JP6893303B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Description

本開示は、電子レンジ等の高周波加熱装置に関する。本開示は、特に、加熱室と扉との間から外部に漏洩する電波(特に高周波であるマイクロ波)を遮蔽するための電波遮蔽構成を有する高周波加熱装置に関する。
電子レンジにおいて、外部へ漏洩される電波の基本的な遮蔽方法は、λ/4インピーダンス反転方法である。この方法では、扉にチョーク溝が形成される。
まず、第1の従来例について、図面を用いて説明する。図24は、従来の高周波加熱装置の一例(第1の従来例)である電子レンジ101の外観を示す斜視図、図25は、図24の電子レンジ101における加熱室103と扉102との間に配置される電波遮蔽部の25−25線分における断面図である。
図24において、電子レンジ101の内部には、開口部104を有する加熱室103が設けられている。開口部104は、扉102によって覆われる。加熱室103の内部に供給された高周波の一部が電子レンジの外部に漏洩するのを防止するため、電子レンジ101には、図25のように、電波遮蔽部としてチョーク溝108が構成されている。
図25に示すように、加熱室103の開口部104の外周で扉102と対向する開口部周縁部(周縁面)105と、扉102との間には、隙間106が存在する。高周波は、隙間106を通って、図25の右側から左側(z方向)へと漏洩しようとする。そこで、高周波が漏洩するのを防止するため、扉102には、導体107で形成されたチョーク溝108が設けられている。
チョーク溝108の深さLが、電子レンジ101で用いられる高周波の周波数における波長λの1/4(一般的な電子レンジ101の場合、使用される高周波の周波数は2.45GHzであるので、λ/4=約31mmである)になるよう構成されることで、チョーク溝108の入口である開孔109からチョーク溝108の中を見たインピーダンスZinは無限大となる。この結果、z方向へ漏洩する高周波を減衰させることができる(例えば、特許文献1参照)。
上記構成においては、チョーク溝108の開孔109は、開口部周縁部105と対向するよう構成される。図25の構成では、チョーク溝108の深さLが高周波の波長λの1/4となるよう構成されるため、扉102の厚みを高周波の波長λの1/4より小さくすることが難しい。この結果、電子レンジ101の小型化が阻害される。
チョーク溝108の深さLを小さくするために、図26(第2の従来例)、図27(第3の従来例)に示す構成が提案されている。図26及び図27に示すように、チョーク溝108a,108bは、断面において、チョーク溝108a,108bの一部が屈曲するよう構成される。これにより、扉の厚みを波長λの1/4より小さくすることができる。このように、チョーク溝による高周波の遮蔽性能を維持しつつ、電子レンジ101の小型化を図ることが検討されている。
図26及び図27に示された構成における高周波の遮蔽原理は、開孔109からチョーク溝108a,108bの中を見たインピーダンスZinを無限大にすることで、z方向へ漏洩する高周波を減衰させるものであり、図25の構成における遮蔽原理と同様である。
図26に示す構成において、チョーク溝108aは、1枚の導体110が5回折り曲げられて形成される。これにより、チョーク溝108aは、1枚の導体110を折り曲げるだけで形成することができるため、量産しやすく、多くの電子レンジに採用されている。
また、図27に示す構成において、チョーク溝108bは、凹状導体111及びL字状導体112の2枚の導体が接合されることで、チョーク溝が開孔109に対して加熱室103側に屈曲するよう構成されている。
この構成では、図25の構成と同様に、開口部周縁部105と対向する必要がある部位は、チョーク溝108の入口である開孔109、及び隙間106のみである。従って、図27に示すようにチョーク溝108bを屈曲させて構成しても、開口部周縁部105の幅(z方向)を大きく構成する必要はない。
また、図28(第4の従来例)に示すように、扉102の一部を加熱室103側に突出させた凸部116が構成された場合には、加熱室103の内壁面117に沿って高周波伝播経路118が形成される。このような構成によって、電磁波遮蔽性能を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図28に示す構成においては、チョーク溝114は、1枚の導体113が4回折り曲げられて形成される。さらに、扉102の加熱室103側の内壁115には、加熱室103側に突き出す凸部116が形成されている。これによって、扉102を閉めた状態において、凸部116と内壁面117との間に、高周波伝播経路118が形成される。高周波伝播経路118は、高周波がチョーク溝114に入る手前に形成されており、高周波は、高周波伝播経路118を通ることで減衰させられる。
加熱室103内から隙間106に入った高周波は、隙間106を伝播することでその位相が変化する。そして、波長λの1/4だけ進んだ地点で、位相が反転させられる。
よって、隙間106の加熱室103側の入口とチョーク溝114の開孔109との間の距離が、波長λの1/4に近いほど、インピーダンス差が大きくなり、高周波の漏洩を低減することが可能となる。
この構成により、チョーク溝114の性能のみに遮蔽性能が依存しなくても済み、漏波を低減することができる。
また、特許文献3及び特許文献4も同様に、扉の内側に凸部が形成された構成を開示する。凸部を有するこれらの構成においては、高周波伝播経路118が加熱室内壁面117に形成されるので、隙間106の長さを小さく構成することができる。従って、開口部周縁部105の幅を小さくできる。すなわち、電子レンジ101の壁の厚さを薄くできる。これにより、加熱室103の容量を同じにしつつ電子レンジの本体を小型化でき、又は、本体の大きさを同じにしつつ加熱室103の容量を大きくしたりできる。
また、図27に示すチョーク溝108bは、チョーク溝108bが屈曲するよう構成されているので、扉の厚みを小さく構成することができる。また、チョーク溝108bは、加熱室103側に屈曲していることから、屈曲した先端部分と開口部周縁部105との間に隙間106が形成される。従って、加熱室103と反対側に屈曲する場合(図26)と比較して、開口部周縁部105のz方向の寸法も小さく構成することができる。
なお、図27において、L字状導体112は、扉102を閉めた状態において加熱室103の内面の一部を構成しており、実質的に平面に近い形状に形成される。また、重量又はコストによる制限から、L字状導体112の板厚は厚くできないことがある。そのため、L字状導体112と凹状導体111との接合の際に、溶接又はカシメ等による応力がL字状導体112にかかることで、L字状導体112が反ったり、又は波打ったりし易くなる。従って、電子レンジの製造時の組立バラツキが大きくなり、又は見た目が悪くなる。
一方、図28に示す構成は、開口部周縁部105と導体113との隙間を短くできるので、その分開口部周縁部105幅を小さくできる。しかし、チョーク溝114が加熱室3の外側に屈曲しているので、チョーク溝114の幅全体と、開口部周縁部105とが対向する必要がある。従って、開口部周縁部105をさらに短くすることはできない。
また、引用文献1〜4に記載のチョーク溝は、チョーク溝を構成する導体のx方向(チョーク溝の長手方向)に対して、周期的に複数のスリットが施されている。これによって、x方向への高周波の伝播が低減される。x方向への高周波の伝播が低減されることで、開口部周縁部のコーナ部において、各辺の長手方向から伝播してきた高周波が干渉し合うことでコーナ部からの漏波が増大することが抑制される。
なお、上記従来技術に関連する文献として、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特特許文献11が挙げられる。
特開平6−132078号公報 日本国特許第4647548号公報 特開昭62−5595号公報 実公昭51−9083号公報 特開昭58−066285号公報 特開昭58−066287号公報 特開昭58−066288号公報 特開昭58−150292号公報 特開昭58−194290号公報 特開昭58−201289号公報 特開昭58−201290号公報
本開示は、上記従来の課題を解決するもので、高い電波遮蔽性能を有する高周波波加熱装置を提供するものである。
具体的には、本開示の実施の形態の一例による高周波加熱装置は、開口部を有する加熱室と、開口部の周縁に位置する開口周縁部と、開口部及び開口周縁部を覆う扉と、加熱室に供給される高周波を発生する高周波発生部と、扉の開口周縁部に対向する位置に設けられ、導体により区画されて構成されるとともに、開口周縁部と対向して設けられた開孔を有するチョーク溝と、を備え、チョーク溝は、開口周縁部を構成する面に対して垂直方向に形成され、チョーク溝の長手方向に並んだ複数のスリットと、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットをスリットの長手方向において分断するよう配置された分断部と、を有する。
