以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方等という語句を用いて説明するが、上下方向が逆転してもよい。左右方向についても同様である。
<<蒸着マスクの製造方法>>
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスク20を備える蒸着マスクの製造方法であって、図1に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40(図1(a)参照)に対し、樹脂板20Aの他方の面側からレーザー光を照射して、樹脂板20Aに蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する(図1(b)参照)樹脂マスク形成工程を含む。本工程を経ることで、樹脂マスク20(蒸着マスク)を得る。なお、図1(c)に示すように、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスク20を形成した後に、保護シート30を除去する工程を含んでいてもよい。なお、図1に示す形態の蒸着マスク準備体40では、後述する貫通孔71、溝72、凸部81、凹部82等の記載を省略している。
はじめに、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法で用いられる蒸着マスク準備体40の要件を満たさない「比較の蒸着マスク準備体40A」を用いて蒸着マスクを製造した場合を例に挙げ、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法の優位性について説明する。なお、「比較の蒸着マスク準備体40A」は、図2に示すように、樹脂板20Aのみからなる構成を呈しており、樹脂板20Aの一方の面に保護シート30が位置していない点で、本開示の蒸着マスクの製造方法で用いられる蒸着マスク準備体40と相違している。
「比較の蒸着マスク準備体」の樹脂板20Aに対する樹脂マスク開口部の形成、及び本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法に用いられる蒸着マスク準備体40の樹脂板20Aに対する樹脂マスク開口部25(樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク)の形成は、樹脂板20Aにレーザー光を照射して、樹脂板20Aを分解することで行われる。
ここで、「比較の蒸着マスク準備体40A」の樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成途中の段階、換言すれば、樹脂板20Aに最終的に樹脂マスク開口部25となる凹部が存在している段階に着目すると、レーザー光の照射によるレーザー加工の進行にともない、樹脂板20Aの底面から凹部の底面までの厚みは薄くなっていき、凹部や、当該凹部近傍の樹脂板20Aの強度が低下していくこととなる。そして、この強度の低下にともない、樹脂マスク開口部25が形成される直前においては、樹脂板20Aの一部が千切れてしまい「バリ」や「滓」が発生しやすくなる。また、樹脂板20Aの底面と、凹部の底面との厚みは薄くなっていくことに伴い、フォーカスボケに起因した「バリ」や「滓」も発生しやすくなる。具体的には、フォーカスボケによって、レーザー光による樹脂板20Aの分解が正常に行われず、樹脂マスク開口部25のエッジ部に「バリ」が生ずる場合や、分解しきれなかった樹脂板20Aの一部が「滓」として残りやすくなる。なお、本願明細で言う「滓」とは、「デブリ」と同意である。
また、「比較の蒸着マスク準備体」を加工ステージ(図示しない)上に載置して、「比較の蒸着マスク準備体」の樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する場合においては、加工ステージと「比較の蒸着マスク準備体」の樹脂板20Aとの間にある程度の隙間が存在することとなり、この隙間も、レーザー光を照射するときのフォーカスボケの要因となる。
「比較の蒸着マスク準備体」の樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときに発生する「バリ」や「滓」は、図3(a)に示すように樹脂マスク開口部25の内周側に向かって突出する、及び/又は、図3(b)に示すように、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の表面に付着する傾向にある。図3(a)に示すような「バリ」や「滓」が発生した場合には、製造された蒸着マスクを用いて、蒸着対象物に蒸着パターンの形成を行う際に、「バリ」や「滓」が蒸着源から放出された蒸着材料を遮断してしまい、蒸着対象物に不十分なパターンが形成されてしまう、いわゆるパターン欠陥を引き起こす要因となる。また、蒸着マスクを用いて、蒸着対象物に精度良いパターン蒸着を行うためには、蒸着マスクと蒸着対象物とが十分に密着していることが必要とされるものの、図3(b)に示すような「バリ」や「滓」が発生した場合には、蒸着マスクと蒸着対象物との間で密着不良が発生し、画素ボケ等が発生する要因となる。なお、図3は、「比較の蒸着マスク準備体40A」を用いて製造された蒸着マスクを樹脂マスク側から平面視したときの樹脂マスク開口部25近傍の拡大正面図である。
そこで、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法では、レーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成するための樹脂板20Aを備える蒸着マスク準備体として、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40が用いられる。
樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40を用いた、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、蒸着マスク準備体40の樹脂板20Aにレーザー光を照射し、樹脂板20Aを分解して樹脂マスク開口部25を形成する際に、「バリ」や「滓」が生ずることを抑制することができる。具体的には、樹脂板20Aの一方の面上に設けられている保護シート30により、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成するときのフォーカスボケを抑制することができ、フォーカスボケにより、樹脂板20Aの分解が不十分となることに起因した「バリ」や、「滓」の発生を抑制することができる。また、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40によれば、例えば、加工ステージに蒸着マスク準備体40を載置して樹脂マスク開口部25の形成を行う際に、加工ステージと蒸着マスク準備体40との間に隙間が生じている場合であっても、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部25を形成するときのフォーカスボケを抑制することができる。
また、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときのフォーカスボケの抑制に加え、樹脂板20A自体の強度を高めることができ、このことによっても、「バリ」や「滓」の発生を抑制することができる。具体的には、樹脂板20Aの一方の面上に設けられている保護シート30の存在によって、最終的に樹脂マスク開口部25となる凹部や、凹部近傍の樹脂板20Aの強度低下の防止を図ることができる。具体的には、保護シート30が樹脂板であると仮定した場合、みかけ上の樹脂板20Aの厚みを厚くすることができる。つまり、保護シート30は、フォーカスボケを防止する役割とともに、樹脂板の強度低下を防止する支持体としての役割を果たす。なお、樹脂板20Aの一方の面上に設けられた保護シート30により、最終的に樹脂マスク開口部25となる凹部や、凹部近傍の樹脂板20Aの強度低下の防止を図ることで、レーザー光を照射して樹脂板20Aに樹脂マスク開口部を形成する段階において、樹脂板20Aの一部が千切れてしまうこと等を抑制することができる。
なお、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造される蒸着マスクは、フレームに固定した状態で用いられるところ、フレームに蒸着マスク準備体40を固定し、その後、フレームに固定された蒸着マスク準備体40に対し、レーザー光を照射して樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成することもできる。この方法によれば、フレームと蒸着マスクとの位置合わせ誤差を低減させることができる。ところで、フレームと蒸着マスクとの位置合わせ誤差を低減させるべく、フレームに蒸着マスク準備体を固定した状態で、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する場合において、この蒸着マスク準備体が、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が吸着されていない「比較の蒸着マスク準備体」である場合には、レーザー光の照射時に、フレームの存在によって「比較の蒸着マスク準備体」の樹脂板20Aと、加工ステージとを密着させることができず、フレームに固定した状態で樹脂マスク開口部25の形成を行う場合には、フォーカスボケの程度は大きくなる。一方、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法では、蒸着マスク準備体40と加工ステージに隙間が存在する場合であっても、樹脂板20Aの一方の面上に位置する保護シート30の存在によって、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する際のフォーカスボケの発生を抑制することができる。
つまり、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40を用いた本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときの「バリ」や「滓」の発生を抑制することができ、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を精度よく形成することができる。
