JP2018157458A - 超音波アレイ、超音波センサー及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の超音波センサーは、車両のバンパーに設けられる超音波センサーであり、車両から2m以上離れた長距離範囲を検知エリアとするセンサーである。この超音波センサーは、圧電素子と、圧電素子の一面に接合される音響整合層とを含み、音響整合層の前記一面とは反対側の面が、前記一面に対して角度αで傾斜する構成を有する。
上記特許文献1の技術では、バンパーの傾斜角度αに合わせて、音響整合層の圧電素子とは反対側の面を角度αだけ傾斜させている。この場合、車両の前後方向の遠距離の障害物の検知を行うことができるが、単一のバルク側の圧電体により超音波センサーが構成されているので、広角な範囲に対する障害物の検知を好適に行うことができない。
しかしながら、特許文献1に記載のような超音波センサーでは、バルク型の圧電体を用いているため、圧電体間のピッチ間隔を小さくするには限界がある。この場合、メインローブの他に、所謂グレーティングローブと呼ばれる超音波ビームがメインローブとは異なる方向に形成されてしまい、方位分解能が低下する。仮に、ピッチ間隔を小さくできたとしても、超音波ビームの送受信方向を走査する際に、送受信方向の角度が大きくなる程、見かけ上の開口が小さくなり、超音波センサーの送受信感度が低下する。このため、超音波を送受信可能な範囲には限界があり、当該限界を超えた死角範囲に対する障害物の検知ができないとの課題があった。
これにより、凹部の内周面が底面に対して直交する従来の超音波アレイでは超音波の送受信を行うことができない(感度が低い)死角範囲に対して、超音波の送受信が可能となる。つまり、凹部の傾斜方向を上記死角範囲の方向に向けることで、従来の超音波アレイにおける死角範囲に対する超音波の送受信を行うことができ、超音波の送受信範囲を広角にできる。
本適用例では、底面の投影像が内周面に含まれるので、底面の振動により発生する超音波のうち、底面の法線方向に向かう超音波が内周面により反射されて、内周面の傾斜方向に応じた角度で出力される。このため、超音波アレイから、底面の法線方向に送信される超音波が少なくなり、内周面の傾斜方向に応じた角度に送信される超音波が多くなる。また、底面の法線方向から入射する超音波も内周面に反射される。よって、底面の法線方向から入射する超音波のうち、超音波素子が配置される底面に入射する超音波が少なくなる。
これにより、超音波アレイにおける超音波の送受信方向を、凹部の内周面に応じた方向に絞ることができ、方位分解能を向上させることができる。
本適用例では、凹部が裾広がりに開口している。このような構成では、超音波を受信する際に、凹部の底面よりも広い開口面積の凹部の開口端面から超音波を入射させることができる。これにより、内周面での反射損失を補償することができ、超音波アレイにおける受信感度を向上させることができる。
本適用例では、超音波センサーは、上記のような超音波アレイが複数含まれている。ここで、凹部の内周面の底面に対する傾斜方向がそれぞれ異なる複数の超音波アレイを配置することで、複数の方向に対して好適に超音波を送受信することができる。
本適用例では、内周面が底面の法線方向となる凹部を有する基板を備え、当該基板の凹部と重なる位置に超音波素子が設けられる超音波アレイ(第一超音波アレイと称す)を更に含む。このような第一超音波アレイは、従来の超音波アレイと同様、各超音波素子の駆動タイミングを制御することで、当該第一超音波アレイを中心とした所定角度範囲に対して超音波ビームを形成することができる。一方、このような第一超音波アレイでは、上述したように、超音波の走査範囲に限界があり、超音波を好適に送受信できない死角範囲が存在する。これに対して、本適用例の超音波センサーでは、上記適用例のように、凹部の内周面の底面に対して傾斜する複数の超音波アレイが設けられ、超音波アレイ毎に内周面の底面に対する傾斜方向がそれぞれ異なっている。このような構成では、それぞれの第二超音波アレイにおける凹部の内周面を、前記死角範囲に向かうように傾斜させることで、死角範囲に対して、高い感度で超音波の送受信を行うことができる。これにより、本適用例の超音波アレイでは、広角な範囲に対する超音波の送受信を行うことができる。
本適用例の電子機器は、上述したような超音波センサーを備える。したがって、超音波センサーにより広角な範囲に対して超音波の送受信が可能となり、電子機器における高精度な制御が可能となる。例えば、超音波センサーにより、対象物を検知して、対象物に対して所定の操作処理を実施する場合では、広角な範囲に対して対象物の存在を検知することが可能となり、対象物に対する操作処理を好適に実施できる。
