JP2020132361A - クレーンの運転支援システム及び運転支援方法 - Google Patents

クレーンの運転支援システム及び運転支援方法 Download PDF

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Abstract

【課題】撮像対象を斜め上方から見下ろした映像を表示する場合でも、撮像対象の高さ方向の位置を正確に視認できるクレーンの運転支援システムの提供。【解決手段】一方向に延びる桁部5に保持されるトロリ9と、トロリ9に保持されて鉛直方向に上下するスプレッダ11を備えるクレーン1の運転を支援する運転支援システム27であり、トロリ9に設けられ、着床目標面10aと吊体30を含む映像14を撮像する撮像部17と、着床目標面10aの位置を検出する位置検出部19と、位置検出部19が検出した着床目標面10aの位置を基に、着床目標面10aの所定位置から延びる鉛直線を示す鉛直線画像33と鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像35を含む目盛付鉛直線画像31を映像14に重ねて表示した画像である処理画像41を生成する制御部21と、処理画像41を表示する表示部23を備える。【選択図】図4

Description

本発明はクレーンの運転支援システム及び運転支援方法に関する。
クレーンには、運転手の死角となる位置や、運転手から遠方にある位置のように、運転手が目視し難い位置の映像を表示するため、該位置を撮像する撮像部をクレーンに設け、さらに撮像した映像を表示する表示部を運転室に設ける場合がある。
また、遠隔操作を行うクレーンは、クレーンから離れた場所に運転室を設ける場合が多く、運転室から荷役対象を目視し難いため、表示装置を運転室に設ける必要がある。
このような表示部には、運転手の作業負担の軽減や作業性の向上を目的として、撮像した映像に加えて、荷役作業を支援する画像も表示することで、クレーンの運転を支援する場合がある。
特許文献1には、荷役対象の着床目標面を真上から見た映像に、荷役作業を支援する画像として、吊荷の底面を示す枠状の画像を重ねて表示する技術が記載されている。
一方で、特許文献1に記載の技術では、映像と画像が上面図で表されるため、吊荷の高さ方向の位置が映像と画像からは視認し難いという問題があった。
これに対し、特許文献2には、着床目標面及びコンテナスプレッダをトロリから鉛直方向に対して斜めに見下ろした映像に、荷役作業を支援する画像として、理想的なコンテナスプレッダの巻き上げ位置のガイド線を重ねて表示する技術が記載されている。
特開2011−63358号公報 特開2005−289591号公報
特許文献2に記載の技術は、荷役作業を支援する画像を表示させつつ、撮像対象の高さ方向の位置も映像で視認できる点で優れた技術である。
一方で特許文献2では、着床目標面及びコンテナスプレッダを斜めに見下ろした映像が表示されるため、映像上の被写体間の鉛直方向の位置関係は、撮像装置の光軸に直交する平面上の座標系で表示される。そのため、運転手は撮像装置の光軸の鉛直方向に対する傾斜角を把握したうえで、映像上の被写体の位置関係を基に、着床目標面からコンテナスプレッダまでの高さを推認する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、撮像対象を斜め上方から見下ろした映像を表示する場合でも、撮像対象の高さ方向の位置を正確に視認でき、荷役効率を向上させられるクレーンの運転支援システムの提供を目的とする。
上記した課題を解決するため、本発明のクレーンの運転支援システムは、一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援システムであって、吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、前記トロリに設けられ、前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像する撮像部と、前記着床目標面の位置を検出する位置検出部と、前記撮像部及び前記位置検出部に接続され、前記位置検出部が検出した前記着床目標面の位置を基に、前記着床目標面の所定位置から延びる鉛直線を示す鉛直線画像と鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねた画像である処理画像を生成する制御部と、前記制御部に接続され、前記処理画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
