JP6891449B2 - 蒸着マスクの製造方法、蒸着マスク準備体、有機半導体素子の製造方法、及び有機elディスプレイの製造方法 - Google Patents

蒸着マスクの製造方法、蒸着マスク準備体、有機半導体素子の製造方法、及び有機elディスプレイの製造方法 Download PDF

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Description

本開示の実施形態は、蒸着マスクの製造方法、蒸着マスク準備体、有機半導体素子の製造方法、及び有機ELディスプレイの製造方法に関する。
蒸着マスクを用いた蒸着パターンの形成は、通常、蒸着作製するパターンに対応する開口部が設けられた蒸着マスクと蒸着対象物とを密着させ、蒸着源から放出された蒸着材を、開口部を通して、蒸着対象物に付着させることにより行われる。
上記蒸着パターンの形成に用いられる蒸着マスクとしては、例えば、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクと、金属マスク開口部(スリットと称される場合もある)を有する金属マスクとを積層してなる蒸着マスク(例えば、特許文献1)等が知られている。
特許第5288072号公報
本開示の実施形態は、高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスクを得ることができる蒸着マスクの製造方法や、蒸着マスク準備体を提供すること、また、また、有機半導体素子を精度よく製造することができる有機半導体素子の製造方法や、有機ELディスプレイを精度よく製造することができる有機ELディスプレイの製造方法を提供することを主たる課題とする。
本開示の一実施形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂板のみからなる、又は前記樹脂板を含む蒸着マスク準備体を準備する工程と、前記蒸着マスク準備体の前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記樹脂板に、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する開口部形成工程と、を含み、前記樹脂板として、アライメント部を有する樹脂板を用い、前記開口部形成工程の前に、前記樹脂板が有する前記アライメント部を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程を含む。
上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記樹脂板が有する前記アライメント部を、前記樹脂板の一方の面上の一部、又は他方の面上の一部に設けられた着色層としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記樹脂板が有する前記アライメント部を、前記樹脂板の一方の面、又は他方の面が有する凹部としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記樹脂板として、少なくとも一部分が着色された樹脂板を用い、前記樹脂板が有する前記アライメント部を、前記樹脂板の着色部分としてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂板のみからなる、又は前記樹脂板を含む蒸着マスク準備体を準備する工程と、前記蒸着マスク準備体の前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記樹脂板に、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する開口部形成工程と、を含み、前記樹脂板として、アライメント部を有する樹脂板を用い、前記開口部形成工程の前に、前記樹脂板が有する前記アライメント部を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程を含み、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の一方の面上の一部、又は他方の面上の一部に設けられた着色層である。
本開示の一実施形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂板のみからなる、又は前記樹脂板を含む蒸着マスク準備体を準備する工程と、前記蒸着マスク準備体の前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記樹脂板に、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する開口部形成工程と、を含み、前記樹脂板として、アライメント部を有する樹脂板を用い、前記開口部形成工程の前に、前記樹脂板が有する前記アライメント部を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程を含み、前記樹脂板として、少なくとも一部分が着色された樹脂板を用い、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である。
また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記アライメント部を、前記樹脂マスク開口部が形成される予定領域に位置させ、前記開口部形成工程を、前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記アライメント部を除去しつつ、前記樹脂板に、前記樹脂マスク開口部を形成する工程としてもよい。
また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記蒸着マスク準備体として、前記アライメント部を有する樹脂板上に、金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられた蒸着マスク準備体を用い、前記開口部形成工程を、前記金属マスク側から前記金属マスク開口部を通してレーザー光を照射し、前記樹脂板に、前記樹脂マスク開口部を形成する工程としてもよい。
また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記樹脂板の一方の面上に保護層を設けてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記金属マスク開口部と重なる前記樹脂板の一方の面上に保護層を設けてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記樹脂板の他方の面上に、前記保護層を設けてもよい。
また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記保護層を、溶媒によって除去可能な保護層としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記保護層を、溶媒によって除去不能な保護層としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記保護層を、自己吸着性、又は自己粘着性を有し、前記樹脂板から剥離可能な保護層としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスクの製造方法において、前記保護層を、JIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0004N/10mm以上0.2N/10mm未満の保護層としてもよい。
また、本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクを含む蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板が、アライメント部を有している。
また、本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、金属マスク開口部を有する金属マスクと、当該金属マスク開口部と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板の一方の面上に、前記金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられ、前記樹脂板が、前記金属マスク開口部と重なる位置にアライメント部を有している。
また、上記一実施形態の蒸着マスク準備体において、前記樹脂板が有する前記アライメント部を、前記樹脂板の一方の面上の一部、又は他方の面上の一部に設けられた着色層としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスク準備体において、前記樹脂板が有する前記アライメント部を、前記樹脂板の一方の面、又は他方の面が有する凹部としてもよい。また、上記一実施形態の蒸着マスク準備体において、前記樹脂板を、一部分が着色された樹脂板とし、前記アライメント部を、前記樹脂板の着色部分としてもよい。
本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクを含む蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板が、アライメント部を有しており、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の一方の面上、又は他方の面上に設けられた着色層である。
本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクを含む蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板が、アライメント部を有しており、前記樹脂板が、少なくとも一部分が着色された樹脂板であり、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である。
本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、金属マスク開口部を有する金属マスクと、当該金属マスク開口部と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板の一方の面上に、前記金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられ、前記樹脂板が、前記金属マスク開口部と重なる位置にアライメント部を有しており、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の一方の面上、又は他方の面上に設けられた着色層である。
本開示の一実施形態の蒸着マスク準備体は、金属マスク開口部を有する金属マスクと、当該金属マスク開口部と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、前記樹脂マスクを得るための樹脂板の一方の面上に、前記金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられ、前記樹脂板が、前記金属マスク開口部と重なる位置にアライメント部を有しており、前記樹脂板が、少なくとも一部分が着色された樹脂板であり、前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である。
また、本開示の一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、フレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を含み、前記フレームに固定される前記蒸着マスクが、上記蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクである。
また、本開示の一実施形態の有機ELディスプレイの製造方法は、上記有機半導体素子の製造方法で製造された有機半導体素子が用いられる。
本開示の蒸着マスクの製造方法や、蒸着マスク準備体によれば、高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスクを得ることができる。また、本開示の有機半導体素子の製造方法によれば、有機半導体素子を精度よく製造することができる。また、本開示の有機ELディスプレイの製造方法によれば、有機ELディスプレイを精度よく製造することができる。
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体を平面視したときの部分拡大正面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 バリや、滓が発生した樹脂板の一例を示す部分拡大正面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。 (a)は、一例としての蒸着マスク準備体を保護層側から平面視したときの正面図であり、(b)は、(a)の蒸着マスク準備体の概略断面図である。 (a)〜(c)は、一例としての蒸着マスク準備体を保護層側から平面視したときの正面図である。 本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の一例を示す工程図である。 フレームの一例を示す正面図である。 (a)は、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図であり、(b)は、(a)のA−A概略断面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 (a)、(b)はともに実施形態(A)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 実施形態(B)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 実施形態(B)の蒸着マスクを金属マスク側から平面視したときの正面図である。 フレーム付き蒸着マスクを樹脂マスク側から平面視したときの正面図である。 フレーム付き蒸着マスクを樹脂マスク側から平面視したときの正面図である。 本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 有機ELディスプレイを有するデバイスの一例を示す図である。 (a)は、一実施形態の蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクを金属層側から平面視したときの正面図であり、(b)は、(a)のA−A概略断面図である。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクを金属層側から平面視したときの正面図である。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクを金属層側から平面視したときの正面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方等という語句を用いて説明するが、上下方向が逆転してもよい。左右方向についても同様である。
<<蒸着マスクの製造方法>>
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂板20Aのみからなる、又は樹脂板20Aを含む蒸着マスク準備体60を準備する工程(図1(a)、図2、図3、図5〜図8、図10〜図13、図16(a)、図17(a)参照)と、蒸着マスク準備体60の樹脂板20Aにレーザー光を照射して、樹脂板20Aに、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する開口部形成工程とを含み(図1(c)、図16(c)、図17(c)参照)、樹脂板20Aが、アライメント部30を有しており、開口部形成工程の前に、樹脂板20Aが有するアライメント部30を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程(図1(b)、図16(b)、図17(b)参照)を含んでいる。なお、図1、図16、図17は、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の一例を示す工程図である。なお、図1に示す形態では、蒸着マスク準備体60として、図2(a)で示される蒸着マスク準備体60を用いているが、アライメント部30を有する樹脂板20Aを含む蒸着マスク準備体60であればよく、図示する形態に限定されるものではない。
