以下、本発明に係る遊技機の第一の実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、夫々、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
(1.パチンコ機1の機械的構成)
図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48が夫々設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
センター飾り8は、表示画面28、可動体31等を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の上部の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。表示画面28は、例えば、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄を変動させる図柄変動を表示した後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示する報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。可動体31は、表示画面28の上方に設けられている。可動体31は、可動部を動作させることで各種演出を行う。
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、第二大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、普通図柄作動ゲート12が設けられている。普通図柄作動ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15の左斜め下方には、第一大入賞口16が設けられている。第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、夫々開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の夫々に入賞することができる。第二大入賞口17の内部には、特定領域17A、非特定領域(図示せず)及び可動片(図示せず)が設けられている。特定領域17A及び非特定領域は、第二大入賞口17に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。可動片は、第二大入賞口17の内部において、ソレノイド(図示せず)によって電気的に動作する部材である。第二大入賞口17に入賞した遊技球は、可動片の動作に応じて特定領域17A及び非特定領域の何れかを通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の電飾部材、入賞口、風車及び遊技くぎ等が設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口の何れにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、遊技盤2の下部に設けられたアウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、夫々1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄及び第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LED及び第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である特別図柄保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通図柄保留球数を表示する。
パチンコ機1における遊技の流れについて概略的に説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり及びはずれの何れであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において大当たりであると判定されると、第一大入賞口16の開閉部材及び第二大入賞口17の開閉部材が所定の順で所定時間開放状態にされる大当たり遊技が実行される。1回の大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材及び第二大入賞口17の開閉部材が開放状態にされる回数の合計を、以下、「ラウンド数」という。
パチンコ機1は、非確率変動状態及び確率変動状態の何れかを生起させる。確率変動状態とは、大当たり判定において大当たりと判定される確率が通常よりも高くなる遊技状態である。例えば、非確率変動状態では大当たり判定において大当たりと判定される大当たり確率は約1/300であるが、確率変動状態では大当たり判定において大当たりと判定される大当たり確率は約1/60である。本実施形態のパチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が第二大入賞口17内の特定領域17Aを通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。生起された確率変動状態は、大当たり遊技の終了後に行われた大当たり判定の回数(以下、「判定回数」という。)が所定の回数(本実施形態では、100回)に達することで、いわゆる回数切り確変機能の作動によって終了する。
なお、確率変動状態の終了の条件は、上記の例に限られない。パチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に確率変動状態を生起し、確率変動状態において、転落抽せんに当せんすることで確率変動状態を終了してもよい。転落抽せんとは、確率変動状態において、大当たり判定毎に、大当たり判定に先だって確率変動状態から非確率変動状態へ転落するか否かを決定するための抽せんである。また、パチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に確率変動状態を生起し、次に大当たりと判定された場合に確率変動状態を終了させる、所謂ループタイプの遊技機であってもよい。
普通図柄作動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が所定時間開放状態にされる普通当たり遊技が実行される。第二始動口15へ遊技球が入賞すると、第二大当り判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、上記と同様の大当たり遊技が実行される。なお、本実施形態では、第一大入賞口16がセンター飾り8の右下方に設けられている(図2参照)。また、閉鎖された第一大入賞口16の上を流下する遊技球が、第二大入賞口17に向けて流下しやすくなるように、第一大入賞口16及び第二大入賞口17が配置されている。よって、大当たり遊技中は、右打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる。
パチンコ機1は、第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる割合が通常の割合である遊技状態である非時短状態と、非時短状態よりも開閉部材が開放状態にされる割合が高くなる遊技状態である時短状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。具体的には、時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では99/100)は、非時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では4/100)よりも高い。また、普通当たり遊技中の第二始動口15の開閉部材の最大開放時間は、非時短状態(0.2秒)よりも時短状態(4.2秒)の方が長い。更に、普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。当たりを示す普通図柄が確定表示されると、第二始動口15の開閉部材が開放状態になる。この結果、時短状態には、第一始動口14よりも第二始動口15に容易に遊技球を入賞させることができる。よって、時短状態中は、右打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる。一方、非時短状態においては、第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる割合が時短状態よりも低くなるので、遊技者は、第二始動口15よりも第一始動口14に容易に遊技球を入賞させることができる。よって、非時短状態中は、左打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる。
パチンコ機1は、これら確率変動状態、非確率変動状態、時短状態及び非時短状態の複数の遊技状態を組み合わせて、複数種類の遊技状態を生起できる。本実施形態の例では、大当たり遊技の終了後に必ず時短状態が生起される。また、大当たり遊技の終了後に、確率変動状態が生起される場合と生起されない場合とがある。従って、大当たり遊技の終了後に、確率変動状態と時短状態との組合せによる「確率変動時短状態」、及び非確率変動状態と時短状態との組合せによる「非確率変動時短状態」の何れかが生起される。また、パチンコ機1は、確率変動状態及び時短状態の何れも生起されていない遊技状態である「通常状態」も備える。なお、パチンコ機1は、遊技状態によらず、左打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利である遊技機であってもよい。
(2.パチンコ機1の電気的構成)
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ73及び第二始動口スイッチ74に接続している。出力ポート55は、図示しない遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ73は、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ74は、第二始動口15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、可動体31及び電飾基板34に接続している。電飾基板34は、例えばLEDを搭載しており、前述の各種の電飾部材の内部に設けられている。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、可動体31による各種演出動作及び電飾基板34の発光動作等を制御する。
演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って画像表示装置27を制御する。画像表示装置27は、その前面側に表示画面28(図1、図2参照)を備える。CGROM432は、表示画面28における画像表示に必要な画像データ等を記憶する。図示しないが、CGROM432には、後述の図柄画像101(図12参照)を表示するための画像データ(図柄画像データ)を記憶する図柄画像記憶エリアと、後述の識別画像102(図12参照)を表示するための画像データ(識別画像データ)を記憶する識別画像記憶エリアとが設けられている。図柄画像データは、図柄画像101の静止画を表示するための静止画データ、及び図柄画像101の表示態様が経時的に変化する演出動作を表示するための動画データを含む。同様に、識別画像データは、識別画像102の静止画を表示するための静止画データ、及び識別画像102の表示態様が経時的に変化する演出動作を表示するための動画データを含む。
