JP6879494B2 - 画像形成装置、プログラム、記録媒体および画像形成システム - Google Patents

画像形成装置、プログラム、記録媒体および画像形成システム Download PDF

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Description

本発明は画像形成装置、プログラム、記録媒体および画像形成システムに係り、特に、複数色のインクを有するインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置、コンピュータを画像形成装置の一部として機能させるためのプログラム、該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体、および複数色のインクを有するインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置と該画像形成装置と通信可能なコンピュータとを備えた画像形成システムに関する。
従来、転写フィルム、画像担持体等の転写媒体や、カード、シート、チューブ等の印刷媒体に画像を形成する画像形成装置が広く知られている。この種の画像形成装置では、例えば、インクリボンを使用して転写媒体に画像(鏡像)を形成し、次いで転写媒体に形成された画像を印刷媒体に転写する間接印刷方式や、インクリボンを使用して印刷媒体に直接画像を形成する直接印刷方式が用いられている。
このような画像形成装置では、一般に複数色のインクによる各画像を重ねてカラー画像を生成するカラー印刷が行われる。すなわち、入力された印刷データまたは入力された画像データを変換した印刷データ(例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)毎の印刷データ)に従って、媒体(間接印刷方式のときは転写媒体、直接印刷方式のときは印刷媒体)に複数色のインク(例えば、YMCのインク)画像を重ねて印刷することでカラー印刷が行われる。
カラー印刷では、媒体に対する各色インクの画像の印刷位置がずれると、媒体に印刷されたカラー画像がぼやけて見えるため、印刷品位(画質)が低下する。この各色インクの画像の印刷位置がずれる現象は一般に「色ずれ」と呼ばれ、各色インク画像の印刷位置を補正する種々の技術が開示されている。
例えば、中間転写ベルトに濃度補正パターンと色ずれ補正パターンを印刷して補正時間を短縮する技術(特許文献1参照)、画像形成可能領域内の画像印字に使用されていない未使用領域を使用してレジスト調整を行う技術(特許文献2参照)、転写媒体に形成されたマークがセンサよりも上流側にある状態でサーマルヘッドとプラテンとをニップさせ、その後転写媒体とインクリボンとの頭出しを行う技術(特許文献3参照)等が提案されている。
なお、上述した画像形成装置は、コンピュータとともに画像形成システムを構成する場合が多い。コンピュータのハードディスクドライブには、印刷媒体に対応して所望の画像オブジェクト(画像データ)を生成するためのオブジェクト生成アプリケーションソフトウエアや、必要に応じて、画像オブジェクトから画像形成装置用の印刷データを作成するプリンタドライバがインストールされており、コンピュータ側で生成された画像オブジェクトまたは印刷データが印刷装置側に引き渡される(例えば、特許文献4参照)。
特開2008−3396号公報 特開2010−204547号公報 特許第5848129号 特開2010−89300号公報
ところで、上述した画像形成装置の分野では、ユーザのニーズに対応して画像形成処理の時間(印刷時間)が年々短縮されている。この画像形成処理時間の短縮の背景には、例えば、サーマルヘッドを構成する加熱素子における単位時間当たりの発熱量の改善がある。ところが、この弊害として、インクリボンを介して転写媒体に対し加熱素子を加熱させることで、例えば、主走査方向に広範囲かつ高階調の画像を形成すると、加熱素子の加熱により転写媒体が物理的に伸びてしまう。この伸びを考慮せず次のインクで転写媒体に画像を形成すると色ずれが起こる。間接印刷方式の場合に、色ずれが生じた転写媒体を印刷媒体に転写すると、転写媒体に転写された画像の印刷品位が低下してしまう。この現象は間接印刷方式に限らず、熱伸縮性を有する媒体(例えば、チューブ、フィルム等)に対する直接印刷方式でも同様に生じる。
本発明は上記事案に鑑み、媒体への画像形成時間の短縮を図りつつ媒体に形成された画像の品質維持が可能な画像形成装置、プログラム、記録媒体および画像形成システムを提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、本発明の第1の態様は、複数色の昇華インクを用いたインクパネルと溶融インクを用いたインクパネルとを面順次に繰り返すことで構成されたインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置において、サーマルヘッドと前記媒体を搬送する媒体搬送部とを有する画像形成手段と、色成分ごとの印刷データを格納するための格納手段と、前記画像形成手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記格納手段に格納された前記昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの印刷データの前記サーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで前記媒体に前記色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整し、前記溶融インクを用いて印刷する際は前記調整を行わないことを特徴とする。
第1の態様において、制御手段は、サーマルヘッドのライン周期および/または媒体搬送部による媒体の搬送速度を変更することで色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整するようにしてもよい。また、制御手段は、色成分ごとの印刷データから階調値および画像形成率を検出し、該検出した階調値および画像形成率に応じて色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整するようにしてもよい。さらに、制御手段は、入力された画像データから色成分ごとの印刷データを生成した後、該生成した色成分ごとの印刷データを格納手段に格納するようにしてもよい。
また、制御手段は、階調値および画像形成率に応じて、色成分ごとの印刷データに画像を形成する際に1ラインごとに媒体に生じるサーマルヘッドの副走査方向の伸びを調整するようにしてもよい。さらに、制御手段は、色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さが予め定められた一定値となるように調整するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、コンピュータプログラムであって、コンピュータを、画像データから昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの昇華印刷データと溶融インクを用いて印刷される画像の溶融印刷データとを生成する生成手段として、前記生成手段で生成された色成分ごとの前記昇華印刷データのサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率を検出する検出手段としてそして、前記検出手段で検出された階調値および画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで媒体に画像を形成する際の前記色成分ごとの前記昇華印刷データによる画像長さの調整値を決定する決定手段として機能させることを特徴とする
さらに、上記課題を解決するために、本発明の第3の態様は、第2の態様のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
そして、上記改題を解決するために、本発明の第4の態様は、複数色の昇華インクを用いたインクパネルと溶融インクを用いたインクパネルとを面順次に繰り返すことで構成されたインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置と該画像形成装置と通信可能なコンピュータとを備えた画像形成システムにおいて、画像データから色成分ごとの印刷データを生成する生成手段と、前記生成手段で生成された色成分のうち前記昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの印刷データのサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された階調値および画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで前記媒体に画像を形成する際の前記色成分ごとの印刷データによる画像長さの調整値を決定する決定手段と、を備える。
本発明によれば、階調値および画像形成率に応じてサーマルヘッドで媒体に色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さが調整されるので、サーマルヘッドによる加熱により生じた媒体の伸びに拘わらず色ずれを防止できるため、サーマルヘッドの発熱量を高めて画像形成時間を短縮しつつ媒体に形成された画像の品質維持を図ることができる、という効果を得ることができる。
本発明が適用可能な第1実施形態の印刷システムの制御・通信系の構成ブロック図である。 印刷システムを構成する印刷装置の概略構成を示す正面図である。 印刷装置の印刷部の動作ポジションの説明図であり、(A)は印刷部が待機ポジションにある状態、(B)は印刷部が印刷ポジションにある状態、(C)は印刷部が搬送ポジションにある状態を示す。 転写時の印刷装置の正面図である。 転写フィルムの画像形成開始位置を模式的に示す説明図であり、(A)は画像形成方向に対して上流側のマークを用いて画像形成開始位置を設定する場合、(B)は画像形成方向に対して下流側のマークを用いて画像形成開始位置を設定する場合を示す。 転写時の転写フィルムの転写位置の説明図であり、(A)は印刷領域に伸びが生じていない場合、(B)は印刷領域に伸びが生じた場合を示す。 印刷システムを構成する上位装置の制御部の機能ブロック図である。 上位装置の制御部のCPUが実行するプリンタドライバの処理ルーチンのフローチャートである。 オブジェクト生成部により上位装置のモニタに表示された画面の一例を模式的に示す説明図である。 上位装置の制御部がサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する印刷データの画素群ごとの階調値と画像形成率とを検出する際の説明図である。 階調値および画像形成率と伸び係数との関係を模式的に示すグラフである。 印刷装置の制御部のマイクロコンピュータユニット(MCU)のCPUが実行するカード発行ルーチンのフローチャートである。 本発明が適用可能な第2実施形態の印刷システムのフローチャートであり、(A)は上位装置の制御部のCPUが実行するプリンタドライバの処理ルーチン、(B)は印刷装置の制御部のMCUのCPUが実行する調整値決定ルーチンを示す。 本発明が適用可能な第3実施形態の印刷システムのフローチャートであり、(A)は上位装置の制御部のCPUが実行するプリンタドライバの処理ルーチン、(B)は印刷装置の制御部のMCUのCPUが実行する調整値決定ルーチンを示す。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明を印刷装置とコンピュータとで構成される印刷システムに適用した第1の実施の形態について説明する。
