<画像形成装置の全体構成>
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター100(画像形成装置)の外観を示す斜視図、図2は、プリンター100の筐体101の一部が開放された状態の斜視図、図3は、プリンター100の内部構造を示す概略的な断面図である。ここで画像形成装置の一例として示すプリンター100は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
プリンター100は、シートSに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体101を備える。筐体101は、筐体101の上面を規定する上壁102と、筐体101の底面を規定する底壁103と、上壁102と底壁103との間に立設された本体後壁105と、本体後壁105の前方に位置する前カバー104と、を含む。筐体101は、各種の装置が配置される本体内部空間106を備える。本体内部空間106には、シートSが所定の搬送方向に搬送されるシート搬送路PPが延設されている。
上壁102の中央部には、排紙部102Aが配置されている。排紙部102Aは、上壁102の前方部分から後方部分にかけて、下方に傾斜した傾斜面からなる。排紙部102Aには、後記の画像形成部120において、画像が形成されたシートSが排出される。前カバー104には、手差しトレイ104Aが配置されている。排紙部102Aの前方側は、上方へ開放可能な上カバー102Bによって構成されている。手差トレイ104Aは、下端を支点として、上下に回動可能である(図3の矢印DT)。手差しトレイ104Aに加え、上壁102の上カバー102Bが開放されると、図2に示す通り本体内部空間106内に装着されているトナーコンテナ30が露出し、当該トナーコンテナ30の着脱が可能となる。
図3を参照して、プリンター100の内部構造を説明する。プリンター100は、給紙カセット110、ピックアップローラー112、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114、搬送ローラー115、レジストローラー対116、画像形成部120及び定着装置130を備える。
給紙カセット110は、筐体101に対して前方に引き出し可能であり、内部にシートSを収容する。カセット110は、シートSの先頭縁を押し上げるリフト板111を備える。ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置されている。ピックアップローラー112が回転すると、シートSは給紙カセット110から引き出される。第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設され、シートSを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ104Aの支点の内側(後側)に配設され、手差トレイ104A上のシートSを筐体101内に引き込む。
搬送ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114のシート搬送方向の下流に配設され、シートSを更に下流へ搬送する。レジストローラー対116は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。これにより、シートS上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
画像形成部120は、感光体ドラム121(像担持体)、帯電器122、露光装置123、現像装置20、トナーコンテナ30(現像剤収容容器)、転写ローラー124及びクリーニング装置125を備える。
感光体ドラム121は、静電潜像及び該静電潜像に応じたトナー画像(現像剤像)を担持する周面を有する。帯電器122は、所定の帯電バイアスが印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面を、画像データで変調されたレーザー光で走査する。この走査により、感光体ドラム121の周面には、前記画像データに対応する静電潜像が形成される。露光装置123は、筐体101の内部に配置された支持フレームで支持されている。
現像装置20は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ30は、現像装置20へトナーを補給する。トナーコンテナ30は、現像装置20に対して着脱自在に配設されている。現像装置20がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成される。
転写ローラー124は、感光体ドラム121との間で転写ニップ部を形成し、ドラム周面に担持されたトナー画像をシートSに転写させる。クリーニング装置125は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。
定着装置130は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に配置され、シートS上のトナー画像を定着させる。定着装置130は、シートS上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートSを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132とを備える。
プリンター100は、定着装置130の下流に配設された搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134と、を更に備える。シートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体101から排出される。筐体101から排出されたシートSは、排紙部102A上に積み重ねられる。
<現像装置について>
図4は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、現像ローラー21と、現像ハウジング200と、この現像ハウジング200に収容される第1攪拌スクリュー23及び第2攪拌スクリュー24と、現像ハウジング200に開口されたトナー補給口25とを備えている。
現像ローラー21は、円筒形状を有し、左右方向に延びるローラー軸と、外周部に配置され回転駆動されるスリーブ部分とを有する。現像ハウジング200は、現像ローラー21の軸方向に長尺の箱形形状を有し、その内部空間に現像剤搬送路26及び仕切り板22を備える。現像剤搬送路26は、現像剤が充填されると共に、当該現像剤が循環搬送される通路である。本実施形態では一成分現像方式が適用されており、現像剤搬送路26にはトナーが現像剤として充填される。二成分現像方式が適用される他の実施形態では、現像剤搬送路26にはトナーと磁性体キャリアとの混合物が現像剤として充填される。トナーは、現像剤搬送路26内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から静電潜像の形成された感光体ドラム121の周面に供給される。
現像剤搬送路26は、第1搬送路261及び第2搬送路262を備える。第1搬送路261では、現像剤が現像ローラー21の軸方向に沿った矢印D1方向に搬送される。第2搬送路262は、現像ローラー21と第1搬送路261との間に配置されている。第2搬送路262では、現像剤が第1搬送方向とは反対の矢印D2方向に搬送される。現像剤搬送路26の上方は、図略のハウジング天板によって覆われる。
仕切り板22は、現像ハウジング200内に、左右方向に延びるように配置されている。仕切り板22は、左右の両端部において第1搬送路261と第2搬送路262とを連通させるように、現像ローラー21の軸方向に沿って第1搬送路261と第2搬送路262とを仕切っている。このため、仕切り板22は、現像ハウジング200の左右方向の幅よりも短く設定されている。これにより、現像剤搬送路26は、矢印D1、D2、D3、D4で示す通り、第1搬送路261、第1連通路263、第2搬送路262及び第2連通路264に至る循環経路とされている。
トナー補給口25は、現像ハウジング200の天板に開口された開口部である。トナー補給口25は、第1搬送路261の右端付近の上方において上記の循環経路に対向して配置されており、トナーコンテナ30から補給される補給トナー(補給現像剤)を現像剤搬送路26に受け入れる(流入させる)開口である。
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路261に配設され、第1スクリュー軸23Aと、この第1スクリュー軸23Aの周上にスパイラル状に突設された螺旋羽根23Bとを含む。第1スクリュー軸23Aは、現像ローラー21と平行に左右方向に延びている。第1攪拌スクリュー23は、第1スクリュー軸23Aを回転軸として回転され(矢印R2)、図4の矢印D1方向にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25の下方を通過するように、第1搬送路261において現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第2搬送路262側から第1搬送路261に搬入されたトナーとを、互いに混合しながら搬送する。
