JP6885519B2 - 成形材料用樹脂組成物、成形体および構造体 - Google Patents
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Description
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
(C)硬化促進剤と、
を含む、成形材料用樹脂組成物であって、
前記成分(C)はイミダゾール系硬化促進剤を含み、
25〜200℃を5℃/分の条件で当該成形材料用樹脂組成物の示差走査熱量測定をおこなったとき、
発熱開始温度が70℃以上90℃以下であり、
最高発熱温度が90℃以上130℃未満であって、
当該成形材料用樹脂組成物が、前記成分(C)を含むコアの外側に、前記成分(A)および(B)を含むシェルを備えたコアシェル粒子である、成形材料用樹脂組成物が提供される。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)硬化促進剤
そして、樹脂組成物の示差走査熱量測定を25〜200℃を5℃/分の条件でおこなったとき、発熱開始温度が70℃以上90℃以下であり、最高発熱温度が90℃以上130℃未満である。
以下、成形材料用樹脂組成物の各構成をさらに具体的に説明する。
成分(A)は、エポキシ樹脂である。成分(A)として、成形材料用のエポキシ樹脂組成物の分野で公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は限定されない。
樹脂組成物の低温硬化性を向上する観点から、成分(A)は、好ましくはオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む。
成分(B)は、硬化剤である。成分(B)は、成分(A)のエポキシ樹脂と反応して、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば限定されず、たとえば成形材料用のエポキシ樹脂組成物の分野で公知の硬化剤を用いることができる。
また、樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、樹脂組成物の硬化特性を好ましいものとする観点から、樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは22質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは17質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
成分(C)は、硬化促進剤である。成分(C)は、具体的には、エポキシ樹脂と硬化剤との架橋反応を促進させるものであればよく、エポキシ樹脂組成物に使用されるものを用いることができる。
イミダゾール系硬化促進剤の具体例として、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
これらの中でも、低温硬化性と充填性の向上の観点から、成分(C)が、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、および2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、2−フェニルイミダゾールおよび2−メチルイミダゾールの1つ以上を含む。
また、低温硬化性と充填性のバランスを向上する観点から、イミダゾール系硬化促進剤の官能基は、たとえば、3個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
たとえば、樹脂組成物は、好ましくは(D)無機充填材をさらに含む。
成分(D)の無機充填材の具体例として、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の製造安定性・歩留まりを高めること、および樹脂組成物の成形時の充填性・体積抵抗率など信頼性に関与する樹脂特性向上の観点から、シリカが好ましく、溶融球状シリカがより好ましい。
成分(D)の平均粒径は、限定されないが、樹脂組成物の製造安定性を高める観点、および、樹脂組成物を半導体封止材として使用するときに、金型キャビティ内での半導体素子周辺への充填性を高める観点から、たとえば1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。
樹脂組成物中のこれら各成分の量は、成分(A)および(B)の合計量を100質量部としたとき、それぞれ、0.1〜10質量部程度の量とすることができる。
本実施形態における樹脂組成物は、示差走査熱量測定において、昇温速度5℃/分の条件25℃から200℃まで昇温させたとき、発熱開始温度が70℃以上90℃以下であり、最高発熱温度が90℃以上130℃未満である。
ここで、樹脂組成物の発熱開始温度および最高発熱温度は、示差走査熱量計を用いて上述の条件で樹脂組成物を測定して得られるDSC曲線から求めることができる。