図1は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の扉を開けた状態の斜視図である。 図2は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の扉を閉めた状態の縦断面図である。 図3は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面図である。 図4は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。 図5は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波漏洩特性図である。 図6は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の接合部を変更した電波遮蔽部の部分断面図である。 図7は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットの部分断面斜視図である。 図8は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットの部分断面斜視図である。 図9は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部のスリット及びブリッジの部分断面斜視図である。 図10は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットおよびブリッジの部分断面斜視図である。 図11は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットおよびブリッジの部分断面斜視図である。 図12は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置のチョーク溝形状を変更した電波遮蔽部の部分断面図である。 図13は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の共振空間の位置関係を変更した電波遮蔽部の部分断面図である。 図14は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の共振空間の位置関係を変更した電波遮蔽部の部分断面図である。 図15は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。 図16は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。 図17は、本開示の実施の形態2における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。 図18は、本開示の実施の形態3における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。 図19は、本開示の実施の形態4における高周波加熱装置の電波遮蔽部を示す部分断面図である。 図20は、本開示の実施の形態5における高周波加熱装置の電波遮蔽部を示す部分断面図である。 図21は、本開示の実施の形態5における高周波加熱装置の電波遮蔽部に伝搬する高周波の概念図である。 図22は、本開示の実施の形態5における高周波加熱装置の電波遮蔽部を示す部分断面図である。 図23は、本開示の実施の形態5における凸部と加熱室内壁との相対形状を示す概念図である。 図24は、第1の従来例の高周波加熱装置の外観を示す斜視図である。 図25は、第1の従来例の高周波加熱装置における24の25−25線分における断面図である。 図26は、第2の従来例の高周波加熱装置における電波遮蔽部の部分断面図である。 図27は、第3の従来例の高周波加熱装置における電波遮蔽部の部分断面図である。 図28は、第4の従来例の高周波加熱装置における電波遮蔽部の部分断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、電波遮蔽部の電波遮蔽性能をさらに向上させるため、鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
特許文献1〜4に記載の従来のチョーク構成は、一定の周期で複数のスリットを設ける構成を開示するが、いずれの文献も、スリットの形状及び位置などについての詳細構成を開示しない。
また、上記従来の構成では、チョーク溝にスリットが形成されることで、x方向の伝播を低減する効果があるものの、スリットがあることでx方向以外へ伝播する高周波の一部がスリットから漏波される場合がある。
また、上記従来の構成では、スリットが、チョーク溝を形成する導体のうち加熱室外側の部分にのみ設けられることから、x方向への伝播を十分に低減することができない場合がある。
また、スリットが形成されることで、チョーク溝構造の機械的強度が低下するという問題を有している。
また、スリットの長軸の長さなどのスリット形状によっては、高周波の一部がスリット部から外部へ漏洩するという問題を有している。
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明をするに至った。
本開示にかかる第1の態様の高周波加熱装置は、開口部を有する加熱室と、開口部の周縁に位置する開口周縁部と、開口部及び開口周縁部を覆う扉と、加熱室に供給される高周波を発生する高周波発生部と、扉の開口周縁部に対向する位置に設けられ、導体により区画されて構成されるとともに、開口周縁部と対向して設けられた開孔を有するチョーク溝と、を備え、チョーク溝は、開口周縁部を構成する面に対して垂直方向に形成され、チョーク溝の長手方向に並んだ複数のスリットと、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットをスリットの長軸方向において分断するよう配置された分断部と、を有する。
このような構成により、スリットの長軸の長さを短くすることで、スリットの効果としてチョーク溝の長手方向への高周波の伝播が抑制されるとともに、分断部を有することでスリットから外部へ漏洩する高周波量を低減することが可能となり、チョーク溝の遮蔽性能を高めることができる。
本開示にかかる第2の態様の高周波加熱装置は、第1の態様の高周波加熱装置において、分断部は、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの長軸方向における中央部分に配置されるよう構成されてもよい。
このような構成により、1つのブリッジによってスリットの長軸の長さを最小化することができる。従って、スリットの長軸の長さがモノづくり上の寸法バラツキにより変化する場合においても、チョーク溝の長手方向への高周波の伝播が抑えられるというスリットの効果と、スリットからの高周波の漏洩を抑えられるという分断部の効果との両方を、簡素な構成で最大化することが可能となる。
本開示にかかる第3の態様の高周波加熱装置は、第1の態様の高周波加熱装置において、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットは、分断部が配置されることで、スリットの連続するスリット部分の長さが30mm以下となるよう構成されてもよい。
このような構成により、スリットの長軸の長さが、一般的な高周波加熱装置で使用される高周波(2.45GHz)の波長の1/4以下に構成されるため、スリットからの高周波の漏洩を効果的に減少させることが可能となる。
本開示にかかる第4の態様の高周波加熱装置は、第1の態様の高周波加熱装置において、分断部は、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの開口周縁部側の端部から5mm以上離れた位置に配置されてもよい。
このような構成により、スリット上又はスリット内にチョークカバーが設けられた場合においても、チョークカバーと分断部とが干渉することを回避できる。
本開示にかかる第5の態様の高周波加熱装置は、第1の態様の高周波加熱装置において、複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットには、分断部が複数配置されてもよい。
このような構成により、加熱室内の定在波分布などによりチョーク溝の一部に局所的に高周波の集中が生じる場合であっても、スリット部分からの漏波を減少させることが可能となる。
