以下、本発明を実施するための形態を、実施例により図面を参照しながら詳しく説明する。
[電源装置]
図1(A)は、実施例1のスイッチング電源100の回路図を示している。商用電源等の交流電源10は交流電圧を出力しており、全波整流手段であるブリッジダイオードBD1で整流された入力電圧Vinは、スイッチング電源100に入力されている。コンデンサCinは整流された電圧の平滑手段として用いられ、コンデンサCinの低い側の電位をDCL、高い側の電位をDCHとする。
スイッチング電源100は、コンデンサCinに充電された入力電圧Vinから、絶縁された2次側へ出力電圧Voutを出力する。実施例1では、例えば出力電圧Voutとして5Vの一定電圧が出力される。スイッチング電源100は、1次側に1次巻線P1、補助巻線P2と、2次側に2次巻線S1とを備えた絶縁型のトランスT1を有している。トランスT1の1次巻線P1から、2次巻線S1には、図3で説明する電界効果トランジスタ(以下、FETとする)1のスイッチング動作によってエネルギーを供給している。
スイッチング電源100の1次側には、トランスT1の1次巻線P1と直列に接続されたFET1(第1のスイッチ素子)と、FET1の制御手段として、制御部110を有している。スイッチング電源100の2次側には、トランスT1の2次巻線S1に生じるフライバック電圧の2次側の整流平滑手段として、ダイオードD21及びコンデンサC21を有している。補助巻線P2から出力されるフライバック電圧は、整流手段であるダイオードD4及びコンデンサC4によって整流平滑され、電源電圧Vccとして、制御部110に供給されている。SK1はサージ吸収素子である。
補助巻線P2から、電源電圧Vccを供給する経路には、第2のスイッチ素子であるFET4が接続されている。詳細には、ダイオードD4のカソード端子にFET4のソース端子が接続され、FET4のドレイン端子から電源電圧Vccが出力される。FET4は補助巻線P2の制御用のスイッチであり、FET4のゲート端子には制御部110からFET4_Drive信号が入力される。FET4は、制御部110が出力するFET4_Drive信号によって制御されている。FET4のドレイン端子は制御部110に接続されており、制御部110は、AD_Vcc信号によって、電源電圧Vccの電圧値を検知し、FET4のオン、オフ制御を行うことで、電源電圧Vccを一定電圧に制御している。以下、この制御(電源電圧制御)をVcc制御ともいう。制御部110のG端子はDCLに接続されている。
図1(B)は、スイッチング電源100の詳細を説明するための回路図である。スイッチング電源100の制御部110は、論理回路11と、駆動回路12とから構成されている。論理回路11は、後述するフィードバック部150から出力される、AD_FB信号を検知し、AD_FB信号に基づき、制御信号DS(FET1の駆動信号)を制御している。論理回路11のVC端子とG端子との間には、電源電圧Vccが供給されている。実施例1の制御部110は、FET1をPWM制御しており、論理回路11はDS端子にPWM信号を出力している。論理回路11は、AD_FB信号の電圧値が上昇すると、DS端子のPWM信号のデューティを増加させている。
駆動回路12は、制御信号DSに従いFET1のゲート端子を駆動する回路である。駆動回路12には、電源電圧Vccが供給されており、PNPトランジスタTR1及びNPNトランジスタTR2によって構成されるプッシュプル回路によって、FET1のゲート端子電圧のオン、オフを制御している。制御信号DSがハイ状態になると、FET1はオン状態となり、制御信号DSがロー状態になると、FET1はオフ状態となる。抵抗R121は電流制限抵抗であり、抵抗R122はFET1のゲート−ソース間抵抗である。また、AD_Vcc信号は、抵抗R41と抵抗R42によって分圧された電圧値である。
起動回路130は、3端子レギュレータ又は降圧型スイッチング電源であり、VC端子とG端子間に入力された入力電圧Vinから、OUT端子に電源電圧Vccを出力している。起動回路130は、補助巻線P2から供給される電源電圧Vccが所定の電圧値以下の場合のみ動作する回路であり、スイッチング電源100の起動時に電源電圧Vccを供給するために用いられる。
フィードバック手段であるフィードバック部150は、出力電圧Voutを所定の一定電圧に制御するために用いられ、トランスT1の2次巻線S1に誘起された電圧に応じた信号を出力する。出力電圧Voutの電圧値は、シャントレギュレータIC5のリファレンス端子REFの基準電圧、抵抗R52及び抵抗R53によって設定される。そして、出力電圧Voutの電圧が高くなると、シャントレギュレータIC5のカソード端子Kの電流が増加し、プルアップ抵抗R51を介してフォトカプラPC5の2次側ダイオードに流れる電流が増加する。その後、フォトカプラPC5の1次側トランジスタの電流が増加するため、コンデンサC5から電荷が放電され、AD_FB信号の電圧値が低下する。また、出力電圧Voutの電圧が低くなると、電源電圧Vccから抵抗R50を介してコンデンサC5に充電電流が流れるため、AD_FB信号の電圧値が上昇する。論理回路11は、AD_FB信号を検知した結果に応じて、DS端子のPWM出力を制御することで、出力電圧Voutを所定の一定電圧に制御するためのフィードバック制御を行っている。制御部110は、フィードバック部150からフィードバックされた信号であるAD_FB信号に基づいてFET1のオン時間を制御するフィードバック制御を行う。
なお、フィードバック制御方法としては、図2のスイッチング電源800に示す、1次フィードバック手段を用いてもよい。図2のスイッチング電源800は、実施例1の制御を適用可能な、スイッチング電源100の変形例であり、フィードバック部150の代わりに、1次側のフィードバック部152を有している。フィードバック部152は、補助巻線P2のフライバック電圧をダイオードD8、抵抗R81、コンデンサC8で整流平滑することで、出力電圧Voutに比例する電圧値を検知することができる。抵抗R82は放電抵抗である。フィードバック部150やフィードバック部152は、出力電圧Voutをフィードバック制御する方法の一例として示しており、スイッチング電源100のフィードバック制御方法はこれらに限定されない。
また、制御部110は、フィードバック部150からのAD_FB信号を監視することにより、スイッチング電源100の負荷の状態を把握できる。すなわち、AD_FB信号が大きいほど、負荷が大きい状態となるため、AD_FB信号を監視することにより、負荷の状態に応じた適切な制御を行うことができる。負荷の状態をより正確に判断するためには、FET1や、スイッチング電源100の負荷に電力を供給する経路に、電流検知手段(不図示)を設けてもよい。実施例1における軽負荷状態を検知する検知手段としては、論理回路11がAD_FB信号を利用して検知(判断)するものとして説明する。なお、軽負荷状態とは、負荷へ出力する電力が少ない状態をいう。論理回路11は、AD_FB信号に基づいて所定の負荷の状態よりも軽い状態である軽負荷状態であることを検知する。
