JP6891493B2 - 多層積層フィルム - Google Patents

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本発明は、多層積層フィルムに関する。
UVカット機能を持ったポリエステル系フィルムは建築・車両等の窓ガラスなどに用いられてきた。ここで、かかるポリエステル系フィルムは、二軸延伸で製造されるため中程度の位相差を持つことが原因で、偏光サングラス等の偏光子を介して見ると、強い虹ムラが見える問題がある。偏光サングラスをかけた場合でなくとも、太陽光線は空気中の散乱や物体との反射によって、また、蛍光灯等の光源からの光線は物体との反射によって偏光することがある。こうした場合では、裸眼でも虹ムラが見られることがあり、偏光サングラスを通してみるとさらに強い虹ムラが見えることとなる。
また、近年では液晶表示装置を構成する偏光板にUVカット機能を持ったポリエステル系フィルムが求められている。
液晶表示装置を構成する偏光板は、偏光子とその両側に偏光子保護フィルムが積層された構成からなり、偏光子との密着性や、光学特性が良いことから、偏光子保護フィルムとして、トリアセチルセルロース(TAC)に代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられてきた。しかし、セルロースエステル系フィルムは透湿度が高いため、高温多湿環境化では偏光板にソリが発生し、液晶表示装置の表示ムラが発生する問題や、薄膜化した際の機械強度低下によるハンドリング性やUVカット性の低下といった問題がある。
セルロースエステル系フィルムに変わって、アクリル系フィルムや、環状オレフィン系フィルムが用いられ始めてきた。しかし、アクリル系フィルムは依然、透湿度が高く、完全には偏光板のソリを解消することは困難であった。また、アクリル系フィルム、環状オレフィン系フィルム共に、薄膜化した際の機械強度低下によるハンドリング性やUVカット性の低下といった問題がある。
近年では液晶表示装置の小型化が望まれているが、装置小型化のために偏光板を薄くする目的で、上記フィルムを薄くすると、透湿性、ハンドリング性、UVカット性がより悪化して装置小型化は困難であった。
一方、ポリエステル系延伸フィルムは透湿性が低く、薄膜化した場合でも十分な機械強度を持つ特徴があり、これらの問題に対して利点を持っている。しかしながら、延伸によって中程度の位相差が発現するため、液晶表示装置点灯時に特定の方向から液晶表示装置を見た場合に、虹ムラが視認される問題がある。また、縦横の延伸をバランス化させることで、正面位相差を低くすることはできるが、厚み方向の位相差を低くすることは困難である。
かかる問題を解決する方法として、ポリエステルを一軸方向に延伸して位相差を高くすることで虹ムラを抑制する方法が提案されている(特許文献1)。
上記、セルロース系、アクリル系、環状オレフィン系、ポリエステル系フィルムのUVカット手段は、紫外線吸収剤添加によるものであり、フィルムを薄膜化しようとすると紫外線吸収剤の添加濃度が高くなるため、紫外線吸収剤のブリードアウトの課題がある。
国際公開第2011/162198号パンフレット
本発明は、ポリエステル系フィルムでありながら虹ムラを抑制し、薄膜化、低ブリードアウト性を達成したUVカット多層積層フィルムを提供することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成を有する。
ポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bが交互に積層された51層以上の多層積層フィルムであって、全光線透過率が85%以上、波長380nmの透過率が40%以下、位相差が3000nm以上であることを特徴とする多層積層フィルム。
本発明によって、虹ムラを抑制し、薄膜化、低ブリードアウト性を達成したUVカット多層積層フィルムを得ることができる。
従来方法の二軸延伸多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率分布の例。 従来方法の長手方向一軸延伸又は、長手方向に強く延伸した二軸延伸多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率分布の例。 本発明の多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率分布の好ましい例。 本発明の多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率分布の好ましい例。 本発明の多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率分布のより好ましい例。 本発明の多層積層フィルムの入射角と位相差の関係を説明する図。 方位角について説明する図 本発明の多層積層フィルムと表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の設置関係を説明する図 本発明の多層積層フィルムの分光スペクトルの一例 本発明の多層積層フィルムの分光スペクトルの一例 偏光板の分光スペクトルの一例 液晶表示装置の一例 有機EL表示装置の一例
本発明者らは、ポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bが交互に積層された51層以上の多層積層フィルムであって、全光線透過率が85%以上、波長380nmの透過率が40%以下、位相差が3000nm以上であり、下記式(6)を満たす、偏光板及び/又は偏光子を有する表示装置に用いられ、下記式(7)および(8)を満足することを特徴とする多層積層フィルムを用いることで、虹ムラを抑制し、薄膜化、低ブリードアウト性達成できることを見出した。以下これについて詳説する。
0°≦|Φ1−Φ2|<45° ・・・(6)
Rmax≧20% ・・・(7)
Rmax−Rmin≧10% ・・・(8)
(ここで、Φ1は多層積層フィルム面内においてRmaxをとる方位角であり、Φ2は表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方位角である。また、Rmaxは多層積層フィルムに直線偏光を入射角0°で照射し、多層積層フィルムの入射光軸を中心として、多層積層フィルム面上の任意の方位角方向を0°とし、180°まで5°間隔で直線偏光の方位角を半回転させて測定される各方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率のうちの最大値であり、RminはΦ1に直交する方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率である。)
本発明に係る多層積層フィルムに用い得るポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらの誘導体を用いて得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも好ましくはテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体並びにポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体の中から選択されるポリエステルを用いることが好ましい。
