以下、本発明の遊技媒体計数システムをパチンコホールやゲームセンター等の遊技施設に適用した実施形態について図を参照して説明する。なお、以下、重力方向のことを「下方」、「下側」または「下」といい、反重力方向のことを「上方」、「上側」または「上」という。また、スロットマシン10の正面方向のことを「前方」、「前側」または「前」といい、スロットマシン10の背面方向のことを「後方」、「後側」または「後」という。さらに、スロットマシン10で遊技をする遊技者の右手方向のことを「右側」または「右」といい、同遊技者の左手方向のことを「左側」または「左」という。また、スロットマシン10の正面に向かって左右方向のことを、単に「左右方向」、「水平方向」や「幅方向」ということもある。また、スロットマシン10の正面に向かって前後方向のことを、単に「前後方向」や「奥行き方向」ということもある。また、スロットマシン10の上下方向のことを、単に「上下方向」、「垂直方向」や「高さ方向」ということもある。
[第1実施形態]
まず、本発明の遊技媒体計数システムの第1実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。以下、遊技媒体計数システムのことを、単に「本システム」という場合がある。第1実施形態に係る本システムの構成例を図1〜図3を参照して説明する。まず、遊技機島1の構成概要を簡単に説明する。
<遊技機島1>
図1〜図3に示すように、遊技機島1は、主に、島柱、腰枠2、上枠、膳板3、天板4、棚板5、腰板6、妻板9等により構成されている。遊技機島1には遊技機としての複数のスロットマシン10が背中合わせに列状に設備されており、これらのスロットマシン10が並ぶ遊技機島1の長手方向に図略の島柱が所定間隔ごとに床面Fに固定されている。島柱は、上下方向に延びる2本の角パイプまたは角材を中心に構成されており、例えば、その下端部が遊技機島1の短手方向両側、つまり背中合せに設置されるスロットマシン10の正面方向に向けて延びるように片仮名の「コ」の字を伏せた形状に形成されている。
腰枠2は、縦長矩形状の板厚が厚い板材であり、それぞれの島柱の下端部に固定されるとともにその上端には膳板3が取り付けられている。膳板3は、遊技機島1の長手方向に架け渡される長板部材であり、この膳板3の上にスロットマシン10が設置されている。島柱の上端には、図略の上枠が固定されていて、この上枠に天板4と棚板5が取り付けられている。天板4および棚板5は、膳板3と同様に遊技機島1の長手方向に架け渡される長板部材である。天板4および棚板5の前方端面は、ほぼ同じ位置であり、膳板3の前方端面に比べて突出量が少ない(図3(A)参照)。なお、図2においては、棚板5の前方端面は、戻しシューター31に隠れているため、表されていない。
なお、腰枠2の内側には、後述する回収シューター35から排出されたメダルが通るメダル回収路15が設けられている。腰枠2やメダル回収路15は、腰板6に覆われて島柱の下端部等が遊技者側から見えないように構成されている。また、遊技機島1の両端(島端)には妻板9が設けられ、スロットマシン10の裏側、メダル回収路15や図略のメダル供給路等を島端から見ることができないように構成されている。さらに、図1〜図3には図示されていないが、スロットマシン10の正面には、床面Fに固定された椅子が設備されており、遊技者はこの椅子に座ってスロットマシン10を操作、つまり遊技を行う。
このような遊技機島1に設備される複数のスロットマシン10のそれぞれの右側にはメダル貸出機11が設けられ、また左側には本システムのメダルリフト20やメダルシューター30が設けられている。本第1実施形態では、膳板3から上方に延びるメダルリフト20およびメダルシューター30との抵触を避けるため、天板4の一部には凹状の開口部4aが形成されており、棚板5の一部にも凹状の開口部5aが形成されている。天板4には、このような開口部4aの他に、もう一つ開口部4bが形成されている。これについては、後で詳述する。
メダル貸出機11は、遊技者が支払う所定金額に対して一定枚数のメダルをレンタルする貸出機能を備えており、汎用的な仕様で構成されている。図1には、メダル貸出機11の主な外観を構成する、紙幣挿入口11a、カード挿入口11bおよび払出し口11cが図示されている。図1では、払出し口11cの先端がスロットマシン10の受け皿10aに向けられている。受け皿10aは、スロットマシン10から獲得等したメダルを溜められる左右方向に長い箱である。
上述のように概ね構成される遊技機島1に設備される本システムは、主に、メダルリフト20、メダルシューター30、メダルポケット40、アウトレットカバー50、メダルホッパー60、計数ユニット70等により構成されている。本第1実施形態では、メダルリフト20は、メダルシューター30と一体に構成されており、またメダルポケット40が着脱自在に構成されている。そのため、ここからは、これらが図示されている図4も参照しながら、メダルリフト20、メダルシューター30およびメダルポケット40の構成を説明する。
<メダルリフト20>
メダルリフト20は、リフトモーター97aを駆動力源としたメダル用のリフターであり、スロットマシン10の下方(膳板3相当の高さ)から、当該スロットマシン10の上方(天板4)相当の高さ)までメダルを運び上げる搬送装置(搬送部)である。例えば、当該スロットマシン10の左側近傍(または右側近傍)に設けられ、主に、膳板3から立ち上がるように天板4の上方まで延設されるタワー部と、このタワー部内においてメダル等を上方に運び得るように設けられる搬送部と、により構成されている。なお、各図においては、メダルリフト20に隣接して、メダルシューター30(戻しシューター31、回収シューター35)やメダルポケット40等が表されていることに注意されたい。
タワー部は、例えば、開口断面が矩形状をなす空調用の角ダクトのような角筒状に形成されており、その内部にメダルの搬送空間を形成するものである。本第1実施形態では、正面パネル21、背面パネル22、側面パネル23、上面パネル24および下面パネル25により構成されている(図4参照)。これらのパネル21〜25のうち、正面パネル21および側面パネル23(少なくとも正面パネル21)には、タワー部の内部で搬送されるメダルを遊技者が外部から視認し得るように、例えば、視覚的に透明な無色やスモークグレー等の有色のアクリル板が用いられる。なお、内部を視認不能にする場合には、これらのパネル21〜25は、視覚的に不透明なアクリル板や金属板等が使用される。
正面パネル21、背面パネル22および側面パネル23は、やや幅広の短冊状で膳板3から天板4の上方まで延びる長板部材である。本第1実施形態では、側面パネル23の幅(タワー部の奥行き)は、正面パネル21や背面パネル22の幅(タワー部の幅)よりも小さく設定されている。上面パネル24および下面パネル25は、正面パネル21、背面パネル22および側面パネル23により形成される上下の開口部を閉塞し得る矩形状に形成されている。なお、これらのパネル21〜25の形状は、搬送部のうちタワー部内に収容される部分の最大外形寸法に従って、同寸法よりも僅かに大きく設定されるため、上記や各図に示す構成は一例に過ぎない。
タワー部の下端には、メダルをタワー部内に取り込み得る搬入口21aが設けられている。搬入口21aは、例えば、正面パネル21の下端側の長さを短く設定したり、同下端に切欠部を設けたりすることにより形成される。また、このような切欠部等により形成される開口部は、右側の側面パネル23の上端にも形成されている。本第1実施形態では、タワー部の上端には搬出部26が設けられている。搬出部26は、開口形状が後述するアウトレットカバー50の内側に収容され得る矩形をなす角筒形状に形成されており、側面パネル(右側)23の開口部は、搬出部26の内部に連通している。
なお、このような開口部が形成される右側の側面パネル23と、次に説明する搬送ベルト27aのフィン27bの先端と、の間には隙間が形成されている。そのため、当該開口部の付近においてはこのような隙間から、メダルが下方に落下することを防止するため、例えば、後述するように、アウトレットカバー50に可撓性を有する案内プレート58等が設けられる。
図4に示すように、搬送部は、主に、搬送ベルト27a、駆動ローラー27c、従動ローラー27d、リフトモーター97a等により構成されている。搬送ベルト27aは、例えば、ウレタン樹脂等の柔軟性に富んだ帯状の無端環状部材であり、外向きに突出する板状のフィン27bを所定間隔で備えている。このフィン27bは、タワー部の下面パネル25上に停留するメダルをすくい上げて保持する機能を有する。タワー部内には、正面パネル21と背面パネル22に間に回動自在に軸支される駆動ローラー27cおよび従動ローラー27dが設けられており、搬送ベルト27aはこれらのローラー27c,27dに架けられている。
搬送ベルト27aには、例えば、20片〜30片の複数のフィン27bが設けられている。フィン27bの数は、1片のフィン27bが搬送することのできるメダルの平均数量と、搬送部に要求される単位時間当たりのメダルの搬送数量によって設定される。また、タワー部の上端にフィン27bが到達した時点においてそれまで当該フィン27bにより保持されていたメダルが当該フィン27bが裏返ることによって当該フィン27bからこぼれ落ちるメダルを、当該フィン27bの一つ先のフィン27bの裏側が受け止めかつ搬出部26の内部に案内することが可能になるように、フィン27b同士の間隔を設定しても良い。これにより、後述するような案内プレート58をアウトレットカバー50に設ける必要がなくなり得る。
リフトモーター97aは、例えば、直流電力が供給されて動作する直流モーター、またはパルス電力に同期して動作するステッピングモーターであり、タワー部の上端裏側、即ち背面パネル22の上端外側に設けられるカバー29に取り付けられている。このリフトモーター97aには、後述する制御ユニット90を介して駆動電力が供給され得るように構成されており、リフトモーター97aと制御ユニット90の間には図略の電気配線が布設されている。カバー29内には、駆動プーリー28a、従動プーリー28b、駆動ベルト28c等が収容されている。駆動プーリー28aはリフトモーター97aの出力軸に接続されており、従動プーリー28bは駆動ローラー27cの回動軸に接続されている。両プーリー28a,28bには、駆動ベルト28cが架けられている。
これらのプーリー28a,28bは、例えば、歯付きのタイミングプーリーである。そのため、リフトモーター97aの駆動は、これらのプーリー28a,28bを介して、駆動ベルト28cに効率良く伝達され得る。また、従動プーリー28bを高精度に回転させ得る。リフトモーター97aが回転すると、それによる駆動力が駆動プーリー28a、駆動ベルト28cおよび従動プーリー28bを介してタワー部内の駆動ローラー27cに伝わることから、タワー部内で駆動ローラー27cと従動ローラー27dに架けられた搬送ベルト27aを回転させることができる。
本第1実施形態では、正面から見て搬送ベルト27aが時計回り方向に回転することによって、搬送ベルト27aのフィン27bが、タワー部の下端(下方)でメダルをすくい上げて、タワー部の上端(上方)の搬出部26に排出する。排出されたメダルは、搬出部26の搬出口26aに接続される後述のアウトレットカバー50内に吐き出される。なお、搬送ベルト27aが架けられる駆動ローラー27cおよび従動ローラー27dもタイミングプーリーで構成しても良い。これにより、搬送ベルト27aの駆動を高効率かつ高精度に制御することが可能になる。なお、リフトモーター97aの単位時間あたりの回転数は、例えば、搬送ベルト27aのフィン27b、1片が搬送することのできるメダルの平均数量と、搬送部に要求される単位時間当たりのメダルの搬送数量によって設定される。
本第1実施形態では、このようにメダルが搬送されるタワー部内において、メダルの存在や通過を検出するセンサーを設けている。例えば、タワー部下端の搬入口21aまたはその付近には入口センサー99aが設けられており、またタワー部上端またはその付近には出口センサー99bが設けられている。さらに、入口センサー99aと出口センサー99bの間には中間センサー99cが設けられている。中間センサー99cは、例えば、メダルポケット40の上端が位置する高さ付近に設けられている。
