JP6878869B2 - 液体を吐出する装置 - Google Patents

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本発明は、液体を吐出する装置に関する。
記録ヘッドから、記録液(インク)の液滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、記録ヘッドから液滴を吐出するという構造の為、液滴の一部が飛翔中に分離したり、記録媒体(用紙等)へのインク着弾時の跳ね返りなどによって記録媒体に着弾しない液滴(以下、インクミスト)となる。このインクミストは、機内を飛散し、結果的に画像形成装置の内部に付着、または外装の隙間を通り機外へ放出される。画像形成装置の内部/外部に付着したインクミストは汚れとなり、ユーザーが触れたときに手や衣服を汚したり、画像形成装置が設置された周囲を汚すという不具合をもたらす。
さらに、インクミストが画像形成装置内部の光学センサ(反射型、透過型、エンコーダー)に付着することにより各センサの検出精度を低下させて誤動作を招くことがある。
そこで画像形成装置内部の記録ヘッドの噴射方向の対向した位置に配置した帯電させた部材の電界の作用を用いてインクミストを付着させることで回収し、インクミストの付着を抑える技術が既に知られている。しかし、この種の技術は帯電部材に常時電圧を印加して帯電させるため消費電力が大きくなるという問題がある。
特許文献1には、記録ヘッドの噴射側に対向配置したプラテンを帯電させて電界を形成することでプラテンによりインクミストを回収する方法が開示されている。
しかし、このインク回収方法もプラテンに対して常時電圧を印加しているため、消費電力が高くなるという問題があった。
本発明は、記録ヘッドの走査時に発生して気流に乗って浮遊する液体を帯電によって回収する回収部材を備えた液体を吐出する装置において、回収部材への電力供給時(電圧印加時)の消費電力を低減させる技術を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る液体吐出する装置は、液体吐出ヘッドを備えて往復移動し、移動開始直後、及び移動終了間際がもっとも速度が遅く、中央位置がもっとも速い状態となるキャリッジと、前記キャリッジの移動により生じた気流に対応した位置であって、前記キャリッジの移動によって該キャリッジとの位置関係が変化する往路側側壁、及び復路側側壁に夫々配置され、電圧が印加されると浮遊液体を回収する回収部材と、前記キャリッジの移動先に位置する前記往路側側壁または前記復路側側壁のいずれか一方に配置された前記回収部材に印加する電圧を制御する制御手段であって、前記回収部材に印加する電圧を前記キャリッジの移動開始直後から前記キャリッジが移動するにつれて漸増させ、前記キャリッジが移動終了する位置では前記印加する電圧の増加を収束させることにより、前記印加する電圧を縦軸に、前記キャリッジの移動距離を横軸に取ったグラフにおいて、前記印加電圧が非線形の曲線となるよう制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、液体を回収する必要がない時には液体を回収するための電力を消費しないので、適切な消費電力で浮遊液滴による悪影響を抑えることが出来る。
本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置を備えた画像形成装置の一例としてのインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。 インクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。 インクミストの発生原理について説明する図である。 (a)は静電吸着搬送ベルトの構成図、(b)は静電吸着搬送ベルトにおける交番帯電について説明する図である。 静電吸着搬送ベルトの帯電によるインクミストの発生状況についての説明図である。 印字領域(キャリッジの走査領域)について説明する図である。 (a)乃至(d)はキャリッジの走査により発生する気流について説明する図である。 インクミスト回収部材(回収部材)を外装の左右両側板に配置した構成例について説明する図である。 インクミスト回収部材へ電圧を印加するための構成例について説明するブロック図である。 インク非吐出時にインクミスト回収部材への電圧印加を停止する方法について説明するフローチャートである。 (a)(b)はインクミストの舞い方(浮遊の仕方)とインクミスト回収部材への出力電圧のON/OFF制御について説明する図である。 出力電圧生成基板の電源自体をOFFする構成について説明するブロック図である。 (a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るキャリッジのヘッド構成について説明する正面図、及び底面図である。 (a)及び(b)は、片方向印字モード、双方向印字モードについて説明する図である。 片方向印字の印刷モードの場合に片側のインクミスト回収部材への出力電圧の印加をOFFする構成について説明するブロック図である。 片方向印字の印刷モードの場合に、片側のインクミスト回収部材への出力電圧の印加をOFFする制御について説明する図である。 片方向印字の印刷モードの場合に復路方向のインクミスト回収部材への出力電圧印加を復路方向への移動中はOFFする制御について説明するフローチャートである。 (a)及び(b)はインクミスト回収部材への電圧印加のための構成例を示すブロック図、及びその一部の具体的構成図である。 (a)は観測されたキャリッジ位置情報に基づいてインクミスト回収部材への印加電圧を制御する方法を示すフローチャートであり、(b)はキャリッジ位置と出力電圧との相関関係を示すテーブル図である。 (a)はインクミストの舞い方とインクミスト回収部材への出力電圧の制御について説明する図であり、(b)は各インクミスト回収部材に印加される電圧をキャリッジの移動位置との関係で示すグラフ図である。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
