JP6879618B2 - クレーンの運転支援システム及び運転支援方法 - Google Patents
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Description
また、遠隔操作を行うクレーンは、クレーンから離れた場所に運転室を設ける場合が多く、運転室から荷役対象を目視し難いため、表示装置を運転室に設ける必要がある。
このような表示部には、運転手の作業負担の軽減や作業性の向上を目的として、撮像した映像に加えて、荷役作業を支援する画像も表示することで、クレーンの運転を支援する場合がある。
特許文献1には、荷役対象の着床目標面を真上から見た映像に、荷役作業を支援する画像として、吊荷の底面を示す枠状の画像を重ねて表示する技術が記載されている。
一方で、特許文献1に記載の技術では、映像と画像が上面図で表されるため、吊荷の高さ方向の位置が映像と画像からは視認し難いという問題があった。
これに対し、特許文献2には、着床目標面及びコンテナスプレッダをトロリから鉛直方向に対して斜めに見下ろした映像に、荷役作業を支援する画像として、理想的なコンテナスプレッダの巻き上げ位置のガイド線を重ねて表示する技術が記載されている。
一方で特許文献2では、着床目標面及びコンテナスプレッダを斜めに見下ろした映像が表示されるため、映像上の被写体間の鉛直方向の位置関係は、撮像装置の光軸に直交する平面上の座標系で表示される。そのため、運転手は撮像装置の光軸の鉛直方向に対する傾斜角を把握したうえで、映像上の被写体の位置関係を基に、着床目標面からコンテナスプレッダまでの高さを推認する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、撮像対象を斜め上方から見下ろした映像を表示する場合でも、撮像対象の高さ方向の位置を正確に視認でき、荷役効率を向上させられるクレーンの運転支援システムの提供を目的とする。
まず、図1を参照して本実施形態に係るクレーンの運転支援システムの適用対象であるクレーンの概要を説明する。ここではクレーンとして、岸壁に設けられ、吊荷としてのコンテナを接岸したコンテナ船48との間で荷役する岸壁クレーンを例示する。
図1及び図2に示すように、運転支援システム27は、撮像部17、位置検出部19、制御部21、表示部23、及び変位検出部25を備える。
図1の撮像部17の撮像方向は、トロリ9に付設された運転室でクレーン操作を行っていた遠隔操作方式でない運転室の視界を再現する方向である。そのため、映像14は、吊体30を着床目標面10aに着床させる際に運転手が参照する画像である。
撮像部17の構造は、映像14を取得できる構造であれば特に限定されないが、デジタルビデオカメラを例示できる。
より具体的には、図1に示すように位置検出部19は、トロリ9に設置された位置センサ19a及び振れ角センサ19bを有する。位置センサ19aは、吊体30及び着床目標面10aの形状を認識するセンサであり、例えば3次元レーザセンサが用いられる。振れ角センサ19bはトロリ9に対する吊体30の振れ角を検出するセンサであり、例えばレーザセンサである。振れ角センサ19bがレーザセンサである場合、吊体30の上面に設けられた図示しないマーカの位置を検出することで、振れ角を検出する。
制御部21は、位置検出部19が検出した着床目標面10aの位置を基に、着床目標面10aの所定位置から延びる鉛直線に鉛直方向における高さを示す複数の目盛を表示した画像である目盛付鉛直線画像31を生成する。制御部21は、目盛付鉛直線画像31を映像14に重ねて表示した画像である処理画像41も生成する。
制御部21としては、例えば汎用のコンピュータを用いることができる。
鉛直線画像33は着床目標面10aの所定位置から延びる鉛直線を示す画像である。所定位置は、着床目標面10aを規定する領域内であれば特に限定しない。本実施形態ではクレーン1の荷役対象がコンテナ10bであるため、着床目標面10aを規定する領域は矩形の領域内である。
目盛画像35は鉛直線の鉛直方向の高さを示す目盛の画像である。
目盛画像35の鉛直方向の目盛間隔は、例えば荷役の際に運転手が区別する必要がある鉛直方向最短距離であるが、この間隔に限定されない。
特定の高さとは、運転手が荷役操作を行う際に、必ず把握する必要がある高さのことを意味する。具体的には、吊体30の着床面34の高さ、吊体30の減速高さ、安全高さ、ハッチカバー高さを例示できる。また、通常目盛画像35eとは、特定の高さを示す目盛ではなく、単に予め定められた間隔で表示されている目盛画像35を意味する。
図4に示すように吊体30と着床目標面10aをトロリ9から斜めに見下ろした画像を映像14として表示する場合、着床面34が吊体30の上面及び撮像方向正面に隠れて映像14に映らない。そこで、図4に示すように特定高さ目盛画像35aとして着床面34の高さを示す画像を表示することで、運転手が着床面34の高さを正確に把握できる。これにより、着床面34と着床目標面10aの間の距離を正確に運転手が把握でき、高さに応じた適切な着床操作を行える。なお着床面34の高さは、位置センサ19aを用いて計測できる。
吊体30の減速高さとは、吊体30を降下させる際に、減速を開始する基準となる着床面34の鉛直方向高さである。具体的には、吊体30を駆動するモータの最大減速を基準として、着床時に吊体30の速度がゼロとなる高さである。これ以下の高さから吊体30の減速を開始しても、着床時の吊体30の速度が0を超えるため、着床目標面10aに吊体30が着床した際にコンテナ10やスプレッダ11に衝撃が加えられる恐れがある。そのため、減速高さを運転手が特定高さ目盛から把握できれば、高さに応じた適切な加減速の操作を行える。