ところで、一例としての蒸着マスク準備体40は、樹脂板20Aの一方の面上に、保護シート30を貼り付けることにより行われるところ、貼り付けの際に、樹脂板20Aと保護シート30との間には、気泡(エアー)等が入り込みやすい状況にある。そして、樹脂板20Aと保護シート30との間に気泡等が入り込んだ蒸着マスク準備体40を用いて、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成した場合には、この気泡等が入り込んだ箇所において、「バリ」や「滓」を十分に抑制することができない問題や、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を精度よく形成することができないといった問題が生ずることとなる。
つまり、これらの問題の発生を抑制するためには、蒸着マスク準備体40を構成する樹脂板20Aと保護シート30との間に、気泡等が入り込んでいないことが望ましい。
そこで、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、
(第1形態)蒸着マスク準備体40を構成する樹脂板20A、及び保護シート30の何れか一方、又は双方が、(i)厚み方向に貫通孔71を有しているか(図4、図5参照)、又は(ii)樹脂板20Aと保護シート30の対向面の何れか一方、又は双方の面に溝72を有している形態(図6〜図8参照)、又は
(第2形態)樹脂マスク形成工程の前に、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40をエージングする工程を含む形態、又は、
(第3形態)蒸着マスク準備体40を構成する樹脂板20Aと保護シート30との対向面の何れか一方が凸部81を有しており、他方が凸部81と嵌合可能な凹部82を有しており、蒸着マスク準備体40が、凸部81と凹部82とが嵌合されてなる形態(図9〜図11参照)の何れかの形態をとる。
上記第1形態〜第3形態の何れかを有する本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aと保護シート30との間に気泡等を入り込ませない、或いは樹脂板20Aと保護シート30との間に、気泡等が入り込んだ場合であっても、当該気泡等を排出、或いは除去することができる。具体的には、第1形態においては、貫通孔71や、溝72を利用して、気泡等を蒸着マスク準備体40外へ排出することができる。また、第2形態においては、エージングにより、樹脂板20Aと保護シート30との間に入り込んだ気泡等を除去することができる。また、第3形態においては、凸部81と凹部82とを嵌合させる形態とすることで、樹脂板20Aと保護シート30とを隙間なく密着させることができる。以下、各形態について一例を挙げて説明する。
<<第1形態の蒸着マスクの製造方法>>
本開示の実施の形態に係る第1形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスクを形成する樹脂マスク形成工程を含み、樹脂マスク形成工程が、図1(a)、(b)に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40に対し、樹脂板20Aの他方の面側からレーザー光を照射し、樹脂板20Aに蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する工程であり、蒸着マスク準備体40を構成する樹脂板20A、及び保護シート30の何れか一方、又は双方が、(i)厚み方向に貫通孔を有しているか、又は(ii)樹脂板20Aと保護シート30の対向面の何れか一方、又は双方の面に溝を有している。
本開示の実施の形態に係る第1形態の蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aと保護シート30との間に、気泡等が入り込んでいる場合であっても、当該気泡等を、貫通孔71、或いは溝72を利用して、蒸着マスク準備体40外へ排出することができる。これにより、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときの「バリ」や「滓」の発生を抑制することができ、樹脂マスク形成工程において、レーザー光により、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を精度よく形成することができる。
<第1形態の蒸着マスク準備体>
一例としての蒸着マスク準備体40は、図1(a)に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる積層構成を呈している。
(保護シート)
保護シート30の材料としては、例えば、ポリエステル、エポキシ、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、シリコーン、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、シクロオレフィン等を挙げることができる。
好ましい形態の蒸着マスク準備体40は、蒸着マスク準備体40を構成する保護シート30の表面が自己吸着性、或いは自己粘着性を有する。好ましい形態の蒸着マスク準備体40によれば、蒸着マスク準備体40を得るべく、樹脂板20Aと保護シート30とを接しさせたときに、エアー(空気)を退けながら樹脂板20Aに当該保護シート30を吸着させることができる。つまりは、樹脂板20Aと保護シート30との間に生じ得る気泡等を予め減少させることができる。
ここで言う保護シート30の自己吸着性とは、保護シート30自体の機構によって樹脂板20Aの一方の面上に吸着可能な性質を意味する。具体的には、樹脂板20Aの一方の面と保護シート30との間に接着剤、粘着剤等を介さず、また、樹脂板20Aと保護シート30とを外部機構、例えば、磁石等によって引き付けることを要せずに、樹脂板20Aの一方の面上に密着させることができる性質を意味する。
自己吸着性を有する保護シート30としては、例えば、保護シート30を構成する樹脂材料自体の働きにより自己吸着性が発現されるものを用いることができる。自己吸着性を発現させることができる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。
また、上記樹脂材料自体の働きにより自己吸着性を有する保護シート30にかえて、その表面がセル吸盤構造を有する保護シート30を用いてもよい。セル吸盤構造とは、表面に形成された連続する微細な凹凸構造を意味し、この連続する微細な凹凸構造が吸盤としての作用を奏することで保護シート30に自己吸着性が付与される。このような保護シート30としては、例えば、特開2008−36895号公報に記載されているセル吸盤構造を有するシート状物等を挙げることができる。
また、好ましい形態の蒸着マスク準備体40は、蒸着マスク準備体40を構成する保護シート30の、JIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0004N/10mm以上0.2N/10mm未満である。この形態の蒸着マスク準備体40によれば、樹脂マスク形成後に、樹脂マスク20に高い応力をかけることなく、樹脂マスク20から保護シート30を除去(剥離)することができる。なお、樹脂マスク20から保護シート30を除去するときに、樹脂マスク20にかかる応力が高くなるにつれ、樹脂マスク20に形成された樹脂マスク開口部25の寸法や、形成位置に変動が生じやすくなる。より好ましい形態の蒸着マスク準備体40は、蒸着マスク準備体40を構成する保護シート30の、JIS Z−0237:2009で準拠される剥離強度が0.0012N/10mm以上0.012N/10mm以下、特には、0.002N/10mm以上0.02N/10mm以下である。
本願明細書で言う剥離強度とは、JIS Z−0237:2009で準拠される180°引きはがし粘着力と同義であり、剥離強度の測定は、JIS Z−0237:2009における(方法2):背面に対する180°引きはがし粘着力に準拠して行うことができる。具体的には、ステンレス板に、試験テープ(その表面に粘着剤を有するポリイミドフィルム(ポリイミドテープ5413(スリーエムジャパン(株)製))を、ステンレス板と粘着剤とが対向するようにして貼り合わせた試験板を用い、この試験板のポリイミドフィルムに、試験片としての保護シートを貼り、試験片としての保護シートを、試験板としてのポリイミドフィルムから180°引きはがすときの剥離強度(対ポリイミド)を、JIS Z−0237:2009に準拠した方法で測定することで、保護シートの剥離強度を測定することができる。剥離強度の測定を行う測定機は、電気機械式万能試験機(5900シリーズ インストロン社製)を用いることとする。
本願明細書で言う保護シートには、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の各種の塗工法によって形成される保護層を含むものとする。例えば、ケン化度が70mol%以上95mol%以下、好ましくは75mol%以上91mol%以下のポリビニルアルコール樹脂を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した塗工液を用いて保護層(保護シート)を形成することで、当該保護層(保護シート)を、水等によって容易に溶解除去することができる。つまり、樹脂マスク形成工程後に、樹脂マスク20にかかる応力を小さくした状態で、樹脂マスク20から保護シート30を除去することができる。
保護シート30の厚みについて特に限定はないが、1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上75μm以下であることがより好ましく、2μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上30μm以下の範囲であることが特に好ましい。保護シート30の厚みを1μm以上とすることで、保護シート30の強度を十分に高めることができ、樹脂板20Aにレーザー光を照射して樹脂マスク開口部を形成するときに、保護シート30が破損する、或いは保護シート30にクラックが生ずるリスク等を低減することができる。特に、保護シート30の厚みを3μm以上とした場合には、このリスクをさらに低減することができる。