<画像形成装置の基本構成>
図1は本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置を備えた画像形成装置の一例としてのインクジェットプリンタの概略構成を示す図である。
本発明では、液体を吐出する装置におけるインクミスト(浮遊微細液滴)の回収に際して、記録ヘッド(液体吐出ヘッド)を担持するキャリッジの往復運動によって機内に発生する気流に合わせて、電力が入力されたときに作動して気流中に浮遊しているインクミストを回収する回収部材(インクミスト回収部材)を、適当な数だけ適当な箇所に配置し、キャリッジの動作に応じて回収部材へ印加する電圧(オンオフ切替え、電圧値、オンオフタイミング等)を制御するようにした構成が一つの特徴をなしている。
本発明に係る液体を吐出する装置は、インクジェットプリンタのみに適用されるものではなく、あらゆる種類の液体、粉体を使用した画像形成装置に適用することができる。
インクジェットプリンタ100は、用紙P上に画像を形成する画像形成部101と、画像形成部に記録媒体である用紙Pを供給する給紙部120と、給紙部からの用紙を画像形成部101に搬送する用紙搬送部130と、画像形成部101において画像が形成(記録)された用紙Pをストックする排紙部(排紙トレー)140と、を概略備えている。
給紙部120は、用紙Pを積載する用紙トレー121と、用紙積載部から用紙を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)123と、半月コロに対向して配置され摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド124を備え、この分離パッドは給紙コロ側に付勢されている。
給紙部120から給紙された用紙を記録ヘッド165の下方側で搬送するための搬送部130として、用紙を静電吸着して搬送するための搬送ベルト131と、略鉛直上方に送られる用紙を略90°方向転換させて搬送ベルト上に倣わせるための搬送ガイド135と、押さえ部材で搬送ベルト側に付勢された先端加圧コロ136とを備えている。また、搬送ベルト表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラー138を備えている。
搬送ベルト131は無端状ベルトであり、搬送ローラー132とテンションローラー133との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向に周回する。帯電ローラー138は、搬送ベルトの表層に接触し、搬送ベルトの回動に従動して回転するように配置されている。
さらに、記録ヘッド165で記録された用紙を排紙するための排紙部140として、搬送ベルトから用紙を分離するための分離爪141と、排紙ローラー142とを備え、排紙ローラーの下方に排紙トレー143を備えている。
次に、図2はインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図2中の点線内部が制御基板の構成要素を示しており、点線外部が制御基板に接続されるユニット(電源、各種制御対象物、センサ等)を示す。
制御基板は、電源から電力の供給を受ける電源回路を備える。制御基板は、インクジェットプリンタ100に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル(OPERATION PANEL)と、接続されている。制御基板では、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してHOST I/Fで受信する。そして、CPU(制御手段)は、HOST I/Fに含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、CPUにて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行なってHEAD制御部に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROMにフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
ヘッド制御部は、記録ヘッドの1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、キャリッジにシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をキャリッジに送出する。
HEAD駆動部は、ROMに格納された駆動波形(ヘッド駆動信号)のパターンデータ読み取り、駆動波形のデータをD/A変換するDAC(D/A変換器)を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
キャリッジと呼ばれるHEAD搭載部には、ヘッド制御部からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド制御部からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含む。そして、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的にキャリッジ内に搭載される記録ヘッドのアクチュエータ手段に印加して記録ヘッドを駆動する。
さらに、CPUはA/D変換するADC(A/D変換器)を介してセンサの検知信号を受ける。