以下、第一実施形態に係る超音波センサー10について説明する。
[1.超音波センサー10の概略構成]
図1は、本実施形態の超音波センサー10の概略構成を示す図である。図2は、超音波センサー10において、第一センサー部20及び第二センサー部30の配置位置及び超音波送受エリアを示す図である。
図1に示すように、超音波センサー10は、ベース基板11と、第一センサー部20と、第二センサー部30と、保護ケース12と、を備える。
ベース基板11は、第一センサー部20及び第二センサー部30を支持する基板である。ベース基板11は、図2に示すように、基板中央部に第一センサー部20を支持する。また、ベース基板11は、第一センサー部20の±X側、及び、±Y側の4方のそれぞれに、第二センサー部30を支持する。すなわち、本実施形態では、第二センサー部30は、第一センサー部20を囲って4つ設けられている。
第一センサー部20は、ベース基板11の基板厚み方向から見た平面視で、ベース基板11の中央部に設けられる。
図3は、第一センサー部20の概略構成を示す断面図である。
第一センサー部20は、図3に示すように、第一基板21と、第一封止板23と、を備える。
第一基板21は、超音波を送信する部分であり、第一超音波アレイAr1(図2参照)を構成する複数の超音波トランスデューサー(第一トランスデューサーTr1)を備える。
第一封止板23は、第一基板21を補強する基板であるとともに、接合部材(例えば接着剤等)を介してベース基板11に固定される。
なお、本実施形態では、第一封止板23がベース基板11に接合されることで、ベース基板11上に第一センサー部20が配置される例を示すが、例えば、第一センサー部20を制御する回路基板が、第一封止板23とベース基板11との間に設けられてもよい。
以下、第一基板21について、詳細に説明する。
ここで、第一基板21では、貫通孔211Aは、例えばSiにより構成された第一基部211に対して等方性エッチングを行うことで形成される。このため、第一凹部21Cの第一内周面211A1は、底面212A1の法線に略沿った(略平行となる)面となる。
圧電素子22は、超音波素子に相当し、図3に示すように、第一支持膜212側から下部電極221、圧電膜222、及び上部電極223を積層した積層体により構成されている。
このような圧電素子22では、下部電極221及び上部電極223の間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜222が撓んで第一振動部212Aが振動し第一凹部21C側に超音波が送出される。また、第一凹部21C側から超音波が入射されて第一振動部212Aが振動されると、圧電膜222の上下で電位差が発生する。これにより、下部電極221及び上部電極223の間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
この第一超音波アレイAr1において、各第一トランスデューサーTr1の間のピッチ間隔は、第一超音波アレイAr1により送受信される超音波の波長よりも小さい。つまり、本実施形態では、Si等により構成された第一基部211に対して、ドライエッチング等を用いて貫通孔211Aを形成する。この場合、隣り合う貫通孔211Aのピッチ間隔(第一トランスデューサーTr1のピッチ間隔)を例えば30μm以下に形成することができる。一方、空気中に超音波を出力する場合では、通常、40kHz〜10MHzの周波数の超音波が用いられる。よって、当該超音波の波長に対して、十分小さいピッチ間隔で第一トランスデューサーTr1を配置することができ、グレーティングローブの発生を抑制した超音波の送受信が可能となる。
すなわち、本実施形態の第一超音波アレイAr1は、各第一トランスデューサーTr1に対する駆動タイミングを制御することで、図2に示すように、第一超音波アレイAr1のアレイ面(底面212A1)の法線方向(第一方向D1)を中心に、所定角度αの範囲(第一送受エリアS1)内に対して、超音波の送受信を行うことができる。
この場合、各第一トランスデューサーTr1の駆動タイミングを制御して、アレイ面の法線に対して角度α以上の範囲に超音波を送出すると、見かけ上の開口面積(超音波の送受信方向から見た際のアレイ面の面積)が小さくなる。よって、第一超音波アレイAr1では、角度αを超える範囲に対して、超音波の送受信感度が低下する。つまり、送信超音波の音圧が低く、超音波受信時の検出信号の信号値も小さくなる。よって、第一超音波アレイAr1で、送受信感度が低下する領域は、死角範囲となり、当該死角範囲に対して対象物が存在した場合、当該対象物の検知が困難となる。
上記の様に、第一センサー部20では、超音波の送受信範囲に死角範囲が存在する。これに対して、本実施形態の超音波センサー10は、第二超音波アレイAr2を有する第二センサー部30を設け、第一超音波アレイAr1の死角範囲に対する検出感度を向上させている。