また、保護シート30として、保護シート30を支持部材によって支持させた支持部材一体型の保護シート(図示しない)を用いることもできる。支持部材一体型の保護シートとすることで、保護シート30自体の厚みを薄くしていった場合であっても、保護シート30のハンドリング性等を良好なものとすることができる。支持部材の厚みについて特に限定はなく、保護シート30の厚みに応じて適宜設定することができるが、3μm以上200μm以下であることが好ましく、3μm以上150μm以下であることがより好ましく、3μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上75μm以下であることが特に好ましい。
支持部材の材料についても特に限定はなく、樹脂材料、ガラス材料等を用いることができるが、柔軟性等の観点から、樹脂材料を用いることが好ましい。
図12に示す形態の蒸着マスク準備体40は、樹脂板20Aの一方の面上に、1つの保護シート30が位置している。なお、図12は、蒸着マスク準備体40を保護シート30側から見た正面図である。図12に示す形態では、保護シート30の横方向(図中の左右方向)の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さよりも短くしているが、保護シート30の横方向の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さと同じ長さとし、保護シート30の端面と、樹脂板20Aの端面の面位置が一致するようにしてもよく、保護シート30の横方向の長さを、樹脂板20Aの横方向の長さよりも長くして、保護シート30の外周を樹脂板20Aから突出させてもよい。保護シート30の縦方向の長さについても同様である。また、後述する各種形態の保護シート30についても同様である。
また、図13に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に、複数の保護シート30を位置させてもよい。この形態によれば、樹脂板20Aを大型化していった場合、換言すれば、最終的に製造される蒸着マスク100を大型化していった場合であっても、簡便に、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30を設けることができる。特に、保護シート30を複数の分割し、その大きさを小さくすることで、樹脂板20Aの一方の面と、各保護シート30との間に気泡等が残存するリスクを低減させることができ、後述する第1形態、第3形態の蒸着マスク準備体40の構成と相まって、樹脂板20Aと保護シート30との密着性をより高めることができる。また、樹脂板20A上に保護シート30を貼り合わせるときの人為的なミス等により、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する工程の前に、樹脂板20Aの一方の面上に設けられた保護シート30を剥離する必要が生じた場合であっても、当該対象となっている保護シート30を剥離するだけで足り、作業効率の点でも好ましい。
樹脂板20Aの一方の面上に複数の保護シート30を設ける場合における保護シート30の大きさ等について特に限定はなく、例えば、最終的に形成される樹脂マスク開口部の1つ、或いは複数の樹脂マスク開口部25を覆うことができる大きさとしてもよく、後述する「1画面」、或いは複数の画面を覆うことができる大きさとしてもよい。好ましい形態の保護シート30は、複数の保護シート30のそれぞれが、最終的に樹脂板20Aに形成される「1画面」、或いは複数の画面と重なる大きさとなっている。特に、後述する好ましい形態の蒸着マスクでは、各画面間の間隔は、樹脂マスク開口部25の間隔よりも広くなっていることから、作業性の観点からは、保護シート30は、「1画面」、或いは複数の画面を覆うような大きさであって、且つ「1画面」、或いは複数の画面と厚み方向で重なる位置に設けることが好ましい。なお、図13では、点線で閉じられている領域が、「1画面」の配置予定領域となっている。
なお、図13に示す形態では、蒸着マスク準備体40を保護シート30側から平面視したときに、当該蒸着マスク準備体の縦方向、及び横方向(図中の上下方向、及び左右方向)に、複数の保護シート30が規則的に設けられているが、図14(a)に示すように、縦方向に延びる保護シート30を横方向に複数設けてもよく、図14(b)に示すように、横方向に延びる保護シート30を縦方向に複数設けてもよい。また、図14(c)に示すように、複数の保護シート30を、互い違いにランダムに設けてもよい。
樹脂板20Aと、保護シート30とは直接的に接していてもよく、他の層を介して間接的に接していてもよい。例えば、樹脂板20Aと、保護シート30との間に、接着性や、粘着性を有する層(以下、中間層と言う場合がある。)を位置させてもよい。また、保護シート30の樹脂板20Aと接する側の表面に接着処理を施すことで、保護シート30に粘着性(接着性と言う場合もある)を発現させることもできる。接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等を挙げることができる。
(樹脂板)
樹脂板20Aについては、後述する本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造される蒸着マスク100で説明する。
(貫通孔)
一例としての蒸着マスク準備体40は、図4(a)に示すように、樹脂板20Aのみが厚み方向に貫通する貫通孔71を有しているか、又は図4(b)に示すように、保護シート30のみが厚み方向に貫通する貫通孔71を有していている。また、他の一例としての蒸着マスク準備体40は、図4(c)〜(e)に示すように、樹脂板20A、及び保護シート30の双方が厚み方向に貫通する貫通孔71を有していている。樹脂板20A、保護シート30の双方が貫通孔71を有する場合において、樹脂板20Aが有する貫通孔71と、保護シート30が有する貫通孔71は、厚み方向において重なっていてもよく(図4(c)、(d)参照)、厚み方向において重なっていなくともよい(図4(e)参照)。また、樹脂板20Aが有する貫通孔71と、保護シート30が有する貫通孔71の開口面積は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
貫通孔71は、図5(a)〜(d)に示すように、その内径が段階的に変化する、或いは、図5(e)に示すように、不連続に変化する貫通孔71であってもよい。図5(a)、(b)に示す形態では、その開口面積が、保護シート30側に向かって大きくなるように構成された貫通孔71が設けられており、図5(c)、(d)に示す形態では、その開口面積が、保護シート30側に向かって小さくなるように構成された貫通孔71が設けられている。なお、図5では、保護シート30のみが貫通孔71を有しているが、図4に示す各種の形態に置き換えることもできる。
また、樹脂板20A、及び保護シート30の何れか一方、又は双方が有する貫通孔71は、1つであってもよく(図示しない)、図4、図5に示すように複数あってもよい。
貫通孔71の開口面積についても特に限定はないが、貫通孔71を有することによる樹脂板20Aや、保護シート30の耐久性や、気泡等の排出性等を考慮すると、貫通孔71の開口面積は、1μm2以上10000μm2以下の範囲が好ましく、1μm2以上2500μm2以下の範囲がより好ましく、1μm2以上100μm2以下や、4μm2以上25μm2以下の範囲がさらに好ましく、4μm2以上10μm2以下の範囲が特に好ましい。なお、ここで言う開口面積とは、貫通孔71を厚み方向と直交する任意の軸に沿って断面視した時の貫通孔71の開口面積を意味する。好ましい形態の貫通孔71は、樹脂板20Aと、保護シート30とが接する位置における開口面積が、上記好ましい開口面積の範囲内となっている。
貫通孔71の形成位置についても特に限定はないが、例えば、後述するように、金属マスク10を有する蒸着マスク準備体40を用いて、蒸着マスク100の製造を行う場合には、金属マスク10の金属マスク開口部15と重なる位置に、貫通孔71を位置させることが好ましい。
貫通孔71の形成方法についても特に限定はなく、例えば、エッチング加工、レーザー加工、切削加工等を用いることができる。
貫通孔71の開口形状、具体的には、樹脂板20Aに貫通孔71を形成する場合において、蒸着マスク準備体40を樹脂板20A側から平面視したときの貫通孔71の開口形状について特に限定はなく、円や、楕円等の曲率を有する形状であってもよく、矩形、ひし形、多角形状であってもよい。また、これ以外の形状であってもよい。また、樹脂板20Aに複数の貫通孔71を形成する場合において、複数の貫通孔71のそれぞれは、同一の開口形状であってもよく、異なる開口形状であってもよい。上記で説明した貫通孔71の開口面積についても同様である。また、保護シート30に貫通孔71を形成する場合において、蒸着マスク準備体40を保護シート30側から平面視したときの貫通孔71の形状についても同様である。
(溝)
一例としての蒸着マスク準備体40は、図6、図7に示すように、樹脂板20Aと保護シート30の対向面の何れか一方、又は双方の面に溝72を有している。図6、図7は、蒸着マスク準備体40を樹脂板側からみたときの保護シート30の斜視図であり、説明の便宜上樹脂板を省略している。
保護シート30が有する溝72は、保護シート30の外縁同士を繋ぐように位置していればよく、例えば、保護シート30の幅方向外縁に延びる溝72であってもよく(図示しない)、保護シート30の幅方向(図中の上下方向)と直交する方向の外縁に延びる溝であってもよい(図6参照)。また、幅方向、及び幅方向と直交する方向(図中の左右方向)の外縁に延びる溝を組合せた形態としてもよい(図7参照)。また、保護シート30を平面視したときの溝72の形状は、曲率を有する形状であってもよい(図示しない)。
なお、図示する形態の保護シート30や、樹脂板20Aを平面視したときの形状は、矩形を呈しているが、保護シート30や、樹脂板20Aの形状は、図示する形態に限定されるものではなく、例えば、ひし形、多角形状であってもよく、円や、楕円等の曲率を有する形状であってもよい。
溝72は、保護シート30の外縁同士を繋ぎ、ランダムな方向に延びる溝であってもよい(図示しない)。また、保護シート30が有する溝72は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい
また、図8に示すように、上記で説明した貫通孔71と、溝72を組合せて用いることもできる。溝72は、何れかの位置において、貫通孔71と繋がっていれば、溝72を通過する気泡等を、貫通孔71から排出することができる。したがって、溝72が、貫通孔71と繋がる形態とする場合には、溝72は、保護シート30の外縁まで延びていなくともよい。なお、図8では、保護シートの30の外縁同士を繋ぐ溝72の形態、保護シート30の外縁と貫通孔71とを繋ぐ溝72の形態、貫通孔71同士を結ぶ溝72の形態、及び保護シートの30の外縁同士を繋ぎ、且つ貫通孔71と繋がる溝72の形態を纏めて示している。
上記では、保護シート30が溝72を有する形態について説明を行ったが、保護シート30に溝72を位置させることにかえて、或いはこれとともに、樹脂板20Aに溝72を位置させることもできる(図示しない)。この場合、上記保護シート30とある記載を、樹脂板20Aと読み替えればよい。樹脂板20A、保護シート30の双方が、溝72を有する場合において、樹脂板20Aが有する溝72と、保護シート30が有する溝とは、厚み方向において一部、或いは全部が重なっていてもよく、重なっていなくともよい。
なお、樹脂板20Aが溝72を有する形態とした場合には、当該樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成することで得られる樹脂マスク20を備える蒸着マスク100を用いた蒸着パターンの形成時に、樹脂マスク20の膨張を吸収することができ、樹脂マスクの各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂マスク20が全体として所定の方向に膨張して樹脂マスク開口部25の寸法や位置が変化することを防止することができる。樹脂板20Aは、保護シート30との接する側の面、及び接しない側の面の双方に溝72を有していてもよい。
溝72の深さについて特に限定はなく、保護シート30、或いは樹脂板20Aの厚みに応じて適宜設定することができる。溝72の深さの上限値について特に限定はないが、樹脂板20Aに溝72を形成する場合にあっては、樹脂板20Aの厚みを100%としたときに、溝72の深さは、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。下限値についても特に限定はないが、溝72の深さは、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることが好ましい。他方、保護シート30に溝72を形成する場合にあっては、保護シート30の厚み以下であれば、いかなる深さであってもよい。一例としては、保護シート30の厚みを100%としたときの、1%以上99%以下の範囲である。
溝72の幅についても特に限定はないが、一例としては、1μm以上100μm以下の範囲を挙げることができる。
また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、溝72の形成方法等を考慮して任意に選択すればよい。
溝72の形成方法についても特に限定はなく、例えば、エッチング加工、レーザー加工、切削加工等を用いることができる。
<樹脂マスク形成工程>
樹脂マスク形成工程は、図1(b)に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40に対し、樹脂板20Aの他方の面側からレーザー光を照射し、樹脂板20Aに蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する工程である。後述する各種形態についても同様である。
蒸着マスク準備体40の樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するに際し、蒸着作製するパターン、すなわち形成すべき樹脂マスク開口部25に対応するパターンが予め設けられた基準板を準備し、この基準板を、蒸着マスク準備体40の保護シート30と貼り合せた状態で、樹脂板20A側から基準板のパターンに対応するレーザー照射を行ってもよい。この方法によれば、蒸着マスク準備体40の保護シート30と貼り合わされた基準板のパターンを見ながらレーザー照射を行う、いわゆる向こう合わせの状態で、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成することができ、開口の寸法精度が極めて高い高精細な樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20を形成することができる。
なお、上記方法を用いる場合には、樹脂板20A側から、保護シート30を介して基準板のパターンをレーザー照射装置等で認識することができることが必要である。樹脂板20Aとしては、ある程度の厚みを有する場合には透明性を有するものを用いることが必要となるが、後述するようにシャドウの影響を考慮した好ましい厚みとする場合には、着色された樹脂板20Aであっても、基準板のパターンを認識させることができる。また、同様に保護シート30も、ある程度の厚みを有する場合には、基準板を認識することができる程度の透明性を有していることが好ましい。
<<第2形態の蒸着マスクの製造方法>>
本開示の実施の形態に係る第2形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40をエージングする工程と、樹脂マスク20を形成する樹脂マスク形成工程を含み、樹脂マスク形成工程が、エージング後の蒸着マスク準備体40に対し、樹脂板20Aの他方の面側からレーザー光を照射し、樹脂板20Aに蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部を形成する工程である。
本開示の実施の形態に係る第2形態の蒸着マスクの製造方法によれば、樹脂板20Aと保護シート30との間に、気泡等が入り込んでいる場合であっても、エージングによって、当該気泡等を除去することができる。具体的には、エージングによって樹脂板20Aと保護シート30との間に存在する気泡等を、樹脂板20A、或いは保護シート30より外部へ排出する、或いは樹脂板20A、保護シート30中に拡散させることができる。これにより、樹脂板20Aと保護シート30との間に存在し得る気泡等を除去することができる。
(エージング工程)
エージング条件について特に限定はなく、気泡等を、樹脂板20A、或いは保護シート30より外部へ排出可能な条件、或いは樹脂板20Aや、保護シート30中に拡散可能な条件であればよい。なお、気泡等の排出・拡散を効果的に行うためには、温度、時間、圧力等を考慮して行うことが好ましい。温度の一例としては、25℃以上80℃以下の範囲を挙げることができる。時間の一例としては、12時間以上84時間以下の範囲を挙げることができる。圧力の一例としては、10-4Pa以上10-9Pa以下の範囲を挙げることができる。また、これらを適宜組合せた条件とすることもできる。また、これ以外の条件とすることもできる。
<第2形態の蒸着マスク準備体>
本開示の実施の形態に係る第2形態の蒸着マスクの製造方法に用いられる蒸着マスク準備体40は、貫通孔71、溝72を必須の条件としない点において、本開示の実施の形態に係る第1形態の蒸着マスクの製造方法に用いられる蒸着マスク準備体40と相違し、その他は共通する。
<<第3形態の蒸着マスクの製造方法>>
本開示の実施の形態に係る第3形態の蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスクを形成する樹脂マスク形成工程を含み、樹脂マスク形成工程が、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる蒸着マスク準備体40に対し、樹脂板20Aの他方の面側からレーザー光を照射し、樹脂板20Aに蒸着作成するパターンに対応する樹脂マスク開口部25を形成する工程であり、蒸着マスク準備体40における樹脂板20Aと保護シート30との対向面の何れか一方が凸部81を有しており、他方が凸部81と嵌合可能な凹部82を有しており、蒸着マスク準備体40が、凸部81と凹部82とが嵌合されてなる蒸着マスク準備体である(図9〜図11参照)。
本開示の実施の形態に係る第3形態の蒸着マスクの製造方法によれば、凸部81、及び凹部82を嵌合させることで、樹脂板20Aと保護シート30との間に気泡等が残存してしまうことを抑制することができる。
<第3形態の蒸着マスク準備体>
図9、図10は、第3形態の蒸着マスクの製造方法に用いられる蒸着マスク準備体の一例を示す概略断面図である。図9に示す形態の蒸着マスク準備体40は、樹脂板20Aと保護シート30との対向面において、樹脂板20Aが凸部81を有しており、保護シート30が凹部を有しており、樹脂板20Aが有する凸部81と、保護シート30が有する凹部が嵌合されてなる形態をとる。図10に示す形態の蒸着マスク準備体40は、樹脂板20Aと保護シート30との対向面において、樹脂板20Aが凹部を有しており、保護シート30が凸部81を有しており、樹脂板20Aが有する凹部と、保護シート30が有する凸部81が嵌合されてなる形態をとる。
また、図11に示すように、凸部81の大きさを、凹部82よりも小さくし、凹部82に空間を設けることもできる。この形態によれば、樹脂板20Aと保護シート30との間に気泡等が残存している場合であっても、凹部82内に形成された空間に気泡等を逃がすことができ、結果的に、樹脂板20Aと保護シート30との密着性を良好なものとすることができる。なお、図11に示す形態の蒸着マスク準備体40は、樹脂板20Aが凸部81を有し、保護シート30が凹部82を有しているが、この形態にかえて、樹脂板20Aが凹部82を有し、保護シート30が凸部81を有する形態とすることもできる。
樹脂板20A、保護シート30が有する凸部81、凹部82は、1つであってもよく、複数あってもよい。
凸部81の高さ(凹部の深さとも言う)について特に限定はなく、樹脂板20Aや、保護シート30の厚みに応じて適宜設定することができる。凸部81の高さ(凹部82の深さ)は、nmオーダーであってもよく、μmオーダーであってもよい。例えば、凸部81、凹部82を微小なものとする場合には、凸部81の高さとしては、1nm以上10μm以下の範囲を挙げることができる。また、凸部81の高さを、10μm以上100μm以下の範囲、好ましくは、10μm以上50μm以下の範囲、より好ましくは、10μm以上20μm以下の範囲とすることもできる。また、これ以外の範囲とすることもできる。