本発明のクレーンの運転支援方法は、一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援方法であって、吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像し、前記着床目標面の所定位置を検出し、検出した前記所定位置を表示部の画面に表示する座標系における座標に変換し、変換した座標を基に、前記所定位置から延びる鉛直線を示す鉛直線画像と鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む画像である目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねて表示した画像である処理画像を生成し、生成した前記処理画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
本発明では、吊体と着床目標点を撮像した映像に、目盛付鉛直線画像が重ねて表示される。そのため、吊体と目盛の鉛直方向の位置関係を見れば、吊体の現在の鉛直方向高さを運転手が容易に把握できるので、高さに応じた適切な運転操作が可能となり、荷役効率が向上する。
本発明によれば、撮像対象を斜め上方から見下ろした映像を表示する場合でも、撮像対象の高さ方向の位置を正確に視認でき、荷役効率を向上させられるクレーンの運転支援システムを提供できる。
本実施形態に係るクレーンの運転支援システムの適用対象であるクレーンの正面図である。 本実施形態に係るクレーンの運転支援システムを示す機能ブロック図である。 図1の撮像部が撮像した映像の例を示す図であり、スプレッダ、コンテナ、及びワイヤ以外の被写体は記載を省略している。 図3の映像に目盛付鉛直線画像を重畳した処理画像の例を示す図である。 処理画像の例を示す図であって、図4の状態からスプレッダを下降させた状態を示す図である。 処理画像の変形例を示す図である。 処理画像の他の変形例を示す図である。 本実施形態に係るクレーンの運転支援システムの動作を示すフロー図である。 図1の撮像部、トロリ、スプレッダ及び着床目標面との位置関係を模式的に示す正面図である。
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照して本実施形態に係るクレーンの運転支援システムの適用対象であるクレーンの概要を説明する。ここではクレーンとして、岸壁に設けられ、吊荷としてのコンテナを接岸したコンテナ船48との間で荷役する岸壁クレーンを例示する。
図1に示すように、クレーン1は一対の脚部3、脚部3に一方向(X方向、横行方向とも呼ぶ)に跨設された桁部5、脚部3の下端に設けられ、蔵置レーンの延在方向である走行方向(Y方向)にクレーン1を走行させる走行装置7を備える。クレーン1は、桁部5上を走行方向と直交する横行方向に往復移動するトロリ9、トロリ9にワイヤ4で保持されて上下方向(Z方向)に移動してコンテナ10を吊り上げる吊具であるスプレッダ11を備える。図1のクレーン1は遠隔操作方式であり、運転室15がクレーン1から離れた位置に設けられる。以上がクレーン1の概要の説明である。
次に、図1〜図7を参照して、本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27の構成を説明する。
図1及び図2に示すように、運転支援システム27は、撮像部17、位置検出部19、制御部21、表示部23、及び変位検出部25を備える。
撮像部17は、吊体30及び吊体30の着床目標である着床目標面10aを撮像するカメラである。吊体30とは、スプレッダ11がコンテナ10を掴んでいない場合はスプレッダ11を示し、スプレッダ11がコンテナ10を掴んでいる場合には一体となっているスプレッダ11及びコンテナ10を示す。以下の説明も同様である。
図1では吊体30及び着床目標面10aをトロリ9から鉛直方向(Z方向)に対して図1のX方向に斜めに見下ろすように撮像部17がトロリ9に設けられている。そのため、撮像部17が撮像した映像14は、図3に示すように、吊体30及び着床目標面10aの両方を含む画像であって、トロリ9から鉛直方向に対して吊体30及び着床目標面10aを図1のX方向に斜めに見下ろした画像となる。
着床目標面10aは、地面や船舶の床面、置荷の上面、シャーシの荷台の上面等である。図1では置荷であるコンテナ10bの上面が着床目標面10aとして図示されている。
図1の撮像部17の撮像方向は、トロリ9に付設された運転室でクレーン操作を行っていた遠隔操作方式でない運転室の視界を再現する方向である。そのため、映像14は、吊体30を着床目標面10aに着床させる際に運転手が参照する画像である。
撮像部17の構造は、映像14を取得できる構造であれば特に限定されないが、デジタルビデオカメラを例示できる。