これらのセンサー99a,99b,99cは、例えば、磁気の変化や赤外線の遮断等を検出することによってメダルがセンサー付近に存在すること、または通過したことを検出可能な検知手段(ホール素子、フォトインタラプタ等)であり、それらのセンサー信号が制御ユニット90に入力され得るように、電気配線等を介して制御ユニット90に電気的に接続されている。本第1実施形態では、メダルがセンサー付近に存在したり、または通過したりすると、これらのセンサー99a,99b,99cはオン状態になり、メダルが存在しないとオフ状態になる。これにより、後述するように制御ユニット90に実行される「メダル搬送処理」によるリフトモーター97aの駆動制御が可能になる。
<メダルシューター30>
メダルシューター30は、後述するように、計数ユニット70から排出されたメダルを当該計数ユニット70よりも下方に落下させる通路部である。本第1実施形態では、メダルポケット40に投入可能にメダルをメダルリフト20の正面側下方に落下させ得る戻しシューター31(戻し通路部)と、メダル回収路15に投入可能にメダルをメダルリフト20の背面側下方に落下させ得る回収シューター35(回収通路部)と、により構成されている。つまり、本第1実施形態では、戻しシューター31は、メダルリフト20の正面パネル21側に設けられており、回収シューター35は、メダルリフト20の背面パネル22側に設けられている。
戻しシューター31は、メダルリフト20のタワー部と同様に、例えば、開口断面が矩形状をなす空調用の角ダクトのような角筒状に形成されている。例えば、戻しシューター31は、正面パネル32、側面パネル33、上面パネル34および傾斜パネル39aにより構成されている(図4参照)。これらのパネル32〜34のうち、正面パネル32および側面パネル33(少なくとも正面パネル32)には、戻しシューター31の内部で落下するメダルを遊技者が外部から視認し得るように、例えば、視覚的に透明な無色やスモークグレー等の有色のアクリル板が用いられる。なお、内部を視認不能にする場合には、これらのパネル32〜34は、視覚的に不透明なアクリル板や金属板等が使用される。
戻しシューター31では、メダルリフト20のタワー部と異なり、複数の傾斜パネル39aを備えている。複数の傾斜パネル39aは、例えば、アクリル板により構成されており、メダルの落下方向に向かって片仮名の「ハ」の字形状を形成するように左右の側面パネル33から互い違いに突出するように設けられている。これらの複数の傾斜パネル39aは、戻しシューター31内を落下するメダルの自由落下を妨げてメダルの落下速度を低下させ、棚板5の高さ位置から落下してくるメダルによる衝撃を緩和してメダルポケット40の破損を防ぐ役割を担っている。つまり、傾斜パネル39aは緩衝装置や緩衝板である。この他に傾斜パネル39aは、落下途中のメダルに不規則な動きや振る舞いをさせる役割もある。
本第1実施形態では、戻しシューター31の幅は、メダルリフト20のタワー部の幅と同程度である。そのため、正面パネル32の幅は、タワー部の正面パネル21の幅とほぼ同様に設定されている。また、戻しシューター31の奥行き、つまり側面パネル33の幅は、タワー部の側面パネル23の幅よりも小さく設定されている。正面パネル32および側面パネル33は、膳板3に載置されるメダルポケット40の上方から棚板5の上方まで延びる長板部材である。そのため、膳板3から天板4の上方まで延びるタワー部の正面パネル21や側面パネル23に比べて、正面パネル32および側面パネル33の高さ方向の長さは短い。図1や図4(A)に示すように、正面から見ると、天板4の上下付近においては、タワー部の正面パネル21の一部は、戻しシューター31に重なることなく、外部から認識することができる(図1に示す一点鎖線よりも上方)。なお、正面から見て右側の側面パネル33の上端には、計数ユニット70から排出されたメダルを取り込み得る開口部33aが形成されている。
本第1実施形態では、戻しシューター31の2枚の側面パネル33は、正面パネル32とタワー部の正面パネル21に接続されている。即ち、正面パネル32に対向する背面パネルとして、タワー部の正面パネル21が代用される。そのため、複数の傾斜パネル39aは、正面パネル32とタワー部の正面パネル21の間で挟持されるように両パネル32,21に固定されている(図4(C)参照)。上面パネル34は、正面パネル32、タワー部の正面パネル21および側面パネル33により形成される上方の開口部を閉塞し得る矩形状に形成されて同開口部を閉塞している。戻しシューター31の下端は、メダルポケット40のメダル戻り口45aに連通可能に開口(下端開口)している(図4(C)参照)。なお、傾斜パネル39aの板幅(正面パネル32と正面パネル21の間隔)、傾斜パネル39aの傾斜角度や、傾斜パネル39aの先端とそれに対向する側面パネル33との隙間間隔については、落下するメダルの単位時間あたりの平均数量や最大数量等を考慮した個別具体的な実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいて設定される。
一方、メダルリフト20の背面パネル22側に設けられる回収シューター35も、前述した戻しシューター31とほぼ同様に構成されている。即ち、回収シューター35は、例えば、開口断面が矩形状をなす空調用の角ダクトのような角筒状に形成されており、背面パネル36、側面パネル37、上面パネル38および傾斜パネル39bにより構成されている。そして、背面パネル36に対向する正面パネルとして、タワー部の背面パネル22が代用されている。そのため、回収シューター35の2枚の側面パネル37は、背面パネル36とこの背面パネル22に接続されている。このように回収シューター35の正面パネルは、タワー部の背面パネル22を用いる。そのため、回収シューター35の内部で落下するメダルを遊技者が外部から視認し得るように構成する場合においても、タワー部の背面パネル22が視覚的に透明であれば、背面パネル36、側面パネル37および上面パネル38を視覚的に透明にする必要はない。したがって、これらのパネル36〜38には、例えば、視覚的に不透明なアクリル板や金属板等が使用される。
複数の傾斜パネル39bも、戻しシューター31の傾斜パネル39aとほぼ同様に構成されており、背面パネル36とタワー部の背面パネル22の間で挟持されるように両パネル36,22に固定されている(図4(C)参照)。つまり、回収シューター35の傾斜パネル39bも、例えば、アクリル板により構成されており、メダルの落下方向に向かって片仮名の「ハ」の字形状を形成するように左右の側面パネル37から互い違いに突出するように設けられている。これらの複数の傾斜パネル39bは、回収シューター35内を落下するメダルの自由落下を妨げてメダルの落下速度を低下させ、棚板5の高さ位置から落下してくるメダルによる衝撃を緩和してメダル回収路15の破損を防ぐ役割を担っている。つまり、傾斜パネル39bも傾斜パネル39aと同様に緩衝装置や緩衝板である。
背面パネル36および側面パネル37は、戻しシューター31の正面パネル32等と同様に長板部材であり、膳板3から棚板5の上方まで延びている。そのため、膳板3から天板4の上方まで延びるタワー部の正面パネル21や側面パネル23に比べて、背面パネル36および側面パネル37の高さ方向の長さは短い。図4(B)に示すように、背面から見ると、タワー部の背面パネル22の一部、カバー29やリフトモーター97aが、回収シューター35に重なることなく、外部から認識することができる。なお、正面から見て右側の側面パネル37の上端には、計数ユニット70から排出されたメダルを取り込み得る開口部37aが形成されている。
上面パネル38は、背面パネル36、タワー部の背面パネル22および側面パネル37により形成される上方の開口部を閉塞し得る矩形状に形成されて同開口部を閉塞している。回収シューター35の下端は、膳板3に形成される図略の貫通孔を介して下方のメダル回収路15に連通可能に開口している(図2参照)。
<メダルポケット40>
メダルポケット40は、メダルシューター30を構成する戻しシューター31の下端側に設けられているメダル収納箱(遊技媒体収納箱)であり、メダルリフト20に対して着脱自在に構成されている。メダルポケット40は、その構成が図5に詳しく表されているため、ここからは、図5も参照しながら、メダルポケット40の構成を説明する。
図5(A)〜図5(D)に示すように、メダルポケット40は、主に本体部41と蓋部43により構成されている。これらは、ABS樹脂、PP樹脂やアクリル樹脂等を成形したプラスチック成形品である。本体部41は、例えば、30枚〜50枚程度のメダルを収容可能な内容積に設定されたほぼ矩形状の箱体であり、長手方向の一方側が遊技者の左手方向に向くように膳板3に載置可能に構成されている。なお、本体部41を視覚的に透明な樹脂材料で構成することによって、本体部41内に溜まっている(収容されている)メダルを外部から視認することが可能になる。そのため、メダルリフト20により搬送されずに残っている残留メダル(残留遊技媒体)を遊技者等は外部から目視確認することができる。
本体部41の内側には、外側から内側に向かって徐々に深くなるように形成されるスロープ42aと、長手方向の他方側に向けて中央奥部がさらに深くなるように形成されるメダル溜まり42bと、を有する底部42が設けられている。このメダル溜まり42bのさらに奥(長手方向の他方側)には、本体部41の奥壁(本体部41の長手方向の他方側下方)に開口するメダル出口42cが形成されている。これにより、本体部41に投入されて底部42のメダル溜まり42bに溜まったメダルをメダル出口42cを介してメダルリフト20のタワー部の下端に送り込むことを可能にしている。
これに対して、本体部41の長手方向の他方側上方には、長手方向の一方側よりも一段高く形成される結合部45が設けられている。この結合部45は、メダルリフト20の正面パネル21の下方に対して着脱自在に構成されているとともに、ロック機構48が設けられている。スロットマシン10の表扉を左側に開く場合において、表扉がメダルポケット40に接触する可能性があるときにはメダルリフト20からメダルポケット40を取り外すことによりこのような表扉の接触を回避する。またロック機構48は、その錠部48aを構成するアームが戻しシューター31の正面パネル32に形成される図略の係合穴に係合することにより、メダルリフト20からメダルポケット40を取り外すことを阻止してメダルポケット40の不必要な取り外し行為を排除可能にしている。
結合部45の上端には、メダル戻り口45aが形成されている。このメダル戻り口45aは、メダルポケット40をメダルリフト20に取り付けた場合にメダルシューター30の戻しシューター31の下端開口に対して連通可能に構成されている。これにより、メダル戻り口45aを介して、メダルシューター30の戻しシューター31から戻されるメダルを蓋部43のメダル受け43bによって受けることを可能にしている。また、結合部45の下端には、メダルガイド45bが形成されている。
このメダルガイド45bは、メダル戻り口45aから結合部45内に入ったメダルを、本体部41の開口部41aを覆う蓋部43のメダル受け43bに案内可能に構成されている。本第1実施形態では、例えば、メダルガイド45bは、開口部41aを閉じた状態の蓋部43に対してメダルガイド45bの先端が蓋部43のメダル受け43bの先端を覆い得るように構成されている。これにより、メダル戻り口45aから入ったメダルをメダルガイド45b上を滑らせて蓋部43のメダル受け43b内に案内可能にしている。
このように構成される本体部41は、その開口部41aが蓋部43に閉塞可能に構成されている。蓋部43は長板状で凹状に窪むカバーである。即ち、蓋部43は、外側から内側に向かって徐々に本体部41の底部42方向に窪むスロープ43aと、このような凹状の底部においてほぼ平坦面に形成されるメダル受け43bと、蓋部43の長手方向の一方側に突出するタブ43dと、同長手方向の他方側において蓋部43の短手方向(幅方向)両側に突出する回動軸43cと、が形成されている。また、蓋部43の長手方向の他方側に向くメダル受け43bの先端は、結合部45のメダルガイド45b上の空間部に連通可能に開口している。
