JP6880764B2 - 有機−無機複合物およびその製造方法 - Google Patents

有機−無機複合物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、2成分以上のポリマーブレンドの特定のポリマー相に無機フィラーを優先的に偏在させ、無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成する有機−無機複合物およびその製造方法に関し、詳しくは、反応誘起相分離により形成されたポリマーブレンドのある特定のポリマー相に無機フィラーを優先的に偏在させることにより得られる有機−無機複合物およびその製造方法に関する。
有機−無機複合物は、有機物の長所(成型性、軽量性、柔軟性、官能基導入など)と無機物の長所(耐熱性、機械的強度、熱伝導性、導電性など)を両立することが期待される材料である。
有機物であるポリマーの特性を改質するための手法として、ポリマーに無機物である無機フィラーを添加して有機−無機複合物とする手法が採られており、さらに有機−無機複合物の特性を制御する手法として、ポリマーブレンドの特定のポリマー相に優先的に無機フィラーを偏在させる手法が知られている。
例えば、特許文献1には、2種以上のポリマー成分と無機フィラー前駆体を有機溶剤に溶解し、この溶液を塗布して成膜し、有機溶剤を除去した後、加熱することにより特定のポリマー相に無機フィラーを偏在させることにより得られる熱伝導性材料およびその製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、2種のポリマー成分と硬化剤を有機溶剤に溶解し、さらに表面が化学修飾された無機フィラーを添加して調製した混合液を塗布して成膜し、有機溶剤を除去した後、加熱することにより形成される共連続相分離構造の2相の界面に、無機フィラーを偏在させることにより得られる有機−無機複合物およびその製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、熱硬化性ポリマーを含む2種以上のポリマー成分から成るポリマーブレンドと、少なくとも1つのポリマー成分に対して親和性の高い表面修飾された無機フィラーを混合し、これを特定の温度で加熱することによりミクロ相分離構造を形成させ、ある特定のポリマー相に無機フィラーを偏在させる方法が記載されている。
また、特許文献4には、三次元的に連続する第1樹脂相と、これと異なる第2樹脂相を有する相分離構造を有するポリマーブレンドで、第1樹脂相に小径無機フィラーが偏在し、第1樹脂相と第2樹脂相にまたがり、前記小径フィラー同士を熱的に接続する大径無機フィラーを有する絶縁熱伝導性樹脂組成物が記載されている。
さらに、特許文献5には、第1樹脂相と、これと異なる第2樹脂相を有する相分離構造を有するポリマーブレンドで、第1樹脂相に無機フィラーが偏在し、かつ第1樹脂相および無機フィラーにより形成された硬化層を表面に備える樹脂組成物が記載されている。
特開2010−65064号公報 特開2010−132894号公報 特開2012−77233号公報 国際公開2014/155975号公報 特開2016−113607号公報
しかしながら、特許文献1では、ポリマーブレンドを溶解する溶剤を必要としており、薄膜を作製することには適しているが、厚膜の物品を作製することは困難である。また、このような溶剤を用いたキャスト法によりポリマーブレンドに相分離構造を形成する場合には、多量成分が連続相となった海島構造を形成することが一般的である。
そのため、連続相に熱伝導性フィラーを充填して効率的な熱伝導経路を形成するためには、大量の熱伝導性フィラーが必要となり、コスト面から工業的に不利である。さらに、多量成分に無機フィラーを充填することになるため、得られる有機−無機複合物が、有機物の特長である柔軟性等を両立することは困難である。
また、特許文献2では、ポリマーブレンドに共連続相分離構造を形成する必要があり、かつ、その界面に無機フィラーを偏在させるものであるため、無機フィラーの添加量はごく少量に限定され、例えば、熱伝導性フィラーを偏在させた場合には、十分な熱伝導性を有する有機−無機複合物を得ることは困難である。
また、特許文献3では、加熱によりポリマーブレンドにミクロ相分離構造を形成させつつ、所望のポリマー相に無機フィラーを偏在させるため、無機フィラーの表面を偏在先のポリマーとの親和性を高めるように化学修飾する必要がある。そのため、無機フィラーは偏在先のポリマー相内では、均一に分散し易い性質となることから、例えば、熱伝導性フィラーをポリマー連続相に偏在させて熱伝導材料を作製する場合には、熱伝導経路を形成するために必要なフィラー同士の連結を効率的に形成することには不利となり、十分な熱伝導性を発現させることは困難である。
さらに、より高い熱伝導性を発現させるためにはポリマー連続相を多量成分とし、かつ大量の熱伝導性フィラーを添加する必要があることから、コストがかさみ工業的に不利である上に、有機物の特長である柔軟性等を両立することは困難である。
また、特許文献4では、第1樹脂相に偏在した小径無機フィラー同士を熱的に接続するために、第1樹脂相と第2樹脂相にまたがる大径無機フィラーを添加する必要がある。そのため、第2樹脂相にも無機フィラーを充填することが必須であり、得られる有機−無機複合物が有機物の特長である柔軟性等を両立することは困難である。
さらに、特許文献5では、第1樹脂相および無機フィラーにより形成された硬化層を表面一面に備えることを必須とする有機−無機複合物であることから、有機物の特長である柔軟性等を両立することは困難である。