図4は、第二センサー部30の概略構成を示す断面図である。図5は、第二基板31の概略構成を示す斜視図である。
第二センサー部30は、図4に示すように、第二基板31と、第二封止板33と、を備える。
第二基板31は、超音波を送信する部分であり、第二超音波アレイAr2を構成する複数の超音波トランスデューサー(第二トランスデューサーTr2)を備える。
第二封止板33は、第二基板31を補強する基板であるとともに、接合部材(例えば接着剤等)を介してベース基板11に固定される。
なお、本実施形態では、第二封止板33がベース基板11に接合されることで、ベース基板11上に第二センサー部30が配置される例を示すが、上記第一センサー部20と同様、例えば、第二センサー部30を制御する回路基板が、第二封止板33とベース基板11との間に設けられてもよい。
以下、第二基板31について詳細に説明する。
また、図2に示すように、第一センサー部20の−X側に配置される第二センサー部30の第二内周面311A1は−X側に向かって傾斜し、第一センサー部20の+X側に配置される第二センサー部30の第二内周面311A1は+X側に向かって傾斜する。また、第一センサー部20の−Y側に配置される第二センサー部30の第二内周面311A1は−Y側に向かって傾斜し、第一センサー部20の+Y側に配置される第二センサー部30の第二内周面311A1は+Y側に向かって傾斜する。
この圧電素子32は、超音波素子に相当し、第一センサー部20に設けられる圧電素子22と同一構成を有する。つまり、圧電素子32は、第二支持膜312側から下部電極321、圧電膜322、及び上部電極323を積層した積層体により構成されている。
そして、1つの第二凹部31C及び圧電素子32により1つの超音波トランスデューサー(第二トランスデューサーTr2)が構成される。第二センサー部30では、これらの第二トランスデューサーTr2がX方向及びY方向に対して格子状に配列されることで、図2に示すような第二超音波アレイAr2が構成される。
また、第二超音波アレイAr2は、第二凹部31Cの第二内周面311A1が底面312A1に対して傾斜する以外、第一超音波アレイAr1と同様に構成されている。よって、各第二トランスデューサーTr2の間のピッチ間隔は、第二超音波アレイAr2により送受信される超音波の波長よりも小さく、グレーティングローブの発生を抑制した超音波の送受信が可能となる。
このような第二センサー部30の第二トランスデューサーTr2では、圧電素子32を駆動させると、第二振動部312Aが駆動され、図6に示すように、底面312A1の法線方向に超音波が出力される。そして、当該超音波は、底面312A1の法線方向に位置する第二内周面311A1に到達すると、当該第二内周面311A1の法線に対して角度β(底面312A1の法線に対して2β)で反射される。本実施形態では、角度βが45°<β<90°であるので、超音波は、第二凹部31Cから、第二内周面311A1に沿って、底面312A1から離れる側に、底面312A1の法線に対して傾斜して進行する。
また、第二センサー部30は、第一センサー部20の周囲4方向を囲って設けられているので、図2に示すように、第一センサー部20による第一送受エリアS1の死角範囲に、第二送受エリアS2〜第五送受エリアS5が形成される。すなわち、第一センサー部20の−X側に位置する第二センサー部30により第二送受エリアS2が形成され、+X側に位置する第二センサー部30により第三送受エリアS3が形成され、−Y側に位置する第二センサー部30により第四送受エリアS4が形成され、+Y側に位置する第二センサー部30により第五送受エリアS5が形成される。
これにより、超音波センサー10における超音波の送受信範囲を広角に広げることが可能となる。
ベース基板11は、上述したように第一センサー部20、各第二センサー部30、及びコネクター12Aに接続される制御回路部11Aを備える。
図7は、第一実施形態における制御回路部11Aの概略構成を示すブロック図である。
制御回路部11Aは、第一センサー部20の各第一トランスデューサーTr1を制御する第一制御回路11A1、各第二センサー部30の各第二トランスデューサーTr2に対応する第二制御回路11B1〜11B4を備える。
第二制御回路11B1は、−X側に配置された第二センサー部30の各第二トランスデューサーTr2の駆動タイミングを制御する。これにより、超音波ビームの送受信方向を、第二方向D2を中心として、角度γの範囲内に走査させ、第二送受エリアS2における対象物の位置を検出することが可能となる。