凹部82の底面の面積(凸部頂面の面積)についても特に限定はなく、例えば、凸部81、凹部82を微小なものとする場合には、1nm2以上1μm2以下の範囲や、1nm2以上500nm2以下の範囲等を挙げることができる。また、1μm2以上1000μm2以下の範囲や、10μm2以上500μm2以下の範囲等を挙げることができる。また、これ以外の範囲とすることもできる。
なお、凸部81や、凹部82を微小なものとする場合、例えば、その高さをnmオーダー等とする場合には、凸部81を有する樹脂板20A、或いは保護シート30として、柔軟性を有するものを用いることが好ましい。また、隣り合う凸部81のピッチ(隣り合う凹部82のピッチ)についても特に限定はなく、凸部81の大きさ等を考慮して適宜設定すればよい。
また、図示する形態では、樹脂板20A、或いは保護シート30を断面視したときの、凹部82の形状は、矩形を呈しているが、これ以外の形状であってもよい。
凸部81、凹部82の形成方法について特に限定はなく、例えば、エッチング加工や、切削加工などを用いて形成可能である。
保護シート30については、貫通孔71、或いは溝72にかえて、凸部81、或いは凹部82を有している点を除き、上記第1形態の蒸着マスク準備体40で説明した保護シート30の構成を適宜選択して用いることができる。
また、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、上記第1形態〜第3形態を組合せることもできる。例えば、第1形態、第3形態の蒸着マスク準備体40を用いた樹脂マスク形成工程の前に、エージング工程を行ってもよい。
上記で説明した本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法では、蒸着マスク準備体40として、その基本構成が、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置してなる形態を中心に説明を行ったが、この形態にかえて、図15(a)に示すように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30が位置し、樹脂板20Aの他方の面に金属マスク開口部15を有する金属マスク10が位置してなる蒸着マスク準備体40を用いることもできる。この形態の蒸着マスク準備体によれば、樹脂マスク形成工程において、図15(b)に示すように、蒸着マスク準備体40に対し、金属マスク開口部15を通してレーザー光を照射し、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成し、次いで、保護シート30を除去することで、図15(c)に示すように、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20と、金属マスク開口部15を有する金属マスク10とが積層されてなる蒸着マスク100を得る。
また、樹脂マスク形成工程を行った後に、樹脂マスク開口部25が形成された樹脂板20Aの他方の面に金属マスク開口部15を有する金属マスク10を設けてもよい。
金属マスク10を有する蒸着マスク準備体40における他の構成は、上記第1形態、第3形態の蒸着マスク準備体で説明した構成を適宜組合せて用いることができる。また、この蒸着マスク準備体40に対して、上記第2形態の如くエージング工程を行ってもよい。金属マスク10については後述する。
(任意の工程)
以下、上記本開示の実施の形態に係る第1形態〜第3形態の蒸着マスクの製造方法における任意の工程について説明する。
<蒸着マスク準備体をフレームに固定する工程>
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスク形態工程を行う前の段階で、蒸着マスク準備体40をフレームに固定する工程を含んでいてもよい。レーザー光を照射して、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成する前の段階で、蒸着マスク準備体40を予めフレームに固定しておくことで、得られた蒸着マスク100をフレームに固定する際に生じる取り付け誤差を抑制することができる。なお、蒸着マスク準備体40をフレームに固定することにかえて、樹脂板20A、或いは、樹脂板20Aの他方の面上に金属マスクが積層されてなる積層体をフレームに固定した後に、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30を設けてもよい。
フレームと蒸着マスク準備体との固定は、フレームの表面において行ってもよく、フレームの側面において行ってもよい。フレームについては後述する。
<保護シートを除去する工程>
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、樹脂マスク形成工程後に、樹脂マスク20から保護シート30を除去する工程を含んでいてもよい。なお、保護シート30は、樹脂マスク20の表面を保護する役割を果たし得ることから、蒸着マスクの使用直前に保護シート30を除去する形態とすることで、蒸着マスクの搬送時等に蒸着マスクが傷つくこと等を抑制することができる。
(スリミング工程)
また、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法は、上記で説明した工程間、或いは工程後に、樹脂板20A、保護シート30、任意の金属マスク10の厚みを最適化するスリミング工程を含んでいてもよい。
例えば、蒸着マスク準備体40を構成する樹脂板20Aや、保護シート30の厚みが所望の厚みよりも厚いものを用いた場合には、製造工程中において、蒸着マスク準備体40に優れた耐久性や搬送性を付与することができる。一方で、後述するようにシャドウの発生等を防止するためには、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造される蒸着マスク100の厚みは最適な厚みであることが好ましい。スリミング工程は、製造工程中において耐久性や搬送性を満足させつつ、蒸着マスク100の厚みを最適化する場合に有用な工程である。
樹脂板20A、保護シート30のスリミング、すなわち厚みの最適化は、上記で説明した工程間、或いは工程後に、例えば、樹脂板20Aの保護シート30と接しない側の面や、保護シート30の樹脂板20Aと接しない側の面をエッチング加工等することで実現可能である。金属マスク10のスリミングについても同様である。
(蒸着マスクの製造方法を用いて製造される蒸着マスク)
次に、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法により製造される蒸着マスクについて一例を挙げて説明する。なお、以下では、製造される蒸着マスク100が、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20と、金属マスク開口部15を有する金属マスク10とが積層されてなる積層構成をとる場合を中心に説明を行うが、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20のみからなる蒸着マスク100であってもよい。
図16(a)は、一実施形態の蒸着マスクの製造方法で製造された蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図であり、図16(b)は、図16(a)のA−A概略断面図である。
図示する形態では、樹脂マスク開口部25や、金属マスク開口部15の開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、樹脂マスク開口部25や、金属マスク開口部15の開口形状は、ひし形、多角形状であってもよく、円や、楕円等の曲率を有する形状であってもよい。なお、矩形や、多角形状の開口形状は、円や楕円等の曲率を有する開口形状と比較して発光面積を大きくとれる点で、好ましい樹脂マスク開口部25の開口形状であるといえる。
(樹脂マスク)
樹脂マスク20の材料について限定はなく、レーザー加工等によって高精細な樹脂マスク開口部25の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。この樹脂材料を用いた樹脂マスクとすることで、樹脂マスク開口部25の寸法精度を向上させることができ、かつ熱や経時での寸法変化率や吸湿率を小さくすることができる。したがって、最終的に樹脂マスク20となり、蒸着マスク準備体を構成する樹脂板20Aとしては、例えば、上記に例示した好ましい樹脂材料から構成される樹脂板を用いることが好ましい。
樹脂マスク20の厚みについて特に限定はないが、シャドウの発生の抑制効果をさらに向上せしめる場合には、樹脂マスク20の厚みは、25μm以下であることが好ましく、10μm未満であることがより好ましい。下限値の好ましい範囲について特に限定はないが、樹脂マスク20の厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。特に、樹脂マスク20の厚みを、3μm以上10μm未満、より好ましくは4μm以上8μm以下とすることで、400ppiを超える高精細パターンを形成する際のシャドウの影響をより効果的に防止することができる。また、樹脂マスク20と後述する金属マスク10とは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して樹脂マスク20と金属マスク10とが接合される場合には、樹脂マスク20と粘着剤層との合計の厚みが上記好ましい厚みの範囲内であることが好ましい。なお、シャドウとは、蒸着源から放出された蒸着材の一部が、金属マスク開口部や、樹脂マスクの開口部の内壁面に衝突して蒸着対象物へ到達しないことにより、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる現象のことをいう。したがって、最終的に樹脂マスク20となり、蒸着マスク準備体を構成する樹脂板20Aの厚みは上記の厚さとすることが好ましい。なお、樹脂板20Aは、金属マスク10に対して、粘着剤層や接着剤層を介して接合されていてもよく、樹脂板20Aと金属板とが直接接合されていてもよいが、粘着剤層や接着剤層を介して樹脂板と金属マスク10とを接合する場合には、上記シャドウの点を考慮して、樹脂板20Aと粘着剤層或いは樹脂板20Aと接着剤層との合計の厚みが上記好ましい範囲内となるように設定することが好ましい。
