以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(第1の実施形態)
本発明を適用した印刷装置について説明する。本実施形態においては、印刷装置としてインクジェット方式のプリンタを例示している。なお、印刷装置は、スキャナ、コピー、ファックス等のプリント以外の複数の機能をさらに有する装置(MFP)であっても良いし、プリント機能を有する単機能の装置(SFP)であっても良い。また、印刷装置が利用する印刷方式はインクジェット方式に限定されず、例えば電子写真方式であっても良い。なお、ここでプリント(印刷)とは、インク等の記録剤を用いて、紙等の記録媒体上に画像を形成する処理を示す。
本実施形態の印刷装置は、記録媒体としてのロールシート(用紙)を供給するためのシート供給装置と、そのシートに記録剤によって画像を形成する(印刷する)印刷部と、を備えているものとする。
図8は、印刷装置100が備える制御系の構成例を示すブロック図である。CPU201は、ROM204に記憶された制御プラグラムにしたがって、後述のシート供給装置200、シート搬送部300、および印刷部400を含む印刷装置100の各部を制御する。CPU201には、操作パネル28に対するユーザ操作に基づく種々の設定情報等が入力インターフェイス202を介して入力されるため、CPU201は、入力されたそれらの情報をRAM203に保存する。また、CPU201は、RAM203に保存されている情報を適宜読み出して、読み出した情報を各種処理に用いる。
またCPU201には、シートの先端がシートセンサ6(検知部)やシートセンサ16によって検知されたり、スプール部材2の取り付け位置にスプール部材2が取り付けられていることがロールセンサ32によって検知されたりした場合に検知結果が入力される。検知結果とはすなわち、対象物を検知したことを示す情報である。シートセンサ6及びロールセンサ32からの検知結果が入力されることで、印刷部400へのシートの自動供給の準備が整ったことが示される。そのため、それらの検知結果が入力された場合、CPU201は、加圧駆動モータ34を回転させることにより、アーム部材4に対する押圧力を調整する。またその後、CPU201は、ロール駆動モータ33を回転させることにより、ロールシートRを矢印C1方向に正転させてシート1をシート搬送部300に送り出す。このとき、ロールシートRの側面に下方から当接しているアーム部材4に備えられている従動回転体(圧接体)8,9の作用により、シート1にたるみや歪みが生じることが抑制され、まっすぐシート1が送り出される。なお、本実施形態では、従動回転体8,9はモータ等により直接回転されるのではなく、ロールシートRの回転が伝達されることにより、ロールシートRの回転に伴って回転される。
なお、本実施形態では、片面印刷や両面印刷においてシート1が搬送によって通過する経路を搬送経路という。
なお、ロール駆動モータ33は、ロールシートRを正転および逆転させるためモータであり、ロールシートRを回転駆動可能な駆動機構(回転機構)を構成する。加圧駆動モータ34は、アーム部材4に対する押圧力を調整するために回転カム3aを回転させるモータであり、搬送ローラ駆動用モータ35は、搬送ローラ14を正転および逆転させるためのモータである。
図1のように、印刷装置100は、シート1がロール芯(紙管)に対してロール状に巻回されたものであるロールシートRを、2つのシート供給装置200によって計2本保持することが可能である。それらのロールシートRから選択的に引き出されたシート1に画像がプリントされる。なお、印刷装置100が備えるシート供給装置200の数は2つに限定されず、1つであったり3つ以上であったりしても良い。また、本実施形態では、シート供給装置200を、供給ユニットとしても巻き取りユニットとしても使用可能な形態としているが、供給ユニットとしてのみ使用可能な形態としても良い。また、印刷装置100に巻き取りユニットとしてのみ使用可能な構成が備わっていても良い。
操作パネル28は、ユーザからの各種操作を受け付けるインターフェースモジュールである。ユーザは、操作パネル28に備わる各種のスイッチなどを用いて、印刷装置100に対する各種設定を行うことができる。印刷装置100に対する各種設定とは例えば、シート1のサイズや種類を登録する設定や、印刷装置100をオンライン状態にするか否かの設定、後述する動作モードの切り替えの設定等である。
図2は、印刷装置100の要部の概略断面図である。印刷装置100の内部には、ロールシートRをそれぞれ供給可能な2つのシート供給装置200が配備されている。シート供給装置200によってロールシートRから引き出されたシート1は、シート搬送部(搬送機構)300によって、プリントを実行するためのモジュールである印刷部400に搬送される。印刷部400は、インクジェット方式による印刷を行うためのプリントヘッド18にインクを吐出させることによって、プリントヘッド18に対向して位置するプラテン17上のシート1上に画像を形成する。プリントヘッド18は、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口からインクを吐出する。プリントヘッド18は、電気熱変換素子が用いられている場合には、その発熱によりインクを発泡させることにより生じる発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。
なお上述したように、プリントヘッド18が利用する記録方式はインクジェット方式のみに限定されない。また、本実施形態では、印刷部400によるプリント方式はシリアルスキャン方式であるものとするが、この形態に限定されず、例えば、フルライン方式などであってもよい。シリアルスキャン方式を利用する場合には、印刷部400は、シート1を搬送経路上で所定の距離搬送させた後、シート1の搬送方向と交差する方向にプリントヘッド18を走査することによってシート1上に画像を形成する。そして、印刷部400は、シート1の搬送経路上での所定の距離の搬送と、プリントヘッド18の走査と、を繰り返すことによって画像を形成する。一方、フルライン方式の場合には、印刷部400は、シート1の搬送方向と交差する方向に延在する長尺なプリントヘッド18を搬送経路上に固定し、シート1を連続的に搬送しつつプリントヘッド18にインクを吐出させることで画像を形成する。画像が形成されたシート1は、引き続き搬送が行われることでシート排出口を通り抜けたのち、自重で下側に垂れ下がることになる。
ロールシートRの中空穴部には軸形状のスプール部材2が挿入されている。そして、そのスプール部材2が後述するロール駆動モータによって矢印C1,C2方向に回転駆動される。これにより、ロールシートRは、その中心部が保持されて、矢印C1,C2方向に回転する。なお、C1方向とは、プリントヘッド18に対向する位置である印刷位置におけるシート1の搬送方向と逆向きの方向であり、C2方向とは、プリントヘッド18に対向する位置である印刷位置におけるシート1の搬送方向と同様の方向である。シート供給装置200には、後述するように、駆動部3、アーム部材(移動体)4、アーム回転軸5、第1のシートセンサ6、揺動部材7、従動回転体(圧接体)8,9、分離フラッパー(上側ガイド体)10、およびフラッパー回転軸11が備えられている。
搬送ガイド12は、シート供給装置200から引き出されるシート1を印刷部400に導くための経路を構成するガイドである。搬送ガイド12がシート1の下面を、分離フラッパー10がシート1の上面をガイドするように構成することで、シート1を印刷部400に導くための経路の開口部が、搬送ガイド12及び分離フラッパー10によって形成される。なお、当該開口部は、シート供給装置200に取り付けられる紙管の中心に対して重力方向下側に位置する。搬送ローラ14は、後述する搬送ローラ駆動用モータによって、矢印D1,D2方向に回転する。また、ニップローラ15は、搬送ローラ14と近接している状態である近接状態において搬送ローラ14の回転に応じて従動回転可能である。また、ニップローラ15は、不図示のニップローラ離間モータによって、搬送ローラと離間している状態である離間状態と近接状態とが切り替えられたり、搬送ローラ14とニップローラ15の間でニップされる紙に対するニップ力の調整が行われたりする。なお、搬送ローラ14は、第2のシートセンサ16がシート1の先端を検知したときに回転される。搬送ローラ14によるシート1の搬送速度は、ロールシートRの回転によるシート1の引き出し速度よりも高く設定されており、シート1にバックテンションが与えられる。このような形態とすることで、シート1の弛みを防止し、シート1の折り目の発生や搬送誤差の発生を抑制することができる。
印刷部400のプラテン17は、吸引ファン19により吸引穴17aを通して発生させた負圧によって、シート1の裏面を吸着する。これにより、シート1の位置が規制されてシート1がプラテン17上を沿うように搬送されるため、シート1がプラテン17上で浮くことがなくなり、プリントヘッド18による高精度なプリントを実現することができる。カッタ20(切断部)は、画像が形成されたシート1を、画像が形成された領域の後端において切断する。なお、印刷物に余白が設けられる場合は、画像が形成されたシート1は、画像が形成された領域の後端から余白分だけ後ろの位置において切断される。
また、印刷装置100には、プリントヘッド18からカッタ20までの距離や、プリントヘッド18によって画像が形成された後、画像が形成された領域の後端をカッタ20の位置まで到達させるために必要な搬送距離等が予め設定されている。画像が形成されたシート1は切断されることによってカッタ20の下方に落下するが、ロールシートRのカバー42は、落下するシート1が再びシート供給装置200に戻ることを防止する。なお、このような印刷装置100における各動作は、CPU201によって制御される。
図3(a),(b),(c)は、スプール部材2によって、ロールシートRをシート供給装置200にセットする手順を説明するための図である。スプール部材2は、スプール軸21、摩擦部材22、基準側スプールフランジ23、非基準側スプールフランジ24、およびスプールギヤ25を含む。スプール軸21の一端に、基準側スプールフランジ23が設けられ、その他端に、スプール軸21を回転させるためのスプールギヤ25が取り付けられている。基準側スプールフランジ23と非基準側スプールフランジ24にはそれぞれ摩擦部材22が備えられている。