ところで、トランスT1の補助巻線P2から出力されるフライバック電圧は、出力電圧Voutの負荷が大きくなると、電圧値が増加してしまう。そのため、前述したFET4を用いた電源電圧Vccの制御を行わない場合、電源電圧Vccは、出力電圧Voutの負荷に応じて変動してしまう。電源電圧Vccの電圧値が最適値に対して増大すると、FET1のゲート容量に対して充放電を行う電圧値が大きくなるため、駆動回路12による損失が増大してしまう。逆に、電源電圧Vccの電圧値が低下した場合、FET1のゲート駆動電圧が不足し、FET1のオン抵抗が大幅に上昇することを防止するため、起動回路130を動作させる必要がある。しかしながら、起動回路130は入力電圧Vinと出力電圧Vccとの電圧差が大きいため、電圧の変換効率が低く、スイッチング電源100の消費電力が増大してしまう。そこで、スイッチング電源100では、FET4を用いて電源電圧Vccを制御し、駆動回路12の損失を低減させている。同様に、供給する電源電圧Vccを最適化することで、論理回路11の消費電力も低減できる。これらのことから、制御部110における消費電力を低減できる。
[スイッチング電源の制御]
図3は、2次巻線S1にフライバック電圧を出力するトランスT1を、PWM制御を用いて制御した場合の説明図である。なお、図3で説明するPWM制御方法は、トランスT1の制御方法の一例である。例えば、FET1のスイッチング周期の制御を行う擬似共振制御を行う場合にも、同様に実施例1で説明した電源電圧Vccの制御方法を適用できる。
図3(A)では、スイッチング期間を継続して制御する、連続制御について説明する。スイッチング期間では、制御部110は、FET1のオン又はオフを繰り返しており、周波数を固定してFET1のオンデューティを制御することで、2次側の出力電圧Voutを制御している。連続制御は、スイッチング期間を繰り返す制御である。図3(A)において、(i)は電源電圧Vccを制御するタイミング(以下、Vcc制御タイミングという)を示している。(ii)は、DS端子、すなわちFET1のゲート端子電圧(ゲート駆動電圧)の波形を示し、(iii)は、FET1のドレイン端子に流れる電流の波形を示す。(iv)は、FET1のドレイン端子とソース端子間の電圧の波形を示し、(v)は、電源電圧Vccの制御(以下、Vcc制御ともいう)の有無を示している。また、(iv)には、フィードバック制御が行われる周期であるフィードバック制御周期をt11で示し、補助巻線P2にフライバック電圧が出力される期間をt12で示している。
論理回路11のDS端子がハイ状態になると、FET1がオン状態となり、FET1のドレイン端子とソース端子間に電流が流れる。続いて、論理回路11のDS端子がロー状態になると、FET1がオフ状態となり、トランスT1の1次巻線P1、2次巻線S1、補助巻線P2にはフライバック電圧が発生する。ここで、図3(A)の(iv)のt12に示すように、補助巻線P2から電源電圧Vccに対して電力が供給可能なタイミングは、FET1がオフした後から、トランスT1にフライバック電圧が生じている間のみである。
トランスT1にフライバック電圧が生じていないタイミングにおいて、論理回路11がFET4をオン、オフ制御しても、電源電圧Vccを制御することはできない。しかし、例えば、フライバック電圧が生じていないタイミングに予めFET4をオンしておいたりオフしておいたりすることはできる。そのため、図3(A)の(i)に矢印で示したタイミングで、FET4のオン、オフ制御を行うことで、不要なFET4のスイッチングを低減させ、FET4のスイッチング損失を低減できる。すなわち、トランスT1にフライバック電圧が生じていないタイミングでFET4のオン、オフ制御を行うことで、電源電圧Vccの制御を行う。以降、FET4をオン、オフ制御するタイミングを、電源電圧Vccの制御タイミングという。
連続制御においては、図3(A)の(v)に示すように、全期間にわたって電源電圧Vccの制御を行うようにし(Vcc制御有り)、制御を行うタイミングとしては、(i)に示すタイミングとする。なお、論理回路11は、AD_Vcc信号に基づいて、電源電圧Vccが目標とする電圧より低下した場合にはFET4をオンし、電源電圧Vccが目標とする電圧より上昇した場合にはFET4をオフする。
図3(B)では、スイッチング期間と停止期間とを繰り返し制御する、間欠制御について説明する。停止期間では、制御部110はFET1のオン又はオフを停止させる。図3(B)において、(i)〜(v)は図3(A)の(i)〜(v)と同様のグラフである。スイッチング電源100の軽負荷状態において、図3(A)で説明した連続制御を行うと、FET1のスイッチング損失などによって、スイッチング電源100の効率が低下してしまう。そのため、スイッチング電源100の軽負荷状態においては、図3(B)に示すようにスイッチング期間と停止期間とを繰り返す間欠制御を行うことで、FET1のスイッチング回数を低減させて、スイッチング電源100の軽負荷状態の電源効率を改善できる。停止期間では、FET1のオン、オフ制御が停止される。
実施例1では、AD_FB信号が論理回路11の内部に設定された閾値電圧Vref未満になると、スイッチング電源100が軽負荷状態であると判断し、スイッチング期間から停止期間への移行を行う。停止期間に移行した後、AD_FB信号が閾値電圧Vref以上になると、再びスイッチング期間へと移行する。このとき、スイッチング期間と停止期間とを繰り返し制御する周期を、間欠制御周期とする。
前述したように、補助巻線P2から電源電圧Vccに対して電力が供給可能なタイミングは、FET1がオフした後から、トランスT1にフライバック電圧が生じている間のみである(図3(A)のt12)。そのため、停止期間中に電源電圧Vccの制御を行うと、論理回路11が電源電圧Vccのフィードバック制御の動作をし続ける必要があるため、論理回路11の消費電力が大きくなってしまう。ここで、電源電圧Vccのフィードバック制御とは、論理回路11がAD_Vcc信号に基づいて電源電圧Vccを検知し、電源電圧Vccが所定の定電圧となるように、FET4の制御を行うことをいう。軽負荷状態において電源電圧Vccの制御を行うとすると、論理回路11はAD_Vcc信号の監視を続けるために動作を継続しなければならない。そのため、実施例1では、図3(B)に示すように、停止期間には、論理回路11による電源電圧Vccの制御を停止し、間欠制御が終了するタイミングの直前に、電源電圧Vccの制御を再開させることで、スイッチング電源100の損失を低減している。すなわち、図3(B)の(v)に示すように、停止期間においては電源電圧Vccの制御を行わないようにし(Vcc制御無し)、スイッチング期間に移行する直前からスイッチング期間においては電源電圧Vccの制御を行う(Vcc制御有り)ようにする。
[スイッチング電源の制御のフローチャート]
図4は実施例1の論理回路11によるスイッチング電源100の制御を説明するフローチャートである。交流電源10がスイッチング電源100に接続され、スイッチング電源100に電力供給される状態になると、論理回路11はステップ(以下、Sとする)301以降の制御を開始する。S301で論理回路11は、電源電圧Vccの制御を開始し、スイッチング期間に移行する。S302で論理回路11は、フィードバック部150からのAD_FB信号に基づき、FET1のPWM制御のデューティを演算する。S303で論理回路11は、補助巻線P2からのAD_Vcc信号に基づき、電源電圧Vccを検知し、FET4のオン、オフ制御を実行する(Vcc制御)。なお、S303の制御を実行し、FET4のオン、オフの状態を切り替えるタイミングを、図3(A)で説明した補助巻線P2にフライバック電圧が出力されるタイミングと重ならないようにする。これにより、FET4のスイッチング動作を電流が流れていない状態で行う(すなわち、ゼロ電流スイッチングにする)ことができ、FET4のスイッチング損失を低減することができる。
