JP6890149B2 - 内燃機関のピストン - Google Patents
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Description
そのような内燃機関のピストンにおいては、トップランドとシリンダとの間に未燃焼ガスが残留しやすく、燃費性能、エミッション性能に影響を与える場合があった。
内燃機関のシリンダ内を摺動しピストンリングを備えた内燃機関のピストンにおいて、
ピストンの上面に設けられた上面口と、前記シリンダのシリンダ内周壁と対向する前記ピストンの前記ピストンリングより上方の側壁に設けられた側部口とを連通するように貫通孔が設けられ、前記ピストンは、同ピストンの上面から一定の厚みを形成するように設けられたトップランドを有するとともに、同トップランドの下方に設けられた第1の溝部に装着された第1のピストンリングを備え、前記側部口は、前記トップランドおよび前記第1の溝部にかかる位置に設けられたことを特徴とする内燃機関のピストンである。
内燃機関の燃焼時、膨張した燃焼ガスの一部が流入口から貫通孔を通り、側部口を出てピストンの側壁とシリンダの内周面との間に入り込むことにより、ピストンリングより上方の側壁とシリンダの内周面との間に残留する未燃焼ガスが燃焼室側に押し出され、未燃焼ガスの燃焼を促進することができ、残留未燃焼ガスを低減させ、燃費、エミッション性能を向上させることができる。
それとともに、貫通孔を通った燃焼ガスが、側部口から第1の溝部に直接送入され、効果的に第1のピストンリングを、第1の溝部の下面に押し付けることで、第1のピストンリングによるシール性を高めることができる。
前記第1のピストンリングの上面はシリンダ中心軸に向けて傾斜した傾斜面をなす。
そのため、効果的に第1のピストンリングを、シリンダ内周壁に押し付けることで、第1のピストンリングによるシール性を高めることができる。
前記シリンダの上方の燃焼室の上壁に、吸気弁および排気弁が設けられ、前記ピストンの上面の周囲には周囲凸部が形成され、周囲凸部には、前記吸気弁および排気弁を逃げる吸気弁側逃げ部および排気弁側逃げ部が、前記吸気弁および排気弁の形状に合わせて凹むように形成され、前記上面口は、前記周囲凸部のうち前記吸気弁側逃げ部および排気弁側逃げ部の間に設けられる。
そのように、貫通孔が吸気弁側逃げ部および排気弁側逃げ部の間の周囲凸部に設けられるため、ピストン上面の剛性低下を抑制できる。
前記貫通孔は、前記上面口と前記側部口を直線的に貫通し、前記ピストンの中心から径方向外側に向かって広がる向きで形成される。
そのため、貫通孔の加工が容易に行えるとともに、シリンダの中心から膨張する燃焼ガスが効率よく貫通孔に導入される。
内燃機関の燃焼時、膨張した燃焼ガスの一部が流入口から貫通孔を通り、側部口を出てピストンの側壁とシリンダの内周面との間に入り込むことにより、ピストンリングより上方の側壁とシリンダの内周面との間に残留する未燃焼ガスが燃焼室側に押し出され、未燃焼ガスの燃焼を促進することができ、残留未燃焼ガスを低減させ、燃費、エミッション性能を向上させることができる。
それとともに、貫通孔を通った燃焼ガスが、側部口から第1の溝部に直接送入され、効果的に第1のピストンリングを、第1の溝部の下面に押し付けることで、第1のピストンリングによるシール性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関のピストンを備えた内燃機関の一例であり、内燃機関の右側面断面図である。
図2から図5は、本発明の一実施形態に係るシリンダ中のピストンの構成と作用を、模式的に示す断面図であり、図1中A−A矢視に相当する断面を示す。
図6から図13は、本実施形態の内燃機関のピストンの実施例1〜4を示す。
内燃機関1は、車両に搭載された状態において、図中矢印FR方向を車両前方に、矢印UP方向を車両上方に向けて、そのクランク軸11を、車両の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて、クランクケース10に回転自在に支持して、車両に搭載された空冷単気筒のSOHC型4ストロークサイクル内燃機関である。
図示のものは、一気筒に対し吸気弁35を1つ、排気弁36を1つ備えるものを示すが、一気筒に対し吸気弁35を2つ、排気弁36を2つ備えるものの場合も、図1にて図示奥行き側に各弁が二重に配されるものとして同様に参照される。
ピストン4には、上方の側壁43を全周に巡って上から順に第1、第2、第3の3条の溝部44、45、46が刻設されている。溝部44、45、46に隣り合うピストン4の側壁43をランドと称するが、一番上方のピストン4の上面4aと第1溝部(本発明における「第1の溝部」)44との間の側壁43をトップランド43Aと称する。
そして、第1溝部44と第2溝部45の間の側壁43をセカンドランド43B、第2溝部45と第3溝部46の間の側壁43をサードランド43Cともいう。
なお、本発明において、溝部の数は3条に限定されることはない。