本開示にかかる第6の態様の高周波加熱装置は、第1の態様の高周波加熱装置において、チョーク溝は、開孔の周囲からチョーク溝の溝底方向に延びるとともに、互いに対向する内側壁であって、開孔に対して、加熱室の室内側に設けられた第1の内側壁、及び加熱室の室外側に設けられた第2の内側壁と、を有し、複数のスリットとして、第1の内側壁には第1のスリットが設けられ、第2の内側壁には第2のスリットが設けられてもよい。
このような構成により、チョーク溝を構成する導体の対向面どちらか一方にのみスリットが設けられる構成と比較して、チョーク溝の長手方向のインピーダンス変化をより大きくすることができ、チョーク溝の遮蔽性能を高めることができる。
本開示にかかる第7の態様の高周波加熱装置は、第6の態様の高周波加熱装置において、第1のスリット及び第2のスリットは互いに対向するよう構成されてもよい。
このような構成により、スリットが対向している箇所において、チョーク溝を構成する導体間の距離を大きく構成でき、また、導体間の対向面積を減少させることができる。従って、チョーク溝の長手方向のインピーダンス変化を顕著に大きくすることができるので、チョーク構成の遮蔽性能を高めることができる。
本開示にかかる第8の態様の高周波加熱装置は、第6の態様の高周波加熱装置において、第1のスリット及び第2のスリットは、少なくとも一箇所で、互いに対向しないよう構成されてもよい。
このような構成により、導体が対向していない箇所において、チョーク溝の長手方向へ伝搬する高周波を断ち切ることができるので、チョーク溝の遮蔽性能を高めることができる。
本開示にかかる第9の態様の高周波加熱装置は、第6の態様の高周波加熱装置において、チョーク溝は、開孔に対して、加熱室の室内側に形成された第1の共振空間、及び加熱室の室外側に形成された第2の共振空間と、を有し、第1の内側壁の高さ及び第2の内側壁の高さは互いに異なるよう構成されてもよい。
このような構成により、簡単な構成によって各共振空間で共振する周波数を互いに異ならせることができるため、チョーク溝における広帯域な漏洩電波遮蔽性能を実現することができる。
以下、本開示に係る高周波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態の高周波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本開示の高周波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などの高周波加熱装置を含むものである。また、本開示は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本開示に含まれる。
(実施の形態1)
図1〜図8は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置1の説明図である。図1は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の扉5を開けた状態の斜視図、図2は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の扉5を閉めた状態の縦断面図、図3は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部30を示す部分断面図、図4は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部30の部分断面斜視図、図5は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置の漏波特性図、図6は、本開示の実施の形態1における高周波加熱装置1の接合部を変更した電波遮蔽部30の部分断面図、図7は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットの部分断面斜視図、図8は、本開示の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットの部分断面斜視図である。
以後の説明では、加熱室3の開口部4が形成された側を高周波加熱装置1の前方側とし、加熱室3の奥側を高周波加熱装置1の後方側(奥側)とそれぞれ定義する。また、高周波加熱装置1を前方から見た高周波加熱装置1の右側を単に右側と称し、高周波加熱装置1を前方から見た高周波加熱装置1の左側を単に左側と称する。
本実施の形態の高周波加熱装置である電子レンジについて、図1〜図8を参照しつつ説明する。
電子レンジ1は、高周波加熱装置の一つであり、図1に示すように、箱形の外箱2の内部に形成された加熱室3と、加熱室3の前面に設けられた開口部4と、外箱2の前面に設けられて開口部4を開閉する扉5とを有する。加熱室3は、被加熱物として食品などが収納可能となるよう構成されている。
また、開口部4と外箱2との間であって、扉5を閉じた際に、扉5と対向する部分に、開口部周縁部6(以下、前板6という)が構成されている。
図2に示すように、加熱室3の周囲には、加熱室3と外箱2との間に、加熱室3下方に設けられた下部空間10、加熱室3上方に設けられた上部空間16、及び加熱室3の後方に設けられた後方空間18がそれぞれ形成されている。
下部空間10には、高周波発生部11等の電子レンジ1の加熱制御用の電子部品が収容されている。高周波発生部11は、食品の加熱手段の一つであり、マグネトロン12、導波管13及び回転アンテナ14等によって構成されている。
マグネトロン12から発生された高周波は、導波管13内を伝送されて、加熱室3内に放射される。電波撹拌用の回転アンテナ14が回転駆動されることによって、高周波が加熱室3全体に拡散される。これによって、加熱室3内で高周波の定在波が発生して一定の場所に固定されるのを防止できるため、食品の加熱ムラが抑えられる。
また、マグネトロン12の近傍には、ファン15が配置されており、主に高周波による加熱時にマグネトロン12が冷却されるように、マグネトロン12に冷却風を送っている。
上部空間16には、食品の加熱手段の一つである上部加熱部17が配置され、後方空間18には、食品の加熱手段の一つである後部加熱部19が配置されている。
なお、扉5の開閉の方向は、図1に示すように上下方向(縦開き)であるが、扉5の開閉形態はこれに限定されるものではない。例えば、扉5は、左右いずれかにその開閉の支点を配置させて横開きの扉として構成されていてもよいし、引出式の扉として構成されていてもよい。
次に、電波遮蔽部30の構成について、図3に基づいて説明する。図3は、扉5を閉めた状態での電子レンジ1の前方左側部の部分横断面図を示している。
図3に示すように、電波遮蔽部30は、扉5の内部であって、前板6に対向する位置に配されている。電波遮蔽部30は、その断面形状が開孔31に対して加熱室3側とその反対側(加熱室3外側)とにそれぞれ屈曲した形状のチョーク溝32を含んで構成される。チョーク溝32は、扉5の前板6と対向する面に形成された開孔31を有する。チョーク溝32は、いずれも電気伝導体で形成された、凹状板金33と凸状板金34とを、接合部35において接合することで構成される。凸状板金34には、接合部35の近傍に、加熱室3内部に突出する凸部36が形成されている。凸状板金34は、加熱室3の開口部4の全体を覆うように構成されており、その中央にはパンチング穴(図示せず)が形成されている。
凸状板金34の中央側部分(凸部36より内側の部分)には、内面ガラス45が配置されている。内面ガラス45は、凸状板金34の中央に設けられたパンチング穴(図示せず)から、熱気、異物、及び蒸気が侵入することを防止する。
凸部36は、扉5を閉めた状態において、凸部36と加熱室内壁7との間に隙間37を形成するように配置されている。
また、チョーク溝32は、その実効深さが、加熱室3に放射される高周波の波長λの約1/4となるよう構成されている。
加熱室3内に放射された高周波の電界方向は、高周波が凸部36と加熱室内壁7と間の隙間37、及び、前板6と凸状板金34の接合部35部分との間の隙間38の各隙間内を伝送されることで整えられ、開孔31からチョーク溝32に入射する。
チョーク溝32に入射した高周波は、チョーク溝32の端部で反射されて開孔31に戻る。このとき、高周波は、チョーク溝32の端部において位相が反転される。従って、チョーク溝32に入射する高周波と反射された高周波との間で打ち消しが起きる。このため、チョーク溝32の開孔31から見たチョーク溝32のインピーダンスは無限大となる。従って、図3の左側方向(矢印9の方向)への高周波の漏洩が抑えられる。
例えば、電子レンジ1で使用される高周波の周波数が2450MHzの場合、その波長は約123mmである。従って、チョーク溝32は、その実効深さが当該波長の1/4である約31mmとなるよう構成される。
