JP2017185701A - 画像形成装置 - Google Patents

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【課題】媒体に高品位の画像形成が可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】印刷装置は、サーマルヘッドを加熱して転写フィルムに複数色のインクによる画像を重ねて形成する画像形成部と、転写フィルムにテンションを付与しつつ搬送するフィルム搬送機構と、サーマルヘッドによる加熱により転写フィルムに生じた伸びを検出するセンサを備えており、転写フィルムに生じた伸びを検出する調整モード(S256〜276)と、検出した伸びに応じ転写フィルムに付与するテンションを調整して画像形成部で転写フィルムに画像を形成する印刷モード(S278、280)と有する。【選択図】図16

Description

本発明は画像形成装置に係り、特に、複数色のインクを有するインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
従来、転写フィルム、画像担持体等の転写媒体や、カード、シート、チューブ等の印刷媒体に画像を形成する画像形成装置が広く知られている。この種の画像形成装置では、例えば、インクリボンを使用して転写媒体に画像(鏡像)を形成し、次いで転写媒体に形成された画像を印刷媒体に転写する間接印刷方式や、インクリボンを使用して印刷媒体に直接画像を形成する直接印刷方式が用いられている。
このような画像形成装置では、一般に複数色のインクによる各画像を重ねてカラー画像を生成するカラー印刷が行われる。すなわち、入力された印刷データまたは入力された画像データを変換した印刷データ(例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)毎の印刷データ)に従って、媒体(間接印刷方式のときは転写媒体、直接印刷方式のときは印刷媒体)に複数色のインク(例えば、YMCのインク)画像を重ねて印刷することでカラー印刷が行われる。
カラー印刷では、媒体に対する各色インクの画像の印刷位置がずれると、媒体に印刷されたカラー画像がぼやけて見えるため、印刷品位(画質)が低下する。この各色インクの画像の印刷位置がずれる現象は一般に「色ずれ」と呼ばれ、各色インク画像の印刷位置を補正する種々の技術が開示されている。
例えば、中間転写ベルトに濃度補正パターンと色ずれ補正パターンを印刷して補正時間を短縮する技術(特許文献1参照)、画像形成可能領域内の画像印字に使用されていない未使用領域を使用してレジスト調整を行う技術(特許文献2参照)、転写媒体に形成されたマークがセンサよりも上流側にある状態でサーマルヘッドとプラテンとをニップさせ、その後転写媒体とインクリボンとの頭出しを行う技術(特許文献3参照)等が提案されている。
特開2008−3396号公報 特開2010−204547号公報 特許第5848129号
ところで、上述した画像形成装置の分野では、ユーザのニーズに対応して画像形成処理の時間(印刷時間)が年々短縮されている。この画像形成処理時間の短縮の背景には、例えば、サーマルヘッドを構成する加熱素子における単位時間当たりの発熱量の改善がある。
ところが、この弊害として、インクリボンを介して転写媒体に対し加熱素子を加熱させることで、例えば、主走査方向に広範囲かつ高階調の画像を形成すると、加熱素子の加熱により転写媒体が物理的に伸びてしまう。この伸びを考慮せず次のインクで転写媒体に画像を形成すると色ずれが起こる。間接印刷方式の場合に、色ずれが生じた転写媒体を印刷媒体に転写すると、転写媒体に転写された画像の印刷品位が低下してしまう。この現象は間接印刷方式に限らず、熱伸縮性を有する媒体(例えば、チューブ、フィルム等)に対する直接印刷方式でも同様に生じる。
本発明は上記事案に鑑み、媒体に高品位の画像形成が可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数色のインクを有するインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置において、サーマルヘッドを加熱して前記媒体に前記複数色のインクによる画像を重ねて形成する画像形成手段と、前記媒体にテンションを付与しつつ前記媒体を搬送する第1の搬送手段と、前記サーマルヘッドによる加熱により前記媒体に生じた伸びを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段で前記媒体に生じた伸びを検出する第1のモードと、該検出結果に応じ前記媒体に付与するテンションを調整して前記画像形成手段で前記媒体に画像を形成する第2のモードと有する、ことを特徴とする。
本発明において、検出手段は、第1の搬送手段による媒体の搬送量を検出することで媒体に生じた伸びを検出するようにしてもよい。また、第1のモードにおいて、画像形成手段で媒体に画像を形成してそのときの媒体の伸びを検出手段で検出し、第1および第2のモードのいずれかにおいて、第2のモードのおける画像形成の際の媒体に付与するテンションに対して検出した伸びが生じない調整量を取得するようにしてもよい。
この場合に、第1のモードにおいて、検出手段で検出された媒体の伸びの量から、予め定められた媒体の伸びの量と調整量との関係に基づいて調整量を算出するようにしてもよい。または、検出手段で検出された媒体の伸びに関する伸び情報をオペレータに報知する報知手段と、第1のモードにおける画像形成の際の調整量に関する調整情報および調整量に関するオペレータによる決定を表す決定情報を取得する取得手段と、をさらに備え、第1のモードにおいて、(a)報知手段で伸び情報を報知して取得手段で調整情報を取得し、(b)該取得した調整情報に基づいて媒体に付与するテンションを調整して画像形成手段で媒体に画像を形成してそのときの媒体の伸びを検出し、(c)取得手段で決定情報を取得するまで上記(a)、(b)を繰り返し、(d)取得手段で決定情報を取得したときに直近または同時に取得した調整情報に対応する調整量を調整量として取得するようにしてもよい。
さらに、不揮発性メモリを備え、第1のモードにおいて、調整値を取得したときに該調整値を不揮発性メモリに格納し、第2のモードにおいて、不揮発性メモリに格納された調整値を読み出して媒体に付与するテンションを調整するようにしてもよい。
また、第1のモードにおいて、任意の印刷データに従ってサーマルヘッドを加熱し複数色のインクによる画像を媒体の異なる画像形成領域にそれぞれ形成し、各色インクによる画像が形成された画像形成領域の伸びを検出手段でそれぞれ検出するようにしてもよい。または、第1のモードにおいて、サーマルヘッドを最高階調値またはその近傍の階調値で加熱し複数色のインクのうちいずれか一色によるベタ画像を媒体の画像形成領域に形成し、ベタ画像が形成された画像形成領域の伸びを検出手段で検出するようにしてもよい。その際、第2のモードにおいて、複数色のインクによる画像形成毎に媒体に付与するテンションを調整することが望ましい。
さらに、第1の搬送手段は画像形成手段の上流および下流側に駆動源を有しており、第2のモードにおいて、上流および下流側に駆動源のうち少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正することで媒体に付与するテンションを調整するようにしてもよい。このとき、上流および下流側の駆動源はPWM制御されるDCモータであり、DCモータをPWM制御におけるデューティ比を変更することで少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正してもよい。
また、画像形成手段の上流および下流側に駆動源を有し、インクリボンにテンションを付与しつつインクリボンを搬送する第2の搬送手段をさらに備え、第2のモードにおいて、第1搬送手段の少なくとも一方の駆動源の駆動量の補正に応じて第2搬送手段の少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正することが好ましい。
本発明によれば、第1のモードにおいて検出手段で媒体に生じた伸びを検出し、この検出結果に応じ第2のモードにおいて媒体に付与するテンションを調整して画像形成手段で媒体に画像を形成するので、媒体の伸びに起因する色ずれを防止できるため、媒体に高品位の画像を形成できる、という効果を得ることができる。
本発明が適用可能な実施の形態の印刷装置を含む印刷システムの外観図である。 実施形態の印刷装置の概略構成を示す正面図である。 ピンチローラとフィルム搬送ローラとが離反、プラテンローラとサーマルヘッドとが離反している待機ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。 ピンチローラとフィルム搬送ローラとが当接、プラテンローラとサーマルヘッドとが当接している印刷ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。 ピンチローラとフィルム搬送ローラとが当接、プラテンローラとサーマルヘッドとが当接している搬送ポジションにおけるカムによる制御状態の説明図である。 印刷装置の待機ポジションの状態を説明する動作説明図である。 印刷装置の搬送ポジションの状態を説明する動作説明図である。 印刷装置の印刷ポジションの状態を説明する動作説明図である。 フィルム搬送ローラとプラテンローラとその周辺部分を印刷装置に組み込むのに一体化した第1のユニットの構成を示す外観図である。 ピンチローラおよびその周辺部分を印刷装置に組み込むのに一体化した第2のユニットの構成を示す外観図である。 サーマルヘッドを印刷装置に組み込むのに一体化した第3のユニットの外観図である。 転写フィルムの画像形成領域に対する画像形成開始位置を模式的に説明する説明図であり、(A)は印刷方向に対して上流側のマークを用いたときの画像形成開始位置、(B)は印刷方向に対して下流側のマークを用いたときの画像形成開始位置を示す。 二次転写時の実施形態の印刷装置の正面図である。 二次転写時の転写フィルムとカードとの関係を模式的に示す説明図である。 実施形態の印刷装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。 実施形態の印刷装置の制御部のマイクロコンピュータユニットのCPUが実行する印刷ルーチンのフローチャートである。 実施形態の印刷装置の制御部のマイクロコンピュータユニットのCPUが実行する印刷ルーチンのステップ280の詳細を示すカード発行サブルーチンのフローチャートである。 自動調整において転写フィルムの画像形成領域に画像を形成する際の説明図であり、(A)は標準調整で各色インク画像を異なる画像形成領域にそれぞれ形成する場合、(B)は簡易調整でYインクのベタ画像を画像形成領域に形成する場合を示す。 転写フィルムの伸びを検出する第1検出方法における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5、(F)はその6、(G)はその7、(H)はその8、(I)はその9を示す。 転写フィルムの伸びを検出する第2検出方法における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5、(F)はその6、(G)はその7、(H)はその8、(I)はその9を示す。 第2検出方法において、センサによるマークの検出、巻取スプールを駆動するモータに設けられたエンコーダの出力クロックおよびアドレスの関係を模式的に示すタイミングチャートであり、(A)は画像形成領域にYインク画像の形成前、(B)は画像形成領域にYインク画像の形成後を示す。 転写フィルムの伸びを検出する第3検出方法における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5、(F)はその6を示す。 第3検出方法において、フィルム搬送モータへ出力される駆動パルスおよび供給スプールを駆動するモータに設けられたエンコーダの出力クロックの関係を模式的に示すタイミングチャートであり、(A)は転写フィルムに伸びが生じていない場合、(B)は転写フィルムに伸びが生じた場合を示す。 転写フィルムの巻取スプールを駆動するモータとインクリボンの供給スプールを駆動するモータのデューティ比を模式的に示すタイミングチャートであり、(A)は両者のデューティ比がともに50%のとき、(B)は前者のデューティ比が52%、後者のデューティ比が50%のとき、(C)は前者のデューティ比が54%、後者のデューティ比が48%のときを示す。
以下、本発明を、カードに文字や画像を印刷記録するとともに、カードに磁気的ないし電気的な情報記録を行う印刷装置に適用した実施の形態について説明する。
1.構成
1−1.システム構成
図1および図15に示すように、本実施形態の印刷装置1は印刷システム200の一部を構成している。すなわち、印刷システム200は、大別して、上位装置201(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)と、印刷装置1とで構成されている。
印刷装置1は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置201に接続されており、上位装置201から印刷装置1に印刷データや磁気的ないし電気的記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、印刷装置1は、オペパネ部(操作表示部)5を有しており(図15参照)、上位装置201からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
上位装置201には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置204、上位装置201に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置203、上位装置201によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ202が接続されている。
1−2.印刷装置
1−2−1.機構部
図2に示すように、印刷装置1はハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、媒体収容部Cと、収容部Dと、回動ユニットFとを備えている。
(1)情報記録部A
情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23と、接触式IC記録部27とで構成されている。
(2)媒体収容部C
媒体収容部Cは、複数枚のカードCaを立位姿勢で整列して収納しており、その先端には分離開口7が設けられており、ピックアップローラ19で最前列のカードCaから順次繰り出して供給する。なお、本実施形態では、カードCaに横85.6mm、縦53.9mmの標準サイズのカードが用いられる。