アライメント部30を有する樹脂板20Aを含む蒸着マスク準備体60を用いて蒸着マスクを製造する、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aが有するアライメント部30を利用して、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときのレーザー光の焦点位置を正確に設定することができる。したがって、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を精度よく形成することができる。換言すれば、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25が精度良く形成された樹脂マスク20を含む蒸着マスク100を製造することができる。特に、樹脂板20Aとして平滑性の高い樹脂板20Aを用いた場合や、後述するように樹脂板20A上に、任意の保護層35(図10〜図13参照)等を設けた場合には、当該保護層35によって、レーザー光の焦点位置を正確に設定することは困難となるものの、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、このような場合であっても、樹脂板20Aが有するアライメント部30を利用して、レーザー光の焦点位置を正確に設定することができる。
なお、アライメント部30を有しない樹脂板20Aを用いた場合には、レーザー光の焦点位置を正確に設定することができず、アライメント部30を有する樹脂板20Aを用いる本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法と比較して、形成される樹脂マスク開口部25の寸法精度は低いものとなる。
以下、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の各工程について具体的に説明する。
<蒸着マスク準備体を準備する工程>
本工程で準備される蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aのみからなる単層構成、或いは、樹脂板20Aを含む積層構成を呈している。
そして、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、本工程で準備される蒸着マスク準備体60の樹脂板20Aがアライメント部30を有している。蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aのみから構成されていてもよく、樹脂板20Aを含む複数の材料から構成されたものであってもよい。例えば、蒸着マスク準備体60を、樹脂板20Aの一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられた構成の蒸着マスク準備体60としてもよい。また、樹脂板20Aを含むとの条件を満たすものであれば、蒸着マスク準備体60は、これ以外のいかなる形態であってもよい。
樹脂板20Aが有するアライメント部30について特に限定はなく、後述するアライメント工程において、レーザー光の焦点位置を設定することが可能な手段を適宜選択して用いることができる。
なお、本願明細書で言う樹脂板20Aの一方の面とは、蒸着源側に位置する面を意味する。一方で、本願明細書で言う樹脂板20Aの他方の面とは、上記樹脂板20Aの一方の面とは反対側の面を意味する。
一例としての蒸着マスク準備体60は、図2、図3に示すように、樹脂板20A上の一部にアライメント部30としての着色層30Aが設けられている。アライメント部30としての着色層30Aは、アライメント光を照射したときの反射強度が、樹脂板20A、及び後述する任意の保護層の反射強度よりも高いことが好ましい。また、蒸着マスク準備体60をアライメント部としての着色層30A側から平面視したときの、樹脂板20Aとアライメント部30としての着色層30Aとのコントラストの差を高めるべく、アライメント部30としての着色層30Aの色相と、樹脂板20Aとの色相との差を大きくしておくことが好ましい。また、色相にかえて、明度、彩度等を異ならせてもよい。
図2(a)〜(d)、図3(a)〜(e)は、一例としての蒸着マスク準備体60の概略断面図であり、図2に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aのみからなり、当該樹脂板20Aの一方の面上の一部、又は他方の面上の一部にアライメント部30としての着色層30Aが設けられている。図3に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられた構成を呈しており、樹脂板20Aの他方の面上の一部にアライメント部30としての着色層30Aが設けられている。好ましい形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの面のうち、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときに照射されるレーザー光の入射光側にアライメント部30が設けられている。好ましい形態の蒸着マスク準備体60によれば、レーザー光の入射光側に設けられているアライメント部30を利用して、樹脂板20Aの面のうち、レーザー光の入射光側の面側に、レーザー光の焦点位置を設定することができ、開口部形成工程において、樹脂板20Aに、さらに高精細な樹脂マスク開口部25を形成することができる。
アライメント部30としての着色層30Aは、少なくとも着色成分を含有している。着色層30Aは、着色成分とともに、必要に応じて添加されるバインダー樹脂や、各種の添加材等を含んでいてもよい。着色成分としては、従来公知の染料、顔料などを適宜選択して用いることができる。着色層30Aは、着色成分として1種を含有していてもよく、2種以上の着色成分を含有していてもよい。
着色成分としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロンメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、インドナフトール系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロンアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、チアゾールアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、アミノピラゾール系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ジシアノスチリル、トリシアノスチリル等のスチリル系染料、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料やハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、二酸化チタン、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化マンガン、二酸化マンガン、酸化クロム、二酸化クロム、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、群青、アニリンブラック、活性炭等を挙げることができる。また、これ以外の着色成分を用いることもできる。
着色層30Aの形成方法について特に限定はなく、上記で例示した着色成分、及び必要に応じて添加されるバインダー樹脂や、各種の添加材を適当な溶媒に分散、或いは溶解した着色層用塗工液を調製し、これを、グラビア印刷法、ダイコート印刷法、バーコート印刷法、スクリーン印刷法、又はグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法等の従来公知の塗工法を用いて、樹脂板20Aの一方の面、及び他方の面の何れか一方の面上の一部、或いは双方の面上の一部に塗工することで形成することができる。また、この方法にかえて、樹脂板20A上に着色されたフィルムなどを貼合して、着色層30Aを形成することもできる。また、これ以外の方法を用いて、着色層30Aを形成することもできる。
着色層30Aの厚みについて特に限定はないが、0.01μm以上0.1μm以下の範囲内が好ましい。
アライメント部30としての着色層30Aは、図2(a)、(c)、図3(a)、(c)、(e)に示すように、樹脂板20Aの一方の面(図示する形態では上面)の一部に設けられていてもよく、図2(b)、(d)、図3(b)、(d)に示すように、樹脂板20Aの他方の面(図示する形態では下面)の一部に設けられていてもよい。また、樹脂板20Aの一方の面上の一部、或いは他方の面上の一部に設けられる着色層30Aは、1つであってもよく、複数であってもよい。また、樹脂板20Aの一方の面、及び他方の面の双方の面上の一部に、アライメント部としての着色層30Aを設けることもできる(図示しない)。図2(a)〜(d)、図3(a)〜(e)に示す形態の蒸着マスク準備体60によれば、例えば、図4(a)に示すように、蒸着マスク準備体60を平面視したときの、着色層30Aと樹脂板20Aとの境界部分における色相、明度、彩度の差等を利用して、換言すれば、着色層30Aと樹脂板20Aとの境界部分におけるコントラストの差等を利用して、アライメント工程において、レーザー光の焦点位置を正確に設定することができる。例えば、着色層30Aと樹脂板20Aとの境界部分におけるコントラストの差が最大となる部分にレーザー光の焦点位置を設定することで、レーザー光の焦点位置を正確に設定することができる。また、コントラストの差が最大となる部分の近傍に位置する樹脂板20Aや、アライメント部30としての着色層30Aの表面にレーザー光の焦点位置を設定することもできる。なお、図4(a)は、図2(a)に示す形態の蒸着マスク準備体60を、樹脂板20Aの一方の面側から平面視したときの部分拡大正面図である。
図4に示す形態の蒸着マスク準備体60は、当該蒸着マスク準備体60を樹脂板20Aの一方の面側から平面視したときの着色層30Aの形状が、円形状を呈しているが、着色層30Aの形状についていかなる限定もなく、これ以外の形状、例えば、矩形、多角形、楕円等であってもよい。
上記では、樹脂板20Aの一方の面上の一部、又は他方の面上の一部にアライメント部30としての着色層30Aが設けられた形態について説明を行ったが、樹脂板20Aの一方の面、及び他方の面の双方の面上の一部に、アライメント部30としての着色層30Aを設けてもよい。
他の一例としての蒸着マスク準備体60は、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)に示すように、樹脂板20Aが、アライメント部30として1つ、又は複数の凹部30Bを有している。なお、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)は、他の一例としての蒸着マスク準備体60の概略断面図であり、図5に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aのみからなり、当該樹脂板20Aの一方の面(図5(a)参照)、又は他方の面(図5(b)参照)が1つ、又は複数の凹部30B(図示する形態では複数の凹部30B)を有している。図6に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられた構成を呈しており、当該樹脂板20Aの一方の面(図6(a)参照)、又は他方の面(図6(b)参照)が1つ、又は複数の凹部30B(図示する形態では複数の凹部30B)を有している。
樹脂板20Aの一方の面、又は他方の面が1つ、又は複数の凹部30Bを有する、他の一例としての蒸着マスク準備体60によれば、アライメント工程において、凹部30Bのエッジ部分を利用して、レーザー光の焦点位置を正確に設定することができる。具体的には、凹部30Bを形作る内壁面と樹脂板20Aの表面との交点部分を利用して、当該交点部分にレーザー光の焦点位置を設定することができる。また、凹部30Bの内壁面と凹部30Bの底面との交点部分にレーザー光の焦点位置を設定することもできる。
アライメント部30としての凹部30Bの深さについても特に限定はなく、樹脂板20Aの厚み等に応じて適宜設定することができる。なお、凹部30Bの深さとは、樹脂板20Aの表面から凹部30Bの底面までの長さを意味する。好ましい形態の凹部30Bの深さは、樹脂板20Aの厚みを100としたときに、50以下である。好ましい形態の凹部30Bを有する樹脂板20Aによれば、樹脂板20Aの剛性を十分に担保することができる。一例としての凹部30Bの深さは、0.01μm以上0.1μm以下の範囲内である。なお、後述する開口部形成工程において、凹部30Bを除去しつつ、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する場合には、アライメント部30としての凹部30Bによる剛性の低下を考慮する必要はなく、適宜の深さとすることができる。
また、凹部30Bを断面視したときの、凹部の断面形状について特に限定はなく、図5、図6に示すように、凹部30Bの向かい合う内壁面は略平行となっていてもよく、樹脂板20Aの一方の面側から他方の面側に向かって広がりを持つ形状であってもよく、樹脂板20Aの他方の面側から一方の面側に向かって広がりを持つ形状であってもよい。また、曲率を有する形状であってもよい。また、多段形状であってもよい。
アライメント部30としての凹部30Bの形成方法について特に限定はなく、機械加工、レーザー加工、エッチング加工等の従来公知の加工方法を用いることができる。
また、他の一例としての蒸着マスク準備体60は、図7、図8に示すように、一部分が着色された樹脂板20Aを含み、当該着色部分30Cがアライメント部30となっている。なお、図7、図8は、他の一例としての蒸着マスク準備体60の概略断面図であり、図7に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aのみからなり、当該樹脂板20Aの一部分が着色された着色部分30Cを有している。図8に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられた構成を呈しており、当該樹脂板20Aの一部分が着色された着色部分30Cを有している。
樹脂板20A自体が着色部分30Cを有する、他の一例としての蒸着マスク準備体60によれば、例えば、当該蒸着マスク準備体60を平面視したときの着色部分30Cと非着色部分との境界におけるコントラストの差を利用し、アライメント工程において、レーザー光の焦点位置を、コントラストの差が最大となる部分に設定することができる。
上記で説明した各種形態の蒸着マスク準備体60において、アライメント部30の配置位置について特に限定はないが、開口部形成工程において、形成される樹脂マスク開口部25によって除去される位置に、アライメント部30を配置してもよい。つまりは、樹脂マスク開口部25が形成される予定領域に、アライメント部30の一部、或いは全部を位置させてもよい(図16(a)参照)。
また、アライメント部30を、樹脂マスク開口部25が形成される予定領域に位置させる場合には、アライメント部30を有する樹脂板20Aを、当該樹脂板20Aの一方の面側から平面視したときの1つのアライメント部30の面積は、最終的に形成される樹脂マスク開口部25の開口面積よりも小さな面積としておくことが好ましい(図4(b)参照)。この形態によれば、樹脂マスク開口部25を形成するときに、樹脂マスク開口部25が形成される予定領域に位置するアライメント部30を完全に除去することができる。例えば、樹脂板20Aがアライメント部30としての凹部30Bを有する形態とする場合には、樹脂板20Aを、当該樹脂板20Aの一方の面側から平面視したときの凹部30Bの開口面積を、最終的に形成される樹脂マスク開口部25の開口面積よりも小さくしておくことが好ましい。この形態によれば、アライメント部30としての凹部30Bを、樹脂マスク開口部25の形成とともに除去することができ、アライメント部30としての凹部30Bが残存することによる蒸着マスクの強度低下等を抑制することができる。一方で、アライメント部30としての凹部30Bの一部、或いは全部を、樹脂マスク開口部25が形成される予定領域に位置させない場合には、最終的に得られる蒸着マスクにおいて、樹脂マスク開口部25ととともに、アライメント部30としての凹部30Bを残存させることができ、凹部30Bの深さ等を適宜調整することで、蒸着マスク100のさらなる軽量化を図ることができる。