本発明の多層積層フィルムには、少なくとも2種のポリエステル樹脂が用いられ、該2種のポリエステル樹脂は異なる性質を有する。ここでいう性質とは、結晶性・非晶性、光学的性質、熱的性質、もしくは物理的性質が異なることをいう。異なる性質を持つポリエステル樹脂を積層することで、それぞれのポリエステル樹脂の単一の層のフィルムではなし得ない機能をフィルムに与えることができる。
また、本発明の多層積層フィルムに用いる異なる性質を有するポリエステル樹脂の好ましい組み合わせとしては、各ポリエステル樹脂のガラス転移温度の差の絶対値が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差の絶対値が20℃より大きい場合には多層積層フィルムを製造する際の延伸不良が発生しやすいためである。
本発明の多層積層フィルムに用いる異なる性質を有するポリエステル樹脂の好ましい組み合わせとしては、各ポリエステル樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、異なる性質を有するポリマーは同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、たとえば、一方のポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、ポリエチレンテレフタレートと同一の基本骨格であるエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。異なる光学的性質を有するポリエステル樹脂が同一の基本骨格を含む樹脂であると、積層精度が高く、さらに積層界面での層間剥離が生じにくくなるものである。
同一の基本骨格を有し、かつ、異なる性質を具備させるには、共重合体とすることが望ましい。すなわち、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、他方の樹脂は、エチレンテレフタレート単位と他のエステル結合を持った繰り返し単位とで構成された樹脂を用いるような態様である。他の繰り返し単位を入れる割合(共重合量ということがある)としては、異なる性質を獲得する必要性から5%以上が好ましく、一方、層間の密着性や、熱流動特性の差が小さいため各層の厚みの精度や厚みの均一性に優れることから90%以下が好ましい。さらに好ましくは10%以上、80%以下である。また、A層とB層はそれぞれ、複数種のポリエステル樹脂がブレンド又はアロイされ用いられることも望ましい。複数種のポリエステル樹脂をブレンド又はアロイさせることで、1種類のポリエステル樹脂では得られない性能を得ることができる。
本発明の多層積層フィルムは、ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とA層を構成する樹脂とは異なる性質を有するポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とが交互に51層以上積層され、全光線透過率85%以上、波長380nmの透過率40%以下であることが必要である。
全光線透過率は好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上、波長380nm透過率は好ましくは20%以下である。波長240nm〜380nmの平均透過率が5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下である。
下記式(1)は隣接するA層とB層の屈折率及び層厚みから決定される反射波長を表す式である。下記式(1)を満たすように、A層とB層の樹脂と層厚みを設計することで、全光線透過率85%以上、波長380nmの透過率40%以下の光学特性を得ることができる。
Figure 0006891493
ここでλは反射波長、nAはA層の面内屈折率、dAはA層の厚み、nBはB層の面内屈折率、dBはB層の厚みである。
式(1)を満たす好適な各層の厚みは60nm以下である。本発明の多層積層フィルムは、各層の厚みを60nm以下とすることで波長380nm及び、紫外線領域の波長の光を反射でカットすることが特徴である。その結果、従来技術のUVカットフィルムに対して、紫外線吸収剤の添加量が少なくて済み、薄膜化、低ブリードアウト性に優れる。
望ましい波長範囲における反射率を調整する方法は、A層とB層の面内屈折率差、積層数、層厚み分布、製膜条件(例えば延伸倍率、延伸速度、延伸温度、熱処理温度、熱処理時間)の調整等が挙げられる。反射率が高くなり積層数が少なく済むことから、A層とB層の面内屈折率差は0.02以上が好ましく、より好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.08以上である。
層厚みの分布はフィルム面の一方から反対側の面へ向かって増加または減少する層厚み分布や、フィルム面の一方からフィルム中心へ向かって層厚みが増加した後減少する層厚み分布や、フィルム面の一方からフィルム中心へ向かって層厚みが減少した後増加する層厚み分布等が好ましい。層厚み分布の変化の仕方としては、線形、等比、階差数列といった連続的に変化するものや、10層から50層程度の層がほぼ同じ層厚みを持ち、その層厚みがステップ状に変化するものが好ましい。積層数は多いほど高い紫外線反射率を実現でき、また、反射帯域幅を拡げることができるが、積層精度や積層装置の大型化の観点から上限としては4001層程度である。
本発明の多層積層フィルムは、反射光の色調C値が3以下であることも好ましく、より好ましくは1以下である。反射光の色調C値を3以下とする方法としては、数1をもとに干渉波長が380nm以下となる層厚み設計とすることや、表層を厚くする又は、表層及び表層近傍の層を薄くする方法が挙げられる。
表層を厚くする方法としては、多層積層フィルムの表層に保護層として層厚み3μm以上の層を好ましく設けることができる、保護層の厚みは好ましくは5μm以上である。保護層の厚みが厚くなることで、可視光における透過率・反射率スペクトルのリップルを抑制した平坦な分光スペクトルを得ることができ、反射光の色調C値を低くすることができる。保護層の厚みが3μm以上の場合、式(1)に影響しない層として取り扱うことができる。また、保護層のその他の効果としては、フローマークの抑制、他のフィルムや成形体とのラミネート工程及びラミネート工程後における多層積層フィルム中の薄膜層の変形抑制、耐押圧性などが挙げられる。
表層及び表層近傍の層を薄くする方法としては、フィルム表面から反対側の面に向かって少なくとも30層にわたり、層厚みが60nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下である。表層近傍の層が60nm以下であると、可視光線の反射光スペクトルが平坦になり、反射光の色付きを抑制することができる。
また、両表層の保護層厚みは非対称でも良い。例えば、他のフィルムや成形体とラミネートする表面の保護層の厚みを3μm以上に厚くすることで、多層積層フィルム中の薄膜層の変形を抑制し、反対側の表面近傍の層厚みは60nm以下にすることも可能である。また、この際には、反対側の表面にハードコート層や、変形し難いガラスなどの支持体と積層することが好ましい。
全光線透過率を高くする方法として、本発明の多層フィルム表面にプライマー層、ハードコート層、反射防止層を設けることが好ましい。多層フィルム表面の樹脂よりも屈折率の低い層を設けることで全光線透過率を高くすることができる。
