2)粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速100mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該紛体層から取り出し、再度該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
TE2<TE1
300≦TE1≦1200
50≦TE2≦450
の関係を満たす事を特徴とするトナーを用いる事で、高密度充填時にも良好な現像性を示し、且つ良好な低温定着性を発揮できることを見出した。
トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、温度Tに対する該貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が、−1.35×10以下であることが非常に重要である。
この粉体動的粘弾性測定は、粉体状態でトナーの粘弾性を測定する事が可能であり、この測定によって示される貯蔵弾性率E’[Pa]とは、トナーが粉体として振る舞う際のトナー溶融の状態を示していると発明者らは考えている。
本発明のトナーの粉体動的粘弾性測定における温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線の例を図1に示す。図1によると、粉体動的粘弾性測定においてトナーの温度に対する貯蔵弾性率を測定した場合、2段階で貯蔵弾性率の低下が起こっている事がわかる。2段階になる理由は、トナー粒子の表面近傍の溶融とトナー全体の溶融が別の温度で発生するためであると本発明者らは考えている。
トナーが外部から熱を受けた際、最初に熱を受けるのは、当然トナー表面近傍であるので、低温側で示される貯蔵弾性率の低下が意味するものは、トナー表面近傍における溶融の進行であると推測される。さらに、温度に対する貯蔵弾性率の低下速度とは、トナー溶融の速度を意味する。
よって、ここで定義した「粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値」とは、即ちトナーの表面近傍の溶融性能のポテンシャルを示すと考えられる。この値が小さい、つまり絶対値が大きくなるほど表面近傍の溶融性能の高いトナーである。
良好な溶融性能を有するためには、この極小値の値が−1.35×10以下であることが重要であり、−1.55×10以下であることが好ましく、−1.80×10以下であることがさらに好ましい。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは−9.5×10以上であり、より好ましくは−8.0×10以上である。該極小値は、外添剤Aを用いる場合、外添剤Aの添加量や軟化点、外添剤Aに用いる有機物の種類等により制御することができる。該極小値を小さくしたい場合は、低軟化点の外添剤Aの使用、外添剤A中の有機物に結晶性材料を使用する等が挙げられる。
また、トナーの粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該紛体層から取り出し、再度周速100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
TE2<TE1
300≦TE1≦1200
50≦TE2≦450
の関係を満たす事が非常に重要である。
この粉体流動性測定により測定されるTE[mJ]は、カートリッジ内でのトナーの流動性を表している。TE1は、カートリッジ内で想定される高密度充填の状態から、初期の撹拌におけるトナーの流動性を示していると発明者らは考えている。高密度充填状態から撹拌によって一気にトナーの充填状態が変化する初期は、トナーの良好な流動性が重要となる。
TE1が1200以下のとき、トナーの搬送性が良好になり、白部と黒部を印字した後で現像スリーブ上のトナーの量が変わってしまうことで発生するゴーストという画像弊害を抑制できる。また、TE1が300以上のとき、カートリッジ内の撹拌部材からトナー
へかかる力が適度になり、トナーを多く消費するベタ黒濃度の均一性が良好になる。
これら初期の画質を良好にするには、TE1は300以上1200以下であることが重要であり、350以上1120以下であることが好ましく、400以上1050以下であることがより好ましい。
また、TE2は、カートリッジ内で高密度充填の状態からトナーがほぐされた後の流動性を示していると発明者らは考えている。カートリッジ内のトナーを循環させるためには高密度充填状態のトナーがほぐされる必要があるため、TE2<TE1であることが重要である。
また、初期ほど顕著ではないが、TE2が50以上のとき、カートリッジ内の撹拌軸からトナーへかかる力が適度になり、トナーを多く消費するベタ黒濃度の均一性が良好になる。また、トナーの表面近傍の溶融性能との相乗効果で定着ムラが良化するには、現像の均一性が重要である。これらの画質を良好にするため、また耐久後も良好な現像性を示すためには、TE2は50以上450以下であることが重要であり、60以上420以下であることが好ましく、70以上400以下であることがより好ましい。
TE1は、外添剤の量、トナー粒子の形状等を変えることによって制御できる。また、TE2は、外添剤の粒径や量、付き方等を変えることによって制御できる。
本発明に用いる外添剤は外添剤Aを含有することが好ましい。外添剤Aは、内部の有機物及び該有機物の表面の有機ケイ素重合体による被覆層を有する複合粒子であることが好ましい。表面を有機ケイ素重合体で被覆した複合粒子にすることで、トナーの帯電性や流動性を高めることができ、現像性や耐久性を良好にする傾向がある。また、内部に有機物を有することで、定着時にトナーの表面近傍の溶融を促進することができ、プリントの高速化や省エネルギー化が進む現状においても、十分な低温定着性を得ることができる。つまり、有機物の表面に有機ケイ素重合体の被覆層を有する事により、トナーの表面近傍の溶融性能を保ちつつ良好な現像性と耐久性を確保しやすくなる。
さらに、単純に有機物表面に無機粒子を有するのではなく、有機ケイ素重合体が被覆層をなすことによって、カートリッジ部材の研磨を抑制する効果が得られると考えられる。有機ケイ素重合体が被覆層をなしていると、有機物表面に無機粒子を有する場合に比べて、表面がなめらかであると推測され、現像スリーブやドラムといったカートリッジ部材を傷めにくい。これによって、現像スリーブやドラムに傷ができにくくなり、画像上のスジの発生が抑えられる。
このように、有機ケイ素重合体が被覆層を形成する事は、トナーの耐久性のみならず、カートリッジ全体としての耐久性においても非常に効果が大きい。カートリッジ全体としての耐久性を良化させるため、また初期の帯電性を均一にしてゴーストを良化させるには、外添剤A内部の有機物の有機ケイ素重合体による被覆率が、75%以上100%以下であることが好ましく、85%以上100%以下であることがより好ましく、95%以上1
00%以下であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。複合粒子内部の有機物の被覆率は、被覆層の形成時間等によって制御できる。
複合粒子としての外添剤Aは、内部の有機物の含有量が、8質量%以上60質量%以下であることが好ましく、15質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。8質量%以上にすることで、トナーが定着ローラーから熱を受けたとき、トナー表面近傍の溶融が速くなることで、低温定着性が良化し、15質量%以上にするとさらに良化する。一方、60質量%以下にすることで、外添剤A同士の凝集が抑制されるため、トナー粒子への均一な分散性が達成でき、50質量%以下にすることでさらに分散性が良好になる。
外添剤Aの含有量は、トナー粒子100質量部に対して0.10質量部以上が好ましく、0.30質量部以上5.00質量部以下がより好ましい。外添剤Aを0.10質量部以