位置検出部19は、吊体30及び着床目標面10aの三次元位置を検出する装置である。
より具体的には、図1に示すように位置検出部19は、トロリ9に設置された位置センサ19a及び振れ角センサ19bを有する。位置センサ19aは、吊体30及び着床目標面10aの形状を認識するセンサであり、例えば3次元レーザセンサが用いられる。振れ角センサ19bはトロリ9に対する吊体30の振れ角を検出するセンサであり、例えばレーザセンサである。振れ角センサ19bがレーザセンサである場合、吊体30の上面に設けられた図示しないマーカの位置を検出することで、振れ角を検出する。
位置検出部19は、吊体30及び着床目標面10aの三次元位置情報を取得できれば位置センサ19aと振れ角センサ19bを有する構成に限定されない。例えば、撮像部17で撮影した映像14を解析して吊体30及び着床目標面10aの形状を認識してもよい。あるいは、スプレッダ11に設置された図示しないGPS受信器や、スプレッダ11を吊り上げるワイヤ4の繰り出し量や巻き取り量を測定するセンサを用いて吊体30及び着床目標面10aの三次元位置情報を取得してもよい。
制御部21は、目盛付鉛直線画像31を映像14に重ねて表示した画像である処理画像41を生成する装置である。制御部21は、撮像部17、位置検出部19、表示部23、変位検出部25、及びTOS(Terminal Operating system)29に有線又は無線で電気的に接続される。
制御部21は、位置検出部19が検出した着床目標面10aの位置を基に、着床目標面10aの所定位置から延びる鉛直線に鉛直方向における高さを示す複数の目盛を表示した画像である目盛付鉛直線画像31を生成する。制御部21は、目盛付鉛直線画像31を映像14に重ねて表示した画像である処理画像41も生成する。
制御部21としては、例えば汎用のコンピュータを用いることができる。
目盛付鉛直線画像31を映像14に重ねた処理画像41の例を図4に示す。図4に示す目盛付鉛直線画像31は、鉛直線画像33と目盛画像35を有する。
鉛直線画像33は着床目標面10aの所定位置から延びる鉛直線を示す画像である。所定位置は、着床目標面10aを規定する領域内であれば特に限定しない。本実施形態ではクレーン1の荷役対象がコンテナ10bであるため、着床目標面10aを規定する領域は矩形の領域内である。
目盛画像35は鉛直線の鉛直方向の高さを示す目盛の画像である。
スプレッダ11と着床目標面10aを表示する映像14に、目盛付鉛直線画像31が重ねて表示されることで、スプレッダ11と目盛の鉛直方向の位置関係を見れば、スプレッダ11の現在の鉛直方向高さを運転手が容易に把握できる。そのため、高さに応じた適切な運転操作が可能となり、荷役効率が向上する。特に、図3に示す映像14のみでは、鉛直方向におけるスプレッダ11と着床目標面10aの高さを正確に運転手が把握するのが難しい場合でも、図4の目盛画像35から鉛直方向高さを運転手が容易に把握できるのが本実施形態の有利な点である。
目盛付鉛直線画像31を表示する位置と表示する数は、鉛直線画像33の起点が着床目標面10aの所定位置であれば、特に限定しない。ただし荷役対象がコンテナ10である場合、制御部21は、着床目標面10aを規定する矩形の領域の周縁に鉛直線画像33の起点を複数設け、複数の起点から目盛付鉛直線画像31を各々生成するのが好ましい。これは、複数の目盛付鉛直線画像31の鉛直線画像33と、吊体30の重心等の所定位置との水平距離を把握することで、吊体30のスキューを求められるためである。なお、ここでいう領域の周縁とは、領域の外周の境界線を意味する。
荷役対象がコンテナ10である場合、制御部21は、図4に示すように、着床目標面10aを規定する矩形の領域の角部4か所を起点12a〜12dとし、4つの目盛付鉛直線画像31を生成するのが、より好ましい。この構成では吊体30の4隅の鉛直方向高さを各々把握することで、その高さの差から吊体30の鉛直方向の傾斜も運転手が視覚的に認識できるためである。また、着床目標面10aの角部4か所に表示した鉛直線画像33は、着床面34と着床目標面10aが水平方向の位置ズレを生じない理想的な着床操作の際に、スプレッダ11の4隅が通過する位置を示すため、着床操作の際の目標線として利用できる。そのため、着床目標面10aの角部4か所に表示した鉛直線画像33と、スプレッダ11の4隅の位置を比較すれば、スプレッダ11が理想巻き下げ軌跡から水平方向に位置ズレを生じているか否かを運転手が把握できる。
