以下、本実施形態に係る情報伝送システムについて、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態に係る情報伝送システム1は、移動体搭載機2、サーバ3、及び通信基地局4を有する。図1では、情報の流れを矢印で例示している。
移動体搭載機2は、図1に示すように、移動体6に搭載されている。本実施形態では、移動体6としてバギー車を例示する。但し、移動体6は、バギー車に限定されない。例えば、移動体6はバギー車以外の自動車であってもよい。移動体6は、二輪車、船舶又は雪上車であってもよい。船舶としては、水上バイク及びボートを例示することができる。雪上車としては、スノーモービルを例示することができる。本実施形態で例示する移動体6は、ユーザに貸与されて使用される。本実施形態で例示する移動体6は、予め決められた所定の領域内で使用することを前提として、運用される。本実施形態では所定の領域としてサーキットコース5を例示する。
例えば図2に示すように、ユーザは、貸与された移動体6を、サーキットコース5内で運転することができる。サーキットコース5には、例えば、スタート及びゴール位置5a、並びにピットレーン5bが含まれる。
移動体搭載機2は、図3及び図4に示すように、メータユニット7、通信接続機器8、第1カメラ11、第2カメラ12、及び操作装置13を備えている。移動体搭載機2は、第1カメラ11及び第2カメラ12の他に更にカメラを備えてもよい。通信接続機器8は、第1カメラ11、第2カメラ12及びセンサ装置14と接続されている。
メータユニット7は、図3に示すように、メータ制御装置16、表示装置17、オドメータ18、指針駆動回路19、速度メータ21、タコメータ22、水温メータ23、及び燃料メータ24を備えている。
メータ制御装置16は、第1制御部26と、第1の一時記憶部27と、第1記憶部28と、を備えている。以下では、第1制御部26を「メータ制御部26」とも称する。第1の一時記憶部27は、「メータ一時記憶部27」とも称する。第1記憶部28は、「メータ記憶部28」とも称する。メータ制御装置16は、車載LAN(Local Area Network)30に接続されている。車載LAN30には、例えばCAN(Controller Area Network)を用いることができる。
メータ制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成されている。メータ制御部26は、メータ記憶部28に記憶されたメータ制御プログラムを実行することにより、表示装置17及びオドメータ18の表示を制御する。またメータ制御部26は、メータ記憶部28に記憶されたメータ制御プログラムを実行することにより、指針駆動回路19を介して速度メータ21、タコメータ22、水温メータ23、及び燃料メータ24の表示を制御する。
メータ一時記憶部27は、メータ制御部26によって処理される情報を一時的に記憶する。メータ一時記憶部27には、例えば、揮発性メモリが用いられる。揮発性メモリとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。
メータ記憶部28は、メータ制御プログラムを含む各種のプログラム、表示装置17に表示させる表示用データ、及び積算移動距離28aを記憶している。メータ記憶部28には、例えば、不揮発性メモリが用いられる。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM(Read Only Memory)、若しくはフラッシュメモリが挙げられる。
表示装置17は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)を用いて構成される。表示装置17は、タッチパネルを用いて構成されてもよい。
オドメータ18は、移動体6の積算移動距離28aを表示する。メータ制御部26は、車載LAN30を介して受信する移動体6の移動速度の情報に基づいて、メータ記憶部28に記憶されている積算移動距離28aを随時更新する。メータ制御部26は、更新した積算移動距離28aをオドメータ18に表示させる。オドメータは、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機ELを用いて構成される。本実施形態では、オドメータ18と表示装置17が別々に設けられているが、表示装置17においてオドメータ18が表示される構成であってもよい。
指針駆動回路19は、メータ制御部26から受信する各メータの指示値に従って、速度メータ21、タコメータ22、水温メータ23、及び燃料メータ24の指針を各々回転するモータを駆動する。本実施形態では、速度メータ21、タコメータ22、水温メータ23、及び燃料メータ24は、何れも針と文字盤によるアナログ式メータであるが、その一部又は全部がデジタル式メータであってもよい。また、速度メータ21、タコメータ22、水温メータ23、及び燃料メータ24の一部又は全部が表示装置17において表示される構成であってもよい。