主走査、副走査モータ、供給モータ駆動部はCPUからの命令信号により主走査モータ、副走査モータに対し駆動信号を送りモータを励磁することでモータを駆動し、モータの動きをエンコーダセンサで読み取り読み取った結果をCPUにフィードバックすることでモータの回転数を制御している。
副走査モータの駆動に対応して出力される副走査エンコーダーのパルス数によって、搬送ベルトの搬送量を管理し一定の搬送量毎に高圧回路への制御信号を出力することで、高圧回路で生成する高圧の極性を反転させる。
次に、図3によりインクミストの発生原理について説明する。
インクミストの発生の主な原因としては、記録ヘッド165からの吐出時の液滴の後端切れによるものと、紙面への着弾後の跳ね返りによるものとを挙げることができる。インクミストの発生時に一様な電界が存在すると、元の液滴が電気的に中性であってもインクミストの電荷の分布は静電誘導の作用により一方向に偏ったものとなる。即ち、搬送ベルト側が正の電荷を帯びている場合には、液滴の搬送ベルト側部位には負の電荷が誘起され、液滴の搬送ベルトと反対側部位には正の電荷が誘起される。 液滴(主滴)から分離するインクミストは正側に帯電した液滴の一部なので、インクミストは正に帯電している。 すなわち、インクミストは電気的に中性ではなくなる。 従って、インクミストは正に帯電した搬送ベルトに対し斥力が働き、図3の上方向(記録ヘッド側)に舞い上がる(浮遊する)こととなる。
次に、図4(a)は静電吸着搬送ベルトの構成図、(b)は静電吸着搬送ベルトにおける交番帯電について説明する図である。
搬送ベルト131は搬送ローラー132が回転することで時計周りに回転すると同時に、帯電ローラー138に高圧(方形波)を交互に掛けることにより、搬送ベルト上(絶縁層)にプラスとマイナスの電荷が交互に印加され搬送ベルト上に交番電界が形成される(図4(b))。交番電界が形成された搬送ベルト131上に用紙Pが到達すると用紙中の電荷が搬送ベルト上の電界に引き寄せられることにより吸着力を生じる。
次に、図5は静電吸着搬送ベルトの帯電によるインクミストの発生状況についての説明図である。
静電吸着搬送中にプラス(+)に帯電している搬送ベルト131とヘッド165との間の電界により、吐出されたインク(主滴)はベルトの帯電とは逆極性(−)に帯電する。その為、図3で説明した通り、正に帯電したインクミストが発生する。
静電吸着式搬送ベルトは交番帯電により周期的に極性を変えるため、正帯電の状態と負帯電の状態が交互に生じる。このため、静電吸着式搬送ベルトの極性の変化に応じて、インクミストも負帯電の状態と正帯電の状態の両方が発生する。
次に、図6は、印字領域(キャリッジの走査領域)について説明する図である。
キャリッジ160は用紙の搬送方向(図6の紙面と直交する方向)と直交する方向(図6の紙面の左右方向)に移動し、往復に走査する。
図6ではキャリッジ160が中間位置にある状態を示しており、キャリッジは外装の左右側板167、168の範囲内で左右何れの方向にも移動することができる。
次に、図7(a)乃至(d)は、キャリッジの走査により発生する気流について説明する図である。
キャリッジ160が空気中を往路方向へ動く過程においては、スリップストリームの原理からキャリッジの移動方向先方(前方)にあった空気が、キャリッジが元いた位置(移動方向後方)に移動する。このため、キャリッジの移動によって発生する気流はキャリッジの前方(移動方向先方向)からキャリッジの後方(移動方向の逆側)に流れる気流となる。
キャリッジの走査により発生する気流について説明する図7において、例えば図7(a)、(b)のように往路(左方向)にキャリッジが移動する際には用紙P上を右から左に移動する過程で順次インクミスト(浮遊液滴)がキャリッジの右背面側に蓄積してゆき、キャリッジが走査範囲の左端にある時点においてミスト量が最大になる。
これは、往路方向へ移動しているキャリッジが往路側の側板167に接近するにつれて、キャリッジの移動方向先方に存在するインクミストがスリップストリームにより離間方向(復路側の側板168の方向)へ送られてくるために発生する現象である。これにより、キャリッジが復路側側板168から離間するに連れて離間方向の空間(復路側の空間)には浮遊状態にあるインクミストの量が増加する。本発明では、このミスト量の増大に呼応するように復路側のインクミスト回収部材210への電圧を上昇して電界を発生させる。これにより増大したミストを効率的に吸引、吸着することができる。
逆に、図7(c)、(d)のように復路(右方向)にキャリッジが移動する際には用紙P上を左から右に移動する過程で順次インクミストがキャリッジの左背面側(進行方向後方側)に蓄積してゆき、キャリッジが走査範囲の右端にある時点においてミスト量が最大になる。このミスト量の増大に呼応するように往路側のインクミスト回収部材200への電圧を上昇して電界を発生させる。
<第1の実施形態>
次に、図8はインクミスト回収部材(回収部材)を外装の左右両側板に配置した構成例について説明する図である。
本実施形態に係る液体を吐出する装置100は、液体吐出ヘッド165を備えて往復移動するキャリッジ160と、キャリッジを往復移動させる駆動源(モータ)と、液体吐出ヘッドによる吐出動作、及び/又は、キャリッジの移動により生じた浮遊液体を含んだ気流に対応した位置(浮遊液体を捕捉し易い適所)に配置され、電圧が印加されると作動して浮遊液体を回収する回収部材200、210と、液体吐出ヘッド、及び/又は、キャリッジの動作に応じて回収部材への電圧印加(オンオフ切替え、電圧値、オンオフタイミング等)を制御する制御手段222、223と、を備えた構成が特徴的である。