1.構成
1−1.印刷システム100
図1に示すように、本実施形態の印刷システム100は、カードに文字や画像を印刷記録するとともに、カードに磁気的ないし電気的な情報記録を行う印刷装置1と、印刷システム1と通信可能な上位装置101(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)とで構成されている。
印刷装置1は上位装置101に接続されており、上位装置101から印刷装置1に印刷データや磁気的ないし電気的記録データ等を送信して記録動作等を指示することが可能である。なお、印刷装置1はオペパネ部(操作表示部)5を有しており、上位装置101からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
1−2.上位装置101
上位装置101は、ハードウエア構成として、CPU、ROM、RAMおよびハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する。)、並びに、通信インターフェイスを含む通信部155(図7参照)を備えている。
上位装置101には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置104、上位装置101に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置103、上位装置101で生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ102が接続されている。
1−3.印刷装置1
1−3−1.機構部
図2に示すように、印刷装置1はハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、回動ユニットFと、デカール機構Gとを備えている。また、印刷装置1は、ハウジング2に装着可能な媒体供給部Cと、媒体収容部Dと、媒体収容部Dとは反対側のハウジング2の側面に装着されたリジェクトスタッカ54とを備えている。
(1)情報記録部A
情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23と、接触式IC記録部27とで構成されている。これら3つの記録部はオプション構成とされており、ユーザの希望に応じて1つ以上の記録部が取り付けられる。
(2)媒体供給部C
媒体供給部Cは複数枚のカードCaを(傾斜)立位姿勢で整列して収納している。その先端底部には分離開口7が形成されており、ピックアップローラ19で最前列のカードCaを順次繰り出して供給する。本実施形態では、カードCaに横85.6[mm]、縦53.9[mm]の標準(規格)サイズのカードが用いられる。ピックアップローラ19は不図示のピックアップモータ(ステッピングモータ)の駆動力で回転する。
(3)回動ユニットF
媒体供給部Cから繰り出されたブランクのカードCaは、傾斜媒体搬送経路P0上に配された搬入ローラ22で回動ユニットFに搬入される。回動ユニットFは、ハウジング2に回動可能に軸支された回動フレーム50と、この回動フレーム50に回転可能に軸支された2つのローラ対20、21とで構成されている。搬入ローラ22およびローラ対20、21は不図示の第1カード搬送モータ(正逆転可能なステッピングモータ)の駆動力で回転し、回動ユニットFは不図示の回動モータ(正逆転可能なステッピングモータ)の駆動力で回動する。なお、回動フレーム50の外周にはギアが形成されており、回動モータのモータ軸に嵌着したギアと噛合している。
回動ユニットFの外周には、上述した磁気記録部24、非接触式IC記録部23および接触式IC記録部27が配置されている。ローラ対20、21は、これらの記録部23、24、27のいずれかに向けてカードCaを搬送するための媒体搬送路65を形成し、これらの記録部でカードCaには磁気的若しくは電気的にデータが書き込まれる。なお、回動ユニットFの近傍には、環境温度(外気温)を検出するサーミスタ等の温度センサThが配置されており、この温度センサThで検出された環境温度を基に印刷部Bに設けられたサーマルヘッドやヒートローラ等(後述)の加熱要素の温度補正が行われる。
(4)印刷部B
印刷部Bは、サーマルヘッド40でインクリボン41の各色インク画像を重ねて転写フィルム47に画像を形成する画像形成部B1と、ヒートローラ33により水平媒体搬送経路P1上を搬送されるカードCaに転写フィルム46に形成された画像を転写する転写部B2とで構成されている。印刷部Bは、画像形成部B1および転写部B2に跨って転写フィルム46(の画像形成領域)を搬送するフィルム搬送機構10を有している。
また、印刷部Bには、媒体搬送路65の延長線上にカードCaを搬送するための水平媒体搬送経路P1が設けられている。水平媒体搬送経路P1上には、カードCaを転写部B2に向けて搬送する搬送ローラ対29、30が配置されている。
(5)デカール機構G
転写部B2の下流側には、水平媒体搬送経路P1の延長線上に、収容スタッカ60に転写後のカードCaを搬送するための水平媒体搬送経路P2が設けられている。水平媒体搬送経路P2上にはカードCaを搬送する搬送ローラ対37、38が配置されている。なお、水平媒体搬送経路P1、P2上に配設された搬送ローラ対29から搬送ローラ対38までの各ローラ(プラテンローラ31を含む。)は、不図示の第2カード搬送モータ(正逆転可能なステッピングモータ)の駆動力で回転する。
搬送ローラ対37、38はデカール機構Gの一部を構成している。デカール機構Gは、搬送ローラ対37、38で両端部が挟持(ニップ)されたカードCaの中央部を下方に凸状のデカールユニット34で押圧して位置固定された凹状のデカールユニット35との間でカードCaを挟むことにより、ヒートローラ33による熱転写でカードCaに生じた反りを矯正する。デカール機構Gは偏心カム36を含む構成によりデカールユニット34が図2に示す上下方向で進退可能に構成されている。
(6)媒体収容部D
媒体収容部Dは、カード載置台を有しデカール機構G側から搬送されてきたカードCaを収容する収容スタッカ60と、カード載置台に積層されたカードCaの枚数に応じて図2の下方側に移動するように構成された昇降機構61とを有している。
(7)印刷部Bの詳細
次に、印刷部Bについて、画像形成部B1、転写部B2、印刷部Bの動作ポジション、画像形成開始位置および転写開始位置の順に詳述する。
(7−1)画像形成部B1
(a)画像形成部B1の主要部材
プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは画像形成部B1を構成する主要部材であり、プラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。画像形成時には、転写フィルム46およびインクリボン41を介してプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接する。すなわち、プラテンローラ45は図示を省略した第1偏心カムを回転させることによりサーマルヘッド40に進退可能に構成されている。
サーマルヘッド40は主走査方向に列設された複数(本例では1300)の加熱素子を有しており、これらの加熱素子はヘッドコントロール用IC(不図示)により印刷データに基づいて選択的に加熱制御され、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する。本実施形態では、画像形成時に、フィルム搬送機構10が転写フィルム46をサーマルヘッド40の1ラインにつき0.8ms(1/1000秒)の搬送速度(以下、この搬送速度を基準搬送速度という。)で搬送し、それに合わせてサーマルヘッド40のライン周期(1ラインの画像形成時間)も0.8[ms/line](以下、このライン周期を基準ライン周期という。)に設定されている。なお、この基準搬送速度および基準ライン周期はサーマルヘッド40の画像形成で転写フィルム46が伸びないことを前提に設定されたものである。
(b)転写フィルム46
転写フィルム46は、カードCaの幅方向より若干大きな幅を有する帯状を呈しており、インクリボン41のインクを受容するインク受容層、インク受容層の表面を保護する保護層、加熱によりインク受容層および保護層を一体に剥離を促進するための剥離層、基材(ベースフィルム)の順で積層形成されている。
図5(A)に示すように、転写フィルム46には、矢印で示す画像形成方向(サーマルヘッド40の副走査方向)と交差する幅方向(サーマルヘッド40の主走査方向)を横断するように形成され画像形成開始位置を定めるためのマークが一定間隔で形成されており、これらのマーク間が画像形成領域Riとされている。つまり、画像形成領域Riは、画像形成方向における上流側のマークMaと下流側のマークMbとで画定される。なお、本実施形態での画像形成領域Riの画像形成方向(図5(A)の横方向)のサイズは94[mm]、幅方向(図5(A)の縦方向)のサイズは60[mm]、マークMa、Mbの太さ(幅)はそれぞれ4[mm]に設定されている。
なお、図5(A)において、画像形成領域Ri内の実線で示す長方形の領域がサーマルヘッド40の印刷領域Rp、2点鎖線の領域がカードCaのサイズである。本実施形態でサーマルヘッド40の印刷領域Rpは、図5(A)の横方向で86.6[mm]、縦方向で54.9[mm]に設定されており、標準サイズのカードCaに対して上下左右方向それぞれで0.5[mm]ほど余裕を持っている(カードCaのサイズより大きい)。付言すれば、マークMaの先端からサーマルヘッド40の印刷領域Rp(画像形成終了位置)までの距離およびマークMbの後端から画像形成開始位置PAまでの距離はそれぞれ3.7[mm]となる。
図2に示すように、転写フィルム46は、モータMr2、Mr4の駆動により転写フィルムカセット内の供給ロール47と巻取ロール48にそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、転写フィルムカセット内には、供給ロール47の中心に供給スプール47A、巻取ロール48の中心に巻取スプール48Aが配されており、供給スプール47Aには図示しないギアを介してモータMr2の回転駆動力が伝達され、巻取スプール48Aには図示しないギアを介してモータMr4の回転駆動力が伝達される。モータMr2およびモータMr4には正逆転可能なDCモータが用いられている。モータMr2、Mr4のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダが設けられている。