各リング51、52、53は、円周上の1か所、合い口が切ってあり、運転状態では合い口は略閉じた状態となる。自由状態での各リンググ51、52、53の外径は、シリンダ内周壁30aの径より大きく、シリンダ30内への装着時は、自身の外側に開こうとする力でシリンダ内周壁30aに当接し、シリンダ内周壁30aへのばね性と装着性が与えられる。
第3ピストンリング53は、シリンダ内周壁30aについている余分なエンジンオイルを書き落とし、適度な油膜を形成してピストン4の焼き付きを防止するためのものである。
図2から図5に示されるように、ピストン4は内燃機関1のシリンダ30内を摺動し、ピストン4の側壁43に、上から順に全周を巡る第1溝部44、第2溝部45、第3溝部46を備えている。
第1溝部44、第2溝部45、第3溝部46には、それぞれ、第1ピストンリング51、第2ピストンリング52、第3ピストンリング53が装着されている。
第1ピストンリング51の上面51aは、シリンダ中心軸Xに向けて傾斜した傾斜面をなしている。
または、第1ピストンリング51の内周面は、下方ほどシリンダ中心軸Xに近づくように傾斜した傾斜面をなしてもよい。
本実施形態の変形例として、図2から図5中に2点鎖線で示すように、側部口62′が、トップランド43Aと第1溝部44にかかる位置に設けられてもよい。変形例においても側部口62′に合わせて、上面口61′と貫通孔60′が同様に設けられる。
上面口61から貫通孔60を通った燃料を含んだ混合気が、側部口62から噴き出して(図中矢印a)、第1ピストンリング51上に向けて流れ(図中矢印b)、第1ピストンリング51が、第1溝部44の下面に押し付けられるとともに、シリンダ中心軸Xに向けて傾斜した傾斜面をなしている第1ピストンリング51の上面51aが受ける圧力によりシリンダ内周壁30aに押し付けられ、第1ピストンリング51によるシリンダ内壁30aとのシール性を高めることができる。
そのため、圧縮漏れが抑制され、燃料を含んだ混合気がクランク室15内に溢流することが抑制される。
また、側部口62からトップランド43Aとシリンダ内周壁30aとの間の第1間隙47内に流入した混合気は、第1間隙47から溢れて上方に流れ(図中矢印c)、シリンダ30内におけるピストン4の頂部周縁40近傍の混合気の混合を向上させる。
上面口61から貫通孔60を通った燃焼ガスが、側部口62から噴き出して(図中矢印d)、第1ピストンリング51上に向けて流れ(図中矢印e)、第1ピストンリング51が、第1溝部44の下面に押し付けられるとともに、シリンダ中心軸Xに向けて傾斜した傾斜面をなしている第1ピストンリング51の上面51aが受ける圧力によりシリンダ内周壁30aに押し付けられ、第1ピストンリング51によるシリンダ内壁30aとのシール性を高めることができる。
そのため、燃焼ガス漏れが抑制され、燃焼ガスの吹き抜けが抑制され、ブローバイガス量が低減する。
また、側部口62からトップランド43Aとシリンダ内周壁30aとの間の第1間隙47内に流入した混合気は、第1間隙47中の未燃焼ガスを上方に押し出して(図中矢印f)、消炎を抑制し、未燃焼ガスの燃焼を促進することができ、残留未燃焼ガスを低減させ、燃費性能、エミッション性能を向上させることができる。
上面口61から貫通孔60を通った排気ガスが、側部口62から噴き出して(図中矢印g)、第1ピストンリング51上に向けて流れ(図中矢印h)、第1ピストンリング51が、第1溝部44の下面に押し付けられるとともに、シリンダ中心軸Xに向けて傾斜した傾斜面をなしている第1ピストンリング51の上面51aが受ける圧力によりシリンダ内周壁30aに押し付けられ、第1ピストンリング51によるシリンダ内壁30aとのシール性を高めることができる。
そのため、排気ガスがクランク室15内に流入することが抑制される。
また、側部口62からトップランド43Aとシリンダ内周壁30aとの間の第1間隙47内に流入した排気ガスは、第1間隙47から溢れて上方に流れ(図中矢印i)、シリンダ30内におけるピストン4の頂部周縁40近傍の残留排ガスを掃気する。
上面口61には吸出し効果が生じて、貫通孔60内と側部口62を介してトップランド43Aとシリンダ内周壁30aとの間の第1間隙47内に負圧を生じ、第1間隙47内にはシリンダ30内から燃料を含んだ混合気が流入する(図中矢印j)とともに、混合気は側部口62から貫通孔60を通って、上面口61から燃焼室32へ噴き出す(図中矢印k)。
そのため、ピストン4の上面4aで混合気の流動が発生し、混合気の撹拌が促進され、混合気の均質度が向上する。
実施例1のピストン4は、ピストン4の上面4aから一定の厚みを形成するように設けられたトップランド43Aを有するとともに、トップランド43Aの下方に第1溝部44が設けられている。第1溝部44の下方には順に、セカンドランド43B、第2溝部45、サードランド43C、第3溝部45が設けられている。
そのため、貫通孔60を通った燃焼ガスが側部口62から第1溝部44に達し、第1ピストンリング51を、第1溝部44の下面に押し付けるとともにシリンダ内周壁30aに押し付けることで、第1ピストンリング51によるシール性を高めることができる(図3参照)。
そのため、貫通孔61の加工が容易に行えるとともに、シリンダ30の中心Xから膨張する燃焼ガスが効率よく貫通孔61に導入される。
