以下、本発明の実施形態である。
<実施例1>
本発明に関する冷蔵庫の実施例1について説明する。図1は実施例1に係わる冷蔵庫の正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図2のB−B断面図である。冷蔵庫1の箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。以下では、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は、まとめて冷凍室7と呼ぶ。
冷凍室7は、基本的に庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に−18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2及び野菜室は庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)とし、例えば冷蔵室2は平均的に4℃程度、野菜室は平均的に7℃程度にした貯蔵室である。
ドア2aには庫内の温度設定の操作を行う操作部26を設けている。冷蔵庫1とドア2a、2bを固定するためにドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部及び下部に設けてあり、上部のドアヒンジはドアヒンジカバー16で覆われている。
図2に示すように、外箱10aと内箱10bとの間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される箱体10により、冷蔵庫1の庫外と庫内は隔てられている。箱体10には発泡断熱材に加えて複数の真空断熱材25を、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に実装している。冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3は断熱仕切り壁28によって隔てられ、同様に下段冷凍室5と野菜室6は断熱仕切り壁29によって隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、ドア3a、4a、5aの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れ、庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切り壁30を設けている。
冷蔵室2のドア2a、2bの庫内側に複数のドアポケット33a、33b、33cを設け、また複数の棚34a、34b、34c、34dを設けることで、冷蔵室2内は複数の貯蔵スペースに区画されている。冷凍室7及び野菜室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bを備えている
断熱仕切り壁28の上方には、冷蔵室2の内部に設けられた庫内貯蔵空間である庫内貯蔵室35を設けている。庫内貯蔵室35は、庫内貯蔵室35内に設けた食品の乾燥を抑制し、また庫内貯蔵室35内に設けた食品の酸化防止を目的に内部を減圧するために密閉されており、庫内貯蔵室35内部は直接冷気が送風されない構造となっている。庫内貯蔵室35は、操作部26により、内部においた食品を冷蔵室2の温度に近い冷蔵温度帯(例えば約0〜3℃)にするチルドモードと、冷蔵室2よりも低温な冷凍温度帯(例えば約−3〜0℃)にする氷温モードに切換えることができる。庫内貯蔵室35は断熱仕切り壁28を介して冷凍室7と隣接させているため、後述する制御と合わせることで、冷凍温度帯の氷温モードにできるようにしている。なお、断熱仕切り壁28内にはヒータ(図示せず)を設けており、詳細は後述するが、圧縮機24とRファン9aの制御と、本ヒータの制御により2つのモードを切換える。
冷蔵用蒸発器であるR蒸発器14aは冷蔵室2の略背部に備えた冷蔵用蒸発器室であるR蒸発器室8a内に設けてある。R蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、R蒸発器14aの上方に設けた冷蔵用ファンであるRファン9aにより、冷蔵室風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は冷蔵室戻り口15a及び15b(図3参照)からR蒸発器室8aに戻り、再びR蒸発器14aにより冷却される。冷蔵室戻り口15a及び15bには後述する排水口22a及びR配水管27aの最小径よりも小さいスリットを設け、排水口22a及びR配水管27aでの食品のつまりを防止している。
冷蔵室2の冷蔵室吐出口11aは冷蔵室2の上部に設けており、本実施例では最上段の棚34aにのみ空気が吐出するように設けている。また冷蔵室戻り口15a、15bは冷蔵室2の下部に設けており、本実施例では冷蔵室戻り口15bは冷蔵室2の下から2番目の段(棚34cと棚34dの間)に設け、冷蔵室戻り口15aは冷蔵室2の最下段(棚34dと断熱仕切り壁28の間)で庫内貯蔵室35の略背面に設けている。これによりRファン9aの運転率を高くする(送風する時間割合を多くする)と、冷蔵室吐出口11aのある冷蔵室2の上方を比較的低温にすることができ、運転率を低くすると自然対流と断熱仕切り壁28を介した冷凍室7の伝熱により冷蔵室2の下方を比較的低温にできる。よって、冷蔵室2の下部で庫内貯蔵室35を備えた最下段は冷蔵室吐出口11aがなく、冷蔵室戻り口15a、15bを備えている構成となっており、Rファン9aの運転率を高くすると庫内貯蔵室35を相対的に高い温度(冷蔵室2の平均温度に近い温度)にすることができ、運転率を低くすると庫内貯蔵室35を相対的に低い温度(冷蔵室2の平均温度よりも低温)にできる。
冷凍用蒸発器であるF蒸発器14bは冷凍室7の略背部に備えた冷凍用蒸発器室であるF蒸発器室8b内に設けてある。F蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、F蒸発器14bの上方に設けた冷凍用ファンであるFファン9bにより、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12aを介して冷凍室7に送風し、冷凍室7内を冷却する。冷凍室7に送風された空気は冷凍室戻り口17からF蒸発器室8bに戻り、再びF蒸発器14bにより冷却される。
本実施例の冷蔵庫1では、野菜室6もF蒸発器14bで低温にした空気で冷却する。F蒸発器14bで低温になったF蒸発器室8bの空気は、Fファン9bにより野菜室風路(図示せず)、野菜室ダンパ(図示せず)を介して野菜室6に送風し、野菜室6内を冷却する。野菜室6が低温の場合は、野菜室ダンパを閉じることで野菜室6の冷却を抑える。なお、野菜室6に送風された空気は断熱仕切り壁29の下部前方に設けた野菜室側の冷気戻り部18aから野菜室冷気戻りダクト18を介してF蒸発器室8bの下部に戻る。
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43を設け、R蒸発器14aの上部にはR蒸発器温度センサ40a、F蒸発器14bの上部にはF蒸発器温度センサ40bを設け、これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、R蒸発器14a、及びF蒸発器14bの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と湿度を検知する外気湿度センサ38を設けている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)等も設けている。