本実施の形態1では、チョーク溝32が、その断面形状において加熱室3内側(図3の右側)及びその反対側(加熱室3外側、図3の左側)にそれぞれ屈曲した形状になるよう構成されている。すなわち、チョーク溝32の断面形状において、開孔31から前方、左側及び後方の順に延びる第1の共振空間81、及び、開孔31から前方、右側、及び後方の順に延びる第2の共振空間82を含む、複数の共振空間が構成されている。なお、第1の共振空間81及び第2の共振空間82は、共有空間80を共有している。このような構成によって、チョーク溝32の深さが多様化される。従って、チョーク溝32によって遮蔽される高周波の有効帯域を広げることができる。
また、チョーク溝32が複数の共振空間を有することで、隙間38の加熱室3内側の入口とチョーク溝32の入口の開孔31との距離を、各共振空間で変えることが可能となる。よって、複数の発振周波数に対して、隙間38の加熱室3内側の入口とチョーク溝32の開孔31との距離を波長λの1/4とすることができ、遮蔽帯域の広帯域化が可能となる。
また、電波遮蔽部30が複数の共振空間を有することで、共振空間全体の体積を大きくすることができるため、電界強度を弱めてスパークの発生を抑えること可能となり、安全性を高めることができる。
また、単一の共振空間を有する従来の電波遮蔽構造における扉5の厚み寸法をさらに大きくすることなく、複数の共振空間を配置することが可能である。従って、効率よく漏洩電波を遮蔽することができる。
また、チョーク溝32が複数の共振空間を有することで、漏洩電波遮蔽性能を高めることができるとともに、加熱室3内側に共振空間が形成されることで前板6と対向するチョーク溝32部分の対向面積を小さくすることができる。よって、前板6の幅を大幅に小さくすることが可能となることから、外箱2と加熱室内壁7との間の壁厚を大幅に薄くした構成で、高い電波遮蔽性能を実現することができる。
また、図3に示すように、凹状板金33の開孔31から先端部分に至る端部(第1の内側壁)40と、凸状板金34の開孔31から先端部分に至る端部(第2の内側壁)41と、が所定の間隔で対向するよう構成されている。これにより、端部40と端部41との間で電界の生成が促進され、これにより、高周波はチョーク溝32内へ円滑に伝搬される。そして、チョーク溝32内に高周波が入射すると、上述のように高周波は打ち消されるため、電波漏洩の抑制が実現できる。
また、高周波は、凸部36と加熱室内壁7との隙間37に沿って伝送される際に減衰される。すなわち、高周波は、前板6と接合部35との隙間38に到達する前に減衰される。従って、隙間38の長さを短く構成した場合であっても、これまでの構成と同様に電波漏洩の抑制を図ることが可能となる。
また、図3に示すチョーク溝32において、第2の共振空間は加熱室3内側に屈曲するよう構成されている。この場合、開孔31から加熱室3内側の位置においては、前板6と電波遮蔽部30とが対向している必要がないことから、前板6の幅、すなわち加熱室内壁7と外箱2との間の壁厚を大きくする必要がない。
また、図3に示すように、本実施の形態1の高周波加熱装置である電子レンジ1は、電波遮蔽部30において、高周波の漏洩方向(矢印9の方向)に対して、袋小路形状空間(第1の共振空間81及び第2の共振空間82)を開孔31の両側に配置する構成としている。
従って、電波遮蔽部30は、チョーク溝32が複数の共振空間を有することで漏洩電波遮蔽性能が高まる。また、加熱室3内側に共振空間(第2の共振空間82)が形成されるため、前板6に対するチョーク溝32の対向面積を小さくすることができる。従って、本実施の形態1の電子レンジ1は、前板6の幅を大幅に小さくして外箱2と加熱室内壁7との間の壁厚を大幅に薄くしつつ、高い漏洩電波性能を実現することができる。
なお、本実施の形態1では、凸部36及び隙間37を有する電波遮蔽部30の構成について述べたが、凸部36及び隙間37は必ずしも必要な構成ではない。
また、加熱室3内側から隙間38に入った高周波は、隙間38内を伝播することで位相が変化され、隙間38の加熱室3内側の入口から波長λの1/4に対応する距離の地点で位相が反転される。
従って、隙間38の加熱室3内側の入口とチョーク溝32の開孔31との距離が、高周波の波長λの1/4に近いほどインピーダンス差が大きくなり、前板6と扉5の隙間38に入ってくる高周波を低減することが可能となる。この構成により、高周波は、チョーク溝32に到達する前にある程度減衰されることから、高周波の遮蔽性能はチョーク溝32の性能のみに依存しなくてもよくなる。従って、例えば、電波遮蔽部30に要求される遮蔽性能を満たしつつ、チョーク溝32の構成を簡略化することができる。
また、図3に示すように、凹状板金33と前板6との間には、樹脂製のチョークカバー42が開孔31を覆うように設けられている。これにより、チョーク溝32の内部に水分、ゴミ又は塵等が侵入することが防止される。チョーク溝32の内部に水分などが侵入すると、チョーク溝32の内部の誘電率と侵入物の誘電率との違いにより、チョーク溝32の電波遮蔽特性が変化する。このため、チョークカバー42は、チョーク溝32の電波遮蔽特性の変化を抑制して、チョーク溝32による電波遮蔽機能の信頼性を高めることができる。また、チョークカバー42が設けられることで、異物の侵入による放電現象の発生が防止されると共に、扉5の見栄えもよい。
さらに、チョーク溝32は、導体板で構成されていることが多いことから、チョークカバー42が設けられることで、チョーク溝32内及び後述するチョーク溝32に設けられるスリット内に手又は指が入って怪我をすることを防止することができる。
チョークカバー42の形状は、チョーク溝32の上端の形状に対応し、扉5と前板6との隙間を塞ぐよう構成されているとよい。なお、チョークカバー42は、チョークカバー42がチョーク溝32の性能に与える影響が小さくなるように、高周波を吸収する誘電損失係数が少ない素材で形成されているとよい。例えば、チョークカバー42は、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を用いて形成されているとよい。
また、誘電体である樹脂製のチョークカバー42が凹状板金33と前板6との間に配置されることで、チョークカバー42部分において高周波を損失させることができる。これによって、電子レンジ1の外部への高周波の漏洩をさらに減少させることができる。また、後述のように、高周波の波長は、誘電体内では、空気中と比較して圧縮される。従って、高周波が空気中及び誘電体内のそれぞれで実際に同じ距離を伝播した場合、誘電体内の方が高周波の位相変化は大きい。よって、チョークカバー42が設けられることで、電波遮蔽部30による高周波の遮蔽性能を維持しつつ、チョークカバー42などの誘電体の効果によって隙間38の入口から出口の間の実際の距離を小さくすることができるので、加熱室内壁7と外箱2との間の壁厚を小さく構成することができる。
以下、誘電体内での高周波を含む電波の波長圧縮について詳細に説明する。
電波が空気中又は真空中を伝播するときの伝送速度は、光速に等しい。一方、電波が誘電体中を通過する場合は、電波の伝送速度は光速より遅くなり、その波長も自由空間波長λοより短くなる。
ここで、光速をVc(3×1011mm/s)、誘電体の比誘電率をεrとすると、誘電体中での電波の伝送速度Vd及び波長λdは、(数1)及び(数2)によってそれぞれ算出される。
誘電体の比誘電率εr及び比透磁率μrは、それぞれ、真空中の誘電率εο及び透磁率μοに対する誘電率ε及び透磁率μの比である。なお、透磁率μは、誘電体の場合は真空中の透磁率μοと同じ値なので、比透磁率μrは「1」となることから、以下に示す(数2)では省略されている。
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すなわち、電波の波長λは誘電体中では圧縮される。このため、電波からすると、誘電体中では空間が広がったようにみえる。従って、伝播する波の一部が誘電体中を通過して伝播し、残りの波が空間を伝播した場合、これらの合成波は、誘電体側に曲げられる。すなわち、波は屈折して伝播する。
よって、チョーク溝32の開孔31及び後述するスリット内にチョークカバー42(誘電体)が設置された場合、チョークカバー42内では、高周波の波長が圧縮される。従って、高周波からすると、チョーク溝32の開孔31及びスリットは、実際の寸法より大きく見える。
このため、チョークカバー42が設けられることで、チョーク溝32の開孔31及びスリットの寸法を小さく形成することが可能となるため、チョーク溝32を含む電波遮蔽部の機械的強度を向上させることができる。
次に、チョーク溝32を形成する板金の構造について説明する。
凹状板金33は、板金を同一方向に5回折り曲げ加工することで形成される。また、凸状板金34は、板金にL字部39及び凸部36を絞り加工をすることによって形成される。凹状板金33と凸状板金34とは、プロジェクション溶接によって、接合部35において接合される。
