JP6892794B2 - 熱伝導性シート状樹脂組成物及び積層シート - Google Patents

熱伝導性シート状樹脂組成物及び積層シート Download PDF

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Description

本発明は、絶縁性を有し、且つ厚み方向に高い熱伝導性を有するポリマー結晶微粒子を含有するシート状樹脂組成物及び前記シート状樹脂組成物と金属層を積層した積層シートに関する。
電子デバイスの小型化、高出力化に伴い、発熱体の単位面積あたりの発熱量が大きくなってきている。そのため、発熱体からの放熱性を向上できる技術・材料が求められている。
放熱性を高める一般的な方法としては、電子デバイスのような発熱体と、アルミや銅からなるヒートシンクを熱伝導グリースや熱伝導シートと密着させ、外部に熱を伝達する方法がとられている。ヒートシンクとデバイスとを密着させる材料としては、作業性の観点から熱伝導シートが望ましい。そのため、熱伝導シートに向けた様々な開発が検討されている。
例えば、熱伝導性を向上させることを目的に、マトリックス材料中に熱伝導性の無機微粒子や金属微粒子を配合した様々な熱伝導性複合材料組成物、及びその成形加工品が提案されている。高熱伝導化の観点からは、銀、銅といった金属微粒子や、グラファイトのような導電性を有する微粒子との複合材料組成物が好ましい一方、これら微粒子を用いた場合には、絶縁を担保することが難しく、配線近傍に使用した場合にショートさせる可能性が高い。そのため、電気絶縁性と熱伝導性を両立可能なアルミナ、窒化アルミ、及び窒化ホウ素等の無機微粒子の使用が好まれる。
しかしながら、このような無機微粒子においても、密度が高く軽量化が困難である他、高硬度であるために成形時に金型摩耗が生じるなどの問題がある。また、ヒートシンクとデバイスとを密着させる材料においては、デバイスで発生した熱を効率的にヒートシンクへと伝える必要があることから、厚み方向の熱伝導性が重要視されるが、無機微粒子の中でも高い熱伝導性を有する窒化ホウ素は板状結晶であり、且つ面内方向(厚み方向に垂直方向)への熱伝導性が大きいといった特徴ゆえ、厚み方向に熱伝導性の高い熱伝導性樹脂組成物を調製することは困難である。
このような中、特定の方向に高い熱伝導異方性を有する有機系熱伝導微粒子が着目・検討されている。例えば、特許文献1には、アスペクト比の大きな形状の高分子結晶微粒子が放射状に集合した微粒子を熱伝導微粒子として利用することで、厚み方向に高い熱伝導性を有する樹脂組成物が得られることが報告されている。しかしながら、樹脂組成物の厚み方向への熱伝導性は0.5W/m・K未満と低い。
特許文献2は、板状のポリイミド微粒子に係る特許出願であるが、熱伝導性を向上できる旨のデータ的根拠は示されていない。
特開2015−105363号公報 特開2015−98573号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い絶縁性を有し、且つ厚み方向に熱伝導性の優れたシート状樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、高い絶縁性を有し、且つ厚み方向に熱伝導性の優れたシート状樹脂組成物を提供すべく鋭意研究を重ねた結果、板状且つ高分子鎖が該微粒子の厚み方向に配向した有機系熱伝導性微粒子を配合した特定厚みのシート状樹脂組成物において、著しく厚み方向の熱伝導性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の構成からなることを特徴とする。
〔1〕 厚み方向に高分子鎖が配向した、板状の有機系熱伝導微粒子を25〜70Vol%含有してなるシート状樹脂組成物であり、且つ該シートの厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K以上であることを特徴とするシート状樹脂組成物。
〔2〕 前記シート状樹脂組成物の厚み(Dm)が500μm未満で、且つDmと板状の有機系熱伝導微粒子の厚み(Dc)との比(Dm/Dc)が2〜40であることを特徴とする前記〔1〕に記載のシート状樹脂組成物。
〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕に記載のシート状樹脂組成物からなる少なくとも1つの樹脂層と、少なくとも1つの金属層を積層したことを特徴とする積層シート。
〔4〕 前記金属層が、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムのいずれかよりなることを特徴とする前記〔3〕に記載の積層シート。
本発明により得られる熱伝導性シート状樹脂組成物は、高い絶縁性と厚み方向への高い熱伝導性を有することから、デバイスの放熱材料として利用されるTIM(Thermal Interface Material)として利用可能である他、電子基板として利用可能である等、産業上非常に有益である。
製造例1で得られた有機系熱伝導微粒子の電子顕微鏡観察結果 製造例1で得られた有機系熱伝導微粒子の粉末X線測定結果 実施例1で得られたシート状組成物断面の電子顕微鏡観察結果 比較例1で得られたシート状組成物断面の電子顕微鏡観察結果
熱伝導微粒子
本発明に用いられる有機系熱伝導微粒子は、板状の微粒子であり、微粒子の面方向の長さは1〜300μmであり、厚みは0.01〜20μmである。また、該有機系熱伝導微粒子は、X線回折測定において非晶性のピークがほとんど見られないことを特徴とする高結晶性の有機系微粒子である。また、該有機系熱伝導微粒子は、前記厚み方向に高分子鎖が配向して並んでいる高結晶性の有機系微粒子である。尚、有機系微粒子の分子鎖が厚み方向に並んでいるという事は、得られた高結晶性の有機微粒子の特定の面の電子線回折像を撮り、解析することにより確認可能である他、特定の方向に配列した柱状または板状結晶の面方向に対し、並行および垂直な方向からのX線回折測定を行う事で確認可能である。
