JP6896294B2 - ロール状ラッピングネット、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第一実施形態を図1〜図4に基づいて以下に説明する。なお図中、符号1で指示するものは、経糸であり、符号Cで指示するものは、鎖編組織である。また符号2で指示するものは、挿入糸であり、符号Nで指示するものは、ネット生地である。また符号Rで指示するものは、ロール状ラッピングネットであり、符号Pで指示するものは、ロール芯である。
[1]ロール状ラッピングネットの基本構成について
本実施形態では、図1及び図2に示すように、綿糸から成る経糸1・1…によって経編地のヨコ方向に一定間隔で並んだ鎖編組織C1・C2…を形成すると共に、同じく綿糸から成る挿入糸2を隣り合う鎖編組織C1・C2…同士を繋ぐように斜め方向に架け渡してネット生地Nを構成している。そして、このネット生地Nをロール芯P(本実施形態では、紙管)にテンションをかけながら巻き取ってロール状ラッピングネットRを形成している。
[2-1]経糸の材料及び鎖編組織の長さ
次に上記ロール状ラッピングネットRの各構成要素について説明する。まず上記経糸1については、本実施形態では木綿100%の綿糸を使用しているが、木綿を主原料とする糸材であれば消化性の良い植物繊維等を混ぜた混紡糸を使用することもできる。また本実施形態では、複数本の綿糸を束ねて経糸1として使用しているが、使用する綿糸の太さや本数は求められる強度等に応じて適宜変更することができる。また各鎖編組織C1・C2…の長さは、均一になっていることが望ましいが多少の誤差があっても問題ない。
また上記経糸1から形成される鎖編組織Cに関しては、隣り合う鎖編組織C・C同士の間隔が狭すぎると同層上に配置できる鎖編組織C・C…の本数が少なくなってロールをコンパクト化することが難しくなり、また広くし過ぎると網目が粗くなって飼料ロールの形成が難しくなるため、鎖編組織C・C同士の間隔が10〜30mmの範囲となるように編み立てを行うのが好ましい。なお同層上に配置される同一の鎖編組織C・C…の本数は5本以上(好ましくは10本以上)となるようにするのが好ましく、鎖編組織Cの一本分の幅はテンションを掛けた状態で1.0〜3.0mmの大きさとなるようにするのが好ましい。
[3-1]挿入糸の材料
また上記挿入糸2に関しては、本実施形態では木綿100%の綿糸を使用しているが、木綿を主原料とする糸材であれば消化性の良い植物繊維等を混ぜた混紡糸を使用することもできる。また本実施形態では、挿入糸2に経糸1以上の強度を求めていないため、挿入糸2に使用する綿糸の本数を1本としているが、使用する綿糸の太さや本数はロールベーラー機の幅出し機に耐えられる強度の範囲内で適宜変更できる。また挿入糸2の太さに関しては、巻取り時に嵩張らないようにできるだけ細くするのが好ましい。
また本実施形態では、図2に示すように、編立て直後のネット生地Nにおいて挿入糸2が緩んだ状態となるように、鎖編組織C・C…との交点J・J間の直線距離を縮めない程度の糸張力で挿入糸2を交編している。これによりネット生地Nの巻取り時において、長さ方向にテンションが掛かったネット生地Nが幅方向に縮む現象を抑えられるため、鎖編組織C・C…の間隔を編立て直後の状態に保ったまま、ネット生地Nをロール芯Pに巻き取ることができる。
また上記挿入糸2を架け渡す方向に関しては、本実施形態では隣り合う鎖編組織C・Cに対してジグザグ状に斜め方向に架け渡しているが、斜め方向だけでなくヨコ方向に架け渡すこともできる。また隣り合う鎖編組織C・Cに対し複数の挿入糸2を交差するように架け渡すこともできるが、長さ方向にテンションが掛かったネット生地Nが幅方向に縮み易くなるため、本実施形態のように一本の挿入糸2を架け渡す構成が好ましい。
[4-1]同層上の鎖編組織