この実施形態に係るインクジェットプリンタ100の画像形成部101は、キャリッジ160の往路方向終端位置(左端位置)においてキャリッジと対面する左側板167に沿って往路側のインクミスト回収部材200(電極)を配置し、且つキャリッジ160の復路方向終端位置(右端位置)においてキャリッジと対面する右側板168に沿って復路側のインクミスト回収部材(電極)210を配置した構成を備えている。キャリッジ160は往路と復路の各終端位置において各インクミスト回収部材200、210に対して所定の位置関係(所定の距離)で対面するように構成されている。
インクミスト回収部材(回収部材)は、キャリッジの移動方向に応じて少なくとも二箇所に配置される。本例ではキャリッジが直線的な往復移動経路に沿って走査を行うため、各インクミスト回収部材は往復移動経路の両端部に沿って夫々配置される。
更に、各インクミスト回収部材は、キャリッジの移動によって該キャリッジとの位置関係が変化する往路側側壁167、及び復路側側壁168の近傍に夫々配置される。
インクミスト回収部材は例えば板金等の導電性を有した金属(電極)であり、板金に電圧を印加して帯電させることで浮遊液滴(インクミスト)を静電力で吸着する。
なお、本実施形態では、インクミスト回収部材に供給する電圧をキャリッジの移動方向、現在位置に応じて制御することを一つの特徴としており、インクミスト回収部材は電圧印加により帯電する電極に限らない。インクミスト回収部材の他の例としては、例えば、「ミストを吸い出すファン」等を想定することができるが、以下の各実施形態では電極としての金属(板金)をインクミスト回収部材の一例として説明する。
本実施形態の特徴的な構成は、図8に示すように左から右方向へ移動してきたキャリッジ160が復路方向(右方向)に移動しきった後で往路方向(左方向)に反転移動を開始した時に、制御手段(制御基板)が復路側(右側)のインクミスト回収部材210をONして帯電させることにより、キャリッジの右側に移動してくるインクミストを回収するという構成、制御にある。キャリッジの走査範囲は往路と復路で夫々限界位置が定められているため、夫々の限界位置に達した後でそれまでの移動方向とは逆方向へ反転移動する。反転移動の開始に際して、隙間Gに向かう気流が発生しキャリッジ周辺に浮遊していたインクミストが隙間に向けて静電力により吸引される。
即ち図8において、キャリッジが復路方向(右)に移動しきった後で反転して往路方向(左)に移動しはじめると、キャリッジの左側からキャリッジと側板168との隙間Gに向けて矢印で示すような気流が発生する。この気流はそれまでのキャリッジの復路方向への移動過程でキャリッジの左側に溜まっていたインクミストを隙間Gに向けて移動させる役割を果たすため、この気流が発生したタイミングで右側のインクミスト回収部材210をONして帯電させることにより、キャリッジの左側に溜まったインクミストを静電力により右側へ移動させて回収することが可能となる。この時、反対側のインクミスト回収部材200はOFFとする。
キャリッジが往路方向へ移動する場合も同様である。即ち、キャリッジが往路方向に移動しきった後で反転して復路方向に移動しはじめると、キャリッジの右側からキャリッジと側板167との隙間Gに向けて左方向への気流が発生する。この気流はそれまでのキャリッジの往路方向への移動過程でキャリッジの右側に溜まっていたインクミストを隙間Gに向けて移動させる役割を果たすため、この気流が発生したタイミングで左側のインクミスト回収部材200をONして帯電させることにより、キャリッジの右側に溜まったインクミストを静電力により左側へ移動させて回収することが可能となる。この時、反対側のインクミスト回収部材210はOFFとする。
なお、図8ではインクミストが負に帯電し、回収部材210が正に帯電している例を示したが、これは一例に過ぎず、回収部材の帯電極性はインクミストの帯電極性に応じてインクミストの吸引に適した極性に帯電させる。つまり、図8においては負に帯電したインクミストを吸引するために回収部材210を正に帯電させているが、インクミストが正に帯電している場合には回収部材210は負に帯電させることになる。このことは他の回収部材200とインクミストとの関係においても同様である。
次に、図9はインクミスト回収部材へ電圧を印加するための構成例について説明するブロック図である。
インクミスト回収部材(回収部材)200、210により生成される電界は印加される電圧に比例して大きくなるため、電界形成のための電圧を生成する出力電圧生成基板(制御手段)223にて電圧を生成する。
AC電源220からPSU221を介して制御基板(制御手段)222に供給された電力は出力電圧生成基板223に供給されて、各インクミスト回収部材200、210を帯電させる電力(電圧)として利用される。制御基板222は、出力電圧生成基板223に対してインクミスト回収部材への出力電圧をON/OFFするための制御信号(出力ON/OFF信号)を供給し、出力電圧生成基板223はこの制御信号に基づいて各インクミスト回収部材への電圧印加をON/OFFする。
図10はインク非吐出時にインクミスト回収部材への電圧印加を停止する方法について説明するフローチャートである。
本実施形態では、制御手段222、223は、液体吐出ヘッド165がインクミストを吐出しているときのみ各インクミスト回収部材へ電圧を印加し、液体吐出ヘッドが液体を吐出していないときには各インクミスト回収部材へ電圧を印加しない。
即ち、インクの非吐出時(ステップS1、NO)には、インクミスト回収部材200、210への電圧印加を停止するため、制御基板222にて出力電圧ON/OFF信号をOFFする(ステップS3)。これによりインク非吐出時に消費電力を節減することができる。
或いは、液体吐出ヘッド165による液体吐出停止時に直ちに出力電圧をオフすることなく、液体吐出後一定時間経過してから(吐出停止後一定時間経過してから)電圧印加をオフするようにしてもよい。インクミストの浮遊状態によっては、インク吐出終了後直ちに回収動作を停止せず、インク吐出終了後も所定時間回収動作を継続することが有効となる場合もあるからである。
<第2の実施形態>
