JP2014020303A - 内燃機関用ピストンおよびピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数が増加するのを抑制するとともに、構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能な内燃機関用ピストンおよびピストンリングを提供する。
【解決手段】このエンジン(内燃機関)100用ピストン51およびトップリング(ピストンリング)54は、エンジン100のシリンダ5内に往復動自在に設けられ、シリンダ5との間で燃焼室38を形成するピストン51と、ピストン51の外周に形成されたトップリング溝512aおよびセカンドリング溝512bにそれぞれ装着されるトップリング54およびセカンドリング55とを備える。また、トップリング54に形成された合口54aがスラスト方向側を向くように、トップリング54はピストン51に対して回り止めされている。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関用ピストンおよびピストンリングに関し、特に、内燃機関のシリンダ内に往復動自在に設けられ、シリンダとの間で燃焼室を形成するピストンと、ピストンの外周に形成された複数の外周溝に装着される複数のピストンリングとを備える内燃機関用ピストンおよびピストンリングに関する。
従来、自動車等に搭載される内燃機関(エンジン)には、シリンダの内面とピストンの外面との隙間からクランク室内に吹き抜けた(漏れた)ガスをブローバイガスとして吸気系に導くためのブローバイガス還元装置が設けられている。ブローバイガス還元装置によって、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)等を含むブローバイガスをエンジンの吸気系を経て燃焼室に送り込み、ブローバイガスの大気中への放出を防止している。また、クランク室内に新気(外気)を導入して換気することにより、ブローバイガスによるオイル(エンジンオイル)の劣化を抑制し、その潤滑性能等の長期維持も図っている。
一般に、エンジンのシリンダと、シリンダ内を往復動するピストンの外周との間には、複数のピストンリングが配置されている。これらのピストンリングは、ピストンの外周に形成された外周溝に装着されている。
ピストンリングは、主に、圧縮ガスや燃焼ガスが漏出するのを防ぐコンプレッションリングと、オイルの調節をするオイルリングとから構成されている。コンプレッションリングは、ピストン頂面に最も近い部位に取り付けられるトップリングや、トップリングの次にピストン頂面に近い部位に取り付けられるセカンドリングとして使用される。また、オイルリングは、ピストン頂面から最も遠い部位に取り付けられている。
ピストンリングは、その一カ所に切れ目(合口)を有する環状部材である。ピストンリングの合口(合口隙間)は、ピストンの外周に形成された外周溝にピストンリングを装着する際に変形させるために必要であるとともに、ピストンリングが熱膨張した場合に膨張分を逃がすための空間を確保するために必要である。その一方で、燃焼室内の圧縮ガスや燃焼ガスが合口隙間からクランク室(シリンダボア)に漏出するという不都合がある。
そこで、例えば特許文献1には、合口近傍の対向する端面のそれぞれに凹部が形成されたピストンリング(トップリング)が開示されている。この凹部のそれぞれには、弾性樹脂が接着剤などにより接着されている。そして、エンジンの運転が開始された際には、温度が上昇することにより、ピストンリング(トップリング)が熱膨張により伸長し、対向端面の合口隙間が小さくなるのと同時にピストンリングよりも熱膨張係数の大きな弾性樹脂は合口隙間を狭くする方向に伸長する。これにより、弾性樹脂にて形成される合口隙間はより小さくなる。その後、エンジンの温度がさらに上昇した場合には、合口隙間がより小さくなり、弾性樹脂同士は線接触状態で当接することとなる。その結果、ピストンリング(トップリング)の合口隙間が小さくなることにより、ブローバイガスの通路が遮断されるので、ブローバイガスの漏出量が低減される。また、ピストンリング(トップリング)の合口隙間が小さくなることにより、オイルの燃焼室への流れ込みが減少するので、オイル消費を減少することが可能となる。
また、例えば特許文献2には、ピストンの外周に形成されたピストンリングを挿入するための複数のリング溝と、リング溝間に形成された環状のランドと、ピストンピンを挿入するためのピン孔とを備える内燃機関用ピストンが開示されている。このピストンには、ピストンの頂面から1番目のリング溝と2番目のリング溝との間に形成されたランド部と、ピン孔の上部とを連通する連通孔が設けられている。この連通孔によりランド部とピン孔の上部とは、略同じ圧力になるので、オイルの燃焼室への流れ込み(オイルの消費)が抑制される。これにより、オイル消費を低減することが可能となる。
特開2010−31789号公報 特開2010−164020号公報
しかしながら、上記特許文献1では、ピストンリング(トップリング)の合口隙間が小さくなることにより、ブローバイガスやオイル消費を低減することが可能である一方、合口隙間に別途樹脂を配置する必要があるため、部品点数が増加するという問題点がある。
また、上記特許文献2では、連通孔によりランド部とピン孔の上部とが略同じ圧力になることにより、オイル消費を低減することが可能である一方、連通孔を介して燃焼室からクランク室へブローバイガスが流入する(増加する)という不都合がある。このため、ブローバイガスの低減と、オイル消費の低減とを両立することが困難であるという問題点がある。また、ピストンに連通孔を形成するため、ピストンの加工に大きな手間がかかり、構造や加工が複雑になるという問題点がある。
上記のような問題点から、部品点数が増加するのを抑制するとともに、構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することが望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、部品点数が増加するのを抑制するとともに、構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能な内燃機関用ピストンおよびピストンリングを提供することである。