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法では、アライメント部30を利用して、レーザー光の焦点位置を設定した後に、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成する。ここで、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成途中の段階、換言すれば、樹脂板20Aに最終的に樹脂マスク開口部25となる溝が存在している段階に着目すると、レーザー光の照射によるレーザー加工の進行にともない、樹脂板20Aの底面から溝の底面までの厚みは薄くなっていき、溝や、当該溝近傍の樹脂板20Aの強度が低下していくこととなる。そして、この強度の低下にともない、樹脂マスク開口部25が形成される直前においては、樹脂板20Aの一部が千切れてしまい「バリ」や「滓」が発生しやすくなる。また、樹脂板20Aの底面と、溝の底面との厚みは薄くなっていくことに伴い、フォーカスボケに起因した「バリ」や「滓」も発生しやすくなる。具体的には、フォーカスボケによって、レーザー光による樹脂板20Aの分解が正常に行われず、樹脂マスク開口部25のエッジ部に「バリ」が生ずる場合や、分解しきれなかった樹脂板20Aの一部が「滓」として残りやすくなる。なお、本願明細で言う「滓」とは、「デブリ」と同意である。
また、蒸着マスク準備体を加工ステージに載置して、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときに、樹脂板20Aと加工ステージとの間に隙間が存在している場合や、樹脂板20Aと加工ステージとの密着性が十分でない場合には、レーザー光の照射時にフォーカスボケが発生することとなる。
樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときに発生し得る「バリ」や「滓」は、図9(a)に示すように樹脂マスク開口部25の内周側に向かって突出する、及び/又は、図9(b)に示すように、樹脂板20Aの表面に付着する傾向にある。図9(a)に示すような「バリ」や「滓」が発生した場合には、製造された蒸着マスクを用いて、蒸着対象物に蒸着パターンの形成を行う際に、「バリ」や「滓」が蒸着源から放出された蒸着材料を遮断してしまい、蒸着対象物に不十分なパターンが形成されてしまう、いわゆるパターン欠陥を引き起こす要因となる。また、蒸着マスクを用いて、蒸着対象物に精度良いパターン蒸着を行うためには、蒸着マスクと蒸着対象物とが十分に密着していることが必要とされる。しかしながら、図9(b)に示すような「バリ」や「滓」が発生した場合には、蒸着マスクと蒸着対象物との間で密着不良が発生し、画素ボケ等が発生する要因となる。なお、図9は、バリや、滓が発生した樹脂板の一例を示す樹脂マスク開口部近傍の部分拡大正面図である。
そこで、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で用いられる、好ましい形態の蒸着マスク準備体60は、図10〜図13に示すように、蒸着マスク準備体60を構成する樹脂板20Aの一方の面上、及び他方の面上の何れか一方の面上、又は双方の面上に保護層35が設けられている。なお、図10〜図13は、一例としての蒸着マスク準備体60の概略断面図であり、図示する形態では、樹脂板20Aの一方の面上にアライメント部30としての着色層30Aが設けられ、当該着色層30A上、及び樹脂板20Aの他方の面上の何れか一方の面上(図10、図11参照)、及び双方の面上(図12、図13参照)に保護層35が設けられている。なお、図10〜図13に示す形態の、蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられ、樹脂板20Aの一方の面において、金属マスク開口部15と重なる領域の一部にアライメント部30としての着色層30Aが設けられた構成を呈しているが、この形態の蒸着マスク準備体60にかえて、上記で説明した各種形態の蒸着マスク準備体を用いることもできる。また、本願で言う保護層35は、各種の塗工法等により形成された層のみならず、保護シート、保護板等を含む概念である。
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で用いられる蒸着マスク準備体60は、上記で説明したように、樹脂板20Aがアライメント部30を有していることから、樹脂板20Aの一方の面上や、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設けた場合であっても、当該アライメント部30を利用して、レーザー光の焦点を正確に設定することができる。
一例としての蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35が設けられている(図11、図12参照)。この形態の蒸着マスク準備体60によれば、樹脂マスク開口部25の形成時に生じ得る、「バリ」や「滓」の発生を抑制することができる。
樹脂板20Aの他方の面上に設けられる保護層35としては、(i)レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層、(ii)自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層、(iii)樹脂板20Aからの剥離強度を所定の範囲とした保護層、(iv)これら(i)〜(iii)を適宜組合せた保護層35等を挙げることができる。
(i):レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層
レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35としては、例えば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に用いられるレーザー光の波長の透過率が70%以上、好ましくは80%以上の保護層35を挙げることができる。なお、レーザー光の波長は、用いられるレーザー光の種別に応じて異なり、例えば、樹脂板20Aの材料としてポリイミド樹脂を用いる場合には、YAGレーザーや、エキシマレーザー等が用いられる。なお、微細加工には、レーザー光の波長が355nmのYAGレーザー(第3高調波)や、レーザー光の波長が248nmのエキシマレーザー(KrF)が適している。したがって、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35の材料を選定するにあたっては、開口部形成工程において、樹脂マスク開口部25を形成するために用いられるレーザーの種別に応じて、レーザー光の透過率が上記好ましい透過率となるように保護層35の材料を適宜設定すればよい。例えば、樹脂板20Aの材料として、後述するポリイミド樹脂等を用いる場合には、一般的に、樹脂マスク開口部25を形成時に355nm程度のレーザー光の波長が選択される。したがって、この場合には、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35の材料として355nmの波長を吸収しない、或いは当該波長の吸収を抑制可能な材料を用いればよい。355nmの波長により加工されない、或いは加工されにくい材料としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂や、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。
保護層35の透過率を上記好ましい範囲に調整する方法としては、保護層35の厚みを調整する方法、具体的には、保護層35の厚みを薄くする方法や、保護層35の樹脂材料として透明性の高い樹脂材料等を用いる方法を挙げることができる。
レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35の形成方法としては、例えば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際のレーザー光の波長を透過しやすい材料、換言すれば、樹脂マスク開口部25を形成する際のレーザー光の波長を吸収しない、或いは吸収しにくい材料を適当な溶媒に分散、或いは溶解した塗工液を、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、カーテンコート、ダイコート、バーコート、コンマコート、ナイフコート、グラビア印刷、スクリーン印刷、グラビア版を用いたリバースロールコーティング等の従来公知の塗工法を用いて樹脂板20Aの他方の面上に塗工することで形成することができる。
また、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35は、樹脂板20Aから除去可能に設けられている。「樹脂板20Aから保護層35が除去可能」とは、保護層35が、物理的、或いは化学的な手段によって樹脂板20Aから除去可能な状態であることを意味する。例えば、上記で例示したポリビニルアルコール樹脂から構成される保護層35とした場合には、当該ポリビニルアルコール樹脂のケン化度や、重合度を調整することで、保護層35のみを水により溶解除去することができる。
具体的には、ケン化度が70mol%以上95mol%以下、好ましくは75mol%以上91mol%以下のポリビニルアルコールを保護層35の材料として用いることで、水によって保護層35を容易に溶解除去することができる。なお、この範囲外のポリビニルアルコール樹脂を用いた場合には、水への溶解性が低下する傾向にある。さらに5%水溶液とした時の粘度は、23℃、シェアレート100(1/s)の時に100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下である。粘度が高い程、水への溶解性が困難になり塗布や溶解除去が困難になる。ここで説明する粘度はAnton Paar製Physica MCR301により測定される粘度である。
また、水にかえて、各種の有機溶剤で溶解除去するものを保護層35の材料として選択してもよいが、この場合には、樹脂板20Aの材料としては、当該有機溶剤によって溶解されないものを用いればよい。
また、上記方法によって、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設ける場合には、保護層35の材料として、低温で膜形成が可能な材料を用いることが好ましい。膜形成時における温度が高くなるにつれ、熱歪によって、樹脂板20Aが変形するリスクが高まり、樹脂板20Aに形成される樹脂マスク開口部25の寸法に誤差が生じやすくなる。低温での膜形成が可能な保護層35の材料としては、ポリビニルアルコール樹脂やポリエチレンオキサイド樹脂等の水溶性樹脂や、メタノールやエタノール等の溶剤に可溶な溶剤性樹脂等を挙げることができる。また、保護層35を塗工により形成する場合の好ましい温度の上限としては100℃程度である。また、膜形成時における温度とは、保護層となる塗膜を塗工した後の乾燥温度を意味する。
上記では、各種塗工法によって、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35を設けた例を説明したが、各種の塗工法にかえて、従来公知の接着剤を用いて、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設けることもできる。この場合、接着剤等による樹脂板20Aと保護層35との密着力等を調整することで、後述する保護層35を除去する工程で、樹脂板20Aから保護層35を物理的に剥離除去することができる。なお、樹脂板20Aから保護層35を物理的に剥離除去する際に、樹脂板20A、或いは任意に設けられる金属マスク10の厚みによっては、樹脂板20Aや、金属マスク10に変形が生ずる場合も起こり得る。したがって、この点を考慮すると、保護層35の除去は、物理的な手段以外の手段で行うことが好ましく、化学的な手段、例えば、溶解によって除去することが好ましい。したがって、保護層35の材料は、水や、有機溶剤によって溶解除去することが可能な材料であることが好ましい。
レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35の厚みについて特に限定はないが、保護層35の厚みが厚すぎる場合には、樹脂板20Aが歪んでしまい、樹脂板20Aに形成される樹脂マスク開口部25の寸法に誤差が生じやくすなる傾向にある。また、保護層35の厚みが薄すぎる場合には、樹脂板20Aの強度低下を防止できずレーザー光の熱エネルギーによりクラックが発生しやすくなる傾向にある。また、フォーカスボケを効果的に防止することができない場合が生じ得る。また、樹脂板20Aの面のうち、アライメント部30が設けられている側の面に、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35を設ける場合には、当該保護層35の厚みが厚くなるにつれ、アライメントの精度が低下していく傾向にある。したがって、この点を考慮すると、樹脂板20Aの面のうち、アライメント部30が設けられている側の面に、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35を設ける場合には、当該保護層35の厚みは0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。また、樹脂板20Aの面のうち、アライメント部30が設けられていない側の面に、レーザー光により加工されない、或いは加工されにくい保護層35を設ける場合には、当該保護層35の厚みは1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上75μm以下であることがより好ましく、2μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上30μm以下の範囲であることが特に好ましい。なお、保護層35に生じ得る破損や、クラック等の抑制の観点からは、保護層35を樹脂板20Aの何れの面側に設ける場合においても、保護層35の厚みは1μm以上であることが好ましい。
(ii)自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層
また、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に生じ得る、「バリ」や「滓」の発生を抑制すべく、樹脂板20Aの他方の面上に、自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層35を設けることもできる。
本願明細書で言う保護層35の自己吸着性とは、保護層35自体の機構によって樹脂板20Aの他方の面上に吸着可能な性質を意味する。具体的には、樹脂板20Aの他方の面と保護層35との間に接着剤、粘着剤等を介さず、また、樹脂板20Aと保護層35とを外部機構、例えば、磁石等によって引き付けることを要せずに、樹脂板20Aの他方の面上に密着させることができる性質を意味する。このような自己吸着性を有する保護層35によれば、樹脂板20Aと接したときに、エアー(空気)を退けながら樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を吸着させることができる。また、保護層35として自己吸着性を有する保護層35を用いた場合には、当該保護層35を樹脂板20Aから剥離したときに、樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20A(樹脂マスク開口部を有する樹脂マスク)の表面が、保護層35の材料等によって汚染されることもなく、洗浄処理等を要しない。