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、可動片ソレノイド72、普通図柄作動スイッチ75、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77、特定領域スイッチ78、非特定領域スイッチ79及び図柄表示部24に接続している。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、大当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材を開閉する。可動片ソレノイド72は、大当たり遊技の特定のラウンドにおいて第二大入賞口17内の可動片(図示せず)を動作する。普通図柄作動スイッチ75は、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に入賞した遊技球を検出する。特定領域スイッチ78は、特定領域17Aを通過した遊技球を検出する。非特定領域スイッチ79は、非特定領域を通過した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第二大当たり関係情報記憶エリアの構成は、第一大当たり関係情報記憶エリアの構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。第一大当たり関係情報記憶エリア及び第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図8から図10参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第一始動口14への入賞による第一保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。第一保留球数とは、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、最大第一保留球数は「4」である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理が終了すると、次に番号の小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理とは、例えば、大当たり判定結果を報知する報知演出、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技に関する処理である。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されている夫々の乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
パチンコ機1において、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかの変動開始に同期して、演出図柄の変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄又は第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄による他、表示画面28、可動体31、電飾部材、スピーカ48等によっても、変動パターンと同期した報知演出を実行する。
第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図8から図10参照)において使用される。第二大当たり関係情報記憶エリアには、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、複数の記憶エリアが設けられている。第二始動口15に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第二始動口15への入賞による第二保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。第二保留球数とは、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、最大第二保留球数は「4」である。
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一特別図柄決定乱数数及び第二特別図柄決定乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、特別図柄決定乱数ともいう。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第一特別図柄と、第二大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄及び第二特別図柄は、夫々複数の大当たり種別の何れかに分類される。特別図柄決定テーブルには、複数の大当たり種別には、特別図柄決定乱数の値(0〜99)が対応付けられている。
第一特別図柄の大当たり種別は、「16R長開放」、「8R長開放A」、「8R長開放B」、「16R短開放」、「8R短開放」の5種類である。第二特別図柄の大当たり種別は、「16R長開放」の1種類である。「16R」及び「8R」は、夫々の大当たり種別に対応付けられたラウンド数を示す。ラウンド数とは、大当たりラウンドの合計数である。大当たりラウンドとは、大当たり遊技を構成する一単位であり、1回の大当たりラウンド毎に、第一大入賞口16又は第二大入賞口17が所定時間で1回又は複数回開放する。以下では、ラウンド数を「R」と示すことがある。
本実施形態では、何れの大当たり種別においても、1Rから7Rでは、第一大入賞口16が最大29秒の開放を1回行う。8Rでは、第二大入賞口17が最大13秒又は最大0.3秒の開放を1回行う。8Rにおける第二大入賞口17の最大開放時間が29秒である大当たり種別は、「長開放」と分類される。8Rにおける第二大入賞口17の最大開放時間が0.3秒である大当たり種別は、「短開放」と分類される。本実施形態における大当たり種別は、大当たり遊技のラウンド数と、8Rにおける第二大入賞口17の最大開放時間に応じて分類される。ラウンド数が16Rである大当たり種別では、9Rから16Rでは、第一大入賞口16が最大29秒の開放を1回行う。
以下では、第一大入賞口16が最大29秒開放する大当たりラウンドを「通常ラウンド」、第二大入賞口17が最大13秒又は最大0.3秒開放する大当たりラウンドを「特別ラウンド」ともいう。前述のように、特定領域17Aは、第二大入賞口17に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。このため、通常ラウンドは、特定領域17Aを遊技球が通過不能な大当たりラウンドである。また、特別ラウンドは、特定領域17Aを遊技球が通過する可能性のある大当たりラウンドである。本実施形態では、何れの大当たり種別でも、通常ラウンドが7回連続して実行された後、特別ラウンドが1回行われる。大当たり種別が「8R」の場合、その後大当たり遊技が終了する。すなわち、大当たり種別が「8R」の場合、最終ラウンドが特別ラウンドである。大当たり種別が「16R」の場合、8R目に特別ラウンドが実行された後に、更に通常ラウンドが8回連続して実行される。
なお、「8R長開放A」及び「8R長開放B」は、「8R長開放B」は、ラウンド数が8Rであって「長開放」に分類される大当たり種別のうち、後述する復活演出が実行されない大当たり種別である。「8R長開放B」は、ラウンド数が8Rであって「長開放」に分類される大当たり種別のうち、復活演出が実行される大当たり種別である。
大当たり種別が「短開放」の場合、大当たり種別が「長開放」の場合に比べて、8Rにおいて第二大入賞口17に遊技球が入賞し難くなる。本実施形態では、第二大入賞口17に入賞した遊技球が特定領域17Aを通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。大当たり種別が「長開放」の場合には、「短開放」の場合よりも第二大入賞口17に多くの遊技球が入賞しやすいので、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起されやすくなる。なお、本実施形態では、大当たり種別が「短開放」の場合には、第二大入賞口17に遊技球がほとんど入賞できない。本実施形態では、大当たり種別が「長開放」の場合、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される割合がほぼ100%であるのに対し、大当たり種別が「短開放」の場合、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される割合がほぼ0%である。
第一特別図柄の大当たり種別の割合は、「16R長開放」が35%、「8R長開放A」が30%、「8R長開放B」が5%、「16R短開放」が15%、「8R短開放」が15%である。すなわち、第一特別図柄の大当たり種別の割合は、「長開放」が70%、「短開放」が30%とされている。このため、第一大当たり判定が実行されて大当たりの判定結果が得られた場合、約70%の確率で、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される。一方、第二特別図柄の大当たり種別の割合は、「16R長開放」が100%であるので、第二大当たり判定が実行されて大当たりの判定結果が得られた場合、約100%の確率で、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される。
図6を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定が第一大当たり判定及び第二大当り判定の何れであるか、大当たり判定時の遊技状態(本実施形態では時短状態又は非時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり又ははずれ)に応じて、複数のテーブルを設けている。夫々のテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。第一大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数と共に取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
図6に示すように、非確率変動状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。従って、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。
なお、詳細は省略するが、変動パターン決定テーブルにおいて、第二大当り判定についても、遊技状態に応じて複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28及びスピーカ48等を制御する。
(3.主基板41で実行される処理動作)
図7から図11を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図7参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