鉛直線画像33の上端の位置は特に限定しない。ただし、鉛直線画像33の上端は吊体30の着床面34(図9参照)の高さ以上であることが好ましい。上端をこの位置とすることで、着床目標面10aと着床面34の鉛直方向距離を運転手が目盛付鉛直線画像31から正確に把握でき、距離に基づいた適切な荷役操作を行えるためである。なお吊体30の着床面34の鉛直方向高さは、スプレッダ11がコンテナ10を掴んでいない状態ではスプレッダ11の底面であり、コンテナ10を掴んだ状態では、掴んだコンテナ10の底面である。鉛直線画像33の下端は鉛直線の起点である着床目標面10aであるが、着床目標面10aが地面又は甲板よりも高い位置にある場合は、地面又は甲板まで下端を延長してもよい。
図4では鉛直線画像33と目盛画像35が重なっている部分があるが、鉛直線と目盛の関係が運転手に視認できる範囲であれば、鉛直線画像33と目盛画像35は互いに離間して表示されてもよい。
目盛画像35の形状は、鉛直方向の高さを運転手が視認できる形状であれば特に限定しないが、図4に示すように鉛直線に交差する直線、あるいは丸印等の記号が例示できる。あるいは、鉛直線上に色彩の異なる部分を表示してその部分を目盛としてもよい。この構成では、例えば鉛直線を破線で示し、破線を構成する線の隙間を目盛としてもよい。なお目盛画像35の形状を鉛直線に交差する直線とする場合、直線を長くするほど、目盛画像35に隠れる映像14の面積が大きくなる。そのため、直線の長さは着床目標面10aを横断又は縦断しない程度の長さとするのが好ましい。また、鉛直線を複数表示する場合は、異なる鉛直線の目盛が重ならない程度の長さとするのが好ましい。
目盛画像35の鉛直方向の目盛間隔は、例えば荷役の際に運転手が区別する必要がある鉛直方向最短距離であるが、この間隔に限定されない。
目盛画像35の形状及び色彩等の表示態様は、どの高さでも同じである必要はない。図4に示すように、鉛直方向における特定の高さを示す特定高さ目盛画像35a、35b、35c、35dを、他の目盛画像35である通常目盛画像35eと異なる情報量として表示してもよい。
特定の高さとは、運転手が荷役操作を行う際に、必ず把握する必要がある高さのことを意味する。具体的には、吊体30の着床面34の高さ、吊体30の減速高さ、安全高さ、ハッチカバー高さを例示できる。また、通常目盛画像35eとは、特定の高さを示す目盛ではなく、単に予め定められた間隔で表示されている目盛画像35を意味する。
特定高さ目盛画像35aは吊体30の着床面34(図9参照)の高さを示す画像である。図4では特定高さ目盛画像35aを黒丸で表示することで、通常目盛画像35eと異なる情報量で表示している。
図4に示すように吊体30と着床目標面10aをトロリ9から斜めに見下ろした画像を映像14として表示する場合、着床面34が吊体30の上面及び撮像方向正面に隠れて映像14に映らない。そこで、図4に示すように特定高さ目盛画像35aとして着床面34の高さを示す画像を表示することで、運転手が着床面34の高さを正確に把握できる。これにより、着床面34と着床目標面10aの間の距離を正確に運転手が把握でき、高さに応じた適切な着床操作を行える。なお着床面34の高さは、位置センサ19aを用いて計測できる。
特定高さ目盛画像35bは吊体30の減速高さを示す画像である。図4では特定高さ目盛画像35bを、互いに交差する2本の直線で表示することで、通常目盛画像35eと異なる情報量で表示している。
吊体30の減速高さとは、吊体30を降下させる際に、減速を開始する基準となる着床面34の鉛直方向高さである。具体的には、吊体30を駆動するモータの最大減速を基準として、着床時に吊体30の速度がゼロとなる高さである。これ以下の高さから吊体30の減速を開始しても、着床時の吊体30の速度が0を超えるため、着床目標面10aに吊体30が着床した際にコンテナ10やスプレッダ11に衝撃が加えられる恐れがある。そのため、減速高さを運転手が特定高さ目盛から把握できれば、高さに応じた適切な加減速の操作を行える。
特定高さ目盛画像35cは吊体30の安全高さを示す画像である。図4では特定高さ目盛画像35cを、通常目盛画像35eよりも長い直線で表示することで、通常目盛画像35eと異なる情報量で表示している。
安全高さとは、吊体30が着床目標面10aを周囲の構造物に接触させずにトロリ9を横行させられる基準となる高さである。安全高さを運転手が特定高さ目盛画像35cから把握できれば、吊体30が横行可能な高さにあるか否かを視認できる。
特定高さ目盛画像35dはコンテナ船48のハッチカバー高さを示す画像である。図4では特定高さ目盛画像35dを、△印で表示することで、通常目盛画像35eと異なる情報量で表示している。
ハッチカバー高さとは、図1に示すコンテナ船48の船倉50内外を区別するハッチ49の高さのことであり、この高さが把握できればセルガイドと呼ばれるガイドとの位置合わせのための適切な一時減速・停止の目安となる。