自己吸着性を有する保護層35としては、例えば、保護層35を構成する樹脂材料自体の働きにより自己吸着性が発現されるものを用いることができる。
このような保護層35の樹脂材料について特に限定はないが、自己吸着性を発現させることができる材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。中でも、自己吸着性を発現させることができるシリコーン系樹脂や、ウレタン系樹脂を含む保護層35によれば、樹脂板20Aに保護層35を吸着させるときのエアー抜けがよく、他の樹脂材料を含む保護層35と比較して、樹脂板20Aに保護層35を密着性よく吸着させることができる。さらには、自己吸着性を発現させることができるシリコーン系樹脂や、ウレタン系樹脂を含む保護層35によれば、樹脂板20Aと保護層35との剥離力を小さくすることができ、最終的に樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20A(樹脂マスク開口部を有する樹脂マスク)にダメージを与えることなく、保護層35を剥離することができる。この点で、自己吸着性を発現させることができるシリコーン系樹脂や、ウレタン系樹脂は、保護層35の材料として好ましい樹脂材料である。中でも、より高いエアー抜け性を付与することができるウレタン系樹脂が好ましい。なお、保護層35は、1種の樹脂を単独で含有していてもよく、2種以上の樹脂を含有していてもよい。また、樹脂材料自体が吸着性を有する保護層35として、例えば、特開2008−36895号公報に記載されている素材自体が吸着性を有するシート状物等を用いることもできる。
また、上記樹脂材料自体の働きにより自己吸着性を有する保護層35にかえて、その表面がセル吸盤構造を有する保護層35を用いてもよい。セル吸盤構造とは、表面に形成された連続する微細な凹凸構造を意味し、この連続する微細な凹凸構造が吸盤としての作用を奏することで保護層35に自己吸着性が付与される。このような保護層35としては、例えば、特開2008−36895号公報に記載されているセル吸盤構造を有するシート状物等を挙げることができる。なお、セル吸盤構造を有する保護層35の樹脂材料としては、シリコーン系樹脂や、ウレタン系樹脂が好ましい。
また、保護層35の樹脂板20Aと接する側の表面に接着処理を施すことで、保護層35に粘着性(接着性と言う場合もある)を発現させることもできる。接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等を挙げることができる。
また、保護層35は、自己吸着性、或いは自己粘着性とともに剥離性を有していることが好ましい。自己吸着性、或いは自己粘着性とともに剥離性を有する保護層35によれば、保護層35を剥離するための別途の処理を施すことなく、例えば、溶解処理や、UV照射処理等を行うことなく、樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20A(樹脂マスク開口部を有する樹脂マスク)から保護層35を剥離除去することができる。保護層の剥離強度としては、後述する(iii)樹脂板20Aからの剥離強度を所定の範囲とした保護層で説明する剥離強度が好適である。
樹脂板20Aの他方の面上に直接的に保護層35を設けることにかえて、樹脂板20Aの他方の面上に、接着性或いは粘着性を有する層(以下、中間層と言う場合がある。)を介して保護層35を間接的に設けてもよい。
保護層35自体が、自己吸着性や自己粘着性を有しない場合には、中間層は、樹脂板20Aと保護層35とを密着させるための役割を果たす。つまり、中間層として接着性或いは粘着性を有する層が用いられる。
中間層は、1つの層からなる単層構成を呈していてもよく、2以上の層が積層されてなる積層構成を呈していてもよい。例えば、樹脂板20A側から、樹脂板20Aと保護層35とを密着させるための接着層、保護層35を剥離するときの剥離強度を調整するための剥離層がこの順で積層されてなる中間層を、樹脂板20Aと保護層35との間に設けてもよい。
中間層は、樹脂板20Aから保護層35を剥離するときに、当該保護層35とともに樹脂板20Aから剥離される層であってもよく、樹脂板20A側に残存する層であってもよい。なお、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成する工程において、保護層35や、中間層がレーザー光で分解された場合には、新たな「バリ」や、「滓」の発生源となることから、保護層35や、中間層はレーザー光によって加工されない、或いは加工されにくいものであることが好ましい。なお、レーザー光によって加工されない、或いは加工されにくい中間層を、樹脂板20A側に残存する構成とした場合には、残存した中間層が、樹脂板20Aに形成された樹脂マスク開口部25を塞いでしまうこととなり好ましくない。この点を考慮すると、中間層の材料は、レーザー光によって加工されず、或いは加工されにくく、且つ、樹脂板20Aから保護層35とともに除去可能な層であることが好ましい。
樹脂板20Aの他方の面上に間接的に設けられる保護層35としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
中間層の材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等を挙げることができる。
中間層の厚みについて特に限定はないが、1μm以上50μm以下の範囲であることが好ましく、3μm以上20μm以下の範囲であることがより好ましい。
中間層の形成方法について特に限定はなく、例えば、中間層を構成する樹脂材料の1種、或いは2種以上、更には、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に溶解、或いは分散してなる中間層用塗工液を、樹脂板20Aの他方の面上に塗工することで形成することができる。また、塗工により中間層を形成する方法にかえて、粘着シート等を貼着して、中間層を形成することもできる。
(iii)樹脂板20Aからの剥離強度を所定の範囲とした保護層
樹脂板20Aからの剥離強度を所定の範囲とした保護層35としては、樹脂板20Aの他方の面上に設けられる保護層のJIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0004N/10mm以上0.2N/10mm未満の保護層35が好ましい。
樹脂板20Aの他方の面上に、JIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0004N/10mm以上0.2N/10mm未満の保護層35が設けられた蒸着マスク準備体60を用いた本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、蒸着マスク準備体60の樹脂板20Aにレーザー光を照射し、樹脂板20Aを分解して樹脂マスク開口部25を形成する際に、「バリ」や「滓」が生ずることを抑制することができる。これにより、樹脂マスク開口部25を含み、高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスク100を得ることができる。また、この形態の保護層35によれば、樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20A(樹脂マスク開口部を有する樹脂マスク)から保護層35を剥離する際に、樹脂板20Aがダメージを受けることや、保護層35を剥離する前に、意図しない保護層35の剥離を抑制することができる。
また、樹脂マスク開口部25を形成する工程において、樹脂板20Aが分解されることにより樹脂板20Aの「滓」が、保護層35の表面等に付着した場合であっても、本工程において、この「滓」を保護層35ごと剥離除去することができる。
樹脂板20Aからの剥離強度を所定の範囲とした保護層を有する好ましい形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの他方の面上にJIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0012N/10mm以上0.012N/10mm以下の保護層が設けられている。より好ましい形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの他方の面上にJIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.002N/10mm以上0.04N/10mm以下の保護層が設けられている。特に好ましい形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの他方の面上にJIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.002N/10mm以上0.02N/10mm以下の保護層35が設けられている。
本願明細書で言う剥離強度とは、JIS Z−0237:2009で準拠される180°引きはがし粘着力と同義であり、剥離強度の測定は、JIS Z−0237:2009における(方法2):背面に対する180°引きはがし粘着力に準拠して行うことができる。具体的には、ステンレス板に、試験テープ(その表面に粘着剤を有するポリイミドフィルム(ポリイミドテープ5413(スリーエムジャパン(株)製))を、ステンレス板と粘着剤とが対向するようにして貼り合わせた試験板を用い、この試験板のポリイミドフィルムに、試験片としての保護層を貼り、試験片としての保護層を、試験板としてのポリイミドフィルムから180°引きはがすときの剥離強度(対ポリイミド)を、JIS Z−0237:2009に準拠した方法で測定することで、保護層の剥離強度を測定することができる。剥離強度の測定を行う測定機は、電気機械式万能試験機(5900シリーズ インストロン社製)を用いることとする。
このましい形態の保護層35は、剥離強度が上記好ましい範囲を満たし、自己吸着性、或いは自己粘着性を有している。自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層35としては、上記(ii)自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層で説明したものを適宜選択して用いることができる。また、上記(ii)自己吸着性、或いは自己粘着性を有する保護層で説明した中間層を適宜選択して、剥離強度を上記好ましい範囲に調整することもできる。
また、上記で例示した各種形態の保護層35(上記(i)〜(iii)の保護層)として、保護層35を支持部材によって支持させた支持部材一体型の保護層(図示しない)を用いることもできる。支持部材一体型の保護層35とすることで、保護層35自体の厚みを薄くしていった場合であっても、保護層35のハンドリング性等を良好なものとすることができる。支持部材の厚みについて特に限定はなく、保護層35の厚みに応じて適宜設定することができるが、3μm以上200μm以下であることが好ましく、3μm以上150μm以下であることがより好ましく、3μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上75μm以下であることが特に好ましい。
支持部材の材料についても特に限定はなく、樹脂材料、ガラス材料等を用いることができるが、柔軟性等の観点から、樹脂材料を用いることが好ましい。
一例としての保護層35は、樹脂板20Aの他方の面であって、最終的に樹脂板20Aに形成される樹脂マスク開口部25と厚み方向において重なる位置に設けられている。樹脂板20Aの他方の面上には、1つの保護層35が設けられていてもよく、複数の保護層35が設けられていてもよい。図14(a)、(b)に示す形態では、樹脂板20Aの他方の面上に、1つの保護層35が設けられている。なお、図14(a)は、一例としての蒸着マスク準備体60を保護層35側から見た正面図であり、図14(b)は概略断面図である。図14に示す形態では、保護層35の横方向(図中の左右方向)の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さよりも短くしているが、保護層35の横方向の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さと同じ長さとし、保護層35の端面と、樹脂板20Aの端面の面位置が一致するようにしてもよく、保護層35の横方向の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さよりも長くして、保護層35の外周を樹脂板20Aから突出させてもよい。保護層35の縦方向の長さについても同様である。また、後述する各種形態の保護層35についても同様である。
なお、図14に示す形態の蒸着マスク準備体60において、樹脂板20Aと金属マスク10との間に、保護層35を位置させてもよい。
また、一例としての蒸着マスク準備体60は、図15(a)〜(c)に示すように、樹脂板20Aの他方の面上に、複数の保護層35が設けられている。図15(a)に示す形態は、縦方向に延びる保護層35が横方向に複数設けられており、図15(b)に示す形態は、横方向に延びる保護層35が縦方向に複数設けられている。また、図15(c)に示すように、複数の保護層35を、互い違いにランダムに設けてもよい。これらの形態によれば、樹脂板20Aを大型化していった場合、換言すれば、最終的に製造される蒸着マスク100を大型化していった場合であっても、簡便に、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設けることができる。特に、保護層35が、自己吸着性を有する保護層35である場合には、保護層35の大きさが大きくなっていくにしたがい、樹脂板20Aと保護層35との間にエアーが残存するリスクが大きくなるが、保護層35を複数の分割し、その大きさを小さくすることで、樹脂板20Aの他方の面と、各保護層35との間にエアー等が残存するリスクを低減させることができ、簡便に、樹脂板20Aと保護層35との密着性を高めることができる。また、樹脂板20A上に保護層35を貼り合わせるときの人為的なミス等により、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する工程の前に、樹脂板20Aの他方の面上に設けられた保護層35を剥離する必要が生じた場合であっても、当該対象となっている保護層35を剥離するだけで足り、作業効率の点でも好ましい。
樹脂板20Aの他方の面上に複数の保護層35を設ける場合における保護層35の大きさ等について特に限定はなく、例えば、最終的に形成される樹脂マスク開口部の1つ、或いは複数の樹脂マスク開口部25を覆うことができる大きさとしてもよく、後述する「1画面」、或いは複数の画面を覆うことができる大きさとしてもよい。好ましい形態の保護層35は、複数の保護層35のそれぞれは、後述する「1画面」、或いは複数の画面と重なる大きさとなっている。特に、後述する好ましい形態の蒸着マスクでは、各画面間の間隔は、樹脂マスク開口部25の間隔よりも広くなっていることから、作業性の観点からは、保護層35は、「1画面」、或いは複数の画面を覆うような大きさであって、且つ「1画面」、或いは複数の画面と厚み方向で重なる位置に設けることが好ましい。なお、図14、図15では、アライメント部30の記載は省略している。
上記で例示した各種形態の保護層35(上記(i)〜(iii)の保護層)にかえて、樹脂板20Aの一方の面上、及び他方の面上の何れか一方、又は双方の面上に、保護層35としての防汚層を設けることもできる。
保護層35としての防汚層を有する樹脂板20A、及びこの樹脂板20Aを含む蒸着マスク準備体60によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に、蒸着マスク準備体60に付着した「滓」等を、防汚層によって除去することができる。
保護層35としての防汚層は、レーザー光を照射して、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に生じ得る「滓」が付着等しにくい、或いは「滓」が付着した場合であっても、当該「滓」を洗浄によって容易に除去可能である、又は、保護層35としての防汚層自体を除去できるとの条件を満たすものであれば、防汚層の材料について特に限定はない。