接合部35は、凸部36及びL字部39のコーナー部分との間であって、これらの近傍に配置されることにより、接合強度の向上ができる。また、凸部36が箱形状に成型されることで、平板の場合と比較して、飛躍的に凸状板金34の強度を高めることができる。従って、接合部35の溶接時に凹状板金33又は凸状板金34に歪応力が発生しても、凸状板金34に反り又は波打ちなどの変形が発生することが大幅に抑制される。これにより、凸状板金34が扉5に組み付けられる際の組立バラツキの発生が抑えられ、扉5の見栄えも向上する。
次に、複数の共振空間を有するチョーク溝32の構成の他の例について説明する。
図13、図14及び17に示すチョーク溝32は、図3と同様に、開孔31を自由端、屈曲したチョーク溝32の各先端部分を固定端とする複数の共振空間を有する。
そして、図13、図14及び17におけるチョーク溝32においては、複数の各共振空間の実効深さが互いに異なるように構成されており、各共振空間は異なる共振周波数を有する。従って、チョーク溝32によって遮蔽される高周波の遮蔽帯域の広帯域化が可能となり、チョーク溝32の遮蔽性能が高められる。
なお、共振空間の共振周波数は、共振空間の入口である開孔31から固定端までの距離を変えること、又は、共振空間の一部に誘電体が挿入されること等によりチョーク溝32の実効深さを変化させることによって調整することができる。
また、複数の共振空間を有することで、各共振空間どうしで隙間38の加熱室3側の入口と、チョーク溝32の開孔31との間の距離を変えることが可能となる。よって、複数の発振周波数に対して、隙間38の加熱室3側の入口とチョーク溝32の入口部の開孔31との間の距離を、波長λの1/4とすることができ、遮蔽帯域の広帯域化が可能となる。
電子レンジの発振周波数は、ISM(Industry Science Medical)バンドに基づいて、2.4GHz〜2.5GHzの範囲に制限されている。電子レンジの高周波発生部11としては、一般的にマグネトロン12が使用されることが多い。マグネトロン12は、2.4GHz〜2.5GHzの範囲の様々な周波数の高周波を発振する。
また、マグネトロン12が発振する高周波の発振周波数の分布は、被加熱物の物性及び被加熱物が置かれる位置、並びに加熱室3の内部形状によって異なる。
従って、チョーク溝32による高周波の遮蔽性能に関して、十分な遮蔽性能を確保できる周波数帯域である遮蔽周波数帯域が狭い場合、マグネトロン12が発振する高周波のうち十分に遮蔽されない周波数の帯域が生じてしまう。このため、チョーク溝32による高周波の遮蔽性能として、幅広い周波数帯の高周波に対して、高い減衰率を有することが求められる。
次に、共振空間全体の体積とチョーク溝32による高周波の遮蔽性能との関係について説明する。
ある一定量の高周波が、チョーク溝32で共振している場合、チョーク溝32の共振空間の体積と共振空間内の電界強度とは反比例の関係にある。よって、共振空間全体の体積が大きくなるよう共振空間が構成されることで、共振空間内の電界強度を弱めてスパークの発生を抑えることが可能となり、電子レンジ1の安全性を高めることができる。
従って、本実施の形態1のように複数の共振空間を有することで共振空間全体の体積が大きく構成される場合、上述のような効果を得ることができる。
なお、共振空間内に誘電体が挿入された場合も、高周波は空気中と比較して誘電体内では波長が圧縮されるため、実質的に共振空間の体積が増大されたこととなる。従って、この場合も同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態1では、チョーク溝32が2つ共振空間を有する場合について述べたが、チョーク溝32が3つ以上の共振空間を有していてもよい。
次に、チョーク溝32を構成する板金に設けられるスリットについて説明する。図4は、実施の形態1における電子レンジ1の電波遮蔽部30の部分断面斜視図である。
チョーク溝32は、チョーク溝32の長手方向に対して直交する方向(図3の矢印9の方向)から入射してきた高周波の位相を反転して、漏洩を防止する効果を有している。しかし、チョーク溝32は、チョーク溝32の長手方向に対して直交する方向ではなく、斜め方向から入射する高周波に対しては、遮蔽効果が低いという特徴がある。
通常は、チョーク溝32の実効深さは、チョーク溝32の長手方向に対して直交する方向(矢印9の方向)に伝搬することでチョーク溝32に対して垂直方向に入射してきた高周波に対して、高周波の波長λの1/4になるよう構成される。従って、斜め方向から入射する高周波については、遮蔽効果が低下する。
このため、図4に示すように、チョーク溝32には、チョーク溝32の長手方向に周期的に、スリット43が施される。これによってチョーク溝32の長手方向に対して斜め方向から入射する高周波の向きを、チョーク溝32の長手方向に対して直交する方向から入射するように変化させることが可能となる。
高周波は、対向する導体間に電界を生じながら伝播する。そして、チョーク溝32にスリット43がある場合、スリット43部分では電界が生じない。従って、チョーク溝32の深さ方向に対して斜め方向から入射する高周波は、スリット43部分で、チョーク溝32の長手方向に対して直角方向(矢印9の方向)へその入射角度が変化させられる。
図4に示すように、凹状板金33の端部40及び凸状板金34の端部41には、それぞれスリット43a,43bが一定間隔で周期的に複数設けられている。このような構成により、高周波のチョーク溝32の長手方向に沿った方向への伝搬が抑制され、高周波の漏洩が一層抑制される。
但し、チョーク溝32に設けられた周期的なスリット43a,43bの長さ又は形状によっては、スリット43部分から高周波が漏洩して、チョーク溝32の電波遮蔽性能が低下することがある。なお、従来のチョーク溝に設けられたスリットは、スリットの幅が3mm以上であるものがほとんどである。
また、スリット43の間隔は、必ずしも等間隔に構成されている必要はない。チョーク溝32に入射する高周波の入射角度は、扉5周辺部の加熱室3内の定在波分布によって変動するため、遮蔽性能が最も高くなるスリット間隔は、各箇所で異なるからである。よって、加熱室3内の定在波分布に影響を及ぼす回転アンテナ14、導波管13、加熱室3内の形状等が変更された場合は、スリット43の間隔の修正が必要となる。
図7及び図8は、実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図であり、スリットの他の構成例を示している。図7及び図8に示すチョーク溝32においては、チョーク溝32を形成する導体の対向面(端部40,41)のいずれにもスリット43(スリット43a,43b)が設けられる。なお、スリット43a,43bを総称してスリット43という。スリット43があることで、スリット43部分では、最も距離の小さい端部40と端部41とが対向せず、電界は互いの距離が大きい導体間においてのみ発生する。すなわち、スリット43を有することで、チョーク溝32の溝幅を大きくすることなく、電界が発生する導体間の距離を大きくすることができ、導体間に生じる電界が抑制される。そして、電界の発生が抑制されることによって、チョーク溝32の長手方向に伝播する高周波が抑制される。本実施の形態1の構成では、スリット43が対向面のいずれにも形成されることにより、チョーク溝32の長手方向に伝播する高周波を遮断する効果がより高まることになるため、チョーク溝32の電波遮蔽性能を向上することが可能となる。
一方、従来のチョーク溝の構成では、スリット43はチョーク溝32を形成する導体の対向面のいずれか一方にのみ設けられている。この場合、導体間に形成される電界は、矢印9(例えば図3及び図6参照)の方向だけでなく、チョーク溝の長手方向の成分も有し、割合も大きい。従って、スリット43が導体の対向面(端部40,端部41)のいずれか一方にのみ設けられる場合、チョーク溝の長手方向に伝播する高周波を効果的に低減することができない。
従って、チョーク溝32を形成する導体の対向面どちらか一方にスリット43を設ける構成と比較して、本実施の形態1のように、チョーク溝32を形成する導体の対向面どちらにもスリット43を設ける方が、チョーク溝32の長手方向のインピーダンス変化をより大きくすることができ、チョーク溝32の電波遮蔽性能を高めることが可能となる。
なお、スリット43の長さを長く形成することで、スリット43の長さが高周波の波長λの1/4に近づくと、スリット43部分からの高周波の漏波が増大する。この場合、上述のようにチョーク溝32の長手方向への高周波の伝播が低減したとしても、チョーク溝32全体としては、電波遮蔽性能が悪化する。さらに、スリット43の長さが長くなるにつれて、チョーク溝32の構成の機械的強度が低下する。
図9、図10及び図11は、実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の電波遮蔽部のスリットおよびブリッジの部分断面斜視図であり、スリット43が分断部44で分断されたチョーク溝の構成例を示している。