図2及び図3に示すように、F蒸発器室8bの下部には、F蒸発器14bを加熱する除霜ヒータ21を設けている。除霜ヒータ21は、例えば50W〜200Wの電気ヒータで、本実施例では150Wのラジアントヒータとしている。F蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水(融解水)はF蒸発器室8bの下部に設けたFトイ23bに落下し、F排水口22b、F排水管27bを介して圧縮機24の上部に設けたF蒸発皿32bに排出される。
また、R蒸発器14aの除霜方法については図8から図11を用いて後述するが、R蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水は、R蒸発器室8aの下部に設けたRトイ23aに落下し、排水口22a、R排水管27aを介して機械室39に設けたR蒸発皿32aに排出される。
図3に示すように、Rトイ23aにはRトイ23aでの除霜水が凍結した際に除霜水を融解させるトイヒータ101を設けている。また、R排水管27aには排水管上部ヒータ102及び排水管下部ヒータ103を設けている。また、トイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103の通電を制御するため、トイ温度を検知するトイ温度センサ45を、Rトイ23aの最終集水部である排水口22a近傍の発砲断熱材内部に埋設している。トイ温度センサ45をRトイ23aの内面に露出させずに、トイ形成部材の内側にトイ温度センサ45を設置することにより、水がトイ温度センサ45に直接接触しないので、腐食によるトイ温度センサ45の断線が防止でき、トイ温度センサ45の耐久性が向上する。本実施例の冷蔵庫1では後述する制御により、Rトイ23aの残水をトイ温度センサ45により検知し、最大水量以上となってRトイ23aから水が溢れて冷蔵室2に水が侵入することがないようにしている。また、トイ温度センサ45を発泡断熱材内部に埋設することで、Rトイ23aの内面の凹凸を少なくでき、凹凸箇所への残水を防ぐことが可能となる。残水を防止した結果、残水の凍結防止のためにトイヒータ101の出力を上げなくても、残水の凍結によってRトイ23a内を堰き止め水が溢れるのを防止できる。また、トイ温度センサ45の埋設位置は、Rトイ23aが受けられる最大貯水量の半分以下の水量で、Rトイ23aを介して水と面する箇所としている。これにより、Rトイ23aに残水していた場合に、最大水量以上となってRトイ23aから溢れる前にRトイ23aの残水を検知することができ、より確実に冷蔵室2への水の侵入を抑制できる。さらに本実施例では、トイ温度センサ45をRトイ23aの排水口22a近傍(熱的な影響を受ける10cm以内)に配置しており、排水口22aで氷結が生じ、排水できなくなった場合に、早期に検知できる構成としている。なお各ヒータ101、102,103は、例えば消費電力20W以下と、除霜ヒータ21よりも消費電力が低い電気ヒータであり、本実施例ではトイヒータ101が10W,排水管上部ヒータ102が5W、排水管下部ヒータ103が3Wのヒータとしている。
図4はR排水管27aの構成を示す図である。図中の201、202は、図3に示す201、202と同じ高さ位置を示し、範囲201は冷凍室7及びF蒸発器室8bの高さ範囲を表し、範囲202は断熱仕切り壁28から断熱仕切り壁29の下端までの高さ範囲を表す。
R排水管27aは、上部は冷凍室7及びF蒸発器室8bから離れるよう排水口22aから外箱10a側に向かうよう外向きに傾斜しながら下方に向けて設けられており、この区間に排水管上部ヒータ102を設けている。その下部のR排水管27aは外箱10aの略近傍に設けられており、断熱仕切り壁29の下端まで排水管下部ヒータ103を設けている。その下部(断熱仕切り壁29よりも下部)のR排水管27aはR蒸発皿32aに除霜水が排出されるよう内向きに傾斜している。なお、本実施例では、排水管上部ヒータ102と排水管下部ヒータ103は何れも熱伝導率の高い伝熱部材であるアルミシールによりR排水管27aに固定しており、これにより、ヒータ線が直接触れていない箇所もアルミシールによる熱伝導で加熱できる構成にしている。
上記のように排水管上部ヒータ102と排水管下部ヒータ103を配設したことで、排水管上部ヒータ102と排水管下部ヒータ103の上端は、範囲201の上端よりも高い位置まで設けられ、また下端は範囲201の下端よりも低い位置まで設けられている。範囲201内のR排水管27aは、冷凍温度帯の冷凍室7及びF蒸発器室8bにより冷却されるため、R排水管27a内がマイナス温度となり、R排水管27a内で除霜水が凍結する可能性がある。一方、範囲201に排水管上部ヒータ102と排水管下部ヒータ103を設けることで、排水管内で水が凍結した場合も融解させることができ、すなわちR排水管27aからR蒸発皿32a(図3参照)に排水できる。
さらに、排水管上部ヒータ102の上端は、範囲202の上端と同等または又はそれよりも高い位置となるよう設けられ、排水管下部ヒータ103の下端は範囲202の下端と同等またはそれよりも低い位置となるよう設けられている。断熱仕切り壁28及び断熱仕切り壁29は、冷凍温度帯の冷凍室7及びF蒸発器室8bと接しており、少なくとも一部はマイナス温度になる。従って、断熱仕切り壁28及び断熱仕切り壁29の高さ範囲のR排水管27a内もマイナス温度となる可能性があるが、範囲202と同等以上の範囲まで排水管上部ヒータ102と排水管下部ヒータ103を設けることで、より確実にR排水管27aからR蒸発皿32a(図3参照)に排水できる。なお、R排水管27aのうち断熱仕切り壁28内部の箇所は、直接断熱仕切り壁28により冷却されて低温になり易いため、特にこの箇所に排水管上部ヒータ102を設けることが有効である。
ここで、図2、図3に示すように、Rトイ23aにはRファン9aを駆動させると冷蔵室2から冷蔵室蒸発器14aへの戻り空気が流れる構成にしている。後述するR蒸発器14aの除霜運転時はRファン9aを駆動させるため、この冷蔵室2の戻り空気でRトイ23aを加熱できる。これにより、Rトイ23aでの除霜水の凍結を抑制し、また凍結した場合も融解に必要なトイヒータ101の加熱量を抑制することができ省エネルギー性能を高めることができる。
また、排水管27a下部(排水管下部ヒータ103を設けた箇所)は、冷凍室7及びF蒸発器室8bよりも外箱10aに近接させている。これにより、特に外気高温時、外箱10aを介して外気により加熱できるため、排水管27a下部での凍結を抑制し、また凍結した場合も排水管下部ヒータ103の加熱量を抑制することができ省エネルギー性能を高めることができる。一方、外気が低温の場合は排水管下部ヒータ103を加熱して除霜水が確実に排出できるようにしている。また、図14を用いて後述するが、R排水管27aは約0℃の除霜水が流れるため、R排水管27aに近接した外箱10aが除霜水により冷却され、露点温度よりも低温になる可能性があるが、排水管下部ヒータ103に通電して外箱10aへの結露を抑制できる。
