JP6880876B2 - 超音波センサー、及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波センサー、及び電子機器に関する。
従来、測定対象に対して超音波の送受信を行う超音波センサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の超音波センサーは、車両のバンパーに設けられる超音波センサーであり、車両から2m以上離れた長距離範囲を検知エリアとするセンサーである。この超音波センサーは、圧電素子と、圧電素子の一面に接合される音響整合層とを含み、音響整合層の前記一面とは反対側の面が、前記一面に対して角度αで傾斜する構成を有する。
特開2011−39003号公報
ところで、上記特許文献1に記載の技術は、車両からできるだけ離れた障害物を検知することを目的とした超音波センサーであり、このような技術の延長上には、車両の無人運転等が望まれている。このような車両の無人運転技術では、従来、人による観察によって判断されてきた、至近距離内で、かつ広角な範囲に対する障害物の検知が、危険回避上必要となる。
上記特許文献1の技術では、バンパーの傾斜角度αに合わせて、音響整合層の圧電素子とは反対側の面を角度αだけ傾斜させている。この場合、遠距離の障害物の検知を行うことができる。しかしながら、至近距離内における広角な範囲に対する障害物の検知を好適に行うことができない。
つまり、超音波センサーから超音波を送信する場合、超音波ビームは、音響整合層の傾斜角度αに応じた方向に形成されるメインローブの他、メインローブとは異なる方向に出力されるサイドローブが発生する。ここで、特許文献1に記載の超音波センサーでは、このサイドローブに関して考慮されておらず、サイドローブによる反射波を受信した場合に、メインローブの超音波の送信方向に障害物で存在すると判定されてしまう。すなわち、特許文献1では、方位分解能が不十分となり、近距離内における広角な範囲の障害物を検知することができない、との課題がある。
本発明は、方位分解能が高い超音波センサー、及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明の一適用例に係る超音波センサーは、複数の凹部が設けられた面と複数の超音波素子が設けられた面とが互いに表裏となる基板と、前記凹部に充填される音響層と、を備え、前記基板の厚み方向から見て、前記超音波素子は、前記凹部と重なる位置に設けられ、前記音響層の前記凹部の底面と対向する界面は、前記凹部の底面に対して傾きを有することを特徴とする。
本適用例では、基板に複数の凹部と、これらの凹部と重なる位置に設けられる複数の超音波素子とが設けられ、各凹部に音響層が充填されている。そして、本適用例では、この音響層の凹部の底面に対向する界面が、超音波素子が設けられる凹部の底面に対して傾きを有する。つまり、音響層の凹部の底面に対向する界面の法線方向と、凹部の底面の法線方向とが異なる方向となる。このような構成では、複数の凹部のそれぞれに設けられる音響層の界面をそれぞれ異なる方向とすることで、複数の方向に対して超音波の送受信を行うことができる。
一例として、界面の底面に対する角度が第一角度となる第1の超音波トランスデューサー(1つの凹部、超音波素子、及び音響層により構成)と、界面が第一角度とは異なる第二角度となる第2の超音波トランスデューサーとを備える超音波センサーについて説明する。この場合、第1の超音波トランスデューサーにより、第一角度に応じた方向に第1の方向にメインローブが形成されるが、メインローブとは異なる方向にサイドローブが発生する。一方、第2の超音波トランスデューサーの超音波の送受信方向は、第二角度に応じた第2の方向となる。ここで、第1の超音波トランスデューサーにて発生したサイドローブの方向が第2の方向である場合に、当該サイドローブにより反射された超音波を第2の超音波トランスデューサーにて、第2の方向からの反射波として検出できる。これにより、超音波センサーにおける方位分解能を向上させることができる。
本適用例の超音波センサーにおいて、前記複数の凹部は第一凹部と第二凹部とを含み、前記第一凹部に充填される音響層の内部を伝搬する音速は、前記第二凹部に充填される音響層の内部を伝搬する音速とは異なることが好ましい。
本適用例では、第一凹部の音響層と第二凹部の音響層とで、超音波の伝搬速度が異なる。この場合、第一凹部の音響層の界面での超音波の屈折方向と、第二凹部の音響層の界面での超音波の屈折方向とがそれぞれ異なる方向となり、超音波の送受信方向も異なる方向となる。これにより、複数の方向に対する超音波の送受信が可能となり、方位分解能の低下を抑制できる。
本適用例の超音波センサーにおいて、前記音響層は、前記凹部に充填される音響層と前記凹部の底面とは反対側に積層される音響層とを含み、前記凹部の底面とは反対側に積層される音響層の内部を伝搬する音速は、前記凹部に充填される音響層の内部を伝搬する音速と異なることが好ましい。
本適用例では、凹部の底面側に位置する音響層と、その音響層に積層される凹部の底面とは反対側の音響層とにおいて、超音波の伝搬速度が異なる。このため、凹部の底面側の音響層と、底面とは反対側に積層される音響層との間の境界(界面)で、超音波が屈折され、超音波の送受方向を変更することができる。
本適用例の超音波センサーにおいて、前記第一凹部に充填される音響層及び前記第二凹部に充填される音響層は、互いに異なる素材により構成されていることが好ましい。
本適用例では、第一凹部に充填される音響層と、第二凹部に充填される音響層との素材が異なる。これにより、簡素な構成で、第一凹部に充填される音響層から送受信される超音波と、第二凹部に充填される音響層から送受信される超音波との送受信方向を異ならせることが可能となる。
本適用例の超音波センサーにおいて、前記凹部に充填される音響層及び前記凹部の底面とは反対側に積層される音響層は、異なる素材により構成されていることが好ましい。
本適用例では、凹部の底面側に位置する音響層と、凹部の底面とは反対側に積層される音響層との素材が異なる。これにより、簡素な構成で、超音波の送受方向を変更することができる。