本発明の多層積層フィルムは、ヘイズ値が3%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。ヘイズ値が小さいことで、多層積層フィルムを通した景色や映像を鮮明に視認することができる。
本発明の多層積層フィルムは、位相差を3000nm以上とすることが必要である。ここでいう位相差とは、後述する測定方法により求められる、入射角0°のときの位相差をあらわす。位相差が3000nm以上となることで、本発明の多層積層フィルムを通過した偏光を視認した際の虹ムラを抑制ですることができる。
多層積層フィルムの位相差は下記(2)式で表せられる。
Figure 0006891493
ここでRは位相差、ΔnAはA層のフィルム面内の複屈折率、ΣdAは多層積層フィルム中のA層厚みの総和、ΔnBはB層のフィルム面内の複屈折率、ΣdBは多層積層フィルム中のB層厚みの総和である。
位相差を高くするには各層の複屈折率を高く、各層の厚みを厚くすることで達成される。
本発明の多層積層フィルムの製造方法の例としては、A層とB層のポリエステル樹脂を溶融・積層し、シート状に押出成形された未延伸ポリエステルフィルムをガラス転移点以上の温度にて、縦方向に延伸した後、横方向に延伸・熱処理を施す方法が挙げられる。
複屈折率を高くする方法としては、縦方向又は横方向の一方方向への一軸延伸や、縦方向または横方向のどちらか一方方向に強く延伸した二軸延伸によって達成され、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の、高い複屈折率を示す樹脂をA層に用いることが好ましい。
従来の二軸延伸多層積層フィルムでは反射率を高くするために、A層樹脂に結晶性ポリエステルを用い、B層樹脂にA層樹脂よりも融点が−20℃以上低い結晶性ポリエステルを用いて、B層樹脂以上、A層樹脂以下の熱処理温度を施す方法や、B層樹脂に延伸配向し難い非晶性樹脂を用いる方法によって図1に示すように、A層とB層の面内屈折率差5を大きくしていた。
しかし従来の方法では、位相差を高くするために行う一軸延伸や、一方方向に強く延伸した二軸延伸を行った場合は、例えば図2に示すように、A層とB層の長手方向の面内屈折率差は大きくなるが、A層とB層の幅方向の面内屈折率差は小さくなる。そのため、フィルム面内での反射率に大きなムラが生じる課題がある。
本発明の多層積層フィルムのA層とB層の面内屈折率は、好ましい一例として図3、図4、図5に示すような分布を持つことが好ましい。
図3に示す面内屈折率分布とするには、A層樹脂に結晶性ポリエステルを用い、B層樹脂に未延伸状態の面内屈折率においてA層樹脂よりも高い屈折率をもつB層樹脂を用いることが好ましい。
図4に示す面内屈折率分とするには、A層樹脂に結晶性ポリエステルを用い、B層樹脂に未延伸状態の面内屈折率においてA層樹脂よりも低い屈折率をもつB層樹脂を用いることが好ましい。
図5に示す面内屈折率分布とするには、A層樹脂、B層樹脂共に延伸によって複屈折率を発現する樹脂を用い、B層樹脂はA層樹脂よりも面内屈折率の低いものを選択することが好ましい。例えば、A層に結晶性ポリエステルを用い、B層にはA層に用いた結晶性ポリエステルに非晶性ポリエステルを共重合又はブレンドしたものを用いることで、B層に複屈折を持たせつつ面内屈折率をA層よりも低くすることができる。
図1〜図4の方法では、B層樹脂はほとんど無配向状態であり複屈折率はほぼ0に近い値を取る。そのため、多層積層フィルムの位相差には、A層のみが寄与している。一方、図5の方法は、B層も複屈折を持つため、多層積層フィルムの位相差にA層、B層両方寄与し、位相差をより高くすることが出来る。
本発明の多層積層フィルムの入射角と位相差の関係を図6を用いて説明する。図中の遅相軸10とは、フィルム面内において、A層とB層の平均屈折率が最も高い方向を、進相軸11とは、フィルム面内において、A層とB層の平均屈折率が最も低い方向のことである。ここでいう平均屈折率とは、A層とB層のフィルム面内方向の屈折率をA層とB層の層厚みで平均化したものである。光の入射角が0°の場合(下記式(3))、光の入射角が0°から12の方向に傾斜した場合(下記式(4))、光の入射角が0°から13の方向に傾斜した場合(下記式(5))のそれぞれの位相差を(3)〜(5)式に示す。
Figure 0006891493
Figure 0006891493
Figure 0006891493
ここで、Rは位相差、ΣdAとΣdBはそれぞれ多層積層フィルム中のA層、B層の層厚みの総和、nとnはそれぞれA層、B層の遅相軸方向の屈折率、nとnはそれぞれA層、B層の進相軸方向の屈折率、θAとθBはそれぞれA層、B層を進む光の屈折角度、nAβγ、nBβγはそれぞれA層、B層の進相軸方向の屈折率と厚み方向の屈折率を屈折角度で平均した屈折率、nAαγとnBαγはそれぞれA層、B層の遅相軸方向の屈折率と厚み方向の屈折率を屈折角度で平均した屈折率である。また、A層とB層それぞれの遅相軸方向と進相軸方向の厚み方向屈折率を平均した屈折率をn、nとする。
本発明の多層積層フィルムの実施形態の一つではA層とB層の屈折率の関係は、n>n>>n及び、n=n=n、となる。この場合、入射角0°の位相差に対して、12の方向に入射角が傾いた場合、(4)式より入射角増大とともに位相差が増大する。一方、13の方向に入射角が傾いた場合、(5)式より入射角増大とともに位相差が減少する。そのため、入射角0°において多層積層フィルムに虹ムラが見られなくとも、13の方向から多層積層フィルムを見ると虹ムラが見える恐れがある。また、別の実施形態の一つである、n>n>>n及び、n>n>>nの場合においても同様に13の方向から多層積層フィルムを見ると虹ムラが見える恐れがある。これは本発明の多層積層フィルムに、ポリエステル系樹脂として正の複屈折を持つ樹脂を用いる場合、延伸を行うことで、厚み方向の屈折率がフィルム面内方向の屈折率よりも小さくなるためである。そのため、本発明の多層積層フィルムは、一般的な視認角度である入射角0°から50°の角度の範囲にわたって、位相差が3000nm以上であることが好ましい。より好ましくは入射角0°から60°の角度の範囲にわたって、位相差が3000nm以上であり、さらに好ましくは入射角0°から80°の角度の範囲にわたって、位相差が3000nm以上である。このように入射角度が大きくなっても虹ムラが見えなくなることで、広い視野角を得ることができる。この達成方法の一つとしては、入射角0°における位相差を3000nmよりも大きくすることである。入射角0°における位相差を3000nmよりも大きくすれば、入射角度が大きくなり、位相差が低下しても、位相差3000nm以上を保つことができる。別の方法としては、厚み方向の屈折率を制御することである。厚み方向の屈折率が高くなると、位相差の減少の度合いが小さくでき、さらにフィルム面内よりも高くすると、入射角が13の方向に傾いた場合でも、入射角増大とともに位相差を増大させることができる。好適な樹脂としては面配向を抑制する嵩高い骨格や、側鎖を持つポリエステル系樹脂が挙げられる。
本発明の多層積層フィルムはポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bの何れか一方又は、両方がジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を含んでなることが好ましい。ナフタレンジカルボン酸は長波長側のUV領域に吸収を持つため、多層積層フィルムのUVカット性を向上させることができる。さらに好ましくは、ポリエステル系樹脂Aがポリエチレンナフタレート又は、ナフタレンジカルボン酸を共重合した結晶性ポリエステルである。ナフタレンジカルボン酸成分を持つ結晶性ポリエステルは、高い複屈折を持つため位相差を高くすることにも有効である。