上有していると、トナーの表面近傍の接着性能は向上し、0.30質量部以上であるとさらに向上する。また、5.00質量部以下であると、トナー粒子全体に均一に外添剤Aが存在することができ、表面近傍の溶融性能を効率的に発揮することができる。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察における外添剤Aの一次粒子の割合が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100%以下である。ここでの一次粒子の割合とは、トナー粒子への外添剤Aの均一な分散性を示している。80%以上であると耐久使用後もトナー全体に外添剤Aが維持されるため、良好な現像性を維持することができる。1次粒子の割合は、トナー粒子に外添する前に、外添剤Aのみを混合する手法や外添時間等を変化させることで制御することができる。
さらに、上述したE’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)の曲線における、最も低温側の極小値となる温度をTmaxとしたときに、Tmaxに達した時の動的粘弾性測定におけるトナー貯蔵弾性率G’(Tmax)が、2.50×10以上である事が好ましい。
E’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)の曲線における、最も低温側の極小値がトナー表面近傍の溶融性能ポテンシャルを表すのに対して、G’はトナー全体の溶融性能を表すと発明者らは考えている。つまり、Tmaxに達した時の貯蔵弾性率G’(Tmax)とは、トナー表面近傍の溶融が最も進むポイントにおけるトナー全体の溶融性であり、この数値が高いほどトナー表面近傍が選択的に溶融していることを意味する。逆に、低いほど表面近傍の溶融の性能をトナー粒子母体の溶融、つまりトナー全体の溶融に依存している事を意味する。
また、トナー粒子母体が硬い場合には、耐久使用後も外添剤の埋め込みが抑えられる。良好な画質、良好な耐久使用後の現像性を得るためにはG’(Tmax)が、2.50×10以上であることが好ましく、3.50×10以上であることがより好ましく、4.00×10以上であることがさらに好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは1.00×1010以下であり、より好ましくは1.00×10以下である。トナーのG’(Tmax)は、トナー粒子に用いる結着樹脂の軟化点や可塑剤の種類や量等によって制御できる。
温度T[℃]―変化量dE’/dT[Pa/℃]曲線、及び動的粘弾性測定における温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率G’[Pa]曲線を図2に示す。
外添剤Aの内部の有機物の種類は限定されない。ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の非晶性樹脂、ワックスや結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性材料が挙げられる。良好なトナー表面近傍の溶融性能とトナー表面近傍の選択的な溶融の観点から、外添剤Aの溶融開始温度が、30℃以上105℃以下であることが好ましく、40℃以上85℃以下であることがより好ましい。
有機物は、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂又はワックスを含むことが好ましく、有機物が結晶性ポリエステル樹脂、又は非晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂を含むことで、外添剤Aの分散性が良好になり、トナー粒子に均一に外添される。これにより、耐久後もトナー全体に外添剤Aが維持され、耐久後の現像性が良好になる。
有機物は結晶性ポリエステル樹脂を含むことがさらに好ましい。結晶性ポリエステル樹脂を含むと、トナー表面近傍のシャープメルト性が促進されるので、低温定着性が良化する。また、トナーの表面近傍がシャープに溶ける事で、トナー全体の変形が少なくても定着できるようになり、定着ムラの画像弊害が抑制される。該有機物は、本発明の効果に影響しない程度に、結晶性ポリエステル樹脂以外に、非晶性ポリエステル樹脂など公知の樹脂を含有していてもよい。該有機物は、結晶性ポリエステル樹脂であることがさらに好ま
しい。
なお、結晶性とは、示差走査型熱量計(DSC)による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピークが観測されることを意味する。
有機物に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは18000以上50000以下、より好ましくは25000以上50000以下である。上記範囲にすることで、外添剤としての硬さが適度になり、耐久性が向上する。
結晶性ポリエステル合成に使用可能な脂肪族ジオールとしては、例えば以下のものを挙げる事ができる。
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等。これらは、各々単独で、又は混合して用いる事もできる。なお、脂肪族ジオールは、これらに限定されるものではない。
また、当該脂肪族ジオールとしては、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いる事もできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、例えば以下のものを挙げる事ができる。2−ブテン1,4ジオール、3−ヘキセン1,6ジオール、4−オクテン1,8ジオール等。
次に結晶性ポリエステルの合成に用いる事のできる酸成分について述べる。酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸などの多価カルボン酸が望ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば以下のものを挙げる事ができる。蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸。あるいはその低級アルキルや酸無水物等。これらは、単独で、又は混合して用いる事も可能である。また、脂肪族ジカルボン酸はこれらに限定されるものではない。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば以下を挙げる事ができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等。中でも、テレフタル酸は、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
さらに酸成分としては、二重結合を持つジカルボン酸を用いる事もできる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物を用いる事もできる。中でも、コストの面でフマル酸、マレイン酸が好ましい。
外添剤Aの有機物に結晶性ポリエステルを使う場合、結晶性ポリエステルがウレタン結合を有する事が好ましい。ウレタン結合を有すると、定着時に多量に熱を受けた際のトナーの弾性が上昇するので、定着ムラの改善に非常に効果的である。
ウレタン結合を構成するためのイソシアネート成分としては以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)、並びにこれらの2種以上の混合物。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
これらのうちで好ましいものは、炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはHDI及びIPDI、XDIである。前記したジイソシアネートに加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
結晶性ポリエステルは、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の縮合体と、イソシアネート成分との重合物であることが好ましい。結晶性ポリエステルにおける、イソシアネート化合物に由来する構造の含有量は、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸に由来する構造100質量部に対し、0.5質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、モノマーの種類に応じて、直接重縮合やエステル交換法を適宜使い分けて製造することができる。