通信接続機器8は、車載LANケーブルおよびLVDS(Low Voltage Differential Signaling)ケーブルを介してメータユニット7と接続されている。通信接続機器8は、メータユニット7とは別体に設けられている。通信接続機器8は、機器制御装置31と、第1通信装置32と、第2通信装置33と、を備えている。第1通信装置32は、例えば、LPWAの通信規格に対応した通信装置が挙げられる。第2通信装置33は、例えば、Wi−Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)の通信規格に対応した通信装置が挙げられる。通信接続機器8は、機器制御装置31と、第1通信装置32と、第2通信装置33とに加え、位置情報取得部34、及びUSB(Universal Serial Bus)インターフェース35を備えている。本実施形態では、通信接続機器8は、移動体6に搭載されたバッテリー42から常時電力の供給を受けている。
機器制御装置31は、第2制御部36と、第2の一時記憶部37と、第2記憶部38とを備えている。機器制御装置31は、例えば、コンピュータを用いて構成される。以下では、第2制御部36を「機器制御部36」とも称する。第2の一時記憶部37は、「機器一時記憶部37」とも称する。第2記憶部38は、「機器記憶部38」とも称する。機器制御装置31は、車載LAN30に接続されている。機器制御装置31は、車載LAN30を介してメータ制御装置16と通信することができるように構成されている。また、機器制御装置31は、メータ制御装置16と、LVDS39によってメータ制御装置16に画像データを送信することができるように構成されている。
機器制御部36は、例えば、CPUを用いて構成される。機器制御部36は、機器記憶部38に記憶された機器制御プログラム38bを実行することにより通信接続機器8の各部を制御する。機器制御部36は、例えば、通信制御部36a、ログ情報生成部36e、情報取得部36fとして機能する。情報取得部36fは、例えば、積算移動距離取得部36b、停止時間取得部36cとして機能する。通信制御部36aは、第1通信装置32及び第2通信装置33を制御することができるように構成されている。例えば、通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態の場合、第1通信装置32からサーバ3に情報を送信する。通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態の場合、第2通信装置33から通信基地局4を経由してサーバ3に情報を送信する。
第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態としては、例えば、第2通信装置33と通信基地局4とがある程度離れている場合が挙げられる。第2通信装置33は、近距離無線通信によって通信基地局4と接続されるため、第2通信装置33と通信基地局4とがある程度離れている場合、第2通信装置33は通信基地局4と通信することができない。
第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態としては、例えば、移動体6の電源がオフの状態が挙げられる。第2通信装置33は、第1通信装置と比較して消費電力が大きい傾向にあるため、移動体6の電源がオフの状態で第2通信装置33を使用すると、バッテリー42に蓄電されている電力が尽きてしまうおそれがある。通信制御部36aは、例えば、アクセサリ電源がオフの状態である場合に移動体6の電源がオフの状態であると判断することができる。通信制御部36aは、図3に示すように、移動体6に設けられた電源状態信号提供部43から提供される信号によってアクセサリ電源のオンの状態とオフの状態とを判断する。通信制御部36aは、例えば、メータ制御装置16と車載LAN30を介して通信できないとき、移動体6の電源がオフの状態であると判断することもできる。通信制御部36aは、移動体の電源がオンの状態かオフの状態かを判断する構成だけに限られず、例えば、アクセサリ電源がオフの状態である場合に第2通信装置33の稼働を中止させる構成でもよい。
積算移動距離取得部36bは、車載LAN30を介してメータ制御装置16から積算移動距離を取得する。具体的には、積算移動距離取得部36bは、車載LAN30を介してメータ制御部26に対して移動体6の積算移動距離28aの送信を要求する。メータ制御部26は、積算移動距離取得部36bからの要求に応じて、メータ記憶部28に記憶している移動体6の積算移動距離28aを読み出す。メータ制御部26は、読み出した積算移動距離28aを機器制御部36に転送する。
