以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には図面上での方向をいうものとし、各図面の向きは、記号、数字の方向に対応する。また、平行、直角、鉛直などの方向は、本発明の効果を損なわない程度のズレを許容するものである。また、受信だけを述べている形態は、受信だけではなく送信も可能である。
<第1実施形態>
図3に、本発明の第1実施形態に係る車載アンテナ1の全体斜視図を示す。本発明の実施形態に係る車載アンテナ1は、車両用窓ガラス(フロントガラス)50の車内側に取り付けられ、同軸ケーブル40が接続されている。
本発明の複数の実施形態において、車載アンテナ1が取り付けられる車両用窓ガラス(単に、窓ガラスと称する場合もある)50は、誘電体であって、車載アンテナ1に対して、車外から届く電波を透過させる。例えば、窓ガラス50の厚さは、0.5mm〜10mm程度であるとする。
車載アンテナ1は、第1の放射器10と、第2の放射器20と、保持ユニット30と、を備える。第1の放射器10及び第2の放射器20とは、電波を放射するアンテナ素子である。
第1の放射器10は、同軸ケーブル40が接続される給電構造を有する主放射器である。第2の放射器20は、給電されない無給電素子であって、第1の放射器10から十分に遠い場合、例えばλ/4の場合は反射器としての機能、近い場合は、第1の放射器10のスロット12との結合により電場を前方へ再放射させる機能を備えるが、本発明では主に、近接配置により、再放射させる機能を利用する。
保持ユニット30は、第1の放射器10及び第2の放射器20を保持するケースである。保持ユニット30の詳細は図6とともに後述する。
詳しくは、第1の放射器10は板状形状の放射板(第1の放射体)であって、窓ガラス50と第1の放射器10とは、少なくとも一部が離間して配置される。また、窓ガラス50と第1の放射器10との最近接距離は、100mm以下、好ましくは50mm以下の範囲であると好ましい。窓ガラス50と第1の放射器10との距離は、アンテナ特性には影響はないが、取付けられた状態で、ガラスの車内側の表面からの突出が大きくなると、ドライバーの視界を妨げたり、車両室内空間を圧迫したりする等、ドライバーの解放感を損ねるためである。
また、第2の放射器20は、板状形状の第2の放射体であって、第1の放射器10に対して、窓ガラス50の反対側に、所定距離離間して設けられる。即ち、第2の放射器20は、第1の放射器10から離間し、窓ガラス50との間に第1の放射器10の少なくとも一部を挟むように配置されている。
同軸ケーブル40は、図3に示すように、保持ユニット30のフレーム33の外側を通って、第1の放射器10の表面側及び裏面側へ給電する。
図4に、図3の車載アンテナ1に含まれる第1の放射器10及び第2の放射器20と、接続される同軸ケーブル40の説明図を示す。第1の放射器10と第2の放射器20とは、所定距離離間して非接触に設けられている。第1の放射器10は、同軸ケーブル40が接続されて、給電されている。
同軸ケーブル40は、内部導体41と、外部導体42とを備える。同軸ケーブル40では、内部導体41が第1の放射器10の裏側のマイクロストリップライン15へ接続されており、外部導体42が第1の放射器10の表側のグランド導体13(図5参照)へ接続されている。
第1の放射器10で送受信された信号は、分岐した内部導体41により取り出し可能になっており、送受信信号が車体に搭載された送受信機(不図示)に伝達される。
第1の放射器10及び第2の放射器20は、例えば、矩形の板状形状である。なお、広い面である主面の形状は完全な矩形に限られず、角部が丸みを帯びていたり、角取りされていたりしてもよい。例えば、第2の放射器20の主面(表面S2)は、20mm×20mm〜100mm×100mmであると好適である。
図5に、図4の車載アンテナ1に含まれる第1の放射器10の積層の説明図を示す。なお、図5(a)に斜視図を示し、図5(b)に、上面図(+Y側から見た図)、正面図(−Z側から見た図)、側面図(+Z側から見た図)を示す。なお、図5(b)において、Xは幅方向(W),Yは高さ方向(h)、Zは奥行き(d)を示す。具体的には、本実施形態において車載アンテナ1を取りつけた状態で、図5のXは窓ガラス50(フロントガラス)の車内側の表面と略平行な車幅方向を、Yは第1の放射器10の窓ガラス50側の表面の傾斜方向θ2(本実施形態では鉛直方向)を、Zは傾斜方向θ2に直角な方向(本実施形態では水平な車内方向)に対応する。
図5を参照して、第1の放射器10は、導電膜11、誘電体基板14、及びマイクロストリップライン15を備える。換言すると、第1の放射器10は、板状の誘電体基板14と、誘電体基板14の第2の放射器20側の主面(裏面)に設けられた給電素子(マイクロストリップライン15)と、誘電体基板14の窓ガラス50側の主面(表面S1)に設けられた放射素子(スロット12が形成された導電膜11)と、を含む三層構成である。
誘電体基板14は、例えば、樹脂(ガラスエボキシ基板,FR4)である。なお、誘電体基板14、導電膜11、及びマイクロストリップライン15の夫々において、適切な導電率の材質を使い分けると好適である。
導電膜11には、スロット12が設けられている。詳しくは、導電膜11では、細長く切り抜かれることで(スリットが刻まれることによって)、切り抜かれた部分がスロット12となる。スロット12が形成された導電膜11は、放射素子として機能する。導電膜11において、スロット12の周りの部分は、グランド導体(接地導体)13として機能する。
導電膜11は、例えば、金属膜(例えば、銀ペースト等を焼成して形成される銀膜)によって形成される。なお、本発明の導電膜は金属膜に限定されず、例えば導電性の樹脂膜でも良い。
スロット12は、本車載アンテナ1が窓ガラス50に取り付けられる際に、第1の方向に延在するように切り抜かれている。
ここで、ITS用の電波は垂直偏波なので、導電膜11のスロット12の延在方向(第1の方向)は、地平面(特には、水平面)に対して平行な水平方向のベクトル成分を有するように窓ガラス50に設けられることによって、電波を感度良く受信できる。
ここで、本発明において対象とするITSの電波は、日本:5.77GHz〜5.85GHz、北米:5.85GHz〜5.925GHz、欧州:5.87GHz〜5.905GHzを考慮して、5.77GHz〜5.925GHzに設定され、中心周波数は5.89GHzに設定されている。ITSの電波を受信する周波数帯のうち、中心周波数(5.89GHz)における空気中の波長をλとし、窓ガラスの波長短縮率をkとし、窓ガラス50上での波長をλg=λ・kとする。
このとき、アンテナ利得を向上させたい場合、電波の速さを3.0×108m/sとし、スロットは樹脂基板上で形成されるため、短縮率kは0.48とすると、スロット12のスロット長さL12は、0.49λg〜0.84λgであると好ましい。詳しくは、スロット12のスロット長さL12を、12.0mm以上、20.5mm以下に調整するとよい。
マイクロストリップライン15は、第1の放射器10において、スロット12が形成された導電膜11が貼りつけられる表面S1に対向する裏面に設けられている。マイクロストリップライン15は、導電膜によって形成された、帯状の信号線路(導電線路(金属線路又は導電性の樹脂線路))であって、給電に用いられる給電素子として機能する。