図5(A)に示すように、このように構成される蓋部43が閉じて、本体部41の開口部41aを閉塞している状態においては、開口部41aから本体部41内へのメダルの投入を阻止する一方で、結合部45のメダル戻り口45aから入ったメダルをメダルガイド45b上を滑るようにして蓋部43のメダル受け43b内に案内する。そのため、後で図17を参照して説明するように、遊技者が戻しスイッチ98aをオン状態にすることによって、メダルホッパー60のストックバリア61から計数ユニット70に送られて当該計数ユニット70を介して戻しシューター31に排出される計数後のメダルMbを、蓋部43のメダル受け43bに溜めることが可能になる(図17参照)。
これに対して、蓋部43が上方向に跳ね上がるように開いて本体部41の開口部41aを開放している状態においては(図5(A)において二点鎖線で表されている蓋部43’)、開口部41aから本体部41内へのメダルの投入を許容する。そのため、遊技者により本体部41内に投入されて底部42に入ったメダルは、スロープ42aやメダル溜まり42bを経由してメダル出口42cからメダルリフト20のタワー部の下端に送り込まれる。そのため、後で図15を参照して説明するように、このような計数前のメダルMaを遊技者がメダルポケット40に入れることよって、当該メダルMaを自動的にメダルリフト20によって天板4の上方に搬送しアウトレットカバー50を介してメダルホッパー60に投入するとともにストックバリア61内に溜めることが可能になる(図15参照)。
<アウトレットカバー50>
アウトレットカバー50は、前述したメダルリフト20の搬出部26の周囲を覆うように天板4に取り付けられる下面のない角筒体である。アウトレットカバー50は、その構成が図6に詳しく表されているため、ここからは、図6も参照しながら、アウトレットカバー50の構成を説明する。
図6(A)〜図6(C)に示すように、アウトレットカバー50は、主に、側面パネル51、正面パネル52、背面パネル53、上面パネル54、傾斜プレート55,56等により構成されている。これらのパネル51〜54のうち、側面パネル51および正面パネル52(少なくとも正面パネル52)には、メダルホッパー60の上方で排出される直前にアウトレットカバー50内を通過するメダルを遊技者が外部から視認し得るように、例えば、視覚的に透明な無色やスモークグレー等の有色のアクリル板が用いられる。なお、内部を視認不能にする場合には、これらのパネル51〜54は、視覚的に不透明なアクリル板や金属板等が使用される。
正面パネル52、背面パネル53および上面パネル54は、スロットマシン10の上方において左右方向に延びる長方形状に形成されている。より具体的には、これらのパネル52〜54の長手方向長さは、メダルリフト20のタワー部の上端から排出されたメダルが棚板5に載置されるメダルホッパー60の上方中央付近に到達し得る距離と同等に設定されている(図1および図3(A)参照)。また、正面パネル52および背面パネル53には、アウトレットカバー50を天板4に取付可能にするため、フランジ部52a,53aが形成されている。天板4には、例えば、フランジ部52a,53aに形成されている孔部を貫通するボルトや木ねじによってアウトレットカバー50が取り付け固定される(図6(B)および図6(C)参照)。
このように構成される正面パネル52、背面パネル53および上面パネル54は、それぞれ矩形状の平面パネルを接合したり、側面パネル51の方向から見て片仮名の「コ」の字を伏せた形状をなすように1枚のアクリル板を成形したりすることにより構成される。側面パネル51は、これらのパネル52〜54により形成される側方の開口部を閉塞し得る矩形状に形成されている。なお、側面パネル51に対向する反対側の側方の開口部は、閉塞されることなくメダルの導入口50aとして機能する。
このアウトレットカバー50には、2枚の傾斜プレート55,56を備えている。これらの傾斜プレート55,56は、いずれも側面パネル51、正面パネル52、背面パネル53および上面パネル54により形成される内部空間内に上面パネル54にほぼ対向するように収容される。傾斜プレート55は、導入口50aから、正面パネル52および背面パネル53の下端方向(フランジ部52a,53a方向)に向けて所定角度で傾斜してこれらのパネル52,53に狭持されるように取り付けられている。これに対して、傾斜プレート56は、側面パネル51から、正面パネル52および背面パネル53の下端方向(フランジ部52a,53a方向)に向けて傾斜プレート55の傾斜角度よりも大きい角度で傾斜してこれらのパネル52,53に狭持されるように取り付けられている。
つまり、傾斜プレート55および傾斜プレート56は、片仮名の「ハ」の字形状を上下反転して形状を形成するように正面パネル52と背面パネル53の間に取り付けられている。傾斜プレート55,56の両下端(両先端)が対向する間の空間は、アウトレットカバー50内に入ったメダルの排出口50bとして機能する。即ち、メダルリフト20のタワー部から排出されて導入口50aからアウトレットカバー50内に入ったメダルは、主に傾斜プレート55上を滑り落ちて排出口50bから外部に排出される。側面パネル51側に取り付けられている傾斜プレート56は、側面パネル51に衝突したメダルの落下方向を修正したり案内したりする機能を有する。アウトレットカバー50が取り付けられる天板4に形成される開口部4bの左右方向の大きさに制限がある場合に傾斜プレート56は特に有効に機能する。
なお、傾斜プレート55の導入口50a側には、メダルリフト20の搬出部26を差し込み得る溝部55aが形成されている。即ち、搬出部26は、その周囲をアウトレットカバー50によって覆うようにアウトレットカバー50内に収容されることから、アウトレットカバー50内の傾斜プレート55と搬出部26の搬出口26aとが抵触するのを回避するため、このような溝部55aを傾斜プレート55の導入口50a側に形成している。
また、傾斜プレート55の導入口50a側には、可撓性を有する案内プレート58が取り付けられている。例えば、傾斜プレート55の導入口50a側に案内プレート58の先端58aが接着固定される。アウトレットカバー50をメダルリフト20に取り付けた場合において、メダルリフト20のタワー部内の搬送空間にこの案内プレート58が突出することによって、タワー部を構成する右側の側面パネル23と搬送ベルト27aのフィン27bの先端との間に形成される隙間を案内プレート58が覆うことが可能になる。これにより、このような隙間からメダルが下方に落下することを防止することができる。
なお、このような案内プレート58は、搬送動作に際して搬送ベルト27aのフィン27bが移動することにより案内プレート58に加わる荷重に対しては撓むことが可能である一方で、1片のフィン27bが搬送し得るメダルの数量(例えば、5枚前後)のメダルが案内プレート58上に乗ることにより案内プレート58に加わる荷重に対してはこれらのメダルが案内プレート58から落下するほどは撓まない可撓性を有する。
<メダルホッパー60>
メダルホッパー60は、ストックバリアユニット61のストックバリア62に投入されたメダルを計数ユニット70によりカウントする遊技媒体計数装置であるが、本第1実施形態では、計数後のメダルをメダルシューター30の戻しシューター31を介して遊技者に戻したり、またメダルシューター30の回収シューター35を介してメダル回収路15に投入したりする機能を有するものである。メダルホッパー60は、その構成が図7〜図9に詳しく表されているため、ここからは、これらの図も参照しながら、メダルホッパー60の構成を説明する。
図7(A)に示すように、メダルホッパー60は、主に、ストックバリアユニット61、計数ユニット70、ホッパーベース80等により構成されており、図7(B)〜図7(D)に示すように、これらは3つのユニットに分割することが可能である。即ち、図7(B)に示すストックバリアユニット61、図7(C)に示す計数ユニット70および図7(D)に示すホッパーベース80に分けることができる。そして、ストックバリアユニット61と計数ユニット70は、後述するように両者が係合することにより機械的な結合が維持される。また、計数ユニット70とホッパーベース80は、後述するように両者がコネクタ接続することにより電気的な結合が維持される。
図8(A)〜8(C)に示すように、ストックバリアユニット61は、ストックバリア62、フロントフレーム63、サイドフレーム64、バックフレーム65等により構成されている。ストックバリア62は、透明なアクリル樹脂等を成形したプラスチック成形品であり、その外観は、正面が楕円球面状に前方に張り出している一方で、側面や背面が平面状をなしている。より具体的には、ストックバリア62は、例えば、蓋のない直方体箱形状において、その正面パネルを、楕円球形状の一部をなす曲面パネルに置き換えた形状を有する。このようにストックバリア62の正面を曲面状に形成し、それ以外の側面や背面を平面状に形成することにより、ストックバリアユニット61を棚板5上に配置した場合に棚板5内における空間の利用効率が高められる。また、計数ユニット70上に載置した場合における機械的な安定性を確保することが可能になる。
ストックバリア62の前方曲面形状部を除いた周囲は、フロントフレーム63、サイドフレーム64およびバックフレーム65に囲まれている。即ち、これらのフレーム63〜65は、平面パネルであって蓋のない直方体箱形状を構成している。フロントフレーム63は、ストックバリア62の前方曲面形状部の曲線形状に合わせて、その一部が同曲線形状に切り欠かれている。これにより、前方に曲面形状部を有するストックバリア62を除いて囲み得るように構成されている。
また、フロントフレーム63の下方両側には、小判形状を有する穴部63aが形成されている。この穴部63aは把手部を形成するものである。後述するように、ストックバリアユニット61を前後方向にスライドさせて、計数ユニット70に取り付けたり計数ユニット70から取り外したりする場合においては、当該遊技施設の従業員がこのような穴部63aに手を入れることによりストックバリアユニット61の取り扱いを容易にすることが可能になる。そのため、当該穴部63aに代えて、片仮名の「コ」の字形状を有するハンドル(把手部)を下方両側に設けるようにフロントフレーム63を構成しても良い。
ストックバリア62は、例えば、内容積が標準的なメダル箱の6倍〜10倍(メダル6000枚〜10000枚相当)に設定されている。そのため、遊技者は、メダルが貯まったメダル箱を何箱も積み上げることなく、このストックバリア62内にメダルを貯めておくことができる。これにより、メダル箱の使用数を削減できる。また、遊技者は、例えば、ストックバリア62内で満杯に貯留されているメダルの獲得量を他の遊技者等に対して視覚的に誇示することが可能になるので、メダルが貯まったメダル箱を積み上げなくても、特有の優越感を得ることができる。
ストックバリア62は、その投入口62aの付近に満杯センサー99dが設けられている。この満杯センサー99dは、例えば、対向する電極をストックバリア62の内側に離して配置したものである。ストックバリア62に投入されたメダルが両電極間に介在する位置(満杯位置)まで溜まることで溜まったメダルが導電体として機能するとその位置(満杯位置)までメダルが貯留されていることを検出する。満杯センサー99dは、その出力が制御ユニット90に入力され得るように、図略の電気配線により制御ユニット90に接続されている。これにより、後述するように制御ユニット90に実行される「メダル搬送処理」によるリフトモーター97aの駆動制御が可能になる。なお、満杯センサー99dの他の例として、赤外線の反射等を検出することによって、ストックバリア62内のメダルの貯留量が当該センサーの付近に到達したことを検出するものでも良い。
また、ストックバリア62は、その底部中央に排出口62bが形成されている。排出口62bは、例えば、矩形状に形成されており、貯留されたメダルはここから計数ユニット70に排出され得る。そのため、図9(A)に示すように、計数ユニット70のディスク73の円形状に外接可能な矩形よりもひと回り大きな矩形状をなすように排出口62bの形状とサイズが設定されている。なお、排出口62bは、計数ユニット70のディスク73の外周円よりも僅かに大きい円形状をなすように構成しても良い。本第1実施形態では、このような排出口62bの下方にフランジ部62c,62dが設けられている。このフランジ部62c,62dは、排出口62bの機械的な強度を高めるとともに、計数ユニット70との係合を可能にするためのものである。