第二制御回路11B2は、+X側に配置された第二センサー部30の各第二トランスデューサーTr2の駆動タイミングを制御する。これにより、超音波ビームの送受信方向を、第三方向D3を中心として、角度γの範囲内に走査させ、第三送受エリアS3における対象物の位置を検出することが可能となる。
第二制御回路11B3は、−Y側に配置された第二センサー部30の各第二トランスデューサーTr2の駆動タイミングを制御する。これにより、超音波ビームの送受信方向を、第四方向D4を中心として、角度γの範囲内に走査させ、第四送受エリアS4における対象物の位置を検出することが可能となる。
第二制御回路11B4は、+Y側に配置された第二センサー部30の各第二トランスデューサーTr2の駆動タイミングを制御する。これにより、超音波ビームの送受信方向を、第五方向D5を中心として、角度γの範囲内に走査させ、第五送受エリアS5における対象物の位置を検出することが可能となる。
本実施形態の超音波センサー10は、第一超音波アレイAr1を有する第一センサー部20と、第二超音波アレイAr2を有する第二センサー部30とを備える。第一センサー部20は、第一面21Aに複数の第一凹部21Cが設けられ、第二面21Bに第一凹部21Cと重なる位置に圧電素子22が設けられた第一基板21を有する。そして、第一凹部21Cの第一内周面211A1は、底面212A1の法線方向と平行な面となる。一方、第二センサー部30は、第一面31Aに複数の第二凹部31Cが設けられ、第二面31Bに第二凹部31Cと重なる位置に圧電素子32が設けられた第二基板31を有する。そして、第二凹部31Cの第二内周面311A1は、底面312A1の法線方向に対して角度βで傾斜している。
このような構成の超音波センサー10では、第一センサー部20の第一超音波アレイAr1により、アレイ面(底面212A1)の法線方向(第一方向D1)を中心とした角度αの第一送受エリアS1に対して超音波の送受信を行うことができる。一方、第一送受エリアS1では、角度αを超える範囲が死角範囲となり、当該死角範囲に対して精度の高い超音波の送受信を実施できない。
また、本実施形態では、第二内周面311A1が、第一センサー部20の死角範囲に向かって傾斜している。よって、上記第一センサー部20における死角範囲に対して、第二センサー部30による超音波の送受信可能なエリア(第二送受エリアS2〜第五送受エリアS5)を重ねることができる。これにより、超音波センサー10により、広角な範囲に対して超音波を送受信することができる。
なお、図8に示すように、第一超音波アレイAr1のような従来の超音波アレイのみを用いて、広角な範囲に対する超音波の送受信を行うことも可能である。しかしながら、この場合、図8に示すようにくさび型のベース部材90を用いる必要が生じる。よって、超音波センサーの厚み寸法が増大してしまう。
これに対して、本実施形態では、第一センサー部20の第一基板21と同一平面上に、第二センサー部30の第二基板31を配置することができる。このため、図8に示すような従来の構成に比べて、超音波センサー10を薄型化することができる。
次に、第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、第二センサー部30の第二基板31は、底面312A1の面積と、第二凹部31Cの開口端面311A2の面積を同一面積とした。これに対して、第二実施形態は、第二凹部の開口端面の面積が底面と異なる点で上記第一実施形態と相違する。なお、以降の説明に辺り、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図9は、第二実施形態の第二センサー部30の第二基板31の概略構成を示す断面図である。
本実施形態では、第二基板31の第二凹部31Dは、底面312A1の外周縁から連続する第三内周面311A3を有する底側凹部31D1と、底側凹部31D1の+Z側(超音波の送信側)で底面312A1に対して傾斜する第四内周面311A4を有する筒状部31D2とを備える。
底側凹部31D1の第三内周面311A3は、底面312A1の法線と平行な面となる。また、底側凹部31D1の+Z側端部には、第一センサー部20から離れる方向(例えば第二センサー部30では−X側)に延出する段差部31D3が設けられる。
筒状部31D2は、第一センサー部20に近い一端側において、底側凹部31D1の開口端31D4から第四内周面311A4が延出し、第一センサー部20から離れる他端側において段差部31D3から第四内周面311A4が延出する開口となる。筒状部31D2の第四内周面311A4は、第一実施形態の第二内周面311A1と同様、底面312A1に対して、角度β(45°<β<90°)で傾斜する。
また、本実施形態では、底面312A1を法線方向に投影した投影像312Bは、筒状部31D2の第四内周面311A4に含まれる。
