以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する、図示した具体的な実施形態に限定されるものではない。なお、以下、空気調和システムおよび端末装置の一例として、それぞれ、複数の空気調和(以下、「空気調和」を「空調」と略して参照する場合がある。)機を含み構成される空調システム1および携帯型情報端末7を用いて説明する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
[第1実施形態]
以下、図1〜図8を参照しながら、本発明の第1実施形態による空調システム1について説明する。
図1は、空調システム1の全体構成例を示す。なお、図1は、1または複数の実施形態において共通して用いることができる全体構成を例示する。図1を参照しながら、第1実施形態において全体構成を中心的に説明するが、特に断りがない場合は、後述する他の実施形態でも同様の構成を備え得る点には留意されたい。
図1に示す空調システム1は、複数の空調機2,6と、遠隔操作機4とを含み構成されている。空調システム1においては、複数の空調機2,6が、例えば無極性2芯の渡り配線などにより接続されており、空調機ネットワーク3を構成している。
なお、「空調機」には、冷凍サイクル制御に関与する室内空調機および室外空調機のほか、遠隔操作機4や空調集中制御機も含まれ得るが、ここでは、「空調機2」は、室内空調機をいうものとし、「空調機6」は、室外空調機をいうものとし、「遠隔操作機4とは区別して参照する。
遠隔操作機4は、「リモートコントローラ」または略して「リモコン」と一般的に呼称されるものであり、空調設定を行うためのパネルおよびボタンを備える。室内空調機2a〜2cと、遠隔操作機4a〜4cとは、それぞれ、例えば接続線5a〜5cを介して接続される。なお、図1においては、空調機2および遠隔操作機4は、接続線5を介して一対一で接続されているように描かれているが、特に限定されるものではなく、これらは、渡り線を介して接続されて、1台の遠隔操作機4を用いて複数台の空調機2が操作されてもよいし、渡り線なしで空調機ネットワーク3を経由して接続されてもよい。
図1において、室内空調機2a,2bおよび室外空調機6aは、冷媒配管で連結されており、同一の冷媒系統Aに属する。一方、室内空調機2cおよび室外空調機6bも、別の冷媒配管で連結されており、別の冷媒系統Bに属する。このように、複数の冷媒系統に属する空調機2,6が、同一の空調機ネットワーク3に接続される場合もある。
空調システム1においては、室内空調機2(およびそれに冷媒配管で連結されて共に冷凍サイクル制御に関与する室外空調機6。以下、同様。)は、それに接続された遠隔操作機4から操作することができる。また、空調集中制御機が設けられる場合は、複数の空調機2を空調集中制御機から一括操作することができる。しかしながら、空調集中制御機は、一般的に高価であるため、テナントなどの所定の単位で導入するにはコストが高く、簡便に低コストで、テナントなどの所定の単位内の複数の空調機2を一度に操作可能とする技術に対する要望がある。
そこで、本実施形態における空調システム1は、上述した空調機ネットワーク3上の複数の空調機2の動作を制御するため、さらに、携帯型情報端末7と、空調機ネットワーク3に接続された無線通信装置9とを含み構成される。そして、利用者は、携帯型情報端末7から無線通信装置9を経由して各空調機2を操作することが可能とされている。
携帯型情報端末7は、空調機2の各種動作設定を行う利用者が携帯する端末である。携帯型情報端末7としては、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートグラスなどの汎用端末装置などが用いられる。図1には、1つの携帯型情報端末7が示されているが、複数の利用者がいる場合など、複数の携帯型情報端末7があってもよい。
無線通信装置9は、空調機ネットワーク3に接続されているとともに、無線通信11のアクセスポイントを提供する。無線通信装置9は、空調機ネットワーク3上のノード(例えば空調機2)と、自身に接続されているノード(例えば携帯型情報端末7)との間のデータ交換を仲介する。
携帯型情報端末7および無線通信装置9は、無線通信11を介して接続される。無線通信11の無線通信方式としては、特に限定されるものではないが、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などで定められる無線LAN(WiFi(登録商標)を含む。)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などを挙げることができる。
携帯型情報端末7から無線通信装置9を経由して各空調機2を操作可能とするためには、携帯型情報端末7は、無線通信装置9に無線通信11を介して接続するための情報と、操作対象の空調機2を識別する情報を取得する必要がある。そこで、携帯型情報端末7は、このような無線通信装置9の情報および空調機2の情報を、近距離無線通信12にて、操作したい対象の空調機2に接続された遠隔操作機4から取得するように構成されている。
遠隔操作機4と携帯型情報端末7との間の近距離無線通信12の無線通信方式は、無線通信11とは異なる、好ましくは無線通信11よりも短距離での通信を行う方式であり、例えば、NFC(Near-field communication)であってよい。利用者が対象の遠隔操作機4(またはそれの接続先の空調機2)を物理的に認識しやすいようにする観点からは、近距離無線通信12は、NFCなどの近接場型の無線通信であることが好ましい。また、NFCが、携帯型情報端末7などのNFCリーダを近づけた際の電界により誘導起電力を得ることができ、通電状態にない遠隔操作機4とも通信を行うことが可能であることから、近距離無線通信12にNFCが用いられることが好ましい。この場合、遠隔操作機4側に電源は不要であり、遠隔操作機4へのNFCの組み込みは容易かつ低コストに実現できる。さらに、NFCを用いる場合は、赤外線や無線LANを利用する場合と比較してコストを削減することができるという利点がある。以下、近距離無線通信12が、NFCを用いたものであるとして説明を続ける。
以下、図2〜図4を参照しながら、まず、各装置の構成例について説明する。
図2は、空調機2(室内空調機2を代表して示すが、室外空調機6についても同様である。)の構成例を示すブロック図である。なお、図2も、1または複数の実施形態において共通して用いることができる構成例を示すものであり、上述したように、特に断りがない場合は、他の実施形態でも同様の構成を備え得る点に留意されたい。
図2において、空調機2は、主基板20、副基板21、冷媒を凝縮させる圧縮機(室外空調機6の場合)や送風のためのファンなどのアクチュエータなどの負荷22および装置動作のための電源23を含み構成される。主基板20および副基板21は、それぞれ、第1電源ブロック200および第2電源ブロック210を含む。主基板20および副基板21は、ここでは別の基板として参照するが、第1電源ブロック200および第2電源ブロック210を含む単一の基板であってもよい。第2電源ブロック210は、電源23からの電源供給が無くても、近距離無線通信を備える外部装置からの電波による誘導起電力により動作可能なブロックであり、例えばNFCタグにより構成される。なお、図2には、遠隔操作機4としての空調機の構成例も示されており、点線24で区画された部分(すなわち、負荷22)を除いたものが、遠隔操作機4の構成例となる。
第1電源ブロック200は、第1制御部201、主記憶部203、第1記憶部202、第2記憶部204および空調制御通信部205を含む。第1制御部201は、例えばマイコンであり、主記憶部203は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、第1記憶部202は、例えばFLASH−ROMであり、また、第2記憶部204は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。空調制御通信部205は、空調機ネットワーク3を介して他の空調機2または空調集中制御機との通信を行う。また、空調制御通信部205は、接続線5を介して接続される遠隔操作機4との通信を行う。電源23から電源が供給されると、第1制御部201は、第1記憶部202からファームウェアを読出し、主記憶部203に展開されたファームウェアに従い、空調機としての動作を行う。なお、遠隔操作機4においては、第1記憶部402(遠隔操作機4上の空調機2の相当部分を、符号の上位1桁を2から4に置き換えて参照する。)から読み出し、展開するファームウェアは、遠隔操作を行うためのものとなる。また、空調制御通信部405は、接続先の空調機2との接続形態に応じたものとなる。
