JP6892778B2 - 船舶及び船舶の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
図1は、第1の実施形態に係る船舶の全体構成を示す図である。
本実施形態において、図1に示す船舶1は、公海上を制約を受けずに行動するため、行動予定、位置等の情報を秘匿しつつ、用途に応じた観測を行う目的を有する水上艦船である。水上艦船である船舶1は、その用途に応じた「属性」が規定されている。本実施形態において、「属性」とは、例えば、「A」(主として水上観測)、「B」(主として水中観測)、「C」(海底観測)、「D」(主として大気観測)等である。船舶1は、割り当てられた属性に応じた装備品が搭載されている。
船体共通基盤10は、船舶1の船体そのものである。船体共通基盤10の各所には、装備品(装備品ユニットC)を換装可能とするための区画である装備品ユニット換装用区画Bが予め設けられている。船体共通基盤10の各装備品ユニット換装用区画Bには、船舶1の属性に対応する種々の装備品ユニットCが装備(ぎ装)されている。
例えば、船舶1の属性が「B」である場合、船体共通基盤10の格納庫区画B3には、水中無人観測艇C3が装備される。また、船舶1の属性が「C」である場合、船体共通基盤10の水中センサー区画B2には、水面下に存在する目標物を探知するためのソーナーC2が装備される。また、船舶1の属性が「D」である場合、船体共通基盤10の前部区画B1には、観測器射出装置C1が装備される。ここで、前部区画B1、水中センサー区画B2及び格納庫区画B3は、いずれも装備品ユニット換装用区画Bの一態様である。また、観測器射出装置C1、ソーナーC2及び水中無人観測艇C3は、いずれも装備品ユニットCの一態様である。
なお、船舶1の属性が「A」である場合、前部区画B1、水中センサー区画B2及び格納庫区画B3のいずれにも各装備品ユニットCは装備されない(通常、Aは、最小限の装備構成とされる)。また、A以外の各属性(B、C、D)に属する船舶1の場合であっても、各属性に対応する装備品ユニットC以外の装備品ユニットは装備されなくともよい。
本実施形態に係る装備品ユニット換装用区画Bは、建造時に適用される属性(例えば「A」)から将来の改造時に適用される第2の属性(例えば「B」)に変更される場合に、建造時の属性に対応する装備品ユニットCから改造後の属性に対応する装備品ユニットCへと換装するために、建造の段階から予め用意された区画である。
図2、図3は、それぞれ、第1の実施形態に係る船体共通基盤の構造を示す第1の図及び第2の図である。
図2、図3は、船体共通基盤10における装備品ユニット換装用区画B周辺の構造を模式的に示している。図2、図3に示すように、装備品ユニット換装用区画Bは、ハッチHと、第2接続インタフェースCNmとを備えている。
ハッチHは、装備品ユニット換装用区画Bに装備品ユニットCを搬入するための搬送経路を確保するため大型扉である。
また、第2接続インタフェースCNmは、装備品ユニット換装用区画Bの内部に搬入された装備品ユニットCに設けられた第1接続インタフェースCNfと接続するためのインタフェースである。第1接続インタフェースCNf及び第2接続インタフェースCNmについては後述する。
なお、甲板10b及び船内床面10cに設けられた2つのハッチHは、水平方向(±X方向及び±Y方向)の位置が一致するように設けられるのが好ましいが、この態様には限定されない。
図4、図5は、それぞれ、第1の実施形態に係る装備品ユニット換装用区画及び装備品ユニットの構造を示す第1の図、第2の図である。
コンテナタイプの装備品ユニットCは、予め規定された表面上の所定位置(図4に示す例では、YZ平面に平行な面上の所定位置)に、第1接続インタフェースCNfを有している。この第1接続インタフェースCNfは、装備品ユニットCが船体共通基盤10と一体となって動作するために必要な電源線、通信配線、及び、流体配管の接続口をまとめて一体化してなる接続インタフェースである。
他方、装備品ユニット換装用区画Bは、当該装備品ユニット換装用区画Bの内壁のうち、接続対象とする第1接続インタフェースCNfと対応する位置に第2接続インタフェースCNmを具備する。具体的には、第2接続インタフェースCNmは、装備品ユニット換装用区画Bの内壁面のうち、所定の搬入方向(図4の+X方向)に搬送される装備品ユニットCの第1接続インタフェースCNfと対向する位置に配置される。これにより、コンテナタイプの装備品ユニットCが搬入方向(+X方向)に搬送され、装備品ユニット換装用区画B内の正規の位置に載置された場合に、当該装備品ユニットCの第1接続インタフェースCNfと装備品ユニット換装用区画Bの第2接続インタフェースCNmとが連結される。