冷蔵庫1の上部(図2参照)には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43、蒸発器温度センサ40a、40b、トイ温度センサ45等と接続され、前述のCPUは、これらの出力値や操作部26の設定、前述のROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24やRファン9a、冷蔵用ファン9b、前述の各ヒータ21、101、102、103、及び後述する冷媒制御弁52の制御等を行っている。
図5は断熱仕切り壁28内部を下側から見た図で、トイヒータ101とトイ温度センサ45の配設箇所を示している。トイヒータ101は、伝熱部材であるアルミシート104によりトイ背面の発泡断熱材側に貼り付けてある。熱伝導率の高いアルミを用いることで、ヒータ線が直接触れていない箇所もアルミシールによる熱伝導で加熱できる。なお、アルミシート104は、トイ温度センサ45には接触しないように離している。これは、トイヒータ101の温度上昇によりトイ温度センサ45が直接加熱され、Rトイ23aの温度検知が不正確になるのを防ぐためである。
図6は、実施例1の冷蔵庫における電気ヒータ配線を示す回路図である。除霜ヒータ21、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102、排水管下部ヒータ103は制御基板31に接続されており、制御基板31により加熱の制御がなされる。ここで、除霜ヒータ21は制御基板31のピンP1とP4に接続され、トイヒータ101はピンP2とP4、排水管下部ヒータ103はピンP3とP4に接続されており、これらは独立して制御できる。一方、排水管上部ヒータ102はトイヒータ101と同様に制御基板31のピンP2とP4に接続しており、トイヒータ21と同期して駆動する構成にしている。
図7は、実施例1に関わる冷蔵庫の冷凍サイクル(冷媒流路)である。本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50aと壁面放熱配管50b、仕切り壁28、29、30の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である冷蔵用キャピラリチューブ53aと冷凍用キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱するR蒸発器14aとF蒸発器14bを備え、これらにより庫内を冷却している。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器54a、54bを備え、さらに冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55も備えており、これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
なお本実施例の冷蔵庫1は、冷媒に可燃性冷媒のイソブタンを用いている。また、本実施例の圧縮機24はインバータを備えて回転速度を変えることができる。
三方弁52は、52a、52bで示す2つの流出口を備え、流出口52a側に冷媒を流す冷蔵モードと、流出口52b側に冷媒を流す冷凍モードを備え、これらを切換えることができる部材である。また、本実施例の三方弁52は、流出口52aと流出口52bの何れも冷媒が流れないようにする全閉、また何れも冷媒が流れるようにする全開のモードも備え、これらにも切換え可能である。
本実施例の冷蔵庫1では、冷媒は以下のように流れる。圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、庫外放熱器50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは冷媒配管を介して冷蔵用キャピラリチューブ53aと接続され、流出口52bは冷媒配管を介して冷凍用キャピラリチューブ53bと接続されている。
流出口52a側に冷媒が流れるようにすると、流出口52aから流出した冷媒は、冷蔵用キャピラリチューブ53a、R蒸発器14a、気液分離機54a、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。冷蔵用キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒がR蒸発器14aを流れることでR蒸発器14aが低温となり、R蒸発器室8aの空気を冷却することができ、すなわち冷蔵室2を冷却できる。
また三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合は、流出口52bから流出した冷媒は、冷凍用キャピラリチューブ53b、F蒸発器14b、気液分離機54b、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は気液分離機54bから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離機54b側へは流れないように配設している。冷凍用キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒がF蒸発器14bを流れることでF蒸発器14bが低温となり、R蒸発器室8aの空気を冷却することができ、すなわち冷凍室7を冷却できる。
図8は、実施例1の冷蔵庫における冷却運転制御を示すタイムチャートの一例である。ここでは庫内貯蔵室35はチルドモードとし、外気が比較的高温(例えば32℃)で、低湿でない(例えば60%RH)場合を表している。図9は実施例1の冷蔵庫における冷蔵運転に関する制御フローチャートである。
時刻t0は冷蔵室2を冷却する冷蔵運転を開始した時刻である。本実施例では冷凍運転が終了(制御S−1)し、後述する冷蔵運転実施判定(制御S−3〜S−5)、冷媒回収運転(制御S−6)を行った後、制御S−7に示す冷蔵運転を開始する。冷蔵運転では、三方弁52を流出口52a側にし、圧縮機24を駆動させてR蒸発器14aに冷媒を流して、R蒸発器14aを低温にする。この状態でRファン9aを運転することで、R蒸発器14aを通過して低温になった空気により冷蔵室2を冷却する。ここで、冷蔵運転中のR蒸発器14aの温度は、後述する冷凍運転中のF蒸発器14bよりも高くしている。一般的に蒸発器の温度が高い方が、COP(圧縮機24の入力に対する冷却する熱量の割合)が高く、省エネルギー性能が高い。従って、蒸発器の温度を低温にする必要がある冷凍室7に比べ、高い蒸発器の温度でも冷却できる冷蔵室2を冷却する際は、蒸発器の温度を高めて省エネルギー性能を高めている。なお、本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵運転中のR蒸発器14a温度が高くなるよう、冷蔵運転中の圧縮機24の回転速度を冷凍運転中よりも低速(L)にしている。