図7(C)に示すように、本第1実施形態の計数ユニット70は、ストックバリアユニット61を前後方向にスライドさせた場合に係合を可能にする係合部76を有する。そのため、ストックバリア62に形成されるフランジ部62c,62dのうち、前後方向に延びるように形成されているフランジ部62cが計数ユニット70の係合部76に対して係合することが可能になる。なお、ストックバリアユニット61を左右方向にスライドさせた場合に係合を可能にする係合部を計数ユニット70が有する場合には、左右方向に延びるように形成されているフランジ部62dが当該係合部に対して係合することが可能になる。
<計数ユニット70>
計数ユニット70は、本第1実施形態では、メダルの数を計数する機能と、計数後のメダルを2つの経路のいずれを選択してそれぞれの経路に排出する機能と、を有するものである。図7(C)および図9に示すように、計数ユニット70は、主に、筐体70a、計数機71、計数制御部72、ディスク73、LED表示器75、係合部76、ガイド77a,77b、セレクター78、モーター等により構成されている。
筐体70aは、前述したストックバリア62のフロントフレーム63、サイドフレーム64およびバックフレーム65が形成する矩形の平面形状とほぼ同様の矩形の平面形状を有する薄箱形状に形成されており、例えば、鉄やアルミニウム等からなる金属板により構成されている。この筐体70a内には、計数機71や計数制御部72等が収容されており、これらの制御に関連した操作や表示パネルが筐体70aの前面に設けられている。ここでは、本第1実施形態に関するものとして、戻しスイッチ98a、精算スイッチ98bおよびLED表示器75が筐体70aの前面に設けられている。
図9(B)および図9(C)に示すように、筐体70aの上面には、計数機71を構成するディスク73が露出しており、また前述したようにストックバリア62に係合可能な係合部76が4箇所に設けられている。なお、ディスク73の右横付近に破線で描かれている円は、計数機71内に収容されてディスク73を駆動するモーターを表している。また、ディスク73内に描かれている5つの小円は、メダルが入る凹部孔である。
計数機71は、ディスク73の凹部孔に受け入れたメダルを計数する計数部であり、計数制御部72、ディスク73、LED表示器75、制御ユニット90等により構成されている。計数制御部72は、ディスク73を回転させるモーターの駆動制御を行ったり、ディスク73から1枚ずつ放出されるメダルを順次検出するセンサーの信号に基づいてメダルをカウントしたりする。なお、カウントした値は、精算スイッチ98bが押されたり、外部からリセット信号が入力されたりするまで積算され続ける。つまり、本第1実施形態の計数機71は積算計数タイプである。例えば、リセット後に20枚のメダルをカウントすると計数値は「20」になり、その後に30枚のメダルをカウントすると計数値は前回の20と今回の30を合計(積算)した「50」になる。
なお、計数制御部72と制御ユニット90は、図略の電気配線により接続されており、両者間で制御コマンドのやり取りやデータ(情報)の授受が行われ得るように構成されている。例えば、制御ユニット90から計数制御部72に対しては、ディスク73を回転させるモーターの駆動時間や駆動条件が制御コマンドとして送出される。また計数制御部72から制御ユニット90に対しては、カウントしたメダルの枚数データ(数量情報)が送出される。
ディスク73は、モーターの駆動力を受けて回転することにより、その凹部孔に入っているメダルを所定の内部通路に1枚ずつ放出する機能を有する受入部である。本第1実施形態では、ディスク73は例えば5つの凹部孔を有する。凹部孔は、2つの場合や3つの場合もある。また、ディスク73の中心には、ストックバリア62内に貯留されているメダルをかき混ぜ得るコイルばねで構成される攪拌体74が設けられている。ディスク73は、筐体70aの上面から突出している。そのため、計数ユニット70をストックバリアユニット61に接続した状態においては、ストックバリア62の排出口62b内にディスク73が入り込むように位置する(図7(A)参照)。
LED表示器75は、7セグメントタイプの英数字等を5桁表示可能なカラーディスプレイ装置である。本第1実施形態では、計数制御部72により計数されたメダルの枚数を表示したり、計数ユニット70に不具合等が発生した場合にその状態を表すエラーコード等も表示したりする。また、後述するように、制御ユニット90から計数制御部72に出力される制御コマンドに従って、戻しメダルの枚数や精算枚数等を表示したり、またストックバリア62内のメダルが満杯状態である旨の文字情報(例えば「FULL」)を表示したりする。
制御ユニット90の構成については後で説明する。計数機71はこのように構成されることによって、制御ユニット90から送出される制御コマンドに従ってディスク73に受け入れたメダルの枚数(数量)を計数して、その結果情報、即ちカウントしたメダルの枚数情報を、LED表示器75に表示したり制御ユニット90に送出したりする。
係合部76は、筐体70aの上面に設けられる係合部材である。本第1実施形態では、計数ユニット70がストックバリアユニット61と結合した状態において、ストックバリア62の排出口62bがディスク73上に存在する位置であって、ストックバリア62のフランジ部62cに係合可能な位置に設けられている。係合状態において、筐体70aとストックバリアユニット61とが十分な強度で結合し得るように、左右の2箇所ずつの合計4箇所に係合部76が設けられている。例えば、係合部76を棒形状に延ばしてレール状にすることにより両者の結合強度をさらに高めることが可能になる。
ガイド77a,77bは、計数機71により計数されて放出されたメダルを2つの排出経路(戻しシューター31と回収シューター35)に向けてそれぞれ案内し得る案内部材である。計数機71から排出されるメダルの出口は1つであることから、本第1実施形態では、2つに分かれる分岐位置にセレクター78を設けることによりその位置によってガイド77aまたはガイド77bの連通を選択し得るように構成されている。
セレクター78は、切替アクチュエーター97bにより駆動され得る。切替アクチュエーター97bは、図略の電気配線により制御ユニット90に接続されている。これにより、後述するように制御ユニット90に実行される「メダル計数処理」によるメダルの排出先の切替制御が可能になる。なお、切替アクチュエーター97bの例としては、ソレノイドやステッピングモーター等が挙げられる。
雄コネクタ79は、次に説明するホッパーベース80に設けられる雌コネクタ85に接続し得るプラグタイプのコネクタであり、後述する制御ユニット90に電気的に繋がっている複数の電気配線が接続されている。これに対して、ホッパーベース80の雌コネクタ85には、リフトモーター97a、入口センサー99a、出口センサー99b、中間センサー99cおよび満杯センサー99dから布設されている各電気配線が接続されている。そのため、これらの両コネクタ79,85を電気的に接続することにより、制御ユニット90からリフトモーター97aに駆動信号または制御信号を出力することが可能になり、また入口センサー99a、出口センサー99b、中間センサー99cおよび満杯センサー99dから制御ユニット90にセンサー信号を入力することが可能になる。
<ホッパーベース80>
ホッパーベース80は、計数ユニット70に対して雌コネクタ85を適切な位置に配置したり、メダルシューター30と計数ユニット70との間を接続するジョイント部86を提供したりするものである。図7(D)に示すように、ホッパーベース80は、主に、ベースプレート81、雌コネクタ85、ジョイント部86等により構成されている。
ベースプレート81は、前述した計数ユニット70の筐体70aの平面形状よりも左右方向がやや広い矩形状をなす金属板により構成されており、例えば、この金属板の左右両側をL字形状に上方に立ち上がるように折り曲げ加工してアングル部81aを形成する。なお、アングル部81aを除くベースプレート81の平面形状は、計数ユニット70の筐体70aの平面形状とほぼ同様である。
このベースプレート81の後端には、ベースプレート81の左右方向に延びるボックス83が設けられている。このボックス83は、例えば、開口断面が矩形状をなす空調用の角ダクトのような角筒状に形成されており、その内部に電気配線を布設可能な配線空間を形成するものである。また、計数ユニット70をベースプレート81に取り付ける際、計数ユニット70の前後方向位置を決める位置決め部材としても機能する。
ボックス83は、例えば、金属板を角筒形状に折り曲げ加工して形成される。そのため、ベースプレート81の後端部を角筒形状に折り曲げ加工することによりボックス83をベースプレート81と一体に形成しても良い。このボックス83には、ベースプレート81上の適正な位置に計数ユニット70を載置した場合において、計数ユニット70に設けられる雄コネクタ79に対して雌コネクタ85が良好に接続することができる位置に当該雌コネクタ85が設けられている。
雌コネクタ85は、前述した計数ユニット70に設けられる雄コネクタ79に接続し得るレセプタタイプのコネクタである。本第1実施形態では、ボックス83内において、リフトモーター97a、入口センサー99a、出口センサー99b、中間センサー99cおよび満杯センサー99dから布設された電気配線が当該雌コネクタ85に電気的に接続されている。これにより、雄コネクタ79および雌コネクタ85を介して、制御ユニット90からリフトモーター97aに駆動信号または制御信号を出力することが可能になり、また入口センサー99a、出口センサー99b、中間センサー99cおよび満杯センサー99dから制御ユニット90にセンサー信号を入力することが可能になる。
ジョイント部86は、メダルシューター30と計数ユニット70との間を接続して計数ユニット70から排出された計数後のメダルをメダルシューター30の戻しシューター31や回収シューター35に受け渡し得るものである。図9(B)や図9(C)に示すように、計数機71から放出された計数後のメダルは、ガイド77aやガイド77bを介して計数ユニット70の左側から排出される。そのため、ジョイント部86では、ガイド77aに連通する接続部87aと、ガイド77bに連通する接続部87bとをその内部に設けている。
また、ジョイント部86の一端側86aは、計数ユニット70に接続することが可能に構成されている。これに対して、ジョイント部86の他端側86bは、その接続部87aを戻しシューター31の開口部33aに接続することが可能に構成され、また接続部87bを回収シューター35の開口部37aに接続することが可能に構成されている。
なお、図9(B)は、計数ユニット70が戻り経路側のガイド77aを連通(回収経路側のガイド77bを閉鎖)するようにセレクター78を切り替えて、計数機71から放出されるメダルを戻り経路側のガイド77aを介して戻しシューター31に案内している状態を示す。これに対して、図9(C)は、計数ユニット70’が回収経路側のガイド77bを連通(戻り経路側のガイド77aを閉鎖)するようにセレクター78を切り替えて、計数機71から放出されるメダルを回収経路側のガイド77bを介して回収シューター35に案内している状態を示す。
<制御ユニット90>
制御ユニット90は、その機能ブロックが図10に表されているため、ここからは、図10も参照しながら、制御ユニット90の構成を説明する。図10に示すように、制御ユニット90は、MPU91、メモリ92、システムバス93、入出力インターフェース94、A/Dコンバーター95、デバイスドライバー96等により構成されている。制御ユニット90は、計数機71内に収容されている。