第1接続インタフェースCNfと第2接続インタフェースCNmとは、容易に着脱可能な接続インタフェースとされる。
図4に示すように、装備品ユニット換装用区画Bの第2接続インタフェースCNmには、船体共通基盤10内部の各所から引き回された電源線、通信配線、及び、流体配管の束(ケーブル・配管群CB)が接続されている。ここで、流体配管とは、例えば、水、空気、油等を装備品ユニットCに巡らせるための配管である。
パレットタイプの装備品ユニットCは、コンテナタイプと同様に、予め規定された表面上の位置に第1接続インタフェースCNfを有している。パレットタイプの装備品ユニットCは、第1接続インタフェースCNfを所定位置(装備品ユニット換装用区画Bの第2接続インタフェースCNmと対応する位置)で固定支持するインタフェース支持部材Sを備えている。
この場合、第1接続インタフェースCNfは、インタフェース支持部材Sにより、装備品ユニットCが搬入方向に搬送される際に、第2接続インタフェースCNmと対向するように配置される。これにより、パレットタイプの装備品ユニットCが搬入方向(+X方向)に搬送され、装備品ユニット換装用区画B内の正規の位置に載置された場合に、当該装備品ユニットCの第1接続インタフェースCNfと、装備品ユニット換装用区画Bの第2接続インタフェースCNmとが連結される。
図6は、第1の実施形態に係る電源供給盤の構造を示す図である。
電源供給盤3は、船体共通基盤10の各所に電力を供給するための共通インタフェース基盤である。図6に示すように、電源供給盤3は、一個の筐体Lと、複数の電源モジュールPMとを有してなる。筐体Lの内部には、スロット形式で、複数の電源モジュールPMが収容可能とされる。
電源モジュールPMは、新たに船体共通基盤10に装備される装備品ユニットCに対応して筐体Lに増設される。改造計画に基づき装備品ユニットCが船体共通基盤10から取り外される場合には、併せて、当該装備品ユニットCに対応する電源モジュールPMが筐体Lから取り外されてもよい。
電源モジュールPMは、筐体Lに収容されると、船体共通基盤10内に配設された電源線と電気的に接続される。電源モジュールPMに接続された電源線は、装備品ユニット換装用区画Bの第2接続インタフェースCNm(図4、図5)まで引き回されている。ここで、当該装備品ユニット換装用区画Bに装備品ユニットCが装備されている場合、この電源線を経由して装備品ユニットCに電力を供給可能となる。
図7は、第1の実施形態に係る計算機のハードウェア及びソフトウェアの機能構成を示す図である。
計算機2は、船舶1の観測装置の制御機能を有し、特に、一台で複数の装備品ユニットCを制御可能とする共通制御装置として機能する。
メモリ21は、CPU20のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(RAM)である。
操作部22は、例えば、マウス、タッチパネル、キーボード等で構成され、操作者(ユーザ)の指示を受けてCPU20に各種操作等を入力する。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により実現され、CPU20による処理結果を表示する。操作部22及び表示部23は、計算機2とは切り離して筐体の外部にマンマシンインタフェースの機能を有する盤(コンソール等)として設置することも可能とする。
記録媒体24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の大容量記録デバイスにより実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、及び、各種データ等が記録されている。
外部接続インタフェース25は、外部装置との接続インタフェースである。特に、本実施形態に係る外部接続インタフェース25は、船体共通基盤10内の各所に配設された通信配線と電気的に接続されている。外部接続インタフェース25に接続された通信配線は、装備品ユニット換装用区画B内の第2接続インタフェースCNm(図4、図5)まで引き回される。ここで、当該装備品ユニット換装用区画Bに装備品ユニットCが装備されている場合、計算機2は、通信配線、第2接続インタフェースCNm及び第1接続インタフェースCNfを経由して、装備品ユニットCとの通信経路が確保される(図7参照)。
OS機能部200は、計算機2全体の処理、制御を司る機能部であって、いわゆるオペレーティングシステムである。