一例としての防汚層は、溶媒によって除去可能である。換言すれば、防汚層は、溶媒可溶性材料から構成されている。この防汚層によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成した際に、「滓」が発生し、当該滓が、蒸着マスク準備体60に付着した場合であっても、当該付着等した「滓」を、その後の洗浄によって防汚層とともに除去することができる。したがって、一例としての防汚層は、樹脂マスク開口部25を形成する際に生じ得る「滓」が付着等しやすい層であってもよい。溶媒の一例としては、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、エタノール等の有機溶剤や、水等を挙げることができる。
また、保護層35としての防汚層の厚みによっては、当該防汚層が、後述するシャドウの発生を引き起こす場合もあるが、一例としての防汚層は、当該防汚層に付着した「滓」とともに、蒸着マスク準備体60から除去されることから、防汚層の厚みについて特に考慮を要しない。
溶媒によって除去可能な樹脂材料としては、例えば、水溶性樹脂等を挙げることができる。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロエチルセルロース、カルボキシメチルセルロス、フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸などの水溶性のアクリル樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびそれらの変性物などが挙げられる。水系樹脂とは塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョンなどの塩ビ系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、塩ビ系樹脂ディスパージョン、アクリル系樹脂ディスパージョン、ウレタン系樹脂ディスパージョンなど溶媒の一部が水で構成されているものを挙げることができる。
また、従来公知の溶剤、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール等の有機溶剤によって溶解・除去可能な防汚層とすることもできる。このような材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂などを挙げることができる。
他の一例としての防汚層は、溶媒によって除去不能な防汚層である。換言すれば、防汚層は、溶媒不溶な材料から構成されている。この防汚層によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に、蒸着マスク準備体60の防汚層に付着した「滓」を、その後の洗浄によって除去することができる。なお、この形態の防汚層は、洗浄時に、蒸着マスク準備体60から除去されることなく、蒸着マスクを構成する層としてそのまま残存することから、その後の使用時において蒸着マスクに付着した異物等を、物理的に大きな力を加えることなく当該防汚層を利用して容易に除去することができる。
溶媒によって除去不能な防汚層としては、溶媒に溶解不能であり、かつ樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際に生じうる「滓」が付着等しにくい、或いは付着等した滓を容易に除去しやすい性質を有する材料を適宜選択して用いることができる。このような材料としては、例えば、「反射防止フィルム」、「撥水シート」等の分野で従来公知の防汚層を用いることができる。具体的な材料としては、例えば、離型性樹脂を挙げることができる。離型性樹脂は、溶媒に溶解不能であり、かつ、樹脂板20Aに変形を生じさせることのない温度で、防汚層を形成することが可能な点で、他の一例としての防汚層の材料として好適である。離型性樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
他の一例としての防汚層は、溶媒によって除去不能であり、洗浄を繰り返し行った場合であっても、蒸着マスク準備体60(樹脂マスク開口部が形成された樹脂マスクを含む蒸着マスク)側に残存する層である。したがって、防汚層の厚みを厚くしていった場合には、見かけ上の樹脂板20A(樹脂マスク20)の厚みが厚くなり、防汚層の厚みによってはシャドウの発生を防止できない場合が生じ得る。したがって、防汚層の厚みについては、この点を考慮して決定することが好ましく、具体的には2μm以下であることが好ましい。下限値について特に限定はないが、防汚層形成の容易性の点からは100nm程度である。より好ましい防汚層の厚みの一例としては、100nm以上1μm以下の範囲内である。
保護層35としての防汚層の形成方法について特に限定はなく、樹脂板20Aの一方の面、及び樹脂板20Aの他方の面上の何れか一方の面上、又は双方の面上に、防汚層を構成する樹脂材料を、適当な溶媒に溶解、又は分散した塗工液を、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、カーテンコート、ダイコート等の従来公知の塗工方法を用いて、塗工・乾燥することで形成することができる。なお、蒸着マスク準備体60が、樹脂板20Aの一方の面上に設けられる金属マスク開口部15を有する金属マスクを含む場合であって、この方法により防汚層を形成する場合には、金属マスク10の頂面、及び/又は金属マスク開口部15の内壁面に防汚層を形成することができる。金属マスク10の頂面や、金属マスク10の金属マスク開口部15を構成する内壁面に防汚層を形成することで、金属マスク10の頂面や、金属マスク開口部15を構成する内壁面に、「滓」が付着等した場合であっても、当該付着等した「滓」を洗浄によって容易に除去することができる。
図13は、保護層35を有する蒸着マスク準備体60の一例を示す概略断面図であり、図13(a)に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面上、及び他方の面上に、それぞれ複数の保護層35が設けられている。図13(b)に示す形態の蒸着マスク準備体60は、アライメント部30を覆うようにして、樹脂板20Aの一方の面上に複数の保護層35が設けられ、樹脂板20Aの他方の面上に、1つの保護層35が設けられている。図13(c)に示す形態の蒸着マスク準備体60は、図13(b)に示す蒸着マスク準備体60において、樹脂板20Aの他方の面上に複数の保護層35が設けられている。図13(d)に示す形態の蒸着マスク準備体60は、樹脂板20Aの一方の面を覆うようにして、1つの保護層35が設けられ、樹脂板20Aの他方の面上に複数の保護層35が設けられている。また、これらの形態を適宜組合せた形態とすることもできる。また、図示する形態では、アライメント部30を、着色層30Aとしているが、これ以外のアライメント部30であってもよい(図2、図3、図5、図6〜図8参照)。
なお、上記で説明した各形態の保護層35を、樹脂板20Aのアライメント部30が設けられている面側であって、アライメント部30と厚み方向において重なるように設ける場合には、保護層35のアライメント光に対する透過率は50%以上であることが好ましい。
<蒸着マスク準備体をフレームに固定する工程>
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法では、樹脂マスク開口部25を形成する前の任意の工程間、或いは工程前後に、蒸着マスク準備体60をフレームに固定する工程を備えていてもよい。本工程は、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法における任意の工程であるが、レーザー光を照射して、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する前の段階で、蒸着マスク準備体60を予めフレームに固定しておくことで、得られた蒸着マスク100をフレームに固定する際に生じる取り付け誤差を抑制することができる。
フレームと蒸着マスク準備体との固定は、フレームの表面において行ってもよく、フレームの側面において行ってもよい。
図18(a)に示すように、フレーム40は、略矩形形状の枠部材であり、最終的に得られる蒸着マスク100の樹脂マスク20に設けられた樹脂マスク開口部25を蒸着源側に露出させるための貫通孔を有する。フレームの材料について特に限定はないが、剛性が大きい金属材料、例えば、SUS、インバー材、セラミック材料などを用いることができる。中でも、金属フレームは、蒸着マスクの金属マスクとの溶接が容易であり、変形等の影響が小さい点で好ましい。
フレームの厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から10mm以上30mm以下の範囲であることが好ましい。フレームの開口の内周端面と、フレームの外周端面間の幅は、当該フレームと、蒸着マスクの金属マスクとを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm以上70mm以下の範囲の幅を例示することができる。
また、図18(b)〜(d)に示すように、フレーム40として、樹脂板20Aに形成される樹脂マスク開口部25の露出を妨げない範囲で、貫通孔の領域に補強フレーム45等が設けられたフレーム40を用いてもよい。換言すれば、フレーム40が有する開口が、補強フレーム等によって分割された構成を有していてもよい。補強フレーム45を設けることで、当該補強フレーム45を利用して、フレーム40と蒸着マスク準備体60とを固定することができる。具体的には、上記で説明した蒸着マスク準備体60を縦方向、及び横方向に複数並べて固定するときに、当該補強フレームと蒸着マスク準備体60が重なる位置においても、フレーム40に蒸着マスク準備体60を固定することができる。
フレーム40と蒸着マスク準備体60との固定方法についても特に限定はなく、レーザー光等により固定するスポット溶接、接着剤、ねじ止め、或いはこれ以外の方法を用いて固定することができる。
また、後述する開口部形成工程の後に、樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20A(樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20を含む蒸着マスク100)を、フレームに固定してもよい。
<アライメント工程>
アライメント工程は、蒸着マスク準備体60の樹脂板20Aが有するアライメント部30を利用して、レーザー光の焦点位置を設定する工程である(図1(b)、図16(b)、図17(b)参照)。レーザー光の焦点位置を設定するためのアライメント機構としては、一般的なレーザー加工機が有するアライメント機構を適宜選択して用いることができる。一例としてのアライメント工程は、カメラが検出する光の光軸と同軸にアライメント光(観察光と言う場合もある)を照射し、アライメント部30と厚み方向において重なる領域、及びアライメント部30の外周と厚み方向において重なる領域で反射したアライメント光の反射光をカメラ等の撮像装置を用いて撮像し、撮像された陰影画像を参照して行われる。照射されるアライメント光の波長域について限定はないが、例えば、可視光域である360nm以上830nm以下の範囲である。一例としてのアライメント機構は、CCDカメラと画像認識機構とを有している。レーザー光の焦点位置の設定を行うにあたっては、例えば、上記で撮像された陰影画像のうち、コントラストが最大となる部分を、レーザー光の焦点位置として設定すればよい。
一例としてのレーザー加工機は、ダイクロイックミラーと、レンズを介して、樹脂板20Aにレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、上記ダイクロイックミラーと、上記レンズを透過させ、樹脂板20Aにアライメント光(観察光)を照射する照射手段と、アライメント光に基づいて、レーザー光の焦点位置を決定する焦点位置決定手段とを備えている。一例としてのレーザー加工機によれば、焦点位置決定手段によりレーザー光の焦点位置を決定した後に、光学筒の前面に配置されたシャッターを開くことで、アライメント工程において決定されたレーザー光の焦点位置に対して、レーザー光を照射することが可能となる。なお、一例としての加工機において、レーザー発振装置から発振されたレーザー光は、シャッターを介して、光学筒の側面に入射され、光学筒内に配されたダイクロイックミラーを介してレンズに入射される。この形態のレーザー加工機においては、レンズの高さ位置を、上記アライメント工程において決定されたレーザー光の焦点位置となるように設定することで、アライメント工程において決定されたレーザー光の焦点位置に対して、レーザー光を照射することが可能となる。
また、上記アライメント加工機は、アライメント光の照射により決定される焦点位置と、レーザー光の焦点位置とのズレの補正を行う補正手段を備えていてもよい。例えば、アライメント光により決定される焦点位置と、実際にレーザー光を照射するときのレーザー光の焦点位置とのズレ量を予め測定しておき、このズレ量に基づいてレンズの高さ位置補正を行うことで、焦点位置のズレ補正を行うことができる。なお、レーザー加工機についていかなる限定もされることはなく、例えば、特許第5293782号公報や、特開2005−77857号公報等に提案がされているレーザー加工機を用いることもできる。また、上記で説明した一例としてのレーザー加工機において、アライメント用のレンズと、レーザー加工用のレンズがそれぞれ異なるものであってもよい。
レーザー光の焦点位置は、アライメント部30を利用して設定すればよく、コントラストが最大となる部分に焦点位置を設定してもよく、コントラストが最大となる部分の近傍の樹脂板20Aの表面に設定してもよい。また、アライメント部30としての着色層30Aを有する形態とする場合には、コントラストが最大となる部分の近傍に位置するアライメント部30としての着色層30Aの表面に焦点位置を設定してもよい。
また、蒸着マスク準備体60を加工ステージに載置した状態で、アライメント工程を行ってもよいが、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、加工ステージへの蒸着マスク準備体60の載置を必須の条件とするものではなく、例えば、加工ステージに蒸着マスク準備体60を載置せず、フレームに蒸着マスク準備体60を固定した状態で、或いはこれ以外の方法で、蒸着マスク準備体の樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25の形成を行うこともできる。
<開口部形成工程>
開口部形成工程は、上記アライメント工程において、レーザー光の焦点位置を設定した後に、樹脂板20Aにレーザー光を照射して、当該樹脂板20Aに、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する工程である。当該工程を経ることで、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20を含む蒸着マスク100を得る(図1(c)参照)。なお、本願明細書では、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25が形成されたものを樹脂マスク20と称する場合がある。
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する開口部形成の前に、レーザー光の焦点を設定するアライメント工程が行われることから、開口部形成工程においては、樹脂マスク開口部25を精度良く形成することができる。
本工程で用いられるレーザー装置については特に限定されることはなく、従来公知のレーザー装置を用いればよい。また、本願明細書において蒸着作製するパターンとは、当該蒸着マスクを用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機EL素子の有機層の形成に用いる場合には、当該有機層の形状である。
図1に示す形態にかえて、図16、図4(b)に示すように樹脂板20Aの開口部形成予定領域にアライメント部30の一部、或いは全部を位置させ、開口部形成工程において、開口部形成予定領域のアライメント部30を除去しつつ、樹脂マスク開口部25を形成することもできる。また、図16では、蒸着マスク準備体60として、樹脂板20Aのみからなる蒸着マスク準備体60を用いているが、図17に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられた蒸着マスク準備体60を用いることもできる。図16、図17は、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図である。