第2電源ブロック210は、第2制御部211、近距離無線通信部213および第3記憶部212を含む。近距離無線通信部213は、携帯型情報端末7などの外部装置との近距離無線通信を行う。第2制御部211は、携帯型情報端末7などの外部装置からの要求や第1電源ブロック200の第1制御部201からの要求に基づいて、第3記憶部212にデータを読み込みまたは書き込みをする。第1電源ブロック200の第1制御部201は、第2制御部211を介して第3記憶部212に各種情報を読書きすることができる。
図3は、携帯型情報端末7の構成例を示すブロック図である。図3も、図1および図2と同様に、1または複数の実施形態において共通して用いることができる構成例を示す。図3に示す携帯型情報端末7は、制御部71、主記憶部72、第1記憶部73、第2記憶部74、近距離無線通信部75および無線通信部76を含む。例えば、FLASH−ROMなどの第1記憶部73に記録したプログラム(オペレーティング・システムや空調操作アプリケーションを含む。)を、DRAMなどの主記憶部72に展開し、マイコンなどの制御部71は、展開したプログラムにもとづき動作する。
近距離無線通信部75は、遠隔操作機4など近距離無線通信機能を備える外部装置との近距離無線通信12を行う。近距離無線通信12としてNFCが用いられる場合は、携帯型情報端末7は、NFCのリーダ機能を備えることとなる。無線通信部76は、無線通信11を介して無線通信装置9と通信を行う無線アダプタである。
図3に示す携帯型情報端末7は、さらに、入力部77および表示部78を含む。入力部77は、タッチパネルセンサーやボタン、キーボード、マウス、マイクロフォンなどの入力装置を含む。表示部78は、液晶パネルやOEL(Organic Electro-Luminescence)パネルなどの表示装置を含む。入力部77および表示部78は、空調機2を操作するための操作パネル機能を実現するために用いられる。
図4は、無線通信装置9の構成例を示すブロック図である。図4も、図1〜図3と同様に、1または複数の実施形態において共通して用いることができる構成例を示す。図4に示す無線通信装置9は、制御部91、主記憶部92、無線通信部93、管理情報記憶部94、空調制御通信部95および第1記憶部96を含む。FLASH−ROMなどの第1記憶部96に記録したファームウェアを、主記憶部92に展開し、マイコンなどの制御部91は、展開したファームウェアにもとづき動作する。
管理情報記憶部94は、通信接続情報941を記憶する。制御部91は、遠隔操作機4からの要求に応答して、管理情報記憶部94から通信接続情報941を読み出し、空調制御通信部95を介して、通信接続情報941を送信することができる。なお、図4には、管理情報記憶部94に、さらに、空調機識別情報942が描かれているが、これは、第4の実施形態で参照されるものであり、後述する。さらに、図4には、管理情報記憶部94に、権限情報943が描かれているが、これは、第5の実施形態で参照されるものであり、後述する。
図5は、本発明の第1実施形態による空調システム1における空調機操作の処理の流れおよびその主要な構成を説明する図である。
図5には、1以上の空調機2と、これらの空調機2と通信する無線通信装置9と、遠隔操作機4と、携帯型情報端末7とが示されている。
空調機2は、遠隔操作機4の操作対象である室内機である。図5においては、遠隔操作機4aが例示されており、この遠隔操作機4aに接続線5aを介して接続される室内空調機2aが示されている。
遠隔操作機4の第3記憶部412は、その接続先である空調機2(図5の例では遠隔操作機4aの接続先である室内空調機2a)の情報と、無線通信装置9の情報とを記憶する。空調機2の情報とは、空調機2を識別するための情報であり、空調機2に割り当てられた識別情報である。識別情報は、例えば、空調機ネットワーク3において空調機2に割り当てられたアドレス(冷媒系統番号および系統内号機番号を含む。)、空調機2や空調機2に埋め込まれたタグのシリアル番号やUUID(Universally Unique Identifier)などであってよい。なお、空調機2が、対応する遠隔操作機4と接続されているため、空調機2の識別情報として、それに接続された遠隔操作機4の識別情報を用いてもよい。無線通信装置9の情報とは、例えば、無線通信装置9の無線通信部93と無線通信11で接続する際に用いる、無線通信装置9の識別情報およびパスワード情報である。
なお、空調機2の情報および無線通信装置9の情報は、第3記憶部412には保持せず、必要になった段階で、空調制御通信部405を用いて、空調機2および無線通信装置9に対する問い合わせにより遠隔操作機4に取得されてもよい。このように情報の格納場所を限定して、必要になった段階で問い合わせることで、無線通信装置9の移設や増設に対応し易くなる。また、無線通信装置9の識別情報だけを第3記憶部412に保持することとし、パスワード情報については、必要になった段階で無線通信装置9に問い合わせて取得するようにしてもよい。パスワード情報の格納位置を限定することで、セキュリティの向上が期待できる。
遠隔操作機4の近距離無線通信部413は、NFCなどの近距離無線通信12を介して、携帯型情報端末7と通信を行う。上述したように、第3記憶部412および近距離無線通信部413は、電源43からの電源供給が無くても、近距離無線通信機能を備える外部装置からの電波による誘導起電力により動作可能な第2電源ブロック410上の要素である。そのため、近距離無線通信部413は、携帯型情報端末7などのNFCリーダを近づけた際の電界による誘導起電力を得て、これに反応して、近距離無線通信12を確立し、第3記憶部412に保持した情報を提供することができる。なお、第3記憶部412に情報を保持しない場合は、近距離無線通信12の確立に応答して、上述した空調機2の情報および無線通信装置9の情報をこれらの機器から取得してもよい。
図5に示す実施形態において、遠隔操作機4は、第1の無線通信として近距離無線通信12を介して、空調機2の情報および無線通信装置9の情報を提供する機器情報提供部として動作する。なお、説明する実施形態では、機器情報提供部が、操作対象となる空調機2に接続された遠隔操作機4に備えられるものとして説明した。このような構成は、利用者がアクセスし易い遠隔操作機4との近距離無線通信12で設定を行えるため、操作性が高く、好ましいが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、空調機2が機器情報提供部を備える構成としてもよい。
無線通信装置9の無線通信部93は、第2の無線通信として、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などの無線通信11を介して、携帯型情報端末7とのデータ交換を行う。無線通信装置9の管理情報記憶部94は、例えば無線通信11に用いる無線通信装置9の識別情報および無線接続用のパスワード情報を含む通信接続情報941を保持する。ここで、無線通信装置9の識別情報とは、無線LANの場合は、SSID(Service Set IDentifier)などである。無線通信装置9の識別情報として、MAC(Media Access Control)アドレスが用いられてもよい。
無線通信装置9の制御部91は、要求に応答して、管理情報記憶部94に記憶された無線通信装置9の通信接続情報941を読み出し、空調制御通信部95を用いて空調機ネットワーク3を経由して、要求元の遠隔操作機4へ渡す。また、後述するように、無線通信11を介して携帯型情報端末7からの空調機2に対する操作要求があった場合は、制御部91は、空調制御通信部95を用いて空調機ネットワーク3を経由して、対象の空調機2へ操作要求を伝達する。すなわち、無線通信装置9は、1以上の空調機2と、携帯型情報端末7との間の情報伝達を仲介する。