(3)回動ユニットF
繰り出されたブランクのカードCaは、搬入ローラ22で回動ユニットFに送られる。回動ユニットFはハウジング2に回動可能に軸支された回動フレーム80と、このフレームに支持された2つのローラ対20、21で構成されている。そして、ローラ対20、21は回動フレーム80に回転自在に軸支持されている。
回動ユニットFが回動する外周には、上述した磁気記録部24、非接触式IC記録部23および接触式IC記録部27が配置されている。そして、ローラ対20、21は、これらの情報記録部23、24、27のいずれかに向けてカードCaを搬送するための媒体搬送路65を形成し、これらの記録部でカードCaには磁気的若しくは電気的にデータが書き込まれる。なお、回動ユニットFの近傍には、環境温度(外気温)を検出するサーミスタ等の温度センサThが配置されており、この温度センサThで検出された環境温度を基に印刷部Bに設けられたサーマルヘッドやヒートローラ等(後述)の加熱要素の温度補正が行われる。
(4)印刷部B
印刷部Bは、カードCaの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成するもので、媒体搬送路65の延長上にカードCaを搬送するための媒体搬送経路P1が設けられている。また、媒体搬送経路P1にはカードCaを搬送する搬送ローラ29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
印刷部Bはフィルム搬送機構10を有しており、このフィルム搬送機構10により搬送される転写フィルム46の画像形成領域(後述)に対して、サーマルヘッド40でインクリボン41の各色画像を重ねて形成する画像形成部B1と、続いてヒートローラ33により媒体搬送経路P1上のカードCaの表面に転写フィルム46に形成された画像を転写する転写部B2とを備えている。
印刷部Bの下流側には、媒体搬送経路P1の延長線上に、収容スタッカ60に印刷後のカードCaを搬送するための媒体搬送経路P2が設けられている。媒体搬送経路P2にはカードCaを搬送する搬送ローラ対37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
搬送ローラ対37と搬送ローラ対38の間にはデカール機構12が配置されている。デカール機構12は、搬送ローラ対37、38で両端部が挟持(ニップ)されたカードCaの中央部を下方に凸状のデカールユニット33で押圧して位置固定された凹状のデカールユニット34との間でカードCaを挟むことにより、ヒートローラ33による熱転写でカードCaに生じた反りを矯正する。デカール機構12は偏心カム36を含む構成によりデカールユニット33が図2に示す上下方向で進退可能に構成されている。
(5)収容部D
収容部Dは、印刷部Bから送られたカードCaを収容スタッカ60に収容するように構成されている。収容スタッカ60は、昇降機構61にて図2で下方に移動するように構成されている。
(6)印刷部詳細
次に、上述した印刷装置1の全体構成のうち印刷部Bについて詳述する。
(6−1)画像形成部B1
転写フィルム46は、カードCaの幅方向より若干大きな幅を有する帯状を呈しており、上から順に、インクリボン41のインクを受容するインク受容層、インク受容層の表面を保護する透明の保護層、加熱によりインク受容層および保護層を一体に剥離を促進するための剥離層、基材(ベースフィルム)の順で積層されて形成されている。
図12(A)、(B)に示すように、本実施形態で使用される転写フィルム46には、矢印で示す印刷方向(サーマルヘッド40の副走査方向)と交差する幅方向(サーマルヘッド40の主走査方向)を横断するように形成され画像形成開始位置を設定するためのマークが一定間隔で形成されており、これらのマーク間が画像形成領域Rとされている。つまり、画像形成領域Rは、印刷方向における上流側のマークMaと下流側のマークMbとで画定される。なお、画像形成領域Rの印刷方向(図12の横方向)の寸法は94mm、幅方向(図12の縦方向)の寸法は60mm、マークMa、Mbの太さ(幅)はそれぞれ4mmに設定されている。
図2に示すように、転写フィルム46は、モータMr2、Mr4の駆動により転写フィルムカセット内の回転する供給ロール47と巻取ロール48にそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、転写フィルムカセット内には、供給ロール47の中心に供給スプール47A、巻取ロール48の中心に巻取スプール48Aが配されており、供給スプール47Aには図示しないギアを介してモータMr2の回転駆動力が伝達され、巻取スプール48Aには図示しないギアを介してモータMr4の回転駆動力が伝達される。モータMr2およびモータMr4には正逆転可能なDCモータが用いられており、モータMr2、Mr4のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダ(以下、モータMr2のエンコーダ、モータMr4のエンコーダという。)が設けられている。
本実施形態では、転写処理前の転写フィルム46が供給スプール47Aに巻回されており、使用済み(転写部B2で転写処理された部分)の転写フィルム46が巻取スプール48Aに巻回されている。よって、転写フィルム46に対して画像形成処理および転写処理を行う際は、供給スプール47Aから転写フィルム46を巻取スプール48A側に一旦繰出し、供給スプール47Aで転写フィルム46を巻き取りながら画像形成処理および転写処理を行う。
フィルム搬送ローラ49は、転写フィルム46を搬送する主要な駆動ローラであり、このフィルム搬送ローラ49の駆動を制御することで転写フィルム46の搬送量および搬送停止位置が定まる。フィルム搬送ローラ49は正逆転可能なフィルム搬送モータMr5(ステッピングモータ)に連結されている。フィルム搬送ローラ49の駆動時にモータMr2、Mr4も駆動するが、供給ロール47、巻取ロール48のいずれか一方から繰り出された転写フィルム46をいずれか他方で巻き取り、搬送される転写フィルム46にテンションを付与するためのものであってフィルム搬送の補助的機能を果たし、転写フィルム46の主要な搬送源となるものではない。
フィルム搬送ローラ49の周面には、ピンチローラ32aとピンチローラ32bとが配置されている。ピンチローラ32a、32bは、図2では示されていないが、フィルム搬送ローラ49に対して進出および退避するよう移動可能に構成されており、図2に示す状態ではフィルム搬送ローラ49側に進出して圧接することで転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付けている。これにより、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
従って、フィルム搬送機構10は、画像形成部B1と転写部B2との間に配された主要駆動ローラのフィルム搬送ローラ49を駆動させることにより、転写フィルム41を供給ロール47、画像形成部B1、転写部B2および巻取ロール48間で正逆搬送するとともに、画像形成部B1および転写部B2において転写フィルム46の画像形成領域Rおよび画像形成領域Rに形成された画像を適正位置に位置付ける(頭出し)機能を有している。また、巻取ロール48と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間、フィルム搬送ローラ49と転写部B2(ヒートローラ33、プラテンローラ31)との間には、それぞれ、発光素子と受光素子を有し上述した転写フィルム46に形成されたマークを検出する透過型センサSe1、Se3が配設されている。
ここで、転写フィルム46に形成されたマークMa、Mbと転写フィルム46の画像形成領域Rにおける画像形成開始位置(サーマルヘッド40の印刷開始位置)との関係について説明する。
(A)画像形成領域Rより上流側のマークMaを頭出しに用いる場合
図12(A)は、印刷方向に対し画像形成領域Rより上流側のマークMaを頭出しに用いる(センサSe1でマークMaを検出する)場合の画像形成部B1における転写フィルム46の画像形成領域Rに対する画像形成開始位置を模式的に示したものである。図12(A)に示すように、本実施形態では、マークMaを頭出しに用いる場合の画像形成領域Rにおける画像形成開始位置PAは、マークMaの(印刷方向)先端から90.3mmの位置に設定されている。換言すると、画像形成領域Rの印刷方向での長さのセンタと、サーマルヘッド40による印刷領域(以下、サーマルヘッド40の印刷領域という。)の印刷方向での長さのセンタとが一致するように設定されている。
なお、図12(A)において、画像形成領域R内の実線の長方形の領域がサーマルヘッド40の印刷領域、2点鎖線の領域がカードCaの領域である。本実施形態でサーマルヘッド40の印刷領域は図12(A)の横方向で86.6mm、縦方向で54.9mmに設定されており、標準サイズのカードCaに対して上下左右方向それぞれで0.5mmほど余裕を持っている(カードCaより大きい)。付言すれば、マークMaの先端からサーマルヘッド40の印刷領域(画像形成終了位置)までの距離およびマークMbの後端から画像形成開始位置PAまでの距離はそれぞれ3.7mmとなる。
(B)画像形成領域Rより下流側のマークMbを頭出しに用いる場合
図12(B)は、印刷方向に対し画像形成領域Rより下流側のマークMbを頭出しに用いる場合の画像形成部B1における転写フィルム46の画像形成領域Rに対する画像形成開始位置を模式的に示したものである。図12(B)に示すように、マークMbを頭出しに用いる場合の画像形成領域Rにおける画像形成開始位置PBは、マークMbの(印刷方向)先端から7.7mmの位置に設定されている。すなわち、画像形成領域Rの印刷方向での長さのセンタと、サーマルヘッド40の印刷領域の印刷方向での長さのセンタとが一致するように設定されている。
一方、インクリボン41はインクリボンカセット42に収納されており、このカセット42にインクリボン41を供給する供給ロール43とインクリボン41を巻き取る巻取ロール44との間で張架された状態で収容されている。巻取ロール44の中心には巻取スプール44A、供給ロール43の中心には供給スプール43Aが配されており、巻取スプール44AはモータMr1の駆動力で回転し、供給スプール43AはモータMr3の駆動力で回転する。モータMr1およびモータMr3には正逆転可能なDCモータが用いられており、モータMr2、Mr4と同様に、モータMr1、Mr3のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダ(以下、モータMr1のエンコーダ、モータMr3のエンコーダという。)が設けられている。
インクリボン41は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のカラーリボンパネルとBk(ブラック)リボンパネルとを長手方向に面順次に繰り返すことで構成されている。本実施形態では、Y、M、Cのカラーリボンパネルに昇華インク、Bkリボンパネルに溶融インクが用いられているが、Bkリボンパネルに昇華インクを用いるようにしてもよい。また、供給ロール43と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間には、発光素子側からの光がBkリボンパネルにより受光素子側で遮光されることでインクリボン41の位置検出を行い画像形成部B1へのインクリボン41の頭出しを行うための透過型センサSe2が配置されている。
プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは画像形成部B1を構成しており、プラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。画像形成時には、転写フィルム46およびインクリボン41を介してプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接する。サーマルヘッド40は主走査方向に列設された複数の加熱素子を有しており、これらの加熱素子はヘッドコントロール用IC(図示せず)により印刷データに基づいて選択的に加熱制御され、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する。その際、転写フィルム46とインクリボン41とは同速で同方向(図12に示す印刷方向、図2の下側から上側の方向)に搬送される。なお、冷却ファン39はサーマルヘッド40を冷却するためのものである。
転写フィルム46への画像形成が終了したインクリボン41は、剥離コロ25と剥離部材28とで転写フィルム46から引き剥がされる。剥離部材28はインクリボンカセット42に固設されており、剥離コロ25は画像形成時に剥離部材28に当接して両者で転写フィルム46とインクリボン41とを挟持することで剥離が行われる。そして、剥離されたインクリボン41はモータMr1の駆動力で巻取ロール44に巻き取られ、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49により、プラテンローラ31とヒートローラ33とを有する転写部B2まで搬送される。
(6−2)転写部B2
転写部B2では、転写フィルム46はカードCaとともにヒートローラ33およびプラテンローラ31とで挟持されて、転写フィルム46の画像形成領域Rに形成された画像がカードCa表面に転写される。すなわち、転写時には、カードCaおよび転写フィルム46(の画像形成領域R)を介してヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接し、カードCaと転写フィルム46とを同速で同方向に搬送する(図13も参照)。なお、ヒートローラ33は、転写フィルム46を介してプラテンローラ31に圧接・離間するように昇降機構(不図示)に取り付けられている。
図13は、転写部B2における二次転写処理の際の印刷装置1の正面図を示したものである。二次転写処理の際には、上述したようにマークMa、Mbを頭出しに用いるいずれの場合でも、センサSe3でマークMbを検出して頭出しを行う。なお、本実施形態では、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、センサSe3がマークMbの先端を検出してから転写フィルム46をさらに30[mm]搬送した位置が(二次)転写開始位置に設定されている。
図14は、画像形成領域RとカードCaとの位置合わせを模式的に示したものである。図14に示すように、二次転写処理では、サーマルヘッド40の印刷領域の印刷方向での長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとが同位置となるように転写フィルム46の頭出しを行う。センサSe3がマークMbの先端を検出してから転写フィルム46をさらに30[mm]搬送することで、サーマルヘッド40の印刷領域の印刷方向での長さのセンタCnとカードCaの長手方向のセンタとが一致するように設定されている。