また、ポリエステル系樹脂Aがポリエチレンテレフタレートを主たる成分とし、ポリエステル系樹脂Bがジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを含んでなり、さらに、ジカルボン酸成分として、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドのうち少なくとも何れか1つの共重合成分を含んでなるポリエステルを主たる成分とすることも好ましい。上記樹脂構成はポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bの屈折率差が大きくなるため、UV反射による高いUVカット性を持つことができる。
本発明の多層積層フィルムは、紫外線吸収剤を含んでなることが好ましい。本発明の多層積層フィルムはUV反射によるUVカット機能を持つため、UV反射機能を持たない同じ厚みのフィルムに対して吸収剤添加濃度が少なくて済む利点を持つ。多層積層フィルムへの紫外線吸収剤の添加は、紫外線吸収剤の濃度や多層積層フィルムの厚み、紫外線吸収剤を添加した層の厚みを調整することが好ましい。特に、多層積層フィルムの表層以外に紫外線吸収剤を添加することが好ましく、より好ましくはB層である。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられ、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾオキサジノン系等が挙げられる。紫外線吸収剤の添加量は0.1wt%〜10.0wt%の範囲が好ましく、0.1wt%〜4.0wt%の範囲がさらに好ましく、0.1wt%〜2.0wt%の範囲がより好ましい。
また、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を0.1wt%〜3.0wt%の範囲で添加することも好ましく、より好ましくは0.1wt%〜1.0wt%の範囲である。
本発明の多層積層フィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を含んでなることが好ましく、分子量600以上のものがより好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤は、耐熱性、ブリードアウト抑制効果に優れている。そのため、多層積層フィルム製造時の工程汚染が少ない。また、多層積層フィルムの耐熱や耐湿熱といった信頼性試験における紫外線吸収剤の析出も抑制され、光学特性の安定性にも優れる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤とその他の紫外線吸収剤をブレンドして用いることも好ましい。1種類のみでは、ブリードアウト性、析出性の悪い紫外線吸収剤であっても、トリアジン系とブレンドすることで、ブリードアウト性、析出性を改善することができる。
本発明の多層積層フィルムのフィルム厚みは、例えば15μm〜200μmの範囲を取りうる。その中でも15μm〜60μmの範囲が好ましい。また、偏光子保護用途であれば、15μm〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは15μm〜40μmの範囲である。
本発明の多層積層フィルムは、フィルムの表面にプライマー層、ハードコート層、耐磨耗性層、傷防止層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、光安定化層(HALS)熱線吸収層、印刷層、ガスバリア層、粘着層などの機能性層が形成されることが好ましい。これらの層は1層でも多層でも良く、また、1つの層に複数の機能を持たせても良い。
また、本発明の多層積層フィルムは、さらに紫外線吸収剤を含んでなる層を設けて積層体とすることも好ましい。少なくとも一方のフィルム表面に紫外線吸収層を設けることが好ましい。紫外線吸収層の形態としては、特に限られるものでは無いが、ハードコート層や、粘着層に紫外線吸収剤を含有せしめる形態が好ましい。多層積層フィルムの一方の面にハードコート層を設け、他方の面に粘着層を設けることも好ましい。この場合、紫外線吸収剤はどちらか一方の層または両方の層に含有せしめても良く、含有する紫外線吸収剤も1種類だけでなく、複数種類でも良く、含有せしめる層によって、紫外線吸収剤の種類、数、含有量を変えることも好ましい。多層積層フィルム表面に紫外線吸収層を設けることによって、フィルム全体でのUVカット性を高めることができる。また、多層積層フィルムを窓部材やディスプレイに積層する際に、視認側を紫外線吸収剤を設けた層とすることで、多層積層フィルムによるUV〜可視光の反射色を抑制することもできる。紫外線吸収剤の吸収波長は波長380nm以下を吸収するものや、波長420nm以下を吸収し、波長421nm以上、特に430nm以上は吸収しないことが好ましい。
本発明の多層積層フィルムは、表示装置に好ましく用いられる。中でも下記式(6)を満たす、偏光板及び/又は偏光子を有する表示装置に用いられ、下記式(7)および(8)を満足することが好ましい。
0°≦|Φ1−Φ2|<45° ・・・(6)
Rmax≧20% ・・・(7)
Rmax−Rmin>5% ・・・(8)
(ここで、Φ1は多層積層フィルム面内においてRmaxをとる方位角であり、Φ2は表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方位角である。また、Rmaxは多層積層フィルムに直線偏光を入射角0°で照射し、多層積層フィルムの入射光軸を中心として、多層積層フィルム面上の任意の方位角方向を0°とし、180°まで5°間隔で直線偏光の方位角を半回転させて測定される各方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率のうちの最大値であり、RminはΦ1に直交する方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率である。)
方位角について図を用いて説明する。図7は多層積層フィルムまたは表示装置の表面の上面図である。ここで図7中の17及び18はそれぞれ直角の関係を持つ任意の方向である。多層積層フィルムに入射角度0°で入射される直線偏光の振動方向または、表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方向を20とすると、方位角とは、方向20と方向18とで挟まれた角度21のことである。
本発明の多層積層フィルムと表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の好ましい設置関係を図8に示す。本発明の多層積層フィルム22は、表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子24に対して視認側に設置し、多層積層フィルム面内においてRmaxを取る方位角(Φ1)23’を、表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方位角(Φ2)25’に対して式(6)を満足するように設置する。好ましくはΦ1とΦ2が略平行になるように設置することであり、0°≦|Φ1−Φ2|<30°であることが好ましく、より好ましくは0°≦|Φ1−Φ2|<15°であり、最も効果を発揮する設置方位は|Φ1−Φ2|=0°である。