本発明は、上記の状況を鑑み、特定のポリマー相に無機フィラーを効率的に偏在させ、当該無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成した有機−無機複合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに当該無機フィラー同士が偏在先で効率的に連結した有機−無機複合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、比誘電率の異なるポリマー成分とモノマー成分を均一に相溶し、無機フィラーを混合した後、反応誘起相分離を進行させると、無機フィラーの表面が親水性や疎水性などの性質に関わらず、最も比誘電率が高いポリマー相に偏在すること、さらに、無機フィラーの表面の性質が、偏在先のポリマーとの親和性を低くすることにより、フィラー同士が効率的に連結することを見出し、本発明を完成するに至った。
前記特許文献では、無機フィラーの偏在先を制御するために、無機フィラーの表面を偏在先のポリマーとの親和性、すなわち偏在先での分散性を高めるために化学修飾することが開示されているが、表面の化学修飾の性質に関わらず、無機フィラーが反応誘起相分離により形成されたポリマーブレンド中の比誘電率の高いポリマー相に優先的に偏在することに関する記載も示唆もない。
また、相分離構造を有するポリマーブレンドに無機フィラーを偏在させて、有機物と無機物の特長の両立を目指した有機−無機複合物の製造方法において、特許文献では、無機フィラーの表面を偏在先のポリマーとの親和性、すなわち偏在先での分散性を高めるために化学修飾することが好ましいことが開示されているが、偏在先でのフィラー同士の効率的な連結方法について開示されたものはなく、本発明のように無機フィラーの表面の化学修飾により、偏在先との親和性を低下させることは記載も示唆もない。
すなわち、本発明の第1発明は、比誘電率が異なる2成分以上のポリマー成分と無機フィラーとを含む有機−無機複合物において、無機フィラーが最も比誘電率の高いポリマー成分中に偏在し、無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成する有機−無機複合物である。
また、本発明の第2発明〜第5発明は、ポリマー成分の比誘電率の差を特定、無機フィラーを特定して無機フィラー同士が連結する、またはポリマー成分を特定した第1発明に記載の有機−無機複合物である。
さらに、本発明の第6発明は、重合性モノマー中にポリマーを溶解させた後、前記重合性モノマーを重合させてポリマー成分にすることで、ポリマー成分が相分離する反応誘起相分離を起こし、無機フィラーが最も比誘電率の高いポリマー成分に偏在し、無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成する第1発明に記載の有機−無機複合物の製造方法である。
また、本発明の第7発明〜第11発明は、ポリマー成分の比誘電率の差を特定、無機フィラーを特定して無機フィラー同士が連結する、またはポリマー成分を特定した第6発明に記載の有機−無機複合物の製造方法である。
本発明における有機−無機複合物は、連続相を形成するポリマー成分の組成比を任意に設計できるうえ、相対的に高い比誘電率を有するポリマー相に容易に無機フィラーを偏在させることができ、さらに特定な条件により、偏在先で効率的に無機フィラー同士を連結することができる。
そのため、有機と無機の特長を両立した有機−無機複合物として、熱伝導性材料および導電性材料などへの利用が可能であり、電子材料、センサ材料、医療・介護材料、構造材料、自動車材料および航空宇宙材料等の用途への利用が可能である。
図1は実施例3で得られた有機−無機複合物の走査型電子顕微鏡での断面写真(SEM)を示す。 図2は実施例4で得られた有機−無機複合物の走査型電子顕微鏡での断面写真(SEM)を示す。 図3は実施例5で得られた有機−無機複合物の走査型電子顕微鏡での断面写真(SEM)を示す。 図4は実施例6で得られた有機−無機複合物の走査型電子顕微鏡での断面写真(SEM)を示す。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、特にことわりのない限り、「部
数」は質量部、「%」は質量%を表す。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを意味する。
本発明の有機−無機複合物における有機成分は2成分以上のポリマー成分であり、無機成分は無機フィラーである。2成分以上のポリマー成分と無機フィラーを混合させて、無機フィラーが最も比誘電率の高いポリマー成分中に偏在し、無機フィラーが偏在したポリマー成分が連続相を形成したものが本発明の有機−無機複合物である。
本発明における各ポリマー成分の比誘電率は、そのポリマーの原料であるモノマーの誘電率(ε)を真空の誘電率(ε0)で除した比誘電率(ε/ε0)で示す。
本発明において無機フィラーが偏在するとは、最も比誘電率の高いポリマー成分に存在する無機フィラーの複合物全体に占める割合が70体積%以上であることを意味し、その割合は80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。
無機フィラーが偏在している割合の測定は、特に限定なく公知の方法を用いることができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いて観察した試料の断面をX線マイクロアナライザ(XMA、堀場製作所製、X−max80)を用いて解析し、添加した無機フィラー成分の元素マッピングをすることにより測定できる。その他、原子間力顕微鏡を用いたタッピングによる解析などの方法も利用可能である。