スプール部材2にロールシートRをセットする際には、まず、スプール軸21にはめ込まれている非基準側スプールフランジ24を取り外してから、スプール軸21をロールシートRの中空穴部に差し込む。スプール軸21の外径は、ロールシートRの中空穴部の内径よりも小さくなるよう構成されている。これにより、スプール軸21をロールシートRの中空穴部に差し込んだ状態でも、スプール軸21とロールシートRの間に隙間が形成されるため、ユーザは軽微な力でスプール軸21をロールシートRの中空穴部に差し込むことができる。スプール軸21がロールシートRの中空穴部に差し込まれると、図3(a)中におけるロールシートRの右側の底部が、基準側スプールフランジ23に接触する。このときに、基準側スプールフランジ23に備わっている摩擦部材22がロールシートRの中空穴部内にはめ込まれる。これにより、摩擦部材22とロールシートRとが接触し、スプール軸21とロールシートRの間に形成されている隙間がなくなるため、スプール軸21とールシートRとを固定することができる。その後、スプール軸21に非基準側スプールフランジ24を通して、非基準側スプールフランジ24の内側の摩擦部材22をロールシートRの中空穴部内にはめ込む。これにより、基準側スプールフランジ23と非基準側スプールフランジ24とでロールシートRを固定することができ、スプール軸21上でロールシートRが左右方向に移動してしまうことを抑制できる。
このようにして、ロールシートRがスプール部材2に取り付けられる。図3(b)は、ロールシートRが取り付けられた状態のスプール部材2を示す図である。その後、このようにしてロールシートRが取り付けられたスプール部材2の両端部を、シート供給装置200のスプールホルダ31にはめ込むことによって、ロールシートRのセットが完了する。図3(c)は、スプール部材2の両端部がスプールホルダ31にはめこまれた状態を示す側面図である。
なお、シート1の巻き取りのために、スプール部材2に紙管27を取り付ける場合は、上述の処理をロールシートRの代わりに紙管27を用いて行えば良い。
スプールホルダ31は、シート供給装置200における、スプール軸21の両端部のそれぞれに対応する位置に設けられている。スプールホルダ31の内面はU字状に形成されており、ユーザは、その開口部側からスプール軸21の端部をはめ込むことができる。スプール部材2がスプールホルダ31にはめ込まれた状態において、スプールギヤ25は、シート供給装置200側の駆動ギヤ30を介して、後述するロール駆動モータに接続される。そのロール駆動モータによって、スプール部材2と共にロールシートRが正転および逆転駆動されることにより、シート1の供給動作および巻取り動作が可能となる。ロールセンサ32は、スプール部材2の有無を検知する。すなわち、ロールセンサ32は、シート供給装置200におけるスプール部材2の取り付け位置にスプール部材2がセットされているか否かを検知する。
<給紙構成の説明>
図4は、上述のようにしてスプール部材2に取り付けられたロールシートRがセットされている状態のシート供給装置200の断面図である。シート供給装置200にセットされたロールシートRからシート1が引き出され、後述の搬送ガイド12及び分離フラッパー10によって構成される、シート1を印刷部400に導くための経路の開口部を経由し、印刷部400に導かれる。なお本実施形態では、2つのシート供給装置200は同一の構成を有しているものとする。
シート供給装置200にセットされたロールシートRからシート1を引き出して、開口部にシート1を導く操作を、従来はユーザが手動で行っていた。具体的には従来ユーザは、まずロールシートRのシート1の先端を探し、探し出した先端を手動で開口部に挿入していた。本実施形態では、シート1を開口部に導く操作をシート供給装置200が自動で実行することで、ユーザによる手動操作を省略できる形態について説明する。なお、シート1を開口部に導く操作をシート供給装置200が自動で実行する機能を、自動給紙機能という。
搬送ガイド12には、回転軸5によって、アーム部材(移動体)4が矢印A1,A2方向に回動可能に取り付けられている。アーム部材4の上部には、ロールシートRから引き出されるシート1の下面をガイドするガイド部4b(下側ガイド体)が形成されている。アーム部材4と駆動部3の回転カム3aとの間には、アーム部材4を矢印A1方向に押圧するねじりコイルばね3cが介在されている。加圧駆動モータ34によって回転カム3aが回転されることにより、ねじりコイルばね3cがアーム部材4を矢印A1方向に押圧する力が変化する。回転カム3aの比較的大径の部分3a―1がねじりコイルばね3cと接したときは、その押圧力が大きくなって、後述するような「強ニップの押圧力」を生じさせる。また、回転カム3aの比較的小径の部分3a―2がねじりコイルばね3cと接したときは、その押圧力が小さくなって、後述するような「弱ニップの押圧力」を生じさせる。回転カム3aの平面部分3a―3がねじりコイルばね3cと接したときには、アーム部材4を矢印A1方向に押圧する押圧力が解除されて、後述する第1および第2の従動回転体がロールシートRから離れる。すなわちシート供給装置200は、アーム部材4を所定の「弱ニップの押圧力」によって押圧する状態と、アーム部材4を所定の「強ニップの押圧力」によって押圧する状態と、アーム部材4の押圧力を解除する状態と、の3段階に切り換え可能に構成されている。また、上記の状態の切り替えは、加圧駆動モータ34が駆動をCPU201が制御することで実現される。
アーム部材4には揺動部材7が揺動自在に取り付けられ、その揺動部材7には、ロールシートRの周方向に沿って位置する第1および第2の従動回転体(回転体)8,9が回転可能に取り付けられている。これらの従動回転体8,9は、アーム部材4に対する矢印A1方向の押圧力によって、ロールシートRの水平方向の中心軸よりも重力方向の下方からロールシートRの外周部に圧接する。その圧接力は、アーム部材4を矢印A1方向に押圧する押圧力に応じて変更される。したがって、駆動部3は、アーム部材4を押圧する押圧機構として機能する。また駆動部3は、従動回転体8,9をロールシートRの外周部から離間させるように、アーム部材4を移動させる移動機構としても機能する。
印刷装置100の本体(プリンタ本体)には、アーム部材4の上方に位置する分離フラッパー10が回転軸11を中心として矢印B1,B2方向に回動可能に取り付けられている。分離フラッパー10は、その自重によってロールシートRを軽く押圧する構成となっている。ロールシートRをさらに強く押圧する必要がある場合には、ばねなどの付勢部材による付勢力を用いてもよい。分離フラッパー10におけるロールシートRとの接触部分には、押圧力がロールシートRに及ぼす影響を抑えるために、従動コロ10aが回転自在に備えられている。なお、本実施形態のような装置構成では、搬送ガイド12及び分離フラッパー10によって構成される、シート1を印刷部400に導くための経路の開口部に、ロールシートRをC1方向に回転させることでロールシートRのシート1の先端を導く。分離フラッパー10がロールシートRを押圧している状態でロールシートRがC1方向に回転することで、ロールシートRの表面から浮いているロールシートRのシート1の先端が、分離フラッパー10の先端の分離部10bに引っ掛かることになる。これにより、ロールシートRからシート1の先端が分離されるため、シート1の先端がロールシートRに巻きついている状態から、シート1の先端が搬送経路上に位置する状態(図4に示す状態)に、ユーザがシート1の先端を探し出すことなく自動で遷移する。また、分離部10bは、ロールシートRからシート1の先端が分離されやすくなるように、ロールシートRの表面に極力近い位置まで延在するように形成されている。
シート1は、従動回転体8,9の上を通ってロールシートRから引き出され、その下面がアーム部材4の上部のガイド部4bによってガイドされてから、分離フラッパー10とアーム部材4との間に形成される経路(供給パス)を通して供給される。このように、ロールシートRの外周部に対して下方から従動回転体8,9を圧接させ、それらの従動回転体8,9の上を通って引き出されるシート1の下面をガイド部4bによってガイドする。これにより、シート1の自重を利用して、シート1をスムーズに供給することができる。また、ロールシートRのロール外径に応じて、従動回転体8,9とガイド部4bが回動することにより、ロールシートRのロール外径に拘らず、ロールシートRからシート1を確実に引き出して搬送することができる。
ロールシートRから引き出されたシート1は、分離フラッパー10の下面10cの下方を通過してから、搬送ガイド12の下面12aの下方(供給パス)を通過することになる。本実施形態では、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置にシート1の先端がある状態でロールシートRをC1方向に回転させることで、シート1を供給パス上に導く操作を印刷装置100が自動で行うことができる。なお具体的には例えば、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置とは、従動回転体8と分離部10bの間である。
シートセンサ6は、シート1の先端の位置を検知するためのセンサである。図5は、図4の断面図のシートセンサ6周辺部分を拡大した図である。シートセンサ6には、LED発光部6cと受光部6dが内蔵されており、LED発光部6cからロールシートRへ向けて照射されたLED光がロールシートR表面で反射し、受光部6dに入射する。これにより、シートセンサ6は、受光部6dに入射した光に応じた出力値を出力する。LED発光部6cからロールシートRへ向けて照射されて受光部6dに入射する光は、入射までに通った経路が長ければ長いほど減衰する。すなわち、シートセンサ6によって出力される出力値は、シートセンサ6からロールシートR表面までの距離(図中、点線の矢印の距離)が長いほど小さくなり、当該距離が短いほど大きくなる。
ロールシートRからシート1の先端が分離されると、シート1の先端が自重でシートセンサ6方向に垂れ下がる。すなわち、シートセンサ6からロールシートR表面までの距離が短くなり、シートセンサ6によって出力される出力値が大きくなる。そこでシートセンサ6は、出力値が大きくなった場合に、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置にシート1の先端があることを検知する。
なお、シートセンサ6の構成は、シートセンサ6とロールシートR(シート先端部1を含む)までの距離によって出力値が変化する形態であれば、LEDによって発光するものでなくともよく、受光部6dにて検出される光も正反射光に限定されるものではない。なお、シートセンサ6はCPU201に接続されており、CPU201は、シートセンサ6によって出力される出力値を任意のタイミングで取得することが可能である。