結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。
モノマーが、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させるのがよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるのが好ましい。
前記結晶性ポリエステルの製造において使用可能な触媒としては、例えばチタン触媒やスズ触媒を挙げることができる。チタン触媒の例としては、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。また、スズ触媒の例としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド等が挙げられる。
複合粒子は、有機物表面に有機ケイ素重合体の被覆層を有する。被覆とは、内部の有機物を、有機ケイ素重合体が層を成して覆っている状態の事であり、完全に覆われていてもよいし、一部有機物が露出していてもよい。
複合粒子において有機ケイ素重合体の被覆層を形成するためには、公知の方法を用いる事ができる。
例えば、シランカップリング剤を用いた方法である。母体となる有機物を有機溶媒中へ分散させる。その溶液を水相へと滴下した後に、脱溶剤し有機物微粒子の分散溶液を作製する。そして、分散溶液のpHを調整した後、シランカップリング剤を添加する。この方法によると、シランカップリング剤が分散溶液中で加水分解及び重縮合を起こし、疎水性相互作用により有機物微粒子の表面に堆積していく。このようにして、有機物微粒子表面に有機ケイ素重合体の被覆層を形成する事ができる。
また、重合性のシランカップリング剤を用いる事も可能である。ビニル基などを有する重合性シランカップリング剤が有機微粒子の表面に堆積した際に、過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を添加する事で、有機微粒子表面においてビニル重合を進行させる。これによってより強固な有機ケイ素重合体の被覆層の形成が可能である。強固な被覆層を形成
する事で、トナーの耐久性の向上に効果をもたらす。
シランカップリング剤としては、以下のものが好ましく用いられる。
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
複合粒子は、表面を有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理されていてもよい。有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理することによって、疎水性を高めることができるため、高温高湿環境においても安定した現像性を有するトナーとすることができる。有機ケイ素化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ含有するジメチルポリシロキサン等。これらは1種又は2種以上の混合物で用いられる。
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm/s以上1000mm/s以下のものが好ましい。このようなシリコーンオイルの具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理された複合粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサのような混合機を用いて直接混合する方法。複合粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、複合粒子を加え混合し溶剤を除去する方法がより好ましい。
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径は、30nm以上500nm以下であることが好ましい。上記範囲であると、転写時や定着時に紙とトナーを付着させやすくなり、転写性や定着性に対して効果が得られやすい。また、スペーサーとしての役割により耐久性が向上しやすい。
本発明のトナーは、外添剤A以外の他の外添剤を含んでいてもよい。特にトナーの流動性や帯電性を向上させるために、他の外添剤として流動性向上剤を添加するのが好ましい。流動性向上剤としては、以下のものを用いることができる。
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカのような微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、又は微粉末アルミナ、あるいはそれらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどにより表面処理を施したもの;酸化亜鉛、酸化スズのような酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチ
ウムやジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物等。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。個数基準での粒度分布における平均1次粒径は5nm以上30nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができることができるので好ましい。
流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。疎水化処理は、複合粒子の表面処理と同様の方法を用いることができる。流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上300m/g以下のものが好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01質量部以上3質量部以下使用することが好ましい。
トナーは、一成分現像剤として用いてもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものを使用できる。
具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物が好ましくは使用される。また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の物質を付着又は被覆させたものが好ましく使用される。
次に、トナー粒子について説明する。
まず、トナー粒子に用いられる結着樹脂について具体的に記載する。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。特に、極性を有する荷電制御剤を均一に分散させるという観点から、一般的に高い極性を有するポリエステル樹脂を含有することが、現像性の点で好ましい。結着樹脂は、保存安定性の観点から、ガラス転移点(Tg)が45℃以上70℃以下であることが好ましい。
また、良好なトナー表面近傍の溶融性の付与という観点から、トナーが溶融特性に優れる外添剤Aを有することが好ましい態様である。そのため、トナー粒子の軟化点Tmは、外添剤Aの軟化点Tmよりも高い事が好ましい形態である。トナー表面近傍の溶融特性の効果を最大限に発揮し、優れた耐久性を有するためにも、トナー粒子の軟化点(Tm)は、90℃以上180℃以下が好ましく、100℃以上170℃以下がより好ましい。
トナー粒子にはさらに磁性酸化鉄粒子を含有させ磁性トナーとしても使用しても構わない。この場合、磁性酸化鉄粒子は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金又はその混合物が挙げられる。
これらの磁性酸化鉄粒子は個数平均粒径が2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。トナー中の含有量としては結着樹脂10
0質量部に対し20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