マイクロストリップライン15は、スロット12に交差するように、設けられている。即ち、マイクロストリップライン15をスロット12に投影したとき、マイクロストリップライン15の一部がスロット12の一部にオーバーラップするように、設けられている。このようにオーバーラップすることにより、マイクロストリップライン15によって、スロット12が励振する。
なお、マイクロストリップライン15の一部がスロット12の一部にオーバーラップする部分は、スロット12の中央から一端側に寄った部分であると、インピーダンス整合の面で好ましい。
また、本実施形態では、マイクロストリップライン15は、第2の方向に延在し、車載アンテナ1が窓ガラス50に取り付けられた状態において、誘電体基板14の上縁15uまで達している。第2の方向は、第1の放射器10の水平面に対する傾斜角度θ2に対応しており、本実施形態では、鉛直方向(重力方向)に対応する。
本実施形態のマイクロストリップライン15である帯状の線路部は、誘電体基板14の上縁14uに達した近傍で、同軸ケーブル40の内部導体41と電気的に接続され、内部導体41から給電を受ける。
図6に、図3に示す第1実施形態に係る車載アンテナの側面図を示す。
図6に示すように、第1実施形態は、車載アンテナ1を窓ガラス50に取り付けた際、第1の放射器10及び第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S1,S2が鉛直になるように設けられる。即ち、第1の放射器10及び第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S1,S2は、電波の到来方向から入射される電磁波の伝播方向に対して直角になるように、配置されている。
保持ユニット30は、例えば、フレーム(枠体、筐体、又は筐体の一部の面を除いたもの)33と、フレーム33の内側に設けられる、第1の放射器10を固定する第1の保持具31と、第2の放射器20を固定する第2の保持具32とを有する。
本実施形態では、図6に示す側面視において、保持ユニット30のフレーム33の外形は片側が直角の台形形状であって、底面が水平方向に延在しており、フレーム33の窓ガラス50の傾斜の下側(図6左側)及び上側(図6右側)に位置する面が、鉛直方向に延在している。
図6に示すように、保持ユニット30は、アンテナ素子である第1の放射器10、第2の放射器20の近傍に配置されるため、電波への影響が少ない、低誘電率(ε≦4.0程度)の樹脂で形成される。例えば、保持ユニット30は、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネートなどで形成される。
なお、本実施形態では、第1の放射器10を固定する第1の保持具31と、第2の放射器20を固定する第2の保持具32とを別々に設けている例を示しているが、保持ユニット30は、各パーツに分かれず一体化してもよい。即ち、1つの一体化した保持部材で、第1の放射器10及び第2の放射器20の両方をまとめて保持してもよい。
また、窓ガラス50とフレーム33とを接着する接着部35は例えば、吸盤である。よって、車載アンテナ1は、窓ガラス50に対して、任意の位置に、複数回、取り付け、取り外し可能である。
一般的に、車両に窓ガラス50を取り付けた状態では、窓ガラス50の車内側の表面(内側表面)ISは、水平面(地平面)に対し、10°〜90°傾斜している。この場合、窓ガラス50に取り付けられる第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1の傾斜角度は、10°〜90°が好ましい。
ここで、窓ガラス50の車内側の表面ISの傾斜角度θ1及び第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1の傾斜角度θ2は同じ(平行)であってもよい。あるいは、不平行、即ち、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1が、窓ガラス50に対して、0°よりも大きい(0°超)所定の鋭角の取付け角度が設定されるように、窓ガラス50の傾斜角度θ1とは、異なる傾斜角度で、取りつけられてもよい。
例えば、本実施形態では、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1は、窓ガラス50の車内側の表面ISと鋭角であって、鉛直方向に直立する角度に設定されている。さらに、第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S2は、窓ガラス50の車内側の表面ISとは鋭角であって、鉛直方向に直立する角度に設定されている。したがって、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1と第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S2とは平行に配置されている。
具体的に図6では、水平面への、窓ガラス50の表面ISの傾斜角度θ1=20°、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1の傾斜角度θ2=90°、第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S2の傾斜角度θ3=90°であって、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1の窓ガラス50の表面ISへの取付け角度θ12=70°、第2の放射器20の第1の放射器10からの相対傾斜角度(θ3−θ2)は、0°である。
しかし、窓ガラス50の表面IS、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1、及び第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S2を、後述する第5実施形態(図11参照)のように、それぞれが異なる角度に傾斜させてもよい。あるいは、後述する第4実施形態(図10参照)のように、窓ガラス50の車内側の表面IS、第1の放射器10の窓ガラス50側の表面S1、及び第2の放射器20の窓ガラス50側の表面S2をすべて平行に配置してもよい。
ここで、本発明では、車両前方もしくは後方からの電波(垂直偏波)を送受信するため、第1の放射器10の水平面への傾斜角度は、90°(鉛直)に近いほど、アンテナ利得の観点からはより好適である。しかし、第1の放射器10が窓ガラス50と平行に近づくにつれ、車載アンテナ1の窓ガラス50からの突出量が小さくなり、美観の点では好適になるため、適宜用途に応じて角度を設定する。
ここで、車両前方からの電波を受信する水平方向に、第1の放射器10を第2の放射器20へ投影したときに、第2の放射器20は、水平方向において、少なくとも、スロット12とオーバーラップするように配置されていると、好ましい。詳しくは、図6に示すように、第2の放射器20は、水平方向において、スロット12とのオーバーラップ部αが設けられている。オーバーラップ部αが設けられていることで、第2の放射器20が、スロット12との水平方向の電磁界の結合により電場を前方へ再放射させることができる。
図7に、車両用窓ガラス50において本発明のいずれかの実施形態の車載アンテナ1が設けられる位置を示す全体図を示す。図7は、窓ガラス(フロントガラス)の面を対向して見たときの図であって、窓ガラスが車両に取り付けられた状態での車内視の図であり、図面上での左右方向(横方向)が水平方向に相当し、上下方向がガラスの傾斜方向に相当し、下側が路面側に相当する。また、図7は、窓ガラスが車両の前部に取り付けられるフロントガラスなので、図面上での左右方向が車幅方向に相当する。