共通基盤通信機能部201は、一つの装備品ユニットCを制御するためのアプリケーション(装備品制御機能部202)と、他の装備品ユニットCを制御するためのアプリケーション(装備品制御機能部202)との間の相互通信を仲介する、いわゆる通信ミドルウェアである。具体的には、共通基盤通信機能部201は、共通化された通信プロトコルに従って、個別に開発された装備品制御機能部202の各々とデータの受け渡しを行う。
装備品制御機能部202は、各装備品ユニットCを制御するために用意された複数のアプリケーションソフトウェアである。この装備品制御機能部202は、装備品ユニットCに合わせて個別に開発される。ただし、各装備品制御機能部202は、共通基盤通信機能部201によって提供される共通の通信プロトコルに準拠したデータの受け渡しが可能とされている。
以上のとおり、第1の実施形態に係る船体共通基盤10は、建造時に適用される第1の属性から将来の改造時に適用される第2の属性に変更される場合に、第1の属性に対応する装備品ユニットCから第2の属性に対応する装備品ユニットCへと換装可能とする装備品ユニット換装用区画Bを備えている。
このようにすることで、予め用意された装備品ユニット換装用区画Bにおいて、装備品ユニットCを容易に着脱可能となるため、属性の変更に対応して実施すべき装備品の換装作業の負担を大幅に軽減することができる。
したがって、艦船などの運用年数が長い船舶1において、装備品を換装する際に、所要工期、所要コスト、周辺区画へのインパクトを最小限に抑えることができる。
このようにすることで、装備品ユニットCを装備する際には、装備品ユニット換装用区画Bに予め用意された第2接続インタフェースCNmを接続するだけで装備品ユニットCを動作可能な状態とすることができる。したがって、換装の作業負担を一層軽減することができる。
このようにすることで、装備品ユニットCを装備品ユニット換装用区画Bに搬入する際に要する労力、負荷を軽減することができる。
このようにすることで、船舶1にハードウェア(装備品ユニットC)を新たに換装した場合に、船舶1のソフトウェア(計算機2)に対し、当該新たなハードウェアを制御するための機能を組み込むための負荷を軽減することができる。
例えば、船体共通基盤10には、壁/床面への固定手法の容易化/汎用化(ユニバーサルタイダウンシステム)、船内/船外の通路を運搬経路に転用するためのぎ装設計(エクステンデッドアイル)、ボルテッドハッチ配置の最適化、傾斜階段のスライダー転用等の荷役作業の付帯作業軽減対策(イージーローディング)等が適用されてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した船舶1の製造方法について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る船舶の製造方法の処理フローを示す図である。
また、図9は、第2の実施形態に係るベースライン計画表の例を示す図である。
また、図10は、第2の実施形態に係る装備品構成リストの例を示す図である。
以下、図8及び図9〜図10を参照しながら、船舶1の製造方法の流れについて説明する。
まず、船舶1の建造計画担当者は、各船舶1のベースライン計画を決定する(ステップS01)。より具体的には、建造計画担当者は、年次別に、各属性に属する船舶1を、いつ、何隻建造するかを規定する。ここで、図9を参照しながら、ステップS01の処理内容について詳細に説明する。
図9に例として示すベースライン計画表は、年次別の建造計画、及び、年次別の改造計画を示している。図9に示すベースライン計画表の例によれば、1年目〜4年目では、1年毎に「A」に属する船舶1を1隻ずつ新たに建造する計画が示されている。同様に、5年目〜8年目では、1年毎に「B」に属する船舶1、及び、「C」に属する船舶1を1隻ずつ建造することが示されている。同様に、9年目、10年目は、1年毎に「D」に属する船舶1を1隻ずつ建造することが示されている。
図10に示す装備品構成リストは、船舶1の属性別に、搭載すべき装備品ユニットCの組み合わせが示されている。建造計画担当者は、予め用意された装備品構成リストを参照して、建造を計画する船舶1毎に、建造時に搭載すべき装備品ユニットCの種類、及び、将来の改造時に搭載すべき装備品ユニットCの種類を特定する。
例えば、図9のベースライン計画表において、2年目に建造される予定の船舶1(A)は、8年目に「B」に改造される予定であることが把握される。この場合、建造計画担当者は、図10に示す装備品構成リストに基づき、「A」として搭載すべき装備品ユニットCの組み合わせ、及び、「B」として搭載すべき装備品ユニットCの組み合わせを特定する。