停止時間取得部36cは、移動体6の停止時間を取得する。停止時間取得部36cは、例えば、位置情報取得部34が取得する移動体6の位置情報が継続して同じ位置を示している時間を計測する。停止時間取得部36cは、計測した時間を移動体6の停止時間として取得する。停止時間取得部36cは、例えば、イグニッション電源がオフの状態になってからの経過時間を移動体6の停止時間として取得するように構成されてもよい。
ログ情報生成部36eは、移動体情報に関するログ情報を生成する。ログ情報生成部36eは、例えば、位置情報取得部34から取得する移動体6の位置情報、センサ装置14から取得する情報、及び車載LAN30を介して取得する移動体情報に関するログ情報を生成する。ログ情報生成部36eが、車載LAN30を介して取得する移動体情報としては、例えば、アクセル開度に関する情報、ブレーキ作動のオンオフに関する情報、各種設定情報、アンチロック・ブレーキ・システムのオンオフに関する情報、エンジン出力モードに関する情報、トラクションコントロールの作動のオンオフに関する情報、エラー情報、警告情報、及び各種センサ情報が挙げられる。また、メータ記憶部28に記憶されている各種のプログラム、表示用データも車載LAN30を介して取得される。ログ情報生成部36eは、比較的サンプリング周期の長い簡易ログ情報40aと比較的サンプリング周期の短い詳細ログ情報40bとを生成する。ログ情報生成部36eは、生成した簡易ログ情報40a、詳細ログ情報40bを機器記憶部38に一時的に蓄積する。通信制御部36aは、個体識別情報38aとともに機器記憶部38に一時的に蓄積された簡易ログ情報40a、詳細ログ情報40bを第1通信装置32又は第2通信装置33からサーバ3へ送信する。
情報取得部36fは、移動体6に関する移動体情報を取得する。情報取得部36fは、例えば、停止時間取得部36c、積算移動距離取得部36bとして機能する。情報取得部36fは、移動体6の停止時間、及び積算移動距離に加えて、その他の移動体情報を取得することもできる。情報取得部36fは、例えば、移動体情報が移動体6の位置情報の場合、位置情報取得部34から位置情報を取得できればよい。情報取得部36fは、例えば、移動体情報がセンサ装置14で検出した移動体6の状態を示すセンサ情報の場合、センサ装置14からセンサ情報を取得できればよい。情報取得部36fは、例えば、移動体情報が移動体情報のログ情報の場合、ログ情報生成部36eからログ情報を取得できればよい。情報取得部36fは、例えば、移動体情報が、移動体6おいて使用される移動体用情報のバージョン情報である場合、バージョン情報を保有する装置若しくはストレージからバージョン情報を取得できればよい。移動体6において使用される移動体用情報としては、例えば、移動体6に搭載された装置において実行されるプログラムが挙げられる。
機器一時記憶部37は、機器制御部36によって処理される情報を一時的に記憶する。機器一時記憶部37には、例えば、揮発性メモリが用いられる。揮発性メモリとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。
機器記憶部38は、機器制御プログラム38bを含む各種のプログラムと、個体識別情報38aを記憶している。機器記憶部38には、例えば、不揮発性メモリが用いられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM、又はフラッシュメモリが挙げられる。
第1通信装置32は、サーバ3と通信を行う。第1通信装置32は、移動体6に関する移動体情報を含む送信情報をサーバ3へ送信する。第1通信装置32は、所定の時間間隔で一定の頻度で情報を、サーバ3へ送信することが可能である。移動体情報には、例えば、移動体6の積算走行距離、移動体6の位置情報、移動体6において取得される各種数値の簡易ログ情報40aが含まれる。第1通信装置32とサーバ3との間で行われる通信は、例えば、LPWA通信である。LPWA通信では、1度に送信できるデータの容量が少なく、1日に送信できる回数が限られている。しかし、LPWA通信は、低消費電力且つ比較的広いエリアをカバーできる。第1通信装置32は、LPWAの規格を利用する場合、例えば、半径数kmから数十km単位の広いエリアに電波を飛ばすことができる。第1通信装置32は、LPWA通信を利用する場合、例えば、100bpsから数十kbpsの通信速度で通信を行うことができる。LPWAの規格に基づいた通信装置は、例えば、920MHz帯、若しくは2.4GHz帯の周波数帯で通信を行うことができる。本実施形態では、1日に送信できる回数を制限するために、第1通信装置32は所定の時間間隔をおいて通信する。所定の時間間隔は、一定の時間間隔ごとでもよいし、任意の時間間隔ごとでもよい。