本発明の一適用例に係る電子機器は、上述したような超音波センサーと、前記超音波センサーを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の電子機器は、上述したような超音波センサーを備える。したがって、超音波センサーにより方位分解能の高い超音波の送受信が可能となり、電子機器における高精度な制御が可能となる。例えば、超音波センサーにより、対象物を検知して、対象物に対して所定の操作処理を実施する場合では、対象物を適切に検知することが可能となり、対象物に対する操作処理を好適に実施できる。
第一実施形態の超音波センサーの概略構成を示す図。 第一実施形態の超音波送受部の概略構成を示す平面図。 図2のA−A線で切断した超音波送受部の概略構成を示す断面図。 第一実施形態の超音波送受部における超音波の送信方向を示す図。 第一実施形態の超音波送受部において、底面の法線方向から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図。 第一実施形態の超音波送受部において、底面の法線方向に対して傾斜する第二方向から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図。 第一実施形態の超音波センサーの回路基板の概略構成を示すブロック図。 第一実施形態の超音波送受部の製造方法を示す図。 第二実施形態の超音波送受部の製造方法を示す図。 第三実施形態の超音波送受部の概略構成を示す断面図。 第三実施形態の超音波送受部における超音波の送信方向を示す図。 第三実施形態の超音波送受部において、底面の法線方向に対して傾斜する第四方向から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図。 超音波センサーを適用した電子機器としての移動体の概略構成を示す斜視図。 超音波センサーを適用した電子機器としてのロボットの概略構成を示す斜視図。 超音波センサーを適用した電子機器としての超音波診断装置の概略構成を示す斜視図。
[第一実施形態]
以下、第一実施形態に係る超音波センサー10について説明する。
[1.超音波センサー10の概略構成]
図1は、本実施形態の超音波センサー10の概略構成を示す図である。
図1に示すように、超音波センサー10は、超音波送受部20と、封止板12と、回路基板13と、保護ケース11とを備える。
超音波送受部20は、超音波の送信及び受信を行う部分である。
封止板12は、超音波送受部20に接合され、超音波送受部20を補強する。具体的には、封止板12は、後述する超音波送受部20の基板21の第二面21Bに、例えば、エポキシ樹脂等の接合部材により接合される。
回路基板13は、超音波送受部20と電気的に接続され、超音波送受部20を制御する各種回路が設けられている。
保護ケース11は、超音波送受部20、封止板12、及び回路基板13を保護するケースである。保護ケース11の一部には、コネクター11Aが設けられ、回路基板13がコネクター11Aに接続されている。
そして、この超音波センサー10は、超音波送受部20から超音波を送信し、対象物により反射された超音波を受信することで、対象物を検知する。
以下、各構成について、詳細に説明する。
[2.超音波送受部20の構成]
図2は、超音波送受部20の平面図であり、図3は、図2のA−A線で切断した超音波送受部20の断面図である。
図2に示すように、超音波送受部20には、互いに交差するX方向(スキャン方向)及びY方向(スライス方向)に沿って、複数の超音波トランスデューサーTrが2次元アレイ状に配置されている。本実施形態では、Y方向に配置された複数の超音波トランスデューサーTr(超音波素子)により、1CH(チャネル)の送受信列Ch(振動子)が構成される。また、当該1CHの送受信列ChがY方向に沿って複数並んで配置されることで、1次元アレイ構造の超音波送受部20が構成される。ここで、超音波送受部20のうち、超音波トランスデューサーTrが配置される領域をアレイ領域Ar1とする。
なお、図2は、説明の便宜上、超音波トランスデューサーTrの配置数を減らしているが、実際には、より多くの超音波トランスデューサーTrが配置されている。また、本実施形態では、X方向及びY方向が直交する例を示すが、これに限定されず、Y方向及びX方向が、90°とは異なる角度で傾斜する構成としてもよい。
そして、超音波送受部20は、図3に示すように、基板21と、圧電素子22と、音響層23とを含んで構成されている。
[2−1.基板21の構成]
基板21は、超音波が送受信される側の第一面21Aと、圧電素子22が設けられる第二面21Bとが互いに表裏となっており、第一面21Aに複数の凹部21Cが設けられている。より具体的には、基板21は、貫通孔211Aを有する基部211と、基部211の第二面21B側に設けられて貫通孔211Aの一端側を閉塞する支持膜212とを備える。各凹部21Cは、貫通孔211Aの孔内周面と、支持膜212の貫通孔211Aを閉塞する振動部212Aの面(凹部21Cの底面212A1)とにより構成される。
これらの凹部21Cは、超音波トランスデューサーTrが設けられる各位置に対応して設けられている。すなわち、凹部21Cは、基板21を基板厚み方向から見た平面視において、X方向及びY方向に対して格子状に配置されている。
[2−2.圧電素子22の構成]
圧電素子22は、超音波素子に相当し、基板21の第二面21Bにおいて、各凹部21Cと重なる位置にそれぞれ設けられている。この圧電素子22は、図3に示すように、支持膜212側から下部電極221、圧電膜222、及び上部電極223を積層した積層体により構成されている。
このような圧電素子22では、下部電極221及び上部電極223の間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜222が撓んで振動部212Aが振動し凹部21C側に超音波が送出される。また、凹部21C側から超音波が入射されて振動部212Aが振動されると、圧電膜222の上下で電位差が発生する。これにより、下部電極221及び上部電極223の間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