画像転写後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37を構成する従動ローラ37bとの間に配置された剥離ピン79でカードCaから分離(剥離)され供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構12に向けて搬送される。
(6−3)画像形成部B1の構成細部
ここで、画像形成部B1の構成細部について説明する。図3〜図5に示すように、ピンチローラ32a、32bはピンチローラ支持部材57の上端部と下端部にそれぞれ支持されており、ピンチローラ支持部材57はその中央部を挿通する支持シャフト58に回動自在に支持されている。支持シャフト58は、図10に示すように、両端部がピンチローラ支持部材57に形成された長穴76、77に架け渡されているとともに、中間部でブラケット50の固定部78にて固定されている。また、長穴76、77は支持シャフト58に対して水平方向および垂直方向に空間を持たせている。これにより、後述するフィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32a、32bの調整が可能となる。
支持シャフト58にはバネ部材51(51a、51b)が装着されており、ピンチローラ支持部材57のピンチローラ32a、32bが装着される側の端部は、それぞれバネ部材51と接してそのバネ力によりフィルム搬送ローラ49の方向へ付勢されている。
ブラケット50は、カム受81でカム53のカム作動面と当接しており、駆動モータ54(図10参照)の駆動力で回動するカム軸82を支点とするカム53の矢印方向への回動に応じてフィルム搬送ローラ49に対して図で左右方向に移動するように構成されている。従って、ブラケット50がフィルム搬送ローラ49に向けて進出したとき(図4および図5)、ピンチローラ32a、32bはバネ部材51に抗して転写フィルム46を挟んでフィルム搬送ローラ49に圧接し、転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に巻き付ける。
このとき、ブラケット50の回動支点となる軸95から遠い位置にあるピンチローラ32bがまずフィルム搬送ローラ49を圧接し、続いてピンチローラ32aが圧接する。このように、回動支点である軸95をフィルム搬送ローラ49より上方に配置することで、ピンチローラ支持部材57は平行移動ではなく回動しながらフィルム搬送ローラ49と当接することになり、平行移動させるよりも幅方向のスペースが少なくてすむ利点がある。
また、ピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49へ圧接したときの圧接力は、バネ部材51により転写フィルム46の幅方向の対して均一となる。その際、ピンチローラ支持部材57の両側に長穴76、77が形成され支持シャフト58は固定部78で固定されているために、ピンチローラ支持部材57を3方向に調整することができ、フィルム搬送ローラ49の回転により転写フィルム46はスキュー(斜行)を起こすことなく正しい姿勢にて搬送される。なお、ここで言う3方向の調整とは、(i)フィルム搬送ローラ49に対してピンチローラ32a、32bの軸方向の圧接力を均一にするために、フィルム搬送ローラ49の軸に対するピンチローラ32a、32bの軸の水平方向の平行度を調整すること、(ii)フィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32aの圧接力とフィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32bの圧接力とを均一にするために、フィルム搬送ローラ49に対するピンチローラ32aとピンチローラ32bとの移動距離を調整すること、および(iii)フィルム進行方向に対してピンチローラ32a、32bの軸が垂直になるように、フィルム搬送ローラ49の軸に対するピンチローラ32a、32bの軸の垂直方向の平行度を調整することである。
さらに、ブラケット50には、ブラケット50がフィルム搬送ローラ49に向けて進出したとき、転写フィルム46のフィルム搬送ローラ49に巻き付けられていない部分と当接する張力受け部材52とが設けられている。
張力受け部材52は、ピンチローラ32a、32bが転写フィルム46をフィルム搬送ローラ49に圧接した際に生じる転写フィルム46の張力により、ピンチローラ32a、32bがそれぞれバネ部材51の付勢力に抗してフィルム搬送ローラ49から退避するのを防止するために設けられている。このため、張力受け部材52は、ピンチローラ32a、32bより図で左の位置で転写フィルム46と当接するようブラケット50の回動側端部の先端に取り付けられている。図2は張力受け部材52が転写フィルム46と当接している状態を示している。
これにより、転写フィルム46の弾性から生じる張力は張力受け部材52を通してカム53にて直接受け止めることができる。従って、この張力によりピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49から退避してピンチローラ32a、23bの圧接力が弱まることが防止されるので、転写フィルム46のフィルム搬送ローラ49への密着した巻き付け状態が維持されて正確な搬送を行うことができる。
転写フィルム46の横幅方向に沿って配置されたプラテンローラ45は、図9に示すように、軸71を支点として回動自在な一対のプラテン支持部材72に支持されている。一対のプラテン支持部材72はプラテンローラ45の両端を支持している。プラテン支持部材72はそれぞれ、軸71を共通の回動軸とするブラケット50Aの端部にバネ部材99を介して接続されている。
ブラケット50Aは、基板87と、この基板87からのプラテン支持部材72の方向に折り曲げて形成されたカム受支持部85とを有しており、カム受支持部85でカム受84を保持している。基板87とカム受支持部85との間には、駆動モータ54にて駆動するカム軸83を支点に回動するカム53Aが配設されており、カム作動面とカム受84とが当接するよう構成されている。従って、カム53Aの回動によりブラケット50Aがサーマルヘッド40の方向へ進出すると、プラテン支持部材72も移動してプラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接する。
このようにブラケット50Aとプラテン支持部材72との間にバネ部材99とカム53Aとを上下に配置することにより、このプラテン移動ユニットはブラケット50Aとプラテン支持部材72との間隔内に収めることができる。また、幅方向はプラテンローラ45の幅内に収めることができ省スペース化を図ることができる。
また、カム受支持部85は、プラテン支持部材72に形成した穿孔部72a、72b(図9参照)に嵌合しているため、カム受支持部85をプラテン支持部材72の方向に突設しても、ブラケット50Aとプラテン支持部材72との間隔が広がることがなく、その面でも省スペース化を図ることができる。
プラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接したとき、それぞれのプラテン支持部材72に接続されたバネ部材99は、それぞれ転写フィルム46の幅方向への圧接力が均一となるように作用する。このため、転写フィルム46がフィルム搬送ローラ49により搬送されるときスキューが防止され、転写フィルム46の画像形成領域Rが幅方向にずれることがなくサーマルヘッド40による転写フィルム46への画像形成を正確に行うことができる。
ブラケット50Aの基板87には、剥離コロ25の両端を支持する一対の剥離コロ支持部材88がバネ部材97を介して設けられており、剥離コロ25は、ブラケット50Aがカム53Aの回動によりサーマルヘッド40に対し進出したとき、剥離部材28と当接して両者で挟持された転写フィルム46とインクリボン41とを剥離する。剥離コロ支持部材88もプラテン支持部材72と同様に剥離コロ25の両端にそれぞれ設けられており、剥離部材28に対する幅方向の圧接力が均一となるように構成されている。
ブラケット50Aの軸支59側の端部と反対側の端部には、張力受け部材52Aが設けられている。張力受け部材52Aは、プラテンローラ45と剥離コロ25とをサーマルヘッド40と剥離部材28とにそれぞれ圧接する際に生じる転写フィルム46の張力を吸収するように設けられている。バネ部材99とバネ部材97は、転写フィルム46の幅方向への圧接力を均一にするために設けられるが、逆にバネ部材99、97が転写フィルム46の張力に負けて転写フィルム46への圧接力が弱まってしまわないように、張力受け部材52Aにより転写フィルム46からの張力を受けている。なお、張力受け部材52Aも上述の張力受け部材52と同様にブラケット50Aに固定されているため、転写フィルム46の張力はブラケット50Aを介してカム53Aで受けることになるので、転写フィルム46の張力に負けることはない。これにより、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力および、剥離部材28と剥離コロ25との圧接力が保たれるので、良好な画像形成および剥離を行うことができる。また、フィルム搬送ローラ49の駆動時に転写フィルム46の搬送量に誤差を生じることがなく、画像形成領域Rの長さ分が正確にサーマルヘッド40に搬送されて精度よく(色ずれを生じることなく)画像を形成できる。
カム53とカム53Aとは、ベルト98(図3参照)が張架されており同一の駆動モータ54により駆動される。
(6−4)待機ポジション、搬送ポジションおよび印刷ポジション
印刷部Bが図6に示す待機ポジションにあるときカム53およびカム53Aは図3に示す状態にあり、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に圧接しておらず、またプラテンローラ45はサーマルヘッド40に圧接していない。換言すると、待機ポジションにあるときは、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは両者が離間した離間位置に位置している。
そして、カム53およびカム53Aが連動して回転して図4に示す状態となると、印刷部Bは図7に示す印刷ポジションに移行する。その際、まずピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けるとともに、張力受け部材52は転写フィルム46と当接する。その後プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接する。この印刷ポジションでは、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に向けて移動して転写フィルム46とインクリボン41を挟み圧接して、剥離ローラ25が剥離部材28と接している。
この状態で、フィルム搬送ローラ49の回転により転写フィルム46の搬送が開始されると、同時にインクリボン41もモータMr1の動作により巻取ロール44により巻き取られて同じ方向に搬送される。この搬送の間、転写フィルム46に形成されたマークがセンサSe1を通過して所定距離移動し、転写フィルム46が画像形成開始位置に到達した時点で、転写フィルム46の画像形成領域Rにサーマルヘッド40による画像形成が行われる。
特に画像形成中は転写フィルム46の張力が大きくなるため、転写フィルム46の張力はフィルム搬送ローラ46からピンチローラ32a、32bを離間させる方向および、剥離部材28とサーマルヘッド40から剥離コロ25とプラテンローラ45とを離間させる方向に働く。しかし、上述したように、転写フィルム46の張力は張力受け部材52、52Aが受けているため、ピンチローラ32a、32bの圧接力が弱くなることがなく、正確なフィルム搬送を行うことができ、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との圧接力および、剥離部材28と剥離コロ25との圧接力も弱くなることがないため、正確な画像形成(印刷)および剥離を行うことができる。
転写フィルム46の搬送量、すなわち転写フィルム46の搬送方向の距離は、フィルム搬送ローラ49に設けられた図示しないエンコーダ(以下、フィルム搬送ローラ49のエンコーダという。)で検出され、それに応じてフィルム搬送ローラ49の回転が停止し、同時にモータMr1の動作による巻取ロール44による巻き取りも停止する。これにより、転写フィルム46の画像形成領域Rへの最初のインクパネルのインクによる画像形成が終了する。
次に、カム53およびカム53Aが連動してさらに回転し図5に示す状態となると、印刷部Bは図8に示す搬送ポジションに移行して、プラテンローラ45はサーマルヘッド40から退避する方向に復帰する。この状態では依然として、ピンチローラ32a、32bはフィルム搬送ローラ49に転写フィルム46を巻き付けて、張力受け部材52は転写フィルム46と接しており、フィルム搬送ローラ49の逆方向の回転により転写フィルム46は初期位置にまで逆搬送される。このときも転写フィルム46の移動量はフィルム搬送ローラ49の回転によって制御されるが、一色のインクパネル(例えば、Y)により画像が形成された画像形成領域Rの搬送方向の長さ分が逆搬送される。なお、インクリボン41もモータMr3により所定量巻き戻され、次に画像を形成するためのインクのインクパネルを初期位置(頭出し位置)に待機させる。
そして、カム53、53Aは再び図4に示す状態となって図7に示す印刷ポジションとなり、プラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接させ、フィルム搬送ローラ49が再び正方向への回転を行って転写フィルム46を画像形成領域Rの長さ分移動させて、サーマルヘッド40により次のインクパネルのインクによる画像形成が行われる。
このように、印刷ポジションと搬送ポジションでの動作は全てまたは所定のインクパネルのインクによる画像形成が終了するまで繰り返される。そして、サーマルヘッド40による画像形成が終了すると、転写フィルム46の画像形成領域Rをヒートローラ33まで搬送するが、このときカム53および53Aは図3に示す状態に移動して、転写フィルム46への圧接を解除する。その後、フィルム搬送モータMr5(およびモータMr2、Mr4)の駆動で転写フィルム46を搬送しながらカードCaへの転写が行われる。
(6−5)ユニット化
このような印刷部Bは、3つのユニット90、91、92に分割されている。