MPU91は、前述したメダルリフト20のリフトモーター97aや後述するセレクター78を駆動する切替アクチュエーター97bを制御する演算処理装置である。MPU91は、システムバス93を介して、メモリ92、入出力インターフェース94等と接続されており、メモリ92に記憶されている制御プログラムを実行する。本第1実施形態では、入出力インターフェース94を介して計数制御部72にも図略の電気配線で接続されている。これにより、リフトモーター97aや切替アクチュエーター97bを駆動することが可能になる。また、計数制御部72に対して前述したような制御コマンドを送出したり、計数制御部72から計数したメダルの枚数データを受けたりすることが可能になる。
メモリ92は、MPU91が使用する主記憶空間を構成する半導体記憶装置であり、例えば、プログラム領域を担うROMとワーク領域やデータ領域に割り当てられるRAMとにより構成されている。ROMには、リフトモーター97aや切替アクチュエーター97bの制御にかかわるメダル搬送処理やメダル計数処理等のプログラムやデータが格納されている。ROMにはEEPROMやフラッシュメモリが含まれる。なお、RAMには、メダル搬送処理やメダル計数処理で使用される、戻し枚数データ、合計戻し枚数データ、戻し枚数データの積算値や貸し出されたメダルの枚数等の各種データが適宜記憶される。
入出力インターフェース94は、A/Dコンバーター95、デバイスドライバー96等とMPU91またはメモリ92との間で、シリアルやパラレル通信によりデータのやり取りを仲介するインターフェース装置である。遊技者等が操作し得る戻しスイッチ98aや精算スイッチ98bのオンオフ情報もこの入出力インターフェース94を介してMPU91に入力される。これらのスイッチ98a,98bは、例えば、タッチタイプまたはプッシュタイプのスイッチである。例えば、ストックバリア62に貯留されたメダルの一部を戻す必要がある場合には戻しスイッチ98aがオン状態にされ、またストックバリア62に貯留されたメダルをすべて精算(払い戻し)する必要がある場合には精算スイッチ98bがオン状態にされる。
A/Dコンバーター95は、入口センサー99a、出口センサー99b、中間センサー99cや満杯センサー99dから入力されるアナログ値のセンサー信号を所定ビット数のディジタル値に変換するデータ変換装置である。所定ビット数は、MPU91の演算単位やメモリ92の情報記憶単位により情報処理を行い易いサイズに決定される。本第1実施形態では、これらの各センサー99a,99b,99c,99dがそれぞれオフ状態からオン状態に移行すると、その移行タイミングでハードウェア割り込みを入出力インターフェース94を介してMPU91に(または直接MPU91に)実行する。
デバイスドライバー96は、MPU91から出力されるモーターやアクチュエーターの制御コマンドを受けてリフトモーター97aや切替アクチュエーター97bを駆動するために必要な制御情報に変換して出力するための駆動装置である。例えば、リフトモーター97aや切替アクチュエーター97bがステッピングモーターを有する場合には、それに適したパルス信号が生成されてこれに出力される。
このように構成される本システムは、制御ユニット90によりメダルリフト20や計数ユニット70を次のように制御する。ここからは、図11〜図18を参照して説明する。まず、図11に示すメダル搬送処理について説明する。この処理は、メダルリフト20によりストックバリアユニット61にメダルを搬送するものであり、メモリ92に格納されているメダル搬送処理のプログラムをMPU91が実行することにより実現される。この処理を開始するタイミングは、例えば、本システムの計数ユニット70の電源が投入された直後等である。
<メダル搬送処理>
図11に示すように、メダル搬送処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われた後、ステップS102により満杯センサー99dがオン状態であるか否かを判断する。なお、所定の初期化処理では、満杯フラグ等のフラグをクリア(オフに設定)したりタイマー等に用いられるカウンタの初期値をゼロクリア(ゼロに設定)したりする。
満杯センサー99dのオン情報(オン状態であることを示す情報)は、例えば、ハードウェア割り込みによりMPU91に入力される。そのため、オン状態である場合には(S102;Yes)、これ以上、メダルをメダルリフト20によりストックバリアユニット61に搬送すると、ストックバリア62からメダルが溢れ出る可能性があるので、本メダル搬送処理を終える。本システムにおいてストックバリア62内のメダルMaが満杯になっているため、メダルリフト20の搬送動作が停止している状態が図16に表されている。
なお、このような場合には、例えば、ストックバリア62に貯留されている計数前のメダルMaが満杯である旨の文字情報による警告メッセージ(例えば「FULL」)を計数ユニット70のLED表示器75に表示させるように、ステップS102で判断した後に制御ユニット90から計数制御部72に対して制御コマンドを送出する処理を実行しても良い。これにより、遊技者や当該遊技施設の従業員に対して、ストックバリア62内のメダルMaが満杯であることを告知することが可能になる。また、他の表示装置(例えば、回転式の警告灯等)にその旨を表示させるように構成しても良い。
これに対して、満杯センサー99dがオン状態でない場合には(S102;No)、続いてステップS103により入口センサー99aがオン状態であるか否かを判断する。入口センサー99aのオン情報(オン状態であることを示す情報)も、例えば、ハードウェア割り込みによりMPU91に入力される。そのため、メダルポケット40内のメダルMaがメダル溜まり42bを介してメダル出口42cからメダルリフト20のタワー部の下端に送り込まれて入口センサー99aがオン状態にある場合には、タワー部の下端に存在するメダルMaをメダルリフト20により上方に搬送する必要があるので、次のステップS104に移行してリフトモーター97aをオンにする。
一方、入口センサー99aがオン状態でない場合には(S103;No)、メダルリフト20のタワー部の下端にはメダルMaが存在しない。そのため、再度、ステップS103による判断処理に戻り、タワー部の下端にメダルMaが送り込まれて入口センサー99aがオン状態になるまで待つ。つまり、このようなループ処理を繰り返す。
ステップS104では、リフトモーター97aに対する駆動電力の供給を開始する。例えば、リフトモーター97aが直流モーターである場合には直流電力が供給される。また、リフトモーター97aがステッピングモーターである場合にはパルス電力が供給される。これにより、メダルMaの搬送が開始される。本システムにおいてメダルMaがメダルリフト20により搬送されている状態が図15に表されている。なお、同図において、メダルポケット40の上方で空中に浮いているように描かれているメダルMaは、メダルポケット40に投入される直前のものを表している。
ステップS104の直後にステップS105によりタイマーカウントを開始する。このタイマーは、リフトモーター97aを駆動している時間、つまりメダルリフト20によりメダルMaを搬送している時間を計時して、所定時間を経過した場合にメダルリフト20の搬送動作を停止させる。この所定時間は、例えば、或るメダルMa(特定の遊技媒体)がメダルリフト20により搬送され始めてから、当該或るメダルMaがメダルリフト20のタワー部の上端に達した後、下方に向けて落下し始めるまで(搬送が終わるまで)に要する所要時間以上に設定される。例えば、当該所定時間Twは、このような所要時間tの1.2倍以上2倍未満(t×1.2≦Tw<t×2)に設定される。より具体的には、当該所定時間は、個別具体的な実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいて設定される。
ここでステップS106により再度、満杯センサー99dがオン状態であるか否かを判断する。そして、オン状態である場合には(S106;Yes)、次のステップS107により満杯フラグをオンに設定し、オン状態でない場合には(S106;No)、このS107をスキップしてステップS108に処理を進める。ステップS106では、ストックバリア62が満杯であることが満杯センサー99dにより検出されても、直ちにリフトモーター97aを停止させない。ステップS104によるリフトモーター97aの起動により既に搬送を開始して搬送途中のメダルMaが存在する可能性があるため、そのようなメダルMaが存在する場合には、当該搬送途中のメダルMaの搬送を完了させる必要があるからである。
ステップS108では、ステップS105によりカウントを開始したタイマーのカウンタ値が所定時間相当に到達しているか否か、つまりタイムアップであるか否かを判断する。そして、タイムアップであると判断した場合には(S108;Yes)、続くステップS109の判断処理に移行する。タイムアップでないと判断した場合には(S108;No)、ステップS106に戻って再び満杯センサー99dがオン状態であるか否か、つまりストックバリア62内のメダルが満杯であるか否かを判断する。
ステップS109では、再度、入口センサー99aがオン状態であるか否かを判断する。ステップS104によりリフトモーター97aを起動するトリガーになったメダルMaの検出後に、さらに別のメダルMaがメダルリフト20のタワー部の下端に送り込まれている場合には、当該別のメダルMaについても搬送を完了させる必要がある。しかし、S106により既にストックバリア62内のメダルMaが満杯状態であるときには、当該別のメダルMaを搬送してストックバリア62に投入すると、そのメダルMaがストックバリア62から溢れ出てしまう可能性がある。
このため、ステップS109では、入口センサー99aがオン状態であり、かつ、満杯ラグがオフである場合に限って(S109;Yes)、ステップS105に処理を戻して新たにタイマーのカウントを開始する。したがって、入口センサー99aがオン状態でなかったり、満杯フラグがオンであったりする場合には(S109;No)、続くステップS110によりリフトモーター97aに対する駆動電力の供給を停止する。これにより、リフトモーター97aは回転を止めることから、メダルリフト20によるメダルMaの搬送も停止する。
このように本メダル搬送処理では、メダルリフト20の搬送動作の開始から所定時間が経過した場合には、メダルリフト20によるメダルMaの搬送が停止する。したがって、例えば、搬送するメダルMaが存在しない場合にも搬送動作が行われ続けるような事態を防止することができる。なお、このメダル搬送処理においては、入口センサー99aは用いたが、出口センサー99bや中間センサー99cは用いていない。つまりセンサー99b,99cは不必要になることから、電気的な構成が簡素になり部品点数も減らすことが可能になる。したがって、故障率の低下により保守整備のコストを低減したり、製品コストを削減したりすることができる。
また、一旦、メダルリフト20による搬送動作を開始すると(S104)、その途中においてストックバリア62内のメダルMaが満杯になったことが検出されても(S106;Yes)、ストックバリア62の満杯が検出されないときに搬送され始めたメダルMaについてはその搬送が完了するまで搬送動作を停止させない。これにより、搬送途中に満杯が検出された場合には直ちに搬送動作を停止させる構成に比べて、メダルリフト20内に搬送途中のメダルMaが残留する可能性を低下させることが可能になる。したがって、メダルリフト20内にメダルMaが残留することによる不具合の発生確率を低下させることができる。
なお、遊技者がメダルMaをメダルリフト20で搬送したい場合にだけ搬送を開始するような構成においては、例えば、入口センサー99aに代えて、遊技者が操作可能なタッチタイプまたはプッシュタイプ等のスイッチを設けるとともに、ステップS103およびステップS109の処理内容を、入口センサー99aのオン状態を判断する処理内容から、このようなスイッチのオン状態を判断する処理内容に変更しても良い。これにより、遊技者の意思決定に基づいてメダルリフト20の搬送を開始する構成(自動ではなく手動操作をする構成)においても、上記と同様の作用および効果を得ることが可能になる。