上述の課題を解決するための手段として、本発明による内燃機関用ピストンおよびピストンリングは、以下のように構成されている。
すなわち、本発明による内燃機関用ピストンおよびピストンリングは、内燃機関のシリンダ内に往復動自在に設けられ、前記シリンダとの間で燃焼室を形成するピストンと、前記ピストンの外周に形成された複数の外周溝に装着される複数のピストンリングとを備える構成を前提とするものである。また、本発明では、前記複数のピストンリングは、前記複数の外周溝のうち前記燃焼室側の外周溝に配置されるトップリングと、前記トップリングの前記燃焼室とは反対側の外周溝に配置されるセカンドリングとを含み、前記トップリングに形成された合口隙間がスラスト方向側および前記スラスト方向側とは反対方向の反スラスト方向側のうちの前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とするものである。
かかる構成を備える内燃機関用ピストンおよびピストンリングによれば、エンジン運転中(特に、燃焼行程の初期)にピストンがスラスト方向側に傾いた場合に、ピストンがスラスト方向側に押し付けられることにより、ピストンの外周溝に装着されたトップリングの合口隙間(開口面積)が小さくなるので、燃焼室内のガスがトップリングの合口隙間を介してセカンドリング側(クランク室側)に漏れないようにシールすることができる。これにより、トップリングの合口隙間から漏れ出るガスの量が少なくなるので、セカンドリング側への圧力(トップリングとセカンドリングとの間のランド内に発生するランド圧)を低減することができる。ここで、従来では、トップリングとセカンドリングとの間のランド内に発生するランド圧が燃焼室内の圧力よりも高くなる場合には、トップリングが燃焼室側に押し上げられる(浮き上がる)現象が発生することが知られている。そして、トップリングの押し上げが発生する際に、トップリングの漏れ通路(トップリングとピストンとの間に形成される通路)から漏れ出るガスの量が増加することや、オイルの燃焼室への流れ込み(オイル消費)が増加するという不都合がある。この点に関して、本発明では、トップリングとセカンドリングとの間のランド内に発生するランド圧を低減することができるので、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。また、トップリングに別途部材を配置する必要がないので、部品点数の増加を抑制することができる。また、ピストンに連通孔を形成しない分、ピストンの構造や加工が複雑になるのを抑制することができる。これらにより、部品点数が増加するのを抑制するとともに、ピストンおよびトップリングの構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。
本発明の具体的な構成として、以下の複数のものが挙げられる。
本発明による内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、好ましくは、前記トップリングには、第1係合部が形成され、前記ピストンには、前記トップリングの第1係合部と係合する第2係合部が形成され、前記トップリングの第1係合部と前記ピストンの第2係合部とが係合することにより、前記トップリングの合口隙間が前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする。このように構成すれば、トップリングの第1係合部とピストンの第2係合部とを係合させることにより、容易に、トップリングの合口隙間をスラスト方向側に向くように配置することができる。これにより、エンジン運転中に効果的にトップリングの合口隙間を小さくすることができるので、トップリングの合口隙間から漏れ出るガスの量を減少することができるとともに、オイルの燃焼室への流れ込みを抑制することができる。
この場合、好ましくは、前記トップリングの第1係合部は、前記トップリングの内面に形成され、前記ピストンの第2係合部は、前記ピストンの外面に形成されていることを特徴とする。このように構成すれば、トップリングの内面に形成された第1係合部とピストンの外面に形成された第2係合部により、容易に、トップリングをピストンに対して回り止めすることができる。これにより、トップリングの合口隙間をスラスト方向側に向けた状態を維持することができる。
上記第1係合部が形成されたトップリングおよび第2係合部が形成されたピストンを備える構成において、好ましくは、前記トップリングの第1係合部は、凸部または凹部の一方の形状を有し、前記ピストンの第2係合部は、凸部または凹部の他方の形状を有し、前記凸部または凹部の一方の形状を有する前記トップリングの第1係合部と、前記凸部または凹部の他方の形状を有する前記ピストンの第2係合部とが係合することにより、前記トップリングの合口隙間が前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする。このように構成すれば、第1係合部と第2係合部とを係合させやすい形状(凸部および凹部)に形成することができるので、トップリングをピストンに対してより回らないようにすることができる。これにより、確実にトップリングの合口隙間をスラスト方向側に向けた状態を維持することができる。
また、本発明による内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、好ましくは、前記スラスト方向の角度を0°方向とした場合に、前記スラスト方向に対して時計回り方向に60°方向までの角度範囲内および前記スラスト方向に対して反時計回り方向に60°方向までの角度範囲内に前記トップリングの合口隙間が位置するように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする。このように構成すれば、スラスト方向(0°方向)に対して時計回り方向に60°方向までの角度範囲内およびスラスト方向(0°方向)に対して反時計回り方向に60°方向までの角度範囲内(スラスト方向±60°方向の角度範囲内)において、セカンドリング側への圧力(トップリングとセカンドリングとの間のランド内に発生するランド圧)を効果的に低減することができる。これにより、上記角度範囲内において、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。なお、上記角度範囲内において、ランド圧を低減することができるという点は、後述する実験結果により確認済みである。