また、低温硬化性を向上する観点から、樹脂組成物の発熱開始温度は90℃以下であり、好ましくは89℃以下、より好ましくは88℃以下であり、また、81℃以下であることも好ましい。
ここで、発熱開始温度とは、60℃における発熱量高さH1と最高発熱温度における発熱量高さHmaxとの差をΔH1とし、発熱量高さH1を基準にしたときに、発熱量高さが、ΔH1の10%に達した時の温度とする。
また、低温硬化性を向上する観点から、樹脂組成物の最高発熱温度は、130℃未満であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは118℃以下、さらに好ましくは115℃以下である。
また、低温成形時の流動性と硬化性との両立の観点、および、保管時の保存性の観点から、DSCにより得られる発熱曲線においてΔHの50%に達したときの温度は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは147℃以下、さらに好ましくは140℃以下、さらにより好ましくは130℃以下、さらにまた好ましくは125℃以下である。
また、同様の観点から、ΔHの50%に達したときの温度のうち、最高発熱温度よりも低温側の温度および高温側の温度が、いずれも、80℃以上150℃以下の範囲にあることが好ましく、80℃以上145℃以下の範囲にあることがより好ましく、90℃以上140℃以下の範囲にあることがさらに好ましい。
また、低温成形時の流動性と硬化性との両立の観点、および、保管時の保存性の観点から、ΔHの50%に達したときの温度のうち最高発熱温度よりも低温側の温度は、たとえば110℃以下であり、好ましくは105℃以下であり、より好ましくは95℃以下であり、また、92℃以下または90℃以下であることも好ましい。
ここで、ΔHの50%に達したときの温度のうち最高発熱温度よりも低温側の温度は、具体的には、発熱開始温度と最高発熱温度との間の温度帯において、ΔHの50%に達したときの温度をいう。
殊に、樹脂組成物の製造方法において、後述する手順で、粒子状の、好ましくはコアシェル粒子状の樹脂組成物を形成することが、DSCにおける発熱開始温度および最高発熱温度を制御する上で重要である。また、これにより、たとえば樹脂組成物の発熱開始温度および最高発熱温度を特定の範囲内とすることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、樹脂組成の制御によって樹脂組成物の硬化特性に影響を与えられていると考えられる。
以下、樹脂組成物の製造方法を説明する。
(溶融混合工程)成分(A)のエポキシ樹脂と成分(B)の硬化剤との溶融混合物(M)を得る工程
(投入工程)溶融混合物(M)、成分(C)の硬化促進剤、成分(D)の無機充填材、および、適宜成分(A)〜(D)以外の成分を、攪拌羽根を備えた攪拌装置に投入する工程
(造粒工程)投入工程の後に、攪拌装置に投入された成分を、攪拌羽根を先端の線速度0.たとえば1m/s以上の速さで駆動させて混合しつつ加熱してたとえば110℃以上とし、成分(C)、(D)および適宜その他の成分を含むコアの外側に溶融混合物(M)を含むシェルを備えたコアシェル粒子を得る工程
以下、上述した各工程、任意に含んでもよい工程などについてさらに具体的に説明する。
溶融混合工程では、成分(A)および(B)を用い、適当な方法によりこれらの溶融混合物(M)を得る。
溶融混合の方法は限定されない。たとえば、(1)まず、成分(A)および(B)を適当な容器、たとえば、加熱釜等の加熱混合できる容器に入れ、(2)次に、それらを加熱混合し、(3)その後、冷却、粉砕工程を経て粉砕物とする3段階の方法で、粉砕物である溶融混合物(M)を得ることができる。得られる粉砕物の形状は、たとえば顆粒状または粒子状である。
また、上述した工程(1)の前に、予備混合をおこなってもよい。
上記(3)の冷却、粉砕工程は、たとえば、上記工程(2)で得られた混合物を40℃以下まで、好ましくは10℃以下まで冷却し、その後、グラニュレーター等の公知の粉砕装置を用いるなどしておこなうことができる。なお、粉砕工程後、粗大粒子や微小すぎる粒子を除いて粒度を揃える工程をおこなってもよく、かかる工程は、たとえば、ふるい等を用いた分級工程とすることができる。
追加で用いることのできる原料としては、たとえば、前述したカップリング剤、離型剤、低応力剤を挙げることができる。これら原料を用いる場合、その量は、成分(A)および(B)の合計量を100質量部としたとき、たとえば0.1〜10質量部程度の量とすることができる。
投入工程では、少なくとも、上述の溶融混合物(M)、成分(C)、(D)および適宜その他の成分を、攪拌羽根を備えた攪拌装置に投入する。
投入工程で使用可能なその他成分の具体例として、前述した着色剤、イオン捕捉剤、難燃剤、酸化防止剤が挙げられる。
後述する造粒工程において減圧する場合があるため、攪拌装置は減圧下での攪拌が可能であることが好ましい。