また、本発明においてポリマー成分が連続相を形成することは、例えば、複合物の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、連続相を形成していることが確認できる。
本発明の有機−無機複合物の製造方法は特に限定されないが、重合性モノマー中にポリマーを溶解させ、無機フィラーを含む状態で、重合性モノマーを重合させてポリマー成分にする時に起こる反応誘起相分離を利用した方法で製造することが好ましい。以下、反応誘起相分離を利用した方法で製造する有機−無機複合物について説明する。
本発明における重合性モノマーとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリレートおよびスチレンなどのビニルモノマー、エポキシおよびオキセタンなどの環状エーテルモノマー、ならびにシリコンモノマーなどが挙げられるが、柔軟性の制御のしやすさから、(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
前記(メタ)アクリレートには、単官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートが含まれる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、単官能脂肪族(脂環式を含む)(メタ)アクリレートモノマーおよび単官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2官能(メタ)アクリレートモノマーおよび3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、多官能脂肪族(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能芳香族(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
これらのモノマーは、1種または2種以上用いることができる。
前記モノマーとして、具体的には次のようなものが挙げられる。
<単官能脂肪族(脂環式を含む)(メタ)アクリレートモノマー>
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、末端水酸基ポリエステルモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、アリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル、(メタ)アクリル酸、カルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、単官能ウレタン(メタ)アクリレート、単官能エポキシ(メタ)アクリレート、単官能ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、シアノアクリレートなどが挙げられる。
<単官能芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格含有単官能性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<2官能脂肪族(脂環式を含む)(メタ)アクリレートモノマー>
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2官能ウレタン(メタ)アクリレート、2官能エポキシ(メタ)アクリレート、2官能ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸グリセリンモノ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイロキシグリセリンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<2官能芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
ビスフェノールAのEO(エポキシ)付加物ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、フルオレン骨格含有二官能性(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAの(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAの(メタ)アクリレート、ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
<3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレートモノマー>
ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、トリス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル]イソシアヌレート、2,4,6−トリス((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
<3官能以上の芳香族(メタ)アクリレートモノマー>
フルオレン骨格含有多官能性(メタ)アクリレートおよび2,4,6−トリス((メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