なお、本実施形態では、転写処理前の転写フィルム46が供給スプール47Aに巻回されており、使用済み(転写部B2で転写処理された部分)の転写フィルム46が巻取スプール48Aに巻回されている。このため、転写フィルム46に対して画像形成処理(一次転写処理ともいう。)および転写処理(二次転写処理ともいう。)を行う際は、供給スプール47Aから転写フィルム46を巻き取スプール48A側に一旦繰り出し、供給スプール47Aで転写フィルム46を巻き取りながら画像形成処理および転写処理を行う。
(c)フィルム搬送機構10
フィルム搬送ローラ49は、転写フィルム46を搬送する主要な駆動ローラであり、このフィルム搬送ローラ49の駆動を制御することで転写フィルム46の搬送量および搬送停止位置が定まる。フィルム搬送ローラ49は正逆転可能なフィルム搬送モータMr5(ステッピングモータ)に連結されている。フィルム搬送ローラ49の駆動時にモータMr2、Mr4も駆動するが、供給ロール47、巻取ロール48のいずれか一方から繰り出された転写フィルム46をいずれか他方で巻き取り、搬送される転写フィルム46にテンションを付与するためのものでフィルム搬送の補助的役割を果たす。フィルム搬送ローラ49のローラ軸には不図示のエンコーダが設けられている。
フィルム搬送ローラ49の周面には、ピンチローラ32aとピンチローラ32bとが配置されている。また、ピンチローラ32a、32bが転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に圧接した際に生じる転写フィルム46の張力でフィルム搬送ローラ49から離間することを防止する張力受け部材52が設けられている。
ピンチローラ32a、32bは、図示を省略した第2偏心カムを回転させることで、フィルム搬送ローラ49に対して進退可能に構成されており、張力受け部材52も第2カムを回転させることで転写フィルム46に対して進退可能に構成されている。なお、ピンチローラ32a、32bのローラ軸および張力受け部材52の両端部は第2偏心カムに当接するコロが固着した支持部材(不図示)に支持されている。図2では、ピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49側に進出して転写フィルム46がフィルム搬送ローラ49に巻き付けられ、張力受け部材52が転写フィルム46に接している状態が示されている。これにより、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
従って、フィルム搬送機構10は、画像形成部B1と転写部B2との間に配されたフィルム搬送ローラ49を駆動させることにより、転写フィルム46を供給ロール47、画像形成部B1、転写部B2および巻取ロール48間で正逆搬送するとともに、画像形成部B1および転写部B2において転写フィルム46の画像形成領域Riを適正位置に位置付ける機能を有している。
なお、巻取ロール48と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間には、発光素子と受光素子とを有し上述した転写フィルム46に形成されたマークを検出するセンサSe1が配置されている。また、サーマルヘッド40の近傍には、サーマルヘッド40を冷却するための冷却ファン39が配置されている。
(d)インクリボン41
インクリボン41はインクリボンカセット42に収納されており、インクカセット42にインクリボン41を供給する供給ロール43とインクリボン41を巻き取る巻取ロール44との間で張架された状態で収容されている。巻取ロール44の中心には巻取スプール44A、供給ロール43の中心には供給スプール43Aが配されており、巻取スプール44AはモータMr1の駆動力で回転し、供給スプール43AはモータMr3の駆動力で回転する。モータMr1およびモータMr3には正逆転可能なDCモータが用いられている。モータMr1、Mr3のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダが設けられている。
インクリボン41は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のカラーインクパネルとBk(ブラック)インクパネルとを長手方向に面順次に繰り返すことで構成されている。なお、本実施形態では、Y、M、Cのカラーインクパネルに昇華インク、Bkインクパネルに溶融インクが用いられている。
供給ロール43と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間には、発光素子側からの光がBkインクパネルにより受光素子側で遮光されることでインクリボン41の位置検出を行い画像形成部B1へのインクリボン41の頭出しを行うためのセンサSe2が配置されている。
(e)転写部B2との関係
転写フィルム46への画像形成が終了したインクリボン41は、剥離コロ25と剥離部材28とで転写フィルム46から引き剥がされる。剥離部材28はインクリボンカセット42に固設されており、剥離コロ25は画像形成時に剥離部材28に当接して両者で転写フィルム46とインクリボン41とを挟持することで剥離が行われる。そして、剥離されたインクリボン41はモータMr1の駆動力で巻取ロール44に巻き取られ、転写フィルム46はフィルム搬送機構10により転写部B2に搬送される。なお、プラテンローラ45のローラ軸および剥離コロ25の両端部は上述した第1偏心カムに当接するコロが固着した支持部材(不図示)に支持されており、第1カムが回転することで、サーマルヘッド40に対するプラテンローラ45の圧接が解除されると同時に、剥離部材28に対する剥離コロ25の当接も解除される。
フィルム搬送ローラ49の下流側には、転写フィルム46に形成されたマークを検出ためのセンサSe3が配置されている。このマーク検出を契機に、水平媒体搬送経路P1上の搬送ローラ対29、30に挟持され搬送停止(待機)中のカードCaを転写部B2に向けて搬送を開始することで、転写フィルム46の画像形成領域Ri(印刷領域Rp)とカードCaとは同時に転写部B2に到達する。なお、センサSe3には透過一体型のセンサが用いられている。
(7−2)転写部B2
転写部B2では、転写フィルム46がカードCaとともにヒートローラ33およびプラテンローラ31とで挟持され、転写フィルム46の画像形成領域Riに形成された画像がカードCaに転写される。すなわち、転写時には、カードCaおよび転写フィルム46(の画像形成領域Ri)を介してヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接し、カードCaと転写フィルム46とを同速で同方向に搬送する。なお、ヒートローラ33は、転写フィルム46を介してプラテンローラ31に圧接・離間するように昇降機構(不図示)に取り付けられている。
画像転写後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37を構成する従動ローラ(図2の下側のローラ)との間に配置された剥離ピン79でカードCaから分離(剥離)され供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは水平媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構Gに向けて搬送される(図4も参照)。
(7−3)印刷部Bの動作ポジション
印刷部Bは、上述した第1、第2偏心カムの回転を制御することにより、待機ポジション、印刷ポジションおよび搬送ポジションの3つのポジションのいずれかを採る。
(a)待機ポジション
図3(A)は、印刷部Bが待機ポジションにある状態を示したものである。この状態では、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に圧接しておらず、張力受け部材52もフィルム搬送ローラ49に接していない。また、プラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接しておらず、剥離コロ25も剥離部材28に当接していない。
(b)印刷ポジション
図3(B)は、印刷部Bが印刷ポジションに移行した状態を示したものである。その際、まず、ピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けるとともに、張力受け部材52が転写フィルム46に接し、その後、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接する。この印刷ポジションでは、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に向けて移動して転写フィルム46とインクリボン41とを挟み込む。
この状態で、フィルム搬送ローラ49の回転により転写フィルム46が搬送され、同時にインクリボン41もモータMr1の動作により巻取ロール44により巻き取られて同じ方向に搬送される。この搬送の間、転写フィルム46に形成されたマークがセンサSe1を通過して転写フィルム46が画像形成開始位置(後述)に到達した時点で、転写フィルム46の画像形成領域Riにサーマルヘッド40による画像形成が行われる。
転写フィルム46の搬送量(転写フィルム46の搬送方向の距離)は、フィルム搬送ローラ49に設けられたエンコーダで検出され、それに応じてフィルム搬送ローラ49の回転が停止し、同時にモータMr1の動作による巻取ロール44による巻き取りも停止する。これにより、転写フィルム46の画像形成領域Riへの最初のインクパネル(例えば、Y)のインクによる画像形成が終了する。
(c)搬送ポジション
最初のインクパネルのインクによる画像形成が終了すると、印刷部Bは搬送ポジションに移行し、プラテンローラ45はサーマルヘッド40から退避する(剥離部材28に対する剥離コロ25の当接も解除される。)。図3(C)は、印刷部Bが搬送ポジションに移行した状態を示したものである。この状態では依然として、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付け、張力受け部材52は転写フィルム46に接している。
この状態で、フィルム搬送ローラ49の逆方向の回転により、転写フィルム46は初期位置(頭出し位置)まで逆搬送される。このときも転写フィルム46の移動量はフィルム搬送ローラ49の回転によって制御されるが、マークがセンサSe1の検出位置を越えるように、一色のインクパネル(例えば、Y)で画像が形成された画像形成領域Riの搬送方向の長さ以上の所定長さ分が逆搬送されて初期位置まで戻される。なお、インクリボン41もモータMr3により所定量巻き戻され、次に画像を形成するためのインクのインクパネルを初期位置(頭出し位置)に待機させる。
(d)印刷動作おけるポジション移行
カラー印刷動作では、搬送ポジションで転写フィルム46およびインクリボン41がそれぞれ初期位置に搬送された後、再び図3(B)に示す印刷ポジションに移行し、プラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接させ、フィルム搬送ローラ49が転写フィルム46の画像形成領域Riを搬送してサーマルヘッド40により次のインクパネル(例えば、M)のインクによる画像形成が行われる。
