JP6894552B2 - 極細短繊維 - Google Patents
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従って、本発明は、薄膜中に分散させたときに、緻密なネットワーク構造を形成し、得られる薄膜に密着性を付与することのできる薄膜形成用短繊維に関する。
現実的な配合量を考慮すると好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。
また繊維の毛管力が高まり密着性が良くなる観点から好ましくは5μm以下であり、より好ましくは4μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。
繊維径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)によって、繊維を2000倍又は5000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(例えば、繊維の塊、繊維の交差部分)を除いた繊維を任意に100本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き繊維径を直接読み取ることで測定することができる。平均繊維径は、これらの測定値の相加平均を求めて、これを平均繊維径とする。
繊維が薄膜中に分散している場合には、組成物を基板に薄く塗布してSEM観察によって計測する。この手段は、本明細書の他の測定においても共通である。
得られる薄膜の強度の観点から好ましくは25μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、さらに好ましくは40μm以上である。
また、組成物塗布時に繊維同士での絡まりと縒れを抑制する観点から好ましくは250μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。
繊維長は、SEM観察によって、繊維の長さに応じて、250倍ないし750倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(例えば、繊維の塊、繊維の交差部分)を除いた繊維を任意に100本選び出し、繊維の長手方向に線を引き繊維径を直接読み取ることで測定できる。平均繊維長は、これらの測定値の相加平均を求めて、平均繊維長とする。
ネットワークが形成し易くなる観点から、好ましいCV値は42%以上であり、より好ましくは45%以上である。
また組成物の保存安定性が高まる観点から、好ましくは95%以下であり、より好ましくは90%以下であり、殊更に好ましくは85%以下である。
CV値は(測定した繊維の長さの標準偏差)/(平均繊維長)×100[%]で求まる値である。
40μm以上の繊維は8%以上含有するのが好ましく、さらに繊維の絡まりを増やし薄膜の強度を向上する観点から15%以上含有するのがより好ましい。
繊維長40μm以上の繊維の上限は500μm以下が好ましい。
またネットワークを形成し易くする観点から、繊維長40μm以上の繊維は100%以下含有するのが好ましい。
繊維全体における繊維長40μm以上の繊維の本数割合は、繊維長さに応じて、SEMの1つの撮像画面に20〜30本の繊維が入るようにSEMの倍率を200倍から750倍で調整する。その状態で画面内にある全ての繊維を測定することで恣意性を排除し、合計200本以上で測定する。
現実的な配合量を考慮すると、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、20以上がさらに好ましく、25以上が殊更好ましく、繊維の絡まりを増やし薄膜の強度を向上する観点から40以上が特に好ましくい。
また現実的な配合量を考慮すると、250以下がより好ましく、200以下がさらに好ましい。
本明細書で言うアスペクト比は、繊維一本についての値ではなく、前記繊維径の測定法に従って求めた平均繊維径と前記繊維長さの測定法に従って求めた平均繊維長とから算出した値である。
また、ネットワークとは、薄膜中に分散した繊維同士が互いに交点を2か所以上持つことによって、繊維間に間隙を持つようにした状態であり、この間隙に液剤、化粧料、皮膚外用剤等と繊維を含む薄膜形成組成物に含有される成分を保持し得る状態である。
また、紡糸法としては、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)が、繊維径の小さい繊維を得る点で好ましい。重量平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、生分解性ポリエステルの重量平均分子量を測定する場合、ポリスチレン換算の重量平均分子量として、以下の条件に従って測定することができる。ポリスチレン標準試料としては、重量平均分子量が既知であり且つ重量平均分子量がそれぞれ異なるポリスチレン試料(例えば、東ソー株式会社製の単分散ポリスチレン(型番:F450、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000、A500及びA300)を用いて分子量較正曲線を予め作成し、該較正曲線と測定試料の結果とを比較することによって測定することができる。
・測定装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
・カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(東ソー株式会社製)
・溶離液:1mmol ファーミンDM20(花王株式会社製)/CHCl3
・溶離液流量:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1体積%(クロロホルム溶液)
・サンプル注入量:100mL
組成物中に短繊維がある場合、該組成物中に含まれる繊維のうち、上記の手段によって水不溶性ポリマーの短繊維と認められたものを得る。次いで、該短繊維を不溶な溶剤にて洗浄後、濾過することにより繊維形成性ポリマーからなる短繊維を抽出することができる。溶剤は、短繊維が含む樹脂がPLAなどのエステル系樹脂である場合はエタノールが、樹脂がアクリル系の場合は水が好ましい。水不溶性ポリマーの繊維を計測して質量を求めることができ、繊維の質量%は洗浄前組成物の質量との比、すなわち(洗浄後短繊維の質量)/(洗浄前組成物の質量)によって求めることができる。
これらの水不溶性ポリマーのうち、薄膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで薄膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエインから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
このうち、得られる薄膜の密着性の観点から、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸、及びポリウレタン樹脂から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
アクリル樹脂としてはオクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーが好ましい。
また、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカン酸のような生分解性樹脂を用いることも環境負荷軽減の点から好ましい。本明細書において「生分解性」とは、JIS K6953−1に準じて測定されたポリエステルの生分解度が30%以上のものである。