図6は、シート1を供給パスに自動供給するための処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、CPU201が、プログラムをROM204や不図示の外部記憶装置から読みだしてRAM203にロードし、そのプログラムを実行することにより実現されるものとする。また、本フローチャートが示す処理は、スプール部材2がシート供給装置200にセットされたことがロールセンサ32によって検知された場合に開始されるものとする。なお例えば、本フローチャートが示す処理は、操作パネル28を介してユーザから自動給紙機能の実行が指示された場合等に開始されてもいい。
まずCPU201は、S601にて、シートセンサ6によって得られる出力値のポーリングを開始する。
次にCPU201は、S602にて、ロール駆動モータ33の回転を開始することにより、スプール部材2の巻き取り方向への回転を開始させる。巻き取りの方法が後述する内巻き方法であれば、巻き取り方向はC2方向となり、巻き取りの方法が後述する外巻き方法であれば、巻き取り方向はC1方向となる。なお、ここでは、巻き取りの方法が内巻き方法である例について記載する。
次にCPU201は、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置にシート1の先端を移動させるための制御を実行する。
図7(a)は、シートセンサ6によって出力される出力値の経時変化を示すグラフである。当該グラフの縦軸がシートセンサ6によって出力される出力値であり、横軸が時間経過に伴ってC2方向に回転するロールシートRの回転角度である。なお、CPU201がポーリング開始した時点での回転角度を0度としている。上述したように、シートセンサ6によって出力される出力値は、シートセンサ6からシート先端部1表面までの距離が長いほど小さくなり、当該距離が短いほど大きくなる。CPU201は、シートセンサ6によって出力される出力値の変化をポーリングすることで、シート1の先端がシートセンサ6の上を通過したことを検知することができる。
本実施形態では、閾値TH1を超えた出力値をレベルH(以下レベルH)とみなし、閾値TH1を超えていない出力値をレベルL(以下レベルL)とみなす。閾値TH1は、本判定のためにあらかじめ設定されている値であり、印刷装置100本体あるいはシートセンサ6内部の不揮発性メモリに保存されている。具体的には、閾値TH1は、(H0+L0)/2として設定されている。L0は、シート1の先端が従動回転体8とシートセンサ6の間に位置する状態における出力値である。また、H0は、シート1の先端がシートセンサ6の真上に位置する状態における出力値である。なお、この設定値はセンサのばらつきにより変動するため、個々のセンサごとにロールシートRからの光の反射量に相当するL0、H0を測定し、その値を元に閾値TH1を算出する工程を経て、閾値TH1を決定しても良い。
シート1の先端が分離フラッパーの従動コロ10aを通過したことによってアーム部材4の上に自重落下すると、シート1の先端からロールシートR表面までの距離が短くなるため、出力値がレベルLからレベルHに変化する。図7(a)の例では、出力値が閾値TH1を超えた時点でのロールシートRの回転角度が約170度であることから、ポーリング開始した時点からロールシートRが約170度回転したことで、シート先端部1がアーム部材4の上に自重落下したことがわかる。
また、出力値がレベルLからレベルHに変化した後にもロールシートRのC2方向への回転が継続されて行われると、図7(c)に示すように、シート1の先端がシートセンサ6の上を通過することになる。その場合、シートセンサ6は再びロールシートRの表面からの反射を受光することになるため出力値はレベルHからレベルLへと変化する。シート1の先端がシートセンサ6の上を通過した後は少なくとも、さらにC2方向への回転が継続されてシート先端部1が従動回転体9の上を通過するまで、出力値はレベルLが維持される。
そこでCPU201は、S603にて、シートセンサ6によって得られる出力値が、レベルLからレベルHに変化した後、さらにレベルHからレベルLに変化したか否かを判定する。CPU201は、YES判定の場合は、S606に進む。一方CPU201は、NO判定の場合はS604に進む。
CPU201は、S606では、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化した後、スプール部材2を所定の回転角度A以上、C2方向へ回転させてもシートセンサ6によって得られる出力値がレベルLで維持されたか否かを判定する。所定の回転角度Aはスプール部材2の中心を軸としたときにシートセンサ6と従動回転体9がなす角に相当する角度θ´を元に設定される角度であり、本実施形態では所定の回転角度A=θ´/2として設定される。なお、本判定は例えば、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化した後、スプール部材2を所定の時間以上、C2方向へ回転させてもシートセンサ6によって得られる出力値がレベルLで維持されたか否かを判定する処理でも良い。CPU201は、YES判定の場合は、S104に進み、NO判定の場合は、S105に進む。なお、NO判定がなされるケースとは例えば、ロールシートRから分離されているシート1が波打った形状となっているケースである。このようなケースでは、波打った形状となっているシート1の凸部分で、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化する。しかしその後、シート1の凹部分で、シートセンサ6によって得られる出力値が再びレベルLからレベルHに変化する。すなわち、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化したことが必ずしもシート1の先端がシートセンサ6の上を通過したことに対応しないため、本判定を実行することによって誤検知を抑制する。
S603でNO判定の場合又はS606でNO判定の場合は、CPU201は、S604にて、スプール部材2を所定の角度以上または所定の時間以上回転させたか否かを判定する。CPU201は、YES判定の場合はS605に進み、NO判定の場合は再度S603の処理を実行する。
CPU201は、S605では、エラー処理が実行される。CPU201は具体的にはエラー処理として、シート1の先端を供給パスに導く操作を手動で実行するようにユーザを促すための画面を操作パネル28に表示する。その後処理を終了する。
S606でYES判定の場合は、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化したタイミングが、シート1の先端がシートセンサ6の上を通過したタイミングであることになる。すなわち、シートセンサ6によって得られる出力値がレベルHからレベルLに変化したタイミングにおいて、シート1の先端はシートセンサ6の上(付近)に位置していたことになる。シートセンサ6の上の位置からシート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置までシート1を移動させるために必要な回転角度Bは、装置構成に基づいて予め決定することが可能である。そのため、CPU201は、S607にて、シート1の先端の位置を考慮した回転角度Bだけさらにスプール部材2をC2方向へ回転させ、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置にシート1の先端を移動させる。その後、CPU201は、スプール部材2の回転を停止する。なお、CPU201は例えば、スプール部材2の回転をすばやく停止させることができるようであれば、S606でYES判定がなされた後にさらにスプール部材2を回転させずとも良い。そしてCPU201は、S606でYES判定がなされたタイミングでスプール部材2の回転を停止してもいい。本処理により、シート1が供給パスに自動供給されるための適切な位置にシート1の先端が移動することになる。
続いてCPU201は、S608にて、ロール駆動モータ33の回転を開始することにより、スプール部材2の搬送方向への回転を開始させる。なお搬送方向とは、巻き取り方向の逆方向である。すなわち、巻き取りの方法が内巻き方法であれば、搬送方向はC1方向となる。このとき、シート1の先端は、アーム部材4上に自重落下している。そのため、スプール部材2がC1方向に回転することで、シート1の先端は、ロールシートRから引き出されてアーム部材4に沿って移動し、結果供給パスに導かれる。なお、ロール癖等によりシート1がロールシートRに沿って移動したとしても、分離フラッパー10によってロールシートRの外周面とシート1の先端が分離される(ロールシートRの外周面からシート1の先端が剥離する)。そのため、シート1の先端は供給パスに導かれる。
シート1の先端が供給パスに導かれた後も、CPU201は、スプール部材2をC1方向に回転させ続ける。スプール部材2がC1方向に回転され続けると、シート1の先端がシートセンサ16の上を通過したことがシートセンサ16によって検知される。そして、CPU201は、シートセンサ16から検知結果が入力された場合に、搬送ローラ駆動用モータ35によって搬送ローラ14を矢印D1方向に正転させることにより、シート1を印刷部400まで搬送させる。
このような自動搬送機能によって、シート1の先端を供給パスに導く操作をユーザが手動で実行することを省略させることができる。
なお例えば、スプール部材2がシート供給装置200にセットされていないケースや、ロールシートRが取り付けられてないスプール部材2がシート供給装置200にセットされているケースにおいて自動搬送処理の実行指示が行われることがある。その場合、シートセンサ6の発光部から発せられる光はロールシートRで反射されることがないため、シートセンサ6によって得られる出力値が著しく小さくなる。そのため例えば、CPU201は、シートセンサ6によって得られる出力値が著しく小さい場合にも、エラー処理を実行しても良い。この場合具体的にはCPU201は、スプール部材2を所定の回転角度C以上巻き取り方向へ回転させても、シートセンサ6によって得られる出力値が所定の閾値TH2より小さいレベルで維持されたか否かを判定する。そして、CPU201は、YES判定の場合はエラー処理を実行する。なお、このエラー処理では、S605のエラー処理で表示される画面と異なる画面が操作パネル28に表示されても良い。例えば、スプール部材2やロールシートRの取り付けを行うようにユーザを促すための画面を操作パネル28に表示されても良い。また、その後スプール部材2やロールシートRの取り付けが完了したことを示す入力をユーザから受け付けた場合には、S601からの処理を再度実行しても良い。
<巻き取りに関する説明>
本実施形態では、印刷装置100に後述の「片面巻取り印刷モード」や「両面印刷モード」が設定されている状態では、印刷が行われたシートを2つのシート供給装置200にセットされた紙管27のうち一方に巻き取ることができる。また、この時に用いられる巻き取りの方法として、内巻き方法と外巻き方法とがある。以下でそれらの方法について説明する。なお、本実施形態では、スプール部材2とは別の部材が紙管27として扱われているが、例えば、スプール部材2に直接巻き付ける形態であっても良く、その場合は、スプール部材2が紙管27として扱われる。