第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、パドル23Cが配設されている。パドル23Cは、第1スクリュー軸23A上に配設された板状部材である。パドル23Cは、第1スクリュー軸23Aと共に回転され、図2の矢印D4方向に向かって、第1搬送路261から第2搬送路262に、第1連通路263を通してトナーを受け渡す。
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路262に配設され、左右方向に延びる第2スクリュー軸24Aと、この第2スクリュー軸24Aの周上にスパイラル状に突設された螺旋羽根24Bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、第2スクリュー軸24Aを回転軸として回転され(矢印R1)、図4の矢印D2方向にトナーを搬送しながら、現像ローラー21にトナーを供給する。第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(D2方向)下流側には、パドル24Cが配設されている。パドル24Cは、第2スクリュー軸24Aと共に回転され、図2の矢印D3方向に向かって、第2搬送路262から第1搬送路261に、第2連通路264を通してトナーを受け渡す。
トナーコンテナ30は、現像ハウジング200のトナー補給口25の上方に配置されている(図2、図3、図12参照)。トナーコンテナ30は、トナー排出口30P(図4)を備える。トナー排出口30Pは、現像装置20のトナー補給口25に対向して、トナーコンテナ30の底部に配設されている。トナー排出口30Pから落下したトナーは、トナー補給口25から現像装置20に補給される。
本実施形態のプリンター100には、図2、図3に示すように、トナーコンテナ30内に収容されたトナーを検出するため、つまり、トナーコンテナ30の後述する収容空間31S内に所定量のトナーが存在しているか否かを検出するためのトナーセンサー60が備えられている。本実施形態のトナーセンサー60は、検知対象物の透磁率を検出する透磁率センサーである。トナーセンサー60は、前カバー104の内壁側に取り付けられており、前カバー104が筐体101に対して閉じた状態とされると、トナーコンテナ30の外周に設定されたセンサー接触面30Aと接触した状態となる。
<トナー補給について>
次に、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて詳しく説明する。図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25及びトナーコンテナ30に配設されたトナー排出口30P付近の模式的な断面図である。トナー排出口30Pからトナー補給口25へ供給された補給トナーT2は、第1搬送路261に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、当該第1攪拌スクリュー23のトナーの搬送能力を部分的に抑制するための搬送能力抑制部28を備える。本実施形態では、搬送能力抑制部28は、第1攪拌スクリュー23の隣接する螺旋羽根23B間に配置された板状のパドルを例示している。搬送能力抑制部28が第1スクリュー軸23A回りに回転することで、搬送能力抑制部28よりも上流側から搬送されるトナーは滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、搬送能力抑制部28の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路261に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25が対向する領域には、トナーの滞留部29が形成される。
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、現像剤搬送路26内のトナー量が増大すると、この滞留部29で滞留するトナーがトナー補給口25を下方から封止し、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、現像剤搬送路26内のトナーが現像ローラー21から消費され滞留部29で滞留するトナー量が減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、滞留部29とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から現像剤搬送路26(第1搬送路261)に流入する。このように、本実施形態では、滞留部29に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給方式のトナー補給形態が取られている。
<トナーコンテナの現像装置への装着に関する構成>
図6および図7は、それぞれ本実施形態に係るトナーコンテナ30および現像装置20の斜視図である。ここでは、トナーコンテナ30及び現像装置20の外観構造と、トナーコンテナ30の現像装置20への装着に関わる構成について説明する。
トナーコンテナ30は、筐体101内の現像装置20に対して着脱可能であって、コンテナ本体31(容器本体)とコンテナシャッター32とを備えている。コンテナ本体31は、トナーコンテナ30の本体を構成する筒状の部分であって、内部にトナーを収容している(内部構造については後記で詳述する)。コンテナシャッター32は、コンテナ本体31の右端付近の周上に取り付けられている。
コンテナ本体31の左端側は開口端であって、これを閉止するために前記左端側には蓋部311が取り付けられている。コンテナ本体31の右端側は、後述する第1ギア部材36及び第2ギア部材37を含む駆動入力部が配置され、これを覆うために前記右端側にはカバー部313が取り付けられている。トナーコンテナ30の現像装置20への装着を案内するために、蓋部311の左側面には左ガイド部312が、カバー部313の右側面には右ガイド部314が、各々突設されている。
コンテナシャッター32は、コンテナ本体31に対して周方向にスライド移動可能に支持され、コンテナ本体31のトナー排出口30Pを封止および開放する機能を備える。コンテナシャッター32は、シャッター本体321、ロック部322及びロック解除部323を有する。シャッター本体321は、トナー排出口30Pを封止および開放する機能を備えるプレートである。ロック部322は、シャッター本体321に対して揺動可能に支持され、コンテナ本体31に対するシャッター本体321のスライド移動を許容又は規制する機能を備えている。ロック解除部323は、ロック部322に備えられた突片である。ロック解除部323が押圧されると、ロック部322に備えられた不図示のロック片がコンテナ本体31に形成された係合部から脱離され、シャッター本体321の前記スライド移動を許容する。
図7を参照して、現像ハウジング200は、その左右端部に各々立設されたハウジング左壁200L及びハウジング右壁200Rを備える。これらハウジング左壁、右壁200L、200Rの間の空間が、トナーコンテナ30が装着されるコンテナ装着部109である。ハウジング左壁200Lの内側面には左ガイド溝201Lが、ハウジング右壁200Rの内側面には右ガイド溝201Rが各々設けられている。トナーコンテナ30のコンテナ装着部109への装着の際、トナーコンテナ30の左ガイド部312が左ガイド溝201Lで、右ガイド部314が右ガイド溝201Rで各々ガイドされる。本実施形態では、トナーコンテナ30はコンテナ装着部109に対して斜め上方から装着される(図7の矢印DC参照)。
現像装置20は、第1伝達ギア2G1、第2伝達ギア2G2及び第3伝達ギア2G3を備える。また、プリンター100は、筐体101に備えられた第1モーターM1及び第2モーターM2と、制御部50とを備える。第1〜第3伝達ギア2G1〜2G3は、ハウジング右壁200Rに回転可能に支持されたギアである。第1伝達ギア2G1は第2伝達ギア2G2に連結されている。また、第1伝達ギア211は不図示のギア群を介して、現像ローラー21及び第1、第2攪拌スクリュー23、24に連結されている。現像装置20が筐体101に装着されると、第1モーターM1が第3伝達ギア2G3に連結されるとともに、第2モーターM2が第1伝達ギア2G1に連結される。
第1モーターM1は、第3伝達ギア2G3を介して、トナーコンテナ30の後記のシャフト部33を回転させることで、トナーコンテナ30の後記の移動壁34を移動させる。すなわち、第3伝達ギア2G3は、トナーコンテナ30の後記の第1ギア部材36と歯合し、第1ギア部材36に第1モーターM1の駆動力を伝達する。第2モーターM2は、第1伝達ギア2G1を介して、現像装置20の現像ローラー21、第1、第2攪拌スクリュー23、24を回転させる。更に、第2モーターM2は、第1伝達ギア2G1及び第2伝達ギア2G2を介して、トナーコンテナ30の後記の回転体35を回転させる。制御部50は、プリンター100の印刷動作などにおいて、第1、第2モーターM1、M2をそれぞれ制御し、現像装置20およびトナーコンテナ30の各部材を駆動させる。