上記の中で、好ましいモノマーおよびその比誘電率は以下のとおりである。
なお、比誘電率は、誘電率計(日本ルフト株式会社製Model871)で測定した誘電率の値(23℃、周波数:10kHz)である。
イソボルニルメタクリレート(4.4)、シクロヘキシルメタクリレート(4.9)、ブチルアクリレート(5.1)、メチルメタクリレート(6.1)、2−メトキシエチルアクリレート(7.9)、グリシジルメタクリレート(8.0)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(8.7)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(13.5)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(14.2)、アクリロイルモルホリン(15.5)、2−(2−オキソ−1、3−ジオキソラン−4−イル)エチルメタクリレート(30.2)、2−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)エチルアクリレート(46.5)。
また、上記のモノマーを重合させて、本発明におけるポリマー成分として使用することができる。
本発明において上記モノマーに溶解させるポリマー成分としては、特に限定はされないが、上記モノマーを重合して得られるポリマーの他に、次のような熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂などが挙げられる。
<熱可塑性樹脂>
(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびアクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、柔軟性の制御のしやすさから、(メタ)アクリル樹脂を用いるのが好ましい。
<熱硬化性樹脂>
エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂および熱硬化性ウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明において前記のモノマーを重合するための重合開始剤の種類としては、重合反応を開始し得るものであれば特に制限はない。例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ジアゾニウムカチオンオニウム塩、ヨードニウムカチオンオニウム塩およびスルホニウムカチオンオニウム塩などを、使用するモノマーの種類に応じて適宜用いることができる。
前記のモノマーとポリマー成分の配合割合は任意に決めることができるが、ポリマー成分の割合は、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは15〜50質量%である。
また、モノマーとポリマー成分の比誘電率差は、好ましくは0.01〜50であり、より好ましくは0.01〜30であり、さらに好ましくは0.01〜20ある。比誘電率差が50以上であるとモノマーにポリマーが溶解しないおそれがある。
さらに、本発明におけるポリマー成分は架橋されていても良い。架橋はカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基およびカルボニル基などの反応性官能基が導入された重合体と架橋性官能基を有する架橋剤との間の架橋反応により行われる。
この他にも1分子中に2個以上のビニル基を有する、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼン等の架橋性モノマーの共重合、またはメチロール基含有モノマーおよび加水分解性シリル基含有モノマー等の自己架橋可能な官能基を有するモノマーを導入することによっても架橋は可能である。
架橋剤の種類としては、前記の反応性官能基と架橋反応し得るものであれば特に制限はない。例えば、エポキシ系、イソシアネート系、ヒドラジド系、カルボジイミド系、オキサゾリン系および金属架橋系等の架橋剤から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。架橋剤の添加量は目的とする用途および性能により適宜調整されるものであるが、重合組成物に対し、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
架橋の方法としては、ポリマーを溶解させた重合性モノマーが重合する際に、重合性モノマー自体に架橋反応を起こす方法、およびポリマーを溶解させたあとの重合性モノマーが重合した後のポリマー二成分の両方またはどちらか一方に架橋反応を起こす方法がある。
本発明における無機フィラーとしては、特に限定されないが、酸化物、窒化物、炭化物、金属および炭素系材料などが挙げられる。酸化物としては、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンおよび酸化鉄などが挙げられる。窒化物としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステンおよび窒化マグネシウムなどが挙げられる。炭化物としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタンおよび炭化タングステンなどが挙げられる。金属としては、銀、銅、金、ニッケル、錫、鉄およびそれらの合金などが挙げられる。炭素系材料としては、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーおよびグラフェンなどが挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性絶縁材料としての効果の発現の観点から、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化アルミニウムが好ましく、導電性材料としての効果の発現の観点から、銀、銅、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーが好ましい。