冷蔵運転により冷蔵室2が冷却され、冷蔵室温度センサ42により検知する冷蔵室温度がTRoffまで低下し(制御S−8;時刻t1)、冷凍運転実施条件(制御S−9)を満足すると、冷蔵運転から冷媒回収運転(制御S−10)に切換える。冷媒回収運転では三方弁52を全閉状態で圧縮機24を駆動させ、R蒸発器14a内の冷媒を回収する。これにより、次の冷凍運転での冷媒不足を抑制する。また、この冷凍運転前の冷媒回収中は、基本的に後述するR第一除霜運転(制御S−18)を行っており、すなわちRファン9aを駆動させている。これによりR蒸発器14a内の残留冷媒を冷蔵室2の冷却に活用できるとともに、R蒸発器14a内の冷媒が蒸発して圧縮機24へ到達しやすくなり、比較的短い時間で多くの冷媒を回収できるため、冷却効率を高めることができる。
冷媒回収運転が終わると(時刻t2)、冷凍室7を冷却する冷凍運転に切換える。冷凍運転では、三方弁52を流出口52b側にし、F蒸発器14bに冷媒を流して、F蒸発器14bを低温にする。また、圧縮機24の回転速度を冷蔵運転時よりも高速(H)にする。この状態でFファン9bを運転することで、F蒸発器14bを通過して低温になった空気により冷凍室7を冷却する。この冷凍運転を冷凍室温度センサ41により検出する冷凍室温度がTFoffになる(時刻t5)まで行う。また、冷凍運転中に野菜室ダンパ(図示せず)も開け、野菜室温度センサ43により検出する野菜室温度がTRoffになる(時刻t3)まで野菜室6を冷却する。
さらに、本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵運転終了後、R第一除霜運転実施判定(制御S−14、S−16)を満たすと、この冷媒回収及び冷凍運転中にR蒸発器14aの第一除霜運転(以下、R第一除霜運転、制御S−18〜S−20)を行う。R第一除霜運転は、Rファン9aを駆動させ、冷蔵室2の空気とR蒸発器14a間で空気を循環させることで行う。このR第一除霜運転は主に2つの目的で実施している。
1つ目の目的は、冷蔵運転中に低温になったR蒸発器14a及びR蒸発器14aに付着した霜による冷蔵室2の冷却、及びそれによる省エネルギー性能の向上である。冷媒回収運転及び冷凍運転中は、R蒸発器14aに冷媒が流せないが、R蒸発器14a及びR蒸発器14aに付着した霜により冷却することで、冷蔵室2を冷却できる。特にR蒸発器14aに付着した霜が0℃以下の場合、霜の融解熱を利用して冷蔵室2を冷却することができ、冷蔵室2を低温に維持する(温度上昇を抑制する)ことができる。冷蔵室2の温度上昇が抑制されることで冷凍運転を比較的長時間かけて実施できるので、冷凍運転中の圧縮機24の回転速度を比較的低速にでき、省エネルギー性能を向上させることができる。
2つ目の目的は、冷蔵室2内の温度分布の制御であり、特に庫内貯蔵室35の温度制御である。Rファン9aを運転させていないと、自然対流により冷蔵室2の上部が相対的に高温になり、下部が相対的に低温になる。加えて、特に庫内貯蔵室35は断熱仕切り壁28を介して冷凍室7に冷却されるため、冷蔵室2の下部に設けた庫内貯蔵室35は、Rファン9aを運転させていないと相対的に低温になる。よって、庫内貯蔵室35を低温にする氷温モードでは、R第一除霜運転を例えば3回に1回のみ実施するようにする(制御S−14〜S−16)。Rファン9aが停止し、自然対流が生じる時間が長くなるため、冷蔵室2内の平均温度よりも、冷蔵室2の下部に設けた庫内貯蔵室35を低温にすることができ、すなわち氷温モードの温度条件を満足できる。一方、庫内貯蔵室35を比較的高めのチルドモードにする場合は、冷蔵室2内の平均温度と近い温度にするため、冷蔵運転後、毎回R第一除霜を行い、すなわちRファン9aを運転させて、冷蔵室2の空気により庫内貯蔵室35を加熱する。これにより、断熱仕切り壁28内のヒータ(図示せず)による加熱を抑制しつつ、比較的高い温度に制御することができ省エネルギー性能を高めることができる。すなわち、専用のダンパを設けることなく、冷蔵室2の内部に設けた庫内貯蔵室35の温度切り替えが可能で、かつヒータによる加熱を抑え、省エネルギー性能の高い冷蔵庫となる。なお、チルドモードと氷温モードでR第一除霜運転を実施する頻度は上記(チルド時毎回、氷温時3回に1回)の限りではなく、氷温モードに比べチルドモードの方が高い頻度で実施することで上記の効果が得られる。また、本効果(冷蔵室2内の温度分布制御)はR蒸発器14aを備えた冷蔵庫に限定されるものではなく、例えばRファン9aの代わりに冷蔵室2内の空気を循環させる循環ファンを備え、この循環ファンを駆動させることでも同様の効果は得られる。一方、本実施例のようにR蒸発器14aを備え、R蒸発器14aと冷蔵室2間の送風を行うRファン9aで行うことで、R蒸発器14aおよびRファン9aを備えたことによる前述および後述の効果も得られる。
以上がR第一除霜運転の主な目的であるが、加えてこの運転によりR蒸発器14a及びその周辺の加熱を行うことができ、以下の効果も得られる。制御S−10、S−11で示す冷媒回収運転及び冷凍運転中は、R蒸発器14aに冷媒が流れないようにしているため、冷蔵室2の空気がR蒸発器14aを通過すると、R蒸発器14aよりも温度の高い冷蔵室2との熱交換によりR蒸発器14a及びR蒸発器14aに付着した霜は加熱される。これにより、ヒータを用いることなくR蒸発器14aに付着した霜を融解することができ、霜を排出し、または霜を一度融解し氷にして密度と熱伝導率を上げ、霜によるR蒸発器14aの通風抵抗増加及び伝熱効率低下を抑制できる。すなわち、冷却効率を上げ、省エネルギー性能を高めることができる。また、冷却運転中に霜の一部又は全部を排出しておくことで、後述するR第二除霜の時間を短縮する効果も得られる。
このR第一除霜運転は、冷蔵用蒸発器温度センサ40aにより検出する冷蔵用蒸発器温度が0℃以上のTDRoffになる(制御S−19;時刻t4)と終了(制御S−20)する。これは、R蒸発器14aの霜が解け、霜の融解熱を用いた冷蔵室2の冷却ができなくなり、Rファン9aを運転するための消費電力を抑える方が省エネルギー性能に有効であると判断したためである。なお、R第一除霜運転終了後も、冷蔵室2内の温度分布制御(2つ目の目的)のために、さらに延長してRファン9aを運転してもよい。特に庫内貯蔵室35専用の温度センサを備え、庫内貯蔵室35が目的の温度よりも低温になっていると判断した場合は、Rファン9aの運転を延長し、或いは再度駆動させ、冷蔵室2の戻り空気で加熱することで、断熱仕切り壁28内のヒータによる加熱を抑えながら庫内貯蔵室35を適正な温度に制御できる。
R第一除霜運転及び冷凍運転の何れも終了条件が満足すると(時刻t5)、再び三方弁52を全閉状態で圧縮機24を駆動させる冷媒回収運転(制御S―6)を行い、F蒸発器14b内の冷媒を回収し、次の冷蔵運転での冷媒不足を抑制する。なお、この際Fファン9bを駆動させており、これによりF蒸発器14b内の残留冷媒を冷凍室7の冷却に活用できるとともに、F蒸発器14b内の冷媒が蒸発して圧縮機24へ到達しやすくなり、比較的短い時間で多くの冷媒を回収できるため、冷却効率を高めることができる。
時刻t6になると再び冷蔵運転に戻り、前述した運転を繰り返す。以上が本実施例の冷蔵庫の基本的な冷却運転及びR蒸発器14aの第一除霜制御である。これらの運転により、冷蔵室2、冷凍室7及び野菜室6を冷却して所定の温度に維持しつつ、R蒸発器14aの霜成長を抑えている。