また、本実施形態では、図2に示すように、下部電極221は、Y方向に沿って直線状に形成されており、1CHの送受信列Chを構成する複数の超音波トランスデューサーTrを接続する。この駆動端子221Aは、例えば封止板12に設けられた貫通電極を介して回路基板13に電気接続されている。
また、上部電極223は、X方向に沿って直線状に形成されており、X方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrを接続する。そして、上部電極223の±X側端部は共通電極線224に接続される。この共通電極線224は、Y方向に沿って複数配置された上部電極223同士を結線し、その端部には、回路基板13に電気接続される共通端子224Aが設けられている。この共通端子224Aは、例えば封止板12に設けられた貫通電極により、回路基板13に電気接続されている。
[2−3.音響層23の構成]
音響層23は、凹部21Cの振動部212A(底面212A1)側に設けられる内側音響層231と、凹部21Cの振動部212A(底面212A1)とは反対側で内側音響層231に積層される外側音響層232と、を備える。なお、本実施形態では、振動部212Aと、圧電素子22と、音響層23(内側音響層231及び外側音響層232)とにより、超音波トランスデューサーTrが構成されている。
内側音響層231は、凹部21C内に充填され、振動部212Aとは反対側の端面(外側音響層232との界面233)が、超音波の送受方向に応じてそれぞれ異なる角度で傾斜する。
具体的には、本実施形態では、アレイ領域Ar1に配置される複数の超音波トランスデューサーTrには、底面212A1の法線方向に対して超音波を送受信する第一トランスデューサーTr1と、底面212A1の法線方向に対して所定角度で傾斜する方向に超音波を送受信する第二トランスデューサーTr2及び第三トランスデューサーTr3と、が含まれる。
なお、1つの送受信列Chには、超音波の送受方向が同一となる超音波トランスデューサーTrが配置される。したがって、アレイ領域Ar1には、第一トランスデューサーTr1がY方向に配置される送受信列Ch、第二トランスデューサーTr2がY方向に配置される送受信列Ch、第三トランスデューサーTr3がY方向に配置される送受信列Chがそれぞれ複数設けられている。
次に、これらの各トランスデューサーTr1,Tr2,Tr3の内側音響層231と外側音響層232との界面233の角度について説明する。
第一トランスデューサーTr1では、内側音響層231の界面233が底面212A1の法線方向と一致(又は略一致)する。
一方、第二トランスデューサーTr2では、界面233が底面212A1の法線方向に対して角度α(0<α<90)で傾斜する。つまり、界面233が底面212A1に対して傾きを有する。
また、第三トランスデューサーTr3では、内側音響層231の界面233が底面212A1の法線方向に対して角度−αで傾斜する。つまり、界面233が界面212A1に対して傾きを有する。
なお、本実施形態では、界面233と凹部21Cの−X側の側面(壁部211B)との交点を原点として、底面212A1が配置される平面(XY平面)に平行な基準平面Sを仮定した際に、XZ平面での傾きがtanα、かつY軸と平行な面が第二トランスデューサーTr2における内側音響層231の界面233となる。また、XZ平面での傾きがtan(−α)、かつY軸と平行な平面が第三トランスデューサーTr3における内側音響層231の界面233となる。
図4は、本実施形態における超音波の送信方向を示す図である。
本実施形態では、内側音響層231と、外側音響層232とは、それぞれ異なる素材により構成されており、内側音響層231を伝搬する超音波の速度(内側音響層231内の音速)は、外側音響層232内の音速よりも大きい。
このため、図4に示すように、第二トランスデューサーTr2における超音波の送信方向は、第一トランスデューサーTr1での超音波の送信方向(第一方向D1)に対して、+X側に傾斜する。また、第三トランスデューサーTr3における超音波の送信方向は、第一方向D1に対して、−X側に傾斜する。
さらに、超音波送受部20から超音波が伝搬される対象における音速が、外側音響層232よりも大きい場合、第二トランスデューサーTr2における超音波の送信方向は、更に+X側に傾斜する(第二方向D2)。同様に、第三トランスデューサーTr3における超音波の送信方向は、更に−X側に傾斜する(第三方向D3)。
図5は、底面212A1の法線方向から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図である。
超音波が底面212A1の法線方向から入力されると、第一トランスデューサーTr1の振動部212Aに対して、底面212A1の法線方向から超音波が入力される。一方、第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3では、界面233により超音波が屈折して底面212A1に到達する超音波が少なくなるため、振動部212Aの振動も小さくなる。よって、第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3から出力される信号値は第一トランスデューサーTr1から出力される信号値よりも小さくなる。
図6は、第二方向D2から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図である。
超音波が第二方向D2から入力されると、第二トランスデューサーTr2の振動部212Aに対して、底面212A1の法線方向から超音波が入力される。一方、第一トランスデューサーTr1や第三トランスデューサーTr3では、界面233により超音波が屈折して振動部212Aに到達する超音波が少なくなるため、振動部212Aの振動も小さくなる。よって、第一トランスデューサーTr1や第三トランスデューサーTr3から出力される信号値は第二トランスデューサーTr2から出力される信号値よりも小さくなる。
図示は省略するが、第三方向D3から超音波が入力された場合も同様であり、この場合では、第三トランスデューサーTr3からの信号値が、第一トランスデューサーTr1や第二トランスデューサーTr2よりも大きくなる。