より好ましい短繊維化の手段は、ナノファイバーが交絡した繊維集合体、例えば不織布を製造した後、該繊維集合体を適切な大きさに切断した後、機械式渦流粉砕機、カッターミル粉砕機、ディスクミル粉砕、湿式の高速せん断型メディアレス粉砕機、又は湿式の高圧せん断型メディアレス粉砕機を用いる。
前記繊維集合体としては、不織布以外に、綿状体などの所定の厚みをもったものも含む。
水を用いることが典型的である。
アルコールの中ではフェノキシエタノールを用いることがより好ましい。
揮発性シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーンが挙げられる。
揮発性炭化水素としてはイソドデカン、水添ポリイソブテン等が挙げられる。
中でもジカプリン酸ネオペンチルグリコールを用いることが好ましい。
なお、本発明における油剤は、HLB値が10以下のものであり、好ましくは8以下のものである。HLB値は、親水性−親油性のバランス(Hydrophile ipophile Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田及び寺村らによる次式により算出した値を用いている。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
この値は、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上である。
また、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。
この値、即ち(平均繊維径)2/繊維含有量(μm2/質量%)は、組成物に含まれる繊維の累積長さの指標であり、この数値が大きくなるほど累積長さが短くなることを意味する。
厚さは、基板に塗布した後に、基板上の接触式の膜厚計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック VL−50Aで測定することができる。なお、ここで基板はPET製を用いる。
短繊維の製造例として実施例1を示す。
(1)表1のアクリル樹脂、具体的には(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーをエタノールに溶解して、18質量%の溶液を得た。この溶液を用い、図1に示すエレクトロスピニング法の装置によって、コレクタの表面にナノファイバーシートを形成した。ナノファイバーの製造条件は次のとおりである。
・印加電圧:30kV・キャピラリ−コレクタ間距離:150mm・水溶液吐出量:12mL/hour・環境:25℃、30%RH
(2)得られたナノファイバーシートを攪拌システム(プライミクス株式会社製、ラボリューション(登録商標))にディスパー翼を取り付け、回転数5000rpm、25分間剪断し、繊維を得た。
実施例2、3、5〜8は表1にある、ポリマー濃度、回転数、剪断時間以外は実施例1と同様にして繊維を製造した。
また短繊維の製造例として実施例4を示す。
(1)表1のエステル樹脂(PLA)をクロロホルムとジメチルホルムアミド(80:20重量比)に溶解して、20%の溶液を得た。この溶液を用い、図1に示すエレクトロスピニング法の装置によって、コレクタの表面にナノファイバーシートを形成した。ナノファイバーの製造条件は次のとおりである。
・印加電圧:30kV・キャピラリ−コレクタ間距離:150mm・水溶液吐出量:12mL/H・環境:25℃、30%RH
(2)得られたナノファイバーシートを、分散装置(太平洋機工株式会社製、マイルダー)を用いて、13500rpmで循環ラインに循環数8回で剪断し、繊維を得た。
実施例9、10は表1にある、ポリマー濃度、循環数以外は実施例4と同様にして繊維を製造した。
得られた短繊維を表2の処方で配合し、薄膜形成組成物とした。
得られた繊維の特性、処方を表1及び表2に示す。
*4:SIMULGEL EG(SEPPIC)
*5:エステモールN-01(日清オイリオグループ株式会社)
*6:レオドール TW-S320V(花王株式会社)
*7:PEMULEN TR-1(Lubrizol Advanced Materials)
表2の薄膜形成組成物を製造し、当該組成物を人工皮革に均一に塗布して薄膜を形成させた。形成された薄膜の特性を評価した。
(評価方法)
(1)密着性
処方A、B及びCの薄膜形成組成物を、2種類の基材;人工皮革及びPETフィルムに2mg/cm2、指で塗布し、薄膜を形成した人工皮革及びPETフィルムの屈曲試験により密着性を評価した。薄膜を内側にし、180度の屈曲を10回繰り返し、薄膜と基材の付着状態から、以下の基準で判断した。
4:変化なし。
3:7回目で薄膜の剥がれや縒れを確認。
2:3回目で薄膜の剥がれや縒れを確認。
1:1回目で薄膜の剥がれや縒れを確認。
SEMにより、ネットワーク形成の有無を評価した。
ネットワーク形成の評価は、繊維が他の繊維と2か所以上の交点を有し、繊維に囲まれた間隙の存在を全体に確認できる場合をネットワークが形成されているとし、表中に「〇」と記載した。ネットワーク形成有りのSEM参考画像を図2に、ネットワーク無しのSEM参考画像を図3に示す。
11 シリンジ
12 高電圧源
13 導電性コレクタ
11a シリンダ
11b ピストン
11c キャピラリ
Claims (7)
- 平均繊維径が0.1μm以上7μm以下、平均繊維長が20μm以上300μm以下、繊維長のCV値が40%以上100%以下、繊維全体における繊維長40μm以上の繊維の本数割合が5%以上である薄膜形成用短繊維組成物であって、当該繊維が、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ乳酸、オキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリブチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシアルカン酸から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性ポリマーの繊維である薄膜形成用短繊維組成物。
- 平均繊維径が0.1μm以上7μm以下、平均繊維長が20μm以上300μm以下、繊維長のCV値が40%以上100%以下、繊維全体における繊維長40μm以上の繊維の本数割合が5%以上である薄膜形成用短繊維組成物であって、繊維が生分解性を有する繊維である薄膜形成用短繊維組成物。
- 前記組成物は、揮発性成分及び/又は油剤を媒体として含有し、前記短繊維が前記媒体に分散している請求項1又は2記載の短繊維組成物。
- 繊維が平均分子量1.0×104g/mol以上2.0×105g/mol以下の熱可塑性樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の短繊維組成物。
- アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が8以上300以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の短繊維組成物。
- エレクトロスピニング法で製造されたナノファイバーを短繊維化する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の短繊維組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の短繊維組成物を含む薄膜。
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