また、上記保護層35を有する蒸着マスク準備体を用いる形態にかえて、樹脂板20Aの他方の面を液体と接触させた状態で樹脂マスク開口部25の形成を行ってもよい。この方法によれば、レーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成するときに、樹脂板20Aを均熱化することができ、熱による樹脂板20Aの変形を防止することができる。具体的には、樹脂マスク開口部25の形成に際し、レーザー光が照射された部分に位置する樹脂板20Aは、レーザー光が照射されていない部分に位置する樹脂板20Aよりも高温部分となり、樹脂板20Aの部分的な温度変化によって、樹脂板20Aに歪や変形等が生ずる場合が起こり得るが、樹脂板20Aの他方の面を液体と接触させることで、樹脂板20A全体としての均熱化を図ることができる。なお、レーザー光の照射によって樹脂板20Aが変形した場合には、当該樹脂板20Aに形成される樹脂マスク開口部25の寸法精度が低下する傾向にある。
樹脂板20Aの他方の面と、液体との接触方法について特に限定はないが、加工ステージと樹脂板20Aの他方の面との隙間を、液体で充填するように接触させる方法を挙げることができる。また、液中に樹脂板20A全体を浸漬させて、樹脂板20Aの両面を液体と接触させることもできる。
また、樹脂板20Aの他方の面を液体と接触させる方法によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときに、不純物等が発生した場合であっても、液体とともに、当該不純物を除去することができる。
樹脂板20Aの他方の面と接触する液体について特に限定はないが、少なくとも樹脂板20Aを溶解させない液体であることが必要である。樹脂板20Aの他方の面と接触する液体としては、粘度が、0.1mPa・s以上10mPa・s以下の液体を好適に用いることができる。当該粘度の液体を用いることで、樹脂板20Aの他方の面の表面に微視的な凸凹やうねりがあっても、当該微視的な凹凸やうねりに追従するように液体を接触させることができる。換言すれば、樹脂板20Aの他方の面の表面を液体によって、空隙なく覆うことができる。上記粘度の液体の一例としては、水を挙げることができるが、粘度が上記範囲内の水以外の液体を用いることもできる。また、ここで説明する液体の粘度はAnton Paar製Physica MCR301により測定される粘度である。
<除去工程>
また、蒸着マスク準備体60として、保護層35を有する蒸着マスク準備体60を用いる場合には、開口部形成工程の後に、必要に応じて、保護層35を除去する工程を行ってもよい。
(蒸着マスク)
次に、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で製造される蒸着マスクについて一例を挙げて説明する。
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で製造される一例としての蒸着マスクは、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20の一方の面上に、金属マスク開口部15を有する金属マスク10が積層された構成を呈している。図19(a)は、本開示の各実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図であり、図19(b)は、図19(a)のA−A概略断面図である。図示する形態では、アライメント部30、及び任意の保護層35の記載を省略しているが、上記で説明した蒸着マスク準備体60において、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25が形成されてなるものを樹脂マスク20とすればよい。
例えば、以下で説明する蒸着マスク100において、樹脂マスク20の一方の面上、及び他方の面上の何れか一方、又は双方の面上に保護層35が設けられた蒸着マスク100とすることもできる(図28、図29参照)。また、各図に示す形態の蒸着マスク100において、金属マスク開口部15を有する金属マスク10を除いた構成とすることもできる。また、各図に示す形態の蒸着マスク100において、保護層35を除いた構成とすることもできる。また、各図に示す形態の蒸着マスク100において、金属マスク10、及び保護層35を除いた構成とすることもできる。また、図28に示す形態の蒸着マスク100では、樹脂マスク20の一方の面上に設けられている保護層35に貫通孔が形成されているが、貫通孔が形成されていない保護層35としてもよい。
図示する形態では、樹脂マスク開口部25の開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、樹脂マスク開口部25の開口形状は、ひし形、多角形状であってもよく、円や、楕円等の曲率を有する形状であってもよい。なお、矩形や、多角形状の開口形状は、円や楕円等の曲率を有する開口形状と比較して発光面積を大きくとれる点で、好ましい樹脂マスク開口部25の開口形状であるといえる。
(樹脂マスク)
樹脂マスク20の材料について限定はなく、レーザー加工等によって高精細な樹脂マスク開口部25の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。この樹脂材料を用いた樹脂マスクとすることで、樹脂マスク開口部25の寸法精度を向上させることができ、かつ熱や経時での寸法変化率や吸湿率を小さくすることができる。したがって、最終的に樹脂マスク20となり、蒸着マスク準備体60を構成する樹脂板20Aとしては、例えば、上記に例示した好ましい樹脂材料から構成される樹脂板を用いることが好ましい。
樹脂マスク20の厚みについて特に限定はないが、シャドウの発生の抑制効果をさらに向上せしめる場合には、樹脂マスク20の厚みは、25μm以下であることが好ましく、10μm未満であることがより好ましい。下限値の好ましい範囲について特に限定はないが、樹脂マスク20の厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。特に、樹脂マスク20の厚みを、3μm以上10μm未満、より好ましくは4μm以上8μm以下とすることで、400ppiを超える高精細パターンを形成する際のシャドウの影響をより効果的に防止することができる。また、樹脂マスク20と後述する金属マスク10とは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して樹脂マスク20と金属マスク10とが接合される場合には、樹脂マスク20と粘着剤層との合計の厚みが上記好ましい厚みの範囲内であることが好ましい。なお、シャドウとは、蒸着源から放出された蒸着材の一部が、金属マスクの金属マスク開口部や、樹脂マスクの樹脂マスク開口部の内壁面に衝突して蒸着対象物へ到達しないことにより、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる現象のことをいう。したがって、最終的に樹脂マスク20となり、蒸着マスク準備体を構成する樹脂板20Aの厚みは上記の厚さとすることが好ましい。なお、樹脂板20Aは、金属マスク10に対して、粘着剤層や接着剤層を介して接合されていてもよく、樹脂板20Aと金属板とが直接接合されていてもよいが、粘着剤層や接着剤層を介して樹脂板と金属マスク10とを接合する場合には、上記シャドウの点を考慮して、樹脂板20Aと粘着剤層或いは樹脂板20Aと接着剤層との合計の厚みが上記好ましい範囲内となるように設定することが好ましい。
樹脂マスク開口部25の断面形状についても特に限定はなく、樹脂マスク開口部25を形成する樹脂マスクの向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図19(b)に示すように、樹脂マスク開口部25はその断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。換言すれば、金属マスク10側に向かって広がりをもつ勾配を有していることが好ましい。勾配については、樹脂マスク20の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、樹脂マスクの樹脂マスク開口部における下底先端と、同じく樹脂マスクの樹脂マスク開口部における上底先端を結んだ直線と、樹脂マスク底面とのなす角度、換言すれば、樹脂マスク20の樹脂マスク開口部25を構成する内壁面の厚み方向断面において、樹脂マスク開口部25の内壁面と樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面(図示する形態では、樹脂マスクの下面)とのなす角度は、5°以上85°以下の範囲であることが好ましく、15°以上75°以下の範囲であることがより好ましく、25°以上65°以下の範囲であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。また、図示する形態では、樹脂マスク開口部25を形成する端面は直線形状を呈しているが、これに限定されることはなく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり樹脂マスク開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。このような断面形状を有する樹脂マスク開口部25は、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときのレーザーの照射位置や、レーザーの照射エネルギーを適宜調整する、或いは照射位置を段階的に変化させる多段階のレーザー照射を行うことで形成可能である。
(金属マスク)
図19(b)に示すように、樹脂マスク20の一方の面上には、金属マスク10が積層されている。金属マスク10は、金属から構成され、縦方向或いは横方向に延びる金属マスク開口部15が配置されている。金属マスク開口部15は開口と同義であり、スリットと称される場合もある。金属マスク開口部の配置例について特に限定はなく、縦方向、及び横方向に延びる金属マスク開口部が、縦方向、及び横方向に複数列配置されていてもよく、縦方向に延びる金属マスク開口部が、横方向に複数列配置されていてもよく、横方向に延びる金属マスク開口部が縦方向に複数列配置されていてもよい。また、縦方向、或いは横方向に1列のみ配置されていてもよい。なお、本願明細書で言う「縦方向」、「横方向」とは、図面の上下方向、左右方向をさし、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。例えば、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向を「縦方向」としてもよく、幅方向を「縦方向」としてもよい。また、本願明細書では、蒸着マスクを平面視したときの形状が矩形状である場合を例に挙げて説明しているが、これ以外の形状、例えば、円形状や、ひし形状等の多角形状としてもよい。この場合、対角線の長手方向や、径方向、或いは、任意の方向を「長手方向」とし、この「長手方向」に直交する方向を、「幅方向(短手方向と言う場合もある)」とすればよい。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
金属マスク10の厚みについても特に限定はないが、シャドウの発生をより効果的に防止するためには、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが特に好ましい。なお、5μmより薄くした場合、破断や変形のリスクが高まるとともにハンドリングが困難となる傾向にある。
また、図19(a)に示す形態では、金属マスク開口部15を平面視したときの開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、金属マスク開口部15の開口形状は、台形状、円形状等いかなる形状であってもよい。
金属マスク10に形成される金属マスク開口部15の断面形状についても特に限定されることはないが、図19(b)に示すように蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。より具体的には、金属マスク10の金属マスク開口部15における下底先端と、同じく金属マスク10の金属マスク開口部15における上底先端とを結んだ直線と、金属マスク10の底面とのなす角度、換言すれば、金属マスク10の金属マスク開口部15を構成する内壁面の厚み方向断面において、金属マスク開口部15の内壁面と金属マスク10の樹脂マスク20と接する側の面(図示する形態では、金属マスクの下面)とのなす角度は、5°以上85°以下の範囲の範囲内であることが好ましく、15°以上80°以下の範囲であることがより好ましく、25°以上65°以下の範囲であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。
以下、本開示の各実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によって製造される好ましい形態の蒸着マスクについて実施形態(A)、及び実施形態(B)を例に挙げ説明する。
<実施形態(A)の蒸着マスク>
図20に示すように、実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、樹脂マスク20の一方の面上に、複数の金属マスク開口部15が設けられた金属マスク10が積層されてなり、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な樹脂マスク開口部25が設けられ、各金属マスク開口部15が、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられている。
実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するために用いられる蒸着マスクであり、1つの蒸着マスク100で、複数の製品に対応する蒸着パターンを同時に形成することができる。実施形態(A)の蒸着マスクで言う「樹脂マスク開口部」とは、実施形態(A)の蒸着マスク100を用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、樹脂マスク開口部25の形状は当該有機層の形状となる。また、「1画面」とは、1つの製品に対応する樹脂マスク開口部25の集合体からなり、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる樹脂マスク開口部25の集合体が「1画面」となる。そして、実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成すべく、樹脂マスク20には、上記「1画面」が、所定の間隔をあけて複数画面分配置されている。すなわち、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な樹脂マスク開口部25が設けられている。
実施形態(A)の蒸着マスクは、樹脂マスクの一方の面上に、複数の金属マスク開口部15が設けられた金属マスク10が設けられ、各金属マスク開口部は、それぞれ少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられている。換言すれば、1画面を構成するのに必要な樹脂マスク開口部25間において、横方向に隣接する樹脂マスク開口部25間に、金属マスク開口部15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、縦方向に隣接する樹脂マスク開口部25間に、金属マスク開口部15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在していない。以下、金属マスク開口部15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、金属マスク開口部15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分のことを総称して、単に金属線部分と言う場合がある。