また、本発明において、窓ガラス50は車両筐体の開口部を覆う窓板の一例である。窓板は、素材はガラスに限られず、樹脂、フィルム等であってもよいが、電波を通過するものであるとする。窓ガラス50は、車両筐体(車体開口部、ボディフランジ)70に形成されたボディフランジに取り付けられている。窓ガラス50の外周縁50a,50b,50c,50dは図7の破線で図示されている。車両筐体70は、車体の窓開口部を形成するボディフランジの縁部70a,70b,70c,70dを有している。
図7において、フロントガラス用の窓ガラス50の面上の周縁領域に黒色又は茶色等の遮蔽膜54を形成し、この遮蔽膜54の上に車載アンテナ1を配置するように取り付ける。遮蔽膜54は黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。なお、この遮蔽膜54は、車載用デバイスを取りつける場合に車外及び車内からの意匠性を向上するものであって、電波を透過するものとする。
近年、車両の安全性を向上させるため、前方の窓に距離測定用の二眼のステレオカメラが搭載されることが多くなっている。搭載されたカメラでは、複数台のカメラを用いて同一の対象物を撮影したときの二つの画像(基準画像と参照画像)から画像のずれを算出し、その画像のずれに基づいて対象物(人、車、信号機等)までの距離を測定する。そのため、車両前の対象物を左右均等に検出可能にするように、フロントガラスの水平方向の略中央部付近の上部に、ステレオカメラ61が設置される傾向にある。
また、ワイパースイッチの操作からドライバーを解放させながら、雨天時の視界をより向上させることができるように、ワイパーを自動制御させることに用いられる、ガラスに当たる雨の状態を検知するレインセンサ62も、フロントガラスに設置されることが増えている。
そのため、遮蔽膜54は、ステレオカメラ61やレインセンサ62を配置するため、窓ガラス50の幅方向の中心近傍に突出部(遮蔽膜突出部)55を備えていることもある。突出部55の両側辺は、例えば、窓ガラス50の面内方向に向けて両側辺間の距離が小さくなるように斜め方向に形成されている。なお、突出部55の中央部には、ルームミラーを取りつけるためのミラーベース64が設けられているとする。
突出部55は窓ガラス50の全幅に対して、例えば、1/3程度、具体的に下に凸の台形状の突出部55の上辺は260mm〜660mm程度、下辺は140mm〜540mm程度、突出部55の高さは130mm〜260mmに形成される。
なお、ステレオカメラ61やレインセンサ62の位置は一例であって、ルームミラーと一体化している場合もあるため、遮蔽膜の突出部55は、設けられていなくてもよい。
本発明の車載アンテナは、図7に示すように、同軸ケーブル40と引き込みやすくするため、及び見栄えを向上するため、車両筐体(金属ボディ)70の近傍であって、遮蔽膜54又は遮蔽膜の突出部55が設けられる部分(符号51で示す部分)に、取り付けられると好ましい。
なお、車載アンテナ1を金属の車両筐体70に近づけすぎると、干渉の悪影響があるため、車両筐体70の開口部の上縁70aや側縁70b,70cと、車載アンテナ1との最近接距離は、例えば30mm以上離間させ、且つ遮蔽膜54,55の範囲内に設置すると好適である。
なお、車両の窓ガラスには、太陽の直接日射による暑さ(赤外線)軽減、日焼け対策の紫外線カット、霜とり機能の付加等の目的で、導電膜(金属膜)が形成されるものがある。このように窓ガラスに透明導電膜が貼りつけられている場合、透明導電膜によって電波が減衰し、後から取りつけられるアンテナが機能しないことがある。
そのため、窓ガラスに透明導電膜が貼りつけられている場合、専門店等でその透明導電膜を部分的に切り欠いて、電波を透過させる膜切欠き部を窓ガラスに設けてから、本発明の車載アンテナを貼りつけると好ましい。
<第2実施形態>
図8に、本発明の第2実施形態に係る車載アンテナの第1の放射器10Aの積層の説明図を示す。なお、図8(a)に斜視図を示し、図8(b)に、上面図(+Y側から見た図)、正面図(−Z側から見た図)、側面図(+Z側から見た図)を示す。なお、図8(b)において、Xは幅方向(W),Yは高さ方向(h)、Zは奥行き(d)を示す。具体的には、本実施形態において車載アンテナを取りつけた状態で、図8のXは窓ガラス50の車内側の表面ISと略平行な車幅方向を、Yは第1の放射器10Aの窓ガラス50側の表面S1の傾斜方向θ2(本実施形態では鉛直方向)、Zは傾斜方向θ2に対して直角な方向に対応する。
本実施形態では、第1の放射器10Aにおける、マイクロストリップライン15Aの形状が第1の実施形態とは異なる。本実施形態において、誘電体基板14に裏面に形成されるマイクロストリップライン15Aは、スロット12の端部にオーバーラップする部分である第1の線路部151と、第1の線路部151から折れ曲がる第2の線路部152を含む。
第1の線路部151は、スロットの一端側に寄った部分にオーバーラップし、水平方向と異なる第2の方向に延在する。第2の方向は、第1の放射器10の水平面に対する傾斜角度θ2に対応している。
第2の線路部152は、第1の線路部151の上端から折り曲げられ、第2の方向と異なる第3の方向に延在する。また、車載アンテナが窓ガラス50に取り付けられた状態において、第2の線路部151は誘電体基板14の側縁14sまで達している。なお、第3の方向は、図8の例では水平方向であるが、第2の方向と異なっていれば、別の方向であってもよい。
本実施形態では、マイクロストリップライン15Aは、誘電体基板14の側縁14sに達した近傍である、第2の線路部151の上端で、同軸ケーブル40の内部導体41(図3参照)と電気的に接続され、内部導体41から給電を受ける。
なお、第1、第2の実施形態では、マイクロストリップライン15,15Aは帯状の線路形状であったが、マイクロストリップライン15の、内部導体41と接続されない端部は、他の形状であってもよい。例えば、扇状や略円形に広がっていてもよい。
<第3実施形態>
図9に、本発明の第3実施形態に係る車載アンテナ1Bの側面図を示す。本実施形態では、アンテナ素子の形状や配置は第1実施形態と同一であるが、保持ユニット30Bの形状が異なる。
図6に示す第1実施形態では、保持ユニット30のフレーム33の外形は、側面視において、片側が直角の台形形状であったが、図9に示す本実施形態に係る保持ユニット30のフレーム33Bの外形は、側面視において、長方形形状である。保持ユニット30Bでは、底面が窓ガラス50の表面ISと平行な方向に延在しており、フレーム33の窓ガラス50の傾斜の下側(図9に左側)及び上側(図9の右側)に位置する面は、窓ガラス50の表面ISの傾斜方向と直角な方向に延在している。
なお、側面視での保持ユニットの枠体の形状について、第1の実施形態では片側直角の台形、第3の実施形態では長方形の形状について説明したが、側面視での保持ユニットの形状はこれらに限られない。例えば、枠体は、底面が窓ガラス50と平行な方向に延在し、車両用窓ガラスの傾斜の下側及び上側に位置する面が鉛直方向に延在する、略平行四辺形の形状や、片側が直角ではない台形等、第2の放射器及び第1の放射器の大きさと配置に応じて、様々な形状がとり得る。
<第4実施形態>