このように、印刷ポジションと搬送ポジションでの動作は全てまたは所定のインクパネルのインクによる画像形成が終了するまで繰り返される。そして、サーマルヘッド40による画像形成が終了すると、プラテンローラ45のサーマルヘッド40への圧接を解除する。その後、フィルム搬送モータMr5(およびモータMr2、Mr4)の駆動で転写フィルム46の画像形成領域Riは転写部B2に向けて搬送される。
(7−4)画像形成開始位置および転写開始位置
(a)画像形成開始位置
サーマルヘッド40による画像形成領域Riに対する画像形成は、フィルム搬送モータMr5を駆動することで、センサSe1がマークMaの先端を検出した後、マークMaが画像形成部B1側に所定距離(例えば、数mm)搬送されたところで開始される。この位置が図5(A)に示した画像形成開始位置PA(マークMaの先端から90.3[mm]の位置)である。また、モータMr1も同時に駆動することで、転写フィルム46およびインクリボン41は画像形成部B1を同速で同方向に搬送される。
なお、画像形成処理(画像形成開始)に先立って、サーマルヘッド40を構成する加熱素子は、予備加熱(インクリボン41のインクが転写フィルム46の画像形成領域Riに転写される温度未満の所定温度まで加熱素子が加熱)される。
(b)転写開始位置
図4は、転写部B2での転写時の印刷装置1の正面図を示したものである。転写処理の際には、センサSe3でマークMbを検出して頭出しを行う。本実施形態では、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、センサSe3がマークMbの先端を検出してから転写フィルム46をさらに30[mm]搬送した位置が転写開始位置に設定されている。
図6(A)は、転写フィルム46の画像形成領域Riに伸びが生じていない場合の画像形成領域RiとカードCaとの位置合わせを模式的に示したものである。図6(A)に示すように、転写部B2では、サーマルヘッド40の印刷領域Rpの画像形成方向での長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとが同位置となるように転写フィルム46の頭出しが行われる。この状態(画像形成領域Riに伸びが生じていない状態)では、上述したようにセンサSe3がマークMbの先端を検出してから転写フィルム46をさらに30[mm]搬送することで、印刷領域Rpの画像形成方向での長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとが一致する。
1−3−2.制御部
図1に示すように、印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部70を備えている。制御部70は、印刷装置1を制御するマイクロコンピュータユニット72(以下、MCU72と略称する。)を有している。MCU72は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、およびこれらを接続する内部バスで構成されている。
MCU72には外部バスが接続されている。外部バスには、通信ICを有し上位装置101との通信を行う通信部71、カードCaに画像を形成すべき印刷データやカードCaの磁気ストライプや収容ICに磁気的ないし電気的に記録すべき記録データ等を一時的に格納するメモリ77が接続されている。
また、外部バスには、上述した各センサやエンコーダからの信号を処理する信号処理部73、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含むアクチュエータ制御部74、上述したヘッドコントロール用ICを有しサーマルヘッド40を構成する加熱素子の熱エネルギを制御するためのサーマルヘッド制御部75、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部76、上述した情報記録部A、およびカードCaの重送等による搬送エラーや情報記録部Aによる記録失敗時等にブザー6を作動させるブザー作動回路78が接続されている。
2.印刷システム100の技術背景
ここで、本実施形態の印刷システム100の技術背景について簡単に説明する。
「発明が解決しようとする課題」の欄でも述べたように、印刷データによって(印刷データが高階調の画素を多く含むと)、サーマルヘッド40の加熱素子による印刷領域Rpへの画像形成の結果、転写フィルム46の画像形成領域Riはサーマルヘッド40の副走査方向に伸びてしまう。
本実施形態の印刷システム100では、転写フィルム46にこのような伸びが生じることを前提に、色成分ごとの印刷データに従ってサーマルヘッド40で画像形成領域Riに画像を形成する際に、転写フィルム46に生じる伸びを見越して印刷領域Rpの画像長さを調整する。すなわち、印刷領域Rpの画像形成方向の画像長さが一定(本例では、図5(A)を参照して説明したように86.6[mm])となるように調整することで色ずれを防止する。
本発明者らは、印刷データのどのような要素が転写フィルム46の伸びに繋がるかについて実機を用いて多くの試験を行った。その結果、サーマルヘッド40の主走査方向の1ラインに対応する印刷データの画素群を構成する画素の階調値、および、サーマルヘッド40の主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する(印刷データの)色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率が転写フィルム46の伸びの主因であることを見出した。
この知見に基づき、印刷装置1では、1ラインごとの階調値および画像形成率に応じて、サーマルヘッド40で画像を形成する際に印刷領域Rpの画像長さが一定となるように調整する。画像長さが一定となるように調整するには、印刷領域Rpに生じる伸びを見越して上述したサーマルヘッド40の基準ライン周期に対してライン周期を短くすればよい。なお、ライン周期は1ラインごとに変更可能であるが、転写フィルム46の搬送速度は画像形成領域Riに画像を形成する際に一定速度に保たれる。
3.動作
次に、本実施形態の印刷システム100の動作について説明する。
3−1.動作概要
本実施形態の印刷システム100では、上位装置101側で画像データから色成分ごとの印刷データに変換し、色成分ごとの印刷データの1ラインごとの階調値および画像形成率を検出する。次いで、1ラインごとの階調値および画像形成率に応じて印刷装置1において転写フィルム46の画像形成領域Ri(印刷領域Rp)に画像を形成する際のサーマルヘッド40の1ラインごとのライン周期の調整値を決定する。上位装置101は、色成分ごとの印刷データおよびライン周期の調整値を印刷装置1に送信する。一方、印刷装置1側では、受信した印刷データおよび調整値に従ってサーマルヘッド40により画像形成領域Riに画像を形成する。以下、これらの動作について詳述する。
3−2.上位装置101の動作
図7に示すように、上位装置101のCPU、ROM、RAMおよびHDDは制御部150として機能する。すなわち、制御部150は、ROMに格納されRAMに展開されたプログラム(およびプログラムデータ)に従ってCPUを主体として機能する。
制御部150のHDDには、カードCaに印刷される所望の画像データ(画像オブジェクト)を生成するためのオブジェクト生成アプリケーションソフトウエア、オブジェクト生成アプリケーションソフトウエアで生成された画像データから印刷装置1用の印刷データを生成するプリンタドライバ(アプリケーションソフトウエア)等がインストールされている。
これらのアプリケーションソフトウエアのプログラムは、CD−ROM、フロッピディスク(FD)、USBメモリ、ZIP、MO等の上位装置101が読み取り可能な記録媒体を介してHDDにインストールしてもよいし、上位装置101がネットワークの一員を構成する場合には通信部155を介して他のコンピュータからプログラムを取得してHDDにインストールするようにしてもよい。
制御部150を構成するCPUは、HDDにインストールされたオブジェクト生成アプリケーションソフトウエアおよびプリンタドライバをアプリケーション151として同時にまたは選択的にRAMに展開することで、オブジェクト生成部152およびプリンタドライバ153の機能を実現する。なお、HDDは、オブジェクト生成部152およびプリンタドライバ153で作成(処理)中または作成(処理)済のデータを保存するデータ保存部154としても機能する。
3−2−1.オブジェクト生成部152
オブジェクト生成部152は、個々の印刷オブジェクトを生成する個別オブジェクト生成部、複数のオブジェクトを統合するオブジェクト統合部、統合オブジェクトから画像データを生成する画像データ生成部、画像データ等をプリンタドライバ153に出力するGDI(Graphics Device Interface、特開2004−194041号公報参照)を有している。なお、GDIを除くこれら各部は、OS(Operating System)より提供される関数を利用してモニタ102、入力装置103、画像入力装置104との入出力制御をするためのGUI(Graphic User Interface)機能を有している。
(1)個別オブジェクト生成部
図9は、カードCaに印刷される所有者の氏名「知財 花子」の印刷オブジェクトを作成する場合のモニタ102に表示された画面の例を模式的に示したものである。この例では、オペレータが、「テキスト入力」の欄に入力装置103のキーボードから「知財 花子」(テキストデータ)を入力し、入力装置103のマウス(不図示)でフォント名、フォントサイズ、スタイル/装飾、文字色、背景色等の印刷情報を入力した例であり、プレビューの欄には入力されたテキストデータと印刷情報とから生成された印刷オブジェクトが表示されている。
オペレータは、プレビューを参照しつつ、入力装置103を操作(修正)することで所望の印刷オブジェクト(テキストデータ)を作成し、OKボタンをクリックする。これにより、個別オブジェクト生成部は一つの印刷オブジェクト(オブジェクトのサイズ情報を含む。)を取り込み、その印刷オブジェクトを特定するための名前や番号を付与するとともに、予め定められたフォルダに印刷オブジェクトを収容する。なお、この例では、「プレビュー」の欄に表示された印刷オブジェクトが複数の文字で構成され、それらの文字のフォントやフォントサイズ等が同じ印刷オブジェクトを示したが、印刷オブジェクトは1文字で構成されていても、複数の文字で構成され各文字が異なるフォントやフォントサイズであってもよい。
カードCaは、一般に、所有者の氏名の他、所有者が所属する会社名やID番号等種々の印刷オブジェクト(テキストデータ)を含んで構成されるため、個別オブジェクト生成部は上記の例に従い他の(氏名以外の)印刷オブジェクトを生成することができ、上述したフォルダに生成した複数の印刷オブジェクトを収容する。なお、会社名は共通することから、別のフォルダに収容されている印刷オブジェクトをコピーして上述したフォルダに収容するようにしてもよい。