現像ハウジング200は、ロック解除ボタン202、前述のトナー補給口25、解除用突起部204、一対のコンテナシャッター固定部205、一対のシャッタースプリング206及びハウジングシャッター207を備える。
ロック解除ボタン202は、ハウジング右壁200Rにスライド移動可能に支持された押圧ボタンであって、ロック係合片203を備える。ロック解除ボタン202は、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30の姿勢をロックする機能、及びそのロックを解除する機能を備える。ロック係合片203は、ハウジング右壁200Rの前側部において、コンテナ装着部109側に突出するように形成された爪部であって、トナーコンテナ30をロックする。ロック解除ボタン202は、不図示のロック付勢ばねによって前方に向かって付勢されている。前記ロック付勢ばねの付勢力に抗してロック解除ボタン202が押圧されると、ロック係合片203がトナーコンテナ30から離間し、トナーコンテナ30のロックが解除される。
トナー補給口25は、現像ハウジング200の天板に略矩形形状をもって開口された開口部であり、現像ハウジング200の内部に連通している。コンテナ装着部109にトナーコンテナ30が装着されると、トナー排出口30Pとトナー補給口25とが対向し、トナー排出口30Pから排出されたトナーは、トナー補給口25から現像ハウジング200の内部に流入する。
解除用突起部204は、トナー補給口25の後方に隣接して、現像ハウジング200の天板から突設された突起部である。解除用突起部204は、トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着された際に、コンテナシャッター32のロック解除部323(図6)を押圧する。換言すれば、解除用突起部204は、コンテナシャッター32のスライド移動を許容する。
一対のコンテナシャッター固定部205は、左右方向において、解除用突起部204を挟むように現像ハウジング200の天板から突設されている。トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着された際に、コンテナシャッター固定部205には、コンテナシャッター30Sの一部が係合する。これにより、コンテナシャッター32は固定され、回動が規制される。
一対のシャッタースプリング206は、一対のコンテナシャッター固定部205の左右方向の外側に配置された一対のばね部材である。シャッタースプリング206は、前後方向に延びるように配置され、その後端部は現像ハウジング200の天板にそれぞれ係止されている。シャッタースプリング206の前端部は、ハウジングシャッター207の左右両端部にそれぞれ係止されている。
ハウジングシャッター207は、トナー補給口25に対してスライド移動可能に現像ハウジング200に支持され、トナー補給口25を封止または開放する。一対のシャッタースプリング206は、ハウジングシャッター207がトナー補給口25を封止する方向に、ハウジングシャッター207を付勢している。トナーコンテナ30が現像装置20から取り外されると、ハウジングシャッター207は一対のシャッタースプリング206に付勢されて、トナー補給口25を封止する。また、トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着されると、ハウジングシャッター207がコンテナ本体31を押圧する。このため、シャッタースプリング206は、ハウジングシャッター207を介して、コンテナ装着部109に装着されたトナーコンテナ30を矢印DM方向に向かって付勢することとなる。
<トナーコンテナの構造について>
次に、図6に加え、図8乃至図11を参照して、トナーコンテナ30の構造を詳述する。図8は、トナーコンテナ30の平面図、図9は、トナーコンテナの分解斜視図である。図10は、図8のX−X線断面図、図11は、図8のXI−XI線断面図である。トナーコンテナ30は、左から右へ向かう方向(本明細書では「第1方向」;図10の矢印DA方向)に延びる筒状体からなり、内部に補給トナー(現像剤)を収容する。トナーコンテナ30は、前述のコンテナ本体31及びコンテナシャッター32に加え、シャフト部33、移動壁34、回転体35、第1ギア部材36及び第2ギア部材37を備える。
コンテナ本体31は、第1方向(トナーコンテナ30の長手方向でもある)に沿って筒状に延びる内部空間31Hを画定する内周面31A(図10)と、この内部空間31Hに連通するようにコンテナ本体31の壁面に開口されトナーが排出されるトナー排出口30P(図8)とを含む。コンテナ本体31の左端側には上述の蓋部311が配置され、右端側には右壁316が配置されている。すなわち、内部空間31Hは、内周面31A、蓋部311及び右壁316よって閉鎖された空間である。
右壁316は、コンテナ本体31と一体の部分である。右壁316には、シャフト部33の右端側を軸支するための本体軸受部31Jが形成されている。蓋部311の内側面には、シャフト部33の左端側を軸支するための軸支部311Aが備えられている。蓋部311は、シャフト部33、移動壁34及び回転体35を内部空間31H内に組み付けた後に、超音波溶着によってコンテナ本体31の左開口を塞ぐように溶着される。トナー排出口30Pは、右壁316に近い位置において、第1方向に沿って所定の長さをもって、かつ、コンテナ本体31の底部の円弧形状に沿って周方向に所定の幅をもって、矩形形状に開口されている。
シャフト部33は、内部空間31Hにおいて第1方向に延びるように配置され、移動壁34の移動軸、及び回転体35の回転軸(第1方向に沿った回転軸)となるシャフトである。シャフト部33は、第1端部331、第2端部332、雄螺旋部333、移動壁停止部334、支持リング部335及びフランジ部336を備える。
第1端部331は、本体軸受部31Jを貫通して右側に突出したシャフト部33の右端部である。第1端部331の周面には、一対のDカット面が形成されている。第2端部332は、シャフト部33の左端部であって、蓋部311の軸支部311Aにて軸支されている。
雄螺旋部333は、シャフト部33の外周面に第1方向に延びる螺旋状に形成されたねじ部である。雄螺旋部333は、シャフト部33のうち蓋部311に隣接する領域から、トナー排出口30Pよりも第1方向上流側の領域まで形成されている。移動壁停止部334は、雄螺旋部333の第1方向下流側に連続して配置された、シャフト部33において周方向突起の存在しない軸部分のみの領域である。支持リング部335は、移動壁停止部334の右方に隣接して配置され、雄螺旋部333と略同一の径方向の外径を備えたリング状の突起が、第1方向に複数個連なる領域である。フランジ部336は、第1端部331と支持リング部335との間に配置された、円板状の部分である。
移動壁34は、コンテナ本体31の内部(内部空間31H)において第1方向に面して配置される壁部である。移動壁34は、コンテナ本体31の内周面31Aに対向して配置される外周面34Rと、内周面31Aとともに補給トナーが収容される収容空間31Sを画定する搬送面34Sとを含む。つまり、内部空間31Hのうち、右壁375の内面と移動壁34の内面である搬送面34Sとの間の領域が、トナーが実際に収容される収容空間31Sである。移動壁34は、シャフト部33を貫通させる貫通孔を、径方向の中央付近に備えている。移動壁34は、収容空間31S内のトナーをトナー排出口30Pに向かって搬送しながら、シャフト部33に沿って、内部空間31H内を第1方向(矢印DA)に移動する。
図10を参照して、移動壁34は、壁プレート341、シール部材342及び壁本体部343の、左右方向に並ぶ3枚の板状部材の組立体からなる。この組立体は、押圧部材344によって押圧され、第1方向へ移動する。壁プレート341は、移動壁34において第1方向の下流側に配置され、樹脂成型によって形成されたプレートである。壁プレート341の右側面は、上述の搬送面34Sである。搬送面34Sは、移動壁34の第1方向への移動に伴って、収容空間31S内のトナーを押圧しながら搬送する。
シール部材342は、壁プレート341と壁本体部343とに挟まれる位置に配置され、第1方向に所定の厚みを有するウレタン材料によって形成された部材である。シール部材342の外周部は、上述した移動壁34の外周面34Rを構成する。壁本体部343は、移動壁34のうち最も第1方向上流側に配置され、樹脂成型によって形成されたプレートである。壁プレート341、シール部材342及び壁本体部343が一体的に組み立てられると、シール部材342の外周部が最も径方向外側に配置される。この結果、シール部材342の外周部分(移動壁34の外周面34R)がコンテナ本体31の内周面31Aによって圧縮変形される。これにより、収容空間31Sのトナーが、内周面31Aと外周面34Rとの間から、移動壁34よりも第1方向上流側に流出することが防止される。
押圧部材344は、移動壁34の第1方向上流側に配置され、シャフト部33に外嵌される筒状部材である。押圧部材344は、その内周面に、シャフト部33の雄螺旋部333に歯合される雌螺旋部345を備える。シャフト部33の軸回りの回転に伴って押圧部材344は第1方向に進行する。押圧部材344は、移動壁34の壁本体部343と係合しており、押圧部材344がシャフト部33に沿って進行することで、移動壁34を第1方向に押圧し、第1方向に沿って移動させる機能を有する。つまり、シャフト部33が軸回りに回転すると、押圧部材344及び移動壁34が第1方向に移動する。