本発明によれば、部品点数が増加するのを抑制するとともに、構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。
本発明の第1実施形態による内燃機関の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1実施形態によるピストンリングが取り付けられたピストンの拡大図である。 図2の200−200線に沿った断面図であり、トップリングとピストンとの係合部分を示す図である。 ピストンがスラスト方向に傾く前のトップリングとピストンとの係合部分を示す図である。 クランク角に対するピストンの水平変位を示すグラフである。 クランク角に対するランド圧力を示すグラフである。 クランク角に対するトップリングの挙動を示すグラフである。 第1実施形態と比較例とを比較したクランク角に対するランド圧力を示すグラフである。 合口の存在角度に対するランド圧力の最大値を示すグラフである。 本発明の第2実施形態によるトップリングとピストンとの係合部分を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図9を参照して、自動車用の直列多気筒(例えば4気筒)の内燃機関に本発明を適用した実施形態について説明する。
−エンジン−
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る内燃機関(エンジン)100の概略構成について説明する。図1は、エンジン100をクランクシャフト1の軸心に沿った方向から見た場合のエンジン100の内部および吸気系の概略構成を示す図である。
図1に示すように、エンジン100は、シリンダブロック2の上端部に設置されたシリンダヘッド3と、このシリンダヘッド3の上端に取り付けられたヘッドカバー4とを備えている。シリンダブロック2には、複数(例えば4つ)のシリンダ5が配設されている。これらシリンダ5の内部には、ピストン51が往復移動可能に収容されている。ピストン51は、ピストンピン53によってコネクティングロッド52の小端部(図示せず)に連結されている。また、コネクティングロッド52の大端部52aがクランクシャフト1に連結されている。そして、ピストン51の往復運動がコネクティングロッド52を介してクランクシャフト1の回転運動に変換されるようになっている。
シリンダブロック2の下側には、クランクケース6が取り付けられている。シリンダブロック2内の下部からクランクケース6の内部にわたる空間は、クランク室61として構成されている。クランク室61の下側には、オイル貯留部となるオイルパン7が配設されている。
シリンダヘッド3には、それぞれ、吸気ポート31を開閉するための吸気バルブ32および排気ポート33を開閉するための排気バルブ34が組み付けられている。そして、シリンダヘッド3とヘッドカバー4との間に形成されているカム室(シリンダヘッド3内部空間)3aに配置されたカムシャフト35および36の回転によって、各バルブ32および34の開閉動作が行われるようになっている。
シリンダヘッド3に形成されている吸気ポート31には、吸気マニホールド8が接続されている。吸気マニホールド8の上流側は、吸気管83に連通されている。この吸気管83は、サージタンク81およびスロットルバルブ82を備えている。また、吸気管83の上流側には、エアクリーナ84が設けられている。これにより、エアクリーナ84から吸気管83内に導入された空気は、サージタンク81を通じて吸気マニホールド8に導入される。
シリンダヘッド3には、インジェクタ(燃料噴射弁)37が設けられており、吸気ポート31に導入された空気は、インジェクタ37から噴射された燃料と混合されて混合気となり、吸気バルブ32の開弁にともなって燃焼室38へ導入される。
燃焼室38の頂部には、点火プラグ39が配設されている。燃焼室38において、点火プラグ39の点火にともなう混合気の燃焼によりピストン51が往復運動する。このピストン51の往復運動は、コネクティングロッド52を介してクランクシャフト1に伝達される。そして、回転運動に変換された後に、エンジン100の出力として取り出される。
また、混合気の燃焼により生じた燃焼ガスは、排気バルブ34の開弁にともない排気ガスとして、排気ポート33を経た後に、図示しない排気マニホールドに排出される。排出された排気ガスは、排気管を通過して外部に排出される。なお、排気管には、触媒コンバータが設けられており、排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および酸化窒素成分(NOx)などが浄化される。
次に、エンジン100に備えられるブローバイガス還元装置9について説明する。
ブローバイガス還元装置9は、シリンダ5の内面5aとピストン51の外面51aとの隙間からクランク室61内に吹き抜けた燃料(ブローバイガス)をエンジン100の吸気系に導くとともに、このクランク室61内に新気を導入して換気するためのものである。
また、ブローバイガス還元装置9は、ブローバイガス回収通路91と、第1オイルセパレータ(負圧側オイルセパレータ)92と、第2オイルセパレータ(大気側オイルセパレータ)93と、ブローバイガス供給配管94と、新気導入配管95と、新気導入通路96とを備えている。
ブローバイガス回収通路91は、クランク室61内に吹き抜けたブローバイガスをカム室3a内部に向けて抜き出すためのものである。第1オイルセパレータ(負圧側オイルセパレータ)92は、ブローバイガス回収通路91によって抜き出されたブローバイガスがカム室3aを経て導入された後に、ブローバイガスからオイルミストを分離するためのものである。第2オイルセパレータ(大気側オイルセパレータ)93は、主として外気(新気)を導入する機能を有している。ブローバイガス供給配管94は、第1オイルセパレータ92からブローバイガスを吸気系に導くためのものである。新気導入配管95は、主として第2オイルセパレータ93に向けて新気を導入する機能を有している。新気導入通路96は、カム室3a内からクランク室61内に向けて新気を導入するためのものである。