図9に示すように、第1のユニット90は、ユニット枠体75に駆動モータ54(図10参照)の駆動により回転する駆動軸70を装架しており、駆動軸70にフィルム搬送ローラ49を装着している。フィルム搬送ローラ49の下方には、ブラケット50Aと一対のプラテン支持部材72とが配置されており、これら部材はユニット枠体75の両側板に装架される軸71に回動自在に支持されている。
図9では、プラテン支持部材72に形成した穿孔部72a、72bからブラケット50Aの一部である一対のカム受支持部85が現れている。カム受支持部85は、その後方に配置される一対のカム受84を保持する。そして、カム受84のさらに後方には、ユニット枠体75を挿通しているカム軸83に装着されるカム53Aが配置されている。カム軸83はユニット枠体75の両側板に装架される。
上述したサーマルヘッド40は、転写フィルム46とインクリボン41の搬送パスを挟みプラテンローラ45と対向する位置に配置されている。図11に示すように、サーマルヘッド40、加熱に関する部材および冷却ファン39は第3のユニット92に一体化しており、第1のユニット90に対向して配置されている。
第1のユニット90は、移動可能なブラケット50Aにより、画像形成動作で位置が変動するプラテンローラ45と剥離コロ25と張力受け部材52Aとを一括して保持することで、これら部材間の位置調整が不要となる。しかも、カム53の回動によりブラケット50Aを移動させることでこれら部材を所定の位置にまで移動させることができる。また、ブラケット50Aを設けたことで、固定のフィルム搬送ローラ49と同一のユニットに収納でき、転写フィルムを精度良く搬送しなければならないフィルム搬送ローラ49による搬送駆動部分と、プラテンローラ45による転写位置規制部分とが同じユニットに含まれるために両者間の位置調整が不要となる。
図10に示すように、第2のユニット91は、ユニット枠体55にカム53が装着されるカム軸82を挿通させて、カム軸82を駆動モータ54の出力軸に連結している。そして、第2のユニット91は、カム53と当接するようブラケット50をユニット枠体55に移動自在に支持しており、ブラケット50には、ピンチローラ支持部材57を回動自在に支持している支持シャフト58と張力受け部材52とが固設されている。
ピンチローラ支持部材57には、支持シャフト58にバネ部材51a、51bが取り付けられており、その端部をピンチローラ32a、32bを支持するピンチローラ支持部材57の両端にそれぞれ当接させて、フィルム搬送ローラ49の方向へ付勢している。ピンチローラ支持部材57は、長穴76、77に支持シャフト58が挿入されており、支持シャフト58は中央部でブラケット50に固定支持されている。
ブラケット50とピンチローラ支持部材57との間には、ピンチローラ支持部材57をブラケット50に向けて付勢するバネ89が設けられている。このバネ89によりピンチローラ支持部材57は第1のユニット90のフィルム搬送ローラ49から後退する方向に付勢されるため、転写フィルムカセットを印刷装置1にセットするときに第1のユニット90と第2のユニット91の間に転写フィルム46を容易に通すことができる。
第2のユニット91は、画像形成動作に応じて位置が変動するピンチローラ32a、32bと張力受け部材52とをブラケット50Aで保持し、カム53の回動によりブラケット50Aを移動させることでピンチローラ32a、32bと張力受け部材52とを移動させるため、両者間の位置調整やピンチローラ32a、32bとフィルム搬送ローラ49との位置調整が簡略化される。このような第2のユニット91は、転写フィルム46を挟み第1のユニット90に対向して配置されている。
このようにユニット化することで第1のユニット90、第2のユニット91および第3のユニット92は、転写フィルム46やインクリボン41の各カセットと同様に、それぞれ印刷装置1の本体から引き出すことも可能となる。従って、転写フィルム46やインクリボン41の消耗によるカセットの交換時にこれらユニット90、91、92も必要に応じてユニットを取り出しておけばカセット挿入時の転写フィルム46やインクリボン41を簡単に装置内に装架することができる。
上述したように、プラテンローラ45とブラケット50Aとカム53Aとプラテン支持部材72とを一体化した第1のユニット90と、ピンチローラ32a、32bとブラケット50とカム53とバネ部材51とを一体化した第2のユニット91とを組み合わせるとともに、サーマルヘッド40が取り付けられた第3のユニット92をプラテンローラ45に対向して配置して組み付けることで、印刷装置1の製造時における組み立てやメンテナンス時の調整を容易且つ正確に行うことができる。また、一体化したことで装置からの取り外しも容易に行え、印刷装置1の取扱い性が向上する。
1−2−2.制御部および電源部
次に、印刷装置1の制御部および電源部について説明する。図15に示すように、印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部100と、商用交流電源から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部120とを有している。
(1)制御部
図15に示すように、制御部100は、印刷装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータユニット(MCU)102(以下、MCU102と略称する。)を備えている。MCU102は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、およびこれらを接続する内部バスで構成されている。
MCU102には外部バスが接続されている。外部バスには、通信ICを有し上位装置201との通信を行う通信部101、カードCaに画像を形成すべき印刷データやカードCaの磁気ストライプや収容ICに磁気的ないし電気的に記録すべき記録データ等を一時的に格納するメモリ107、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ108が接続されている。
また、外部バスには、Se1〜Se3の各種センサやフィルム搬送モータMr5、モータMr1〜Mr4のエンコーダからの信号を処理する信号処理部103、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含むアクチュエータ制御部104、サーマルヘッド40を構成する加熱素子への熱エネルギを制御するためのサーマルヘッド制御部105、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部106および上述した情報記録部Aが接続されている。
アクチュエータ制御部104にはモータMr1〜Mr4を駆動するモータドライバが含まれている。これらのモータドライバは、パルス列を発生させデューティ比(供給電流のオン、オフの比)を変更可能なタイマICを有して構成されている。デューティ比は、スイッチング周波数の周期をT、通電時間をtとしたときに、{(T−t)/T}×100(%)で表される。モータMr1〜Mr4は、タイマICで生成されたPWM(Pulse Width Modulation)パルスで駆動する。モータMr1〜Mr4には、ノイズを抑制するとともにエネルギ効率を高めるために、フライホイールダイオード(不図示)がそれぞれ並列に接続されている。なお、モータドライバは温度センサThで検出された環境温度に応じてPWMパルスを温度補正するが、本実施形態ではその説明を省略する。
本実施形態では、このようなデューティ比は予め設定されており(以下、設定デューティ比という。)、アクチュエータ制御部104はモータドライバのタイマICに設定デューティ比でモータMr1〜Mr4を駆動させる。MCU102がこの設定デューティ比を変更(補正)する場合には、その補正値をアクチュエータ制御部104に出力してタイマICにデューティ比を変更させる。
(2)電源部
電源部120は、制御部100、サーマルヘッド40、ヒートローラ33、オペパネ部5および情報記録部A等に作動/駆動電源を供給している。
2.印刷装置1の技術背景およびの特色
次に、本実施形態の印刷装置1の技術背景および特色について説明する。
2−1.印刷装置1の技術背景
上記1−2−1(6)(6−1)で説明したように、転写フィルム46はフィルム搬送機構10で搬送される。その搬送の際、転写フィルム46の頭出し(位置決め)や搬送精度を確保するため、転写フィルム46にはモータMr2、Mr4の駆動により(設定デューティ比で)一定のテンションが付与される。一方、近時、サーマルヘッド46を構成する加熱素子における単位時間当たりの発熱量が高まり、これに応じて転写フィルム46も改良されている。しかしながら、印刷データによっては(特に印刷データ中に高階調値を多く含む場合には)、テンションが付与された転写フィルム46の画像形成領域Rに、サーマルヘッド46でインクリボン41の一色目のインク(例えばYインク)画像を形成すると、画像形成領域R(厳密にはサーマルヘッド46の印刷領域)が伸びてしまうことがある。このような伸びに対処せず二色目のインク(例えばMインク)画像を転写フィルム46に形成すれば、色ずれが生じ印刷品位の低下を招く。さらに、二色目、三色目(例えばCインク)でも同様に画像形成領域Rが伸びると、その程度は大きくなる。
この画像形成領域Rの伸びに起因する色ずれの問題を解決するには、大別して2つの技術的対処が考えられる。1つ目の対処は、転写フィルム46の画像形成領域Rの伸びに応じてサーマルヘッド46の印刷領域(サーマルヘッド46の副走査方向における画像の長さ)を補正することである。2つ目の対処は、転写フィルム46に付与するテンションを調整することである。つまり、前者は画像形成領域Rが伸びることを前提として対処するものであるのに対し、後者は画像形成領域Rが伸びないように対処するものである。
前者は、画像形成時に画像形成領域Rの伸び検出と検出された伸びに応じた画像形成(印刷領域の補正)とを一体で行うことで高品位の画像を得ることができる。一方、後者は、調整用パターン(任意の印刷データ)で画像形成領域Rの伸びを一旦検出し、実際の印刷の際にその検出した伸びに応じて転写フィルム46に付与するテンションを調整することで、画像の品位確保と画像形成処理のスピードアップを図ることができる。本実施形態の印刷装置1は後者の技術的対処を採るものである。
上記いずれの対処を採る場合でも、サーマルヘッド46の加熱素子による加熱により画像形成領域Rにどの程度の伸びが生じたかを計測(検出)する。仮に、印刷装置1が種々の入力データに従ってシミュレーションを行い転写フィルム46の伸びを予測し得としても、計測を伴わないシミュレーション手法では、入力に要する労力が多い割には色ずれを確実に解消することは難しい。典型的には、消耗品の転写フィルム46やインクリボン41を従来使用してものから種類の異なる最新のものに変更する場合に、シミュレーション手法では色ずれ防止に対して期待される精度(印刷品位)に満たないことが多い。
つまり、後者の技術的対処では、転写フィルム46の画像形成領域Rが伸びないように転写フィルム46に付与するテンションを調整する前提として、画像形成領域Rにどの程度の伸びが生じたかを検出する必要がある。また、画像形成領域Rの伸びと転写フィルム46に付与するテンションとの関係付けも重要である。画像形成領域Rにどの程度の伸びが生じたかを検出できれば、例えば、両者の関係テーブルを参照することで、転写フィルム46に付与するテンションの調整量を得ることができる。また、両者の関係が不明な最新の転写フィルム等を用いる場合でも、印刷装置1はその対応が図れることが好ましい。反面、後者の技術的対処を採る場合には、画像形成の際に転写フィルム46に付与するテンションを弱めるように調整することになるが、その影響についても考慮する必要がある。
2−2.印刷装置1の特色
印刷装置1の特色は、(I)サーマルヘッド40の加熱により転写フィルム46の画像形成領域Rに生じた伸びを検出する調整モード(第1のモード)と、(II)その検出結果に応じ転写フィルム46に付与するテンションを調整して画像形成部B1で画像形成領域Rに画像を形成する印刷モード(第2のモード)とを有する点にある。
本実施形態では、上記(I)の調整モードとして、3つの態様を例示する(自動調整における標準調整および簡易調整、マニュアル調整、3−1−1−1、3−1−1−2、3−1−2参照)。調整モードでは、(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域の伸び検出、および(3)補正値(調整量)取得が行われる。(1)画像形成領域Rへの画像形成では、転写フィルム46の画像形成領域Rに対し通常の(印刷モードでの)画像形成とは異なる画像形成を行う。本実施形態では2つの画像形成方法を例示する(後述する標準調整および簡易調整、3−1−1−1(1)、3−1−1−2(1)参照)。また、(2)画像形成領域の伸び検出では、フィルム搬送機構10による転写フィルム46の搬送量を検出する。本実施形態では3つの検出方法を例示する(後述する第1〜第3検出方法、3−1−1−2(2)(2−1)〜(2−3)参照)。
ここで重要なことは、調整モードと印刷モードとは別々の関係にあるのではなく、サーマルヘッド40の加熱があっても転写フィルム46の画像形成領域Rに伸びを生じさせない点で協働することである。すなわち、調整モードでの伸び検出結果に応じて印刷モードにおいて転写フィルム46に付与するテンションを調整する点にある。上記(3)補正値取得では、画像形成領域Rの伸びの量と転写フィルム46に付与するテンションの調整量との関係が既知の場合には、印刷装置1が適正な調整量を算出してもよいし(後述する自動調整、3−1−1−1(3)、3−1−1−2(3)参照)、両者の関係が不明な場合には、オペレータが適正な調整量を見出す補助をするようにしてもよい(後述するマニュアル調整、3−1−2参照)。取得した調整量は、印刷装置1への電源再投入後にも利用可能なように、不揮発性メモリ108に格納される。
このように一旦調整量が把握されると、上記(II)の印刷モードにおいて、不揮発性メモリ108に格納された調整量を読み出し、転写フィルム46に付与するテンションを調整して画像形成部B1で転写フィルム46の画像形成領域Rに画像を形成する。従って、印刷モードでは画像形成領域Rの伸び検出は行わない。印刷モードでは、複数色のインクによる画像形成毎に転写フィルム46に付与するテンションを調整する。
上記1−2−1(6)(6−1)で説明したように、本実施形態の印刷装置1では、画像形成部B1の上流側にモータMr4、下流側にモータMr2(およびステッピングモータMr5)がフィルム搬送機構10(第1の搬送手段)の一部として配設されており、モータMr4、Mr2は転写フィルム46にテンションを付与する機能を有している。このため、モータMr4、Mr2のうち少なくとも一方の駆動量(とりわけ、転写フィルム46にバックテンションを付与するモータMr4の駆動量)を補正することで、転写フィルム46に付与するテンションを調整する。具体的には、例えば、モータMr4のPWM制御における設定デューティ比を変更することで駆動量を補正する。