S304で論理回路11は、S302で演算したFET1のデューティに基づき、FET1を制御する。S305で論理回路11は、AD_FB信号が閾値電圧Vref未満となったか否かを判断する。S305で論理回路11は、AD_FB信号が閾値電圧Vref未満であると判断した場合、処理をS306に進める。このとき、論理回路11は、スイッチング電源100が軽負荷状態であると判断している。S306で論理回路11は、間欠制御における停止期間(FET1をオフ状態のまま保持する期間)に移行する。S305で論理回路11は、AD_FB電圧が閾値電圧Vref未満ではないと判断した場合、処理をS302に戻す。この場合、論理回路11は、スイッチング電源100が軽負荷状態でないと判断しており、スイッチング期間を継続する。
S307で論理回路11は、電源電圧Vccの制御を停止する。S308で論理回路11は、AD_FB信号が閾値電圧Vref以上になったか否かを判断する。S308で論理回路11は、AD_FB信号が閾値電圧Vref以上となったと判断した場合、停止期間が終了したと判断し、処理をS301に戻す。論理回路11は、スイッチング期間を開始する前に、S301で電源電圧Vcc制御を開始する。S308で論理回路11は、AD_FB信号が閾値電圧Vref未満であると判断した場合、処理をS308に戻し、停止期間が終了するまで、S308の制御を繰り返し実行する。以上の制御を繰り返し行うことによって、論理回路11はスイッチング電源100の制御を行っている。
実施例1のスイッチング電源100は、下記の特徴を有している。
・制御部110がFET1による出力電圧Voutのフィードバック制御と、FET4による電源電圧Vccの制御の両方を行っている。
・間欠制御の停止期間や、FET1のスイッチングのタイミング(制御周期や、FET1をオン、オフするタイミング)等、制御部110自身の制御情報に基づき、FET4によって、電源電圧Vccの制御を行うタイミングを決定している。
・少なくとも、間欠制御の停止期間の一部において、制御部110は電源電圧Vccの制御を停止する期間を有している。
このように、スイッチング電源100のスイッチング情報を利用して、電源電圧Vccの制御を適切なタイミングで行うことで、FET4のスイッチング損失や、制御部110(論理回路11、駆動回路12)の消費電力を低減できる。
実施例1で説明した、電源電圧Vccの制御方法が可能となる理由は、以下のとおりである。スイッチング電源100の制御部110は、FET1の制御とFET4の制御の両方を行っているため、補助巻線P2に電圧が生じるタイミングの情報を得ることができ、適切なタイミングでFET4の制御を行うことができるためである。よって、スイッチング電源100を制御する制御部110が、電源電圧Vccの電圧値情報とFET1のスイッチング情報とに基づいて、FET4を用いて制御部110の電源電圧Vccを制御する。これにより、スイッチング電源の制御部110の電源電圧Vccを、回路規模の少ない構成で適切な電圧値に制御し、軽負荷時のスイッチング電源の効率を改善できる。以上、実施例1によれば、軽負荷時の制御部における消費電力を低減させ、軽負荷時の電源の効率を改善することができる。
実施例2で説明するスイッチング電源400は、実施例1で説明したスイッチング電源100に対して、論理回路11の代わりに、CPU13を用いている点が異なる。また、実施例2では、第3のスイッチ素子であるFET2及び第2のコンデンサである電圧共振コンデンサC2を用いた、アクティブクランプ回路を追加した点が異なる。更に、実施例2では、FET1及びFET2のゲート電圧の駆動回路14と、フィードバック部151に出力電圧Voutの制御目標電圧の切替え機能を追加した点と、電源電圧Vccの制御方法が異なっている。CPU13は、AD_FB信号に基づいて、FET1のオン時間及びFET2のオン時間の少なくとも1つを制御する。なお、実施例1と同様の構成については、同一の符号を用いて説明を省略する。
[スイッチング電源]
図5(A)は実施例2のスイッチング電源400の詳細を説明するための回路図である。スイッチング電源400は、1次側に1次巻線P1、補助巻線P2と、2次側に2次巻線S1を備えた絶縁型のトランスT4を有している。トランスT4の1次巻線P1から2次巻線S1には、図7で説明するFET1とFET2のスイッチング動作によってエネルギーが供給されている。トランスT4の補助巻線P2には、FET1がオンした際に、1次巻線P1に印加される入力電圧Vinに比例するフォワード電圧が出力されている。トランスT4の補助巻線P2から出力された電圧は、ダイオードD4及びコンデンサC4で整流平滑され、電源電圧Vccを供給するために用いられている。
スイッチング電源400の1次側には、トランスT4の1次巻線P1に直列に接続されたFET1を有している。また、スイッチング電源400の1次側には、電圧クランプ用のコンデンサC2とFET2が直列に接続された回路が、トランスT4の1次巻線P1に並列に接続されている。更に、FET1及びFET2の制御手段として、CPU13及び駆動回路14によって構成された制御部410を有している。FET1と並列に接続された電圧共振用コンデンサC1は、FET1及びFET2のスイッチオフ時の損失を低減するために設けられている。ダイオードD1は、FET1のボディーダイオードである。同様に、ダイオードD2はFET2のボディーダイオードである。
スイッチング電源400の2次側には、トランスT4の2次巻線S1に生じたフライバック電圧の2次側の整流平滑手段として、ダイオードD21及びコンデンサC21を有している。また、スイッチング電源400の2次側には、2次側に出力される出力電圧Voutを1次側にフィードバックするために用いられるフィードバック手段としてフィードバック部151を有している。
レギュレータ140は、3端子レギュレータ又は降圧型スイッチング電源であり、レギュレータ140のVC端子とG端子間に入力された電源電圧Vccから、OUT端子に電源電圧Vcc2を出力している。レギュレータ140は、電源電圧Vcc2に、電源電圧Vccよりも低い、CPU13に適した電圧値を出力している(Vcc>Vcc2)。実施例2では、制御部410に、クロック発振部115(図5(B)参照)によって生成されたクロック信号で動作する、CPU13を用いている。CPU13の詳細は図5(B)で説明する。
CPU13のVC端子とG端子との間には、レギュレータ140によって生成された電源電圧Vcc2が供給されている。CPU13は、フィードバック部151からのAD_FB信号に基づき、制御信号DS1(FET1の駆動信号)及び制御信号DS2(FET2の駆動信号)を出力しており、駆動回路14を介してFET1及びFET2の制御を行っている。コンデンサCinに充電された入力電圧Vinの検知は、トランスT4の補助巻線P2に生じたフォワード電圧をダイオードD7で整流し、抵抗R71及びR72で分圧し、コンデンサC7で平滑した信号AD_Vinに基づき行っている。