図9、図10及び図11に示すように、チョーク溝32に設けられた複数のスリット43のうち、少なくとも一つのスリット43は、分断部であるブリッジ44によって分断されるよう構成されている。スリット43はブリッジ44によって分断されるため、分断されたスリット43は、連続するスリット部分の長さが短い。このような構成によって、スリット43によるチョーク溝32の長手方向への高周波の伝播抑制効果は得つつ、同時に、分断部44があることでスリット43部分からの漏波を低減することが可能となる。さらに、スリット43に分断部が設けられることにより、チョーク溝32の構成の機械的強度が向上する。
また、図9に示すチョーク溝32においては、分断部44がスリット43の長軸方向の中央に配置されている。
これにより、1つのブリッジ44で分断されたスリット43の連続するそれぞれのスリット部分の長さを同等に小さくすることができる。従って、スリット43の長さについて製造時に寸法バラツキが発生した場合においても、スリット43によってチョーク溝32の長手方向への高周波の伝播を抑えることができるとともに、ブリッジ44があることでスリット43部分からの高周波の漏洩を抑えることができる。そして、ブリッジ44を用いた簡素な構成によって、これらの効果を最大化することが可能となる。
なお、図10に示すように、少なくとも1つのスリット43にブリッジ44が構成されることで、ブリッジ44部分において、高周波の漏洩を抑えることができる。さらに、図11に示すように、スリット43毎にブリッジ44が構成される位置が異なる場合であっても、ブリッジ44部分において高周波の漏洩を抑えることができる。
なお、図10に示すチョーク溝32の構成は例示であり、全てのスリット43に複数のブリッジ44が設けられていてもよい。
また、ブリッジ44が設置される位置が、スリット毎に異なるよう構成されていてもよい。
図15は、実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図であり、スリット43に設けられた分断部44の他の構成例を示している。図15のチョーク溝32においては、スリット43の長軸方向において連続するスリット43部分の長さが、それぞれ30mm以下になるように、ブリッジ44が配置されている。
一般的な高周波加熱装置が使用する高周波の周波数は2.45GHzであり、この高周波の波長λの1/4は約30mmである。すなわち、図15のチョーク溝32においては、分断されたスリット43のそれぞれの長さが、波長λの1/4以下となるよう構成されている。従って、スリット43から漏洩する高周波の量を、効果的に減少させることが可能となる。
また、図15は、一つのスリットに対して例えば2つのブリッジ44が設けられて、一つのスリット43が3つ以上に分断された例についても示している。例えば、加熱室3内における定在波分布状態などによって、チョーク32の一部に局所的に高周波の集中が生じる場合がある。これに対して、図15に示すように、一つのスリット43が3つ以上に分断される構成のチョーク溝32を用いることで、このような場合であっても、スリット43からの漏波を抑制することが可能となる。
また、図16は、実施の形態1における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図であり、ブリッジ44がスリット43の上端から5mm以上の位置に配置された構成を示している。
このような構成により、電波遮蔽部30の機械的強度が向上する。例えば、扉5の開閉時に前板6と電波遮蔽部30とが接触した衝撃で、チョーク溝32を構成する導体が変形することを防止することができる。従って、電波遮蔽部30の電波遮蔽性能の信頼性を向上することが可能となる。
さらに、図3に示すように、凹状板金33と前板6との間には、樹脂製のチョークカバー42が設けられており、チョーク溝32の内部に水分、ゴミ及び塵等を侵入させないようになっている。また、チョークカバー42の厚みは5mm以下となるように構成されることが多い。従って、スリット43の上端から5mm以上の位置にブリッジ44が配置されることで、チョークカバー42とブリッジ44との干渉を確実に防ぐことができる。
また、図3は、チョーク溝32の前板6と対向する面であって、加熱室3内側及び加熱室3外側のそれぞれの面の間に段差60が設けられた構成例を示している。
このような構成により、樹脂製のチョークカバー42がチョーク溝32の一部のみをカバーするように配置された場合であっても、前板6と対向する電波遮蔽部30の面には段差が生じない。なお、チョークカバー42は、前述のようにチョーク溝32内への異物の侵入を阻止することで、チョーク溝32内に侵入した異物の影響によって、チョーク溝32の電波遮蔽性能が低下すること及び高周波の放電現象が発生することを防止する。また、チョーク溝32に指などが入り怪我をするのを防止することが可能となる。また、扉5の見栄えがよいとともに、チョーク溝32部分に段差がないため清掃性が向上する。さらに、チョークカバー42とチョーク溝32の隙間からの水分の浸入を防止するために設けられるパッキンについて、簡素な構成のものを用いることができる。
次に、凸部36の高さと高周波遮蔽性能との関係について、図5を用いて説明する。図5は、横軸が凸部36高さ、縦軸が電波漏洩を表し、扉5の開閉度である扉5と電子レンジ1との間の隙間毎の高周波の電波漏波特性を示している。図5における電波漏洩とは、電子レンジ1のマグネトロン12が動作している時の、扉5と電子レンジ本体との隙間から5cm離れた位置における漏洩電波の電力密度のことである。
電気用品安全法技術基準では、電波漏洩は、扉5が閉められた状態において最大出力動作時に1mW/cm以下、かつ、扉5がマグネトロン12の発振停止装置が作動する直前の最大の位置まで開かれた状態において5mW/cm以下にしなければならないと規定されている。
図5において、扉5の隙間1mmでの特性は、扉5を閉めた状態での電波漏洩性能を意味している。図5に示すように、扉を閉めた状態(扉5の隙間1mm)での電波漏洩性能は、凸部36の高さに関係なく、上述の1mW/cm以下という規定をみたしている。ただし、凸部36高さが低い領域では、規定値に対する余裕が少ない。従って、規定の電波漏洩性能に対して倍程度の余裕を得るためには、凸部36の高さは2mm以上になるよう構成されることが望ましい。
扉5の隙間3mmでの特性は、マグネトロン12の発振停止装置が作動しない範囲でマグネトロン12が動作する最大位置まで、扉5を開いた状態での電波漏洩性能を意味している。この時の電波漏洩性能の規定値である5mW/cm以下の条件をみたすためには、凸部36高さは、2mm以上に構成される必要がある。この場合、規定値に対して十分な余裕を得るためには、凸部36の高さは5mm以上に構成されることが望ましい。
以上のように、電波漏洩性能の規定値をみたす最低限の条件としては、凸部36高さは2mm以上に構成されることが望ましい。また、規定値に対して余裕をもたせるためには、凸部36高さは5mm以上に構成されることが望ましい。
なお、凸部36の高さが高いほど電波漏洩量は少なくなる一方、凸部36の高さが10mmを超えると、扉5が閉められた時に、凸部36が加熱室3内に収納される被加熱物又はその容器と干渉する可能性が高まる。また、扉5の開閉時に、凸部36が加熱室内壁7と干渉する可能性が高まる。
さらに、扉5を開けた時に、凸部36の段差が目立つため、電子レンジ1の加熱室3内の見栄えが悪くなる。従って、凸部36の高さは、10mm以下に構成されるのが望ましい。
以上のことから、凸部36の高さは、2mmから10mmに構成されることによって、規定値をみたす高周波遮蔽性能が得られる。また、凸部36が加熱室3内部に収納される被加熱物及び加熱室内壁と干渉することなく、かつ、加熱室3内の見栄えも悪くならない。
近年、高周波技術の応用である携帯電話等の通信機器が飛躍的に普及し、高周波加熱装置がこれらの通信機器へ与える電波ノイズの影響による電波障害を軽減することは、社会的にも課題となってきている。このことからも、電子レンジ1の高周波遮蔽性能を向上させることは、重要な技術である。
また、高周波加熱装置は、日本国内の規格及びIEC(International Electrotechnical Commission)標準規格に基づいて、加熱室3の中央に置かれた所定の水負荷に対する高周波加熱時の省エネルギ性能が評価される。
加熱室3外部に漏洩する高周波を減少させることは、加熱室3内の被加熱物を加熱する高周波量を増加させることになる。従って、電子レンジ1の高周波遮蔽性能を向上させることは、省エネルギ性能を向上させることに繋がるため、重要な技術である。
従って、電子レンジ1を構成するに際して、上記した種々の構成を適宜組み合わせて、高周波の遮蔽性能を向上することで、省エネルギ性を向上することができる。
図3に示すチョーク溝32の構成においては、チョーク溝32の一方の共振空間82を構成する凸状板金34の端部40と、他方の共振空間81を構成する凹状板金33の端部41とが同一の高さを有するよう構成されている。
