JP6878932B2 - 電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

電池用セパレータの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6878932B2
JP6878932B2 JP2017021605A JP2017021605A JP6878932B2 JP 6878932 B2 JP6878932 B2 JP 6878932B2 JP 2017021605 A JP2017021605 A JP 2017021605A JP 2017021605 A JP2017021605 A JP 2017021605A JP 6878932 B2 JP6878932 B2 JP 6878932B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base material
separator
coating
case
polyethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017021605A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018129198A (ja
Inventor
林 邦彦
邦彦 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2017021605A priority Critical patent/JP6878932B2/ja
Publication of JP2018129198A publication Critical patent/JP2018129198A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6878932B2 publication Critical patent/JP6878932B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)

Description

本発明は,電池において正極板および負極板とともに積層され,正極板と負極板との直接の接触を防ぐ電池用セパレータを製造する方法に関する。さらに詳細には,表面に粒子堆積層を有しつつ電池内では低抵抗な電池用セパレータが得られる,電池用セパレータの製造方法に関するものである。
従来,電池用のセパレータの製造において,セパレータの表面上に樹脂の微粒子層を形成することが行われている。特許文献1もそのような技術を開示している一例である。同文献の技術では,基材における樹脂の微粒子層を形成する面に対して,樹脂微粒子のスラリー(塗工材)を塗布するのに先立ち,コロナ処理を行うこととしている。これにより,基材の表面を親水化している。親水化により塗工材の塗布性を向上させるためである。また,コロナ処理では,当該処理による基材の変質を表面のみにとどめることができるとしている(特許文献1の[0064])。
特開2015−199027号公報
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,微粒子層を形成したセパレータは,電池に組み込んだ状態での抵抗が高い傾向があることである。微粒子層が存在する分,電池内において正極板と負極板との間でのイオンの移動距離が長いためである。この抵抗の問題点については,微粒子層を薄くすれば緩和できると考えられる。そのためには,基材上に塗工材を薄く塗工しなければならない。しかし単に塗工材の量を減らすだけでは,塗工層にムラができてしまい均一な層厚が得られない。これを解消するためには基材の濡れ性(親水性)をさらに上げる必要がある。しかしそのためにコロナ処理のパワーを上げると,基材自体に孔が開いてしまうおそれがある。これでは電池において正負の極板間の直接接触を許容してしまうおそれがある。このように,低抵抗と短絡防止との両立が難しかったのである。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,基材に微粒子層を積層した構造であるとともに,電池に組み込んだ状態での抵抗の低さと短絡防止とを両立した電池用セパレータの製造方法を提供することにある。
本発明の一態様における電池用セパレータの製造方法では,ポリエチレン製の多孔質フィルムであるセパレータ基材の表面にコロナ処理を施すコロナ処理工程と,コロナ処理後のセパレータ基材の表面上に,ポリエチレン粒子層を形成するための粒子分散液を塗工する塗工工程と,塗工後のセパレータ基材の表面上の塗工層を乾燥させる乾燥工程とを行う。ここでコロナ処理工程におけるアンプ出力P[W]を,搬送速度V[m/min]と電極長L[m]とセパレータ基材の膜厚T[μm]とで除した値(P/(V・L・T))[W・min/(m2 ・μm)]が,9.4以上16.7以下の範囲内にあり,塗工工程で使用する粒子分散液に含まれるポリエチレン粒子のうち少なくとも90重量%以上のものが粒子径にして3μm以上である。
上記態様における電池用セパレータの製造方法では,コロナ処理工程を行うことにより,セパレータ基材に貫通孔が形成される。この貫通孔は,電池反応時のイオンの移動経路となる。そして塗工工程を行うことにより,貫通孔がポリエチレン粒子層で覆われ,微小短絡が防止される。また,ポリエチレン粒子自体は貫通孔に進入しないので,イオンの移動経路は損なわれない。また,コロナ処理が強めに施されているので,ポリエチレン粒子層のムラは生じない。