本発明に用いる着色剤の例を以下に挙げる。
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーには、定着時の離型性を付与するために、ワックスを含有させてもよい。
ワックスとしては、例えばポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス、エステルワックス等が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以20.0質量部以下が好ましい。
トナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることができる。電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合法、懸濁重合法及び溶解懸濁法などのいわゆる重合法を用いることができる。
粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する結着樹脂、着色剤、さらに必要に応じてワックス、電荷制御剤等の添加剤を、ヘンシェルミキサ、ボールミル等の混合機により充分に混合する。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。
さらに必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<粉体動的粘弾性の測定方法>
トナー約50mgを精秤し、付属のマテリアルポケット(縦×横×厚み:17.5mm×7.5mm×1.5mm)にトナーが中心にくるよう仕込み、粉体動的粘弾性測定装置(Perkin Elmer社製 DMA8000)を用いて測定を行う。測定ウィザードを用いて以下の測定条件で測定する。
周波数:単一周波数1Hz
振幅:0.05mm
昇温スピード:2℃/min
開始温度:30℃
終了温度:180℃
データ取得間隔:0.3秒間隔
粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、各温度の前後1.5秒間でE’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)を測定する。上記方法で30℃〜180℃の温度範囲で変化量(dE’/dT)を算出し、トナー貯蔵弾性率E’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)の曲線(温度T[℃]―変化量dE’/dT[Pa/℃]曲線)を得る。該温度T[℃]―変化量dE’/dT[Pa/℃]曲線においてオンセット温度から90℃までの間で、低温側からみて最初に現れる変化量(dE’/dT)の極小値を算出する。
また、該温度T[℃]―変化量dE’/dT[Pa/℃]曲線におけるオンセット温度とは、E’の曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、E’の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点を示す温度である。
<粉体流動性の測定方法>
本発明における、TE1及びTE2は、回転式プロペラ型ブレードを備えた粉体流動性測定装置(パウダーレオメータFT−4、Freeman Technology社製)
(以下、FT−4と省略する)を用いて測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。なお、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用23.5mm径ブレードを用いる。該ブレードは、23.5mm×6.5mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在する。ブレード板は、両最外縁部分(回転軸から12mm部分)が、70°、回転軸から6mmの部分が35°といったように、反時計回りになめらかにねじられたもので、材質はSUS製を使用する。
使用する容器は、FT−4測定専用容器[直径25mm、容積25mlのスプリット容器(型番:C4031)、容器底面からスプリット部分までの高さ約51mm。以下、単に容器ともいう。]を用いる。
また、トナーの圧縮は、圧縮試験用ピストン(直径24mm、高さ20mm、下部メッシュ張り)を上記プロペラ型ブレードの代わりに用いる。
測定の手順は以下の通りである。
(1)サンプルの圧密操作
上述のFT−4測定専用容器にトナーを3.5cm加える。粉体の体積は、島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330により測定された真密度(g/cm)から算出する。FT−4測定専用の圧縮ピストンを取り付け40Nで60秒間圧密を行う。さらに、トナーを3.5cm加え、同様に圧縮操作を計3回行い、計10.5cmの圧密されたトナーが専用容器に入っている状態にする。本発明では、カートリッジ内の高密度充填を最も明瞭に評価できる条件として40Nを採用した。
(2)測定操作
トナー粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転によりトナー粉体層を押し込まない方向)の回転方向で、ブレードの周速(ブレードの最外縁部の周速)を100mm/secとし、トナー粉体層への垂直方向の進入速度を、移動中のブレードの最外縁部が描く
軌跡と粉体層表面とのなす角度(以下、「ブレード軌跡角」)が、5(deg)になるスピードとし、トナー粉体層の底面から10mmの位置までプロペラ型ブレードを進入させる。その後、トナー粉体層からの垂直方向の抜き取り速度を、ブレード軌跡角が、5(deg)になるスピードとし、ブレードの取り出しを行う。
上記測定操作において、プロペラ型ブレードをトナー粉体層の最上面から、粉体層の底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる回転トルクと垂直荷重の総和(Total Energy)をTE1とする。そして、プロペラ型ブレードをトナー粉体層から取り出し、再度TE1と同様の測定操作を行ったとき、プロペラ型ブレードをトナー粉体層の最上面から、粉体層の底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる回転トルクと垂直荷重の総和をTE2とする。
<動的粘弾性の測定方法>
測定装置としては、回転平板型レオメータ「ARES」(TA INSTRUMENT
S社製)を用いる。
測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、0.2gのトナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型(20MPa、60秒)した試料を用いる。
試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に15分間で昇温して、試料の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要である。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Te
nsion Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。当該測定により、温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率G’[Pa]曲線を得ることができる。
測定は、以下の条件で行う。
(1) 直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(2) 周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする

(3) 印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(4) 30℃から200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。なお、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5) 最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6) 最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、