図10に、本発明の第4実施形態に係る車載アンテナの側面図を示す。本実施形態では、固定具の形状の仕組みは、第3の実施形態と同様であるが、第1、第3の実施形態に対して、アンテナ素子の角度が異なる。
本実施形態では、窓ガラス50の表面IS、第1の放射器10Cの窓ガラス50側の表面S1、第2の放射器20Cの窓ガラス50側の表面S2、それぞれが平行になるように、水平面に対して傾斜している。
本実施形態においても、車両前方からの電波を受信する水平方向に、第1の放射器10Cを第2の放射器20Cへ投影したときに、第2の放射器20Cは、水平方向において、少なくとも、スロット12とオーバーラップするように配置されていると、好ましい。詳しくは図10に示すように、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とのオーバーラップ部βが設けられている。オーバーラップ部βが設けられていることで、第2の放射器20Cが、スロット12との水平方向の電磁界の結合により電場を前方へ再放射させることができる。
<第5実施形態>
図11に、本発明の第5実施形態に係る車載アンテナ1Dの側面図を示す。第1〜第4の実施形態では、側面視において、第1の放射器10と第2の放射器20が平行な例を説明した。
しかし、本実施形態では、窓ガラス50の表面ISの傾斜方向θ1、第1の放射器10Dの窓ガラス50側の表面S1の傾斜方向θ2、及び第2の放射器20Dの窓ガラス50側の表面S2の傾斜方向θ3を、それぞれが異なる角度に傾斜させている。
本実施形態においても、車両前方からの電波を受信する水平方向に、第1の放射器10Dを第2の放射器20Dへ投影したときに、第2の放射器20Dは、水平方向において、少なくとも、スロット12とオーバーラップするように配置されていると、好ましい。例えば、図11に示すように第2の放射器20Dは、水平方向において、スロット12とオーバーラップ部γが設けられている。オーバーラップ部γが設けられていることで、第2の放射器20Dが、スロット12との水平方向の電磁界の結合により電場を前方へ再放射させることができる。
<第6実施形態>
図12に、本発明の第6実施形態に係る車載アンテナ1Eの側面図を示す。本実施形態において、保持ユニット30Eは、第1の放射器10及び第2の放射器20を囲むフレーム33Eを含み、フレーム33Eの窓ガラス50の傾斜の下側(図12の左側)に位置する面の、少なくとも一部に調整用レンズ34が設けられている。
調整用レンズ34の素材は保持ユニット30Eと同様の素材であり、調整用レンズ34は、面の表面を加工することで形成される。例えば、調整用レンズ34は、フレネルレンズである。
調整用レンズ34は、第1の放射器10及び第2の放射器20から伝搬してきた電磁波の向きを調整し、波面を球面波面から平面波面へ変換するように調整する。したがって、調整用レンズ34が設けられることで、さらに前方利得を向上させることができる。
なお、上記第3〜第6の実施形態では、第1実施形態の第1の放射器10の構造を用いて説明しているが、第2実施形態のマイクロストリップライン15Aを備える第1の放射器10Aを、第3〜第6実施形態の、保持ユニットの変形や、第1の放射器や第2の放射器の傾斜角度の設定変更に適用してもよい。
<第7実施形態>
図13に本発明の第7実施形態に係る車載アンテナ1Fの側面図を示す。本実施形態の車載アンテナ1Fは、図9に示す第2実施形態の車載アンテナ1Bと比較して、第3の放射器25を備えている。
また、図13に示すように、本実施形態では、板状形状の放射体である第3の放射器25は、第1の放射器10の上端P1と、第2の放射器20Fの上端P2との間の領域R1内に配置されている。
また、本実施形態では、第3の放射器25の一端OEは、第2の放射器20Fの上端P2と連接して一体化している。第3の放射器25の他端TEは、第1の放射器10の上端P1であって、第1の放射器の上端と車両用窓ガラス50との接点P4(P1=P4)に近づくように、第3の放射器25の表面S3は、第2の放射器20Fの表面S2とは異なる角度に延伸している。即ち、第3の放射器25は第2の放射器20Fから折れ曲がって一体化している。
また、本実施形態では、第3の放射器25の一方の面(表面S3)が、車両用窓ガラス50の内側の表面ISと全域で接触するように配置されている。
なお、第3の放射器25は、第1の放射器10とは非接触になるように配置する。この際、第3の放射器25の他端TEは、第1の放射器10の上端P1との間隔(距離)Gapは、0.046λg以上であると好ましい。間隔Gapの説明は実施例4で詳述する。
図14は、図13の車載アンテナ1Fに含まれる第1の放射器10、第2の放射器20F及び第3の放射器25と、接続される同軸ケーブル40の説明図である。
なお、本実施形態の車載アンテナ1Fの放射器10,20F,25を保持する保持ユニットの形状は上述の実施形態のいずれの形状であってもよい。例えば、図13では、図9に示す保持ユニット30Bと同様の形状の例を示すが、図14では図6に示す保持ユニット30と同様の形状の例を示す。
図14に示すように、第3の放射器25の幅W25は、第2の放射器20Fの幅W20(図4参照)と略同一に構成されている。
第3の放射器25は、給電されない無給電素子であって、近接配置により、第1の放射器10のスロット12との結合により電場、特に車両用窓ガラス50の外側へ向かう、車両用窓ガラス50と略直交方向へ放射させる電場を、前方へ再放射させる機能を備える。
よって、図14のように第2の放射器20Fと同様の幅に第3の放射器25の幅W25を設定すると、第2の放射器20Fが前方へ再放射した電波を、幅方向において、車両用窓ガラス50と直交方面への漏れることを防ぐことができる。
<第8実施形態>
図15は、本発明の第8実施形態に係る車載アンテナ1Gの側面図である。なお、図15では、説明のため保持ユニット30を省略して記載している。
図15の車載アンテナ1Gでは、第1の放射器10Gや第2の放射器20Gが、車両用窓ガラス50の内側の表面ISから離間している例を示す。
図15の実線に示すように、本実施形態の第3の放射器25Aは、第2の放射器20Gの上端P2に接続され、第1の放射器10Gの上端P1に向かって延伸している。第3の放射器25Aの角度や配置は、実線で示す例に限られない。
詳しくは、第3の放射器は、第1の放射器10Gの上端P1と、第2の放射器20Gの上端P2と、第2の放射器20Gの上下方向の延長線E20と車両用窓ガラス50との接点P3と、第1の放射器10Gの上下方向の延長線E10と車両用窓ガラス50との接点P4と、の間の四角形の領域R2内に配置されれば、第3の放射器25は、どのように配置されてもよい。
例えば、第3の放射器(25A,25B,25C)の一端OEが、第2の放射器20Gの上端P2と接続される場合、P1,P2,P3,P4で囲まれる四角形(台形)の枠内に収まるように、第3の放射器25の他端TEを延伸させる。
例えば、図15では、第3の放射器25Bは、第2の放射器20Gの上下方向の延長線E10と車両用窓ガラス50との接点P3に対して延伸している。また、第3の放射器25Cは、車両用窓ガラス50の内側の表面ISに向かって延伸している。
さらに、上述の第3の放射器25は、第2の放射器20Gと一体化していたが、第3の放射器25Aは、第2の放射器20Gから、離間していてもよい。第3の放射器と第2の放射器とが離間している場合も、P1,P2,P3,P4で囲まれる四角形(台形)の領域R2の枠内に収まるように配置する。