無機フィラーの平均一次粒子径は、5nm〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10nm〜10μmであり、さらに好ましくは20nm〜5μmである。
これらの無機フィラーの形状は特に制限はなく、球状、棒状、針状、柱状、繊維状、板状、フレーク状、ナノシートおよびナノファイバーなどが挙げられ、結晶でも非結晶でも良い。
これら無機フィラーは表面処理が施されていても良く、特定のポリマー相に偏在した無機フィラーが効率的に連結させるために、偏在先のポリマー相との親和性を低くする表面処理が好ましい。
表面処理方法は特に制限なく公知の方法を使用することができる。例えば、表面処理剤を気化させて蒸気とし、その蒸気を無機フィラー表面に接触させる方法、表面処理剤に無機フィラーを浸漬させる方法、刷毛などの塗工手段により表面処理剤を無機フィラーの表面に塗工する方法などが挙げられる。
また、無機フィラーの表面に表面処理剤を暴露する場合の温度、撹拌の有無、浸漬時間などは特に制限されることはない。これらの方法の中でも、簡易な方法でありその効果も確実な点から、表面処理剤に無機フィラーを浸漬させる方法が好ましい。
本発明において無機フィラーの配合割合とは、無機フィラーの体積を混合溶液(モノマーとポリマーが溶解した液に無機フィラーを加えたもの)の体積で除し100を掛けた数値である。無機フィラーの体積は、用いた無機フィラーの重量をその真比重で除した値とした。無機フィラーの配合割合は5〜80体積%であることが望ましく、5〜60体積%であることがさらに好ましい。無機フィラーの特長を発現させ、かつ成形性を保つためには、10〜50体積%であることがさらに好ましい。
上記モノマー中にポリマーを溶解させ、無機フィラーを配合した後、モノマーを重合反応させてポリマー成分にする時に、2つ以上のポリマー成分が反応誘起相分離を起こす。該重合反応は公知の方法が適用できる。
無機フィラーの性質(熱伝導性や導電性など)を効率良く発現させるため、反応誘起相分離によって形成した連続相に無機フィラーを偏在させる。ポリマー成分をモノマーに溶解させて反応誘起相分離を行なう場合は、はじめに配合したポリマー成分が連続相を形成する。
無機フィラーは一般にポリマーやモノマーなどの有機化合物よりも比誘電率(極性)が高く、本発明において無機フィラーは、その表面処理方法に関わらず、相対的に高い比誘電率を有するポリマー相に優先的に偏在する。
配合するポリマーとモノマーの組み合わせにおいては、ポリマーの比誘電率がモノマーの比誘電率よりも高いことが好ましい。
本発明において、無機フィラーは、その表面の極性、非極性の性質に関わらず、相分離したポリマーの高誘電率成分に偏在するので、偏在した無機フィラー同士が偏在先で効率的に熱伝導性や導電性を発現するように連結するには、偏在先ポリマーとの親和性を下げることが望ましい。
偏在先ポリマーとの親和性を高めると、偏在先でフィラー同士よりもフィラーと偏在先ポリマーの親和性が高まるため、フィラー間に偏在先ポリマーが挿入してしまい、効率的な無機フィラー同士の連結を阻害する恐れがある。
無機フィラーとポリマー成分との親和性の評価は、公知の方法を用いて確認することができる。例えば、モノマー液に無機フィラーを分散させたスラリーの粘度を測定する方法や、そのスラリーの外観を目視確認してフィラーが分散していれば親和性が高く、沈殿していれば親和性が低いと判断する方法がある。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
なお、ポリマー成分の比誘電率は、誘電率計(日本ルフト株式会社製Model871)で測定した(23℃、周波数:10kHz)該モノマーの比誘電率である。
(使用したポリマー)
・pTHFMA(ポリテトラヒドロフルフリルメタクリレート)、下記合成例1の方法で得られたポリマー、比誘電率:8.7。
・pAAEM(ポリ2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)、下記合成例2の方法で得られたポリマー、比誘電率:13.5。
(合成例1)
<pTHFMA:ポリテトラヒドロフルフリルメタクリレートの合成>
THFMA(テトラヒドロフルフリルメタクリレート、和光純薬工業株式会社製、比誘電率:8.7)20.0gとABN−E(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、和光純薬工業株式会社製)4.52gとを酢酸n−ブチル(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)46.8gに溶解し、これを窒素雰囲気下で、60℃で6時間撹拌した。この反応液をn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)に滴下し、白色沈殿を生じさせ、デカンテーションにより上澄み液を除き、n−ヘキサンで白色沈殿を洗浄した。