図7に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、メイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17、特定領域17A、非特定領域、その他入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)特別電動役物処理では、特別図柄決定テーブル(図5参照)に基づいて決定された大当たり種別に基づいて、大当たり遊技の動作(主に第一大入賞口16及び第二大入賞口17の各開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。また、特別電動役物処理では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したか否かに基づいて、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理が行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる(図8から図11参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態中に普通当たりと判定された場合、開閉部材を、非時短状態中よりも長く開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ75が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、夫々の確率で判定される。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)及び情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示せず)に各種の情報が出力される。
図8から図10を参照して、特別図柄処理(S14、図7参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確率変動フラグ、時短フラグ等が記憶されている。大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中であるか否かを示すフラグであり、大当たり遊技状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技状態中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。
特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れか一方が変動している場合(変動中)に「1」、何れか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、何れも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確率変動フラグは、確率変動状態中であるか否かを示すフラグであり、確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。時短フラグは、時短状態中であるか否かを示すフラグであり、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。
図8に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているかが判断される(S41)。第一始動口14に設けられた第一始動口スイッチ73が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図7参照)において、第一始動口スイッチ73に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。第一始動口14に遊技球が入賞していれば(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるかが判断される(S42)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」であれば(S42:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。
第一保留球数が「4」でない場合(S42:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S43)。次いで、各種乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図5参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S45)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が、夫々RAM52に記憶される。その後、処理はS51の判断へ移行する。
次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているかが判断される(S51)。第二始動口15に設けられた第二始動口スイッチ74が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図7参照)において、第二始動口スイッチ74に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S51:NO)、処理はS61(図9参照)の判断へ移行する。第二始動口15に遊技球が入賞していれば(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるかが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」であれば(S52:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。
第二保留球数が「4」でない場合(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S53)。次いで、各種乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示せず)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S55)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり判定カウンタの値(第二大当たり乱数)、第二特別図柄決定カウンタの値(第二特別図柄決定乱数)、第二変動パターン決定カウンタの値(第二変動パターン決定乱数)が夫々記憶される。
次いで、図9に示すように、大当たり遊技状態であるかが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、大当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であるかが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、何れも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが停止状態中であるかが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、何れも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図10参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図10に示すように、まず、第二保留球数が「1」以上であるかが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」以上である場合には(S71:YES)、第二大当り判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留球数が「0」である場合には(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるかが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」であれば(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
第一保留球数が「1」以上である場合には(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。次いで、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S75)。
次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第一大当たり判定が行われる(S76)。S76では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、前述の低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが参照されて、S75でシフトされた判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、第一大当たり判定の結果が大当たりであるかが判断される(S81)。第一大当たり判定の結果がはずれの場合(S81:NO)、はずれであることを示す所定の第一特別図柄が決定されて(S83)、処理はS111へ移行する。第一大当たり判定の結果が大当たりの場合(S81:YES)、大当たりであることを示す第一特別図柄が決定される(S82)。S82の処理では、特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、S75でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。処理はS111へ移行する。
また、第二大当り判定では、まず第二保留球数が「1」減算される(S91)。次いで、第二大当たり関係情報記憶エリアの判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S92)。次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第二大当たり判定が行われる(S93)。S93では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、前述の低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが参照されて、S92でシフトされた判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、第二大当たり判定の結果が大当たりであるかが判断される(S95)。第二大当たり判定の結果がはずれの場合(S95:NO)、はずれであることを示す所定の第二特別図柄が決定されて(S98)、処理はS111へ移行する。一方、第二大当たり判定の結果が大当たりの場合(S95:YES)、大当たりであることを示す第二特別図柄が決定される(S96)。S96の処理では、特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、S92でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。処理はS111へ移行する。
次いで、変動パターン決定処理が行われる(S111)。変動パターン決定処理は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動パターンを決定する処理である。変動パターン決定処理では、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブル(図6参照)のうち、大当たり判定が第一大当たり判定及び第二大当たり判定の何れであるか、大当たり判定時の遊技状態(時短状態又は非時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり又ははずれ)に応じたテーブルが参照されて、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動パターンが決定される。