この場合、図9に示すように、第二振動部312Aの振動により出力された超音波は、法線方向において、筒状部31D2の第一センサー部20側の第四内周面311A4により反射される。そして、筒状部31D2の開口端面31D5から反射角に応じた方向で、底面312A1の法線に対して傾斜する方向に送信される。この際、互いに対向する第四内周面311A4の間の寸法が、互いに対向する第三内周面311A3の間の寸法よりも大きい。よって、第一センサー部20に近い側の第四内周面311A4で反射された超音波のうち、第一センサー部20から遠い側の第四内周面311A4で再反射される超音波が少なくなる。これにより、第二センサー部30から出力される超音波の音圧を大きくすることができる。
次に、上述のような第二基板31の製造方法について説明する。図10及び図11は、第二実施形態における第二基板31の製造における各工程の概略を示す図である。
第二基板31を製造するには、先ず、面方位を(112)を軸として所定角度βだけ傾けたSiにより構成されたウェハー40を用意する。そして、図10の1番目に示すように、ウェハー40の表面を熱酸化処理し、表面にSiO2の膜層41を形成する。
この後、ウェハー40の第二面31B側から等方性エッチング(例えばドライエッチング等)を行い、図10の3番目に示すように、第二面31B側に対して法線方向に凹溝42を形成する。この際、当該凹溝42の溝深さが底側凹部31D1の溝深さとなるように、エッチングを行う。
そして、図10の6番目に示すように、ウェハー40の第二面31B上で、第二振動部312Aと重なる位置に、下部電極321、圧電膜322、及び上部電極323を積層した圧電素子32を形成する。
この後、図11の6番目に示すように、レジストパターン44を除去することで、第二基板31が形成される。
本実施形態では、第二凹部31Dの第一面31A側の開口端面31D5の開口面積M2は、底面312A1の面積M1よりも大きい。
このため、図9に示すように、第二振動部312Aの振動により出力された超音波は、第四内周面311A4で反射され、その後、対向する第四内周面311A4で再反射されることなく、開口端面31D5から外部に送信される。また、このため、送信超音波の音圧を上げることができる。
また、第四内周面311A4の傾斜方向から入射した超音波は、広い面積の開口端面31D5から第二トランスデューサーTr2内に入射し、入射された超音波が第四内周面311A4にて反射されることで、第二振動部312Aに到達する。すなわち、より多くの超音波を第二振動部312Aにて受信することができ、受信感度を高めることができる。
次に、上述した第一及び第二実施形態の超音波センサー10を適用した電子機器について説明する。
図12は、超音波センサー10を適用した電子機器としての移動体(自動車101)の概略構成を示す斜視図である。
本適用例では、自動車101のバンパー102に超音波センサー10が設けられている。この超音波センサー10は、例えば、自動車101の周囲(例えば前後左右)に対して、超音波を送信し、自動車101の周囲に存在する障害物により反射された超音波を検出する。
また、電子制御ユニット104は、自動車101を後退させる場合等において、超音波センサー10からの検出信号に基づいて障害物を検知すると、危険を知らせる報知情報(音声や画像等)を出力してもよい。
この際、超音波センサー10は、上述したように第一送受エリアS1に加えて、第二送受エリアS2〜第五送受エリアS5を含む範囲に対して超音波の送受信を行うことができるので、第一送受エリアS1の死角範囲を小さくすることができる。これにより、電子制御ユニット104は、自動車101における自動走行や危険報知等において、広角な範囲に対して障害物があるか等を精度よく検出することができる。
例えば、船舶や潜水艇等においては、船首部等の進行方向先端部に超音波センサー10を設け、海底や岩壁等を検知することで、座礁等の危険を回避することが可能となる。また、漁船等において魚群を探知することもできる。
図13は、超音波センサー10を適用した電子機器としてのロボット110(例えば産業用ロボット)の概略構成を示す斜視図である。
ロボット110は、本体部111、アーム部112、ハンド部113を備えたロボットである。このロボット110は、例えば、アーム部112によりハンド部113を所定位置に移動させ、ハンド部113により作業対象に対して所定の処理(例えば、作業対象の把持や加工等)を実施する、産業用ロボットである。
このロボット110は、例えば、本体部111に超音波センサー10と、制御部114とが設けられ、超音波センサー10により作業対象の位置を検出してアーム部112の移動やハンド部113による処理を制御する。