有機系熱伝導微粒子は、板状であり高結晶性、且つ分子鎖が該微粒子の厚み方向に配向していれば、特に限定されるものでは無いが、該結晶微粒子の構造が熱および溶媒に対して安定であり、且つ分子鎖方向へのフォノン伝導性が高いという点より、芳香族系高分子であることが好ましい。例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール等の複素環を含有する芳香族系樹脂、芳香族ポリアゾメチン樹脂、ポリパラオキシベンゾイル等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリイミド樹脂などが挙げられる。
有機系熱伝導微粒子の製造方法は、板状で高結晶性、且つ分子鎖が該微粒子の厚み方向に配向した微粒子が得られるのであれば、特に限定されるものでは無い。該微粒子のような特徴的な形態、構造を有する微粒子を調製する代表的な方法としては、モノマーは良く溶解するが、オリゴマーは溶解しないような溶媒系で重合を行うことにより、オリゴマー結晶として析出させ、その後、オリゴマー結晶内で固相重合を行う重合結晶化法が挙げられる。また、芳香族ポリイミドにおいては、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンの水溶液または溶液を混合して得られるモノマー塩結晶を、常圧下、固相重合させる方法や、得られた塩結晶をオートクレーブ中、水熱処理する方法も用いることができる。
シート状樹脂組成物
本発明に用いられるシート状樹脂組成物中に配合される有機系熱伝導微粒子の含有量は、25〜70Vol%、好ましくは27〜65Vol%、さらに好ましくは30〜60Vol%である。有機系熱伝導微粒子としては、多いほど熱伝導性が好ましいものの、含有率が高くなる(特に70Vol%よりも多くなる)場合において、成形性が大きく低下する、シートとしての平滑性を損なうなどの問題が生じるきらいがある他、25Vol%未満では、粒子同士の接触確率が低くなるため、熱伝導性が大きく低下するきらいがある。また、該シート状樹脂組成物中には、絶縁性や熱伝導性を阻害しない範囲で銀や銅といった金属微粒子や、グラファイトのような導電性を有する微粒子、またアルミナ、窒化アルミ及び窒化ホウ素等の無機微粒子を併用することが可能である。
該シート状樹脂組成物の厚み方向の熱伝導率は、0.7W/m・K以上であり、好ましくは0.9W/m・K以上、さらに好ましくは1.1W/m・K以上であり、面内方向の熱伝導率は、0.7W/m・K以下、好ましく0.5W/m・K以下、さらに好ましくは0.3W/m・K以下である。厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K未満である場合、デバイスで発生する熱をヒートシンク等の受熱体へ逃がすための放熱シート材料としての性能に乏しい。厚み方向の熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましい。
該シート状樹脂組成物の厚み(Dm)は、500μm未満で、Dm/Dcが2以上になればよいが、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.2〜300μm、さらに好ましくは0.3〜200μmである。500μmよりも厚くなると、該有機系熱伝導微粒子の配向が乱れてしまうきらいがある。また、0.1μmよりも薄くなると、シート表面の平滑性や絶縁性が低下するきらいがある。
該シート状樹脂組成物の厚み(Dm)は、該有機系熱伝導微粒子の数平均厚み(Dc)との比(Dm/Dc)が、2〜40であることが好ましく、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは6〜20である。Dm/Dcが大きくなると、Dmが500μm未満であっても、該シート状樹脂組成物中の樹脂と有機系熱伝導微粒子との界面数が増大するゆえ、界面での熱抵抗の影響が大きくなり、厚み方向の熱伝導性が十分に出ない。また、Dm/Dcが小さいと、シート表面の平滑性や成形性が損なわれるきらいがある。
該シート状樹脂組成物中の樹脂としては、特に限定されるものでは無く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および液状樹脂のいずれか一種以上が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンや環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂及びこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー、マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、非晶性半芳香族ポリエステルや非晶性全芳香族ポリエステルなどの非晶性ポリエステル系樹脂、結晶性または液晶性半芳香族ポリエステルや結晶性または液晶性全芳香族ポリエステルなどの結晶性または液晶性ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリアミドや脂肪族−芳香族ポリアミドや全芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、フェノキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、液晶ポリマー、及びこれら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフト共重合体、などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上の複数を組み合わせて用いることができる。