変動パターンが決定されると、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S112)。変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図7参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された変動パターンに応じて定められている第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S113)。第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S114)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図9に示すS62の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であると判断され(S62:YES)、変動時間が経過したかが判断される(S121)。S113(図10参照)の処理においてセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には、変動時間が経過したと判断され(S121:YES)、RAM52に特別図柄停止コマンドが記憶される(S122)。このコマンドは、コマンド出力処理(S10、図7参照)によって中継基板47及びサブ制御基板58に送信され、第一特別図柄又は第二特別図柄、及び表示画面28の演出図柄の変動停止を指示する。次いで、所定の特別図柄停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S123)。第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S124)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S121の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S121:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S123においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値によって、特別図柄停止表示時間が経過したかが判断される(S126)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、特別図柄停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S126:NO)、処理はメイン処理へ戻る。特別図柄停止表示時間が経過した場合には(S126:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れもが変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S127)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S128)、処理はメイン処理へ戻る。
図11に示すように、遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定の判定結果が大当たりであるかが判断される(S131)。大当たりの場合(S131:YES)、Rカウンタに大当たり種別に対応付けられたラウンド数がセットされる(S132)。Rカウンタは、大当たり遊技において実行するラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。具体的には、大当たり種別が「16R長開放」及び「16R短開放」の何れかの場合には、Rカウンタに「16」が記憶される。大当たり種別が「8R長開放A」、「8R長開放B」及び「8R短開放」の何れかの場合には、Rカウンタに「8」が記憶される。
次いで、判定回数計数カウンタの値が「0」にクリアされる(S133)。大当たり判定回数計数カウンタは、判定回数計数カウンタは、前回の大当たり遊技の終了後から実行された判定回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。次いで、「ON」となっている時短フラグ及び確率変動フラグがあれば、ともに「OFF」となる(S134)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が、確率変動状態及び時短状態から、通常状態へと移行する。
次いで、大当たり遊技が開始することを示す大当たり遊技開始コマンドが、RAM52に記憶される(S135)。大当たり遊技開始コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図7参照)において、サブ制御基板58に送信される。また、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S136)。処理は特別図柄処理(図9参照)へ戻る。
一方、大当たり判定の判定結果がはずれの場合(S131:NO)、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S141)。次いで、判定回数計数カウンタの値が「100」であるかが判断される(S142)。判定回数計数カウンタの値が「100」でない場合(S142:NO)、処理は特別図柄処理(図9参照)へ戻る。
判定回数計数カウンタの値が「100」の場合(S142:YES)、確率変動状態中であるかが判断される(S143)。この判断は、確率変動フラグの状態によって行われる。確率変動フラグが「OFF」の場合(S143:NO)、処理はS145へ移行する。確率変動フラグが「ON」の場合(S143:YES)、確率変動フラグが「OFF」になる(S144)。次いで、時短フラグが「OFF」になり(S145)、処理は特別図柄処理(図9参照)へ戻る。
(4.表示画面28で実行される報知演出の具体例)
図12を参照して、表示画面28で実行される報知演出の演出態様について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、3つの演出図柄(D1図柄、D2図柄、D3図柄)が変動表示された後に、大当たり判定の結果を示すD1〜D3図柄の組合せが停止表示される報知演出(以下、図柄変動演出)を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に確定報知する。
具体的には、D1〜D3図柄は、夫々、変動ラインL1に沿って変動表示される複数種類(例えば9種類)のキャラクタを示す画像である図柄画像101から成る。D1図柄では、変動ラインL1に沿って変動表示された図柄画像101の何れか一つが、表示画面28の左部に設けられた確定表示領域T1に停止表示される。D2図柄では、変動ラインL2に沿って変動表示された図柄画像101の何れか一つが、表示画面28の右部に設けられた確定表示領域T2に停止表示される。D3図柄では、変動ラインL3に沿って変動表示された図柄画像101の何れか一つが、表示画面28の中央部に設けられた確定表示領域T3に停止表示される。報知演出時には、D1〜D3図柄が同時に変動開始された後、D1図柄、D2図柄、D3図柄の順で停止表示される。
本実施形態では、D1〜D3図柄は、何れも同じ組合せの図柄画像101から成る。D1,D2図柄は、互いに同じ表示サイズであり、且つD3図柄よりも若干表示サイズが大きい。確定表示領域T3は、確定表示領域T1,T2の間にあり、且つ確定表示領域T1,T2よりも若干小さい。確定表示領域T1〜T3の何れかに停止表示された図柄画像101には、その図柄画像101に対応する識別情報を示す識別画像102(本例では、数字を示す画像)が重ねて表示される。
本実施形態のパチンコ機1では、背景画像や効果音などの装飾態様が異なる複数の演出モードが設けられている。実行中の演出モードが横変動モードである場合、図12(A)に示すように、報知演出時にD1〜D3図柄が横方向に変動表示される。実行中の演出モードが縦変動モードである場合、図12(B)に示すように、報知演出時にD1〜D3図柄が縦方向に変動表示される。
図12(A)に示す横変動モードでは、変動ラインL1は、表示画面28の略中央部を通るように、表示画面28の右端部から左端部まで左方向に延びる。D1図柄の図柄画像101は、その画像中心が変動ラインL1上を通るように移動する。変動ラインL2も、表示画面28の略中央部を通るように、表示画面28の右端部から左方向に延びる。D2図柄の図柄画像101は、その画像中心が変動ラインL2上を通るように移動する。但し、変動ラインL2の下流側端部(すなわち、左端部)は、確定表示領域T1内の右部にある。つまり、変動ラインL2の全体は、変動ラインL1の一部と重複する。変動ラインL1,L2を含んだ一つの変動ラインを、共通変動ラインL0という。
変動ラインL3は、表示画面28の右端部から左方向に延びる。変動ラインL3は、共通変動ラインL0と交差しないように、共通変動ラインL0よりも若干上側にあり、且つ共通変動ラインL0と略平行に延びる。D3図柄の図柄画像101は、その画像中心が変動ラインL3上を通るように移動する。但し、変動ラインL3は確定表示領域T2を通って左方向に延びる。変動ラインL3の下流側端部(すなわち、左端部)は、確定表示領域T1内の右部にある。
図12(B)に示す縦変動モードでは、変動ラインL1は、表示画面28の上端中央よりも若干右側から、若干左上方に膨らむ円弧上の軌跡で、表示画面28の左下部に向けて延びる。変動ラインL2は、表示画面28の上端中央よりも若干左側から、若干右上方に膨らむ円弧上の軌跡で、表示画面28の右下部に向けて延びる。変動ラインL2は、表示画面28の上端中央から下端中央まで下方に延びる。変動ラインL1〜L3は、確定表示領域T3において互いに交差している。
(5.サブ制御基板58で実行される処理動作)
図13を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、大当たり判定の結果を報知するための報知演出が制御される。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581において実行される。
図13に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S201)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S201:NO)、処理はS204の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S201:YES)、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが、RAM582に記憶される(S202)。次いで、変動パターンに応じて報知演出を制御する報知演出制御処理が実行される(S203)。これにより、表示画面28において図柄変動演出が開始されるが、詳細は後述する。処理はS205の判断へ移行する。
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S204)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S204:NO)、処理はS210の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S204:YES)、大当たり判定の判定結果を示す演出図柄の組合せが確定表示され(S205)、報知演出が終了する。例えば確定表示領域T1〜T3に何れも同じ図柄画像101(及び識別画像102)が確定表示された場合、D1〜D3図柄の組合せは大当たり判定の結果が大当たりであることを示す。