本発明の多層積層フィルムが式(7)、(8)を満たしており、かつ、本発明の多層積層フィルムを式(6)を満足するように表示装置の視認側に設置される偏光板及び/又は偏光子に設置して用いられることによって、表示装置の外側(視認側)から表示装置内部に侵入してくる波長381nm〜420nm範囲の長波長UV光を十分カットできる。一方で、長波長UV光の反射を従来多層積層フィルムよりも抑制することができるため、反射光による画面の色付き、ぎらつきを抑制することができる。十分な長波長UV光のカットを行う一方で、従来多層積層フィルムよりも長波長UV光の反射を抑制することについて図を用いて説明する。図9、10に本発明の多層積層フィルムの分光スペクトルの一例を、図11に偏光板の分光スペクトルの一例を示す。本願の多層積層フィルムは位相差を高くするため、縦方向又は横方向の一方方向への一軸延伸や、縦方向または横方向のどちらか一方方向に強く延伸した二軸延伸を行っており、Rmax方向の長波長UV光カット性に優れる一方、Rmin方向の長波長UV光カット性が不足している。一方、偏光板は吸収軸方向の長波長UV光カット性に優れる一方、透過軸方向の長波長UV光カット性が不足している。以上のように一方の方位角方向の長波長UVカット性に優れる一方で、他方の一般的には直交する方向の長波長UVカット性が不足している。このような多層積層フィルムと偏光板を0°≦|Φ1−Φ2|<45°を満たすように積層することによって、互いの長波長UV光カット性に優れる方向が、長波長UV光カット性が不足している方向のUVカットを補うため、各方位角方向の長波長UV光に対して、十分なカット性を持つことができる。表示装置の外側(視認側)から表示装置内部に侵入してくる光(外光)は一般的に楕円偏光である。本願の多層積層フィルムの外光に対する反射率は図9のRmax方位とRmin方位の平均であり、Rmaxよりも反射率が抑制される。一方で、従来の縦、横両方向に均等に二軸延伸を行った多層積層フィルムの外光に対する反射率は図9(Rmax方位)に近い反射率である。よって、本願の多層積層フィルムは従来よりも外光に対する反射率が抑制され、その結果、反射光による画面の色付き、ぎらつきを抑制することができる。十分な長波長UV光カット性の観点からRmaxは40%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは90%以上である。また、Rmaxをとる方位角において、波長400nm〜420nmの平均反射率が20%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上である。外光に対する反射率抑制の観点からRmaxとRminの差は10%以上がより好ましく、さらに好ましくは20%以上、特に好ましくは40%以上である。また、Rminの値は15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。また、RminとRmaxの比であるRmin/Rmaxが0.9以下であることも好ましく、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.4以下である。
もっとも好ましい様態は、|Φ1−Φ2|=0°となるように設置し、Rmin=0%とすることである。|Φ1−Φ2|=0°となるように設置することで、長波長UV光カット性を最も発揮することができ、Rmin=0%とすることで、外光の反射率は従来方法に対して半減させることができる。波長381nm〜420nm範囲の長波長UV光を十分カットすることで、表示装置内部の劣化を防ぐことができ、特に有機EL表示装置の発光素子の劣化防止に好適である。また、一般的にRmaxをとる方位角とRminをとる方位角は直交し、透過軸をとる方位角と吸収軸をとる方位角は直交する。
波長381nm〜420nm範囲の長波長UV光を十分カットすることが好ましい一方で、表示装置から発せられる光を十分透過させる観点から波長440nmの透過率は50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明の多層積層フィルムまたは積層体は、液晶表示装置や有機EL表示装置に好ましく用いられる。本発明の多層積層フィルムまたは積層体を用いる表示装置の例を図12、13に示す。本発明の多層積層フィルムまたは積層体の用途としては、少なくとも第一の偏光板、液晶層、第二の偏光板、LED光源の順で構成された液晶表示装置であって、本発明の多層積層フィルムまたは積層体が、第一の偏光板の視認側偏光子保護として積層、又は、第一の偏光板よりも視認側に積層されてなる液晶表示装置が挙げられる。第一の偏光板よりも視認側に積層する場合は、カバーガラスに貼り合せる画面保護フィルムや、透明導電層を形成するタッチパネル基材フィルムとして本発明のフィルムを用いることが挙げられる。本発明の多層積層フィルムまたは積層体の別の用途としては、偏光板を具備した有機EL表示装置などが挙げられ、本発明の多層積層フィルムまたは積層体を偏光板の視認側偏光子保護として積層、又は、偏光板よりも視認側に積層されることが挙げられる。偏光板よりも視認側に積層する場合は、カバーガラスに貼り合せる画面保護フィルムや、透明導電層を形成するタッチパネル基材フィルムとして本発明の多層積層フィルムまたは積層体を用いることが挙げられる。
本発明の多層積層フィルムを製造する具体的な態様の例を以下に記す。本発明の多層積層フィルムにおける51層以上の積層構造は、次のような方法で作製することができる。A層に対応する押出機AとB層に対応する押出機Bの2台から熱可塑性樹脂が供給され、それぞれの流路からのポリマーが、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックとスクエアミキサーを用いる方法、もしくは、コームタイプのフィードブロックのみを用いることにより51層以上に積層し、次いでその溶融体をT型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸多層積層フィルムを得る方法が挙げられる。A層とB層の積層精度を高める方法としては、特開2007−307893号公報、特許第4691910号公報、特許第4816419号公報に記載されている方法が好ましい。また必要であれば、A層に用いる熱可塑性樹脂とB層に用いる熱可塑性樹脂を乾燥することも好ましい。
続いて、この未延伸多層積層フィルムの延伸及び熱処理を施す。延伸方法としては、公知の一軸延伸法、逐次二軸延伸法、もしくは同時二軸延伸法で二軸延伸されていることが好ましい。
一軸延伸法では長手方法、幅方向、長手方向と幅方向の中間方向(斜め方向)の何れかの一方方向に延伸を行うことが好ましい。
二軸延伸法では、長手方法、幅方向、長手方向と幅方向の中間方向(斜め方向)の何れか一方に強く延伸を行い、他の方向に弱く延伸を行うことが好ましい。また、各方向への延伸は複数回組み合わせて行っても良い。
延伸温度は未延伸多層積層フィルムのガラス転移点温度以上〜ガラス転移点温度+80℃以下の範囲にて行うことが好ましい。複数回延伸を行う場合は、延伸温度を徐々に高くしていくことが好ましい。
延伸倍率は一軸延伸であれば、3〜10倍の範囲が好ましく、より好ましくは4〜6倍の範囲である。