このような構成により、第1の共振空間81及び第2の共振空間82において、漏洩経路20から各共振空間の終端までの距離を同一にすることが可能となる。従って、第1の共振空間81及び第2の共振空間82においてそれぞれ共振する高周波の周波数が同じになるため、特定の周波数において高い漏洩電波遮蔽性能を実現することができる。
なお、本実施の形態1では、凹状板金33及び凸状板金34の2枚の板金を、接合部35で接合させる構成としたが、板金の枚数、形状及び接合方法などはこれらに限定されない。
例えば、図6に示すように、凸状板金34が板金A51及び板金B52の2枚の板金で構成され、接合部A53と接合部B54の2か所において板金A51と板金B52とが互いに接合されるよう構成されていてもよい。この場合、凹状板金33の板金B52との接合部B54部分は、チョーク溝32の外側に向かって開いた形状となるので、凹状板金33の折り曲げ加工及び接合の加工が容易に行える。また、板金A51は、凸部36に対して加熱室3室外側の接合部A53及び加熱室3内側の接合部B54の2か所において板金B52に固定されるので、強固に固定される。これにより、扉5全体の強度を向上することができる。
また、本実施の形態では、凸状板金34によって扉5の内側の一面が構成されており、扉5を閉じた状態において、凸状板金34によって加熱室3内壁の一部を形成されている。しかし、加熱装置の構造はこれに限られず、例えば、凹状板金33によって扉5の一面が構成されるようにして、扉5を閉じた状態において、この凹状板金33が加熱室3内壁を形成するようにしてもよい。この場合、凸状板金34と凹状板金33とを接合部35で接合させ、チョーク溝32を形成するように構成すればよい。
また、本実施の形態1では、チョーク溝32の共振空間について、図3に示すように、加熱室3内側及び加熱室3外側の両方に構成されるようにしたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図12に示すように、凹状板金33を4回折り曲げてチョーク溝32を形成し、凹状板金33の端部61側に共振空間が形成されない構成としてもよい。なお、図12の凹状板金33の端部61の折り曲げ方向を加熱室3内側方向になるように構成してもよいし、又は端部61の折り曲げを無くしてもよい。このように、端部61側に共振空間が形成されない構成では、凹状板金33の形状が簡素化されるので、生産性が向上してコストダウンを図ることができるとともに、電子レンジ1の前板6の幅も小さく構成することができる。
(実施の形態2)
図17は、本開示の実施の形態2における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図であり、実施の形態1とはスリットの構成が異なる。以下に、本実施の形態2における具体的な構成及び作用、効果を説明する。
なお、本実施の形態2において、前述の実施の形態1と同様の構成や機能については、同じ符号を使い、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態における、高周波加熱装置全体の構成及びチョーク溝の構成などは、実施の形態1に示した構成と同様の構成を用いることが可能である。
図17に示すように、本実施の形態のチョーク溝構成では、チョーク溝32の開孔31を挟むように加熱室3外側及び加熱室3内側に導体である端部(第1の内側壁)40及び端部(第2の内側壁)41が設けられ、それぞれの端部40,41にスリット(第1のスリット)43a及びスリット(第2のスリット)43bが設けられている。そして、本実施の形態3では、先端40,41に設けられた一対のスリットが高周波の漏洩方向である矢印9の方向(図3参照)において対向し、かつ、スリットの周期方向(チョーク溝32の長手方向)にズレが発生することなく対向するよう構成されている。
このような構成により、スリット43a,43bが対向している箇所においては、先端40,41どうしが対向しないため、端部40,41の対向面積が小さい。従って、チョーク溝32の長手方向のインピーダンス変化を顕著に大きくすることができるので、チョーク溝32の遮蔽性能を高めることが可能となる。
なお、図17では対向する端部40,41にそれぞれ設けられた全てのスリット43a,43bの対がそれぞれチョーク溝32の長手方向においてズレを生じないように構成されている。しかし、少なくとも1組のスリット43がチョーク溝32の長手方向にズレを生じていないよう構成されていてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、チョーク溝32の開孔31を挟んで配置される導体である端部40,41について、少なくとも1箇所は端部40,41どうしが対向しないように、スリット43a及びスリット43bが設けられた構成例について述べる。
なお、実施の形態3において、前述の実施の形態1又は実施の形態2と同様の構成や機能については、同じ符号を使い、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態における、高周波加熱装置全体の構成及びチョーク溝の構成などは、実施の形態1に示した構成と同様の構成を用いることが可能である。
図18は、実施の形態3における高周波加熱装置の電波遮蔽部の部分断面斜視図である。
高周波は、互いが対向するように配置された導体間に電界を生じながらチョーク溝32の長手方向へ伝播する。このため、チョーク溝32にスリット43a,43bがある場合、スリット部分では電界が生じないので、チョーク溝32の長手方向への高周波の伝播を抑制することができる。但し、一部でも導体が対向している場合、又は、チョーク溝32の長手方向への伝播経路の近辺に他の導体があって電界が生じる場合は、スリットの効果は低減する。チョーク溝32の長手方向に伝播する高周波の量は、導体間の対向面積に比例していると考えられる。従って、導体が全く対向しないようにスリット43が設けられることで、チョーク溝32の長手方向へ伝播する高周波をさらに効果的に低減することが可能となる。
なお、図18のチョーク溝32においては、スリット43a及びスリット43bの一部のみが対向するように構成されている。
図18に示すようなチョーク溝32の構成においても、導体が対向していない箇所でチョーク溝32の長手方向の高周波の伝播を打切ることができるため、チョーク溝32の電波遮蔽性能を高めることが可能となる。
なお、扉5の少なくとも一辺において、導体が全く対向していない構成又は少なくとも一箇所において導体が対向していない構成は、本実施の形態3で示した構成に含まれる。また、扉5のある1辺において少しでも導体が対向している箇所がある場合は、前述の実施の形態2で示した構成に含まれる。
(実施の形態4)
図14及び図19は、実施の形態4における高周波加熱装置1の電波遮蔽部の断面図であり、実施の形態1のチョーク溝構造とは、共振空間の構成が異なるものである。
なお、本実施の形態において、実施の形態1〜3と同様の構成については、同じ符号を付与し、説明を省略する。また、本実施の形態4における、高周波加熱装置1全体の構成及びスリットの構成などは、実施の形態1で示した構成と同様のものを用いることが可能である。
図14及び図19に示すように、本実施の形態4のチョーク溝32は、加熱室3内側から加熱室3外側へ向かう高周波の漏洩方向(矢印9の方向)に対して、複数の共振空間が構成されている。
具体的には、図14に示す例においては、開孔31部分から下側へ延び、端部41の加熱室3内側に連なる2つの共振空間82a,82bが構成されている。また、図19に示す例においては、開孔31部分から下側へ延び、さらに端部40の加熱室3外側に連なる共振空間81と、開孔31部分から下側へ延び、さらに端部41の加熱室3内側に連なる共振空間82との2つの共振空間が構成されている。
このような構成により、単一の共振空間8のみを有する従来の電波遮蔽構成を備えた扉5と比較して、扉5の厚み寸法を大きくすることなく、複数の共振空間8を配置することが可能となる。これにより、チョーク溝32の漏洩電波遮蔽性能を高めることができる。
また、図14及び図19に示すチョーク溝32の構成においては、高周波の漏洩経路20上から高周波の波長λの1/4の位置に各共振空間の終端が位置するよう構成されている。
これにより、電波遮蔽の原理上、漏洩経路20上にインピーダンスが無限大となる点を作り出すことができる。従って、効率的に漏洩電波を遮蔽することが可能となり、共振空間による特定の周波数の高周波に対する遮蔽性能をさらに高めることができる。
また、図14及び図19に示すように、チョーク溝32を構成する導体のL字絞り部39の長さ、すなわち端部40,41又は端部41a,41bの高さが、それぞれ互いに異なるよう構成されている。