以上に示すように、本実施形態の超音波センサー10では、第一トランスデューサーTr1、第二トランスデューサーTr2、及び第三トランスデューサーTr3から送信された超音波の進行方向が変化し、また、その方向から帰ってきた(入力された)超音波を選択的に受信できる。
[3.封止板12の構成]
次に、超音波センサー10を構成する封止板12について説明する。封止板12は、基板21に接合され、基板21を補強する。この封止板12は、Z方向から見た平面視において、例えば基板21の超音波トランスデューサーTrが配置される領域を覆って形成されており、例えば、Si等の半導体基板や、絶縁体基板により構成される。なお、封止板12の材質や厚みは、超音波トランスデューサーTrの周波数特性に影響を及ぼすため、超音波トランスデューサーTrにて送受信する超音波の中心周波数に基づいて設定することが好ましい。
この封止板12は、例えば、基板21の支持膜212上に形成された接合部材(図示略)により基板21に接合される。この接合部材は、基板21の凹部21C以外の領域(例えば、凹部21C間の壁部211B)に設けられている。よって、接合部材により支持膜212の振動が阻害されることがなく、各超音波トランスデューサーTrの間のクロストークも抑制できる。
また、図示は省略するが、封止板12は、駆動端子221Aや共通端子224Aに対向する孔部を備え、当該孔部に駆動端子221Aや共通端子224Aと回路基板13とを接続する配線部が設けられる。配線部としては、例えば貫通電極であってもよく、リード線やFPC等であってもよい。
[4.回路基板13の構成]
図7は、第一実施形態における回路基板13の概略構成を示すブロック図である。
回路基板13は、超音波送受部20の駆動端子221Aや共通端子224Aに接続される接続端子134を備える。また、回路基板13は、図7に示すように、超音波送受部20による超音波の送受信を制御する各種回路として、例えば選択回路131、送信回路132、及び受信回路133、を備えている。さらに、回路基板13は、コネクター11Aに接続される外部接続端子135を備える。
なお、共通端子224Aは、回路基板13において、グラウンド回路等に接続され、所定の共通電位に維持される。
選択回路131は、駆動端子221Aに接続される接続端子134、送信回路132、受信回路133に接続され、超音波送受部20における送信処理及び受信処理を切り替える。つまり、超音波送受部20において、超音波を送信する際には、接続端子134と送信回路132とを接続する送信モードに切り替え、超音波を受信する際には、接続端子134と受信回路133とを接続する受信モードに切り替える。選択回路131により、送信モードと受信モードを交互に切り替えることで、超音波送受部20から超音波を送信し、対象物により反射された超音波(反射波)を受信することが可能となる。
送信回路132は、送信モードにおいて、各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)に入力する駆動信号を出力する。
受信回路133は、受信モードにおいて、各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)から出力された検出信号を受信する。例えば、受信回路133は、低雑音増幅回路、電圧制御アッテネーター、プログラマブルゲインアンプ、ローパスフィルター、A/Dコンバーター等を含んで構成されており、検出信号のデジタル信号への変換、ノイズ成分の除去、所望信号レベルへの増幅等の各信号処理を実施する。
そして、選択回路131、送信回路132、及び受信回路133は、外部接続端子135を介してコネクター11Aに接続される。超音波センサー10は、コネクター11Aを介して電子機器に接続されることで、電子機器からの指令に基づいて、超音波の送受信処理を実施し、受信信号を電子機器に出力することが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように、超音波トランスデューサーTrに、第一トランスデューサーTr1、第二トランスデューサーTr2、及び第三トランスデューサーTr3が含まれる。よって、送信モードにおいては、各超音波トランスデューサーTrに対して駆動信号を入力することで、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3のそれぞれの方向に対して、超音波を送信することが可能となる。一方、受信モードにおいては、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3からの超音波が、各方向に対応した超音波トランスデューサーTrにて受信される。したがって、検出信号の出力元の超音波トランスデューサーTrに基づいて、どの方向から受信された超音波であるかを判定することが可能となる。
[5.超音波送受部20の製造方法]
次に、上述したような超音波センサー10における超音波送受部20の製造方法について説明する。なお、圧電素子22が積層された基板21の製造については、従来の方法により製造することができる(例えば特開2013−175879号公報参照)。よって、ここでは、音響層23の製造方法について以下に説明する。
図8は、超音波送受部20の製造方法の一例を示す図である。
超音波送受部20を製造する場合、まず、図8の1番目に示すように、圧電素子22が積層された基板21を製造する。
次に、図8の2番目に示すように、基板21の凹部21Cに対して、内側音響層231を充填する。この際、真空置換等により、凹部21C内に気泡が残留しないよう、内側音響層231を充填する。
そして、内側音響層231が固化した後、図8の3番目に示すように、研削処理を実施する。例えば、カッター面に、角度αの第一傾斜面91と、角度−αの第二傾斜面92とが設けられたダイサー90を用い、Y方向に沿って内側音響層231を研削する。これにより、第二トランスデューサーTr2の内側音響層231の界面233が角度αで傾斜し、第三トランスデューサーTr3の内側音響層231の界面233が角度−αで傾斜する。また、第一トランスデューサーTr1の内側音響層231には研削を実施しなくてもよく、底面212A1と平行に研削してもよい。