最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(7) 歪み調整(Strain Adjustment)を 20.0% of Curr
ent Strain と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8) 自動テンションディレクション(Auto Tension Direction
)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(9) 初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10
.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(10) 自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×10Pa以上である。
<外添剤Aの一次粒子の割合の測定方法>
外添剤Aの一次粒子の割合の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(日立製作所製)を用いて行う。外添剤Aが外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の外添剤Aを選択する。ここで、外添剤Aが2つ以上合
一化したものは1個とカウントする。この100個の外添剤Aのうち、単体で存在するものを一次粒子として、下記式で、外添剤Aの一次粒子割合を求める。
[一次粒子の個数]÷100×100=一次粒子の割合(%)
観察倍率は、複合粒子の大きさによって適宜調整する。他の外添剤でも同様の方法で測定する。
なお、トナー粒子に外添剤A以外の他の外添剤も添加されている場合に、外添剤Aを区別する方法としては、走査型電子顕微鏡「S−4800」(日立製作所製)を用いて、粒径や形状を確認する方法がある。
<外添剤Aにおける、有機物の有機ケイ素重合体による被覆率の測定方法>
有機物の有機ケイ素重合体による被覆率の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)H−700H、H−800、H−7500(いずれも日立製作所製)を用いて算出する。外添剤Aである複合粒子を20,000倍以上100,000倍以下で撮影し、1倍以上5倍以下の焼き付け倍率として、任意の倍率で試料を観察し、0.03μm以上の粒子をランダムに100個選択する。この100個の複合粒子において、下記式で有機物に対する有機ケイ素重合体の被覆率を計測し、その相加平均をもって該被覆率とする。
[外添剤Aの有機物が露出していない部分の表面積]÷[外添剤Aの表面積]×100=有機物に対する有機ケイ素重合体の被覆率(%)
なお、有機物が露出していない部分(有機ケイ素重合体部分)と、有機物部分との見分け方は後述する。
<外添剤Aの溶融開始温度の測定方法>
外添剤Aである複合粒子約10mgを精秤し、付属のマテリアルポケット(縦×横×厚み:17.5mm×7.5mm×1.5mm)に複合粒子が中心にくるよう仕込み、粉体動的粘弾性測定装置(Perkin Elmer社製 DMA8000)を用いて測定を行う。測定ウィザードを用いて以下の測定条件で測定する。
周波数:単一周波数1Hz
振幅:0.05mm
昇温スピード:2℃/min
開始温度:30℃
終了温度:180℃
データ取得間隔:0.3秒間隔
粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−複合粒子貯蔵弾性率e’[Pa]曲線において、各温度の前後1.5秒間でe’の温度Tに対する変化量(de’/dT)を測定する。上記方法で30℃〜120℃の温度範囲で変化量(de’/dT)を算出し、変化量(de’/dT)が最も小さくなった温度を外添剤Aの溶融開始温度とする。
<軟化点(Tm)の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法にお
ける溶融温度である。測定試料は、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<ガラス転移温度Tgの測定方法>
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲−10〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて−10℃まで10℃/minで降温し、その後に再度10℃/minで昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度Tgとする。
<GPCによる重量平均分子量Mwの測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。
試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れて5時間放置した後、十分振とうして、試料の合一体が無くなるまでTHFへ溶解させる。溶解温度は25℃を基本とし、試料の溶解性に応じて25〜50℃の範囲で溶解させる。その後更に25℃で12時間以上静置保管する。
この時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試
料濃度は、樹脂成分が0.5mg/ml以上5.0mg/ml以下となるように調整する。
<結晶性樹脂のウレタン結合の確認方法>
ウレタン結合の有無は、ATR法によるFT−IRスペクトルで確認する。ATR法によるFT−IRスペクトルは、Universal ATR Sampling Acce
ssory(ユニバーサルATR測定アクセサリー)を装着したFrontier(フーリエ変換赤外分光分析装置,PerkinElmer社製)を用いて行う。
ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)を用いて行う。
その他の条件は以下の通りである。
Range
Start :4000cm−1
End :600cm−1(GeのATR結晶)
Scan number:8
Resolution :4.00cm−1
Advanced :CO/HO補正あり
1570〜1510cm−1の範囲にピークトップを有していればウレタン結合を有すると判断する。
<外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。外添剤Aが外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の外添剤Aの一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、外添剤Aの大きさによって適宜調整する。他の外添剤でも同様の方法で測定する。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例中で使用する部は特に断りのない限り質量基準である。
<結晶性樹脂1の製造例>
・(酸成分)デカンジカルボン酸 159部
・(アルコール成分)1,6−ヘキサンジオール 90部
撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、上記原料を仕込んだ。続いて上記原料総量に対して、0.1質量%のテトライソブチルチタネートを入れ、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した後8.3kPaにて1時間反応させることで、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
続いて、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、結晶性ポリエステル樹脂1を仕込んだ。結晶性ポリエステル樹脂1の酸成分及びアルコール成分100部に対して、イソシアネート成分として14部のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を入れ、結晶性ポリエステル樹脂1及びHDIの濃度が50質量%となるようにテトラヒドロフラン(THF)を添加した。