また、カードCaには、一般に、所有者の顔写真、会社のロゴマーク、カードの背景画像等の画像オブジェクトも印刷されることが多く、これらの画像オブジェクトも上述したフォルダに収容してもよく、または、他のフォルダに収容するようにしてもよい。なお、このような画像オブジェクトは画像入力装置104から取り込んでも、通信部155を介して他のコンピュータに保存されている画像オブジェクトを利用するようにしてもよい。
(2)オブジェクト統合部
オペレータは、上述したフォルダに収容された複数のオブジェクトにより、カードCaに印刷される所望の画像オブジェクトを作成する。オブジェクト統合部は、全体のプレビュー画像をモニタ102に表示し、オペレータによる複数のオブジェクト配置を補助する。これにより、オペレータは所有者の氏名、会社名、ID番号、顔写真、ロゴマーク等が所望位置に配置された統合オブジェクトを得ることができる。
オブジェクト統合部は、プレビュー画像のOKボタンがクリックされたかを判断し、クリックされた場合には、カードCaに印刷されるべき画像(統合)オブジェクトの配置が確定したものとみなし、統合オブジェクトを構成する各オブジェクトの位置情報を取得する。従って、オブジェクト統合部は、個々のオブジェクトの位置情報を付加する機能を有している。なお、本実施形態では個々のオブジェクトの位置情報は上述したフォルダに収容されるが、他のフォルダに収容するようにしてもよい。
(3)画像データ生成部
画像データ生成部は、テキストデータの各印刷オブジェクトを、例えばビットマップ等の画像データに変換し、カードCaの一面ごとに全ての画像データを一つに統合した画像データを生成する。
また、画像データ生成部は、オペレータに、生成した画像データが両面印刷または片面印刷のいずれに用いられるものか、およびカードCaの表面または裏面のいずれに用いられるものかを選択させ、その結果を画像データの属性情報として取得する。さらに、画像データ生成部は、オペレータに、カードCaの磁気ストライプやICに記録すべきデータの入力と記録部(23、24、27)の特定とを要求し、その入力結果を記録データとして取得する。
そして、画像データ生成部は、API(Application Program Interface)関数を利用して、上述した画像データ、属性情報および記録データをGDIに出力する。
(4)GDI
GDIは、DDI(Device Driver Interface、特開2002−91428号公報参照)関数を利用して、1つのフォルダ内に収容された画像データ、属性情報および記録データをプリンタドライバ153に引き渡す。
3−2−2.プリンタドライバ153
プリンタドライバ153は、画像データから色成分ごとの印刷データに変換する変換処理部、色成分ごとの印刷データの階調値および画像形成率を検出する検出処理部、サーマルヘッド40の1ラインごとのライン周期の調整値を決定する決定処理部、印刷データ、属性情報および記録データ等を収容したフォルダを印刷装置1に送信する送信処理部を有している。
図8は、制御部150のCPUが実行するプリンタドライバの処理ルーチンのフローチャートである。変換処理部はステップ(以下、「S」と略記する。)202の変換処理、検出処理部はS204の階調値および画像形成率検出処理、決定処理部はS206の調整値決定処理、送信処理部はS208の送信処理を、それぞれCPUを主体として実行する。以下、各部が行う処理について説明する。
(1)変換処理部
変換処理部は、オブジェクト生成部152(GDI)から受け取ったフォルダ内のデータのうち、画像データに対し大別して2つの変換処理を実行する。
1つ目の変換処理は、画像データを鏡像に変換する鏡像変換処理である。なお、この鏡像変換処理は必ずしも上位装置101側(変換処理部)で行う必要はなく、色成分ごとの印刷データに対し印刷装置1側で行ってもよい。
2つ目の変換処理は、鏡像変換された画像データに対する以下の3つの画像変換処理である。なお、これらの画像変換処理において、本実施形態では、Y、M、C、Bkの印刷データを構成する各画素は階調値0〜255範囲の256階調で変換される。
1)R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)を画像成分とする画像データからY、M、Cを色成分とする印刷データへの変換。
2)上記1)の変換に際して任意に行われる変換(補正)であって例えば次のもの。
(イ)ガンマ変換(ユーザ好みに色合いを調整、詳細は例えば特開平8−80640号参照)。
(ロ)リニア変換(印刷装置1の発色特性(サーマルヘッド40への出力−印刷濃度)を補正、詳細は例えば特開平6−30271号参照)。
(ハ)環境補正(サーマルヘッドや印刷装置1内温度などの環境による発色特性を補正、詳細は例えば特開昭63−115766号参照)。
(ニ)エッジ強調変換(例えば、顔の輪郭等を強調する変換、詳細は例えば特開2007−320050号参照)。
(ホ)ヘッド抵抗補正(サーマルヘッド40の構造上の発色特性を補正、詳細は例えば特開平7−125284号参照)。
なお、上記(ハ)〜(ホ)の変換(補正)を行う場合は、予め通信部155を介して印刷装置1の所定情報(環境温度等)を取得した後に行われる。
3)Bk(ブラック)を色成分とする画像データに対するディザ変換。このディザ変換は本例のようにインクリボン41のBkインクパネルのインクが溶融インクの場合に行われるが、インクリボン41のカラーインクパネルが溶融タイプの場合(本例以外の場合)にはカラーインクパネルに対してもディザ変換が行われる。
(2)検出処理部
図10は、図5に示したサーマルヘッド40の印刷領域Rpに対応する一色(例えば、Y)の印刷データの画素を模式的に示している。本実施形態の各印刷データは、主走査方向の画素数がサーマルヘッド40の主走査方向の加熱素子数に対応して1300、副走査方向の画素数が2048で構成されている。
検出処理部は、変換処理部で変換されたY、M、Cの各印刷データについて、図10に示すように、サーマルヘッド40の主走査方向の1ラインに対応する画素群ごとの階調値および画像形成率を検出する。なお、本実施形態では、サーマルヘッド40の主走査方向の1ラインに対応する印刷データの画素群ごとに画像形成可能な画素数が1300のため、画像形成率は、この1300に対する1ラインに対応する印刷データの画素群を構成する画素のうち階調値が1以上の画素数の割合となる。
(3)決定処理部
決定処理部は、検出処理部で検出された1ラインに対応する画素群ごとの階調値および画像形成率に応じて、サーマルヘッド40の1ラインごとのライン周期の調整値を決定する。
まず、決定処理部は、Y、M、Cの印刷データの各ラインについて、1ラインに対応する画素群ごとの階調値および画像形成率に応じて、下表1を参照し(按分計算をして)、1ラインごとのY、M、Cのインクによる画像形成によるそれぞれの伸び係数を算出する。この階調値については、1ラインに対応する画素群を構成する各画素の平均階調値としても、階調値が低い場合に比べ階調値が高い場合には伸びへの影響が大きいことから高い階調値により大きな重み付けをするようにしてもよい。なお、本実施形態では、全ライン(2048ライン)の伸び係数が全て1.0のとき、画像形成領域Riが1.0[mm]伸びるものとして説明する。つまり、1ラインの伸び係数が1.0の場合は、そのラインは1/2048で約0.0004883[mm]伸びることが推定される。
Figure 0006879494
図11は、階調値をX軸、画像形成率をY軸にとったときにZ軸の値として表される伸び係数を模式的に示したものである。例えば、図中第4領域として示すように、1ラインの画素群中で階調値が高く(例えば、255階調)かつ画像形成率が大きい(例えば、100%)場合には、フィルム46の伸び量が多くなり、これに従って伸び係数も大きくなる(例えば、伸び係数=1)。逆に、図中第1領域として示すように、階調値が低く(例えば、63階調以下)かつ画像形成率も小さい(例えば、25%以下)場合には、フィルム46の伸び量が少なくなり、これに従って伸び係数も小さくなる(例えば、伸び係数=0.06)。
次に、決定処理部は、算出した伸び係数と、1ラインの印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riに生じる伸び[mm](の推定値)との予め定められた関係(関係式またはテーブル)を参照して、1ラインの画像形成で画像形成領域Riに生じるY、M、Cごとの伸び(の推定値)を算出する。
このY、M、Cごとの伸びはインクリボン41の各インクパネルの昇華度や転写フィルム46のインク受容層の吸収度によって異なるため、上述した関係式またはテーブルは、例えば、恒温槽内で印刷装置1を基準温度(例えば、室温)の環境下で、実測した伸びの値を取得することにより作成することができる。その際、例えば、1ラインの印刷データを1000ライン分印刷することでその伸びを実測し、その1/1000の値を1ラインの伸びとすることで実測値の精度を高めることができる。
次いで、決定処理部は、1ラインごとに算出したY、M、Cごとの伸びを、温度センサThで検出された温度に応じて温度補正する。このような温度補正も、伸びの値と温度値との予め定められた関係式またはテーブルを参照することで行われる。このような温度補正式またはテーブルは、上述した恒温槽内で印刷装置1を、例えば、基準温度(例えば、室温)を含む10°C刻みの環境下でそれぞれ実測した伸びの値を取得することにより作成することができる。なお、この温度補正は通信部155を介して印刷装置1の環境温度を取得した後に行われる。また、決定処理部は必ずしもこのような温度補正を行う必要はなく、基準温度に温度補正するようにしてもよい。その場合には、印刷装置1側で後述する調整値に対して温度補正すればよい。
次に、決定処理部は、1ラインごとの印刷領域Rpの伸びとライン周期の調整値との予め定められた関係に従って、印刷領域Rpに生じる伸びを見越して色成分ごとの印刷データの各ラインのサーマルヘッド40のライン周期の調整値を決定する。例えば、1ラインの伸び係数が1.0の場合には、そのラインはそのまま印刷してしまうと0.0004883[mm]伸びてしまうため、1ラインの長さを0.0427734[mm] (86.6/2048+0.0004883[mm])から0.0422851[mm] (86.6/2048[mm])に調整する必要がある。言い換えると、伸び量を0にするためにライン周期を短くするように調整する。この場合、ライン周期をマイナス1.15478%としてライン周期を短くする決定を行う(調整値:−1.15478%)。この決定に従い、印刷装置1では、サーマルヘッド40の基準ライン周期の0.8[ms/line]に対してライン周期を0.8[ms/line]×0.9884511=0.79076[ms/line]に調整(補正)する。
以上では、段階ごとに決定処理部によるライン周期の調整値の決定手順について説明したが、実際には、決定処理部は、検出処理部で検出された1ラインごとの階調値および画像形成率を数式にそのまま代入して1ラインごとのライン周期の調整値を直接算出する。