例えば、図15では、第3の放射器25Dは、第2の放射器20Gの上端P2と接続される第3の放射器25Aと略平行に上方に配置される。また、第3の放射器25Eの表面S3は、車両用窓ガラス50の内側の表面ISと接触するように配置される。あるいは、第3の放射器25Fは、第2の放射器20Gの上下方向の延長線E20と車両用窓ガラス50との接点P3の近傍から、第1の放射器10Gの上端P1の方へ延伸するように配置される。
なお、いずれの場合も、第3の放射器25A〜25Fは、P1,P2,P3,P4で囲まれる四角形(台形)の領域R2の枠内で収まっており、第3の放射器は、第2放射器とは異なる角度に延伸するので、電波の漏洩を防ぎ、抑え込むことができる。
なお、上述の領域R2内ではいずれの位置に配置してもよいが、いずれの構成でも、第3の放射器25Aは、第1の放射器10Gとは非接触であるとする。この際、第3の放射器25A〜25Fの他端TEと、第1の放射器10Gの上端P1との間隔(距離)Gapは、0.025λg以上であると好ましい。
また、この際、第3の放射器は、例えば25C〜25Dのように、少なくとも外側の表面の一部が車両用窓ガラス50の内側の表面ISに接触していると好ましい。
このように配置されることで、第3の放射器は、第1の放射器10Gのスロット12との結合により、車両用窓ガラス50の外側へ向かう電場を、前方へ再放射させる機能を備え、車両用窓ガラス50と直交方面への電波が漏れることを防ぐことができる。
なお、図15では第1の放射器10Gの上端P1と第2の放射器20Gの上端P2の位置が等しい(高さが等しい)例を示したが、P1とP2の高さが異なる場合は、P1、P2、P3、P4で囲まれる領域R2は、図15のように垂直台形ではなくなり、領域R2は台形や平行四辺形や他の四角形になってもよい。
<第9実施形態>
図16に、本発明の第9実施形態に係る車載アンテナ1Hの側面図を示す。本実施形態の車載アンテナ1Hは、図13に示す第7実施形態の車載アンテナ1Fと比較して、第1の放射器10H、第2の放射器20Hの傾斜角度θ2,θ3が異なる。
本実施形態においても、第3の放射器25Hは、第1の放射器10Hの上端P1と、第2の放射器20Hの上端P2との間の領域R1内に配置されている。
また、図16の例でも、図13に示す車載アンテナ1Fと同様に、板状の第3の放射器25Hは、板状の第2の放射器20Hから折れ曲がって一体化している。
なお、この構成でも、第3の放射器25Hは、第1の放射器10Hとは非接触であるとする。この際、第3の放射器25Hの他端TEは、第1の放射器10Hの上端P1との間隔(最短距離)Gapは、0.015λg以上であると好ましい。間隔の説明は実施例4で詳述する。
なお、上記第7〜第9の実施形態では、第1実施形態の第1の放射器10の構造を用いて説明しているが、第2実施形態のマイクロストリップライン15Aを備える第1の放射器10Aを、第7〜第9実施形態の、第3の放射器25の追加や第1の放射器や第2の放射器の傾斜角度の設定変更に適用してもよい。
<第10実施形態>
図17に本発明の第10実施形態に係る車載アンテナ1Iの側面図を示す。なお、図17では、保持ユニット30を省略して記載している。
上述の第1実施形態〜第9実施形態において、第1の放射器10は図4、図5で詳述したように積層構造であったが、第1の放射器10Iはダイポール構造であってもよい。
本実施形態における、ダイポール構造の、第1の放射器10Iは、上下に2つのアンテナエレメント16,17を有し、中央部に給電点18を設けている。
本実施形態において、第1の放射器を構成するアンテナエレメント16,17は、円柱ポールや角柱などの線状エレメントであってもよいし、板状形状であってもよい。
本実施形態では、第2の放射器20I及び第3の放射器25Iは、近接配置により、第1の放射器10Iを構成するダイポールアンテナとの結合により電場を前方へ再放射させる。
なお、この構成でも、第3の放射器25Iは、第1の放射器10Iとは非接触であるとする。この際、第3の放射器25Iの他端TEは、第1の放射器10Iの上端P1との間隔(距離)Gapは、0.025λg以上であると好ましい。間隔の説明は実施例4で詳述する。
なお、第7実施形態〜第10実施形態で設けられていた第3の放射器25を、例えば図6、図10、図11、図12に示す他の実施形態に対して追加して設けてもよい。
この場合少なくとも、第8実施形態に示すように、第3の放射器25は、第1の放射器10の上端P1と、第2の放射器20の上端P2と、第2の放射器20の上下方向の延長線E20と車両用窓ガラス50との接点P3と、第1の放射器10の上下方向の延長線E10と車両用窓ガラス50との接点P4との間の四角形の領域R2内に配置されるものとている。
いずれの構成でも、第3の放射器25を設けることで、電場を前方へ再放射させ、車両用窓ガラス50と直交方面への電波が漏れることを防ぎ、アンテナ利得を向上させる効果がある。
なお、本発明の車載アンテナで送受信した通信情報は、ETCだけにとどまらず、車内の注意喚起通知装置やブレーキ装置等に伝達されてもよく、周囲の他の車両等との通信により得た情報を基に、車載アンテナが搭載された当該車両の運転の支援へと活用させてもよい。
以上、車載アンテナを複数の実施形態例により説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではない。他の実施形態例の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
図6、図10に示す車載アンテナ1,1Cにおいて、距離D1や、位置関係(相対位置Ld)を変化させたときの、方位角方向の指向性を4分割した際の前方向90°(前方真正面0°を基準に、±45°の範囲)の平均利得(Fr利得)を車両用窓ガラス50に模した合わせガラスのガラス板に取り付けて、実測した。
本発明の図6に示す第1実施形態に係る車載アンテナ1において、第1の放射器10の裏面と第2の放射器20の表面S2との距離D1を変化させたときの利得を測定した。測定において、距離D1を、3mm、5mm、10mmと変化させた。この際、実測したときの車載アンテナ1の形状において、各部の寸法は、単位をmmとして、
L11(L14):25
W11(W14):25
L12:18
W12(スロット線幅):0.4
L15:19.33
W15:1.42
T11:0.053
T14:0.8
T15:0.053
L20:50
W20:50
T20:0.2
ガラス板:300×300
ガラスの厚さ:4.8
とした。
なお、誘電体基板14の比誘電率εは4.3であった。
この際、配置の寸法は、
ガラス板と第1の放射器との最短距離D5:10
ガラス板の縁部から第1の放射器のスロットの中央部までの距離Dp:137.5
で固定して測定した。
また、
ガラス板の傾斜角度θ1:20°
第1の放射器の傾斜角度θ2:90°
第2の放射器の傾斜角度θ3:90°
に設定した。
表1は、図6に示す車載アンテナ1を模した、ガラス板に取りつけられたアンテナの第1の放射器10の裏面と第2の放射器20の表面S2との距離D1を変化させたときの、アンテナ利得(Gain[dBi])を示す表であり、この結果をまとめたものを図18に示す。この際、周波数=5.89[GHz]、波長λ=50.9[mm]で測定した。
図18中の点線は、第2の放射器20を設けない場合の利得を示す。図18のグラフの横軸は、距離D1を1波長で規格化した値(1波長当たりの距離に換算した値)を示し、横軸は垂直偏波の前方(Area F)の利得を示す。