この際、超音波センサー10は、上述したように第一送受エリアS1に加えて、第二送受エリアS2〜第五送受エリアS5を含む範囲に対して超音波の送受信を行うことができるので、第一送受エリアS1の死角範囲を小さくすることができる。よって、制御部114は、作業対象の位置、作業対象の周囲の障害物を精度よく検出することができる。これにより、アーム部112やハンド部113を作業対象や障害物に衝突させないように移動させたり、ハンド部113により、作業対象に対する適正な処理を実施したりすることが可能となる。
図14は、超音波センサー10を適用した電子機器としての超音波診断装置120の概略構成を示す図である。
超音波診断装置120は、超音波プローブ121と、超音波プローブ121を制御する制御装置122(制御部)とを備える。
超音波プローブ121には、超音波センサー10が格納されており、超音波プローブ121を測定対象に接触させることで、測定対象の超音波測定を実施する。そして、制御装置122は、超音波センサー10から入力された超音波測定結果に基づいて、例えば、測定対象の内部断層像を形成して表示させる。
この際、超音波センサー10は、上述したように第一送受エリアS1に加えて、第二送受エリアS2〜第五送受エリアS5を含む範囲に対して超音波の送受信を行うことができるので、第一送受エリアS1の死角範囲を小さくすることができる。よって、制御装置122は、超音波プローブ121からの受信信号に基づいて、測定対象の広い範囲に対する内部断層像を精度よく形成することができる。また、グレーティングローブによる所謂アーチファクトの発生をも抑制でき、精度の高い内部断層像を表示させることができる。
なお、本発明は上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
図15は、第一実施形態の変形例における第二基板31の概略構成を示す斜視図である。図15に示すように、第二基板31は、一方向(例えばY方向)に長手状の貫通孔311Cを備える構成としてもよい。この場合、当該貫通孔311Cを閉塞する第二支持膜312の第二面31B上に複数の圧電素子32を配置してもよい。これにより、1つの第二凹部31Cに、複数の第二トランスデューサーTr2が配置される構成となる。
図16及び図17は、第一センサー部20及び第二センサー部30の他の配置例を示す図である。
例えば、図16に示すように、平面視六角形状の第一センサー部20の6辺に対向するように、第二センサー部30を配置してもよい。また、図17に示すように、第一センサー部20が、平面視円形状や楕円形状に形成される場合は、第二センサー部30として、第一センサー部20の外周の一部に沿った円弧に形成してもよい。
いずれの場合でも、各第二センサー部30の第二内周面311A1を、底面312A1から離れるに従って、第一センサー部20から離れる方向に傾斜させる。これにより、上記実施形態と同様、各第二センサー部30での超音波の送受信を行う送受信エリアを、第一センサー部20による第一送受エリアS1の死角範囲に設定することで、広角な範囲に対する超音波の送受信を行うことができる。
Claims (6)
- 複数の凹部が設けられた面と複数の超音波素子が設けられた面とが互いに表裏となる基板を備え、
前記超音波素子は、前記基板の厚み方向から見て、前記凹部と重なる位置に設けられ、
前記凹部の底面の法線は、前記凹部の内周面と交差する
ことを特徴とする超音波アレイ。 - 請求項1に記載の超音波アレイにおいて、
前記底面を当該底面の法線方向に投影した際に、投影像が前記内周面に含まれる
ことを特徴とする超音波アレイ。 - 請求項1又は請求項2に記載の超音波アレイにおいて、
前記凹部は、裾広がりに開口している
ことを特徴とする超音波アレイ。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波アレイを複数含む
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項4に記載の超音波センサーにおいて、
複数の凹部が設けられた面と複数の超音波素子が設けられた面とが互いに表裏となる基板を備え、前記基板の厚み方向から見て、前記凹部と前記超音波素子とが重なる位置に設けられ、前記凹部の内周面が前記凹部の底面の法線方向に沿う超音波アレイをさらに含む
ことを特徴とする超音波センサー。 - 請求項4又は請求項5に記載の超音波センサーと、
前記超音波センサーを制御する制御部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。
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2017
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