駆動回路14は、制御信号DS1に従いFET1のゲート駆動信号DLを、制御信号DS2に従いFET2のゲート駆動信号DHを生成する回路である。駆動回路14のVC端子とG端子との間には、電源電圧Vccが供給されている。また、FET2を駆動するため、コンデンサC6及びダイオードD6で構成されるチャージポンプ回路によって、VH端子とGH端子との間に電源電圧Vccが供給されている。駆動回路14は、制御信号DS1がハイ状態になると、FET1のゲート駆動信号DLをハイ状態とし、FET1はオン状態となる。同様に、駆動回路14は、制御信号DS2がハイ状態になると、FET2のゲート駆動信号DHをハイ状態とし、FET2はオン状態となる。
フィードバック部151は、入力された24VOUT信号に応じて、出力電圧Voutに、5Vを出力する状態(第1の状態)と24Vを出力する状態(第2の状態)を切り替えることができる。フィードバック部151は、24VOUT信号がハイ状態になると、FET51がオン状態となり、抵抗R55がショートされる。このため、抵抗R52と抵抗R54の抵抗比率と、シャントレギュレータIC5のREF端子の電圧とによって、出力電圧Voutの制御電圧値が決定される状態となり、出力電圧Voutが高い電圧値(24V)となる。24VOUT信号がロー状態になると、FET51がオフ状態となる。そうすると、抵抗R52の抵抗値と、抵抗R54と抵抗R55の直列抵抗値の抵抗比率と、シャントレギュレータIC5のREF端子の電圧とによって、出力電圧Voutの制御電圧値が決定される状態となり、出力電圧Voutが低い電圧値(5V)となる。抵抗R56は、FET51のゲート端子とソース端子間の抵抗である。
ところで、スイッチング電源400のように、出力電圧Voutの電圧値の切り替えを行う場合には、次のような課題がある。実施例1で説明したスイッチング電源100のトランスT1の補助巻線P2のように、フライバック電圧を電源電圧Vccに利用すると、トランスT1の補助巻線P2の電圧は出力電圧Voutに比例するため、電圧の変動が大きくなってしまう。よって、スイッチング電源400のように、出力電圧Voutの制御電圧値の切り替えを行う場合には、トランスT4の補助巻線P2のように、フォワード電圧を利用する方法の方が、補助巻線P2から出力される電圧の変動幅を少なく抑えることができる。
しかしながら、トランスT4の補助巻線P2から出力されるフォワード電圧は、入力電圧Vinの電圧値に比例して変動してしまう。そこで、スイッチング電源400では、FET4によって、電源電圧Vccを最適な電圧値に制御し、駆動回路14の消費電力を低減している。また、電源電圧Vccと電源電圧Vcc2との電位差を縮小することで、レギュレータ140の電圧変換効率を改善することができ、CPU13による消費電力も低減できる。
[CPUのブロック図]
図5(B)は、CPU13の回路ブロック図を示している。CPU13はブロック1とブロック2に分割されており、ブロック1にはクロック発振部115、タイマー制御部116、PWM出力部117、比較制御部118、IO入出力部119を備えている。ブロック2には、演算制御部111、主記憶部112、外部記憶部113、AD変換部114を備えている。CPU13は、例えば1チップの集積回路で形成されたマイクロコンピュータである。また、主記憶部112は、例えばRAMであり、外部記憶部113は、例えばFLASHメモリやROM等である。
演算制御部111は、クロック発振部115のクロック信号に基づき動作しており、外部記憶部113に記憶された命令及びデータを、主記憶部112に読み込んだうえで、逐次演算を行う制御部である。演算制御部111は、AD変換部114が検知したAD_FB信号に基づき、PWM出力部117の二つの制御信号DS1、DS2の設定値を制御することで、FET1及びFET2の制御を行っている。ここで、制御信号DS1、DS2の設定値は、例えば、制御開始タイミング、周期、デューティ等である。
タイマー制御部116は、図7で説明を行う間欠制御の停止期間の長さを制御するために用いられるタイマーである。比較制御部118は、AD_FB信号とCPU13に内蔵された閾値電圧Vrefとを比較する回路であり、図7で説明を行う間欠制御に用いられている。タイマー制御部116及び比較制御部118による制御の詳細は図7で説明を行う。IO入出力部119は、FET4_Drive信号を出力しており、FET4のオン、オフ状態を切り替えている。
次に、CPU13のブロック1及びブロック2について説明を行う。ブロック1には、常時、電源電圧Vcc2が供給されている。クロック発振部115、タイマー制御部116、PWM出力部117、比較制御部118、IO入出力部119は、スリープ制御用のスイッチSW1のオフ状態(CPU13のスリープ状態)においても、ブロック1に配置された機能部は動作を継続できる。CPU13のブロック2は、スリープ制御用のスイッチSW1のオン状態でのみ動作することができ、スリープ制御用のスイッチSW1のオフ状態(CPU13のスリープ状態)においては、ブロック2に電源電圧Vcc2が供給されない状態となる。
そのため、CPU13では、ブロック2に配置された機能部による消費電力を削減することができる。実施例2のCPU13は、図7で説明する間欠制御の停止期間の開始時に演算制御部111によって、スリープ制御用のスイッチSW1をオフ(OFF)状態とし、ブロック2への電源電圧Vcc2の供給を停止する。CPU13は、間欠制御の停止期間が終了するタイミングを、タイマー制御部116又は比較制御部118によって検知する。CPU13は、タイマー制御部116又は比較制御部118によってスリープ制御用のスイッチSW1をオン(ON)状態とし、ブロック2への電源電圧Vcc2の供給を再開することで、演算制御部111による制御を再開できる状態となる。
また、CPU13の代わりに用いることができる類似の方法として、次のような方法がある。例えば、図6(A)のCPU15に示すように、CPU15のスリープ時に、スイッチSW1をオフ状態とすることでブロック2に配置された機能部に供給するクロックを停止することでも、ブロック2の回路の消費電力を低減することができる。他にも、CPU13の代わりに用いることができる類似の方法として、次のような方法がある。例えば、スリープ状態においてブロック2に配置された機能部に供給するクロックを遅くする方法や、ブロック2に配置された機能部に供給する電源電圧Vcc2を低下させる方法と、それらの組み合わせを用いることができる。
また、図6(B)のCPU16に示すような方法もある。図5(B)ではブロック2が有していた主記憶部112が、図6(B)ではブロック1が有している。また、図5(B)では、タイマー制御部116の設定値であったものが、図6(B)では主記憶部112の設定値となっている。図6(B)では、CPU16のスリープ状態において、主記憶部112の全て又は一部を、ブロック1に配置することで、スリープ制御用のスイッチSW1がオフ状態であっても、主記憶部112を動作可能な状態としている。更に、図6(B)では、タイマー制御部116の設定値を主記憶部112に記憶しておき、タイマー制御部116は主記憶部112に記憶された設定値に基づき動作するようにしてもよい。CPU16では、タイマー制御部116に設定値を記憶する回路を設ける必要がなくなるメリットがある。なお、図5(B)で説明した機能と同じ機能には同じ符号を付し、説明を省略する。