また、研削処理の後、内側音響層231をコーティング処理して、表面を平滑にしてもよい。
この後、内側音響層231上に、外側音響層232を塗布する。
これにより、図8の4番目に示すように、第一トランスデューサーTr1、第二トランスデューサーTr2、及び第三トランスデューサーTr3を含む超音波送受部20が製造される。
[5.本実施形態の作用効果]
本実施形態では、超音波センサー10は、第一面21Aに複数の凹部21Cを有する基板21と、凹部21Cの底面212A1を構成する振動部212Aの第二面21B側に設けられる圧電素子22と、凹部21Cに充填される音響層23とを有する。本実施形態では、1つの凹部21C、圧電素子22、音響層23(内側音響層231、外側音響層232)により、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。そして、複数の超音波トランスデューサーTrのうち、第二トランスデューサーTr2及び第三トランスデューサーTr3では、内側音響層231の振動部212Aとは反対側の界面233の法線が、底面212A1の法線に対して傾斜している。
このため、送信モードにおいて、第一トランスデューサーTr1に加えて、第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3から超音波を送信することで、近接を含む広角な範囲に対して、超音波を送信することができる。
また、例えば、第一トランスデューサーTr1において、第二方向D2や第三方向D3に対してサイドローブが発生した場合でも、サイドローブによる反射波を第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3で受信することでる。すなわち、各反射波がどの方向から入力されたものであるかを容易に検知することができ、方位分解能を向上させることができる。
本実施形態では、音響層23は、凹部21Cの振動部212A側で、凹部21C内に充填される内側音響層231と、振動部212Aとは反対側で内側音響層231に積層される外側音響層232とを備える。そして、内側音響層231と、外側音響層232とは、異なる素材により構成され、音響層23内を伝搬する超音波の音速がそれぞれ異なっている。すなわち、内側音響層231における音速は、外側音響層232における音速よりも大きい。
このような構成では、第二トランスデューサーTr2及び第三トランスデューサーTr3において、内側音響層231から外側音響層232に超音波が伝搬する際、界面233において、超音波を所望の角度に屈折させることが可能となり、超音波の送受信方向を所望の範囲に広げることができる。
また、内側音響層231と外側音響層232との形成素材をそれぞれ異なる素材とするだけの簡素な構成により、上記のように、超音波の送受信方向を広角範囲に広げることができる。
さらに、本実施形態では、外側音響層232内の音速は、超音波センサー10により超音波を送信する対象における音速よりも小さい。これにより、図4に示すように、超音波の送受信方向をより広げることができる。
また、バルク型の圧電体を振動させる場合、圧電体の厚み寸法により周波数が決定される。一方、この場合、隣り合う圧電体を例えば30μm以下の細かいピッチとしてアレイ構成とすると、各圧電体に電圧を印加した場合に圧電体が厚み方向に交差する方向に揺動し、適正な周波数の超音波を出力できない。これに対して、本実施形態では、基板21の凹部21Cの振動部212Aに、圧電素子22を設けた薄膜型の超音波トランスデューサーTrを用いる。この場合、各超音波トランスデューサーTr間を例えば30μm等の細かいピッチ幅とすることができる。したがって、各超音波トランスデューサーTrを遅延駆動させることで、超音波の送受信方向を好適に走査することが可能となる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、超音波送受部20の音響層23を、ダイサー90を用いた研削処理により製造する例を示した。これに対して、第二実施形態は、第一実施形態と超音波送受部20の製造方法が異なる。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図9は、第二実施形態における超音波送受部20の製造方法を示す図である。
本実施形態では、第一実施形態と同様、圧電素子22が積層された基板21を製造する。
この後、図9の1番目に示すように、基板21の凹部21Cのうち、例えば第三トランスデューサーTr3に対応する凹部21Cに対して、インクジェット装置95により、内側音響層231の形成材料を吐出して充填させる。インクジェット装置95により吐出される内側音響層231の形成材料の液滴の径寸法は、凹部21Cの開口幅寸法(例えば30μm)に対して十分に小さく、内側音響層231内や、凹部21Cとの境界における気泡の発生が抑制される。
この後、図9の2番目に示すように、基板21を角度αだけ傾斜させて、内側音響層231の形成材料を固化させる。これにより、第三トランスデューサーTr3の内側音響層231が形成される。
次に、図9の3番目に示すように、基板21を水平に戻し、第二トランスデューサーTr2に対応する凹部21Cに対して、インクジェット装置95により内側音響層231の形成材料を吐出させて充填させる。そして、図9の4番目に示すように、基板21を角度−αだけ傾斜させて、内側音響層231を固化させる。これにより、第二トランスデューサーTr2の内側音響層231が形成される。
この後、図9の5番目に示すように、第一トランスデューサーTr1に対応する凹部21Cに対して、インクジェット装置95により内側音響層231の形成材料を吐出させて充填させる。そして、図9の6番目に示すように、基板21を水平に維持して内側音響層231を固化させる。これにより、第一トランスデューサーTr1の内側音響層231が形成される。
以上の後、第一実施形態と同様に、内側音響層231上に、外側音響層232を塗布する。これにより、図9の7番目に示すように、第一トランスデューサーTr1、第二トランスデューサーTr2、及び第三トランスデューサーTr3を含む超音波送受部20が製造される。