ここで、冷凍運転から冷蔵運転(正確には冷蔵運転前の冷媒回収)への切換え(時刻t5)には、条件を設けている。前述したように、本実施例では冷蔵運転に移行するが、冷蔵蔵運転開始前に制御S−3〜S−5の判定を行う。まずR第一除霜運転、及び図10以降で後述するR第二除霜運転の終了条件が満たされているかを判断する。R第一除霜運転、及びR第二除霜運転が終了する前に冷凍運転が終了した場合はR第一除霜運転及びR第二除霜運転を継続したまま圧縮機24をOFFにする(制御S−3又はS−4 → 制御S−9{冷凍運転終了時のためNO} → 制御S−13)。R第一除霜運転中はR蒸発器14aの温度が比較的低温(TDR<TDRoff)で冷蔵室2を冷却可能なため、圧縮機24を停止して省エネルギー性能を高めている。また後述するR第二除霜運転は、R蒸発器14aに付着した霜を庫外に排出することが目的のため、融解途中の除霜水が再び冷却されて再凍結することを抑えるため、R第二除霜運転中も、R蒸発器14aに冷媒を流す冷蔵運転は禁止している。これにより、R蒸発器14aの除霜をより確実に行うことができる。
また制御S−5に示すように、冷凍運転終了時(図8の時刻t5)に冷蔵室温度TRが所定値TR_start2(例えばTR_start2=TROFF+1℃)よりも低い場合も冷蔵運転を実施せず、圧縮機24をOFFにする。なお、同様に冷蔵運転終了時(図8の時刻t1)において冷凍室温度が所定値(例えばTFOFF+1℃)よりも低い場合も低い場合は圧縮機24をOFFにする。これにより、庫内の過度な冷却を抑えることができる。
なお、冷蔵運転の開始は、冷凍運転終了(制御S−1)のみでなく、圧縮機24停止中に冷蔵室温度TRがTR_start(≧TR_start2)に到達した場合(制御S−2)も実施する。これにより、冷凍室7が十分に冷えている場合に冷蔵室2が高温になることを抑制している。なお、図示はしていないが、同様に冷凍運転の開始も冷蔵運転終了時のみでなく、冷凍室7の温度が所定値以上になった場合にも冷凍運転を開始する。
次に本冷蔵庫の除霜制御について説明する。図10は、実施例1の冷蔵庫におけるRF除霜運転制御を示すタイムチャートの一例である。ここでは外気が比較的高温(例えば32℃)で、高湿でない(例えば60%RH)場合を表している。図11は実施例1の冷蔵庫におけるRF除霜運転に関する制御フローチャートである。このRF除霜運転とは、R蒸発器14aとF蒸発器14bの両方の除霜を行う運転である。
本実施例の冷蔵庫1では、図8、9で説明した冷却運転(制御S2−1)中に、例えばドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉回数、及び圧縮機24の合計駆動時間等から除霜運転の開始を判断する(制御S2−2)。開始条件を満足する(時刻td0)と、本実施例の冷蔵庫1では冷凍運転及びR第一除霜運転を行う(制御S2−3)。冷凍運転を行うことで、RF除霜運転中の冷凍室7の温度上昇による冷凍食品や氷等の融解を抑制する。また、この間にR第一除霜運転(Rファン9aをON)を行い、R蒸発器14a及びR蒸発器14aに付着した霜を加熱し、後述するR第二除霜運転が短時間で終わるようにしている。
この冷凍運転を所定の時間、例えば30分間行った後(時刻td1)、本実施例の冷蔵庫1は三方弁52を全閉、圧縮機24をOFF、冷蔵用ファン9aをON、冷凍用ファン9bをOFFとし、各ヒータ21,101,102,103をONとするRF除霜運転(制御S2−4)に移行する。RF除霜運転では制御S2−5からS2−8に示すF蒸発器14bの除霜運転(以下、F除霜運転)と制御S2−11からS2−20に示すR蒸発器14aの第二除霜運転(以下、R第二除霜運転)を行う。
まずF除霜運転に関する制御について説明する。圧縮機24とFファン9bをOFFとし、除霜ヒータ21をONにすることで、F蒸発器14b及びF蒸発器14bに付着した霜は除霜ヒータ21により加熱され、徐々に温度が上昇し、融解温度(0℃)以上になると、F蒸発器14bに付着した霜が融解する。冷凍用蒸発器温度センサ40bにより検出する冷凍用蒸発器温度が霜の融解温度よりも十分に高いTDF(例えば10℃)になる(制御S2−5;時刻td4)と、F除霜運転を終了し、除霜ヒータ21をOFF(制御S2−6)にする。これにより、F蒸発器14bの除霜を行う。F除霜運転終了後は、排水時間として例えば3分停止(制御S2−7)した後、冷凍運転(制御S2−8)を開始する。
次にR第二除霜運転に関する制御について説明する。この間のヒータの通電量は図14の表に示す。表中、OFFはヒータの通電無し、L,M,Hは通電ありで、通電量はL<M<Hである。ヒータの通電量は、例えば印加する電圧や、単位時間当たりの通電時間(デューティー比)を変えることで制御する。
図14の表に示すように、外気温度とF除霜の状態により変化させる。トイヒータ101、排水管上部ヒータ102、排水管下部ヒータ103とRファン9aと低い消費電力(例えば合計20W程度)でR蒸発器14aの除霜を行うR第二除霜運転は、除霜ヒータ21(例えば150W)で除霜を行うF除霜に比べ、省エネルギー性能に優れた除霜である。R第二除霜運転は、R第一除霜運転と同じく、Rファン9aを駆動させ、R蒸発器14aよりも温度の高い冷蔵室2との熱交換により、冷蔵室2を冷却しつつR蒸発器14a及びR蒸発器14aに付着した霜を加熱して除霜する。加えて、RF除霜運転中に行うR第二除霜運転では、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102、排水管下部ヒータ103をONにする(時刻td1)。なお、図14の表に示したようにF除霜中のトイヒータ101、排水管上部ヒータ102の通電量は外気温度によって変えている。これは、外気が低温(例えば5℃)の場合、冷蔵室2の温度が上がり難く、冷蔵室2の空気によるR蒸発器14aの加熱量が小さくなり易いため、トイヒータ101の通電量を外気高温時(例えば30℃)よりも増加させ、このトイヒータ101の発熱をRトイ23a、空気を介してR蒸発器14aの加熱に用いるためである。すなわちトイヒータ101をR蒸発器14aの加熱に利用する。また、排水管下部ヒータ103は外気の温度と湿度によって通電量を変える。排水管下部ヒータ103を設けた箇所は、図3を用いて示したように、外箱10aを介して外気により加熱でき凍結の可能性が低いため、ヒータの加熱を抑制して省エネルギー性能を高めている。一方、温度が比較的低い場合は外気による加熱が少ないため、排水管下部ヒータ103の加熱量を高め、確実に除霜水を排出できるようにしている。また、外気が高湿の場合も通電量を上げ、加熱量を高めている。図3を用いて前述したように、除霜時にはR排水管27aは約0℃の除霜水が流れることから、R排水管27aに近接した外箱10aは除霜水により冷却され、高湿時には露点温度よりも外箱10aの表面が低温になることが考えられる。従って、高湿時には排水管下部ヒータ103の通電量を高めて外箱10aの結露を抑制している。