図9は、印刷装置100が内巻き方法によって紙管27にシート1を巻き取っている状態を示す図である。内巻き方法とは、シート1における画像が印刷された面が内側になるように、シート1を巻き取る方法をいう。言い換えれば内巻き方法とは、シート1における画像が印刷された面が紙管27に接するように、シート1を巻き取る方法をいう。また、図10は、印刷装置100が外巻き方法によってシート1を巻き取っている状態を示す図である。外巻き方法とは、シート1における画像が印刷された面が外側になるように、シート1を巻き取る方法をいう。言い換えれば内巻き方法とは、シート1における画像が印刷されていない面が紙管27に接するように、シート1を巻き取る方法をいう。
なお以下では、上段のシート供給装置200をシート1の供給ユニット(供給部)として利用し、下段のシート供給装置200をシート1の巻き取りユニット(巻き取り部)として利用する形態を説明するが、この形態に限定されない。すなわち、供給ユニットと巻き取りユニットの関係が逆であってもいい。また、上下のシート供給装置200のそれぞれには、スプール部材2の基準側スプールフランジ23側に取り付けられている不図示のフランジアタッチメントを検知するためのセンサが配備されているものとしても良い。その場合、当該センサによる検知結果に応じて、どちらのシート供給装置200をシート1の供給ユニットとして利用するかが決定される。より具体的には例えば、基準側スプールフランジ23側にフランジアタッチメントが取り付けられているスプール部材がセットされたシート供給装置200がシート供給用として決定される。また、基準側スプールフランジ23側にフランジアタッチメントが取り付けられていないスプール部材がセットされたシート供給装置200がシート巻き取り用として決定される。また、どちらのシート供給装置200をシート1の供給ユニットとして利用するかの決定は、ユーザによって行われる供給ユニットの切り替えスイッチに対する操作に基づいて行われてもよい。
シート1の一方の面に印刷が行われてシート1がシート排出口を通り抜けると、シート1は自重で下側に垂れ下がる。ユーザは、そのようにして垂れ下がっているシート1をシート供給装置200に巻き取るためには、シート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1を固定する必要がある。そのためユーザは、図11に示すようにして、シート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1を、テープ等の接着部材によって固定する。このときユーザは、シート1の先端辺が紙管27の軸と並行になるように固定することで、シート1を歪みなく巻き取らせることが可能となる。なお、紙管27にシート1を固定する方法は、テープ等の接着部材によって固定する方法に限定されない。例えば、紙管27にシート1の先端をニップする構成を設けることで、当該構成によってシート1を紙管27に固定しても良い。
図11(a)は、シート1を内巻き方法で巻き取るための固定方法を示す図である。具体的には、スプール部材2と印刷装置100本体との間を通るようにシート1を移動させた後、シート1における画像が印刷された面が紙管27の表面に接するように、紙管27にシート1をテープ51によって固定する。このようにして紙管27にシート1が固定された状態で、スプール部材2がC2方向に回転することで、紙管27にシート1が内巻きで巻き取られる。
一方、図11(b)は、シート1を外巻き方法で巻き取るための固定方法を示す図である。具体的には、スプール部材における印刷装置100本体側に対して反対側からシート1を巻きつけるようにして、シート1における画像が印刷されていない面が紙管27の表面に接するように、紙管27にシート1をテープ51によって固定する。このようにして紙管27にシート1が固定された状態で、スプール部材2がC1方向に回転することで、紙管27にシート1が外巻きで巻き取られる。
<動作モードに関する説明>
ここで印刷装置100の各動作モードについて説明する。本実施形態では、印刷装置100が動作可能な動作モードは、「片面印刷モード」と、「片面巻取り印刷モード」、「両面印刷モード」の3つがあるものとする。そして印刷装置100は、3つの動作モードのうち印刷装置100に対して設定されている動作モードで動作する。
「片面印刷モード」は、まず、上段もしくは下段のシート供給装置200から引き出されたシート1の第1面(表面)に対して印刷を行うように印刷装置100を動作させる。その後、「片面印刷モード」は、印刷されたシート1をシート供給装置200にセットされたスプール部材2のうちいずれにも巻取ることなく、印刷されたシート1を切断するように印刷装置100を動作させる。
「片面巻取り印刷モード」は、まず、上段もしくは下段のシート供給装置200から引き出されたシート1の第1面(表面)に対して印刷を行うように印刷装置100を動作させる。その後、「片面巻取り印刷モード」は、印刷されたシート1をもう一方のシート供給装置200に巻取るように印刷装置100を動作させる。
「両面印刷モード」は、まず、上段もしくは下段のシート供給装置200から引き出されたシート1の第1面(表面)に対して印刷を行うように印刷装置100を動作させる。その後、「両面印刷モード」は、印刷されたシート1をもう一方のシート供給装置200に巻取るように印刷装置100を動作させる。さらに、「両面印刷モード」は、巻き取ったシート1を再度供給パスに給紙してシート1の第1面の反対の面である第2面(裏面)に対して印刷を行うように印刷装置100を動作させる。
各動作モードは、例えば、操作パネル28を介してユーザ操作が受け付けられることで印刷装置100に設定される。なお、本実施形態では、印刷装置100の電源がONになった直後の初期化状態では、印刷装置100には「片面印刷モード」が設定されているものとする。そのため、ユーザは、「片面印刷モード」以外の動作モードで印刷装置100を動作させたい場合は、操作パネル28を操作する等して、「片面印刷モード」以外の動作モードを印刷装置100に設定する。なお、本実施形態では、操作パネル28以外にも、不図示のモード切り替えスイッチが印刷装置100に備わっているものとする。そして、ユーザは、モード切り替えスイッチを切り替えることで、プリントされたシート1を一方のシート供給装置200に巻取るか否かの設定を切り替えることができる。すなわち、ユーザは、印刷装置100の動作モードを、「片面印刷モード」に設定するか、「片面印刷モード」以外(「片面巻取り印刷モード」か「両面印刷モード」)に設定するかを切り替えることができる。そして、印刷装置100の動作モードを「片面印刷モード」以外に設定するための操作が行われた場合、「片面巻取り印刷モード」と「両面印刷モード」のどちらを印刷装置100に設定するかをユーザに問うための画面が操作パネル28に表示される。ユーザは、当該画面に対して入力を行うことで、「片面巻取り印刷モード」か「両面印刷モード」を印刷装置100に設定することができる。
このような形態とすることで、ユーザは、印刷装置100に動作モードを設定し、設定した動作モードによって印刷装置100に印刷を実行させることができる。
なお、例えば、印刷装置100の動作モードが変更された状態で、印刷装置100の電源がOFFされる場合は、CPU201は、印刷装置100の電源がOFFされる前に変更後の動作モードをROM204等に記憶しても良い。これによりCPU201は、その後印刷装置100の電源がONされた場合には、初期状態においても、変更後の動作モードを印刷装置100に設定させても良い。
なお、ここでは、印刷装置100が印刷指示を受け付けた時に印刷装置100に設定されている動作モードに基づいて印刷が行われる形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば印刷ジョブに、いずれの動作モードで印刷を行わせるかを指示するための印刷設定情報が含まれる場合には、当該印刷設定情報の内容に対応する動作モードに基づいて印刷が行われる形態であっても良い。
<「片面印刷モード」による印刷に関する説明>
図12は、「片面印刷モード」が設定されている状態で印刷装置100が実行する印刷処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、CPU201が、プログラムをROM204や不図示の外部記憶装置から読みだしてRAM203にロードし、そのプログラムを実行することにより実現されるものとする。また本フローチャートが示す処理は、初期化処理やユーザ操作によって、印刷装置100に「片面印刷モード」が設定されている状態で開始されるものとする。
まずCPU201は、S1201にて、印刷指示を受け付ける。なお、印刷指示とは、操作パネル28等を介してユーザから直接的に印刷装置100に行われる、印刷処理の実行指示のための操作のことであっても良い。また、印刷装置100の外部の装置から無線通信や有線通信を介して受信する印刷ジョブのことであっても良い。
続いてCPU201は、S1202にて、シートセンサ16によって、シート1が検知されているか否かを判定する。なお、シート供給装置200に取り付けられているロールシートRから、上述の自動給紙機能によってシート1が引き出されていれば、シートセンサ16によってシート1が検知されている。なおこの判定は例えば、上段のシート供給装置200に備わっているロールセンサ32によって、スプール部材2の取り付け位置にスプール部材2が取り付けられていることが検知されているか否かを判定することによって行われてもいい。また例えば、上段のシート供給装置200に備わっているシートセンサ6によって、シート1が検知されているか否かを判定することによって行われてもいい。CPU201は、YES判定の場合は、S1204に進み、NO判定の場合は、S1203に進む。
CPU201は、S1203では、上段のシート供給装置200に対するロールシートRの取り付けをユーザに指示する。CPU201は、具体的には例えば、上段のシート供給装置200に対するロールシートRの取り付けを指示するための画面を操作パネル28に表示する。その後、CPU201は、再びS1202に進む。
続いて、CPU201は、S1204では、シート1を適宜搬送しながら、シート1の表面上のプリントヘッド18に対向する領域に、印刷指示に基づく画像をプリントヘッド18によって形成する。なおCPU201は、印刷装置100に「片面印刷モード」が設定されている状態では、シート1の先端からシート1上の画像が形成される位置までの間に余白を設けないか、または、小さい領域しか余白を設けない。これによりCPU201は、シート1の無駄を抑制することにすることができる。