ブローバイガス回収通路91は、シリンダブロック2からシリンダヘッド3にわたって略鉛直方向に延びる通路として形成されている。つまり、シリンダブロック2に形成された通路91aとシリンダヘッド3に形成された通路91bとがともに同一軸心上で鉛直方向に延びて連通されており、このブローバイガス回収通路91を介してクランク室61とカム室3aとが連通されている。これにより、ブローバイガス回収時には、クランク室61内のブローバイガスがブローバイガス回収通路91を経てカム室3aに導入される。
第1オイルセパレータ92は、ヘッドカバー4の内面における一方側(図1における左側)に取り付けられている。また、第1オイルセパレータ92は、セパレータケース(ブリーザケース)92aと、セパレータケース92a内に配置された複数のバッフルプレート(図示省略)とを備えている。
セパレータケース92aは、上側が開放された金属製または樹脂製で略直方体形状の箱形部材である。セパレータケース92aの開放側は、ヘッドカバー4の内面に取り付けられることによって、ヘッドカバー4との間で略密閉されたセパレータ室(ブローバイガス流路)92bを形成している。このセパレータケース92aには、ブローバイガス導入孔92c、オイル回収部92dがそれぞれ形成されているとともに、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ92eが取り付けられている。
ブローバイガス導入孔92cは、セパレータケース92aの長手方向(ヘッドカバー4に取り付けられた状態での気筒配列方向)の一方寄りの底面に形成されている。第1オイルセパレータ92の内部空間(セパレータ室92b)は、ブローバイガス導入孔92cによりカム室3aに連通している。
オイル回収部92dは、セパレータケース92aの底面に設けられた、いわゆるオイルプールとして構成されている。つまり、オイル回収部92dは、セパレータケース92aの底面の一部分に形成された凹陥部分の底面に比較的小径の開口部が形成されることにより構成されている。これにより、セパレータケース92aの内部空間とカム室3aとを連通しているとともに、オイルプールにオイルが貯留されることにより、カム室3a内のオイルミスト等がこのオイル回収部92dからセパレータケース92aの内部空間に流れ込むのを抑制している。
PCVバルブ92eは、セパレータケース92aの内部空間の圧力と吸気系の吸入負圧とに応じて開弁するように構成されている。このPCVバルブ92eの開弁時には、セパレータケース92a内でオイルが分離除去された後のブローバイガスが、PCVバルブ92eを経てエンジン100の吸気系(第1実施形態では、スロットルバルブ82の下流側の吸気管83)に導入されることになる。なお、PCVバルブ92eとして、開閉自在な電磁弁を用いてもよい。
第2オイルセパレータ93は、上述した第1オイルセパレータ92と略同様の構成となっている。つまり、第2オイルセパレータ93は、ヘッドカバー4の内面における他方側(図1における右側)に取り付けられている。また、第2オイルセパレータ93は、セパレータケース93aと、セパレータケース93a内に配置された複数のバッフルプレート(図示省略)とを備えている。そして、セパレータケース93aは、ヘッドカバー4との間で略密閉されたセパレータ室93bを形成している。このセパレータケース93aには、新気導入孔93cが形成されている。この新気導入孔93cは、セパレータケース93aの底面であってカム室3aに対応する位置に形成されている。つまり、この新気導入孔93cによって第2オイルセパレータ93のセパレータ室93bとカム室3aとが連通している。
ブローバイガス供給配管94は、第1オイルセパレータ92のセパレータケース92a内において、オイルが分離除去された後のブローバイガスを吸気系に導くための配管である。このブローバイガス供給配管94の上流端は、PCVバルブ92eに接続されている一方、ブローバイガス供給配管94の下流端は、吸気管83におけるスロットルバルブ82の直下流側に接続されている。これにより、PCVバルブ92eの開放にともない、ブローバイガスがサージタンク81を介してエンジン100の吸気系に戻される。
新気導入配管95の一端は、吸気管83におけるスロットルバルブ82の直上流側に接続されている。新気導入配管95の他端は、第2オイルセパレータ93のセパレータ室93bに連通している。この新気導入配管95は、主に、クランク室61内を換気するための外気(新気)を吸気系から導入する機能を有している。
新気導入通路96は、シリンダヘッド3からシリンダブロック2にわたって略鉛直方向に延びる通路として形成されている。つまり、シリンダヘッド3に形成された通路96aとシリンダブロック2に形成された通路96bとは、ともに同一軸心上で鉛直方向に延びて連通されており、この新気導入通路96を介してカム室3aとクランク室61とが連通されている。これにより、第2オイルセパレータ93からカム室3aに導入された新気が新気導入通路96を経てクランク室61内に導入され、このクランク室61内が換気されるようになっている。また、新気導入通路96はオイル戻し通路も兼用している。つまり、第1オイルセパレータ92において分離除去されかつカム室3aに流下してきたオイルを、その自重によりオイルパン7に回収するようになっている。
−ピストンおよびピストンリング−
次に、図2を参照して、第1実施形態によるピストンおよびピストンリングの詳細な構成について説明する。
ピストン51は、鋳造加工により作製された鋳造ピストンであり、アルミニウム合金によって形成されたピストン本体511を備えている。ピストン本体511は、ヘッド部512と、ヘッド部512に連なるとともにコネクティングロッド52に連結されるスカート部513とを備えている。