図11(a)(b)はインクミストの舞い方(浮遊の仕方)とインクミスト回収部材への出力電圧のON/OFF制御について説明する図である。なお、図8と同一部材には同一符号を付して説明する。
本実施形態では制御手段222、223は、キャリッジ160の移動方向に応じて回収部材200、210への印加電圧のオンオフ切替え、又は/及び、印加電圧値を制御する。
即ち、図7で説明したように、インクミストはキャリッジ160の移動方向(走査方向)の違いによって、インクの舞う方向や位置(浮遊する方向や位置)が変わる。インクミストの舞う方向、位置はキャリッジの移動方向(往路/復路)に対応して変化するため、インクミスト回収部材は左右双方の側板167、168(の近傍)に配置する場合がある。
その際、キャリッジ160の移動方向によってインクミストが舞わない側のインクミスト回収部材はインクミストの回収の必要性がない為、インクミスト回収部材への出力電圧の印加をOFFする。
図11(a)に示すようにキャリッジ160が往路方向へ移動している時にはインクミストは、実線で示したキャリッジの現在位置よりも移動方向後方(破線で示した位置)により多く浮遊している。このため、キャリッジ後方、即ち復路方向に位置するインクミスト回収部材210に電圧を印加して帯電(インクミストとは逆極性)させることにより浮遊しているインクミストを吸引、吸着して回収することができる。
図11(b)に示すようにキャリッジ160が復路方向へ移動している時にはインクミストは、実線で示したキャリッジの現在位置よりも後方(破線で示した位置)により多く浮遊している。このため、キャリッジ後方、即ち往路方向に位置するインクミスト回収部材200に電圧を印加して帯電(インクミストとは逆極性)させることにより浮遊しているインクミストを吸引、吸着して回収することができる。
この際、インクミストを吸引しているインクミスト回収部材とは反対側のインクミスト回収部材には通電していないので、消費電力を低減することができる。
なお、図11(a)(b)ではインクミストが負に帯電しているために、各回収部材200、210を夫々正に帯電させる例を示したが、これは一例に過ぎず、回収部材の帯電極性はインクミストの帯電極性に応じてインクミストの吸引に適した極性とする。つまり、図11(a)(b)においては負に帯電したインクミストを吸引するために各回収部材200、210を夫々正に帯電させるが、インクミストが正に帯電している場合には各回収部材200、210は負に帯電させることになる。
<第3の実施形態>
図12は、出力電圧生成基板の電源自体をOFFする構成について説明するブロック図である。
本例では、インクミスト回収部材200、210への電圧印加をオフする際に、制御手段(出力電圧生成基板)への電力供給もオフするようにしている。
AC電源220から入力されPSU221により直流に変換された電力は制御基板222を経由して出力電圧生成基板223に供給される。出力電圧生成基板223は各インクミスト回収部材200、210に対して電圧を印加して選択的に帯電させる。
制御基板222は、各インクミスト回収部材へ出力される出力電圧をON/OFFする制御信号である出力ON/OFF信号を出力電圧生成基板223へ出力する。
制御基板222は、電源ON/OFF回路222Aを備えており、制御基板電源から出力電圧生成基板電源に供給される電力をトランジスタTRによってON/OFFする。
これにより、出力電圧生成基板自体の消費電力低減を図って、装置全体の消費電力の節減効果をより高めることが可能となる。
<第4の実施形態>
図13(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るキャリッジのヘッド構成について説明する正面図、及び底面図である。
本実施形態では、画像形成装置の印刷モード(片方向印字モード、或いは双方向印字モード)に応じて、キャリッジの移動方向、位置に拘わらず、一方の回収部材への電圧印加をオフするようにしている。
キャリッジ160は2つのノズル列を有する2つのヘッド165A、165Bを有しており、合計4ノズル列有する。各ヘッド上部にはインクを溜めるインクタンクを有し、各ノズル列につながっており、各インクタンクにそれぞれ別の色のインクを供給することで各ノズル列の吐出色を決定している。
図13では左から、 第1ノズル列:シアン、第2ノズル列:ブラック、第3ノズル列:イエロー、第4ノズル列:マゼンタ となっている。
図14(a)及び(b)は、片方向印字モード、双方向印字モードについて説明する図である。
図14(a)に示した片方向印字では往路方向(左方向)へのキャリッジの移動時のみヘッドからインクを吐出し、復路方向への移動時にはキャリッジの移動のみを行いインクの吐出は行わない。一方、(b)に示した双方向印字では、往路/復路共にインク吐出をする。
キャリッジに対するノズル列の順番により、片方向印字では各色の重なり方は一定であるが、双方向印字では往路/復路でインクの重なり方は逆になる。一般的に画像の色味が変わる為、高画質の印字モードでは片方向印字を、高速の印字モードでは双方向印字を採用している。
図15は片方向印字の印刷モードの場合に片側のインクミスト回収部材への出力電圧の印加をOFFする構成について説明するブロック図である。
出力電圧生成基板223は、各インクミスト回収部材200、210に対して個別に電圧を出力する構成を有しており、それに応じて制御基板222から出力電圧生成基板223に対して各インクミスト回収部材に対応させた出力ON/OFF信号を出力する。
図16は片方向印字の印刷モードの場合に、片側のインクミスト回収部材200への出力電圧の印加をOFFする制御について説明する図である。図11と同一部分には同一符号を付して説明する。
また、図17は、片方向印字の印刷モードの場合に復路方向のインクミスト回収部材210への出力電圧印加を復路方向に移動中はOFFする制御について説明するフローチャートである。