攪拌装置1は、攪拌羽根2、軸3および槽本体4を備える。また、図示していないが、攪拌羽根2および軸3を回転させるためのモーター;モーターの回転を攪拌に適した回転数に減速するための減速機;密閉状態で攪拌するための蓋;減圧または加圧のための機器;ヒーター、冷却装置、温度計などの温度調節のための機器;その他必要な機器を備えることができる。
投入される成分(D)の量は、投入工程で攪拌装置1に投入される全成分中、好ましくは40〜99.9質量%であり、より好ましくは50〜99.9質量%、さらに好ましくは85〜99.9質量%である。
投入される成分(C)およびその他成分の量は、投入工程で攪拌装置1に投入される全成分中、それぞれ、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
投入工程の後の造粒工程では、投入工程で攪拌装置1に投入された成分を、攪拌羽根2を駆動させて混合しつつ加熱してたとえば110℃以上とする。この温度は、好ましくは110〜180℃、より好ましくは120〜170℃である。温度たとえば110℃以上であることで溶融混合物(M)が適度に軟化し、均一なシェルをコーティングしやすくなる。また、温度がたとえば180℃以下であることで原料の劣化等が抑えられ、最終的に得られるコアシェル粒子およびそれを用いた樹脂組成物の性能をより高めることができる。
ここで、「投入工程で攪拌装置1に投入された成分を110℃以上とする」とは、投入工程で攪拌装置1に投入された成分自体、すなわち最終的には造粒される成分自体が110℃以上になることを意味する。このことは、たとえば、造粒工程を一時中断して攪拌装置1内の内容物の温度を測定することで確認することができる。または、攪拌装置1として覗き窓があるものを用い、その覗き窓から放射温度計で温度測定することで確認してもよい。
攪拌羽根2の先端とは、典型的には、攪拌羽根2が回転したときに、単位時間あたりの移動距離が一番大きい部分のことである。換言すると、攪拌羽根2が回転したときに一番速く動く部分、具体的には一番速い線速度を示す部分と表現することもできる。
図1の攪拌羽根2では、その両端、すなわち、図中右端および左端の部分が「先端」になる。
図2(i)の場合は、形式上、3つの攪拌羽根2があるが、回転半径が一番大きい、図中の一番下の攪拌羽根2の先端が「攪拌羽根2の先端」に該当する。
図2(ii)の場合、図に示された攪拌羽根2には、軸3を基準として左右対称に5つずつの突出部が存在しているが、このうち、一番下の突出部の先端が回転したときに移動距離が一番大きく、「攪拌羽根2の先端」に該当する。
攪拌羽根2の先端の線速度とは、典型的には、槽本体4に対する、攪拌羽根2の先端の相対速度の最大値のことをいう。ここで、槽本体4は通常固定されている。
回転軸が1つである場合には、攪拌羽根2の直径(回転直径)をD(m)、回転数をN(rpm)として、πND/60の式により求められる値が、攪拌羽根2の先端の線速度(m/s)となる。ここで、πは円周率である。
たとえばプラネタリーミキサーのように、攪拌羽根が自転および公転する場合には、上記のような単純な式で羽根先端の線速度を求めることはできないが、自転速度と公転速度とを適切に合成するなどして、攪拌羽根の先端の相対速度の最大値を求めればよい。または、羽根先端の線速度は、計算ではなく実測で求めてもよい。たとえば、材料を入れずに攪拌装置1を駆動させて羽根先端の動きを動画撮影するなどし、その動画を解析することで求めてもよい。
具体的には、クリアランスの大きさは、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1〜8mmである。
減圧は、たとえば、攪拌時の減圧が可能な攪拌装置1を用いることで、減圧下で造粒工程をおこなうことができる。
減圧は、好ましくは、造粒工程の全時間中の少なくとも半分以上の時間でおこなわれることが好ましい。
中でも、成分(D)がシリカである場合、シリカはその性質上、水を吸着しやすいから、減圧(脱気)による水分除去が好ましいと考えられる。
たとえば、投入工程の前に、成分(C)、(D)および適宜その他の成分を加熱して、水分を十分に乾燥させてから投入することが考えられる。また、投入工程の前に、成分(C)、(D)および適宜その他の成分を脱気処理して、付着する水分を低減させてもよい。
ただし、製造工程の簡略化やコスト削減等の観点からは、造粒工程において減圧することで水分を低減させることが好ましい。
また、本実施形態において、粒子状の樹脂組成物の製造方法は、好ましくは、造粒工程の後に、攪拌羽根2を回転させて、攪拌装置内の成分を攪拌しつつ冷却する冷却攪拌工程を含む。これにより、上述の造粒工程で得られたコアシェル粒子の冷却時の凝集や塊状体の形成がよりいっそう抑えられる。
冷却攪拌工程の時間は、限定されず、適宜設定することができる。たとえば、10〜200分であり、好ましくは20〜180分、より好ましくは30〜150分である。