[アクティブプランプ方式の電源装置の制御方法]
図7はアクティブクランプ方式を用いたスイッチング電源400の制御方法の説明図である。図7(A)では、スイッチング期間を継続して制御する、連続制御について説明する。図7(A)で、(i)は電源電圧Vccの制御タイミングを矢印で示す。(ii)は、FET1のゲート駆動電圧DS1の波形を示し、(iii)は、FET2のゲート駆動電圧DS2の波形を示す。(iv)は、FET1のドレイン端子電流の波形を示し、(v)は、FET1のドレイン端子とソース端子間の電圧の波形を示す。スイッチング期間では、FET1とFET2を、デッドタイムを設けて交互にオン、オフさせて繰り返し制御している。
図7(A)に示す連続制御では、フィードバック部151からのAD_FB信号の電圧値が高くなると、FET2のオン時間に対して、FET1のオン時間の比率を高くするように制御している。また、補助巻線P2からのAD_Vin信号によって検知した入力電圧Vinの電圧値に基づき、入力電圧Vinが大きいほど、FET1のオン時間が短くなるように、FET1のオン時間を補正して制御している。すなわち、入力電圧Vinの電圧値とFET1のオン時間が反比例の関係となるように制御している。AD_Vin信号に基づく補正演算(以下、Vin補正演算という)は、入力電圧Vinが変動しても、FET1のオン時にトランスT4に供給されるエネルギーが一定になるように制御を行っている。このように、CPU13は、トランスT1の1次巻線P1に入力される入力電圧Vinに基づいてFET1のオン時間を補正する補正制御を行う。
図8のフローチャートで説明するように、CPU13は、フィードバック制御周期ごとに、AD_FB信号の検知結果に基づき、FET1のオン時間及びFET2のオン時間を演算し、PWM制御値として反映させている。ここで、フィードバック制御周期は、図7(A)の(v)に示すように、制御信号DS1の立ち上がりから次の立ち上がりまでの周期である。フィードバック制御周期には、電源電圧Vccの制御を実行するフィードバック制御周期t21と、入力電圧Vinの補正演算を実行するフィードバック制御周期t22とがある。
これは、CPU13の演算速度が十分に早くない場合には、フィードバック制御周期ごとに、全ての演算処理を行うのが難しくなる場合があるからである。よって、複数のフィードバック制御周期t21、t22を用いて、例えば、図7(A)に示すように、フィードバック制御周期t21では、電源電圧Vccの制御とフィードバック制御を行う。また、フィードバック制御周期t22では、前述した入力電圧Vinの補正演算とフィードバック制御を行い、フィードバック制御周期t21と、フィードバック制御周期t22を交互に行う。これにより、フィードバック制御周期を遅くすることなく、多くの制御を順次実行できる。この場合にも、電源電圧Vccの検知は、フィードバック制御周期t21のみで行えばよく、フィードバック制御周期t22においては、AD_Vcc信号の検知回路を停止できるため、CPU13の消費電力を低減できる。このように、CPU13の行う制御の処理量に応じて、フィードバック制御を行う周期の整数倍の周期で、電源電圧Vccの制御を行う方法が有用である。また、電源電圧Vccの制御を行わない周期においては、フィードバック制御と入力電圧Vinの補正制御を行う。図7(A)や後述する図8では、一例として、フィードバック制御を行う周期の2倍の周期で電源電圧Vccの制御が行われ、電源電圧Vccの制御と入力電圧Vinの制御とが交互に行われている。
図7(B)では、スイッチング期間と停止期間を繰り返し制御する、間欠制御について説明する。図7(B)の(i)〜(v)は図7(A)の(i)〜(v)と同じグラフであり、説明を省略する。図7(B)の(vi)は、Vcc制御の有無を示している。スイッチング電源400の軽負荷状態において、図7(A)で説明した連続制御を行うと、スイッチング電源400の1次側の電流による抵抗損失や、FET1及びFET2のスイッチング損失などによって、スイッチング電源400の効率が低下してしまう。そのため、スイッチング電源400の軽負荷状態において、図7(B)に示すように、スイッチング期間と停止期間とを繰り返す間欠制御を行う。これにより、スイッチング電源400の1次側の電流や、FET1及びFET2のスイッチング回数を低減させて、スイッチング電源400の軽負荷状態の電源効率を改善できる。
実施例2では、AD_FB信号が比較制御部118の閾値電圧Vref未満になると、スイッチング電源100が軽負荷状態であることを判断し、停止期間への移行を行う。なお、停止期間に対して、FET1及びFET2がオン、オフされている期間をスイッチング期間という。また、スイッチング期間と停止期間とを繰り返す間欠制御の周期を間欠制御周期という。停止期間に移行した後、AD_FB信号が閾値電圧Vref以上になると、再びスイッチング期間へ移行する。このときのスイッチング期間と停止期間とを繰り返し制御する周期を、間欠制御周期とする。
前述したように、補助巻線P2から電源電圧Vccに対して電力が供給可能なタイミングは、FET1がオンしている期間(補助巻線P2にフォワード電圧が生じている間t23)のみである。そのため、前述したように、停止期間中に電源電圧Vccの制御を行うと、CPU13のフィードバック制御を動作させ続ける必要があるため、CPU13の消費電力が大きくなってしまう。
そのため、スイッチング電源400では、図7(B)に示すように、停止期間には、スリープ制御用のスイッチSW1をオフ状態にし、電源電圧Vccの制御を停止する((v)Vcc制御無し)。そして、間欠制御が終了するタイミングの直前に、電源電圧Vccの制御を再開させることで((v)Vcc制御有り)、スイッチング電源400の損失を低減できる。
図7(C)では、間欠制御周期の制御方法について説明する。図7(C)の(i)〜(vi)は図7(B)の(i)〜(vi)と同様のグラフである。スイッチング電源400の負荷が図7(B)の状態よりも更に軽負荷状態となり、略無負荷状態になると、停止期間が非常に長い期間となってしまう。停止期間が所定の期間より長くなると、トランスT4の補助巻線P2から、電源電圧Vcc及び電源電圧Vcc2に供給する電力が不足する状態となってしまう。すると、駆動回路12及びCPU13の動作を継続できなくなるため、起動回路130から電力を供給させる必要がある。しかしながら、起動回路130を用いてコンデンサCinに充電された入力電圧Vinから電源電圧Vccを供給する場合、入力電圧Vinと電源電圧Vcc2との電位差が大きいため、損失が大きくなる。これにより、スイッチング電源400の無負荷状態の電源効率が低下してしまう課題が生じる。そこで、タイマー制御部116を用いて、最長停止期間Toff_maxを設けることで、トランスT4の補助巻線P2から供給される電源電圧Vccが不足しないように制御を行っている。