本構成によれば,基材に微粒子層を積層した構造であるとともに,電池に組み込んだ状態での抵抗の低さと短絡防止とを両立した電池用セパレータの製造方法が提供されている。
実施の形態に係るセパレータの製造方法を実施する設備の構成図である。 表1の各セパレータについてのガーレー値を示すグラフである。 表1の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。 表2の各セパレータについてのガーレー値を示すグラフである。 表2の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。 表3の各セパレータについてのガーレー値を示すグラフである。 表3の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。 表4の各セパレータについてのガーレー値を示すグラフである。 表4の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。 表2〜表4の各セパレータについての微小短絡の有無を示すグラフである。 表2〜表4の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。 ポリエチレン粒子層の有無による膜抵抗の違いを示すグラフである。 表5の各セパレータについてのガーレー値を示すグラフである。 表5の各セパレータについての膜抵抗を示すグラフである。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。まず,本形態の製造方法を実施する設備の構成を図1に示す。図1の製造設備は,基材供給部1と,コロナ処理部2と,塗工部3と,乾燥部4と,検査部5と,回収部6とを有している。これにより,基材供給部1からセパレータ基材7を供給し,上記各工程部を経て回収部6に回収するようになっている。なお,セパレータ基材7は,ポリエチレン製の多孔質フィルムである。本形態におけるセパレータ基材7の膜厚T,搬送速度V,回収部6での巻き取り張力Dは,以下の通りとする。
膜厚T:12〜20μm(詳細は後述)
搬送速度V:5〜40m/min(標準は20m/min)
巻き取り張力D:30N
コロナ処理部2では,セパレータ基材7の表面の濡れ性の向上が行われる。塗工部3では,コロナ処理部2を通過してきたセパレータ基材7の表面への塗工材の塗工が行われる。乾燥部4では,塗工部3で形成された塗工層の乾燥が行われる。検査部5では,乾燥後の塗工層における欠陥箇所の有無の検査およびあった場合の場所の記録が行われる。かかる図1の製造設備のうち,本発明としての特徴部分は,コロナ処理部2および塗工部3における処理の内容にある。以下,これらの箇所での処理内容について順次説明する。
(コロナ処理)
コロナ処理部2で行われる濡れ性向上処理は,セパレータ基材7の表面をコロナ放電に曝すコロナ処理である。本形態のコロナ処理部2では,放電電極の電極長L,すなわち搬送方向に対する処理幅を1.35mとしている。本形態では,コロナ処理部2でのコロナ処理について,処理力Fという概念を考える。処理力Fは,処理されるセパレータ基材7の面積当たりの投入エネルギー値で規定される。したがって処理力Fは次式で与えられる。
F = P/(V・L) [W・min/m2
P:コロナ処理部2のアンプ出力[W]
例えばアンプ出力Pが675Wで搬送速度Vが20m/minとした場合,処理力Fは,25.0[W・min/m2 ]となる。処理力Fの調節は,アンプ出力Pまたは搬送速度Vを調節することでなされる。
本形態ではさらに,コロナ処理の処理強度Sという概念を考える。処理強度Sは,前述の処理力Fをセパレータ基材7の膜厚T[μm]で除した値である。したがって処理強度Sは次式で与えられる。
S = P/(V・L・T) [W・min/(m2・μm)]
本形態ではこの処理強度Sが7.5以上16.7以下の範囲内となる条件を主として用いる。この条件は,セパレータ基材7の濡れ性向上目的で通常使用されているコロナ処理の条件よりもかなり強い条件である。このため,本形態の条件でのコロナ処理を行うことにより,セパレータ基材7はところどころ局所的に溶融して,多数の貫通孔が形成される。このため,電池内において正極板と負極板との間でのイオンの移動に対する抵抗が低い。
(塗工)
コロナ処理が施されたセパレータ基材7は次に,塗工部3での塗工を受ける。ここで塗工される塗工材は,ポリエチレン粒子を溶媒で混練したスラリーである。ここでの特徴は,ポリエチレン粒子として,直径3μm以上のものを用いることである。この粒子径は,通常のセパレータの塗工に用いられるものよりかなり大径である。このように大径のポリエチレン粒子を用いる理由は,セパレータ基材7に前述のコロナ処理で開けられた貫通孔の中にポリエチレン粒子が進入して,貫通孔が塞がれてしまうことを防止するためである。貫通孔が塞がれると,セパレータを電池に組み込んだ状態での電池抵抗が高い,ということになり,好ましくないためである。なお,スラリー中のポリエチレン粒子全体のうち90重量%以上のものが3μm以上の粒子径を有していればよい。また,粒子径の測定方法としては例えば,コールカウンター法を用いることができる。