また、造粒工程で得られた粒子が、もし凝集している、たとえば2つ以上のコアシェル粒子がくっついている場合などには、その凝集物を粉砕するための粉砕工程をおこなってもよい。
粉砕の具体的な方法は、限定されないが、たとえば、ハンマーミル等の衝撃式のもの用いておこなうことができる。原料供給速度は1〜1000kg/hの条件とすることができる。
また、粉砕に際しては、振動ボールミル、連続式回転ボールミル、バッチ式ボールミル等のボールミル;湿式ポットミル、遊星ポットミル等のポットミル;ローラーミル等を用いてもよい。
また、最終的に得られるコアシェル粒子の平均粒径は、たとえば3〜60μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜45μmである。
コアシェル粒子の平均粒径は、たとえば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(たとえば、堀場製作所社製の湿式粒度分布測定機LA−950)により体積基準の粒子径分布のデータを取得し、そのデータを処理することで求めることができる。
(i)コアシェル粒子を単独で樹脂組成物として用いること
(ii)コアシェル粒子とその他の成分とに、混合および混練の一方または両方を施し樹脂組成物として用いること
(条件)
TABサイズ35φ、金型温度100℃、測定時間5分、トルクレンジ300kgf・cm、マックスに至ったときのトルク値を100%としたときの、10%の到達時間をT1とする。
本実施形態において、成形体は、上述した本実施形態における樹脂組成物の硬化物からなる。
本実施形態において、構造体は、本実施形態における成形体を有する。すなわち、構造体は、本実施形態における樹脂組成物の硬化物を有する。
構造体は、限定されないが、半導体パッケージ等の他、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)等の表示体付きモジュール;乾電池、コイン電池等の電池付きモジュールまたは装置;プラスチックレンズ複合赤外線センサ、カメラ等が挙げられる。
また、本実施形態において、構造体は、たとえば耐熱性が100℃以下である製品またはその構成部材中に用いることもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
[1]
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
(C)硬化促進剤と、
を含む、成形材料用樹脂組成物であって、
25〜200℃を5℃/分の条件で当該成形材料用樹脂組成物の示差走査熱量測定をおこなったとき、
発熱開始温度が70℃以上90℃以下であり、
最高発熱温度が90℃以上130℃未満である、成形材料用樹脂組成物。
[2]
以下の条件で測定される、25℃、3日間の保存前後におけるマックストルク10%到達時間T1の比が0.85以上1.15以下である、上記[1]に記載の成形材料用樹脂組成物。
(条件)
TABサイズ35φ、金型温度100℃、測定時間5分、トルクレンジ300kgf・cm
[3]
前記示差走査熱量測定により得られる発熱曲線において、前記最高発熱温度における発熱量高さHmaxと前記発熱開始温度における発熱量高さHsとの差であるΔHの50%に達したときの温度のうち、前記最高発熱温度よりも低温側の温度および高温側の温度が、いずれも、80℃以上150℃以下の範囲にある、上記[1]または[2]に記載の成形材料用樹脂組成物。
[4]
前記示差走査熱量測定により得られる発熱曲線において、前記最高発熱温度における発熱量高さHmaxと前記発熱開始温度における発熱量高さHsとの差であるΔHの50%に達したときの温度のうち前記最高発熱温度よりも低温側の温度が、80℃以上95℃以下である、上記[1]乃至[3]いずれか1つに記載の成形材料用樹脂組成物。
[5]
前記成分(C)が、イミダゾール系硬化促進剤を含む、上記[1]乃至[4]いずれか1つに記載の成形材料用樹脂組成物。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか1つに記載の成形材料用樹脂組成物の硬化物からなる、成形体。
[7]
[6]に記載の成形体を有する、構造体。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、長春人造樹脂社製、CNE−195LL
エポキシ樹脂2:トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製、E−1032H60
エポキシ樹脂3:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬社製、NC3000
無機充填材1:結晶シリカ、森村商事社製、CH−A
無機充填材2:球状アルミナ、デンカ社製、DAM−40K
無機充填材3:シリカ、アドマテックス社製、SC−2500−SQ
無機充填材4:シリカ、デンカ社製、FB−105FC
硬化剤1:フェノールノボラック樹脂、住友ベークライト社製、PR−55617