続いて、CPU201は、シート1上の画像が形成された領域の後端部が、搬送によってカッタ20の位置まで到達すると、S1205にて、カッタ20によってシート1を切断する。これにより、画像が形成されたシート1が自重で落下し、バスケット62に収納される。なおここでは、画像毎にシート1が切断されるため、複数の画像がシート1に印刷されている場合、複数回の切断が行われる。また、シート1の切断と並行して、プリントヘッド18による後続の画像の印刷が並行して行われても良い。
<「片面巻き取り印刷モード」による印刷に関する説明>
図13は、「片面巻き取り印刷モード」が設定されている状態で印刷装置100が実行する印刷処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、CPU201が、プログラムをROM204や不図示の外部記憶装置から読みだしてRAM203にロードし、そのプログラムを実行することにより実現されるものとする。また本フローチャートが示す処理は、ユーザ操作等によって、印刷装置100に「片面巻き取り印刷モード」が設定されている状態で開始されるものとする。また、本実施形態では、上段のシート供給装置200を供給ユニットとし、下段のシート供給装置200を巻き取りユニットとして印刷を行う形態について説明する。
上述したように、印刷が行われたシート1を下段のシート供給装置200に巻き取るためには、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1の先端を固定する必要がある。そのため、まずCPU201は、S1301にて、シート1の搬送指示を、操作パネル28や不図示の物理ボタン等を介してユーザから受け付ける。
続いてCPU201は、S1302にて、シートセンサ16によって、シート1が検知されているか否かを判定する。この判定の詳細は、S1202の処理と同様である。なおこの判定は例えば、上段のシート供給装置200に備わっているロールセンサ32によって、スプール部材2の取り付け位置にスプール部材2が取り付けられていることが検知されているか否かを判定することによって行われてもいい。また例えば、上段のシート供給装置200に備わっているシートセンサ6によって、シート1が検知されているか否かを判定することによって行われてもいい。CPU201は、YES判定の場合は、S1304に進み、NO判定の場合は、S1303に進む。
CPU201は、S1303にて、上段のシート供給装置200に対するロールシートRの取り付けをユーザに指示する。この判定の詳細は、S1203の処理と同様である。その後、CPU201は、再びS1302に進む。
CPU201は、S1304にて、下段のシート供給装置200に備わっているロールセンサ32によって、スプール部材2の取り付け位置にスプール部材2が取り付けられていることが検知されているか否かを判定する。CPU201は、YES判定の場合は、S1306に進み、NO判定の場合は、S1305に進む。なおCPU201は、YES判定の場合はさらに、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2にロールシート1が取り付けられているか否かを判定してもいい。そしてCPU201は、NO判定の場合は、S1306に進む。またCPU201は、YES判定の場合は、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2からロールシート1を取り外すことや、スプール部材2に対する紙管27の取り付けをユーザに指示するための画面を操作パネル28に表示しても良い。なお、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2にロールシート1が取り付けられているか否かの判定は、例えば、ロールセンサ32やシートセンサ6による出力値の大きさを検知することによって行われる。そしてCPU201は、指示に基づいた操作が行われたことを示す入力が行われたら、S1306に進む。
CPU201は、S1305にて、下段のシート供給装置200に対するスプール部材2の取り付けをユーザに指示する。CPU201は、具体的には例えば、下段のシート供給装置200に対するスプール部材2の取り付けを指示するための画面を操作パネル28に表示する。なおこのとき、下段のシート供給装置200に対するスプール部材2の取り付けだけでなく、スプール部材2に対する紙管27の取り付けが指示されても良い。その後、CPU201は、再びS1304に進む。
下段のシート供給装置200のアーム部材4が紙管27に対して圧接した状態であると、アーム部材4が、シート1の先端を紙管27に固定するための操作の妨げになる。そのため、CPU201は、S1306にて、アーム部材4を紙管27から離間する位置に移動させる。
続いて、CPU201は、S1307にて、印刷部400による印刷を実行する前に、シート1の先端が下段のシート供給装置200に到達するように、シート1を搬送させる。このようにしてシート1が搬送されたら、ユーザは、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1の先端を固定する。このときCPU201は、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1の先端を固定することをユーザに指示するための画面を操作パネル28に表示してもいい。なお、印刷装置100に「片面巻き取り印刷モード」が設定されている状態では、シート1の先端の固定方法は、内巻き方法のためのものであっても、外巻き方法のためのものであってもよい。これにより、シート1の先端から、シート1上の画像が形成される領域までの間に所定の長さL1の余白が形成されることになる。なお、所定の長さL1とは、シート1の搬送経路における、プリントヘッド18に対向する位置からシート1の先端が固定された位置までの長さである。
続いて、CPU201は、S1308にて、シート1の先端の固定が完了したことを示す入力を、操作パネル28等を介してユーザから受け付ける。
続いて、CPU201は、S1309にて、印刷指示を受け付ける。この処理はS1201の処理と同様である。
続いて、CPU201は、S1310にて、内巻き検知処理(内巻き判定処理)を実行する。内巻き検知処理とは具体的には、内巻き検知センサ50によって、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されているか否かを判定する処理である。これは、巻き取り方法によってスプール部材2を回転させる方向が異なるため、CPU201は、どちらの巻き取り方法を用いるべきかを特定する必要があるからである。CPU201は、YES判定の場合は、内巻き方法によってシート1を巻き取ることを特定してS1313に進み、NO判定の場合は、外巻き方法によってシート1を巻き取ることを特定してS1311に進む。
以下、内巻き検知処理の詳細を説明する。
図15(b)は、内巻き方法のための固定方法で、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2にシート1の先端がテープ51を用いて固定された状態のシート供給装置200を示す図である。図15(a)、(c)は、外巻き方法のための固定方法で、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2にシート1の先端がテープ51を用いて固定された状態のシート供給装置200を示す図である。内巻き方法のための固定方法とは、図11(a)に示すような固定方法であり、外巻き方法のための固定方法とは、図11(b)に示すような固定方法である。
発光部(不図示)と受光部(不図示)を備える内巻き検知センサ50は分離フラッパー10に搭載されている。内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されている状態で発光部が発光すると、図15(b)に示すように発光部の近くに(パスPB上に)シート1が位置する。そのため、発光部から放たれた光はシート1で反射され、反射された光を受光部が受けることになる。すなわち、内巻き検知センサ50から出力される出力値として、大きな値が得られる。そこで、CPU201は、内巻き検知センサ50から出力される出力値が所定の閾値以上である場合に、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されていると判定する。
一方、外巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されている状態で発光部が発光すると、図15(c)に示すように発光部から離れた場所に(パスPA上に)シート1が位置する。そのため、発光部から放たれた光はシート1に届く前に拡散しシート1で反射されないため、反射された光を受光部が受け付けない。すなわち、内巻き検知センサ50から出力される出力値として、小さな値が得られる。そこで、CPU201は、内巻き検知センサ50から出力される出力値が所定の閾値未満である場合に、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されていないと判定する。
なお、内巻き検知センサ50は、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定される場合にシート1が通る経路を検知可能なように配置される。また、内巻き検知センサ50は、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されている場合といない場合とで、内巻き検知センサ50から出力される出力値の差分が大きくなるような位置に配置されることが好ましい。具体的には例えば、外巻き方法のための固定方法でシート1の先端が固定されている場合に、紙管27で反射した光を受光部が受けつけないような位置に内巻き検知センサ50が配置されることが好ましい。
また、ロールシートRとして、8インチ〜60インチ幅のシートが一般的に用いられる。そのため、内巻き検知センサ50がシート供給装置200に取り付けられる位置は、スプール部材にいずれの幅のシートが取り付けられた場合にも内巻き検知処理が実行可能な位置であることが好ましい。なおここでは、シート供給装置200に取り付け可能なロールシートRの幅の中で最小の幅を最小ロールシート幅L8Aといい、シート供給装置200に取り付け可能なロールシートRの幅の中で最大の幅を最大ロールシート幅L8Bという。なお、最小の幅は本実施形態では8インチであり、最大の幅は本実施形態では60インチである。