ヘッド部512は、シリンダヘッド3に対向する頂面514を有している。ピストン51は、燃焼行程時に燃焼室38で発生した燃焼圧を受けることによって、シリンダボア内(内面5a)を往復運動する。そして、この往復運動がコネクティングロッド52によって回転運動に変換された後に、エンジン100の出力軸であるクランクシャフト1に出力されるようになっている。
ピストン本体511のヘッド部512は、シリンダボアの内壁(シリンダ5の内面5a)に対向して延在する外周面515を有している。この外周面515には、燃焼室38側からクランク室61側に沿って順番に、トップリング溝512a、セカンドリング溝512bおよびオイルリング溝512cがそれぞれ形成されている。なお、トップリング溝512aは、本発明の「外周溝」の一例である。
トップリング溝512aには、コンプレッションリングとしてのトップリング54が装着されている。セカンドリング溝512bには、コンプレッションリングとしてのセカンドリング55が装着されている。また、オイルリング溝512cには、オイルリング56が装着されている。
トップリング54およびセカンドリング55は、例えば高炭素鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼等により形成されている。また、トップリング54およびセカンドリング55は、平面視において略C字形状の平板状部材からなっている。
オイルリング56は、平面視において略C字形状の平板状のアッパーリングとロアリングとを備えている。これらアッパーリングとロアリングとの間には、センターリングを介装して組み立てられた3ピース構造になっている。なお、オイルリング56の構成としては3ピース構造に限られるものではない。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、トップリング54には、周方向の一箇所(スラスト方向側)に合口54aが形成されている。この合口54aがスラスト方向(矢印A方向)を向くように、トップリング54はピストン51に対して回り止めされている。なお、図1〜図3における左側をスラスト方向側と呼び、右側を反スラスト方向側と呼ぶものとする。
また、トップリング54の内面54bのうち矢印X1方向側の部分には、ピストン51側に向かって突出する山形形状を有する1つの凸部54cが形成されている。なお、凸部54cは、本発明の「第1係合部」の一例である。このトップリング54の凸部54cは、トップリング54の幅方向(図3において紙面に対して垂直方向)全体にわたって形成されている。
また、ピストン51の外面51aのトップリング溝512aには、トップリング54の凸部54cと係合する山形形状を有する1つの凹部51bが形成されている。なお、凹部51bは、本発明の「第2係合部」の一例である。このピストン51の凹部51bは、トップリング溝512aのピストン51が摺動する方向(図3において紙面に対して垂直方向)全体にわたって形成されている。また、トップリング54の凸部54cと、ピストン51の凹部51bとの間の一部の領域には、平面視において、所定の隙間が設けられている。これにより、トップリング54は、ピストン51に対して、所定の隙間分移動することが可能である。
上記の構成により、エンジン100の運転中にピストン51が往復動(上下動)してトップリング54がピストン51に対して周方向に移動(回転)した際に、トップリング54の凸部54cとピストン51の凹部51bとが係合することにより、トップリング54がピストン51に対して回り止めされる。すなわち、トップリング54の凸部54cおよびピストン51の凹部51bは、回り止め機能を有している。これにより、トップリング54の合口54aをスラスト方向に向けた状態で維持(固定)することが可能となる。
次に、図2〜図9を参照して、トップリング54の合口54aをスラスト方向に向けた状態でトップリング54をピストン51に対して回り止めした場合の各実験結果について説明する。
図5は、横軸にクランク角[ATDC(After Top Dead Center:上死点後)]を示しており、縦軸に0を基準として水平方向(スラスト方向側および反スラスト方向側)へのピストンの変位の大きさを示している。図6は、横軸にクランク角[ATDC]を示しており、縦軸にトップリングとセカンドリングとの間の領域(ランド)の圧力(ランド圧力)の大きさを示している。図7は、横軸にクランク角[ATDC]を示しており、縦軸にトップリングの挙動の大きさを示している。図8は、横軸にクランク角[ATDC]を示しており、縦軸に第1実施形態および比較例の両方のランド圧力を示している。図9は、横軸にトップリングの合口が存在する角度を示しており、縦軸にランド圧力の最大値を示している。なお、クランク角[ATDC]は、圧縮上死点を0°として、エンジンの点火時期やバルブタイミングをクランクシャフトの回転角度(作用角)で示したものである。なお、第1実施形態では、図3に示すように、スラスト方向(矢印A方向)を0°方向とし、反スラスト方向(矢印B方向)を180°方向とする。
まず、図2に示すように、エンジン100運転中の圧縮行程の終期から燃焼行程の初期にかけて、ピストン51が下向きに移動している場合には、エンジン100は、往復動エンジンであることから、ピストン51には、コネクティングロッド52から受けた力の反力P1が発生する。この反力P1の水平方向の成分P2により、図5に示すように、約0°から約90°までのクランク角範囲内において、スラスト方向側(図5の下方向)への比較的大きいピストン変位が確認された。これにより、ピストン51は、シリンダ5の内面5aのスラスト方向に押し付けられていることがわかる。
また、燃焼室38で燃焼が発生した際には、図6に示すように、クランク角0°を中心として比較的大きい筒内圧が印加される。そして、図2に示すように、燃焼により発生した高圧の気体は、ピストン51の頂面514に達する。その後、高圧の気体は、トップリング54の合口54aを通過した後に、トップリング54とセカンドリング55との間のランド57に達する。そして、図6に示すように、ランド57内には、約0°から約90°までのクランク角範囲内(燃焼行程初期)において、比較的大きいランド圧が発生することが確認された。