硬化剤2:フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、日本化薬社製、GPH−65
硬化促進剤1:イミダゾール硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール)、四国化成社製、2PZ−PW
硬化促進剤2:イミダゾール硬化促進剤(2−メチルイミダゾール)、四国化成社製、2MZ−H
硬化促進剤3:触媒(テトラフェニルフォスフォニウム 4,4'−スルフォニルジフェノラート)、住友ベークライト社製、C03−MB
添加剤1:カップリング剤、東レ・ダウコーニング社製、CF4083
添加剤2:製造例1により得られた離型剤
添加剤4:低応力材、東レ・ダウコーニング社製、FZ−3730
添加剤5:離型剤、東亜化成社製、C−WAX
添加剤6:カップリング剤、チッソ社製、GPS−M
以下の方法により、上記添加剤2(離型剤)を得た。
1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−テトラコンテン、1−ペンタコンテン、1−ヘキサコンテン等の混合物と無水マレイン酸との共重合物(三菱化学社製ダイヤカルナ(登録商標)30)300g、ステアリルアルコール(東京化成工業社製)141gを100℃で溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸(東京化成社製)の10%水溶液5gを滴下して160℃で8時間反応させた後、減圧下160℃で2時間反応をおこなうことにより、436gの離型剤、軟化点55℃を得た。
(樹脂組成物の製造)
(実施例1〜4および比較例2)
各例について、表1に記載の成分および配合に基づき、以下の手順でコアシェル状の樹脂組成物を製造した。
表1に示した原料のうち、エポキシ樹脂、硬化剤および添加剤2(離型剤)を加熱釜中に投入し、150℃の熱媒体油により加温した。材料温度が100℃を超えたところで攪拌羽根での攪拌を開始し、また、材料温度が120℃を超えたところで添加剤1(カップリング剤)を添加し、その後5分攪拌した。
攪拌終了後、混合物を別の容器に移し替え、10℃で冷却した。材料温度が20℃以下となるまで冷却し、その後ハンマーミルで粉砕した。
以上により、平均粒径700μmの、溶融混合物の粉砕物を得た。
攪拌装置の槽本体の中に、上記1.で得られた溶融混合物の粉砕物、硬化促進剤、無機充填材、添加剤3(着色剤)および添加剤4(低応力材)を投入した。
攪拌装置としては、クリアランス(攪拌羽根の先端と槽本体との距離)が3.0mmであるものを用いた。この攪拌装置は、攪拌のためのモーターや速度調整器、密閉状態で攪拌するための蓋、減圧の為のポンプ、温度調節のためのヒーター、覗き窓などを備えていた。
上記2.で槽本体内に投入した成分を、先端の線速度が1.0m/sとなるように攪拌羽根を回転させて混ぜつつ、攪拌装置が備えるヒーターにより加熱した。槽本体内の内容物の温度が120℃となるように維持して、30分間、常圧下で、攪拌羽根の回転を続けた。なお、槽本体内の内容物の温度は、攪拌装置が備える覗き窓から放射温度計で確認した。
これにより、無機充填材および添加剤3(着色剤)を含むコアの外側に、溶融混合物を含むシェル(平均厚さ0.1〜10μm)を備えたコアシェル粒子を造粒した。
上記3.の工程後、ヒーターの加熱を弱めたうえで、先端の線速度が1.0m/sとなるように攪拌羽根を回転させて、コアシェル粒子の温度が45℃以下になるまで120分冷却した。
コアシェル粒子の一部凝集が確認された場合には、上記4.で冷却されたコアシェル粒子をハンマーミルに投入して処理した。
以上の工程により、各実施例における樹脂組成物を得た。
まず、表1に従い配合された各原料を常温でミキサーを用いて混合した後、70〜100℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕することにより、粉粒状の樹脂組成物を得た。
各例で得られた樹脂組成物の熱特性をDSCにより測定した。
示差走査熱量計(SII製、DSC7020)を用い、窒素気流下で、昇温速度を5℃/分で25℃から200℃の温度範囲条件にて、10mgの樹脂組成物について測定した。60℃における発熱量高さH1と最高発熱温度における発熱量高さHmaxとの差をΔH1とし、発熱量高さH1を基準にしたときに発熱量高さが、ΔH1の10%に達した時の温度を、発熱開始温度とした。発熱ピークは、ΔH1の30%を超えるものとした。
各例で得られた樹脂組成物について、キュラストメーター(エー・アンド・デイ社製、キュラストメーターMODEL7)を用い、TABサイズ35φ、金型温度100℃、測定時間5分、トルクレンジ300kgf・cmの条件にて、樹脂組成物のトルク値を経時的に測定し、測定開始から、マックストルク10%到達時間T1(s)を求めた。
測定は、25℃、3日間の保存前後におこない、保存前後の上記T1の比を算出した。