ところが、転写フィルム46に付与するテンションを補正し過ぎると(特に転写フィルム46のバックテンションを弱め過ぎると)、画像形成領域Rに形成される画像の品質が低下する。すなわち、上記(II)の印刷モードでの画像形成時には、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に向けて進出し転写フィルム46とインクリボン41とが同速かつ同方向(印刷方向)に搬送されるが、転写フィルム46のバックテンションを弱め過ぎると、モータMr1による印刷方向の引っ張り力により転写フィルム46とインクリボン41とが過剰に進んでしまう場合がある。このため、本実施形態の印刷装置1ではインクリボン41にテンションを付与するモータMr3についても駆動量を補正する(3−1−1−1(3)参照)。
3.動作
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の印刷装置1による印刷動作について、MCU102のCPU(以下、単にCPUという。)を主体として、上記「2−2.印刷装置1の特色」を中心にさらに具体的に説明する。
なお、説明を簡単にするために、印刷装置1を構成する各部材はホーム(初期)位置に位置付けられ(例えば、図2に示す状態)、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開する初期設定処理が終了し、上位装置201から印刷データ等を受信済みのものとして、すなわち、CPUは、上位装置201から、上述した調整モードの際は一面側(片面印刷の場合)または一面および他面側(両面印刷の場合)の調整用パターンを、上述した印刷モードの際は一面側(片面印刷の場合)または一面および他面側(両面印刷の場合)の印刷データ(Bkの印刷データ、Y、M、Cの色成分印刷データ)並びに磁気ないし電気的記録データを受信しメモリ107に格納しているものとして説明する。また、印刷部B(画像形成部B1、転写部B2)の動作については既に説明したので、重複を避けるために簡単に説明する。
3−1.調整モード
図16はCPUが実行する印刷ルーチンのフローチャートである。図16に示すように、印刷ルーチンでは、まず、ステップ252において、操作表示制御部106を介してオペパネ部5に、調整モードを選択するか、印刷モードを選択するかの問い合わせを表示させ、次のステップ254においてオペレータからの入力(完了)があるまで待機する。なお、CPUは通信部101を介して上位装置201と同様の通信を行うが、以下では説明を簡単にするために、オペパネ部5に限定して説明する。
ステップ254において入力(受信)があると、次のステップ256において調整モードか否かを判断する。肯定判断(調整モード)のときは、次のステップ258において、オペパネ部5に、自動調整を選択するか、マニュアル調整を選択するかの問い合わせを表示させ、ステップ260においてオペレータからの入力があるまで待機する。
3−1−1.自動調整
ステップ260において入力があると、次のステップ262において、自動調整か否かを判断する。肯定判断(自動調整)のときは、次のステップ264において、オペパネ部5に、標準調整を選択するか、簡易調整を選択するかの問い合わせを表示させ、ステップ266においてオペレータからの入力があるまで待機する。
3−1−1−1.標準調整
ステップ266において入力があると、次のステップ268において、標準調整か否かを判断する。肯定判断(標準調整)のときは、次のステップ270において標準調整での補正値取得処理を実行する。この標準調整での補正値取得処理では、(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域Rの伸び検出、(3)補正値取得が実行される。以下、順に説明する。
(1)画像形成領域Rへの画像形成
ステップ270での標準調整での補正値取得処理では、まず、調整用パターンを用いて画像形成領域Rに画像を形成する。図18(A)に示すように、通常印刷時(印刷モードにおける画像形成時)には画像形成領域Rに各色のインク画像を重ねて形成するが(画像形成領域R5参照)、標準調整では各色のインク画像を異なる画像形成領域Rにそれぞれ形成する(画像形成領域R1〜R4参照)。なお、画像形成領域R5は転写フィルム46に形成されたマークMe、Mfで画定される。
図18(A)を参照してより具体的に説明すると、
(A)転写フィルム46に形成されたマークMa、Mbで画定される画像形成領域R1に調整用パターンのY成分印刷データを印刷してそのときの画像形成領域R1の伸びを検出し、
(B)転写フィルム46に形成されたマークMb、Mcで画定される画像形成領域R2に調整用パターンのM成分印刷データを印刷してそのときの画像形成領域R2の伸びを検出し、
(C)転写フィルム46に形成されたマークMc、Mdで画定される画像形成領域R3に調整用パターンのC成分印刷データを印刷してそのときの画像形成領域R3の伸びを検出し、
(D)転写フィルム46に形成されたマークMd、Meで画定される画像形成領域R4に調整用パターンのBk成分印刷データを印刷してそのときの画像形成領域R4の伸びを検出する。
(2)画像形成領域Rの伸び検出
この画像形成領域Rの伸びの検出は、上記のように、画像形成領域Rへの画像形成と一体ないし一連に行われる。以下では、画像形成領域Rの上流側のマーク(例えば、画像形成領域R1ではマークMa)を頭出しに用いる場合について典型的な3つの伸び検出方法について例示する。なお、本実施形態の印刷装置1はこれらの伸び検出方法のいずれを用いるようにしてもよい。
(2−1)第1検出方法
第1検出方法について一言すれば、一色(例えば、Y)のインクによる画像形成前のマークMb、Ma間の距離(長さ)と、その一色のインクによる画像形成後のマークMb、Ma間の距離とを比較することで、当該一色のインクによる画像形成で転写フィルム46の画像形成領域Rに生じた伸びを検出するものであるが、詳しくは次のとおりである。
図19(A)は、図6に示した一部であり、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである。このとき、1つ前のカードCaに対するカード発行サブルーチンの二次転写処理(図17のステップ316、306も参照)により1つ前の画像形成領域Rは剥離ピン79と供給ロール47との間に位置しており、画像形成領域Rはマークを介して連続していることから、次の(今回使用する未使用の、以下、単に「未使用の」という。)画像形成領域R1は供給ロール47に巻かれた状態に位置付けられている。つまり、この状態で露出している(スプールに巻かれていない)転写フィルム46の画像形成領域Rは全て使用済みの状態である。
図19(B)は、図19(A)に示した待機ポジションにおいて、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、未使用の画像形成領域R1を画定するマークMb、MaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。なお、このマークMb、MaをセンサSe1の上流側に位置付ける動作は1つ前のカードCaに対するカード発行サブルーチンの終了処理で行うようにしてもよい。
図19(C)は、図19(B)に示した状態から、印刷装置1を図8に示した搬送ポジションに移行させ(ピンチローラ32a、32bをフィルム搬送ローラ49に圧接させ)フィルム搬送モータMr5(およびモータMr2、Mr4、なお、以下ではモータMr2、Mr4の駆動については必要なとき以外その説明を省略する。)を駆動させて、マークMb、MaがセンサSe1を通過する位置まで転写フィルム46を搬送した状態を示したものである。CPUは、信号処理部103を介してセンサSe1の出力を参照することにより、Yインクによる未使用の画像形成領域R1への画像形成前のマークMb、Ma間の距離を計測することができる。
図19(D)は、Yインクによる画像形成に対する未使用の画像形成領域R1の頭出しのために、図19(C)に示した状態から(搬送ポジションにおいて)、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、未使用の画像形成領域R1のマークMaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。なお、図19(B)〜図19(D)に示す状態間で、インクリボン41側でもセンサSe2の出力を監視(インクリボン41のBkインクパネルの位置を検出)することによりYインクパネルについての頭出しが行われる。
図19(E)は、図19(D)に示した状態から、印刷装置1を図7に示した印刷ポジションに移行させた(転写フィルム46およびインクリボン41を介してプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接させた)状態を示したものである。未使用の画像形成領域R1に対するYインクパネルによる画像形成は、フィルム搬送モータMr5を駆動させることで、センサSe1がマークMaの先端を検出した後、マークMaが画像形成部B1側に所定距離(例えば、数mm)搬送されたところで開始される。この位置が図12(A)に示した画像形成開始位置PA(マークMaの先端から90.3mmの位置)である。また、モータMr1、Mr3も同時に駆動させることで、転写フィルム46およびインクリボン41は画像形成部B1を同速で同方向に搬送される。なお、モータMr1〜Mr4は設定デューティ比(50%)で駆動する(以下、特に言及しない限りモータMr1〜Mr4は同様に設定デューティ比で駆動するものとする。)。この状態でサーマルヘッド制御部105のヘッドコントロール用ICで主走査方向に列設された加熱素子を選択的に加熱制御することで、画像形成領域R1にはYインクによる画像が形成される(図12(A)も参照)。図19(F)は、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成が終了した状態を示したものである。
図19(G)は、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成後のマークMb、Ma間の距離を計測するために、図19(F)に示した状態(印刷ポジション)から、図8に示した搬送ポジションに移行させ、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、再度マークMb、MaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。
図19(H)は、図19(G)に示した状態から、図19(C)に示した状態と同様に、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、マークMb、MaがセンサSe1を通過するまで転写フィルム46を搬送した状態を示したものである。CPUは、センサSe1の出力を参照することにより、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成後のマークMb、Ma間の距離を計測することができる。
図19(I)は、マークMb、Mcで画定される画像形成領域R2へのMインクによる画像形成に備え、図19(H)に示した状態から、図6に示した待機ポジションに移行させ、モータMr4を駆動させて転写フィルム46を巻取スプール48Aで巻き取り、マークMbをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。
CPUは、画像形成後の(図19(H)で示した状態での)画像形成領域R1を画定するマークMb、Ma間の距離と、画像形成前の(図19(C)で示した状態での)画像形成領域R1を画定するマークMb、Ma間の距離との差を、Yインクによる画像形成で転写フィルム46の画像形成領域R1に生じた伸びとして検出(算出)する。なお、CPUは、他のM、C、Bkインクによる画像形成で生じる転写フィルム46の伸びも同様に検出する。その際、図19(C)〜図19(I)で説明した動作を繰り返してもよいし、画像形成領域Rを画定するマークは一定間隔で形成されていることから画像形成前の画像形成領域Rの長さは一定とみなし(既に計測したマークMb、Ma間の距離と同一とみなし)、図19(E)〜図19(I)で説明した動作を繰り返すようにしてもよい。
(2−2)第2検出方法
第2検出方法について一言すれば、モータMr2のエンコーダで転写フィルム46に形成されたマークの位置をアドレス管理し、一色のインクによる画像形成前にマークがセンサSe1を通過した際のアドレスと、そのインクによる画像形成後にそのマークが再度センサSe1を通過した際のアドレスとを比較することで、その差を転写フィルム46の画像形成領域Rに生じた伸びとして検出するものであるが、詳しくは次のとおりである。なお、第2検出方法以下の検出方法において、上述した第1検出方法での説明と重複する部分についてはごく簡単に説明する。
図20(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである(図19(A)の状態と同じ。)。図20(B)は、図20(A)の状態から、モータMr2、Mr4を駆動させてマークMaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである(図19(B)の状態と同じ。)。図20(C)は、図20(B)に示した状態から、印刷装置1を印刷ポジションに移行させた状態を示したものである。
図20(D)は、図20(C)に示した状態から、フィルム搬送モータMr5を駆動させて転写フィルム46の画像形成領域R1を画像形成部B1に向けて搬送を開始した状態を示したものである。CPUは、センサSe1がマークMaの先端を検出した時点でモータMr2のエンコーダの基準アドレスをセットし、信号制御部103を介してモータMr2のエンコーダから出力されるクロック数を監視することでアドレス管理を行う。
図21はこのアドレス管理を模式的に示したタイミングチャートである。図21(A)に示すように、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成前に、マークMaによりセンサSe1(の受光素子側)が遮光されると、その時点でのモータMr2のエンコーダのアドレスを基準アドレスとしてセットし(図21(A)に示す「0」)、モータMr2のエンコーダから出力されるクロック数をアドレスとして付与(計数)する。なお、画像形成領域R1が正逆両方向に搬送されることから、図21では、このアドレスを、印刷方向(センサSe1側から画像形成部B1側に搬送される方向)に画像形成領域R1が搬送される場合を「正」、印刷方向とは逆方向に搬送される場合を「負」として表している。