また、図6に示すように、約90°から約270°までのクランク角範囲内において、ランド圧が筒内圧よりも大きくなる場合(図6に示す「逆転」の範囲)では、通常、図7に示すように、約90°から約180°までのクランク角範囲内において、トップリング54が上方に押し上げられることにより、トップリング54の浮き上がりが発生する。そして、この浮き上がりが発生する際に、トップリング54の合口54aを介して燃焼室38からクランク室61に吹き抜けるブローバイガスが増加することや、トップリング54の合口54aを介してオイルが燃焼室38に流れ込むのが増加するという不都合が発生する。なお、図7に示す約360°から約540°までのクランク角範囲内において確認された浮き上がりは、排気行程や吸気行程におけるものなので、ブローバイガスやオイル消費の増加に及ぼす影響は少ないと考えられる。
また、上記のようなトップリング54の浮き上がりが発生する際には、トップリング54にピストン51に対して回転させるような力が加わる。しかしながら、図3に示すように、トップリング54の凸部54cとピストン51の凹部51bとが係合することにより、トップリング54がピストン51に対して回り止めされる。これにより、トップリング54の合口54aは、スラスト方向(0°方向)に向くように維持(固定)される。
また、図3に示すように、エンジン100運転中(特に、燃焼行程の初期)にピストン51がスラスト方向に傾いた(変位した)場合には、ピストン51がスラスト方向に押し付けられることにより、平面視においてピストン51と合口54aとの重なる部分514a(図3に示す斜線部分)の大きさ(面積)が大きくなるので、燃焼室38内のブローバイガス(高圧の気体)がトップリング54の合口54aを介してセカンドリング55側(クランク室61側)に漏れないようにシールされる。すなわち、ピストン51と合口54aとの重なる部分514aの大きさ(面積)は、ピストン51がスラスト方向に傾く前(図4に示す斜線部分)よりも傾いた後(図3に示す斜線部分)の方が大きくなるので、その分、ピストン51がスラスト方向に傾いた後の方が合口54aの隙間の開口面積が小さくなる。これにより、ブローバイガス(高圧の気体)が合口54aの隙間からセカンドリング55側(クランク室61側)に漏れるのを抑制することが可能となる。その結果、ブローバイガスがトップリング54の合口54aを通過しにくくなるので、ランド57内の圧力の増加が抑制される。
また、図8に示すように、クランク角が約0°から約90°までの範囲内において、第1実施形態による回り止めが施されたトップリング54を用いた場合のランド圧力と、比較例による回り止めが施されていないトップリングを用いた場合のランド圧力とでは、第1実施形態によるランド圧力が比較例によるランド圧力よりも小さいことが確認された。この実験結果から、トップリング54とセカンドリング55との間のランド57のランド圧力が比較例よりも小さくなることにより、トップリング54の浮き上がりが抑制されるので、その分ブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能であることがわかった。
また、上記第1実施形態では、図3に示すように、トップリング54の合口54aをスラスト方向(0°方向)に向けて配置する例を示したが、トップリング54の合口54aは、スラスト方向(0°方向)に対して時計回り方向に60°方向までの角度範囲内に配置する場合、または、スラスト方向(0°方向)に対して反時計回り方向に60°方向までの角度範囲内に配置する場合においても効果的にブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能である。なお、図3では、スラスト方向(0°方向)に対して±60°方向までの角度範囲を角度範囲αとし、±60°方向から±120°方向までの角度範囲を角度範囲βとし、±120°方向から180°方向までの角度範囲を角度範囲γとしている。
具体的には、図9に示す実験結果のように、0°方向から±60°方向までの角度範囲内(角度範囲α)にトップリング54の合口54aが存在する(向いている)場合には、ランド圧力の最大値が略一定であることから、効果的にブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能であることがわかった。
また、スラスト方向(0°方向)に対して±60°方向から±120°方向までの角度範囲内(角度範囲β)に合口54aが存在する(向いている)場合には、0°方向から60°方向までの角度範囲内(角度範囲α)に合口54aが存在する(向いている)場合と比べて、ランド圧力最大値が上昇することが確認されたが、比較的大きな上昇ではないので、±60°方向から±120°方向までの角度範囲内(角度範囲β)においても効果的にブローバイガスおよびオイル消費を減少することが可能であると考えられる。
なお、スラスト方向(0°方向)に対して±120°方向から180°方向までの角度範囲内(角度範囲γ)に合口54aが存在する(向いている)場合には、0°方向から±60°方向までの角度範囲内(角度範囲α)に合口54aが存在する(向いている)場合に比べて、ランド圧力最大値が比較的大きく上昇することが確認された。
以上説明したように、第1実施形態によるエンジン100用ピストン51およびトップリング54によれば、以下に列記するような効果が得られる。