塗工するスラリーのうちポリエチレン粒子以外の成分に関しては,通常用いられているものと同じでよい。混練溶媒としては水またはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)等が使用できる。また,CMC(カルボキシメチルセルロース,増粘剤)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン,結着剤)等の添加剤を含んでもよい。ここでは,固形成分比率を30重量%とし,固形分の配合比を次のようにした。
ポリエチレン粒子:96.6重量部
増粘剤 :0.4重量部
結着剤 :3.0重量部
塗工部3の形式については特段の限定はないが,例えばグラビア塗工機を使用することができる。上記のような塗工材を塗工部3で塗工することで,セパレータ基材7の前述の貫通孔が塗工層で覆われることになる。このため,コロナ処理でセパレータ基材7に貫通孔が形成されても,その貫通孔が電池において微小短絡の原因となることはない。また,本形態では塗工層の厚さは比較的薄めにすることができる。前述のコロナ処理が強めに施されており,セパレータ基材7の濡れ性が非常によい状態で塗工が行われるからである。
なお,乾燥部4の構成については別段限定はないが,例えば,45℃→50℃→60℃→60℃の4ゾーン構成が好適である。乾燥部4を出たセパレータでは,塗工層から混練溶媒が除去され,ポリエチレン粒子の堆積層となっている。すなわち,セパレータ基材7にポリエチレン粒子層を積層した構造のセパレータが得られている。
このように本形態の方法で製造されたセパレータでは,電池内での抵抗の低さと短絡防止とが両立されている。短絡防止は前述のように,セパレータ基材7の前述の貫通孔がポリエチレン粒子層で覆われていることによる。抵抗の低さは,次の4つの要因により電池反応におけるイオンの移動抵抗が低いことによる。
1.セパレータ基材7に形成した前述の貫通孔が多孔質フィルムにもともとある細孔より大径であること。
2.大径のポリエチレン粒子がセパレータ基材7の前述の貫通孔に進入できないこと。
3.ポリエチレン粒子層は薄いもので十分であること。
4.ポリエチレン粒子層が大径のポリエチレン粒子でできているため,粒子間の隙間が広いこと。
(ケース1)
以下,実験例(実施例および比較例)を説明する。ケース1は,コロナ処理の処理強度Sの影響を見るために,塗工を行わずに種々の特性を評価したものである。ケース1の各実験例の内容を,表1に示す。表1における「T」,「F」,「S」はいずれも,単位を含めて前出のものと同じ意味である。「E」はポリエチレン粒子層の層厚[μm]であり,「R」はポリエチレン粒子のコールカウンター法による粒径[μm]である。「短絡」の欄は,コロナ処理後のセパレータ基材7および正負の電極板を用いて作製した3Ah(アンペアアワー)級の電極積層体における,スパイクリーク試験による微小短絡の有無を示す。なお「無処理」のサンプルは,コロナ処理すらしなかったものである。
Figure 0006878932
表1の「短絡」欄に見られるように,処理強度Sが7.5未満の3つのサンプルでは,微小短絡はなかったが,処理強度Sが7.5以上の4つのサンプルではいずれも,微小短絡が認められた。図2のグラフに,表1の各セパレータについて測定したガーレー値(気密度)[sec/100cc]を示す。図2から,微小短絡のなかった3つのサンプルと比較して,微小短絡があった4つのサンプルはガーレー値が低い傾向が認められる。これより,処理強度Sが7.5以上の4つのサンプルでは,コロナ処理によりセパレータ基材7に貫通孔が形成されたものと解される。ただし,コロナ処理によりセパレータ基材7に貫通孔が形成されたこと自体は,必ずしも悪いことではない。表1および図2の結果から,コロナ処理によりセパレータ基材7に貫通孔を形成するためには,7.5以上の処理強度Sが必要であることが分かる。
上記で微小短絡がなかった3つのサンプルについて,膜抵抗[mΩ]を測定した結果を図3に示す。図3に示すように,68〜73mΩと,いずれもやや高めの抵抗値となった。これは,セパレータ基材7に貫通孔が形成されていないため,セパレータ基材7の厚さ方向についてのイオンの移動抵抗が高いためと解される。なお,図3の膜抵抗値は,セパレータの枚数を1枚から3枚まで変えてそれぞれのコインセルを作製し,そのインピーダンスを測定した結果から算出したものである。微小短絡があった4つのサンプルについては,正しく測定できないおそれがあるため測定しなかった。
(ケース2)
次いで,塗工により厚さ8μmのポリエチレン粒子層を形成した場合の実験例であるケース2について説明する。ケース2の各実験例の内容を,表2に示す。ケース2では,塗工を行うので,コロナ処理を必ず行った。すなわち,ケース1の「無処理」に相当するサンプルはケース2には存在しない。
Figure 0006878932
表2の「短絡」欄に見られるように,ケース2で微小短絡が見られたのは,処理強度Sが22.5のサンプルだけであった。つまり,7.5以上のコロナ処理強度Sによりセパレータ基材7に貫通孔が形成された場合であっても,処理強度Sが22.5未満であれば,その貫通孔はポリエチレン粒子層で覆われるので,微小短絡にならないのである。図4のガーレー値のグラフに示されるように,ケース2における「2−3」〜「2−5」のサンプルは,ケース1の「1−3」〜「1−5」のサンプルに比して,機密度がやや高くなっている。これは,貫通孔がポリエチレン粒子層で覆われていることによる効果と考えられる。