図4では、特定高さ目盛画像35a〜35dの形状を通常目盛画像35eと異なる形状で表示しているが、通常目盛画像35eと異なる情報量で表示される限り、図4に示す表示態様に限定されない。例えば特定高さ目盛画像35a〜35dの色彩を通常目盛画像35eと異ならせることで、異なる情報量で表示してもよい。
目盛画像35は鉛直線画像33の上端から下端までの全ての範囲に常に表示し続ける必要はない。例えば荷役の際に運転手が参照する範囲にのみ目盛画像35を表示してもよい。
例えば図4に示す高さにあるスプレッダ11を図5に示す高さまで降下させたとする。この場合、図5では、吊体30の着床面34よりも鉛直方向上方に通常目盛画像35eは表示していない。通常目盛画像35eは鉛直線画像33のうち、吊体30の着床面34よりも鉛直方向下方に位置する部分にのみ表示されている。これは、着床操作の際に運転手が把握する必要がある鉛直方向の高さと距離は、着床面34と着床目標面10aの高さ及び両者の距離であり、これらは、着床面34と着床目標面10aの間に表示された通常目盛画像35eから把握するためである。
このように、着床操作の際に運転手が参照する範囲にのみ通常目盛画像35eを表示することで、映像14に通常目盛画像35eが重なって映像14が表示されない部分の面積を最小限にできる。よって、目盛付鉛直線画像31を表示することにより逆に映像14が見難くなって荷役効率が低下するのを抑制できる。
ただし、特定高さ目盛画像35a〜35dは、図5の特定高さ目盛画像35c、35dで例示するように、着床面34よりも鉛直方向上方に位置する場合でも表示するのが好ましい。これは、特定高さ目盛画像35a〜35dは、荷役操作を行う際に、運転手が必ず把握する必要がある高さを示すため、着床操作の際にも着床面34の位置によらず常に運転手が把握する必要があるためである。
このように、特定高さ目盛画像35a〜35dを常に表示することで、運転手が把握すべき高さを表示する目盛を常に表示できるので、荷役の安全性が向上する。
なお、図5のような表示を行う場合は、位置センサ19aで着床面34の鉛直方向の位置(高さ)検出し、検出した着床面34の高さに基づき、通常目盛画像35eを表示する位置と表示しない位置を制御部21が設定すればよい。
目盛付鉛直線画像31の表示を開始するタイミングは特に限定しない。ただし、目盛付鉛直線画像31は主に着床操作の際に吊体30の高さを把握するために運転手が参照するため、運転手が吊体30の高さを把握できないと荷役に支障が生じる程度まで吊体30が降下する前に表示を開始する必要がある。具体的には吊体30が所定の高さまで降下した時点で表示を開始すればよい。あるいは、映像14に吊体30と着床目標面10aの両方が映った時点で表示を開始してもよい。さらに、例えばトロリ9の横行中に目盛付鉛直線画像31の表示を開始してもよい。この場合、運転手は目盛付鉛直線画像31が表示されている領域に着床目標面10aがあることも視認できる。あるいは運転手の操作で目盛付鉛直線画像31の表示を開始してもよい。目盛付鉛直線画像31の表示を消去するタイミングも特に限定しない。着床操作が終了した後で制御部21が自動で目盛付鉛直線画像31を消去してもよいし、運転手の操作で目盛付鉛直線画像31を一時的又は恒久的に消去できるように構成してもよい。
さらに、着床目標面10aが設定されている期間は目盛付鉛直線画像31を常時表示する構成としてもよい。この場合、目盛付鉛直線画像31の表示を開始するタイミングは、着床目標面10aが設定された時点であり、表示を終了するタイミングは、着床操作が完了し、荷役が終了した時点か、別の着床目標面10aが新たに設定された時点である。
目盛付鉛直線画像31が表示されている状態で着床操作が終了した後は、制御部21は目盛付鉛直線画像31を非表示にしてもよい。着床操作が完了したか否かの判断基準は、例えば吊体30が上昇を開始した時点を判断基準としてもよいし、ツイストロックピンの回転動作が完了した時点を判断基準としてもよい。あるいは、運転手の操作で非表示にする構成でもよい。
表示部23は処理画像41を表示する装置であり、制御部21に有線又は無線で電気的に接続される。
処理画像41を表示可能な装置であれば、表示部23の構成は特に限定されず、液晶表示装置等の公知の表示装置を用いればよい。
変位検出部25は、吊体30の変位又は変位の原因となる物理量を検出する装置であり、必要に応じて設けられる。変位検出部25は制御部21に接続される。
吊体30の変位とは、着床目標面10aに対する吊体30の着床面34の位置ズレを意味する。具体的な変位の例としては吊体30のスキュー、鉛直方向の吊体30の振れ角、あるいは着床目標面10aに対する着床面34の横行方向(図1のX方向)の位置ズレ等が挙げられる。これらの変位は位置センサ19a又は振れ角センサ19bを用いて検出できるので、この場合は位置センサ19a又は振れ角センサ19bが変位検出部25になる。