なお、上記例では、第三トランスデューサーTr3、第二トランスデューサーTr2、及び第一トランスデューサーTr1の順に、内側音響層231を形成したが、これに限られない。例えば、第一トランスデューサーTr1、第二トランスデューサーTr2、第三トランスデューサーTr3の順に内側音響層231を形成してもよく、如何なる順番であってもよい。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、インクジェット装置95から凹部21C内に内側音響層231の形成素材を吐出して充填した後、基板21を傾斜させることで、第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3の内側音響層231を形成する。
これにより、内側音響層231の界面233の面精度を向上させることができ、歩溜まりを向上させることができる。すなわち、上述した第一実施形態のように、ダイサー90を用いた研削処理では、研削時に生じる研削屑等の異物により、界面233の面精度が低下する。第一実施形態では、研削処理の後、内側音響層231の形成素材を薄くコーティングして、界面233を平滑な面としているが、コーティングを実施するための工程が増大してしまう。これに対して、本実施形態では、研削処理が伴わないため、界面233に異物が付着せず、コーティング処理等を実施することなく面精度を高めることができる。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、凹部21C内に充填される内側音響層231として、同一の形成素材を用いる例を示した。これに対して、本実施形態では、第二トランスデューサーTr2及び第三トランスデューサーTr3において、異なる素材の内側音響層231を用いる点で上記第一実施形態と相違する。
図10は、本実施形態の超音波送受部20Aの概略構成を示す断面図である。図11は、本実施形態の超音波送受部20Aにおける超音波の送信方向を示す図であり、図12は、超音波送受部20Aにおいて、底面212A1の法線方向に対して傾斜する方向から超音波を受信した場合の超音波の伝搬経路を示す図である。
ここで、本実施形態において、第二トランスデューサーTr2が配置される凹部21Cを、第一凹部21C1、第三トランスデューサーTr3が配置される凹部21Cを、第二凹部21C2とする。
本実施形態では、第一凹部21C1に充填される第一内側音響層231Aと、第二凹部21C2に充填される第二内側音響層231Bとが異なる素材により構成されている。具体的には、第一内側音響層231Aを伝搬する超音波の速度は、第一実施形態と同様、外側音響層232を伝搬する超音波の音速よりも大きくなる。一方、第二内側音響層231Bを伝搬する超音波の速度は、外側音響層232を伝搬する超音波の音速よりも小さくなる。
そして、本実施形態では、第一内側音響層231Aの界面233は、第一実施形態と同様、基準平面Sに対して角度αで傾斜する。また、第二内側音響層231Bの界面233も、第一内側音響層231Aと同様、基準平面Sに対して角度αで傾斜している。
なお、第一トランスデューサーTr1に関しては、第一内側音響層231Aが充填されていてもよく、第二内側音響層231Bが充填されていてもよく、図10に示すように、第一内側音響層231Aや第二内側音響層231Bとは異なる素材の内側音響層231が充填されていてもよい。
このような超音波送受部20Aでは、送信モードにおいて、図11に示すように、第一トランスデューサーTr1から送信される超音波は、第一方向D1に沿って伝搬し、第二トランスデューサーTr2から送信される超音波は、第二方向D2に沿って伝搬する。
一方、第二内側音響層231B内の音速は、外側音響層232内の音速よりも小さいが、界面233の傾斜方向が第一内側音響層231Aと同じ傾斜方向となる。よって、図11に示すように、第三トランスデューサーTr3における超音波の送信方向は、第一トランスデューサーTr1での超音波の送信方向(第一方向D1)に対して、−X側に傾斜する。そして、超音波送受部20Aから超音波が伝搬される対象における音速が、外側音響層232よりも大きい場合、第三トランスデューサーTr3における超音波の送信方向は、更に−X側に傾斜する(第四方向D4)。
受信モードにおいても同様であり、第一方向D1から入射された超音波は、第一実施形態と同様、第一トランスデューサーTr1において、好適に受信される。これに対して、第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3では、界面233において超音波が屈折されることで、振動部212Aに伝搬される超音波が少なく、検出信号の信号値が小さくなる。
また、図12に示すように、例えば第四方向D4から超音波が入力されると、第三トランスデューサーTr3の振動部212Aに対して、底面212A1の法線方向から超音波が入力される。一方、第一トランスデューサーTr1や第二トランスデューサーTr2では、界面233により超音波が屈折して振動部212Aに到達する超音波が少なくなるため、出力される信号値が第三トランスデューサーTr3から出力される信号値よりも小さくなる。
図示は省略するが、第二方向D2から超音波が入力された場合も同様であり、この場合では、第二トランスデューサーTr2からの信号値が、第一トランスデューサーTr1や第三トランスデューサーTr3よりも大きくなる。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、第一凹部21C1に充填される第一内側音響層231Aと、第二凹部21C2に充填される第二内側音響層231Bとが、それぞれ異なる素材により構成され、第一内側音響層231Aでの音速と、第二内側音響層231Bでの音速が異なる。そして、第一内側音響層231Aの界面233の法線方向と、第二内側音響層231Bの界面233の法線方向とが同一方向であり、それぞれ、底面212A1の法線方向に対して傾斜している。
このような構成では、上記第一実施形態と同様、第一方向D1に加え、第二方向D2及び第四方向D4に対して超音波の送受信が可能となり、サイドローブが発生した場合でも、方位分解能の低下を抑制できる。