第1実施形態では、上記のように、トップリング54に形成された合口54aがスラスト方向(0°方向)を向くように、トップリング54をピストン51に対して回り止めする。これにより、エンジン100運転中(特に、燃焼行程の初期)にピストン51がスラスト方向(0°方向)に傾いた場合に、ピストン51がスラスト方向側に押し付けられることにより、ピストン51のトップリング溝512aに装着されたトップリング54の合口54aの隙間(開口面積)が小さくなるので、燃焼室38内のガスがトップリング54の合口54aを介してセカンドリング55側(クランク室61側)に漏れないようにシールすることができる。これにより、トップリング54の合口54aから漏れ出るブローバイガスの量が少なくなるので、セカンドリング55側への圧力(トップリング54とセカンドリング55との間のランド57内に発生するランド圧)を低減することができる。その結果、トップリング54とセカンドリング55との間のランド57内に発生するランド圧を低減することができるので、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。また、トップリング54に別途部材を配置する必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。また、ピストン51に連通孔を形成しない分、ピストン51の構造や加工が複雑になるのを抑制することができる。これらにより、部品点数が増加するのを抑制するとともに、ピストン51およびトップリング54の構造や加工が複雑になるのを抑制しながら、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。また、凸部54cと凹部51bとを係合させやすい形状(凸形状および凹形状)に形成することができるので、トップリング54をピストン51に対してより回らないようにすることができる。これにより、確実にトップリング54の合口54aをスラスト方向(0°方向)に向けた状態を維持することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、トップリング54の凸部54cとピストン51の凹部51bとが係合することにより、トップリング54の合口54aがスラスト方向(0°方向)を向くように、トップリング54をピストン51に対して回り止めする。これにより、トップリング54の凸部54cとピストン51の凹部51bとを係合させることにより、容易に、トップリング54の合口54aをスラスト方向(0°方向)に向くように配置することができる。その結果、エンジン100運転中に効果的にトップリング54の合口54aの隙間を小さくすることができるので、トップリング54の合口54aから漏れ出るガスの量を減少することができるとともに、オイルの燃焼室38への流れ込みを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、凸部54cをトップリング54の内面54bに形成し、凹部51bをピストン51の外面51aに形成する。これにより、トップリング54の内面54bに形成された凸部54cとピストン51の外面51aに形成された凹部51bにより、容易に、トップリング54をピストン51に対して回り止めすることができる。その結果、トップリング54の合口54aをスラスト方向(0°方向)に向けた状態を維持することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、スラスト方向(0°方向)に対して時計回り方向に60°方向までの角度範囲内およびスラスト方向(0°方向)に対して反時計回り方向に60°方向までの角度範囲内にトップリング54の合口54aが位置するように、トップリング54をピストン51に対して回り止めする。これにより、スラスト方向(0°方向)±60°方向の角度範囲内において、セカンドリング55側への圧力(トップリング54とセカンドリング55との間のランド57内に発生するランド圧)を効果的に低減することができる。その結果、上記角度範囲内において、ブローバイガスおよびオイル消費を減少することができる。
(第2実施形態)
次に、図10を参照して、本発明による第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、トップリングの内面に凸部を形成するとともにピストンの外面に凹部を形成した上記第1実施形態とは異なり、トップリングの内面に凹部を形成するとともにピストンの外面に凸部を形成する例について説明する。
この第2実施形態では、図10に示すように、トップリング154の内面154bのうち矢印X1方向側には、山形形状を有する1つの凹部154cが形成されている。なお、凹部154cは、本発明の「第1係合部」の一例である。この凹部154cは、トップリング154の幅方向(図10において紙面に対して垂直方向)全体にわたって形成されている。
また、ピストン151の外面151aのトップリング溝512dには、トップリング154の凹部154cと係合する山形形状を有する1つの凸部151bが形成されている。なお、凸部151bは、本発明の「第2係合部」の一例である。この凸部151bは、トップリング溝512dのピストン151が摺動する方向(図10において紙面に対して垂直方向)全体にわたって形成されている。また、トップリング154の凹部154cと、ピストン151の凸部151bとの間の一部の領域には、所定の隙間が設けられている。これにより、トップリング154は、ピストン151に対して、所定の隙間分移動することが可能である。
上記の構成により、エンジン100の運転中にピストン151が上下動(往復動)してトップリング154がピストン151に対して周方向に移動(回転)した際に、トップリング154の凹部154cとピストン151の凸部151bとが係合することにより、トップリング154がピストン151に対して回り止めされる。すなわち、トップリング154の凹部154cおよびピストン151の凸部151bは、回り止め機能を有している。これにより、トップリング154の合口154aをスラスト方向に向けた状態で維持(固定)することが可能となる。なお、第2実施形態の構成および実験結果については、上記第1実施形態と同様である。
以上説明したように、第2実施形態によるエンジン100用ピストン151およびトップリング154によれば、以下に列記するような効果が得られる。
第2実施形態では、上記のように、トップリング154の凹部154cとピストン151の凸部151bとが係合することにより、トップリング154の合口154aがスラスト方向(0°方向)を向くように、トップリング154をピストン151に対して回り止めする。これにより、トップリング154の凹部154cとピストン151の凸部151bとを係合させることにより、容易に、トップリング154の合口154aをスラスト方向(0°方向)に向くように配置することができる。その結果、エンジン100運転中にトップリング154の合口154aの隙間(開口面積)を小さくすることができるので、トップリング154の合口154aから漏れ出るガスの量を減少することができるとともに、オイルの燃焼室38への流れ込みを抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