回転体35は、収容空間31S内において、トナー排出口30Pの上方であって、右壁316に隣接して配置されている。回転体35は、シャフト部33の軸回りに回転可能に、シャフト部33によって支持されている。回転体35は、右端側に回転駆動力の入力を受ける係合部351を備えている。回転体35は、
(1)コンテナ本体31の収容空間31Sを区画する内周面31Aの一部であって、トナーセンサー60による検知領域となるトナー検知面31B(検知面:図11)を清掃する機能、
(2)収容空間31S内のトナーを攪拌する機能、及び、
(3)コンテナ本体31(トナーコンテナ30)が筐体101内に存在していることを検知させる機能、
を奏する。この回転体35については、後記で詳述する。
第1ギア部材36は、シャフト部33に回転駆動力を伝達する。第1ギア部材36は、円板状部材の外周面に形成されたギア部361と、前記円板状部材の径方向中心から左方に突設された円筒部362とを備える。円筒部362の左端には係合部362Aが突設されている。この第1ギア部材36に対して、シャフト部33に一方向の回転力だけを伝達させるために、ラチェットギア363及びラチェットシャフト364からなるラチェット機構が組み付けられている。ラチェットシャフト364の左端部には、D面形状を内部に備えた連結部365が備えられている。この連結部365に対し、シャフト部33の前記Dカット面を有する第1端部331が嵌合されている。一方、ラチェットシャフト364の中央部分はラチェットギア363に挿通されると共に、その右端部は、第1ギア部材36の円筒部362に挿通されている。
ギア部361には、現像装置20の第3伝達ギア2G3を介して、第1モーターM1の回転駆動力が入力される。この回転駆動力により第1ギア部材36が所定の回転方向に回転され、上記ラチェット機構を通してシャフト部33が軸回りに回転される。このシャフト部33の回転により、押圧部材344が第1方向へ進行し、移動壁34を第1方向へ移動させる。なお、前記所定の回転方向は、雄螺旋部333の螺旋方向にもよるが、移動壁34を第1方向へ移動させる回転方向である。これとは逆の回転駆動力がギア部361に与えられた場合は、上記ラチェット機構によって前記逆の回転駆動力はシャフト部33に伝達されない(ラチェットギア363が空転する)。
第2ギア部材37は、回転体35に回転駆動力を伝達する。第2ギア部材37は、円板状部材の外周面に形成されたギア部371と、前記円板状部材の径方向中心から左方に突設された円筒部372とを備える。円筒部372の左端は、回転体35の係合部351と係合する凹部を備えた連結部373とされている。ギア部371には、現像装置20の第1伝達ギア2G1及び第2伝達ギア2G2を介して第2モーターM2の回転駆動力が入力される。本実施形態では、第2ギア部材37は、現像装置20の現像ローラー21、第1、第2攪拌スクリュー23、24と同期して回転駆動される。第2ギア部材37が回転駆動されると、連結部373と係合部351との係合部を介して回転体35に回転駆動力が伝達され、回転体35がシャフト部33の軸回りに回転される。
カバー部313は、コンテナ本体31の右端側に取り付けられる。カバー部313は、第1、第2ギア部材36、37の周方向の一部を外部に露出させる開口部315(図10)を備える。トナーコンテナ30が現像装置20に装着された状態では、この開口部315において、第1ギア部材36のギア部361と第3伝達ギア2G3とが歯合し、第2ギア部材37のギア部371と第2伝達ギア2G2とが歯合する。
コンテナ本体31の右壁316には、トナーを収容空間31S内に充填するためのトナー充填孔を事後的に閉塞する閉止蓋317が取り付けられている。トナーの収容空間31Sへの充填に際しては、カバー部313が装着されていない状態で、前記トナー充填孔を通して充填ノズルによってトナーが収容空間31S内に充填される。充填後、前記トナー充填孔に閉止蓋317が嵌合されると共に溶着され、カバー部313がコンテナ本体31の右端側に取り付けられる。
上述の通り、本実施形態のプリンター100には、トナーコンテナ30内に収容されたトナーを検出するために、透磁率センサーからなる非接触型のトナーセンサー60が前カバー104に備えられている。図12は、トナーコンテナ30及びトナーセンサー60が搭載されている部分における、プリンター100の断面図である。トナーセンサー60は、トナーコンテナ30の上下方向中央付近であって前側部に当接する位置に配置されている。このトナーセンサー60が当接するトナーコンテナ30の外周面の一部が図2に示すセンサー接触面30Aであり、センサー接触面30Aに対向する内周面31Aの一部がトナー検知面31Bである。
<移動壁の移動について>
蓋部311の左ガイド部312及びカバー部313の右ガイド部314が、現像装置20の一対の左ガイド溝201L及び右ガイド溝201Rにガイドされながら、トナーコンテナ30がユーザーによってコンテナ装着部109に装着される(図6、図7)。トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に装着される際、コンテナシャッター32が回動され、トナー排出口30Pが開放される。この結果、トナー排出口30Pがトナー補給口25の上方に対向して配置される(図4、図5)。
このように、新しいトナーコンテナ30がプリンター100に装着されると、制御部50(図7)は、第1モーターM1を駆動させ、第3伝達ギア2G3に歯合する第1ギア部材36を介して、シャフト部33を回転駆動させる。この結果、シャフト部33の雄螺旋部333と押圧部材344の雌螺旋部345との係合によって、押圧部材344が第1方向(図10の矢印DA)に移動する。この押圧部材344の移動に伴い、移動壁34が押圧され、移動壁34はトナー排出口30Pに向かって移動する。この際、搬送面34Sがトナーを押し、収容空間31Sにおけるトナーの喫水レベルを高めて行く。
やがて、移動壁34が初期位置から右方に所定の距離だけ移動すると、トナーの喫水レベルがトナー検知面31Bの高さ位置を越える。すると、トナーセンサー60がトナーを検出し、所定の検知信号(例えばHIGH信号)を出力する。制御部50は、トナーセンサー60から出力されたHIGH信号を受けて、シャフト部33の回転を停止させ移動壁34の移動を停止させる。
図5に基づき説明したように、本実施形態では、体積補給型のトナー補給形式が採用されている。このため、現像装置20側のトナーの滞留部29(図5)がトナー補給口25を下方から封止している場合、トナーコンテナ30から補給トナーT2は落下しない。一方、現像ローラー21から感光体ドラム121にトナーが供給され、滞留部29のトナーが減少すると、トナー排出口30Pからトナー補給口25を介して現像装置20にトナーが流入する。この結果、トナーコンテナ30の収容空間31Sでは、トナー検知面31Bの周辺のトナーが消失するため、トナーセンサー60が所定の非検知信号(例えばLOW信号)を出力する。このLOW信号を受けて、制御部50は、トナーセンサー60がHIGH信号を出力するまで、第1モーターM1を駆動させ、移動壁34をトナー排出口30Pに向かって更に移動させる。
現像装置20における現像動作に応じて、制御部50は、第2モーターM2を駆動し、現像ローラー21などを回転駆動させる。この回転動作に連動して、第2伝達ギア2G2に歯合した第2ギア部材37を介して、回転体35がシャフト部33回りに回転される。回転体35は、収容空間31Sにおいてトナー排出口30P及びトナー検知面31Bが存在する位置に対応して配置されている。回転体35の回転により、上掲の回転体35の機能が発揮される。すなわち、トナー検知面31Bが清掃され、トナー排出口30P付近のトナーが攪拌によって解され、さらにはトナー排出口30Pにトナーを押し込む動作が実行される。これにより、トナーセンサー60によるトナー検知面31Bを通したトナー検出が的確に実行され、また、トナーの流動性が増して、トナーが安定してトナー排出口30Pから落下する。
印字動作が繰り返され、トナーコンテナ30の収容空間31Sのトナーが使用され続けると、やがて移動壁34はトナー排出口30Pの手前の最終位置に至る。このように、移動壁34が第1方向に徐々に移動していくことで、収容空間31S内のトナーが移動壁34に押圧されながら、トナー排出口30Pまで搬送される。移動壁34が最終位置に至るまでの間、収容空間31Sが徐々に縮小されていく。つまり、トナーコンテナ30の内部において、トナーが存在する空間自体が徐々に消失されてゆく。この結果、収容空間31Sの容積が変化しない従来のトナーコンテナと比較して、使用終了時に、コンテナ本体31に残留するトナーの量を減少させることができる。
なお、本実施形態では、移動壁34はトナー排出口30Pよりも僅かに第1方向上流側の最終位置で停止する。詳しくは、移動壁34の移動に伴って押圧部材344の雌螺旋部345が移動壁停止部334に至ると、雄螺旋部333と雌螺旋部345との係合が解除される。この結果、シャフト部33から押圧部材344への移動力の伝達が失われ、移動壁34が最終位置において停止する。このとき、移動壁34は、シャフト部33上において支持リング部335に到達し、当該支持リング部33によって安定的に支持された状態となる。