このような構成により、複数の共振空間の間で、漏洩経路20から各共振空間の終端までの長さを、端部の高さを変更することによって容易に変えることができる。すなわち、図14及び図19のように、端部40,41又は端部41a,41bの高さをそれぞれ異ならせることで、各共振空間で共振する周波数を互いに異ならせることができるため、チョーク溝32における広帯域な漏洩電波遮蔽性能を実現することができる。特に、電子レンジ1のマグネトロン12のように、広帯域の高周波が発生される場合において、電波遮蔽部が広帯域の漏洩電波遮蔽性能を有することは重要なことである。
(実施の形態5)
図20、図21、図22及び図23は、本開示の実施の形態5における高周波加熱装置1の電波遮蔽構成の説明図であり、実施の形態1〜4とは凸部91の形状が異なるものである。
図20は、実施の形態5における高周波加熱装置の電波遮蔽部90を示す部分断面図、図21は同高周波加熱装置の電波遮蔽部90に伝搬する高周波の概念図、図22は同高周波加熱装置の電波遮蔽部90を示す部分断面図である。また、図23は本開示の実施の形態5における凸部91と加熱室内壁7との相対形状を示す概念図である。
なお、本実施の形態5において、実施の形態1〜4と同様の構成については、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態における、高周波加熱装置全体の構成及びチョーク溝の構成などは、実施の形態1〜4に示した構成と同様の構成を用いることが可能である。
まず、本実施の形態5の凸部91の構成について述べる。図20及び図21に示すように、本実施の形態5では、電波遮蔽部90の一部として凸部91が設けられている。凸部91は、加熱室内壁7と対向する凸部対向面92が、加熱室内壁7に対して加熱室3内側に傾斜するよう構成されている。凸部91がこのように構成されるより、加熱室内壁7と凸部対向面92との隙間93の断面形状がクサビ状(略三角形)に形成される。隙間93の断面形状がクサビ状に形成されることによる作用及び効果について、以下に説明する。
高周波が隙間93に進入すると、図21の矢印(実線又は点線)に示すように、高周波の進入角度θ1が所定角度より大きい場合、高周波は加熱室内壁7と凸部対向面92とで反射を繰り返した後、再び加熱室3に戻される。すなわち、隙間93に進入した高周波のうち、加熱室内壁7と凸部対向面92との間の隙間93を伝搬してチョーク溝32に到達する高周波の割合を減少させることができる。従って、電波遮蔽部90による高周波の漏洩を更に減少させることができる。
次に、凸部91と扉5との関係について説明する。以下では、図1に示すように、扉5を回動して開閉するための軸心部が扉5内であって扉5の底辺に配置される場合について、説明する。
扉5の開閉時、回動する扉5の先端側(図1の場合、扉5の上辺)に位置する凸部91の先端は、加熱室内壁7と前板6との間の角部に近接するような軌跡を描く。従って、組立バラツキ等によって凸部91と加熱室内壁7とが干渉するのを避けるため、通常は、加熱室内壁7と凸部対向面92との間の隙間が大きく構成される。しかし、本実施の形態5では、凸部対向面92が加熱室3内側に傾斜しているため、隙間93を拡大して構成することなく、凸部91と加熱室内壁7との干渉を回避することができる。
さらに、図22に示すように、加熱室内壁7の端面94(加熱室内壁7と前板6との間の角部)と凸部対向面92とが、略一定の隙間95を有するよう傾斜するよう構成されていてもよい。このような構成により、下記の効果を有する。
図23は、図22における凸部91の周辺の拡大図である。図23に示すように、前板6と凸部対向面92との間には所定の間隔Xが設けられている。従って、部品の寸法又は取付けのバラツキによって、凸部91の位置が図23の左右方向にずれて、凸部91と加熱室内壁7との間の相対位置が図23の左右方向に変化しても、凸部91と加熱室内壁7とが互いに干渉するのを回避することができる。
また、凸部対向面92と端面94とが略平行に傾斜しているので、隙間95の幅H(凸部対向面92と端面94との間の距離)は、端面94及び凸部対向面92の傾斜角度θ2が大きくなるに従って小さくなる。そして、隙間95の幅Hを小さく構成することで、隙間95を伝搬する高周波をさらに減衰させることができる。
以上のように、本開示の高周波加熱装置は、電波遮蔽が高く、電波遮蔽構造が強固で安定しており、かつ、本体外郭と加熱室内壁との壁厚を薄く構成することができる。従って、高周波加熱の単機能を備えた電子レンジだけでなく、例えばオーブン機能やグリル機能、又はスチーム機能を備えた多機能電子レンジにも利用できるとともに、家庭用又は業務用電子レンジについて広く利用することができる。
1 電子レンジ(高周波加熱装置)
3 加熱室
2 外箱
4 開口部
5 扉
6 前板(開口部周縁部)
7 加熱室内壁
8 共振空間
9 高周波の漏洩方向
10 下部空間
11 高周波発生部
13 導波管
14 回転アンテナ
15 ファン
16 上部空間
17 上部加熱部
18 後方空間
19 後部加熱部
20 漏洩経路
30 電波遮蔽部
90 電波遮蔽部
31 開孔
32 チョーク溝
33 凹状板金
34 凸状板金
35 接合部
36 凸部
37 隙間
38 隙間
40 端部(第1の内側壁)
41 端部(第2の内側壁)
41a 端部
41b 端部
42 チョークカバー
43 スリット
43a スリット(第1のスリット)
43b スリット(第2のスリット)
44 ブリッジ(分断部)
45 内面ガラス
51 板金A
52 板金B
53 接合部A
54 接合部B
60 段差
61 端部
80 共有空間
81 第1の共振空間
82 第2の共有空間
82a 共振空間
82b 共振空間
91 凸部
92 凸部対向面
93 隙間
94 端面
95 隙間

Claims (8)

  1. 開口部を有する加熱室と、
    前記開口部の周縁に位置する開口周縁部と、
    前記開口部及び前記開口周縁部を覆う扉と、
    前記加熱室に供給される高周波を発生する高周波発生部と、
    前記扉の前記開口周縁部に対向する位置に設けられ、導体により区画されて構成されるとともに、前記開口周縁部と対向して設けられた開孔を有するチョーク溝と、を備え、
    前記チョーク溝は、
    前記開口周縁部を構成する面に対して垂直方向に形成され、前記チョーク溝の長手方向に並んだ複数のスリットと、
    前記複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットを前記スリットの長軸方向において分断するよう配置された分断部と、を備え、
    前記チョーク溝は、
    前記開孔の周囲から前記チョーク溝の溝底方向に延びるとともに、互いに対向する内側壁であって、前記開孔に対して、前記加熱室の室外側に設けられた第1の内側壁、及び前記加熱室の室内側に設けられた第2の内側壁を有し、
    前記複数のスリットとして、前記第1の内側壁には第1のスリットが設けられ、前記第2の内側壁には第2のスリットが設けられおり、
    前記チョーク溝は、
    前記開孔に対して、前記加熱室の室外側に形成された第1の共振空間、及び前記加熱室の室内側に形成された第2の共振空間を有し、
    前記第1共振空間の一部は、前記第1の内側壁により規定され、
    前記第2共振空間の一部は、前記第2の内側壁により規定される、
    高周波加熱装置。
  2. 前記分断部は、前記複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの長軸方向における中央部分に配置される、
    請求項1に記載の高周波加熱装置。
  3. 前記複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットは、前記分断部が配置されること
    で、前記スリットの連続するスリット部分の長さが30mm以下となるよう構成された、請求項1に記載の高周波加熱装置。
  4. 前記分断部は、前記複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットの前記開口周縁部側の端部から5mm以上離れた位置に配置される、
    請求項1に記載の高周波加熱装置。
  5. 前記複数のスリットのうちの少なくとも一つのスリットには、前記分断部が複数配置される、
    請求項1に記載の高周波加熱装置。
  6. 前記第1のスリット及び前記第2のスリットは互いに対向するよう構成されている、
    請求項に記載の高周波加熱装置。
  7. 前記第1のスリット及び前記第2のスリットは、少なくとも一箇所で、互いに対向しないよう構成されている、請求項に記載の高周波加熱装置。
  8. 記第1の内側壁の高さ及び前記第2の内側壁の高さは互いに異なるよう構成されている請求項に記載の高周波加熱装置。
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