二軸延伸であれば、強く延伸を行う方向へは3〜7倍の範囲が、弱く延伸を行う方向へは1.1〜3倍の範囲が好ましい。また、同じ方向への延伸を複数回行う場合は、2回目以降の延伸は1回目よりも倍率を小さくすることが好ましい。
長手方向の延伸は、縦延伸機ロール間の速度変化を利用して延伸を行うことが好ましい。また、幅方向の延伸は、公知のテンター法を利用する。すなわち、多層積層フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、多層積層フィルム両端のクリップ間隔を広げることで幅方向に延伸する。長手方向と幅方向の中間方向(斜め方向)への延伸は、縦延伸ロールの向きを徐々に変更させて延伸する方法や、テンター内で多層積層フィルム両端のクリップそれぞれの移動速度に差をつけて延伸する方法等が挙げられる。
また、テンターでの延伸は同時二軸延伸を行うことも好ましい。同時二軸延伸を行なう場合について説明する。冷却ロール上にキャストされた未延伸多層積層フィルムを、同時二軸テンターへ導き、多層積層フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/ または段階的に延伸する。長手方向の延伸は、テンターのクリップ間の距離を広げることで、また、幅方向はクリップが走行するレールの間隔を広げることで達成される。本発明における延伸・熱処理を施すテンタークリップは、リニアモータ方式で駆動することが好ましい。その他、パンタグラフ方式、スクリュー方式などがあるが、中でもリニアモータ方式は、個々のクリップの自由度が高いため延伸倍率を自由に変更できる点で優れている。
延伸後は熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、延伸温度以上〜多層積層フィルムの融点−10℃以下の範囲にて行うことが好ましく、熱処理後に多層積層フィルムのガラス転移点温度以上〜熱処理温度−30℃以下の範囲にて冷却工程を経ることも好ましい。また、延伸直後に延伸温度以下に冷却した後に熱処理を行うことも好ましい。延伸後に多層積層フィルムの温度を低くして剛性を持たせることで、熱処理工程における多層積層フィルムに発生するボーイングを抑制することができ、多層積層フィルムの幅方向の広範囲にわたって、均一な位相差と配向角を得ることができる。
熱処理工程及び、熱処理工程直後に2%以上20%以下の延伸を行うことも好ましい。このような延伸を行うことで多層積層フィルムの位相差をさらに高くすることができ、発生するボーイングを抑制することができ、多層積層フィルムの幅方向の広範囲に亘って、均一な位相差と配向角を得ることができる。
また、フィルムの熱収縮率を小さくするために、熱処理工程中又は冷却工程中にフィルムを幅方向又は及び又は、長手方向に縮める(リラックス)ことも好ましい。リラックスの割合としては1%〜10%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜5%の範囲である。ボーイングを抑制し、熱収縮率を小さくするためには、熱処理工程及び、熱処理工程直後に2%以上20%以下の延伸を行った後に、熱処理工程中又は冷却工程中にフィルムを幅方向又は及び又は、長手方向に縮めることが好ましい。
最後に巻取り機にてフィルムを巻き取ることによって本発明の多層積層フィルムが製造される。
本発明の多層積層フィルムの用途としては、建物や車両の窓及び窓部材、偏光子保護フィルムとして用いられることが好ましい。
以下、本発明の多層積層フィルムを具体的な実施例をあげて説明する。なお、以下に具体的に例示したポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂を用いた場合でも下記実施例を含めた本明細書の記載を参酌すれば、同様にして本発明の多層積層フィルムを得ることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)透過率、反射率
日立製作所(株)製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の12°正反射付属装置P/N134−0104を取り付け、入射角度φ=12度における波長240〜800nmの絶対反射率及び透過率を測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分とした。サンプルをフィルム幅中央部から4cm×4cmで切り出し測定した。これらの結果から、波長380nmにおける透過率及び反射率、波長440nmにおける透過率を求めた。
RmaxとRminの測定は以下のように行った。付属のグランテーラ偏光子を設置して、偏光成分を方位角0°〜180°において、5°刻みで回転させた各方位角で波長240〜800nmの絶対反射率を測定した。これらの測定結果から、各方位角における381nm〜420nmの波長範囲における最大反射率を求め、その中から最も大きな反射率をRmaxとし、その方位角をΦ1とした。Φ1となす方位角が90°である方位角方向の381nm〜420nmの波長範囲における最大反射率をRminとした。また、Rmaxをとる方位角における波長400nm〜420nmの平均反射率と、Rminをとる方位角における波長400nm〜420nmの平均反射率を測定した。
(2)全光線透過率
日本電色工業(株)製 ヘーズメーター(NDH5000)を用いて、JISK7361−1に基づいて測定を行った。サンプルをフィルム幅中央部から4cm×4cmで切り出し測定した。
(3)位相差
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し測定を行った。遅相軸方向、進相軸方向それぞれにて、入射角0°、10°、20°、30°、40°、50°における波長590nmの位相差を測定した。表1におけるR(0°)は入射角0°における位相差であり、Rminは遅相軸方向、進相軸方向それぞれにて、入射角0°、10°、20°、30°、40°、50°において測定した位相差の最小値である。
(多層積層フィルムに用いた樹脂)
樹脂A:IV=0.65のポリエチレンテレフタレート
樹脂B:IV=0.66のポリエチレンナフタレート
樹脂C:IV=0.72のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%、スピログリコール成分20mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)
樹脂D:IV=0.73のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)
(多層積層フィルムに用いた紫外線吸収剤(UVA))
UVA_A:2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)フェノール]、分子量659
UVA_B:2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、分子量700
(樹脂と紫外線吸収剤の混合物)
下記分量の樹脂と紫外線吸収剤を押出機を用いて混合した。
樹脂E:樹脂C/UVA_A(90wt%/10wt%)
樹脂F:樹脂C/UVA_B(90wt%/10wt%)
樹脂G:樹脂D/UVA_B(90wt%/10wt%)
IV(固有粘度)の測定方法
溶媒としてオルトクロロフェノールを用いて、温度100℃で20分溶解した後、温度25℃でオストワルド粘度計を用いて測定した溶液粘度から算出した。