白色沈殿を60℃で減圧乾燥してpTHFMA45gを収率90%で得た。この分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、HLC−8320)により求めた結果、数平均分子量(Mn)14,000、重量平均分子量(Mw)55,000であり、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルより、生成物が目的物であると同定した。
(合成例2)
<pAAEM:ポリ2−アセトアセトキシエチルメタクリレートの合成>
AAEM(2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、日本合成化学工業株式会社製、比誘電率:13.5)20.0gとパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)0.808gとを酢酸n−ブチル(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)80.0gに溶解し、これを窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。この反応液をn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)に滴下し、白色沈殿を生じさせ、デカンテーションにより上澄み液を除き、n−ヘキサンで白色沈殿を洗浄した。
白色沈殿を60℃で減圧乾燥してpAAEM15.8gを収率79%で得た。この分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、HLC−8320)により求めた結果、数平均分子量(Mn)19,000、重量平均分子量(Mw)47,000であり、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルより、生成物が目的物であると同定した。
(使用したモノマー)
CHMA(シクロヘキシルメタクリレート)、三菱レイヨン株式会社製、比誘電率:4.9。
THFMA(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、和光純薬工業株式会社製、比誘電率:8.7。
(使用した開始剤)
パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)、日油株式会社製。
(使用した無機フィラー)
・親水性ZnO:表面がシリカ処理された酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、商品目:FINEX−30W、平均一次粒径35nm。
・疎水性ZnO:表面がハイドロジメチコン処理された酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、商品名:FINEX−30W−LP2、平均一次粒径35nm。
・AlN:窒化アルミニウム、株式会社トクヤマ製、商品名:HF−01(SK)
メジアン径1μm。
・Ag:銀、福田金属箔粉工業株式会社製、商品名:AgC−271B、メジアン径2.1μm。
<実施例1>
ポリマー(pTHFMA)0.4gをモノマー(CHMA)1.6gに溶解した液に、開始剤(パーブチルO)10.3mgおよび親水性ZnO微粒子1.25gを加えた後、ボルテックスミキサーで5分間混合した。
得られた混合液をシリコーン製型枠に流し込みPETフィルムで密閉し、乾燥機を用いて90℃で1時間、続いて120℃で1時間加熱することで所望の試験片を得た。
<実施例2〜8、実施例10および比較例1〜7>
ポリマー、モノマーおよび無機フィラーの種類、これらの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同じ方法で試験片を得た。
<実施例9>
ポリマー、モノマーおよび無機フィラーの種類、これらの配合量を表1のように変更したことと、それらの配合の際にボルテックスミキサーの代わりにプラネタリミキサー(株式会社シンキー、あわとり錬太郎)を使って1800rpmで1分間撹拌した以外は、実施例1と同じ方法で試験片を得た。
実施例および比較例の各試験片の断面観察および熱拡散率測定による相分離構造解析を次の方法で実施し、結果を表1に示す。
<組成物の断面観察>
得られた試験片はイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製IM−4000)で断面出しを行った後、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製S−4800)で断面観察を行った。
観察像(SEM像)から、目視により、相分離の有無、偏在した無機フィラーの割合および無機フィラーの連結性を下記基準により評価した。
・相分離の有無
○:目視により判断し、相分離構造が確認された。
×:目視により判断し、相分離構造が確認出来なかった。
−:相分離が起こり得ない単一成分の系であるもの。
・偏在した無機フィラーの割合
◎:最も比誘電率の高いポリマー成分に存在する無機フィラーの複合物全体に
占める割合が90体積%以上である。
○:最も比誘電率の高いポリマー成分に存在する無機フィラーの複合物全体に
占める割合が70体積%以上90体積%未満である。
×:最も比誘電率の高いポリマー成分に存在する無機フィラーの複合物全体に
占める割合が70体積%未満である。
−:フィラーを添加していない系、または偏在が起こり得ない単一成分の系。
・無機フィラーの連結性