また、例えば、入口センサー99aに加えて、遊技者が操作可能なタッチタイプまたはプッシュタイプのスイッチを設けるとともに、ステップS103およびステップS109の処理内容を、入口センサー99aのオン状態とこのようなスイッチのオン状態との両方を判断しいずれか一方がオンであれば、ステップS103やステップS109の「オン」の条件を満たす処理内容に変更する。これにより、例えば、メダルリフト20のタワー部内に搬送中のメダルMaが残留した場合において、メダルリフト20による搬送動作を遊技者の意思決定に基づいて行わせ(手動操作を可能にする構成)、当該メダルMaを強制的に搬送してタワー部内から除去することが可能になる。
次に、図12に示すメダル計数処理について説明する。この処理は、ストックバリアユニット61に貯留されたメダルを計数ユニット70により計数するものであり、メモリ92に格納されているメダル計数処理のプログラムをMPU91が実行することにより実現される。この処理を開始するタイミングも、例えば、本システムの計数ユニット70の電源が投入された直後等である。
<メダル計数処理>
図12に示すように、メダル計数処理では、まずステップS201により所定の初期化処理が行われた後、ステップS202により戻しスイッチ98aや精算スイッチ98bの情報を取得する。なお、所定の初期化処理では、計数されたメダルの戻し枚数データや回収枚数データ等をゼロクリア(ゼロに設定)する。
戻しスイッチ98aや精算スイッチ98bの入力情報は、例えば、ハードウェア割り込みによりMPU91に入力される。そのため、スイッチの入力情報がある場合には(S202;Yes)、次のステップS203によりそのスイッチの種別、即ち戻しスイッチ98aであるか精算スイッチ98bであるかを判断する。これに対して、スイッチの入力情報がない場合には(S202;No)、計数ユニット70で計数処理を行う必要がない。そのため、スイッチの入力情報があるまでステップS202による判断処理を繰り返す。
ステップS203によりスイッチの種別が戻しスイッチ98aであると判断した場合には(S203;戻しスイッチ)、ステップS204に処理を移行して排出先切替処理により戻り経路側のガイド77aをセレクター78により連通(回収経路側のガイド77bを閉鎖)させるように切替アクチュエーター97bを制御する。このように切替アクチュエーター97bを制御してセレクター78が戻り経路側のガイド77aを連通させている状態が図9(B)に表されている。
ステップS205では、セレクター78がこのように戻り経路側のガイド77aを連通させている状態において、計数ユニット70に対してメダルMaの計数を行わせる制御コマンドを送出して計数ユニット70の計数制御部72にメダル計数処理を実行させる。制御ユニット90は、計数制御部72に対して、例えば、予め定められた一定時間、ディスク73を駆動するように当該一定時間の期間中、モーターを回転させる制御コマンドを送出する。これにより、計数ユニット70の計数制御部72では、一定時間モーターを回転させてディスク73を駆動することにより、ディスク73の凹部孔に入っているメダルMaを1枚ずつ図略の内部通路に放出し当該メダルMaを識別し得る図略のセンサーにより順次カウントする。
このようにカウントされたカウンタ値は、戻し枚数データとして、計数制御部72から制御ユニット90に送出される。そのため、制御ユニット90では、計数制御部72から送出された戻し枚数データをステップS206により取得する。そして、続くステップS207により、制御コマンドを計数制御部72に再び送出してLED表示器75に当該戻し枚数を表示させる。また、ステップS208により当該戻し枚数データをメモリ92に記憶する。
ここで記憶される戻し枚数データは、それまでに戻されたメダルMbの積算値である。そのため、例えば、前回100枚戻した後に今回200枚戻した場合には、前回と今回の合計枚数である300枚が、最新の戻し枚数データとして計数ユニット70から送出される。そのため、これまでに戻した合計の戻し枚数(合計戻し枚数)がLED表示器75に表示される。また、ステップS208ではこの最新の戻し枚数データをメモリ92に記憶することで、それまでの戻し枚数をすべて積算した合計戻し枚数を保持することが可能になる。
なお、合計戻し枚数ではなく、今回の戻し枚数をLED表示器75に表示させる場合には、ステップS207において、計数制御部72から送出された最新の戻し枚数データから、前回ステップS208によりメモリ92に記憶した前回の戻し枚数データを減算して今回の戻し枚数を得た後、当該今回の戻し枚数をLED表示器75に表示させるように情報処理を行う。これにより、遊技者に対して、今回の戻し枚数をLED表示器75を介して知らせることができる。
ステップS207により、このような合計戻し枚数や今回の戻し枚数をLED表示器75に表示させる場合には、例えば、LEDの発光色を、後述する精算時の発光色(例えば、緑色や青色等)と異なる赤色や橙色等にしても良い。また戻し枚数の表示を点滅させても良い。これにより、遊技者や他の遊技者等に対して、その表示が精算枚数ではなく、戻し枚数を表すことが明示できる。ステップS208の処理が終了すると、再びステップS202に処理を移行し新たなスイッチ入力を待つ。
一方、カウントされた計数後のメダルMbは、計数機71から放出されると、セレクター78とガイド77aに案内されてジョイント部86の接続部87aを通過した後、メダルシューター30の開口部33aから戻しシューター31内に取り込まれる。その後、当該メダルMbは、戻しシューター31の複数の傾斜パネル39aにより落下速度が減速されて戻しシューター31の下端からメダル戻り口45aを介してメダルポケット40内に入る。メダルポケット40内に入ったメダルMbは、蓋部43で受け止められてメダル受け43b内で停止する。計数ユニット70から順次放出される計数後のメダルMbは、このようにして蓋部43のメダル受け43bに溜められる。本システムにおいて計数後のメダルMbが戻しシューター31からメダルポケット40のメダル受け43bに戻されている状態が図17に表されている。
なお、ステップS205において、制御ユニット90は、計数制御部72に対して、例えば、メダルMaを識別し得る図略のセンサーによりカウントされるカウンタ値が所定値に到達するまでディスク73を駆動するようにモーターを回転させる制御コマンドを送出しても良い。これにより、当該所定値に対応した所定枚数のメダルMbだけ戻しシューター31を介して遊技者に戻すことが可能になる。
このように、オンされたスイッチの種別が戻しスイッチ98aである場合の処理に対して、ステップS203によりスイッチの種別が精算スイッチ98bであると判断した場合には(S203;精算スイッチ)、ステップS211に処理を移行して排出先切替処理により回収経路側のガイド77bをセレクター78により連通(戻り経路側のガイド77aを閉鎖)させるように、切替アクチュエーター97bを制御する。このように切替アクチュエーター97bを制御してセレクター78が回収経路側のガイド77bを連通させている状態が図9(C)に表されている。
ステップS212では、セレクター78がこのように回収経路側のガイド77bを連通させている状態において、計数ユニット70に対してメダルMaの計数を行わせる制御コマンドを送出して計数ユニット70の計数制御部72にメダル計数処理を実行させる。制御ユニット90は、計数制御部72に対して、ストックバリア62内のメダルMaがなくなるまで、ディスク73を駆動するようにモーターを回転させる制御コマンドを送出する。これにより、計数ユニット70の計数制御部72では、ストックバリア62内の最後のメダルMaまでディスク73の凹部孔に入っているメダルMaを1枚ずつ図略の内部通路に放出し当該メダルMaを識別し得る図略のセンサーにより順次カウントする。このようにカウントされたカウンタ値は、それまでに計数されたメダルの積算値データとして、計数制御部72から制御ユニット90に送出される。この積算値データには、今回、カウントされたメダル枚数の他に、それまでにカウントされて戻されたメダルの戻し枚数も含まれている。
このため、制御ユニット90では、計数制御部72から送出された積算値データをステップS213により取得する。そして、続くステップS214により当該積算値データから、ステップS208によりメモリ92に記憶されている最新の合計戻し枚数データを減算することにより(精算枚数演算処理)、精算枚数を算出する。例えば、先の例では、合計戻し枚数データとして、300枚をステップS208により記憶していることから、例えば、ステップS213により取得した積算値データが1000枚である場合には、この1000枚(積算値データ)から300枚(合計戻し枚数データ)を減算することにより、ストックバリア62に残っていた700枚、つまり精算枚数を求めることができる。
ステップS214で算出された精算枚数は、続くステップS215により計数制御部72に送出される制御コマンドによってLED表示器75に表示される。この場合、例えば、LED表示器75は、緑色や青色等の精算時の発光色で精算枚数を表示する。また、ステップS215では、このような精算枚数のデータを図略の遊技システムのコンピュータに出力する。これにより、当該遊技システムのコンピュータは、精算枚数データを用いて所定の情報処理を行う。
一方、カウントされた計数後のメダルMbは、計数機71から放出されると、セレクター78とガイド77bに案内されてジョイント部86の接続部87bを通過した後、メダルシューター30の開口部37aから回収シューター35内に取り込まれる。その後、当該メダルMbは、回収シューター35の複数の傾斜パネル39bにより落下速度が減速されて回収シューター35の下端からメダル回収路15内に入る。メダル回収路15内に入ったメダルMbは、図略のコンベアにより島端等に設けられているメダル洗浄機に送られて洗浄される。本システムにおいて計数後のメダルMbが回収シューター35からメダル回収路15に回収されている状態が図18に表されている。
<メダル搬送処理の改変例>
なお、制御ユニット90により実行されるメダル搬送処理は、図11を参照して説明したものに限られない。例えば、図13および図14に示すようなメダル搬送処理であっても良い。図11に示すメダル搬送処理では、メダルリフト20の搬送動作の開始から所定時間が経過した場合にはメダルリフト20によるメダルMaの搬送を停止させたが、図13に示すメダル搬送処理の改変例は、このようなタイマー処理を用いる代わりに、搬送途中のメダルMaがメダルリフト20に存在しないことを検出し得る搬送中メダル検出処理を用いる点が図11に示すメダル搬送処理と異なる。そのため、これらの図において、前述したメダル搬送処理と実質的に同一の処理ステップには同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図13に示すように、メダル搬送処理の改変例では、ステップS106により、再度、満杯センサー99dがオン状態であるか否かを判断した後や、続くステップS107により満杯フラグをオンにセットした後において、搬送中メダル検出処理(S121)を実行する。搬送中メダル検出処理(S121)は、サブルーチンであり、搬送中のメダルMaがメダルリフト20のタワー部内に存在しない場合に処理を終えてメインルーチン(本メダル搬送処理)に戻るように構成されている。この検出処理(S121)は、その処理の流れが図14に表されているので、ここからは、同図を参照しながら説明する。
図14に示すように、搬送中メダル検出処理においては、図11に示すメダル搬送処理では用いなかった出口センサー99bと中間センサー99cを使用する。なお、図4に示すように、出口センサー99bは、メダルリフト20のタワー部上端またはその付近に設けられている。また、中間センサー99cは、入口センサー99aと出口センサー99bの間(例えば、メダルポケット40の上端が位置する高さ付近)に設けられている。
これらのセンサー99b,99cは、搬送ベルト27aのフィン27bにすくい上げられてフィン27b上に保持されている1枚または複数枚のメダルMaの存在を検出することが可能である。例えば、フィン27bに保持されているメダルMaの枚数が1枚の場合でも数枚の場合でも、金属片またはその集合体として、メダルMaの存在を検出しオン状態になる。これにより、フィン27bがメダルMaを保持しているのか否かをこれらのセンサー99b,99cにより検出することができる。