例えば、図9のベースライン計画表において、1年目に建造される予定の船舶1(A)は、8年目に「C」に改造される予定である。この場合、装備品構成リストによれば、船舶1は、8年目の「C」への改造の時点で、ソーナーC2(図1)が新たに装備されることが把握される。そこで、建造計画担当者は、当該船舶1の船体共通基盤10に、水中センサー区画B2(図1)を設ける設計を行う。なお、この場合、当該船体共通基盤10には、前部区画B1及び格納庫区画B3は余積として確保するのみでよい。
また、図9のベースライン計画表において、2年目に建造される予定の船舶1(A)は、8年目に「B」に改造される予定である。この場合、装備品構成リストによれば、船舶1は、8年目の「B」への改造の時点で、水中無人観測艇C3(図1)が新たに装備されることが把握される。そこで、建造計画担当者は、当該船舶1の船体共通基盤10に、格納庫区画B3(図1)を設ける設計を行う。なお、この場合、当該船体共通基盤10には、前部区画B1及び水中センサー区画B2は余積として確保するのみでよい。
この後、ステップS03で設計された船体共通基盤10を実際に建造する工程に移行する。
以上、第2の実施形態に係る船舶1の製造方法は、着工前の段階で、建造時に適用される第1の属性と、将来の改造時に適用される第2の属性とを決定するベースライン定義ステップ(ステップS01)と、第1の属性に対応する装備品ユニット、及び、前記第2の属性に対応する装備品ユニット選定ステップ(ステップS02)と、第1の属性に対応する装備品ユニットから第2の属性に対応する装備品ユニットへと換装可能とする装備品ユニット換装用区画を特定する区画特定ステップ(ステップS03)と、を有する。
また、ベースライン計画により、改造後に搭載される装備品ユニットが予め決定されているため、装備品ユニット換装用区画Bの設置を必要最小限に留めることができる。したがって、建造時に要する作業工期、コスト(装備品ユニット換装用区画Bを設けるために必要な労力)をも最小化することができる。
10 船体共通基盤
2 計算機(共通制御装置)
20 CPU
200 OS機能部
201 共通基盤通信機能部
202 装備品制御機能部
21 メモリ
22 操作部
23 表示部
24 記録媒体
25 外部接続インタフェース
3 電源供給盤
B 装備品ユニット換装用区画
C 装備品ユニット
H ハッチ
PI 配管
CP カップリング
CNf 第1接続インタフェース
CNm 第2接続インタフェース
CB ケーブル・配管群
L 筐体
PM 電源モジュール
Claims (6)
- 予め規定された属性に対応する装備品を搭載する船舶であって、
建造時に適用される第1の属性から将来の改造時に適用される第2の属性に変更される場合に、前記第1の属性に対応する装備品ユニットから前記第2の属性に対応する装備品ユニットへと換装可能とする装備品ユニット換装用区画と、
将来の改造時において搬入が予定される前記装備品ユニットを、前記装備品ユニット換装用区画に搬入可能とする搬送経路と、
を備え、
前記搬送経路には、少なくとも甲板及び船内床面に設けられた2つ以上のハッチが、水平方向の位置が一致するように設けられている
船舶。 - 前記装備品ユニット換装用区画は、
前記装備品ユニットにおける第1接続インタフェースの配置位置と対応する位置に、当該第1接続インタフェースと着脱可能な第2接続インタフェースを備える
請求項1に記載の船舶。 - 前記第2接続インタフェースは、
少なくとも電源線、通信配線及び流体配管の接続口を含む
請求項2に記載の船舶。 - 前記装備品ユニットは、
寸法が規定された平板上に装備される形態、又は、同寸法で規定される枠体内部に格納される形態とされている
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の船舶。 - 前記装備品ユニットは、
ソーナー、水中無人観測艇及び観測器射出装置のうちの少なくとも何れか一つである
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の船舶。 - 複数の前記装備品ユニットを制御するための共通制御装置を備え、
前記共通制御装置は、一つの前記装備品ユニットを制御するためのアプリケーションと、他の前記装備品ユニットを制御するためのアプリケーションとの間の相互通信を仲介する共通基盤通信機能部を有する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の船舶。
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