また上記ロール状ラッピングネットRにおける同層上の鎖編組織C・C…に関しては、図3(a)(b)に示すように、同一の鎖編組織C・C間の隙間の大きさが均一となっているのが望ましいが、鎖編組織C・C間の隙間の大きさが鎖編組織一本分の幅よりも小さくなっていれば、鎖編組織C・C…の位置に多少の誤差があっても問題はない。また鎖編組織C・C間の隙間の大きさは異なる層で多少違っていても問題はない。
また同列上の鎖編組織C・C…に関しては、図3(a)(b)に示すように、上層側の鎖編組織Cが下層側の鎖編組織Cの上に配置されているのが望ましいが、下層側の鎖編組織C・C間の隙間に上層側の鎖編組織Cの一部が落ち込んでいても問題はない。特にネット生地Nの巻取り時にロールにプレスを掛ける場合、上層側の鎖編組織Cの一部が下層側の鎖編組織C・C間に落ち込み易くなる。
また本実施形態では、上記ネット生地Nの鎖編組織Cに撥水性を有する食品添加物を付着させて、綿糸から成るネット生地Nに撥水性を付与している。これにより、水分のある土壌にネット生地Nを巻いた飼料ロールが置かれていた場合でも、セルロースを分解するバクテリアやカビが付着し難くなるため、バクテリア等によってネット生地Nの糸の強度が低下して飼料ロールが崩れる問題を抑制できる。もちろん、経糸1と挿入糸2の両方に撥水性を有する食品添加物を付着させることもできる。
また本実施形態では、上記ネット生地Nに対し、食品添加物として使用される着色剤をロール芯Pに巻き取ったネット生地Nに対して幅方向に帯状に付着させている。これにより、飼料ロールの形成時にネット生地Nに付着した着色剤が目印となって残量等を目視で確認することができる。なお着色剤としては、家畜が食べて有害でないものであればよく、例えば、食用タール系色素やベニバナ色素、クチナシ色素、カラメル色素等を使用することができる。
[1]編立て工程について
次に上記ロール状ラッピングネットの製造方法について説明する。なお図5〜図7に関しては、ネット生地の移動を分かり易く説明するために挿入糸を省略している。まずネット生地の編立て工程では、経糸と挿入糸にそれぞれ綿糸を使用して、経糸から鎖編組織を形成すると共に、これらの鎖編組織を繋ぐように挿入糸を斜め方向(またはヨコ方向)に架け渡してネット生地の編み立てを行う。その際、鎖編組織を形成する経糸を、撥水性を有する食品添加物に擦らせながら送り出すことにより、鎖編組織に撥水性を有する食品添加物を付着させることができる。
そして、上記ネット生地の編み立てを行った後は、連続してネット生地の巻取り工程に入る。ネット生地の巻取り工程では、図5(a)(b)(c)に示すように、ネット生地の鎖編組織の間隔を編立て工程直後の状態に保ちつつ、ネット生地を鎖編組織の間隔の範囲内でロールの幅方向に一定の大きさで振りながらロール芯に巻き取る。その際、ロール芯に巻き取られたネット生地に対してプレスを掛けることにより、ネット生地を圧縮して糸間の隙間を埋めることでロール状ラッピングネットをコンパクト化する。
[3-1]凹部付きガイドバーを左右に振る方法
次に上記各工程の具体的な方法について説明する。まず本実施形態では、上記巻取り工程において、鎖編組織間の間隔を保持してネット生地をロールの幅方向に振る方法として、図6(a)に示すように鎖編組織を挿入可能な凹部D・D…が長さ方向に所定間隔で形成されたガイドバーEを使用している。これにより、ガイドバーEの所定の凹部D・D…に各鎖編組織を挿入してガイドバーEを左右に振ることで、鎖編組織間の間隔を保持したままネット生地を移動させることができる。
また本実施形態では、多数のピンを一定間隔で並べて固定した金属板をガイドバーEに使用すると共に、各ピンの先端側を金属線で連結してガイドバーEの先端に所定深さの凹部D・D…を形成しているが、金属製やプラスチック製の棒材または板材に切削加工や射出成形によって凹部D・D…を形成することもできる。