R第二除霜を開始すると、まず冷蔵用蒸発器温度がTDR以上か否かを判断(制御S2−12)する。冷蔵用蒸発器温度TDRが0℃以上(例えば3℃)のTDRoff以上になる(時刻td7)と、タイマAにより所定時間Δtd1(例えば20分)を計測する(制御S2−13,14)。R第二除霜運転では、R蒸発器14aが0℃以上の状態で、さらにΔtd1動かすことで、確実にR蒸発器14aの霜の融解・排出が行えるようにしている。もし、着霜部をバイパスした空気により、まだ霜が残っている状況で冷蔵用蒸発器温度センサが温度上昇してしまっても、0℃以上の空気が、少なくともΔtd1以上、R蒸発器14a及びその周囲を流れるため、残霜が抑えられ、確実にR蒸発器14aの除霜を行うことができる。加えて、R蒸発器14aよりも下流側にあるRファン9aや冷蔵室ダクト11等にも0℃以上の空気を少なくともΔtd1以上送風できるため、これらの箇所に着霜が生じていた場合にもその霜を融解できる。特にRファン9aに霜成長が生じるとRファン9aが運転できず冷却制御に大きな影響を及ぼすため、R蒸発器14aよりも下流側にRファン9aを設けている本構成では、冷蔵用蒸発器温度が0℃以上のTDRoff以上になった後も所定時間駆動させ、Rファン9aの霜成長を抑制することが有効である。
冷蔵用蒸発器温度TDRがTDRoff以上となり、タイマAが所定時間Δtd1経過する(時刻td2)と、ヒータの停止制御へと移る。なお、本実施例では消費電力を抑えるため時刻td2でRファン9aをOFFにする。
まず、トイ温度センサ45により検出するトイ温度TGが0℃以上のTGoff(例えば2℃)以上であることを確認する(制御S2−15)。トイ温度TGがTGoff以上である、またはTGoff以上になると、次にタイマBにより所定時間Δtd2(例えば5分)を計測し(制御S2−16,17)、その後にトイヒータ101及び排水管上部ヒータ102をOFFにする(制御S2−16,17,18;時刻td8)。その後、タイマBがΔtd2よりも長い所定時間Δtd3(例えば10分)経過すると、排水管上部ヒータ103もOFFにする(制御S2−19,20)。少なくともトイ温度TGが0℃以上のTGoffになるまで加熱することで、R蒸発器14aからRトイ23aに滴下した除霜水の凍結を抑制し、また凍結した場合も融解させて排出できる。さらに、TGoff以上になった後もΔtd2継続するまでトイヒータ101及び排水管上部ヒータ102に通電し、加えてΔtd3経過するまで排水管下部ヒータ103に通電することで、除霜水がR排水管27aからR蒸発皿32aに排出、滴下するまでに時間遅れが生じても確実に排水できる。
以上の処理が終わるとR第二除霜運転が終了する(制御S2−20)。なお、F除霜運転中に説明したように冷却運転(冷凍運転;圧縮機24 ON)の再開は、F除霜のみによって判断する。R第二除霜運転中に冷却運転が再開した後も、R第二除霜運転が続いており、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102がまだ通電中の場合はこれらのヒータの通電量を高める(制御S2−9、10及び図14)。これにより、冷却運転が再開し、冷凍室7及びF蒸発器室8bが低温になり、Rトイ23a及びR排水管27aが冷却されるが、加熱量を増やすことで、Rトイ23a及びR排水管27aでの除霜水の凍結を抑制する。
以上が本実施例の冷蔵庫1の除霜制御である。
ここで、本実施例の冷蔵庫1では、R蒸発器14aの除霜運転を2種類設けている。すなわち、図8、図9で示した冷却運転制御中に実施するR第一除霜運転と、図10、図11で示したRF除霜運転中に実施するR第二除霜運転を設けている。
冷却運転中に行うR第一除霜運転は、図8、図9を用いて説明したように、冷蔵室2の温度制御と、省エネルギー性能向上を主な目的としており、必ずしも全ての霜を融解する必要はないため、冷蔵用蒸発器温度TDRが0℃以上(例えば3℃)のTDRoff以上になればR第一除霜運転を終了させている。
一方、R第二除霜運転はR蒸発器14a及びその周囲の霜の融解・排出を目的しているため、冷蔵用蒸発器温度TDRが0℃以上(例えば3℃)のTDRoff以上となった後も、さらにRファン9aをΔtd1駆動させることで、R蒸発器14aの霜を確実に融解することができ、R蒸発器14aの霜成長による冷却性能の低下を抑制できる。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1では、R第一除霜運転とR第二除霜運転を備え、R第二除霜運転ではR第一除霜運転よりも長時間除霜運転を実施している。R第一除霜運転により冷却運転の効率を上げつつ、R第二除霜運転では冷蔵用蒸発器温度TDRが0℃以上になった後、さらに所定時間Rファン9aを駆動させることで、R蒸発器14a及びその周囲の霜を確実に除霜できるようにしている。
また、R第二除霜運転はF除霜とあわせて実施している。図9で説明したように、R第二除霜運転中は冷蔵運転を行わないようにしているが、RF除霜運転中及びその前後の時間(図10、図11に示したtd0〜td4)は、冷凍室7の温度制御を優先するため、R第二除霜運転の実施有無によらず冷蔵運転が行えない。F除霜運転中に冷蔵運転を実施することも考えられるが、除霜ヒータ21に高い消費電力を要すため、本実施例では圧縮機24と除霜ヒータ21を同時に通電しないようにしている。従って、この冷蔵運転が行えない区間を利用してR第一除霜よりも長時間冷蔵運転を禁止するR第二除霜運転を行うことで、霜を確実に排出しつつ、冷蔵室2の温度制御への影響を最小限に抑えることができる。
またヒータ制御も、主にR第二除霜運転で行うことで省エネルギー効果を高めている。冷却運転中に行うR第一除霜運転は、図8で示したように冷凍室7及びF蒸発器室8bが低温の状態で行う。図3に示すR排水管27aの上部及びRトイ23aは、近接している冷凍室7及びF蒸発器室8bと熱交換が生じる。従って、R第一除霜運転中にトイヒータ101、排水管上部ヒータ102を加熱しても、冷凍室7及びF蒸発器室8bを加熱することになる。また、冷凍室7及びF蒸発器室8bにより冷却されるためにRトイ23a及びR排水管27aの温度も上昇し難くなるため、加熱量をR第二除霜運転よりも多くする必要がある。従って、R第一除霜運転中にトイヒータ101、排水管上部ヒータ102に通電すると、Rトイ23a及びR排水管27aを0℃以上まで加熱するために必要なヒータの消費電力が多く、加えて冷凍室7及びF蒸発器室8bを加熱することになるため、冷凍運転で冷却する熱量も増加するため、省エネルギー性能が低下する。
一方、R第二除霜運転は、RF除霜運転中に行うため、図10に示すように冷凍室7及びF蒸発器室8bの冷却が抑えられており、加えてF蒸発器14bを0℃以上まで加熱するため、特にF蒸発器室8bは高温となっている。Rトイ23a及びR排水管27aに対する冷凍室7及びF蒸発器室8bによる冷却が抑えられるため、少ない加熱量でRトイ23a及びR排水管27aの温度を0℃以上とし、すなわちRトイ23a及びR排水管27aの温度にて凍結した除霜水を融解させ、排出できる。従って、R第二除霜運転中にトイヒータ101、排水管上部ヒータ102に加熱することで、消費電力量を抑えながら、確実に除霜水の排出を行うことができる。
また、R第一除霜運転は冷却運転中に行い、例えば本実施例では約80分毎に1回と高頻度で行うのに対し、R第二除霜運転はRF除霜運転中に行うため、12時間〜数日に1回と頻度は少ない。トイヒータ101、排水管上部ヒータ102を加熱してRトイ23a及びR排水管27aにて凍結した除霜水を融解させる場合、この除霜水の融解に用いる熱量に加え、冷凍室7及びF蒸発器室8bにより低温になったRトイ23a、R排水管27aを0℃以上まで加熱するための熱量が必要になる。従って、融解させる頻度が多くなればRトイ23a、R排水管27aを0℃以上まで加熱する頻度も増え、加熱に用いる熱量も増加する。従って、除霜水を融解させる頻度を少なくし、R第二除霜運転でトイヒータ101、排水管上部ヒータ102に集中して加熱して除霜水を排出することで、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102の加熱時間を抑え、消費電力量を低減できる。