吊体30の変位の原因となる物理量とは、必ずしも常に吊体30を変位させてはいないが、その値によっては吊体30を変位させる可能性がある物理量を意味する。吊体30の変位の原因となる物理量の例としては、吊体30の周囲の風向きや風速が挙げられる。
本実施形態の運転支援システム27は変位検出部25として、図1に示すように、クレーン1の桁部5に設けられ、その周囲の風向きと風速を測定する風向風速計25aを有する。
変位検出部25を設ける場合、制御部21は、変位検出部25が検出した吊体30の変位又は変位の原因となる物理量を取得する。さらに制御部21は、取得した変位又は物理量に応じて、目盛画像35又は鉛直線画像33の情報量を変えた目盛付鉛直線画像31を生成する。
取得した変位に応じて鉛直線画像33の情報量を変えた目盛付鉛直線画像31の例を図6に示す。図6では、着床目標面10aの角部4か所に設けた鉛直線画像33と、対応するスプレッダ11の4隅との鉛直方向の位置ズレの向きを、鉛直線画像33の太さを変えて表示している。具体的には、スプレッダ11の4隅が、着床目標面10aの外側(海側の2隅はX方向海側、陸側の2隅はX方向陸側)にある場合、該当する鉛直線画像33を通常よりも太い線で表示している。図6では画面左上と右下の鉛直線画像33が太線で表されているため、スプレッダ11の左上隅が着床目標面10aよりもX方向海側にずれており、右下隅が着床目標面10aよりもX方向陸側にずれていることが分かる。
このように、目盛付鉛直線画像31に吊体30の変位も表示することで、目盛付鉛直線画像31を見た運転手は、鉛直方向距離だけでなく、吊体30の動きの変化も視覚的に把握できる。よって、目盛付鉛直線画像31が示す吊体30の変位に応じた適切な荷役操作を選択でき、荷役効率が益々向上する。
なお、図6では鉛直線画像33を太くすることで目盛付鉛直線画像31の情報量を変えているが、目盛画像35の情報量を変えてもよい。
取得した物理量に応じて目盛画像35の情報量を変えた目盛付鉛直線画像31の例を図7に示す。図7では物理量としての風向きが、複数の目盛画像35の一部である目盛画像35に付加された矢印画像33cで表されている。矢印画像33cでは、物理量としての風速が矢印の長さで表されている。図7の目盛付鉛直線画像31を見た運転手は、矢印画像33cの向きから風向を視認できる。また、矢印画像33cの長さから風速を視認できる。さらに風向きと風速が変わると、矢印画像33cの示す向きとその長さが変化するため、運転手は風向きと風速の変化も矢印画像33cから視覚的に認識できる。
このように、目盛付鉛直線画像31に吊体30の変位の原因となる物理量を表示することで、目盛付鉛直線画像31を見た運転手は鉛直方向距離だけでなく、吊体30の変位の可能性も視覚的に把握できる。
以上が、本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27の構成の説明である。
次に、本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27を用いた運転支援方法の概略について、図4、図8及び図9を参照して説明する。図8では着床操作の際の運転支援システム27の動作を例に説明するが、運転支援システム27の適用範囲は着床操作を行う場合に限定されない。
まず、前提として、運転手が運転室15の図示しない操縦桿を操作する等して、着床操作を開始する(図8のS1)。
着床操作が開始されると、制御部21は着床目標面10a(図9参照)の位置を検出する(図8のS2)。具体的には、図2に示すTOS29等から着床目標の座標に係る情報を取得し、制御部21が当該情報を基に、スプレッダ11の着床目標面10aを設定する。
着床目標面10aが決まると、制御部21は目盛付鉛直線の起点の位置座標を映像上の座標系における着床目標面10aの位置座標に変換する(図8のS3)。ここでは図4に示すように、着床目標面10aを規定する矩形領域の4隅である起点12a〜12dの位置座標を変換する。
座標変換が必要な理由は、図4に示すように、映像14は、スプレッダ11と着床目標面10aをトロリ9から鉛直方向に対して斜めに見下ろした映像であり、実測した座標を、映像14における平面上の座標に変換する必要があるためである。本実施形態では図1のX方向に向けて撮像部17が傾斜しているため、X座標を変換する手順を説明する。
まず、制御部21は、下記の数式(1)を用いて、図9に示す、X−Z平面における撮影中心点P0から着床目標面10aの位置座標Pα(図4の起点12dの位置座標に相当)までを結ぶ線分A3と撮像部17の光軸A1とのなす角度θAを求める。