次いで、実行中の演出モードが所定時間以上継続しているか否かが判断される(S206)。所定時間継続していなければ(S206:NO)、処理はS210の判断へ移行する。演出モードが所定時間以上継続している場合(S206:YES)、実行中の演出モードを終了(変更)させるか否かを決定するための終了抽選が、所定の確率で行われる(S207)。終了抽選に当選しなければ(S207:NO)、処理はS210の判断へ移行する。終了抽選に当選すると(S208:YES)、実行していた演出モード以外の演出モードの1つが、次の実行モードとして決定される(S209)。次の実行モードは、所定の規則に従って決定してもよいし、抽選等によって決定してもよい。処理はS210の判断へ移行する。
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S210)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S210:NO)、処理はS201の判断へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S210:YES)、大当たり遊技演出が実行される(S211)。大当たり遊技演出は、大当たり遊技中であることを遊技者に報知するために実行される演出である。処理はS201の判断へ移行する。
(6.報知演出制御処理の詳細説明)
図14から図21を参照して、報知演出制御処理(S203)の詳細を説明する。報知演出では、S202で記憶される変動パターンに基づいて、先述したD1〜D3図柄の変動表示と共に、スピーカ48からの音声出力、各種電飾部材の発光制御、可動体31による演出動作などを実行可能である。以下では説明を簡略化するために、表示画面28におけるD1〜D3図柄の変動表示を中心に説明を行う。
なお、報知演出制御処理(S203)において、演出制御基板43のCPU431は、CGROM432の図柄画像記憶エリアに記憶されている図柄画像データに基づいて、画像表示装置27に図柄画像101を表示させる。CPU431は、CGROM432の識別画像記憶エリアに記憶されている識別画像データに基づいて、画像表示装置27に識別画像102を表示させる。
表示画面28では、図柄画像101及び識別画像102が、後述するように各種の表示態様(例えば、移動、回転、動作、透過性の変更等)で表示される。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、図柄画像データ及び識別画像データに基づいて、図柄画像101及び識別画像102の表示態様を制御する。例えば、複数の図柄画像101の変動表示中に、図柄画像記憶エリアに記憶されている図柄画像データに基づく図柄画像101の演出動作を、識別画像データに基づく識別画像102の表示制御とは独立して、画像表示装置27に実行させる。
(6−1.横変動モードの報知演出制御処理)
図14から図18を参照して、先述の横変動モードで実行される報知演出制御処理(S203)を説明する。また、図12(A)に示す画面例に基づいて、横変動モードの図柄変動演出を具体的に説明する。図12(A)に示す例では、D1〜D3図柄の変動が開始されていないため、図柄画像101が確定表示領域T1〜T3の各々に停止表示され、且つ識別画像102が各図柄画像101に重ねて表示されている。このとき、図柄画像101及び識別画像102は、何れもその背後にある画像が透過表示されないように、透過性が低い表示態様(以下、通常表示態様という。)で表示される。この場合、遊技者は図柄画像101及び識別画像102の背後にある画像(例えば、背景画像の一部)を目視できない。
図14に示す報知演出制御処理では、まず全図柄の初期変動が実行される(S221)。具体的には、図15(A)に示すように、D1〜D3図柄の初期変動として、確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示されている各図柄画像101が回転表示される。各図柄画像101が確定表示領域T1〜T3において回転表示される初動期間内(即ち、S221が開始されてから各図柄画像101が移動開始されるまで期間内)に、各図柄画像101に重ねて表示されている識別画像102(図12参照)が、表示画面28から消去される。更に各図柄画像101は、初動期間中に識別画像102が消去された後に、確定表示領域T1〜T3から変動ラインL1〜L3に沿って左方向に低速移動する。
上記のように図柄画像101が回転移動するような演出動作は、図柄画像101を単に停止又は移動させる表示態様よりも、画像描画に伴うデータ処理負荷が大きい。本実施形態では、図柄画像101の回転表示中に、識別画像102が消去されている。従って、識別画像102を表示するための画像処理能力を、図柄画像101の演出動作を表示するための画像処理に利用できるため、図柄画像101が回転移動するような複雑な演出動作の画像描画を実行できる。
次に、D1図柄の高速変動が開始される(S222)。具体的には、図15(B)に示すように、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101が、変動ラインL1に沿って高速移動される。このとき、図柄画像101は、通常表示態様よりも透過性の高い表示態様(以下、透過表示態様という。)で表示される。この場合、遊技者は図柄画像101の背後にある画像(例えば、背景画像の一部)を目視可能である。また遊技者は、透過表示態様で高速移動する複数種類の図柄画像101を明確には判別できない。更にS222では、D2,D3図柄が表示画面28から消去される。従って、表示画面28では、D1図柄のみが変動ラインL1に沿って透過表示態様で高速移動する。
先述したように、本実施形態では、D1,D2図柄を夫々構成する図柄画像101は互いに組合せ及び表示サイズが共通であり、且つ変動ラインL1は変動ラインL2と重複する。従って、S222において複数種類の図柄画像101が変動ラインL1に沿って高速移動された状態では、遊技者はそれらの図柄画像101がD1,D2図柄の何れであるかを外観上識別困難である。従ってS222では、複数種類の図柄画像101が、実質的に共通変動ラインL0に沿って透過表示態様で高速移動される。即ち、一つの共通変動ラインL0のみで、二つの演出図柄(D1,D2図柄)の高速変動が実行される。
次に、D1図柄の減速変動が開始される(S223)。具体的には、図15(C)に示すように、変動ラインL1(共通変動ラインL0)に沿って高速移動する複数種類の図柄画像101が、徐々に減速すると共に、徐々に透過性が低くなる。更に、変動ラインL1に沿って移動する図柄画像101は、通常表示態様に変化して減速移動する。そして、図16(A)に示すように、変動ラインL1に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T1まで移動する。このとき、表示画面28には、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101のうち、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101のみが表示されている。
なお、この時点では、変動ラインL1における図柄画像101の移動は終了しているが、D1図柄はまだ確定表示されていない。また、図16(B)に示すように、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T1の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。
次に、D2図柄の減速変動が開始される(S224)。具体的には、図16(B)に示すように、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T1まで移動すると、D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101が表示されて、変動ラインL2に沿って透過表示態様で高速移動される。その後、図16(C)に示すように、変動ラインL2に沿って高速移動する複数種類の図柄画像101が、徐々に減速すると共に、徐々に透過性が低くなる。更に変動ラインL2に沿って移動する図柄画像101は、通常表示態様に変化して減速移動する。
次に、D1図柄が確定表示される(S225)。具体的には、図16(C)に示すように、S224によってD2図柄が高速変動されている間に、確定表示領域T1まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D1図柄が確定表示される。
なお、S224の開始後において、変動ラインL2に沿って移動する図柄画像101は、確定表示領域T1に表示されている図柄画像101の背後を通って、図柄画像101と若干重複する境界位置BL(図16(C)参照)まで移動可能である。境界位置BLまで移動した図柄画像101は、表示画面28から消去されるまで、その透過性が急速に低下される。従って、変動ラインL2に沿って移動する図柄画像101は、境界位置BLよりも左側には表示されない。これにより、確定表示領域T1に表示されているD1図柄の図柄画像101と、変動ラインL2に沿って移動するD2図柄の図柄画像101との重複表示が抑制されるため、遊技者がD1,D2図柄を視覚的に混同することを抑制できる。
また、複数種類の図柄画像101が変動ラインL2に沿って通常表示態様で低速移動した後、図17(A)に示すように、変動ラインL2に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T2まで移動する。このとき、表示画面28には、D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101のうち、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101のみが表示されている。この時点では、変動ラインL2における図柄画像101の移動は終了しているが、D2図柄はまだ確定表示されていない。また、図17(B)に示すように、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T2の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。
次に、D3図柄の減速変動が開始される(S226)。具体的には、図17(B)に示すように、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T2まで移動すると、D3図柄を構成する複数種類の図柄画像101が通常表示態様で表示されて、徐々に減速するように変動ラインL3に沿って低速移動される。複数種類の図柄画像101は、確定表示領域T2に表示されている図柄画像101の背後を通って、変動ラインL3に沿って移動する。
本実施形態では、D3図柄がD1,D2図柄よりも表示サイズが小さい。また、変動ラインL3に沿って移動する図柄画像101は、その略全体が確定表示領域T2に表示されている図柄画像101の背後に隠れるように通過する。また、先述のD2図柄と同様に、変動ラインL3に沿って移動する図柄画像101は、境界位置BL(図17(C)参照)まで移動可能である。境界位置BLまで移動した図柄画像101は、表示画面28から消去されるまで、その透過性が急速に低下される。従って、変動ラインL3に沿って移動する図柄画像101は、境界位置BLよりも左側には表示されない。これにより、遊技者がD3図柄をD1,D2図柄と視覚的に混同することを抑制できる。
次に、D2図柄が確定表示される(S227)。具体的には、図17(C)に示すように、S226によってD3図柄が減速移動されている間に、確定表示領域T2まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D2図柄が確定表示される。なお、この時点では、S226で開始されたD3図柄の減速変動が継続されている。