また、第一内側音響層231Aの界面233と第二内側音響層231Bの界面233とが同一の角度αで、基準平面Sに対して傾斜している。この場合、第二実施形態のように、インクジェット方式により超音波送受部20Aを製造する際に、インクジェット装置95から、第一凹部21C1に第一内側音響層231Aを、第二凹部21C2に第二内側音響層231Bを充填した後、基板21を−αの角度で傾斜させて固化させる。これにより、第一内側音響層231Aと第二内側音響層231Bとを同時に形成することができ、製造効率性を向上させることができる。
[第四実施形態]
次に、上述した第一から第三実施形態の超音波センサー10を適用した電子機器について説明する。
[超音波センサー10を適用した移動体]
図13は、超音波センサー10を適用した電子機器としての移動体(自動車101)の概略構成を示す斜視図である。
本適用例では、自動車101のバンパー102に超音波センサー10が設けられている。この超音波センサー10は、例えば、自動車101の周囲(例えば前後左右)に対して、超音波を送信し、自動車101の周囲に存在する障害物により反射された超音波を検出する。
また、自動車101には、車体103に電子制御ユニット104(制御部)が設けられている。この電子制御ユニット104は、超音波センサー10から入力される検出信号により、自動車101の周囲の障害物を検出して、危険回避処理等の各種処理を実施する。例えば、超音波センサー10からの検出信号に基づいて、自動車101の自動走行(無人運転)をサポートする。例えば、電子制御ユニット104は、所定距離内の障害物が検知された場合、自動車101の移動を緊急停止させる。
また、電子制御ユニット104は、自動車101を後退させる場合等において、超音波センサー10からの検出信号に基づいて障害物を検知すると、危険を知らせる報知情報(音声や画像等)を出力してもよい。
この際、超音波センサー10は、上述したように近接を含む広角な範囲を超音波の送受信範囲とすることができ、サイドローブの影響を低減することができる。よって、電子制御ユニット104は、自動車101における自動走行や危険報知等において、どの方向に障害物があるか等をより精度よく検出することができる。
また、図13に示す例は、自動車101の例であるが、航空機や、船舶や潜水艇等においても適用することができる。
例えば、船舶や潜水艇等においては、超音波センサー10を船首部等の進行方向先端部に設け、海底や岩壁等を検知することで、座礁等の危険を回避することが可能となる。また、漁船等において魚群を探知することもできる。
[超音波センサー10を適用したロボット]
図14は、超音波センサー10を適用した電子機器としてのロボット110(例えば産業用ロボット)の概略構成を示す斜視図である。
ロボット110は、本体部111、アーム部112、ハンド部113を備えたロボットである。このロボット110は、例えば、アーム部112によりハンド部113を所定位置に移動させ、ハンド部113により作業対象に対して所定の処理(例えば、作業対象の把持や加工等)を実施する、産業用ロボットである。
このロボット110は、例えば、本体部111に超音波センサー10と、制御部114とが設けられ、超音波センサー10により作業対象の位置を検出してアーム部112の移動やハンド部113による処理を制御する。
この際、超音波センサー10は、上述したように近接を含む広角な範囲を超音波の送受信範囲とすることができ、サイドローブの影響を低減することができる。よって、制御部114は、作業対象の位置、作業対象の周囲の障害物を精度よく検出することができる。これにより、アーム部112やハンド部113を作業対象や障害物に衝突させないように移動させたり、ハンド部113により、作業対象に対する適正な処理を実施したりすることが可能となる。
[超音波センサー10を適用した超音波診断装置]
図15は、超音波センサー10を適用した電子機器としての超音波診断装置120の概略構成を示す図である。
超音波診断装置120は、超音波プローブ121と、超音波プローブ121を制御する制御装置122(制御部)とを備える。
超音波プローブ121には、超音波センサー10が格納されており、超音波プローブ121を測定対象に接触させることで、測定対象の超音波測定を実施する。そして、制御装置122は、超音波センサー10から入力された超音波測定結果に基づいて、例えば、測定対象の内部断層像を形成して表示させる。
この際、超音波センサー10は、上述したように近接を含む広角な範囲を超音波の送受信範囲とすることができ、サイドローブの影響を低減することができる。よって、制御装置122は、超音波プローブ121からの受信信号に基づいて、サイドローブの影響を低減した(所謂アーチファクトの発生を抑制した)精度の高い内部断層像を表示させることができる。
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
例えば、第一実施形態において、内側音響層231での音速が、外側音響層232での音速よりも大きくなる例を示したが、これに限定されない。
すなわち、内側音響層231での音速が、外側音響層232での音速よりも小さくてもよい。この場合、第二トランスデューサーTr2で送受信可能な超音波の方向が、第三方向D3となり、第三トランスデューサーTr3で送受信可能な超音波の方向が、第二方向D2となる。よって、上記実施形態と同様、超音波センサー10における方位分解能を高めることができる。
上記第一から第三実施形態において、音響層23が、内側音響層231と外側音響層232とを備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、外側音響層232が設けられなくてもよい。
この場合、超音波センサー10から超音波が伝搬される媒体内の音速により、超音波の送受信方向が変化するが、上記各実施形態と同様に、多方向からの超音波を検出することができるので、サイドローブの影響を抑制することができ、方位分解能を向上できる。