空調機2の第2記憶部204は、上述した当該空調機2の識別情報を保持する。空調機2の空調制御通信部205は、空調機ネットワーク3または接続線5を介して接続される、他の空調機2、無線通信装置9および遠隔操作機4とのデータ交換を行う。空調機2の第1制御部201は、要求に応答して、第2記憶部204に記憶されている当該空調機2の識別情報を、空調制御通信部205を用いて、接続線5または空調機ネットワーク3を経由して、要求元の遠隔操作機4や他の空調機2や無線通信装置9へ渡す。
さらに、後述するように、無線通信装置9から当該空調機2に対する操作要求を受け取った場合は、第1制御部201は、操作要求の内容に応じて運転状態の変更などを行う。なお、空調機2の第1制御部201は、複数の操作要求があった場合に、例えば空調集中制御機からの操作を優先したり、最新の操作を優先したりするなど、要求元や要求のタイミングに応じて所定の優先順位で操作を処理することができる。第1制御部201は、操作要求に応じて運転状態などを変更した後、要求元に対して、その結果を応答する。
空調機2が外部からの操作を受け付ける操作要求は、運転状態(例えば運転や休止)、運転モード(例えば冷房、暖房、除湿、送風、自動)、設定温度(例えば所定の温度値(25℃)や、標準を基準とした相対値(+1℃)など)、風量(例えば所定の値およびオートを含む。)、風向(例えば所定の方向およびオートを含む。)および設定湿度(例えば所定の湿度値(50%)や、標準を基準とした相対値など)からなる群から選択された少なくとも1つの設定値の指定、変更または取得の要求を含むことができる。第1制御部201は、これらの操作要求に応答して内部状態を変更したり、要求された情報を提供したりする。
携帯型情報端末7は、近距離無線通信12を介して空調機2の情報および無線通信装置9の情報を取得し、これらの情報に基づいて、対象の空調機2を操作する端末装置である。利用者は、機器情報提供部としての遠隔操作機4に携帯型情報端末7をかざすことで、携帯型情報端末7から空調機2を操作することが可能になる。
携帯型情報端末7の近距離無線通信部75は、遠隔操作機4との近距離無線通信12を確立し、空調機2の識別情報および無線通信装置9の通信接続情報を受信する。第1記憶部73は、近距離無線通信12を介して取得した空調機2の識別情報および無線通信装置9の通信接続情報を記憶する。無線通信部76は、近距離無線通信12を介して取得した無線通信装置9の通信接続情報に基づき、無線通信装置9との無線通信11を確立する。制御部71は、入力部77を介したユーザからの操作に応答して、第1記憶部73に記憶された対象の空調機2の識別情報に基づき、無線通信部76による無線通信11を介して、無線通信装置9に対し、対象の空調機2に対する情報取得要求や操作要求を発行する。情報取得要求や操作要求は、無線通信装置9を経由して、対象の空調機2に伝達される。表示部78は、情報取得要求や操作要求に対する対象の空調機2からの応答を受信したことに応答して、表示を更新する。
ここで、表示部78に表示される表示は、操作可能な登録済みの空調機の一覧表示、空調機の運転状態の表示、対象の1または複数の空調機に対する前記操作要求の指示を受け付けるユーザインタフェース、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
以上、各コンポーネントの具体的な構成について説明したが、空調システム1における空調機操作の処理の流れは、概ね以下の通りとなる。(1)まず、利用者は、携帯型情報端末7を遠隔操作機4に近づけることにより、空調機2の識別情報および無線通信装置9の通信接続情報を携帯型情報端末7に取得させ、これを登録させる。続いて、(2)携帯型情報端末7は、得られた通信接続情報に基づいて、無線通信装置9との無線通信11を確立する。(3)空調機2の識別情報に基づいて、携帯型情報端末7に対する利用者からの操作に応答して、携帯型情報端末7から無線通信装置9へ対象空調機2への操作要求が送信される。そして、(4)無線通信装置9から対象空調機2へ携帯型情報端末7からの操作要求が伝達される。
以下、図6〜図8を参照しながら、空調システム1において実行される各装置間のやり取りおよび携帯型情報端末7上で動作する空調操作アプリケーションについてより詳細に説明する。図6は、本発明の第1実施形態による空調システム1において実行される設定時の各装置間のやり取りを示すシーケンス図である。図6には、空調機2を携帯型情報端末7から操作可能とするまでの処理の流れが示されている。
図6に示す処理は、携帯型情報端末7が遠隔操作機4への接近を検知したことに応答して、ステップS101から開始される。なお、携帯型情報端末7は、適宜ポーリングを行っており、利用者が携帯型情報端末7を所定の遠隔操作機4に近づけると、ポーリングに対する遠隔操作機4からの応答を検知して、遠隔操作機4への接近を検知することができる。
ステップS102では、携帯型情報端末7からは近距離無線通信12を介して遠隔操作機4に対し、無線通信装置9および空調機2の情報を要求する(機器情報要求)。
ステップS103では、遠隔操作機4は、無線通信装置9に対し無線通信11の接続に用いる通信接続情報を要求する。なお、図6では、遠隔操作機4から無線通信装置9へ直接要求がなされているように描かれているが、実際には、遠隔操作機4から接続線5を通じて空調機2へと要求が送られ、空調機2から空調機ネットワーク3を介して無線通信装置9へ要求が送られる。
ステップS104では、無線通信装置9は、管理情報記憶部94に記憶されている無線通信装置9の無線接続用の識別情報とパスワードとを遠隔操作機4へ返す。応答は、上述した通信接続情報の要求とは逆の経路で伝達される。なお、無線通信11の接続に用いる通信接続情報が事前に遠隔操作機4の第3記憶部412に格納されている場合、通信接続情報要求(S103)および通信接続情報応答(S104)が省略されてもよい。
ステップS105では、遠隔操作機4は、さらに、接続線5を介して、接続先の空調機2に対し、その識別情報を要求する。ステップS106では、空調機2は、接続線5を介して、要求元の遠隔操作機4に対し、識別情報を含む応答を返す。なお、識別情報が事前に遠隔操作機4の第3記憶部412に格納されている場合、空調機情報要求(S105)および空調機情報応答(S106)が省略されてもよい。
ステップS107では、遠隔操作機4は、近距離無線通信12を介して、機器情報要求に対する応答として、要求元の携帯型情報端末7に対し、ステップS104およびステップS106で取得した無線通信装置9の情報および空調機2の情報を応答し、携帯型情報端末7は、この応答を受信する。
ステップS108では、携帯型情報端末7は、受信した空調機2の識別情報および無線通信装置9の通信接続情報を第1記憶部73に記憶し、登録する。ステップS109では、携帯型情報端末7は、近距離無線通信12を介して受信した通信接続情報に基づき、無線通信装置9に対し無線通信接続を要求する。ステップS110で、無線通信装置9は、携帯型情報端末7に対し、無線通信接続要求に対する応答を送信し、これにより、携帯型情報端末7と無線通信装置9との無線通信11が確立される。
上述までの処理によって、携帯型情報端末7から、空調機2への操作情報を、無線通信11を介して無線通信装置9を経由して、目的の空調機2へ伝達することが可能な状態となる(S111)。なお、上記シーケンスにおいて、失敗した場合は、設定作業を中断し、エラー通知を行うよう構成すればよい。また、正常に終了した場合は、後述する運転操作画面などが携帯型情報端末7に表示される。
図7は、本発明の第1実施形態による空調システム1において携帯型情報端末7の表示部78に表示される、空調機2の運転操作を行うための運転操作画面780を例示する図である。図7に示す運転操作画面780は、図6に示す処理が正常に終了した場合に表示部78に表示される空調操作アプリケーションの画面である。なお、運転操作画面780の操作方法は、特に限定されるものではないが、ここではタッチパネル操作であるとして説明する。