実施例2のピストン4は、ピストン4の上面4aから一定の厚みを形成するように設けられたトップランド43Aを有するとともに、トップランド43Aの下方に第1溝部44が設けられている。第1溝部44の下方には順に、セカンドランド43B、第2溝部45、サードランド43C、第3溝部46が設けられている。
そのため、貫通孔60′を通った燃焼ガスが、側部口62′から第1溝部44に直接送入され、効果的に第1ピストンリング51を、第1溝部44の下面に押し付けるとともにシリンダ内周壁30aに押し付けることで、第1ピストンリング51によるシール性を高めることができる(図3参照)。
そのため、貫通孔60′の加工が容易に行えるとともに、シリンダ30の中心Xから膨張する燃焼ガスが効率よく貫通孔60′に導入される。
実施例3のピストン4は、ピストン4の上面4aから一定の厚みを形成するように設けられたトップランド43Aを有するとともに、トップランド43Aの下方に第1溝部44が設けられている。第1溝部44の下方には順に、セカンドランド43B、第2溝部45、サードランド43C、第3溝部46が設けられている。
そのため、貫通孔60を通った燃焼ガスが側部口62から第1溝部44に達し、第1ピストンリング51を、第1溝部44の下面に押し付けるとともにシリンダ内周壁30aに押し付けることで、第1ピストンリング51によるシール性を高めることができる(図3参照)。
上面口61は、周囲凸部4bのうち吸気弁側逃げ部37および排気弁側逃げ部38の間にその凹みを避けて設けられているか、または周囲凸部4bのうち2つの吸気弁側逃げ部37または2つの排気弁側逃げ部38の間に、その凹みを避けて設けられており、ピストン4の上面4aの剛性低下が抑制されている。
そのため、貫通孔60の加工が容易に行えるとともに、シリンダ30の中心Xから膨張する燃焼ガスが効率よく貫通孔60に導入される。
実施例4のピストン4は、ピストン4の上面4aから一定の厚みを形成するように設けられたトップランド43Aを有するとともに、トップランド43Aの下方に第1溝部44が設けられている。第1溝部44の下方には順に、セカンドランド43B、第2溝部45、サードランド43C、第3溝部46が設けられている。
そのため、貫通孔60′を通った燃焼ガスが、側部口62′から第1溝部44に直接送入され、効果的に第1ピストンリング51を、第1溝部44の下面に押し付けるとともにシリンダ内周壁30aに押し付けることで、第1ピストンリング51によるシール性を高めることができる(図3参照)。
上面口61′は、周囲凸部4bのうち吸気弁側逃げ部37および排気弁側逃げ部38の間にその凹みを避けて設けられているか、または周囲凸部4bのうち2つの吸気弁側逃げ部37または2つの排気弁側逃げ部38の間に、その凹みを避けて設けられており、ピストン4の上面4aの剛性低下が抑制されている。
そのため、貫通孔60′の加工が容易に行えるとともに、シリンダ30の中心から膨張する燃焼ガスが効率よく貫通孔60′に導入される。
Claims (4)
- 内燃機関(1)のシリンダ(30)内を摺動しピストンリング(51)を備えた内燃機関のピストンにおいて、
ピストン(4)の上面(4a)に設けられた上面口(61′)と、前記シリンダ(30)のシリンダ内周壁(30a)と対向する前記ピストン(4)の前記ピストンリング(51)より上方の側壁(43A)に設けられた側部口(62′)とを連通するように貫通孔(60′)が設けられ、
前記ピストン(4)は、同ピストン(4)の上面(4a)から一定の厚みを形成するように設けられたトップランド(43A)を有するとともに、同トップランド(43A)の下方に設けられた第1の溝部(44)に装着された第1のピストンリング(51)を備え、
前記側部口(62′)は、前記トップランド(43A)および前記第1の溝部(44)にかかる位置に設けられたことを特徴とする内燃機関のピストン。 - 前記第1のピストンリング(51)の上面(51a)はシリンダ中心軸(X)に向けて傾斜した傾斜面をなすことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストン。
- 前記シリンダ(30)の上方の燃焼室(32)の上壁(32a)に、吸気弁(35)および排気弁(36)が設けられ、
前記ピストン(4)の上面(4a)の周囲には周囲凸部(4b)が形成され、
周囲凸部(4b)には、前記吸気弁(35)および排気弁(36)を逃げる吸気弁側逃げ部(37)および排気弁側逃げ部(38)が、前記吸気弁(35)および排気弁(36)の形状に合わせて凹むように形成され、
前記上面口(61′)は、前記周囲凸部(4b)のうち前記吸気弁側逃げ部(37)および排気弁側逃げ部(38)の間に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関のピストン。 - 前記貫通孔(60′)は、前記上面口(61′)と前記側部口(62′)を直線的に貫通し、
前記ピストン(4)の中心(4c)から径方向外側に向かって広がる向きで形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関のピストン。
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