第2通信装置33は、通信基地局4を介してサーバ3と通信を行う。第2通信装置33は、移動体6に関する移動体情報を含む送信情報を通信基地局4を経由してサーバ3へ送信する。第2通信装置33は、第1通信装置32よりも1度に多くのデータ量で情報を送信することができるように構成されている。また、第2通信装置33は、第1通信装置32よりも高い頻度で情報を送信することが可能である。第2通信装置33と通信基地局4との間で行われる通信としては、例えば、近距離無線通信が挙げられる。近距離無線通信は、例えば、通信できる距離が数cmから数十メートル以内(例えば50m以内)の比較的狭いエリアがカバーできる。近距離無線通信としては、例えば、Wi−Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)の通信規格に対応した通信が挙げられる。第2通信装置33は、Wi−Fi(登録商標)の通信規格を利用する場合、例えば、100mから300m程度のエリアに電波を飛ばすことができる。第2通信装置33は、Wi−Fi(登録商標)の通信規格を利用する場合、例えば、54Mbpsの通信速度で情報を送信することができる。第2通信装置33は、Bluetooth(登録商標)の通信規格を利用する場合、例えば、10mから100m程度のエリアに電波を飛ばすことができる。第2通信装置33は、Bluetooth(登録商標)の通信規格を利用する場合、例えば、24Mbpsの通信速度で情報を送信することができる。
位置情報取得部34は、移動体6の位置情報を取得する。位置情報取得部34は、取得した移動体6の位置情報を機器制御部36に渡す。位置情報取得部34は、例えば、衛星測位システムに用いられるGPS(Global Positioning System)センサを用いて構成される。位置情報には、緯度情報・経度情報と、位置情報を取得した時刻とが含まれる。
USBインターフェース35には、第1カメラ11と第2カメラ12が接続されている。第1カメラ11は、例えば、移動体6の前方を撮影するように設置される。第2カメラ12は、例えば、移動体6の後方を撮影するように設置されている。
第1カメラ11は、ドライブレコーダのカメラとして機能する。具体的には、機器制御部36が、第1カメラ11によって撮影された撮影画像データを取得する。機器制御部36は、取得した撮影画像データを機器記憶部38に蓄積する。機器制御部36は、機器記憶部38に蓄積した撮影画像データを、移動体6の位置情報、及び個体識別情報38aとともに第2通信装置33からサーバ3へ送信するように構成されている。
第2カメラ12は、電子ミラーとして機能する。具体的には、機器制御部36は、第2カメラ12によって撮影された撮影画像データをメータ制御装置16のメータ制御部26に転送する。メータ制御部26は、機器制御部36から取得する撮影画像データを表示装置17に表示するように構成されている。
第1カメラ11及び第2カメラ12は、USBインターフェース35の代わりに、Wi−Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)の通信規格に対応した通信で機器制御部36と接続されるように構成されていてもよい。
操作装置13は、ユーザの入力操作を受け付ける。操作装置13は、車載LAN30を介して、受け付けた入力操作の種類に応じた信号をメータ制御部26及び機器制御部36に送信する。メータ制御部26及び機器制御部36は、操作装置13から受信した信号に従って各種の処理を行う。本実施形態では、図4に示すように、操作装置13は、移動体6のハンドル41に設置されている。
例えばユーザが操作装置13において所定の入力操作を行うと、表示装置17に移動体6の後方の映像が表示される。すなわち、電子ミラー機能を利用することができるようになる。この場合、第2カメラ12によって撮影された撮影画像データが機器制御部36からメータ制御部26に転送される。メータ制御部26は、機器制御部36から受信した撮影画像データを表示装置17に表示する。
センサ装置14は、移動体6に関するセンサ情報を取得する。センサ装置14は、取得した移動体6に関するセンサ情報を機器制御部36に渡す。センサ装置14として、例えば、移動体6のタイヤの空気圧に関する空気圧情報を取得する空気圧センサ装置、乗員検知センサ14a、及びIMU(Inertial Measurement Unit)が挙げられる。センサ装置14は、通信接続機器8の外部に設けられているが、通信接続機器8の内部に設けられていてもよい。センサ装置14は、取得した移動体6に関するセンサ情報を車載LAN30を介して、機器制御部36に渡すように構成されていてもよい。なお、乗員検知センサ14aは、座席毎に乗員の離着席を検出するように構成されていることが望ましい。そうすることで移動体6の1台当たりの乗員数に関する情報を収集することができる。乗員検知センサ14aは、例えば、圧力センサを用いて構成することができる。