次に、S202(図13参照)で記憶された変動パターンに基づいて、各種演出が制御される(S228)。本例では、S202においてリーチ演出を伴う変動パターンが記憶されているため、D1,D2図柄が同じ図柄画像101で確定表示されるリーチ状態が発生する(図17(C)参照)。そのため、記憶された変動パターンに基づいて、図示しないリーチ演出が実行されるが、詳細は省略する。
最後に、D3図柄が確定表示される(S229)。具体的には、図18(A)に示すように、変動ラインL3に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D3図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T3まで移動する。図18(B)に示すように、D3図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T3の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。その後、図18(C)に示すように、確定表示領域T3まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D3図柄が確定表示される。本例では、D3図柄がD1,D2図柄と異なる図柄画像101で確定表示されたことで、大当たり判定の結果が「はずれ」であると報知される。その後、処理はサブ制御基板処理(図13参照)に戻る。
以上説明した横変動モードの図柄変動演出では、D1,D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101の組合せ及び表示サイズが共通であり、且つ、これらの図柄画像101が変動ラインL1,L2を含む共通変動ラインL0に沿って移動する。詳細には、S222において、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101が、共通変動ラインL0に沿って透過表示態様で高速移動される。遊技者は、共通変動ラインL0に沿って移動する図柄画像101が、D1図柄及びD2図柄の何れであるかを判別困難である。その結果、S222では、共通変動ラインL0における複数種類の図柄画像101の変動表示のみで、変動ラインL1におけるD1図柄の変動表示と、変動ラインL2におけるD2図柄の変動表示とを実行できる。
また、S223及びS225では、共通変動ラインL0に含まれる変動ラインL1に沿って移動する複数種類の図柄画像101の何れがが、確定表示領域T1に夫々停止表示される。S224及びS227では、共通変動ラインL0に含まれる変動ラインL2に沿って移動する複数種類の図柄画像101の何れがが、確定表示領域T1に夫々停止表示される。従って、変動ラインL1におけるD1図柄の変動表示と、変動ラインL2におけるD2図柄の変動表示とを、実質的に同様の表示制御で実現できるため、D1,D2図柄の変動表示に必要な画像データ量及び処理負荷を低減できる。
換言すると上記の処理によって、実質的には、共通変動ラインL0に沿って移動する複数種類の図柄画像101の何れがが、確定表示領域T1,T2に夫々停止表示されることで、D1,D2図柄が確定表示される。これにより、従来のように、D1図柄を構成する複数の図柄画像と、D2図柄を構成する複数の図柄画像とを、互いに重複せずに独立した各変動ラインに沿って変動表示させる場合と比べて、D1,D2図柄の変動表示に必要な画像データ量及び処理負荷を低減できる。
また、変動ラインL3に複数の図柄画像101を表示しない状態で、変動ラインL1,L2の各々に沿って複数の図柄画像101が高速移動される(S222)。即ち、D1,D2図柄の高速変動中は、D3図柄の変動表示が表示画面28に表示されないため、D1〜D3図柄の全てを高速変動させる場合と比べて、図柄変動の処理負荷を大幅に低減できる。
更に、図柄画像101及び識別画像102は別々の画像データに基づいて表示されるため、図柄画像101の表示制御と識別画像102の表示制御とを互いに独立して実行できる。これにより、図柄画像101及び識別画像102の表示態様の自由度が向上すると共に、必要に応じて図柄画像101のみを表示することで、演出図柄の変動表示に伴うデータ処理量を抑制できる。具体的には、移動中の図柄画像101に対して識別画像102を表示しないことで、演出制御基板43の画像描画能力に余裕ができるため、より複雑又は高速な図柄画像101の演出動作を描画することが可能となり、また画像描画に伴うデータ処理を高速化できる。
(6−2.縦変動モードの報知演出制御処理)
図19から図21を参照して、先述の縦変動モードで実行される報知演出制御処理(S203)を説明する。また、図12(B)に示す画面例に基づいて、縦変動モードの図柄変動演出を具体的に説明する。図12(B)に示す例では、D1〜D3図柄の変動が開始されていないため、図柄画像101が確定表示領域T1〜T3の各々に停止表示され、且つ各図柄画像101に重ねて表示されている。このとき、図柄画像101及び識別画像102は、何れも通常表示態様で表示される。
図19に示す報知演出制御処理では、まず全図柄の初期変動が実行される(S241)。具体的には、図20(A)に示すように、D1〜D3図柄の初期変動として、確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示されている各図柄画像101が、所定の動作(例えば、手を挙げる動作)が行うように表示される。各図柄画像101が確定表示領域T1〜T3において所定の動作を行う初動期間内(即ち、S241が開始されてから各図柄画像101が移動開始されるまで期間内)に、各図柄画像101に重ねて表示されている識別画像102(図12参照)が、表示画面28から消去される。
更に、確定表示領域T1に停止表示されていた図柄画像101は、初動期間中に識別画像102が消去された後に、変動ラインL1に沿って徐々に拡大しながら左下方に低速移動した後、表示画面28から消去される。確定表示領域T2に停止表示されていた図柄画像101は、初動期間中に識別画像102が消去された後に、変動ラインL2に沿って徐々に拡大しながら右下方に低速移動した後、表示画面28から消去される。なお、確定表示領域T3に停止表示されていた図柄画像101は、初動期間中に識別画像102が消去された後に、確定表示領域T3から移動することなく透過性が急速に低下されて、表示画面28から消去される。
次に、D1,D2図柄の高速変動が開始される(S242)。具体的には、図20(B)に示すように、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101が、変動ラインL1に沿って透過表示態様で高速移動される。複数種類の図柄画像101は、変動ラインL1に沿って円弧状の軌跡を描きながら、透過表示態様を維持した状態で徐々に拡大表示されて、変動ラインL1の下流側端部まで移動すると消去される。同様に、D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101が、変動ラインL2に沿って透過表示態様で高速移動される。複数種類の図柄画像101は、変動ラインL2に沿って円弧状の軌跡を描きながら、透過表示態様を維持した状態で徐々に拡大表示されて、変動ラインL2の下流側端部まで移動すると消去される。このようにS242では、D3図柄が表示画面28から消去された状態で、D1,D2図柄のみが変動ラインL1,L2に沿って透過表示態様で高速変動される。
次に、D1図柄の減速変動が開始される(S243)。具体的には、図20(C)に示すように、変動ラインL1に沿って高速移動する複数種類の図柄画像101が、徐々に減速すると共に、徐々に透過性が低くなる。更に、変動ラインL1に沿って移動する図柄画像101は、通常表示態様に変化して回転しながら減速移動する。そして、図21(A)に示すように、変動ラインL1に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T1まで移動する。このとき、表示画面28には、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101のうち、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101のみが表示されている。
なお、この時点では、変動ラインL1における図柄画像101の移動は終了しているが、D1図柄はまだ確定表示されていない。また、図21(A)に示すように、D1図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T1の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。
次に、D2図柄の減速変動が開始される(S244)。具体的には、図21(A)に示すように、D1図柄が確定表示される前に、変動ラインL2に沿って高速移動する複数種類の図柄画像101が、徐々に減速すると共に、徐々に透過性が低くなる。更に変動ラインL2に沿って移動する図柄画像101は、通常表示態様に変化して回転しながら減速移動する。
なお、S243,S444において図柄画像101が回転移動するような演出動作は、図柄画像101を単に停止又は移動させる表示態様よりも、画像描画に伴うデータ処理負荷が大きい。本実施形態では、移動中の図柄画像101には、識別画像102が表示画面28に表示されない。従って、識別画像102を表示するための画像処理能力を、図柄画像101の演出動作を表示するための画像処理に利用できるため、図柄画像101が回転移動するような複雑な演出動作の画像描画を実行できる。
次に、D1図柄が確定表示される(S245)。具体的には、図21(B)に示すように、S244によってD2図柄が減速変動されている間に、確定表示領域T1まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D1図柄が確定表示される。
なお、D1図柄が確定表示された後、変動ラインL2に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T2まで移動する。このとき、表示画面28には、D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101のうち、D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101のみが表示されている。この時点では、変動ラインL2における図柄画像101の移動は終了しているが、D2図柄はまだ確定表示されていない。D2図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T2の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。
次に、D3図柄の減速変動が開始される(S246)。具体的には、図21(B)に示すように、D2図柄が確定表示される前に、D3図柄を構成する複数種類の図柄画像101が、通常表示態様で表示された状態で、徐々に減速するように変動ラインL3に沿って低速移動される。
次に、D2図柄が確定表示される(S247)。具体的には、S246によってD3図柄が減速移動されている間に、確定表示領域T2まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D2図柄が確定表示される(図21(C)参照)。なお、この時点では、S246で開始されたD3図柄の減速変動が継続されている。
次に、S202(図13参照)で記憶された変動パターンに基づいて、各種演出が制御される(S248)。本例では、S202においてリーチ演出を伴う変動パターンが記憶されているため、D1,D2図柄において同じ図柄画像101で確定表示されるリーチ状態が発生する(図21(C)参照)。そのため、記憶された変動パターンに基づいて、図示しないリーチ演出が実行されるが、詳細は省略する。