<回転体の詳細構造>
以下、上掲の図11及び図12に加え、図13〜図15を参照して、回転体35の詳細構造について説明する。図13A及び図13Bは、視線を異ならせた回転体35の斜視図、図14は、清掃フィルム45が取り外された状態の回転体35の斜視図、図15は、図8のXV−XV線断面図である。回転体35は、樹脂成型品からなり、平板部40と、この平板部40から左方に突設された清掃部41、攪拌部42及び被検知部43を含む。
(平板部)
平板部40は、円板状の部材である。シャフト部33に回転体35が装着された状態では、平板部40の左面及び右面はシャフト部33対して直交した面となる。平板部40は略扇形の切り欠き部40Aを備える。この切り欠き部40Aは、図11に示すように、収容空間31S側からみて、トナー充填孔(閉止蓋317)を回転体35が覆い隠さないようにするために設けられている。すなわち、切り欠き部40Aは、前記トナー充填孔を通して収容空間31Sにトナーを充填することを可能とする開口である。従って、平板部40を有する回転体35を収容空間31Sにおいて右壁316の近傍に配置していても、切り欠き部40Aを通して外部からトナーを収容空間31Sへ充填させることができる。
平板部40の径方向中心付近の左面には、筒状ボス部44が左方に突設されている。筒状ボス部44の内部には中空部44Hが備えられ、中空部44Hをシャフト部33の第1端部331付近が貫通する態様で、筒状ボス部44がシャフト部33に外嵌されている。筒状ボス部44の反対側、つまり平板部40の右面には、筒状ボス部44と同軸上に、中空の裏面ボス部441が右方に突設されている。裏面ボス部441の右端部分は、第2ギア部材37の連結部373(図9、図10)と係合する係合部351である。シャフト部33は、この裏面ボス部441も貫通している。平板部40は、これら筒状ボス部44及び裏面ボス部441から径方向外側に延びている。平板部40の外周縁は、円弧状の周縁部401である。周縁部401は、コンテナ本体31の内周面31Aと僅かなギャップを置いて対向する(図11参照)。
図9及び図10に示されているように、筒状ボス部44の内部には第1シール352が収容される。第1シール352は、シャフト部33の外周面と筒状ボス部44の内周面との間の空間に介在されるシールである。第1シール352によって、シャフト部33と裏面ボス部441との間の隙間に沿って収容空間31Sからトナーが漏洩することが抑止される。また、裏面ボス部441の外周面と右壁316に具備されたボス部の内周面との間の空間には、第2シール353が介在されている。第2シール353によって、裏面ボス部441の外周面に沿って収容空間31Sからトナーが漏洩することが抑止される。
(清掃部)
清掃部41は、回転体35にトナー検知面31Bの清掃機能を付与する部分であって、トナー検知面31Bを清掃する清掃フィルム45(清掃部材)と、この清掃フィルム45を保持する保持部46とを含む。清掃フィルム45は、平面視で大略的に矩形の形状を備えた、フィルム状の弾性部材からなる。清掃フィルム45としては、所要の腰の強さを発揮する厚みを備えた、例えばPETフィルムを用いることができる。
清掃フィルム45は、トナー検知面31Bと実際に摺接する先端領域451と、この先端領域451に連なる基端領域452と、先端領域451に突設された突片453とを含む。保持部46は、基端領域452において清掃フィルム45を保持する。図13A及び図13Bに示すように、清掃フィルム45は、回転体35が収容空間31Sに収容されない状態では、直線的な形状を有する。先端領域451は、平板部40の周縁部401から外方に延出している。その延出長さは、周縁部401とコンテナ本体31の内周面31Aとの間のギャップよりも相当長く設定されている。
一方、回転体35が収容空間31Sに収容されると、図11に示すように、先端領域451は弾性変形によって湾曲し、先端領域451の一部が内周面31A(トナー検知面31B)に接触する。接触するのは、清掃フィルム45において内周面31Aと対向する第1面45a(図13A)である。これにより、回転体35の回転に伴って、先端領域451がトナー検知面31Bと摺接することとなり、当該トナー検知面31Bを清掃させることができる。なお、第1面45aの反対側の第2面45b(図13B)は、内周面31Aとは接触しない。
保持部46は、基端領域452において清掃フィルム45を挟み込むように配置された4つの突出ピースである、第1支持片461、第2支持片462、第3支持片463及び第4支持片464を含む。第1〜第4支持片461〜464は、平板部40から左方に突出されたリブ状の突起であり、概ね清掃フィルム45の幅サイズの80%程度の突出高さを有している。第1〜第4支持片461〜464は、この順で、概ね周縁部401沿うように間隔を置いて配列され、且つ、清掃フィルム45を挟むスリット状の空間を作るために千鳥状に配列されている。
図14に図示するように、第1、第2、第3、第4支持片461、462、463、464は、それぞれフィルム支持面S1、S2、S3、S4を有している。第1支持片461及び第3支持片463のフィルム支持面S1、S3は面一であり、第2支持片462及び第4支持片464のフィルム支持面S2、S4は面一である。そして、フィルム支持面S1、S3とフィルム支持面S2、S4との間には、清掃フィルム45を割り入れることができるスリット状の空間が確保されている。第1支持片461及び第3支持片463のフィルム支持面S1、S3は、清掃フィルム45の第2面45bを支持している(図13B)。一方、第2支持片462及び第4支持片464のフィルム支持面S2、S4は面一であって、清掃フィルム45の第1面45aを支持している(図13A)。
第1〜第4支持片461〜464のうち、内周面31Aに最も近い第1支持片461では、清掃フィルム45は固定されることなく接触状態で支持されている。一方、第1支持片461よりも内周面31Aから離間した第2〜第4支持片462〜464の3つの支持片によって、清掃フィルム45は固定的に支持されている。つまり、清掃フィルム45の基端領域452は、摺動自在に、換言すると撓むことが可能に、第1支持片461にて支持されている。一方、基端領域452の第2〜第4支持片462〜464で挟まれる部分では、撓み変形が実質的に不能な状態で保持されている。
先端領域451に突設された突片453は、回転体35の回転に伴って清掃フィルム45がトナー排出口30Pの上を通過する際に、清掃フィルム45がトナー排出口30Pに嵌り込まないようにするため、つまり、トナー排出口30Pの位置で清掃フィルム45がトナーと弾かないようにするために設けられている。この突片453を含む清掃フィルム45の形態、並びに保持部46による清掃フィルム45の支持態様については、後記でさらに詳細に説明する。
(攪拌部)
攪拌部42は、回転体35にトナーを攪拌する機能を付与する部分であって、収容空間31S内のトナーを攪拌する攪拌リブ421(攪拌部材)を含む。攪拌リブ421は、平板部40から左方に突出するように回転体35に付設されたリブである。攪拌リブ421は、回転体35の回転に伴って収容空間31S内のトナーを解す機能を果たす。本実施形態によれば、回転体35の回転に伴って、リブという簡易な構造物でトナーを解し、これにより収容空間31S内のトナーを攪拌させることができる。
攪拌リブ421は、内周面31Aと対向する押圧面421Sを有する。この押圧面421Sの、平板部40の周縁部401の接線に対する傾き角α(図11)は、30°〜60°程度の範囲、好ましくは45°に設定することができる。攪拌リブ421は、筒状ボス部44に最も接近する位置となる内側エッジ421Aを有する。内側エッジ421Aは、図11に示す回転体35の回転方向Rにおいて、攪拌リブ421の中でもっとも先端に位置する部分である。収容空間31S内のトナーが凝集した状態において、回転体35が回転すると、内側エッジ421Aがトナー凝集体に潜り込み、押圧面421Sがトナーを押圧することによって、当該トナー凝集体を解す。回転体35のさらなる回転に伴い、攪拌リブ421は解したトナーを攪拌し、その流動性を増加させる。
内側エッジ421Aと筒状ボス部44の外周面との間には、一定の距離が確保されることが望ましい。これらの間が狭すぎると、回転体35の回転時にトナーが攪拌リブ421の回転方向下流側に逃げにくくなり、逆にトナーを押し固める現象が生じかねない。従って、内側エッジ421Aと筒状ボス部44との間には、押圧面421Sの径方向幅と同程度の隙間を確保することが望ましい。
(被検知部)
被検知部43は、回転体35にコンテナ本体31が筐体101内に存在していることを検知させる機能を付与する部分である。被検知部43は、所定のセンサーの検知対象となる銅テープ432と、この銅テープ432が貼り付けられる(取り付けられる)取り付けリブ431とを備える。上述の通り、トナーセンサー60は透磁率センサーであって、トナーだけでなく銅にも感応性を有する。従って、本実施形態では、前記所定のセンサーとしてトナーセンサー60が利用される。