通信基地局4は、近距離無線通信のアクセスポイントである。通信基地局4は、近距離無線通信で接続された第2通信装置33をLAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)に接続する。通信基地局4は、移動体6が比較的高い頻度で停止する停止場所から近距離無線通信を行うことが可能な範囲内に設置されている。本実施形態では、図2に示すように、移動体6が比較的高い頻度で停止する停止場所は、スタート及びゴール位置5aと、ピットレーン5bである。したがって、移動体6がスタート及びゴール位置5a又はピットレーン5bに停止している場合、移動体6に搭載された第2通信装置33と近距離無線通信できる距離に通信基地局4が設置されている。
サーバ3は、図5に示すように、第1サーバ通信部50、第2サーバ通信部51、サーバ制御部52、サーバ記憶部53、サーバ表示部54、及びサーバ入力部55を備えている。
第1サーバ通信部50は、通信接続機器8の第1通信装置32と通信できるように構成されている。第1サーバ通信部50は、第1通信装置32との間で、例えばLPWA通信を行う。第1サーバ通信部50が第1通信装置32との間でLPWA通信を行う場合は、第1サーバ通信部50は、LPWA通信用のゲートウェイを介して第1通信装置32と通信する。より詳細には、第1サーバ通信部50とLPWA通信用のゲートウェイとは、コンピュータネットワークを介して接続される。LPWA通信用のゲートウェイと第1通信装置32との間ではLPWA通信が行われる。第1サーバ通信部50は、システムユーザによる所定の操作がサーバ入力部55で受け付けられることで、所定の操作によって選択された移動体6に対してアップロード開始命令又はダウンロード開始命令を送信するように構成されている。アップロード開始命令は、移動体6の通信接続機器8に対してデータのアップロードを要求する命令を含む。ダウンロード開始命令は、移動体6の通信接続機器8に対してデータのダウンロードを要求する命令を含む。なお、サーバ3とは異なる通信装置から通信接続機器8の第1通信装置32に対してアップロード開始命令及びダウンロード開始命令を送信できるように構成してもよい。
第2サーバ通信部51は、通信基地局4を介して通信接続機器8の第2通信装置33と通信できるように構成されている。第2サーバ通信部51と通信基地局4との間はコンピュータネットワークを介して接続される。通信基地局4と通信接続機器8の第2通信装置33と間は近距離無線通信を介して接続される。
サーバ制御部52は、例えば、CPUを用いて構成される。サーバ制御部52は、移動体6の通信接続機器8から受信する移動体情報を、サーバ記憶部53が記憶するように制御する。サーバ制御部52は、例えば、システムユーザがサーバ入力部55において所定の操作をした場合、システムユーザによって選択された移動体6に対して第1サーバ通信部50からアップロード開始命令又はダウンロード開始命令を送信させる。サーバ制御部52は、移動体6の通信接続機器8から受信する移動体情報に、移動体6において使用される移動体用情報のバージョン情報が含まれている場合、そのバージョン情報が最新のバージョン情報であるかを判定する。サーバ制御部52は、移動体6の通信接続機器8から受信した移動体用情報のバージョン情報が最新のバージョン情報でない場合、第2サーバ通信部51と移動体6の通信接続機器8の第2通信装置33とが接続されたときに、最新のバージョンの移動体用情報をサーバ記憶部53から読みだして通信接続機器8へ送信する。移動体用情報としては、例えば、移動体6において表示される画像データ、及び移動体6において使用される各種プログラムを例示することができる。なお、移動体6において、AR(Augmented Reality)、又はVR(virtual reality)に関する映像がヘッドマウントディスプレイを用いて乗客に提供される場合は、その映像に係る画像データも適宜に更新される移動体用情報となる。
サーバ制御部52は、図6に示すように、サーバ記憶部53に記憶されたサーキットコース5を示す模式図56と、移動体6の位置を示す移動体マーク57と、通信基地局4の位置を示す通信基地局マーク63と、をサーバ表示部54に表示させる。サーバ制御部52は、移動体マーク57に、移動体6の個体識別情報38aを対応付けて表示させる。サーバ制御部52は、移動体6ごとの通信接続機器8から受信した最新の位置情報に基づいてサーキットコース5の模式図56における移動体マーク57の位置を算出する。サーバ制御部52は、算出した模式図56上の位置に移動体マーク57を表示する。別の言い方をすれば、サーバ制御部52は、サーキットコース5を示す模式図56における移動体マーク57の位置を移動体6から受信する最新の位置情報に基づいて移動させる。