50℃まで加熱し、10時間かけてウレタン化反応を実施した。溶媒のTHFを留去して、結晶性樹脂1を得た。FT−IR測定により、1528cm−1にピークトップを有しており、結晶性樹脂1がウレタン結合を有していることを確認した。また、結晶性樹脂1は、示差走査型熱量計(DSC)による測定において、明確な吸熱ピークを有していた。結晶性樹脂1の軟化点Tm、重量平均分子量Mwを表2に示す。
<結晶性樹脂2〜4の製造例>
結晶性樹脂1の製造例からモノマー処方・イソシアネート成分を表1のように変更し、
反応条件を調整して、結晶性樹脂2〜4を得た。結晶性樹脂2〜4の物性を表2に示す。モノマーの添加量に関しては、結晶性樹脂1の製造例と同様の部数用いた。なお、結晶性樹脂2〜4は、示差走査型熱量計(DSC)による測定において、明確な吸熱ピークを有していた。
Figure 0006896504
Figure 0006896504
<非晶性樹脂1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol)付加物:60.0mol部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol)付加物:40.0mol部
・テレフタル酸:77.0mol部
上記ポリエステルモノマー混合物を5リットルオートクレーブに仕込み、ポリエステルモノマー混合物総量に対して、0.05質量%のテトライソブチルチタネートを添加した。還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整した。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して非晶性樹脂1を得た。得られた非晶性樹脂1の物性を表2に示す。
<非晶性樹脂2の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol)付加物:60.0mol部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加)付加物:40.0mol部・テレフタル酸:77.0mol部
・トリメリット酸:5.0mol部
上記ポリエステルモノマー混合物を5リットルオートクレーブに仕込み、ポリエステルモノマー混合物総量に対して、0.05質量%のテトライソブチルチタネートを添加した。還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整した。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して非晶性樹脂2を得た。得られた非晶性樹脂2の物性を表2に示す。
<複合粒子1の製造例>
[有機物微粒子の作製]
・水相の調製
11号マヨネーズ瓶にイオン交換水 50部を入れ、ラウリル硫酸ナトリウム 0.2部を溶解させる。
・油相の調製
トルエン 7部に結晶性樹脂1を3.0部溶解させる。
撹拌した水相に油相を添加し、超音波ホモジナイザーで5分間分散(間欠 照射1s、停止1s)する。そして、エバポレータでトルエンを脱溶剤した後に、限外濾過フィルタ
ーで過剰量のラウリル硫酸ナトリウムを除去し、有機物微粒子を得た。
[被覆層の形成]
有機物微粒子のpHを測定し、10質量%塩酸を添加しpH2程度に調整する。その有機物微粒子分散液に有機物微粒子に対して2/1の質量比になるようにMPTMS(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を添加し、65℃で30分加温する。
その後KPS(過硫酸カリウム) 10質量%水溶液をMPTMS/KPSが10/1
になるように添加し、80℃で3時間加温する。その後、冷却・乾燥する事で複合粒子1を得た。複合粒子1の粒径は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(日立製作所製)を用いて、確認した。複合粒子1の内部有機物含有量、有機ケイ素化合物による有機物の被覆率及び溶融開始温度を表4に示す。
<複合粒子2〜11の製造例>
表3に示した変更以外は、複合粒子1の製造例と同様にして複合粒子2〜11を得た。処方及びその物性を表4に示す。
なお、被覆層の確認は、下記のように実施した。
常温硬化性のエポキシ樹脂中に複合粒子を分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間置き、エポキシ樹脂を硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、
複合粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる有機物と有機ケイ素重合体の中の原子の原子量の違いから、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して、有機ケイ素重合体部分と有機物部分とを見分けることができる。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。真空電子染色装置(商品名:VSC4R1H、Filgen社製)を用い、薄片状にしたサンプルをチャンバーに入れ、濃度5、染色時間15分で染色処理を行う。
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製
)を用い、加速電圧200kVで複合粒子の明視野像を取得する。次に、EELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。
<結晶性樹脂3の外添剤の製造例>
外添剤としての結晶性樹脂3は、表1記載の結晶性樹脂3を凍結粉砕し、使用した。結晶性樹脂3の個数平均粒径は、100nmであった。
Figure 0006896504

表中、C105は、フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社)である。
<複合粒子12の製造例>
2部のワックス(サゾール社製:C105)を、Industry Co.ltd社製
Cryogenic Sample Crusher(Model JFC−300)を用
いて、液体窒素を使用して凍結粉砕した。ヒュームドシリカ(BET:200m/g)を、50部のワックスの凍結粉砕品に対して0.5部となる量で、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用いて外添混合してワックスの表面に付着させた。目開き30μmのメッシュで篩い、複合粒子12を得た。複合粒子12は、走査型電子顕微鏡での観察より、ワックスの表面にヒュームドシリカが埋め込まれずに付着し、凹凸を形成していることを確認した。複合粒子12の物性を表4に示す。
Figure 0006896504
<磁性酸化鉄粒子1の製造例>
硫酸第一鉄を用い、Fe2+を2.0mol/リットル含有する硫酸鉄水溶液50リットルを調製した。また、ケイ酸ナトリウムを用い、Si4+を0.23mol/リットル含有するケイ酸ナトリウム水溶液10リットルを調製し、これを前記硫酸鉄水溶液に添加した。次いで、混合した水溶液に5.0mol/リットルのNaOH水溶液42リットル
を撹拌混合し、水酸化第一鉄スラリーを得た。
この水酸化第一鉄スラリーをpH12.0、温度90℃に調整し、30リットル/minの空気を吹き込み、水酸化第一鉄の50%が磁性酸化鉄粒子になるまで酸化反応を行った。次いで、磁性酸化鉄粒子が75%生成するまで20リットル/minの空気を吹き込み、次いで磁性酸化鉄粒子が90%生成するまで10リットル/minの空気を吹き込んだ。さらに磁性酸化鉄粒子の割合が90%を超えた時点で、空気を5リットル/min吹き込んで酸化反応を完結させ、八面体形状のコア粒子を含むスラリーを得た。
得られたコア粒子を含むスラリーに、ケイ酸ナトリウムの水溶液(Siを13.4質量%含有)を94mlと、硫酸アルミニウム水溶液(Alを4.2質量%含有)を288ml同時に投入した。その後、スラリーの温度を80℃に、pHを希硫酸によって5以上9以下に調整し、コア粒子の表面にケイ素及びアルミニウムを含む被覆層を形成した。得られた磁性体を常法により濾過し、乾燥、粉砕を行い、個数平均粒径0.12μmの磁性酸化鉄粒子1を得た。