運転操作画面780は、室内機識別名表示781と、運転状態操作領域782と、運転状態表示部783とを含み構成される。室内機識別名表示781には、空調機2を識別する名称として、例えば図6のシーケンスで取得した空調機2の識別情報を表示することができる。なお、室内機識別名表示781に別の名称を表示するように変更可能としてもよく、その場合、例えば室内機識別名表示781をタップすることで、名称の編集画面を表示するように構成することができる。
運転操作画面780において、運転状態操作領域782を操作することで、運転状態の変更内容を選択することができる。例えば、運転状態表示部783の上下にボタン(図7では、「オート」と表示された風向表示の上に設けられたボタンに代表して符号が振られている。)784を配置し、ボタン784が押下されたことに応答して、運転状態表示部783に表示中の内容を変更し、所望の運転状態を選択することができる。なお、図7に示す運転状態表示部783には、例えば運転状態、運転モード、設定温度、風量、風向の状態などが表示される。また、運転状態操作領域782のGUI部品は、ボタン784であることを要さず、他のGUI部品を用いることができる。例えば、運転状態表示部783で冷房と表示された表示エリアを上下にスライドすると、ほかの運転モード候補(暖房、除湿など)が選択可能なホイール状のピッカーなどの他のGUIを用いてもよい。
図7に示す運転操作画面780は、さらに、現在状態表示ボタン785と設定完了ボタン786とを含み構成される。利用者による現在状態表示ボタン785の押下に応答して、空調機2に対する現在状態取得要求を発行し、その結果を受信して、運転状態表示部783の表示を最新の状態に更新することができる。また、設定完了ボタン786の押下を検知したことに応答して、空調機2に対する運転状態選択領域782での変更内容を含む操作要求を、無線通信装置9に送信し、空調機2の運転状態を変更することができる。そして、表示部78は、操作要求に応じた対象の空調機2からの応答を受信したことに応答して、表示を更新することができる。
なお、図7に示す例では、現在状態表示ボタン785が表示されているが、これを省略してもよい。その場合、例えば、運転操作画面780の表示中に定期的に運転状態の問い合わせを行い、最新の運転状態を取得し、運転状態表示部783の表示内容を更新することができる。また、運転操作画面780を初めて表示する際には、自動で最新の運転状態を取得してから、運転操作画面780を表示することができる。また、図7に示す例では、設定完了ボタン786が設けられているが、これを省略することもできる。この場合、例えば運転操作画面780を閉じるなどの操作によって、暗黙的に設定完了が指示されたこととし、運転状態表示部783での変更内容を含む空調機2への操作要求を送信することができる。
図8は、本発明の第1実施形態による空調システム1において実行される操作時の各装置間のやり取りを示すシーケンス図である。図8に示す処理は、携帯型情報端末7が、利用者からの現在状態取得操作を受け付けたことに応答して、ステップS201から開始される。ここで、現在状態取得操作は、空調操作アプリケーションの上記運転操作画面780を呼び出す操作や運転操作画面780の現在状態表示ボタン785を押下する操作などであり、定期的に運転状態の問い合わせを行う場合は、運転操作画面780を開いたまま一定期間経過させるという暗黙的な操作も含むものである。
ステップS202では、携帯型情報端末7は、無線通信11を介して無線通信装置9へ現在情報取得要求を送信する。現在情報取得要求は、対象の空調機2の識別情報が付されて発行される。ステップS203では、無線通信装置9は、空調機ネットワーク3を介して対象の空調機2へ現在状態要求を送信する。ステップS204では、空調機2は、空調機ネットワーク3を介して、要求元の無線通信装置9に対し、現在状態を応答する。ステップS205では、無線通信装置9は、無線通信11を介して、取得した現在状態の情報を要求元の携帯型情報端末7へ応答する。ステップS206では、携帯型情報端末7は、取得した最新の現在状態で運転状態表示部783に表示する。
次の処理は、携帯型情報端末7が、利用者からの運転操作を受け付けたことに応答して、ステップS207から開始される。ここで、運転操作とは、例えば設定温度や風量の変更であり、運転状態操作領域782への操作などで指示され、例えば設定完了ボタン786の押下によって確定される。
ステップS208では、無線通信11を介して携帯型情報端末7から無線通信装置9へ運転操作情報を送信する。運転操作情報は、上述した運転操作の結果として確定された操作内容を含む操作要求である。操作要求には、操作対象となる空調機2の識別情報が付されて発行される。
ステップS209では、無線通信装置9は、空調機ネットワーク3を介して、受信した運転操作情報を対象の空調機2へ送信する。操作要求は、携帯型情報端末7から、無線通信装置9を経由して、対象の空調機2に伝達されることになる。ステップS210では、空調機2は、受信した運転操作情報に基づいて、所定の操作内容で運転に反映する。ステップS211では、空調機2は、無線通信装置9に対し、運転操作情報に基づく結果を応答として送信する。ステップS212では、無線通信装置9は、受け取った応答に基づいて、無線通信11を介して携帯型情報端末7へ応答を返す。操作要求に対する応答は、対象の空調機2から、無線通信装置9を経由して、携帯型情報端末7に伝達されることになる。
なお、ステップ212で、もし応答が返ってこなかったり、あるいは操作が受け付けられなかったりした場合は、携帯型情報端末7にエラー情報を通知することができる。例えば、「操作の反映に失敗しました」といったメッセージを画面に表示することができる。また、操作内容の反映に成功した場合に、「操作の反映が完了しました」などのポップアップを表示することもできる。
なお、運転操作画面780は、図6に示すシーケンスが正常に終了した場合に表示されるものとして説明した。しかしながら、図6に示すシーケンスを一度正常に完了させた以降は、各種情報を保持しておけば、再度、かざすなどの動作をして機器情報の取得を行う必要はない。例えば、正常に設定を完了させた以降は、空調操作アプリケーションを起動させると、設定済みの通信接続情報に基づいて、ユーザとの対話を経由して、または、自動で、無線通信装置9との無線通信11を確立し、運転操作画面780が表示されるように構成することができる。空調操作アプリケーションの起動に応答して、無線通信11を確立する場合、適宜、起動前の通信設定を保持しておき、空調操作アプリケーションの終了に応答して、起動前の通信設定を回復することもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、携帯型情報端末7から対象の空調機2を操作することが可能な空調システム1が提供される。本実施形態では、1以上の空調機2に対し、無線通信装置9は、最小構成において1つ設ければよく、空調機2の個数と、無線通信装置9の個数とを異ならせることができる。各空調機2の遠隔操作機4に無線通信機能を設ける必要がなく、計装コストを削減することができる。また、所定空間毎に空調集中制御機を設ける場合に比較して、導入コストを削減することが可能となる。さらに、無線通信装置9の通信エリアは、所定の範囲に限定されているため、通信範囲を用いて、空調機2が操作可能なエリアを制限することも容易である。
また、テナントのように一定の広さを持つ空間には、図1に示すように複数の空調機2が設置されていることが多いところ、1つの携帯型情報端末7から複数の空調機2を操作したいという要望もある。上述した第1の実施形態では、複数の空調機2がある場合は、利用者は、複数の空調機2に接続される複数の遠隔操作機4それぞれに携帯型情報端末7を近づけて携帯型情報端末7に複数の空調機2の識別情報を登録することができる。これにより、携帯型情報端末7から複数の空調機2を操作することが可能となる。この場合、図6に示した設定時のシーケンスを、所望の空調機の数だけ繰り返せばよい。ただし、無線通信装置9の通信接続情報は、一度取得できれば充分であるため、2回目以降のシーケンスにおいて、改めて取得したり、接続したりすることは不要である。例えば室内空調機2aを登録した際に無線通信装置9との無線接続を確立した場合は、後に室内空調機2bの設定を行うときは、無線通信装置9への接続シーケンス(S109,S110)を省略することができる。