−他の実施形態−
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、トップリングの合口をスラスト方向(0°方向)に向くように配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スラスト方向側と反スラスト側とのうちのスラスト方向側であれば、スラスト方向(0°方向)に対して時計回り方向または反時計回り方向に90°方向未満の角度範囲内に合口が向くように配置してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、回り止めとして機能する凸部および凹部を平面視において矢印X1方向側に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、凸部および凹部をピストン(ピストンリング)の周方向の任意の部分に形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、回り止めとして機能する凸部および凹部を平面視において山形形状を有するように形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、凸部および凹部を矩形形状や三角形形状などの形状に形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、凸部および凹部をそれぞれ1つずつ設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、凸部および凹部をそれぞれ2つ以上設けてもよい。
本発明は、内燃機関用ピストンおよびピストンリングに利用可能であり、さらに詳しくは、内燃機関のシリンダ内に往復動自在に設けられ、シリンダとの間で燃焼室を形成するピストンと、ピストンの外周に形成された複数の外周溝に装着される複数のピストンリングとを備える内燃機関用ピストンおよびピストンリングに利用することができる。
1 エンジン(内燃機関)
5 シリンダ
38 燃焼室
51、151 ピストン
51a、151a 外面
51b 凹部(第2係合部)
54、154 トップリング(ピストンリング)
54a、154a 合口
54b、154b 内面
54c 凸部(第1係合部)
55 セカンドリング(ピストンリング)
151b 凸部(第2係合部)
154c 凹部(第1係合部)
512a、512d トップリング溝(外周溝)

Claims (5)

  1. 内燃機関のシリンダ内に往復動自在に設けられ、前記シリンダとの間で燃焼室を形成するピストンと、
    前記ピストンの外周に形成された複数の外周溝に装着される複数のピストンリングとを備える内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、
    前記複数のピストンリングは、前記複数の外周溝のうち前記燃焼室側の外周溝に配置されるトップリングと、前記トップリングの前記燃焼室とは反対側の外周溝に配置されるセカンドリングとを含み、
    前記トップリングに形成された合口隙間がスラスト方向側および前記スラスト方向側とは反対方向の反スラスト方向側のうちの前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする内燃機関用ピストンおよびピストンリング。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、
    前記トップリングには、第1係合部が形成され、
    前記ピストンには、前記トップリングの第1係合部と係合する第2係合部が形成され、
    前記トップリングの第1係合部と前記ピストンの第2係合部とが係合することにより、前記トップリングの合口隙間が前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする内燃機関用ピストンおよびピストンリング。
  3. 請求項2に記載の内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、
    前記トップリングの第1係合部は、前記トップリングの内面に形成され、
    前記ピストンの第2係合部は、前記ピストンの外面に形成されていることを特徴とする内燃機関用ピストンおよびピストンリング。
  4. 請求項2または3に記載の内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、
    前記トップリングの第1係合部は、凸部または凹部の一方の形状を有し、
    前記ピストンの第2係合部は、凸部または凹部の他方の形状を有し、
    前記凸部または凹部の一方の形状を有する前記トップリングの第1係合部と、前記凸部または凹部の他方の形状を有する前記ピストンの第2係合部とが係合することにより、前記トップリングの合口隙間が前記スラスト方向側を向くように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする内燃機関用ピストンおよびピストンリング。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストンおよびピストンリングにおいて、
    前記スラスト方向の角度を0°方向とした場合に、前記スラスト方向に対して時計回り方向に60°方向までの角度範囲内および前記スラスト方向に対して反時計回り方向に60°方向までの角度範囲内に前記トップリングの合口隙間が位置するように、前記トップリングは前記ピストンに対して回り止めされていることを特徴とする内燃機関用ピストンおよびピストンリング。
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