片方向印字の印刷モードの場合(ステップS11)、キャリッジの往路方向の移動のときのみにしかインク吐出をしない為、往路へ移動する過程ではキャリッジの移動方向後方(復路側インクミスト回収部材210側)にインクミストが浮遊する一方で、キャリッジが復路へ移動する過程ではインク吐出しないため往路側のインクミスト回収部材200の周囲にはインクは舞わない。そのため、片方向印字の印刷モードの場合には復路方向の出力ON/OFF信号のみONし、往路方向の出力ON/OFF信号はOFFのままとする(ステップS12)。
これに対して双方向印字の印刷モードの場合(ステップS11)、キャリッジの往路、復路共にインク吐出をする為、何れの方向へ移動する過程でもインクミストが浮遊する。 そのため、双方向印字の印刷モードの場合には往路方向、復路方向の双方の移動において、復路側インクミスト回収部材、往路側インクミスト回収部材への出力ON/OFF信号を所定のタイミングで夫々ONする(ステップS13)。つまり、キャリッジが往路方向へ移動する場合には復路側のインクミスト回収部材210に電圧を印加し、キャリッジが復路方向へ移動する場合には往路側のインクミスト回収部材200に電圧を印加する。
なお、本実施形態においても、図10の実施形態と同様に、片方印字、双方向印字において、記録ヘッドからのインク吐出中のみ各インクミスト回収部材への電圧印加を行い、非吐出期間中には電圧印加は行わない。これにより節電効果を高めることができる。また、インク吐出停止と同時に電圧印加を停止せずに、インク吐出停止後所定時間経過後に電圧印加を停止するようにしてもよい。
<第5の実施形態>
図18(a)及び(b)はインクミスト回収部材への電圧印加のための構成例を示すブロック図、及びその一部の具体的構成図である。なお、図15などと同一部位には同一符号を付して説明する。
本実施形態では、制御手段222、231は、往復移動経路上におけるキャリッジ160の位置(の変化)に応じて各インクミスト回収部材200、210への印加電圧のオンオフ切替え、又は/及び、印加電圧値を制御するようにしている。つまり、各インクミスト回収部材に対するキャリッジの位置(距離)の違いに応じて、インクミスト回収に必要とされる電界の強さが違うため、必要最小限の電界を発生させるための必要最小限の電圧を各インクミスト回収部材に印加することにより節電効果を高めている。
即ち、インクミスト回収部材200、210により形成される電界は印加される電圧に比例して増減するため、電界生成のための電圧を電圧制御部(出力電圧生成部1、2)231にて生成する。
AC電源220から供給されてPSU221により直流に変換された制御基板用の電圧を制御基板222に供給する。制御基板222はPSUからの電圧を電圧制御部231に供給し、電圧制御部からインクミスト回収部材200、210へ出力される出力電圧の値を可変的に制御できる制御信号を出力する。
制御基板222から出力される制御信号はパルス幅変調(PWM: PULS WIDTH MODULATION)で制御することで段階的に変化するため、インクミスト回収部材に印加する回収用高電圧出力をキャリッジの位置に応じて段階的に変化させることができる。
キャリッジの現在位置は制御基板内のCPUを用いて、走査エンコーダセンサ230からのパルス信号をカウントして、キャリッジ位置情報(位置X)のカウント値を読み込むことで把握する。そのキャリッジ位置に応じた制御信号(電圧制御)を、制御基板222から電圧制御部231へ出力する。
走査エンコーダセンサ230としては、例えばリニアエンコーダのようにキャリッジの位置を絶対位置として観測できる手段を用いる。
以上の構成、制御により、キャリッジの現在位置に応じて必要とされる最小限の電界の強度によって浮遊するインクミストを捕捉、吸着することが可能となり、消費電力を節減することができる。
図19(a)は観測されたキャリッジ位置情報に基づいてインクミスト回収部材への印加電圧を制御する方法を示すフローチャートであり、(b)はキャリッジ位置と出力電圧との相関関係を示すテーブル図である。
往復路内におけるキャリッジ160の現在位置は走査エンコーダセンサ230により絶対座標として取得されるものであり、図19(B)のテーブルを参照する形でキャリッジの座標に対応する出力電圧(往路側出力電圧Y,復路側出力電圧Y`)を選択する例を示している。この例ではテーブルによる参照の段階数を10段階(等分)としているが、これは一例であり、段階数は任意に設定可能である。また、単位距離及び単位電圧の具体的な値は任意に設定できるものとする。
本例では、例えばキャリッジが往路側インクミスト回収部材200に最も接近した限界位置をキャリッジ位置X=1とし、キャリッジが復路側インクミスト回収部材210に最も接近した限界位置をキャリッジ位置=10とする。キャリッジ位置Xは、キャリッジの走査範囲を10等分した10段階に設定されている。
印刷動作開始位置を開始点(限界位置、或いは初期位置X=1,又はX=10)とし、制御基板222に搭載されたCPUは主走査エンコーダセンサからのパルス信号をカウントして、キャリッジ位置情報(位置X)のカウント値を読み込み、キャリッジの初期位置を把握する。一方の限界位置(例えば、往路側限界位置、X=1)から他方の限界位置(復路側限界位置、X=10)へ向けてのキャリッジの移動開始(インク吐出開始)に合わせて一方の限界位置側のインクミスト回収部材(200)への電圧印加を実施する。この電圧値は、インクミスト回収部材200とキャリッジとの間の距離、即ち限界位置に応じた電圧値となる。
その後、キャリッジは一方の限界位置(例えば、X=1)から他方の限界位置(X=10)に向けて移動しつつ印刷動作を実施するが、制御手段は印刷動作中におけるキャリッジの現在位置を随時読みだし、現在位置Xに応じた電圧Yを対応するインクミスト回収部材200に印加する。印刷動作中は、キャリッジ位置の把握と位置に応じた電圧出力を行い続け、印刷終了を合図に回収部材への電圧印加も止めるものとする。