また、決定処理部は、1ラインごとの印刷領域Rpの推定伸び量に対応した、サーマルヘッド40のライン周期の調整値を決定するが、それと並行してYインクで全ライン印刷したときに生じる画像形成領域Riの推定伸び量から、Mインクによる画像形成開始位置PAの調整値を決定する。さらに、YインクとMインクとで全ライン印刷したときに生じる画像形成領域Riの推定伸び量から、Cインクによる画像形成開始位置PAの調整値を決定する。つまり、所定の色の画像形成開始位置PAは、その前色までの印刷によって生じる画像形成領域Riの推定伸び量によって変更される。なお、全ライン印刷時の推定伸び量は上述した1ラインの伸び係数から求められる推定伸び量の総和で算出できる。上述したように、全ラインの伸び係数が全て1.0の場合、全ラインの推定伸び量は1.0[mm]となる。
決定処理部は次のとおり画像形成開始位置PAの調整値を決定する。把握を容易にするために、Yインクによる印刷領域Rpへの画像形成(全ライン)で画像形成領域Riに生じる推定伸び量が1.0[mm]、Mインクによる印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riに生じる推定伸び量が0.5[mm]、Cインクによる印刷領域Rpへの画像形成では画像形成領域Riに伸びが生じない(推定伸び量:0[mm])場合を例として説明する。
Yインクによる画像形成の際の画像形成開始位置PAは、未使用の画像形成領域Riを用いるため、図5(A)を参照して説明したように、マークMaの先端から90.3mmの位置である。Mインクによる画像形成の際の画像形成開始位置PAは、Yインクによる印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riに1.0[mm]の伸びが生じるため、マークMaの先端から、90.3[mm]+1.0[mm]=91.3[mm]の位置となる(1.0[mm]マークMb側に補正される。)。
Cインクによる画像形成の際の画像形成開始位置PAは、YインクおよびMインクによる印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riにそれぞれ1.0[mm]、0.5[mm]の伸びが生じるため、マークMaの先端から、90.3[mm]+1.0[mm]+0.5[mm]=91.8[mm]の位置となる(1.5[mm]マークMb側に補正される。)。Bkインクによる画像形成の際の画像形成開始位置PAは、Cインクによる印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riに伸びが生じないと推定されるため、Cインクの場合と同様に、マークMaの先端から、90.3[mm]+1.0[mm]+0.5[mm]+0[mm]=91.8[mm]の位置となる(1.5[mm]マークMb側に補正される。)。つまり、画像形成開始位置PAは画像形成領域Riの推定伸び量に応じてマークMb側に補正される。
なお、上述した決定処理部は、印刷領域Rpの画像長さを一定値(86.6[mm])とするためにサーマルヘッド40のライン周期を調整する調整値を決定した態様を示したが、ライン周期は変更しないで転写フィルム46の搬送速度を調整するための調整値(1ラインごとの転写フィルム46の搬送速度の調整値)を決定してもよい。
例えば、対象ラインの伸び係数が1.0[mm]の場合は、ライン周期は変更せずに上述した基準搬送速度と比べ1.15478%だけ搬送速度を遅くして(調整値:−1.15478%)、転写フィルム46の搬送速度を0.8[ms]から0.79076[ms]とすることで、転写フィルム46の画像形成領域Riが伸びたとしても印刷領域Rpは見かけ上86.6[mm]を保つことができる。
これにより、サーマルヘッド40で印刷領域Rpに1ラインごとに画像を形成する際に印刷領域Rpに生じるサーマルヘッド40の副走査方向の伸びが見かけ上生じていないものとして取り扱うことができる。
そして、決定処理部は、オブジェクト生成部152から受け取った属性情報および記録データ、変換処理部で変換されたY、M、C、Bkの印刷データ、並びに、Y、M、Cの印刷データの1ラインごとのライン周期(フィルム搬送速度を調整する場合は、フォルダ内の搬送速度の調整値)の調整値および各色の画像形成開始位置PAの調整値を1つのフォルダ内に収容する。
(4)送信処理部
送信処理部は、オペレータの指示に従って決定処理部で作成されたフォルダを印刷装置1に送信する。その際、オペレータの指示に従って作成されたフォルダをデータ保存部154に保存するようにしてもよい。
3−3.印刷装置1の動作
次に、フローチャートを参照して、印刷装置1側のカード発行動作について、MCU72のCPU(以下、単にCPUという。)を主体として説明する。なお、説明を簡単にするために、印刷装置1を構成する各部材はホーム(初期)位置に位置付けられ(例えば、図2に示す状態)、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開する初期設定処理が終了し、上位装置101(通信処理部)から上述したフォルダを受信済みのものとして説明する。また、印刷部B(画像形成部B1、転写部B2)の動作については既に説明したので、重複を避けるために簡単に説明する。
図12に示すように、カード発行ルーチンでは、S302において、画像形成部B1で、転写フィルム46に一面(例えば表面)側の画像を形成する一次転写処理(画像形成処理)を行う。すなわち、メモリ77に格納されたY、M、Cの印刷データおよびBkの印刷データに基づいて画像形成部B1のサーマルヘッド40を制御することで、転写フィルム46の画像形成領域Riにインクリボン41のY、M、CおよびBkインクによる画像を重ねて形成する。
その際、CPUは、メモリ77に格納されたフォルダ内の印刷データおよびライン周期の調整値(フィルム搬送速度を調整する場合は、フォルダ内の搬送速度の調整値)および画像形成開始位置PAの調整値を参照して、調整された画像形成開始位置からサーマルヘッド制御部105(ヘッドコントロール用IC)に1ラインごとに印刷データおよびライン周期の調整値を出力することで主走査方向に列設された加熱素子を選択的に加熱させてサーマルヘッド40を駆動する。
S302での一次転写処理と並行して、S304において、CPUは、媒体供給部CからカードCaを繰り出し、メモリ77に格納されたフォルダ内の記録データに基づいて、情報記録部Aを構成する磁気記録部24、非接触式IC記録部23、接触式IC記録部27のうちいずれかまたは複数でカードCaの対する記録処理を行った後、カードCaを転写部B2に搬送する。
次のS306では、転写部B2において、転写フィルム46の転写面に形成された画像をカードCaの一面に転写する二次転写処理を行う。なお、CPUは、この二次転写処理に先だって、ヒートローラ33を構成するヒータの温度が所定温度に到達しているように制御するとともに、カードCaと転写フィルム46の転写面に形成された画像とが同期して転写部B2に到着するように制御する。
次のS308では、偏心カム36を回動させデカールユニット34をデカールユニット35に向けて押し下げカードCaをデカールユニット34、35で挟むことでカードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行する。
次にS310において、メモリ77に格納されたフォルダ内の属性情報に基づいて両面印刷か否かを判断し、否定判断のときはS320に進み、肯定判断のときは、S312において、画像形成部B1で、転写フィルム46の次の画像形成領域Riに、S302と同様に、他面(例えば裏面)側の画像を形成する一次転写処理を行ってS316に進む。
CPUは、S312での一次転写処理と並行して、S314において、搬送ローラ対37、38に挟持されデカール機構12に位置付けられているカードCaを水平媒体搬送経路P2、P1を経由して回動ユニットFに搬送し、両端部をローラ対20、21で挟持されたカードCaを180°回動(表裏面を反転)させる。次のS316では、S306と同様に、転写部B2において、転写フィルム46の次の画像形成領域Riに形成された画像をカードCaの他面に転写する二次転写処理を行う。
次いで、S318では、S308と同様に、カードCaをデカールユニット34、35で挟むことでカードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行する。そして、次のS320では、収容スタッカ60に向けてカードCaを排出してカード発行ルーチンを終了する。
なお、本実施形態では、画像形成領域Riに形成する画像長さを調整するためにサーマルヘッド40のライン周期を調整するか、または転写フィルム46の搬送速度を調整する態様を示したが、両者を組み合わせることにより、画像形成領域Riが伸びても印刷領域Rpの長さ(サーマルヘッド40の副走査方向の長さ)を86.6[mm]となるように調整してもよい。
また、本実施形態では、図5(A)に示したように、頭出しの際(画像形成開始位置PAを決める際)に、画像形成方向に対し画像形成領域Riより上流側のマークMaを用いる例を示したが、画像形成領域Riより下流側のマークMbを用いるようにしてもよい。
図5(B)は、画像形成方向に対し画像形成領域Riより下流側のマークMbを頭出しに用いる場合の画像形成部B1における転写フィルム46の画像形成領域Riに対する画像形成開始位置を模式的に示したものである。図5(B)に示すように、マークMbを頭出しに用いる場合の画像形成領域Riにおける画像形成開始位置PBは、マークMbの(印刷方向)先端から7.7mmの位置に設定されている。この場合、Y色を印刷した時に転写フィルム46の画像形成領域Riが伸びたとしても、マークMbから画像形成開始位置Pbまでの位置に変化はないため、次色以降の印刷時に画像形成開始位置を調整する必要はない。そして、本実施形態では、マークMbから画像形成開始位置および印刷領域Rpの長さは変わらないため、転写部B2における転写開始位置を調整する必要はない。
また、本実施形態では、画像形成領域Riに形成する画像長さを調整するために、1ラインごとのサーマルヘッド40のライン周期または転写フィルム46の搬送速度を変更する態様を示したが、各ラインの推定伸び量の和(もしくは各ラインの伸び係数の平均値)から調整値が全ラインで一律となるように決定してもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明を印刷装置とコンピュータとで構成される印刷システムに適用した第2の実施の形態について説明する。第2実施形態の印刷システム100は、第1実施形態で示した調整値決定処理(図8、S206参照)を印刷装置1側で行うものである。なお、第2実施形態以下の実施形態において、第1実施形態の印刷システム100を構成する部材、機能部並びにステップには同一の符号を付してその説明を省略し、以下、異なる箇所のみ説明する。
上位装置101のプリンタドライバ153は、変換処理部(図13(A)、S202も参照)、検出処理部(図13(A)、S204も参照)および送信処理部を(図13(A)、S208も参照)有しており、第1実施形態で説明した決定処理部を欠いている。このため、検出処理部はオブジェクト生成部152から受け取った属性情報および記録データ、変換処理部で変換されたY、M、C、Bkの印刷データ、並びに、検出した1ラインごとの階調値および画像形成率を1つのフォルダ内に収容し、送信処理部はオペレータの指示に従って検出処理部で作成されたフォルダを印刷装置1に送信する。