安全高さとは、吊体30が着床目標面10aを周囲の構造物に接触させずにトロリ9を横行させられる基準となる高さである。安全高さを運転手が特定高さ目盛画像35cから把握できれば、吊体30が横行可能な高さにあるか否かを視認できる。
ハッチカバー高さとは、図1に示すコンテナ船48の船倉50内外を区別するハッチ49の高さのことであり、この高さが把握できればセルガイドと呼ばれるガイドとの位置合わせのための適切な一時減速・停止の目安となる。
例えば図4に示す高さにあるスプレッダ11を図5に示す高さまで降下させたとする。この場合、図5では、吊体30の着床面34よりも鉛直方向上方に通常目盛画像35eは表示していない。通常目盛画像35eは鉛直線画像33のうち、吊体30の着床面34よりも鉛直方向下方に位置する部分にのみ表示されている。これは、着床操作の際に運転手が把握する必要がある鉛直方向の高さと距離は、着床面34と着床目標面10aの高さ及び両者の距離であり、これらは、着床面34と着床目標面10aの間に表示された通常目盛画像35eから把握するためである。
ただし、特定高さ目盛画像35a〜35dは、図5の特定高さ目盛画像35c、35dで例示するように、着床面34よりも鉛直方向上方に位置する場合でも表示するのが好ましい。これは、特定高さ目盛画像35a〜35dは、荷役操作を行う際に、運転手が必ず把握する必要がある高さを示すため、着床操作の際にも着床面34の位置によらず常に運転手が把握する必要があるためである。
このように、特定高さ目盛画像35a〜35dを常に表示することで、運転手が把握すべき高さを表示する目盛を常に表示できるので、荷役の安全性が向上する。
なお、図5のような表示を行う場合は、位置センサ19aで着床面34の鉛直方向の位置(高さ)検出し、検出した着床面34の高さに基づき、通常目盛画像35eを表示する位置と表示しない位置を制御部21が設定すればよい。
さらに、着床目標面10aが設定されている期間は目盛付鉛直線画像31を常時表示する構成としてもよい。この場合、目盛付鉛直線画像31の表示を開始するタイミングは、着床目標面10aが設定された時点であり、表示を終了するタイミングは、着床操作が完了し、荷役が終了した時点か、別の着床目標面10aが新たに設定された時点である。
処理画像41を表示可能な装置であれば、表示部23の構成は特に限定されず、液晶表示装置等の公知の表示装置を用いればよい。
吊体30の変位とは、着床目標面10aに対する吊体30の着床面34の位置ズレを意味する。具体的な変位の例としては吊体30のスキュー、鉛直方向の吊体30の振れ角、あるいは着床目標面10aに対する着床面34の横行方向(図1のX方向)の位置ズレ等が挙げられる。これらの変位は位置センサ19a又は振れ角センサ19bを用いて検出できるので、この場合は位置センサ19a又は振れ角センサ19bが変位検出部25になる。
本実施形態の運転支援システム27は変位検出部25として、図1に示すように、クレーン1の桁部5に設けられ、その周囲の風向きと風速を測定する風向風速計25aを有する。
なお、図6では鉛直線画像33を太くすることで目盛付鉛直線画像31の情報量を変えているが、目盛画像35の情報量を変えてもよい。
以上が、本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27の構成の説明である。
着床操作が開始されると、制御部21は着床目標面10a(図9参照)の位置を検出する(図8のS2)。具体的には、図2に示すTOS29等から着床目標の座標に係る情報を取得し、制御部21が当該情報を基に、スプレッダ11の着床目標面10aを設定する。
着床目標面10aが決まると、制御部21は目盛付鉛直線の起点の位置座標を映像上の座標系における着床目標面10aの位置座標に変換する(図8のS3)。ここでは図4に示すように、着床目標面10aを規定する矩形領域の4隅である起点12a〜12dの位置座標を変換する。
ここで、
L1:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PαまでのX方向距離
H1:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PαまでのZ方向距離
θC:撮像部17の光軸A1のX方向の傾斜角
次に制御部21は、θAと撮像部17の画素数に基づいて、PαのX座標を映像14における座標にピクセル変換した座標を算出する。
具体的にはまず、下記数式(2)を用いて、図9のX−Z平面における、撮影中心点P0から着床面34の位置座標Pβまでを結ぶ線分A5と、撮像部17の光軸A1とのなす角度であるθBを求める。
ここで、
L2:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PβまでのX方向距離
H2:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PβまでのZ方向距離
θC:撮像部17の光軸A1のX方向の傾き
また、スプレッダ11の着床面34の右上隅の、着床目標面10aの起点12dに対する変位のX方向成分は、図9ではPαとPβのX方向の位置ズレΔLで示される。ΔLは以下の式(3)から求められる。
ΔL=(H3×tanθD)−L3
ここで、
L3:触れ角センサの撮影中心点から位置座標PβまでのX方向距離