このため、中間センサー99cによりメダルMaを保持したフィン27bを検出した場合にはカウンタ値を増加させ、出口センサー99bによりメダルMaを保持したフィン27bを検出した場合にはカウンタ値を減少させる情報処理を制御ユニット90により行うことにより、当該カウンタ値がゼロでない期間中は、両センサー99b,99cの配置位置間にメダルMaを運搬中のフィン27bが存在していることが検出できる。換言すると、当該カウンタ値がゼロになると、メダルMaを運搬中のフィン27bが存在しないことを検出することができる。制御ユニット90が実行する情報処理の具体例は、次のように構成することが可能である。
まず、ステップS151により所定の初期化処理が行われる。ここでは、所定のカウンタの値(カウンタ値)をゼロクリア(ゼロに設定)する。次のステップS153では、中間センサー99cの状態を判断する。中間センサー99cのオン情報(オン状態であることを示す情報)も、入口センサー99aと同様に、例えば、ハードウェア割り込みによりMPU91に入力される。そのため、オン状態である場合には(S153;オン)、続くステップS155のカウントアップ処理により所定のカウンタの値を1つ増加させる。
これに対して、中間センサー99cがオフ状態である場合には(S153;オフ)、ステップS154により出口センサー99bの状態を判断する。出口センサー99bのオン情報(オン状態であることを示す情報)も、例えば、ハードウェア割り込みによりMPU91に入力される。そのため、オン状態である場合には(S154;オン)、続くステップS156のカウントダウン処理により所定のカウンタの値を1つ減少させる。もし、オフ状態である場合には(S154;オフ)、中間センサー99cの状態を判断するステップS153に戻る。
ステップS155によるカウントアップ処理やステップS156によるカウントダウン処理が済むと、ステップS157により所定のカウンタの値(カウンタ値)がゼロであるか否かを判断する。カウンタ値がゼロでないと判断した場合には(S157;No)、メダルMaを運搬中のフィン27bが存在していることになるので、ステップS153に戻って再び中間センサー99cの状態を判断する。
これに対して、このステップS157によりカウンタ値がゼロであると判断した場合には(S157;Yes)、中間センサー99cと出口センサー99bとの間で移動するフィン27bにはメダルMaが存在しないことになるので、本搬送中メダル検出処理を終了して、メインのメダル搬送処理に処理を戻す。これにより、メダルリフト20内に搬送中のメダルMaは存在しないことを検出したことをメインのメダル搬送処理に通知する。
ステップS121による搬送中メダル検出処理より、メダルMaを運搬中のフィン27bがタワー部内に存在しないことを検出すると、メダル搬送処理ではステップS109により、入口センサー99aがオン状態であり、かつ、満杯ラグがオフであるか否かを判断する。そして、入口センサー99aがオン状態でなかったり、満杯フラグがオンであったりする場合には(S109;No)、続くステップS110によりリフトモーター97aを止めてメダルリフト20による搬送動作を停止する。
このように本メダル搬送処理では、搬送途中のメダルMaがメダルリフト20に存在しない場合には、メダルリフト20によるメダルMaの搬送が停止する。したがって、例えば、図11に示すメダル搬送処理のように、メダルリフト20の搬送動作の開始から所定時間が経過した場合にメダルリフト20を停止させる構成に比べて、メダルMaが存在しない無搬送時の搬送動作を高い精度で防止することができる。したがって、無搬送時の搬送動作が抑制されるため、無駄な電力消費を抑えることが可能になる。
このように第1実施形態の本システムは、スロットマシン10の上方に設けられディスク73に入ったメダルMaの数を計数可能な計数ユニット70と、計数ユニット70よりも上方に投入口62aを有し投入された計数前のメダルMaを貯留可能であるとともに排出口62bから計数前のメダルMaを計数ユニット70のディスク73に排出可能なストックバリア62と、計数前のメダルMaを計数ユニット70よりも下方の搬入口21aからストックバリア62の上方の搬出部26に搬送してこのメダルMaを投入口62aに投入可能なメダルリフト20と、を備える。これにより、遊技者は、メダルリフト20にメダルMaを下方のメダルリフト20から投入口62aの上方の搬出部26に搬送させることで、搬送されたメダルMaはストックバリア62の投入口62aに投入されて排出口62bから計数ユニット70のディスク73に入り得る。
例えば、メダルリフト20の搬入口21aはスロットマシン10の左側(または右側)下方に設けられ、メダルリフト20の搬出部26はストックバリア62の投入口62aの上方に設けられる。この場合、例えば、遊技者は、スロットマシン10の受け皿10aに溜まったメダルMaが満杯になったことを遊技途中に気がついた場合には、スロットマシン10の操作中であっても空いている片方の手でメダルMaを掴んで、スロットマシン10の左側(または右側)下方の搬入口21aに入れることで、頭上に手を伸ばしたり立ち上がったりすることなく、搬出部26からスロットマシン10の上方のストックバリア62にメダルMaを入れることが可能になり、スロットマシン10の操作を中止することなく、メダルMaを容易に計数ユニット70に入れられる。また、ドル箱を使用することができる場合であっても、遊技の終了後にドル箱からメダルMaを同様に搬入口21a(メダルポケット40)に入れることで、メダルMaで満杯になったドル箱をスロットマシン10の上方に持ち上げることなく、搬入口21a(メダルポケット40)からスロットマシン10の上方のストックバリア62にメダルMaを入れることが可能になり、メダルMaを容易に計数ユニット70に入れられる。これにより、遊技者は、スロットマシン10の操作を中止することなく、また肉体的な負担もさほど増えることなく、遊技の途中または遊技の終了後にメダルMaを容易に計数ユニット70に入れることが可能になる。
なお、[先行技術文献]の欄に記載した特許文献1の開示に代表されるように各台計数機の導入が進むと、ドル箱の使用を廃止する遊技施設が増える。ドル箱を使用しない遊技施設では、遊技者は獲得したメダルを箱に入れることができないことから、メダルで満杯になったドル箱を積み上げることもできない。そのため、遊技者は、メダルを大量に獲得したことを他の遊技者等に視覚的に誇示することにより得られる、特有の優越感を得ることが難しい。つまり、ドル箱を使用しない遊技施設では、ドル箱を使用する遊技施設に比べて遊技者の満足感を高め難い。しかし、第1実施形態の本システムを構成することによって、計数前のメダルMaを貯留可能なストックバリア62は、その一部または全部が透明部材で構成されている。そのため、このストックバリア62に貯留されたメダルMaの枚数(数量)が、それらのメダルMaを投入した遊技者のメダルMaの獲得量として視覚的に把握可能になる。したがって、当該遊技者はメダルMaの獲得量を他の遊技者等に視覚的に誇示することができる。
なお、第1実施形態の本システムでは、メダルリフト20、メダルシューター30、アウトレットカバー50、ストックバリアユニット61においては、アクリル樹脂製のパネルやフレーム等の複数の樹脂部材を接続する構成を採ったが、複数の樹脂部材を用いることなく、成形型等を用いて一体成形により形成しても良い。また複数の樹脂部材の一部を一体成形により形成し部品点数を減らし得るように構成しても良い。これにより、量産可能である場合には、製品コストを低減することが可能になる。
また、第1実施形態の本システムでは、メダルリフト20とメダルシューター30を一体に構成したが、それぞれを別体に構成しても良い。例えば、正面パネル32に対向する背面パネルとして、タワー部の正面パネル21を代用することなく、正面パネル32に対向する背面パネルを別個に設けても良い。
[第2実施形態]
次に、本発明の遊技媒体計数システムの第2実施形態を図19〜図30に基づいて説明する。第2実施形態に係る本システムの構成例を図19〜図21を参照して説明する。本第2実施形態の本システムは、第1実施形態のものに比べてメダルシューター130が戻しシューター31を備えていない点が大きく異なる。またこのような構成の差異によりメダルポケット140、メダルホッパー160、計数ユニット170、ホッパーベース180や制御ユニット190においても、第1実施形態のメダルポケット40、メダルホッパー60、計数ユニット70、ホッパーベース80や制御ユニット90に比べて構成が異なる。また、メダル貸出機111も、汎用的な仕様とは異なる点で第1実施形態のメダル貸出機11と異なる。なお、これらの材質は、それぞれ第1実施形態のものと同様である。そのため、図19〜図30において、第1実施形態の本システムと実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
<メダルシューター130>
図19〜図22,図27〜図30に示すように、メダルシューター130は、第1実施形態で説明した戻しシューター31を備えていない。メダルリフト20の正面パネル21には、戻しシューター31の代わりに前面カバー131が取り付けられている(図22(C)参照)。この前面カバー131は、メダルポケット140の構成に起因して設けられている。即ち、メダルポケット140は、第1実施形態のメダルポケット40と同様にロック機構148を備えており、このロック機構148を構成する錠部148aのアームを係合させるための係合穴を形成する必要から、前面カバー131を設けている。
前面カバー131は、その奥行き寸法をメダルポケット140の結合部145の奥行き寸法とほぼ同様に設定していること以外は、長手方向長さや幅(短手方向)の大きさについても、第1実施形態の戻しシューター31と同様に構成されている。なお、前面カバー131は、その内部に傾斜パネル39aに相当するものは備えていない。前面カバー131の内部空間は、メダルMbが落下することがないためである。
<メダルポケット140>
図22,図23,図27〜図30に示すように、メダルポケット140は、第1実施形態のメダルポケット40が有するようなメダル受け43bが設けられた蓋部43を備えていない。第2実施形態の本システムでは、メダルシューター130がメダルMbを戻す場合はないため、それを受けるメダル受け43bを蓋部143に設ける必要がないからである。そのため、メダルポケット140の蓋部143は、第1実施形態のメダルポケット40の蓋部43に比べると、シンプルに構成されている。また、結合部145においても、第1実施形態のメダルポケット40が備えていたメダル戻り口45aやメダルガイド45bは、結合部145においては設けられていない。なお、本体部141やその底部142については、第1実施形態の本体部41や底部42とほぼ同様に構成されている。即ち、底部142のスロープ142a、メダル溜まり142bおよびメダル出口142cは、第1実施形態の底部42のスロープ42a、メダル溜まり42bおよびメダル出口42cと同様に構成されている。
蓋部143は、長板状でほぼ平らなプレート形状を主体に構成されている。蓋部143には、蓋部143の長手方向の他方側において蓋部143の短手方向(幅方向)両側に突出する回動軸143aと、蓋部143の長手方向の一方側に突出するタブ143bと、が形成されている。なお、図23(A)には、このように構成される蓋部143が閉じて、本体部141の開口部141aを閉塞している状態においては、開口部141aから本体部141内へのメダルの投入を阻止する。これに対して、蓋部143が上方向に跳ね上がるように開いて本体部141の開口部141aを開放している状態においては(図23(A)において二点鎖線で表されている蓋部143’)、開口部141aから本体部141内へのメダルの投入を許容する。そのため、遊技者により本体部141内に投入されて底部142に入ったメダルは、スロープ142aやメダル溜まり142bを経由してメダル出口142cからメダルリフト20のタワー部の下端に送り込まれる。
<メダルホッパー160>