サーバ記憶部53は、例えば、不揮発性メモリを用いて構成される。サーバ記憶部53は、通信接続機器8から受信する移動体情報を記憶する。サーバ記憶部53は、更新用の移動体用情報を記憶している。以下では、更新用の移動体用情報を「更新用データ」とも称する。本実施形態に係る情報伝送システム1において、複数の移動体6が利用される場合、サーバ記憶部53には、移移動体6ごとの通信接続機器8から受信した個体識別情報38aに対応する簡易ログ情報40a及び詳細ログ情報40bがそれぞれ蓄積される。
サーバ表示部54は、例えば、液晶モニタ装置を用いて構成される。サーバ表示部54は、サーバ制御部52から受信する画像データを出力する。サーバ入力部55は、例えば、マウス、若しくはキーボードが挙げられる。
つぎに、本実施形態に係る情報伝送システム1において実施される情報伝送方法について図7乃至図9のフローチャートに基づき説明する。本実施形態に係る情報伝送方法は、移動体6に関する移動体情報が通信接続機器8において取得され、通信接続機器8からサーバ3に送信されるまでの手順を含む。
先ず、情報取得部36fは、図7に示すように、移動体情報を取得する(ステップ1)。以下では、ステップをSと称する。取得される移動体情報として、例えば、移動体6の位置情報、積算移動距離28a、個体識別情報38a、移動体用情報のバージョン情報、簡易ログ情報40a、及び詳細ログ情報40bが挙げられる。
通信制御部36aは、情報取得部36fが取得した移動体情報を機器記憶部38に一時的に蓄積する(S2)。
通信制御部36aは、図8に示すように、機器記憶部38に特定の移動体情報が蓄積されているかを所定の時間間隔で繰り返し判定している(S3)。以下では、特定の移動体情報を第1の移動体情報と称することもある。
通信制御部36aは、特定の移動体情報が機器記憶部38に蓄積されている場合(S3でYesの場合)、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあるかを判定する(S4)。
通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあると判定した場合(S4でYesの場合)、第1通信装置32を介してアップロード開始命令を受信したか判定する(S5)。アップロード開始命令は、例えば、システムユーザがサーバ3のサーバ入力部55において所定の操作をすることで直ちに移動体6へ送信される。本実施形態において、システムユーザは、サーキットコースの管理者である。アップロード開始命令は、特定の移動体情報をサーバ3宛に送信すべき旨の指示を含んでいる。特定の移動体情報は、例えば、第1通信装置32が1回で送信することのできないサイズのデータである。1回で送信することのできないサイズのデータとしては、例えば、画像データ、及び詳細ログ情報40bが挙げられる。
通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態にあると判定した場合(S4でNoの場合)、一旦処理を終了する。
通信制御部36aは、第1通信装置32を介してアップロード開始命令を受信していないと判定した場合(S5でNoの場合)、手順をS4に戻す。すなわち、通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にある間は、第1通信装置32を介してアップロード開始命令を受信したか否かの判定を繰り返す。
通信制御部36aは、アップロード開始命令を受信したと判定した場合(S5でYesの場合)、第2通信装置33から通信基地局4を経由してサーバ3に特定の移動体情報を含む特定の送信情報を送信する(S6)。
一方、通信制御部36aは、特定の移動体情報とは異なる移動体情報が機器記憶部38に蓄積されている場合(S3でNoの場合)、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあるか判定する(S7)。以下では、特定の移動体情報とは異なる移動体情報を第2の移動体情報と称することもある。
通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあると判定した場合(S7でYesの場合)、第2通信装置33から通信基地局4を経由してサーバ3に第2の移動体情報を含む送信情報を送信する(S8)。