一方、(印刷装置1の)CPUは、上位装置101(通信処理部)から上述したフォルダを受信した後、図12に示したカード発行ルーチンの実行前に、図13(B)に示す調整値決定ルーチンを実行する。CPUは、S254において、メモリ77に格納されたフォルダ内の印刷データを参照して、第1実施形態で示した上位装置101のプリンタドライバ153の決定処理部と同様の処理を実行し、色成分ごとの印刷データの1ラインごとのライン周期の調整値(または搬送速度の調整値)および画像形成開始位置PAの調整値をメモリ77に格納されたフォルダ内に収容する。なお、S254では、温度センサThが検出した環境温度が用いられる。
(第3実施形態)
次に、本発明を印刷装置とコンピュータとで構成される印刷システムに適用した第3の実施の形態について説明する。第3実施形態の印刷システム100は、第1実施形態で示した階調値および画像形成率検出処理(図8、S204参照)並びに調整値決定処理(図8、S206参照)を印刷装置1側で行うものである。
上位装置101のプリンタドライバ153は、変換処理部(図14(A)、S202も参照)および送信処理部(図14(A)、S208も参照)を有しており、第1実施形態で説明した検出処理部および決定処理部を欠いている。このため、変換処理部はオブジェクト生成部152から受け取った属性情報および記録データ、および変換したY、M、C、Bkの印刷データを1つのフォルダ内に収容し、送信処理部はオペレータの指示に従って変換処理部で作成されたフォルダを印刷装置1に送信する。
一方、(印刷装置1の)CPUは、上位装置101(通信処理部)から上述したフォルダを受信した後、図12に示したカード発行ルーチンの実行前に、図14(B)に示す調整値決定ルーチンを実行する。CPUは、S252において、メモリ77に格納されたフォルダ内の印刷データを参照して、第1実施形態で示した上位装置101のプリンタドライバ153の検出処理部と同様の処理を実行し、次のS254において、第1実施形態で示した上位装置101のプリンタドライバ153の決定処理部と同様の処理を実行して色成分ごとの印刷データの1ラインごとのライン周期の調整値(または搬送速度の調整値)および画像形成開始位置PAの調整値をメモリ77に格納されたフォルダ内に収容する。なお、S252(変換処理部で任意に行われる変換のうち(ハ)〜(ホ))、S254では、温度センサThが検出した環境温度が用いられる。
(変形例1)
上述した実施形態では、印刷領域Rpの画像長さが一定となるように調整する態様を示したが、サーマルヘッド40の印刷領域Rpへの画像形成で画像形成領域Riが伸びることを許容した上で色ずれを防止するようにしてもよい。
1色目(例えば、Y)のインクによる印刷領域Rpへの画像形成で転写フィルム46の画像形成領域Riに伸びが生じると、マークMaから画像形成開始位置PAまでの距離が変わってしまい(図5(A)も参照)、2色目(例えば、M)のインクによる画像形成開始位置PAがずれるため、画像形成開始位置側で色ずれが発生する。また、画像形成領域Riに伸びが生じると、画像形成終了位置側でも色ずれが発生する。このため、画像形成領域Riの伸びに対応して、(1)画像形成開始位置PAの調整(補正)と、(2)印刷領域Rpの画像長さの調整(補正)とが必要となる。なお、画像形成開始位置PAの調整については上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
さらに、印刷領域Rpに伸びが生じると、印刷領域Rpの画像形成方向での長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとが不一致となる。このため、(3)転写部B2での調整(補正)も必要となる。
(2)印刷領域Rpの画像長さの調整
サーマルヘッド40の印刷領域Rpの画像長さの調整は、第1実施形態と同様に、検出した伸び係数に従ってサーマルヘッド40のライン周期を変更することにより行われる。ただし、第1実施形態ではライン周期を短くするのに対し、本実施形態ではライン周期を長くする。なお、本実施形態では、前色の同一ラインで印刷される階調値を基に伸び係数が決められており、その伸び係数に従ってライン周期を調整する。
例えば、Mインクの所定ラインを印刷する場合に、Yインク印刷時の当該ラインの階調値を検出した結果、伸び係数が1.0であったとする。その場合、第1実施形態で説明したように、そのラインは1/2048で約0.0004883[mm]伸びることが推定される。よって、M色の当該ラインを印刷する際に、1ラインの長さを0.0422851[mm] (86.6/2048[mm])から0.0427734[mm]に調整する必要がある。そのために、決定処理部はライン周期を1.0115478倍するように調整値を決定し(調整値:+1.15478%)、当該ラインを印刷する時にライン周期を0.8[ms/line]から0.8092382[ms/line]となるようにする。そして、Cインクを印刷する場合は、YインクおよびMインクによる印刷によって生じる伸び量の推定値(各色の伸び係数の和)に基づいてライン周期を長くするように調整する。
サーマルヘッド40のライン周期を前色の印刷結果に合わせて長くするような調整を行う場合は、1色目であるYインクの印刷時の調整は不要であるが、Yインクの印刷時は検出された伸び係数に応じてライン周期を短くするように調整し、それでも伸びてしまう分をMインクとCインク印刷時にライン周期を長くするように調整するようにしてもよい。その場合、Yインクの調整値に応じてMインクおよびCインクの伸び係数を小さくする。
(3)転写開始位置の調整
図6(B)は、転写フィルム46の印刷領域Rpに伸びが生じた場合の印刷領域RpとカードCaとの位置合わせを模式的に示したものである。本実施形態では、印刷領域Rpに、Y、M、Cインクによる画像形成全体で1.5[mm]の伸びが生じることが推定されるものとして説明する(階調値および画像形成率を検出した結果、最終的な推定伸び量が1.5[mm])。
この場合、印刷領域Rpに生じた伸びの1/2(1.5[mm]÷2=0.75[mm])分を転写部B2で調整(補正)する必要が生じる。すなわち、センサSe3がマークMbを検出してから30[mm]+0.75[mm]=30.75[mm]転写フィルム46を搬送した位置を転写開始位置とする。これにより、印刷領域Rpに伸びが生じても、印刷領域Rpの画像形成方向での画像長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとを一致させることができ、カードCaに転写された画像が一側に偏って見えたり(とりわけ、証明写真やロゴマーク等がカードCaの端部に配置されたときに目立つ。)、場合によっては転写先端側の画像がカードCaの端側で切れたりすることを防止できる。
なお、本実施形態ではBkインクに溶融インクが用いられており、溶融インクを用いる場合は昇華インクを用いる場合と比べて転写フィルム46のインク受容層に吸収される程度が低く(インク受容層に付着する程度が高く)Bkインクによる印刷領域Rpの伸びが小さいため、Bkインクによる伸びについては考慮していない。
CPUは、図12のS302、S312での一次転写処理において、上述した(1)画像形成開始位置PAの調整および(2)印刷領域Rpの調整を実行する。また、S306、S316での二次転写処理において、上述した(3)転写開始位置の調整を実行する。
一方、上位装置101側では、プリンタドライバ153の決定処理部が、1ラインごとの印刷領域Rpにおける画像長さの伸びを算出した後、全ラインの印刷データの伸びの合計値を算出する。決定処理部は、全ラインの印刷領域Rpの伸びの合計値とライン周期の調整値との予め定められた関係に従ってサーマルヘッド40のライン周期の調整値を決定する。また、決定処理部は、上述した(1)画像形成開始位置PAの調整値、(2)サーマルヘッド40の印刷領域Rpの画像長さの調整値、および(3)転写開始位置の調整値を決定する。
そして、決定処理部は、オブジェクト生成部152から受け取った属性情報および記録データ、変換処理部で変換されたY、M、C、Bkの印刷データ、および、Y、M、Cの印刷データの上記(1)〜(3)の調整値を1つのフォルダ内に収容する。
なお、画像形成領域Riより下流側のマークMbを頭出しに用いる場合には、マークMbから画像形成開始位置PBまでの距離は転写フィルム46の画像形成領域Riに伸びが生じても変わらないため、上記(1)の画像形成開始位置PBの調整は不要である。従って、決定処理部は、上記(2)および(3)の調整値を決定する。
なお、上述した決定処理部は、前色のインクの印刷によって生じる印刷領域Rpの伸びに応じてサーマルヘッド40のライン周期を調整する調整値を決定した態様を示したが、ライン周期は変更しないで転写フィルム46の搬送速度を調整するための調整値(1ラインごとの転写フィルム46の搬送速度の調整値)を決定してもよい。
例えば、Yインクの所定ラインの伸び係数が1.0[mm]の場合は、Mインクの当該ラインを印刷する際にライン周期は0.8[ms/line]のまま、転写フィルム46の搬送速度を上述した基準搬送速度と比べ1.15478%%だけ搬送速度を速くして(調整値:+1.15478%)、転写フィルム46の搬送速度を0.8092382[ms]とすることで、各色同士の印刷領域Rpの伸び量の違いによる色ずれを軽減することができる。
なお、本実施形態では、画像形成領域Riに形成する画像長さを調整するためにサーマルヘッド40のライン周期を調整するか、または転写フィルム46の搬送速度を調整する態様を示したが、両者を組み合わせることにより、各色のインクで印刷されたときに生じる印刷領域Rpの伸びに応じて画像長さを調整し、各色間で色ずれが起こらないようにしてもよい。
また、本実施形態では、画像形成領域Riに形成する画像長さを調整するために、1ラインごとのサーマルヘッド40のライン周期または転写フィルム46の搬送速度を変更する態様を示したが、各ラインの推定伸び量の和(もしくは各ラインの伸び係数の平均値)から調整値が全ラインで一律となるように決定してもよい。
また、本実施形態(変形例1)では第1実施形態との相違について説明したが、この相違を踏まえ第2、第3実施形態でも同様にサーマルヘッド40の印刷領域Rpへの画像形成で印刷領域Rpが伸びることを許容した上で色ずれを防止することができる。
4.効果等
次に、上記実施形態の印刷システム100の効果等について説明する。
4−1.効果
第1〜第3実施形態の印刷システム100では、サーマルヘッド40の主走査方向の1ラインに対応する印刷データの画素群の階調値および画像形成率に応じて、サーマルヘッド40で転写フィルム46に色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さが1ラインごとに調整され印刷領域Rpの画像長さが一定値(86.6[mm])に維持されるので、サーマルヘッド40による加熱で転写フィルム46に生じる伸びに拘わらず色ずれを防止できる。