2種以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤などを添加して用いることもできる。これら熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜使い分ければよい。例えば、高い耐熱性と剛性が必要な電子基板用途においては、半芳香族ポリアミド、液晶性半芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族おポリエステル、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂などが、また柔軟性や密着性が必要なTIM用途においては、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマーなどが好適に利用される。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、架橋型の合成ゴム系材料などが挙げられ、これらから1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。この中でも、高い耐熱性と剛性が必要な電子基板用途においては、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂または熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂などが、また柔軟性や密着性が必要なTIM用途においては、シリコーン系樹脂および架橋型の合成ゴム系材料などが好適に利用される。
また、液状樹脂としては、シリコーン系オイル、鉱油、エステル系基油、エーテル系基油、リン酸エステル、フッ素系オイルなどが挙がられる。液状樹脂を用いる場合は、自立した単独シートとして利用することが困難なため、複層構造からなる積層シート組成物の中間層として利用される。
該シート状樹脂組成物は、樹脂および有機系熱伝導微粒子を、溶液混合もしくは溶融混合した樹脂組成物を成形することで製造できる。シート状に成形する方法としては、湿式コーティング、乾式コーティング、射出成形、熱プレス成形、カレンダー成形等が挙げられる。該シート状樹脂組成物中の有機系熱伝導微粒子は、板状であるため、これらの成形により有機系熱伝導微粒子の面方向が、シートの面方向へと効率的に配向することができる。そのため、有機系熱伝導微粒子の中でも熱伝導性が高い方向である厚み方向と、シートの厚み方向が一致し、厚み方向に高い熱伝導性を有するシート状樹脂組成物とすることが可能である。
積層シート
本発明の積層シートは、前記シート状樹脂組成物からなる少なくとも1つの樹脂層と、少なくとも1つの金属層とを備え、前記樹脂層と金属層とが交互に積層した積層構造を有している。なお、樹脂層が複数存在する場合、樹脂層は、シート状樹脂組成物が少なくとも1層は必要であるが、その他はシート状樹脂組成物以外であってもよい。このような積層シートとすることで回路基板等の電子基板としての応用が可能となる。
積層シートは、シート状樹脂組成物の少なくとも一方の面に金属層を熱圧着により接着させて作製することができる。積層シートは金属層を単層で備える単層積層シートであってもよいし、複数の金属層を備えている多層積層体であってもよい。
なお、金属層で用いられる金属としては、電気的接続に使用されるような金属が好適であり、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムなどを挙げることができるが、中でも銅が好適である。金属層の厚さは、1〜50μmの範囲内が好ましく、5〜20μmの範囲内がより好ましい。
また、シート状樹脂組成物は、デバイスで発生する熱を、受熱体へ逃がし、放熱させる伝熱の役割を果たす。さらに、デバイスと金属等で形成される放熱層などとの間で電気的にショートを起こさないように絶縁層としての役割も果たす。絶縁層としての役割を果たす上では、使用条件において電気的なショートを起こさなければ問題無い。
以下、実施例及び比較例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(a)有機系熱伝導微粒子の製造
(製造例1)
13.0gのピロメリット酸(以下PMA)を750gの純水中に80℃で溶解することで溶液Aを、5.5gのパラフェニレンジアミン(以下PPDA)を750gの純水中に80℃で溶解することで溶液Bを得た。溶液Aを溶液Bへ110秒かけて添加、撹拌したところ、該水溶液中へ白色の沈殿が生じた。本スラリーを濾過、乾燥し、16.6gの白色の結晶を回収した。得られた白色結晶のFT−IR測定を行ったところ、2500〜3500cm−1にかけてブロードな塩由来の特性吸収体が確認された他、NMR測定からは、PMAとPPDAのモル比が1:1の塩であることが確認された。次いで、得られた白色結晶を1L/minのアルゴンフロー下、400℃まで焼成することで茶色の結晶を得た(以下、本結晶をPPPIと示す)。得られた結晶のFT−IR測定を実施したところ1780cm−および1720cm−1にイミド基の特性吸収体が観測され、ポリイミドであることが確認された。また、本結晶について走査型電子顕微鏡にて観察を行ったところ、面内方向の長さが10〜70μm、厚み方向の長さが2〜8μm(数平均厚みは3.3μm)の板状結晶であることが確認された(図1)。また、本結晶の粉末X線回折測定を行ったところ、非常に高い結晶性を示すことが確認された(図2)。
(b)樹脂組成物の製造
(製造例2)
無水マレイン酸変性のエチレン系コポリマー(日本ポリエチレン製、ET350X)10gを90gのトルエン中に溶解した。得られた溶液48.5gへ、製造例1で調製したPPPIを5.15g添加後、撹拌、分散し、溶媒を乾燥することで、PPPIを40Vol%含有する樹脂組成物Aを調製した。
(製造例3)
PPPIが50Vol%含有するように調製した以外は、製造例2記載の方法と同様の方法にて樹脂組成物Bを調製した。