ケース2においても,微小短絡がなかったサンプルについて膜抵抗[mΩ]を測定した。その結果を図5に示す。図5によれば,「2−3」〜「2−5」のサンプルの膜抵抗値は61〜66mΩ程度である。これは,「2−1」,「2−2」の膜抵抗値である78〜79mΩよりかなり低い値である。ケース1の膜抵抗値である68〜72mΩと比べても低い値となっている。これより,ケース2の「2−3」〜「2−5」のサンプルでは,微小短絡を防止しつつセパレータ抵抗を軽減させることができていることがわかる。
(ケース3)
セパレータ基材7の膜厚Tを20μmから16μmに変更したのがケース3である。ケース3の各実験例の内容を,表3に示す。ケース3では,処理力Fに関してはケース2の場合と変えていない(「3−2」を除く)が,膜厚Tが薄くなった分,ケース2と比較して処理強度Sが上がっている。これによりケース3では,処理強度Sが18.8以上の2つのサンプルで微小短絡が認められた。したがってケース3によれば,処理強度Sの値として18.8以上は,その好適な範囲から除かれることとなる。
Figure 0006878932
ケース3の各サンプルについてのガーレー値を図6のグラフに示す。また,ケース3の各サンプルのうち微小短絡がなかったものについての膜抵抗[mΩ]を図7のグラフに示す。これらより,ケース3のうち「3−3」および「3−4」のサンプルについてはいずれも,機密度に特に問題はなく,かつ膜抵抗値が十分に低いことが分かる。
(ケース4)
セパレータ基材7の膜厚Tをさらに12μmまで下げたのがケース4である。ケース4の各実験例の内容を,表4に示す。ケース4では,膜厚Tがさらに薄くなった分,ケース3における同等の処理力Fのサンプルと比較して処理強度Sが上がっている。これによりケース4では,処理強度Sが20.8以上の2つのサンプルで微小短絡が認められた。一方,処理強度Sが16.7である「4−4」については,微小短絡が認められなかった。したがってケース4によれば,処理強度Sの値として16.7までは,その好適な範囲に含まれることが分かる。
Figure 0006878932
ケース4の各サンプルについてのガーレー値を図8のグラフに示す。また,ケース4の各サンプルのうち微小短絡がなかったものについての膜抵抗[mΩ]を図9のグラフに示す。これらより,ケース4のうち「4−3」および「4−4」のサンプルについてはいずれも,機密度に特に問題はなく,かつ膜抵抗値が十分に低いことが分かる。
ケース2〜4についての微小短絡の有無を,図10のグラフに示す。図10のグラフでは,横軸をコロナ処理の処理力Fとし,縦軸をセパレータ基材7の膜厚Tとしている。さらにグラフ中に,処理強度Sにして16.7に相当する直線を引いている。図10では,この直線上およびこれより左上側(16.7以下)のサンプルはすべて微小短絡無しであり,直線より右下側(16.7超)のサンプルはすべて微小短絡ありとなっている。これよりコロナ処理の程度の上限は,処理強度Sにして16.7である(16.7を含む)ことが分かる。なお図10は,塗工後の状態での微小短絡の有無から,コロナ処理の程度の上限を示しているに過ぎない。コロナ処理の程度の下限については前述の通り,塗工前の状態での貫通孔の形成状況により定められる。
さらに,ケース2〜4についての膜抵抗値を,図11のグラフに示す。図11のグラフでは,横軸をコロナ処理の処理強度Sとし,縦軸を膜抵抗値としている。図11のグラフ中のプロット点は,処理強度Sが5.0以下で膜抵抗が70[mΩ]以上のグループと,処理強度Sが7.5以上で膜抵抗が66[mΩ]以下のグループとに2分される。ケース1の図3との対比から,前者のグループは膜抵抗の低減効果がないグループであり,後者のグループは膜抵抗の低減効果があるグループであるといえる。これは,コロナ処理の処理強度Sが7.5以上あることでセパレータ基材7に貫通孔を形成して膜抵抗が下がる,というメカニズムによるものと考えられる。よってコロナ処理の程度の下限は,処理強度Sにして7.5である(7.5を含む)ことが分かる。
図12は,ポリエチレン粒子層の有無による膜抵抗の違いを示すグラフである。図12では,ケース1の「無処理」(ポリエチレン粒子層なし)と,ケース4の「4−3」および「4−4」(いずれもポリエチレン粒子層あり)についての膜抵抗値を示している。これら3つのサンプルについては,表1および表4の「T」欄および「E」欄から分かるように,いずれも,セパレータ基材7の膜厚Tとポリエチレン粒子層の層厚Eとの合計が20μmである。図12を見ると,「無処理」よりも「4−3」,「4−4」の方が低抵抗であることは明らかである。また,ポリエチレン粒子層は当然,そのもともとの目的であるタック性(接着性)を有している。これより本形態では,ポリエチレン粒子層を適切に形成することにより,タック性を得つつ膜抵抗を低減させているといえる。
(ケース5)
次に,ポリエチレン粒子の大きさの影響についての実験例であるケース5を説明する。ケース5では,ケース2の「2−1」および「2−4」を基準とし,ポリエチレン粒子の粒径Rのみを変更した。すなわち,「5−1」,「5−2」のサンプルでは,「2−1」の条件を基準としつつ,粒径Rを6μm(5−1),1μm(5−2)に変更した。同様に「5−3」,「5−4」のサンプルでは,「2−4」の条件を基準としつつ,粒径Rを6μm(5−3),1μm(5−4)に変更した。ケース5の各実験例(「2−1」,「2−4」を含む)の内容を,表5に示す。表5の「短絡」欄ではいずれのサンプルも,微小短絡は無しとなっている。ただし上の3つは前述のようにコロナ処理の処理強度Sが不足するサンプルである。