H3:トロリ9の底面からスプレッダ11の上面までのZ方向距離
θD:スプレッダ11の振れ角
次に、制御部21は、S3で変換した座標を起点に、目盛付鉛直線画像31を生成する(図8のS5)。S4を実施している場合、制御部21はS4で取得した変位又は物理量に応じて、情報量を変えた目盛付鉛直線画像31を生成する。
目盛付鉛直線画像31が生成されると、制御部21は、目盛付鉛直線画像31を映像14の前面に重ねて処理画像41を生成する(図8のS6)。
最後に制御部21は、生成した処理画像41の情報を表示部23に送信して処理画像41を表示部23に表示させる(図8のS7)。
以上が本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27の動作の概略の説明である。
3 脚部
4 ワイヤ
5 桁部
7 走行装置
9 トロリ
10、10b コンテナ
10a 着床目標面
11 スプレッダ
12a、12b、12c、12d 起点
14 映像
15 運転室
17 撮像部
19 位置検出部
19a 位置センサ
19b 振れ角センサ
21 制御部
23 表示部
25 変位検出部
25a 風向風速計
27 運転支援システム
29 TOS
30 吊体
31 目盛付鉛直線画像
33 鉛直線画像
33c 矢印画像
34 着床面
35 目盛画像
35a、35b、35c、35d 特定高さ目盛画像
35e 通常目盛画像
41 処理画像
48 コンテナ船
49 ハッチ
50 船倉
Claims (7)
- 一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援システムであって、
吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、
前記トロリに設けられ、前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像する撮像部と、
前記着床目標面の位置を検出する位置検出部と、
前記撮像部及び前記位置検出部に接続され、
前記位置検出部が検出した前記着床目標面の位置を基に、前記着床目標面の領域の周縁の複数の起点から延びる複数の鉛直線を示す鉛直線画像と前記鉛直線ごとの鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねた画像である処理画像を生成する制御部と、
前記制御部に接続され、前記処理画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とするクレーンの運転支援システム。 - 前記鉛直線画像は、前記吊体の前記着床面の高さ以上まで表示される請求項1に記載のクレーンの運転支援システム。
- 前記吊具の荷役対象はコンテナであり、
前記着床目標面の領域の周縁の複数の起点は、前記着床目標面の4隅である請求項1又は2に記載のクレーンの運転支援システム。 - 前記制御部に接続され、前記着床目標面に対する前記吊体の着床面の位置ずれである前記吊体のスキュー、前記吊体の振れ角、前記吊体の横行方向の位置ずれ、前記着床面の傾きを示す変位又はその変位の原因となる物理量を検出する変位検出部を備え、
前記制御部は、前記変位検出部が検出した前記物理量に応じて、前記目盛画像又は前記鉛直線画像の情報量を変えた画像を生成する請求項1〜3のいずれかに記載のクレーンの運転支援システム。 - 前記位置検出部は、前記吊体の前記着床面の位置も検出する手段であり、
前記目盛画像は、前記着床面の高さ、前記吊体を降下させる際に減速を開始する基準となる減速高さ、前記吊体が周囲の構造物に接触させずに前記トロリを横行させられる基準となる安全高さを含む鉛直方向における特定の高さを示す特定高さ目盛画像と、それ以外の高さを示す通常目盛画像を有し、
前記制御部は、前記位置検出部が検出した前記着床面の位置に基づき、
前記目盛付鉛直線画像として、前記鉛直線画像のうち、前記吊体の前記着床面よりも鉛直方向下方に位置する部分にのみ前記通常目盛画像を表示した画像を生成する請求項1〜4のいずれかに記載のクレーンの運転支援システム。 - 前記制御部は、
前記特定高さ目盛画像を、前記吊体の前記着床面よりも鉛直方向上方に位置する場合でも前記鉛直線画像に表示した画像を生成する請求項5に記載のクレーンの運転支援システム。 - 一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援方法であって、
吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、
前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像し、
前記着床目標面の領域の周縁の複数の起点を検出し、
検出した前記複数の起点を表示部の画面に表示する座標系における座標に変換し、
変換した座標を基に、前記複数の起点から延びる複数の鉛直線を示す鉛直線画像と前記鉛直線ごとの鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む画像である目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねて表示した画像である処理画像を生成し、
生成した前記処理画像を前記表示部に表示させることを特徴とするクレーンの運転支援方法。
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