一方、通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態にあると判定した場合(S7でNoの場合)、第1通信装置32による前回の移動体情報の送信から所定時間経過しているかを判定する(S9)。なお、この判定は、第1通信装置32による送信を所定の時間間隔で実行するために行われる。
通信制御部36aは、第1通信装置32による前回の移動体情報の送信から所定時間経過していると判定した場合(S9でYesの場合)、第2の移動体情報を含む送信情報のデータ量が所定のデータ量若しくは所定のデータ量未満であるかを判定する(S10)。
通信制御部36aは、第2の移動体情報を含む送信情報のデータ量が所定のデータ量若しくは所定のデータ量未満であると判定した場合(S10でYesの場合)、第1通信装置32からサーバ3に第2の移動体情報を含む送信情報を送信する(S11)。
通信制御部36aは、第1通信装置32による前回の移動体情報の送信から所定時間経過していないと判定した場合(S9でNoの場合)、一旦処理を終了する。
また、通信制御部36aは、第2の移動体情報を含む送信情報のデータ量が所定のデータ量を超えていると判定した場合(S10でNoの場合)も、一旦処理を終了する。
通信制御部36aは、以上の手順を繰り返し実行することで、特定の移動体情報を第2通信装置33からサーバ3へ送信させ、第2の移動体情報を第1通信装置32又は第2通信装置33からサーバ3へ送信させる。
サーバ3では、図9に示すように、サーバ制御部52が、第1サーバ通信部50又は第2サーバ通信部51を介して通信接続機器8から移動体情報を受信すると(S151)、受信した移動体情報をサーバ記憶部53に蓄積する(S152)。
サーバ制御部52は、受信した移動体情報に、移動体用情報のバージョン情報が含まれているかを判定する(S153)。
サーバ制御部52は、受信した移動体情報に、移動体用情報のバージョン情報が含まれていると判定した場合(S153でYesの場合)、移動体用情報のバージョン情報が最新のバージョン情報であるかを判定する(S154)。
サーバ制御部52は、移動体用情報のバージョン情報が最新のバージョン情報ではないと判定した場合(S154でNoの場合)、移動体用情報のバージョン情報が最新でない旨の判定情報と、移動体用情報のバージョン情報が最新でない移動体6の識別情報をサーバ表示部に表示させる。サーバ制御部52は、例えば、図10に示すように、移動体用情報が最新のバージョン情報になっていない旨のメッセージ58をサーバ表示部54に表示させる(S155)。メッセージ58には、好ましくは、移動体6の個体識別情報38a、移動体用情報の種別59が含まれる。
システムユーザ(本実施形態では、サーキットコースの運営者)が、移動体6の移動体用情報を更新させるために、サーバ入力部55において所定操作を行った場合(S156でYesの場合)、サーバ制御部52は、ダウンロード開始命令を第1サーバ通信部50から移動体6の通信接続機器8へ送信させる(S157)。システムユーザが移動体6の移動体用情報を更新させるために、サーバ入力部55において行う所定操作は、例えば、図10に示す第1ボタン60を選択する操作である。第1ボタン60は、図10において、メッセージ58とともにサーバ表示部54に表示される。
サーバ制御部52は、ダウンロード開始命令を送信した後、サーバ表示部54に再び図6に示すサーキットコース5の模式図56を表示する(S158)。
システムユーザが移動体6の移動体用情報を更新させないための所定操作を行った場合(S156でNoの場合)、サーバ制御部52は、ダウンロード開始命令を送信することなく、サーバ表示部54に再び図6に示すサーキットコース5の模式図56を表示させる(S159)。この場合、図6に示すように、サーバ制御部52は、サーキットコースの模式図56と同じ画面に注意を喚起させる喚起情報62を表示させる。喚起情報62は、更新データが蓄積されている旨の情報と、データ更新対象となる移動体6の個体識別情報38aとを含む。システムユーザが、移動体6の移動体用情報を更新させないために、サーバ入力部55において行う所定操作は、例えば、図10に示す第2ボタン61を選択する操作である。第2ボタン61は、例えば、メッセージ58とともにサーバ表示部54に表示される。
システムユーザが移動体6の移動体用情報を更新させないための所定操作を行い(S156でNoの場合)、ダウンロード開始命令が送信されなかった場合でも、その後、図11に示すように、システムユーザは、ダウンロード開始命令を送信するための所定操作をサーバ入力部55において行うことで(S171でYesの場合)、ダウンロード開始命令を移動体6の通信接続機器8へ送信することができる(S172)。システムユーザがダウンロード開始命令を送信するための所定操作は、例えば、図6に示す、サーバ表示部54に表示された喚起情報62をサーバ入力部55を用いて選択する操作である。