Figure 0006878932
図13に,表5の各サンプルのガーレー値を示す。「5−3」,「5−4」のサンプルでは「2−4」のサンプルに対してやや低いガーレー値となっている。図14に,表5の各サンプルの膜抵抗値を示す。「5−3」のサンプルでは「2−4」のサンプルに対してやや低い膜抵抗値となっているが,「5−4」のサンプルでは「2−4」のサンプルよりも明らかに高く,「2−1」のサンプルに匹敵する膜抵抗値となっている。
これよりポリエチレン粒子層による膜抵抗の低減効果は,粒径Rが小さすぎる(1μm)のサンプル(5−4)では得られない一方,粒径Rが3μmを超えるほど大きくても(6μm,5−3)得られることが分かる。これより,塗工工程で塗工するポリエチレン粒子の粒子径は3μm以上である必要があることが分かる。なお,粒径Rが小さすぎる場合に膜抵抗が大きくなってしまう理由は,セパレータ基材7の貫通孔にポリエチレン粒子が入り込んで塞いでしまうことで,電池反応時のイオンの移動経路が閉じられてしまうことにあると推察される。
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,セパレータ基材7に所定の処理強度Sのコロナ処理を施すことでセパレータ基材7に貫通孔が形成されるようにしている。そしてその上に塗工処理を行うことで,貫通孔が塞がれることなくポリエチレン粒子層で覆われるようにしている。これにより,ポリエチレン粒子層を設けることによるタック性を得つつ,微小短絡の防止および膜抵抗の低減をも達成できる,電池用セパレータの製造方法が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,前述の各種数値類のうち処理強度Sおよび粒径R以外のものは,一例であり,その通りでなくてもよい。また,粒径Rについても,ポリエチレン粒子全体のうち少なくとも90重量%以上のものが該当していればよい。
2 コロナ処理部
3 塗工部
4 乾燥部
7 セパレータ基材

Claims (1)

  1. ポリエチレン製の多孔質フィルムであるセパレータ基材の表面にコロナ処理を施すコロナ処理工程と,
    コロナ処理後のセパレータ基材の表面上に,ポリエチレン粒子層を形成するための粒子分散液を塗工する塗工工程と,
    塗工後のセパレータ基材の表面上の塗工層を乾燥させる乾燥工程とを有し,
    前記コロナ処理工程におけるアンプ出力P[W]を,搬送速度V[m/min]と電極長L[m]とセパレータ基材の膜厚T[μm]とで除した値(P/(V・L・T))[W・min/(m2・μm)]が,9.4以上16.7以下の範囲内にあり,
    前記塗工工程で使用する粒子分散液に含まれるポリエチレン粒子のうち少なくとも90重量%以上のものが粒子径にして3μm以上であることを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
JP2017021605A 2017-02-08 2017-02-08 電池用セパレータの製造方法 Active JP6878932B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017021605A JP6878932B2 (ja) 2017-02-08 2017-02-08 電池用セパレータの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017021605A JP6878932B2 (ja) 2017-02-08 2017-02-08 電池用セパレータの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018129198A JP2018129198A (ja) 2018-08-16
JP6878932B2 true JP6878932B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=63173397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017021605A Active JP6878932B2 (ja) 2017-02-08 2017-02-08 電池用セパレータの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6878932B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5591542A (en) * 1993-02-09 1997-01-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Battery diaphragm and battery with such a diaphragm
JP5251193B2 (ja) * 2008-03-24 2013-07-31 東レ株式会社 多孔性ポリオレフィンフィルム
JP2012094493A (ja) * 2010-09-27 2012-05-17 Sumitomo Chemical Co Ltd スラリー及び該スラリーを使用した非水電解液二次電池用セパレータの製造方法