図20(D)に戻り、フィルム搬送モータMr5を駆動させることで、センサSe1がマークMaの先端を検出した後、マークMaが画像形成部B1側に所定距離(例えば、数mm)搬送されたところが図12(A)に示した画像形成開始位置PAである。この状態でサーマルヘッド制御部105の加熱素子を選択的に加熱制御することで、画像形成領域R1にはYインクによる画像が形成される。図20(E)は、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成が終了した状態を示したものである。
図20(F)は、図20(E)に示した状態(印刷ポジション)から、印刷装置1を搬送ポジションに移行させ、画像形成領域R1の伸びを検出するために、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、再度マークMaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。
図20(G)は、図20(F)に示した状態(搬送ポジション)から、図20(D)を参照して説明した同じ条件で転写フィルム46を搬送するために、印刷装置1を印刷ポジションに移行させた状態を示したものである。図20(H)は、図20(G)に示した状態(印刷ポジション)において、図20(D)に示した状態と同様に、フィルム搬送モータMr5を駆動させて、転写フィルム46の画像形成領域Rを画像形成部B1に向けて搬送を開始した状態を示したものである。なお、CPUは、図20(G)、図20(H)に示す状態において、サーマルヘッド制御部105を介してサーマルヘッド40の加熱素子を予備加熱(インクリボン41のインクが画像形成領域Rに転写される温度未満の所定温度まで加熱素子を加熱)状態に制御する。
CPUは、センサSe1がマークMaの先端を検出した時点でモータMr2のエンコーダのアドレスを参照する。図21(B)は、このアドレス参照を模式的に示したものである。図21(A)と比較すると、マークMaによりセンサSe1が遮光された際のモータMr2のエンコーダのアドレスが「5」となっており、モータMr2のエンコーダの1クロックとその間の転写フィルム46の搬送量は既知のため、CPUは、アドレスの差からYインクによる画像形成で生じた画像形成領域R1の伸びを検出(算出)することができる。
図20(I)は、図19(I)に示した状態と同様に、図20(H)に示した状態から、待機ポジションに移行させ、モータMr4を駆動させて転写フィルム46を巻取スプール48Aで巻き取り、マークMbをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである。CPUは、他のM、C、Bkインクによる画像形成で生じる転写フィルム46の伸びも同様に検出するが、その際には図20(C)〜図20(I)で説明した動作を繰り返す。
(2−3)第3検出方法
第3検出方法について一言すれば、一色のインクによる画像形成の際に、画像形成部B1の下流側に配されたフィルム搬送モータMr5の駆動量(駆動パルス数)と、画像形成部B1の上流側に配され転写フィルム46にバックテンションを加えるモータMr4の駆動量(モータMr4のエンコーダの出力クロック数)とを比較することで、そのインクによる画像形成で転写フィルム46の画像形成領域Rに生じた伸びを検出するものであるが、詳しくは次のとおりである。なお、第3検出方法は、センサSe1によるマークMaの検出を検出契機としない(伸び検出においてマークMaの検出が不要)という点で、上述した第2検出方法と相違している。
図22(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態をしたものである(図19(A)の状態と同じ。)。図22(B)は、図22(A)の状態から、モータMr2、Mr4を駆動させてマークMaをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである(図19(B)の状態と同じ。)。図22(C)は、図22(B)に示した状態から、印刷装置1を印刷ポジションに移行させた状態を示したものである(図20(C)の状態と同じ。)。
図22(D)は、図22(C)に示した状態から、フィルム搬送モータMr5を駆動させて転写フィルム46の画像形成領域R1を画像形成部B1に向けて搬送し、画像形成が開始した状態を示したものである。CPUは、画像形成領域R1への画像形成が開始した時点で、アクチュエータ制御部104を介してフィルム搬送モータMr5に出力される駆動パルス数と、信号処理部103を介してモータMr4のエンコーダから出力されるクロック数との監視を開始する。図22(E)は、Yインクによる画像形成領域Rへの画像形成が終了した状態を示したものである。
図23(A)は、Yインクによる画像形成領域R1への画像形成が開始した時点から画像形成が終了した時点までの間で転写フィルム46に伸びが生じていない場合に、フィルム搬送モータMr5に出力される駆動パルスと、モータMr4のエンコーダの出力クロックとの関係をタイミングチャートとして部分的に示したものである。本実施形態の印刷装置1では、転写フィルム46の画像形成領域R1に伸びが生じない場合には、フィルム搬送モータMr5に出力される駆動パルス1クロックに対し、モータMr4のエンコーダからは20クロック出力されるように設定されている。
これに対し、図23(B)に示すように、フィルム搬送モータMr5に出力される駆動パルス1クロックに対し、例えば、モータMr4のエンコーダから19クロック出力される場合は、(画像形成部B1より下流側の)フィルム搬送モータMr5の駆動量より(画像形成部B1より上流側の)モータMr4の駆動量が少ないため、画像形成部B1より下流側の転写フィルム46の搬送が進んでおり転写フィルム46に伸びが生じていると判断できる。従って、図23(B)に示すモータMr4のエンコーダの実測クロック数(19)と、図23(A)に示すモータMr4のエンコーダから出力されるはずの基準クロック数(20)とを比較することで、転写フィルム46の伸びを検出(算出)することができる。
以上では把握を容易にするために、フィルム搬送モータMr5に出力される駆動パルスが1クロックの場合について説明したが、CPUは、画像形成領域R1への画像形成開始時点(図22(D))から画像形成終了時点(図22(E))までのフィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対して、モータMr4のエンコーダから出力された実測クロック数と、フィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対応してモータMr4のエンコーダから出力されるはずの基準クロック数とを比較することで、転写フィルム46の伸びを検出する。
図22(F)は、図22(E)に示した状態から、待機ポジションに移行させ、モータMr4を駆動させて転写フィルム46を巻取スプール48Aで巻き取り、マークMbをセンサSe1の上流側に位置付けた状態を示したものである(図19(I)、図20(I)に示した状態と同じ。)。CPUは、他のM、C、Bkインクによる画像形成で生じる転写フィルム46の伸びも同様に検出するが、その際には図22(C)〜図22(F)で説明した動作を繰り返す。
(2−4)画像形成領域Rより下流側のマークを頭出しに用いる場合
マークMbを頭出しに用いる場合に、マークMaを頭出しに用いて説明した第1〜第3検出方法と異なる点は、原則的に、センサSe1がマークMaに代えてマークMbを検出する点のみである。ただし、第2検出方法で説明したアドレス管理では、マークMaを頭出しに用いて説明した第2検出方法と同様の精度を確保するために、画像形成部B1より下流側のモータMr2のエンコーダから出力されるクロック数を監視することに代えて、画像形成部B1より上流側のモータMr4のエンコーダから出力されるクロック数を監視することでアドレス管理を行う。
(3)補正値取得
下表1は、画像形成領域Rの伸び量、補正値およびモータのデューティ比の関係を示したものである。このうち、MCU102のROMには、画像形成領域Rの伸び量、転写フィルム補正値およびインクリボン補正値の関係を表す関係テーブルが格納されており、RAMに展開されている。
Figure 2017185701
表1に示すように、画像形成領域Rの伸び量が0[mm]と検出された場合には、転写フィルム補正値は0となる。このとき、モータMr4、Mr3は、後述する印刷モードにおいてデューティ比が補正されることなく設定デューティ比(50%)で駆動する。図24(A)はこのときのモータMr4、Mr3に出力される駆動パルスのタイミングチャートを示したものである。
付言すれば、DCモータのモータMr1〜Mr4はアクチュエータ制御部104により電流値に対してPWM制御されている。転写フィルム46の搬送速度はステッピングモータのフィルム搬送モータMr5により管理されており、モータMr4の回転速度(駆動量、モータMr4は転写フィルム46の繰り出し方向に回転)によって転写フィルム46のバックテンションが定まる。モータMr4の駆動量を多くすると転写フィルム46を送り出す駆動力が強まるため、バックテンションが弱くなる。逆に、モータMr4の駆動量を少なくすると転写フィルム46を送り出す駆動力が弱まるため、バックテンションは強くなる。これと同様に、モータMr3はインクリボン41のバックテンションを管理している。
画像形成領域Rの伸び量が0.5[mm]と検出された場合には、表1に示すように、転写フィルム補正値は「−2」となる。転写フィルム補正値が「−2」の場合、後述する印刷モードにおいて転写フィルム46のバックテンションを例えば2%分(2ポイント)弱める。このとき、モータMr4のデューティ比を52%に補正することで、適正なバックテンションを得ることができる。図24(B)はこのときのモータMr4、Mr3に出力される駆動パルスのタイミングチャートを示したものである。
画像形成領域Rの伸び量が1.0[mm]と検出された場合には、表1に示すように、転写フィルム補正値は「−4」となる。転写フィルム補正値が「−4」の場合、後述する印刷モードにおいて転写フィルム46のバックテンションを例えば4%分弱める。このとき、モータMr4のデューティ比を54%に補正することで、適正なバックテンションを得ることができる。
ただし、上述したように、転写フィルム46のバックテンションを弱め過ぎると、モータMr1による印刷方向の引っ張り力により転写フィルム46とインクリボン41とが過剰に進んでしまう場合がある(以下、この現象を滑りという。)。この対策として、転写フィルム46のバックテンションを一定量以上に弱めた場合には、モータMr3のデューティ比を補正してインクリボン41のバックテンションを強める。つまり、転写フィルム46のバックテンションを弱めることで生じる滑りをインクリボン41のテンションを調整する(強める)ことで防止する。表1に示すように、転写フィルム補正値が「−4」の場合には、インクリボン補正値は「+2」となるため、後述する印刷モードにおいてモータMr3のデューティ比を48%に補正する。図24(C)はこのときのモータMr4、Mr3に出力される駆動パルスのタイミングチャートを示したものである。
従って、この補正値取得では、テーブルを参照して、各色毎の画像形成領域Rの伸び量から各色毎の転写フィルム補正値およびインクリボン補正値を算出(取得)する。なお、表1では画像形成領域Rの伸び量が離散的に示されているが、CPUは按分計算を行いより精度の高い転写フィルム補正値およびインクリボン補正値を算出する。
以上では、カードCaの一面側に対する調整パターンでの標準調整について説明したが、カードCaの他面側に対する調整が必要な場合は同様な処理が行われる。付言すれば、カードCaの他面側には一般に注意書き等の画像が形成されBkインク一色による場合も多い。このような場合には、上記3−1−1−1(1)(D)での調整パターンに対する画像形成および伸び検出、補正値取得を実行すればよい。
従って、標準調整では、オペレータは調整パターンに実際に印刷する印刷データを用いることができるため(この調整パターンは、上述した印刷モードで画像形成する際の一面の印刷データであってもよい。)、その調整パターンに対して後述する印刷モードにおいて転写フィルム46に対するテンションを最適値に調整することができる。
図16に戻り、ステップ270での標準調整での補正値取得処理が終了すると、次のステップ276において、自動調整における標準調整であること(例えば、デフォルト値「00」)、一面側(例えば、デフォルト値「0」)の各色毎の転写フィルム補正値、および必要に応じて、他面側(例えば、デフォルト値「1」)の各色毎の転写フィルム補正値を不揮発性メモリ108に格納して印刷ルーチンを終了する。
3−1−1−2.簡易調整
ステップ268において、否定判断(簡易調整)のときは、ステップ272において簡易調整での補正値取得処理を実行する。この簡易調整での補正値取得処理でも、標準調整の場合と同様に、(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域Rの伸び検出、(3)補正値取得が実行される。
(1)画像形成領域Rへの画像形成
図18(B)に示すように、簡易調整では、サーマルヘッド40の各加熱素子を最高階調値(例えば、256階調(0〜255)の場合には255)で加熱し、インクリボン41のY、M、C、Bkインクのうちいずれか一色(以下、Yインクを用いるものとして説明する。)によるベタ画像(濃淡トーンのない画像)を画像形成領域R1(サーマルヘッド40の印刷領域全域)に形成してそのときの画像形成領域R1の伸びを検出する。なお、このベタ画像の印刷データは、上位装置201から受信するようにしても、予めMCU102のROMに生成用データを格納しておきCPUが生成するようにしてもよい。
上述した標準調整と対比すると(図18(A)も参照)、(a)標準調整が上位機器201から受信した調整パターンを用いるのに対し、簡易調整では調整パターンをCPUが生成できること、(b)標準調整が画像形成領域R1〜R4に各色成分の画像をそれぞれ印刷するのに対し、簡易調整では画像形成領域R1にYインクの画像のみを形成すること、(c)標準調整が色成分毎の印刷データに従いサーマルヘッド40の各加熱素子を加熱するのに対し、簡易調整では最高階調値で加熱すること、が相違している。
(2)画像形成領域Rの伸び検出
簡易調整での画像形成領域Rの伸び検出は、標準調整の場合と同様に、第1〜第3検出方法を用いることができる。簡易調整の場合は、Yインクの画像のみ形成すればよいため、第1検出方法での図19(I)、第2検出方法での図20(I)、第3検出方法での図22(F)において、マークMbをセンサSe1の上流側に位置付ける際に、インクリボン41側に未使用のM、C、Bkインクリボンが残っているため、その部分を巻き取って、印刷モードでの画像形成領域R2への画像形成に備える(図18(B)も参照)。