(c)シート状樹脂組成物の製造
(実施例1)
製造例2で調製した樹脂組成物A0.12gを温度110℃、圧力1.4MPaの条件で熱プレスすることで、Dm/Dc=10.9となる36μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。得られたシートを液体窒素下で破断した破断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果からは、PPPIがシートの面内方向に配向している様子が確認された(図3)。
(比較例1)
製造例2で調製した樹脂組成物A0.50gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、Dm/Dc=46.7となる154μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。得られたシートを液体窒素下で破断した破断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果からは、実施例1と同様にPPPIがシートの面内方向に配向している様子が確認された(図4)。
(実施例2)
製造例3で調製した樹脂組成物B0.15gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、Dm/Dc=13.6となる45μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
製造例3で調製した樹脂組成物B0.30gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、Dm/Dc=27.0となる89μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。
(比較例2)
製造例3で調製した樹脂組成物B0.50gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、Dm/Dc=42.4となる140μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。
(比較例3)
無水マレイン酸変性のエチレン系コポリマー(日本ポリエチレン製、ET350X)0.40gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて127μm厚みのシート状樹脂組成物を調製した。
[比熱測定]
TAインスツルメント社製の示差熱走査測定装置(Discovery DSC)を用い、JIS K 7123に準拠した方法にて、得られたシート状樹脂組成物の比熱測定を実施した。
[密度測定]
JIS K 7112Aの方法に準拠し、水中置換法によって密度を測定した。用いた浸漬液エタノールである。
[熱伝導率測定]
シートの厚み方向および面内方向の熱拡散率を、ベテル社製サーモウェーブアナライザを用いて評価した。熱伝導率は、別途測定した比熱、密度および熱拡散率とを乗じることで算出した。
実施例1〜3、比較例1〜2で得られたシートの熱伝導率測定結果を表1に示す。これらの結果より、Dm/Dcを小さくすることで、同配合分率においても厚み方向に高い熱伝導率を有するシート状樹脂組成物が得られることが分かる。
Figure 0006892794
(d)積層体の製造
〔実施例4〕
製造例2で調製した樹脂組成物A0.36gを18μmの銅箔二枚に挟み込み、110℃、圧力1.4MPaの条件で熱プレスすることで、シート状樹脂組成物層としてDm/Dc=29.1となる96μmの厚みの層を有する銅箔/シート状樹脂組成物/銅箔の三層構造からなる積層シートを形成した。銅箔とシート状樹脂組成物とは強固に接着しており、再度剥がすことが困難であった。
〔比較例4〕
無水マレイン酸変性のエチレン系コポリマー(日本ポリエチレン製、ET350X)0.30gを用い、実施例4と同様の方法にて、銅箔/シート状樹脂組成物/銅箔の三層構造からなる積層シートを形成した。シート状樹脂組成物層として98μmの厚みであり、銅箔とシート状樹脂組成物とは強固に接着しており、再度剥がすことが困難であった。
[絶縁性評価]
超絶縁計(日置電気(株)製、SM−8220)を用い、実施例5及び比較例4で調製した積層シートを用い、積層シートの表裏に電極を設け、100Vの印加電圧をかけながら、電気抵抗値の測定を行った。
実施例4および比較例4で調製した積層シートを用い、絶縁性評価を行った結果を表2に示す。結果より、PPPIを配合したシート樹脂組成物は、Dm/Dcの小さな薄いシートにおいても高い絶縁性を示すことが分かる。
Figure 0006892794
本発明により得られる熱伝導性シート状樹脂組成物は、高い絶縁性と厚み方向への高い熱伝導性を有することから、デバイスの放熱材料として利用されるTIM(Thermal Interface Material)として利用可能である他、電子基板として利用可能である等、産業上非常に有益である。


Claims (3)

  1. 板状のポリイミド微粒子を25〜70Vol%含有してなるシート状樹脂組成物であり、前記シート状樹脂組成物の厚み(Dm)が500μm未満で、且つDmと板状の有機系熱伝導微粒子の厚み(Dc)との比(Dm/Dc)が2〜40であり、且つ該シートの厚み方向の熱伝導率が0.7W/m・K以上であることを特徴とするシート状樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のシート状樹脂組成物からなる少なくとも1つの樹脂層と、少なくとも1つの金属層を積層したことを特徴とする積層シート。
  3. 前記金属層が、銅、金、銀、ニッケル、アルミニウムのいずれかよりなることを特徴とする請求項に記載の積層シート。
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