取り付けリブ431は、平板部40の周縁部401から左方に突出するように立設されたリブである。取り付けリブ431は円弧状に湾曲しており、その径方向外側の表面が銅テープ432の貼付面である。銅テープ432は、銅又は銅合金からなるテープ本体と、このテープ本体の片面に備えられた接着層とを含む。なお、トナーセンサー60が感応性を有する限りにおいて、他種の金属テープを用いることができる。また、テープの形態ではなく、金属板プレート等が保持部を備えた取り付けリブに嵌め込まれる態様としても良い。
被検知部43は、回転体35が回転すると、いずれトナー検知面31Bの位置を通過する。このとき、トナーセンサー60は銅テープ432の検出に応じた出力、つまり、トナーとは異なる出力を発生する。従って、適宜な閾値を予め設定しておくことで、トナーセンサー60が銅テープ432を検出したか、或いはトナーを検出したかを識別することができる。トナーセンサー60が銅テープ432の検出に対応する出力を発した場合、トナーコンテナ30(コンテナ本体31)がコンテナ装着部109に正常に装着されていることになる。このように、取り付けリブ431への銅テープ432の貼り付けという簡易な構造によって、トナーコンテナ30の有無検知が可能となる。
なお、図11に仮想線で示すように、収容空間31S内のトナーを検知する第1検知センサー6Aと、トナーコンテナ30がコンテナ装着部109に存在しているか否かを検知する第2検知センサー6Bとを、筐体101乃至は前カバー104に別個に配置しても良い。この場合、第1検知センサー6Aはトナー検知面31Bを通して収容空間31S内のトナーを検知する。また、第2検知センサー6Bは、トナー検知面31Bとは異なる位置において、被検知部43の被検知部材(銅テープ432)を検知する。しかし、本実施形態のように、トナー及び銅テープ432の双方に感応性を有するトナーセンサー60を用いれば、第1、第2検知センサー6A、6Bの機能を1つのセンサーに担わせることができるので、部品点数を減らし、コストダウンを図ることができる。
(レイアウト及び動作)
既述の通り、平板部40の左面には、清掃フィルム45の基端領域452を保持する保持部46(清掃部41)と、攪拌リブ421(攪拌部42)と、銅テープ432が貼付される取り付けリブ431(被検知部43)とが、当該平板部40と直交する方向(第1方向に沿う方向)に突設されている。図11を参照して、清掃部41、攪拌部42及び被検知部43は、平板部40の周縁部401付近において、概ね周方向に均等な間隔で配置されている。また、回転方向Rにおいて、清掃部41を基準とすると、その上流側に被検知部43が、さらにその上流側に攪拌部42が配置されている。
図15を参照して、トナー排出口30Pは、トナー検知面31Bに対し、シャフト部33の軸方向(第1方向)において略同じ位置に配置されているが、コンテナ本体31の内周面31Aにおいて周方向の異なる位置に配置されている。回転方向Rにおいては、トナー排出口30Pの上流側にトナー検知面31Bが位置している。これらトナー排出口30P及びトナー検知面31Bが周方向に並ぶ位置に対応するよう、回転体35はシャフト部33に取り付けられている。すなわち、保持部46(清掃部41)、攪拌リブ421(攪拌部42)及び取り付けリブ431(被検知部43)の回転軌跡と対向する位置に、トナー排出口30P及びトナー検知面31Bが配列されている。換言すると、トナー検知面31Bは、前記回転軌跡と対向する環状の内周面31Aの一部領域である。また、トナー排出口30Pは、回転体35の回転の際に、清掃フィルム45の先端領域451及び攪拌リブ421が通過する位置に開口している。
このようなレイアウトとされているので、回転体35がシャフト部33回りに回転方向Rへ回転すると、清掃フィルム45の先端領域451は、トナー検知面31Bと摺接して当該トナー検知面31Bを清掃すると共に、前記摺接を維持したままトナー排出口30P上を通過する。また、攪拌リブ421は、前記回転軌跡上においてトナーを攪拌(押圧)しながら、トナー排出口30P上を通過する。さらに、取り付けリブ431に貼付された銅テープ432は、内周面31Aと近接した位置において前記回転軌跡に沿って周回し、トナー検知面31Bを通過することになる。従って、トナー検知面31Bが清浄に維持され、収容空間31S内のトナーが攪拌されて凝集が防止され、さらにはコンテナ本体31がコンテナ装着部109に装着されているか否かをトナーセンサー60にて検知することができる。従って、トナーコンテナ30の機能性を高めることができる。
また、銅テープ432を有する被検知部43は、回転体35の回転方向Rにおいて、清掃フィルム45を有する清掃部41よりも上流側に配置されている。トナーセンサー60はコンテナ本体31の外部の定点(前カバー104)に設置されている。従って、回転体35の回転に伴い清掃フィルム45がトナー検知面31Bを清浄化した後に、銅テープ432が当該トナー検知面31Bを通過するようになる。従って、トナーセンサー60による正確な銅テープ432の検知を担保することができる。
なお、清掃フィルム45及び攪拌リブ421は、トナー排出口30Pへ向けてトナーを押圧する機能も有している。すなわち、清掃フィルム45及び攪拌リブ421は、回転体35の回転の際にトナー排出口30Pの位置を通過する。この通過の際に清掃フィルム45及び攪拌リブ421は、トナーをトナー排出口30Pへ向けて押圧するので、トナー排出口30Pを通して、コンテナ本体31内のトナーを積極的に補給先(現像装置20)に供給させる動作を行わせることができる。すなわち、必要に応じて回転体35を回転させることで、トナーの補給動作を実行させることができる。なお、清掃フィルム45は、その先端領域451が内周面31Aに摺接しながらトナー排出口30Pの位置を通過するため、過剰にトナーを送り出してしまう懸念がある。この過剰なトナー補給を防止するために、先端領域451には突片453が具備されている。続いて、この突片453を含む清掃フィルム45について詳述する。
<清掃フィルムとトナー排出口との関係に関わる構成>
図16(A)は、清掃フィルム45の平面図である。上述の通り清掃フィルム45は、矩形形状を備え、内周面31Aに摺接する先端領域451と、回転体35の保持部46にて保持される基端領域452とを備える。矩形の清掃フィルム45は、回転体35に保持された状態において、第1方向に沿う側辺となる軸方向先端側部E1及び軸方向基端側部E2と、周方向に沿う側辺となる周方向右側部E3及び周方向左側部E4とを含む。
軸方向先端側部E1は、先端領域451側の側辺であって、清掃フィルム45において突出先端縁となる側辺である。軸方向先端側部E1を先端とする先端領域451の一定の領域が、内周面31Aに当接する。軸方向基端側部E2は、基端領域452側の側辺である。周方向右側部E3は、図13A、図13Bに示すように、平板部40に当接乃至は近接する側の側辺である。周方向左側部E4は、平板部40に対する突出先端縁となる側辺である。
突片453は、周方向右側部E3と軸方向先端側部E1とが交差する角部において、周方向右側部E3から第1方向に沿うように左方に突設された小突片である。清掃フィルム45は、本来はトナー検知面31Bを清掃する目的で配置されているが、回転体35の回転時には、トナー検知面31Bだけでなくトナー排出口30Pの位置も通過する。このため、清掃フィルム45には、トナー排出口30Pへトナーを押し込んで適正なトナー補給を実現する機能も具備する。しかし、清掃フィルム45がトナー排出口30Pに到達した際に、先端領域451がトナー排出口30Pに嵌り込んでしまうと、トナーを弾くように押圧し、トナーを過剰にトナー排出口30Pから吐出させ得る。突片453は、このようなトナーの過剰補給を抑止するために備えられている。
図17(A)〜(C)は、清掃フィルム45がトナー排出口30P上を通過する様子を示す模式図である。トナー排出口30Pは、矩形の開口であって、上流開口縁F1、下流開口縁F2、周方向右開口縁F3及び周方向左開口縁F4からなる開口周縁部を有している。回転体35の回転方向Rにおいて、上流開口縁F1はトナー排出口30Pの上流側の開口縁を、下流開口縁F2は下流側の開口縁を各々画定するものであって、それぞれ第1方向に沿った開口縁である。周方向右開口縁F3及び周方向左開口縁F4は、トナー排出口30Pの右側及び左側の開口縁を各々画定する。
清掃フィルム45の左右幅(右側部E3と左側部E4との間隔)は、トナー排出口30Pの左右幅(右開口縁F3と左開口縁F4との間隔)よりも短く設定されている。清掃フィルム45の配置位置は、トナー排出口30Pの幅員に収まる位置であって、右側部E3と右開口縁F3との間の平面視の間隔が、左側部E4と左開口縁F4との間の間隔よりも短くなるよう、トナー排出口30Pの右寄りに偏心した位置である。一方、突片453は、右開口縁F3よりもさらに右方へ突出するように、清掃フィルム45に付設されている。つまり、清掃フィルム45の右側部E3は右開口縁F3よりも左方に位置しているが、突片453の右端部は右開口縁F3よりも右方に位置している。
図17(A)は、回転体35の回転時に、清掃フィルム45の周方向の中央部分がトナー排出口30Pの位置を通過している状態を模式的に示している。清掃フィルム45において、回転方向Rの最も上流側に位置している突片453は、まだトナー排出口30Pに到達していない。清掃フィルム45の右側部E3及び左側部E4は、トナー排出口30Pの右開口縁F3と左開口縁F4との間に位置しているが、軸方向先端側部E1がまだトナー排出口30Pに到達していない。このため、清掃フィルム45がトナー排出口30Pに落ち込むことはない。