最後に、D3図柄が確定表示される(S249)。具体的には、図21(C)に示すように、変動ラインL3に沿って移動する複数種類の図柄画像101のうち、D3図柄の確定図柄を示す図柄画像101が、表示画面28に最後に現れて確定表示領域T3まで移動する。D3図柄の確定図柄を示す図柄画像101が確定表示領域T3の近傍まで移動すると、その図柄画像101に対応する識別画像102が回転しながら、その図柄画像101の前側に通常表示態様で表示される。その後、確定表示領域T3まで移動した図柄画像101が停止表示され、且つ、識別画像102がその回転を終了して停止表示されることで、D3図柄が確定表示される。本例では、D3図柄がD1,D2図柄と異なる図柄画像101で確定表示されたことで、大当たり判定の結果が「はずれ」であると報知される。その後、処理はサブ制御基板処理(図13参照)に戻る。
以上説明した縦変動モードの図柄変動演出では、縦変動モードの図柄変動演出と同様に、変動ラインL3に複数の図柄画像101を表示しない状態で、変動ラインL1,L2の各々に沿って複数の図柄画像101が高速移動される(S242)。即ち、D1,D2図柄の高速変動中は、D3図柄の変動表示が表示画面28に表示されないため、D1〜D3図柄の全てを高速変動させる場合と比べて、図柄変動の処理負荷を大幅に低減できる。
また、図柄画像101及び識別画像102は別々の画像データに基づいて表示されるため、図柄画像101の表示制御と識別画像102の表示制御とを互いに独立して実行できる。これにより、図柄画像101及び識別画像102の表示態様の自由度が向上すると共に、必要に応じて図柄画像101のみを表示することで、演出図柄の変動表示に伴うデータ処理量を抑制できる。
(7.本実施形態の作用効果の例示)
本実施形態のパチンコ機1は、画像表示装置27、サブ制御基板58、及び演出制御基板43を備える。画像表示装置27は、複数の図柄画像101を表示する表示画面28を有する。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、表示画面28において複数の図柄画像101を変動表示させた後に、複数の図柄画像101の何れかを予め定められた複数の確定表示領域T1〜T3の夫々に停止表示させることで、複数の確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示された図柄画像101の組合せによって遊技結果(例えば、大当たり判定の結果)を報知する。更にパチンコ機1は、上述したように各種の技術的特徴を有し、これらの技術的特徴によって各種の作用効果を奏する。以下では、これらの技術的特徴及び作用効果の一部を例示する。
(A−1)複数の確定表示領域T1〜T3は、表示画面28において互いに異なる位置に配置される、少なくとも確定表示領域T1,T2を含む。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T1,T2を通る共通変動ラインL0に沿って複数の図柄画像101を移動させた後、共通変動ラインL0に沿って移動する複数の図柄画像101の何れかを、確定表示領域T1,T2に夫々停止表示させる(S222〜S225、S227)。
これによれば、D1図柄の変動ラインとD2図柄の変動ラインとを共通化できるので、D1,D2図柄の各変動ラインにおいて図柄画像を別々に変動表示させる場合と比べて、D1,D2図柄の変動表示に必要な画像データ量及び処理負荷を大幅に低減できる。即ち、複数の変動ラインにおける図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(A−2)複数の確定表示領域T1〜T3は、表示画面28において確定表示領域T1,T2と異なる位置に配置される確定表示領域T3を含む。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T3を通る変動ラインL3に沿って複数の図柄画像101を移動させ、且つ、変動ラインL3に沿って移動する複数の図柄画像101の何れかを、確定表示領域T3に停止表示させる。これによれば、複数のD1,D2図柄が共通に変動表示される共通変動ラインL0と、一つのD3図柄のみが変動表示される変動ラインL3とを設けることで、従来にない図柄変動演出を実現できる。
(A−3)サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T1,T2の夫々に図柄画像101を停止表示させた後に、確定表示領域T3に図柄画像101を停止表示させることで、確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示された図柄画像101の組合せによって、遊技結果を報知する。これによれば、共通変動ラインL0に沿って変動表示されるD1,D2図柄は、リーチ状態の発生の有無を報知する役割を有する一方、変動ラインL3に沿って変動表示されるD3図柄は、最終的に遊技結果を確定報知する役割を有する。このように、共通変動ラインL0(D1,D2図柄)の役割と単独の変動ラインL3(D3図柄)の役割を異ならせることで、従来にない図柄変動演出を実現できる。
(A−4)確定表示領域T3は、確定表示領域T1,T2が並ぶ方向(本例では、左右方向)において、確定表示領域T1,T2に挟まれた位置にある。変動ラインL3は、共通変動ラインL0と交差しない位置にある。これによれば、共通変動ラインL0に沿って変動表示される図柄画像101(D1,D2図柄)と、変動ラインL3に沿って変動表示される図柄画像101(D3図柄)とを、遊技者が混同しないように視認性を向上できる。
(A−5)確定表示領域T1,T2は、表示画面28の長手方向(本例では、左右方向)に並んで配置される。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、長手方向と略平行に延びる共通変動ラインL0に沿って、複数の図柄画像101を移動させる。これによれば、共通変動ラインL0の全長をより大きくできるため、共通変動ラインL0に移動する複数の図柄画像101をより大きなサイズで変動表示できる。
(B−1)複数の確定表示領域T1〜T3は、表示画面28において互いに異なる位置に配置される、少なくとも確定表示領域T1,T2を含む。確定表示領域T1は、複数の図柄画像101のうち、確定表示領域T1を通って移動する複数の図柄画像101(以下、第一図柄画像という。)の何れかが停止表示される。確定表示領域T1は、複数の図柄画像101のうち、確定表示領域T2を通って移動する複数の図柄画像101(以下、第二図柄画像という。)の何れかが停止表示される。
サブ制御基板58及び演出制御基板43は、初期変動(S221)と、高速変動(S222)と、終期変動(S223〜S227,S229)とを実行する。初期変動(S221)は、複数の第一図柄画像及び複数の第二図柄画像を、通常表示態様で移動開始させる。高速変動(S222)は、初期変動(S221)の実行後に、複数の第一図柄画像及び複数の第二図柄画像の一方のみを、確定表示領域T1,T2を通る共通変動ラインL0に沿って、通常表示態様よりも透過性が高い透過表示態様で高速移動させる。終期変動(S223〜S227,S229)は、高速変動(S222)の実行後に、確定表示領域T1を通って低速移動する複数の第一図柄画像の何れかを、通常表示態様で確定表示領域T1に停止表示させ、且つ、確定表示領域T2を通って低速移動する複数の第二図柄画像の何れかを、通常表示態様で確定表示領域T2に停止表示させる。上記実施形態では、高速変動(S222)において、複数の第一図柄画像のみが共通変動ラインL0に沿って透過表示態様で高速移動される場合を例示した。
これによれば、高速変動(S222)において、複数の第一図柄画像及び複数の第二図柄画像の一方のみが、共通変動ラインL0に沿って透過表示態様で高速移動される。そのため、遊技者は、共通変動ラインL0に沿って移動する複数の図柄画像101が、複数の第一図柄画像(D1図柄)及び複数の第二図柄画像(D2図柄)の何れであるかを判別困難である。従って、高速変動(S222)では、D1図柄の変動ラインとD2図柄の変動ラインとを共通化できるので、D1,D2図柄の各変動ラインにおいて図柄画像を別々に変動表示させる場合と比べて、D1,D2図柄の変動表示に必要な画像データ量及び処理負荷を大幅に低減できる。即ち、複数の変動ラインにおける図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(B−2)終期変動(S223〜S227,S229)は、D1図柄の減速変動(S223)と、D2図柄の減速変動(S224)とを含む。D1図柄の減速変動(S223)は、高速変動(S222)の実行後に、共通変動ラインL0に沿って複数の第一図柄画像を通常表示態様で低速移動させた後、一つの第一図柄画像のみが表示画面28に表示されるように、当該第一図柄画像を確定表示領域T1に移動させる。D2図柄の減速変動(S224)は、D1図柄の減速変動(S223)の実行後に、共通変動ラインL0に沿って複数の第二図柄画像を通常表示態様で低速移動させた後、一つの第二図柄画像のみが表示画面28に表示されるように、当該第二図柄画像を確定表示領域T2に移動させる。
これによれば、高速変動(S222)の実行後は、D1図柄を構成する複数の第一図柄画像の移動が終了してから、D2図柄を構成する複数の第二図柄画像の移動が開始される。従って、D1図柄(第一図柄画像)の移動表示とD2図柄(第二図柄画像)の移動表示とが重複しないため、D1,D2図柄の変動表示の視認性が高まると共に、共通変動ラインL0における図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(B−3)サブ制御基板58及び演出制御基板43は、複数の図柄画像101を共通変動ラインL0に沿って移動させる場合、複数の図柄画像101を確定表示領域T2及び確定表示領域T1の順に通過する一方向(本例では、左方向)に移動させる。D2図柄の減速変動(S224)は、共通変動ラインL0に沿って一方向に移動する複数の第二図柄画像の各々が境界位置BLに到達した場合、境界位置BLに到達した第二図柄画像を表示画面28から消去させる。境界位置BLは、共通変動ラインL0に沿って一方向に移動する第二図柄画像が、確定表示領域T1まで移動された第一図柄画像と重複する位置である。
これによれば、D2図柄の減速変動時(S224)において、確定表示領域T1に向かって移動する複数の第二図柄画像は、確定表示領域T1まで移動された第一図柄画像と重複する位置で表示画面28から消去される。D2図柄の減速変動時(S224)には、第二図柄画像の移動範囲が共通変動ラインL0から変動ラインL2に短縮化されると共に、第一図柄画像と第二図柄画像との重複表示が抑制される。従って、D1,D2図柄の変動表示の視認性が高まると共に、D2図柄の変動表示制御の処理負荷が軽減される。
(B−4)複数の確定表示領域T1〜T3は、表示画面28において確定表示領域T1,T2と異なる位置に配置される確定表示領域T3を含む。確定表示領域T3は、複数の図柄画像101のうち、確定表示領域T3を通って移動する複数の図柄画像101(以下、第三図柄画像という。)の何れかが停止表示される。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T3を通る変動ラインL3に沿って複数の第三図柄画像を移動させた後、複数の第三図柄画像の何れかを確定表示領域T3に停止表示させる。これによれば、D1,D2図柄が共通に変動表示される共通変動ラインL0と、D3図柄のみが変動表示される変動ラインL3とを設けることで、従来にない図柄変動演出を実現できる。
(B−5)初期変動(S221)は、複数の第三図柄画像を通常表示態様で移動開始させる。高速変動(S222)は、複数の第三図柄画像を表示画面28から消去させる。D3図柄の終期変動(S226,S229)は、変動ラインL3に沿って複数の第三図柄画像を通常表示態様で低速移動させた後、複数の第三図柄画像の何れかを確定表示領域T3に停止表示させる。これによれば、高速変動(S222)の実行中は、D3図柄の変動表示が表示画面28に表示されないので、変動表示制御の処理負荷が軽減される。