なお、第1の実施形態では、遠隔操作機4および無線通信装置9がそれぞれ1つであったが、これらをそれぞれ複数接続されていてもよい。また、第1の実施形態では、室内空調機2および室外空調機6が複数設けられているが、1つの室内空調機2および1つの室外空調機6の組み合わせで最小構成としてもよい。
[第2実施形態]
以上説明した第1実施形態では、複数の空調機2がある場合、空調機2毎に、その接続先の遠隔操作機4に携帯型情報端末7をかざす操作を行うものであった。上記の登録方法は、操作したい空調機2を利用者自らが選択して追加できるため、利用者にとって操作可能な空調機2を理解しやすいという利点がある。一方で、登録したい空調機2が多数ある合には、複数の空調機2に対し1つ1つに携帯型情報端末7をかざして登録することは手間がかかる。以下、複数の空調機2について一度に携帯型情報端末7へ登録することを可能とする第2実施形態について、図5、図9および図10を参照しながら説明する。
再び図5を参照すると、図5においては、遠隔操作機4aに接続線5aを介して接続される室内空調機2aに加えて、この遠隔操作機4aに直接接続されておらず、室内空調機2aに空調機ネットワーク3を介して接続される他の室内空調機2bが示されている。
第1実施形態では、遠隔操作機4aから接続線5aを介して接続される室内空調機2aには、その室内空調機2a自身の識別情報だけを求めていた。これに対し、第2の実施形態では、遠隔操作機4aは、自身に接続線5aを介して接続される室内空調機2aに対し、その室内空調機2a自身の識別情報に加えて、空調機ネットワーク3上の他のすべての空調機2の識別情報を要求することができる。要求を受けた室内空調機2aは、空調機ネットワーク3上に接続された他の室内空調機2bに、空調制御通信部205を用いて、識別情報の取得要求を転送し、他の室内空調機2bの識別情報を取得する。室内空調機2aは、接続先の遠隔操作機4aに対し、取得したすべての空調機2の識別情報を返す。遠隔操作機4aは、無線通信装置9の通信接続情報とともに、空調機ネットワーク3上のすべての空調機2の識別情報を、自身に近接して近距離無線通信12を確立した無線端末装置9に送信する。
以下、図9を参照しながら、第2実施形態による空調システム1において実行される設定時の各装置間のやり取りについて、より詳細に説明する。なお、図9に示すステップS101〜S104の処理は、図7に示したステップS101〜S104の処理と同様であるため、同じ番号で参照し、説明も割愛し、ここでは、後続のステップS301から説明を行う。
ステップS301では、遠隔操作機4aは、接続線5を介して、接続先の室内空調機2aに対し、その識別情報とともに空調機ネットワーク3上のすべての空調機2の識別情報を要求する。ステップS302では、室内空調機2aは、空調機ネットワーク3上のすべての他の空調機2(室内空調機2bを含む。)に対し、その識別情報の要求を転送する。ステップS302では、他の室内空調機2bは、空調機ネットワーク3を介して、要求元の室内空調機2aに対し、その識別情報を含む応答を返す。ステップS304では、室内空調機2aは、要求元の遠隔操作機4aに対し、自身の識別情報と、取得したすべての空調機2の識別情報とを含む応答を返す。図9に示すシーケンスでは、室内空調機2aがすべての空調機2の情報を受け取ってから、すべてを含む応答を返すように説明しているが、他の空調機2から識別情報の応答を受け取る都度、遠隔操作機4aへ渡すこととしてもよい。
ステップS107では、遠隔操作機4aは、第1の実施形態と同様に、近距離無線通信12を介して、要求元の携帯型情報端末7に対し、機器情報要求に対する応答を送信し、携帯型情報端末7は、この応答を受信する。この応答には、室内空調機2a,2bの情報と無線通信装置9の通信接続情報941とが含まれる。ステップS108では、携帯型情報端末7は、室内空調機2a,2bの情報を第1記憶部73に記憶し、登録する。なお、遠隔操作機4aの第3記憶部412aに、接続可能な室内空調機2a,3bの情報がすでに記憶されている場合は、室内空調機2aへの識別情報の要求を省略することができる。
以降、ステップS109およびステップS110では、携帯型情報端末7と無線通信装置9との無線通信11が確立される。上述までの処理によって、携帯型情報端末7から、無線通信11を介して無線通信装置9を経由して、目的の室内空調機2a,2bへ操作情報を伝達することが可能な状態となる(S111,S305)。
図10は、本発明の携帯型情報端末7の表示部78に表示される、複数の空調機2を携帯型情報端末7に登録した場合の室内機一覧表示画面790を例示する図である。室内機一覧表示画面790は、無線通信装置識別名表示部791と、室内機表示部792とを含み構成される。
無線通信装置識別名表示部791には、無線接続中の無線通信装置9を識別可能な情報が表示される。例えば、無線LANの場合は、SSIDなどを表示してもよいし、携帯型情報端末7側で無線通信装置9を識別可能な任意の名称を設定し直してもよい。
室内機表示部792は、登録済みの空調機2に対応する室内機アイコン793a,793bを含む。室内機アイコン793a,793bには、室内機の識別名称794a,794bが表示される。室内機識別名称794a,794bは、遠隔操作機4から取得した空調機2の識別情報そのままでもよいし、携帯型情報端末7側で名称を変更して表示してもよい。室内機アイコン793a,793bには、それぞれの空調機2の運転状態を表示することもできる。この場合の表示内容は、例えば運転状態表示部783で表示する内容である。室内機アイコン793a,793bを選択した状態で設定ボタン795を押下することで、選択に応じた運転操作画面780を表示することができる。運転操作画面780では、第1実施形態と同様に運転操作の指示を行うことができる。なお、運転操作画面780の内容がそのまま室内機アイコン793a,793b内に表示されていてもよい。その場合、別画面を開かずにアイコン上ですべて運転操作を指示することとすることができる。
多数の空調機2を選択する場合に、アイコンを1つ1つ選択するのは煩雑な場合がある。図10に示す室室内機一覧表示画面790には、一括選択ボタン796が用意されており、一括選択ボタン796を押下ことで、画面上の全室内機アイコンを選択可能にしてもよい。また、1つずつの室内機アイコン793に対し運転操作を指示する場合は、個々のアイコンを長押しすることなどで設定ボタンの動作を代替してもよい。複数の室内機アイコンを選択した状態で設定ボタン795を押すことで表示される運転操作画面780では、室内機識別名表示部781の表示を、複数の空調機2を選択していることが判別しやすい内容の表示に変更することができる。例えば、選択している空調機2の識別名を一覧表示したり、複数選択中である旨を表示することができる。なお、第2実施形態の説明では、空調機2が2台、遠隔操作機4が2台であった、それぞれ3台以上接続されていても動作は同様である。
[第3実施形態]
以上説明した第1および第2実施形態では、無線通信装置9が1台だけであった。一方、空調機2が設置される空間が広い場合、無線通信装置9が1台だけでは電波が届き渡らないため、複数台の無線通信装置9を設置することが望ましい場合がある。この場合に、複数の無線通信装置9の情報を個別に取得していくのは手間である。例えば、利用者がテナントの従業員であり、テナント内に複数の無線通信装置9が設置されている場合、一括ですべての無線通信装置9の情報を得たいという要望がある。また、利用者がビル管理者である場合、近傍の無線通信装置9へ自動で接続することで、ビル内の任意の位置から任意の室内機を操作可能にしたいという要望もある。以下、複数の無線通信装置9について一度に携帯型情報端末7へ登録することを可能とする第3実施形態について、図11および図12を参照しながら説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態による空調システム1の全体構成例を示すブロック図である。図11を参照すると、第3実施形態における空調システム1は、上述した空調機ネットワーク3に接続した複数の無線通信装置9a,9bが含まれている。そして、利用者は、無線通信装置9a,9bの情報を一度に取得し、携帯型情報端末7から、無線通信装置9a,9bのいずれかを経由して各空調機2を操作することが可能とされている。なお、上述した以外の構成については、図1で説明したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