実施形態(A)の蒸着マスク100によれば、1画面を構成するのに必要な樹脂マスク開口部25の大きさや、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチを狭くした場合、例えば、400ppiを超える画面の形成を行うべく、樹脂マスク開口部25の大きさや、樹脂マスク開口部25間のピッチを極めて微小とした場合であっても、金属線部分による干渉を防止することができ、高精細な画像の形成が可能となる。なお、1画面が、複数の金属マスク開口部によって分割されている場合、換言すれば、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチが狭くなっていくことにともない、樹脂マスク開口部25間に存在する金属線部分が蒸着対象物へ蒸着パターンを形成する際の支障となり高精細な蒸着パターンの形成が困難となる。換言すれば、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、フレーム付き蒸着マスクとしたときに当該金属線部分が、シャドウの発生を引き起こし高精細な画面の形成が困難となる。
次に図20〜図23を参照して、1画面を構成する樹脂マスク開口部25の一例について説明する。なお、図示する形態において破線で閉じられた領域が1画面となっている。図示する形態では、説明の便宜上少数の樹脂マスク開口部25の集合体を1画面としているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、1つの樹脂マスク開口部25を1画素としたときに、1画面に数百万画素の樹脂マスク開口部25が存在していてもよい。
図20に示す形態では、縦方向、横方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。図21に示す形態では、横方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。また、図22に示す形態では、縦方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。そして、図20〜図22では、1画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。
上記で説明したように、金属マスク開口部15は、1画面のみと重なる位置に設けられていてもよく、図23(a)、(b)に示すように、2以上の画面全体と重なる位置に設けられていてもよい。図23(a)では、図20に示す蒸着マスク100において、横方向に連続する2画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。図23(b)では、縦方向に連続する3画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。
次に、図20に示す形態を例に挙げて、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチ、画面間のピッチについて説明する。1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチや、樹脂マスク開口部25の大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。例えば、400ppiの高精細な蒸着パターンの形成を行う場合には、1画面を構成する樹脂マスク開口部25において隣接する樹脂マスク開口部25の横方向のピッチ(P1)、縦方向のピッチ(P2)は60μm程度となる。また、樹脂マスク開口部の大きさは、500μm2以上1000μm2以下の範囲である。また、1つの樹脂マスク開口部25は、1画素に対応していることに限定されることはなく、例えば、画素配列によっては、複数画素を纏めて1つの樹脂マスク開口部25とすることもできる。
画面間の横方向ピッチ(P3)、縦方向ピッチ(P4)についても特に限定はないが、図20に示すように、1つの金属マスク開口部15が、1画面全体と重なる位置に設けられる場合には、各画面間に金属線部分が存在することとなる。したがって、各画面間の縦方向ピッチ(P4)、横方向のピッチ(P3)が、1画面内に設けられている樹脂マスク開口部25の縦方向ピッチ(P2)、横方向ピッチ(P1)よりも小さい場合、或いは略同等である場合には、各画面間に存在している金属線部分が断線しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、画面間のピッチ(P3、P4)は、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチ(P1、P2)よりも広いことが好ましい。画面間のピッチ(P3、P4)の一例としては、1mm以上100mm以下の範囲である。なお、画面間のピッチとは、1の画面と、当該1の画面と隣接する他の画面とにおいて、隣接している樹脂マスク開口部間のピッチを意味する。このことは、後述する実施形態(B)の蒸着マスクにおける樹脂マスク開口部25のピッチ、画面間のピッチについても同様である。
なお、図23に示すように、1つの金属マスク開口部15が、2つ以上の画面全体と重なる位置に設けられる場合には、1つの金属マスク開口部15内に設けられている複数の画面間には、金属マスク開口部の内壁面を構成する金属線部分が存在しないこととなる。したがって、この場合、1つの金属マスク開口部15と重なる位置に設けられている2つ以上の画面間のピッチは、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチと略同等であってもよい。
また、樹脂マスク20には、樹脂マスク20の縦方向、或いは横方向にのびる溝(図示しない)が形成されていてもよい。蒸着時に熱が加わった場合、樹脂マスク20が熱膨張し、これにより樹脂マスク開口部25の寸法や位置に変化が生じる可能性があるが、溝を形成することで樹脂マスクの膨張を吸収することができ、樹脂マスクの各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂マスク20が全体として所定の方向に膨張して樹脂マスク開口部25の寸法や位置が変化することを防止することができる。溝の形成位置について限定はなく、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間や、樹脂マスク開口部25と重なる位置に設けられていてもよいが、画面間に設けられていることが好ましい。また、溝は、樹脂マスクの一方の面、例えば、金属マスクと接する側の面のみに設けられていてもよく、金属マスクと接しない側の面のみに設けられていてもよい。或いは、樹脂マスク20の両面に設けられていてもよい。
また、隣接する画面間に縦方向に延びる溝としてもよく、隣接する画面間に横方向に延びる溝を形成してもよい。さらには、これらを組み合わせた態様で溝を形成することも可能である。
溝の深さやその幅については特に限定はないが、溝の深さが深すぎる場合や、幅が広すぎる場合には、樹脂マスク20の剛性が低下する傾向にあることから、この点を考慮して設定することが必要である。また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、加工方法などを考慮して任意に選択すればよい。実施形態(B)の蒸着マスクについても同様である。
<実施形態(B)の蒸着マスク>
次に実施形態(B)の蒸着マスクについて説明する。図24に示すように、実施形態(B)の蒸着マスクは、蒸着作製するパターンに対応した樹脂マスク開口部25が複数設けられた樹脂マスク20の一方の面上に、1つの金属マスク開口部15が設けられた金属マスク10が積層されてなり、当該複数の樹脂マスク開口部25の全てが、1つの金属マスク開口部15と重なる位置に設けられている。
実施形態(B)の蒸着マスクで言う樹脂マスク開口部25とは、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要な樹脂マスク開口部を意味し、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要ではない樹脂マスク開口部25は、1つの金属マスク開口部15と重ならない位置に設けられていてもよい。なお、図24は、実施形態(B)の蒸着マスクの一例を示す蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。
実施形態(B)の蒸着マスク100は、複数の樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、1つの金属マスク開口部15を有する金属マスク10が設けられており、かつ、複数の樹脂マスク開口部25の全ては、当該1つの金属マスク開口部15と重なる位置に設けられている。この構成を有する実施形態(B)の蒸着マスク100では、樹脂マスク開口部25間に、金属マスクの厚みと同じ厚み、或いは、金属マスクの厚みより厚い金属線部分が存在していないことから、上記実施形態(A)の蒸着マスクで説明したように、金属線部分による干渉を受けることなく樹脂マスク20に設けられている樹脂マスク開口部25の寸法通りに高精細な蒸着パターンを形成することが可能となる。
また、実施形態(B)の蒸着マスクによれば、金属マスク10の厚みを厚くしていった場合であっても、シャドウの影響を殆ど受けることがないことから、金属マスク10の厚みを、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができるまで厚くすることができ、高精細な蒸着パターンの形成を可能としつつも、耐久性や、ハンドリング性を向上させることができる。
実施形態(B)の蒸着マスクにおける樹脂マスク20は、樹脂から構成され、図24に示すように、1つの金属マスク開口部15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した樹脂マスク開口部25が複数設けられている。樹脂マスク開口部25は、蒸着作製するパターンに対応しており、蒸着源から放出された蒸着材が樹脂マスク開口部25を通過することで、蒸着対象物には、樹脂マスク開口部25に対応する蒸着パターンが形成される。なお、図示する形態では、樹脂マスク開口部が縦横に複数列配置された例を挙げて説明をしているが、縦方向、或いは横方向にのみ配置されていてもよい。
実施形態(B)の蒸着マスク100における「1画面」とは、1つの製品に対応する樹脂マスク開口部25の集合体を意味し、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる樹脂マスク開口部25の集合体が「1画面」となる。実施形態(B)の蒸着マスクは、「1画面」のみからなるものであってもよく、当該「1画面」が複数画面分配置されたものであってもよいが、「1画面」が複数画面分配置される場合には、画面単位毎に所定の間隔をあけて樹脂マスク開口部25が設けられていることが好ましい(実施形態(A)の蒸着マスクの図20参照)。「1画面」の形態について特に限定はなく、例えば、1つの樹脂マスク開口部25を1画素としたときに、数百万個の樹脂マスク開口部25によって1画面を構成することもできる。
実施形態(B)の蒸着マスク100における金属マスク10は、金属から構成され1つの金属マスク開口部15を有している。そして、一例としての蒸着マスクは、当該1つの金属マスク開口部15が、金属マスク10を平面視したときに、全ての樹脂マスク開口部25と重なる位置、換言すれば、樹脂マスク20に配置された全ての樹脂マスク開口部25がみえる位置に配置されている。
金属マスク10を構成する金属部分、すなわち1つの金属マスク開口部15以外の部分は、図24に示すように蒸着マスク100の外縁に沿って設けられていてもよく、図25に示すように金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも小さくし、樹脂マスク20の外周部分を露出させてもよい。また、金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも大きくして、金属部分の一部を、樹脂マスクの横方向外方、或いは縦方向外方に突出させてもよい。なお、いずれの場合であっても、1つの金属マスク開口部15の大きさは、樹脂マスク20の大きさよりも小さく構成されている。
図24に示される金属マスク10の1つの金属マスク開口部15の壁面をなす金属部分の横方向の幅(W1)や、縦方向の幅(W2)について特に限定はないが、W1、W2の幅が狭くなっていくに従い、耐久性や、ハンドリング性が低下していく傾向にある。したがって、W1、W2は、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができる幅とすることが好ましい。金属マスク10の厚みに応じて適切な幅を適宜設定することができるが、好ましい幅の一例としては、実施形態(A)の蒸着マスクにおける金属マスクと同様、W1、W2ともに1mm以上100mm以下の範囲である。
したがって、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法においては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設ける位置や、樹脂マスク開口部25を形成する工程におけるレーザー光の照射などを決定することが好ましい。また、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を設けるにあたっては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、その大きさや、配置する位置を決定することが好ましい。
また、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法においては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を吸着させる位置等を決定することが好ましい。また、樹脂板20Aの他方の面上に保護層35を吸着させるにあたっては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、その大きさや、吸着位置を決定することが好ましい。
また、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の製造方法を用いて、フレーム付き蒸着マスクを得ることもできる。図26、図27は、フレーム40に本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により得られる蒸着マスクを固定してなるフレーム付き蒸着マスク200を樹脂マスク側から見た正面図である。フレーム付き蒸着マスク200は、図26に示すように、フレーム40に、1つの蒸着マスク100が固定されたものであってもよく、図27に示すように、フレーム40に、複数の蒸着マスク100が固定されたものであってもよい。フレーム付き蒸着マスク200は、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により得られる蒸着マスクをフレーム40に固定して得ることができ、また、予め、フレーム40に蒸着マスク準備体を固定することで得ることができる。また、図27に示す形態のフレーム付き蒸着マスクは、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により得られる複数の蒸着マスクをフレーム40に固定して得ることができ、また、予め、複数の蒸着マスク準備体60をフレーム40に固定することで得ることもできる。
<<有機半導体素子の製造方法>>
次に、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法について説明する。本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、フレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を含み、蒸着パターンを形成する工程で、フレームに固定される蒸着マスクが、上記で説明した本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクである。
フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により蒸着パターンを形成する工程を有する本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、基板上に電極を形成する電極形成工程、有機層形成工程、対向電極形成工程、封止層形成工程等を有し、各任意の工程においてフレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により基板上に蒸着パターンが形成される。例えば、有機ELデバイスのR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)各色の発光層形成工程に、フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法をそれぞれ適用する場合には、基板上に各色発光層の蒸着パターンが形成される。なお、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、これらの工程に限定されるものではなく、蒸着法を用いる従来公知の有機半導体素子の製造における任意の工程に適用可能である。
本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、上記蒸着パターンを形成する工程において用いられるフレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクが、上記で説明した本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクであり、ここでの詳細な説明は省略する。本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部25が精度よく形成された樹脂マスク20を有する蒸着マスクが得られることから、この蒸着マスクをフレームに固定してなるフレーム付き蒸着マスクを用いた有機半導体素子の製造方法によれば、高精細なパターンを有する有機半導体素子を形成することができる。本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法で製造される有機半導体素子の製造方法としては、例えば、有機EL素子の有機層、発光層や、カソード電極等を挙げることができる。特に、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、高精細なパターン精度が要求される有機EL素子のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)発光層の製造に好適に用いることができる。
<<有機ELディスプレイの製造方法>>
次に、本開示の実施の形態に係る有機ELディスプレイ(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)の製造方法(以下、本開示の有機ELディスプレイの製造方法と言う)について説明する。本開示の有機ELディスプレイの製造方法は、有機ELディスプレイの製造工程において、上記で説明した本開示の有機半導体素子の製造方法により製造された有機半導体素子が用いられる。
上記本開示の有機半導体素子の製造方法により製造された有機半導体素子が用いられた有機ELディスプレイとしては、例えば、ノートパソコン(図30(a)参照)、タブレット端末(図30(b)参照)、携帯電話(図30(c)参照)、スマートフォン(図30(d)参照)、ビデオカメラ(図30(e)参照)、デジタルカメラ(図30(f)参照)、スマートウォッチ(図30(g)参照)等に用いられる有機ELディスプレイを挙げることができる。
以上、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により得られる蒸着マスク、及び有機半導体素子の製造方法や、有機ELディスプレイの製造方法に用いられる蒸着マスクとして、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20と、金属マスク開口部15を有する金属マスク10とが積層されてなる積層構成をとる蒸着マスクである場合を中心に説明を行ったが、この形態の蒸着マスクにかえて、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法を用いて、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した形態の蒸着マスクを得ることもできる。また、この形態の蒸着マスクを、有機半導体素子の製造方法や、有機ELディスプレイの製造方法に用いることもできる。
樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した蒸着マスクによれば、金属層10Aを有しない蒸着マスク、つまりは、樹脂マスク20のみからなる蒸着マスクと比較して、耐久性の向上を図ることができる。
図31(a)は、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した形態の蒸着マスクを、金属層側から平面視したときの一例を示す正面図であり、図31(b)は、図31(a)のA−A部分での概略断面図である。なお、図31(b)における蒸着マスクの中央付近の一部は省略されている。
金属層10Aが設けられる位置、および金属層10Aを平面視した際の形状についても特に限定されることはない。すなわち、金属層10Aが設けられる位置に応じて、金属層10Aの平面形状を適宜設計することが可能である。
例えば、図31(a)に示すように、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20を平面視したときの形状が、長辺と短辺とを有する長方形を呈している場合にあっては、金属層10Aの形状をその短辺と同じ長さを有する帯形状としつつ、樹脂マスク20の短辺と平行に配置してもよい。また、図示しないが、金属層10Aの形状を樹脂マスク20の長辺と同じ長さを有する帯形状としつつ、樹脂マスクの長辺と平行に配置してもよい。
図32、図33は、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aが部分的に配置された蒸着マスクを、金属層10A側から平面視したときの一例を示す正面図である。
図32に示すように、金属層10Aは必ずしも樹脂マスク20の周縁に接している必要はなく、樹脂マスク20の内部にのみ配置されていてもよい。例えば、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aが部分的に配置された蒸着マスクを、フレームと固定するにあたり、当該フレームと厚み方向で重なる位置に、金属層10Aを配置しない形態としてもよい。
また、図33に示すように、金属層10Aは必ずしも帯状である必要はなく、樹脂マスク20上に点在するように配置されていてもよい。この場合において、図33に示す金属層10Aは正方形であるが、これに限定されることはなく、長方形、三角形、四角形以上の多角形、円、楕円、半円、ドーナツ形状、アルファベットの「C」形状、「T」形状、さらには「十字」形状や「星」形状など、あらゆる形状をも採用可能である。一枚の樹脂マスク20上に複数の金属層10Aが設けられている場合において、すべての金属層10Aが同一形状である必要はなく、前記で挙げた種々の形状の金属層10Aが混在していてもよい。
また、金属層10Aは、規則的に配置されていてもよく、ランダムに配置されていてもよい。
金属層10Aの材料としては、上記金属マスク10の材料をそのまま用いることができる。また、金属層10Aの厚みは、金属マスク10で説明した厚みとすればよい。
また、金属層10Aの断面形状についても特に限定されることはなく、図31(b)に示すように、金属層10Aの向かいあう端面同士が略平行であってもよく、図示はしないが、樹脂マスク開口部25や、金属マスク開口部15の開口と同様に、金属層10Aの樹脂マスク20と接する側の面から、金属層10Aの樹脂マスク20と接しない側の面に向かって広がりをもつ形状としてもよい。
10…金属マスク
15…金属マスク開口部
20…樹脂マスク
25…樹脂マスク開口部
30…アライメント部
30A…着色層
30B…凹部
30C…着色部分
35…保護層
40…フレーム
45…補助フレーム
60…蒸着マスク準備体
100…蒸着マスク
200…フレーム付き蒸着マスク

Claims (16)

  1. 蒸着マスクの製造方法であって、
    樹脂板のみからなる、又は前記樹脂板を含む蒸着マスク準備体を準備する工程と、
    前記蒸着マスク準備体の前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記樹脂板に、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する開口部形成工程と、を含み、
    前記樹脂板として、アライメント部を有する樹脂板を用い、
    前記開口部形成工程の前に、前記樹脂板が有する前記アライメント部を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程を含み、
    前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の一方の面上の一部、又は他方の面上の一部に設けられた着色層である、
    蒸着マスクの製造方法。
  2. 蒸着マスクの製造方法であって、
    樹脂板のみからなる、又は前記樹脂板を含む蒸着マスク準備体を準備する工程と、
    前記蒸着マスク準備体の前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記樹脂板に、蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する開口部形成工程と、を含み、
    前記樹脂板として、アライメント部を有する樹脂板を用い、
    前記開口部形成工程の前に、前記樹脂板が有する前記アライメント部を利用してレーザー光の焦点位置を設定するアライメント工程を含み、
    前記樹脂板として、少なくとも一部分が着色された樹脂板を用い、
    前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である、
    蒸着マスクの製造方法。
  3. 前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂マスク開口部が形成される予定領域に位置しており、
    前記開口部形成工程が、前記樹脂板にレーザー光を照射して、前記アライメント部を除去しつつ、前記樹脂板に、前記樹脂マスク開口部を形成する工程である、
    請求項1又は2に記載の蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記蒸着マスク準備体として、前記アライメント部を有する樹脂板上に、金属マスク開
    口部を有する金属マスクが設けられた蒸着マスク準備体を用い、
    前記開口部形成工程が、前記金属マスク側から前記金属マスク開口部を通してレーザー光を照射し、前記樹脂板に、前記樹脂マスク開口部を形成する工程である、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記樹脂板の前記レーザー光が照射される側の面を第1面、その反対側の面を第2面としたときに、
    前記樹脂板の前記第2面上に保護層が設けられている、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 前記樹脂板の前記レーザー光が照射される側の面を第1面、その反対側の面を第2面としたときに、
    前記樹脂板の前記第1面、及び前記第2面の何れか一方の面、又は双方の面上に、前記金属マスク開口部と重なる保護層が設けられている、
    請求項4に記載の蒸着マスクの製造方法。
  7. 前記樹脂板の前記レーザー光が照射される側の面を第1面、その反対側の面を第2面としたときに、
    前記樹脂板の前記第1面上に保護層が設けられている、
    請求項1、2、3、5の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  8. 前記保護層が、溶媒によって除去可能な保護層である、
    請求項5乃至7の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  9. 前記保護層が、溶媒によって除去不能な保護層である、
    請求項5乃至7の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  10. 前記保護層が、自己吸着性、又は自己粘着性を有し、前記樹脂板から剥離可能な保護層である、
    請求項5乃至7の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  11. 前記保護層が、JIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0004N/10mm以上0.2N/10mm未満の保護層である、
    請求項5乃至7の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  12. 蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクを含む蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、
    前記樹脂マスクを得るための樹脂板が、アライメント部を有しており、
    前記樹脂板が、少なくとも一部分が着色された樹脂板であり、
    前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である、
    蒸着マスク準備体。
  13. 金属マスク開口部を有する金属マスクと、当該金属マスク開口部と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、
    前記樹脂マスクを得るための樹脂板の一方の面上に、前記金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられ、
    前記樹脂板が、前記金属マスク開口部と重なる位置にアライメント部を有しており、
    前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の一方の面上、又は他方の面上に設けられた着色層である、
    蒸着マスク準備体。
  14. 金属マスク開口部を有する金属マスクと、当該金属マスク開口部と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応する樹脂マスク開口部を有する樹脂マスクとが積層されてなる蒸着マスクを得るための蒸着マスク準備体であって、
    前記樹脂マスクを得るための樹脂板の一方の面上に、前記金属マスク開口部を有する金属マスクが設けられ、
    前記樹脂板が、前記金属マスク開口部と重なる位置にアライメント部を有しており、
    前記樹脂板が、少なくとも一部分が着色された樹脂板であり、
    前記樹脂板が有する前記アライメント部が、前記樹脂板の着色部分である、
    蒸着マスク準備体。
  15. 有機半導体素子の製造方法であって、
    フレームに蒸着マスクが固定されたフレーム付き蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を含み、
    前記フレームに固定される前記蒸着マスクが、請求項1乃至11の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクである、
    有機半導体素子の製造方法。
  16. 有機ELディスプレイの製造方法であって、
    請求項15に記載の有機半導体素子の製造方法により製造された有機半導体素子が用いられる、
    有機ELディスプレイの製造方法。
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