また、超音波送受部20,20Aが、音響層23の基板21とは反対側に、音響レンズを備える構成としてもよい。音響レンズとしては、例えば、YZ断面において表面が円弧状となる、X方向に平行な中心軸を有するシリンドリカル形状とすることができる。この場合、各送受信列Chから送信される超音波を、Y方向の中央位置に収束させるように超音波を送受信することができる。
第一実施形態において、外側音響層232内の音速が、超音波が伝搬される対象における音速よりも小さい例を示したが、これに限定されない。外側音響層232内の音速が、超音波が伝搬される対象における音速より大きくてもよい(例えば空気中に超音波を送信する場合等)。この場合、超音波が伝搬される対象における音速と、外側音響層232内の音速との差に応じて、第一方向D1に対する第二方向D2の傾斜角度や、第一方向D1に対する第三方向D3の傾斜角度が小さくなるが、第一トランスデューサーTr1のみが設けられる超音波センサーに比べて、方位分解能を向上させることができる。
上記第一実施形態において、内側音響層231と外側音響層232とに異なる素材を用いることで、内側音響層231での音速と、外側音響層232での音速とが異なる音速となる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、内側音響層231と外側音響層232として、同一素材(例えばシリコーン樹脂)を用い、当該素材内にフィラー(例えばシリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、カーボン等)を含有させる。そして、内側音響層231と外側音響層232とにおいて、フィラーの含有率や、フィラーの平均粒径等を異ならせることにより、内側音響層231での音速と、外側音響層232での音速を異ならせる構成としてもよい。
なお、第三実施形態における、第一内側音響層231A及び第二内側音響層231Bにおいても同様である。
第一実施形態において、Y方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrを1つの送受信列Chとし、X方向に複数の送受信列Chが配置される1次元アレイを例示したが、これに限定されず、例えば2次元アレイに構成されていてもよい。
この場合、XY方向に配置された各超音波トランスデューサーTrの下部電極221のそれぞれに駆動端子221Aを設ける。すなわち、各超音波トランスデューサーTrが独立して駆動可能な構成とすればよい。
この場合も、Y方向に平行かつ基準平面Sに傾斜する界面を有する内側音響層を有する超音波トランスデューサーTr(第二トランスデューサーTr2や第三トランスデューサーTr3)が設けられることで、超音波の送受方向をX方向に対して広げることができる。また、X方向に平行かつ基準平面Sに対して傾斜する界面を有する内側音響層を有する超音波トランスデューサーTrを更に設ける構成とすることが好ましい。これにより、超音波の送受方向をY方向に対しても広げることができ、サイドローブの影響をより低減することができる。
第四実施形態において、超音波センサー10を適用した電子機器として、移動体(自動車101)、ロボット110、及び超音波診断装置120を例示したが、これに限定されず、周囲の物体を検知して処理を実施する如何なる電子機器に対しても適用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。
10…超音波センサー、20,20A…超音波送受部、21…基板、21A…第一面、21B…第二面、21C…凹部、21C1…第一凹部、21C2…第二凹部、22…圧電素子、23…音響層、101…自動車(電子機器)、104…電子制御ユニット(制御部)、110…ロボット(電子機器)、114…制御部、120…超音波診断装置(電子機器)、121…超音波プローブ、122…制御装置(制御部)、211…基部、211A…貫通孔、211B…壁部、212…支持膜、212A…振動部、221…下部電極、221A…駆動端子、222…圧電膜、223…上部電極、231…内側音響層、231A…第一内側音響層、231B…第二内側音響層、232…外側音響層、233…界面、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、D4…第四方向、S…基準平面、Tr…超音波トランスデューサー、Tr1…第一トランスデューサー、Tr2…第二トランスデューサー、Tr3…第三トランスデューサー、α…傾斜角度。

Claims (5)

  1. 複数の凹部が設けられた面と複数の超音波素子が設けられた面とが互いに表裏となる基板と、
    響層と、を備え、
    前記音響層は、前記凹部に充填される内側音響層と、前記内側音響層の前記凹部の底面とは反対側に積層される外側音響層とを含み、
    前記内側音響層の内部を伝搬する音速は、前記外側音響層の内部を伝搬する音速よりも大きく、
    前記基板の厚み方向から見て、前記超音波素子は、前記凹部と重なる位置に設けられ、
    前記内側音響層と前記外側音響層との界面は、前記凹部の底面に対して傾きを有する
    ことを特徴とする超音波センサー。
  2. 請求項1に記載の超音波センサーにおいて、
    前記複数の凹部は第一凹部と第二凹部とを含み、
    前記第一凹部に充填される音響層の内部を伝搬する音速は、前記第二凹部に充填される音響層の内部を伝搬する音速とは異なる
    ことを特徴とする超音波センサー。
  3. 請求項2に記載の超音波センサーにおいて、
    前記第一凹部に充填される音響層及び前記第二凹部に充填される音響層は、互いに異なる素材により構成されている
    ことを特徴とする超音波センサー。
  4. 請求項に記載の超音波センサーにおいて、
    前記内側音響層及び前記外側音響層は、異なる素材により構成されている
    ことを特徴とする超音波センサー。
  5. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超音波センサーと、
    前記超音波センサーを制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする電子機器。
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