以下、図12を参照しながら、第3実施形態による空調システム1において実行される設定時の各装置間のやり取りについて、より詳細に説明する。なお、図12に示すステップS101,S102の処理は、図7に示したステップS101,S102の処理と同様であるため、同じ番号で参照し、説明も割愛し、ここでは、後続のステップS401から説明を行う。
ステップS401では、遠隔操作機4aは、自身の接続先である室内空調機2aに対し、接続線5を介して通信接続情報を要求する。そして、通信接続情報要求を受信した室内空調機2aは、空調機ネットワーク3上の任意の無線通信装置9宛に通信接続情報を要求する(この例では無線通信装置9a,9bについてS402,S404)。要求を受け取った無線通信装置9a,9bは、室内空調機2aに対し、空調機ネットワーク3を介して通信接続情報を返す(この例では無線通信装置9a,9bについてS403,S405)。ステップS406では、室内空調機2aは、遠隔操作機4aに、接続線5を介して無線通信装置9a,9bの無線接続用情報を返す。なお、複数の無線通信装置9a,9bの情報がすでに遠隔操作機4aの第3記憶部412aにある場合は、ステップS401〜S406の処理を省略してもよい。
ステップS105およびS106は、図7に示したステップS105,S106の処理と同様である。ステップS107では、遠隔操作機4aは、第1および第2の実施形態と同様であるが、近距離無線通信12を介して、機器情報要求に対する応答を要求元の携帯型情報端末7に応答し、携帯型情報端末7は、この応答を受信する。この応答には、ステップS406およびステップS106で取得した複数の無線通信装置9の情報および空調機2の情報が含まれる。ステップS108では、携帯型情報端末7は、空調機2の情報および無線通信装置9a,9bの情報を第1記憶部73に記憶し、登録する。
なお、携帯型情報端末7は、複数の無線通信装置9の情報が取得された場合、いずれの無線通信装置9に接続するかを決定する。この場合、例えば、無線通信装置9毎に電波強度を判定し、電波強度に基づいて、接続可能な近傍の1つの無線通信装置9を選択することができる。
図12では、まず、電波強度に基づいて無線通信装置9aが選択される。ステップS109およびステップS110では、選択された無線通信装置9aと携帯型情報端末7との無線通信11が確立される。上述までの処理によって、携帯型情報端末7から、空調機2への操作情報を、無線通信11を介して無線通信装置9aを経由して伝達することが可能な状態となる(S111)。
また、電波強度を用いることで、利用者が移動した場合に、自動で近傍の接続可能な無線通信装置9に接続し直すことができる。利用者がビルやフロアの管理者である場合は、携帯型情報端末7に、取得したすべての無線通信装置の情報を記憶しておき、他のエリアに移動した場合に、自動で近傍の無線通信装置に切り替えるよう構成することができる。
図12では、ステップS407およびステップS408では、電波強度に基づいて、別の無線通信装置9bが選択され、この新たに選択された無線通信装置9bと携帯型情報端末7との無線通信11が確立される。上述までの処理によって、携帯型情報端末7から、空調機2への操作情報を、無線通信装置9bを経由して伝達することが可能な状態となる(S409)。
なお、第3実施形態の説明では、無線通信装置9が2台であったが、3台以上接続されていても動作は同様である。また、第3の実施形態では、複数の無線通信装置9への対応について説明したが、第2の実施形態と同様に、さらに、複数の空調機2の情報を一括で取得可能なように構成してもよい。
[第4実施形態]
空調機2と無線通信装置9は、同一のビル内ではすべて同一の空調機ネットワーク3に接続されていることが多い。このとき、上述した第3の実施形態では、任意の無線通信装置9から任意の空調機2を操作できるようになる。一方で、ビル内にテナントなどの利用者が異なる複数の利用空間が存在する場合、利用空間ごとに操作可能な空調機2を限定したいという要望がある。以下、複数の無線通信装置9を用いて利用空間毎に携帯型情報端末7から操作可能な空調機2を限定する第4実施形態について、図11および図13を参照しながら説明する。
図11には、本発明の第4の実施形態による空調システム1の全体構成例も示されている。図11には、利用空間の境界が破線で示されており、第1の空間1Aと、第2の空間1Bとに分かれている。第1の空間1Aに、室内空調機2a、2bと、遠隔操作機4a,4bと、無線通信装置9aとが含まれる。第2の空間1Bには、室内空調機2cと、遠隔操作機4cと、無線通信装置9bとが含まれる。
2つの空間1A,1Bは、それぞれ異なる利用者が利用しているものとし、例えば第1の空間1Aと第2の空間1Bとは異なるテナントであるとする。上述したように、無線通信装置9は、利用空間ごとに1台以上設置されている。この空調システム1においては、利用者は、特定の無線通信装置9との接続中は、特定の空調機2だけを操作できるように構成される。
無線通信装置9a,9bは、例えば、空調機2が設置される各利用空間において、天井や壁など任意の位置に設置される。無線通信装置9は、増設および移設が容易であるため、このようなビル内に複数のテナントを配する形態でもテナントの配置変更などにも柔軟に対応できる。なお、テナントが広く同一テナント内に複数の無線通信装置9を設置する場合、同一テナント内の無線通信装置9には同じ識別名およびパスワードを設定し、テナントごとに無線通信装置9の無線通信11で用いる識別名およびパスワードを変更することが望ましい。
図4に示すように、第4の実施形態による無線通信装置9の管理情報記憶部94には、通信接続情報941のほか、無線通信装置9の設置エリアに存在する空調機2の識別情報の一覧を含む空調機識別情報942が保存されている。例えば、図11の無線通信装置9aには、第1の空間1Aに設置された室内空調機(以下、関連空調機と呼ぶ場合がある。)2a,2bの識別情報が保持される。一方、無線通信装置9bには、第2の空間1Bに設置された室内空調機2cの識別情報が保持される。なお、このような、各無線通信装置9bへの空調機識別情報942の書き込みは、例えば一時的に空調集中制御機を持ち込んで、空調機2のグループの情報と、これに紐付く無線通信装置9の情報とを作成し、空調集中制御機から無線通信装置9に反映させることができる。
図13は、本発明の第4実施形態による空調システム1において実行される設定時の各装置間のやり取りを示すシーケンス図である。なお、図13に示すステップS101,S102の処理は、図7に示したステップS101,S102の処理と同様であるため、同じ番号で参照し、説明も割愛する。
ステップS501では、遠隔操作機4aは、自身の接続先である室内空調機2aに対し、機器情報を要求する。機器情報要求を受信した室内空調機2aは、空調機ネットワーク3上の1以上の無線通信装置9に対し、関連機器情報を要求する(この例では無線通信装置9a,9bについてS502,S504)。
要求を受け取った無線通信装置9は、空調機識別情報942を参照し、要求元が自身の設置エリアの空調機2の識別情報と合致するか判定する。無線通信装置9aでは、要求元の室内空調機2aの識別情報が、第1の空間1Aに設置された室内空調機2aの識別情報と一致するため、ステップS503では、無線通信装置9aは、自身の通信接続情報と、自身に関連する室内空調機2a,2bの識別情報とを返す。一方、無線通信装置9bについては、室内空調機2aは、第2の空間1Bの範囲外であるため、自身が保持する空調機2の識別情報と一致しない。ステップS505では、無線通信装置9bは、要求を破棄する。ステップS506では、室内空調機2aは、接続線5を介して遠隔操作機4aに、無線通信装置9aの通信接続情報およびその関連空調機2a,2bの識別情報を応答する。