各例で得られた樹脂組成物の低温での硬化特性を以下の方法および基準で評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
(スパイラルフロー)
各実施例で得られた樹脂組成物のスパイラルフロー測定をおこなった。低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、KTS−30)にて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度100℃、測定時間5分とし、パウダー状態で樹脂組成物を投入し、流動長(cm)の測定をおこなった。
比較例1については、金型温度100℃では、測定時間5分で硬化不可のため測定をおこなっておらず、金型温度を175℃とし、上述の方法に準じて測定した結果、140cmであった。
比較例2については、金型温度100℃では、測定時間5分で硬化不可のため測定をおこなっておらず、金型温度を120℃とし、上述の方法に準じて測定した結果、15cmであった。
成形物成形による測定にて、各例で得られた樹脂組成物について、金型温度100℃、測定時間5分で樹脂組成物を硬化し成形体を得た後、25℃の雰囲気下、JIS K6911に準拠した方法にて、三点曲げ試験を実施した。各実施例の硬化物が比較例1の硬化物と比較して低温で成形した際にも充分な曲げ強度(MPa)および弾性率(MPa)を有するか評価した。
ここで、比較例1の硬化物の評価は以下の方法でおこなった。すなわち、成形物成形による測定にて得られた樹脂組成物について、金型温度175℃、測定時間3分で樹脂組成物を硬化し成形体を得た後、25℃の雰囲気下、JIS K6911に準拠した方法にて、三点曲げ試験を実施し、比較例1の樹脂組成物の硬化物の曲げ強度(MPa)および弾性率(MPa)を評価した。結果は、曲げ強度165MPa、弾性率17500MPaであった。
比較例2については、成形物成形による測定にて得られた樹脂組成物について、金型温度120℃、測定時間3分で樹脂組成物を硬化し成形体を得た後、25℃の雰囲気下、JIS K6911に準拠した方法にて、三点曲げ試験を実施し、比較例2の樹脂組成物の硬化物の曲げ強度(MPa)および弾性率(MPa)を評価した。結果は、曲げ強度105MPa、弾性率19000MPaであった。
2 攪拌羽根
3 軸
4 槽本体
10 半導体装置
11 半導体素子
12 ダイボンド材硬化体
13 ダイパッド
14 ボンディングワイヤ
15 リードフレーム
16 成形体
Claims (9)
- (A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
(C)硬化促進剤と、
を含む、成形材料用樹脂組成物であって、
前記成分(C)はイミダゾール系硬化促進剤を含み、
25〜200℃を5℃/分の条件で当該成形材料用樹脂組成物の示差走査熱量測定をおこなったとき、
発熱開始温度が70℃以上90℃以下であり、
最高発熱温度が90℃以上130℃未満であって、
当該成形材料用樹脂組成物が、前記成分(C)を含むコアの外側に、前記成分(A)および(B)を含むシェルを備えたコアシェル粒子である、成形材料用樹脂組成物。 - 以下の条件で測定される、25℃、3日間の保存前後におけるキュラストトルクのマックストルク10%到達時間T1の比が0.85以上1.15以下である、請求項1に記載の成形材料用樹脂組成物。
(条件)
TABサイズ35φ、金型温度100℃、測定時間5分、トルクレンジ300kgf・cm - 前記示差走査熱量測定により得られる発熱曲線において、前記最高発熱温度における発熱量高さHmaxと前記発熱開始温度における発熱量高さHsとの差であるΔHの50%に達したときの温度のうち、前記最高発熱温度よりも低温側の温度および高温側の温度が、いずれも、80℃以上150℃以下の範囲にある、請求項1または2に記載の成形材料用樹脂組成物。
- 前記示差走査熱量測定により得られる発熱曲線において、前記最高発熱温度における発熱量高さHmaxと前記発熱開始温度における発熱量高さHsとの差であるΔHの50%に達したときの温度のうち前記最高発熱温度よりも低温側の温度が、80℃以上95℃以下である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の成形材料用樹脂組成物。
- 当該成形材料用樹脂組成物の平均粒径が3〜60μmである、
請求項1乃至4いずれか1項に記載の成形材料用樹脂組成物。 - 当該成形材料用樹脂組成物の前記コアの平均粒径が2〜55μmである、
請求項1乃至5いずれか1項に記載の成形材料用樹脂組成物。 - 当該成形材料用樹脂組成物の前記シェルの厚みが0.1〜10μmである、
請求項1乃至6いずれか1項に記載の成形材料用樹脂組成物。 - 請求項1乃至7いずれか1項に記載の成形材料用樹脂組成物の硬化物からなる、成形体。
- 請求項8に記載の成形体を有する、構造体。
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