図16は、スプール部材2の正面図である。図16を用いて、内巻き検知センサ50の図中X方向の位置について述べる。上述したように、本実施形態ではユーザは、スプール部材2にロールシートRを取り付ける際、基準側スプールフランジ23にロールシートRの図中右側の底面が接触するまで、スプール軸21をロールシートRの中空穴部に差し込む。そのため、スプール部材2に取り付けられたロールシートRは、いずれの幅のシートであっても、基準側スプールフランジ23のすぐ内側に位置することになる。スプール部材2における、基準側スプールフランジ23の位置からスプール部材2の内側方向に最小ロールシート幅L8Aの長さ離れた位置を位置Aとする。本実施形態では、スプール部材2における、基準側スプールフランジ23の位置と、位置Aとの間の領域を検知可能な位置に内巻き検知センサ50が設けられる。具体的には、下段の紙管の中心に対して、重力方向上側且つ、印刷装置100の背面側に内巻き検知センサ50が設けられる。なお、内巻き検知センサ50は、上記領域のすべてでなく少なくとも1部の領域を検知可能であればいい。
基準側スプールフランジ23の位置からスプール部材2の内側方向に最大ロールシート幅L8Bの長さ離れた位置を位置Bとする。例えば、位置Aと、位置Bとの間の領域しか検知できない位置に内巻き検知センサ50が設けられた場合、内巻き検知センサ50は、最小ロールシート幅L8AのロールシートRを検知することができない。本実施形態は、シート供給装置200における上述のような位置に内巻き検知センサ50が設けられることで、ロールシートRの幅がいずれであっても、内巻き検知処理が実行可能となる。
なお例えば、スプール部材2にロールシートRを取り付ける際、ロールシートRの底面が接触させられる位置が基準側スプールフランジ23以外の位置である場合もある。そのような場合、内巻き検知センサ50が設けられる位置は、ロールシートRの底面が接触させられる位置に応じて決定されれば良い。具体的には例えば、スプール部材2における、ロールシートRの底面が接触させられる位置と、ロールシートRの底面が接触させられる位置からスプール部材2の内側方向に最小ロールシート幅L8Aの長さ離れた位置との間の領域を検知可能な位置である。また、例えば、ロールシートRがスプール部材2の略中心に取り付けられる形態であれば、内巻き検知センサ50が設けられる位置は、スプール部材2における略中心の領域を検知可能な位置であれば良い。このように、スプール部材2に取り付けられるロールシートRの位置に応じた適切な位置に内巻き検知センサ50が設けられれば良い。
CPU201は、S1311では、シート1を適宜搬送しながら、シート1の表面上のプリントヘッド18に対向する領域に、印刷指示に基づく画像をプリントヘッド18によって形成する。また同時にCPU201は、下段のスプール部材2をC1方向に回転させることで、印刷が行われたシート1を外巻き方法によって下段の紙管27に巻き取る。
続いて、CPU201は、シート1上の画像が形成された領域の後端部が、搬送によってカッタ20の位置まで到達すると、S1312にて、カッタ20によってシート1を切断する。そして、CPU201は、下段のスプール部材2をさらにC1方向に回転させることで、印刷が行われたシート1をすべて下段の紙管27に巻き取る。その後処理を終了する。
CPU201は、S1313では、シート1を適宜搬送しながら、シート1の表面上のプリントヘッド18に対向する領域に、印刷指示に基づく画像をプリントヘッド18によって形成する。また同時にCPU201は、下段のスプール部材2をC2方向に回転させることで、印刷が行われたシート1を内巻き方法によって下段の紙管27に巻き取る。また、CPU201は、内巻き方法でシート1を巻き取る際には、シート1を巻き取ることで形成されるロールシートRにアーム部材4を当接させる。これにより、シート1にたるみや歪みが生じることを抑制してシート1を巻き取ることができる。なお、本実施形態では外巻き方法でシート1を巻き取る際には、シート1を巻き取ることで形成されるロールシートRにアーム部材4を当接させない。これは、印刷が行われた面にアーム部材4が当接されると、形成された画像に影響が及ぼされるおそれがあるためである。
続いて、CPU201は、シート1上の画像が形成された領域の後端部が、搬送によってカッタ20の位置まで到達すると、S1314にて、カッタ20によってシート1を切断する。そして、CPU201は、下段のスプール部材2をさらにC2方向に回転させることで、印刷が行われたシート1をすべて下段の紙管27に巻き取る。その後処理を終了する。
このような形態とすることで、表面に印刷が行われたシート1を紙管27に巻き付けることができる。
なお、片面巻取り印刷モードでの印刷処理は上述の形態に限定されない。
例えば、上述では、シート1の先端からシート1上の画像が形成される位置までの間に所定の長さL1分の余白を設ける形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば、片面印刷モードでの印刷処理と同様に、シート1の先端からシート1上の画像が形成される位置までの間に余白を設けないか、または、小さい領域しか余白を設けない形態であっても良い。この場合、ユーザは、シート1上の所定の長さL1分の領域に印刷が行われた後にシート1の先端を紙管27に固定する。
また、上述では、内巻き検知処理の結果に応じて、用いる巻き取り方法を自動で切り替える形態について説明したが、この形態に限定されない。例えば、CPU201は、操作パネル28や不図示の切り替えボタン等に対する操作によって、ユーザからどちらの巻き取り方法を用いるかの入力を受け付け、受け付けた入力に応じた巻き取り方法によってシート1を巻き取っても良い。なお、CPU201は、例えばユーザから、どちらの巻き取り方法を用いるかの入力を受け付けている場合、用いられる巻き取り方法に応じて、印刷前にシート1に設けられる余白の長さである所定の長さL1を切り替えても良い。具体的には、内巻き方法が用いられる場合の所定の長さL1の方が、外巻き方法が用いられる場合の所定の長さL1より大きくなるように制御しても良い。
また、CPU201は、どちらの巻き取り方法を用いるかの指示の受け付けと、内巻き検知処理の両方を実行しても良い。その場合、CPU201は、指示に応じた巻き取り方法と、内巻き検知処理によって特定される巻き取り方法とが一致した場合に、一致した巻き取り方法によってシート1を巻き取る。またCPU201は、指示に応じた巻き取り方法と、内巻き検知処理によって特定される巻き取り方法が異なる場合には、それを示すエラー画面を操作パネル28に表示して、巻き取り方法が一致するまで印刷及び巻取りを実行しない。
<「両面印刷モード」による印刷に関する説明>
図14は、「両面印刷モード」が設定されている状態で印刷装置100が実行する印刷処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、CPU201が、プログラムをROM204や不図示の外部記憶装置から読みだしてRAM203にロードし、そのプログラムを実行することにより実現されるものとする。また本フローチャートが示す処理は、ユーザ操作等によって、印刷装置100に「両面印刷モード」が設定されている状態で開始されるものとする。また、本実施形態では、上段のシート供給装置200を供給ユニットとし、下段のシート供給装置200を巻き取りユニットとして印刷を行う形態について説明する。
S1401〜S1405までの処理は、S1301〜S1305までの処理と同様であるため説明を省略する。
CPU201は、S1406にて、S1306と同様にしてアーム部材4を紙管27から離間するポジションに移動させる。この状態の印刷装置100の断面図を、図17(a)に示す。
続いて、CPU201は、S1407にて、印刷部400による印刷を実行する前に、シート1の先端が下段のシート供給装置200に到達するように、シート1をさらに搬送させる。なお本実施形態ではCPU201は、後述する理由により、印刷装置100に「両面印刷モード」が設定されている状態では、内巻き方法でシート1を紙管27に巻き取る必要がある。そのためこのようにしてシート1が搬送されたら、ユーザは、内巻き方法のための固定方法で(すなわち、図11(a)に示すような固定方法で)、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2に取り付けられた紙管27にシート1の先端を固定する。なお、内巻き方法のための固定方法とは、図11(a)に示すような固定方法である。このときCPU201は、下段の紙管27にシート1の先端を内巻き方法のための固定方法で固定するようユーザに指示するための画面を操作パネル28に表示してもいい。シート1が内巻き方法のための固定方法で下段の紙管27に固定されている状態の印刷装置100の断面図を、図17(b)に示す。
S1408、S1409の処理は、S1308、S1309の処理と同様であるため説明を省略する。
本実施形態ではCPU201は、印刷装置100に「両面印刷モード」が設定されている状態では、両面印刷を実行する。両面印刷とは、一方の面(表面)に印刷が行われたシート1を巻き取った後、シート1の印刷が実行されていない面(裏面)がプリントヘッド18に対向するようにシート1を印刷部400に再供給することで、シート1の裏面に印刷を行う印刷方法である。なお本実施形態では、図17(d)に示すような構成において、シート1が下段の紙管27に巻き取られた状態で下段のスプール部材2をC1方向に回転させることで、巻き取られたシート1を再度印刷部400に供給する。そのため本実施形態ではCPU201は、印刷装置100に「両面印刷モード」が設定されている状態では、シート1を内巻き方法で巻き取るように制御する。しかしユーザが操作を誤り、外巻き方法のための固定方法によって、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2にシート1の先端を固定してしまうことがある。
図15(a)は、外巻き方法のための固定方法で、下段の紙管27にシート1の先端がテープ51によって固定されている状態で、内巻き方法によるシート1の巻き取りが実行された場合のシート供給装置200の状態を示す図である。なお、外巻き方法のための固定方法とはすなわち、図11(b)に示すような固定方法である。本実施形態では、CPU201は、内巻き方法でシート1を下段の紙管27に巻き取る場合は、下段のスプール部材2をC2方向に回転させる。しかしながら、シート1の先端が外巻き方法のための固定方法で紙管27に固定されている状態でスプール部材2がC2方向に回転すると、テープ51を紙管27からはがすための方向の力がテープ51に対して加わることになる。そのため、上述のようにしてスプール部材2が回転すると、図15(a)において点線で示すテープ51の状態51a及び状態51bを経て、テープ51が紙管27からはがれてしまうという課題がある。また、外巻き方法のための固定方法が用いられているからといって外巻き方法でシート1の巻取りが行われてしまうと、スプール部材2を回転されても供給パスにシート1がうまく導かれず、印刷部に適切にシート1が供給されないという課題がある。