ところで、停止期間の最長停止期間Toff_maxが長いほど、スイッチング電源400の1次側の電流による抵抗損失や、FET1及びFET2のスイッチング損失を低減できる。しかしながら、最長停止期間Toff_maxを長くすると、コンデンサC4の電荷が放電してしまい、電源電圧Vccが低下する。そして、電源電圧Vccが低下することで、起動回路130が動作してしまうといった課題や、ブートストラップ回路のコンデンサC6の電荷が放電してしまい、駆動回路14のVH端子の電圧が不足してしまうという課題が生じる。そこで、停止期間における最長停止期間Toff_maxを長くするために、電源電圧Vccの目標電圧を高く設定してもよい。この場合、CPU13の外部記憶部113に、電源電圧Vccの閾値が複数記憶されており、CPU13はこれらの閾値を読み出して、AD_Vcc信号と比較する閾値を通常時よりも高い閾値に変更する。これにより、CPU13は、電源電圧Vccの目標電圧を高く設定することができる。
なお、図7(A)や図7(B)に示す状態において、図7(C)と同様に電源電圧Vccの目標電圧を高く設定してしまうと、前述したように、駆動回路14などの損失が増大してしまう。このため、停止期間の長さに応じて、電源電圧Vccの目標電圧を可変にして設定する制御が有用である。CPU13は、クロック信号に基づいてタイマー制御部116によって時間の経過を計測することができる。CPU13は、スイッチング期間から停止期間に移行するとタイマー制御部116により時間の計測を開始し、停止期間の長さを測定する。
また、図7(C)のように、スイッチング期間が短い場合には、スイッチング期間が始まる直前に電源電圧Vccの制御を実行する(図7(C)(i)参照)。これにより、電源電圧Vccの電圧値が不足している場合に、スイッチング期間においてFET4をオンする制御が間に合わないことを防止できる。このように、制御部410が、FET4を制御することによって、電源電圧Vccの制御を最適なタイミングで実行できるようになる。
[スイッチング電源の制御]
図8は実施例2のCPU13による、スイッチング電源400の制御シーケンスを説明するフローチャートである。スイッチング電源400に入力電圧Vinが供給されると、CPU13はS600以降の制御を開始する。S600でCPU13は、電源電圧Vccの制御を開始する。S601でCPU13は、フラグNに0を設定し、主記憶部112に記憶する。フラグNは、図7(A)で説明したフィードバック制御周期において、Vcc制御を実行するかVin補正演算を行うかを決定するための指標となるフラグである。S602では、フィードバック部151からのAD_FB信号と、AD_Vin信号に基づく入力電圧Vinの補正演算の結果(入力電圧Vinの補正値は、電源起動時にはCPU13の記憶された所定の初期値で制御を開始し、その後は、S605で演算される値を用いる)とに基づき、FET1とFET2のオン時間を演算する。この演算は、すなわちフィードバック演算である。
S603でCPU13は、フラグNが0か否かを判断し、フラグNが0であると判断した場合に、処理をS604に進める。S603でCPU13は、フラグNが0ではないと判断した場合(例えば、1の場合)には、処理をS605に進める。S604でCPU13は、AD_Vcc信号に基づき電源電圧Vccを検知し、FET4のオン、オフ制御を行い電源電圧Vccの制御を行う(Vcc制御)(図7(A)のt21)。なお、S604の制御を実行し、FET4のオン、オフの状態を切り替えるタイミングを、図7(A)で説明した補助巻線P2にフォワード電圧が出力されるタイミングと重ならないようにする。これにより、FET4のスイッチング動作をゼロ電流スイッチングにすることができ、FET4のスイッチング損失を低減することができる。S606でCPU13は、フラグNを1とする。
S605でCPU13は、電源電圧制御以外の制御を行う、すなわちAD_Vin信号に基づき入力電圧Vinを検知し、入力電圧Vinに応じたFET1のオン時間の補正値を演算する(Vin補正演算)(図7(A)のt22)。S607でCPU13は、フラグNを0にして処理をS608に進める。S608でCPU13は、S602のフィードバック演算結果に基づき、FET1とFET2の制御値(設定値)をタイマー制御部116の設定値用メモリに設定し、この設定値に基づいて制御信号DS1、DS2のPWM出力を行う。このように、スイッチング電源400の連続制御状態においては、次の2つの周期が繰り返されている。すなわち、電源電圧Vccの制御とフィードバック制御とが行われるフィードバック制御周期t21と、入力電圧Vinの補正演算とフィードバック制御とが行われるフィードバック制御周期t22とが繰り返されている。
S609でCPU13は、フィードバック部151からのAD_FB信号が閾値電圧Vref未満になったか否かを判断する。S609でCPU13は、AD_FB信号が閾値電圧Vref未満になったことを比較制御部118によって検知すると、スイッチング電源400が軽負荷状態であると判断し、処理をS610に進める。S609でCPU13は、AD_FB信号が閾値電圧Vref未満ではないと判断した場合、スイッチング電源400は軽負荷状態ではないと判断し、処理をS611に進める。S611でCPU13は、電源電圧Vccの制御目標電圧を所定の電圧値である低い電圧値に設定し、処理をS602に戻す。軽負荷状態ではないときに電源電圧Vccの制御の目標電圧を低い電圧値に設定する理由は上述したとおりであり、CPU13は、スイッチング期間を継続する場合には、出力電圧Voutの負荷が極端に低い状態ではないと判断している。
S610でCPU13は、間欠制御の停止期間に移行し、図7(B)及び図7(C)に示すように、FET1及びFET2をオフ状態のまま保持する。また、CPU13は、タイマー制御部116によって停止期間の時間経過の計測を開始する。S612でCPU13は、間欠制御の停止期間において、スリープ制御用のスイッチSW1をオフすることで、CPU13のブロック2の電源をオフ状態とし、電源電圧Vccの制御を停止している。図6で説明したように、CPU15、CPU16等を用いて、ブロック2における消費電力を低減させる省電力モードとしてもよい。
S613でCPU13は、フィードバック部151からのAD_FB信号が、比較制御部118の閾値電圧Vref以上であるか否かを判断する。S613でCPU13は、AD_FB信号が閾値電圧Vref以上であると判断した場合、処理をS615に進める。S615でCPU13は、スイッチSW1をオンしてスイッチング期間に移行する。また、CPU13は、電源電圧Vccの制御を開始する。S616でCPU13は、電源電圧Vccの制御の目標電圧を所定の電圧値である低い電圧値に設定する。ここで、間欠制御の停止期間が最長停止期間Toff_maxに到達する前に、AD_FB信号が比較制御部118の閾値電圧Vref以上であることを判断した場合、CPU13は、S611の処理と同様の判断を行う。すなわち、CPU13は、出力電圧Voutの負荷が極端に低い状態ではないと判断している。S613でCPU13は、AD_FB信号が比較制御部118の閾値電圧Vref未満であると判断した場合、処理をS614に進める。