<磁性酸化鉄粒子2の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00から1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.12質量%となる量のP、鉄元素に対して珪素元素換算で0.60質量%となる量のSiOを混合した。これによって、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90から1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。このとき、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。
次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し1.7部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。
その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにて濾過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して個数平均粒径が0.23μmの磁性酸化鉄粒子2を得た。
<トナー粒子1の製造例>
・非晶性樹脂2 100部
・磁性酸化鉄粒子1 75部
・C105(サゾール社製) 2部
・T−77(保土谷化学工業社製) 2部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM−30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)7.2μmのトナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表6に示す。
<トナー粒子2、3の製造例>
トナー粒子1の製造例から用いる材料を表5のように変更し、トナー粒子2、3を得た
。物性は表6に示す。
Figure 0006896504

表中の数値は部数を示す。
<トナー粒子4の製造例>
イオン交換水720部に0.1M−NaPO水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2.0部
・磁性酸化鉄粒子2 90.0部
上記処方をアトライタ(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。得られた重合性単量体組成物を60℃に加温し、フィッシャートロプシュワックス(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)15.0部を添加混合し、溶解した。溶解後に重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0部を溶解し、トナー組成物を得た。
上記水系媒体中に上記トナー組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株))にて12500rpmで12分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度74℃で6時間反応させた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子4を得た。得られたトナー粒子4の物性を表6に示す。
<トナー粒子5の製造例>
イオン交換水720部に0.1M−NaPO水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2.0部
・磁性酸化鉄粒子2 90.0部
・非晶性樹脂1 3.0部
上記処方をアトライタ(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。得られた重合性単量体組成物を60℃に加温し、フィッシャートロプシュワックス(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)15.0部を添加混合し、溶解した。溶解後に重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0部を溶解し、トナー組成物を得た。
上記水系媒体中に上記トナー組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株))にて12500rpmで12分間撹拌し、造粒
した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度74℃で6時間反応させた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子5を得た。得られたトナー粒子5の物性を表6に示す。
Figure 0006896504
<トナー1の製造例>
・トナー粒子1 100部
・コーヒーミルにより10秒間解砕した複合粒子1 1部
・疎水性シリカ微粉体 1部
(ジメチルシリコーンオイルで表面処理を行ったシリカ、一次粒子の個数平均粒径:10nm、原体シリカのBET比表面積200m/g)
外添混合する前に、使用する複合粒子1をコーヒーミルで10秒混合することで複合粒子の解砕を行った。上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で外添混合しトナー1を得た。諸物性を表8に示す。
<トナー2〜30及び比較トナー1〜6の製造例>
外添前にコーヒーミルにより解砕する時間と材料の種類と量を表7の様に変更した以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2〜30及び比較トナー1〜6を得た。諸物性を表8に示す。
Figure 0006896504
Figure 0006896504
<実施例1>
本実施例において評価に用いるマシンは、市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise M606dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)のプロセススピードを410mm/sになるように改造を施した本体である。また、本実施例において評価に用いるプロセスカートリッジは、81X High Yield Black Original LaserJet Toner Cartridge(ヒューレットパッカード社製)である。所定のプロセスカート
リッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、実施例で得たトナーを高密度になるよう1200g充填した。これを用いて、トナー1を用いた下記の評価を実施した。また、評価紙はVitality(Xerox社製、坪量75g/cm
、レター)を用いた。評価結果を表9に示す。
<実施例2〜30>
トナー2〜30を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表9に示す。
<比較例1〜6>
比較トナー1〜6を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表9に示す。
<低温定着性の評価>
上記改造評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを410mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。この装置を用いて、170℃以上220℃以下の範囲で5℃おきに定着温度の制御を行い、画像濃度が0.60以上0.65以下となるようにハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
定着器の設定温度を横軸に、濃度低下率を縦軸にして座標平面にプロットし、全てのプロットを直線で繋ぎ、濃度低下率10%の時の定着器の設定温度をトナーの定着開始温度とし、下記の基準により低温定着性を評価した。定着開始温度が低いトナーは低温定着性が良いことを示す。低温定着性の評価はトナーの熱定着に対し不利な条件である低温低湿環境下(7.5℃/15%RH)で行った。