(実施例1)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Aを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=27/1になるように計量しながら、51層フィードブロック(A層が26層、B層が25層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、5.0倍横延伸した後、10秒間230℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、10秒間100℃で冷却した後、厚み40μm(両表層それぞれ18.5μm、2層目〜50層目59nm)の多層積層フィルムを得た。
(実施例2)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Aを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=27/1になるように計量しながら、51層フィードブロック(A層が26層、B層が25層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、縦延伸機に導き100℃、5.0倍延伸した後、テンターにて10秒間230℃で熱処理、10秒間100℃で冷却した後、厚み40μm(両表層それぞれ18.5μm、2層目〜50層目59nm)の多層積層フィルムを得た。
(実施例3)
厚み80μm(両表層38.6μm、2層目〜50層目59nm)とすること以外は、実施例1と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例4)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Aを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=1/1になるように計量しながら、267層フィードブロック(A層が134層、B層が133層)にて交互に合流させた後、さらに3層ピノールを用いて、積層比が樹脂A/樹脂B=8.6/1となるように両表層にA層を合流させた。その他の条件は実施例1と同様の方法で、厚み63μm(両表層それぞれ25μm、2層目から134層目に向かって等比数列的に40nmから60nmに層厚みが増加し、、134層目から266層目に向かって等比数列的に60nmから40nmに層厚みが減少)の多層積層フィルムを得た。
(実施例5)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Bを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Dを用いた。樹脂Aおよび樹脂Dを、それぞれ、押出機にて290℃、280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=28/1になるように計量しながら、51層フィードブロック(A層が26層、B層が25層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、両端部をクリップで把持するテンターに導き140℃、5.0倍横延伸した後、10秒間160℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、10秒間100℃で冷却した後、厚み40μm(両表層それぞれ18.6μm、2層目〜50層目56nm)の多層積層フィルムを得た。
(実施例6)
厚み30μm(両表層それぞれ13.6μm、2層目〜50層目56nm)とすること以外は、実施例5と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例7)
B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂C/樹脂Eをそれぞれ80wt%/20wt%用いたこと以外は実施例1と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例8)
B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂C/樹脂Fをそれぞれ80wt%/20wt%用いたこと以外は実施例1と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例9)
B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂C/樹脂Eをそれぞれ80wt%/20wt%用いたこと以外は実施例4と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例10)
B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂C/樹脂Fをそれぞれ80wt%/20wt%用いたこと以外は実施例4と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(実施例11)
B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂D/樹脂Gをそれぞれ95wt%/5wt%用いたこと以外は実施例5と同様の方法で多層積層フィルムを得た。
(比較例1)
樹脂Aを押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、5.0倍横延伸した後、10秒間230℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、10秒間100℃で冷却した後、厚み80μmのフィルムを得た。
(比較例2)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Aを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=27/1になるように計量しながら、51層フィードブロック(A層が26層、B層が25層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、縦延伸機にて90℃、3.3倍延伸し、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、3.5倍横延伸した後、10秒間230℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、10秒間100℃で冷却した後、厚み40μm(両表層それぞれ18.5μm、2層目〜50層目59nm)の多層積層フィルムを得た。
(実施例12)
厚みを64μm(両表層それぞれ25μm、2層目から134層目に向かって等比数列的に42nmから63nmに層厚みが増加し、134層目から266層目に向かって等比数列的に63nmから42nmに層厚みが減少)とすること以外は実施例4と同様の方法にて多層積層フィルムを得た。
(実施例13)
厚みを64μm(両表層それぞれ25μm、2層目から134層目に向かって等比数列的に42nmから63nmに層厚みが増加し、134層目から266層目に向かって等比数列的に63nmから42nmに層厚みが減少)とすること以外は実施例10と同様の方法にて多層積層フィルムを得た。
(比較例3)