(3)補正値取得
簡易調整での補正値取得は、原則的に標準調整の場合と同じである。ただし、標準調整では各色毎に補正値を算出するのに対し、簡易調整ではYインクによる画像形成での補正値のみ算出する点で相違する。この理由は、簡易調整では画像形成領域Rが最も伸びる条件下(最高階調値)で画像を形成しているため、この条件下での補正値を算出しおき、後述する印刷モードにおいて、その補正値を用いれば、画像形成領域R2にどのような画像を形成しても画像形成領域R2は伸びないからである。このため、M、C、Bkインクの画像形成での補正値はYインクのそれと同じとなる。また、簡易調整では、標準調整とは異なり、カードCaの他面側に対する調整も不要となる(上述した一面側の補正量と同じとすればよい。)。なお、簡易調整で取得した補正値は標準調整と比べて大きくなる。
従って、簡易調整では、上記(1)〜(3)での処理が大幅に簡素化されるので、標準調整と比べ一面についての処理時間を約1/4に短縮することができる。
図16に戻り、ステップ272での簡易調整での補正値取得処理が終了すると、次のステップ276において、自動調整における簡易調整であること(例えば、デフォルト値「01」)、一面側(例えば、デフォルト値「0」)のYインクの転写フィルム補正値を不揮発性メモリ108に格納して印刷ルーチンを終了する。
3−1−2.マニュアル調整
ステップ262において、否定判断(マニュアル調整)のときは、ステップ274においてマニュアル調整での補正値取得処理を実行する。マニュアル調整は、表1に示した伸び量と転写フィルム補正量との関係が不明な場合の他に、例えば、印刷装置1に経年変化があっても高品位の画像形成を確保するために実行される。
このマニュアル調整での補正値取得処理でも、(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域Rの伸び検出、(3)補正値取得が実行される。(1)画像形成領域Rへの画像形成および(2)画像形成領域Rの伸び検出については、自動調整における標準調整や簡易調整と同じである。ただし、(3)補正値取得については、表1に示した伸び量と補正値との関係が不明なことから、CPUは自動調整のように補正値を自らは算出できず、本質的にはオペレータが最適な補正値を見出す補助をするものである。以下ではこの(3)補正値取得について説明する。
(3)補正値取得(補正値決定補助)
(A)CPUは、上述した(1)画像形成領域Rへの画像形成処理、(2)画像形成領域Rの伸び検出処理の後、オペパネ部5に検出した画像形成領域Rの伸び量を表示させる。このとき、併せて表1に示した伸び量および転写フィルム補正値(の一部)を参考値として表示させるようにしてもよい。次いで、CPUは、オペレータによるオペパネ部5からの転写フィルム補正値の入力を待つ。この間、オペレータは画像形成領域Rの伸び量を確認して(さらに参考値を参照して)オペパネ部5を介して適正と思われる転写フィルム補正値を入力する。
(B)CPUは、転写フィルム補正値の入力があると、入力された転写フィルム補正値に応じて、上記表1に示した関係に従って(転写フィルム補正値からインクリボン補正値を求め)モータMr4、Mr3のデューティ比を補正し、もう一度、上述した(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域Rの伸び検出を実行した後、オペパネ部5に検出した画像形成領域Rの伸び量を表示させる。次いで、CPUは、オペレータによるオペパネ部5からの転写フィルム補正値の入力、または、補正値決定(補正値(調整量)についてのオペレータによる決定を表す決定情報)の入力を待つ。オペレータは、オペパネ部5による伸び量の表示が例えば0[mm]となったら補正値決定を入力し(例えば、オペパネ部5に表示された所定ボタンにタッチする)、さらに伸び量に対する調整が必要な場合は、再びタッチパネル5から転写フィルム補正値を入力する。従って、この(B)での処理はオペレータにとって試行錯誤となる(CPUは、転写フィルム補正値の入力があると、(B)での処理を繰り返す。)。
CPUは、オペレータによる補正値決定があると、ステップ274でのマニュアル調整での補正値取得を終了する。その際、オペレータにより決定された補正値、すなわち、補正値決定が入力される前の直近に入力された転写フィルム補正値をマニュアル調整での補正値として取得する。なお、補正値決定と同時にその決定した転写フィルム補正値を取得するようにしてもよい。
次にステップ276において、マニュアル調整で上述した標準調整による画像形成を行ったこと(例えば、デフォルト値「10」)、一面側(例えば、デフォルト値「0」)の各色毎の転写フィルム補正値およびインクリボン補正値および必要に応じて、他面側(例えば、デフォルト値「1」)の各色毎の転写フィルム補正値およびインクリボン補正値を不揮発性メモリ108に格納し、または、マニュアル調整で上述した簡易調整による画像形成を行ったこと(例えば、デフォルト値「11」)、一面側(例えば、デフォルト値「0」)の(Yインクの)転写フィルム補正値およびインクリボン補正値を不揮発性メモリ108に格納して印刷ルーチンを終了する。
3−2.印刷モード
一方、ステップ256において、否定判断(印刷モード)のときは、ステップ278において不揮発性メモリ108に格納したデータを読み出して必要な他の補正値を求め(例えば、標準調整、簡易調整の場合は表1を参照して各色毎のインクリボン補正値を求め)、次のステップ280においてカード発行処理を実行する。図17は、CPUが実行するカード発行サブルーチンを示したものである。
図17に示すように、カード発行サブルーチンでは、ステップ302において、画像形成部B1で、転写フィルム46に一面(例えば表面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理(画像形成処理)を行う。すなわち、メモリ107に格納されたY、M、Cの色成分印刷データおよびBkの印刷データに基づいて画像形成部B1のサーマルヘッド40を制御することで、転写フィルム46の画像形成領域Rにインクリボン41のY、M、CおよびBkインクによる画像を重ねて形成する。CPUは、サーマルヘッド制御部105を介して印刷データを1ラインごとにサーマルヘッド40側に出力することで、主走査方向に列設された発熱素子を選択的に加熱させてサーマルヘッド40を駆動する。なお、CPUは、この一次転写処理に先立って、サーマルヘッド制御部105を介してサーマルヘッド40を構成する加熱素子を予備加熱するように制御する。
このステップ302で重要なことは、ステップ278で読み出したデータに従って転写フィルム46に付与するテンションを調整することである。すなわち、CPUは、標準調整および簡易調整では表1に示した関係テーブルを参照して転写フィルム補正値に対応するインクリボン補正値を取得し、マニュアル調整では読み出した転写フィルム補正値およびインクリボン補正値に従って、モータMr4、Mr3のデューティ比を補正する。従って、ステップ302では、各色毎に転写フィルム46に付与するテンションを調整して画像形成領域Rに各色インクの画像が重ねて形成される。
ステップ302での一次転写処理と並行して、ステップ304において、CPUは、媒体収容部CからカードCaを繰り出し、磁気ないし電気的記録データに基づいて、情報記録部Aを構成する磁気記録部24、非接触式IC記録部23、接触式IC記録部27のうちいずれかまたは複数でカードCaの対する記録処理を行った後、カードCaを転写部B2に搬送する。
次のステップ306では、転写部B2において、転写フィルム46の転写面に形成された画像をカードCaの一面に転写する二次転写処理を行う。なお、CPUは、この二次転写処理に先だって、ヒートローラ33を構成するヒータの温度が所定温度に到達しているように制御するとともに、カードCaと転写フィルム46の転写面に形成された画像とが同期して転写部B2に到着するように制御する。
二次転写処理後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37との間に配置された剥離ピン79(図13参照)でカードCaから分離(剥離)され供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構12に向けて搬送される。CPUは、図示しない搬送モータをなおも駆動させカードCaの後端が剥離ピン79を通過した後に図示しない搬送モータの駆動を停止させる。これにより、カードCaは両端部が搬送ローラ対37、38に挟持された状態とする。
次のステップ308では、偏心カム36を回動させデカールユニット33をデカールユニット34に向けて押し下げカードCaをデカールユニット33、34で挟むことでカードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行する。
次にステップ310において、両面印刷か否かを判断し、否定判断のときはステップ320に進み、肯定判断のときは、ステップ312において、画像形成部B1で、転写フィルム46の次の画像形成領域Rに、ステップ302と同様に、他面(例えば裏面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理を行ってステップ316に進む。なお、ステップ312でも、ステップ302と同様に、各色毎に転写フィルム46に付与するテンションを調整して画像形成領域Rに各色インクの画像が重ねて形成される。
CPUは、ステップ312での一次転写処理と並行して、ステップ314において、搬送ローラ対37、38に挟持されデカール機構12に位置付けられているカードCaを媒体搬送経路P2、P1を経由して回動ユニットFに搬送し、両端部をローラ対20、21で挟持されたカードCaを180°回動(表裏面を反転)させる。次のステップ316では、ステップ306と同様に、転写部B2において、転写フィルム46の次の画像形成領域Rに形成された画像をカードCaの他面に転写する二次転写処理を行う。
次いで、ステップ318では、ステップ308と同様に、偏心カム36を回動させデカールユニット33をデカールユニット34に向けて押し下げカードCaをデカールユニット33、34で挟むことでカードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行する。そして、次のステップ320では、収容スタッカ60に向けてカードCaを排出してカード発行サブルーチンを終了し、図16の印刷ルーチンに戻り印刷ルーチンを終了する。
4.効果等
次に、本実施形態の印刷装置1の効果等について説明する。
4−1.効果
本実施形態の印刷装置1では、調整モードにおいてサーマルヘッド40の加熱により転写フィルム46の画像形成領域Rに生じた伸びを検出し(ステップ270〜274)、この検出結果に応じて印刷モードにおいて転写フィルム46に付与するテンションを調整して画像形成領域Rに画像を形成する(ステップ280)。このため、画像形成領域Rの伸びに起因する色ずれを防止できるので、画像形成領域Rに高品位の画像を形成できる。
また、本実施形態の印刷装置1では、調整モードにおいてフィルム搬送機構10による転写フィルム46の搬送量を検出することで画像形成領域Rに生じた伸びを計測(検出)する。このため、シミュレーション手法を用いて画像形成領域Rに生じる伸びを推定する場合に比べ画像形成領域Rの伸びを精度よく検出することができ、ひいては、印刷モードにおいて転写フィルム46に付与するテンションを適正に調整することができる。
さらに、本実施形態の印刷装置1では、調整モードにおいて取得した補正値を不揮発性メモリ108に格納し、印刷モードにおいて繰り返して用いる。このため、印刷モードでは、画像形成領域Rへの画像形成の都度改めて補正値を求める必要がなく、スピーディに画像形成領域Rに画像を形成しつつ画像品質を高品位に保つことができる。その際、標準調整による場合は印刷モードにおいて転写フィルム46に対するテンションを最適な補正値に調整することができ、簡易調整による場合は印刷モードにおいて転写フィルム46に対するテンションを適正に調整しつつ調整モードにおいて一面についての処理時間が標準調整の約1/4のため調整自体がしやすく(容易化でき)、マニュアル調整では調整モードにおいてオペレータの調整負担を軽減することができる。
また、本実施形態の印刷装置1では、印刷モードにおいて、転写フィルム46のバックテンションを弱めることで生じる滑りをインクリボン41のテンションを調整することで防止する(3−1−1−1(3)参照)。このため、転写フィルム46のテンションを調整することで生じる悪影響を防止でき、高品位の画像を得ることができる。
4−2.変形例
なお、本実施形態では、間接印刷方式の印刷装置1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、インクリボン41を用いてカードCaに直接印刷する直接印刷方式の印刷装置にも適用可能である。その際、画像形成部、搬送ローラ、センサ等の構成や位置等を適宜変更すればよい。また、本実施形態では、媒体に転写フィルム46を例示したが、例えば直接印刷方式の場合に、典型的にはチューブやフィルム等の熱伸縮性を有する媒体にも適用可能である。
また、本実施形態では、フィルム搬送モータMr5にステッピングモータを用いた例を示したが、フィルム搬送モータMr5にDCモータを用いるようにしてもよい。この場合には、画像形成部B1よりも下流側に配置されたフィルム搬送モータMr5のデューティ比を補正しても画像形成領域Rの伸びを防止することができる。下表2は、フィルム搬送モータMr5にDCモータを用いる場合の画像形成領域Rの伸び量、補正値、並びに、フィルム搬送モータMr5モータおよびモータMr1のデューティ比の関係を示したものである。
Figure 2017185701
フィルム搬送モータMr5のデューティ比を下げることで転写フィルム46を引っ張る力が弱まるため、画像形成領域Rの伸び量が増えるとフィルム搬送モータMr5のデューティ比を下げていく。その場合、インクリボン41の巻取スプール44Aを駆動するモータMr1のデューティ比を高めることで、転写フィルム46に付与するテンションとのバランスをとる。
また、フィルム搬送モータMr5にDCモータを用いる際には、本実施形態で示したように、画像形成部B1より上流側に配置されたバックテンション側のモータMr4、Mr3の駆動量の補正と組み合わせるようにしてもよい。さらに、本発明は、本実施形態で示したフィルム搬送ローラ49がなく(従ってフィルム搬送モータMr5もなく)、供給スプール43Aを駆動するモータMr2で転写フィルム46の搬送を管理する態様にも適用可能である。その際には、フィルム搬送モータMr5についての説明がモータMr2に置き換わるだけである。