ステップS107では、遠隔操作機4aは、第1および第2の実施形態と同様に、近距離無線通信12を介して、機器情報要求に対する応答を要求元の携帯型情報端末7に応答する。この応答には、ステップS503で取得した無線通信装置9aの情報および室内空調機2a,2bの情報が含まれる。ステップS108では、携帯型情報端末7は、室内空調機2a,2bの情報および無線通信装置9aの情報を第1記憶部73に記憶し、登録する。ステップS109およびステップS110では、無線通信装置9aと携帯型情報端末7との無線通信11が確立される。上述までの処理によって、携帯型情報端末7から、室内空調機2a,2bへの操作情報を、無線通信11を介して無線通信装置9aを経由して伝達することが可能な状態となる(S111)。
なお、遠隔操作機4aから接続可能な室内空調機2a,2bおよび無線通信装置9aの情報が予め遠隔操作機4aの第3記憶部412aに記憶されていてもよい。その場合は、図13のシーケンスを省略することができ、遠隔操作機4aに携帯型情報端末7をかざした際に,遠隔操作機4aから直接、室内空調機2a,2bおよび無線通信装置9aの情報を携帯型情報端末7へ提供すればよい。
また、利用空間ごとに接続を許可された室内機の一覧は、無線通信装置9の管理情報記憶部94以外の場所に保存されていてもよい。空調機ネットワーク3に、別の記憶装置を保有する機器、例えばサーバ用PCや空調集中制御機などを接続し、無線通信装置9から該当機器の記憶装置へ空調機2の一覧を問い合わせるようにしてもよい。
なお、上述した説明では、設定時に携帯型情報端末7から無線通信装置9を経由して操作可能な空調機2を制限するものであった。しかしながら、他の実施形態では、上記とは異なる方法により、無線通信装置9ごとに操作可能な空調機2を制限することができる。例えば、携帯型情報端末7から無線通信装置9に空調機2の運転操作情報を送信する操作時に、接続中の無線通信装置9から操作が可能な空調機2の識別情報と、運転操作の送信先の空調機2の識別情報が一致しない場合に、空調機2への操作要求を破棄することによって、接続中の無線通信装置9に応じて操作可能な室内機を制限するようにしてもよい。
また、携帯型情報端末7では、接続中の無線通信装置9に応じて、操作可能な空調機2だけを画面に表示することができる。例えば、図10に示した室内機一覧表示画面790において、接続中の無線通信装置9に応じて無線通信装置識別名表示部791に表示する無線通信装置の識別名を変更するとともに、表示する室内機アイコン793を変更することができる。その場合、例えば無線通信装置9aと接続中は、室内空調機2a,2bのアイコン表示をするように携帯型情報端末のアプリケーションが構成される。
すなわち、第4の実施形態において、無線通信装置9は、1以上の管理対象の空調機2を管理しており、1以上の管理対象に関連する要求(関連機器情報要求および操作要求)については、該要求(関連機器情報要求)に応えるか、該要求(操作要求)を転送する一方で、管理対象以外の空調機2に関連する要求については、破棄することができる。この構成により、接続中の無線通信装置9に応じて操作可能な空調機2を変更できるため、特定の無線通信装置9から離れると室内空調機2を操作できなくなり、セキュリティを向上することができる。
[第5実施形態]
上述した第4実施形態では、接続中の無線通信装置9に応じて操作可能な空調機2を限定していた。しかしながら、利用空間だけでなく、利用者の個別の権限に応じて提供する操作を変更したいという要望がある。例えば、利用者が一時的な滞在者の場合は、操作内容を限定し、利用者がビル管理者なら全操作を許可したいという要望がある。以下、図14および図15を参照しながら、利便性とセキュリティ性を向上させることを目的とし、利用者毎に許可する操作を変更することが可能な第5実施形態について説明する。
図11には、本発明の第5の実施形態による空調システム1の全体構成例も示されている。ここで、利用者は、第1の空間1Aのテナントの従業員であるとする。テナントの従業員や管理者の携帯型情報端末7の識別情報が、空調システム1に予め登録されているものとする。図4に示すように、第5の実施形態による無線通信装置9の管理情報記憶部94には、通信接続情報941のほか、携帯型情報端末7の識別情報を含む権限情報943が保存されている。なお、説明する実施形態では、権限情報943が、無線通信装置9の管理情報記憶部94に記憶されているものとして説明するが、空調機ネットワーク3上に別の記憶装置を持つ機器(PCや、集中制御機など)を接続し、そこに登録しておいてもよい。なお、携帯型情報端末7の識別情報は、例えば電話番号や、MACアドレスなどである。
図14は、本発明の第5実施形態による空調システム1において実行される携帯型情報端末7と無線通信装置9との間のやり取りを示すシーケンス図である。なお、携帯型情報端末7には、第1の空間1Aで操作可能な室内空調機2a、2bの識別情報は、携帯型情報端末7に既に登録されているとする。具体的には、第4実施形態で説明した図13のシーケンスの直後であるとする。
携帯型情報端末7は、無線通信装置9aの通信接続情報を取得済みであるため、ステップS601では、携帯型情報端末7は、無線通信装置9aに対して無線接続要求を出す。ステップS602では、要求を受けた無線通信装置9aは、携帯型情報端末7に自信の識別情報を要求する。ステップS603では、携帯型情報端末7は、自身の識別情報を無線通信装置9aへ送信する。
ステップS604では、無線通信装置9aは取得した携帯型情報端末7の識別情報が、登録済みの携帯型情報端末7の識別情報と一致するか照合する。権限情報943内の登録情報と一致した場合、ステップS605で、携帯型情報端末7に対し、無線通信装置9aへの無線接続を許可し、利用者に応じた操作権限を付与する。ステップS606では、携帯型情報端末7は、付与された操作権限に応じて、携帯型情報端末7の表示内容を変更する。例えば、操作を許可する空調機2だけを携帯型情報端末7の画面上に表示するよう制御することができる。また、管理者に対しては、管理者向けの機能を画面に表示可能にすることができる。
図15は、本発明の第5実施形態による空調システム1において無線通信装置9が実行する権限判断処理のフローチャートである。図15に示す処理は、図14に示す無線通信装置9aが行う、識別情報を権限情報943内の登録情報と照合する処理(ステップS604)を詳細に説明するものである。なお、権限情報943には、携帯型情報端末の識別情報に対応付けて、所定の権限内容が包括的に記述されたユーザのロール(例えば管理者や従業員など)が保持されるものとする。しかしながら、これに限定されるものではなく、携帯型情報端末7の識別情報に対応付けて個別の権限内容が直接記述されていてもよい。なお、ロールに関連付けられる、あるいは、個別に記述される権限としては、情報取得の可否、操作の可否、時間制限の有無またはこれらの組み合わせを含むことができる。
図15に示す処理は、図14に示すステップS604の処理で呼び出されて、ステップS700から開始される。ステップS701では、無線通信装置9aは、まず権限情報943内で管理者として登録された携帯型情報端末7の識別情報と照合し、一致するか否かを判定する。ステップS701で、一致すると判定された場合(YES)は、ステップS702へ処理が分岐される。ステップS702では、無線通信装置9aは、全空調機2への操作権限と全無線通信装置9への接続権限を付与し、必要に応じて、携帯型情報端末7を遠隔操作機だけでなく集中制御機としての機能を利用できる権限を付与し、ステップS706で本処理を終了する。集中制御機としての機能としては、例えば、運転スケジュールやデマンド制御の設定、冷暖自動運転許可設定、リモコン操作の受付禁止設定などを挙げることができる。また、いずれかの無線通信装置9から任意の空調機2の操作を可能とすることができる。
ステップS701で管理者として登録された携帯型情報端末7の識別情報と一致しないと判定された場合(NO)は、ステップS703へ処理が分岐される。ステップS703では、無線通信装置9aは、さらに、権限情報943内で従業員として登録された携帯型情報端末7の識別情報と照合し、一致するか否かを判定する。ステップS703で、一致すると判定された場合(YES)は、ステップS704へ処理が分岐される。ステップS704では、無線通信装置9aは、従業員の勤務エリアにある空調機2の操作権限を付与し、ステップS706で、本処理を終了する。