以上のように、冷却運転制御中に実施するR第一除霜運転とRF除霜運転中に実施するR第二除霜運転とでヒータの通電制御を変え、主にR第二除霜運転中にトイヒータ101、排水管上部ヒータ102に通電することで、確実に除霜水の排出を行いながら、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得られる。
また本実施例では、Rトイ23a、及びR排水管27aの上部(排水管上部ヒータ102配設部)は、共に冷凍室7、F蒸発器室8b等の冷蔵庫1庫内により冷却されるため、加熱が必要な条件は同等であり、同時(共にR第二除霜運転時)に加熱するようにしている。このため本実施例では、図5に示したように、トイヒータ101と排水管上部ヒータ102を制御するピンを何れもP2,P4とし、共通化させている。これにより、ピン数を抑制して制御基板31のコストを低減しつつ、上述した効果を得ることができる。なお、R第二除霜時に実施することから、除霜ヒータ21と共通の制御ピンを用いることでさらにピン数を低減できる。但し、本実施例のように別の制御ピンを用い、図11に示したようにR蒸発器温度センサ40a、トイ温度センサ45等と連動させて終了させる制御にすることで、確実に除霜・排水を行いつつ、F除霜とR第二除霜の夫々の終了タイミングを自由に制御できるため不要な加熱が抑えられる。すなわち本実施例の方が、より省エネルギー性能を高めることができる。
一方、R排水管27aの下部(排水管下部ヒータ103を設けた箇所)は、外気により加熱されるため、排水管下部ヒータ103は、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102と異なる条件で通電することがあるため、排水管下部ヒータ103は独立して制御することが効果的である。
図14の表には、本実施例の冷却運転中の排水管下部ヒータ103の通電制御もまとめているが、本実施例の排水管下部ヒータ103は、湿度が比較的低い場合はOFFとするが、排水管下部ヒータ103は、外気が高湿の場合(例えば相対湿度80%)も通電する、或いは通電量を上げる。前述したように、除霜時にはR排水管27aは約0℃の除霜水が流れることから、R排水管27aに近接した外箱10aは除霜水により冷却され、高湿時には露点温度よりも外箱10aの表面が低温になる可能性があるため、排水管下部ヒータ103に通電して外箱10aの結露を抑制する。この現象はR第一除霜時とR第二除霜時のいずれの場合も生じる可能性があることから、湿度が高い場合はR第二除霜運転中と冷却運転中(R第一除霜含む)のいずれの場合も排水管下部ヒータ103に通電することで、より確実に外箱10aの結露を抑制している。
このように、主に冷蔵庫1庫内により冷却されるRトイ23a、R排水管27a上部に設けたトイヒータ101、排水管上部ヒータ102と、主に外気により加熱されるR排水管27aの下部に設けた排水管下部ヒータ103は加熱を行う条件、及び加熱量を変化させる条件がそれぞれ異なることから、異なる制御ピンを用いてそれぞれ独立して制御できるようにしている。これにより、それぞれに応じた条件でヒータの通電を制御することができ、確実に除霜水の排出を行いつつ、不要なヒータの加熱を抑制し、省エネルギー性能を向上させることができる。特にトイヒータ101は、ヒータ101〜103の中で最も消費電力が高いことから、排水管下部ヒータ103と独立して制御することが省エネルギー性能向上に有効である。
加えて、本実施例の冷蔵庫1では、R蒸発器14aの排水をより確実に行いながら、過度にR第二除霜運転が長くなることを抑制するために、以下で示す制御も備えている。
1つ目として、R第二除霜中はその時間を計測し、この時間が異常に長い場合はトイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103の通電量を増加させる制御を備えている。R第二除霜開始時にタイマC(制御S2−11)をスタートさせ、このタイマCが所定の時間(例えば2時間)継続した場合は、R蒸発器温度センサ40aにより検知するR蒸発器14aの温度が低温(制御S2−12;TDR<TDRoff)、またはトイ温度センサ45により検知するRトイ23aが低温(制御S2−15;TG<TGoff)の状態が長時間続いている条件のため、R蒸発器14aの加熱量が不足している、またはRトイ23aに残水又は残氷していると推定できる。これに対し、トイヒータ101の通電量を増加させることで、Rトイ23a、空気を介してR蒸発器14aの加熱を補助し、確実に除霜できるようにしている。また、Rトイ23aに残水又は残氷が生じる要因は、Rトイ23a、R排水管27aの何れかで氷結が生じ、排水できなくなったためと考え、トイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103の通電量を増加させ、Rトイ23a、R排水管27aの氷を融解させることで確実に排水できるようにしている。すなわち、R蒸発器温度センサ40a、トイ温度センサ45を用いて、トイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103の通電量を制御することで、R第二除霜運転終了までに要する時間を短縮(図11の制御S2−12及びS2−15を満足するまでの時間を短縮)しつつ、より確実に除霜及び排水ができるようにしている。
2つ目として、冷却運転中にトイ温度センサ45を用い、Rトイ23aに多量の水が溜まっていると予測される際にトイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103の通電を行う制御を備えている。図12は冷却運転中に行うヒータ制御フローチャートである。なお、この時の庫内貯蔵室35の設定はチルドモードとしている。除霜運転から冷却運転に切換え、冷却運転を開始する(制御S3−1)と、まずタイマDをスタートさせ(制御S3−2)、トイ温度センサ45により検知するRトイ23aの温度TGが0℃以上(例えば1℃)のTG_CR以上になる(制御S3−4)までの時間を計測する。冷却運転中も、R第一除霜運転を行っているため、冷蔵室2の0℃以上の戻り空気がRトイ23aの付近を流れてRトイ23aが加熱され、トイ温度センサ45により検知するRトイ23aの温度TGは0℃以上のTG_CRまで到達する。一方、Rトイ23aに多量の水が残り、その水が凍結していると、融解に時間を要すためR第一除霜運転中にトイ温度センサ45の温度が上がり難くなる。すなわちRトイ23aの温度が融解温度(0℃)以上のTG_CRに到達するのに長時間を要す場合は、Rトイ23aに多量の水(氷)が残っていると考えられる。