・評価基準
A:定着開始温度が190℃未満
B:定着開始温度が190℃以上200℃未満
C:定着開始温度が200℃以上210℃未満
D:定着開始温度が210℃以上
<定着ムラの評価>
上記改造評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを410mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。この装置を用いて、画像濃度が0.70以上0.75以下となるようにハーフトーン画像を出力する。定着器の設定温度は評価トナーによって変更し、各トナーの上記低温定着性評価における定着開始温度+10℃とする。このハーフトーン画像上に濃度ムラがあるかどうかを目視で判断する。評価は常温常湿環境下(23℃,60%RH)で行った。
・評価基準
A:濃淡ムラが未発生。
B:濃淡ムラがごく軽微に発生する。
C:濃淡ムラが発生するが、あまり目立たない。
D:濃淡ムラが全面に発生し、目立つ。
<初期ゴーストの評価>
通紙方向において画像先端のスリーブ1周分に相当する領域に、白地にベタ黒の象形画像(正方形や真円など)を等間隔で配置し、それ以外の部分をハーフトーンとした出力画像を用いた。出力画像において、ハーフトーン上に象形画像のゴーストがどのように出現するかによりランク付けを行った。(ポジゴーストとは、ハーフトーンより画像濃度が高いゴーストを示し、ネガゴーストはハーフトーンよりも画像濃度の低いゴーストを示す。)ゴーストは下記基準に基づいてランク付けを行い評価した。評価は常温常湿環境下(23℃,60%RH)で行った。
・評価基準
A:濃淡差が全く見られない。
B:見る角度によってわずかな濃淡差が確認できる程度。
C:ゴーストが目視で明確に確認される。
D:ゴーストがはっきり濃淡として現れ、反射濃度計で濃度差が測定可能。
<初期ベタ追従性の評価>
低温低湿環境下(15℃/10%RH)において、全ベタ画像をサンプル画像として3
枚連続で出力した。得られた全ベタ画像の3枚目に対して、ベタ追従性の評価を目視評価にて行った。
・評価基準
A:画像濃度にムラがなく均一である
B:画像濃度にわずかなムラがある
C:画像濃度にややムラがある
D:画像濃度に顕著なムラがあり、均一なベタ画像になっていないレベル
<耐久後現像性の評価>
トナーを所定のプロセスカートリッジに充填した。印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計12000枚の画出し試験を実施した。10枚目と12000枚目では横線パターンの代わりに5mm丸のベタ画像を画出しして、濃度の差分を耐久後現像性の評価とした。
評価は現像性に厳しい高温高湿下(32.5℃、85%RH)で行った。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、5mm丸のベタ画像の反射濃度を測定することにより測定した。数値が小さい方が良いことを示す。
・評価基準
A:10枚目と12000枚目での画像濃度の差が0.15未満
B:10枚目と12000枚目での画像濃度の差が0.15以上0.30未満
C:10枚目と12000枚目での画像濃度の差が0.30以上0.45未満
D:10枚目と12000枚目での画像濃度の差が0.45以上
Figure 0006896504

Claims (11)

  1. 結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
    該外添剤は、外添剤A及び流動性向上剤を含有し、
    該外添剤Aが、有機物及び該有機物表面の有機ケイ素重合体の被覆層を有する複合粒子であり、
    (1)該トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が−1.35×10以下であり、
    (2)粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速100mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該体層から取り出し、再度該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
    TE2<TE1
    300≦TE1≦1200
    50≦TE2≦450
    の関係を満たすことを特徴とするトナー。
  2. 該流動性向上剤が、微粉末シリカである、請求項1に記載のトナー。
  3. 結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
    該外添剤は、外添剤A及び微粉末シリカを含有し、
    該外添剤Aが、有機物及び該有機物表面の有機ケイ素重合体の被覆層を有する複合粒子であり、
    (1)該トナーの粉体動的粘弾性測定で求められる温度T[℃]−トナー貯蔵弾性率E’[Pa]曲線に基づいて、該温度Tに対する該トナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、オンセット温度から90℃までの間の最も低温側の極小値が−1.35×10 以下であり、
    (2)粉体流動性測定において、測定容器内で40Nの垂直荷重を加えて作製した該トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速100mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal EnergyをTE1[mJ]とし、該プロペラ型ブレードを該粉体層から取り出し、再度該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を100mm/secで回転させながら、該粉体層に侵入させたときのTotal EnergyをTE2[mJ]としたとき、
    TE2<TE1
    300≦TE1≦1200
    50≦TE2≦450
    の関係を満たすことを特徴とするトナー。
  4. 外添剤Aの含有量が、トナー粒子100質量部に対して0.10質量部以上であり、
    走査型電子顕微鏡を用いて該トナーを観察したとき、該外添剤Aの一次粒子の割合が80%以上である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 温度Tに対するトナー貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線における、最も低温側の極小値をとる温度をTmaxとしたとき、トナーの動的粘弾性測定で求められるTmaxに達した時の貯蔵弾性率G’が、2.50×10以上である
    請求項1〜のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 有機物が、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂又はワックスを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 有機物が、結晶性ポリエステル樹脂又はワックスである請求項1〜のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 有機物の該有機ケイ素重合体による被覆率が、75%以上100%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 外添剤Aの該有機物の含有量が、8質量%以上60質量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 該外添剤Aの溶融開始温度が40〜85℃である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 該トナー粒子の軟化点が、90〜180℃である請求項1〜10のいずれか一項に記載のトナー。
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