ステップS703で従業員として登録された携帯型情報端末7の識別情報とも一致しないと判定された場合(NO)は、ステップS705へ処理が分岐される。ステップS705では、無線通信装置9aは、ゲストとして空調機2の操作権限を付与し、ステップS706で、本処理を終了する。例えば、操作を許可しないか、携帯型情報端末7をかざした遠隔操作機4から直接操作可能な空調機1台だけの操作を許可することができる。ゲストとして空調機1台だけ操作を許可する場合、当該許可を受けた携帯型情報端末7の制御部71は、近距離無線通信12を介して新しい空調機2の情報を受信したことに応答して、記憶部に記憶された空調機2の情報を消去するか、またはこれに上書して、最新の空調機2の情報のみを登録することができる。この際に、操作可能な期間に制限時間などを設けてもよい。
なお、図14および図15の説明では、無線通信装置9は、利用者判定および操作権限付与の両方を行うものとして説明した。しかしながら、他の実施形態では、利用者判定は、無線通信装置9で行うこととし、操作権限付与を携帯型情報端末7側で行うように構成してもよい。例えば、利用者の権限に応じた画面表示内容を携帯型情報端末7側のアプリケーションで定義しておき、利用者の判定結果に応じて、携帯型情報端末の表示画面を変えることで操作権限付与を実現することができる。
利用者の判定方法について、図14を参照しながら説明したが、利用者の判定方法は。図14のシーケンスで説明した方法に限定する必要はない。他の実施形態では、例えば利用者確認用にパスワードの入力を要求し、パスワード入力結果に応じて利用者を判定することができる。利用者判定のタイミングも、無線接続要求時に限定する必要はなく、例えば遠隔操作機4に携帯型情報端末7をかざした際に、携帯型情報端末7から、その識別情報を取得するようにし、無線通信装置9へ通信接続情報を要求する際に、同時に携帯型情報端末7の識別情報を渡して利用者判定を行うことができる。その場合は、携帯型情報端末7の識別情報が登録済みの情報と一致しなければ、携帯型情報端末7へ無線通信装置9の通信接続情報を返さないか、携帯型情報端末7に空調機2の登録を許可しないようにすることができる。
すなわち、第4の実施形態において、無線通信装置9は、携帯型情報端末7の識別情報に関連付けて権限を管理する管理部(管理情報記憶部94)と、携帯型情報端末7から携帯型情報端末7の識別情報を取得し、取得した前記識別情報に基づいて権限を判断する判断部(制御部91)とを含む。
図14および図15を参照して説明した第5実施形態によれば、以下のような利点がある。例えば、同一ビルにテナントが複数ある場合、各テナントの従業員は、各自が勤務しているテナントの空調だけを操作することができるようになる。あるテナントの利用空間に設置された遠隔操作機4に、該当テナントの従業員以外が携帯型情報端末7をかざすと、携帯型情報端末7へ室内機の登録ができないか、ゲストという形で室内機2を1台だけの操作を許可される。もし携帯型情報端末7を遠隔操作機4にかざしたのがビル管理者であれば、すべての空調機2の操作が許可される。また、ビル管理者には、携帯型情報端末7から操作可能な内容を増やし、携帯型情報端末7を集中制御機のように利用可能にすることができる。集中制御機に相当する機能を提供する方法としては、利用者が管理者である場合に携帯型情報端末7に表示するボタンや画面を増やしてもよいし、管理者用の別アプリの利用を許可してもよい。
[第6実施形態]
上述までの実施形態では、無線通信装置9は、遠隔操作機4および空調機2とは別体の機器として説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、他の実施形態では、無線通信装置9は、いずれかの遠隔操作機4に組み込まれて一体化して構成されてもよい。
遠隔操作機4に組み込まれた無線通信装置9は、近距離無線通信部413に相当する構成と、管理情報記憶部94と、無線通信部93と、空調制御通信部95とを含み構成される。管理情報記憶部94には、無線通信部93への通信接続情報と、当該無線通信部93を経由して操作を許可する1以上の空調機2の識別情報一覧を含む空調機識別情報942を保持する。
このとき、遠隔操作機4に組み込まれた無線通信装置9(のアンテナ部位)に携帯型情報端末7をかざすことで、当該無線通信装置9と携帯型情報端末7との間の近距離無線通信12だけで、自身の通信接続情報と他の空調機2の情報を携帯型情報端末7に取得させることができ、無線通信11の接続確立もそのまま実施することができる。この構成により、携帯型情報端末7への情報の取得に、他の遠隔操作機4や空調機2を介す必要がなくなり、空調システム1における通信量を削減することができる。また、本発明の第6実施形態による空調システム1においては、通常、無線通信装置9と一体となった遠隔操作機4の設置数は、通常の遠隔操作機4よりも少なくてよいため、無線通信部をすべての遠隔操作機4に内蔵するよりも安価に実現できる。
なお、1つの空調機2に接続された遠隔操作機4に無線通信装置9が組み込まれた場合であっても、1以上の他の空調機2およびそれに接続された他の遠隔操作機4が存在するものとする。すなわち、遠隔操作機4に組み込まれた無線通信装置9は、当該遠隔操作機4に接続された空調機2および1以上の他の空調機2を含む空調機群と、携帯型情報端末7との間の情報伝達を仲介するはたらきをする。
以上説明したように、上述した実施形態によれば、端末装置から対象の空気調和機を操作することが可能な空調システム、端末装置、空調機操作方法、プログラムおよび空調機が提供される。
なお、本発明の実施形態は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれ得る。例えば、上記した実施形態は、分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また上記の各構成、機能、処理部、処理手段等の一部または全部は、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。さらに、上記の各構成、機能等の一部または全部は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された、プロセッサがそれぞれの機能を実現するコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリなどの記憶装置、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、ブルーレイディスク、SD(登録商標)カード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して、あるいは電気通信回線を通じて頒布することができる。
また、さらに、上記の各構成、機能等の一部または全部は、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのプログラマブル・デバイス(PD)上に実装することができ、上記機能部をPD上に実現するためにPDにダウンロードする回路構成データ(ビットストリームデータ)、回路構成データを生成するためのHDL(Hardware Description Language)、VHDL(Very High Speed Integrated Circuits Hardware Description Language)、Verilog−HDLなどにより記述されたデータとして記録媒体により配布することができる。また制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また以上の説明で例示した各種のデータの形式は、例えば、CSV(Comma-Separated Values)、XML(eXtensible Markup Language)、バイナリ(binary)などにより構成することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。