表1及び図18に示すように、第2の放射器20が第1の放射器10から離れるにつれて、第2の放射器20による、前方への電波の反射効果が弱くなるため、第1の放射器10の動作利得が低下することがわかる。本実施例では、D1の離間距離は10mmまでの測定であるが、少なくともD1が10mm以下では、第2の放射器20を設けないよりも、第2の放射器20を設けたほうが、利得が向上することがわかる。
本発明の図10に示す第4実施形態に係る車載アンテナ1Cにおいて、第1の放射器10Cと第2の放射器20Cの距離D1を変化させたときの利得を測定した。測定において、距離D1は、1mm,3mm,5mm,10mm,15mmと変化させた。
この際、図の距離について、
ガラス板と第1の放射器との最短距離D5:1mm
ガラス板の縁部から第1の放射器のスロットの中央部までの距離Dp:137.5mm
と配置した。また
ガラス板の傾斜角度θ1:20°
第1の放射器の傾斜角度θ2:20°
第2の放射器の傾斜角度θ3:20°
に設定した。それ以外の寸法は、実施例1と同様である。
表2は、図10に示す車載アンテナ1Cを模した、ガラス板に取りつけられたアンテナの第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとを離間距離D1を変化させたときの、アンテナ利得(Gain[dBi])を示す表であり、その結果をまとめたものを図19に示す。図14中の点線は、第2の放射器を設けない場合の利得を示す。図19のグラフの横軸、縦軸が示すものは図18と同様である。
表2及び図19に示すように、第2の放射器20Cが第1の放射器10Cから離れるにつれて、第2の放射器20Cによる、前方への電波の反射効果が弱くなるため、第1の放射器10Cの動作利得が低下することがわかる。本実施例では、離間距離D1は15mmまでの測定し、少なくともD1が5mm以下では、第2の放射器を設けないよりも第2の放射器20Cを設けたほうが、利得が向上することがわかる。
ここで、表3に、表2の位置関係における、第2の放射器20Cとスロット12との水平方向の重なりの有無を示す。
まず、本実施例において、斜辺方向(θ2方向)において、第1の放射器10Cと、第2の放射器20Cの中心を揃えているので、窓ガラス50方向から見て、常に、L11(L14):25mm、L20:50mmより、50/2−25/2=12.5mmずつ、斜辺方向の上方(+Y方向)、下方(−Y方向)へ、飛び出していることになる。
この、斜辺方向への飛出しを利用して、水平方向に対する鉛直方向への飛出しを検討する。なお、第1の放射器10Cの厚みの大半を占める誘電体基板14の厚さT14:0.8mmを考慮するものとする。
ここで、第1の放射器10Cの裏面と、第2の放射器20Cの表面S2の距離D1を変化させたときの斜辺方向における、第1の放射器10Cの上端Oからの飛出し量(引っ込み量)Lxは、下記式のように示される。ここで、上端Oから第2の放射器20Cが飛び出している場合は+、引っ込んでいる(上端Oの方が上にある)場合は−で示すとする。
Lx=12.5−(D1+0.8)/tanθ2・・・(1)
なお、本実施例において、図10に示すθ1=θ2=θ3=20°とした。
算出されたLxより、第1の放射器10Cの上端Oからの、第2の放射器20Cの鉛直方向への飛出し量(引っ込み量)Vxを算出できる。
Vx=Lxsinθ2・・(2)
ここで、上述のようにW12(スロット線幅):0.4mm、スロット12は導電膜11の中央に位置する場合、斜辺方向(−Y方向)において、第1の放射器10Cの上端Oからスロット12の上端までの表面(斜辺)上の距離Lt:12.3mm、上端Oからスロット12の下端までの表面(斜辺)上の距離Lb:12.7mmとなる。
これを鉛直方向へ換算する場合は、夫々にsinθ2を掛ければよい。式(2)同様に、
Vt=Ltsinθ2,Vb=Lbsinθ2で、θ2=20°より、上端Oからスロット12の上端、下端までの鉛直方向の距離は、Vt=−4.21mm、Vb=−4.34mmである。
表3で上端Oからの距離Vxと、換算したスロット位置(Vt,Vb)と、を比較して水平方向から見た重なりの有無を確認すると、距離D1=1mm、2mm、3mm、5mmの配置では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップしていることがわかる。即ち、図10のオーバーラップ部βが存在している。一方、距離D1=10mm、20mmの配置では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップしていないことがわかる。
よって、表2、表3及び図19の検討結果により、第2の放射器を設けないよりも第2の放射器20Cを設けたほうが利得が向上する、D1が5mm以下では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置されている。よって、実施例2に示すように、第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとを、中心位置(相対位置)を、離間方向において同じくして(重なるようにして)距離を変える場合は、スロット12と第2の放射器20Cとが水平方向でオーバーラップするように、近接して配置すると好ましい。
なお、実施例1と実施例2との測定結果を比較して、図10に示す車載アンテナ1Cよりも、図6に示す車載アンテナ1の方が、全体的に利得が大きい。車両の前方から入射される電磁波の伝播方向に対して、図6では第1の放射器10及び第2の放射器20の窓ガラス50側の表面は鉛直になるように配置しているのに対し、図10では第1の放射器10C及び第2の放射器20Cの窓ガラス50側の表面は傾斜するように配置しているためと考えられる。
そのため、所望の利得を確保するために、図10に示す車載アンテナ1Cのように第1の放射器10C及び第2の放射器20Cの傾斜角度を鉛直方向とは異なる角度に設定する場合は、第2の放射器20Cの少なくとも一部は、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置されるように、第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとの距離を、近接させて配置すると好ましい。
図20に、本発明の図10に示す第4実施形態に係る車載アンテナ1Cにおいて、第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとの相対位置Ldを変化させたときの利得を測定した結果を示す。相対位置Ldについて、第1の放射器10Cの中心と、第2の放射器20Cとの中心が重なる位置を0mm、第2の放射器20Cを図10の右上方向へ動かす場合は+、左下方向へ動かす場合を−として、−20mm,−10mm,−5mm,0mm,5mm,10mm,20mmと変化させた。
表4は、図10に示す車載アンテナ1Cを模した、ガラス板に取りつけられたアンテナの第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとを相対位置Ldを変化させたときの、アンテナ利得(Gain[dBi])を示す表であり、その結果をまとめたものを図20に示す。図20中の点線は、第2の放射器を設けない場合の利得を示しており、利得は、−13,1dBiであった。図20のグラフの横軸は、相対位置Ldを、1波長で規格化した値(1波長当たりの距離に換算した値)である。なお、各部の寸法は、実施例2と同様である。