本例では、移動中のキャリッジ160が往路側インクミスト回収部材200に最も接近した位置X=1にある時に、往路側インクミスト回収部材200への出力電圧を最小値Y=1、或いはゼロとし、更に復路側インクミスト回収部材210への出力電圧を最大のY’=10とすることにより、位置X=1に位置するキャリッジの後方(復路側)に強い電界を生成して浮遊するインクミストを復路側インクミスト回収部材210により回収する。
また、キャリッジが往路側インクミスト回収部材200から最も離間した位置X=10に達した時に、往路側インクミスト回収部材200への出力電圧を最大値のY=10とすることにより、位置X=10に位置するキャリッジの後方(往路側)に強い電界を生成して浮遊するインクミストを往路側インクミスト回収部材200により回収する。
キャリッジがX=1、X=10以外の中間位置にある場合には夫々の位置に応じて最適な値の電圧を各インクミスト回収部材に印加して最適の電界を形成して効率的に(節電しつつ)インクミストを回収することができる。
<第6の実施形態>
図20(a)はインクミストの舞い方とインクミスト回収部材への出力電圧の制御について説明する図であり、(b)は各インクミスト回収部材に印加される電圧をキャリッジの移動位置との関係で示すグラフ図である。
キャリッジ160の移動方向(往路/復路の走査方向)、移動速度、位置等によってインクミストの舞う方向、移動速度、位置、量が変わるため、インクミスト回収部材は左右双方の側板167、168に配置する。
その際、キャリッジの位置によってインクミストの回収性が変化するため、インクミストが舞わない側へのキャリッジ移動に合わせてインクミスト回収部材への印加電圧を調整する。
出力電圧はインクミストをより効率的に回収できるよう、図20(b)のような曲線(最適化)になるよう出力する。即ち、往路側インクミスト回収部材200、及び復路側インクミスト回収部材210への各出力電圧(回収用電圧V)は、キャリッジ160が初期位置(X=0)、中央位置(X=R/2)、終端位置(X=R)の間を往復移動する過程で非線形の曲線を描くように、A、(A+B)/2、Bの間で増減させる。
この例では、キャリッジが図面右方向へ移動する際には往路側インクミスト回収部材へ印加する電圧を(1)で示した状態で漸増させてゆき、キャリッジが図面左方向へ移動する際には復路側インクミスト回収部材へ印加する電圧を(2)で示した状態で漸増させる。
なお、図20(b)において、各インクミスト回収部材への電圧の出力は同時に行われる訳では無く、一方のインクミスト回収部材に電圧を出力している期間は、他方のインクミスト回収部材への出力を停止させる。
図20(b)における電圧移動遷移を非線形とした理由は以下の通りである。
即ち、回収したいインクミストはキャリッジが移動方向にある空間体積を圧迫することで、移動とは反対方向に流れ込んでくる。即ち、回収対象であるインクミストの移動方向、位置、量、分布等は、キャリッジがどのように移動方向の空間体積を圧迫するか、言い換えるとキャリッジの移動速度によって種々変動する。
キャリッジは移動開始直後、及び移動終了間際がもっとも速度が遅く、中央位置がもっとも速い状態となる。
この際の速度の加減速は物理法則に従う(質量と速度の二乗との乗算がエネルギーとなる)ため、移動速度に追随して最大効率で回収するためには、図20(b)のグラフのような非線形での電圧移動遷移が好ましいこととなる。
但し、図19(b)に示すテーブルはあくまでキャリッジの位置と電圧値の増加減の相対変化を示すためであるので、簡易化のために線形となっている。
このように、制御手段による電圧制御において、各回収部材への印加電圧をキャリッジの移動方向、移動速度、位置に応じて最適化された電圧波形により印加することにより、インクミストの移動方向、移動速度、位置、分布、量の変化に追随した最適の制御(電力の効率化)を実現することが可能となる。
<発明の構成、作用、効果のまとめ>
第1の本発明に係る液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッド165を備えて往復移動するキャリッジ160と、キャリッジの移動により生じた気流に対応した位置に配置され、電圧が印加されると浮遊液体を回収する回収部材(インクミスト回収部材)200、210と、キャリッジの動作に応じて回収部材に印加する電圧(オンオフ、電圧値)を制御する(電圧印加を可変的に変化させる)制御手段222、223と、を備えたことを特徴とする。
印加する電圧の制御方法としては、単なるオンオフ切替えの他に、オンオフタイミングの制御、キャリッジの位置に応じた電圧値の可変的制御などを挙げることができる。このため、インクミストの回収に不要な電圧の供給をなくして節電効果を高めることが可能となる。
第2の本発明に係る液体を吐出する装置では、回収部材は、キャリッジの移動方向に応じて少なくとも二箇所に配置されることを特徴とする。
キャリッジが往復動作する場合には、往路側と復路側に夫々回収部材を配置することにより、液体吐出ヘッドからの液体吐出とキャリッジの移動に伴って発生した気流に乗る液体を効率的に吸引、吸着、回収することができる。
第3の本発明に係る液体を吐出する装置では、制御手段は、キャリッジの移動方向、又は、位置に応じて各回収部材への印加電圧のオンオフ切替え、又は、印加電圧値を制御することを特徴とする。
第4の本発明に係る液体を吐出する装置では、制御手段は、キャリッジの移動方向、及び、位置に応じて各回収部材への印加電圧のオンオフ切替え、及び、印加電圧値を制御することを特徴とする。