図17(B)は、回転方向Rに沿って清掃フィルム45が進行し、先端側部E1がトナー排出口30Pの上流開口縁F1を通過した状態を示している。この通過の際、突片453が右開口縁F3と干渉する(引っ掛かる)状態となる。つまり、清掃フィルム45は、突片453によって右開口縁F3付近の内周面31Aによって片持ち支持された状態となる。従って、清掃フィルム45がトナー排出口30Pを通過する際に、先端領域451がトナー排出口30Pに嵌り込んでしまうことはない。なお、突片453を形成せずに、清掃フィルム45の右側部E3がトナー排出口30Pの右開口縁F3よりも左方側の位置を通過させることで、前記干渉を生じさせるようにしても良い。
図17(C)は、清掃フィルム45がさらに進行し、先端側部E1がトナー排出口30Pの下流開口縁F2を通過した状態を示している。この状態では、清掃フィルム45の先端側部E1から一定の領域が内周面31Aに安定的に摺接する。
このように、清掃フィルム45がトナー排出口30Pを通過する際、突片453が存在することによって清掃フィルム45の挙動が大きく変化することはない。このため、清掃フィルム45がトナーを弾くように押圧し、トナー排出口30Pから過剰にトナーを吐出させてしまうような動作が規制される。従って、現像装置20へのトナーの過剰補給が防止される。
本実施形態において、突片453をトナー排出口30Pの右開口縁F3と干渉させる意義についてさらに説明する。図18は、トナーコンテナ30と現像装置20との接合部分の断面図であって、トナー排出口30P付近のトナー滞留状況と、清掃フィルム45によるトナーの押圧状況を示す模式的な図である。現像ハウジング200のトナー補給口25は、コンテナ本体31のトナー排出口30Pの下方に直接的に連結され、トナー排出口30Pから排出されるトナーが流入する状態である。
図5に基づき先述した通り、第1攪拌スクリュー23は搬送能力抑制部28を備えている。このため、現像ハウジング200内の現像剤搬送路26におけるトナー搬送方向(矢印D1)において、搬送能力抑制部28の上流側にはトナーの滞留部29が発生する。滞留部29は、トナー排出口30Pを塞ぐようなトナー喫水線Taを作り出す。清掃フィルム45は、上述の通り、トナー排出口30Pを通過する際に、トナー排出口30Pに向けてトナーを押し込む挙動を示す。
図18に例示するように、トナー補給口25とトナー排出口30Pとの連結部において、トナー喫水線Taは、トナー搬送方向下流側に片寄った状態となり易い。つまり、トナー排出口30Pにおいて、搬送能力抑制部28により近い搬送方向下流側の左開口縁F4寄りにトナーが滞留し易く、右開口縁F3の付近は比較的トナーが滞留し難い状態となる。つまり、トナー排出口30Pの右開口縁F3の近傍領域は空洞が比較的発生し易く、トナーが現像ハウジング200内へ流入し易い状態となる。
しかしながら本実施形態では、突片453がトナー排出口30Pの右開口縁F3と干渉する。このため、トナーが流入し易い右開口縁F3付近において、清掃フィルム45によるトナーの押圧力が規制される。従って、補給トナーが現像ハウジング200内へ過剰に流入することが防止される。なお、清掃フィルム45の先端側部E1と左側部E4とが交差する角部C付近は、突片453で清掃フィルム45が片持ち支持されているとはいえ、ある程度はトナー排出口30Pへ落ち込むこととなるので、相応の押圧力を発生する。しかし、角部C付近が対向する領域は比較的トナーが滞留し易い領域であって、該領域ではトナー排出口30Pが塞がれているので、トナーの過剰供給は生じ難い。
但し、角部C付近のトナー排出口30Pへの落ち込みによって清掃フィルム45に発生する振動で、右開口縁F3の付近において清掃フィルム45がトナーを押圧する(弾く)懸念がある。この対処に好適なのが、図16(B)及び(C)に例示したスリット部付きの清掃フィルム45A、45Bである。
図16(B)の清掃フィルム45Aは、先端領域451における軸方向先端側部E1の近傍に、幅方向(第1方向)に延びるスリット部454が穿孔されている。図16(C)の清掃フィルム45Bは、先端側部E1から周方向に切れ込む開放スリット部455を有している。このようなスリット部454、455の形成によって、先端領域451の内周面31Aに対する突き当たり荷重を調整することができる。そればかりではなく、スリット部454、455が、上述の角部C付近がトナー排出口30Pへの落ち込んだ際の振動を吸収するようになる。従って、前記振動によって、右開口縁F3の付近において先端領域451がトナーを弾く現象を抑制することができる。
<清掃フィルムの保持の詳細構成>
既述の通り、清掃フィルム45は、第1〜第4支持片461〜464を備える保持部46によって回転体35に保持されている。保持部46による清掃フィルム45の支持態様について、さらに説明を加える。図19は、清掃フィルム45によるコンテナ本体31の内周面31Aへの摺接状況を示す平面図、図20は、清掃フィルム45の挙動を説明するための模式図である。
図19に示す通り、清掃フィルム45の基端領域452は、内周面31Aと接触して湾曲した状態となる。清掃フィルム45は、フィルム状の弾性部材からなり、回転体35の回転に伴って内周面31A(トナー検知面31B)と摺接することから、クリープ変形が発生し易い条件下にある。清掃フィルム45にクリープ変形が発生すると、内周面31Aに対する突き当たり荷重が不足してしまい、トナー検知面31Bの清掃が不十分となったり、トナー排出口30Pへのトナーの押し込み力が不足したりする不具合が発生する。
本実施形態では、上記のクリープ変形が生じない態様で、清掃フィルム45が保持部46にて支持されている。図20には、内周面31Aとの接触が存在しない第1状態の清掃フィルム45(A)と、内周面31Aと接触している第2状態の清掃フィルム45(B)とが示されている。第1状態の清掃フィルム45(A)は、直線状に回転体35から先端領域451が延出する。一方、第2状態の清掃フィルム45(B)は、内周面31Aとの接触によって撓み、第1支持片461の支持位置において、上向きに凸の弛み部Mが形成されている。このような弛み部Mが生じる態様で清掃フィルム45が支持されることにより、清掃フィルム45の内周面31Aに対する突き当たり荷重が緩和される。従って、清掃フィルム45のクリープ変形が効果的に防止される。
弛み部Mが生じる支持態様を実現している構成について説明する。第1〜第4支持片461〜464のうち、内周面31Aに最も近い第1支持片461を「第1支点部」とし、この第1支点部よりも前記内周面から径方向内側に離間した位置にある第2〜第4支持片462〜464を「第2支点部」とする。清掃フィルム45の基端領域452は、前記第1支点部では固定されることなく接触状態で支持され、前記第2支点部で固定されている。
前記第1支点部の第1支持片461は、清掃フィルム45を固定することなく接触状態で支持している。詳しくは、第1支持片461のフィルム支持面S1は清掃フィルム45の第2面45bと対向しており、第1状態の清掃フィルム45(A)では、フィルム支持面S1が第2面45bに面接触する状態で支持される。この状態は、単に第2面45bがフィルム支持面S1に載っている状態であり、両者は離接が可能である。一方、第2状態の清掃フィルム45(B)では、軸方向先端側部E1が内周面31Aに突き当たり、清掃フィルム45には延出方向とは反対方向の荷重が作用する。このため、第2状態の清掃フィルム45(B)の場合、第2面45bは第1支持片461の最も内周面31Aに近い角部である支点P1で接するが、フィルム支持面S1から浮き上がる。つまり、第2面45bは第1支持片461に対して摺動する。これにより、清掃フィルム45には弛み部Mが作られる。
弛み部Mは、前記第2支点部で清掃フィルム45が実質的に移動不能に、固定的に支持されているゆえに生成される。前記第2支点部の第2、第4支持片462、464のフィルム支持面S2、S4は、清掃フィルム45の第1面45aと対向している。一方、第2、第4支持片462、464の中間に位置する第3支持片463のフィルム支持面S3は、清掃フィルム45の第2面45bと対向している。基端領域452は、千鳥状に配置された第2〜第4支持片462〜464(フィルム支持面S2〜S4)で挟まれて、支持されている。なお、フィルム支持面S3からは、保持ピン465が突設されており、これに対応して清掃フィルム45には貫通孔が穿孔されている。保持ピン465が前記貫通孔へ挿通されることで、清掃フィルム45の位置決めが図られている。
このように、前記第2支点部において清掃フィルム45の基端領域452は、フィルム支持面S2〜S4によって第1面45a及び第2面45bの双方から支持され、保持ピン465が係合している。このため、第1状態の清掃フィルム45(A)及び第2状態の清掃フィルム45(B)の双方で、前記第2支点部において基端領域452は不動である。清掃フィルム45が撓むのは、第2支持片462の最も内周面31Aに近い角部である支点P2よりも先端側である。