θA=(tan-1(L1/H1))−θC ・・・(1)
ここで、
L1:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PαまでのX方向距離
H1:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PαまでのZ方向距離
θC:撮像部17の光軸A1のX方向の傾斜角
式(1)におけるL1、H1はTOS29等から取得した着床目標面10aの各位置を示す位置座標と、位置センサ19a等で取得したスプレッダ11の位置等から計算した撮像部17の位置座標を基に求められる。式(1)におけるθCは撮像部17の傾斜角が固定されている場合は、予め図示しない記憶部等に記憶された値を用いる。傾斜角が可変である場合は傾斜角を調整する図示しないアクチュエータ等から現在の傾斜角を制御部21が取得する。
次に制御部21は、θAと撮像部17の画素数に基づいて、PαのX座標を映像14における座標にピクセル変換した座標を算出する。
目盛付鉛直線画像31にスプレッダ11の変位を示す情報も表示する場合は、同様の手順でスプレッダ11の着床面34の4隅の位置座標PβのX座標を変換する。図9では位置座標Pβとして図4の右上隅に相当する位置の着床面34の位置座標を例示している。
具体的にはまず、下記数式(2)を用いて、図9のX−Z平面における、撮影中心点P0から着床面34の位置座標Pβまでを結ぶ線分A5と、撮像部17の光軸A1とのなす角度であるθBを求める。
θB=(tan-1(L2/H2))−θC ・・・(2)
ここで、
L2:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PβまでのX方向距離
H2:撮像部17の撮影中心点P0から位置座標PβまでのZ方向距離
θC:撮像部17の光軸A1のX方向の傾き
式(2)におけるL2、H2は、位置センサ19a等で取得したスプレッダ11の位置等から計算した撮像部17の位置座標と、位置センサ19aを用いて計測した吊体30の位置座標を基に求められる。θCの求め方は式(1)と同様である。
次に制御部21は、θBと撮像部17の画素数とに基づいて、PβのX座標を映像14における座標にピクセル変換した座標を算出する。
また、スプレッダ11の着床面34の右上隅の、着床目標面10aの起点12dに対する変位のX方向成分は、図9ではPαとPβのX方向の位置ズレΔLで示される。ΔLは以下の式(3)から求められる。
ΔL=(H3×tanθD)−L3
ここで、
L3:触れ角センサの撮影中心点から位置座標PβまでのX方向距離
H3:トロリ9の底面からスプレッダ11の上面までのZ方向距離
θD:スプレッダ11の振れ角
式(2)におけるL3は、位置センサ19aを用いて計測した吊体30の位置と、振れ角センサ19bの位置から求められる。式(2)におけるH3は、位置センサ19aを用いて計測できる。θDは振れ角センサ19bで求められる。
次に制御部21は、必要に応じて、吊体30の変位又は変位の原因となる物理量を変位検出部25から取得する(図8のS4)。
次に、制御部21は、S3で変換した座標を起点に、目盛付鉛直線画像31を生成する(図8のS5)。S4を実施している場合、制御部21はS4で取得した変位又は物理量に応じて、情報量を変えた目盛付鉛直線画像31を生成する。
目盛付鉛直線画像31が生成されると、制御部21は、目盛付鉛直線画像31を映像14の前面に重ねて処理画像41を生成する(図8のS6)。
最後に制御部21は、生成した処理画像41の情報を表示部23に送信して処理画像41を表示部23に表示させる(図8のS7)。
以上が本実施形態に係るクレーン1の運転支援システム27の動作の概略の説明である。
このように本実施形態の運転支援システム27は、吊体30と着床目標面10aを撮像した映像14に、目盛付鉛直線画像31を重ねて表示部23に表示させる。そのため、スプレッダ11と目盛画像35の鉛直方向の位置関係を見れば、スプレッダ11の現在の鉛直方向高さを運転手が容易に把握できる。よって、高さに応じた適切な運転操作が可能となり、荷役効率が向上する。
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されない。当業者であれば本発明の技術思想の範囲内で各種変形例及び改良例を創出するのは当然のことであり、これらも本発明に含まれる。
例えば、本実施形態では、運転支援システム27の適用対象として、岸壁クレーンを例示しているが、クレーンであれば、運転支援システム27の適用対象は岸壁クレーンに限定されない。例えばジブクレーン、門型クレーン、アンローダ等にも運転支援システム27は適用できる。