上述のような課題が発生することを抑制するために、本実施形態ではCPU201は、S1410にて、内巻き検知処理を実行する。内巻き検知処理の詳細は、片面巻取り印刷モードにおける印刷処理の説明にて述べたものと同様である。CPU201は、内巻き検知処理における判定がYES判定の場合は、S1412に進み、内巻き検知処理における判定がNO判定の場合は、S1411に進む。
CPU201は、S1411にて、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端を下段の紙管27に固定するようユーザに指示する。具体的にはCPU201は、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端を下段の紙管27に固定するようユーザに指示するための画面(図22に示すような画面)を、操作パネル28に表示する。その後、CPU201は、S1410に戻る。図22において、指示画面220には、例えば、領域221〜224が含まれる。領域221は、内巻き方法のための固定方法でシート1の先端を下段の紙管27に固定するようユーザに指示するためのメッセージを示す領域である。領域222は、内巻き方法のための固定方法によってシート1の先端が固定された場合にユーザから入力を受け付けるための領域である。CPU201は、領域222に対する入力をユーザから受け付けた場合にS1410に進む。領域223は、両面印刷をキャンセルするための入力をユーザから受け付けるための領域である。CPU201は、領域223に対する入力をユーザから受け付けた場合に両面印刷を実行せずに処理を終了する。領域224は、内巻き方法のための固定方法を図示するための領域である。
CPU201は、S1412にて、印刷部400による印刷を実行する前に、シート1をさらに搬送させ、シート1をスプール部材2に一部巻き取る。
S1412の処理の詳細について説明する。本実施形態では、シート1の巻き取りのために、シート1の先端が下段の紙管27にテープ51によって固定されるが、裏面印刷時にはシート1の進行方向が表面印刷時と逆になり、下段の紙管27に固定されているのはシート1の後端となる。
本実施形態では、シート1の後端が固定されている状態で、シート1の印刷部400への供給が行われる。このような形態では、シート1上の、後端から所定の長さLPの領域が、印刷部400まで搬送されないため印刷部400によって印刷されないという課題がある。所定の長さLPとは、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路におけるスプール部材2の位置から印刷部400の位置までの長さである。また、本実施形態では両面印刷は、シート1上の両面印刷が実行された領域の後端部がカッタ20によって切断されることで完了する。シート1の後端が固定されている形態では、シート1上の、後端から所定の長さLCの領域が、カッタ20まで搬送されないためカッタ20によって切断されないという課題がある。所定の長さLCとは、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路におけるスプール部材2の位置からカッタ20の位置までの長さである。
本実施形態では、このように、シート1の後端が固定されている形態では印刷や切断されない領域が生じることを考慮して、シート1上の印刷が実行された領域の後端部がカッタ20の位置及び印刷部400まで届くようにする。そのために、S1412にて、シート1の先端からシート1上の画像が形成される領域の先端までの長さが、少なくとも長さL2以上となるように、シート1がさらに搬送される。すなわち、シート1の先端からシート1上の画像が形成される位置までの間に、長さL2以上の余白領域が設けられる。下段にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路において印刷部400の位置がカッタ20の位置よりも上流側であれば、長さL2とは、上記の搬送経路におけるスプール部材2の位置からカッタ20の位置までの長さである。下段にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路においてカッタ20の位置が印刷部400の位置よりも上流側であれば、長さL2とは、上記の搬送経路におけるスプール部材2の位置から印刷部400の位置までの長さである。
なお、下段の紙管27からシート1の後端をはがすために裏面印刷時に無理にシート1を搬送させると、シート1が破れたり、下段の紙管27からはがれたテープ51がシート1に張り付いたまま印刷が行われたりすることがある。本実施形態のように余白を設けることで、シート1の後端を下段の紙管27に固定したまま両面印刷を完了することができるようになるため、このような課題が生じることを抑制することもできる。
図18(a)〜(f)は、上段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路(表面の印刷のためのシート1の搬送経路)を模式的に直線で示した図である。図18(g)〜(i)は、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路(裏面の印刷のためのシート1の搬送経路)を模式的に直線で示した図である。
まず、上段のシート供給装置200からシート1が引き出されると、図18(a)の状態を経て、図18(b)のようにして、下段の紙管27にシート1がテープ51によって固定される(S1407)。すなわちこのとき、少なくともL1Aの長さの余白が設けられるようにシート1が搬送されている。L1Aの長さとは、上段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2から搬送されるシート1の搬送経路における、プリントヘッド18から下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2の位置までの長さである。
そこでCPU201は、S1412では、図18(c)に示すようにして、L2−L1Aに相当する長さであるL1Bの長さ以上のシート1を印刷を実行する前にさらに搬送することで、シート上にL2以上の長さの余白を設ける。本実施形態では、両面印刷を実行するためには少なくともL2より長い量のシート1が必要であるため、L2、L1A、L1B及び上段のシート供給装置200にセットされているロールシートRの残量L3のそれぞれは以下の関係を満たす必要がある。
L2≦L1A+L1B<L3
CPU201は、上段のシート供給装置200にセットされているロールシートRの残量L3を検知可能であるため、各値が上記の関係を満たさないことを判定した場合は、操作パネル28等に警告画面等を表示して、動作を停止する。なお、L1A、L1B、L2の値は、搬送経路長によって決まるものであり、製品毎に異なっていてもいい。そのため、各値は、図示しない本体内メモリ等に予め記憶されているものとし、必要な時に呼び出されて上述の判定に使用される。なお、印刷装置100の装置構成が仮に、余白量L1AがL1A>L2の関係になるような構成であれば、CPU201は、S1412でさらにシート1を搬送する必要は無い。また、印刷装置100の装置構成が仮に、余白量L1AがL1A<L2の関係になるような構成であれば、各モードにおいてシート1の先端に生じさせる余白の大小関係は、「片面印刷モード」≦「片面巻取り印刷モード」<「両面印刷モード」となる。
続いて、CPU201は、S1413にて、プリントヘッド18をキャリッジによって走査しながら、印刷部400まで搬送されたシート1の表面上のプリントヘッド18に対向する領域に、印刷指示に基づく画像を形成する。なおこのとき、上述のようにしてシート1が搬送された状態で印刷が開始されるため、シート1の先端からシート1上の画像が形成される位置までの間には、L2に相当する長さの余白が設けられることになる。また、CPU201は、印刷指示に基づいて複数の画像を印刷することを指示されている場合、カッタ20によってシート1を切断せずに、当該複数の画像を連続してシート1上に印刷する。そのため印刷が進行すると、搬送経路上のシート1の状態は、図18(d)に示すような状態となる。また、印刷に伴って下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2を回転させることで、搬送ローラ14によって搬送されるとともに片面印刷が行われたシート1をスプール部材2に巻き付けることができる。なお、ロール駆動モータ33の駆動に使われるトルクは搬送ローラ駆動用モータ35駆動に使われるトルクに対して十分低く設定されている。そのため、搬送ローラ14によるシート1の搬送とスプール部材2に対するシート1の巻き付けとが同時に行われても、搬送ローラ14によるシート1の搬送の精度に対する影響はない。印刷を行っている状態の印刷装置100の断面図を、図17(c)に示す。
続いて、CPU201は、S1414にて、デカール処理を実行する。デカール処理とは、ロールシートRから引き出されたシート1のカール癖を小さくするための処理である。図19(a)は、デカール処理を実行せずにシート1を切断して、スプール部材2に巻きつけた場合の下段のシート供給装置200の状態を示す図である。デカール処理を実行しない場合、ロールシートRから引き出されたシート1の後端部分には矢印Aで示すカール癖が残る。この状態で、両面印刷のためにシート1が供給パスに供給されると、カール癖によって曲がっているシート1が分離フラッパー10やアーム部材4等にぶつかり、図19(b)で示すように供給パス内でシート1が詰まるおそれがある。本実施形態ではこの課題の解決手段として、デカール処理を実行する。
図20と図21を用いて、デカール処理について詳しく説明する。図21は、印刷装置100が実行するデカール処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、CPU201が、プログラムをROM204や不図示の外部記憶装置から読みだしてRAM203にロードし、そのプログラムを実行することにより実現されるものとする。また、本フローチャートが示す処理は、図14のS1414に対応する処理である。また、本フローチャートが示す処理は、プリントヘッド18によって、シート1の片面に対する印刷が完了した時点で開始されるものとする。