S614でCPU13は、タイマー制御部116によって間欠制御の停止期間が開始されてから最長停止期間Toff_maxが経過したか否かを判断する。S614でCPU13は、最長停止期間Toff_maxが経過したと判断した場合には、処理をS617に進める。S617でCPU13は、スリープ制御用のスイッチSW1をオンしてスイッチング期間に移行する。また、CPU13は、電源電圧Vccの制御を開始する。S618でCPU13は、電源電圧Vccの制御の目標電圧を所定の電圧値よりも高い電圧値に設定し、処理をS619に進める。間欠制御の停止期間が最長停止期間Toff_maxに到達したと判断した場合には、CPU13は出力電圧Voutの負荷が極端に低い状態であると判断し、電源電圧Vccの制御の目標電圧を高く設定している。S614でCPU13は、間欠制御の停止期間が最長停止期間Toff_maxに到達していないと判断した場合、処理をS613に戻し間欠制御を継続する。S619でCPU13は、フラグN=0として処理をS602に戻す。このように、停止期間からスイッチング期間に移行する際には、S615又はS617で予め電源電圧Vccの制御を開始しておく。これにより、FET1及びFET2のスイッチング動作を開始する直前に、S604で電源電圧Vccの制御を実行してFET4のオン、オフを制御できるようにしている。以上の制御を繰り返し行うことによって、CPU13はスイッチング電源400の制御を行っている。
実施例2のスイッチング電源400は、下記の特徴を有している。
・制御部410がFET1及びFET2による出力電圧Voutのフィードバック制御と、FET4による電源電圧Vccの制御の両方を行っている。
・間欠制御の停止期間や、FET1及びFET2のスイッチング動作のタイミングや周期等、スイッチング電源400の制御情報に基づき、電源電圧Vccの制御を行うタイミングを決定している。
・少なくとも、間欠制御の停止期間に、電源電圧Vccの制御を停止する期間を有している。電源電圧Vccの制御を停止する期間中において、電源電圧Vccを検知するために用いられるADコンバータの電源を停止する、又は、供給されるクロックの停止や、クロックダウンなど省電力モードに移行させる。これにより、CPU13の消費電力を低減させている。
・少なくとも、連続制御の期間中に、電源電圧Vccの制御を停止する期間を有している。
・フィードバック制御周期の整数倍のタイミングごとに、電源電圧Vccの制御を行っている。
・間欠制御の停止期間の長さに応じて、電源電圧Vccを制御する目標電圧値を可変にしている。
・間欠制御のスイッチング期間に移行する直前に、電源電圧Vccの制御(FET4のオン、オフ制御)を実行する。
なお、スイッチング電源400の、電源電圧Vccの制御方法は、実施例1のスイッチング電源100にも適用できる。同様に、実施例1で説明した、電源電圧Vccの制御方法は、実施例2のスイッチング電源400にも適用できる。よって、スイッチング電源400を制御する制御部410が、電源電圧Vccの電圧値情報と、FET1及びFET2のスイッチング情報とに基づき、FET4を用いて制御部410の電源電圧Vccを制御する。これにより、スイッチング電源の制御部の電源電圧を、回路規模の少ない構成で、適切な電圧値に制御し、軽負荷時のスイッチング電源の効率を改善できる。以上、実施例2によれば、軽負荷時の制御部における消費電力を低減させ、軽負荷時の電源の効率を改善することができる。
実施例3で説明するスイッチング電源1000は、実施例2で説明したスイッチング電源400と比較して平滑手段であるコンデンサC41が追加されている。そして、補助巻線P2から出力されるフォワード電圧を、コンデンサC41で平滑している点が異なっている。実施例3では、コンデンサC41に充電された電圧Vp2から、FET4のパルス制御によって、電源電圧Vccを出力する方法を説明する。なお、実施例3においても、実施例1、2と同様に、スイッチング期間では電源電圧Vccの制御有りとし、間欠制御における停止期間では電源電圧Vccの制御無しとする。
[スイッチング電源]
図9は実施例3のスイッチング電源1000であり、コンデンサC41、第1のコンデンサであるコンデンサC42を追加した点以外はスイッチング電源400と同じである。コンデンサC42は、FET4のゲート端子〜ソース端子間に接続されている。コンデンサC41は、補助巻線P2から出力される電圧を平滑するコンデンサである。また、コンデンサC42はFET1の抵抗値を変化させるためのコンデンサである。なお、スイッチング電源100や、スイッチング電源400では記載を省略した、FET4の駆動回路(FET4を制御するために、FET4のゲート端子には、FET41が抵抗R43を介して接続されている)を示してある。最初に、FET4の駆動回路の説明を行う。FET4_Drive信号は、所定の幅のパルス信号としてFET41のゲート端子に入力される。FET4_Drive信号がハイ状態になると、FET41はオン状態となり、抵抗R43を介してコンデンサC42に電圧が充電される状態となる。コンデンサC42に充電される電圧が増加するほど、FET4のドレイン−ソース間の抵抗値が徐々に低下し、FET4はオン状態となる。
[FET4の制御方法]
図10(A)は、FET4の制御方法の説明図である。図10(A)で(i)は電源電圧Vccの制御タイミングを示し、(ii)はAD_Vcc信号の波形を示し、点線でAD_Vcc信号の目標値を示す。(iii)はFET4_Drive信号の波形を示す。図10(A)は、FET4をパルス出力で制御する方法を説明している。CPU13は、下向きの矢印で示すタイミングにおいて、AD_Vcc信号に基づき、電源電圧Vccの電圧値を検知している。電源電圧Vccの制御タイミングにおいて、AD_Vcc信号の電圧値が、AD_Vcc信号の目標値よりも低い場合には、FET4をオン状態にするため、FET4_Drive信号にハイレベルのパルスを出力する。このように、電源電圧Vccの制御タイミングにおいて、AD_Vcc信号が目標値よりも低いタイミングで、FET4_Drive信号がハイレベルとなっている。
図10(B)は、FET4_Drive信号のパルス幅と入力電圧Vin(すなわち、AD_Vin信号)の相関を示すグラフである。図10(B)は、横軸にAD_Vin信号を、縦軸にFET4_Drive信号のパルス幅を示す。FET4_Drive信号のパルス幅は、AD_Vin信号の電圧値(Vinの電圧値)に基づき決定される。
ここで、FET4_Drive信号のパルス幅を、入力電圧Vinの電圧値に基づき変更する理由を説明する。入力電圧Vinの電圧値が高くなると、補助巻線P2から出力されるフォワード電圧が高くなるため、コンデンサC41の電圧Vp2の電圧値も高くなる。電源電圧Vccは一定の電圧に制御されているため、入力電圧Vinの電圧値が大きくなると、電圧Vp2と電源電圧Vccとの電位差が大きくなる。また、FET4のドレイン−ソース間に流れる電流は、次の式(1)で決定される。このため、入力電圧Vinの電圧値が大きくなると、FET4のドレイン−ソース間に流れる電流のピーク値が大きくなってしまう。なお、FET4のオン抵抗とは、FET4がオンしたときのFET4の抵抗である。
FET4のドレイン−ソース間電流
=(Vp2−Vcc)÷FET4のオン抵抗・・・式(1)
FET4のドレイン−ソース間に流れる電流のピーク値が大きくなると、FET4に定格電流の大きい素子を用い、かつ、コンデンサC4にリプル電流定格の大きい素子を用いる必要がある。そうすると、スイッチング電源1000のコストが増加してしまう。また、電源電圧Vccの電圧リプルも大きくなるため、電源電圧Vccの電圧精度が低下してしまう課題がある。