樹脂マスク開口部25の断面形状についても特に限定はなく、樹脂マスク開口部25を形成する樹脂マスクの向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図16(b)に示すように、樹脂マスク開口部25はその断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。換言すれば、金属マスク10側に向かって広がりをもつ勾配を有していることが好ましい。勾配については、樹脂マスク20の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、樹脂マスク開口部における下底先端と、同じく樹脂マスク開口部における上底先端を結んだ直線と、樹脂マスク底面とのなす角度、換言すれば、樹脂マスク開口部25を構成する内壁面の厚み方向断面において、樹脂マスク開口部25の内壁面と樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面(図示する形態では、樹脂マスクの下面)とのなす角度は、5°以上85°以下の範囲内であることが好ましく、15°以上75°以下の範囲内であることがより好ましく、25°以上65°以下の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。また、図示する形態では、樹脂マスク開口部25を形成する端面は直線形状を呈しているが、これに限定されることはなく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり樹脂マスク開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。また、内に凸の形状となっていてもよい。このような断面形状を有する樹脂マスク開口部25は、樹脂板20Aに樹脂マスク開口部25を形成するときのレーザーの照射位置や、レーザーの照射エネルギーを適宜調整する、或いは照射位置を段階的に変化させる多段階のレーザー照射を行うことで形成可能である。
(金属マスク)
図16(b)に示すように、樹脂マスク20の一方の面上には、金属マスク10が積層されている。金属マスク10は、金属から構成され、縦方向或いは横方向に延びる金属マスク開口部15が配置されている。金属マスク開口部の配置例について特に限定はなく、縦方向、及び横方向に延びる金属マスク開口部が、縦方向、及び横方向に複数列配置されていてもよく、縦方向に延びる金属マスク開口部が、横方向に複数列配置されていてもよく、横方向に延びる金属マスク開口部が縦方向に複数列配置されていてもよい。また、縦方向、或いは横方向に1列のみ配置されていてもよい。なお、本願明細書で言う「縦方向」、「横方向」とは、図面の上下方向、左右方向をさし、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。例えば、蒸着マスク、樹脂マスク、金属マスクの長手方向を「縦方向」としてもよく、幅方向を「縦方向」としてもよい。また、本願明細書では、蒸着マスクを平面視したときの形状が矩形状である場合を例に挙げて説明しているが、これ以外の形状、例えば、円形状や、ひし形状等の多角形状としてもよい。この場合、対角線の長手方向や、径方向、或いは、任意の方向を「長手方向」とし、この「長手方向」に直交する方向を、「幅方向(短手方向と言う場合もある)」とすればよい。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
金属マスク10の厚みについても特に限定はないが、シャドウの発生をより効果的に防止するためには、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが特に好ましい。なお、5μmより薄くした場合、破断や変形のリスクが高まるとともにハンドリングが困難となる傾向にある。
また、図16(a)に示す形態では、金属マスク開口部15を平面視したときの開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、金属マスク開口部15の開口形状は、台形状、円形状等いかなる形状であってもよい。
金属マスク10に形成される金属マスク開口部15の断面形状についても特に限定されることはないが、図16(b)に示すように蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。より具体的には、金属マスク開口部における下底先端と、同じく金属マスク開口部15における上底先端とを結んだ直線と、金属マスク10の底面とのなす角度、換言すれば、金属マスク開口部15を構成する内壁面の厚み方向断面において、金属マスク開口部15の内壁面と金属マスク10の樹脂マスク20と接する側の面(図示する形態では、金属マスクの下面)とのなす角度は、5°以上85°以下の範囲内であることが好ましく、15°〜80°の範囲内であることがより好ましく、25°以上65°以下の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。
以下、一実施形態の蒸着マスクの製造方法によって製造される好ましい形態の蒸着マスクについて実施形態(A)、及び実施形態(B)を例に挙げ説明する。
<実施形態(A)の蒸着マスク>
図17に示すように、実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、樹脂マスク20の一方の面上に、複数の金属マスク開口部15が設けられた金属マスク10が積層されてなり、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な樹脂マスク開口部25が設けられ、各金属マスク開口部15が、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられていることを特徴とする。
実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するために用いられる蒸着マスクであり、1つの蒸着マスク100で、複数の製品に対応する蒸着パターンを同時に形成することができる。実施形態(A)の蒸着マスクで言う「樹脂マスク開口部」とは、実施形態(A)の蒸着マスク100を用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、樹脂マスク開口部25の形状は当該有機層の形状となる。また、「1画面」とは、1つの製品に対応する樹脂マスク開口部25の集合体からなり、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる樹脂マスク開口部25の集合体が「1画面」となる。そして、実施形態(A)の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成すべく、樹脂マスク20には、上記「1画面」が、所定の間隔をあけて複数画面分配置されている。すなわち、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な樹脂マスク開口部25が設けられている。
実施形態(A)の蒸着マスクは、樹脂マスクの一方の面上に、複数の金属マスク開口部15が設けられた金属マスク10が設けられ、各金属マスク開口部は、それぞれ少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられている点を特徴とする。換言すれば、1画面を構成するのに必要な樹脂マスク開口部25間において、横方向に隣接する樹脂マスク開口部25間に、金属マスク開口部15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、縦方向に隣接する樹脂マスク開口部25間に、金属マスク開口部15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在していないことを特徴とする。以下、金属マスク開口部15の縦方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分や、金属マスク開口部15の横方向の長さと同じ長さであって、金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分のことを総称して、単に金属線部分と言う場合がある。
実施形態(A)の蒸着マスク100によれば、1画面を構成するのに必要な樹脂マスク開口部25の大きさや、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチを狭くした場合、例えば、400ppiを超える画面の形成を行うべく、樹脂マスク開口部25の大きさや、樹脂マスク開口部25間のピッチを極めて微小とした場合であっても、金属線部分による干渉を防止することができ、高精細な画像の形成が可能となる。なお、1画面が、複数の金属マスク開口部によって分割されている場合、換言すれば、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチが狭くなっていくことにともない、樹脂マスク開口部25間に存在する金属線部分が蒸着対象物へ蒸着パターンを形成する際の支障となり高精細な蒸着パターンの形成が困難となる。換言すれば、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間に金属マスク10と同じ厚みを有する金属線部分が存在している場合には、フレーム付き蒸着マスクとしたときに当該金属線部分が、シャドウの発生を引き起こし高精細な画面の形成が困難となる。
次に、図17〜図20を参照して、1画面を構成する樹脂マスク開口部25の一例について説明する。なお、図示する形態において破線で閉じられた領域が1画面となっている。図示する形態では、説明の便宜上少数の樹脂マスク開口部25の集合体を1画面としているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、1つの樹脂マスク開口部25を1画素としたときに、1画面に数百万画素の樹脂マスク開口部25が存在していてもよい。