続いて、移動体6において使用される移動体用情報の更新に関する動作を図12のフローチャートに基づき説明する。
通信制御部36aは、第1通信装置32を介してサーバ3から、ダウンロード開始命令を受信したかを所定周期で繰り返し判定している(S71)。
通信制御部36aは、サーバ3からダウンロード開始命令を受信した場合(S71でYesの場合)、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあるかを判定する(S72)。
通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態にあると判定した場合(S72でYesの場合)、第2通信装置33を介してサーバ3から移動体用情報の更新用データを受信する(S73)。通信制御部36aが移動体用情報の更新用データを受信した後、更新対象となる移動体用情報を更新用データに更新する(S74)。なお、通信制御部36aがサーバ3から移動体用情報の更新用データを受信する受信タイミングと、S6、S8、又はS11で通信制御部36aがサーバ3に移動体情報を送信する送信タイミングとは互いに独立している。別の言い方をすれば、受信タイミングと送信タイミングの順序は定まっていない。
一方、通信制御部36aは、第2通信装置33が通信基地局4と通信できない状態にあると判定した場合(S72でNoの場合)、移動体用情報の更新用データを受信せずに、第2通信装置33が通信基地局4と通信できるか否かの判定を繰り返し行う。その後、第2通信装置33が通信基地局4と通信できる状態になった場合、通信制御部36aは、第2通信装置33を介してサーバ3から移動体用情報の更新用データを受信する(S73)。通信制御部36aは、更新用データを受信した後、更新対象となる移動体用情報を更新用データに更新する(S74)。
以上に説明した情報伝送システム1によれば、システムユーザは、サーバ3で所定操作をすることで、移動体6に対してアップロード開始命令又はダウンロード開始命令を送信することができる。通信基地局4の近くに居る移動体6に対して、アップロード開始命令を送信することで、移動体6の特定の移動体情報を直ちにサーバ3に送信させることができる。また、通信基地局4の近くに居る移動体6に対して、ダウンロード開始命令を送信することで、移動体6の通信接続機器8に対して、更新用データを直ちにダウンロードさせることができる。通信基地局4の近くに居る移動体6は、例えば、図6に示すように、サーキットコースの模式図56上に表示される移動体マーク57及び通信基地局マーク63によって容易に確認することができる。
要するに、本実施形態に係る情報伝送システム1によれば、システムユーザの所望するタイミングで、移動体6から特定の移動体情報をサーバ3へ送信させることができる。また、システムユーザの所望するタイミングで、移動体6の通信接続機器8に更新用データをダウンロードさせることができる。
また、情報伝送システム1によれば、通信接続機器8において取得された移動体情報がサーバ3に蓄積される。情報伝送システム1は、サーバ3に移動体6の移動体情報を蓄積することで、移動体6に関する様々な情報を収集することもできる。収集した移動体情報は、例えば、移動体6のメンテナンス、及び移動体6を使用するユーザの顧客管理に活用することができる。
また、情報伝送システム1では、1日当たりの送信回数及び1回当たりの送信容量が限られているものの、比較的に低消費電力で使用することができる第1通信装置32と、1日当たりの送信回数に限度がなく、1度に多くのデータを送信することができる第2通信装置33とを使い分けている。このため、情報伝送システム1によれば、通信網の負担や通信コストを抑制しつつ、所定の時間間隔で移動体情報をサーバ3に送信することができる。第2通信装置33は、所定の時間間隔で移動体情報をサーバ3に送信する場合、例えば、最大1日140回程度まで送信することができる。言い換えれば、第2通信装置33は、第1通信装置32と比較して、即時性を損なうことなく移動体情報をサーバ3に送信することが可能となる。
また、情報伝送システム1では、通信接続機器8は、車載LANケーブルおよびLVDSケーブルを介してメータユニット7と接続されており、通信接続機器8は、メータユニット7とは別体に設けられている。このため、車載LANケーブルおよびLVDSケーブルのコネクタを抜き差しするだけで、通信接続機器8を移動体6から取り外すことができる。取り外した通信接続機器8は、他の移動体6のメータユニット7に簡単に接続することができる。
以上に開示された実施形態は、あらゆる点で例示であり限定的に解釈してはならない。本発明は、その精神や主旨、又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。