また、本実施形態では、運転支援システム27の適用対象として、遠隔操作方式のクレーン1を例示しているが、運転支援システム27の適用対象は遠隔操作方式に限定されない。例えば運転室15がクレーン1のトロリ9等に設けられる場合にも運転支援システム27は適用できる。
1 クレーン
3 脚部
4 ワイヤ
5 桁部
7 走行装置
9 トロリ
10、10b コンテナ
10a 着床目標面
11 スプレッダ
12a、12b、12c、12d 起点
14 映像
15 運転室
17 撮像部
19 位置検出部
19a 位置センサ
19b 振れ角センサ
21 制御部
23 表示部
25 変位検出部
25a 風向風速計
27 運転支援システム
29 TOS
30 吊体
31 目盛付鉛直線画像
33 鉛直線画像
33c 矢印画像
34 着床面
35 目盛画像
35a、35b、35c、35d 特定高さ目盛画像
35e 通常目盛画像
41 処理画像
48 コンテナ船
49 ハッチ
50 船倉

Claims (8)

  1. 一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援システムであって、
    吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、
    前記トロリに設けられ、前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像する撮像部と、
    前記着床目標面の位置を検出する位置検出部と、
    前記撮像部及び前記位置検出部に接続され、
    前記位置検出部が検出した前記着床目標面の位置を基に、前記着床目標面の所定位置から延びる鉛直線を示す鉛直線画像と鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねた画像である処理画像を生成する制御部と、
    前記制御部に接続され、前記処理画像を表示する表示部と、
    を備えることを特徴とするクレーンの運転支援システム。
  2. 前記鉛直線画像は、前記吊体の前記着床面の高さ以上まで表示される請求項1に記載のクレーンの運転支援システム。
  3. 前記着床目標面の前記所定位置は、前記着床目標面の領域の周縁に設けられる請求項1又は2に記載のクレーンの運転支援システム。
  4. 前記吊具の荷役対象はコンテナであり、
    前記着床目標面の前記所定位置は、前記着床目標面の4隅である請求項1〜3のいずれかに記載のクレーンの運転支援システム。
  5. 前記制御部に接続され、前記吊体の変位又は変位の原因となる物理量を検出する変位検出部を備え、
    前記制御部は、前記変位検出部が検出した前記吊体の変位又は変位の原因となる物理量に応じて、前記目盛画像又は前記鉛直線画像の情報量を変えた画像を生成する請求項1〜4のいずれかに記載のクレーンの運転支援システム。
  6. 前記位置検出部は、前記吊体の前記着床面の位置も検出する手段であり、
    前記目盛画像は、鉛直方向における特定の高さを示す特定高さ目盛画像と、それ以外の高さを示す通常目盛画像を有し、
    前記制御部は、前記位置検出部が検出した前記着床面の位置に基づき、
    前記目盛付鉛直線画像として、前記鉛直線画像のうち、前記吊体の前記着床面よりも鉛直方向下方に位置する部分にのみ前記通常目盛画像を表示した画像を生成する請求項1〜5のいずれかに記載のクレーンの運転支援システム。
  7. 前記制御部は、
    前記特定高さ目盛画像を、前記吊体の前記着床面よりも鉛直方向上方に位置する場合でも前記鉛直線画像に表示した画像を生成する請求項6に記載のクレーンの運転支援システム。
  8. 一方向に延びる桁と、前記桁に保持されて前記一方向に往復移動するトロリと、前記トロリに保持されて鉛直方向に上下する吊具を備えるクレーンの運転を支援する運転支援方法であって、
    吊荷を掴んでいない状態の前記吊具、又は、前記吊荷を掴んだ状態の前記吊具とその掴まれた前記吊荷を、吊体として、
    前記吊体の着床面が着床する面である着床目標面と前記吊体を含む映像を撮像し、
    前記着床目標面の所定位置を検出し、
    検出した前記所定位置を表示部の画面に表示する座標系における座標に変換し、
    変換した座標を基に、前記所定位置から延びる鉛直線を示す鉛直線画像と鉛直方向における高さを示す複数の目盛を示す目盛画像を含む画像である目盛付鉛直線画像を前記映像に重ねて表示した画像である処理画像を生成し、
    生成した前記処理画像を前記表示部に表示させることを特徴とするクレーンの運転支援方法。
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