従って、TGがTG_CR以上になると、Rトイ23aに多量の水が溜まっていないと判断し、タイマDをリセットし、ヒータ101,102,103をOFFとする(制御S3−5)が、Rトイ23aの温度がTG_CR未満でタイマDがΔt4(例えば12時間)以上になる(制御S3−6がYES)と、Rトイ23aにて多量の水が氷結している恐れがあるため、トイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103に通電し(制御S3−7)、Rトイ23aの水の融解及び排水を行う。予めRトイ23aの水の融解及び排水を行っておくことで、過度にR第二除霜運転が長くなる(図11の制御S2−15を満足するまでの時間が長くなる)ことを抑制しつつ、確実に排水できるようにしている。なお、このタイマDがΔt4になった際に、上記したヒータの通電のほかに、例えば操作部26に残水検知を表示してもよい。本実施例の冷蔵庫1では、冷蔵室戻り口15a及び15bにスリットを設け、排水口22a及びR配水管27aでの食品のつまりを防止しているが、例えばスリットを設けていない冷蔵庫で、排水口22aにものが詰まりRトイ23aに残水が生じる可能性がある場合は、ユーザ又はサポートに残水検知を表示することで、早期に排水口22aを確認し、大きな不具合が生じる前に対応できる。
なお、上記は庫内貯蔵室35の設定がチルドモード時の制御で、本実施例の冷蔵庫1では庫内貯蔵室35の設定を氷温モードにした際は、トイヒータ101を用いた制御を行う。
図13a,図13bは実施例1の冷蔵庫における氷温設定時の冷却運転中のヒータ制御を示すタイムチャートの一例であり、図13aはRトイ23a内の水量が少ない場合、図13bはRトイ23a内に水量が多くある場合である。
図9を用いて前述したように、庫内貯蔵室35の設定が氷温モード時はチルドモード時に比べてR第一除霜の頻度を減らしており、冷却運転中のR第一除霜運転を用いたRトイ23aによる水量検知を行う頻度も少なくなるため、トイヒータ101に通電することで水量検知を行う。
まず図13aの水量が少ない場合について説明する。図12で示した場合と同様に、トイ温度センサ45により検知するRトイ23aの温度TGがTG_CRを下回る(時刻t11)とタイマDがリセットされずにカウントを行う。次にRトイ23aの温度TGが0℃以下のTG_L(例えば−2℃)になる(時刻t12)と、トイヒータ101に通電し、Rトイ23aを加熱し、Rトイ23aの温度上昇を確認する。なお、この通電は温度上昇を確認するもののため、通電量は低く抑えている。水量が少ない図13aでは、加熱対象の熱容量が少ないため、比較的短い時間でRトイ23aの温度TGがTG_CRになり(時刻t13)、タイマDをリセットする。その後、TG_CRよりも高温のTG_Hになる(時刻t14)と、過度な加熱を抑えるためトイヒータ101をOFFにする。なお、タイマDがリセットされる前にトイヒータ101をOFFにしないようTG_HはTG_CR以上にしている。
次に図13bの水量が多い場合について説明する。図13aと同様にトイ温度センサ45により検知するRトイ23aの温度TGがTG_CRを下回る(時刻t21)とタイマDのカウントを開始し、Rトイ23aの温度TGが低温のTG_Lになる(時刻t22)と、トイヒータ101に通電する。ここで、Rトイ23aの水量が多く、かつ0℃以下のTG_L以下になっていることから、その多量の水の一部又は全部が凍結しており、融解に時間を要す。従って、図12と同様、Rトイ23aの温度がTG_CR未満の時間(タイマD)がΔt4以上になる(時刻t23)と、Rトイ23aにて多量の水が氷結している恐れがあるため、トイヒータ101、配水管上部ヒータ102、及び配水管下部ヒータ103に通電する、または通電量を増加させ、Rトイ23aの水の融解及び排水を行う。すなわち、図12で示した効果が得られる。
なお、本実施例では、タイマDのカウント、リセットをTG_CRのみで行っているが、例えばトイヒータ101に通電するTG_L以下になるタイミング(時刻t12、t22)からカウントを開始し、TG_CRに到達するとカウントをリセットし、再びTG_Lに到達するまでタイマDを停止するようにしてもよい。この場合、トイヒータ101に通電しない状態で推移しながら、タイマDがΔt4以上になることを抑制できる。一方、本実施例のようにすることで比較的制御プログラムを簡潔にできる。
また、本実施例では庫内貯蔵室35の設定により、冷却運転中のトイヒータ101の通電制御を行うようにしているが、例えばチルドモードでもR第一除霜が長時間行われない場合(外気が低温で冷蔵運転が行われない場合等)はこのトイヒータ101の通電制御を行ってもよい。一方、本実施例のように、極力R第一除霜により水量検知を行うようにすることで、ヒータに要する消費電力量を抑え、省エネルギー性能を向上させることができる。
ここで、庫内貯蔵室35の夫々のモードにおける制御と、夫々の効果を示す。図15は実施例1における庫内貯蔵室35の夫々のモードにおける制御をまとめたものである。
図9を用いて説明したように、チルドモードに比べ、氷温モードの方がR第一除霜の頻度を減らすことで、自然対流により冷蔵室2内下部が低温になるようにして、冷蔵室2下部に設けた庫内貯蔵室35の温度を冷蔵室2よりも低温にしている。一方、チルドモード時は、R第一除霜の頻度を高め、Rファン9aの運転率を高めて、冷蔵室2内の空気により加熱する(冷蔵室2との温度差を減らす)ことで、庫内貯蔵室35が過度に低温になることを防止している。
さらに、本実施例の冷蔵庫1では、チルドモードに比べ、氷温モードの方が冷蔵運転中の圧縮機24を高速(H)で駆動させている。冷蔵運転中に圧縮機24を高速、Rファン9aを低速で駆動させると、R蒸発器14aの温度が低下する。庫内貯蔵室35はR蒸発器14aの近傍で略前方にあり(図2参照)、Rファン9aを介すことなくR蒸発器14aに冷却されるため、R蒸発器14aを低温にすることで、冷蔵室2全体の冷却を抑えながら、庫内貯蔵室35を低温にできる。さらに圧縮機24を高速にし、時間当たりの冷却量を高めることで、冷蔵運転時間を短時間にできる。冷蔵運転の時間を短くすることで、Rファン9aが駆動する時間割合を少なくできるため、前述したR第一除霜の頻度を減らす効果と同様、自然対流により冷蔵室2内下部を低温にすることができ、すなわち庫内貯蔵室35の温度を冷蔵室2よりも低温にできる。一方、チルドモード時は圧縮機24を低速(L)、Rファン9aを高速(H)にすることでR蒸発器14aの温度を高くしてCOPを高め、またRファン9aが駆動する時間割合(運転率)を多くすることで庫内貯蔵室35の温度を高められ、すなわちヒータ加熱を抑えられ、省エネルギー性能を高めることができる。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1では、専用のダンパを設けることなく、冷蔵室2の内部に設けた庫内貯蔵室35の温度切り替えが可能で、かつヒータによる加熱を抑え、省エネルギー性能の高い冷蔵庫となっている。
また、図13a、図13bを用いて説明したように、R第一除霜の頻度が少ない氷温モードでは、冷却運転中のトイヒータ101の通電制御を行う。すなわち、R蒸発器14aを備え、Rトイ23aを備える冷蔵庫において、チルド設定時及び氷温設定時のいずれの場合もRトイ23aの水量検知ができるようにしている。
以上が、本実施の形態例を示す実施例である。なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。