実施例3のスイッチング電源1000では、FET4_Drive信号のパルス幅を、入力電圧Vinの電圧値に基づき変更することで、FET4のオン抵抗を制御している。前述したように、コンデンサC42の電圧の増加に伴い、FET4のドレイン−ソース間の抵抗値が徐々に低下するため、FET4_Drive信号のパルス幅によって、FET4のオン抵抗を制御することができる。そのため、入力電圧Vinが高くなった場合には、FET4_Drive信号のパルス幅を短くすることで、FET4のドレイン−ソース間の電流のピーク値の増大を抑えることができる。また、入力電圧Vinが低くなった場合には、FET4_Drive信号のパルス幅を長くすることで、電源電圧Vccに十分な電流を供給することができる。このように、実施例3では、入力電圧Vinが大きくなるほど、FET4_Drive信号のパルス信号の幅を小さい幅にする。なお、実施例3では、コンデンサC42を用いてFET4のオン抵抗を制御した。しかし、例えば、コンデンサC42を用いずに、FET4の内蔵容量を用いてもよい。以上、実施例3によれば、軽負荷時の制御部における消費電力を低減させ、軽負荷時の電源の効率を改善することができる。
[実施例1〜実施例3の変形例]
図11は、実施例1〜実施例3で説明した、FET4を用いた電源電圧Vccの制御方法を適用可能なスイッチング電源の回路方式の例として、図11(A)〜(F)にスイッチング電源の回路ブロック図を示している。以下の説明において、すでに説明した素子等については同じ符号を付し、説明を省略する。また、図11には、すでに説明した回路と異なる部分を説明するために、必要な箇所のみを抽出して描画している。
図11(A)に示す、スイッチング電源901は、スイッチング電源100に対して、トランスT91の補助巻線P2をフォワード電圧出力に変更した方式である。
図11(B)に示す、スイッチング電源902は、スイッチング電源400に対して、トランスT92の補助巻線P2をフライバック電圧出力に変更した方式である。
図11(C)に示す、スイッチング電源903は、スイッチング電源400に対して、トランスT93を2次巻線S1にフォワード電圧を出力するトランスに変更した方式である。コイルL21及びダイオードD22は、2次側平滑用の素子である。
図11(D)に示す、スイッチング電源904は、スイッチング電源903に対して、トランスT94の補助巻線P2をフライバック電圧出力に変更した方式である。
図11(E)に示す、スイッチング電源905は、トランスT95の1次巻線P1の他端に第3のコンデンサである電流共振コンデンサC9が直列に接続された回路がFET1に並列接続されており、FET1及びFET2が直列接続された回路で制御する、電流共振方式のスイッチング電源である。ダイオードD23、D24は、2次巻線S1、S2に誘起された電圧をそれぞれ整流するために用いられるダイオードである。スイッチング電源905は、トランスT95の補助巻線P2に、1次巻線P1に印加された正位相のフォワード電圧を電源電圧Vccの制御に利用する方式である。
図11(F)に示す、スイッチング電源906は、スイッチング電源905に対して、トランスT96の補助巻線P2に、1次巻線P1に印加された負位相のフォワード電圧を電源電圧Vccの制御に利用する方式である。
また、図11(A)〜(F)には、出力電圧Voutをフィードバック制御する方法を示していない。しかし、実施例1〜2で説明した、フィードバック部150、フィードバック部151、フィードバック部152のいずれを適用してもよく、フィードバック方法は限定されない。なお、実施例3で説明した制御方法を適用する場合には、図11(A)〜(F)の回路に対して、補助巻線P2から出力される電圧を平滑するコンデンサC41を追加する必要がある。
図11(A)〜(F)に示すように、実施例1〜実施例3で説明した、FET4を用いた電源電圧Vccの制御方法は、種々の電源装置に適用できる。例えば、スイッチング電源の制御方式やトランスが異なる場合や、補助巻線P2に生じる電圧がフォワード電圧や、フライバック電圧の場合でも、同様に適用できる。以上、変形例においても、軽負荷時の制御部における消費電力を低減させ、軽負荷時の電源の効率を改善することができる。
実施例1〜3で説明した電源装置であるスイッチング電源は、例えば画像形成装置の低圧電源、すなわちコントローラ(制御部)やモータ等の駆動部へ電力を供給する電源として適用可能である。以下に、実施例1〜3のスイッチング電源が適用される画像形成装置の構成を説明する。
[画像形成装置の構成]
画像形成装置の一例として、レーザビームプリンタを例にあげて説明する。図12に電子写真方式のプリンタの一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す。レーザビームプリンタ300は、静電潜像が形成される像担持体としての感光ドラム311、感光ドラム311を一様に帯電する帯電部317(帯電手段)、感光ドラム311に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部312(現像手段)を備えている。そして、感光ドラム311に現像されたトナー像をカセット316から供給された記録材としてのシート(不図示)に転写部318(転写手段)によって転写して、シートに転写したトナー像を定着器314で定着してトレイ315に排出する。この感光ドラム311、帯電部317、現像部312、転写部318が画像形成部である。また、レーザビームプリンタ300は、実施例1〜3で説明した電源装置1400を備えている。なお、実施例1〜3の電源装置1400を適用可能な画像形成装置は、図12に例示したものに限定されず、例えば複数の画像形成部を備える画像形成装置であってもよい。更に、感光ドラム311上のトナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写部と、中間転写ベルト上のトナー像をシートに転写する二次転写部を備える画像形成装置であってもよい。
レーザビームプリンタ300は、画像形成部による画像形成動作や、シートの搬送動作を制御するコントローラ320を備えており、実施例1〜3に記載の電源装置1400は、例えばコントローラ320に電力を供給する。また、実施例1〜3に記載の電源装置1400は、感光ドラム311を回転するため又はシートを搬送する各種ローラ等を駆動するためのモータ等の駆動部に電力を供給する。すなわち、実施例1〜3の負荷は、コントローラ320や駆動部に相当する。実施例4の画像形成装置は、省電力を実現する待機状態(例えば、省電力モードや待機モード)にある場合に、例えばコントローラ320のみに電力を供給する等、負荷を軽くして消費電力を低減させることができる。コントローラ320は、省電力モードに移行したときに、実施例2のスイッチング電源400のフィードバック部151にハイレベルの24VOUTを出力してもよい。すなわち、実施例4の画像形成装置では、省電力モード時に、実施例2、3で説明したスイッチング電源400が軽負荷時の間欠制御を行う。以上、実施例4によれば、軽負荷時の制御部における消費電力を低減させ、軽負荷時の電源の効率を改善することができる。