つまり、基端領域452は、前記第1支点部では非固定(非拘束)の接触状態で支持され、前記第2支点部で固定(拘束)されていることから、弛み部Mを形成できる。この弛み部Mによって、清掃フィルム45のトナー検知面31B乃至は内周面31Aとの摺接時に遊びを持たせることができ、強い突き当たり荷重での摺接を抑止することができる。従って、清掃フィルム45のクリープ変形を防止でき、当該清掃フィルム45によるトナー検知面31Bの清掃能力、並びにトナー排出口30Pへのトナー押圧能力を長期に亘って維持させることができる。
<清掃フィルム及びその取り付けの具体例>
続いて、清掃フィルム45の具体例及び清掃フィルム45の保持部46への取り付けの具体例を、図21に示す模式図を参照して説明する。図20と同様に、図21には、内周面31Aと接触していない第1状態の清掃フィルム45(A)と、内周面31Aと接触している第2状態の清掃フィルム45(B)とが示されている。
図21に示されている「接点」は、軸方向先端側部E1がコンテナ本体31の内周面31Aに接触する点である。この先端側部E1には前記接触に伴い荷重Pが作用し、清掃フィルム45が撓むことになる。この荷重Pは、内周面31Aに先端側部E1が押し当たる力に相当し、清掃フィルム45によるトナー検知面31Bの清掃能力に関係するパラメータである。δmaxは、第1状態の清掃フィルム45(A)から第2状態の清掃フィルム45(B)に至る、先端側部E1の最大撓み量を示す。
また、図21の「支点A」、「支点B」は、それぞれ図20に示した「支点P1」、「支点P2」に相当する支点であり、「支点A」は最も内周面31Aに近い清掃フィルム45の非固定の支点(第1支点部)、「支点B」は清掃フィルム45を固定している部分のうち最も内周面31Aに近い清掃フィルム45の固定の支点(第2支点部)である。図中のσmaxは、「支点A」に加わる応力を示す。応力σmaxは、清掃フィルム45のクリープ変形に関係するパラメータである。
第1状態の清掃フィルム45(A)において、清掃フィルム45の「支点B」から先端側部E1までの部分は、撓み変形が可能なフリー部分Lである。フリー部分Lのうち、「支点A」から内周面31Aに向けて突出している部分が、突き出し量L1と定義され、「支点A」よりも内方の残部がL2で示されている。突き出し量L1のうち、内周面31Aとの交点よりも突出する領域がLA、内周面31Aとの交点と「支点A」までの距離がLBで各々示されている(L1=LA+LB)。また、第1状態の清掃フィルム45(A)と内周面31Aとが交差する接線角度が「θ」で示されている。さらに、第2状態の清掃フィルム45(B)における、先端側部E1の指向方向と内周面31Aとの交差角度である先端角度が「α」で示されている。先端角度αは、突き出し量L1に依存する。
ここで、清掃フィルム45の厚みをh(mm)、第1方向の幅をb(mm)、ヤング率をE(GPa)とし、上述の荷重P(N)、フリー部分L(mm)、突き出し量L1(mm)を用いると、清掃フィルム45の断面二次モーメントI(cm4)、最大撓み量δmax(mm)、応力σmax(Mpa)は次式で表すことができる。
本実施形態によれば、先端側部E1の内周面31Aとの接触時に、「支点A」において清掃フィルム45の先端領域451が拘束されず、当該先端領域451は弛み部Mを作るように変形する。これにより、「支点A」において拘束される清掃フィルムに比較して、内周面31Aの清掃に必要な荷重Pを確保しながら、クリープ変形を惹起する応力σmaxを低減することができる。
以下に、上述のパラメータの具体例を示す。
・清掃フィルム45:材質=PETフィルム、厚みh=0.1mm、幅b=19.2mm、ヤング率E=11.5GPa
・取り付け態様:フリー部分L=L1+L2mm、突き出し量L1=11.5mm、L2=3.5mm、LA=7.2mm、LB=4.3mm
・内周面31Aとの交差角:接線角度がθ=40.5°、先端角度α=36.2°
以上のパラメータを上掲の数式に代入すると、次の値が得られる。
・断面二次モーメントI=1.6E−6cm4
・最大撓み量δmax=5.97mm
・応力σmax=64.1Mpa
図22は、上記パラメータの具体例を用いた、清掃フィルム25の強度計算例を示すグラフである。当該グラフには、使用するPETフィルム(清掃フィルム45)の突き出し量L1と、清掃能力に影響する荷重P(N)と、クリープ変形に影響する応力σmax(Mpa)との関係が示されている。突き出し量L1は、使用するPETフィルム自体の公差と、保持部46への組み付け誤差を考慮して、L1=11.5mm±1mmとする。
トナー検知面31Bの清掃に必要なPETフィルムの突き当て荷重Pは、経験値より、少なくとも0.05Nが必要である。また、応力σmaxは、クリープ変形を未然に防止するため、PETフィルムの45℃(実使用温度)における降伏応力=80MPa以下にする必要がある。図22の計算結果によれば、突き出し量L1の公差範囲11.5mm±1mmにおいて、荷重P(N)及び応力σmax(Mpa)は、下限の荷重=0.05N以上であって、クリープ変形をもたらす降伏応力=80MPa以下であることがわかる。従って、上掲の具体例に係る清掃フィルム45及びその取り付け態様によれば、充分なトナー検知面31Bの清掃能力を確保しつつ、当該清掃フィルム45のクリープ変形を防止することができる。
<清掃フィルムの突片の効果の実証例>
上述の通り、本実施形態の清掃フィルム45には、清掃フィルム45がトナー排出口30Pに嵌り込むことを防止する突片453が付設されている。この突片453の効果の実証例を図23に示す。図23は、エージング時間と現像装置20内のトナー量推移との関係を調査した実験結果を示すグラフである。ここでは、清掃フィルム45によるトナー排出口30Pへのトナーの押し込み機能に着目し、現像装置20(現像ハウジング200)へトナーがどの程度補給されたかが示されている。清掃フィルム45がトナーの押し込み機能を発揮するほど、現像装置20内のトナー量は増加する。
図23のグラフ中、比較例は突片453を具備しない清掃フィルムが用いられた例を示している。この比較例では、図17(B)に示す状態において、突片453が存在しないことから、当該清掃フィルムは片持ち状態とはならずにトナー排出口30Pへ嵌り込み、トナーを弾いてしまうことになる。実施例1は、図16(A)に示す突片453付きの清掃フィルム45が適用された場合のトナー量推移である。実施例2は、図16(B)に示すスリット部454及び突片453を具備する清掃フィルム45A、実施例3は、図16(C)に示す開放スリット部455及び突片453を具備する清掃フィルム45Bが適用された場合のトナー量推移である。
図23のグラフから明らかな通り、比較例ではエージング時間の進行と共に現像装置20内のトナー量が増加しており、比較例に係る清掃フィルムが現像装置20に対して過剰なトナー補給を行っていることがわかる。これに対し、実施例1〜3では、エージング時間が進行しても現像装置20内のトナー量は安定している。従って、実施例1〜3の清掃フィルム45、45A、45Bは、トナー排出口30Pを通して過剰にトナーを補給していないことが分かる。
また、実施例1に比べ、実施例2及び3の方が、少ないトナー量で安定させることが出来ている。これは、スリット部454又は開放スリット部455の形成によって、清掃フィルム45A、45Bの軸方向先端側部E1の荷重が実施例1のものより小さくなり、トナーを押圧する力が低下したこと、並びに、図18に基づき説明した通り、スリット部454、455が、清掃フィルム45A、45Bの角部C付近がトナー排出口30Pへの落ち込んだ際の振動を吸収する働きをすることに依る。
以上の通り、本実施形態のトナーコンテナ30は、シャフト部33に沿って第1方向に移動する移動壁34と、シャフト部33の軸回りに回転する回転体35とを含む。そして、回転体35には、清掃部41、攪拌部42及び被検知部43の3つの機能部材が搭載されている。これら機能部材の各々によって、トナーセンサー60によるトナー検知面31Bが清浄に維持され、収容空間31S内のトナーが攪拌されて凝集が防止され、さらには当該トナーコンテナ30が所定位置に装着されたか否かを、トナーセンサー60にて検知可能となる。
従って、トナーセンサー60にてコンテナ本体31内に貯留されているトナー量を正確に知見でき、移動壁34の移動制御を的確に実行させることができる。また、トナーの凝集が防止されるので、トナー排出口30Pを通して流動性の高いトナーを現像装置20に供給させることができる。さらに、別途のコンテナ着脱センサー等を配置することなく、回転体35を利用してトナーコンテナ30の装着を検知することができる。
さらに、清掃フィルム45は前記第1支点部では非固定の接触状態で支持され、前記第2支点部で固定されるよう、保持部4で支持されている。フィルム状の弾性部材からな清掃フィルム45は、回転体35の回転に伴って内周面31Aと摺接することから、クリープ変形が発生し易い条件下にある。しかし、清掃フィルム45の基端領域452は、前記第1支点部では固定されずに接触支持されているだけである。このため、前記摺接時に清掃フィルム45が撓むように遊びを持たせることができ、強い突き当たり応力を伴った摺接を抑止することができる。従って、清掃フィルム45のクリープ変形を防止でき、当該清掃フィルム45によるトナー検知面31Bの清掃能力を長期に亘って維持させることができる。