図21,図24,図25,図27〜図30に示すように、計数ユニット170では、計数機71が計数後に放出するメダルMbは、メダルシューター130の回収シューター35に案内される回収経路部177を通過するだけである。即ち、第1実施形態の計数ユニット70のように、複数の経路(戻り経路および回収経路)からいずれかを選択する必要もない。そのため、セレクターを必要としないことから、それを駆動する切替アクチュエーター97bも存在せずシンプルな構成になる。また、ジョイント部186においても接続部187は1つの経路で足りるため、ホッパーベース180もシンプルな構成になる。
<制御ユニット190>
なお、機能ブロックは図示しないが、第2実施形態の制御ユニット190は、MPU91が入出力インターフェース94を介してメダル貸出機111に対しても制御情報を送出し得るように、メダル貸出機111と制御ユニット90の間には図略の電気配線が布設されている点が、第1実施形態の制御ユニット90と異なる。これにより、制御ユニット90がメダル計数処理を実行するに際して、メダル貸出機111に対し、所定枚数の戻しメダルMcを貸し出すように制御することを可能にしている。メダル貸出機111は、制御ユニット190から送出される制御情報を受けて、例えば、メダルの貸し出し等を行い得るように構成されている。つまり、汎用的な仕様とは異なる。
<メダル計数処理>
第2実施形態の本システムでは、図26に示すようなメダル計数処理を行う。第2実施形態では、戻しシューターを経由して戻しメダルMcを遊技者に戻すのではなく、メダル貸出機111から戻しメダルMcを貸し出す。そのため、第1実施形態のメダル計数処理(図12参照)と比べると、第2実施形態のメダル計数処理は、セレクター78を切り替える排出先切替処理(図12;S204,S211)を含まない点、メダル貸出機111に対して戻し枚数データを送出する処理(図26;S221)を含む点や、メダル貸出機111が貸し出した枚数分のメダルMaをメダルホッパー160のストックバリア62からメダル回収路15に排出する処理(図26;S223)が大きく異なる。そのため、これらの図において、前述したメダル計数処理と実質的に同一の処理ステップには同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図26に示すように、第2実施形態のメダル計数処理では、ステップS203によりスイッチの種別が戻しスイッチ98aであると判断した場合には(S203;戻しスイッチ)、ステップS221に処理を移行して戻し枚数データ送出処理を実行する。このステップS221による戻し枚数データ送出処理では、メダル貸出機111に対して、所定枚数のメダルMcを払出し口11cから貸し出す旨の制御情報を送出する。具体的には、メダル貸出機111の貸し出し処理を制御する制御ユニット等に対して、予め決められている制御コマンドや制御データを制御ユニット190から出力する。これにより、このような制御情報を受けたメダル貸出機111は、所定枚数のメダルMcを払出し口11cから吐出させる。このようにしてメダル貸出機111から貸し出されたメダルMcは、スロットマシン10の受け皿10aに溜められる。本システムにおいてメダル貸出機111から貸し出されたメダルMcが払出し口11cからスロットマシン10の受け皿10aに戻されている状態が図29に表されている。
なお、メダルMcの貸し出し枚数(以下「貸し出し枚数」という)は、制御ユニット190から指示してそれをメダル貸出機111が受けても良いし、またメダル貸出機111が任意枚数貸し出しその枚数情報を制御ユニット190が受けても良い。また、このような貸し出し枚数を、メダル貸出機111が備える図略の表示器にメダル貸出機111が表示しても良い。
制御ユニット190は、続くステップS223により、貸し出し枚数と同じ枚数のメダルMaをメダルホッパー160から計数ユニット170を介して排出させる。例えば、制御ユニット190は、計数制御部72に対して、メダルMaを識別し得る図略のセンサーによりカウントされるカウンタ値が貸し出し枚数と同数に達するまでディスク73を駆動するようにモーターを回転させる制御コマンドを送出する。
これにより、貸し出し枚数分のメダルMaは、メダルホッパー160のストックバリア62から計数機71を介して排出されると、回収経路部177および接続部187(ジョイント部186)を経由して回収シューター35に受け渡された後、メダル回収路15に投入される。したがって、ストックバリア62内に貯留されたメダルMaが、メダル貸出機111により貸し出された枚数分だけ減少するので、遊技者に対して、ストックバリア62に溜めたメダルMaの一部がメダル貸出機111を介して戻されているように見せかけることが可能になる。つまり、計数前のメダルMaを戻していることを遊技者に視覚的に認識させることができる。
そして、続くステップS225により、制御コマンドを計数制御部72に再び送出してLED表示器75に貸し出し枚数、つまり戻し枚数を表示させる。この戻し枚数は、第1実施形態で述べた「今回の戻し枚数」に相当するものである。そのため、LED表示器75は、例えば、精算時の発光色(例えば、緑色や青色等)と異なる赤色や橙色等で、戻し枚数(=貸し出し枚数)を表示する。
次のステップS227により戻し枚数をメモリ92に記憶する。制御ユニット190からの制御情報に基づいて、既に、メダル貸出機111から貸し出されていた場合には、その前回の枚数に今回の枚数を加算したものを最新の戻し枚数として記憶する。つまり、最新の合計戻し枚数は、それまでの戻し枚数の積算値としてメモリ92に記憶される。なお、このような戻し枚数の積算処理をステップS225による戻し枚数表示処理において行うことにより、LED表示器75に合計戻し枚数を表示することが可能になる。
一方、ステップS203によりスイッチの種別が精算スイッチ98bであると判断した場合には(S203;精算スイッチ)、ステップS212に処理を移行して制御コマンド送出処理を実行する。ステップS212では、計数ユニット170に対してメダルMaの計数を行わせる制御コマンドを送出して計数ユニット170の計数制御部72にメダル計数処理を実行させる。制御ユニット190は、計数制御部72に対して、ストックバリア62内のメダルMaがなくなるまで、ディスク73を駆動するようにモーターを回転させる制御コマンドを送出する。
これにより、計数ユニット170の計数制御部72では、ストックバリア62内の最後のメダルMaまでディスク73の凹部孔に入っているメダルMaを1枚ずつ図略の内部通路に放出し当該メダルMaを識別し得る図略のセンサーにより順次カウントする。このようにカウントされたカウンタ値は、計数制御部72から制御ユニット190に送出される。この積算値データには、今回、カウントされたメダル枚数の他に、それまでにメダル貸出機111から貸し出された枚数分だけストックバリア62から排出されたメダルMaの枚数も含まれている。そのため、制御ユニット190では、計数制御部72から送出された積算値データをステップS213により取得し、続くステップS211により当該積算値データから、ステップS227により記憶されている最新の合計戻し枚数データを減算することにより(精算枚数演算処理)、精算枚数を算出する。
ステップS214で算出された精算枚数は、続くステップS215により計数制御部72に送出される制御コマンドによってLED表示器75に表示される。この場合、例えば、LED表示器75は、緑色や青色等の精算時の発光色で精算枚数を表示する。また、ステップS215では、このような精算枚数のデータを図略の遊技システムのコンピュータに出力する。これにより、当該遊技システムのコンピュータは、精算枚数データを用いて所定の情報処理を行う。
一方、カウントされた計数後のメダルMbは、計数機71から放出されると、回収経路部177を介してジョイント部186の接続部187を通過した後、メダルシューター130の開口部37aから回収シューター35内に取り込まれる。その後、当該メダルMbは、回収シューター35の複数の傾斜パネル39bにより落下速度が減速されて回収シューター35の下端からメダル回収路15内に入る。メダル回収路15内に入ったメダルMbは、図略のコンベアにより島端等に設けられているメダル洗浄機に送られて洗浄される。本システムにおいて計数後のメダルMbが回収シューター35からメダル回収路15に回収されている状態が図30に表されている。
なお、第2実施形態の本システムにおいてメダルリフト20によりメダルMaを搬送している状態は図27に表されている通りであり、メダルシューター130が戻しシューター31を備えていない点を除いて、第1実施形態の本システムとほぼ同様である。また、第2実施形態の本システムにおいて搬送途中にストックバリア62内のメダルMaが満杯になった状態は図28に表されている通りである。これについても、メダルシューター130が戻しシューター31を備えていない点を除いて、第1実施形態の本システムとほぼ同様である。
このように第2実施形態の本システムは、計数ユニット170により計数された計数後のメダルMbを遊技者が受け取る指示を受け付け可能な戻しスイッチ98aと、戻しスイッチ98aが受け付けた指示の情報をスロットマシン10に隣接するメダル貸出機111に出力する制御ユニット190と、を備える。そして、計数後のメダルMbを遊技者が受け取ることに代えて、遊技者が受け取る予定数のメダルMcをメダル貸出機111から遊技者に新たに貸し出す。これにより、戻しスイッチ98aにより計数後のメダルMbを遊技者が受け取る指示を制御ユニット190が受け付けた場合には、制御ユニット190により当該指示の情報を隣のメダル貸出機111に出力して、遊技者が受け取る予定数のメダルMcが当該メダル貸出機111から遊技者に新たに貸し出される。そのため、第1実施形態の本システムのように、戻しシューター31やセレクター78および切替アクチュエーター97bを備える必要がないので、機械的な構成が簡素になり、部品点数も減る。したがって、故障率の低下により保守整備のコストを低減したり、製品コストを削減したりすることができる。
なお、上述した各実施形態では、計数部として、積算計数タイプの計数機71を用いたが、遊技媒体を計数可能なものであれば、例えば、逐次集計タイプの計数機を用いても良い。逐次集計タイプの計数機とは、例えば、メダルを識別し得るセンサーにより(またはセンサー信号に基づいて)カウントされるカウンタ値をディスク(ホッパーディスク)が駆動される度毎にリセットするタイプの計数機である。そのため、例えば、20枚のメダルをカウントすると計数値は「20」になり、その後に30枚のメダルをカウントすると計数値は「30」になる。この場合の合計値「50」は出力されない点が積算計数タイプの計数機71と異なる。
このため、計数部として、逐次集計タイプの計数機を用いる場合には、第1実施形態においては、逐次集計タイプの計数機の計数制御部から、ステップS206により取得した戻し枚数データを、ステップS208によりメモリ92に記憶する際にそれまでに記憶した戻し枚数に加算(積算)してこれまでに戻した合計戻し枚数を算出したうえで合計戻し枚数のデータをメモリ92に記憶する。また、ステップS207によりLED表示器75に表示させる戻し枚数は、ステップS206により取得した戻し枚数データまたは合計戻し枚数のデータに基づいて得たものを用いることで、上述したような計数機71を用いた構成と同様の作用および効果を得ることができる。
また、第2実施形態においては、メダル貸出機111に貸し出した枚数(貸し出し枚数)のデータを、ステップS227によりメモリ92に記憶する際にそれまでに記憶した戻し枚数に加算(積算)してこれまでに戻した合計戻し枚数を算出したうえで合計戻し枚数のデータをメモリ92に記憶する。また、ステップS225によりLED表示器75に表示させる戻し枚数は、貸し出し枚数のデータまたは合計戻し枚数のデータに基づいて得たものを用いることで、上述したような計数機71を用いた構成と同様の作用および効果を得ることができる。
なお、上述した各実施形態では、遊技機の一例として、遊技者がメダルを獲得することのできるスロットマシン10を挙げて説明したが、遊技媒体を獲得し得る遊技機であれば、例えば、遊技者がパチンコ玉を(遊技球)を獲得することのできるパチンコ機にも、本発明を適用することが可能である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲等に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。