また、変形例1の印刷システム100では、一色(例えば、Y)の画像形成の際にサーマルヘッド40による加熱で転写フィルム46に生じた伸びに応じて、次色(例えば、M)以降の画像形成の際に、サーマルヘッド40のライン周期が全ラインで調整される(印刷領域Rpの画像長さが調整される)とともに、画像形成開始位置PAおよび転写開始位置が調整されるので、サーマルヘッド40による加熱で転写フィルム46に生じる伸びに拘わらず色ずれを防止できる。
従って、変形例1を含む上記実施形態の印刷システム100では、サーマルヘッド40の発熱量を高めて画像形成時間を短縮しつつ転写フィルム46(カードCa)に形成された画像の品質維持を図ることができる。
4−2.変形例
なお、上記実施形態では、間接印刷方式の印刷装置1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、インクリボン41を用いてカードCaに直接印刷する直接印刷方式の印刷装置にも適用可能である。その際、画像形成部、搬送ローラ、センサ等の構成や位置等を適宜変更すればよい。また、上記実施形態では、媒体に転写フィルム46を例示したが、例えば直接印刷方式の場合に、典型的にはチューブやフィルム等の熱伸縮性を有する媒体にも適用可能である。
また、上記実施形態では、Y、M、C以外の色としてBkを例示したが、本発明はこれに限らず、他の色(例えば、ゴールドやシルバー)があってもよい。さらに、Bkや他の色の印刷データについても、Y、M、C等と同様に、階調値および画像形成率に応じて画像形成の際に画像長さを調整するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、画像データから色成分ごとの印刷データの変換(生成)を上位装置101側で実行する例を示したが、本発明はこれに限定されず、印刷装置1(CPU)が、入力された画像データから色成分ごとの印刷データを生成しメモリ77に格納するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成部B1においてプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接する例を示したが、サーマルヘッド40をプラテンローラ45に圧接するようにしてもよい。その際、プラテンは例示したローラである必要もないが、転写フィルム46やインクリボン41の搬送に影響を与えないものが好ましい。さらに、上記実施形態では、転写部B2においてヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接する例を示したが、プラテンローラ31をヒートローラ33に圧接するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域RiにカードCaの一面側の画像を形成し(図12のステップ302)、転写部B2においてカードCaの一面に画像を転写(ステップ306)した後に、画像形成部B1において転写フィルム46の次の画像形成領域Riへの他面側の画像形成(ステップ312)と並行して、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ(ステップ314)、転写部B2においてカードCaの他面に他面側の画像を転写する(ステップ316)例を示したが、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域RiにカードCaの一面側の画像を形成した後、転写フィルム46の次の画像形成領域Riに他面側の画像を形成し、転写部B2において、カードCaの一面に画像を転写した後、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ、カードCaの他面に他面側の画像を転写するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、上位装置101が印刷装置1に接続された印刷システム100を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、USBメモリやメモリカード等を介して上位装置101側で作成されたフォルダを印刷装置1側に引き渡すようにしてもよい。また、印刷装置1がローカルネットワークの一員として構成されている場合には、ローカルネットワークに接続されたコンピュータから上述したフォルダを送信するようにしてもよい。さらに、上述した属性情報や記録データについてはオペパネ部5から入力してもよい。
そして、本願特許請求の範囲には、「コンピュータを、画像データから色成分ごとの印刷データを生成する生成手段、前記生成手段で生成された色成分ごとの印刷データのサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率を検出する検出手段、として機能させるためのプログラム。」の発明を含むが、このようなプログラムは、上記実施形態で例示した、サーマルヘッド40で転写フィルム46に色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整するため以外に、例えば、階調値および画像形成率に応じて転写フィルム46に付与するテンションを調整することで転写フィルム46に高品位の画像を形成するためのプログラムとしても用いることができる。なお、このような詳細については、本発明者らによる本願と同日出願の明細書に開示されている。
以上述べたとおり、本発明は、媒体への画像形成時間の短縮を図りつつ媒体に形成された画像の品質維持が可能な画像形成装置、プログラム、記録媒体および画像形成システムを提供するものであるため、画像形成装置および画像形成システムの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 印刷装置(画像形成装置)
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
46 転写フィルム(媒体)
49 フィルム搬送ローラ(媒体搬送部の一部)
70 制御部(制御手段)
77 メモリ(格納手段)
100 印刷システム(画像形成システム)
152 オブジェクト生成部(生成手段)
153 プリンタドライバ(検出手段、決定手段)
B 印刷部(画像形成手段)
Mr5 フィルム搬送モータ(媒体搬送部の一部)

Claims (9)

  1. 複数色の昇華インクを用いたインクパネルと溶融インクを用いたインクパネルとを面順次に繰り返すことで構成されたインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置において、
    サーマルヘッドと前記媒体を搬送する媒体搬送部とを有する画像形成手段と、
    色成分ごとの印刷データを格納するための格納手段と、
    前記画像形成手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記格納手段に格納された前記昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの印刷データの前記サーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで前記媒体に前記色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整し、前記溶融インクを用いて印刷する際は前記調整を行わないことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記サーマルヘッドのライン周期および/または前記媒体搬送部による前記媒体の搬送速度を変更することで前記色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記階調値および前記画像形成率に応じて、前記色成分ごとの印刷データに画像を形成する際に1ラインごとに前記媒体に生じる前記サーマルヘッドの副走査方向の伸びを調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さが予め定められた一定値となるように調整することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記色成分ごとの印刷データから前記階調値および前記画像形成率を検出し、該検出した階調値および画像形成率に応じて前記色成分ごとの印刷データによる画像を形成する際の画像長さを調整することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は、入力された画像データから色成分ごとの印刷データを生成した後、該生成した色成分ごとの印刷データを前記格納手段に格納することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. コンピュータを、
    画像データから昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの昇華印刷データと溶融インクを用いて印刷される画像の溶融印刷データとを生成する生成手段として
    前記生成手段で生成された色成分ごとの前記昇華印刷データのサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率を検出する検出手段として、そして
    前記検出手段で検出された階調値および画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで媒体に画像を形成する際の前記色成分ごとの前記昇華印刷データによる画像長さの調整値を決定する決定手段として
    機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  8. 請求項7に記載のコンピュータプログラムが記録された読み取り可能な記録媒体。
  9. 複数色の昇華インクを用いたインクパネルと溶融インクを用いたインクパネルとを面順次に繰り返すことで構成されたインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置と該画像形成装置と通信可能なコンピュータと、を備えた画像形成システムにおいて、
    画像データから色成分ごとの印刷データを生成する生成手段と、
    前記生成手段で生成された色成分のうち前記昇華インクを用いて印刷される画像の色成分ごとの印刷データのサーマルヘッドの主走査方向の1ラインに対応する画素群を構成する画素の階調値および前記1ラインに対応する画素群を構成する画素数に対する色成分を有する画素数の割合を表す画像形成率を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出された階調値および画像形成率に応じて、前記サーマルヘッドで前記媒体に画像を形成する際の前記色成分ごとの印刷データによる画像長さの調整値を決定する決定手段と、
    を備えた画像形成システム。
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