図20(a)は片面印刷が終了した時点の印刷装置100の状態を示す図である。図20では、ロールシートRから引き出されたシート1に関して、既に片面に対して印刷が行われている部分は実線で示し、まだ印刷が行われていない部分は破線で示す。
まずCPU201は、S2101にて、シート1上における印刷が行われた領域の後端部までシート1がロール状に巻き取られた状態となるまで、搬送ローラ14によるシート1の搬送と下段のシート供給装置200によるシート1の巻き取りを実行する。この時の印刷装置100の状態を図20(b)に示す。
続いてCPU201は、S2202にて、搬送ローラ14によるシート1の搬送を停止した状態で、下段のシート供給装置200にセットされているスプール部材2を図中T方向に回転させるようにロール駆動モータ33を駆動させる。この時の印刷装置100の状態を図20(c)に示す。このとき、搬送ローラ14によるシート1の搬送の搬送が停止されているためスプール部材2は実際にはほぼ回転することはない。しかし、図中T方向に回転させるための力がスプール部材に加わっているため、スプール部材2に巻かれているシート1に所定のテンションがかかる。これにより、シート1の矢印A方向のカール癖は、下段のシート供給装置200に形成されているロールのカールにならって矯正されるため、シート1の矢印A方向のカール癖は低減する。
続いて、CPU201は、S2103にて、図20(d)に示すように、シート1上における印刷が行われた領域の後端部がカッタ20の位置に移動するまでシート1を逆搬送(バックフィード)する。なおこの際、下段のシート供給装置200に形成されているロールがほぐれないように、アーム部材4をロールに圧接させる。
このように、片面印刷が行われたシート1を印刷部400に再給紙する前にデカール処理を行うことで、供給パス内でシート1が詰まる可能性を低減できる。
なお、シート1のカール癖は、シート1の剛度が高いほど強い。そこで、シート1の剛度や紙種に応じて、デカール処理に用いられるパラメータを変化させる形態としてもいい。例えば、シート1が剛度が高い紙種であれば、ロール駆動モータ33の駆動力を大きくし、S2102においてシート1にかけるテンションを高くする。また、例えば、S2102においてシート1にテンションをかける時間を長くする。一方例えば、シート1が剛度が低い紙種であれば、ロール駆動モータ33の駆動力を小さくし、S2102においてシート1にかけるテンションを小さくする。また、例えば、S2102においてシート1にテンションをかける時間を短くする。また、例えば、デカール処理自体を省略する。
また、シート1のカール癖は、シート1の引き出し元のロールシートRの巻き径が小さくなるほど強い。なおCPU201は、ロールシートRの巻き径を、シート供給装置200に備えられている回転エンコーダを利用して演算で求めることができる。そこで、ロールシートRの巻き径が小さい場合においては、ロール駆動モータ33の駆動力を大きくし、S2102においてシート1にかけるテンションを高くする。また、例えば、S2102においてシート1にテンションをかける時間を長くする。一方例えば、ロールシートRの巻き径が大きい場合においては、ロール駆動モータ33の駆動力を小さくし、S2102においてシート1にかけるテンションを小さくする。また、例えば、S2102においてシート1にテンションをかける時間を短くする。また、例えば、デカール処理自体を省略する。
なお、片面印刷モードや片面巻き取りモードでの印刷では、両面印刷のためにシート1が供給パスに供給されることがないため、デカール処理が実行される必要はない。そのため、本実施形態では、両面印刷モードでの印刷時のみ、デカール処理が実行される形態とする。このような形態とすることで、片面印刷モードや片面巻き取りモードでの印刷ではデカール処理を省略して印刷をすばやく完了させることができる。
また、デカール処理は上述した形態に限定されず、デカールのためのローラを用いる形態等、シート1のカール癖を抑制するための処理であればどのような処理であっても良い。また、デカール処理が実行されるタイミングも上述の形態に限定されない。少なくとも片面印刷が行われたシート1が印刷部400に再給紙する前にデカール処理が実行されれば良く、例えば、シート1の巻き取りの前に行われても、シート1の巻き取りの後に行われても良い。しかしながら上述した形態であれば、両面印刷を実行するために必要な構成でデカール処理を実行することができる。
続いて、シート1上の画像が形成された領域の後端部が逆搬送によってカッタ20の位置まで到達すると、CPU201は、S1415にて、図18(e)に示すようにして、カッタ20によってシート1を切断する。
続いて、CPU201は、S1416にて、シート1の切断後にスプール部材2を回転させることで、図18(f)に示すようにして、画像が形成されたシート1をすべて下段の紙管27に内巻きで巻き付ける。また、CPU201は、上段のロールシートRから引き出されたシート1を退避させるために、上段のスプール部材2を巻き取り方向に回転させる。
続いて、CPU201は、S1417にて、両面印刷を実行するために、下段のシート供給装置200にセットされたスプール部材2に巻き付けたシート1を印刷部400まで再度搬送する。なお、本実施形態では、上述の自動給紙機能によってシート1を印刷部400まで再搬送する。これにより、ユーザは、片面印刷が行われた後にシート1を供給パスに導く操作を実行することなく、両面印刷を実行することができる。なおCPU201は、S1417にて図6に示す処理を実行することで、自動給紙機能によってシート1を印刷部400まで再度搬送する。またCPU201はこのとき、分離フラッパー10を紙管27に当接させる。これは、分離フラッパー10を紙管27に当接させることで、シート1を両面印刷のために印刷部400に再供給する際にシート1を供給パス上にガイドすることが可能となるためである。上段のロールシートRから引き出されたシート1を退避し、且つシート1を印刷部400まで再搬送している状態の印刷装置100の断面図を、図17(d)に示す。また、搬送経路における再搬送中のシート1の状態は図18(g)に示すようになる。
続いて、CPU201は、S1418にて、印刷部400まで搬送されたシート1の裏面上のプリントヘッド18に対向する領域に、プリントヘッド18によって印刷指示に基づく画像を形成する。なお、このとき実行される印刷は両面印刷であるため、シート1の一方の面において既に印刷が行われている領域の反対側に印刷が行われることになる。また、S1412の処理によって、シート1の後端には、L2に相当する長さの余白が設けられている。そのため、シート1の後端がテープ51によってスプール部材2に固定されている状態でも、シート1の一方の面において既に印刷が行われている領域の反対側の後端が印刷部400まで到達する。裏面に対して印刷が実行されている最中のシート1の状態は図18(h)に示すようになる。
続いて、CPU201は、シート1上の画像が形成された領域の後端部が搬送によってカッタ20の位置まで到達すると、カッタ20によってシート1を切断する。これにより、画像が形成されたシート1が自重で落下し、バスケット62に収納される。なおここでは、画像毎にシート1が切断されるため、複数の画像がシート1に印刷されている場合、図18(i)に示すように複数回の切断が行われる。また、シート1の切断と並行して、プリントヘッド18による後続の画像の印刷が並行して行われても良い。
なお、例えばシート供給装置200が3つ以上備わっている場合や、片面印刷後に上段のシート供給装置200からロールを取り除き、代わりに紙管をセットしている場合等は、両面印刷が行われたシート1を巻き取っても良い。
このような形態とすることで、本実施形態は、1台の印刷装置によって、ロールシートに対する片面印刷だけでなくロールシートに対する両面印刷を実行可能となる。
(その他の実施形態)
上述では、「両面印刷モード」が印刷装置100に設定されている場合、シート1を内巻き方法で巻き取る形態を説明したが、この形態に限定されない。印刷装置100の構成によっては、シート1を外巻き方法で巻き取っても良い。シート1を外巻き方法で巻き取って両面印刷を実行する形態の印刷装置100の一例を図23に示す。図23のような形態では、シート1を外巻き方法で巻き取ることで両面印刷が実現される。図23(a)は、シート1への片面への印刷とともに、シート1を下段の紙管27に外巻き方法で巻き取っている状態の印刷装置100を示す。図23(b)は、シート1への片面への印刷が終了した後に、シート1を下段の紙管27に外巻き方法で巻き取っている状態の印刷装置100を示す。図23(c)は、シート1の先端がロールシートRの外周面から分離されたことを検知した後に、下段のスプール部材2をC2方向に回転させることで、シート1の先端を供給パスに導いている状態の印刷装置100を示す。図23(d)は、シート1が供給パスを進み、印刷部400まで再供給された状態の印刷装置100を示す。このように、下段のスプール部材2をC2方向に回転させることで、下段の紙管27に巻き取ったシート1を印刷部400まで再供給する形態では、外巻き方法でシート1を巻き取ることで、両面印刷が実行可能となる。このような形態でも、図23に示すようにして、シートセンサ6がロールシートRと供給パスの入り口(開口部)との間に設置されていれば、自動給紙機能を実現可能である。また、同じく図23に示すようにして、内巻き検知センサ50が、開口部側のロールシート上部に設置されれば、シート1の固定方法が内巻き方法のためのものであるか否かを検知可能である。しかしながらこの形態では、内巻き方法のための固定方法であることが検知された場合にエラー処理が実行され、外巻き方法のための固定方法であることが検知された場合に両面印刷が正常に実行される。
上述では、ロールシートからシート1を引き出して印刷を行う形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば、印刷装置の背面にカットシートを供給可能な構成を設け、当該構成から供給される記録媒体に対して印刷を行っても良い。
また本発明は、記録媒体としてのシートを印刷装置に供給するシート供給装置の他、種々のシート供給装置に対して適用可能である。例えば、スキャナやコピー機などの読取装置に読み取り対象のシートを供給する装置、およびシート状の加工材料を切断装置などの加工装置に供給する装置などに対しても適用することができる。このようなシート供給装置は、印刷装置、読取装置、加工装置などの装置とは別に構成することができ、またシート供給装置用の制御部(CPU)を備えてもよい。
上述の実施形態は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを実行する処理でも実現可能である。また、上述の実施形態は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。