◎:フィラーが連続的な経路を形成し、フィラー同士の連結性が極めて高い。
○:フィラーが連続的な経路を形成し、フィラー同士の連結性が高い。
×:フィラーが均一に分散し、フィラー同士の連結性が低い。
<組成物の断面観察の詳細>
図1に実施例3のSEM像を、図2に実施例4のSEM像を、図3に実施例5のSEM像を、図4に実施例6のSEM像を示した。それぞれについて、少量ポリマー成分が海を、多量ポリマー成分が島を成す相分離が観察された。加えて、ZnOフィラーが海に相当する成分に偏在することが観察された。
図1(実施例3)に示した親水性ZnOフィラーを添加した場合のSEM像では、図2(実施例4)に示した疎水性ZnOフィラーを添加した場合に比べ、ZnOフィラー同士が連結する様子が観察された。
また、図3(実施例5)に示した親水性ZnOフィラーを添加した場合のSEM像でも、図4(実施例6)に示した疎水性ZnOフィラーを添加した場合に比べ、ZnOフィラー同士が連結する様子が観察された。
なお、実施例3および4の断面をX線マイクロアナライザ(XMA、堀場製作所製、X−max80)を用いて分析した結果、Zn元素が島の成分からは検出されず、もっぱら海の成分に検出されることから、ZnOフィラーが海に相当する成分に偏在することを確認した。
<熱拡散率の増加率測定>
熱拡散率測定装置(ネッチ・ジャパン株式会社製LFA−467)で各複合物の熱拡散率(単位:mm2/s)を測定した。熱拡散率の数値が高いほど、熱を伝えやすいことを示す。
表1における熱拡散率の増加率(α/α0)とは、当該熱拡散率(αとする)を、フィラーを添加しない場合(ポリマーのみの場合)の熱拡散率(α0とする)で除した値であり、熱拡散率の増加率が高いほど、伝熱経路を形成していることを示す。
表1における比誘電率の差(Δεr)は、ポリマーの比誘電率からモノマーの比誘電率を差し引いた値であり、この値は本発明における最も比誘電率が高いポリマー成分と他のポリマー成分との比誘電率の差に相当する。
Figure 0006880764
表1によれば、無機フィラーの添加率が同じであるにも関わらず、相分離する系(実施例1、2)は、相分離しない系(比較例2、3)に比べて熱拡散率の増加率が大きくなった。これは、相分離構造中でZnOが偏在し、伝熱経路を形成したためと言える。
ポリマー成分が相分離した場合、添加した無機フィラーは、実施例1〜10において比誘電率の高いポリマー相に偏在した。
さらに、偏在先のポリマー相の中で、無機フィラーの表面状態によってフィラー同士の連結/分散の仕方が異なることが明らかになった。すなわち、親水性の表面処理がなされたZnOの場合は、ZnO同士が連結し(実施例1、3、5)、疎水性の表面処理がなされたZnOの場合はZnO同士が分散した(実施例2、4、6)。
このように親水処理ZnOが連結するように振る舞うのは、偏在先のポリマー相との親和性が、親水処理ZnOの方が疎水性処理ZnOよりも低いためである。
フィラー同士が連結することは熱の伝導が起こる上で有利であり、SEM観察でフィラー同士が連結している親水性ZnOの場合(実施例1、3、5)の方が、疎水性ZnOの場合(実施例2、4、6)よりも熱拡散率の増加率は高まり、熱がより伝わりやすくなった。
本発明の有機−無機複合物は、有機と無機の特長を両立した複合物として、熱伝導性材料および導電性材料などへの利用が可能であり、電子材料、センサ材料、医療・介護材料、構造材料、自動車材料および航空宇宙材料等の用途への利用が可能である。
1:THFMAポリマー相
2:CHMAポリマー相
3:親水性ZnOフィラー
4:疎水性ZnOフィラー
5:AAEMポリマー相

Claims (9)

  1. 比誘電率が異なる2成分以上のポリマー成分と、無機フィラーとを含む有機−無機複合物において、無機フィラーが最も比誘電率の高いポリマー成分中に偏在し、無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成し、
    偏在先のポリマー成分との親和性を低くする表面処理を施した無機フィラーを使用して、無機フィラーが偏在したポリマー相において無機フィラー同士が連結した構造を形成する、
    有機−無機複合物。
  2. 最も比誘電率の高いポリマー成分と他のポリマー成分との比誘電率の差が0.01〜50である請求項1に記載の有機−無機複合物。
  3. ポリマー成分の少なくとも1つが(メタ)アクリル樹脂である請求項1又は2に記載の有機−無機複合物。
  4. ポリマー成分の少なくとも1つが架橋したポリマー成分である請求項1〜のいずれか一項に記載の有機−無機複合物。
  5. 重合性モノマー中にポリマーを溶解させた後、前記重合性モノマーを重合させてポリマー成分にすることで、ポリマー成分が相分離する反応誘起相分離を起こし、無機フィラーが最も比誘電率の高いポリマー成分に偏在し、無機フィラーが偏在するポリマー成分が連続相を形成する請求項1に記載の有機−無機複合物の製造方法。
  6. 最も比誘電率の高いポリマー成分と他のポリマー成分との比誘電率の差が0.01〜50である請求項に記載の有機−無機複合物の製造方法。
  7. ポリマー成分の少なくとも1つが(メタ)アクリル樹脂である請求項5又は6に記載の有機−無機複合物の製造方法。
  8. 重合性モノマーが、(メタ)アクリレート化合物である請求項5〜7のいずれか一項に記載の有機−無機複合物の製造方法。
  9. ポリマー成分の少なくとも1つが架橋したポリマー成分である請求項5〜8のいずれか一項に記載の有機−無機複合物の製造方法。
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