さらに、本実施形態では、調整モードにおいて調整用パターンを用い取得した補正値等をデータとして不揮発性メモリ108に格納する例を示したが、本発明はこれに制約されるものではない。例えば、調整モードにおいて、調整用パターンに代えて上位機器201から受信した印刷データを用いて上記(1)画像形成領域Rへの画像形成、その際の(2)画像形成領域Rの伸び検出を行い、続けて印刷モードにおいて、上記(3)補正値取得を行って各色毎の画像形成の際に転写フィルム46に付与するテンションを調整するようにしてもよい(補正値を不揮発性メモリ108に格納しない。)。この場合には、受信した印刷データに対する補正値が直接得られるので、転写フィルム46に高品位の画像を形成することができる。
さらに、本実施形態では、第2検出方法(3−1−1−1(2)(2−2)参照)において、モータMr2のエンコーダでアドレス管理をする例を示したが、本発明はこれに限らず、フィルム搬送ローラ49のエンコーダでアドレス管理するようにしてもよい。すなわち、画像形成領域Rの上流側のマークMaを用いる場合には、画像形成部B1より下流側の搬送体(ローラ)または搬送源(モータ)に設けられたエンコーダでアドレス管理をすればよい。また、本実施形態では、第3検出方法(2−1−1−1(2)(2−3)参照)において、フィルム搬送モータMr5の駆動パルス数と、モータMr4のエンコーダの出力クロック数とを比較する例を示したが、フィルム搬送ローラ49のエンコーダの出力クロック数と、モータMr4のエンコーダの出力クロック数とを比較するようにしてもよい。
また、本実施形態では、モータMr1〜Mr4のエンコーダを例示したが、供給スプール47A、巻取スプール48A、供給スプール43A、巻取スプール44Aにエンコーダを設け、それらのエンコーダからの出力を参照するようにしてもよい。その際、エンコーダにスリットを複数形成し転写フィルム46やインクリボン41の搬送量の把握精度を高めようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、マニュアル調整において、検出した伸び量や転写フィルム補正量を数値として表示/取得する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、スマートフォンの音量調整等で広く知られているように、検出した伸び量をレベル表示し(併せて伸び量を表示してもよい。)、転写フィルム補正値をレベル表示されオペレータにより位置変更可能なボリュームにおける値として取得するようにしてもよい。このような態様ではさらにオペレータの調整負担を軽減することができる。従って、オペパネ部5は、画像形成領域Rの伸び量そのものではなく伸びに関する情報(伸び情報)をオペレータに報知するようにしてもよく、転写フィルム補正値そのものではなくフィルム補正値に関する補正情報(調整情報)を取得するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第3検出方法において、画像形成領域Rへの画像形成開始時点から画像形成終了時点までのフィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対して、モータMr4のエンコーダから出力された実測クロック数と、フィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対応してモータMr4のエンコーダから出力されるはずの基準クロック数とを比較することで、転写フィルム46の伸びを検出する方法を示した。すなわち、サーマルヘッド40が駆動(加熱)している間のフィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対応するモータMr4のエンコーダから出力されるクロック数を検出している。しかし、画像形成領域Rがサーマルヘッド40を通過する間(図22(D)の位置から図22(E)の位置に転写フィルム46が搬送される間)のフィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対して、モータMr4のエンコーダから出力された実測クロック数と、フィルム搬送モータMr5に出力した駆動パルス数に対応してモータMr4のエンコーダから出力されるはずの基準クロック数とを比較することで、転写フィルム46の伸びを検出してもよい。つまり、第3検出方法においても、センサSe1による転写フィルム46のマークMaまたはMbの検出を検出契機としてもよい。
さらに、本実施形態では、簡易調整において、サーマルヘッド40を最高階調値(例えば、256階調(0〜255)の場合には255)でサーマルヘッド40の印刷領域全域を加熱したベタ画像の例を示したが、印刷モードにおいて実際にそのような画像が転写フィルム46に形成されることは極めて稀なため(画像自体の識別ができない。)、また、249諧調以上であれば、転写フィルム46の伸び量変わらないため、最高階調値またはその近傍の階調値(例えば、最高階調値から3%の範囲にある249〜254)で加熱するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、二次転写処理の際に、センサSe3でマークMbを検出して頭出しを行う例を示したが(1−2−1(6)(6−2)参照)、センサSe3からヒートローラ33までの転写フィルム46の搬送距離がマークMaから図12(A)の画像形成開始位置までの距離より長い場合は、センサSe3でマークMaを検出して頭出しを行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、画像形成部B1においてプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接する例を示したが、サーマルヘッド40をプラテンローラ45に圧接するようにしてもよい。その際、プラテンは例示したローラである必要もないが、転写フィルム46やインクリボン41の搬送に影響を与えないものが好ましい。さらに、本実施形態では、転写部B2においてヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接する例を示したが、プラテンローラ31をヒートローラ33に圧接するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域RにカードCaの一面側の画像を形成し(図17のステップ302)、転写部B2においてカードCaの一面に画像を転写(ステップ306)した後に、画像形成部B1において転写フィルム46の次の画像形成領域Rへの他面側の画像形成(ステップ312)と並行して、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ(ステップ314)、転写部B2においてカードCaの他面に他面側の画像を転写する(ステップ316)例を示したが、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域RにカードCaの一面側の画像を形成した後、転写フィルム46の次の画像形成領域Rに他面側の画像を形成し、転写部B2において、カードCaの一面に画像を転写した後、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ、カードCaの他面に他面側の画像を転写するようにしてもよい。
そして、本実施形態では、上位機器201から印刷データや磁気ないし電気的記録データを受信する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、印刷装置1がローカルネットワークの一員を構成している場合には上位機器201以外のローカルネットワークに接続されたコンピュータから入力するようにしてもよい。また、磁気ないし電気的記録データについてはオペパネ部5から入力してもよい。さらに、印刷装置1がUSBやメモリカード等の外部記憶装置と接続可能な構成の場合には外部記憶装置に格納された情報を読み取ることで印刷データや磁気ないし電気的記録データを取得することができる。また、印刷データ(Bkの印刷データ、Y、M、Cの色成分印刷データ)に代えて画像データ(Bkの画像データ、R、G、Bの色成分画像データ)を上位機器201から受信するようにしてもよい。この場合には、印刷装置1側で受信した画像データから印刷データに変換すればよい。
以上述べたとおり、本発明は、媒体に高品位の画像形成が可能な画像形成装置を提供するものであるため、画像形成装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 印刷装置(画像形成装置)
5 オペパネ部(報知手段の一部、取得手段の一部)
10 フィルム搬送機構(第1の搬送手段の一部)
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
46 転写フィルム(媒体)
101 通信部(報知手段、取得手段の一部)
108 不揮発性メモリ
B1 画像形成部(画像形成手段)
Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf マーク
Mr1、Mr3 モータ(第2の搬送手段の一部)
Mr2、Mr4 モータ(第1の搬送手段の一部)
Mr5 フィルム搬送モータ(第1の搬送手段の一部)
R 画像形成領域
Se1 センサ(検出手段の一部)

Claims (12)

  1. 複数色のインクを有するインクリボンを用いて媒体に画像を形成する画像形成装置において、
    サーマルヘッドを加熱して前記媒体に前記複数色のインクによる画像を重ねて形成する画像形成手段と、
    前記媒体にテンションを付与しつつ前記媒体を搬送する第1の搬送手段と、
    前記サーマルヘッドによる加熱により前記媒体に生じた伸びを検出する検出手段と、
    を備え、
    前記検出手段で前記媒体に生じた伸びを検出する第1のモードと、該検出結果に応じ前記媒体に付与するテンションを調整して前記画像形成手段で前記媒体に画像を形成する第2のモードと有する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記検出手段は、前記第1の搬送手段による前記媒体の搬送量を検出することで前記媒体に生じた伸びを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1のモードにおいて、前記画像形成手段で前記媒体に画像を形成してそのときの前記媒体の伸びを前記検出手段で検出し、
    前記第1および第2のモードのいずれかにおいて、前記第2のモードのおける画像形成の際の前記媒体に付与するテンションに対して前記検出した伸びが生じない調整量を取得する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第1のモードにおいて、前記検出手段で検出された前記媒体の伸びの量から、予め定められた前記媒体の伸びの量と前記調整量との関係に基づいて前記調整量を算出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記検出手段で検出された前記媒体の伸びに関する伸び情報をオペレータに報知する報知手段と、
    前記第1のモードにおける画像形成の際の前記調整量に関する調整情報および前記調整量に関する前記オペレータによる決定を表す決定情報を取得する取得手段と、
    をさらに備え、
    前記第1のモードにおいて、(a)前記報知手段で前記伸び情報を報知して前記取得手段で前記調整情報を取得し、(b)該取得した調整情報に基づいて前記媒体に付与するテンションを調整して前記画像形成手段で前記媒体に画像を形成してそのときの前記媒体の伸びを検出し、(c)前記取得手段で前記決定情報を取得するまで上記(a)、(b)を繰り返し、(d)前記取得手段で前記決定情報を取得したときに直近または同時に取得した前記調整情報に対応する調整量を前記調整量として取得することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  6. 不揮発性メモリをさらに備え、
    前記第1のモードにおいて、前記調整値を取得したときに該調整値を前記不揮発性メモリに格納し、
    前記第2のモードにおいて、前記不揮発性メモリに格納された調整値を読み出して前記媒体に付与するテンションを調整することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記第1のモードにおいて、任意の印刷データに従って前記サーマルヘッドを加熱し前記複数色のインクによる画像を前記媒体の異なる画像形成領域にそれぞれ形成し、各色インクによる画像が形成された前記画像形成領域の伸びを前記検出手段でそれぞれ検出することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記第1のモードにおいて、前記サーマルヘッドを最高階調値またはその近傍の階調値で加熱し前記複数色のインクのうちいずれか一色によるベタ画像を前記媒体の画像形成領域に形成し、前記ベタ画像が形成された前記画像形成領域の伸びを前記検出手段で検出することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記第2のモードにおいて、前記複数色のインクによる画像形成毎に前記媒体に付与するテンションを調整することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記第1の搬送手段は前記画像形成手段の上流および下流側に駆動源を有しており、
    前記第2のモードにおいて、前記上流および下流側に駆動源のうち少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正することで前記媒体に付与するテンションを調整することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記上流および下流側の駆動源はPWM制御されるDCモータであり、前記DCモータをPWM制御におけるデューティ比を変更することで前記少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記画像形成手段の上流および下流側に駆動源を有し、前記インクリボンにテンションを付与しつつ前記インクリボンを搬送する第2の搬送手段をさらに備え、
    前記第2のモードにおいて、前記第1搬送手段の前記少なくとも一方の駆動源の駆動量の補正に応じて前記第2搬送手段の前記少なくとも一方の駆動源の駆動量を補正することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の画像形成装置。
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