図17に示す形態では、縦方向、横方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。図18に示す形態では、横方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。また、図19に示す形態では、縦方向に複数の樹脂マスク開口部25が設けられてなる樹脂マスク開口部25の集合体によって1画面が構成されている。そして、図17〜図19では、1画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。
上記で説明したように、金属マスク開口部15は、1画面のみと重なる位置に設けられていてもよく、図20(a)、(b)に示すように、2以上の画面全体と重なる位置に設けられていてもよい。図20(a)では、図17に示す樹脂マスク20において、横方向に連続する2画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。図20(b)では、縦方向に連続する3画面全体と重なる位置に金属マスク開口部15が設けられている。
次に、図17に示す形態を例に挙げて、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチ、画面間のピッチについて説明する。1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチや、樹脂マスク開口部25の大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。例えば、400ppiの高精細な蒸着パターンの形成を行う場合には、1画面を構成する樹脂マスク開口部25において隣接する樹脂マスク開口部25の横方向のピッチ(P1)、縦方向のピッチ(P2)は60μm程度となる。また、樹脂マスク開口部の大きさは、500μm2以上1000μm2以下程度となる。また、1つの樹脂マスク開口部25は、1画素に対応していることに限定されることはなく、例えば、画素配列によっては、複数画素を纏めて1つの樹脂マスク開口部25とすることもできる。
画面間の横方向ピッチ(P3)、縦方向ピッチ(P4)についても特に限定はないが、図17に示すように、1つの金属マスク開口部15が、1画面全体と重なる位置に設けられる場合には、各画面間に金属線部分が存在することとなる。したがって、各画面間の縦方向ピッチ(P4)、横方向のピッチ(P3)が、1画面内に設けられている樹脂マスク開口部25の縦方向ピッチ(P2)、横方向ピッチ(P1)よりも小さい場合、或いは略同等である場合には、各画面間に存在している金属線部分が断線しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、画面間のピッチ(P3、P4)は、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチ(P1、P2)よりも広いことが好ましい。画面間のピッチ(P3、P4)の一例としては、1mm以上100mm以下の範囲である。なお、画面間のピッチとは、1の画面と、当該1の画面と隣接する他の画面とにおいて、隣接している樹脂マスク開口部間のピッチを意味する。このことは、後述する実施形態(B)の蒸着マスクにおける樹脂マスク開口部25のピッチ、画面間のピッチについても同様である。
なお、図20に示すように、1つの金属マスク開口部15が、2つ以上の画面全体と重なる位置に設けられる場合には、1つの金属マスク開口部15内に設けられている複数の画面間には、金属マスク開口部の内壁面を構成する金属線部分が存在しないこととなる。したがって、この場合、1つの金属マスク開口部15と重なる位置に設けられている2つ以上の画面間のピッチは、1画面を構成する樹脂マスク開口部25間のピッチと略同等であってもよい。
<実施形態(B)の蒸着マスク>
次に実施形態(B)の蒸着マスクについて説明する。図21に示すように、実施形態(B)の蒸着マスクは、蒸着作製するパターンに対応した樹脂マスク開口部25が複数設けられた樹脂マスク20の一方の面上に、1つの金属マスク開口部(1つの孔16)が設けられた金属マスク10が積層されてなり、当該複数の樹脂マスク開口部25の全てが、金属マスク10に設けられた1つの孔と重なる位置に設けられている点を特徴とする。
実施形態(B)の蒸着マスクで言う樹脂マスク開口部25とは、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要な樹脂マスク開口部を意味し、蒸着対象物に蒸着パターンを形成するために必要ではない樹脂マスク開口部は、1つの孔16と重ならない位置に設けられていてもよい。なお、図21は、実施形態(B)の蒸着マスクの一例を示す蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。
実施形態(B)の蒸着マスク100は、複数の樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、1つの孔16を有する金属マスク10が設けられており、かつ、複数の樹脂マスク開口部25の全ては、当該1つの孔16と重なる位置に設けられている。この構成を有する実施形態(B)の蒸着マスク100では、樹脂マスク開口部25間に、金属マスクの厚みと同じ厚み、或いは、金属マスクの厚みより厚い金属線部分が存在していないことから、上記実施形態(A)の蒸着マスクで説明したように、金属線部分による干渉を受けることなく樹脂マスク20に設けられている樹脂マスク開口部25の寸法通りに高精細な蒸着パターンを形成することが可能となる。
また、実施形態(B)の蒸着マスクによれば、金属マスク10の厚みを厚くしていった場合であっても、シャドウの影響を殆ど受けることがないことから、金属マスク10の厚みを、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができるまで厚くすることができ、高精細な蒸着パターンの形成を可能としつつも、耐久性や、ハンドリング性を向上させることができる。
(樹脂マスク)
実施形態(B)の蒸着マスクにおける樹脂マスク20は、樹脂から構成され、図21に示すように、1つの孔16と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した樹脂マスク開口部25が複数設けられている。樹脂マスク開口部25は、蒸着作製するパターンに対応しており、蒸着源から放出された蒸着材が樹脂マスク開口部25を通過することで、蒸着対象物には、樹脂マスク開口部25に対応する蒸着パターンが形成される。なお、図示する形態では、樹脂マスク開口部が縦横に複数列配置された例を挙げて説明をしているが、縦方向、或いは横方向にのみ配置されていてもよい。
実施形態(B)の蒸着マスク100における「1画面」とは、1つの製品に対応する樹脂マスク開口部25の集合体を意味し、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる樹脂マスク開口部25の集合体が「1画面」となる。実施形態(B)の蒸着マスクは、「1画面」のみからなるものであってもよく、当該「1画面」が複数画面分配置されたものであってもよいが、「1画面」が複数画面分配置される場合には、画面単位毎に所定の間隔をあけて樹脂マスク開口部25が設けられていることが好ましい(実施形態(A)の蒸着マスクの図17参照)。「1画面」の形態について特に限定はなく、例えば、1つの樹脂マスク開口部25を1画素としたときに、数百万個の樹脂マスク開口部25によって1画面を構成することもできる。
(金属マスク)
実施形態(B)の蒸着マスク100における金属マスク10は、金属から構成され1つの孔16を有している。そして、本発明では、当該1つの孔16は、金属マスク10の正面からみたときに、全ての樹脂マスク開口部25と重なる位置、換言すれば、樹脂マスク20に配置された全ての樹脂マスク開口部25がみえる位置に配置されている。
金属マスク10を構成する金属部分、すなわち1つの孔16以外の部分は、図21に示すように蒸着マスク100の外縁に沿って設けられていてもよく、図22に示すように金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも小さくし、樹脂マスク20の外周部分を露出させてもよい。また、金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも大きくして、金属部分の一部を、樹脂マスクの横方向外方、或いは縦方向外方に突出させてもよい。なお、いずれの場合であっても、1つの孔16の大きさは、樹脂マスク20の大きさよりも小さく構成されている。
図21に示される金属マスク10の1つの孔16の壁面をなす金属部分の横方向の幅(W1)や、縦方向の幅(W2)について特に限定はないが、W1、W2の幅が狭くなっていくに従い、耐久性や、ハンドリング性が低下していく傾向にある。したがって、W1、W2は、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができる幅とすることが好ましい。金属マスク10の厚みに応じて適切な幅を適宜設定することができるが、好ましい幅の一例としては、実施形態(A)の蒸着マスクにおける金属マスクと同様、W1、W2ともに1mm以上100mm以下の範囲である。
したがって、一実施形態の蒸着マスクの製造方法においては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30を設ける位置や、樹脂マスク開口部25を形成する工程におけるレーザー光の照射などを決定することが好ましい。また、樹脂板20Aの一方の面上に保護シート30を設けるにあたっては、最終的に製造される蒸着マスクが上記で説明した好ましい形態となるように、その大きさや、配置する位置を決定することが好ましい。
また、一実施形態の蒸着マスクの製造方法を用いて、フレーム付き蒸着マスクを得ることもできる。図23、図24は、フレーム60に一実施形態の蒸着マスクの製造方法により得られる蒸着マスクを固定してなるフレーム付き蒸着マスク200を樹脂マスク側から見た正面図である。フレーム付き蒸着マスク200は、図23に示すように、フレーム60に、1つの蒸着マスク100が固定されたものであってもよく、図24に示すように、フレーム60に、複数の蒸着マスク100が固定されたものであってもよい。フレーム付き蒸着マスク200は、一実施形態の蒸着マスクの製造方法により得られる蒸着マスクをフレーム60に固定して得ることができ、また、予め、フレーム60に蒸着マスク準備体を固定することで得ることができる。また、図24に示す形態のフレーム付き蒸着マスクは、一実施形態の蒸着マスクの製造方法により得られる複数の蒸着マスクをフレーム60に固定して得ることができ、また、予め、複数の蒸着マスク準備体40をフレーム60に固定することで得ることもできる。