また鎖編組織間の間隔を保持した状態でネット生地を左右に振る方法としては、上記ガイドバーEを左右に振る方法の代わりに、上記ガイドバーEや図6(b)に示すような長さ方向に複数の凹部D・D…が所定間隔で形成されたガイドローラAを使用して、凹部D・D…に各鎖編組織を挿入した状態で巻取りローラを左右に振る方法を採用することもできる。
また上記凹部D付きのガイドバーEやガイドローラAの配置に関しては、図7(a)に示す中空式の巻き取り方式では、ロール芯Pに巻き取られたロール状ラッピングネットRの直近(凹部が形成されていないガイドローラよりも巻取りローラに近い位置)に配置し、図7(b)に示す接圧式の巻き取り方式では、タッチローラT・Tの直近に配置するのが好ましい。特に図7(b)に示す接圧式の巻き取り方式では、巻き取られたロール状ラッピングネットRの拡大に合わせてガイドバーEやガイドローラAを移動させる必要がないため、製造が容易となる。
また上記凹部D付きのガイドバーEを使用する場合には、図8に示すように、凹部Dが形成されたガイドバーEの先端の向きとガイドバーEからのネット生地Nの送り出し方向の角度が90°未満となるようにガイドバーEの向きを調整するのが好ましい。これは、ガイドバーEの凹部D・D…間にネット生地Nの挿入糸2が引っ掛かって切断される事態を防止するためである。
また上記ネット生地をロールの幅方向に振る速度については、本実施形態では、ロールの幅方向に並列させる同層上の鎖編組織間に一定の隙間が空くように、かつ、同層上の同一の鎖編組織間の隙間の大きさが鎖編組織一本分の幅よりも小さくなるように設定している。このネット生地の移動速度は、鎖編組織の間隔、鎖編組織の幅、同層上の同一の鎖編組織の巻数、ロールの直径と外周の長さ、及びネット生地の巻取り速度等から算出することができる。
[6-1]固体状の食品添加物または食用ワックスに経糸を擦らせる方法
また上記ネット生地の編立て時に、撥水性を有する食品添加物W(本実施形態では、動物性蝋)や食用ワックスを経糸に付着させる方法としては、図11(a)に示すようにガイドバーEの凹部D内に固形状の食品添加物Wや食用ワックスを配置して、鎖編組織の綿糸を食品添加物または食用ワックスに擦らせて送り出す方法を採用できる。他にも、ドーナツ状に成形した食品添加物等の中空部に経糸を通して食品添加物等に擦らせながら送り出す方法や、経糸に食品添加物等を下側または上側から押し付ける方法、経糸に粉状の食品添加物を付着させる方法等を採用することもできる。
一方、液状の食品添加物または食用ワックスを付着させる方法としては、図11(b)に示すようにガイドバーEの凹部D内に液状の撥水性を有する食品添加物または食用ワックスを順次供給して、ネット生地の編立て時に、鎖編組織の綿糸に食品添加物または食用ワックスを付着させながら送り出す方法を採用できる。
また本実施形態では、上記巻き取られたネット生地に対し、食品添加物として使用される着色剤を幅方向に帯状に付着させており、具体的には、揮発性を有する液体(アルコール等)に溶かした着色剤を、長方形型の窓部を備えた板材を通して噴霧することによってネット生地に帯状に付着させている。
次に本発明における効果の実証試験について説明する。本試験では、ネット生地の巻取り速度、鎖編組織の間隔、鎖編組織の幅、同層上の同一の鎖編組織の巻数、ロールの直径と外周の長さからロールの幅方向に振るネット生地の移動速度を算出して、実際に同層上の鎖編組織間に一定の隙間が空くように巻き取ることが可能か検証した。
本実施例では、巻取り速度を600cm/min、鎖編組織の間隔を23mm、鎖編組織の幅を1.8〜2.0mm、同層上の同一の鎖編組織の巻数を11巻き、ロールの直径を16cm、ロールの外周の長さを約50cmとし、ネット生地の移動速度を下記式により0.418mm/secと算出した。そしてネット生地の巻き取りを行った結果、実際に同層上の鎖編組織間に、鎖編組織一本分の幅よりも小さい隙間が空くように巻き取れることが確認できた。