JP5685039B2 (ja) * 2010-09-30 2015-03-18 三菱樹脂株式会社 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、および非水電解液二次電池
JP2013199511A (ja) * 2012-03-23 2013-10-03 Toray Ind Inc 多孔性フィルムおよび蓄電デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018129198A (ja) 2018-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2517879B2 (en) Multilayer porous film
DE102016105963B4 (de) Beschichteter Brennstoffzellenseparator und Herstellungsverfahren für einen beschichteten Brennstoffzellenseparator
DE102006057352B4 (de) Halbleitervorrichtungen und Verfahren zu ihrer Herstellung
WO2014102131A2 (de) Verfahren zum herstellen eines galvanischen elements und galvanisches element
DE112013003875T5 (de) Poröser Separator mit organischer/anorganischer komplexer Beschichtung und denselben verwendende Sekundärbatterie
DE102014101552A1 (de) Elektrisches verbindungselement und verfahren zum herstellen desselben
JP6082699B2 (ja) 多孔質フィルム、蓄電デバイス用セパレータおよび蓄電デバイス
DE102010044080A1 (de) Herstellungsverfahren für Elektroden
DE112010000945T5 (de) Energiespeichervorrichtung mit poröser Elektrode
KR101809189B1 (ko) 금속박, 금속박 제조방법 및 이를 이용한 전극 제조방법
EP4272950A1 (en) Multilayer porous membrane
EP3357116A1 (de) Elektrisch leitfähiges basismaterial und schichtverbund, verfahren zur ihrer herstellung und ihre verwendung
DE112018001802T5 (de) Wiederaufladbare feststoff-lithiumionen-batterie und zusammengesetzter körper
JP6878932B2 (ja) 電池用セパレータの製造方法
DE112012002473T5 (de) Elektrodenmaterial und Verfahren zu dessen Herstellung
DE102015218693A1 (de) Energiespeichervorrichtung und Verfahren zum Herstellen einer Energiespeichervorrichtung
DE102015218694A1 (de) Energiespeichervorrichtung
JP2018147685A (ja) 非水電解液二次電池用セパレータ
EP2798688A1 (de) Verfahren und system zur herstellung elektrochemischer zellen für elektrochemische energiespeicher
WO2022034918A1 (ja) 鉛蓄電池用セパレータ、および鉛蓄電池
DE102021003633A1 (de) Laminierter körper für sekundärbatterie mit wasserfreiem elektrolyt
JP2015141822A (ja) 電極ペースト、電極板の製造方法、及び、電池の製造方法
DE102017218419A1 (de) Verfahren zur Herstellung eines Elektrodenfilms und Elektrode
JP6376062B2 (ja) 固体電解質層の製造方法
DE102017130397A1 (de) Systeme und verfahren zur herstellung von lithium-ionen-zellen, um die verunreinigung der zellen zu begrenzen

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210412

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6878932

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151