(C−1)複数の確定表示領域T1〜T3は、表示画面28において互いに異なる位置に配置される。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、縦変動モードの図柄変動演出において、初期変動(S221)と、高速変動(S222)と、終期変動(S223〜S227,S229)とを実行する。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、横変動モードの図柄変動演出において、初期変動(S241)と、高速変動(S242)と、終期変動(S243〜S247,S249)とを実行する。
初期変動(S221)は、確定表示領域T1を通る変動ラインL1、確定表示領域T2を通る変動ラインL2、及び確定表示領域T3を通る変動ラインL3の各々に沿って、複数の図柄画像101の移動を開始させる。高速変動(S222)は、初期変動(S221)の実行後に、変動ラインL3に複数の図柄画像101を表示しない状態で、変動ラインL1,L2の各々に沿って複数の図柄画像101を高速移動させる。終期変動(S223〜S227,S229)は、高速変動(S222)の実行後に、変動ラインL1に沿って低速移動させた複数の図柄画像101の何れかを確定表示領域T1に停止表示させ、変動ラインL2に沿って低速移動させた複数の図柄画像101の何れかを確定表示領域T2に停止表示させ、変動ラインL3に沿って低速移動させた複数の図柄画像101の何れかを確定表示領域T3に停止表示させる。なお、初期変動(S241)、高速変動(S242)、終期変動(S243〜S247,S249)も同様である。
これによれば、高速変動(S222又はS242)において、変動ラインL3に複数の図柄画像101を表示しない状態で、変動ラインL1,L2の各々に沿って複数の図柄画像101が高速移動される。即ち、D1,D2図柄の高速変動中はD3図柄の変動表示が表示画面28に表示されないため、D1〜D3図柄の全てを高速変動させる場合と比べて、図柄変動の処理負荷を大幅に低減できる。即ち、複数の変動ラインにおける図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(C−2)D3図柄の減速変動(S226)は、少なくとも確定表示領域T1,T2の何れかに図柄画像101が停止表示された後に、変動ラインL3に複数の図柄画像101を表示して低速移動させる。上記実施形態では、D1図柄の確定表示(S225)によって確定表示領域T1に図柄画像101が停止表示された後、D3図柄の減速変動(S226)が開始される場合を例示した。D3図柄の減速変動(S246)も同様である。これによれば、変動ラインL3に複数の図柄画像101が再表示されて低速移動される時点では、少なくともD1図柄の変動表示が終了している。従って、D2,D3図柄の変動表示の視認性が高まると共に、図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(C−3)D1〜D3図柄の確定表示(S225,S227,S229)は、確定表示領域T1,T2の夫々に図柄画像101を停止表示させた後に、確定表示領域T3に図柄画像101を停止表示させることで、確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示された図柄画像101の組合せによって遊技結果を報知する。D1〜D3図柄の確定表示(S245,S247,S249)も同様である。これによれば、高速変動されないD3図柄が、高速変動されるD1,D2図柄よりも後に停止表示されて、遊技結果が報知される。即ち、高速変動されないD3図柄の停止表示によって遊技結果を確定報知することで、従来にない図柄変動演出を実現できる。
(C−4)サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T1〜T3の何れかに停止表示された図柄画像101に対して、当該図柄画像101に対応する識別情報を示す識別画像102を重ねて表示させる一方、変動ラインL1〜L3の何れかに沿って移動中の図柄画像101に対して識別画像102を表示させない。これによれば、停止表示された図柄画像101に識別画像102を重ねて表示することで、遊技者は図柄画像101に対応する識別情報を認識できる。また、移動中の図柄画像101に対して識別画像102を表示する処理を省くことができるため、図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(D−1)パチンコ機1は、CGROM432に設けられた図柄画像記憶エリア及び識別画像記憶エリアを備える。図柄画像記憶エリアは、複数の図柄画像101の各々を表示画面28に表示するための画像データである図柄画像データを記憶する。識別画像記憶エリアは、複数の図柄画像101の各々に対応する識別情報を示す識別画像102を表示画面28に表示するための画像データである識別画像データを記憶する。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、図柄画像記憶エリアに記憶されている図柄画像データに基づいて、画像表示装置27に複数の図柄画像101を表示させる。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、識別画像記憶エリアに記憶されている識別画像データに基づいて、表示画面28に表示されている図柄画像101に対応する識別画像102を、当該図柄画像101に対して重なるように画像表示装置27に表示させる。
これによれば、図柄画像101及び識別画像102は別々の画像データに基づいて表示されるため、図柄画像101の表示制御と識別画像102の表示制御とを互いに独立して実行できる。これにより、図柄画像101及び識別画像102の表示態様の自由度が向上すると共に、必要に応じて図柄画像101のみを表示することで、図柄の変動表示に伴うデータ処理量を抑制できる。即ち、複数の変動ラインにおける図柄の変動表示を制御するための処理負荷を抑制できる。
(D−2)サブ制御基板58及び演出制御基板43は、変動表示として、確定表示領域T1〜T3を夫々通る変動ラインL1〜L3の各々に沿って複数の図柄画像101を移動させた後に、当該複数の図柄画像101の何れかを確定表示領域T1〜T3の各々に停止表示させる。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、確定表示領域T1〜T3の何れかに停止表示された図柄画像101に対して識別画像102を表示させる一方、変動ラインL1〜L3の何れかに沿って移動中の図柄画像101に対して識別画像102を表示させない。これによれば、移動中の図柄画像101に対して識別画像102が表示されないため、移動中の図柄画像101をより自由な表示態様で表示でき、また移動中の図柄画像101をより高速に描画できる。
(D−3)サブ制御基板58及び演出制御基板43は、変動表示が開始されてから複数の図柄画像101が移動開始するまでの初動期間内に、当該複数の図柄画像101に対して表示されている識別画像102を消去させる。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、変動ラインL1〜L3の各々において、複数の図柄画像101のうちで確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示させる予定の対象図柄画像が当該確定表示領域T1〜T3近傍まで移動した場合、当該対象図柄画像に対して識別画像102を表示させる。これによれば、図柄画像101の移動開始の直前に識別画像102が消去され、且つ図柄画像101の移動終了の直前に識別画像102が再表示される。これにより遊技者は、図柄画像101が停止表示されている期間に、その図柄画像101に対応する識別画像102を認識できる。
(D−4)図柄画像データは、図柄画像101の表示態様が経時的に変化する演出動作を表示画面28に表示するための動画データを含む。サブ制御基板58及び演出制御基板43は、複数の図柄画像101の変動表示中に、図柄画像記憶エリアに記憶されている図柄画像データに基づく演出動作を、識別画像データに基づく識別画像102の表示制御とは独立して、画像表示装置27に実行させる。これによれば、識別画像102の表示制御とは独立して、移動中の図柄画像101に各種の演出動作を実行させることができる。
(8.備考)
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。上記実施形態では、三つの演出図柄(D1〜D3図柄)が設けられているが、二つの演出図柄(例えば、D1,D2図柄)のみで遊技結果を報知してもよい。この場合、共通変動ラインL0に沿って変動表示される複数種類の図柄画像101の何れかが、確定表示領域T1,T2に夫々停止表示されることで、D1,D2図柄が確定表示されればよい。上記実施形態では、三つの演出図柄(D1〜D3図柄)が左右方向に並んで配置されているが、三つの演出図柄(D1〜D3図柄)又は二つの演出図柄(例えば、D1,D2図柄)が、上下方向又は斜め方向に並んで配置されてもよい。また、上記実施形態では、共通変動ラインL0と変動ラインL3とが平行に延びているが、共通変動ラインL0と変動ラインL3とが交差する方向に延びてもよい。
上記実施形態では、共通変動ラインL0が二つの演出図柄(D1,D2図柄)に共通の変動ラインであるが、共通変動ラインL0が全ての演出図柄(D1〜D3図柄)に共通の変動ラインでもよい。この場合、共通変動ラインL0に沿って変動表示される複数種類の図柄画像101の何れかが、確定表示領域T1〜T3に夫々停止表示されることで、D1〜D3図柄が確定表示されればよい。また共通変動ラインL0は、D1,D2図柄に共通の変動ラインに限定されず、D1,D3図柄に共通の変動ラインでもよいし、D2,D3図柄に共通の変動ラインでもよい。共通変動ラインL0に沿って移動する複数種類の図柄画像101の組み合わせは、単独の変動ラインL3に沿って移動する複数種類の図柄画像101とは異なる組み合わせでもよい。
上記実施形態では、高速変動(S222)において、D1図柄を構成する複数種類の図柄画像101が変動ラインL1に沿って移動することで、複数種類の図柄画像101が実質的に共通変動ラインL0に沿って移動する。これに代えて、S222において、D2図柄を構成する複数種類の図柄画像101が共通変動ラインL0に沿って移動してもよい。即ち、共通変動ラインL0に沿って移動する図柄画像101がD1,D2図柄の何れを構成する図柄画像101であっても、一つの変動ラインに沿ってD1,D2図柄の両方を変動表示することができる。また、共通変動ラインL0に沿って高速移動する図柄画像101を透過表示態様で表示するのに代えて、共通変動ラインL0に沿って高速移動する図柄画像101を通常表示態様で表示してもよい。
高速変動(S222又はS242)の実行中には、D3図柄を非表示状態にすることなく、D3図柄を構成する複数種類の図柄画像101を変動ラインL3に沿って高速移動させてもよい。この場合、D1〜D3図柄の高速変動は、何れも透過表示態様で実行されるのが好適である。上記実施形態では、移動中の図柄画像101に識別画像102が表示されないが、移動中の図柄画像101に識別画像102が表示されてもよい。また、図柄変動演出において、識別画像102を消去又は再表示するタイミングは、上記実施形態に限定されない。例えば、全図柄の初期変動(S221又はS241)の開始前に、識別画像102が表示画面28から消去されてもよい。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、表示手段、可動手段、対応画像等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。