2 挿入糸
R ロール状ラッピングネット
N ネット生地
C 鎖編組織
P ロール芯
J 交点
B バケット
L ブレーキローラ
G 軸受
Q ブレーキプーリ
E ガイドバー
A ガイドローラ
D 凹部
T タッチローラ
W 食品添加物
Claims (5)
- 経編地のヨコ方向に一定間隔で並んだ鎖編組織を構成する経糸と、隣り合う鎖編組織同士を繋ぐように斜め方向またはヨコ方向に架け渡された挿入糸とから成るネット生地をロール芯に巻き取って形成されたロール状ラッピングネットの製造方法であって、
前記ネット生地の編立て工程において、経糸と挿入糸にそれぞれ綿糸を使用すると共に、ネット生地の巻取り工程において、ネット生地の鎖編組織の間隔を一定に保ちつつ、ネット生地を鎖編組織の間隔の範囲内で幅方向に一定の大きさで振りながらロール芯に巻き取ると共に、鎖編組織間の間隔を保持した状態でネット生地を左右に振る方法として、長さ方向に複数の凹部が所定間隔で形成されたガイドバーを使用し、前記凹部に各鎖編組織を挿入した状態でガイドバーを左右に振ってネット生地を移動させ、巻き取られた同一の鎖編組織が隣り合う別の鎖編組織と重なり合わない状態でロールの幅方向及び径方向に並列した状態となるように巻き取り、更にロールの同層上の異なる鎖編組織同士の隙間が鎖編組織一本分の幅よりも小さくなるように巻き取ることを特徴とするロール状ラッピングネットの製造方法。 - 経編地のヨコ方向に一定間隔で並んだ鎖編組織を構成する経糸と、隣り合う鎖編組織同士を繋ぐように斜め方向またはヨコ方向に架け渡された挿入糸とから成るネット生地をロール芯に巻き取って形成されたロール状ラッピングネットの製造方法であって、
前記ネット生地の編立て工程において、経糸と挿入糸にそれぞれ綿糸を使用すると共に、ネット生地の巻取り工程において、ネット生地の鎖編組織の間隔を一定に保ちつつ、ネット生地を鎖編組織の間隔の範囲内で幅方向に一定の大きさで振りながらロール芯に巻き取ると共に、鎖編組織間の間隔を保持した状態でネット生地を左右に振る方法として、長さ方向に複数の凹部が所定間隔で形成されたガイドローラまたはガイドバーを使用し、前記凹部に各鎖編組織を挿入した状態で巻取りローラを左右に振ってネット生地を移動させ、巻き取られた同一の鎖編組織が隣り合う別の鎖編組織と重なり合わない状態でロールの幅方向及び径方向に並列した状態となるように巻き取り、更にロールの同層上の異なる鎖編組織同士の隙間が鎖編組織一本分の幅よりも小さくなるように巻き取ることを特徴とするロール状ラッピングネットの製造方法。 - ガイドバーを使用する場合において、ガイドバーの凹部内に固形状の撥水性を有する食品添加物または食用ワックスを配置して、ネット生地の編立て工程において、鎖編組織の綿糸に、前記食品添加物または食用ワックスを付着させながら送り出すことを特徴とする請求項1または2に記載のロール状ラッピングネットの製造方法。
- ガイドバーを使用する場合において、ガイドバーの凹部内に液状の撥水性を有する食品添加物または食用ワックスを順次供給して、ネット生地の編立て工程において、鎖編組織の綿糸に、前記食品添加物または食用ワックスを付着させながら送り出すことを特徴とする請求項1または2に記載のロール状ラッピングネットの製造方法。
- ガイドバーに食品添加物または食用ワックスの供給管を接続し、ガイドバーの凹部内に形成された注液口から前記供給管を通して食品添加物または食用ワックスを順次供給することを特徴とする請求項4記載のロール状ラッピングネットの製造方法。
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