キャリッジが往復移動する過程で発生する気流によりキャリッジに対するインクミストの浮遊状態が変化するため、インクミストの発生状態(キャリッジの移動方向、位置)に適合させるように作動させる回収部材を選択し、印加する電圧値も制御する。これにより、出力電圧の最適化による消費電力低減と回収効率の向上を図ることができる。
第5の本発明に係る液体を吐出する装置では、各回収部材は、キャリッジの移動によって該キャリッジとの位置関係が変化する往路側側壁、及び復路側側壁に夫々配置されることを特徴とする。
各側壁はキャリッジの移動によりキャリッジとの位置関係が変化する。この位置関係の変化により発生した浮遊液体の浮遊状態が変動するので、浮遊状態の変化に対応して回収部材を種々作動させて効率的な回収を実現する。
第6の本発明に係る液体を吐出する装置では、回収部材は、印加電圧によって帯電することを特徴とする。
回収部材としては、電圧を印加することにより帯電して電界を形成し浮遊したインクミストを吸引、吸着して回収する電極(板金)等や、電力を印加することにより作動して負圧を生成して気流を生成して吸引するファン等を挙げることができる。
第7の本発明に係る液体を吐出する装置では、前記制御手段は、一方向へ向けて移動してきた前記キャリッジが該一方向へ移動しきった後で、反対方向へ反転移動を開始した時に、前記一方向側に位置する前記回収部材に電圧を印加して帯電させることを特徴とする。
第8の本発明に係る液体を吐出する装置では、制御手段は、液体吐出ヘッドが液体を吐出しているときのみ回収部材へ電圧を印加し、且つ液体吐出ヘッドが液体を吐出していないときには回収部材へ電圧を印加しない、又は液体吐出後一定時間経過後に電圧印加をオフすることを特徴とする。
これによれば、液体非吐出時の消費電力を低減することができる。なお、液体の吐出を停止してから一定時間経過後に印加電圧をオフすることにより液体の回収効率が高まる場合にはそのような制御が好ましい。
第9の本発明に係る液体を吐出する装置では、回収部材への電圧印加をオフする際に、制御手段(出力電圧生成基板)への電力供給もオフすることを特徴とする。
これによれば、制御手段(出力電圧生成基板)自体の消費電力低減という効果を発揮できる。
第10の本発明に係る液体を吐出する装置によれば、請求項1乃至8の何れか一項に係る液体を吐出する装置の印刷モードに応じて、キャリッジの移動方向、位置に拘わらず、一方の回収部材への電圧印加をオフすることを特徴とする。
これによれば、不要な出力電圧の消費電力低減という効果を得ることができる。
第11の本発明に係る液体を吐出する装置によれば、制御手段による電圧制御において、前記各回収部材へ印加する電圧を前記キャリッジの移動方向、移動速度、位置に応じて最適化された電圧波形により制御することを特徴とする。
キャリッジの移動方向、移動速度、位置により、浮遊する液体の移動方向、移動速度、位置、量、分布などが決定される(変化する)ため、キャリッジの移動速度、位置に対応した最適の電圧印加タイミング、電圧値などをテーブル化する等して、最適化された電圧波形を出力できるようにした。
第12の本発明は、液体吐出ヘッドを備えて往復移動するキャリッジと、キャリッジを往復移動させる駆動源と、液体吐出ヘッドによる吐出動作、及びキャリッジの移動により生じた浮遊液体を含んだ気流に応じた位置に配置され、電圧が印加されると浮遊液体を回収する回収部材と、これらを制御する制御手段と、を備えた液体を吐出する装置の制御方法であって、制御手段は、液体吐出ヘッド、及びキャリッジの動作に応じて前記回収部材へ印加する電圧(オンオフ、電圧値)を制御する(電圧印加を可変的に変化させる)ことを特徴とする。
第13の本発明は、請求項1乃至10に記載の液体を吐出す装置を備えたことを特徴とする。
この画像形成装置によれば、キャリッジの動作により発生して浮遊する液体の移動方向、移動速度、位置、量、分布などに対応して最適な液体回収動作を行うことが可能となり、画像形成装置の稼働時における節電効果を高めることができる。
100…インクジェットプリンタ(画像形成装置)、101…画像形成部、120…給紙部、124…分離パッド、130…搬送部、130…用紙搬送部、131…搬送ベルト、132…搬送ローラー、133…テンションローラー、135…搬送ガイド、136…先端加圧コロ、138…帯電ローラー、140…排紙部、141…分離爪、142…排紙ローラー、143…排紙トレー、160…キャリッジ、165…記録ヘッド(液体吐出ヘッド)、165A、165B…記録ヘッド、167…側板、168…側板、200…インクミスト回収部材(回収部材)、210…インクミスト回収部材(回収部材)、220…AC電源、221…PSU、222…制御基板(制御手段)、223…出力電圧生成基板(制御手段)、230…走査エンコーダセンサ、231…電圧制御部。
特開2013‐060023公報

Claims (1)

  1. 液体吐出ヘッドを備えて往復移動し、移動開始直後、及び移動終了間際がもっとも速度が遅く、中央位置がもっとも速い状態となるキャリッジと、
    前記キャリッジの移動により生じた気流に対応した位置であって、前記キャリッジの移動によって該キャリッジとの位置関係が変化する往路側側壁、及び復路側側壁に夫々配置され、電圧が印加されると浮遊液体を回収する回収部材と、
    前記キャリッジの移動先に位置する前記往路側側壁または前記復路側側壁のいずれか一方に配置された前記回収部材に印加する電圧を制御する制御手段であって、前記回収部材に印加する電圧を前記キャリッジの移動開始直後から前記キャリッジが移動するにつれて漸増させ、前記キャリッジが移動終了する位置では前記印加する電圧の増加を収束させることにより、前記印加する電圧を縦軸に、前記キャリッジの移動距離を横軸に取ったグラフにおいて、前記印加電圧が非線形の曲線となるよう制御を行う制御手段と、
    を備えたことを特徴とする液体を吐出する装置。
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