A層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Aを、B層を構成するポリエステル系樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂B=1/1になるように計量しながら、267層フィードブロック(A層が134層、B層が133層)にて交互に合流させた後、さらに3層ピノールを用いて、積層比が樹脂A/樹脂B=8.6/1となるように両表層にA層を合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸多層積層フィルムを、縦延伸機にて90℃、3.3倍延伸し、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、3.5倍横延伸し、厚み64μm(両表層それぞれ25μm、2層目から134層目に向かって等比数列的に42nmから63nmに層厚みが増加し、、134層目から266層目に向かって等比数列的に63nmから42nmに層厚みが減少)の多層積層フィルムを得た。
Figure 0006891493
本発明は、ポリエステル系フィルムでありながら虹ムラを抑制し、薄膜化、低ブリードアウト性を達成したUVカット多層積層フィルム及びその製造方法に関するものである。また本発明の多層積層フィルムは、液晶ディスプレイに用いられる偏光子保護フィルム、画面保護フィルム、また透明導電層を形成するタッチパネル基材フィルムとして好適に用いることができる。
1:フィルム面内における長手方向。
2:フィルム面内における幅方向。
3:A層の面内屈折率分布。
4:B層の面内屈折率分布。
5:A層とB層の面内屈折率差。
6:A層とB層の長手方向の面内屈折率差。
7:A層とB層の幅方向の面内屈折率差。
8:本発明の多層積層フィルム
9:入射光
10:遅相軸
11:進相軸
12:入射光の進相軸方向への傾斜角度
13:入射光の遅相軸方向への傾斜角度
14:遅相軸方向
15:進相軸方向
16:厚み方向
17:多層積層フィルムまたは表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の面内における方位18と直角の関係を持つ任意の方向
18:多層積層フィルムまたは表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の面内における方位17と直角の関係を持つ任意の方向
19:多層積層フィルムまたは表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子
20:直線偏光の振動方向または表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方向
21:方位角
22:本発明の多層積層フィルム
23:フィルム面内においてRmaxをとる方向
23’:Rmaxをとる方位角(Φ1)
24:表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子
25:表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸をとる方向
25’:表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方位角(Φ2)
26:LED光源
27:第二の偏光板
28:液晶層
29:第一の偏光板
30:偏光子保護フィルム又は位相差フィルム
31:偏光子
32:支持体
33:金属電極層
34:有機発光層
35:透明電極層
36:透明支持体
37:偏光板又は、円偏光板
38:偏光子保護フィルム又は位相差フィルム
39:偏光子
40:偏光子保護フィルム又は位相差フィルム

Claims (12)

  1. ポリエステル系樹脂Aとポリエステル系樹脂Bが交互に積層された51層以上の多層積層フィルムであって、全光線透過率が85%以上、波長380nmの透過率が40%以下、位相差が3000nm以上であり、
    下記式(6)を満たす、偏光板及び/又は偏光子を有する表示装置に用いられ、下記式(7)および(8)を満足することを特徴とする多層積層フィルム。
    0°≦|Φ1−Φ2|<45° ・・・(6)
    Rmax≧20% ・・・(7)
    Rmax−Rmin≧10% ・・・(8)
    (ここで、Φ1は多層積層フィルム面内においてRmaxをとる方位角であり、Φ2は表示装置の視認側に設置される偏光板又は偏光子の透過軸の方位角である。また、Rmaxは多層積層フィルムに直線偏光を入射角0°で照射し、多層積層フィルムの入射光軸を中心として、多層積層フィルム面上の任意の方位角方向を0°とし、180°まで5°間隔で直線偏光の方位角を半回転させて測定される各方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率のうちの最大値であり、RminはΦ1に直交する方位角における波長381nm〜420nmの範囲における最大反射率である。)
  2. 入射角0°から50°の角度の範囲にわたって位相差が3000nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多層積層フィルム。
  3. 前記ポリエステル系樹脂Aと前記ポリエステル系樹脂Bの何れか一方又は、両方がジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載の多層積層フィルム。
  4. 紫外線吸収剤を含んでなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の多層積層フィルム。
  5. 前記紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項に記載の多層積層フィルム。
  6. フィルム厚みが15μm〜60μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の多層積層フィルム。
  7. 偏光子保護フィルムとして用いられることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の多層積層フィルム。
  8. 前記ポリエステル系樹脂Aがポリエチレンテレフタレートを主たる成分とし、前記ポリエステル系樹脂Bがジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを含んでなり、さらに、ジカルボン酸成分として、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドのうち少なくとも何れか1つの共重合成分を含んでなるポリエステルを主たる成分とすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の多層積層フィルム。
  9. 表示装置に用いられる請求項1〜8の何れかに記載の多層積層フィルム
  10. 請求項1〜の何れかに記載の多層積層フィルムに、紫外線吸収剤を含んでなる層を設けた積層体。
  11. 請求項1〜の何れかに記載の多層積層フィルム、あるいは、請求項1に記載の積層体を用いた液晶表示装置。
  12. 請求項1〜の何れかに記載の多層積層フィルムあるいは、請求項1に記載の積層体を用いた有機EL表示装置。
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