フレーム60は、略矩形形状の枠部材であり、最終的に固定される蒸着マスク100の樹脂マスク20に設けられた樹脂マスク開口部25を蒸着源側に露出させるための貫通孔を有する。フレームの材料としては、金属材料や、ガラス材料、セラミック材料等を挙げることができる。
フレームの厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から10mm以上30mm以下の範囲であることが好ましい。フレームの開口の内周端面と、フレームの外周端面間の幅は、当該フレームと、蒸着マスクの金属マスクとを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm以上70mm以下の範囲の幅を例示することができる。
また、図25(a)〜(c)に示すように、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20の樹脂マスク開口部25の露出を妨げない範囲で、フレームの貫通孔の領域に補強フレーム65等が設けられたフレーム60を用いてもよい。換言すれば、フレーム60が有する開口が、補強フレーム等によって分割された構成を有していてもよい。補強フレーム65を設けることで、当該補強フレーム65を利用して、フレーム60と蒸着マスク100とを固定することができる。具体的には、上記で説明した蒸着マスク100を縦方向、及び横方向に複数並べて固定するときに、当該補強フレームと蒸着マスクが重なる位置においても、フレーム60に蒸着マスク100を固定することができる。
(蒸着マスクを用いた蒸着方法)
本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法を用いて製造される蒸着マスクを用いた蒸着方法については、特に限定はなく、例えば、反応性スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法等の物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition)、熱CVD、プラズマCVD、光CVD法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition)等を挙げることが
できる。また、蒸着パターンの形成は、従来公知の真空蒸着装置などを用いて行うことができる。
<<有機半導体素子の製造方法>>
次に、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法について説明する。本開示の有機半導体素子の製造方法は、蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を含み、蒸着パターンを形成する工程において、上記で説明した本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法を用いて得られる蒸着マスクが用いられることを特徴としている。
蒸着マスクを用いた蒸着法により蒸着パターンを形成する工程について特に限定はなく、基板上に電極を形成する電極形成工程、有機層形成工程、対向電極形成工程、封止層形成工程等を有し、各任意の工程において、上記で説明した蒸着パターン形成方法を用いて、蒸着パターンが形成される。例えば、有機ELデバイスのR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)各色の発光層形成工程に、上記で説明した蒸着パターン形成方法をそれぞれ適用する場合には、基板上に各色発光層の蒸着パターンが形成される。なお、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、これらの工程に限定されるものではなく、従来公知の有機半導体素子の製造における任意の工程に適用可能である。
以上説明した本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法によれば、蒸着マスクと蒸着対象物とを隙間なく密着させた状態で、有機半導体素子を形成する蒸着を行うことができ、高精細な有機半導体素子を製造することができる。本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法で製造される有機半導体素子としては、例えば、有機EL素子の有機層、発光層や、カソード電極等を挙げることができる。特に、本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法は、高精細なパターン精度が要求される有機EL素子のR、G、B発光層の製造に好適に用いることができる。
<<有機ELディスプレイの製造方法>>
次に、本開示の実施の形態に係る有機ELディスプレイ(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)の製造方法について説明する。本開示の実施の形態に係る有機ELディスプレイの製造方法は、有機ELディスプレイの製造工程において、上記で説明した本開示の実施の形態に係る有機半導体素子の製造方法により製造された有機半導体素子が用いられる。
上記本開示の有機半導体素子の製造方法により製造された有機半導体素子が用いられた有機ELディスプレイとしては、例えば、ノートパソコン(図26(a)参照)、タブレット端末(図26(b)参照)、携帯電話(図26(c)参照)、スマートフォン(図26(d)参照)、ビデオカメラ(図26(e)参照)、デジタルカメラ(図26(f)参照)、スマートウォッチ(図26(g)参照)等に用いられる有機ELディスプレイを挙げることができる。
以上、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法、蒸着マスク準備体を用いて得られる蒸着マスク、及び有機半導体素子の製造方法や、有機ELディスプレイの製造方法に用いられる蒸着マスクが、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20と、金属マスク開口部15を有する金属マスク10とが積層されてなる積層構成をとる蒸着マスクである場合を中心に説明を行ったが、この形態の蒸着マスクにかえて、本開示の実施の形態に係る蒸着マスクの製造方法、蒸着マスク準備体を用いて、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した形態の蒸着マスクを得ることもできる。また、この形態の蒸着マスクを、有機半導体素子の製造方法や、有機ELディスプレイの製造方法に用いることもできる。
樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した蒸着マスクによれば、金属層10Aを有しない蒸着マスク、つまりは、樹脂マスク20のみからなる蒸着マスクと比較して、耐久性の向上を図ることができる。
図27(a)は、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aを部分的に配置した形態の蒸着マスクを、金属層側から平面視したときの一例を示す正面図であり、図27(b)は、図27(a)のA−A部分での概略断面図である。なお、図27(b)における蒸着マスクの中央付近の一部は省略されている。
金属層10Aが設けられる位置、および金属層10Aを平面視した際の形状についても特に限定されることはない。すなわち、金属層10Aが設けられる位置に応じて、金属層10Aの平面形状を適宜設計することが可能である。
例えば、図27(a)に示すように、蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20を平面視したときの形状が、長辺と短辺とを有する長方形を呈している場合にあっては、金属層10Aの形状をその短辺と同じ長さを有する帯形状としつつ、樹脂マスク20の短辺と平行に配置してもよい。また、図示しないが、金属層10Aの形状を樹脂マスク20の長辺と同じ長さを有する帯形状としつつ、樹脂マスクの長辺と平行に配置してもよい。
図28、図29は、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aが部分的に配置された蒸着マスクを、金属層10A側から平面視したときの一例を示す正面図である。
図28に示すように、金属層10Aは必ずしも樹脂マスク20の周縁に接している必要はなく、樹脂マスク20の内部にのみ配置されていてもよい。例えば、樹脂マスク開口部25を有する樹脂マスク20上に、金属層10Aが部分的に配置された蒸着マスクを、フレームと固定するにあたり、当該フレームと厚み方向で重なる位置に、金属層10Aを配置しない形態としてもよい。
また、図29に示すように、金属層10Aは必ずしも帯状である必要はなく、樹脂マスク20上に点在するように配置されていてもよい。この場合において、図29に示す金属層10Aは正方形であるが、これに限定されることはなく、長方形、三角形、四角形以上の多角形、円、楕円、半円、ドーナツ形状、アルファベットの「C」形状、「T」形状、さらには「十字」形状や「星」形状など、あらゆる形状をも採用可能である。一枚の樹脂マスク20上に複数の金属層10Aが設けられている場合において、すべての金属層10Aが同一形状である必要はなく、前記で挙げた種々の形状の金属層10Aが混在していてもよい。
また、金属層10Aは、規則的に配置されていてもよく、ランダムに配置されていてもよい。
金属層10Aの材料としては、上記金属マスク10の材料をそのまま用いることができる。また、金属層10Aの厚みは、金属マスク10で説明した厚みとすればよい。
また、金属層10Aの断面形状についても特に限定されることはなく、図27(b)に示すように、金属層10Aの向かいあう端面同士が略平行であってもよく、図示はしないが、樹脂マスク開口部25や、金属マスク開口部15の開口と同様に、金属層10Aの樹脂マスク20と接する側の面から、金属層10Aの樹脂マスク20と接しない側の面に向かって広がりをもつ形状としてもよい。