表4及び図19に示すように、第2の放射器20Cを、第1の放射器10Cに対して、図10の右上に動かすほど、利得が向上している。この際、実施例3より、突出部分が大きいほど、反射の効果が大きく、より車載アンテナ1Cのアンテナ利得を向上する効果を奏することがわかる。
ここで、表5に、表4の位置関係における、第2の放射器20Cとスロット12との水平方向の重なりの有無を示す。
本実施例においても、実施例2と同様に、Ld=0の場合、斜辺方向(θ2方向)において、第1の放射器10Cと、第2の放射器20Cの中心を揃えているので、斜辺方向へは、50/2−25/2=12.5mmずつ、斜辺方向の上方(+Y方向)、下方(−Y方向)へ、飛び出していることになる。
また、本実施例では、第1の放射器10Cと、第2の放射器20Cとの距離(離間距離)D1は、10mmで固定であり、第1の放射器10Cの厚みの大半を占める誘電体基板14の厚さT14:0.8mmを考慮するものとする。この場合、第1の放射器10Cの窓ガラス50側の表面S1と、第2の放射器20Cの窓ガラス50側の表面S2とは、常に、10.8mmの距離にある。
第1の放射器10Cの中心と、第2の放射器20Cとの中心との距離(移動距離)Ldを変化させたときの斜辺方向における、第1の放射器10Cからの飛出し量(引っ込み量)Lxは、下記のように示される。
Lx=12.5+Ld−10.8/tanθ・・・(3)
なお、本実施例において、図10に示すθ1=θ2=θ3=20°とした。
算出されたLxより、鉛直方向の長さを算出するとの第1の放射器10Cの上端Oから、鉛直方向への飛出し量(引っ込み量)を算出できる。
Vx=Lxsinθ2
なお、スロットの位置は、上記実施例2と同様に、斜辺方向(−Y方向)へ、上端Oからスロット12の上端までの表面(斜辺)上の距離Lt:12.3mm、上端Oからスロット12の下端までの表面(斜辺)上の距離Lb:12.7mmとなる。また、鉛直方向の距離は、Vt=−4.21mm,Vb=−4.34mmである。
表5で上端Oからの距離Vxと、換算したスロット位置(Vt,Vb)と、を比較して水平方向から見た重なりの有無を確認すると、Ld=10mm,20mmの位置では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップしていることがわかる。即ち、オーバーラップ部βが存在している。一方、Ld=−20mm,−10mm,0mm,+5mmの位置では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップしていないことがわかる。
よって、表4、表5及び図20の検討結果により、第2の放射器を設けないよりも第2の放射器20Cを設けたほうが、利得が向上する、Ldが10mm以上では、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置されている。
実施例3のように、第1の放射器10Cと第2の放射器20Cとを、所定距離離して配置する場合は、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように、傾斜方向θ2(Y方向)に直角な方向であるZ方向において、第2の放射器20Cの中心が、第1の放射器10Cの中心よりも上方に来るように、配置すると好ましい。
また、表5により、例えばLdの第2の放射器20Cが上方に多く突出している方が、利得が高い。第1の放射器10Cに当たらずに、第2の放射器20Cに前方から直接届けられた電波を前方へ反射し、第1の放射器10Cへ集めることができるためである。
よって、本発明の実施形態では、前方からの電波を受信する水平方向に、第1の放射器10Cを第2の放射器20Cへ投影したときに、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置されていると、好ましい。
なお、第2の放射器20Cは、上部が第1の放射器10Cの上方及び下方に突出するように配置されている例を示したが、第2の放射器20Cは、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置していれば、第2の放射器20Cの下部が第1の放射器10Cの上下又は下方のいずれか一方が突出している構成でもよい。また、他の実施形態においても、第2の放射器20Cは、少なくとも一部が、水平方向において、スロット12とオーバーラップするように配置されていることで、同様の効果を奏する。
図13、図16、図17に示す実施形態の車載アンテナ1F,1H,1Iにおいて、第3の放射器25,25H,25Iの長さL25,L25H,L25Iを変化させることで、第3の放射器25,25H,25Iの他端TEと第1の放射器10,10H,10Iの上端P1との間隔Gapを変化させて利得を測定した。この際、実測したときの車載アンテナ1F,1H,1Iの形状において、各部の寸法において、単位をmmとして、
D25:30
T25:0.2
L16,L17:10.865
φ16,φ17(直径):0.15
D18(ダイポールを構成するエレメント間の距離):1.14
とする。なお、各部のその他の寸法は、実施例1と同様である。
また、角度として、
θ1(車両用窓ガラス50の傾斜角度):15°
θ2(第1の放射器10Fの傾斜角度):90°
θ2(第1の放射器10H,10Iの傾斜角度):45°
θ3(第2の放射器20Fの傾斜角度):90°
θ3(第2の放射器20H,20Iの傾斜角度):45°
θ4(第3の放射器25,25H,25Iの傾斜角度):15°
であるとする。
ここで、上記間隔Gapは、車両用窓ガラス50の表面ISに沿った、窓ガラス方向の第1の放射器10の上端P1と、第3の放射器25の他端TEとの距離を示している。そのため、第1の放射器10の傾斜角度θ2及び第2の放射器20の傾斜角度θ3によって、間隔Gapが等しくても、第1の放射器10と第2の放射器20との距離(直交方向の離間距離)は異なる。
表6は、図13に示す車載アンテナ1Fを模した、ガラス板に取りつけられたアンテナの第1の放射器10(の上端P1)と第3の放射器25(の他端TE)とを間隔Gapを変化させたときの、アンテナ利得(Gain[dBi])を示す表である。同様に、表7は車載アンテナ1Hを模した、表8は車載アンテナ1Iを模したときのアンテナ利得を示す表である。
表6〜表8の結果をまとめたものを図21に示す。詳しくは、図21は、第7実施形態、第9実施形態、及び第10実施形態に係る車載アンテナ1F,1H,1Iにおいて、第1の放射器(10,10H,10I)と第3の放射器(25,25H,25I)との間隔Gapを変化させたときの利得を示すグラフである。
図21のグラフの横軸は、間隔Gapを1波長で規格化した値(1波長当たりの距離に換算した値)である。λ=50.93mm、k=0.64とする。
図21中の点線は、第3の放射器を設けない場合(L25(L25H,L25I)=0)の利得を示しており、利得は、夫々7.06dB(規格化後の利得は−0.31dBi)、4.70dB(規格化後の利得は−0.89dBi)、2.97dB(規格化後の利得は−0.92dBi)であった。
表6に示すように、第7実施形態では、略鉛直方向に鉛直する第1の放射器10と第2の放射器20Fとを平行にして、第1の放射器10の上端P1と第2の放射器20の上端P2との離間距離(P1・P2間距離)を6.01mmと設定する。そして、その位置からに、第3の放射器25の長さL25を(図13中左下に窓ガラス50の表面ISに沿って左下に)徐々に伸長していき、第1の放射器10の上端P1と第3の放射器25の他端(下側端)TEの間隔Gapを狭くしていった。
詳しくは、図13において、窓ガラス方向のP1・P2間距離を6.01mmとして、車両用窓ガラス50の内側の表面ISに沿って、第3の放射器25の長さL25を、斜め下方向に、0(無し)mm、1.03mm、2.07mm、3.10mm、4.55mm、5.21mm、5.94mm、6.04mmと徐々に伸長させた。位置P1、P2は一定とするため、第3の放射器25の長さL25に合わせて、間隔Gapは、6.04mm、5.01mm、3.97mm、2.94mm、1.49mm、0.83mm、0.10mm、0(無し)mmとなる。
表6及び図21に示すように、間隔Gapが0.046/λg以上のときに、アンテナ1Fは、第3の放射器25を設けない(L25=0)場合よりも、第3の放射器25を設ける方が、利得が向上する。
表7に示すように、第9実施形態では、第1の放射器10Hと第2の放射器20Hの傾斜角度θ2,θ3を水平に対して45°の角度で、平行にして、窓ガラス方向のP1・P2間距離を、11.67mmとした。その位置から第3の放射器25Hの長さL25Hを徐々に伸長していき、第1の放射器10Hの上端P1と第3の放射器25Hの他端(下側端)TEの間隔Gapを狭くしていった。
詳しくは、図16において、窓ガラス方向のP1・P2間距離を11.67mmとして、車両用窓ガラス50の内側の表面ISに沿って、第3の放射器25Hの長さL25Hを0(無し)mm、1.67mm、3.67mm、5.67mm、7.67mm、9.67mm、10.67mm、11.17mm、11.57mm、11.67mmと徐々に伸長させた。位置P1、P2は一定とするため、第3の放射器25Hの長さL25Hに合わせて、間隔Gapは、11.67mm、10.0mm、8.00mm、6.00mm、4.00mm、2.00mm、1.00mm、0.50mm、0.10mm、0(無し)mmとなる。
表7及び図21に示すように、間隔Gapが0.015/λg以上のときに、アンテナ1Hは、第3の放射器25Hを設けない場合よりも、第3の放射器25Hを設ける方が、利得が向上する。
表8に示すように、第10実施形態では、第1の放射器10I及び第2の放射器20Iの傾斜角度θ2,θ3を水平に対して45°の角度で、平行にして、窓ガラス方向のP1・P2間距離を、11.67mmとした。その位置から、第3の放射器25Iの長さL25Iを徐々に伸長していき、第1の放射器10Iの上端P1と第3の放射器25Iの他端(下側端)TEの間隔Gapを狭くしていった。
詳しくは、図17において、窓ガラス方向のP1・P2間距離を11.67mmとして、車両用窓ガラス50の内側の表面ISに沿って、第3の放射器25Iの長さL25Iを、0mm、1.67mm、3.67mm、5.67mm、7.67mm、9.67mm、10.67mm、11.27mm、11.47mm、11.67mmと徐々に伸長させた。位置P1、P2は一定とするため、第3の放射器25Iの長さL25Iに合わせて、間隔Gapは、11.67mm、10.0mm、8.0mm、6.0mm、4.0mm、2.0mm、1.0mm、0.4mm、0.2mm、0.0mmとなる。
表8及び図21に示すように、間隔Gapが0.006λg以上のときに、アンテナ1Iは、第3の放射器25Iを設けない場合よりも、第3の放射器25Iを設ける方が、利得が向上する。
図16に示す第9実施形態の車載アンテナ1Hにおいて、第1の放射器10Hの上端P1と第3の放射器25Hの上端P2の位置を固定させて、第2の放射器20Hの傾斜角度θ3を変化させて利得を測定した。
第2の放射器20Hの傾斜角度θ3を変化させることで、第2の放射器20Hと第3の放射器25Hとの間の折り曲げ角度(屈折角度)θ34が変化する。さらに、第2の放射器20Hの第1の放射器10Hからの相対傾斜角度(θ34‐θ12)が変化する。
この実施例では、参照のため、第1の放射器10Hの第2の放射器20Hとの距離(表面間距離)Dを、5mm、8mmと2種類の構成で実験した。
ここでの距離Dは、第1の放射器の表面S1と、第2の放射器の表面S2との距離を意味し、第1の放射器10では誘電体基板14が厚さのほとんどを占めるため、"D≒離間距離D1+厚さT14"であるとする。
D=5mmの場合は、
L25H:11.67mm
Gap:3mm(0.092λgに相当)とし、
D=8mmの場合は、
L25H:17.66mm
Gap:3mm(0.092λgに相当)の寸法を用いた。
また、角度として、
θ1(車両用窓ガラス50の傾斜角度):15°
θ2(第1の放射器10Hの傾斜角度):45°
θ4(第3の放射器25Hの傾斜角度):15°
であるとすると、
第1の放射器10Hと第2の放射器20Hとが平行である場合、
θ12(車両用窓ガラス50と第1の放射器10Hとの挟角):15°
θ34(車両用窓ガラス50と第2の放射器20Hとの挟角=第2の放射器20Hと第3の放射器25Hとの折り曲げ角度):15°、
相対傾斜角度θ34‐θ12=0°となる。
実施例で用いた構成の角度について、まとめて表9で示す。
ここで、第1の放射器10Hの傾斜角度θ2:45°、第2の放射器20Hと第3の放射器25Hとの折れ曲げ角度θ34:15°、相対傾斜角度(θ34‐θ12):0°を基準として、第2の放射器20Hの傾斜角度θ3を変化させる。これにより、第2の放射器20Hと第3の放射器25Hとの折れ曲げ角度θ34が変化し、さらに第2の放射器20Hの第1の放射器10Hからの相対傾斜角度(θ34‐θ12)を、下記、表10、表11のように変化させる。
上記結果をまとめたものを図22に示す。詳しくは、図22は、第9実施形態に係る車載アンテナ1Hにおいて、第2の放射器20Hの上端を固定して、第2の放射器20Hの傾斜角度を変化させて第2の放射器20Hの第1の放射器10Hからの相対傾斜角度(θ34‐θ12)を変化させたときの利得を示すグラフである。
表面間距離Dが5mmのものは、表10に示すように、相対傾斜角度(θ34‐θ12)を−10°、−9°、−8°、−4°、±0°、+4°、+8°、+15°、+30°、+45°、+60°と変化させた。なお、Dが5mmの場合、(θ34‐θ12)が、(−10°)となるときは、第1の放射器10Hの下端に第2の放射器20Hの下端が接触しているものとする。
表面間距離Dが8mmのものは、表11に示すように、相対傾斜角度(θ34‐θ12)を−15°、−10°、−5°、±0°、+5°、+10°、+20°、+30°、+40°、+50°、+60°と変化させた。なお、Dが8mmの場合、(θ34‐θ12)が(−15°)となっても、第1の放射器10Hの下端と第2の放射器20Hの下端とは非接触であるとする。
図22からわかるように、どちらの構成の場合も、第1の放射器10Hの下端に第2の放射器20Hの下端が近づくほど、利得が向上する。
なお、いずれの構成でも、(θ34‐θ12)が+45°の場合に、第2の放射器20HGの表面S2が略垂直になる。一旦、略垂直付近では少し利得が向上するが、略垂直の状態よりも、第1の放射器10Hの下端から、第2の放射器20Hの下端がさらに遠ざかると急激に利得が低下する。
したがって、図22により、図16の車載アンテナ1Hにおいて、第1の放射器10Hの上端P1と第2の放射器20Hの上端P2との距離よりも、第1の放射器10Hの下端と第2の放射器20Hの下端との距離の方が近くなるように配置する方が好適であることがわかる。